JP4079212B2 - 塗布膜形成装置およびスピンチャック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス基板や半導体ウエハ等の基板に所定の塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成装置と、このような塗布膜形成装置に装備されるスピンチャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)の製造においては、LCDの大型化や量産化、薄型化を目的として、基板としてより薄くしかも大型のガラス製矩形基板が用いられるようになってきている。このような基板への回路パターンの形成には、基板にフォトレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、所定の回路パターンにてレジスト膜を露光し、これを現像処理するという、いわゆるフォトリソグラフィ技術が用いられている。
【0003】
この回路パターンの形成は、複数の処理ユニットが集約されたレジスト塗布・現像処理システムを用いて行われる。このようなシステムにおいては、まず、基板に対して必要に応じて紫外線照射により表面改質・洗浄処理が行われ、その後に洗浄ユニットによりブラシ洗浄および超音波水洗浄が施される。さらに基板はレジストの安定性を高めるために、アドヒージョン処理ユニットにて疎水化処理(HMDS処理)され、引き続いてレジスト塗布処理ユニットにてレジスト塗布が行われる。こうしてレジスト膜が形成された基板には、加熱ユニットによるプリベーク、露光装置による所定のパターンの露光、現像処理ユニットでの現像処理、加熱ユニットでのポストベーク処理が順次施され、基板に所定の回路パターンが形成される。
【0004】
ここで、レジストの塗布処理工程においては、疎水化処理された基板をスピンチャックに吸着保持して基板上部より基板の略中央部に所定量のレジスト液を供給した後に、基板を所定の回転数で回転させることによって、レジスト液を遠心力により拡散させて、基板上にレジスト膜を形成する。このときの基板は、例えば、1000rpm〜2000rpmという高速回転数で回転処理されるため、スピンチャックにはこのような回転数においても十分に基板を保持することができる吸着力が要求される。
【0005】
このため、従来から、スピンチャックとしては、図10の断面図および図11の平面図に示すように、保持プレート101の基板保持面に環状吸着溝102が同心円状に複数形成され、かつ、これらの環状吸着溝102を連通させるように保持プレート101の中心から周縁に向かって真っ直ぐに延びる放射状の吸着溝(以下「放射状吸着溝」という)103が形成され、保持プレート101の中心に吸引孔104が形成された構造のものが用いられている。吸引孔104は環状吸着溝102および放射状吸着溝103と連通しているために、吸引孔104に対して減圧を行うと、環状吸着溝102および放射状吸着溝103が機能して、基板Gが保持プレート101に確実に吸着保持される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した保持プレート101を用いて基板Gにレジスト膜を形成した場合には、レジストが拡散する方向と放射状吸着溝103の長さ方向が一致していることと、保持プレート101からの熱的影響が基板Gの表面に及ぶことによって、基板Gにおいて放射状吸着溝103が形成されている部分に対応する部分では、その部分だけ局部的にレジスト膜の膜厚が薄くなる。このようなレジスト膜の局所的な膜厚減少(窪み)は最終製品の品質に悪影響を与え、所謂「転写跡」となって製品LCDの画面上に現れる。
【0007】
ここで、「転写跡」とは、最終製品においてLCD画面上にスポット状または線状に現れる画像欠陥をいう。このような転写跡は、レジスト膜中に十分な量の溶剤が存在しているうち(レジスト塗布後プリベーク前のレジスト膜が柔らかいうち)にレジスト膜が吸引保持された基板から熱的影響を受けて、放射状吸着溝103が形成されている部分に対応する部分が局部的に周囲と異なる温度となって、この部分のレジスト膜の厚みが局部的に減少することによって現れるものである。
【0008】
近時、LCD用の基板はさらに薄板化(例えば、厚さ0.5mm〜0.7mm)するとともに、大型化(例えば、830mm×650mm〜920mm×730mm)してきており、これに対処するために、保持プレート101の外径を長くする(保持プレート101を大型化する)必要が生じている。また、レジスト膜の膜厚均一性を高めるために、基板Gの回転速度をさらに高速化させる傾向にある(例えば、1500rpm〜2500rpm)ために、従来よりもさらに大きな吸引力で基板Gを保持プレート101に保持する必要が生じてきている。ところが、保持プレート101の吸引力を強めると、転写跡がより顕著に発生するという問題が生ずる。
【0009】
さらに、LCD製造メーカーは、画像の質的向上を図るために、転写跡の発生の防止を強く要望している。近い将来には基板Gを1250mm×1100mmのサイズにまで拡大することが計画されているために、転写跡の発生を防止することは重要かつ緊急の課題とされている。
【0010】
さらにまた、基板Gのサイズが大きくなると、基板Gに無視できない量の静電気が蓄積され、帯電した基板Gを保持プレート101上に載置した際に、蓄積された静電気が放電して基板が静電破壊によって損傷するおそれが増大する。加えて、保持プレート101のサイズが大きくなると、剛性不足によって保持プレート101の周縁部が垂れ下がり、保持プレート101の前面で基板を確実に保持することが困難になる。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、基板に塗布膜を形成する際における転写跡の発生を防止することができる塗布膜形成装置と、このような塗布膜形成装置に装備されるスピンチャックを提供することを目的とする。また、本発明は、帯電した基板を損傷することなく、確実に吸着保持することができるスピンチャックを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、基板の表面に所定の塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成装置であって、
基板を保持して回転させるスピンチャックと、
前記スピンチャックに保持された基板に所定の塗布液を供給する塗布液供給機構と、
を具備し、
前記スピンチャックは、
基板を略水平に保持する保持プレートと、
前記保持プレートに基板を吸着保持させるための減圧吸引装置と、
前記保持プレートを回転させる回転装置と、
を有し、
前記保持プレートは、
基板保持面に同心円状に設けられた複数の環状吸着溝と、
前記複数の環状吸着溝を連通させるように基板保持面の中央部から中心を通らずに周縁部に非放射状かつ直線状に延びる直線状吸着溝と、
前記減圧吸引装置と連通し、かつ、前記環状吸着溝または前記直線状吸着溝において開口する複数の吸引孔と、
を有することを特徴とする塗布膜形成装置、が提供される。
【0016】
このような第1の観点に係る塗布膜形成装置によれば、保持プレートの基板保持面に形成する吸着溝のパターンを非放射状とすることにより、保持プレートを所定の回転数で回転させる際にも基板が脱離することのない十分な吸着力を確保しつつ、吸着溝に起因する転写跡の発生を防止することができる。
【0019】
本発明の第2の観点によれば、表面に溶剤を含有した塗布液が塗布された基板を、塗布液中の溶剤が含有したままの状態で保持して回転させるスピンチャックであって、
基板を略水平に保持する保持プレートと、
前記保持プレートに基板を吸着保持させるための減圧吸引装置と、
前記保持プレートを回転させる回転装置と、
を具備し、
前記保持プレートは、
基板保持面に略同心円状に設けられた複数の環状吸着溝と、
前記複数の環状吸着溝を連通させるように基板保持面の中央部から中心を通らずに周縁部に非放射状かつ直線状に延びる直線状吸着溝と、
前記減圧吸引装置と連通し、かつ、前記環状吸着溝または前記非放射状の吸着溝において開口する複数の吸引孔と、
を有することを特徴とするスピンチャック、が提供される。
【0020】
このような第2の観点に係るスピンチャックにおいては、保持プレートの基板保持面に導電性樹脂層を形成して帯電を防止することによって、基板の静電破壊を防止することができる。また、基板の周縁を支持する支持部材を保持プレートの外周から外方に延出するように保持プレートに設けることにより、基板全体の水平度を高く維持して、基板を保持することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の塗布膜形成装置の実施の形態について説明する。ここでは、本発明の塗布膜形成装置を、レジスト膜をスピンコートによって形成し、乾燥するレジスト塗布/減圧乾燥ユニットに適用した場合を例として、このレジスト塗布/減圧乾燥ユニットを備えたLCD基板のレジスト塗布・現像処理システムについて説明することとする。
【0022】
図1はレジスト塗布・現像処理システム100の平面図である。このレジスト塗布・現像処理システム100は、複数の基板Gを収容するカセットCを載置するカセットステーション1と、基板Gにレジスト塗布および現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理部2と、露光装置(図示せず)との間で基板Gの受け渡しを行うためのインターフェイス部3とを備えており、処理部2の両端にそれぞれカセットステーション1およびインターフェイス部3が配置されている。
【0023】
カセットステーション1は、カセットCと処理部2との間で基板Gの搬送を行うための搬送機構10を備えている。そして、カセットステーション1においてカセットCの搬入出が行われる。また、搬送機構10はカセットの配列方向に沿って設けられた搬送路10a上を移動可能な搬送アーム11を備え、この搬送アーム11によりカセットCと処理部2との間で基板Gの搬送が行われる。
【0024】
処理部2は、前段部2aと中段部2bと後段部2cとに分かれており、それぞれ中央に搬送路12・13・14を有し、これら搬送路の両側に各処理ユニットが配設されている。そして、これらの間には中継部15・16が設けられている。
【0025】
前段部2aは、搬送路12に沿って移動可能な主搬送装置17を備えており、搬送路12の一方側には2つの洗浄処理ユニット(SCR)21a・21bが配置されており、搬送路12の他方側には紫外線照射ユニット(UV)と冷却ユニット(COL)とが2段に重ねられた処理ブロック25、加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック26および冷却ユニット(COL)が2段に重ねられてなる処理ブロック27が配置されている。
【0026】
また、中段部2bは、搬送路13に沿って移動可能な主搬送装置18を備えており、搬送路13の一方側には、レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22が設けられている。レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22の隣には、基板Gにおける周縁部のレジストを除去する周縁レジスト除去ユニット(ER)23が設けられている。
【0027】
搬送路13の他方側には加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック28、加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック29、およびアドヒージョン処理ユニット(AD)と冷却ユニット(COL)とが上下に重ねられてなる処理ブロック30が配置されている。
【0028】
さらに、後段部2cは、搬送路14に沿って移動可能な主搬送装置19を備えており、搬送路14の一方側には3つの現像処理ユニット(DEV)24a・24b・24cが配置されており、搬送路14の他方側には加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック31、およびともに加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック32・33が配置されている。
【0029】
なお、処理部2は、搬送路を挟んで一方の側に洗浄処理ユニット(SCR)21a、レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22、周縁レジスト除去ユニット(ER)23、現像処理ユニット(DEV)24aのようなスピナー系ユニットのみを配置しており、他方の側に加熱処理ユニットや冷却処理ユニット等の熱系処理ユニットのみを配置する構造となっている。また、中継部15・16のスピナー系ユニット配置側の部分には薬液供給ユニット34が配置されており、さらに主搬送装置のメンテナンスを行うためのスペース35が設けられている。
【0030】
主搬送装置17・18・19は、それぞれ水平面内の2方向のX軸駆動機構、Y軸駆動機構、および垂直方向のZ軸駆動機構を備えており、さらにZ軸を中心に回転する回転駆動機構を備えており、それぞれ基板Gを支持するアームを有している。
【0031】
主搬送装置17は搬送アーム17aを有し、搬送機構10の搬送アーム11との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、前段部2aの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部15との間で基板Gの受け渡しを行う機能を有している。また、主搬送装置18は搬送アーム18aを有し、中継部15との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、中段部2bの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部16との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。さらに、主搬送装置19は搬送アーム19aを有し、中継部16との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、後段部2cの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらにはインターフェイス部3との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。なお、中継部15・16は冷却プレートとしても機能する。
【0032】
インターフェイス部3は、処理部2との間で基板を受け渡しする際に一時的に基板を保持するエクステンション36と、さらにその両側に設けられた、バッファカセットを配置する2つのバッファステージ37と、これらと露光装置(図示せず)との間の基板Gの搬入出を行う搬送機構38とを備えている。搬送機構38はエクステンション36およびバッファステージ37の配列方向に沿って設けられた搬送路38a上を移動可能な搬送アーム39を備え、この搬送アーム39により処理部2と露光装置との間で基板Gの搬送が行われる。
【0033】
このように各処理ユニットを集約して一体化することにより、省スペース化および処理の効率化を図ることができる。
【0034】
このように構成されたレジスト塗布・現像処理システムにおいては、カセットC内の基板Gが処理部2に搬送され、処理部2では、まず前段部2aの処理ブロック25の紫外線照射ユニット(UV)で表面改質・洗浄処理が行われ、冷却処理ユニット(COL)で冷却された後、洗浄処理ユニット(SCR)21a・21bでスクラブ洗浄が施され、処理ブロック26のいずれかの加熱処理ユニット(HP)で加熱乾燥された後、処理ブロック27のいずれかの冷却ユニット(COL)で冷却される。
【0035】
その後、基板Gは中段部2bに搬送され、レジストの定着性を高めるために、処理ブロック30の上段のアドヒージョン処理ユニット(AD)にて疎水化処理(HMDS処理)された後、下段の冷却処理ユニット(COL)で冷却される。次いで、レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22において、基板Gにレジストが塗布され、さらにレジスト膜の減圧乾燥が行われる。
【0036】
このレジスト塗布工程では、例えば、レジスト液を基板Gに供給する前に、基板Gを回転させながらシンナー等を供給して基板Gの表面のレジスト液に対する濡れ性を向上させて、その後に基板Gを一旦静止させ、レジスト液を基板Gに供給してから再び基板Gを回転させて基板Gの全面にレジスト液を拡げるようにして、レジスト膜が形成される。
【0037】
このようなレジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22での処理の終了後に、基板Gは周縁レジスト除去ユニット(ER)23へ搬送され、基板Gの周縁部のレジストの除去が行われる。その後、基板Gは、中段部2bの中の加熱処理ユニット(HP)の1つでプリベーク処理され、処理ブロック29または30の下段の冷却ユニット(COL)で冷却される。
【0038】
次いで、基板Gは中継部16から主搬送装置19にてインターフェイス部3を介して露光装置に搬送されてそこで所定のパターンが露光される。そして、基板Gは再びインターフェイス部3を介して搬入され、必要に応じて後段部2cの処理ブロック31・32・33のいずれかの加熱処理ユニット(HP)でポストエクスポージャーベーク処理を施した後、現像処理ユニット(DEV)24a・24b・24cのいずれかで現像処理され、所定の回路パターンが形成される。
【0039】
現像処理された基板Gは、後段部2cのいずれかの加熱処理ユニット(HP)にてポストベーク処理が施された後、いずれかの冷却ユニット(COL)にて冷却され、主搬送装置19・18・17および搬送機構10によってカセットステーション1上の所定のカセットCに収容される。
【0040】
次に、本発明の塗布膜形成装置の一形態であるレジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22について詳細に説明する。図2は、レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22を模式的に示す断面図であって、蓋体45を下部容器44に装着した状態を示しており、図3は、レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22を模式的に示す別の断面図であって、蓋体45を下部容器44から離隔した状態を示している。
【0041】
レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22は、基板Gを略水平に吸着保持するスピンチャック40と、基板Gとスピンチャック40を内部に配置するチャンバ43とを有している。チャンバ43は下部容器44と蓋体45から構成され、さらに下部容器44は回転可能な内側カップ44aと、内側カップ44aの外周側と下方側を覆う固定された外側カップ44bから構成されている。また、蓋体45は内側カップ44aを閉塞し、内側カップ44aと共に回転可能な内蓋45aと、外側カップ44bを閉塞する外蓋45bから構成されている。
【0042】
スピンチャック40は基板Gを保持する保持プレート40aを有している。保持プレート40aの基板保持面は、帯電防止のために導電性の樹脂、例えばPOM樹脂、で作られている。なお、図2および図3にはこのような導電性樹脂層は図示していない。また、POM樹脂とは、基材となる樹脂に導電性の粒子(例えば、炭素粒子(炭素粉末))または繊維(例えば、炭素繊維)を分散させた複合材料のことをいう。
【0043】
また、保持プレート40aは、剛性不足を解消するために、基板保持面となる導電性樹脂板に、厚さ数mmのアルミニウム板が貼り合わされて構成されている。保持プレート40aの厚みは、例えば12mmであるが、その厚みは10mm〜20mmの範囲とすることが好ましい。
【0044】
保持プレート40aの下面中央には枢軸56が取り付けられており、回転モータ等の回転装置41によって回転駆動されるようになっている。また、保持プレート40aは図示しない昇降機構により昇降可能であり、外側カップ44bの上面よりも上方に突出可能となっている。これにより、主搬送装置18の搬送アーム18aから保持プレート40aへの基板Gの受け渡しと、保持プレート40aから周縁レジスト除去ユニット(ER)23へ基板Gの搬送を容易に行うことができるようになっている。なお、保持プレート40aに対する基板Gの受け渡しを行うためには、保持プレート40aの高さを固定して下部容器44を昇降可能な構成としてもよい。
【0045】
枢軸56は筒状体57によって囲繞されており、真空ポンプ等の減圧吸引装置66によって筒状体57の内部を減圧することが可能となっている。筒状体57の内部は、後に説明するように、保持プレート40aの表面に形成された吸着溝に連通する吸引孔と連通しており、保持プレート40aの表面に形成された吸着溝に吸着能が付与される。
【0046】
内蓋45aの上部中央には支持部材52が取り付けられており、支持部材52の上端には係止部材61が配設されている。これら内蓋45aと支持部材52および係止部材61の中央を貫通するように、ガス導入口58aが形成されており、係止部材61上にはガス導入口58aからチャンバ43内へのガスの流入を制御することができるように弁54を有する開閉装置53が配設されている。
【0047】
内蓋45aの下部には内蓋45aと微小間隔ほど隔離するように整流板51が形成されている。従って、ガス導入口58aから流入したガスは、図2中の矢印で示されるように、整流板51と内蓋45aとの間を流れて内側カップ44aに形成された排出口50から外側カップ44bへ導かれ、外側カップ44bの底部に形成された排気口46bを通って排気される。
【0048】
外蓋45bの上部には、開閉装置55により開閉可能なガス導入口58bが形成されている。図2および図3では、開閉装置55として左右方向にスライドするものを示しているが、開閉装置55はこのような形態(構造)に限定されるものではない。このガス導入口58bからチャンバ43内へ流入したガスは、内蓋45aと外蓋45bとの間を通って、内側カップ44aに形成された排出口50から排出されるガス等と混合されながら、外側カップ44bに形成されているガス流路を通って排気口46bから外部へと排出される。
【0049】
なお、ガス導入口58a・58bからチャンバ43内へ流入するガスは、レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22が配置される場所の雰囲気ガスであることが一般的であり、多くの場合に空気である。しかしながら、例えば、ガス導入口58a・58bにガス導入管を取り付けて、特にパーティクルの含有量が少ないように調整されたガス等を流入させることも可能である。
【0050】
外蓋45bの中央部には支持部材52が貫通しており、支持部材52と外蓋45bとの間はシールされているが、これらの部材は固定はされておらず、従って、外蓋45bは支持部材52の上下方向に可動である。外蓋45bの上面に取り付けられた支持棒62には上面に突起部65bが形成された円環状のベース部材63が固定されており、突起部65bは係止部材61の下面に形成されている凹部65aと嵌合する形状となっている。
【0051】
こうして、昇降機構64により支持棒62を上昇させた場合には支持棒62と共に外蓋45bとベース部材63がまず上昇し、ベース部材63と係止部材61とが突起部65bと凹部65aが嵌合して接触した時点から、係止部材61と支持部材52および内蓋45aも上昇し、チャンバ43全体が開口した状態となる。逆に、支持棒62を降下させた場合には最初に内蓋45aが内側カップ44aの上開口部を閉塞し、その後に係止部材61とベース部材63が離れて、外蓋45bが外側カップ44bを閉塞するまでベース部材63と外蓋45bが一緒に下降する。
【0052】
内側カップ44aは回転機構42によって筒状体57周りに回転可能な構造となっており、回転機構42は、保持プレート40aを回転させる回転装置41とは異なる別の図示しない回転装置により、保持プレート40aとは独立して回転することが可能となっている。
【0053】
内側カップ44aの外縁底部には排出口50が形成されており、基板Gから飛散したレジスト液が外側カップ44bの外縁底部へ向けて排出されるようになっている。また、内側カップ44aの底部下面の外縁部にはフィン59が配設され、フィン59は内側カップ44aを回転させたときに、排出口50からのレジスト液やガスの排出を促進させるように、チャンバ43内に気流を起こす形状に設計されている。こうして、ガス導入口58a・58bを閉塞するか、または、開口量を小さくした状態において内側カップ44aを回転させると、チャンバ43内に負圧を発生させて減圧雰囲気を作り出すことが可能である。
【0054】
外側カップ44bには仕切板47が設けられ、また、外側カップ44bの外縁底部には排出口46aが形成されている。仕切板47は外側カップ44b内でのガス流路を形成するとともに、排出口50から排出されたレジスト液を外側カップ44bの外縁底部へ導く役割を果たしており、内側カップ44aから排出されて仕切壁47に導かれたレジスト液は、排出口46aから外部へ排出される。
【0055】
外側カップ44bの底壁には排気口46bが形成されており、この排気口46bには、例えば、工場ダクト等の図示しない排気機構が取り付けられ、チャンバ43内に流入したガスを排気することができるようになっている。また、外側カップ44bの底壁には、排気管48がチャンバ43の内部と連通するように配設されており、排気管48には強制排気を行うことができる真空ポンプ等の排気装置49が設けられている。
【0056】
排気口46bおよび排気管48からの排気を行う際に、ガス導入口58a・58bを閉口させるか、または開口量が小さい場合には、チャンバ43内を負圧とすることができ、こうして、レジスト膜が形成された基板Gを減圧乾燥することが可能となる。逆に、ガス導入口58a・58bを開口させた状態とすると、ガス導入口58a・58bからチャンバ43内にガスを容易に導入することができる。
【0057】
外側カップ44bの外側には支持柱70が立設されており、支持柱70からは基板Gにレジスト液や溶剤を供給するためのヘッド72を先端に有するアーム71が延出している。ヘッド72は、塗布液であるレジスト液を吐出するためのレジスト液吐出ノズル73aと、シンナー等の溶剤を吐出するための溶剤吐出ノズル73bとを有しており、多系統のノズルユニットを構成している。
【0058】
アーム71は、支持柱70に内蔵等された図示しない回転機構によって回転可能に構成され、ヘッド72はレジスト液や溶剤の供給時には図3に示されるように基板Gの中央部上空に位置され、一方、蓋体45で下部容器44を閉塞する際には図2に示されるように退避位置へ移動することができるようになっている。なお、上記の回転装置41、排気装置49、減圧吸引装置66、昇降機構64の各動作は、コントローラ60によって制御されるようになっている。
【0059】
次に、保持プレート40aの形態についてより詳細に説明する。図4は保持プレート40aの断面図であり、図5はその平面図である。保持プレート40aの上面には、同心円状に環状吸着溝81a〜81fが形成されており、さらにこれらの環状吸着溝81a〜81fの全てを横切って環状吸着溝81a〜81fを連通させる直線状吸着溝84が非放射状に形成されている。
【0060】
なお、図4および図5においては、保持プレート40aの構造を分かりやすく示すために、環状吸着溝81a〜81fの幅を広く描き、また、6本の環状吸着溝81a〜81fしか描かれていないが、実機においては、例えば、保持プレート40aの外径が500mmφである場合には、環状吸着溝81a〜81fそれぞれの幅は0.3mm〜0.8mm、その深さは0.2mm〜0.4mmの範囲とすることが好ましく、環状吸着溝81どうしは0.5mm〜1.5mmの間隔で形成することが好ましい。また、最内周の環状吸着溝81aの外径は50mmφ〜150mmφとすることが好ましい。
【0061】
直線状吸着溝84は、保持プレート40aの回転中心Oを通ることなく、保持プレート40aの径方向からずれるようにして、環状吸着溝81aを等分割する各点から真っ直ぐに周縁部に向かって延びている。すなわち、直線状吸着溝84は、半径線S(保持プレート40aの回転中心Oを通る直線)と角度θをなす直線Vに沿って真っ直ぐに形成されている。この角度θを10度(°)以上とすることが好ましく、これにより転写跡の発生を有効に防止することができる。
【0062】
なお、図5に示す直線Hは直線Sに直交する垂線である。直線状吸着溝84の方向を示す直線Vがこの直線Hと重なる位置まで角度θを拡げることが可能である。つまり、角度θは90°まで拡大することができる。しかし、角度θは90°を超えないようにする必要がある。これは、角度θが90°を超える場合には、直線状吸着溝84が最内周に形成された環状吸着溝81aの内部を通過することとなるからである。
【0063】
また、直線状吸着溝84が最内周に形成された環状吸着溝81aの接線と一致する場合には、直線状吸着溝84どうしが交差するよう直線状吸着溝84を形成することも可能である。しかし、これによって複数の吸着溝(直線状吸着溝84と環状吸着溝81a〜81fのいずれか)が交差してその交差部分の面積が広くなると、基板Gに凹凸が生じ、これによってレジスト膜に局部的な凹凸が生じやすくなるために、直線状吸着溝84どうしは、できるだけ交差しないようにすることが好ましい。
【0064】
最内周に設けられた環状吸着溝81aと直線状吸着溝84との各交差部分には、保持プレート40aを貫通するように吸引孔82が形成されている。保持プレート40aの内部には空洞部83が形成されており、この空洞部83は吸引孔82および筒状体57の内部と連通している。保持プレート40aを回転させるために、保持プレート40aに固定された枢軸56が筒状体57内に配置されている。筒状体57と保持プレート40aとの間にはシール部57aが設けられており、保持プレート40aを回転させたときに筒状体57は回転せず、かつ、空洞部83を減圧することができるようになっている。
【0065】
保持プレート40aの表面に基板Gを載置した状態で、減圧吸引装置66を動作させて筒状体57内を減圧すると、筒状体57に連通した空洞部83が減圧され、空洞部83に連通した吸引孔82を介して環状吸着溝81a〜81fと直線状吸着溝84に吸引力が付与される。これにより、保持プレート40aの表面(基板保持面)に基板Gが吸着される。こうして保持プレート40aに基板Gを吸着保持して、基板Gの略中心にレジスト液を塗布し、保持プレート40aを所定の回転数で回転させると、レジスト液は基板Gの中心から放射状に外側へ向けて拡がって基板G全体にレジスト膜が形成される。
【0066】
ところで、先に図11に示した従来の保持プレート101のように、放射状吸着溝103が表面に形成されている場合には、レジスト液が拡がっていく方向と放射状吸着溝103の長さ方向とが一致する。また、保持プレート101に限らず基板保持面に吸着溝が形成された保持プレートに基板Gを吸着保持した場合には、基板において吸着溝が形成されている部分に対応する部分と吸着溝が形成されていない部分に対応する部分との間で温度差が生ずる。このため、保持プレート101を用いた場合には、基板Gにおいて、放射状吸着溝103が形成されている部分に沿って拡がるレジスト液と、それ以外の部分(つまり環状吸着溝102と環状吸着溝102が形成されていない部分)を通過しながら拡がるレジスト液との間で熱履歴が生じ、これらの部分間で形成されるレジスト膜の厚みが変化する。これにより結果的にLCD製品に転写跡が発生することとなる。
【0067】
しかし、保持プレート40aには放射状の吸着溝が形成されていないために、基板Gの表面を拡がるレジスト液の熱履歴が全体的に同じものとなり、これによってLCD製品における転写跡の発生が抑制されて、LCD製品の品質を高く維持することができる。
【0068】
さて、保持プレート40aの外周端面からは左右一対の支持板85が外方に向かって延び出している。図5に示すように、支持板85は基板Gの長辺方向の周縁部を支持するものであり、保持プレート40aに支持されないはみ出し部分が自重で垂れ下がるのを防止するとともに、基板Gの平坦度を確保することによって保持プレート40aによる基板Gの吸着保持をより確実にするものである。支持板85の長さL1は、基板Gおよび保持プレート40aのサイズに応じて種々に変えることができる。例えば、基板Gのサイズが920mm×730mm、保持プレート40aの直径D1が540mmφの場合は、支持板85の長さL1を30〜40mmとすることが好ましい。
【0069】
次に、スピンチャック40に用いられる保持プレートの別の実施形態について説明する。図6は保持プレート40bの概略断面図であり、図7はその概略平面図である。保持プレート40bの基板保持面には、環状吸着溝81a〜81gが同心円状に形成されており、環状吸着溝81a〜81gにはそれぞれ2箇所ずつ吸引孔82a〜82gが形成されている。図7に示すように、これらの吸引孔82a〜82gは、保持プレート40bの回転中心Oについて点対称となるように、かつ、アルキメデスの螺旋曲線(糸巻きから糸を解く曲線)上に乗るように幾何学的に配置されている。保持プレート40bの内部には空洞部83が形成されており、吸引孔82a〜82gは空洞部83と連通している。さらに、空洞部83は筒状体57の内部空間と連通し、この内部空間は減圧吸引装置66により減圧可能となっている。
【0070】
なお、図6および図7には、7本の環状吸着溝81a〜81gが記載されているが、先に説明した保持プレート40aの場合と同様に、環状吸着溝は、保持プレート40bのサイズに応じて、適宜、適切な数だけ設けられる。また、吸引孔82a〜82gは、環状吸着溝81a〜81gのそれぞれについて少なくとも1箇所形成されていればよい。しかし、環状吸着溝81a〜81gの円周長さは、保持プレート40bの外周部に形成されるものほど長くなる。そこで、環状吸着溝81a〜81gがそれぞれ均等な吸着力を有するように、外周部に形成される環状吸着溝、例えば、環状吸着溝81e〜81gに対しては、形成する吸引孔82e〜82gの数を多くすることも好ましい。吸引孔82a〜82gの形成位置は、図7に示した位置に限定されるものではない。
【0071】
このような保持プレート40bにおいては、図11に示す保持プレート101のように放射状吸着溝103が形成されていないために、レジスト液が拡がる際の熱履歴は全体的に同じものとなり、これによりLCD製品における転写跡の発生が抑制される。
【0072】
保持プレート40bの外周端面からは左右一対の支持枠86が外方に向かって延び出している。図7に示すように、支持枠86は基板Gの長辺方向の周縁部を支持するものであり、保持プレート40bに支持されないはみ出し部分が自重で垂れ下がるのを防止するとともに、基板Gの平坦度を確保することによって保持プレート40bによる基板Gの吸着保持をより確実にする。支持枠86の長さL2(一対の支持枠86の両端間の長さ)は、基板Gおよび保持プレート40bのサイズに応じて種々に変えることができる。例えば、基板Gのサイズが920mm×730mm、保持プレート40bの直径D2が540mmφの場合は、支持枠86の長さL2を600〜620mmとし、支持枠86の幅L3を400〜480mmとすることが好ましい。
【0073】
次に、スピンチャック40に用いられる保持プレートのさらに別の実施形態について説明する。図8は保持プレート40cの概略平面図である。保持プレート40cの基板保持面には、中央部に環状吸着溝87が形成されており、この環状吸着溝87に連通するように波形吸着溝88が均等な間隔で非放射状に形成されている。環状吸着溝87と波形吸着溝88との交差部分には吸引孔89が形成されており、保持プレート40cの内部には保持プレート40a・40bと同様に空洞部(図示せず)が形成されており、この空洞部は吸引孔89および筒状体57の内部と連通している。
【0074】
なお、吸引孔89は、図8に示すように、環状吸着溝87に集約して形成する必要はなく、吸引孔89を波形吸着溝88のそれぞれに設けても構わず、その数は1本の波形吸着溝88について1箇所に限定されるものでもない。
【0075】
保持プレート40cにこのような波形吸着溝88を設けた場合には、同数の直線状の吸着溝を設けた場合と比較すると、総延長が長くなるために吸着面積が広くなり、これによって複数の環状吸着溝を形成しなくとも、十分な吸着力を得ることができる。
【0076】
保持プレート40cに吸着保持された基板Gの中心部にレジスト液を供給して、保持プレート40cを所定の回転数で回転させ、レジスト膜を形成した際には、波形吸着溝88は非放射状に形成されているために、LCD製品における転写跡の発生が抑制され、LCD製品の品質を高く維持することができる。
【0077】
なお、環状吸着溝87を設けることなく、複数の波形吸着溝88を互いに保持プレートの中心で連通するように形成し、この連通部分に吸引孔を設けた構造を有する保持プレートを用いて、レジスト膜の形成を行ったところ、この保持プレートの中心部に対応する基板Gの中心部に略円形の転写跡が発生した。この転写跡は、保持プレートに当接している部分(吸着溝が形成されていない部分)の上を拡がることがなかったレジスト液に起因するものと考えられる。
【0078】
これに対して、保持プレート40cの場合には、保持プレート40cの中央部において基板Gと保持プレート40cとが当接しているために、基板G上を拡がるレジスト液は、必ず保持プレート40cと当接している部分の上を通過するために、保持プレート40cの温度分布の影響を受け難くなり、これによって転写跡の発生が抑制される。
【0079】
次に、スピンチャック40に用いられる保持プレートのさらに別の実施形態について説明する。図9は保持プレート40dの概略平面図である。保持プレート40dは、同心状に形成された4本の環状吸着溝91a〜91dと、非放射状に設けられた4本の直線状吸着溝94とを備えている。
【0080】
各環状吸着溝91a〜91dの幅と深さは実質的に同じであり、隣り合う環状吸着溝91a〜91dの相互の間隔は等しい。なお、図9においては、その構造を分かりやすくするために4本の環状吸着溝91a〜91dを示したが、先に説明した保持プレート40aの場合と同様に、環状吸着溝は保持プレート40dのサイズに応じて、適宜、適切な数だけ設けられる。
【0081】
直線状吸着溝94は環状吸着溝91a〜91dの全てを横切るように、保持プレート40dの中心部から周縁部に向かって真っ直ぐに延び出している。直線状吸着溝94の長さ方向は、保持プレート40dの中心O´を通る直線と一致しないように、かつ、各直線状吸着溝94どうしが交差することのないように、設計すればよい。
【0082】
最も内側に設けられている環状吸着溝91aと各直線状吸着溝94とが交差する4箇所に吸引孔92が形成されている。保持プレート40dの内部には、保持プレート40a・40bと同様に空洞部(図示せず)が形成されており、この空洞部は吸引孔92および筒状体57の内部と連通している。吸引孔92を形成する位置は図9に示される位置に限定されるものではなく、例えば、環状吸着溝91bと直線状吸着溝94との交差部分や、環状吸着溝91a〜91dの任意の位置または直線状吸着溝94の任意の位置に吸引孔92を設けることができる。また、吸引孔92の数は4箇所に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0083】
先に説明した保持プレート40aを用いた場合と同様に、保持プレート40dを用いた場合には、放射状の吸着溝が形成されていないために、基板Gの表面を拡がるレジスト液の熱履歴が全体的に同じものとなる。これによってLCD製品における転写跡の発生が抑制されて、LCD製品の品質を高く維持することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、保持プレート40a・40bと同様に、保持プレート40cにおいても、複数の環状吸着溝、例えば環状吸着溝81a〜81fを形成してもよい。また、保持プレート40a・40cの表面に形成される非放射状の吸着溝は直線形状や波形形状に限定されず、より複雑に屈曲した曲線や屈曲した折れ線であってもよい。
【0085】
上記説明においては、塗布膜形成装置としてレジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)22を例として説明したが、フォトリソグラフィ工程において基板Gにレジスト膜を形成する場合に限定されず、例えば、層間絶縁膜を形成する塗布膜形成装置にも本発明を適用することが可能である。また、本発明の塗布膜形成装置は、基板G上に現像液を塗布して現像液パドルを形成し、その後に基板Gを回転させて現像液を振り切る現像処理ユニット(DEV)24a〜24cにも適用することができる。さらに、上記実施の形態においては、基板としてLCD基板を挙げて説明してきたが、基板は、半導体ウエハやCD基板等であっても構わない。
【0086】
【発明の効果】
上述の通り、本発明の塗布膜形成装置によれば、基板を保持する保持プレートの表面に環状吸着溝を同心円状に形成し、保持プレートの中心から外周に向かう放射状の吸着溝を形成しないことによって、基板を所定の回転数で回転させた際にも基板が脱離しないような十分な吸着力を確保しつつ、基板に放射状の転写跡が発生することを防止することができる。また、保持プレートに保持プレートの中心部から周縁部に向かう吸着溝を形成する場合にも、吸着溝のパターンを非放射状とすることにより、基板における転写跡の発生を有効に防止することができる。
【0087】
さらに、本発明のスピンチャックによれば、帯電が防止されるために基板の静電破壊の発生を抑制することができる。さらにまた、スピンチャックの保持プレートに基板を支持する支持板または支持枠を設けて基板の周縁を支持することによって、基板の水平度が高められるために、保持プレートはより確実に基板を吸着保持することが可能となり、基板の脱落が防止される。このように本発明は、基板の品質を高め、生産歩留まりを向上させることを可能とするという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布膜形成装置の一実施形態であるレジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)を備えたレジスト塗布・現像処理システムを示す平面図。
【図2】レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)を模式的に示す断面図。
【図3】レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)を模式的に示す別の断面図。
【図4】レジスト塗布/減圧乾燥ユニット(CT/VD)に用いられる保持プレートの一実施形態を示す概略断面図。
【図5】 図4に示す保持プレートの概略平面図。
【図6】保持プレートの別の実施形態を示す概略断面図。
【図7】図6に示す保持プレートの概略平面図。
【図8】保持プレートのさらに別の実施形態を示す概略平面図。
【図9】保持プレートのさらに別の実施形態を示す概略平面図。
【図10】従来のスピンチャックに用いられている保持プレートの一実施形態を示す概略断面図。
【図11】図10に示す保持プレートの概略平面図。
【符号の説明】
22;レジスト塗布/減圧乾燥ユニット
40;スピンチャック
40a・40b・40c・40d;保持プレート
41;回転装置
66;減圧吸引装置
72;ヘッド
73a;レジスト液吐出ノズル
73b;溶剤吐出ノズル
81a〜81g;環状吸着溝
82;吸引孔
83;空洞部
84;直線状吸着溝
85;支持板
86;支持枠
87;環状吸着溝
88;波形吸着溝
89;吸引孔
91a〜91d;環状吸着溝
92;吸引孔
94;直線状吸着溝
100;レジスト塗布・現像処理システム
G;基板(LCD基板)
Claims (14)
- 基板の表面に所定の塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成装置であって、
基板を保持して回転させるスピンチャックと、
前記スピンチャックに保持された基板に所定の塗布液を供給する塗布液供給機構と、
を具備し、
前記スピンチャックは、
基板を略水平に保持する保持プレートと、
前記保持プレートに基板を吸着保持させるための減圧吸引装置と、
前記保持プレートを回転させる回転装置と、
を有し、
前記保持プレートは、
基板保持面に同心円状に設けられた複数の環状吸着溝と、
前記複数の環状吸着溝を連通させるように基板保持面の中央部から中心を通らずに周縁部に非放射状かつ直線状に延びる直線状吸着溝と、
前記減圧吸引装置と連通し、かつ、前記環状吸着溝または前記直線状吸着溝において開口する複数の吸引孔と、
を有することを特徴とする塗布膜形成装置。 - 前記吸引孔は、前記環状吸着溝と前記直線状吸着溝とが交差する部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗布膜形成装置。
- 前記直線状吸着溝は前記複数の環状吸着溝の全てと交差し、かつ、前記直線状吸着溝と最内周に位置する前記環状吸着溝との交差点と前記保持プレートの中心点とを通る放射状の直線と、前記直線状吸着溝の長さ方向とのなす角が10°以上90°以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布膜形成装置。
- 前記直線状吸着溝は前記複数の環状吸着溝の全てと交差し、かつ、前記直線状吸着溝の長さ方向は前記直線状吸着溝と最内周に位置する前記環状吸着溝との交差点における前記環状吸着溝の接線方向と一致していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
- 前記複数の直線状吸着溝は、互いに交差することのないように、かつ、最外周に位置する前記環状吸着溝との交差点どうしの間の距離が一定となるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
- 隣接する2つの前記環状吸着溝の外径差は、1.6mm以上4.6mm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
- 前記保持プレートの基板保持面は矩形であり、前記環状吸着溝は、前記保持プレートの各辺に対して実質的に平行となるように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布膜形成装置。
- 前記環状吸着溝または前記非放射状の吸着溝は、幅が0.3mm以上0.8mm以下であり、かつ、深さが0.2mm以上0.4mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
- 前記保持プレートの内部に前記減圧吸引装置を動作させた際に内部が減圧される空洞部が形成され、かつ、前記吸引孔が前記空洞部と連通していることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
- 表面に溶剤を含有した塗布液が塗布された基板を、塗布液中の溶剤が含有したままの状態で保持して回転させるスピンチャックであって、
基板を略水平に保持する保持プレートと、
前記保持プレートに基板を吸着保持させるための減圧吸引装置と、
前記保持プレートを回転させる回転装置と、
を具備し、
前記保持プレートは、
基板保持面に略同心円状に設けられた複数の環状吸着溝と、
前記複数の環状吸着溝を連通させるように基板保持面の中央部から中心を通らずに周縁部に非放射状かつ直線状に延びる直線状吸着溝と、
前記減圧吸引装置と連通し、かつ、前記環状吸着溝または前記非放射状の吸着溝において開口する複数の吸引孔と、
を有することを特徴とするスピンチャック。 - 前記直線状吸着溝は前記複数の環状吸着溝の全てと交差し、かつ、前記直線状吸着溝と最内周に位置する前記環状吸着溝との交差点と前記保持プレートの中心点とを通る放射状の直線と、前記直線状吸着溝の長さ方向とのなす角が10°以上90°以下であることを特徴とする請求項10に記載のスピンチャック。
- 前記保持プレートの基板保持面に導電性樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のスピンチャック。
- 基板の周縁を支持する支持部材が、前記保持プレートの外周から外方に延出するように前記保持プレートに設けられていることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載のスピンチャック。
- 前記保持プレートの基板保持面は矩形であり、前記環状吸着溝は、前記保持プレートの各辺に対して実質的に平行となるように設けられていることを特徴とする請求項10に記載のスピンチャック。
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