JPH08328405A - 加熱定着装置およびその製造方法 - Google Patents
加熱定着装置およびその製造方法Info
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- JPH08328405A JPH08328405A JP13380795A JP13380795A JPH08328405A JP H08328405 A JPH08328405 A JP H08328405A JP 13380795 A JP13380795 A JP 13380795A JP 13380795 A JP13380795 A JP 13380795A JP H08328405 A JPH08328405 A JP H08328405A
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- Japan
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- heat
- fixing device
- heater
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 少なくとも(1)基板上に形成された発熱抵
抗体層と、これを覆う絶縁保護層とからなるヒーター、
(2)ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フィル
ム、および(3)耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動さ
せる加圧ローラーからなり、被定着物が耐熱フィルムと
ローラー間に挟み込まれて耐熱フィルムとともに移動す
る間に加熱定着される画像形成装置用加熱定着装置にお
いて、ヒーターの発熱抵抗体層が導電性を有するカーボ
ン膜からなり、前記絶縁保護層が高絶縁抵抗を有するカ
ーボン膜であることを特徴とする加熱定着装置。 【効果】 加熱定着装置の性能が長期にわたって安定に
保たれる。
抗体層と、これを覆う絶縁保護層とからなるヒーター、
(2)ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フィル
ム、および(3)耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動さ
せる加圧ローラーからなり、被定着物が耐熱フィルムと
ローラー間に挟み込まれて耐熱フィルムとともに移動す
る間に加熱定着される画像形成装置用加熱定着装置にお
いて、ヒーターの発熱抵抗体層が導電性を有するカーボ
ン膜からなり、前記絶縁保護層が高絶縁抵抗を有するカ
ーボン膜であることを特徴とする加熱定着装置。 【効果】 加熱定着装置の性能が長期にわたって安定に
保たれる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザービー
ムプリンタ等の画像形成装置に用いられる熱定着装置に
関し、特に未定着画像の加熱定着に用いられるヒーター
に関するものである。
ムプリンタ等の画像形成装置に用いられる熱定着装置に
関し、特に未定着画像の加熱定着に用いられるヒーター
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複写機、レーザービームプリンタ等の画
像形成装置用の未定着画像の加熱定着装置として、特開
昭63−313182号公報等で固定ヒーターと、この
ヒーターと摺動する薄膜フィルムを用いた加熱装置が提
案されている。
像形成装置用の未定着画像の加熱定着装置として、特開
昭63−313182号公報等で固定ヒーターと、この
ヒーターと摺動する薄膜フィルムを用いた加熱装置が提
案されている。
【0003】このようなヒーターの模式図を図11、図
12に示す。ヒーター101は、電気絶縁性・耐熱性・
低熱容量の細長い基板102と、この基板102の一方
面側(表面側)の基板幅方向中央部に基板長手に沿って
直線細帯状に形成した通電発熱体103と、この通電発
熱抵抗体の両端部にそれぞれ導通させて基板面に形成し
た電極端子(接続端子)104および105と、基板1
02の通電発熱抵抗体形成面を被覆させたヒーター表面
保護層としてのガラス等の電気絶縁性保護層106と、
基板102の他方面側(背面側)に設けたサーミスター
等の温度検出素子107を有する。基板102は、例え
ば、幅10mm・厚さ1mm・長さ240mmのAl2
O3 ,AlN,SiC等のセラミック板等である。通電
発熱抵抗体103は、例えば、厚さ10μm・幅1mm
の、スクリーン印刷等で塗工したAg/Pd(銀パラジ
ウム合金)、RuO2 ,Ta2 N等を大気焼成して形成
したパターン層である。電極端子(接続端子)104お
よび105は、通常厚さ10μmのスクリーン印刷等で
塗工したAgを大気焼成して形成したパターン層であ
り、この端子104および105に通常は、コネクター
(不図示)を介して電線を接続し給電する。
12に示す。ヒーター101は、電気絶縁性・耐熱性・
低熱容量の細長い基板102と、この基板102の一方
面側(表面側)の基板幅方向中央部に基板長手に沿って
直線細帯状に形成した通電発熱体103と、この通電発
熱抵抗体の両端部にそれぞれ導通させて基板面に形成し
た電極端子(接続端子)104および105と、基板1
02の通電発熱抵抗体形成面を被覆させたヒーター表面
保護層としてのガラス等の電気絶縁性保護層106と、
基板102の他方面側(背面側)に設けたサーミスター
等の温度検出素子107を有する。基板102は、例え
ば、幅10mm・厚さ1mm・長さ240mmのAl2
O3 ,AlN,SiC等のセラミック板等である。通電
発熱抵抗体103は、例えば、厚さ10μm・幅1mm
の、スクリーン印刷等で塗工したAg/Pd(銀パラジ
ウム合金)、RuO2 ,Ta2 N等を大気焼成して形成
したパターン層である。電極端子(接続端子)104お
よび105は、通常厚さ10μmのスクリーン印刷等で
塗工したAgを大気焼成して形成したパターン層であ
り、この端子104および105に通常は、コネクター
(不図示)を介して電線を接続し給電する。
【0004】ヒーター101は定着面の温度を管理・制
御するために装置の横断面おいて、通電発熱抵抗体10
3を定着ニップ部115(合接ニップ部、加圧部)の幅
領域のほぼ中央部に位置させる構造となっている。ヒー
ター101の絶縁保護層106側が薄膜フィルム接触摺
動面側である。ヒーター101は通電発熱抵抗体103
の両端電極端子104および105間に交流電源112
より電圧が印加され、この通電発熱抵抗体103が発熱
することにより昇温する。
御するために装置の横断面おいて、通電発熱抵抗体10
3を定着ニップ部115(合接ニップ部、加圧部)の幅
領域のほぼ中央部に位置させる構造となっている。ヒー
ター101の絶縁保護層106側が薄膜フィルム接触摺
動面側である。ヒーター101は通電発熱抵抗体103
の両端電極端子104および105間に交流電源112
より電圧が印加され、この通電発熱抵抗体103が発熱
することにより昇温する。
【0005】ヒーター101の温度は、基板背面の温度
検出素子107で検出されて、その検出情報が通電制御
回路113へフィードバックされて、交流電源112か
ら通電発熱抵抗体103への通電が制御され、ヒーター
101が所定の温度に温度制御される。ヒーター101
の温度検出素子107は熱応答性の最も良い定着面、つ
まりヒーター基板表面側の通電発熱抵抗体103の形成
位置に対応する基板背面側部分位置(通電発熱抵抗体1
03の直下に対応する基板背面側部分位置)に配設され
る。
検出素子107で検出されて、その検出情報が通電制御
回路113へフィードバックされて、交流電源112か
ら通電発熱抵抗体103への通電が制御され、ヒーター
101が所定の温度に温度制御される。ヒーター101
の温度検出素子107は熱応答性の最も良い定着面、つ
まりヒーター基板表面側の通電発熱抵抗体103の形成
位置に対応する基板背面側部分位置(通電発熱抵抗体1
03の直下に対応する基板背面側部分位置)に配設され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】未定着画像を定着する
ためには、ヒーター上の絶縁性保護層ならびに薄膜フィ
ルム接触摺動面を介してヒーターの熱を伝熱させて熱定
着する。しかしながら、絶縁性保護層と薄膜フィルムと
の接触摺動時の摩耗により、接触摺動距離が約60km
に達すると、薄膜フィルムの摩耗が激しくなってくる。
このとき生じる摩耗粉が薄膜フィルムを駆動するローラ
ーに不均一に付着することから、薄膜フィルムの駆動速
度が不規則となり、結果として未定着画像の定着が不均
一になるという問題が発生する。絶縁性保護層に用いら
れるガラス質層は、低軟化点ガラスを印刷、焼成するこ
とにより形成される。このガラス質層とフィルムの表面
形状差(摩擦係数)、硬度差により、薄膜フィルムの摩
耗が生じるものと考えられる。そこで、ポリイミド等の
耐熱性フィルムの摩耗を防ぐために、ポリイミド・フィ
ルムにフィラーを混入したり、テフロンコーティング等
を施して絶縁保護層との摩擦係数を小さくしているが、
十分な効果が得られていない。
ためには、ヒーター上の絶縁性保護層ならびに薄膜フィ
ルム接触摺動面を介してヒーターの熱を伝熱させて熱定
着する。しかしながら、絶縁性保護層と薄膜フィルムと
の接触摺動時の摩耗により、接触摺動距離が約60km
に達すると、薄膜フィルムの摩耗が激しくなってくる。
このとき生じる摩耗粉が薄膜フィルムを駆動するローラ
ーに不均一に付着することから、薄膜フィルムの駆動速
度が不規則となり、結果として未定着画像の定着が不均
一になるという問題が発生する。絶縁性保護層に用いら
れるガラス質層は、低軟化点ガラスを印刷、焼成するこ
とにより形成される。このガラス質層とフィルムの表面
形状差(摩擦係数)、硬度差により、薄膜フィルムの摩
耗が生じるものと考えられる。そこで、ポリイミド等の
耐熱性フィルムの摩耗を防ぐために、ポリイミド・フィ
ルムにフィラーを混入したり、テフロンコーティング等
を施して絶縁保護層との摩擦係数を小さくしているが、
十分な効果が得られていない。
【0007】一方、絶縁保護層上にポリイミド・フィル
ムと摺動特性を改善する目的から潤滑保護膜としてダイ
ヤモンド状炭素膜や水素化アモルファスカーボン膜、硬
質炭素膜等のカーボン膜を形成することによって前述の
問題を解決できることが見出された。しかしながら、こ
れらのカーボン膜はカーボン・イオンビームを用いて形
成するため、絶縁保護層上に形成すると、電荷が蓄積さ
れ厚膜化できなかったり成膜レートが低下するという問
題があった。
ムと摺動特性を改善する目的から潤滑保護膜としてダイ
ヤモンド状炭素膜や水素化アモルファスカーボン膜、硬
質炭素膜等のカーボン膜を形成することによって前述の
問題を解決できることが見出された。しかしながら、こ
れらのカーボン膜はカーボン・イオンビームを用いて形
成するため、絶縁保護層上に形成すると、電荷が蓄積さ
れ厚膜化できなかったり成膜レートが低下するという問
題があった。
【0008】また、ヒーターの発熱抵抗体は高温安定性
や耐薬品性に優れていることが必要である。しかしなが
ら、スクリーン印刷等で塗工したAg/Pd(銀パラジ
ウム合金)抵抗体は、同様に形成されるガラス等の電気
絶縁性保護層の形成に際し、焼成時に絶縁保護層中に拡
散し、絶縁性を低下させるという問題があった。さら
に、発熱抵抗体層の形成プロセス(スクリーン印刷)は
膜厚制御に制約があるため、発熱抵抗層を薄くすること
が困難であるだけでなく、その膜質も不安定であった。
や耐薬品性に優れていることが必要である。しかしなが
ら、スクリーン印刷等で塗工したAg/Pd(銀パラジ
ウム合金)抵抗体は、同様に形成されるガラス等の電気
絶縁性保護層の形成に際し、焼成時に絶縁保護層中に拡
散し、絶縁性を低下させるという問題があった。さら
に、発熱抵抗体層の形成プロセス(スクリーン印刷)は
膜厚制御に制約があるため、発熱抵抗層を薄くすること
が困難であるだけでなく、その膜質も不安定であった。
【0009】このように、現状では熱定着方式による定
着のより高速化と定着ボリュームの増大に対処すること
は困難であり、ヒーターの寿命(接触摺動距離)をでき
るだけ長くすることが必要とされている。
着のより高速化と定着ボリュームの増大に対処すること
は困難であり、ヒーターの寿命(接触摺動距離)をでき
るだけ長くすることが必要とされている。
【0010】この発明の目的は上述の問題点を解決し、
性能が安定し、寿命の長いヒーターを提供することであ
る。
性能が安定し、寿命の長いヒーターを提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、画像形成装
置で使用される加熱定着装置であって、少なくとも ヒーター基板と、その基板上に形成された発熱抵抗体
層と、その発熱抵抗層を覆う絶縁保護層とからなるヒー
ター、 前記ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フィル
ム、および 前記耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動させる加圧ロ
ーラとからなり、被定着物が前記耐熱フィルムと加圧ロ
ーラー間に挟み込まれて耐熱フィルムと共に移動する間
に加熱定着される加熱定着装置において、(1)ヒータ
ーの発熱抵抗体として導電性の、具体例として体積抵抗
率が10 -3Ω・cmより小さいアモルファスの炭素膜を
用い、この発熱抵抗体の絶縁と潤滑を目的として保護層
として高絶縁抵抗、具体例として106 Ω・cmより大
きい体積抵抗率を有する炭素膜を用いることおよび/ま
たは(2)ヒーターの絶縁保護層上にカーボンの中性粒
子もしくは負イオンを用いてカーボン膜を形成すること
により上記問題点を解決したものである。
置で使用される加熱定着装置であって、少なくとも ヒーター基板と、その基板上に形成された発熱抵抗体
層と、その発熱抵抗層を覆う絶縁保護層とからなるヒー
ター、 前記ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フィル
ム、および 前記耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動させる加圧ロ
ーラとからなり、被定着物が前記耐熱フィルムと加圧ロ
ーラー間に挟み込まれて耐熱フィルムと共に移動する間
に加熱定着される加熱定着装置において、(1)ヒータ
ーの発熱抵抗体として導電性の、具体例として体積抵抗
率が10 -3Ω・cmより小さいアモルファスの炭素膜を
用い、この発熱抵抗体の絶縁と潤滑を目的として保護層
として高絶縁抵抗、具体例として106 Ω・cmより大
きい体積抵抗率を有する炭素膜を用いることおよび/ま
たは(2)ヒーターの絶縁保護層上にカーボンの中性粒
子もしくは負イオンを用いてカーボン膜を形成すること
により上記問題点を解決したものである。
【0012】以下、まず(1)に関して詳細に説明す
る。本発明に係る絶縁層を形成する炭素膜は、a−C:
H膜、DLC膜または硬質炭素膜である。これらの膜
は、熱伝導率が200〜600W/m・K、電気抵抗
(体積抵抗率)106 〜1011Ω・cm、硬度2000
〜5000kg/mm2 、摩擦係数が0.2より小さい
等に代表される物理的性質を有するものである。
る。本発明に係る絶縁層を形成する炭素膜は、a−C:
H膜、DLC膜または硬質炭素膜である。これらの膜
は、熱伝導率が200〜600W/m・K、電気抵抗
(体積抵抗率)106 〜1011Ω・cm、硬度2000
〜5000kg/mm2 、摩擦係数が0.2より小さい
等に代表される物理的性質を有するものである。
【0013】ここで用いるa−C:H膜、DCL膜また
は硬質炭素膜は、マイクロ波プラズマCVD法、直流プ
ラズマCVD法、高周波プラズマCVD法、有磁場マイ
クロ波プラズマCVD法、イオンビーム・スパッタ法、
イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、反応性
プラズマ・スパッタ法、イオン注入法、レーザープラズ
マCVD法等により形成される。このとき用いる原料炭
素源は、含炭素ガスまたは液であるメタン、エタン、プ
ロパン、エチレン、ベンゼン、アセチレン等の炭化水
素;塩化メチレン、四塩化炭素、クルロホルム、トリク
ロルエタン等のハロゲン化炭化水素;メチルアルコー
ル、エチルアルコール等のアルコール類;(CH3 )2
CO,(C6 H5 )2 CO等のケトン類;CO,CO2
等のガス、およびこれらのガスにN2 ,H2 ,O2 ,H
2 O,Ar等のガスを混合したものが挙げられる。固体
炭素源としては、高純度のグラファイトやガラス状炭素
等を用いることができる。
は硬質炭素膜は、マイクロ波プラズマCVD法、直流プ
ラズマCVD法、高周波プラズマCVD法、有磁場マイ
クロ波プラズマCVD法、イオンビーム・スパッタ法、
イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、反応性
プラズマ・スパッタ法、イオン注入法、レーザープラズ
マCVD法等により形成される。このとき用いる原料炭
素源は、含炭素ガスまたは液であるメタン、エタン、プ
ロパン、エチレン、ベンゼン、アセチレン等の炭化水
素;塩化メチレン、四塩化炭素、クルロホルム、トリク
ロルエタン等のハロゲン化炭化水素;メチルアルコー
ル、エチルアルコール等のアルコール類;(CH3 )2
CO,(C6 H5 )2 CO等のケトン類;CO,CO2
等のガス、およびこれらのガスにN2 ,H2 ,O2 ,H
2 O,Ar等のガスを混合したものが挙げられる。固体
炭素源としては、高純度のグラファイトやガラス状炭素
等を用いることができる。
【0014】a−C:H膜あるいはDLC膜は、膜中に
水素を数10原子%含有しており、この水素の含有量に
よって膜の性質は大きく異なる。例えば、水素を50原
子%以上含む膜は、光学バンドギャップが大きく透明で
電気抵抗が高いものの、膜硬度が低く熱伝導率の低いポ
リマーライクな膜である。一方、水素を10〜45原子
%含む膜は、ビッカース硬度で2000〜5000kg
/mm2 と非常に硬く、電気抵抗が108 Ωcmより大
きく、熱伝導率が200W/m・Kより大きく、摩擦係
数が0.2より小さい、高熱伝導率と高絶縁性、高硬度
を兼ね備えた膜である。これらの性質は、膜中に40〜
70%存在するsp3 結合に由来しているものと考えら
れる。したがって、本発明の絶縁保護層として用いられ
るのは、水素含有量が10〜45原子%であるa−C:
H膜やDLC膜である。a−C:H膜とDLC膜を明確
に区別することは難しい。いずれの膜も巨視的にはアモ
ルファスで、膜中に水素を含有し、sp2 結合とsp3
結合炭素からなり、その物理的性質も前述の通り類似し
ている。本発明で言うDLC膜は、微視的に見たときダ
イヤモンドの結晶構造、例えば電子線回折によりダイヤ
モンドと特定される回折パターンを有しているものであ
る。硬質炭素膜は、巨視的にはアモルファスで、膜中に
水素を含有しないか、含有するとしても1原子%以下で
あり、sp3結合をもつ密度が2.0g/cm3 以上の
硬質な炭素膜である。
水素を数10原子%含有しており、この水素の含有量に
よって膜の性質は大きく異なる。例えば、水素を50原
子%以上含む膜は、光学バンドギャップが大きく透明で
電気抵抗が高いものの、膜硬度が低く熱伝導率の低いポ
リマーライクな膜である。一方、水素を10〜45原子
%含む膜は、ビッカース硬度で2000〜5000kg
/mm2 と非常に硬く、電気抵抗が108 Ωcmより大
きく、熱伝導率が200W/m・Kより大きく、摩擦係
数が0.2より小さい、高熱伝導率と高絶縁性、高硬度
を兼ね備えた膜である。これらの性質は、膜中に40〜
70%存在するsp3 結合に由来しているものと考えら
れる。したがって、本発明の絶縁保護層として用いられ
るのは、水素含有量が10〜45原子%であるa−C:
H膜やDLC膜である。a−C:H膜とDLC膜を明確
に区別することは難しい。いずれの膜も巨視的にはアモ
ルファスで、膜中に水素を含有し、sp2 結合とsp3
結合炭素からなり、その物理的性質も前述の通り類似し
ている。本発明で言うDLC膜は、微視的に見たときダ
イヤモンドの結晶構造、例えば電子線回折によりダイヤ
モンドと特定される回折パターンを有しているものであ
る。硬質炭素膜は、巨視的にはアモルファスで、膜中に
水素を含有しないか、含有するとしても1原子%以下で
あり、sp3結合をもつ密度が2.0g/cm3 以上の
硬質な炭素膜である。
【0015】一方、発熱抵抗体層の炭素膜は、前述のa
−C:H膜、DLC膜または硬質炭素膜に金属元素を含
有したもので、その含有率によって体積抵抗率を制御し
ている。ヒーターの発熱抵抗体として要求される電気抵
抗は数Ω〜数10Ωである。例えば、数Ωの抵抗を1μ
m厚の発熱抵抗体層によって得るためには、10-5Ω・
cmオーダーの体積抵抗率を持つ炭素膜を形成すればよ
い。炭素膜に含有する金属としては、周期律表のIVa
(Ti,Zr,Hf),Va(V,Nb,Ta),VIa
(Cr,Mo,W),VIII(Fe,Ru,Os,Co,
Rh,Ir,Ni,Pd,Pt),Ib(Cu,Ag,
Au),IIb(Zn),III b(Al,Ga,In)等
が挙げられる。これら金属元素を炭素膜に添加する方法
としては、これらの元素からなる固体金属もしくは有機
金属ガス、金属塩化物のガスを成膜時に原料ガスに添加
したり、蒸発,スパッタリング、あるいはイオン注入す
ることにより実現することができる。膜中への添加量
は、原料ガスや固体炭素源との混合比によって、イオン
注入の場合には注入量によって制御する。図10はa−
C:H膜にTaを添加したa−C:H(Ta)膜におけ
るTa添加量と体積抵抗率の関係を示したものである。
この図から、この材料を用いて10-5Ω・cmオーダー
の体積抵抗率を有する発熱抵抗体層を1μm形成するた
めには、Taの添加量を90原子%以上にすればよいこ
とがわかる。
−C:H膜、DLC膜または硬質炭素膜に金属元素を含
有したもので、その含有率によって体積抵抗率を制御し
ている。ヒーターの発熱抵抗体として要求される電気抵
抗は数Ω〜数10Ωである。例えば、数Ωの抵抗を1μ
m厚の発熱抵抗体層によって得るためには、10-5Ω・
cmオーダーの体積抵抗率を持つ炭素膜を形成すればよ
い。炭素膜に含有する金属としては、周期律表のIVa
(Ti,Zr,Hf),Va(V,Nb,Ta),VIa
(Cr,Mo,W),VIII(Fe,Ru,Os,Co,
Rh,Ir,Ni,Pd,Pt),Ib(Cu,Ag,
Au),IIb(Zn),III b(Al,Ga,In)等
が挙げられる。これら金属元素を炭素膜に添加する方法
としては、これらの元素からなる固体金属もしくは有機
金属ガス、金属塩化物のガスを成膜時に原料ガスに添加
したり、蒸発,スパッタリング、あるいはイオン注入す
ることにより実現することができる。膜中への添加量
は、原料ガスや固体炭素源との混合比によって、イオン
注入の場合には注入量によって制御する。図10はa−
C:H膜にTaを添加したa−C:H(Ta)膜におけ
るTa添加量と体積抵抗率の関係を示したものである。
この図から、この材料を用いて10-5Ω・cmオーダー
の体積抵抗率を有する発熱抵抗体層を1μm形成するた
めには、Taの添加量を90原子%以上にすればよいこ
とがわかる。
【0016】金属元素をa−C:H膜、DLC膜に添加
する方法について、DCマグネトロン・スパッタリング
法を例に説明する。添加する金属元素をターゲットとし
(例えばTa)を、反応ガスとして含炭素ガス(例えば
C2 H2 )、スパッタリングガスとして不活性ガス(例
えばAr等の希ガスあるいは窒素ガス)を適当な割合で
混合して反応性スパッタリングを行う。このとき、DC
電源より数100W〜数kWのパワーを投入してDCプ
ラズマを形成し、基板に適当なバイアス電圧を印加す
る。反応ガスとスパッタリングガスの流量比を変えるこ
とにより添加元素の濃度を制御する。スパッタリングガ
ス流量を多くすることにより添加元素の濃度を高くする
ことができる。
する方法について、DCマグネトロン・スパッタリング
法を例に説明する。添加する金属元素をターゲットとし
(例えばTa)を、反応ガスとして含炭素ガス(例えば
C2 H2 )、スパッタリングガスとして不活性ガス(例
えばAr等の希ガスあるいは窒素ガス)を適当な割合で
混合して反応性スパッタリングを行う。このとき、DC
電源より数100W〜数kWのパワーを投入してDCプ
ラズマを形成し、基板に適当なバイアス電圧を印加す
る。反応ガスとスパッタリングガスの流量比を変えるこ
とにより添加元素の濃度を制御する。スパッタリングガ
ス流量を多くすることにより添加元素の濃度を高くする
ことができる。
【0017】また、添加する金属元素としては前述のも
の以外に、アルカリ金属、アルカリ土類、稀土類金属等
を用いることもできる。
の以外に、アルカリ金属、アルカリ土類、稀土類金属等
を用いることもできる。
【0018】ヒーターの発熱抵抗体層の厚さは、数10
0nm〜数10μmの範囲であればよく、特に数100
nm〜数μmが好適である。膜厚が数100nmより薄
いときには、耐電流性に問題があり、数10μmを超え
る場合には基板との密着性の低下に伴う剥離が生じた
り、あるいは厚膜形成に要する製造時間が長くなった
り、発熱抵抗体層上に形成する絶縁保護層の厚さも厚く
なる等の問題がある。一方、発熱抵抗体層上に設ける絶
縁保護層は、発熱抵抗体層の膜厚の2〜10倍程度であ
れば十分である。膜厚が薄い場合には、発熱抵抗体層に
対するステップカバレージが不十分で絶縁性能が得られ
ず、厚い場合には膜応力により膜が基板から剥離し易い
からである。
0nm〜数10μmの範囲であればよく、特に数100
nm〜数μmが好適である。膜厚が数100nmより薄
いときには、耐電流性に問題があり、数10μmを超え
る場合には基板との密着性の低下に伴う剥離が生じた
り、あるいは厚膜形成に要する製造時間が長くなった
り、発熱抵抗体層上に形成する絶縁保護層の厚さも厚く
なる等の問題がある。一方、発熱抵抗体層上に設ける絶
縁保護層は、発熱抵抗体層の膜厚の2〜10倍程度であ
れば十分である。膜厚が薄い場合には、発熱抵抗体層に
対するステップカバレージが不十分で絶縁性能が得られ
ず、厚い場合には膜応力により膜が基板から剥離し易い
からである。
【0019】なお、発熱抵抗体層と絶縁保護層とがとも
に炭素膜から構成されるために、抵抗体層と絶縁保護層
の密着性は良好である。また、製造プロセスとしても発
熱抵抗体層と絶縁保護層を連続して形成できる。特に、
膜厚方向に金属の添加量を制御することにより発熱抵抗
体層から絶縁保護層にかけて組成を自由に制御できる
(例えば傾斜組成とすることが可能である)。さらに、
セラミックス基板に形成される発熱抵抗体層は、炭素膜
中に金属を含有しているため金属を含有しない炭素膜に
比べ基板との密着性に優れている。
に炭素膜から構成されるために、抵抗体層と絶縁保護層
の密着性は良好である。また、製造プロセスとしても発
熱抵抗体層と絶縁保護層を連続して形成できる。特に、
膜厚方向に金属の添加量を制御することにより発熱抵抗
体層から絶縁保護層にかけて組成を自由に制御できる
(例えば傾斜組成とすることが可能である)。さらに、
セラミックス基板に形成される発熱抵抗体層は、炭素膜
中に金属を含有しているため金属を含有しない炭素膜に
比べ基板との密着性に優れている。
【0020】本発明は、耐熱フィルムと接触摺動するヒ
ーターの発熱抵抗体層を気相合成法により金属元素を添
加したa−C:H膜、DLC膜または硬質炭素膜とし、
発熱抵抗体層の絶縁と潤滑保護をかねて絶縁性の高いa
−C:H膜、DLC膜または硬質炭素膜を絶縁保護層と
して形成することにより、ヒーターと耐熱フィルム間の
耐摩耗性と摺動性を改善し、耐熱性、化学的安定性に優
れた長寿命のヒーターを実現するものである。
ーターの発熱抵抗体層を気相合成法により金属元素を添
加したa−C:H膜、DLC膜または硬質炭素膜とし、
発熱抵抗体層の絶縁と潤滑保護をかねて絶縁性の高いa
−C:H膜、DLC膜または硬質炭素膜を絶縁保護層と
して形成することにより、ヒーターと耐熱フィルム間の
耐摩耗性と摺動性を改善し、耐熱性、化学的安定性に優
れた長寿命のヒーターを実現するものである。
【0021】次に(2)に関して詳細に説明する。本発
明に係るカーボン膜は、熱伝導率が200〜600W/
m・K、電気抵抗(体積抵抗率)108 〜1011Ωc
m、硬度2000〜5000kg/mm2 、摩擦係数が
0.2より小さい等に代表される物理的性質を有するも
のである。
明に係るカーボン膜は、熱伝導率が200〜600W/
m・K、電気抵抗(体積抵抗率)108 〜1011Ωc
m、硬度2000〜5000kg/mm2 、摩擦係数が
0.2より小さい等に代表される物理的性質を有するも
のである。
【0022】ヒーターの絶縁保護層上に高硬度、低摩擦
係数のカーボン膜(水素化アモルファス炭素膜、DLC
膜、硬質炭素膜)を形成することにより、従来問題であ
ったトライボロジー的問題を解決することができる。し
かしながら、これらの炭素膜は通常、カーボンイオンを
用いて形成するため、ガラス質の絶縁保護層に対しては
電荷が蓄積され、膜を厚く形成できなかったり、成膜レ
ートが小さかったり、あるいは形成できても膜の応力に
より十分な密着性が得られず、耐摩耗性に劣っていた。
それゆえ、耐摩耗性を向上させるために膜厚を厚くする
必要が生じるが、前述の理由により厚膜化することが困
難であった。
係数のカーボン膜(水素化アモルファス炭素膜、DLC
膜、硬質炭素膜)を形成することにより、従来問題であ
ったトライボロジー的問題を解決することができる。し
かしながら、これらの炭素膜は通常、カーボンイオンを
用いて形成するため、ガラス質の絶縁保護層に対しては
電荷が蓄積され、膜を厚く形成できなかったり、成膜レ
ートが小さかったり、あるいは形成できても膜の応力に
より十分な密着性が得られず、耐摩耗性に劣っていた。
それゆえ、耐摩耗性を向上させるために膜厚を厚くする
必要が生じるが、前述の理由により厚膜化することが困
難であった。
【0023】この問題を解決するため鋭意検討した結
果、以下の手段により炭素膜の密着性を向上させ、厚膜
化に対応できることを見いだした。すなわち、炭素膜の
形成にカーボンイオンを用いず、カーボンイオンと同等
のエネルギーを有するカーボンの中性粒子、もしくは負
イオンを用いるものである。
果、以下の手段により炭素膜の密着性を向上させ、厚膜
化に対応できることを見いだした。すなわち、炭素膜の
形成にカーボンイオンを用いず、カーボンイオンと同等
のエネルギーを有するカーボンの中性粒子、もしくは負
イオンを用いるものである。
【0024】イオンを成膜に用いるのは、イオンの輸送
が運動量とエネルギーの移動だけでなく、ある元素とそ
の質量を対象物まで輸送することが可能で、しかも特定
の元素を選択し、そのエネルギー、方向等を制御するこ
とが可能なためである。しかしながら、対象物に電荷を
持ち込むことになるため、対象物が絶縁物の場合にはチ
ャージアップやダメージ等の問題がある。一方、中性粒
子の場合には、イオンのもつ基本的特徴に加えて、対象
物が絶縁体であっても問題を生じないだけでなく、磁場
や電場の外乱による影響を受けないこと、イオンの輸送
で問題となる空間電荷の問題がないので非常に大きな密
度の粒子輸送が可能であること、ビーム指向性がよいこ
と、機械的・熱的な原子、分子の移動が可能であること
等の特徴を有する。特に、成膜という物質創生の観点か
ら数10eV〜数keVのエネルギー領域の中性粒子が
効果的である。一方、負イオンでは、電荷は負で、電離
に係るエネルギーは1eV程度の電子親和力であり、イ
オンから中性に戻るときにエネルギーを吸収(吸熱)す
る。負イオンを絶縁物に注入した場合、絶縁物の表面電
位は数Vと非常に低く保たれるため、正イオンのように
電荷が蓄積し表面電位がイオンの加速電圧程度まで上昇
することがない。また、内部ポテンシャルエネルギーの
影響をほとんど無視でき、イオンの運動エネルギーの効
果だけを純粋に利用することができる。なお、正イオン
を絶縁物に適用すると前述したように、基板の表面電位
はイオンの加速電圧程度まで正の高電位に上昇する。従
来実施されてきた、電子シャワー法やプラズマ法による
外部から電子を供給することによって、電気的に正電荷
の蓄積した基板表面を中和させる電荷補償による帯電緩
和には、マクロな中和は行えるもののミクロな中和には
適していないのである。
が運動量とエネルギーの移動だけでなく、ある元素とそ
の質量を対象物まで輸送することが可能で、しかも特定
の元素を選択し、そのエネルギー、方向等を制御するこ
とが可能なためである。しかしながら、対象物に電荷を
持ち込むことになるため、対象物が絶縁物の場合にはチ
ャージアップやダメージ等の問題がある。一方、中性粒
子の場合には、イオンのもつ基本的特徴に加えて、対象
物が絶縁体であっても問題を生じないだけでなく、磁場
や電場の外乱による影響を受けないこと、イオンの輸送
で問題となる空間電荷の問題がないので非常に大きな密
度の粒子輸送が可能であること、ビーム指向性がよいこ
と、機械的・熱的な原子、分子の移動が可能であること
等の特徴を有する。特に、成膜という物質創生の観点か
ら数10eV〜数keVのエネルギー領域の中性粒子が
効果的である。一方、負イオンでは、電荷は負で、電離
に係るエネルギーは1eV程度の電子親和力であり、イ
オンから中性に戻るときにエネルギーを吸収(吸熱)す
る。負イオンを絶縁物に注入した場合、絶縁物の表面電
位は数Vと非常に低く保たれるため、正イオンのように
電荷が蓄積し表面電位がイオンの加速電圧程度まで上昇
することがない。また、内部ポテンシャルエネルギーの
影響をほとんど無視でき、イオンの運動エネルギーの効
果だけを純粋に利用することができる。なお、正イオン
を絶縁物に適用すると前述したように、基板の表面電位
はイオンの加速電圧程度まで正の高電位に上昇する。従
来実施されてきた、電子シャワー法やプラズマ法による
外部から電子を供給することによって、電気的に正電荷
の蓄積した基板表面を中和させる電荷補償による帯電緩
和には、マクロな中和は行えるもののミクロな中和には
適していないのである。
【0025】本発明で用いるカーボンの中性粒子は、マ
イクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD法、高
周波プラズマCVD法、有磁場マイクロ波プラズマCV
D法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等
によりカーボンイオンを形成した後、荷電変換すること
により中性粒子化するものである。すなわち、プラズマ
中から数10eV〜数keVのエネルギーをもったカー
ボンイオンを引き出し、これを電子を与えるドナー物質
中に通過させることにより中性粒子あるいは負イオンに
荷電変換させるものである。あるいは、J.Isikawa, Y.T
akeiri and T.Takagi:Rev. Sci. Insutrum., 57, 1512
(1986)等に開示されるスパッタリングを用いた二次負イ
オン放出の原理に基づきカーボン負イオンを形成する。
このとき用いる原料は炭素を含有するガスまたはガス化
し易い液体でメタン、エタン、プロパン、エチレン、ベ
ンゼン、アセチレン等の炭化水素;塩化メチレン、四塩
化炭素、クロロホルム、トリクロルエタン等のハロゲン
化炭化水素;メチルアルコール、エチルアルコール等の
アルコール類;(CH3 )2 CO,(C6 H5 )2CO
等のケトン類;Co,CO2 等のガスであり、これらの
ガス(ガス化物)にN2 ,H2 ,O2 ,H2O, Ar等
のガスを混合したのも使用できる。荷電変換を行うため
のドナー物質としては、生成イオンと同種の中性ガス
(前述の原料のガス)、あるいは電離電圧の低いアルカ
リ金属やアルカリ土類金属のガスが挙げられる。特に後
者は、荷電変換の効率を高くすることが可能である。負
イオン生成の場合の固体炭素源としては、高純度のグラ
ファイトやガラス状炭素等を用い、表面の仕事関数を小
さくし負イオン生成率を上げる目的からアルカリ金属や
アルカリ土類金属を併用する。なお、炭素膜中には原料
ガスやドナー物質のガス成分が30原子%以下であれば
含有されても構わない。本発明の炭素膜は、真空中や乾
燥窒素雰囲気中ではμ(摩擦係数)が0.02以下と非
常に低いのに対し、相対湿度は高くなるにしたがい摩擦
係数が大きくなる傾向を示す。通常状態における摩擦係
数はμ<0.2であるが、相対湿度の高い状態や接触摺
動距離が長くなるにしたがい、摩擦係数の劣化を生じ
る。これに対し、炭素膜中に水素やフッ素、あるいはア
ルカリ金属、アルカリ土類金属が微量含まれると、摩擦
係数が湿度や接触摺動距離に影響されない炭素膜を得る
ことができる。これらの元素の膜中濃度は、30原子%
以下が好適である。濃度が30原子%を超えると炭素膜
本来の有する性質が低下する。特に、膜高度の低下が顕
著であり、基板との密着性も低下するため適さない。こ
れらの元素を含有する炭素膜の摩擦係数が、環境(特に
湿度)や使用状況(接触摺動距離)に因らず一定である
理由は不明であるが、炭素膜の表面に存在するダングリ
ングボンドがこれらの元素でターミネートされることに
より、表面エネルギーが減少して環境や使用状況に対し
て安定な膜になっているものと推測される。
イクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD法、高
周波プラズマCVD法、有磁場マイクロ波プラズマCV
D法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等
によりカーボンイオンを形成した後、荷電変換すること
により中性粒子化するものである。すなわち、プラズマ
中から数10eV〜数keVのエネルギーをもったカー
ボンイオンを引き出し、これを電子を与えるドナー物質
中に通過させることにより中性粒子あるいは負イオンに
荷電変換させるものである。あるいは、J.Isikawa, Y.T
akeiri and T.Takagi:Rev. Sci. Insutrum., 57, 1512
(1986)等に開示されるスパッタリングを用いた二次負イ
オン放出の原理に基づきカーボン負イオンを形成する。
このとき用いる原料は炭素を含有するガスまたはガス化
し易い液体でメタン、エタン、プロパン、エチレン、ベ
ンゼン、アセチレン等の炭化水素;塩化メチレン、四塩
化炭素、クロロホルム、トリクロルエタン等のハロゲン
化炭化水素;メチルアルコール、エチルアルコール等の
アルコール類;(CH3 )2 CO,(C6 H5 )2CO
等のケトン類;Co,CO2 等のガスであり、これらの
ガス(ガス化物)にN2 ,H2 ,O2 ,H2O, Ar等
のガスを混合したのも使用できる。荷電変換を行うため
のドナー物質としては、生成イオンと同種の中性ガス
(前述の原料のガス)、あるいは電離電圧の低いアルカ
リ金属やアルカリ土類金属のガスが挙げられる。特に後
者は、荷電変換の効率を高くすることが可能である。負
イオン生成の場合の固体炭素源としては、高純度のグラ
ファイトやガラス状炭素等を用い、表面の仕事関数を小
さくし負イオン生成率を上げる目的からアルカリ金属や
アルカリ土類金属を併用する。なお、炭素膜中には原料
ガスやドナー物質のガス成分が30原子%以下であれば
含有されても構わない。本発明の炭素膜は、真空中や乾
燥窒素雰囲気中ではμ(摩擦係数)が0.02以下と非
常に低いのに対し、相対湿度は高くなるにしたがい摩擦
係数が大きくなる傾向を示す。通常状態における摩擦係
数はμ<0.2であるが、相対湿度の高い状態や接触摺
動距離が長くなるにしたがい、摩擦係数の劣化を生じ
る。これに対し、炭素膜中に水素やフッ素、あるいはア
ルカリ金属、アルカリ土類金属が微量含まれると、摩擦
係数が湿度や接触摺動距離に影響されない炭素膜を得る
ことができる。これらの元素の膜中濃度は、30原子%
以下が好適である。濃度が30原子%を超えると炭素膜
本来の有する性質が低下する。特に、膜高度の低下が顕
著であり、基板との密着性も低下するため適さない。こ
れらの元素を含有する炭素膜の摩擦係数が、環境(特に
湿度)や使用状況(接触摺動距離)に因らず一定である
理由は不明であるが、炭素膜の表面に存在するダングリ
ングボンドがこれらの元素でターミネートされることに
より、表面エネルギーが減少して環境や使用状況に対し
て安定な膜になっているものと推測される。
【0026】炭素膜はヒーターの絶縁保護層上だけに形
成するのではなく、発熱抵抗体上、耐熱フィルム上、あ
るいはヒーターホルダー上に前述の形成方法により形成
してもよい。炭素膜の厚さは、絶縁保護層上あるいは発
熱抵抗体上に設ける場合には、数nm〜数10μmの範
囲であればよく、特に数10nm〜数μmが好適であ
る。これは、膜厚が数nmより薄いときには、十分な潤
滑性能や絶縁性能が得られず、数10μmよりも厚いと
きには膜応力により膜が基板から剥離し易いからであ
る。なお、発熱抵抗体上にの直接形成する場合には、十
分な絶縁性が確保できるよう(所望の電気抵抗となるよ
う)にする必要がある。一方、耐熱フィルム上に形成す
る場合には、数nm〜数100nmの膜厚が好適であ
る。膜厚が数nmより薄い場合には十分は潤滑性能が得
られず、数100nmよりも厚い場合には、膜応力によ
り膜が耐熱フィルムから剥離したり、耐熱フィルムがカ
ールしてしまうためである。なお、前述の好適な膜厚範
囲で膜を形成し場合でも、耐熱フィルムがカールすると
きには耐熱フィルムの両面に膜を形成すればよい。な
お、本発明の潤滑保護膜を、耐熱フィルムと接触摺動す
るヒーターやヒーターホルダー部に形成するとともに、
ヒーターと接触摺動する耐熱フィルムを形成することに
より、ヒーター、耐熱フィルム間の接触摺動特性をより
向上させることができる。
成するのではなく、発熱抵抗体上、耐熱フィルム上、あ
るいはヒーターホルダー上に前述の形成方法により形成
してもよい。炭素膜の厚さは、絶縁保護層上あるいは発
熱抵抗体上に設ける場合には、数nm〜数10μmの範
囲であればよく、特に数10nm〜数μmが好適であ
る。これは、膜厚が数nmより薄いときには、十分な潤
滑性能や絶縁性能が得られず、数10μmよりも厚いと
きには膜応力により膜が基板から剥離し易いからであ
る。なお、発熱抵抗体上にの直接形成する場合には、十
分な絶縁性が確保できるよう(所望の電気抵抗となるよ
う)にする必要がある。一方、耐熱フィルム上に形成す
る場合には、数nm〜数100nmの膜厚が好適であ
る。膜厚が数nmより薄い場合には十分は潤滑性能が得
られず、数100nmよりも厚い場合には、膜応力によ
り膜が耐熱フィルムから剥離したり、耐熱フィルムがカ
ールしてしまうためである。なお、前述の好適な膜厚範
囲で膜を形成し場合でも、耐熱フィルムがカールすると
きには耐熱フィルムの両面に膜を形成すればよい。な
お、本発明の潤滑保護膜を、耐熱フィルムと接触摺動す
るヒーターやヒーターホルダー部に形成するとともに、
ヒーターと接触摺動する耐熱フィルムを形成することに
より、ヒーター、耐熱フィルム間の接触摺動特性をより
向上させることができる。
【0027】本発明は、耐熱フィルムと接触摺動するヒ
ーターの絶縁保護層上に、カーボンの中性粒子や負イオ
ンを用いて密着性の良好な炭素膜を潤滑保護層として形
成することにより、ヒーターと耐熱フィルム間の耐摩耗
性を摺動性を改善し、長寿命のヒーターを実現するもの
である。
ーターの絶縁保護層上に、カーボンの中性粒子や負イオ
ンを用いて密着性の良好な炭素膜を潤滑保護層として形
成することにより、ヒーターと耐熱フィルム間の耐摩耗
性を摺動性を改善し、長寿命のヒーターを実現するもの
である。
【0028】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の具体的実
施例を説明する。 実施例1 図1は、この実施例のヒーターを用いた加熱定着装置の
部分拡大断面図である。ヒーター1は、断熱性のヒータ
ーホルダー8を介してヒーターの支持面(裏面断熱層)
9に固定支持されている。10は、例えば厚さ40μm
程度のポリイミド等のエンドレスベルト状、あるいは長
尺ウェブ状の耐熱性フィルム、11はこのフィリルムを
ヒーター1に対して押圧する加圧部材としての回転加圧
ローラーである。耐熱フィルム10は、不図示の駆動部
材によりあるいは加圧ローラー11の回転力により、所
定の速度で矢印の方向にヒーターホルダー8のエッジ部
に接触しながら、ヒーター1面に密着した状態でヒータ
ー1面に摺動しながら回転あるいは走行移動する。ヒー
ター1の通電発熱抵抗体3に対する通電によりヒーター
1を所定温度に昇温させる。ヒーターの温度はセラミッ
ク基板2の、通電抵抗体3が形成されている面とは反対
の面(裏面)に設けられ温度測定素子7により検出さ
れ、その情報は不図示の通電制御回路へフィードバック
され、通電抵抗体3への通電が制御され、所定の値に保
たれる。耐熱フィルム10を移動駆動させた状態で定着
ニップ部15に被加熱材として記録材16を、未定着ト
ナー画像面を耐熱フィルム10面側にして導入すること
により、記録材16が耐熱フィルム10面に密着してこ
のフィルムとともに定着ニップ部15を移動通過し、そ
の移動通過過程でヒーター1から耐熱フィルム10を介
して記録材16に熱エネルギーが付与されて記録材16
上の未定着トナー画像17が加熱溶融定着される。
施例を説明する。 実施例1 図1は、この実施例のヒーターを用いた加熱定着装置の
部分拡大断面図である。ヒーター1は、断熱性のヒータ
ーホルダー8を介してヒーターの支持面(裏面断熱層)
9に固定支持されている。10は、例えば厚さ40μm
程度のポリイミド等のエンドレスベルト状、あるいは長
尺ウェブ状の耐熱性フィルム、11はこのフィリルムを
ヒーター1に対して押圧する加圧部材としての回転加圧
ローラーである。耐熱フィルム10は、不図示の駆動部
材によりあるいは加圧ローラー11の回転力により、所
定の速度で矢印の方向にヒーターホルダー8のエッジ部
に接触しながら、ヒーター1面に密着した状態でヒータ
ー1面に摺動しながら回転あるいは走行移動する。ヒー
ター1の通電発熱抵抗体3に対する通電によりヒーター
1を所定温度に昇温させる。ヒーターの温度はセラミッ
ク基板2の、通電抵抗体3が形成されている面とは反対
の面(裏面)に設けられ温度測定素子7により検出さ
れ、その情報は不図示の通電制御回路へフィードバック
され、通電抵抗体3への通電が制御され、所定の値に保
たれる。耐熱フィルム10を移動駆動させた状態で定着
ニップ部15に被加熱材として記録材16を、未定着ト
ナー画像面を耐熱フィルム10面側にして導入すること
により、記録材16が耐熱フィルム10面に密着してこ
のフィルムとともに定着ニップ部15を移動通過し、そ
の移動通過過程でヒーター1から耐熱フィルム10を介
して記録材16に熱エネルギーが付与されて記録材16
上の未定着トナー画像17が加熱溶融定着される。
【0029】図2は、図1のヒーター部の断面模式図で
ある。図中1はヒーター、2はセラミックス基板、3は
金属元素を添加してDLC膜からなる発熱抵抗体、4,
5はCuからなる電極端子部、6はDLC膜、8はヒー
ターホルダ−、12は電極タブ、13はAuSiからな
るロウ材、14はワイヤーである。
ある。図中1はヒーター、2はセラミックス基板、3は
金属元素を添加してDLC膜からなる発熱抵抗体、4,
5はCuからなる電極端子部、6はDLC膜、8はヒー
ターホルダ−、12は電極タブ、13はAuSiからな
るロウ材、14はワイヤーである。
【0030】本実施例におけるヒーターは、まずAl2
O3 基板上にTaを添加したDLC膜を発熱抵抗体3と
なるようECRプラズマCVD法により1.5μm形成
した。図3は、DLC膜を形成するために用いたECR
プラズマCVD装置の模式図である。図中20は空洞共
振器タイプのプラズマ室、21はガス導入系、22はマ
イクロ波導入窓、23はマイクロ波導波管、24は電磁
石、25はマイクロ波発振器、26は基板、27は真空
槽、28は排気系、29は純度99.9%のTaターゲ
ットである。真空槽を1×10-7Torrまで排気した
後、ガス導入系よりC2 H2 :30sccm,H2 :1
5sccm,Ar:250sccmを導入し、ガス圧を
5.0×10-3Torrとした後、2.45GHzのマ
イクロ波を1.0kW投入してプラズマ室内にプラズマ
を生成した。このとき、電磁石により導入窓で1200
ガウス、空洞共振器出口のTaターゲット29で875
ガウスのECR条件とし、基板位置で550ガウスとな
るよう外部磁場を形成した。さらに、不図示のDC電源
により基板に−500Vの電圧を印加して、図2の3の
DLC(Ta)膜を形成した。同一条件で作製した膜の
Taの含有率をEPMAで分析した結果、膜中含有率は
91原子%であった。また、膜中の水素濃度をHFS
(Hydrogen Foward Scattering) 法で分析した結果、
2.7原子%であった。発熱抵抗体としての抵抗値を測
定したところ10Ωであった。
O3 基板上にTaを添加したDLC膜を発熱抵抗体3と
なるようECRプラズマCVD法により1.5μm形成
した。図3は、DLC膜を形成するために用いたECR
プラズマCVD装置の模式図である。図中20は空洞共
振器タイプのプラズマ室、21はガス導入系、22はマ
イクロ波導入窓、23はマイクロ波導波管、24は電磁
石、25はマイクロ波発振器、26は基板、27は真空
槽、28は排気系、29は純度99.9%のTaターゲ
ットである。真空槽を1×10-7Torrまで排気した
後、ガス導入系よりC2 H2 :30sccm,H2 :1
5sccm,Ar:250sccmを導入し、ガス圧を
5.0×10-3Torrとした後、2.45GHzのマ
イクロ波を1.0kW投入してプラズマ室内にプラズマ
を生成した。このとき、電磁石により導入窓で1200
ガウス、空洞共振器出口のTaターゲット29で875
ガウスのECR条件とし、基板位置で550ガウスとな
るよう外部磁場を形成した。さらに、不図示のDC電源
により基板に−500Vの電圧を印加して、図2の3の
DLC(Ta)膜を形成した。同一条件で作製した膜の
Taの含有率をEPMAで分析した結果、膜中含有率は
91原子%であった。また、膜中の水素濃度をHFS
(Hydrogen Foward Scattering) 法で分析した結果、
2.7原子%であった。発熱抵抗体としての抵抗値を測
定したところ10Ωであった。
【0031】発熱抵抗体の形成に引き続き、不図示の抵
抗体の形状に対応したパターンマスクの開口面積を拡大
し、不図示のシャッターによりTaターゲット面を遮蔽
した後、ガス導入系からC2 H2 :35sccm,H
2 :15sccmを導入し、ガス圧を2.0×10-3T
orrとした後、2.45GHzのマイクロ波を1.0
kW投入してプラズマ室内にプラズマを生成した。この
とき、電磁石により導入窓で1200ガウス、空洞共振
器出口で875ガウスのECR条件とし、基板位置で5
50ガウスとなるよう外部磁場を形成した。さらに、不
図示のDC電源により基板に−500Vの電圧を印加し
て、図2の6のDLC膜を3μm形成した。同一条件で
作製した膜をHFS法により水素濃度を分析したところ
水素含有量は25原子%であった。また、膜の硬度を薄
膜硬度計で測定した結果、ピッカース硬度換算で200
0kg/mm2 であった。ピン・オン・ディスク法によ
り摩擦特性を評価した。測定は相対湿度60%の空気中
で行い、ピンとして軸受け鋼(SUJ2)の球(直径5
mm)を用い加重2.2N、摺動速度0.04m/sで
行った結果、摩擦係数は0.06であった。次にCuペ
ーストをスクリーン印刷により塗工し、電極端子部4,
5を酸素分圧に注意しながら焼成、形成した。
抗体の形状に対応したパターンマスクの開口面積を拡大
し、不図示のシャッターによりTaターゲット面を遮蔽
した後、ガス導入系からC2 H2 :35sccm,H
2 :15sccmを導入し、ガス圧を2.0×10-3T
orrとした後、2.45GHzのマイクロ波を1.0
kW投入してプラズマ室内にプラズマを生成した。この
とき、電磁石により導入窓で1200ガウス、空洞共振
器出口で875ガウスのECR条件とし、基板位置で5
50ガウスとなるよう外部磁場を形成した。さらに、不
図示のDC電源により基板に−500Vの電圧を印加し
て、図2の6のDLC膜を3μm形成した。同一条件で
作製した膜をHFS法により水素濃度を分析したところ
水素含有量は25原子%であった。また、膜の硬度を薄
膜硬度計で測定した結果、ピッカース硬度換算で200
0kg/mm2 であった。ピン・オン・ディスク法によ
り摩擦特性を評価した。測定は相対湿度60%の空気中
で行い、ピンとして軸受け鋼(SUJ2)の球(直径5
mm)を用い加重2.2N、摺動速度0.04m/sで
行った結果、摩擦係数は0.06であった。次にCuペ
ーストをスクリーン印刷により塗工し、電極端子部4,
5を酸素分圧に注意しながら焼成、形成した。
【0032】次に、AuSiからなるロウ材13を用い
て銅合金からなる電極タブ12と、セラミックス基板2
とをロウ付けした。引き続き、電極タブ12にワイヤー
14を圧接しヒーター1をヒーターホルダー8に接着し
た。なお、ヒーター1の製作時に電極端子部4,5の表
面にAuをフラッシュメッキすることにより、ロウ付け
時のロウ材の濡れ性を向上させ、安定した接続信頼性を
得ることができた。電極タブ材料としては、銅合金のほ
かにコバール、42アロイ、リン青銅等の金属が使用で
きる。ロウ材は、融点250℃以上のものが好ましく、
AuSiのほかにAuGe,AuSu等を用いることが
できる。また、Cu電極端子部の表面にロウ付けまでの
表面酸化防止や汚染を防ぐため、Au,Ni,Au/N
iをフラッシュメッキ等で形成することにより、より安
定したロウ付けが実現できた。このとき、Ni層を形成
する理由は、ロウ材中にCuが過度に拡散することを防
ぐためである。
て銅合金からなる電極タブ12と、セラミックス基板2
とをロウ付けした。引き続き、電極タブ12にワイヤー
14を圧接しヒーター1をヒーターホルダー8に接着し
た。なお、ヒーター1の製作時に電極端子部4,5の表
面にAuをフラッシュメッキすることにより、ロウ付け
時のロウ材の濡れ性を向上させ、安定した接続信頼性を
得ることができた。電極タブ材料としては、銅合金のほ
かにコバール、42アロイ、リン青銅等の金属が使用で
きる。ロウ材は、融点250℃以上のものが好ましく、
AuSiのほかにAuGe,AuSu等を用いることが
できる。また、Cu電極端子部の表面にロウ付けまでの
表面酸化防止や汚染を防ぐため、Au,Ni,Au/N
iをフラッシュメッキ等で形成することにより、より安
定したロウ付けが実現できた。このとき、Ni層を形成
する理由は、ロウ材中にCuが過度に拡散することを防
ぐためである。
【0033】以上のようにして得られた加熱定着装置
は、ヒーターとフィルム間の摩擦、摺動に対してもフィ
ルムの摩耗粉の発生がなく、安定した摺動性能を長期間
保持することができた。 実施例2 実施例1と同様にしてAl2 O3 基板に金属元素を添加
したa−C:H膜を発熱抵抗体として形成した。図4
は、発熱抵抗体を形成したイオンビーム蒸着(IBD)
装置の模式図である。図中30は真空槽、31はイオン
ビーム源、32はイオン化室、33はガス導入系、34
はイオンビーム引き出し電極、35は基板、36は電子
銃、37は排気系である。真空槽を1×10-7Torr
まで排気した後、ガス導入系よりCH4 :15scc
m,H2 :35sccmを導入しガス圧を3.5×10
-4Torrとしてプラズマ室内にプラズマを生成した。
引き出し電極に0.7kVの電圧を印加して、イオンビ
ームを引き出し基板に照射した。このとき、電子銃36
を用いて添加する金属を同時に蒸着した。添加した金属
はW,Fe,Co,Ni,Cu,Alで発熱抵抗体層の
厚さをいずれも1μmとした。各金属の添加率は、それ
ぞれW:67原子%、Fe:80原子%、Co:70原
子%、Ni:72原子%、Cu:60原子%、Al:6
5原子%とした。この後、電子銃36による金属添加を
停止し、IBD法により絶縁保護層(潤滑絶縁保護層)
としてa−C:H膜を2.5μm形成した。この膜の水
素濃度、膜硬度、摩擦係数を実施例1と同様に評価した
ところ、水素濃度:35原子%、硬度:Hv=3000
kg/mm2 、摩擦係数:μ=0.11であった。引き
続き、実施例1と同様にして電極部等を形成して6種類
のヒーターを完成した。
は、ヒーターとフィルム間の摩擦、摺動に対してもフィ
ルムの摩耗粉の発生がなく、安定した摺動性能を長期間
保持することができた。 実施例2 実施例1と同様にしてAl2 O3 基板に金属元素を添加
したa−C:H膜を発熱抵抗体として形成した。図4
は、発熱抵抗体を形成したイオンビーム蒸着(IBD)
装置の模式図である。図中30は真空槽、31はイオン
ビーム源、32はイオン化室、33はガス導入系、34
はイオンビーム引き出し電極、35は基板、36は電子
銃、37は排気系である。真空槽を1×10-7Torr
まで排気した後、ガス導入系よりCH4 :15scc
m,H2 :35sccmを導入しガス圧を3.5×10
-4Torrとしてプラズマ室内にプラズマを生成した。
引き出し電極に0.7kVの電圧を印加して、イオンビ
ームを引き出し基板に照射した。このとき、電子銃36
を用いて添加する金属を同時に蒸着した。添加した金属
はW,Fe,Co,Ni,Cu,Alで発熱抵抗体層の
厚さをいずれも1μmとした。各金属の添加率は、それ
ぞれW:67原子%、Fe:80原子%、Co:70原
子%、Ni:72原子%、Cu:60原子%、Al:6
5原子%とした。この後、電子銃36による金属添加を
停止し、IBD法により絶縁保護層(潤滑絶縁保護層)
としてa−C:H膜を2.5μm形成した。この膜の水
素濃度、膜硬度、摩擦係数を実施例1と同様に評価した
ところ、水素濃度:35原子%、硬度:Hv=3000
kg/mm2 、摩擦係数:μ=0.11であった。引き
続き、実施例1と同様にして電極部等を形成して6種類
のヒーターを完成した。
【0034】以上のようにして得られた6種類のヒータ
ーを装着した加熱定着装置を用い、実施例1と同様に記
録材の熱定着を行った結果、いずれのヒーターにおいて
も実施例1と同様の安定した定着と耐久性が得られた。 実施例3 実施例1と同様にAl2 O3 基板に金属元素を添加した
硬質炭素膜を発熱抵抗体として形成した。図5に発熱抵
抗体を形成したDCマグネトロン・スパッタリング装置
の模式図を示す。図中40は真空槽、41は基板、42
はターゲット、43はガス導入系、44はDC電源、4
5は排気系である。ターゲットは純度99.9%のAu
を用いた。真空槽を1×10-7Torrまで排気した
後、ガス導入系よりC2 H2 とArを導入しC2 H2 :
10sccm,Ar:200sccm、ガス圧4.0×
10-3TorrとしてAu添加硬質炭素膜を2μm形成
した。このとき、基板温度を室温、放電パワー2kW、
基板ターゲット間距離を70mmとした。Auの添加率
は62原子%とした。次に、ターゲットを純度99.9
9%のグラファイトに交換し、ガス導入系因りArを導
入しガス圧を6.0×10-3Torrとした。基板温度
を室温、放電パワー100W、基板ターゲット間距離5
0mmとし、硬質炭素膜を5μm形成した。この硬質炭
素膜の水素含有率、膜硬度、摩擦係数を評価した結果、
水素濃度:0原子%、硬度:Hv=2000kg/mm
2 、摩擦係数:μ=0.15であった。なお、発熱抵抗
体と潤滑絶縁保護層の形成は連続して行った。引き続
き、実施例1と同様にして電極部等を形成してヒーター
を完成した。
ーを装着した加熱定着装置を用い、実施例1と同様に記
録材の熱定着を行った結果、いずれのヒーターにおいて
も実施例1と同様の安定した定着と耐久性が得られた。 実施例3 実施例1と同様にAl2 O3 基板に金属元素を添加した
硬質炭素膜を発熱抵抗体として形成した。図5に発熱抵
抗体を形成したDCマグネトロン・スパッタリング装置
の模式図を示す。図中40は真空槽、41は基板、42
はターゲット、43はガス導入系、44はDC電源、4
5は排気系である。ターゲットは純度99.9%のAu
を用いた。真空槽を1×10-7Torrまで排気した
後、ガス導入系よりC2 H2 とArを導入しC2 H2 :
10sccm,Ar:200sccm、ガス圧4.0×
10-3TorrとしてAu添加硬質炭素膜を2μm形成
した。このとき、基板温度を室温、放電パワー2kW、
基板ターゲット間距離を70mmとした。Auの添加率
は62原子%とした。次に、ターゲットを純度99.9
9%のグラファイトに交換し、ガス導入系因りArを導
入しガス圧を6.0×10-3Torrとした。基板温度
を室温、放電パワー100W、基板ターゲット間距離5
0mmとし、硬質炭素膜を5μm形成した。この硬質炭
素膜の水素含有率、膜硬度、摩擦係数を評価した結果、
水素濃度:0原子%、硬度:Hv=2000kg/mm
2 、摩擦係数:μ=0.15であった。なお、発熱抵抗
体と潤滑絶縁保護層の形成は連続して行った。引き続
き、実施例1と同様にして電極部等を形成してヒーター
を完成した。
【0035】以上のようにして得られたヒーターを装着
した加熱定着装置を用い、実施例1と同様に記録材の熱
定着を行った結果、実施例1と同様の安定した定着と耐
久性が得られた。 実施例4 図6は、この実施例のヒーターを用いた加熱定着装置の
部分拡大断面図である。(本実施例中の各図において実
施例1と同じ機能を有する部分の符号は同一とした。)
ヒーター1は、断熱性のヒーターホルダー8を介してヒ
ーター支持部9に固定支持されている。10は、例えば
厚さ40μm程度のポリイミド等エンドレスベルト状、
あるいは長尺ウェブ状の耐熱性フィルム、11はこのフ
ィルムをヒーター1に対して押圧する加圧部材としての
回転加圧ローラーである。耐熱フィルム10は、不図示
の駆動部材によりあるいは加圧ローラー11の回転力に
より、所定の速度で矢印の方向にヒーターホルダー8の
エッジ部に接触しながら、ヒーター1面に密着した状態
でヒーター1面を摺動しながら回転あるいは走行移動す
る。ヒーター1の通電発熱抵抗体3に対する通電により
ヒーター1を所定温度に昇温させる。ヒーター温度の調
整は、温度測定素子7を介して行われることは図1(実
施例1)の場合と同様である。耐熱フィルム10を移動
駆動させた状態で定着ニップ部15に被加熱材として記
録材16を未定着トナー画像面をフィルム10面側にし
て導入することにより、記録材16が耐熱フィルム10
面に密着してこのフィルムとともに定着ニップ部15を
移動通過し、その移動通過過程でヒーター1から耐熱フ
ィルム10を介して記録材16に熱エネルギーが付与さ
れて記録材16上に未定着トナー画像17が加熱溶融定
着される。
した加熱定着装置を用い、実施例1と同様に記録材の熱
定着を行った結果、実施例1と同様の安定した定着と耐
久性が得られた。 実施例4 図6は、この実施例のヒーターを用いた加熱定着装置の
部分拡大断面図である。(本実施例中の各図において実
施例1と同じ機能を有する部分の符号は同一とした。)
ヒーター1は、断熱性のヒーターホルダー8を介してヒ
ーター支持部9に固定支持されている。10は、例えば
厚さ40μm程度のポリイミド等エンドレスベルト状、
あるいは長尺ウェブ状の耐熱性フィルム、11はこのフ
ィルムをヒーター1に対して押圧する加圧部材としての
回転加圧ローラーである。耐熱フィルム10は、不図示
の駆動部材によりあるいは加圧ローラー11の回転力に
より、所定の速度で矢印の方向にヒーターホルダー8の
エッジ部に接触しながら、ヒーター1面に密着した状態
でヒーター1面を摺動しながら回転あるいは走行移動す
る。ヒーター1の通電発熱抵抗体3に対する通電により
ヒーター1を所定温度に昇温させる。ヒーター温度の調
整は、温度測定素子7を介して行われることは図1(実
施例1)の場合と同様である。耐熱フィルム10を移動
駆動させた状態で定着ニップ部15に被加熱材として記
録材16を未定着トナー画像面をフィルム10面側にし
て導入することにより、記録材16が耐熱フィルム10
面に密着してこのフィルムとともに定着ニップ部15を
移動通過し、その移動通過過程でヒーター1から耐熱フ
ィルム10を介して記録材16に熱エネルギーが付与さ
れて記録材16上に未定着トナー画像17が加熱溶融定
着される。
【0036】図7は、実施例4を示すヒーター部の断面
模式図である。図中1はヒーター、2はセラミックス基
板、3はAg/Pdからなる発熱抵抗体、4,5はCu
からなる電極端子部、6はガラス質の絶縁保護層、18
は炭素膜、8はヒーターホルダー、12は電極タブ、1
3はAuSiからなるロウ材、14はワイヤーである。
模式図である。図中1はヒーター、2はセラミックス基
板、3はAg/Pdからなる発熱抵抗体、4,5はCu
からなる電極端子部、6はガラス質の絶縁保護層、18
は炭素膜、8はヒーターホルダー、12は電極タブ、1
3はAuSiからなるロウ材、14はワイヤーである。
【0037】本実施例におけるヒーターは、まずAl2
O3 基板上にAg/Pdからなるペーストを発熱抵抗体
3となるようにスクリーン印刷により塗工し、大気焼成
した。抵抗値を測定した後、所望の抵抗値となるようト
リミングした。次に、Cuペーストをスクリーン印刷に
より塗工し、電極端子部4,5を酸素分圧に注意しなが
ら焼成、形成した。この後、絶縁性保護膜としてケイ酸
鉛系の低軟化点ガラスをスクリーン印刷により塗工し、
大気焼成して形成した。次に、絶縁保護膜上にカーボン
の中性粒子を用いて炭素膜を形成した。図8に、カーボ
ン中性粒子蒸着装置の模式図を示す。図中50は真空
槽、51はイオンビーム源、52はイオン化室、53は
ガス導入系、54はイオンビーム引き出し電極、55は
基体、56は排気系、57は差動排気系とドナーガス導
入系を備えた荷電変換器である。真空槽を1×10-7T
orrまで排気した後、ガス導入系よりAr:20sc
cmを導入しガス圧を2.5×10-4Torrした後、
引き出し電極に500Vの電圧を印加して、イオン電流
密度0.5mA/cm2 のArイオンビームを5分間照
射して表面をクリーニングした。次に、ガス供給系から
CH4 :10sccm,H2 :20sccmを導入し、
ガス圧を2.5×10-4Torrとしてプラズマ室内に
プラズマを生成した。引き出し電極に0.8kVの電圧
を印加してイオンビームを引き出し、2.0×10-4T
orrの分圧のセシウム蒸気を満たした荷電変換器を通
過させて中性粒子化した後、基板に照射して炭素膜を1
μm形成した。石英基板上に同様に形成した炭素膜をH
FS法により水素濃度を分析した結果、水素含有量は2
0原子%であった。炭素膜のRHEED像はハーローパ
ターンを示し、アモルファス構造であった。IR分光、
ラマン分光、NMR等により炭素の結合状態は、sp3
結合とsp2 結合からなるいわゆるダイヤモンド状炭素
であった。また、この膜の硬度を薄膜硬度計で測定した
結果、ビッカース硬度換算で2500kg/mm2 であ
った。ピン・オン・ディスク法により摩擦特性を評価し
た。測定は相対湿度50%の空気中で行い、ピンとして
軸受け鋼(SUJ2)の球(直径5mm)を用い加重
1.0N、摺動速度0.04m/sで行った結果、摩擦
係数は0.12であった。また、同一条件で20000
回摺動させたが膜の剥離や傷等の顕著な損傷は見られな
かった。
O3 基板上にAg/Pdからなるペーストを発熱抵抗体
3となるようにスクリーン印刷により塗工し、大気焼成
した。抵抗値を測定した後、所望の抵抗値となるようト
リミングした。次に、Cuペーストをスクリーン印刷に
より塗工し、電極端子部4,5を酸素分圧に注意しなが
ら焼成、形成した。この後、絶縁性保護膜としてケイ酸
鉛系の低軟化点ガラスをスクリーン印刷により塗工し、
大気焼成して形成した。次に、絶縁保護膜上にカーボン
の中性粒子を用いて炭素膜を形成した。図8に、カーボ
ン中性粒子蒸着装置の模式図を示す。図中50は真空
槽、51はイオンビーム源、52はイオン化室、53は
ガス導入系、54はイオンビーム引き出し電極、55は
基体、56は排気系、57は差動排気系とドナーガス導
入系を備えた荷電変換器である。真空槽を1×10-7T
orrまで排気した後、ガス導入系よりAr:20sc
cmを導入しガス圧を2.5×10-4Torrした後、
引き出し電極に500Vの電圧を印加して、イオン電流
密度0.5mA/cm2 のArイオンビームを5分間照
射して表面をクリーニングした。次に、ガス供給系から
CH4 :10sccm,H2 :20sccmを導入し、
ガス圧を2.5×10-4Torrとしてプラズマ室内に
プラズマを生成した。引き出し電極に0.8kVの電圧
を印加してイオンビームを引き出し、2.0×10-4T
orrの分圧のセシウム蒸気を満たした荷電変換器を通
過させて中性粒子化した後、基板に照射して炭素膜を1
μm形成した。石英基板上に同様に形成した炭素膜をH
FS法により水素濃度を分析した結果、水素含有量は2
0原子%であった。炭素膜のRHEED像はハーローパ
ターンを示し、アモルファス構造であった。IR分光、
ラマン分光、NMR等により炭素の結合状態は、sp3
結合とsp2 結合からなるいわゆるダイヤモンド状炭素
であった。また、この膜の硬度を薄膜硬度計で測定した
結果、ビッカース硬度換算で2500kg/mm2 であ
った。ピン・オン・ディスク法により摩擦特性を評価し
た。測定は相対湿度50%の空気中で行い、ピンとして
軸受け鋼(SUJ2)の球(直径5mm)を用い加重
1.0N、摺動速度0.04m/sで行った結果、摩擦
係数は0.12であった。また、同一条件で20000
回摺動させたが膜の剥離や傷等の顕著な損傷は見られな
かった。
【0038】次に、前述の図7で説明したように、Au
Siからなるロウ材13を用いて銅合金からなる電極タ
ブ12と、セラミックス基板2とをロウ付けした。引き
続き、電極タブ12にワイヤー14を圧接しヒーター1
をヒーターホルダー8に接着した。なお、ヒーター1の
製作時に電極端子部4,5の表面にAuをフラッシュメ
ッキすることにより、ロウ付け時のロウ材の濡れ性を向
上させ、安定した接続信頼性を得ることができた。電極
タブ材料としては、銅合金のほかにコバール、42アロ
イ、リン青銅等の金属が使用できる。ロウ材は、融点2
50℃以上のものが好ましく、AuSiのほかAuG
e,AuSu等を用いることができる。また、Cu電極
端子部の表面にロウ付けまでの表面酸化防止や汚染を防
ぐために、Au,Ni,Au/Niをフラッシュメッキ
等で形成することにより、より安定したロウ付けが実現
できた。このとき、Ni層を形成する理由は、ロウ材中
にCuが過度に拡散することを防ぐためである。
Siからなるロウ材13を用いて銅合金からなる電極タ
ブ12と、セラミックス基板2とをロウ付けした。引き
続き、電極タブ12にワイヤー14を圧接しヒーター1
をヒーターホルダー8に接着した。なお、ヒーター1の
製作時に電極端子部4,5の表面にAuをフラッシュメ
ッキすることにより、ロウ付け時のロウ材の濡れ性を向
上させ、安定した接続信頼性を得ることができた。電極
タブ材料としては、銅合金のほかにコバール、42アロ
イ、リン青銅等の金属が使用できる。ロウ材は、融点2
50℃以上のものが好ましく、AuSiのほかAuG
e,AuSu等を用いることができる。また、Cu電極
端子部の表面にロウ付けまでの表面酸化防止や汚染を防
ぐために、Au,Ni,Au/Niをフラッシュメッキ
等で形成することにより、より安定したロウ付けが実現
できた。このとき、Ni層を形成する理由は、ロウ材中
にCuが過度に拡散することを防ぐためである。
【0039】以上のようにして得られた加熱定着装置
は、ヒーターと耐熱フィルム間の摩擦、摺動に対しても
耐熱フィルムの摩耗粉の発生がなく、安定した摺動性能
を長期間保持することできた。 実施例5 実施例4と同様にして絶縁保護膜を形成した後、カーボ
ンの負イオンビームを用いて潤滑保護膜を形成した。図
9にRFプラズマ・スパッタ型負イオン源の模式図を示
す。図中81はRF電源、82はマッチング・ボック
ス、83はRFコイル、84はスパッタリング・ターゲ
ット、85は水冷パイプ、86はセシウムガス導入系、
87はスパッタリングガス導入系、88は永久磁石、8
9はアパーチャー、90は引き出し電極、91は負イオ
ンビームである。真空槽を1×10 -7Torrまで排気
した後、スパッタリングガス導入系よりXe:20sc
cmを導入し、ガス圧を3.0×10-4Torrとした
後、セシウムガス供給系よりセシウムを蒸発させたガス
をプラズマ生成室に導入する。13.56MHzのRF
電源81から高周波を500W投入してプラズマ室内に
RFプラズマを生成し、純度99.99%のグラファイ
トターゲットに負電位のバイアスを印加してスパッタリ
ングした。このときターゲット表面には、中性セシウム
粒子が表面からスパッタされるのに十分な量を供給し
た。スパッタリングされたカーボン負イオンを引き出し
電極90により、イオンエネルギー1.2keV、イオ
ン電流1mAで引き出して基板を照射して600nmの
炭素膜を形成した。同一条件で作製した炭素膜をHFS
方法により水素濃度を分析した結果、水素含有量は1原
子%以下であった。また、この膜の硬度を薄膜硬度計で
測定した結果、ビッカース硬度換算で2000kg/m
m2 であった。ピン・オン・ディスク法により摩擦特性
を評価した。測定は実施例4と同じ条件で行い、摩擦係
数の値は0.15であった。また、同一条件で2000
0回摺動させたが膜の剥離や傷等の顕著な損傷はみられ
なかった。この後、実施例4と同様にして電極端子部
に、電極タブ、ワイヤーを接続した後、ヒーターホルダ
ー部に接着してヒーターサンプルを完成した。
は、ヒーターと耐熱フィルム間の摩擦、摺動に対しても
耐熱フィルムの摩耗粉の発生がなく、安定した摺動性能
を長期間保持することできた。 実施例5 実施例4と同様にして絶縁保護膜を形成した後、カーボ
ンの負イオンビームを用いて潤滑保護膜を形成した。図
9にRFプラズマ・スパッタ型負イオン源の模式図を示
す。図中81はRF電源、82はマッチング・ボック
ス、83はRFコイル、84はスパッタリング・ターゲ
ット、85は水冷パイプ、86はセシウムガス導入系、
87はスパッタリングガス導入系、88は永久磁石、8
9はアパーチャー、90は引き出し電極、91は負イオ
ンビームである。真空槽を1×10 -7Torrまで排気
した後、スパッタリングガス導入系よりXe:20sc
cmを導入し、ガス圧を3.0×10-4Torrとした
後、セシウムガス供給系よりセシウムを蒸発させたガス
をプラズマ生成室に導入する。13.56MHzのRF
電源81から高周波を500W投入してプラズマ室内に
RFプラズマを生成し、純度99.99%のグラファイ
トターゲットに負電位のバイアスを印加してスパッタリ
ングした。このときターゲット表面には、中性セシウム
粒子が表面からスパッタされるのに十分な量を供給し
た。スパッタリングされたカーボン負イオンを引き出し
電極90により、イオンエネルギー1.2keV、イオ
ン電流1mAで引き出して基板を照射して600nmの
炭素膜を形成した。同一条件で作製した炭素膜をHFS
方法により水素濃度を分析した結果、水素含有量は1原
子%以下であった。また、この膜の硬度を薄膜硬度計で
測定した結果、ビッカース硬度換算で2000kg/m
m2 であった。ピン・オン・ディスク法により摩擦特性
を評価した。測定は実施例4と同じ条件で行い、摩擦係
数の値は0.15であった。また、同一条件で2000
0回摺動させたが膜の剥離や傷等の顕著な損傷はみられ
なかった。この後、実施例4と同様にして電極端子部
に、電極タブ、ワイヤーを接続した後、ヒーターホルダ
ー部に接着してヒーターサンプルを完成した。
【0040】以上のようにして得られたヒーターを装着
した加熱定着装置を用い、実施例4と同様に記録材の熱
定着を行った結果、実施例4と同様の安定した定着と耐
久性が得られた。 実施例6 荷電変換器に導入するガスをセシウムからC2 H2 /H
2 に変更した以外は、実施例4と同様にして炭素膜を
1.5μm形成した。イオンビーム形成の原料ガスとし
てガス供給系からCH4 :10sccm、H2 :20s
ccm、CF4 :5sccmを導入し、ガス圧を4.0
×10-4Torr、引き出し電圧1.5kVでカーボン
イオンビームを引き出し荷電変換器に導入した。荷電変
換器にドナーガスとしてC2 H2 :10sccm、H
2 :10sccmを導入し、ガス圧を2.5×10-4T
orrとしてイオンビームを通過させて中性粒子化し
た。同様に作製した炭素膜の硬度を薄膜硬度計で測定し
た結果、ビッカース硬度換算で2500kg/mm2 で
あった。ピン・オン・ディスク法により相対湿度45%
の空気中で、ピンとして軸受け鋼(SUJ2)の球(直
径5mm)を用い加重2N,摺動速度0.04m/sで
摩擦特性を評価した結果、摩擦係数は0.09であっ
た。さらに、HFS法により膜中の水素濃度を、RBS
(Rutherford Backscattering Spectrometry) で他の元
素濃度を分析したところ、水素濃度は20原子%、フッ
素濃度は8原子%であった。この後、実施例4と同様に
して電極端子部に、電極タブ、ワイヤーを接続した後、
ヒーターホルダー部に接着してヒーターを完成した。
した加熱定着装置を用い、実施例4と同様に記録材の熱
定着を行った結果、実施例4と同様の安定した定着と耐
久性が得られた。 実施例6 荷電変換器に導入するガスをセシウムからC2 H2 /H
2 に変更した以外は、実施例4と同様にして炭素膜を
1.5μm形成した。イオンビーム形成の原料ガスとし
てガス供給系からCH4 :10sccm、H2 :20s
ccm、CF4 :5sccmを導入し、ガス圧を4.0
×10-4Torr、引き出し電圧1.5kVでカーボン
イオンビームを引き出し荷電変換器に導入した。荷電変
換器にドナーガスとしてC2 H2 :10sccm、H
2 :10sccmを導入し、ガス圧を2.5×10-4T
orrとしてイオンビームを通過させて中性粒子化し
た。同様に作製した炭素膜の硬度を薄膜硬度計で測定し
た結果、ビッカース硬度換算で2500kg/mm2 で
あった。ピン・オン・ディスク法により相対湿度45%
の空気中で、ピンとして軸受け鋼(SUJ2)の球(直
径5mm)を用い加重2N,摺動速度0.04m/sで
摩擦特性を評価した結果、摩擦係数は0.09であっ
た。さらに、HFS法により膜中の水素濃度を、RBS
(Rutherford Backscattering Spectrometry) で他の元
素濃度を分析したところ、水素濃度は20原子%、フッ
素濃度は8原子%であった。この後、実施例4と同様に
して電極端子部に、電極タブ、ワイヤーを接続した後、
ヒーターホルダー部に接着してヒーターを完成した。
【0041】以上のようにして得られたヒーターを装着
した加熱定着装置を用い、実施例4と同様に記録材の熱
定着を行った結果、実施例4と同様の安定した定着と耐
久性が得られた。
した加熱定着装置を用い、実施例4と同様に記録材の熱
定着を行った結果、実施例4と同様の安定した定着と耐
久性が得られた。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、熱定着
による画像形成装置で使用される熱定着用ヒーターにお
いて、(a)発熱抵抗体として金属を添加したa−C:
H膜、DLC膜、あるいは硬質炭素膜とし、耐熱フィル
ムと接触摺動するヒーターの絶縁保護層として発熱抵抗
体層上に高硬度、低摩擦係数を有するa−C:H膜、D
LC膜、あるいは硬質炭素膜を潤滑保護膜として形成す
ること、または(b)耐熱フィルムと接触摺動するヒー
ターの絶縁保護層上に高硬度、低摩擦係数であるカーボ
ン膜を潤滑保護膜として形成するとき、数10eV〜数
keVのエネルギーをもつカーボンの中性粒子あるいは
負イオンを用いることにより、密着性の良好な潤滑保護
膜を厚膜として形成することを特徴とするものである。
による画像形成装置で使用される熱定着用ヒーターにお
いて、(a)発熱抵抗体として金属を添加したa−C:
H膜、DLC膜、あるいは硬質炭素膜とし、耐熱フィル
ムと接触摺動するヒーターの絶縁保護層として発熱抵抗
体層上に高硬度、低摩擦係数を有するa−C:H膜、D
LC膜、あるいは硬質炭素膜を潤滑保護膜として形成す
ること、または(b)耐熱フィルムと接触摺動するヒー
ターの絶縁保護層上に高硬度、低摩擦係数であるカーボ
ン膜を潤滑保護膜として形成するとき、数10eV〜数
keVのエネルギーをもつカーボンの中性粒子あるいは
負イオンを用いることにより、密着性の良好な潤滑保護
膜を厚膜として形成することを特徴とするものである。
【0043】(a)の発熱抵抗体は、耐熱性、化学的安
定性に優れ、従来よりも薄く形成することができる。ま
た、金属を添加することにより所望の抵抗を自由に得る
ことができると同時に、基板との良好な密着性を実現で
きる。さらに、発熱抵抗体を形成した後、連続的に潤滑
絶縁保護膜を形成することにより、各層間の密着性を良
好にするとともに製造プロセスの簡略化を図ることがで
きる。この発熱抵抗体を組み込んだヒーターを使用すれ
ば、ヒーターと耐熱フィルム間で生じる接触摺動に対し
て、耐熱フィルムの摩耗を生じることなく、安定した摺
動特性を保持する極めて信頼性、耐久性に優れたヒータ
ーを提供することができる。
定性に優れ、従来よりも薄く形成することができる。ま
た、金属を添加することにより所望の抵抗を自由に得る
ことができると同時に、基板との良好な密着性を実現で
きる。さらに、発熱抵抗体を形成した後、連続的に潤滑
絶縁保護膜を形成することにより、各層間の密着性を良
好にするとともに製造プロセスの簡略化を図ることがで
きる。この発熱抵抗体を組み込んだヒーターを使用すれ
ば、ヒーターと耐熱フィルム間で生じる接触摺動に対し
て、耐熱フィルムの摩耗を生じることなく、安定した摺
動特性を保持する極めて信頼性、耐久性に優れたヒータ
ーを提供することができる。
【0044】また(b)の潤滑保護膜は優れた耐摩耗
性、摺動特性を有するので加熱定着装置の性能を長期間
にわたって良好に保持することができる。
性、摺動特性を有するので加熱定着装置の性能を長期間
にわたって良好に保持することができる。
【0045】したがって上記(a)および/または
(b)の適用により、定着スピードの高速化、定着サイ
ズの大型化が可能となり、ランニング・コストの低減も
実現できる。
(b)の適用により、定着スピードの高速化、定着サイ
ズの大型化が可能となり、ランニング・コストの低減も
実現できる。
【図1】本発明の一例のヒーターを用いた加熱定着装置
の模式的部分拡大断面図である。
の模式的部分拡大断面図である。
【図2】図1のヒーター部の模式的断面図である。
【図3】ECRプラズマCVD装置の模式図である。
【図4】イオンビーム蒸着装置の模式図である。
【図5】DCマグネトロン・スパッタリング装置の模式
図である。
図である。
【図6】本発明の他の例のヒーターを用いた加熱定着装
置の模式的部分拡大断面図である。
置の模式的部分拡大断面図である。
【図7】図6のヒーター部の模式的断面図である。
【図8】カーボン中性粒子蒸着装置の模式図である。
【図9】RFプラズマ・スパッタ型の負イオン源の模式
図である。
図である。
【図10】a−C:H膜への金属添加率と体積抵抗率と
の関係を示す図である。
の関係を示す図である。
【図11】従来のヒーターの一例を示す説明図である。
【図12】図11のヒーター部分の模式的平面図であ
る。
る。
1 ヒーター 2 セラミックス基板 3 発熱抵抗体 4 電極端子部 5 電極端子部 6 絶縁保護層 7 温度測定素子 8 ヒーターホルダー 9 裏面断熱層 10 耐熱性フィルム 11 加圧ローラ 12 電極タブ 13 ロウ材 14 ワイヤー 15 定着ニップ 16 記録材 17 未定着トナー 18 炭素膜 20 プラズマ室 21 ガス導入系 22 マイクロ波導入窓 23 マイクロ波導波管 24 電磁石 25 マイクロ波発振器 26 基板 27 真空槽 28 排気系 29 ターゲット 30 真空槽 31 イオンンビーム源 32 イオン化室 33 ガス導入系 34 イオンビーム引き出し電極 35 基板 36 電子銃 37 排気系 40 真空槽 41 基板 42 ターゲット 43 ガス導入系 44 DC電源 45 排気系 50 真空槽 51 イオンンビーム源 52 イオン化室 53 ガス導入系 54 イオンビーム引き出し電極 55 基板 56 排気系 57 荷電変換器 81 RF電源 82 マッチングボックス 83 RFコイル 84 スパッタリングターゲット 85 水冷パイプ 86 セシウムガス導入系 87 スパッタリングガス導入系 88 永久磁石 89 アパーチャー 90 引き出し電極 91 負イオンビーム 101 ヒーター 102 基板 103 発熱抵抗体 104 電極端子部 105 電極端子部 106 絶縁保護層 107 温度測定素子 112 交流電源 113 通電制御回路 115 定着ニップ部
Claims (20)
- 【請求項1】 画像形成装置で使用される加熱定着装置
であって、少なくとも (1)ヒーター基板と、その基板上に形成された発熱抵
抗体層と、その発熱抵抗層を覆う絶縁保護層とからなる
ヒーター、 (2)前記ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フ
ィルム、および (3)前記耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動させる加
圧ローラとからなり、被定着物が前記耐熱フィルムと加
圧ローラー間に挟み込まれて耐熱フィルムと共に移動す
る間に加熱定着される加熱定着装置において、前記ヒー
ターの発熱抵抗体層が導電性を有するカーボン膜からな
り、前記絶縁保護層が高絶縁抵抗を有するカーボン膜で
あることを特徴とする前記加熱定着装置。 - 【請求項2】 発熱抵抗体層の体積抵抗率が10-3Ω・
cmより小さく、絶縁保護層の体積抵抗率が106 Ω・
cmより大きいことを特徴とする請求項1記載の加熱定
着装置。 - 【請求項3】 導電性を有するカーボン膜が水素化アモ
ルファス炭素膜、DLC膜または硬質炭素膜で、膜中に
金属元素を混入していることを特徴とする請求項1記載
の加熱定着装置。 - 【請求項4】 金属元素が周期律表のIVa,Va,VI
a,VIII,Ib,IIbまたは IIIb族の金属であること
を特徴とする請求項3記載の加熱定着装置。 - 【請求項5】 高抵抗のカーボン膜が、水素化アモルフ
ァス炭素膜、DLC膜または硬質炭素膜であることを特
徴とする請求項1記載の加熱定着装置。 - 【請求項6】 発熱抵抗体層と絶縁保護層の炭素濃度
が、発熱抵抗体層から絶縁保護層に向かって大きくなっ
ていることを特徴とする請求項1記載の加熱定着装置。 - 【請求項7】 発熱抵抗体層と絶縁保護層を形成するカ
ーボン膜において、膜中の水素濃度が絶縁保護層のほう
が発熱抵抗体層よりも高いことを特徴とする請求項1記
載の加熱定着装置。 - 【請求項8】 画像形成装置で使用される加熱定着装置
であって、少なくとも (1)ヒーター基板と、その基板上に形成された発熱抵
抗体層と、その発熱抵抗層を覆う絶縁保護層とからなる
ヒーター、 (2)前記ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フ
ィルム、および (3)前記耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動させる加
圧ローラとからなり、被定着物が前記耐熱フィルムと加
圧ローラー間に挟み込まれて耐熱フィルムと共に移動す
る間に加熱定着される加熱定着装置の製造方法におい
て、前記ヒーターの発熱抵抗体層を導電性を有するカー
ボン膜で形成し、前記絶縁保護層を高絶縁抵抗を有する
カーボン膜で形成することを特徴とする前記加熱定着装
置の製造方法。 - 【請求項9】 発熱抵抗体層の体積抵抗率が10-3Ω・
cmより小さく、絶縁保護層の体積抵抗率が106 Ω・
cmより大きいことを特徴とする請求項8記載の加熱定
着装置の製造方法。 - 【請求項10】 導電性を有するカーボン膜が水素化ア
モルファス炭素膜、DLC膜または硬質炭素膜で、膜中
に金属元素を混入していることを特徴とする請求項9記
載の加熱定着装置の製造方法。 - 【請求項11】 金属元素が周期律表のIVa,Va,VI
a,VIII,Ib,IIbまたは IIIb族の金属であること
を特徴とする請求項10記載の加熱定着装置の製造方
法。 - 【請求項12】 高抵抗のカーボン膜が、水素化アモル
ファス炭素膜、DLC膜または硬質炭素膜であることを
特徴とする請求項8記載の加熱定着装置の製造方法。 - 【請求項13】 発熱抵抗体層と潤滑絶縁保護層の炭素
濃度が、発熱抵抗体層から潤滑絶縁保護層に向かって大
きくなっていることを特徴とする請求項8記載の加熱定
着装置の製造方法。 - 【請求項14】 発熱抵抗体層と絶縁保護層を形成する
カーボン膜において、膜中の水素濃度が絶縁保護層のほ
うが発熱抵抗体層よりも高いことを特徴とする請求項8
記載の加熱定着装置の製造方法。 - 【請求項15】 画像形成装置で使用される加熱定着装
置であって、少なくとも (1)ヒーター基板と、その基板上に形成された発熱抵
抗体層と、その発熱抵抗層を覆う絶縁保護層とからなる
ヒーター、 (2)前記ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フ
ィルム、および (3)前記耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動させる加
圧ローラとからなり、被定着物が前記耐熱フィルムと加
圧ローラー間に挟み込まれて耐熱フィルムと共に移動す
る間に加熱定着される加熱定着装置の製造方法におい
て、前記絶縁保護層上にカーボンの中性粒子または負イ
オンを用いたカーボン膜が形成されていることを特徴と
する加熱定着装置。 - 【請求項16】 カーボンの中性粒子のエネルギーが数
10eV〜数keVであることを特徴とする請求項15
記載の加熱定着装置。 - 【請求項17】 カーボンの負イオンのエネルギーが数
10eV〜数keVであることを特徴とする請求項15
記載の加熱定着装置。 - 【請求項18】 画像形成装置で使用される加熱定着装
置であって、少なくとも (1)ヒーター基板と、その基板上に形成された発熱抵
抗体層と、その発熱抵抗層を覆う絶縁保護層とからなる
ヒーター、 (2)前記ヒーターの絶縁保護層に接触摺動する耐熱フ
ィルム、および (3)前記耐熱フィルムをヒーターに圧着摺動させる加
圧ローラとよりなり、被定着物が前記耐熱フィルムと加
圧ローラー間に挟み込まれて耐熱フィルムと共に移動す
る間に加熱定着される加熱定着装置の製造方法におい
て、前記絶縁保護層上にカーボンの中性粒子または負イ
オンを用いたカーボン膜を形成することを特徴とする加
熱定着装置の製造方法。 - 【請求項19】 カーボンの中性粒子のエネルギーが数
10eV〜数keVであることを特徴とする請求項18
記載の加熱定着装置の製造方法。 - 【請求項20】 カーボンの負イオンのエネルギーが数
10eV〜数keVであることを特徴とする請求項18
記載の加熱定着装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13380795A JPH08328405A (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 加熱定着装置およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13380795A JPH08328405A (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 加熱定着装置およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08328405A true JPH08328405A (ja) | 1996-12-13 |
Family
ID=15113502
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13380795A Pending JPH08328405A (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 加熱定着装置およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08328405A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005124471A1 (ja) | 2004-06-16 | 2005-12-29 | Mitsubishi Pencil Co., Ltd. | 定着用ヒータとその製造方法 |
WO2009008305A1 (ja) * | 2007-07-06 | 2009-01-15 | Kyoto University | 電界放出型電子源の製造方法 |
JP2015034980A (ja) * | 2013-07-09 | 2015-02-19 | キヤノン株式会社 | 定着装置及び画像形成装置 |
JP2015087432A (ja) * | 2013-10-28 | 2015-05-07 | 富士ゼロックス株式会社 | 摺動部材、定着装置及び画像形成装置 |
-
1995
- 1995-05-31 JP JP13380795A patent/JPH08328405A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005124471A1 (ja) | 2004-06-16 | 2005-12-29 | Mitsubishi Pencil Co., Ltd. | 定着用ヒータとその製造方法 |
EP1757996A1 (en) * | 2004-06-16 | 2007-02-28 | Mitsubishi Pencil Co., Ltd. | Heater for fixing and method of manufacturing the same |
EP1757996A4 (en) * | 2004-06-16 | 2010-01-20 | Mitsubishi Pencil Co | HEATING FOR FASTENING AND METHOD OF MANUFACTURING |
KR101019758B1 (ko) * | 2004-06-16 | 2011-03-04 | 미쓰비시 엔피쯔 가부시키가이샤 | 정착용 히터와 그 제조 방법 |
US8741429B2 (en) | 2004-06-16 | 2014-06-03 | Mitsubishi Pencil Co., Ltd. | Fixing heater and manufacturing method thereof |
WO2009008305A1 (ja) * | 2007-07-06 | 2009-01-15 | Kyoto University | 電界放出型電子源の製造方法 |
JP2015034980A (ja) * | 2013-07-09 | 2015-02-19 | キヤノン株式会社 | 定着装置及び画像形成装置 |
JP2015087432A (ja) * | 2013-10-28 | 2015-05-07 | 富士ゼロックス株式会社 | 摺動部材、定着装置及び画像形成装置 |
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