JPH08309100A - アイロンおよびその製造方法 - Google Patents

アイロンおよびその製造方法

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JPH08309100A
JPH08309100A JP11967095A JP11967095A JPH08309100A JP H08309100 A JPH08309100 A JP H08309100A JP 11967095 A JP11967095 A JP 11967095A JP 11967095 A JP11967095 A JP 11967095A JP H08309100 A JPH08309100 A JP H08309100A
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iron
carbon
film
gas
base
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JP11967095A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Kurumisawa
利光 胡桃沢
Shigetoshi Kanazawa
成寿 金澤
Hideo Kurokawa
英雄 黒川
Tsuneo Shibata
恒雄 柴田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱伝導性が高く、強度が高くて耐磨耗性に優
れ、静電気の発生のないアイロンを提供することを目的
としている。 【構成】 ベースを構成する基材1の表面に形成した保
護膜2がダイヤモンド結合あるいはグラファイト結合を
有する炭素を主成分としており、熱伝導性がよく、対摩
耗性が高く、また導電性の高いものであり、従来のフッ
素コーティングの欠点を解消したアイロンとするもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アイロンおよびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来使用しているアイロンは、表面をフ
ッ素コーティング処理している。その主たる目的は、ア
イロン掛け時に衣類との摺動性を確保してアイロン掛け
操作が滑らかにできるようにすること、またアイロン掛
け時に衣類に付いている糊がアイロン表面に付着しない
ように非粘着性を確保することにある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのフッ素コー
ティングには、熱伝導性・耐磨耗性・静電気の点で課題
を有している。
【0004】つまり、ベースを構成する基材としてアル
ミニウムを使用した場合、フッ素コーティング部は熱伝
導率がおよそアルミニウムの1/370と非常に小さい
ものである。このためベース中に埋め込んでいるヒータ
部の熱が有効に衣類に伝わらず、ヒーター電力の損失が
大きくなるものである。またフッ素コーティングは基本
的にはフッ素樹脂を主成分としているため柔らかく、衣
類との摩擦によって次第に摩耗するものである。また近
年、アイロンはアイロン掛け時の操作性を向上するため
にコードレス化されてきており、このためアイロン掛け
時に衣類との摩擦によって静電気が発生して、ベースに
衣類がまとわりつくという現象も発生するものである。
【0005】本発明はこのような従来のアイロンが有し
ている課題を解決しようとするもので、熱伝導性が高
く、強度が高くて耐磨耗性に優れ、静電気の発生のない
アイロンを提供することを第一の目的としている。また
前記第一の目的に関連して、特に基材と保護膜との密着
性の高いアイロンを提供することを第二の目的としてい
る。また、特にベースの材質が絶縁材料である場合に基
材と保護膜との密着性の高いアイロンを提供することを
第三の目的としている。更に、表面の非粘着性を高めた
アイロンを提供することを第四の目的としている。更
に、保護膜の硬度を高めたアイロンを提供することを第
五の目的としている。また、第一の目的・第二の目的を
達成するアイロンの製造方法を提供することを第六の目
的・第七の目的としている。また、第三の目的・第四の
目的を達成するアイロンの製造方法を提供することを第
八の目的・第九の目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】第一の目的を達成する本
発明の第一の手段は、金属材料で構成したベースに炭素
もしくは炭素を主成分とする保護膜を備えたアイロンと
するものである。
【0007】第二の目的を達成するための本発明の第二
の手段は、特に保護膜を第一の薄膜と第二の薄膜とから
構成し、第一の薄膜のビッカース硬度は50HB以下に
第二の薄膜のビッカース硬度は80HB以上とし、基材
側を第一の薄膜としたアイロンとするものである。
【0008】第三の目的を達成するための本発明の第三
の手段は、絶縁材料で構成したベースに、導電性膜を介
して炭素もしくは炭素を主成分とする保護膜を備えたア
イロンとするものである。
【0009】第四の目的を達成するための本発明の第四
の手段は、特に保護膜の表面を弗化処理したアイロンと
するものである。
【0010】また第五の目的を達成するための本発明の
第五の手段は、保護膜中に1〜20%のSi元素を含む
アイロンとするものである。
【0011】第六の目的を達成するための本発明の第六
の手段は、ベースを構成する基材を炭化水素気体を含む
プラズマ雰囲気中に曝露し、この表面にプラズマ中のイ
オンやラジカルを利用して炭素もしくは炭素を主成分と
する薄膜を形成するアイロンの製造方法とするものであ
る。
【0012】また第七の目的を達成するための本発明の
第七の手段は、特に成膜初期にArガスやKrガスなど
の不活性ガスを導入するアイロンの製造方法とするもの
である。
【0013】第八の目的を達成するための本発明の第八
の手段は、ベースを構成する基材を、少なくとも炭化水
素気体とSi元素を含む気体との混合気体からなるプラ
ズマ雰囲気中に曝露し、この表面にプラズマ中のイオン
やラジカルを利用してSi元素を含む炭素もしくは炭素
を主成分とする薄膜を形成するアイロンの製造方法とす
るものである。
【0014】更に第九の目的を達成するための本発明の
第九の手段は、ベースを構成する基材を炭化水素気体を
含むプラズマ雰囲気中に曝露し、この表面にプラズマ中
のイオンやラジカルを利用して炭素もしくは炭素を主成
分とする薄膜を形成した後、この炭素もしくは炭素を主
成分とする薄膜の表面を弗素元素を含むプラズマ雰囲気
中に曝して弗化処理するアイロンの製造方法とするもの
である。
【0015】
【作用】本発明の第一の手段は、ベースを構成する基材
の表面に形成した保護膜がダイヤモンド結合あるいはグ
ラファイト結合を有する炭素を主成分としており、熱伝
導性がよく、対摩耗性が高く、また導電性の高いもので
あり、従来のフッ素コーティングの欠点を解消したアイ
ロンとして作用するものである。
【0016】本発明の第二の手段は、基材の表面にコー
ティングした柔軟な第一の薄膜の上に高度の高い第二の
薄膜をコーティングして、基材との密着性が優れた保護
膜を備えたアイロンとするものである。
【0017】本発明の第三の手段は、基材の表面に導電
性膜を形成しこの上に保護膜を形成するようにして、ベ
ースが絶縁材料で構成されている場合に基材との密着性
が優れた保護膜を備えたアイロンとするものである。
【0018】本発明の第四の手段は、保護膜の表面を弗
化処理して表面の非粘着性を高めたアイロンとしてい
る。
【0019】また本発明の第五の手段は、保護膜中にS
i元素を混入して、一層硬度の高い保護膜としたアイロ
ンとするものである。
【0020】本発明の第六の手段は、ベースを構成する
基材を炭化水素気体を含むプラズマ雰囲気中に曝露し、
この表面にプラズマ中のイオンやラジカルを利用して炭
素もしくは炭素を主成分とする薄膜を形成するようにし
て、熱伝導性がよく、対摩耗性が高く、また導電性の高
い保護膜を有するアイロンの製造方法とするものであ
る。
【0021】本発明の第七の手段は、成膜初期にArガ
スやKrガスなどの不活性ガスを導入するようにして、
特に保護膜の密着性の高いアイロンの製造方法とするも
のである。
【0022】本発明の第八の手段は、ベースを構成する
基材を、少なくとも炭化水素気体とSi元素を含む気体
との混合気体からなるプラズマ雰囲気中に曝露し、この
表面にプラズマ中のイオンやラジカルを利用してSi元
素を含む炭素もしくは炭素を主成分とする薄膜を形成す
るようにして、一層硬度の高い保護膜を有するアイロン
の製造方法とするものである。
【0023】本発明の第九の手段は、ベースを構成する
基材を炭化水素気体を含むプラズマ雰囲気中に曝露し、
この表面にプラズマ中のイオンやラジカルを利用して炭
素もしくは炭素を主成分とする薄膜を形成した後、この
炭素もしくは炭素を主成分とする薄膜の表面を弗素元素
を含むプラズマ雰囲気中に曝して弗化処理するようにし
て、表面の非粘着性を高めたアイロンの製造方法とする
ものである。
【0024】
【実施例】
(実施例1)以下本発明の実施例について説明する。図
1は、本実施例のアイロンのベースの構成を示してい
る。アイロンのベースの基材1(以下単に基材1と称す
る)の表面には、保護膜2を形成している。
【0025】保護膜2は、図2に示す装置によって形成
している。真空槽10には原料ガスをイオン化するイオ
ン銃11と基材1とをセットしている。基材1には負の
バイアス電圧を、イオン銃11の表面には正の電圧を印
加している。イオン銃11内に導入する原料ガスは、本
実施例ではC66を使用している。この原料ガスはフィ
ラメント12から放出される熱電子によってプラズマ化
され、プラズマ中のイオンは基材1に印加されたバイア
ス電圧によって加速され、基材1に衝突することになる
ものである。こうして基材1の表面には炭素もしくは炭
素を主成分とする保護膜2が形成される。保護膜2の硬
度は、基材1に印加するバイアス電圧を制御することに
よって調整することができる。つまり、基材1を炭化水
素気体を含むプラズマ雰囲気中に曝露しておいて、この
表面にプラズマ中のイオンやラジカルを利用して炭素も
しくは炭素を主成分とする保護膜2を形成するようにし
ているものである。なお本装置は、容量結合型の平行平
板電極型プラズマCVD装置を使用したが、これに限る
ものではない。
【0026】以下本実施例の動作について説明する。本
実施例で基材1の表面に付着させた膜は炭素もしくは炭
素を主成分とするものであり、DLC(Diamond Like Ca
rbon)膜となっている。DLC膜はアモルファス(非晶
質)でありながら、ダイヤモンド結合を含むために硬く
て対摩耗特性に優れている。
【0027】すなわちダイヤモンドはあらゆる物質の中
で最も硬く、またアイロンの実使用温度範囲内では熱的
に非常に安定しており、物性が変化することはないもの
である。このDLC膜は、ダイヤモンド結合(以下SP
3結合と称する)とグラファイト結合(以下SP2結合と
称する)とが混在した構造であり、SP3結合が多いほ
ど特性はダイヤモンドに近くなるものである。しかし通
常の環境下ではSP2結合の方が安定であるため、プラ
ズマ中の炭素原子をSP3結合とするためには何らかの
エネルギーが必要となるものである。そこで本実施例で
は、保護膜2の構成時にイオンの衝突エネルギーをSP
3結合の形成に利用して、硬質なDLC膜を形成してい
るものである。この結果、衣服のアイロン掛け時に保護
膜が摩耗したり、ボタンやファスナーで損傷を受けるこ
ともないものである。
【0028】また熱伝導率も非常に大きく、アルミニウ
ム合金ダイカストの9〜24倍に達している。すなわち
ダイヤモンドは、もともとあらゆる物質の中で最大の熱
伝導率を有し、構造I型では900W/m・K(at 300K)、また
構造II型では1350〜2310W/m・K(at 300K)となってい
る。従ってヒータ部の熱が速やかに衣類へ伝わり、ヒー
タの熱損失を極めて小さくできる。
【0029】また電気抵抗率は、106Ω・cm以下であ
り、従来使用しているフッ素コーティング膜の抵抗率1
18Ω・cmと比べて12桁小さいものである。つまり導
電性を有しているものであり、フッ素コーティングでは
避けることのできなかった静電気による衣類のまとわり
つきをなくしたアイロンを実現できるものである。
【0030】以下本実施例によって基材1上に成膜した
DLC膜の性能を、従来のフッ素コーティング膜と比較
した結果について報告する。この結果を(表1)に示し
ている。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかであるように本実施例のD
LC膜は、熱伝導率についてはフッ素コーティング膜の
4000倍、アルミニウム合金の約10倍となっている。ま
た摩擦係数はフッ素コーティング膜の1/2倍、静電気の
発生はほとんど生じないものとなっている。
【0033】以上のように本実施例のアイロンは、従来
のフッ素コーティングを使用したアイロンが有している
課題を解消するもので、熱伝導性の良い、対摩耗性の高
い、静電気の発生のないのである。特にコードレスアイ
ロンとして使用した場合には、連続アイロンがけ時間を
延長できるものであり、非常に大きな効果を有してい
る。
【0034】(実施例2)続いて本発明の第二の実施例
について説明する。実施例1で説明したDLC膜は、硬
いほど基材1に対する保護効果を有しているものであ
る。しかし硬くなるにつれて膜の内部応力が高まり、基
材1からの剥がれが発生しやすくなるという欠点を有し
ている。そこで本実施例では、図3に示しているように
DLC膜を第一の薄膜2aと第二の薄膜2bとから構成
している。また基材1側に配置している第一の薄膜2a
のビッカース硬度は50HB以下に、第二の薄膜2bの
ビッカース硬度は80HB以上に調整している。
【0035】以下本実施例のDLC膜の形成方法につい
て説明する。ビッカース硬度を50HB以下とした軟質
で内部応力が小さい薄膜2aの形成方法は二通りある。
【0036】一つは図2に示している基材1に印加する
バイアス電圧を大きくする方法である。バイアス電圧が
−0.7kVのときには最も硬いDLC膜が形成され
る。さらにバイアスを大きくしていくと硬度は低下して
いく。ビッカース硬度を50H B以下に調整するために
は、実験の結果、バイアス電圧を−1.0kV〜−0.
5kV程度が適当である。
【0037】第二には、成膜時にArガスやKrガス等
の不活性ガスを混入する方法である。例えば、CH4
スを原料として30%(体積比率)のArガスを混入し
た場合には、バイアス電圧を−0.5kV程度とした場
合と同等の効果を認められるものである。こうして軟質
の第一の薄膜2aを形成し、この上から硬質の第二の薄
膜2bを形成する。
【0038】以上のような構成とすることによって、基
材1からの剥がれが発生し難く、しかも表面の硬度の高
い保護膜2を備えたアイロンを実現できるものである。
【0039】(実施例3)基材1が樹脂等の絶縁材料で
構成されている場合には、基材1の表面に直接DLC膜
を形成することは困難である。そこで本実施例では図4
に示しているように、基材1の表面にスパッタリング法
によって導電性膜3を形成し、この上に前記実施例で説
明したDLC膜で構成した保護膜2を形成するようにし
ているものである。なお導電性膜3は、本実施例では膜
厚20nmのSi膜としている。この導電性膜3は、D
LC成膜時に基材1に適切なバイアス電圧を印加する必
要があるため、抵抗が小さい方が望ましく、比抵抗が1
3Ωcm以下でなければならない。比抵抗がこれより
大きくなるとバイアス電圧が十分供給されず、DLCの
膜質が変化してしまうものである。なお導電性膜3とし
て本実施例ではSi膜を使用したが、周期律表の第IV
属の元素もしくはその炭化物を主成分とするものであっ
ても同様の効果を有するものである。なお基材1を構成
する絶縁材料は、ビッカース硬度が50HBより大きい
ことが必要である。
【0040】以下本実施例のアイロンベースの製造方法
について説明する。ベースを構成する基材1を、図2に
示している真空槽10にセットし、イオン銃11内に炭
化水素気体とSi元素を含む気体としてテトラメチルシ
ラン((CH34Si)ガスを供給するものである。こ
の原料ガスはフィラメント12から放出される熱電子に
よってプラズマ化され、プラズマ中のイオンは基材1に
印加されたバイアス電圧によって加速され、基材1に衝
突することになるものである。こうして基材1の表面に
はSi元素を含む導電性膜3が形成される。導電性膜3
を形成した後、実施例1で説明したように原料ガスとし
てC66ガスを使用して、同様に前記導電性膜3の表面
に炭素もしくは炭素を主成分とする保護膜2を形成する
ものである。
【0041】以上の構成のサンプルを鉛筆硬度試験によ
って被膜の強度を測定した結果3H以上を得ることがで
き、基材1が樹脂等の絶縁材料であっても保護膜2の付
着力は非常に高いものである。
【0042】以上のように本実施例によれば、基材1が
樹脂等の絶縁材料であっても、一旦基材1の表面に導電
性膜3を形成しこの上に保護膜2を形成することによっ
て、保護膜2の付着力の非常に高いアイロンを実現でき
るものである。
【0043】(実施例4)次に本発明の第四の実施例に
ついて説明する。本実施例は、DLC膜で形成した保護
膜2の最表面を弗化処理して(化1)に示す分子構造と
したものである。
【0044】
【化1】
【0045】この弗素処理は、図2に示している装置に
原料ガスとしてC48ガスを使用し、高周波電力により
プラズマ化し、このプラズマにDLC膜の形成を終わっ
た基材1を曝すことで行った。なお原料ガスは弗素元素
を含むものであればC48ガスに限るものではない。
【0046】以上のように、DLC膜の表面を弗素処理
したアイロンとすることによって、衣類に対する動摩擦
係数がさらに小さくなり、アイロン掛けの操作性の良い
アイロンを実現するものである。
【0047】(実施例5)次に本発明の第五の実施例に
ついて説明する。本実施例では、前記図1・図3・図4
あるいは図5に示した保護膜2を形成する場合に、1〜
20%のSi元素を含ませているものである。つまり、
図2に示している装置に原料ガスとしてSi元素を含む
炭化水素ガスを使用して、保護膜2を形成するものであ
る。
【0048】こうしてDLC膜にSi元素を含有するこ
とによって、DLC膜と基材1との密着性が一段と向上
するものである。また、Si元素を含有することによっ
てDLC膜の比抵抗が106Ωcm以下となり、一層低
抵抗となって静電気が発生しにくくくなるものである。
このSi元素の含有量は1〜20%が望ましく、1%未
満では含有の効果が少なくDLC膜が基材1から剥離す
る。また20%を越えると、硬度が低下して耐摩耗性が
悪くなるものである。
【0049】以上のように本実施例によれば、保護膜2
の密着性・導電性・硬度をより高めたアイロンを実現す
るものである。
【0050】
【発明の効果】本発明の第一の手段は、金属材料で構成
したベースに炭素もしくは炭素を主成分とする保護膜を
備えた構成として、熱伝導性が高く、強度が高くて耐磨
耗性に優れ、静電気の発生のないアイロンを実現するも
のである。
【0051】本発明の第二の手段は、特に保護膜を第一
の薄膜と第二の薄膜とから構成し、第一の薄膜のビッカ
ース硬度は50HB以下に第二の薄膜のビッカース硬度
は80HB以上とし、基材側を第一の薄膜とした構成と
して、特に基材と保護膜との密着性の高いアイロンを実
現するものである。
【0052】本発明の第三の手段は、絶縁材料で構成し
たベースに、導電性膜を介して炭素もしくは炭素を主成
分とする保護膜を備えた構成として、特にベースの材質
が絶縁材料である場合に基材と保護膜との密着性の高い
アイロンを実現するものである。
【0053】また本発明の第四の手段は、特に保護膜の
表面を弗化処理した構成として、表面の非粘着性を高め
たアイロンを実現するものである。
【0054】本発明の第五の手段は、保護膜中に1〜2
0%のSi元素を含む構成として、保護膜の硬度を高め
たアイロンを実現するものである。
【0055】また本発明の第六の手段は、ベースを構成
する基材を炭化水素気体を含むプラズマ雰囲気中に曝露
し、この表面にプラズマ中のイオンやラジカルを利用し
て炭素もしくは炭素を主成分とする薄膜を形成するよう
にして、熱伝導性が高く、強度が高くて耐磨耗性に優
れ、静電気の発生のないアイロンの製造方法を実現する
ものである。
【0056】本発明の第七の手段は、特に成膜初期にA
rガスやKrガスなどの不活性ガスを導入するようにし
て、特に基材と保護膜との密着性の高いアイロンの製造
方法を実現するものである。
【0057】本発明の第八の手段は、ベースを構成する
基材を、少なくとも炭化水素気体とSi元素を含む気体
との混合気体からなるプラズマ雰囲気中に曝露し、この
表面にプラズマ中のイオンやラジカルを利用してSi元
素を含む炭素もしくは炭素を主成分とする薄膜を形成す
るようにして、保護膜の硬度を高めたアイロンの製造方
法を実現するものである。
【0058】また本発明の第九の手段は、ベースを構成
する基材を炭化水素気体を含むプラズマ雰囲気中に曝露
し、この表面にプラズマ中のイオンやラジカルを利用し
て炭素もしくは炭素を主成分とする薄膜を形成した後、
この炭素もしくは炭素を主成分とする薄膜の表面を弗素
元素を含むプラズマ雰囲気中に曝して弗化処理するよう
にして、表面の非粘着性を高めたアイロンの製造方法を
実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアイロンに使用しているベースの第一
の実施例を示す断面図
【図2】同、ベースの製造に用いる成膜装置を示す説明
【図3】同、第二の実施例であるベースを示す断面図
【図4】同、第三の実施例であるベースを示す断面図
【符号の説明】
1 基材 2 保護膜 2a 第一の薄膜 2b 第二の薄膜 3 導電性膜
フロントページの続き (72)発明者 柴田 恒雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料で構成したベースに炭素もしく
    は炭素を主成分とする保護膜を備えたアイロン。
  2. 【請求項2】 保護膜を第一の薄膜と第二の薄膜とから
    構成し、第一の薄膜のビッカース硬度は50HB以下に
    第二の薄膜のビッカース硬度は80HB以上とし、基材
    側を第一の薄膜とした請求項1記載のアイロン。
  3. 【請求項3】 絶縁材料で構成したベースに、導電性膜
    を介して炭素もしくは炭素を主成分とする保護膜を備え
    たアイロン。
  4. 【請求項4】 保護膜の表面を弗化処理した請求項1か
    ら3のいずれか1項に記載したアイロン。
  5. 【請求項5】 保護膜中に1〜20%のSi元素を含む
    請求項1から4のいずれか1項に記載したアイロン。
  6. 【請求項6】 ベースを構成する基材を炭化水素気体を
    含むプラズマ雰囲気中に曝露し、この表面にプラズマ中
    のイオンやラジカルを利用して炭素もしくは炭素を主成
    分とする薄膜を形成するアイロンの製造方法。
  7. 【請求項7】 成膜初期にArガスやKrガスなどの不
    活性ガスを導入する請求項6記載のアイロンの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 ベースを構成する基材を、少なくとも炭
    化水素気体とSi元素を含む気体との混合気体からなる
    プラズマ雰囲気中に曝露し、この表面にプラズマ中のイ
    オンやラジカルを利用してSi元素を含む炭素もしくは
    炭素を主成分とする薄膜を形成するアイロンの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 ベースを構成する基材を炭化水素気体を
    含むプラズマ雰囲気中に曝露し、この表面にプラズマ中
    のイオンやラジカルを利用して炭素もしくは炭素を主成
    分とする薄膜を形成した後、この炭素もしくは炭素を主
    成分とする薄膜の表面を弗素元素を含むプラズマ雰囲気
    中に曝して弗化処理するアイロンの製造方法。
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