JPH06348154A - ヒーター、ヒーターを有する加熱定着装置及びその製造方法 - Google Patents

ヒーター、ヒーターを有する加熱定着装置及びその製造方法

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JPH06348154A
JPH06348154A JP13617193A JP13617193A JPH06348154A JP H06348154 A JPH06348154 A JP H06348154A JP 13617193 A JP13617193 A JP 13617193A JP 13617193 A JP13617193 A JP 13617193A JP H06348154 A JPH06348154 A JP H06348154A
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JP
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film
heater
protective layer
resistance layer
fixing
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JP13617193A
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English (en)
Inventor
Yasushi Taniguchi
靖 谷口
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 通電により発熱する抵抗層を有するヒーター
において、被加熱材を加熱するヒーターの面側の耐摩耗
性、摺動性等を向上すること。 【構成】 絶縁性基板2と、該絶縁性基板に支持され通
電により発熱する抵抗層3と、抵抗層端部に設けられた
電極端子部4を有するヒーターにおいて、前記抵抗層3
の上に水素化アモルファス炭素膜もしくはダイヤモンド
状炭素膜6を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザービー
ムプリンタ等の画像形成装置に用いられるヒーター、加
熱定着装置に関し、特に未定着画像の加熱定着に用いら
れるヒーター、加熱定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特開昭63−313182号公報
等で固定ヒーターと、このヒーターと摺動する薄膜フィ
ルムを用いた加熱装置が提案されている。
【0003】このようなヒーターについての説明を、本
発明に係るヒーターを示す図1、図2により行う。ヒー
ター1は、電気絶縁性・耐熱性・低熱容量の細長い基板
2と、この基板2の一方面側(表面側)の基板幅方向中
央部に基板長手に沿って直線細帯状に形成した通電発熱
体3と、この通電発熱抵抗体の両端部にそれぞれ導通さ
せて基板面に形成した電極端子(接続端子)4,5と、
基板2の通電発熱抵抗体形成面を被覆させたヒーター表
面保護層としてのガラス等の電気絶縁性保護層6と、基
板2の他方面側(背面側)に設けたサーミスター等の温
度検出素子7を有する。基板2は、例えば、幅10mm
・厚さ1mm・長さ240mmのAl23 、AlN、
SiC等のセラミック板等である。通電発熱抵抗体3
は、例えば厚さ10μm・幅1mmの、スクリーン印刷
等で塗工したAg/Pd(銀パラジウム合金)、RuO
2 、Ta2 N等を大気焼成して形成したパターン層であ
る。電極端子(接続端子)4,5は、通常厚さ10μm
のスクリーン印刷等で塗工したAgを大気焼成して形成
したパターン層であり、この電極4,5に通常は、コネ
クター(不図示)を介して電線を接続し給電する。
【0004】ヒーター1は定着面の温度を管理・制御す
るために装置の横断面において、通電発熱抵抗体3を定
着ニップ部15(合接ニップ部、加圧部)の幅領域の略
中央部に位置させる構造となっている。ヒーター1の絶
縁保護層6側がフィルム接触摺動面側である。ヒーター
1は通電発熱抵抗体3の両端電極端子4,5間に交流電
源12より電圧印加され、該通電発熱抵抗体3が発熱す
ることで昇温する。ヒーター1の温度は基板背面の温度
検出素子7で検出されてその検出情報が通電制御回路1
3へフィードバックされて、交流電源12から通電発熱
抵抗体3への通電が制御され、ヒーター1が所定の温度
に温度制御される。ヒーター1の温度検出素子7は熱応
答性の最も良い定着面、つまりヒーター基板表面側の通
電発熱抵抗体3の形成位置に対応する基板背面側部分位
置(通電発熱抵抗体3の直下に対応する基板背面側部分
位置)に配設される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】未定着画像を定着する
ためには、ヒーター上の絶縁性保護層並びにフィルム接
触摺動面を介してヒーターの熱を伝熱させて熱定着す
る。しかしながら、絶縁性保護層とフィルムとの接触摺
動時の摩耗により、接触摺動距離が約60kmに達する
とフィルムの摩耗が激しくなってくる。このとき生じる
摩耗粉が、フィルムを駆動するローラーに不均一に付着
することから、フィルムの駆動速度が不規則となり、結
果として未定着画像の定着が不均一になるという問題が
発生する。絶縁保護膜に使用されているガラス質層は低
軟化点ガラスを印刷、焼成することにより形成される。
このガラス質層とフィルムの表面形状差(摩擦係数
差)、硬度差により、フィルムの摩耗が生じるものと考
えられる。このため、耐熱性のポリミドフィルムにフィ
ラーを混入したり、テフロンコーティング等を施して摩
擦係数を小さくし、フィルムの摩耗を防いでいるが十分
な効果を得るに至っていない。
【0006】また、保護層がガラス等の熱伝導率の小さ
い材料であるため、ヒーターの熱が効率的に未定着画像
に供給されず、定着に課題な熱量を必要とする。通電電
流を大きくすると、図3に示すようなコネクターを形成
しているバネ材(一般にはリン青銅)が高温クリープに
より劣化し、コンタクト圧力の低下、接続抵抗値の上
昇、更には熱暴走を引き起こす結果、接続部及び装置の
信頼性に問題を生じることになる。このため、定着速度
の高速化と定着ボリュームの増大に対応することができ
ず、より長寿命(接触摺動距離の長い)の加熱定着装置
が求められている。
【0007】本発明は、以上のような問題点を解決した
ヒーターを提供することを第1の目的とする。
【0008】また未定着画像を定着するためには、ヒー
ター上の絶縁性保護層並びにフィルム接触摺動面を介し
てヒーターの熱を伝熱させて熱定着する。しかしなが
ら、絶縁性保護層とフィルムとの接触摺動時の摩耗によ
り、接触摺動距離が約60kmに達するとフィルムが摩
耗してくる。この時生じる摩耗粉が、フィルムを駆動す
るローラーに不均一に付着することから、フィルムの駆
動速度が不規則となり、結果として未定着画像の定着が
不均一になるという問題が発生する。絶縁性保護膜に用
いられるガラス質層は、低軟化点ガラスを印刷、焼成す
ることにより形成される。このガラス質層とフィルムの
表面形状差(摩擦係数)と硬度差によりフィルムの摩耗
が生じるものと考えられる。そこで、絶縁保護層として
電気絶縁性が高く、高硬度、低摩擦係数、である水素化
アモルファス炭素膜(以下、a−C:H膜)、ダイヤモ
ンド状炭素膜(以下、DLC膜)をガラス質層の代わり
に、発熱抵抗体層上に直接形成することが考えられる。
しかしながら、発熱抵抗体上に十分なステップカバレー
ジを有するカーボン膜を形成するためには、カーボン膜
の厚さは少なくとも発熱抵抗体の厚さの約1/4以上は
必要である。従って、発熱抵抗体層の厚さが10μmの
場合には、最低でも2.5μmより厚くカーボン膜を形
成する必要がある。ところが、a−C:H膜、DLC膜
は共に圧縮方向の内部応力が大きく、膜厚を数μmより
も厚く形成したときには、基体との密着性が必ずしも良
好ではなく、膜剥離を生じるという問題がある。この問
題を解決する手段として、従来通りガラス質の絶縁層を
設けた後、a−C:H膜あるいはDLC膜を形成するこ
とが考えられるが、ヒーターの製造コストがアップする
という問題がある。
【0009】熱定着方式による定着のより高速化と定着
ボリュームの増大に対応するためには、ヒーターの寿命
(接触摺動距離)をできるだけ長くすることが必要であ
るが、前述の問題によりヒーター寿命が短く、コストア
ップの原因となっている。
【0010】本発明は、以上のような問題点を解決した
ヒーターを提供することを第2の目的とする。
【0011】また、未定着画像を定着するためには、ヒ
ーター上の絶縁性保護層並びにフィルム接触摺動面を介
してヒーターの熱を伝熱させて熱定着する。しかしなが
ら、絶縁性保護層とフィルムとの接触摺動時の摩耗によ
り、接触摺動距離が約60kmに達するとフィルムが摩
耗してくる。この時生じる摩耗粉が、フィルムを駆動す
るローラーに不均一に付着することから、フィルムの駆
動速度が不規則となり、結果として未定着画像の定着が
不均一になるという問題が発生する。絶縁性保護膜に用
いられるガラス質層は、低軟化点ガラスを印刷、焼成す
ることにより形成される。このガラス質層とフィルムの
表面形状差(摩擦係数)と硬度差により、フィルムの摩
耗が生じるものと考えられる。そこで、ポリイミド等の
エンドレスベルト状、あるいは長尺ウェブ状の耐熱性フ
ィルムの摩耗を防ぐために、ガラス質の絶縁性保護膜と
の摩擦係数を小さくする目的からポリイミド・フィルム
にフィラーを混入したり、テフロン(登録商標)コーテ
ィング等を施している。しかしながら、熱定着方式によ
る定着のより高速化と定着ボリュームの増大に対応する
ことはできず、ヒーターの寿命(接触摺動距離)をでき
るだけ長くすることが必要とされている。
【0012】本発明は、以上のような問題点を解決した
加熱定着装置を提供することを第3の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るために、第1の解決手段として、本発明は、ヒーター
上又はヒーターの絶縁保護層上に気相合成法で形成した
電気絶縁性が高く、高熱伝導率、高硬度、低摩擦係数で
ある水素化アモルファス炭素膜(以下、a−C:H膜と
略記する)もしくはダイヤモンド状炭素膜(以下、DL
C膜と略記する)を用いることにより、上述の問題を解
決したものである。
【0014】以下、本発明に関して詳細に説明する。本
発明に係るa−C:H膜もしくはダイヤモンド状炭素膜
は、熱伝導率が200〜600W/m・K、電気抵抗
(体積抵抗率)108 〜1011Ωcm、硬度2000〜
5000kg/mm2 等に代表される物理的性質を有す
るものである。
【0015】本発明で用いるa−C:H膜もしくはDL
C膜は、マイクロ波プラズマCVD法、直流プラズマC
VD法、高周波プラズマCVD法、有磁場マイクロ波プ
ラズマCVD法、イオンビーム・スパッタ法、イオンビ
ーム蒸着法、反応性プラズマ・スパッタ法等により形成
される。このとき用いる原料ガスは、含炭素ガスである
メタン、エタン、プロパン、エチレン、ベンゼン、アセ
チレン等の炭化水素;塩化メチレン、四塩化炭素、クロ
ロホルム、トリクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;
メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール
類;(CH32CO、(C652 CO等のケトン
類;CO、CO2 等のガス、及びこれらのガスにN2
2 、O2 、H2 O、Ar等のガスを混合したものが挙
げられる。a−C:H膜あるいはDLC膜は、膜中に水
素を数十atom%含有しており、この水素含有量によ
って膜の性質は大きく異なる。例えば、水素を50at
om%以上含むa−C:H膜は、光学バンドギャップが
大きく透明で電気抵抗が高いものの、膜硬度が低く熱伝
導率の高いポリマーライクな膜である。一方、水素を1
0〜40atom%含むa−C:H膜は、ビッカース硬
度で2000〜5000kg/mm2 と非常に硬く、電
気抵抗が108 Ωcm以上、熱伝導率が200W/m・
K以上、摩擦係数が0.2以下の高熱伝導率と高絶縁
性、高硬度を兼ね備えた膜である。これらの性質は、膜
中に40〜70%存在するsp3 結合に由来しているも
のと考えられる。したがって、本発明の保護膜として用
いられるのは、水素含有量が10〜40atom%であ
るa−C:H膜やDLC膜である。そして、a−C:H
膜とDLC膜を明確に区別することは難しい。いずれの
膜も巨視的にはアモルファスで、膜中に水素を含有し、
sp2 結合とsp3 結合炭素からなり、その物理的性質
も前述の通り類似している。本発明で言うDLC膜は、
微視的に見たときダイヤモンドの結晶構造、例えば電子
線回折によりダイヤモンドと特定される回折パターンを
有しているものである。
【0016】前述のAl23 、AlN、SiC等のセ
ラミックス基板即ち絶縁性基板にヒーターとなる発熱抵
抗体をスパッタリング法等のPVD法により形成し、抵
抗値を測定して所望の抵抗値となるよう必要によりトリ
ミングを行う。同様に、Au、Ag、Cuをスパッタリ
ング法により電極端子を形成する。次に、ケイ酸鉛系の
低軟化点ガラス等からなる絶縁保護層を発熱抵抗体と電
極端子上にスクリーン印刷により形成した後、焼成す
る。この絶縁保護層の上にa−C:H膜もしくはDLC
膜からなる保護層を形成してヒーターを製作する。a−
C:H膜もしくはDLC膜の厚さは、ヒーター使用条件
において定着時の押圧力からヒーターを保護できる機械
的強度と摩擦係数を保証することのできる厚さで、数n
m〜数10μmの範囲であれば良い。好ましくは、数1
0nm〜数μmが好適である。なお、発熱抵抗体、電極
端子の形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、イ
オンプレーティング法等のPVD法に限定されるもので
はなく、CVD法やメッキ、スクリーン印刷等の方法を
用いても良い。この後、電極端子に電極タブをロウ付け
等により取り付け、電極タブにワイヤーを圧接しヒータ
ーをヒーターホルダーに接着して、ヒーターを完成す
る。
【0017】本発明は、ヒーターの保護層として気相合
成法で形成したa−C:H膜もしくはDLC膜を用いる
ことにより、ヒーター保護層の耐摩耗性と摺動性を向上
させることにより、従来より長寿命のヒーターを実現す
るものである。
【0018】前記第2の目的を達成するために、第2の
解決手段として、本発明は、ヒーターを形成するセラミ
ックス基板に、予め発熱抵抗体層を形成する溝を加工
し、発熱抵抗体層がセラミックス基板の表面から突出し
ないように形成した後、この上に絶縁保護層として気相
合成法で形成した電気絶縁性が高く、高熱伝導率、高硬
度、低摩擦係数である前記と同様のa−C:H膜もしく
はDLC膜を形成することにより、上述の問題を解決し
たものである。
【0019】前述のAl23 、AlN、SiC等のセ
ラミックス基板にヒーターとなる発熱抵抗体を形成する
ための溝を機械的に加工する。具体的には、350mm
×350mmのセラミックス基板に剥離可能なフィルム
あるいはレジストを全面に形成する。次に、発熱抵抗体
層に相当する、例えば2mm×350mm×10μmの
溝を所定の位置に加工する。この溝にスパッタリング法
等のPVD法により発熱抵抗層を形成し、抵抗値を測定
して所望の抵抗値となるよう必要によりトリミングを行
う。この時、発熱抵抗体層がセラミックス基板の表面よ
り2μmよりも多く突出しないようにする。2μmより
多く突出した場合には、a−C:H膜あるいはDLC膜
により十分なステップカバレージを得るためにはこれら
の膜厚が厚くなり、剥離を発生するという問題が生じ
る。セラミックス基板に形成したフィルムもしくはレジ
ストを除去した後、同様に、Au、Ag、Cuをスパッ
タリング法により電極端子を形成する。次に、a−C:
H膜もしくはDLC膜からなる保護層を発熱抵抗体上に
形成してヒーター基板を製作する。a−C:H膜もしく
はDLC膜の厚さは、ヒーター使用条件において十分な
絶縁耐圧と定着時の押圧力からヒーターを保護できる機
械的強度と密着強度を保証することのできる厚さで、数
10nm〜数10μmの範囲であれば良い。好ましく
は、数100nm〜数μmが好適である。なお、発熱抵
抗体、電極端子の形成方法は、スパッタリング法、真空
蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法に限定さ
れるものではなく、CVD法やメッキ、スクリーン印刷
等の方法を用いても良い。この後、所定の大きさに切断
した個々のヒーターの電極端子に電極タブをロウ付け等
により取り付け、電極タブにワイヤーを圧接しヒーター
をヒーターホルダーに接着して、本発明のヒーターを完
成する。なお、ヒーターホルダーのフィルム接触部にa
−C:H膜もしくはDLC膜を同様に形成することによ
り、ヒーターとフィルムと接触摺動特性を更に改善する
ことができる。
【0020】本発明は、ヒーターの保護層として気相合
成法で形成したa−C:H膜もしくはDLC膜を用い、
ヒーターとフィルム間の耐摩耗性と摺動性を改善するこ
とにより長寿命のヒーターを実現するものである。
【0021】また前記第3の目的を達成するために、第
3の解決手段として、加熱定着装置において、本発明
は、ヒーター面と接触摺動するフィルム面のいずれかに
高硬度、低摩擦係数の水素化アモルファス炭素膜即ちa
−C:H膜もしくはDLC膜を気相合成法で形成するこ
とにより、上述の問題を解決したものである。
【0022】ポリイミド等のエンドレスベルト状、ある
いは長尺ウェブ状の耐熱性フィルムのヒーターと接触す
る面にa−C:H膜あるいはDLC膜を前述の形成方法
により形成する。a−C:H膜、DLC膜の厚さは、数
nm〜数100nmの範囲が好適である。これは、膜厚
が数nmより薄いときには、十分な潤滑性能が得られ
ず、数100nmよりも厚い時には膜応力により膜がフ
ィルムから剥離したり、フィルムがカールしてしまうた
めである。なお、前述の好適な膜厚範囲で膜を形成した
場合でも、フィルムがカールすることがある。この様な
場合には、フィルムの両面にa−C:H膜あるいはDL
C膜を形成すれば良い。更に、フィルムと接触するヒー
ター側の絶縁保護層やヒーターホルダー部にもa−C:
H膜、DLC膜を形成することにより、ヒーター、フィ
ルム間の接触摺動特性をより向上させることができる。
【0023】本発明は、ヒーターと接触摺動するフィル
ム面に、気相合成法によりa−C:H膜もしくはDLC
膜を潤滑保護層として形成することにより、ヒーターと
フィルム間の耐摩耗性と摺動性を改善し、長寿命のヒー
ターを実現するものである。
【0024】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の具体的実
施例を説明する。
【0025】<実施例1>図4は、本発明の実施例のヒ
ーターを用いた加熱定着装置の部分拡大断面図である。
ヒーター1は、断熱性のヒーターホルダー8を介してヒ
ーター支持部9に固定支持されている。10は、例えば
厚さ40μm程度のポリイミド等のエンドレスベルト
状、あるいは長尺ウェブ状の耐熱性フィルム、11はこ
のフィルムをヒーター1に対して押圧する加圧部材とし
ての回転加圧ローラーである。フィルム10は、不図示
の駆動部材により或は加圧ローラー11の回転力によ
り、所定の速度で矢印の方向にヒーター1面に密着した
状態でヒーター1面を摺動しながら回転或は走行移動す
る。ヒーター1の通電発熱抵抗体3に対する通電により
ヒーター1を所定温度に昇温させ、またフィルム10を
移動駆動させた状態である定着ニップ部15に被加熱材
として記録材16を未定着トナー画像面をフィルム10
面側にして導入することで、記録材16がフィルム10
面に密着してフィルム10と共に定着ニップ部15を移
動通過し、その移動通過過程でヒーター1からフィルム
10を介して記録材16に熱エネルギーが付与されて記
録材16上の未定着トナー画像17が加熱溶融定着され
る。
【0026】図5は、第1実施例を示す断面模式図であ
る。図中1はヒーター、2はセラミックス基板、3はA
g/Pdからなる発熱抵抗体、4,5はCuからなる電
極端子部、6はガラス質からなる絶縁保護層、18はD
LC膜からなる保護層、8はヒーターホルダー、12は
電極タブ、13はAuSiからなるロウ材、14はワイ
ヤーである。
【0027】本実施例において、まずAl23 の絶縁
性基板上にAg/Pdからなるペーストを所定の位置に
発熱抵抗体3となるようにスクリーン印刷により塗工
し、大気焼成した。抵抗値を測定した後、所望の抵抗値
となるようトリミングした。次に、Cuペーストをスク
リーン印刷により塗工し、電極端子部4を酸素分圧に注
意しながら焼成、形成した(図5の(a))。次に、絶
縁性保護膜となるガラス質層6をケイ酸鉛系の低軟化点
ガラスをスクリーン印刷によって塗工し、大気焼成して
形成した(図5の(b))。この後、DLC膜6をEC
RプラズマCVD法により200nm形成した(図5の
(c))。図6にDLC膜の形成に用いたECRプラズ
マCVD装置の模式図を示す。図中20は空洞共振器タ
イプのプラズマ室、21はガス導入系、22はマイクロ
波導入窓、23はマイクロ波導波管、24は電磁石、2
5はマイクロ波発振器、26は基板及び基板ホルダー、
27は真空槽、28は排気系である。電極形成を終えた
基板を基板ホルダーに設置し、真空槽を1×10-7To
rrまで排気した。次に、ガス導入系よりC66 :3
1sccm、H2 :14sccmを導入し、ガス圧を
3.3×10-4Torrとした後、2.45GHzのマ
イクロ波を1.2kW投入してプラズマ室内にプラズマ
を生成した。このとき、電磁石により導入窓で1600
Gauss、空洞共振器出口で875GaussのEC
R条件とし、基板位置で700Gaussとなるよう外
部磁場を形成した。更に、不図示のDC電源により基板
に−500Vの電圧を印加して、DLC膜を形成した。
このDLC膜の硬度を薄膜硬度計で測定した結果、ビッ
カース硬度換算で3000kg/mm2 であった。ま
た、ピン・オン・ディスク法により摩擦特性を評価し
た。測定は、ピンとして軸受け鋼(SUJ2)の球(直
径5mm)を用い、加重2.2N、摺動速度0.04m
/sで相対湿度45%の大気中で行った結果、摩擦係数
は0.08〜0.09であった。
【0028】次に、AuSiからなるロウ材13を用い
て銅合金からなる電極タブ12と、セラミックス基板2
とをロウ付けした(図5の(c))。引き続き、電極タ
ブ12にワイヤー14を圧接し(図5の(d))、ヒー
ター1をヒーターホルダー8に接着した(図5の
(e))。なお、ヒーター1の製作時に電極端子部4の
表面にAuをフラッシュメッキすることにより、ロウ付
け時のロウ材の濡れ性を向上させ、安定した接続信頼性
を得ることができる。電極タブ材料としては、銅合金の
ほかにコバール、42アロイ、リン青銅等の金属が使用
できる。ロウ材は、融点250℃以上のものが好まし
く、AuSiのほかにAuGe、AuSu等を用いるこ
とができる。また、Cu電極端子部の表面にロウ付けま
での表面酸化防止や汚染を防ぐ目的から、Au、Ni、
Au/Niをフラッシュメッキ等で形成することによ
り、より安定したロウ付けが実現できる。この時、Ni
層を形成する目的は、ロウ材中にCuが過度に拡散する
ことを防ぐためである。
【0029】以上のようにして得られたヒーター1は、
通電により発生する熱を効率的に記録材側に供給するこ
とが可能となり、ヒーター構成部材の熱的、電気的劣化
を生じることなく安定したヒーター性能を実現すること
ができた。特に、ヒーター保護層の耐摩耗性と摺動性が
向上した結果、従来より2倍以上の寿命(耐久性)を実
現した。
【0030】<実施例2>実施例1と同様にして、セラ
ミックス基板上に発熱抵抗体3としてAuを10μm、
スパッタリング法により形成した。発熱抵抗体の抵抗値
を測定し、所望の抵抗値となるようトリミングした。引
き続き、Cuをスパッタリングして電極端子部4、を形
成した。この後、ガラス質からなる絶縁性保護層6を形
成し、更にその上にa−C:H膜18を形成した。図7
は、a−C:H膜を形成したイオンビーム蒸着(IB
D)装置の模式図である。図中30は真空槽、31はイ
オンビーム源、32はイオン化室、33はガス導入系、
34はイオンビーム引き出し電極、35は基体、36は
基体ホルダー、37は排気系である。電極形成を終えた
基板を基板ホルダーに設置し、真空槽を1×10-7To
rrまで排気した。次にガス導入系よりCH4 :16s
ccm、H2 :31sccmを導入し、ガス圧を3.2
×10-4Torrとしてプラズマ室内にプラズマを生成
した。引き出し電極に1kVの電圧を印加して、イオン
ビームを引き出し基板に照射して膜厚1μmのa−C:
H膜をガラス質の絶縁保護層上の所定の位置に形成し
た。このとき同様にして作成したa−C:H膜の水素含
有率をHFS(Hydrogen Forwardsc
attering Spectrometry)で分析
した結果、膜中の水素濃度は30atom%であった。
また、実施例1と同様にして膜硬度と摩擦係数を評価し
た結果、それぞれ2500kg/mm2 、0.07であ
った。引き続き、実施例1と同様にして電極端子部に、
電極タブ、ワイヤーを接続した後、ヒーターホルダー部
に接着してヒーターを完成した。
【0031】このヒーターを用い、実施例1と同様に記
録材の熱定着を行った結果、実施例1と同様の安定した
定着を実現することができた。
【0032】上記各実施例において、絶縁性保護層6を
省略してa−C:H膜もしくはDLC膜を抵抗体3の上
に形成してもよい。
【0033】次に、本発明の第2の解決手段の具体的実
施例を説明する。
【0034】<実施例3>図8は、本発明の実施例のヒ
ーターを用いた加熱定着装置の部分拡大断面図である。
ヒーター51は、断熱性のヒーターホルダー58を介し
てヒーター支持部59に固定支持されている。60は、
例えば厚さ40μm程度のポリイミド等のエンドレスベ
ルト状、あるいは長尺ウェブ状の耐熱性フィルム、61
はこのフィルムをヒーター51に対して押圧する加圧部
材としての回転加圧ローラーである。フィルム60は不
図示の駆動部材により或は加圧ローラー61の回転力に
より、所定の速度で矢印の方向にヒーターホルダー58
のエッジ部に接触しながら、ヒーター51面に密着した
状態でヒーター51面を摺動しながら回転或は走行移動
する。ヒーター51の通電発熱抵抗体53に対する通電
によりヒーター51を所定温度に昇温させ、またフィル
ム60を移動駆動させた状態である定着ニップ部65に
被加熱材として記録材66が未定着トナー画像面をフィ
ルム60面側にして導入することで、記録材66がフィ
ルム60面に密着してフィルム60と共に定着部ニップ
65を移動通過し、その移動通過過程でヒーター51か
らフィルム60を介して記録材66に熱エネルギーが付
与されて記録材66上の未定着トナー画像67が加熱溶
融定着される。
【0035】図9は、第3実施例を示す断面模式図であ
る。図中51はヒーター、52はセラミックス基板、5
3はAg/Pdからなる発熱抵抗体、54,55はCu
からなる電極端子部、56はDLC膜からなる保護層、
58はヒーターホルダー、62は電極タブ、63はAu
Siからなるロウ材、64はワイヤーである。
【0036】本実施例において、まずAl23 基板に
発熱抵抗体層を形成する溝Gを機械的に加工した。溝G
の形状は、350mm×2mm×10μmとした。この
溝にAg/Pdからなるペーストを発熱抵抗体53とな
るようにスクリーン印刷により塗工し、大気焼成した。
抵抗値を測定した後、所望の抵抗値となるようトリミン
グした。この時、発熱抵抗体層の表面は、セラミックス
基板の表面と同一であった。次に、Cuペーストをスク
リーン印刷により塗工し、電極端子部54、55を酸素
分圧に注意しながら焼成、形成した(図9の(a))。
この後、絶縁性保護膜となるDLC膜56を形成した
(図9の(b))。DLC膜は前記図6に示す装置で形
成される。
【0037】次に、AuSiからなるロウ材63を用い
て銅合金からなる電極タブ62と、セラミックス基板5
2とをロウ付けした(図9の(c))。引き続き、電極
タブ62にワイヤー64を圧接し(図9の(d))、ヒ
ーター51をヒーターホルダー58に接着した(図9の
(e))。なお、ヒーター51の製作時に電極端子部5
4の表面にAuをフラッシュメッキすることにより、ロ
ウ付け時のロウ材の濡れ性を向上させ、安定した接続信
頼性を得ることができた。電極タブ材料としては銅合金
のほかにコバール、42アロイ、リン青銅等の金属が使
用できる。ロウ材は、融点250℃以上のものが好まし
く、AuSiのほかにAuGe、AuSu等を用いるこ
とができる。また、Cu電極端子部の表面にロウ付けま
での表面酸化防止や汚染を防ぐ目的からAu、Ni、A
u/Niをフラッシュメッキ等で形成することにより、
より安定したロウ付けが実現できた。この時、Ni層を
形成する目的は、ロウ材中にCuが過度に拡散すること
を防ぐためである。
【0038】以上のようにして得られたヒーター51
は、通電により発生する熱を効率的に記録材側に供給す
ることが可能となり、ヒーター構成部材の熱的劣化を生
じることなく安定したヒーター性能を実現することがで
きた。特に、ヒーターとフィルム間の摩擦、摺動に対し
てもフィルムの摩耗粉の発生がなく、安定した摺動性能
を保持することができた。
【0039】<実施例4>図10は、本発明の実施例の
ヒーターを用いた加熱定着装置の部分拡大断面図であ
る。各部の構造は図8と同様である。
【0040】実施例3と同様にして、セラミックス基板
に発熱抵抗体層を形成するための溝を機械的に加工し
た。この溝に発熱抵抗体層53としてAuを10μm、
Wを50nm、順次スパッタ法により形成した。この
時、発熱抵抗体を形成する溝の形状は実施例3と同様に
した。WはAuとCの相互拡散を防止する目的で形成し
た。発熱抵抗体の抵抗値を測定し、所望の抵抗値となる
ようトリミングした。引き続き、Cuをスパッタリング
して電極端子部54を形成した。この後、絶縁性保護膜
となるa−C:H膜56を形成した。
【0041】a−C:H膜56は、前記図7に示す装置
により形成する。即ち、電極形成を終えた基板を基板ホ
ルダーに設置し、真空槽を1×10-7Torrまで排気
した。次にガス導入系よりCH4 :12sccm、H
2 :25sccmを導入し、ガス圧を2.8×10-4
orrとしてプラズマ室内にプラズマを生成した。引き
出し電極に0.75kVの電圧を印加して、イオンビー
ムを引き出し基板に照射して膜厚400nmのa−C:
H膜を発熱抵抗体上の所定の位置に形成した。このとき
同様にして作成したa−C:H膜の水素含有率をHFS
(Hydrogen Fowardscatterin
g Spectrometry)で分析した結果、膜中
の水素濃度は27atom%であった。また、実施例1
と同様にして膜硬度と摩擦係数を評価した結果、それぞ
れ2500kg/mm2 、0.07であった。引き続
き、実施例1と同様にして電極端子部に、電極タブ、ワ
イヤーを接続した後、ヒーターホルダー部に接着してヒ
ーターを完成した。
【0042】このヒーターを用い、実施例3と同様に記
録材の熱定着を行った結果、実施例1と同様の安定した
定着と耐久性が得られた。
【0043】<実施例5>図11は、本発明の実施例の
ヒーターを用いた加熱定着装置の部分拡大断面図であ
る。各部の構造は図8と同様である。
【0044】実施例3と同様にして発熱抵抗層を約10
μm形成した。この時、発熱抵抗層を形成する溝の深さ
を12μmとした。次に、実施例3と同様にして電極端
子部54を形成した後、発熱抵抗体を形成した溝にケイ
酸鉛系の低軟化点ガラスをスクリーン印刷により塗工
し、大気焼成して約2μmの絶縁保護層56’を形成し
た。この後、実施例3と同様の成膜方法、成膜条件によ
りDLC膜を200nm、ヒーター側全面に形成した。
引き続き、実施例3と同様にして電極端子部に、電極タ
ブ、ワイヤーを接続した後、実施例4と同様にフィルム
との摺動部分にDLC膜を60nm形成したヒーターホ
ルダーに接着してヒーターを完成した。
【0045】このヒーターを用い、実施例3と同様に記
録材の熱定着を行った結果、実施例3と同様の安定した
定着と耐久性が得られた。
【0046】<実施例6>図12は、本発明の実施例の
ヒーターを用いた加熱定着装置の部分拡大断面図であ
る。ヒーター101は、断熱性のヒーターホルダー10
8を介してヒーター支持部109に固定支持されてい
る。110は、例えば厚さ40μm程度のポリイミド等
のエンドレスベルト状、あるいは長尺ウェブ状の耐熱性
フィルム、111はこのフィルムをヒーター101に対
して押圧する加圧部材としての回転加圧ローラーであ
る。フィルム110は、不図示の駆動部材により或は加
圧ローラー111の回転力により、所定の速度で矢印の
方向にヒーターホルダー108のエッジ部に接触しなが
ら、ヒーター101面に密着した状態でヒーター101
面を摺動しながら回転或は走行移動する。ヒーター10
1の通電発熱抵抗体103に対する通電によりヒーター
101を所定温度に昇温させ、またフィルム110を移
動駆動させた状態である定着ニップ部115に被加熱材
として記録材116を未定着トナー画像面をフィルム1
10面側にして導入することで、記録材116がフィル
ム110面に密着してフィルム110と共に定着ニップ
部115を移動通過し、その移動通過過程でヒーター1
01からフィルム110を介して記録材116に熱エネ
ルギーが付与されて記録材116上の未定着トナー画像
117が加熱溶融定着される。
【0047】図13は、第6実施例を示すヒーター部の
断面模式図である。図中101はヒーター、102はセ
ラミックス等の絶縁性基板、103はAg/Pdからな
る発熱抵抗体、104はCuからなる電極端子部、10
6はガラス質の絶縁保護層、108はヒーターホルダ
ー、112は電極タブ、113はAuSiからなるロウ
材、114はワイヤーである。
【0048】本実施例におけるヒーターは、まずAl2
3 基板上にAg/Pdからなるペーストを発熱抵抗体
103となるようにスクリーン印刷により塗工し、大気
焼成した。抵抗値を測定した後、所望の抵抗値となるよ
うトリミングした。次に、Cuペーストをスクリーン印
刷により塗工し、電極端子部104を酸素分圧に注意し
ながら焼成、形成した。この後、絶縁性保護膜としてケ
イ酸鉛系の低軟化点ガラスをスクリーン印刷により塗工
し、大気焼成して形成した。
【0049】次に、AuSiからなるロウ材113を用
いて銅合金からなる電極タブ112と、セラミックス基
板102とをロウ付けした。引き続き、電極タブ112
にワイヤー114を圧接しヒーター101をヒーターホ
ルダー108に接着した。なお、ヒーター101の製作
時に電極端子部104の表面にAuをフラッシュメッキ
することにより、ロウ付け時のロウ材の濡れ性を向上さ
せ、安定した接続信頼性を得ることができた。電極タブ
材料としては、銅合金のほかにコバール、42アロイ、
リン青銅等の金属が使用できる。ロウ材は、融点250
℃以上のものが好ましく、AuSiのほかにAuGe、
AuSu等を用いることができる。また、Cu電極端子
部の表面にロウ付けまでの表面酸化防止や汚染を防ぐ目
的から、Au、Ni、Au/Niをフラッシュメッキ等
で形成することにより、より安定したロウ付けが実現で
きた。この時、Ni層を形成する目的は、ロウ材中にC
uが過度に拡散することを防ぐためである。
【0050】図14は、ポリイミド製のフィルム110
にDLC膜118を形成するために用いたECRプラズ
マCVD装置の模式図である。図中120は空洞共振器
タイプのプラズマ室、121はガス導入系、122はマ
イクロ波導入窓、123はマイクロ波導波管、124は
電磁石、125はマイクロ波発信器、126はフィルム
とフィルムを一定の張力、速度で送り出すと同時に巻き
取る機構、127は真空槽、128は排気系、129は
成膜領域を限定するカバーである。真空槽を1×10-7
Torrまで排気した後、ガス導入系よりC66 :4
0sccm、H2 :25sccmを導入し、ガス圧を
4.0×10-4Torrとした後、2.45GHzのマ
イクロ波を1.0kW投入してプラズマ室内にプラズマ
を生成した。このとき、電磁石により導入窓で1200
Gauss、空洞共振器出口で875GaussのEC
R条件とし、基板位置で700Gaussとなるよう外
部磁場を形成した。更に、不図示のDC電源により基板
に−500Vの電圧を印加して、図12中118のDL
C膜を70nm形成した。DLC膜の硬度を薄膜硬度計
で測定した結果、ビッカース硬度換算で2500kg/
mm2 であった。また、ピン・オン・ディスク法により
摩擦特性を評価した。測定は相対湿度50%の空気中で
行い、ピンとして軸受け鋼(SUJ2)の球(直径5m
m)を用い、加重2.2N、摺動速度0.04m/sで
行った結果、摩擦係数は0.10であった。この時、フ
ィルムの移動速度は1m/min.、成膜速度は0.5
nm/sec.とした。
【0051】以上のようにして得られた加熱定着装置
は、ヒーターとフィルム間の摩擦、摺動に対してもフィ
ルムの摩耗粉の発生がなく、安定した摺動性能を長期間
保持することができた。
【0052】<実施例7>実施例6と同様にして、フィ
ルムに潤滑保護膜としてa−C:H膜を形成した。図1
5はa−C:H膜を形成したイオンビーム蒸着(IB
D)装置の模式図である。図中130は真空槽、131
はイオンビーム源、132はイオン化室、133はガス
導入系、134はイオンビーム引き出し電極、135は
基体、136はフィルムとフィルムを一定の張力、速度
で送り出すと同時に巻き取る機構、137は排気系、1
38は成膜領域を限定するカバーである。なおイオン源
131はフィルムの両面に対向する位置に各一基、設け
られている。真空槽を1×10-7Torrまで排気した
後、ガス導入系よりCH4 :12sccm、H2 :25
sccmmを導入し、ガス圧を2.5×10-4Torr
としてプラズマを室内にプラズマを生成した。引き出し
電極に0.8kVの電圧を印加して、イオンビームを引
き出しフィルムの両面に照射して膜厚60nmのa−
C:H膜を形成した。なお、a−C:H膜中の水素含有
率をHFSで分析した結果、膜中の水素濃度は27at
om%であった。また、実施例1と同様にして膜硬度と
摩擦係数を評価した結果、それぞれ3000kg/mm
2 、0.12であった。
【0053】以上のようにして得られたフィルムを装着
した加熱定着装置を用い、実施例1と同様に記録材の熱
定着を行った結果、実施例6と同様の安定した定着と耐
久性が得られた。
【0054】<実施例8>図16は、本発明の実施例の
ヒーターを用いた加熱定着装置の部分拡大断面図であ
る。図中119はDLC膜で、その他の各部の構造は図
12と同様である。実施例6と同様にしてポリイミド・
フィルム上にDLC膜を65nm形成した。一方、実施
例6におけるヒーターの発熱抵抗層上に形成した絶縁保
護層106とヒーターが固定されるヒーターホルダー上
でフィルムと接触する部分に、DLC膜を200nm形
成した。
【0055】以上のようにして得られたフィルムとヒー
ターからなる加熱定着装置を用い、実施例6と同様に記
録材の熱定着を行った結果、実施例6と同様の安定した
定着と耐久性が得られた。
【0056】またその他の実施例として、a−C:H膜
又はDLC膜を、ヒーター又はヒーターホルダー側のみ
に設けることができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の手
段は、熱定着による画像形成装置で使用される熱定着用
ヒーターにおいて、発熱抵抗体上に形成されたガラス質
の絶縁保護層上に、気相合成法によりa−C:H膜もし
くはDLC膜を形成し、保護層としての耐摩耗性、摺動
性を向上させることにより、極めて信頼性、耐久性に優
れたヒーターを供給することが可能となった。この結
果、定着スピードの高速化、定着サイズの大型化が可能
となり、ランニング・コストの低減も実現できる。ま
た、本発明の第2の手段は、熱定着による画像形成装置
で使用される熱定着用ヒーターにおいて、ヒーターを形
成するセラミックス基板に、予め発熱抵抗体層を形成す
るための溝を加工し、発熱抵抗体層がセラミックス基板
の表面から突出しないように形成した後、この上に電気
絶縁性が高く、高硬度、低摩擦係数であるa−C:H膜
もしくはDLC膜を絶縁性保護膜として形成するもので
ある。本発明のヒーターによれば、ヒーターとフィルム
間で生じる接触摺動に対して、フィルムの摩耗を生じる
ことなく、安定した摺動特性を保持する極めて信頼性、
耐久性に優れたヒーターを提供することができる。この
結果、定着スピードの高速化、定着サービスの大型化が
可能となり、ランニング・コストの低減も実現できる。
【0058】また、本発明の第3の手段は、熱定着によ
る画像形成装置で使用される熱定着用ヒーターにおい
て、ヒーターと接触摺動するフィルム面、ヒーターホル
ダー面等に高硬度、低摩擦系数であるa−C:H膜もし
くはDLC膜を潤滑性保護膜として形成するものであ
る。
【0059】本発明のヒーターによれば、ヒーターとフ
ィルム間で生じる接触摺動に対して、フィルムの摩耗を
生じることなく、安定した摺動特性を保持する極めて信
頼性、耐久性に優れたヒーターを提供することができ
る。この結果、定着スピードの高速化、定着サイズの大
型化が可能となり、ランニング・コストの低減も実現で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヒーターの表面側の平面図
【図2】本発明に係るヒーターの背面側の平面図
【図3】本発明に係るヒーターの断面図
【図4】本発明の実施例におけるヒーターを用いた定着
装置の断面図
【図5】本発明の第1実施例におけるヒーターの部分断
面図
【図6】本発明の実施例でDLC膜形成に用いたECR
プラズマCVD装置の模式図
【図7】本発明の第2実施例でa−C:H膜形成に用い
たイオンビーム蒸着装置の模式図
【図8】本発明の第3実施例におけるヒーターを用いた
定着装置の断面図
【図9】本発明の第3実施例におけるヒーターの部分断
面図
【図10】本発明の第4実施例におけるヒーターを用い
た定着装置の断面図
【図11】本発明の第5実施例におけるヒーターを用い
た定着装置の断面図
【図12】本発明の第6実施例におけるヒーターを用い
た定着装置の断面図
【図13】本発明の第6実施例におけるヒーターの部分
断面図である。
【図14】本発明の第6実施例でDLC膜形成に用いた
ECRプラズマCVD装置の模式図である。
【図15】本発明の第8実施例にa−C:H膜形成に用
いたイオンビーム蒸着装置の模式図である。
【図16】本発明の第9実施例におけるヒーターを用い
た定着装置の断面図である。
【符号の説明】
1,51,101:ヒーター 2,52,10
2:セラミックス基板 3,53,103:発熱抵抗体 4,54,10
4:電極端子部 5,56’,106:絶縁保護層 18,56:DL
C膜 7,57,107:温度測定素子 8,58,10
8:ヒーターホルダー 9,57,109:裏面断熱層 10,60,11
0:耐熱性フィルム 11,61,111:加圧ローラー 12,62,11
2:電極タブ 13,63,113:ロウ材 14,64,11
4:ワイヤー 15,65,115:定着ニップ 16,66,11
6:記録材 17,67,117:未定着トナー 20:プラズマ室 21:ガス導入系 22:マイクロ波
導入窓 23:マイクロ波導波管 24:電磁石 25:マイクロ波発振器 26:基板、基板
ホルダー 27:真空槽 28:排気系 30:真空槽 31:イオンビー
ム源 32:イオン化室 33:ガス導入系 34:イオンビーム引き出し電極 35:基板 36:基板ホルダー 37:排気系 120:プラズマ室 121:ガス導入
系 122:マイクロ波導入窓 123:マイクロ
波導波管 124:電磁石 125:マイクロ
波発振器 126:フィルム、送り巻き取り機構 127:真空槽 128:排気系 130:真空槽 131:イオンビ
ーム 132:イオン化室 133:ガス導入
系 134:イオンビーム引き出し電極 135:フィルム 136:フィルム送り巻き取り機構 137:排気系 129,138:成膜領域を限定するカバー

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板と、該絶縁性基板に支持され
    通電により発熱する抵抗層と、抵抗層端部に設けられた
    電極端子部を有するヒーターにおいて、前記抵抗層の上
    に水素化アモルファス炭素膜もしくはダイヤモンド状炭
    素膜を形成したことを特徴とするヒーター。
  2. 【請求項2】 請求項1のヒーターにおいて、抵抗層と
    水素化アモルファス炭素膜もしくはダイヤモンド状炭素
    膜との間にガラス等の保護層を形成したことを特徴とす
    るヒーター。
  3. 【請求項3】 請求項1のヒーターにおいて、抵抗層を
    絶縁性基板に設けられた凹部に形成したことを特徴とす
    るヒーター。
  4. 【請求項4】 絶縁性基板と、該絶縁性基板に支持され
    通電により発熱する抵抗層と、抵抗層端部に設けられた
    電極端子部を有するヒーターにおいて、定着フィルムを
    前記ヒーターの表面に接触摺動させ、定着フィルム及び
    ヒーター又はヒーターホルダーの各摺動面のうち少なく
    とも定着フィルムの摺動面に、水素化アモルファス炭素
    膜もしくはダイヤモンド状炭素膜からなる潤滑性保護膜
    を形成したことを特徴とする加熱定着装置。
  5. 【請求項5】 絶縁性基板と、該絶縁性基板に支持され
    通電により発熱する抵抗層と、抵抗層端部に設けられた
    電極端子部を有するヒーターの製造方法において、前記
    抵抗層の上に水素化アモルファス炭素膜もしくはダイヤ
    モンド状炭素膜を形成することを特徴とするヒーターの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5のヒーターの製造方法におい
    て、抵抗層と水素化アモルファス炭素膜もしくはダイヤ
    モンド状炭素膜との間にガラス等の保護層を形成するこ
    とを特徴とするヒーターの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5のヒーターの製造方法におい
    て、抵抗層を絶縁性基板に設けられた凹部に形成するこ
    とを特徴とするヒーターの製造方法。
  8. 【請求項8】 絶縁性基板と、該絶縁性基板に支持され
    通電により発熱する抵抗層と、抵抗層端部に設けられた
    電極端子部を有するヒーターにおいて、定着フィルムを
    前記ヒーターの表面に接触摺動させ、定着フィルム及び
    ヒーター又はヒーターホルダーの各摺動面のうち少なく
    とも定着フィルムの摺動面に、水素化アモルファス炭素
    膜もしくはダイヤモンド状炭素膜からなる潤滑性保護膜
    を形成したことを特徴とする加熱定着装置の製造方法。
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