JPWO2011034172A1 - シリコン精製方法およびシリコン精製装置 - Google Patents

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Abstract

このシリコン精製方法は、金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備えるシリコン精製装置を用い、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面と前記プラズマトーチから噴射されるプラズマガスとが成す角が20度以上80度以下に設定された状態で、前記溶湯面に向けて、前記プラズマガスを噴射することによって前記金属シリコンを精製する。

Description

本発明は、金属シリコン(金属シリコンからなる母材)をプラズマガスの吹き付けによって金属シリコンを精製するシリコン精製方法およびシリコン精製装置に関する。
本願は、2009年9月18日に日本に出願された特願2009−217117号、2009年9月18日に日本に出願された特願2009−217118号、および2009年9月18日に日本に出願された特願2009−217119号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
太陽電池等に使用されるシリコンの精製において、プラズマアーク又はプラズマガスの加熱による精製は、含有不純物であるボロン(B:ホウ素)等を除去するための酸化精製に用いられる(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。これらのシリコン精製に用いられるシリコン精製装置の種類としては、プラズマアークを発生させる電極の配置の違いによって、移送型と非移送型とに大別される。
移送型の装置は、プラズマトーチ内にカソード電極を設け、プラズマトーチのノズル口には僅かな直流電圧しか印加せず、坩堝の底部に設けた導電性部材をアノード電極として、両電極間に直流電圧を印加してプラズマアークを発生させ、ノズル口から、坩堝内に装填された金属シリコンに向けて、プラズマアークを噴射し、金属シリコンを加熱する(例えば、特許文献1参照)。
一方、非移送型の装置は、プラズマトーチ内にカソード電極とアノード電極を設け、プラズマトーチ内の両電極間に直流電圧を印加してプラズマアークを発生させ、プラズマトーチのアノード電極を兼ねるノズル口から、坩堝内に装填された金属シリコンに向けて、プラズマガスを噴射し、金属シリコンを加熱する(例えば、特許文献1,2参照)。
前記移送型と前記非移送型とを比較すると、前記移送型では、被加熱物に直接プラズマアークが当たるため、前記非移送型よりも金属シリコンの加熱効率に優れている。
一方、前記非移送型では、被加熱物にプラズマガスのみを当てる。この際、前記移送型でみられるピンチ効果によるプラズマガスの集束は起こらず、シリコン溶湯表面に当たったプラズマガスは広がる傾向がある。このため、プラズマガスとシリコン溶湯表面との接触面積が広くなり、ボロン等を除去する酸化精製において、ボロン等の除去速度を前記移送型よりも速めて、優れたシリコン精製効率が得られていると考えられている。
特開平10−203813号公報 特開2004−125246号公報
日本金属学会誌、第67巻、第10号、2003年、p583−589
太陽電池等に使用するシリコンの需要が益々高まっている現在、プラズマガスをシリコン溶湯面に吹き付けてボロン等を除去するシリコン精製の効率の向上が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ボロン等の除去効率に優れ、金属シリコンの精製効率を高められるシリコン精製方法、およびプラズマガスのシリコン溶湯面への接触面積を増やすことができ、金属シリコンの精製効率の向上が図れるシリコン精製装置を提供することを課題とする。
本発明のシリコン精製方法は、金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備えるシリコン精製装置を用い、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面と前記プラズマトーチから噴射されるプラズマガスとが成す角が20度以上80度以下に設定された状態で、前記溶湯面に向けて、前記プラズマガスを噴射することによって前記金属シリコンを精製する。
本発明のシリコン精製方法においては、前記シリコン精製装置は、複数のプラズマトーチを備え、前記溶湯面に複数の窪みが形成されるように、複数のプラズマトーチの各々からプラズマガスを吹き付ける。
本発明のシリコン精製方法は、前記溶湯面に回流を発生させる。
本発明のシリコン精製方法は、前記回流の順方向に、前記プラズマガスを吹き付ける。
本発明のシリコン精製方法は、前記複数の窪みを円周上に有する仮想円Aの接線方向に、且つ、該仮想円Aの円周の一方向に揃えて、前記各プラズマトーチから各々プラズマガスを吹き付ける。
本発明のシリコン精製方法は、前記仮想円Aの半径をlと表し、前記仮想円Aと同じ中心を有し、且つ前記溶湯面の外周に内接する仮想円Bの半径をLと表し、前記複数の窪みにおける前記仮想円Aの接線と直交する向きの直径をiと表す場合、下記式(1)の関係が成り立つように、前記複数のプラズマガスを吹き付ける。
本発明のシリコン精製装置は、金属シリコンを装填する坩堝と、プラズマガスの進行方向を制御する角度制御部を備え、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面に向けて前記プラズマガスを噴射するプラズマトーチとを含む。
本発明のシリコン精製装置は、複数のプラズマトーチを備え、前記複数のプラズマトーチの各々からプラズマガスを噴射することにより、前記溶湯面に複数の窪みを形成し、該複数の窪みに沿って回流を発生させるように、前記複数のプラズマトーチの各々が配置されている。
本発明のシリコン精製装置においては、前記複数のプラズマトーチの各ノズル口の向きが、前記回流の順方向に揃えられている。
本発明のシリコン精製装置は、複数のプラズマトーチを備え、前記複数のプラズマトーチの各々からプラズマガスを噴射することにより、前記溶湯面に形成される複数の窪みを円周上に有する仮想円Aと、前記各プラズマトーチのノズル口を前記溶湯面に投影した各点を円周上に有する仮想円Fとが、同心円になるように、各プラズマトーチのノズル口が配置されている。
本発明のシリコン精製装置においては、前記各プラズマトーチのノズル口の向きが、前記同心円の右回り又は左回りのいずれか一方向に揃えられている。
本発明のシリコン精製装置においては、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面と、前記各プラズマトーチのノズル口の向きとの成す角が、20度以上80度以下の範囲で設置されている。
本発明のシリコン精製装置においては、前記プラズマトーチのノズル口に近い位置には、プラズマ作動ガスの供給口と、前記プラズマ作動ガスの供給口とは異なる酸化性ガスの供給口とが設けられている。
本発明のシリコン精製方法は、金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備えるシリコン精製装置を用い、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面に向けて、前記プラズマトーチからプラズマガスを噴射することによって前記金属シリコンを精製し、前記プラズマガスに水蒸気を添加して前記金属シリコンを精製する際に、前記金属シリコンの溶湯温度を1700℃以上1900℃以下に制御する。
本発明のシリコン精製方法においては、前記坩堝は、黒鉛を主成分として含む材質によって構成されている。
本発明のシリコン精製方法は、前記プラズマガスに添加する前記水蒸気の流量の割合は、該プラズマガスの全流量の15体積%以上40体積%以下である。
本発明のシリコン精製装置は、前記シリコン精製方法を用いたシリコン精製装置であって、前記プラズマトーチのノズル口に近い位置には、プラズマ作動ガスの供給口と、前記プラズマ作動ガスの供給口とは異なる水蒸気の供給口とが設けられている。
本発明のシリコン精製方法は、金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備えるシリコン精製装置を用い、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面に向けて、前記プラズマトーチのノズル口からプラズマガスを噴射することによって前記金属シリコンを精製し、前記ノズル口から噴射されるプラズマガスの方向における前記ノズル口先端の中心から前記溶湯面までの距離を一定に保持する。
本発明のシリコン精製方法は、前記プラズマガスにおけるラジカルリッチ領域が前記溶湯面に位置するように、前記距離を一定に保持して金属シリコンを精製する。
本発明のシリコン精製方法においては、前記距離をLと表し、前記プラズマガスの作動ガス流量をVと表す場合、下記式(2)の関係が成立する。
[式中、係数aは0.75以上2.0以下の実数であり、Lの単位はミリメートルであり、Vの単位はリットル/分である。]
本発明のシリコン精製装置は、前記シリコン精製方法を用いたシリコン精製装置であって、前記距離を制御する駆動部が備えられている。
本発明のシリコン精製装置においては、前記ノズル口に近い位置には、プラズマ作動ガスの供給口と、前記プラズマ作動ガスの供給口とは異なる酸化性ガスの供給口とが設けられている。
本発明のシリコン精製方法によれば、溶融状態にある金属シリコン溶湯面とプラズマガスの進行方向(入射方向)との成す角が20度以上80度以下であることにより、プラズマガスと前記溶湯面との接触面積が増えるため、金属シリコン中の不純物の酸化・除去反応が効率よく行われて、シリコン精製効率を向上させることができる。すなわち、前記成す角が90度である場合、前記プラズマガスは前記溶湯面に対して垂直に吹き付けられ、その際に前記溶湯面に形成される窪みは円形である。一方、前記成す角が20度以上80度以下である場合、前記プラズマガスは前記溶湯面に対して斜めに入射して吹き付けられ、その際に前記溶湯面に形成される窪みは略楕円形となる。前記円形の窪みの表面積よりも、前記略楕円形の窪みの表面積が大きい。すなわち、前記略楕円形の窪みにおける前記プラズマガスと前記溶湯面との接触面積は、前記円形の窪みにおける前記プラズマガスと前記溶湯面との接触面積よりも大きい。一般に、前記金属シリコン中に含まれる不純物は、前記窪みの表面で効率よく酸化されて蒸発して除去されると考えられている。このため、前記略楕円形の窪みをシリコン溶湯面上に形成する本発明のシリコン精製方法は、従来のシリコン精製方法よりも精製効率が優れている。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記シリコン精製装置に前記プラズマトーチが複数備えられ、該複数のプラズマトーチから複数のプラズマガスを吹き付ける。この場合、前記溶湯面に前記略楕円形の窪みを複数形成することができ、前記プラズマガスと前記溶湯面との接触面積が増加するため、シリコン精製効率をより向上させることができる。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記プラズマガスを吹き付けて前記溶湯面に回流を発生させることにより、前記溶湯面における溶融した金属シリコンの攪拌が起こり、さらにシリコン溶湯全体の攪拌(対流)も起こり易くなるので、シリコン精製効率をさらに向上させることができる。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記回流の順方向(右回り又は左回りの方向)に揃えて、前記プラズマガスを吹き付ける場合、前記溶湯面における溶融した金属シリコンの攪拌がより容易に起こり、さらにシリコン溶湯全体の攪拌(対流)もより起こり易くなるので、シリコン精製効率を一層向上させることができる。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記複数の窪みを円周上に有する仮想円Aの接線方向に、且つ、該仮想円Aの円周の一方向に揃えて、前記各プラズマトーチから各々プラズマガスを吹き付ける。この場合、前記仮想円Aの中心付近に中心を有する前記回流をより容易に起こすことができ、前記溶湯面における溶融した金属シリコンの攪拌をより容易に起こすことができる。この結果、シリコン溶湯全体の攪拌(対流)もより起こり易くなるので、シリコン精製効率を一層向上させることができる。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記仮想円Aの半径をlと表し、前記仮想円Aと同じ中心を有し、且つ前記溶湯面の外周に内接する仮想円Bの半径をLと表し、前記複数の窪みにおける前記仮想円Aの接線と直交する向きの直径をiと表す場合、上記式(1)の関係が成り立つように、前記複数のプラズマガスを吹き付ける。これにより、前記複数の窪みが外乱により干渉されて乱されることを抑制し、前記回流をさらに一層容易に起こすことができる。その結果、シリコン溶湯面の攪拌がさらに一層容易に起こり、シリコン溶湯全体の攪拌(対流)もさらに一層起こり易くなるので、シリコン精製効率をさらに一層向上させることができる。
ここで、前記外乱とは、次の(現象A)又は(現象B)をいう。
(現象A):前記溶湯面において、一方の窪みで生じるシリコン溶湯面の流れ及び該シリコン溶湯面から反射するプラズマガス流が、他方の窪みに達して、該他方の窪みが乱される。
(現象B):前記溶湯面において、窪みで生じるシリコン溶湯面の流れ及び該シリコン溶湯面から反射するプラズマガス流が、前記溶湯面の外周(外縁)に通常存在する坩堝の内壁に跳ね返されて戻ってくることにより、該窪みが乱される。
本発明のシリコン精製装置は、金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備え、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面に向けて、前記プラズマトーチからプラズマガスを噴射する。また、このシリコン精製装置は、前記プラズマトーチは前記プラズマガスの進行方向を制御する角度制御部を備える。これにより、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面と該プラズマガスの進行方向(入射する方向)との成す角を所定の角度(例えば、20度以上80度以下)に設定して前記プラズマガスをシリコン溶湯面に吹き付けることができるので、効率的なシリコン精製を行うことができる。
また、本発明のシリコン精製装置では、前記プラズマトーチを複数備え、各プラズマトーチから各々プラズマガスを噴射したことにより前記溶湯面に複数の窪みを形成し、該複数の窪みに沿って回流を発生させるように、各々のプラズマトーチが配置されている。この場合、該回流を起こして前記溶湯面をより容易に攪拌することができるので、より効率的なシリコン精製を行うことができる。この場合、さらに前記複数のプラズマトーチの各ノズル口の向きが、前記回流の順方向(前記回流の流れに沿う方向)に揃えられていると、該回流の勢いが増して前記溶湯面をより一層効容易に攪拌することができるので、より一層効率的なシリコン精製を行うことができる。
また、本発明のシリコン精製装置において、前記プラズマトーチを複数備え、各プラズマトーチから各々プラズマガスを噴射したことにより前記溶湯面に形成される複数の窪みを円周上に有する仮想円Aと、前記各プラズマトーチのノズル口を前記溶湯面に投影した各点を円周上に有する仮想円Fとが、同心円になるように、各プラズマトーチのノズル口が配置されている。この場合、各プラズマガスを仮想円Aの接線方向に吹き付けることが容易にでき、該仮想円Aに沿う回流を発生させることが容易となり、前記溶湯面をより一層容易に攪拌することができるので、より一層効率的なシリコン精製を行うことができる。
ここで、ノズル口を溶湯面に投影した各点とは、溶湯面の鉛直方向から見て、ノズル口の位置に対応する溶湯面上の位置を意味する。
さらに、前記各プラズマトーチのノズル口の向きが、前記同心円の右回り又は左回りのいずれか一方向に揃えられていることにより、前記仮想円Aに沿う右回り又は左回りの回流の勢いが増して前記溶湯面をさらにより一層容易に攪拌することができるので、さらにより一層効率的なシリコン精製を行うことができる。
また、本発明のシリコン精製装置では、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面と、前記プラズマトーチのノズル口の向きとの成す角が、20度以上80度以下の範囲で設置されている。これにより、前記ノズル口から噴射されるプラズマガスを、該プラズマガスと前記溶湯面との成す角が20度以上80度以下となるように、吹き付けることができるため、該プラズマガスと該溶湯面との接触面積が増加して、シリコン精製効率を高めることができる。
また、本発明のシリコン精製装置において、前記プラズマトーチのノズル口の近傍には、各プラズマトーチごとに、プラズマ作動ガスの供給口と、プラズマ作動ガスの供給口とは異なる酸化性ガスの供給口とが備えられている。これにより、各プラズマトーチの角度を変更した場合にも安定して前記酸化性ガスを供給できるため、前記酸化性ガス由来のラジカルを各プラズマガスに十分に含ませることができ、さらに効率的なシリコン精製を行うことができる。
本発明のシリコン精製方法によれば、該坩堝及びそれに装填された金属シリコンの溶湯温度を1700度以上1900度以下に制御してシリコン精製を行う。これにより、水蒸気が添加されたプラズマガスによってシリコン中の不純物が酸化されて蒸発する効率が高まるため、シリコン精製効率を高めることができる。その際、黒鉛を主成分として含む材質によって構成された坩堝を用いることにより、前記溶湯温度においても、該坩堝から不純物がシリコン溶湯中に溶け出さないため好ましい。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記プラズマガスに添加する前記水蒸気の流量の割合が該プラズマガスの全流量の15体積%以上40体積%以下である場合、金属シリコン中に含まれる不純物であるボロン(ホウ素)等を十分に酸化することができる。
また、本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチのノズル口先端(吹き付け口)の近傍に、プラズマ作動ガスの供給口と、プラズマ作動ガスの供給口とは異なる水蒸気の供給口とが備えられている。この場合、プラズマガス中に該水蒸気が効率よく添加されて、該プラズマガス中にラジカル(OHラジカル等)を豊富に含ませることができる。そのラジカルを含むプラズマガスを用いると、シリコン精製効率がより向上する。
本発明のシリコン精製方法によれば、プラズマトーチのノズル口先端の中心と溶融状態にある金属シリコンの溶湯面との距離を一定に保ちつつ、プラズマガスを該溶湯面に吹き付けて金属シリコンを精製する。これにより、精製中に金属シリコンの蒸発よる溶湯面の降下が進行しても、精製中に該溶湯面に吹き付けられるプラズマガスの量が変化せず、効率的にシリコン精製を行うことができる。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記プラズマガスにおけるラジカルリッチ領域が溶融状態のシリコンの溶湯面に位置するように、前記プラズマガスを前記溶湯面へ吹き付けて金属シリコンを精製する。これにより、該溶湯面における不純物の酸化反応及び除去が一層促進されて、シリコン精製効率が一層向上する。このとき、前記ノズル口先端の中心と前記溶湯面との距離を一定に保持するので、前記ラジカルリッチ領域を前記溶湯面に精製中常に一定して吹きつけることが可能であり、シリコン精製効率を極めて高くすることができる。
また、本発明のシリコン精製方法において、前記式(2)を満たすように前記プラズマトーチと前記溶湯面との相対的な位置を定めて、この位置を保持して金属シリコンを精製することにより、前記ラジカルリッチ領域を前記溶湯面に十分に位置させることができる。
本発明のシリコン精製装置は、精製中に金属シリコンの蒸発よる溶湯面の降下が進行しても、それに連動してプラズマトーチの位置を降下させたり、坩堝の位置を上昇させたりする駆動部を備えるので、精製中に該溶湯面に吹き付けられるプラズマガスの量、該プラズマガスの溶湯面に対する入射角度、及びプラズマトーチのノズル口先端(吹き付け口)の中心と該溶湯面との距離を一定に保つことが可能であり、その結果、効率的にシリコン精製を行うことができる。
また、本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチのノズル口先端(吹き付け口)の近傍に、プラズマ作動ガスの供給口と、プラズマ作動ガスの供給口とは異なる酸化性ガスの供給口とが備えられている。この場合、プラズマ炎中に該酸化性ガスが効率よく添加されて、発生するプラズマガス中にラジカルリッチ(ラジカルが豊富な)領域が形成されやすくなる。そのラジカルを含むプラズマガスを用いると、シリコン精製効率がより向上する。
本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチの構成例と、該プラズマトーチから噴射されるプラズマガスを示す模式断面図である。 本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチ及びプラズマガスと金属シリコンの溶湯面との相対的な位置関係を示す模式断面図である。 複数のプラズマトーチがプラズマガスを仮想円Aの接線方向に吹き付ける際のプラズマトーチと仮想円Aとの位置関係を例示する模式図である。 複数のプラズマトーチがプラズマガスを仮想円Aの接線方向に吹き付ける際のプラズマトーチと仮想円Aとの位置関係を例示する模式図である。 複数のプラズマトーチがプラズマガスを仮想円Aの接線方向に吹き付ける際のプラズマトーチと仮想円Aとの位置関係を例示する模式図である。 坩堝内に装填された金属シリコンの溶湯表面に形成された楕円形の窪みを示す模式図である。 本発明のシリコン精製装置の構成例と、その動作を説明する模式断面図である。 金属シリコン溶湯面とプラズマガスとの成す角と、精製後のシリコン中のボロン濃度との関係を示すグラフである。 仮想円Aの半径と精製後のシリコン中のボロン濃度との関係を示すグラフである。 本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチの構成例と、該プラズマトーチから噴射されるプラズマガスを示す模式断面図である。 本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチのノズル口と金属シリコンの溶湯面との相対的な位置関係を示す模式断面図である。 本発明のシリコン精製装置の構成例と、その動作を説明する模式断面図である。 プラズマガス中に添加した水蒸気濃度(体積%)とシリコン中のボロン濃度との関係を示すグラフである。 シリコン精製中のシリコン溶湯の温度とシリコン中のボロン濃度との関係を示すグラフである。 本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチの構成例と、該プラズマトーチから噴射されるプラズマガスを説明する模式断面図である。 本発明のシリコン精製装置におけるプラズマトーチのノズル口と金属シリコンの溶湯面との相対的な位置関係を示す模式断面図である。 本発明のシリコン精製装置の構成例と、その動作を説明する模式断面図である。 精製時間(精製開始後の経過時間)とシリコン中のボロン濃度との関係を示すグラフである。 変数aと精製後のシリコン中のボロン濃度との関係を示すグラフである。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1におけるプラズマトーチ10の構成例と、該プラズマトーチ10から噴射されるプラズマガスJを説明する模式断面図である。
プラズマトーチ10は、アノード電極11、カソード電極12、プラズマ作動ガス供給口11a、及び酸化性ガス供給口11bを備える。
アノード電極11に囲まれた空間には、プラズマ作動ガス(不活性ガス)G1をプラズマトーチ10のノズル口11cに供給するためのプラズマ作動ガス供給口(供給路)11aが形成されている。プラズマ作動ガスG1として、ここではアルゴン(Ar)ガスを使用する。また、図示していないが、アノード電極11の過熱を防ぐための冷却部をアノード電極11の近傍(アノード電極11に近い位置)又はアノード電極11の内部に設けてもよい。
また、プラズマ作動ガスG1として、アルゴン(Ar)ガス等の不活性ガス、アルゴンガスに水素(H)ガスを混合した混合ガス等が使用できる。該水素ガスをアルゴンガスに混合することにより、金属シリコン中の不純物の酸化による除去効率を高めることができる。
アノード電極11に囲まれた空間には、カソード電極12が設けられている。このカソード電極12は、アノード電極11とは絶縁されて、直流電源13の負極に電気的に接続されており、アノード電極11との間にプラズマアークPを発生させるための熱電子を放出する。
プラズマアークPを発生させつつ、プラズマ作動ガス供給口11aからプラズマ作動ガスG1であるアルゴンガスをノズル口11cへ供給することにより、プラズマガスを伴うプラズマ炎5がノズル口11cから噴射される。
アノード電極11の内部には、プラズマ作動ガス供給口11aと、プラズマ作動ガス供給口11aとは異なる位置に設けられ、酸化性ガスG2をプラズマトーチ10のノズル口11cの近傍(ノズル口11cに近い位置)に供給するための酸化性ガス供給口11bとが形成されている。酸化性ガスG2としては、水蒸気、一酸化炭素ガス、酸素ガス等が挙げられる。ここでは水蒸気を使用する。該水蒸気を前記プラズマガスに所定の体積%の割合で添加することにより、OHラジカルを豊富に含むプラズマガスJがプラズマ炎5と共にノズル口11cから噴射される。
ここで、前記水蒸気(酸化性ガスG2)の所定体積%の添加とは、前記アルゴンガス(プラズマ作動ガスG1)の体積と前記水蒸気の体積との和(プラズマガス)に占める前記水蒸気の割合である。例えば、流量80L/分のプラズマ作動ガスに、流量20L/分の水蒸気を添加した場合、プラズマガスの全流量は100L/分となるので、該水蒸気は20体積%の割合で添加されたことになる。
前記水蒸気の供給方法としては、図1に示すように、アノード電極11のノズル口11c近傍、即ち、ノズル口11cに近い位置に設けられた酸化性ガス供給口11bから添加する方法が好ましい。この方法で添加することにより、プラズマガス中に後述のラジカルリッチ領域Rを効率よく形成することができる。
上記の方法の他に、プラズマトーチ10とは別体の水蒸気供給装置(酸化性ガスG2)のノズルを、プラズマガスへ向けて配置し、該プラズマガス中へ水蒸気を添加する方法を用いてもよい。
プラズマガスJにおけるOHラジカル(酸化性ガスのラジカル)の濃度分布は、図1では便宜上段階的なグラデーションとして描いたが、実際には漸次的に変化する濃度分布であると考えられる。すなわち、前記OHラジカルの濃度分布は、プラズマ炎5の先端部からプラズマガスJの先端部の方向へ見たとき、図1で示した領域Rの中央を頂点とする正規分布として表されると考えられる。よって、図1のRで示した領域が、ラジカルを豊富に含むプラズマガスJにおいて、最もラジカルが豊富な領域である。この領域Rを、本明細書では、ラジカルリッチ領域Rと呼ぶ。
なお、プラズマガスJにおけるラジカル濃度分布は、例えばイメージインテンシファイア及びCCD素子を搭載した高速ゲートカメラ等を用いた光学的測定法により調べることができる。
図2は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1におけるプラズマトーチ10から噴射されるプラズマガスJと金属シリコン18の溶湯面18bとの相対的な位置関係を示す模式断面図である。
坩堝15は、プラズマトーチ10の直下に配置され、金属シリコン18が装填されている。該金属シリコン18は、プラズマガスJによって加熱されて溶融状態にされてもよいし、他の方法(例えば、誘導コイルを用いた高周波誘導加熱等)によって溶融されていてもよい。前記坩堝15は、黒鉛(グラファイト)からなる坩堝が好適である。
金属シリコン18の母材としては、太陽電池の光電変換素子に用いられるシリコン母材が好適である。該シリコン母材は、通常10ppm程度のボロンを不純物として含有しており、ボロン濃度が0.3ppm以下になるように金属シリコンを精製することが望ましい。
図2において、プラズマトーチ10のノズル口は坩堝15に向けられて、プラズマガスJを溶湯面18bに吹き付けている。ここでは、該プラズマガスJと該溶湯面18bとの成す角(該溶湯面18bから該プラズマガスJが入射する方向を見上げた仰角)をθとして示してある。すなわち、該プラズマガスJは該溶湯面18bに対してθの角度で入射するように吹き付けられている。
プラズマガスJが吹き付けられた溶湯面18bには、窪み18aが形成されている。前記成す角が90度の場合、窪み18aの形状は円形となる。一方、前記成す角が20度以上80度以下の場合、窪み18aの形状は略楕円形となる。
なお、本明細書において、プラズマガスJの吹き付けによって溶湯面18bに形成された窪み18aにおける溶湯面18bの高さ位置に形成される平面形状を略楕円形という。前記略楕円形は、該略楕円形を近似する完全な楕円形を含む。
前記円形の窪み18aと前記略楕円形の窪み18aとを比べると、円形の窪み18aの表面積よりも、前記略楕円形の窪み18aの表面積が大きい。このことは、図1に示した線分S1及び線分S2からも理解される。すなわち、前記成す角θを90度としてプラズマガスJの前記線分S1の位置を溶湯面18bに位置させた場合、前記線分S1におけるプラズマガスJの大きさが前記円形の窪み18aのおおよその直径である。一方、前記成す角θを約60度としてプラズマガスJの前記線分S2の位置を溶湯面18bに位置させた場合、前記線分S2におけるプラズマガスJの大きさが前記略楕円形の窪み18aのおおよその長径である(前記略楕円形に近似される楕円形の長軸の長さ)。ここで、前記線分S1と前記線分S2とを比較すると、線分S1よりも線分S2が明らかに長いので、円形の窪み18aの表面積よりも略楕円形の窪み18aの表面積が大きい。
このように、本発明では前記成す角θを20度以上80度以下の範囲とすることによって、プラズマガスJを溶湯面18bに吹き付けて前記略楕円形の窪み18aを形成することができるので、プラズマガスJと溶湯面18bとの接触面積をより広くすることが可能となる。プラズマガスJが溶湯面18bと接触する面において金属シリコン18中の不純物の酸化反応が起こる。このため、前記成す角θが90度の場合と比較して、前記成す角θが20度以上80度以下の場合においてより効率的にプラズマガスJを溶湯面18bに接触させることができ、シリコン精製効率を向上させることができる。
本発明のシリコン精製方法の前記成す角θとしては、20度以上80度以下の範囲において、30度以上70度以下が好ましく、40度以上60度以下がより好ましい。上記範囲内に角θが決定されていると、シリコン精製効率が一層向上する。
プラズマガスJを溶湯面18bに吹き付ける際、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが、前記溶湯面18bに位置するように、プラズマトーチ10と溶湯面18bとの距離を適宜調節することが望ましい。該ラジカルリッチ領域Rを用いて前記窪み18aを形成することにより、プラズマガスJに含まれるラジカル(OHラジカル等)をより効率的に溶湯面18bに接触させることができ、金属シリコン18中の不純物の酸化反応によるシリコン精製効率を一層向上させることができる。
前記金属シリコン18中の不純物であるボロン等が除去されるメカニズムとしては、酸化性ガスG2が添加されたプラズマガスJにより、前記溶湯面18bに形成される窪み18aの表面において、少なくとも酸化性ガスG2及び該酸化性ガスG2由来のラジカル(例えば、OHラジカル)によって酸化されたボロン等が蒸発して除去されると考えられる。
前記酸化性ガスG2としては、金属シリコン18中の不純物の除去効率が高く、取り扱いが比較的容易で、安全性も高いことから、水蒸気が好ましい。
本発明のシリコン精製方法では、複数のプラズマトーチ10が備えられたシリコン精製装置1を用いることが好ましい。該複数のプラズマトーチ10から複数のプラズマガスJを溶湯面18bに吹き付けることによって、該溶湯面18bに前記略楕円形の窪み18aを複数形成することができ、単一のプラズマトーチ10による場合よりもシリコン精製効率を向上させることができる。
前記複数のプラズマトーチ10のそれぞれの成す角θは、20度以上80度以下の範囲であれば、それぞれ独立に異なる成す角θであってもよいし、同一の成す角θに揃えてもよい。
また、前記複数のプラズマトーチ10のそれぞれが噴射するプラズマガスJの流量(プラズマ作動ガスG1の流量)、及びプラズマガスJに添加する水蒸気量(酸化性ガスG2の量)としては、それぞれ独立に異なっていてもよいし、同一であってもよい。
また、本発明のシリコン精製方法では、前記複数のプラズマガスJを吹き付けることによって、少なくとも前記溶湯面18bに回流を発生させることが好ましい。該回流によって、前記溶湯面18bにおいてシリコン溶湯18を攪拌する流れを起こすことができ、さらに溶湯面18bのシリコンがプラズマガスJの加熱によって対流して起こる攪拌効果をより一層高めることができる。この結果、シリコン溶湯18全体の攪拌が起こり易くなり、シリコン精製効率をさらに向上させることができる。
前記回流は、周回状又は渦状の流れをいう。該回流は、特定の中心及び大きさをもつ周回状又は渦状の流れであってもよいし、その中心が不特定の位置にあって常に大きさが変化する周回状又は渦状の流れであってもよい。上記の周回状又は渦状の流れとしては、例えば、溶湯面の中央付近に回流の中心が位置し、該中心から該溶湯面の外周(外縁)までの距離の半分程度の長さの半径をもつ周回状又は渦状の流れが挙げられる。
前記回流は、単一のプラズマトーチ10によるプラズマガスJを吹き付けることによっても起こすことはできるが、複数のプラズマトーチ10によるプラズマガスJを吹き付ける場合において、より効率的に回流を発生させることができる。その際、複数のプラズマトーチ10によるプラズマガスJの相対的な位置および吹き付けの向きを適宜調整することが望ましい。その調整方法を以下に説明する。
本発明のシリコン精製方法では、前記回流の順方向(前記回流の流れの向きに沿う方向)に、前記プラズマガスJを吹き付けることが好ましい。複数のプラズマガスJが該順方向に揃えて吹き付けられることにより、該回流の勢いを増して前記溶湯面の攪拌効率およびシリコン精製効率を高めることができる。
本発明のシリコン精製方法では、前記複数のプラズマガスを吹き付けることによって前記溶湯面18bに形成される前記略楕円形の複数の窪み18aが円周上に位置する仮想円Aを仮想的に設定し、その仮想円Aの接線方向に、且つ、その仮想円Aの円周の一方向(例えば、前記回流の順方向)に揃えて、前記複数のプラズマガスJを吹き付けることが好ましい。
このように吹き付けた場合、前記溶湯面18bにおいてシリコン溶湯18を攪拌する流れを起こすことがより容易となり、さらに溶湯面18bのシリコンがプラズマガスJの加熱によって対流して起こる攪拌効果をより一層高めることができる。また、前記溶湯面18bにおいて、前記仮想円Aの中心付近に中心を有する回流を起こし易くすることができる。この結果、シリコン溶湯18全体の攪拌が一層起こり易くなり、シリコン精製効率を一層向上させることができる。
ここで、前記仮想円Aの円周上に位置する前記略楕円形の窪み18aにおいて、該略楕円形の短軸と長軸の交点が該円周上に位置することが好ましいが、該略楕円形の中央部が該円周上に位置していればよい。
また、前記溶湯面に形成される前記略楕円形の複数の窪み18aのうち、全ての窪み18aが前記仮想円Aの円周上に位置することが好ましいが、一部の窪み18aが前記仮想円Aの円周上に位置していなくともよい。
前記仮想円Aの例を図3A〜図3Cに示す。
図3Aでは、二つのプラズマトーチ10の各ノズル口を溶湯面18b(図では紙面に相当)に投影した各点を円周上に有する仮想円F(不図示)と、各プラズマトーチ10から各々プラズマガスJを噴射したことにより前記溶湯面18bに形成される複数の窪み(不図示)を円周上に有する仮想円A(図では符号7)とが、同心円になるように、各プラズマトーチ10のノズル口が配置されている。そして、該仮想円Aの接線方向に、且つ、その円周に対して右回りの方向に揃えて、各々プラズマガスJが吹き付けられている。
このように各プラズマトーチを配置して各々プラズマガスJを吹き付けることにより、前記仮想円A上の前記複数の窪みに沿った右回りの回流を発生させることができる。
図3Bでは、三つのプラズマトーチ10の各ノズル口を溶湯面18b(図では紙面に相当)に投影した各点を円周上に有する仮想円F(不図示)と、各プラズマトーチ10から各々プラズマガスJを噴射したことにより前記溶湯面18bに形成される複数の窪み(不図示)を円周上に有する仮想円A(図では7)とが、同心円になるように、各プラズマトーチ10のノズル口が配置されている。そして、該仮想円Aの接線方向に、且つ、その円周に対して右回りの方向に揃えて、各々プラズマガスJが吹き付けられている。
このように各プラズマトーチを配置して各々プラズマガスJを吹き付けることにより、前記仮想円A上の前記複数の窪みに沿った右回りの回流を発生させることができる。
図3Cでは、四つのプラズマトーチ10の各ノズル口を溶湯面18b(図では紙面に相当)に投影した各点を円周上に有する仮想円F(不図示)と、各プラズマトーチ10から各々プラズマガスJを噴射したことにより前記溶湯面18bに形成される複数の窪み(不図示)を円周上に有する仮想円A(図では7)とが、同心円になるように、各プラズマトーチ10のノズル口が配置されている。そして、該仮想円Aの接線方向に、且つ、その円周に対して右回りの方向に揃えて、各々プラズマガスJが吹き付けられている。
このように各プラズマトーチを配置して各々プラズマガスJを吹き付けることにより、前記仮想円A上の前記複数の窪みに沿った右回りの回流を発生させることができる。
ここで、各プラズマガスJと溶湯面18bとの各接点は前記仮想円A上にあり、その各接点において、前記略楕円形の窪み18aがそれぞれ形成されている(図3A〜図3Cには該窪み18aを示していない)。また、該仮想円Aにおける各接点間の距離は等しい。すなわち、図3A〜図3Cの各仮想円Aではそれぞれ、各接点で挟まれた円周上の各弦は等しい長さをもつ。
本発明のシリコン精製方法では、図4に示すように、前記仮想円Aの半径をlと表し、前記仮想円Aと同じ中心Cを有して前記溶湯面18bの外周(外縁)に内接する仮想円B(図では坩堝15の内周)の半径をLと表し、前記略楕円形の窪み18aにおける前記仮想円Aの接線と直行する向きの直径(前記略楕円形の短径)をiと表す場合、下記式(3)が成立するように前記複数のプラズマガスJを吹き付けることが好ましい。
ここで前記式(3)は、前記仮想円Aの円周上にある前記略楕円形における短軸と長軸の交点が、前記坩堝15の中心から、前記略楕円形の短軸の長さである短径iの3倍の値(3i)以上離れていて、且つ、該交点が前記坩堝15の内壁から3i以上離れていることを意味する。
なお、前記坩堝15が例えば四角形であって、溶湯面18bの外周が四角形である場合は、前記仮想円Bは該四角形に内接する円である。また、前記仮想円Bは、前記溶湯面の外周の1点以上で内接していればよく、必ずしも複数の点で内接していなくてもよい。
前記式(3)が成り立つ場合、図4に示すように、前記短軸(短径i)を中心Cに向けて延長すると、その延長線は中心Cを通過する。また、図4では、略楕円形の窪み18aの長軸(長径)hの方向が、溶湯面18bの鉛直方向から見たプラズマガスJの吹き付けの向きに対応している。換言すれば、符号hで示された方向は、プラズマガスJを溶湯面18bに投影した場合におけるプラズマガスJの方向に対応している。
上記式(3)を満たすように前記複数のプラズマガスJを吹き付けて、複数の略楕円形の窪み18aを溶湯面18bに形成した場合、前記複数の略楕円形の窪み18aが外乱により干渉されて乱されることを抑制し、前記仮想円Aの中心付近に中心を有する回流をさらに一層起こし易くすることができる。この結果、シリコン溶湯面の攪拌を起こすことができ、ひいてはシリコン溶湯全体の攪拌もさらに一層起こし易くできるので、シリコン精製効率をさらに一層向上させることができる。
ここで、前記外乱とは、次の(現象A)又は(現象B)を指す。
(現象A):前記溶湯面18bにおいて、一方の略楕円形の窪み18aで生じるシリコン溶湯面18bの流れ及び該溶湯面18bから反射するプラズマガス流が、他方の略楕円形の窪み18aに達して、該他方の窪み18aが乱される。
(現象B):前記溶湯面18bにおいて、略楕円形の窪み18aで生じるシリコン溶湯面18bの流れ及び該溶湯面18bから反射するプラズマガス流が、前記溶湯面18bの外周(外縁)に通常存在する坩堝15の壁に跳ね返されて戻ってくることにより、該略楕円形の窪み18aが乱される。
前記(現象A)については、例えば、前記複数の略楕円形の窪み18aがそれぞれ中心Cの近傍に位置して、互いに外乱を与える場合が挙げられる。
また、上記式(3)を満たす場合であっても、前記仮想円Aにおける各窪み18aが互いに近い距離にある場合は、上記(現象A)の外乱が起こりうる。この外乱を防ぐために、略楕円形の各窪み18aの長軸と短軸との交点は、前記仮想円Aの円周上において、互いに外乱を与え合わないよう十分な距離を保って離れることが好ましく、各交点間の距離が等しい(すなわち、円周上の各交点で挟まれた各弦の長さが全て等しい)ことがより好ましい。
図5は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1の構成例と、その動作を説明する模式断面図である。プラズマトーチ10は、誘導コイル17が巻かれた坩堝15の鉛直上方向に配置され、鉛直上下方向に該プラズマトーチ10を移動する駆動部に接続されている。該駆動部は台座21に載置されている。また、前記プラズマトーチ10には、紙面奥行き及び手前方向にプラズマガスJの進行方向を制御するためにプラズマトーチ10の角度を調整する角度制御部が設けられている。
図5における前記駆動部は、ボールネジ22、ベルト23、及びモータ24を備えている。モータ24の駆動力がベルト23を介してボールネジ22を回転させて、ボールネジに接続されたシャフトが、鉛直方向で上下に移動される。プラズマトーチ10は前記シャフトに接続されているので、モータ24の回転を制御することにより、プラズマトーチ10を坩堝15に装填された金属シリコン18に近づけたり遠ざけたりすることができる。すなわち、前記駆動部を制御することにより、プラズマトーチ10のノズル口11cの先端の中心から金属シリコン18の溶湯面18bまでの距離Dを所定の距離に調整することができる。
図5における前記角度制御部は、トーチホルダー26、アーム27、ベルト28、及びモータ29を備えている。モータ29の駆動力がベルト28を介してアーム27を回転させることにより、トーチホルダー26に固定されたプラズマトーチ10の紙面奥行き及び手前方向の傾きが調整される。すなわち、前記角度制御部を制御することにより、前記溶湯面18bに対する前記プラズマトーチ10の角度を制御して、前記成す角θを所定の角度に調整することができる。
前述のような駆動部を備える本発明のシリコン精製装置1は、シリコン精製中に、前記距離Dを一定に保つように制御して運転することが好ましい。この運転方法を、シリコン精製装置1を使用したシリコン精製手順とともに、以下に説明する。
まず、金属シリコン(金属シリコンからなる母材)18を坩堝15内に装填する。つづいて、誘導コイル17による高周波誘導加熱によって、該金属シリコン18を溶融する。金属シリコン18が1420℃以上に達し、塊状のシリコンが見られなくなれば溶融したと判断される。
酸化精製時のシリコンの溶湯の温度は、1500℃以上1900℃以下で行うことが好ましい。温度が1500℃未満では、酸化精製のために吹き付ける水蒸気の影響でシリカ(SiO) の被膜に覆われやすく、脱ボロン速度が低下するからである。一方、シリコンの溶湯温度は高過ぎても脱ボロン速度は低下するため1900℃以下とすることが望ましい。
つぎに、前記角度制御部を制御することによって、前記成す角θが所定の角度となるようにプラズマトーチ10の溶湯面18bに対する角度を調整する。つづいて、前記駆動部を制御することによってプラズマトーチ10を溶湯面18bに近付けて、所定の位置にプラズマトーチ10を停止させ、プラズマ作動ガスG1(Arガス)を供給し、さらに酸化性ガスG2(水蒸気)を添加することによって、プラズマトーチ10のノズル口11cからプラズマガスJを溶湯面18bに向けて吹き付ける。
このとき、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが、溶湯面18bに位置するように、プラズマトーチ10を所定の位置に配置すると、精製効率が一層向上する。その方法としては、プラズマトーチ10のノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの距離Dと、プラズマ作動ガスG1の流量Vとの間に、下記式(4)の関係が成立するように、プラズマトーチ10を配置することが好ましい。
前記式(4)中、係数aは0.75以上2.0以下の実数であり、Dの単位はミリメートルであり、Vの単位はリットル/分である。前記係数aの範囲は、本発明の発明者らの鋭意検討により見出された数値範囲である。
前記係数aが上記範囲の下限値未満であると、プラズマガスJ及びラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bよりも深過ぎる位置に到達して、シリコン18の溶湯を周囲に飛散させる恐れがあり、十分な酸化精製を行うことが難しくなる。
一方、前記係数aが上記範囲の上限値を超えると、プラズマガスJ及びラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bに十分に到達せず、酸化精製を効率よく行うことが難しくなる。
また、前記距離Dは、プラズマトーチ10のノズル口11cから噴射されるプラズマガスJの方向に見たときの、ノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの距離であり、ノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの最短距離を必ずしも指す距離ではない。すなわち、プラズマガスJが溶湯面18bに対して傾けて噴射される場合は、該距離Dは、該最短距離よりも当然に長くなる。
上記のようにプラズマトーチ10を配置して、プラズマガスJを溶湯面18bに吹き付けることにより、溶湯面18bに略楕円形の窪み18aが形成される。この窪み18aにおいて、主に酸化反応が起きて、ボロン等の不純物が酸化され、蒸発して除去される。
このように蒸発が起こるので、酸化精製中に徐々に溶湯面18bが降下して、前記距離Dが徐々に長くなることがある。そのため、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bよりも上方に位置するようになり、酸化精製の効率が落ちてしまうことがある。この効率低下を抑制するために、前記距離Dが一定となるようにシリコン精製装置1の駆動部を制御することが好ましい。
前記距離Dの制御の方法としては、予備実験で前記蒸発の速度及び溶湯面18bの降下速度を予め調べておき、それを基にプラズマトーチ10の降下速度を予め設定しておき、本番の酸化精製時には、その設定に基づいて前記駆動部を制御する方法が、一例として挙げられる。また、別の方法として、プラズマトーチ10のノズル口11cに距離センサーを付帯させて設けて、ノズル口11cと溶湯面18bとの距離Dをモニターし、前記距離Lが長くなるのに連動して前記駆動部を制御してプラズマトーチ10の位置を下げる方法も挙げられる。
前記プラズマトーチ10の制御において、プラズマトーチ10の降下移動は、蒸発速度に合わせて連続的に移動してもよいし、ラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bから外れない範囲で断続的に(ステップワイズに)移動してもよい。
なお、上記ではプラズマトーチ10を移動させる場合について説明したが、坩堝15を上方へ移動することによっても、前記距離Dを一定に保つことができ、同様の効果が得られる。この場合は、坩堝15を移動するための別の駆動部が必要となる。
図5に示したシリコン精製装置1は、プラズマトーチ10が1本備えられている例であるが、2本以上のプラズマトーチが備えられていることが好ましい。複数のプラズマトーチを設ける理由と、複数のプラズマトーチの配置構造及び配置方法は上述の通りである。
また、添加する酸化性ガスG2(水蒸気)の流量は、プラズマガスの全流量(プラズマ作動ガスG1の流量と添加した酸化性ガスG2の流量との和)の15体積%以上40体積%以下の範囲内とすることが望ましい。15体積%未満であると脱ボロン速度が低下し、40体積%を超えるとシリカの被膜に覆われやすく、やはり脱ボロン速度が低下するからである。
また、酸化性ガスG2(水蒸気)の添加後のトーチ出力は、精製する金属シリコンの質量1kg当たりで、3kW/kg以上30kW/kg以下の範囲内に設定することが望ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
実施例1〜13及び比較例1〜2では、図5に示すシリコン精製装置1を用いて、金属シリコン母材の精製を行った。
[実施例1]
まず、ボロン(ホウ素)を10ppmの濃度で含有する金属シリコン母材20kgを黒鉛坩堝に入れ、誘導加熱で溶解した。形成された円形のシリコン溶湯面の半径は300mmであった。
つぎに、溶湯温度を1750℃に保持し、出力100kWのプラズマトーチ1本より発生させた非移送型のプラズマ作動ガスの流量を100L/分に設定して、添加する水蒸気の流量は42.9L/分として設定し、シリコン溶湯面とプラズマガスとの成す角が50度となるように、プラズマガスを吹き付けた。このとき、プラズマガスを溶湯面の中心と同一の中心を持つ半径150mmの仮想円の接線方向へ吹き付けて、シリコン溶湯面に短径が約35mmの略楕円形の窪みが形成されるようにプラズマトーチの位置を調節し、さらに、プラズマガスのラジカルリッチ領域が溶湯面に充分あたるように、プラズマトーチの吹き付け口と溶湯面との距離を調節した。
なお、前記溶湯面に形成される略楕円形の窪みにおいて、その短軸と長軸の交点が前記仮想円の円周上にあるように、プラズマトーチの位置を調整した。
また、プラズマ作動ガスとしては、Arガスを使用し、プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は、プラズマガスの全流量(142.9L/分)の30体積%の割合とした。
プラズマガスを吹き付けて精製を行う間に、溶融したシリコンが徐々に蒸発して溶湯面が下がるので、その溶湯面の降下を監視し、それに連動してプラズマトーチの位置を下げることにより、プラズマトーチと溶湯面との距離を適宜調整しつつ金属シリコンの精製を行った。
前記プラズマガスによる精製の開始後、60分毎にサンプリングを実施し、180分後のサンプリング後に精製を終了した。
前記サンプリングで得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2〜8、比較例1〜2]
まず、ボロン(ホウ素)を10ppmの濃度で含有する金属シリコン母材20kgを黒鉛坩堝に入れ、誘導加熱で溶解した。形成された円形のシリコン溶湯面の半径は300mmであった。
つぎに、溶湯温度を1750℃に保持し、出力100kWのプラズマトーチ3本より発生させた非移送型のプラズマ作動ガスの流量をそれぞれ100L/分に設定して、添加する水蒸気の流量は、それぞれ42.9L/分として設定し、シリコン溶湯面と各プラズマガスとの成す角が、下記表2及び3に記載の角度となるように、それぞれプラズマガスを吹き付けた。このとき、各プラズマガスを溶湯面の中心と同一の中心を持つ半径150mmの仮想円の接線方向へ吹き付けて、そのシリコン溶湯面における仮想円の円周上に短径が約35mmの略楕円形の窪みが等間隔で3個形成されるように(図4と同様)、各プラズマトーチのノズル口を前記仮想円と同心円状に等間隔で配置し(図3Bと同様)、さらに、プラズマガスのラジカルリッチ領域が溶湯面に充分あたるように、各プラズマトーチの吹き付け口と溶湯面との距離を調節した。その際、3本のプラズマトーチによる各プラズマガスは、シリコン溶湯面の前記仮想円の接線に対して順方向(右回り方向)に揃えて吹き付けた。
なお、前記溶湯面に形成される略楕円形の窪みにおいて、その短軸と長軸の交点が前記仮想円の円周上にあるように、プラズマトーチの位置を調整した。
また、プラズマ作動ガスとしては、Arガスを使用し、プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は、プラズマガスの全流量(142.9L/分)の30体積%の割合とした。
プラズマガスを吹き付けて精製を行う間に、溶融したシリコンが徐々に蒸発して溶湯面が下がるので、その溶湯面の降下を監視し、それに連動してプラズマトーチの位置を下げることにより、プラズマトーチと溶湯面との距離を保持しつつ金属シリコンの精製を行った。
上記のようにして、前記成す角を10度以上90度以下の範囲で10度刻みに変更した条件で、それぞれ個別に金属シリコン母材を精製した。その際の各成す角を表2と表3に示す。
各精製の開始後、60分後にサンプリングを実施して、精製を終了した。
前記サンプリングの実施で得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表2、3及び図6に示す。
前述のように、3本のプラズマトーチによる各プラズマガスは、シリコン溶湯面の前記仮想円の接線に対して順方向(右回り方向)に揃えて吹き付けたので、シリコン溶湯に順方向の回転力が加えられ、精製中にシリコン溶湯が該順方向に回流した。
また、成す角を10度とした比較例1では、プラズマガスの吹き付けによってシリコン溶湯からシリコンが飛散してしまい、精製後に残ったシリコンは約10kg(歩留まり50%)となった。一方、成す角を20度〜90度とした実施例2〜8及び比較例2では、前記飛散はほとんど起こらず、精製後に残ったシリコンは約16kg〜18kg(歩留まり80〜90%)であった。
以上の結果から、本発明に係る実施例2〜8では、精製時間を60分とした場合、前記成す角が20度以上80度以下の範囲であれば、シリコン中のボロン濃度が0.3ppm以下になることが確認された。
さらに、前記成す角はシリコン精製効率を高める観点から、30度以上70度以下がより好適であり、40度以上60度以下がさらに好適であり、45度以上55度以下が特に好適であることが確認された。
また、実施例1の結果と実施例5の結果とを比較すると、同一の成す角(50度)におけるシリコン精製後のボロン濃度は、それぞれ0.3ppm(実施例1;精製時間180分)、0.03ppm(実施例5;精製時間60分)である。ここで、実施例1は実施例5よりも、プラズマトーチの本数が1/3倍少ない代わりに、精製時間は3倍多い。したがって、プラズマトーチの本数及び精製時間の違いだけを考慮した場合、これら実施例のシリコン精製効率の結果は同程度になるはずである。しかしながら、実際には10倍の差がついている。この顕著な差は、実施例5では、単にプラズマトーチの本数を増やしただけでなく、各プラズマトーチのノズル口を所定の位置に配したことにより、シリコン溶湯面における各窪みが互いに干渉せずに済み、さらに、シリコン溶湯を攪拌(対流)することができたため、シリコン精製効率を一層向上させることができた結果であると考えられる。
[実施例9〜13]
まず、ボロン(ホウ素)を10ppmの濃度で含有する金属シリコン母材20kgを黒鉛坩堝に入れ、誘導加熱で溶解した。形成された円形のシリコン溶湯面の半径は300mmであった。
つぎに、溶湯温度を1750℃に保持し、出力100kWのプラズマトーチ3本より発生させた非移送型のプラズマガスの流量をそれぞれ100L/分に設定して、添加する水蒸気の流量は、それぞれ42.9L/分として設定し、シリコン溶湯面と各プラズマガスとの成す角が60度となるように、それぞれプラズマガスを吹き付けた。このとき、各プラズマガスを溶湯面の中心と同一の中心を持つ、表4に示す半径の仮想円の接線方向へ吹き付けて、そのシリコン溶湯面における仮想円の円周上に短径が約35mmの略楕円形の窪みが等間隔で3個形成されるように(図4と同様)、各プラズマトーチのノズル口を前記仮想円と同心円状に等間隔で配置し(図3Bと同様)、さらに、プラズマガスのラジカルリッチ領域が溶湯面に充分あたるように、各プラズマトーチの吹き付け口と溶湯面との距離を調節した。その際、3本のプラズマトーチによる各プラズマガスは、シリコン溶湯面の前記仮想円の接線に対して順方向(右回り方向)に揃えて吹き付けた。
なお、前記溶湯面に形成される略楕円形の窪みにおいて、その略楕円形の短軸と長軸の交点が前記仮想円の円周上にあるように、プラズマトーチの位置を調整した。
また、プラズマ作動ガスとしては、Arガスを使用し、プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は、プラズマガスの全流量(142.9L/分)の30体積%の割合とした。
プラズマガスを吹き付けて精製を行う間に、溶融したシリコンが徐々に蒸発して溶湯面が下がるので、その溶湯面の降下を監視し、それに連動してプラズマトーチの位置を下げることにより、プラズマトーチと溶湯面との距離を保持しつつ金属シリコンの精製を行った。
前記仮想円の半径を変更した条件で、それぞれ個別に金属シリコン母材を精製した。その際の各仮想円の半径を表4に示す。
各精製の開始後、60分後にサンプリングを実施して、精製を終了した。
前記サンプリングの実施で得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表4及び図6に示す。
前述のように、3本のプラズマトーチによる各プラズマガスは、シリコン溶湯面の前記仮想円の接線に対して順方向(右回り方向)に揃えて吹き付けたので、シリコン溶湯に順方向の回転力が加えられ、精製中にシリコン溶湯が順方向に回流した。ただし、後述の干渉が起きた場合には、シリコン溶湯に回転力が十分に加わらず、精製中にシリコン溶湯が十分には回流しなかった。
各条件で行った精製の際に、シリコン溶湯面に形成される略楕円形の窪みが互いに干渉する場合があった。このような干渉が起きた場合を記号「×」、干渉が起きなかった場合を記号「○」として、表4にその結果を併記する。
また、各条件で行った精製の際に、シリコン溶湯面に形成される略楕円形の窪みが坩堝の壁面(溶湯面の淵)によって干渉を受ける場合があった。このような干渉が起きた場合を記号「×」、干渉が起きなかった場合を記号「○」として、表4にその結果を併記する。
以上の結果から、本発明に係る実施例9〜13では、精製時間を60分とした場合、前記仮想円の半径が、前記短径の3倍値(35mm×3=105mm)以上であり、且つ、前記円形のシリコン溶湯面の半径から前記短径の3倍値の差(300mm−105mm=195mm)以下であると、窪みにおける干渉が起こらず、シリコン精製効率が一層向上して好ましいことが確認された。
以上の結果から、本発明に係るシリコン精製方法は、従来方法よりもシリコン精製効率が向上していることが明らかである。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1におけるプラズマトーチ10の構成例と、該プラズマトーチ10から噴射されるプラズマガスJを示す模式断面図である。
プラズマトーチ10は、アノード電極11、カソード電極12、プラズマ作動ガス供給口11a、及び水蒸気供給口11bを備える。
アノード電極11に囲まれた空間には、プラズマ作動ガス(不活性ガス)G1をプラズマトーチ10のノズル口11cに供給するためのプラズマ作動ガス供給口(供給路)11aが形成されている。プラズマ作動ガスG1として、ここではアルゴン(Ar)ガスを使用する。また、図示していないが、アノード電極11の過熱を防ぐための冷却部をアノード電極11の近傍(アノード電極11に近い位置)又はアノード電極11の内部に設けてもよい。
また、プラズマ作動ガスG1として、アルゴン(Ar)ガス等の不活性ガス、アルゴンガスに水素(H)ガスを混合した混合ガス等が使用できる。該水素ガスをアルゴンガスに混合することにより、金属シリコン中の不純物の酸化による除去効率を高めることができる。
アノード電極11に囲まれた空間には、カソード電極12が設けられている。このカソード電極12は、アノード電極11とは絶縁されて、直流電源13の負極に電気的に接続されており、アノード電極11との間にプラズマアークPを発生させるための熱電子を放出する。
プラズマアークPを発生させつつ、プラズマ作動ガス供給口11aからプラズマ作動ガスG1であるアルゴンガスをノズル口11cへ供給することにより、プラズマガスを伴うプラズマ炎5がノズル口11cから噴射される。
アノード電極11の内部には、プラズマ作動ガス供給口11aと、プラズマ作動ガス供給口11aとは異なる位置に設けられ、水蒸気G2をプラズマトーチ10のノズル口11cの近傍(ノズル口11cに近い位置)に供給するための水蒸気供給口11bとが形成されている。該水蒸気を前記プラズマガスに所定の体積%の割合で添加することにより、ラジカル(OHラジカル等)を豊富に含むプラズマガスJがプラズマ炎5と共にノズル口11cから噴射される。
ここで、前記水蒸気G2の所定体積%の添加とは、前記プラズマ作動ガスG1の体積と前記水蒸気G2の体積との和(プラズマガス)に占める前記水蒸気G2の割合である。例えば、流量80L/分のプラズマ作動ガスG1に、流量20L/分の水蒸気G2を添加した場合、プラズマガスの全流量は100L/分となるので、該水蒸気G2は20体積%の割合で添加されたことになる。
前記プラズマガスJにおいて、プラズマガスJの全流量(プラズマ作動ガスG1の流量と添加した水蒸気G2の流量との和)の15体積%以上40体積%以下の割合で、水蒸気G2を添加することにより、該プラズマガスJ中に豊富にラジカル(OHラジカル等)を含ませることができ、前記窪み18aの表面における不純物の酸化および除去を十分に行うことができる。
本発明のシリコン精製方法における前記水蒸気G2の添加割合としては、前記プラズマガスJの全流量の、15体積%以上40体積%以下が好ましく、20体積%以上40体積%以下がより好ましく、25体積%以上35体積%以下が最も好ましい。
上記範囲の下限値以上であることにより、前記プラズマガスJ中にラジカルを十分に含ませることができる。また、上記範囲の上限値以下であることにより、シリコン溶湯表面から蒸発したシリコンがSiOの粉となって炉体(前記プラズマトーチ及び前記坩堝の周囲を含めた装置内部)に付着して、それがシリコン溶湯に落下混入することによって金属シリコンを汚染してしまうことを抑制することができる。
前記水蒸気G2の添加割合が、前記プラズマガスJの全流量の15体積%以上40体積%以下である場合、前記シリコンの溶湯温度が1700℃未満であると、シリコン溶湯表面に酸化ケイ素(SiO)の被膜が形成され易くなり、シリコン精製効率を低下させてしまう傾向がある。また、該溶湯温度が1900℃を超えると、シリコン溶湯表面から蒸発したシリコンがSiOとなって炉体(前記プラズマトーチ及び前記坩堝の周囲を含めた装置内部)に付着して、それがシリコン溶湯に落下混入することによって金属シリコンを汚染してしまうことがある。
前記水蒸気G2の供給方法としては、図8に示すように、アノード電極11のノズル口11c近傍、即ち、ノズル口11cに近い位置に設けられた水蒸気供給口11bから添加する方法が好ましい。この方法で添加することにより、プラズマガス中に後述のラジカルリッチ領域Rを効率よく形成することができる。
上記の方法の他に、プラズマトーチ10とは別体の水蒸気供給装置のノズルを、プラズマガスへ向けて配置し、該プラズマガス中へ水蒸気を添加する方法をとってもよい。
プラズマガスJにおけるOHラジカル(水蒸気由来のラジカル)の濃度分布は、図8では便宜上段階的なグラデーションとして描いたが、実際には漸次的に変化する濃度分布であると考えられる。すなわち、前記OHラジカルの濃度分布は、プラズマ炎5の先端部からプラズマガスJの先端部の方向へ見たとき、図8で示した領域Rの中央を頂点とする正規分布として表されると考えられる。よって、図8のRで示した領域が、ラジカルを豊富に含むプラズマガスJにおいて、最もラジカルが豊富な領域である。この領域Rを、本明細書では、ラジカルリッチ領域Rと呼ぶ。
なお、プラズマガスJにおけるラジカル濃度分布は、例えばイメージインテンシファイア及びCCD素子を搭載した高速ゲートカメラ等を用いた光学的測定法により調べることができる。
図9は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1におけるプラズマトーチ10のノズル口11cと金属シリコン18の溶湯面18bとの相対的な位置関係を示す模式断面図である。
ノズル口11cは坩堝15に向けられて、該ノズル口11cから噴射されるラジカルを含むプラズマガスJが、溶融状態の金属シリコン18の溶湯面18bに吹き付けられている。プラズマガスJが吹き付けられた溶湯面18bには、窪み18aが形成されている。
プラズマガスJを溶湯面18bに吹き付ける際、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが、前記溶湯面18bに位置するように、プラズマトーチ10と溶湯面18bとの距離を適宜調節することが望ましい。該ラジカルリッチ領域Rを用いて前記窪み18aを形成することにより、プラズマガスJに含まれるラジカル(OHラジカル等)をより効率的に溶湯面18bに接触させることができ、金属シリコン18中の不純物の酸化反応によるシリコン精製効率を一層向上させることができる。
前記金属シリコン中の不純物であるボロンが除去されるメカニズムとしては、水蒸気G2が添加されたプラズマガスJにより、前記溶湯面18bに形成される窪み18aの表面において、少なくとも水蒸気G2及び水蒸気G2由来のラジカル(例えば、OHラジカル)によって酸化されたボロンが蒸発して除去されると考えられる。
また、プラズマ作動ガスG1として、Arガスに水素ガスを混合した混合ガスを用いることによっても、前記窪み18aの表面における不純物の酸化および除去が促進される。該混合ガスを用いた場合にも、水蒸気G2を添加することにより、一層精製効率を高めることができる。
坩堝15は、プラズマトーチ10の直下に配置され、金属シリコン18が装填されている。該金属シリコン18は、プラズマガスJによって加熱されて溶融状態にされてもよいし、他の方法(例えば、誘導コイルを用いた高周波誘導加熱等)によって溶融されていてもよい。
金属シリコン18の母材としては、太陽電池の光電変換素子に用いられるシリコン母材が好適である。該シリコン母材は、通常10ppm程度のボロンを不純物として含有しており、ボロン濃度が0.3ppm以下になるように金属シリコンを精製することが望ましい。
前記坩堝15の材質(材料)は、黒鉛(グラファイト)を主成分として含むことが好ましい。該材質における黒鉛以外の材質は、1700℃以上に加熱しても該材質の成分が溶出しない材料であれば特に制限されない。
前記坩堝15の材質における黒鉛の含有量としては、60質量%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましく、100%であってもよい。
本発明のシリコン精製方法では、黒鉛を主成分とする材質からなる坩堝15を用いることにより、金属シリコンの溶湯温度を1700℃以上に制御して金属シリコンを精製することが容易にできる。このように、従来よりも高温度でシリコン溶湯温度を保持して精製することにより、前記窪み18aの表面における不純物の酸化および除去を従来よりも促進することができる。また、従来よりも高温度でシリコン溶湯温度を保持して金属シリコンを精製することにより、前記水蒸気G2のプラズマガスJへの添加量を従来よりも増やすことができるので、前記窪み18aの表面における不純物の酸化および除去を従来よりも一層促進することができる。
なお、前記金属シリコンの溶湯温度は、該溶湯の表面(溶湯面18b)及び該溶湯の表面近傍(溶湯の表面に近い領域)の溶湯の温度をいう。
前記金属シリコン溶湯温度としては、シリコン精製効率を向上させる観点から、1700℃以上1900℃以下の範囲のうち、1750℃以上1900℃以下が好ましく、1750℃以上1850℃以下がより好ましく、1750℃以上1800℃以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、シリコン溶湯面にSiOの被膜が形成されることを十分に抑制できる。また、上記範囲の上限値以下であると、シリコン溶湯から蒸発するシリコンの量を低減し、そのシリコンがSiOの粉となって装置の炉体に付着することを低減できる。
一方、従来のように、石英を主成分とする材質からなる坩堝を用いた場合、石英の融点が約1650℃のため、前記溶湯温度を1700℃以上に調整して金属シリコンを精製することが困難である。なぜならば、坩堝から石英が溶出して、金属シリコンにSiOが混入してしまい、また、シリコン溶湯表面にSiOの被膜を形成してしまい、精製効率を低下させてしまうことがあるためである。
また、従来のシリコン溶湯温度(1650℃未満)において、上述のようにプラズマガスJに添加する水蒸気濃度を従来よりも増加(例えば30体積%)させると、SiOの被膜がシリコン溶湯面に形成されたり、SiOの粉が炉体に付着、それが落下し再溶解することによって、シリコン精製効率やシリコン精製度が低下してしまう傾向がある。
図10は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1の構成例と、その動作を示す模式断面図である。プラズマトーチ10は、誘導コイル17が巻かれた坩堝15の鉛直上方向に配置され、鉛直上下方向に該プラズマトーチ10を移動する駆動部に接続されている。該駆動部は台座21に載置されている。
図10における前記駆動部は、ボールネジ22、ベルト23、及びモータ24を備えている。モータ24の駆動力がベルト23を介してボールネジ22を回転させて、ボールネジに接続されたシャフトが、鉛直方向で上下に移動される。プラズマトーチ10は前記シャフトに接続されているので、モータ24の回転を制御することにより、プラズマトーチ10を坩堝15に装填された金属シリコン18に近づけたり遠ざけたりすることができる。すなわち、前記駆動部を制御することにより、プラズマトーチ10のノズル口11cの先端の中心から金属シリコン18の溶湯面18bまでの距離Dを所定の距離に調整することができる。
前述のような駆動部を備える本発明のシリコン精製装置1は、シリコン精製中に、前記距離Dを一定に保つように制御して運転することが好ましい。この運転方法を、シリコン精製装置1を使用したシリコン精製手順とともに、以下に説明する。
まず、金属シリコン(金属シリコンからなる母材)18を坩堝15内に装填する。つづいて、誘導コイル17による高周波誘導加熱によって、該金属シリコン18を溶融する。金属シリコン18が1420℃以上に達し、塊状のシリコンが見られなくなれば溶融したと判断される。
シリコン精製時のシリコンの溶湯の温度は、1700℃以上1900℃以下とする。
つぎに、溶融状態にあるシリコン18の溶湯面18bに対して、前記駆動部を制御することによってプラズマトーチ10を近付けて、所定の位置にプラズマトーチ10を停止させ、プラズマ作動ガスG1(Arガス)を供給し、さらに水蒸気G2を添加することによって、プラズマトーチ10のノズル口11cからプラズマガスJを溶湯面18bに向けて吹き付ける。
この際、水蒸気G2を水蒸気供給口11bから、プラズマガスJの全流量の、15体積%以上40体積%以下を占める割合で添加する。
このとき、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが、溶湯面18bに位置するように、プラズマトーチ10を所定の位置に配置すると、精製効率が一層向上する。その方法としては、プラズマトーチ10のノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの距離Dと、プラズマ作動ガスG1の流量Vとの間に、下記式(5)の関係が成立するように、プラズマトーチ10を配置することが好ましい。
前記式(5)中、係数aは0.75以上2.0以下の実数であり、Dの単位はミリメートルであり、Vの単位はリットル/分である。前記係数aの範囲は、本発明の発明者らの鋭意検討により見出された数値範囲である。
前記係数aが上記範囲の下限値未満であると、プラズマガスJ及びラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bよりも深過ぎる位置に到達して、シリコン18の溶湯を周囲に飛散させる恐れがあり、十分な酸化精製を行うことが難しくなる。
一方、前記係数aが上記範囲の上限値を超えると、プラズマガスJ及びラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bに十分に到達せず、酸化精製を効率よく行うことが難しくなる。
また、前記距離Dは、プラズマトーチ10のノズル口11cから噴射されるプラズマガスJの方向に見たときの、ノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの距離であり、ノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの最短距離を必ずしも指していない。すなわち、プラズマガスJが溶湯面18bに対して傾けて噴射される場合は、該距離Dは、該最短距離よりも当然に長くなる。
上記のようにプラズマトーチ10を配置して、プラズマガスJを溶湯面18bに吹き付けることにより、溶湯面18bに窪み18aが形成される。この窪み18aにおいて、主に酸化反応が起きて、ボロン等の不純物が酸化され、蒸発して除去される。
このように蒸発が起こるので、酸化精製中に徐々に溶湯面18bが降下して、前記距離Dが徐々に長くなることがある。そのため、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bよりも上方に位置するようになり、酸化精製の効率が落ちてしまうことがある。この効率低下を抑制するために、前記距離Dが一定となるようにシリコン精製装置1の駆動部を制御することが好ましい。
前記距離Dの制御の方法としては、予備実験で前記蒸発の速度及び溶湯面18bの降下速度を予め調べておき、それを基にプラズマトーチ10の降下速度を予め設定しておき、本番の酸化精製時には、その設定に基づいて前記駆動部を制御する方法が、一例として挙げられる。また、別の方法として、プラズマトーチ10のノズル口11cに距離センサーを付帯させて設けて、ノズル口11cと溶湯面18bとの距離Dをモニターし、前記距離Lが長くなるのに連動して前記駆動部を制御してプラズマトーチ10の位置を下げる方法も挙げられる。
前記プラズマトーチ10の制御において、プラズマトーチ10の降下移動は、蒸発速度に合わせて連続的に移動してもよいし、ラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bから外れない範囲で断続的に(ステップワイズに)移動してもよい。
なお、上記ではプラズマトーチ10を移動させる場合について説明したが、坩堝15を上方へ移動することによっても、前記距離Dを一定に保つことができ、同様の効果が得られる。この場合は、坩堝15を移動するための別の駆動部が必要となる。
水蒸気G2の添加後のトーチ出力は、精製する金属シリコンの質量1kg当たりで、3kW/kg以上30kW/kg以下の範囲内に設定することが望ましい。
図10に示したシリコン精製装置1は、プラズマトーチ10が1本備えられているが、2本以上のプラズマトーチが備えられていてもよい。複数のプラズマトーチを用いて金属シリコンを精製することにより、1本のプラズマトーチを用いた場合よりも精製速度を向上させることができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例14〜17、及び比較例3では、図10に示すシリコン精製装置1を用いて、金属シリコン母材の精製を行った。
[実施例14]
まず、ボロン(ホウ素)を10ppmの濃度で含有する金属シリコン母材5kgを黒鉛坩堝(黒鉛含有量99%)に入れ、誘導加熱で溶解した。
つぎに、溶湯温度を1750℃に保持し、出力100kWのプラズマトーチより発生させた非移送型のプラズマ作動ガスの流量を100L/分として設定し、添加する水蒸気の流量は33.3L/分として設定し、プラズマガスのラジカルリッチ領域が溶湯面の高さに位置するように吹き付けた。また、プラズマ作動ガスとしてArガスを使用した。プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は、プラズマガスの全流量(133.33L/分)の25体積%の割合とした。
プラズマガスを吹き付けて精製を行う間に、溶融したシリコンが徐々に蒸発して溶湯面が下がるので、その溶湯面の降下を監視し、それに連動してプラズマトーチの位置を下げることにより、プラズマトーチと溶湯面との距離を適宜調整しつつ金属シリコンの精製を行った。
前記プラズマガスによる精製の開始後、20分毎にサンプリングを実施し、60分後のサンプリング後に精製を終了した。
前記サンプリングで得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表5に示す。なお、表5では、ボロンの除去度合を以下の基準で評価した。
(ボロン除去度合の評価基準)×:シリコン中のボロン濃度が2.0ppm以上であった。△:シリコン中のボロン濃度が0.3ppmを超えて2.0ppm未満であった。○:シリコン中のボロン濃度が0.1ppmを超えて0.3ppm未満であった。◎:シリコン中のボロン濃度が0.1ppm以下であった。
以上の結果から、本発明に係る実施例14では、精製時間が40分以上であれば、シリコン中のボロン濃度が0.3ppm以下になることが確認された。
[実施例15〜19、比較例3〜4]
実施例14における前記プラズマガスへの水蒸気の添加量を、10、15、20、25、30、40、45体積%に変更した以外は、実施例14と同じ条件でシリコン精製を行った。
各精製の開始後、60分後にサンプリングを実施して、精製を終了した。
前記サンプリングの実施で得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表6及び図11に示す。なお、表6では、ボロンの除去度合を前記基準で評価した。
以上の結果から、本発明に係る実施例15〜19では、各添加水蒸気量において精製時間を60分とした場合、前記添加水蒸気量が前記プラズマガスの全流量の15体積%以上40体積%以下の範囲であれば、シリコン中のボロン濃度が0.3ppm以下になることが確認された。
一方、比較例3では添加水蒸気量が少ないために精製効率が劣ることが確認された。また、比較例4では添加水蒸気量が多いためにSiOを含む粉が発生して、それが炉体(前記坩堝周辺及びプラズマトーチ)に付着して、さらにシリコン溶湯に汚染物として混入してしまうことがあった。
[実施例20]
実施例14における前記プラズマガスのプラズマ作動ガスとして、Arガス及び水素ガスをそれぞれ100L/分で供給し、その混合ガスの流量を200L/分として設定した以外は、実施例14と同じ条件でシリコン精製を行った。
なお、プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は66.6L/分であり、プラズマガスの全流量(Arガスの流量と水素ガスの流量と水蒸気の流量の和)の25体積%の割合とした。
前記プラズマガスによる精製の開始後、20分毎にサンプリングを実施し、60分後のサンプリング後に精製を終了した。
前記サンプリングで得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表7に示す。なお、表7では、ボロンの除去度合を前記基準で評価した。
以上の結果から、本発明に係る実施例20では、精製時間が40分以上であれば、シリコン中のボロン濃度が0.3ppm以下になることが確認された。
[実施例21〜25、比較例5〜6]
実施例1における前記溶湯温度を、表8に示すように、1650℃〜1950℃に変更した以外は、実施例14と同じ条件でシリコン精製を行った。
各精製の開始後、60分後にサンプリングを実施して、精製を終了した。
前記サンプリングの実施で得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表8及び図12に示す。なお、表8では、ボロンの除去度合を前記基準で評価した。
以上の結果から、本発明に係る実施例21〜25では、各シリコン溶湯温度において精製時間を60分とした場合、前記シリコン溶湯温度が1700℃以上1900℃以下の範囲であれば、シリコン中のボロン濃度が0.3ppm以下になることが確認された。
一方、前記シリコン溶湯温度が1650℃ではシリコン溶湯温度が低いために、シリコン溶湯表面にSiOを含む被膜が形成され易くなって精製効率が劣ることが確認された。また、前記シリコン溶湯温度が1950℃ではシリコン溶湯温度が高いためにSiOを含む粉が発生して、それが炉体(前記坩堝周辺及びプラズマトーチ)に付着して、さらにシリコン溶湯に汚染物として混入してしまうことがあった。
[比較例7]
実施例14で用いた黒鉛製の坩堝を、石英製の坩堝に変更した以外は、実施例14と同じ条件でシリコン精製を行った。
前記プラズマガスによる精製の開始後、20分毎にサンプリングを実施し、60分後のサンプリング後に精製を終了した。
前記サンプリングで得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表9に示す。
比較例7では、本発明に係る実施例14の場合と比べて、シリコン溶湯表面の輝度が高いことも確認された。
以上の結果から、比較例5ではシリコン溶湯温度が石英の融点(約1650℃)よりも高いために、石英坩堝からSiOが溶け出して、シリコン溶湯表面にSiOを含む被膜が形成され易くなって精製効率が劣ることが確認された。
以上の結果から、本発明に係るシリコン精製方法は、従来方法よりもシリコン精製効率が向上していることが明らかである。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図13は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1におけるプラズマトーチ10の構成例と、該プラズマトーチ10から噴射されるプラズマガスJを説明する模式断面図である。
プラズマトーチ10は、アノード電極11、カソード電極12、プラズマ作動ガス供給口11a、及び酸化性ガス供給口11bを備える。
アノード電極11に囲まれた空間には、プラズマ作動ガス(不活性ガス)G1をプラズマトーチ10のノズル口11cに供給するためのプラズマ作動ガス供給口(供給路)11aが形成されている。プラズマ作動ガスG1として、ここではアルゴン(Ar)ガスを使用する。また、図示していないが、アノード電極11の過熱を防ぐための冷却部をアノード電極11の近傍(アノード電極11に近い位置)又はアノード電極11の内部に設けてもよい。
また、プラズマ作動ガスG1として、アルゴン(Ar)ガス等の不活性ガス、アルゴンガスに水素(H)ガスを混合した混合ガス等が使用できる。該水素ガスをアルゴンガスに混合することにより、金属シリコン中の不純物の酸化による除去効率を高めることができる。
アノード電極11に囲まれた空間には、カソード電極12が設けられている。このカソード電極12は、アノード電極11とは絶縁されて、直流電源13の負極に電気的に接続されており、アノード電極11との間にプラズマアークPを発生させるための熱電子を放出する。
プラズマアークPを発生させつつ、プラズマ作動ガス供給口11aからプラズマ作動ガスG1であるアルゴンガスをノズル口11cへ供給することにより、プラズマガスを伴うプラズマ炎5がノズル口11cから噴射される。
アノード電極11の内部には、プラズマ作動ガス供給口11aと、プラズマ作動ガス供給口11aとは異なる位置に設けられ、酸化性ガスG2をプラズマトーチ10のノズル口11cの近傍(ノズル口11cに近い領域)に供給するための酸化性ガス供給口11bが形成されている。酸化性ガスG2としては、水蒸気、一酸化炭素ガス、酸素ガス等が挙げられる。ここでは水蒸気を使用する。該水蒸気を前記プラズマガスに所定の体積%の割合で添加することにより、OHラジカルを豊富に含むプラズマガスJがプラズマ炎5と共にノズル口11cから噴射される。
ここで、前記水蒸気(酸化性ガスG2)の所定体積%の添加とは、前記アルゴンガス(プラズマ作動ガスG1)の体積と前記水蒸気の体積との和(プラズマガス)に占める前記水蒸気の割合である。例えば、流量80L/分のプラズマ作動ガスに、流量20L/分の水蒸気を添加した場合、プラズマガスの全流量は100L/分となるので、該水蒸気は20体積%の割合で添加されたことになる。
プラズマガスJにおけるOHラジカル(酸化性ガスのラジカル)の濃度分布は、図13では便宜上段階的なグラデーションとして描いたが、実際には漸次的に変化する濃度分布であると考えられる。すなわち、前記OHラジカルの濃度分布は、プラズマ炎5の先端部からプラズマガスJの先端部の方向へ見たとき、図13で示した領域Rの中央を頂点とする正規分布として表されると考えられる。よって、図13のRで示した領域が、ラジカルを豊富に含むプラズマガスJにおいて、最もラジカルが豊富な領域である。この領域Rを、本明細書及び特許請求の範囲では、ラジカルリッチ領域Rと呼ぶ。
なお、プラズマガスJにおけるラジカル濃度分布は、例えばイメージインテンシファイア及びCCD素子を搭載した高速ゲートカメラ等を用いた光学的測定法により調べることができる。
前記水蒸気の供給方法としては、図13に示すように、アノード電極11のノズル口11c近傍、即ち、ノズル口11cに近い位置に設けられた酸化性ガス供給口11bから添加する方法が好ましい。この方法で添加することにより、プラズマガス中に前記ラジカルリッチ領域Rを効率よく形成することができる。
前述の方法の他に、プラズマトーチ10とは別体の水蒸気(酸化性ガスG2)供給装置のノズルを、プラズマガスへ向けて配置し、該プラズマガス中へ水蒸気を添加する方法をとってもよい。
図14は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1におけるプラズマトーチ10のノズル口11cと金属シリコン18の溶湯面18bとの相対的な位置関係を示す模式断面図である。
ノズル口11cは坩堝15に向けられて、該ノズル口11cから噴射されるプラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが、溶融状態の金属シリコン18の溶湯面18bに位置するように、プラズマトーチ10のノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの距離Lが調整されている。ここで、該距離Lはノズル口11cから噴射されるプラズマガスJの方向に見た距離であり、ノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの最短距離を必ずしも指していない。すなわち、プラズマガスJが溶湯面18bに対して傾けて噴射される場合は、該距離Lは、該最短距離よりも当然に長くなる。一方、プラズマガスJが溶湯面18bに対して垂直に噴射された場合は、該距離Lは当然に該最短距離となる。
プラズマガスJが吹き付けられた溶湯面18bには、窪み18aが形成されている。
ここで、前記ラジカルリッチ領域Rが前記溶湯面18bに位置するように前記距離Lを調整することによって、溶湯面18bにおける不純物であるボロン等の酸化及び除去の効率が一層高まる。
前記ボロンが除去されるメカニズムとしては、酸化性ガスG2が添加されたプラズマガスJにより、前記溶湯面18bに形成される窪み18aの表面において、少なくとも酸化性ガスG2及び該酸化性ガスG2由来のラジカル(例えば、OHラジカル)によって酸化されたボロンが蒸発して除去されると考えられる。
前記酸化性ガスG2としては、金属シリコン18中の不純物(ボロン等)の除去効率が高く、取り扱いが比較的容易で、安全性も高いことから、水蒸気が好ましい。
坩堝15は、プラズマトーチ10の直下に配置され、金属シリコン18が装填されている。該金属シリコン18は、プラズマガスJによって加熱されて溶融状態にされてもよいし、他の方法(例えば、誘導コイルを用いた高周波誘導加熱等)によって溶融されていてもよい。前記坩堝15は、黒鉛(グラファイト)からなる坩堝が好適である。
金属シリコン18の母材としては、太陽電池の光電変換素子に用いられるシリコン母材が好適である。該シリコン母材は、通常10ppm程度のボロンを不純物として含有しており、ボロン濃度が0.3ppm以下になるように金属シリコンを精製することが望ましい。
図15は、本発明のシリコン精製方法に用いることのできるシリコン精製装置1の構成例と、その動作を説明する模式断面図である。プラズマトーチ10は、誘導コイル17が巻かれた坩堝15の鉛直上方向に配置され、鉛直上下方向に該プラズマトーチ10を移動する駆動部に接続されている。該駆動部は台座21に載置されている。
図15における前記駆動部は、ボールネジ22、ベルト23、及びモータ24を備えている。モータ24の駆動力がベルト23を介してボールネジ22を回転させて、ボールネジに接続されたシャフトが、鉛直方向で上下に移動される。プラズマトーチ10は前記シャフトに接続されているので、モータ24の回転を制御することにより、プラズマトーチ10を坩堝15に装填された金属シリコン18に近づけたり遠ざけたりすることができる。すなわち、前記駆動部を制御することにより、プラズマトーチ10のノズル口11cの先端の中心から金属シリコン18の溶湯面18bまでの距離Lを所定の距離に保持することができる。
前述のような駆動部を備える本発明のシリコン精製装置1は、シリコン精製中に、前記距離Lを一定に保つように制御して運転される。この運転方法を、シリコン精製装置1を使用したシリコン精製手順とともに、以下に説明する。
まず、金属シリコン(金属シリコンからなる母材)18を坩堝15内に装填する。つづいて、誘導コイル17による高周波誘導加熱によって、該金属シリコン18を溶融する。金属シリコン18が1420℃以上に達し、塊状のシリコンが見られなくなれば溶融したと判断される。
酸化精製時のシリコンの溶湯の温度は、1500℃以上1900℃以下で行うことが好ましい。温度が1500℃未満では、酸化精製のために吹き付ける水蒸気の影響でシリカ(SiO) の被膜に覆われやすく、脱ボロン速度が低下するからである。一方、シリコンの溶湯温度は高過ぎても脱ボロン速度は低下するため1900℃以下とすることが望ましい。
つぎに、溶融状態にあるシリコン18の溶湯面18bに対して、前記駆動部を制御することによってプラズマトーチ10を近付けて、所定の位置にプラズマトーチ10を停止させ、プラズマ作動ガスG1(Arガス)を供給し、さらに酸化性ガスG2(水蒸気)を添加することによって、プラズマトーチ10のノズル口11cからプラズマガスJを溶湯面18bに向けて吹き付ける。
このとき、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが、溶湯面18bに位置するように、プラズマトーチ10を所定の位置に配置すると、精製効率が一層向上する。その方法としては、プラズマトーチ10のノズル口11cの先端の中心から溶湯面18bまでの距離Lと、プラズマ作動ガスG1の流量Vとの間に、下記式(6)の関係が成立するように、プラズマトーチ10を配置すればよい。
前記式(6)中、係数aは0.75以上2.0以下の実数であり、Lの単位はミリメートルであり、Vの単位はリットル/分である。前記係数aの範囲は、本発明の発明者らの鋭意検討により見出された数値範囲である。
前記係数aが上記範囲の下限値未満であると、プラズマガスJ及びラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bよりも深過ぎる位置に到達して、シリコン18の溶湯を周囲に飛散させる恐れがあり、十分な酸化精製を行うことが難しくなる。
一方、前記係数aが上記範囲の上限値を超えると、プラズマガスJ及びラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bに十分に到達せず、酸化精製が効率よく行えない。
上記のようにプラズマトーチ10を配置して、プラズマガスJを溶湯面18bに吹き付けることにより、溶湯面18bに窪み18aが形成される。この窪み18aにおいて、主に酸化反応が起きて、ボロン等の不純物が酸化され、蒸発して除去される。
このように蒸発が起こるので、酸化精製中に徐々に溶湯面18bが降下して、前記距離Lが徐々に長くなる。そのため、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bよりも上方に位置するようになり、酸化精製の効率が落ちてしまう。この効率低下を抑制するために、前記距離Lが一定となるようにシリコン精製装置1の駆動部を制御することが好ましい。
前記制御の方法としては、予備実験で前記蒸発の速度及び溶湯面18bの降下速度を予め調べておき、それを基にプラズマトーチ10の降下速度を予め設定しておき、本番の酸化精製時には、その設定に基づいて前記駆動部を制御する方法が、一例として挙げられる。また、別の方法として、プラズマトーチ10のノズル口11cに距離センサーを付帯させて設けて、ノズル口11cと溶湯面18bとの距離Lをモニターし、前記距離Lが長くなるのに連動して前記駆動部を制御してプラズマトーチ10の位置を下げる方法も挙げられる。
前記プラズマトーチ10の制御において、プラズマトーチ10の降下移動は、蒸発速度に合わせて連続的に移動してもよいし、ラジカルリッチ領域Rが溶湯面18bから外れない範囲で断続的に(ステップワイズに)移動してもよい。
なお、上記ではプラズマトーチ10を移動させる場合について説明したが、坩堝15を上方へ移動することによっても、前記距離Lを一定に保つことができ、同様の効果が得られる。この場合は、坩堝15を移動するための別の駆動部が必要となる。
図15に示したシリコン精製装置1は、プラズマトーチ10が1本備えられているが、2本以上のプラズマトーチが備えられていてもよい。複数のプラズマトーチを用いて金属シリコンを精製することにより、1本のプラズマトーチを用いた場合よりも精製速度を向上させることができる。
また、添加する酸化性ガスG2(水蒸気)の流量は、プラズマガスの全流量(プラズマ作動ガスG1の流量と添加した酸化性ガスG2の流量との和)の15体積%以上40体積%以下の範囲内とすることが望ましい。15体積%未満であると脱ボロン速度が低下し、40体積%を超えるとシリカの被膜に覆われやすく、やはり脱ボロン速度が低下するからである。
また、酸化性ガスG2(水蒸気)の添加後のトーチ出力は、精製する金属シリコンの質量1kg当たりで、3kW/kg以上30kW/kg以下の範囲内に設定することが望ましい。
以上のように、前記蒸発によって溶湯面18bが降下しても、前記距離Lを一定に保つことにより、酸化精製中一定して、プラズマガスJが溶湯面18bに吹き付けられるので、シリコン精製効率が向上する。また、プラズマガスJのラジカルリッチ領域Rを溶湯面18bに位置することにより、不純物の酸化反応が一層促進されて、シリコン精製効率がさらに向上する。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例26〜27では、図15に示すシリコン精製装置1を用いて、金属シリコン母材の精製を行った。
[実施例26]
まず、ボロン(ホウ素)を10ppmの濃度で含有する金属シリコン母材15kgを黒鉛坩堝に入れ、誘導加熱で溶解した。
つぎに、溶湯温度を1750℃に保持し、出力100kWのプラズマトーチより発生させた非移送型のプラズマ作動ガスの流量を100L/分として設定し、添加する水蒸気の流量は33.3L/分として設定し、プラズマガスのラジカルリッチ領域が溶湯面の高さに位置するように吹き付けた。このとき、プラズマトーチの吹き付け口と溶湯面との距離は200mmであった。また、プラズマ作動ガスとしてArガスを使用した。プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は、プラズマガスの全流量(133.3L/分)の25体積%の割合とした。
プラズマガスの吹き付け中に、溶融したシリコンが徐々に蒸発して溶湯面が下がるので、その溶湯面の降下を監視し、それに連動してプラズマトーチの位置を下げることにより、プラズマトーチのノズル口先端の中心と溶湯面との距離を200mmに保持しつつ、金属シリコンの精製を行った。
前記プラズマガスによる精製の開始後、30分毎にサンプリングを実施し、120分後のサンプリング後に精製を終了した。
前記サンプリングで得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表10に及び図16に示す。
なお、図16中、記号「●」は実施例26における測定値であり、記号「□」は後述の比較例の測定値である。
以上の結果から、本発明に係る実施例26では、精製時間が90分以上であれば、シリコン中のボロン濃度が0.3ppm以下になることが確認された。
[実施例27]
まず、ボロン(ホウ素)を10ppmの濃度で含有する金属シリコン母材15kgを黒鉛坩堝に入れ、誘導加熱で溶解した。
つぎに、溶湯温度を1750℃に保持し、出力100kWのプラズマトーチより発生させた非移送型のプラズマ作動ガスの流量Vを、それぞれ50L/分、100L/分、200L/分として設定し、添加する水蒸気の流量を、それぞれ16.7L/分、33.3L/分、66.6L/分として設定し、プラズマガスのラジカルリッチ領域が溶湯面の高さに位置するように吹き付けた。このとき、プラズマトーチの吹き付け口と溶湯面との距離L(mm)が、係数aと該プラズマ作動ガスの流量V(L/分)との積で表される前記式(6)(L=a×V)を満たすようにした。また、プラズマ作動ガスとしてArガスを使用した。プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は、プラズマガスの全流量(プラズマ作動ガスの流量と添加した水蒸気の流量との和)の25体積%の割合とした。
プラズマガスの吹き付け中に、溶融したシリコンが徐々に蒸発して溶湯面が下がるので、その溶湯面の降下を監視し、それに連動してプラズマトーチの位置を下げることにより、プラズマトーチのノズル口先端の中心と溶湯面との距離を前記式を満たす距離Lに保持しつつ、金属シリコンの精製を行った。
上記のようにして、前記流量Vの各設定に対して、前記係数aを0.5〜2.5の範囲で変更した条件で、それぞれ個別に金属シリコン母材を精製した。その際の各係数aを表11に示す。
各精製の開始後、120分後にサンプリングを実施して、精製を終了した。
前記サンプリングの実施で得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表11及び図17に示す。
なお、図17中、記号「△」はプラズマ作動ガス流量Vが50L/分における測定値であり、記号「□」はプラズマ作動ガス流量Vが100L/分における測定値であり、記号「○」はプラズマ作動ガス流量Vが200L/分の測定値である。
以上の結果から、本発明に係る実施例27では、各プラズマ作動ガス流量Vにおいて精製時間を120分とした場合、前記係数aが0.75以上2.0以下の範囲であれば、シリコン中のボロン濃度が0.3ppm以下になることが確認された。
[比較例8]
まず、ボロン(ホウ素)を10ppmの濃度で含有する金属シリコン母材15kgを黒鉛坩堝に入れ、誘導加熱で溶解した。
つぎに、溶湯温度を1750℃に保持し、出力100kWのプラズマトーチより発生させた非移送型のプラズマ作動ガスの流量を100L/分として設定し、添加する水蒸気の流量は33.3L/分として設定し、プラズマガスのラジカルリッチ領域が溶湯面の高さに位置するように吹き付けた。このとき、精製開始時におけるプラズマトーチのノズル口先端の中心と溶湯面との距離は200mmであった。また、プラズマ作動ガスとしてArガスを使用した。プラズマトーチの酸化性ガス供給口から添加した水蒸気の流量は、プラズマガスの全流量(133.33L/分)の25体積%の割合とした。
プラズマガスの吹き付け中に、溶融したシリコンが徐々に蒸発して溶湯面が下がるが、プラズマトーチの位置は精製開始時の位置を変更せずに固定したままで、金属シリコンの精製を行った。
前記プラズマガスによる精製の開始後、30分毎にサンプリングを実施し、120分後のサンプリング後に精製を終了した。精製終了時のプラズマトーチの吹き付け口と溶湯面との距離は240mmであった。
前記サンプリングの実施で得たシリコン中のボロン濃度をICP−MSによって測定した。その結果を表12及び図16に示す。
なお、図16中、記号「●」は実施例26における測定値であり、記号「□」が比較例の測定値である。
以上の結果から、本発明に係るシリコン精製方法は、従来方法よりもシリコン精製効率が向上していることが明らかである。
1 シリコン精製装置
5 プラズマ炎
7 仮想円A
10 プラズマトーチ
11 アノード電極
11a プラズマ作動ガス供給口
11b 酸化性ガス供給口、水蒸気供給口
11c ノズル口
12 カソード電極
13 直流電源
15 坩堝
17 誘導コイル
18 金属シリコン
18a 窪み
18b 溶湯面
21 プラズマトーチ駆動部の台座
22 ボールネジ
23 ベルト
24 モータ
26 トーチホルダー
27 アーム
28 ベルト
29 モータ
θ 仰角
h 長軸
i 短軸
L 坩堝内の溶湯面の半径
l 仮想円の半径
C 仮想円の中心
P プラズマアーク
J プラズマガス、ラジカルを豊富に含むプラズマガス
R ラジカルリッチ領域
G1 プラズマ作動ガス
G2 酸化性ガス、水蒸気

Claims (22)

  1. 金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備えるシリコン精製装置を用い、
    前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面と前記プラズマトーチから噴射されるプラズマガスとが成す角が20度以上80度以下に設定された状態で、前記溶湯面に向けて、前記プラズマガスを噴射することによって前記金属シリコンを精製する
    ことを特徴とするシリコン精製方法。
  2. 前記シリコン精製装置は、複数のプラズマトーチを備え、前記溶湯面に複数の窪みが形成されるように、複数のプラズマトーチの各々からプラズマガスを吹き付けることを特徴とする請求項1記載のシリコン精製方法。
  3. 前記溶湯面に回流を発生させることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコン精製方法。
  4. 前記回流の順方向に、前記プラズマガスを吹き付けることを特徴とする請求項3に記載のシリコン精製方法。
  5. 前記複数の窪みを円周上に有する仮想円Aの接線方向に、且つ、該仮想円Aの円周の一方向に揃えて、前記各プラズマトーチから各々プラズマガスを吹き付けることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載のシリコン精製方法。
  6. 前記仮想円Aの半径をlと表し、
    前記仮想円Aと同じ中心を有し、且つ前記溶湯面の外周に内接する仮想円Bの半径をLと表し、
    前記複数の窪みにおける前記仮想円Aの接線と直交する向きの直径をiと表す場合、
    下記式(1)の関係が成り立つように、前記複数のプラズマガスを吹き付けることを特徴とする請求項5に記載のシリコン精製方法。
  7. 金属シリコンを装填する坩堝と、
    プラズマガスの進行方向を制御する角度制御部を備え、前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面に向けて前記プラズマガスを噴射するプラズマトーチと、
    を含むことを特徴とするシリコン精製装置。
  8. 複数のプラズマトーチを備え、前記複数のプラズマトーチの各々からプラズマガスを噴射することにより、前記溶湯面に複数の窪みを形成し、該複数の窪みに沿って回流を発生させるように、前記複数のプラズマトーチの各々が配置されていることを特徴とする請求項7に記載のシリコン精製装置。
  9. 前記複数のプラズマトーチの各ノズル口の向きが、前記回流の順方向に揃えられていることを特徴とする請求項8に記載のシリコン精製装置。
  10. 複数のプラズマトーチを備え、前記複数のプラズマトーチの各々からプラズマガスを噴射することにより、前記溶湯面に形成される複数の窪みを円周上に有する仮想円Aと、前記各プラズマトーチのノズル口を前記溶湯面に投影した各点を円周上に有する仮想円Fとが、同心円になるように、各プラズマトーチのノズル口が配置されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載のシリコン精製装置。
  11. 前記各プラズマトーチのノズル口の向きが、前記同心円の右回り又は左回りのいずれか一方向に揃えられていることを特徴とする請求項10に記載のシリコン精製装置。
  12. 前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面と、前記各プラズマトーチのノズル口の向きとの成す角が、20度以上80度以下の範囲で設置されていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載のシリコン精製装置。
  13. 前記プラズマトーチのノズル口に近い位置には、プラズマ作動ガスの供給口と、前記プラズマ作動ガスの供給口とは異なる酸化性ガスの供給口とが設けられていることを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれか一項に記載のシリコン精製装置。
  14. 金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備えるシリコン精製装置を用い、
    前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面に向けて、前記プラズマトーチからプラズマガスを噴射することによって前記金属シリコンを精製し、
    前記プラズマガスに水蒸気を添加して前記金属シリコンを精製する際に、前記金属シリコンの溶湯温度を1700℃以上1900℃以下に制御することを特徴とするシリコン精製方法。
  15. 前記坩堝は、黒鉛を主成分として含む材質によって構成されていることを特徴とする請求項14に記載のシリコン精製方法。
  16. 前記プラズマガスに添加する前記水蒸気の流量の割合は、該プラズマガスの全流量の15体積%以上40体積%以下であることを特徴とする請求項14又は15に記載のシリコン精製方法。
  17. 請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載のシリコン精製方法を用いたシリコン精製装置であって、
    前記プラズマトーチのノズル口に近い位置には、プラズマ作動ガスの供給口と、前記プラズマ作動ガスの供給口とは異なる水蒸気の供給口とが設けられていることを特徴とするシリコン精製装置。
  18. 金属シリコンを装填する坩堝とプラズマトーチとを少なくとも備えるシリコン精製装置を用い、
    前記坩堝に装填された金属シリコンの溶湯面に向けて、前記プラズマトーチのノズル口からプラズマガスを噴射することによって前記金属シリコンを精製し、
    前記ノズル口から噴射されるプラズマガスの方向における前記ノズル口先端の中心から前記溶湯面までの距離を一定に保持することを特徴とするシリコン精製方法。
  19. 前記プラズマガスにおけるラジカルリッチ領域が前記溶湯面に位置するように、前記距離を一定に保持して金属シリコンを精製することを特徴とする請求項18に記載のシリコン精製方法。
  20. 前記距離をLと表し、前記プラズマガスの作動ガス流量をVと表す場合、下記式(2)の関係が成立することを特徴とする請求項18又は19に記載のシリコン精製方法。
    [式中、係数aは0.75以上2.0以下の実数であり、Lの単位はミリメートルであり、Vの単位はリットル/分である。]
  21. 請求項18乃至請求項20のいずれか一項に記載のシリコン精製方法を用いたシリコン精製装置であって、前記距離を制御する駆動部が備えられていることを特徴とするシリコン精製装置。
  22. 前記ノズル口に近い位置には、プラズマ作動ガスの供給口と、前記プラズマ作動ガスの供給口とは異なる酸化性ガスの供給口とが設けられていることを特徴とする請求項21に記載のシリコン精製装置。
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