JPWO2011016166A1 - リビングラジカル重合触媒および重合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
Society 119,674−680(1997))は、4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジンを臭化銅に配位させた化合物を触媒として使用することを開示する。
該触媒は、酸化還元能力を有する有機化合物であって、該有機化合物の還元状態と酸化状態との間の可逆的酸化還元反応により、リビングラジカル重合の触媒反応を行う、
触媒。
触媒。
ここで、該有機化合物中に2つ以上の中心元素が存在する場合には、それぞれの中心元素が、該置換炭化水素基または非置換炭化水素基によって連結されている、
触媒。
ここで、該中心元素に置換アルキル基が結合している場合、該置換アルキル基においては、アルキル中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アルキレン基が結合している場合、該置換アルキレン基においては、アルキレン中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アルケニル基が結合している場合、該置換アルケニル基においては、アルケニル中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アルケニレン基が結合している場合、該置換アルケニレン基においては、アルケニレン中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アリール基が結合している場合、該置換アリール基においては、アリール中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アリーレン基が結合している場合、該置換アリーレン基においては、アリーレン中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されている、
触媒。
ここで、該有機化合物中に2つ以上の中心元素が存在する場合には、それぞれの中心元素が、該非置換炭化水素基によって連結されている、
触媒。
ただし、該有機化合物が1つの中心元素を有する場合、該中心元素である窒素原子に、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基から選択される3つの置換基が結合しており、
そして、該有機化合物が2つ以上の中心元素を有する場合、該2つ以上の中心元素のそれぞれは、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基により連結されており、
ここで、該アルキル基およびアルキレン基の炭素数は1〜10であり、該アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基およびアルキニレン基の炭素数は2〜10である、
触媒。
トリエチルアミン;
トリブチルアミン;
テトラキスジメチルアミノエテン;
1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン
トリブチルホスフィン;
トリフェニルホスフィン;
ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン(BTTF)
エチレンジアミン;
ジメチルエチレンジアミン;
テトラメチルエチレンジアミン;
テトラメチルジアミノメタン;
トリス(2−アミノエチル)アミン;
トリス(2−(メチルアミノ)エチル)アミン;
1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン;および
ヘマトポルフィリン。
(22)
ポリマーの製造方法であって、上記項1〜10のいずれかに記載の触媒の存在下にラジカル重合性モノマーを重合させる工程を包含する、製造方法。
CR2R3R4X3 (II)
ここで、R2およびR3は、独立して、ハロゲン、水素またはアルキルであり、R4はハロゲン、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシアノであり、X3はハロゲンであり、
そして前記ラジカル反応性不飽和結合を有するモノマーが以下から選択される、方法:
(メタ)アクリル酸エステルモノマー、芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、カルボニル基含有不飽和モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ジエン系モノマー、ビニルエステルモノマー、N−ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、ハロゲン化ビニルモノマー、および1−オレフィンモノマー。
安価な触媒が提供される。
多くの有機化合物は無毒であり、人体に摂取されても害がない。従って、安全性の観点に基づいて生成ポリマーから除去する必要性がない。何らかの理由により、除去する場合であっても、水への溶解性が高いなどの特長により、除去作業が極めて容易である。
有機化合物を担持したビーズは各種市販されている。これらを触媒として用いることも可能である。これらのビーズは回収可能であり、さらに、何度も再使用することができる。
多様な天然の有機化合物を触媒として利用することができる。
様々な種類のモノマーにおいてリビングラジカル重合を行うことが可能となる。特に、反応性の高い官能基を有するモノマーの重合の際に、有機化合物は、そのモノマーの官能基の影響を受け難いので有利である。同様に、反応性の高い官能基を有する溶媒を用いる際にも有利である。
以下に本明細書において特に使用される用語を説明する。
この場合、炭素数は、好ましくは、C2〜10であり、より好ましくは、C2〜5であり、さらに好ましくは、C2〜3である。アルケニルの具体例としては、例えば、ビニルなどがある。
である)。三重結合の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。三重結合の数に上限は特にないが、10以下であってもよく、あるいは5以下であってもよい。三重結合と単結合とが交互に繰り返される構造が好ましい。鎖状のアルキニルは、直鎖または分枝鎖であり得る。環状のアルキニルは、環状構造のみから構成されてもよく、環状構造にさらに鎖状構造が結合した構造であってもよい。また、三重結合は、環状構造部分に存在してもよく、鎖状構造部分に存在してもよい。アルキニルの炭素数は、任意の自然数であり得る。好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20である。本明細書において「アルキニレン」とは、アルキニルから水素原子がさらに一つ失われて生ずる2価の基をいう。
本発明においては、リビングラジカル重合法のための触媒として、酸化還元能力を有する有機化合物を用いる。
例えば、中心元素としてリンを用いた化合物は、特にアクリレートおよびスチレンなどの重合に好ましく使用可能である。
1つのみの中心元素が存在する場合、好ましい触媒化合物は、その1つの中心元素に炭化水素が結合している化合物である。好ましい化合物の具体例としては、例えば、一般式ARnで示される化合物であり、ここで、Aは中心元素であり、好ましい実施形態では窒素またはリンである。Rは炭化水素置換基であり、好ましい実施形態では、アルキル、アリールなどである。Rが低級アルキルの場合、一般的に化合物が安価であるので好ましい。nは、AおよびRの原子価が分子全体として釣り合うように決められる数である。
2つ以上の中心元素が存在する場合、それぞれの中心元素は、炭化水素基により連結されることが好ましい。
また、2つ以上の中心元素が存在する場合、2つの中心元素がハロゲン原子を挟み込むような構造となるものが好ましい。例えば、中心元素の2つの原子がハロゲンに配位結合するような構造が好ましい。具体的には、2つの窒素原子が炭化水素に結合している化合物または2つのリン原子が炭化水素に結合している化合物を用いれば、その2つの窒素原子または2つのリン原子がハロゲンを挟むような構造をとることが可能であり、高い触媒活性が達成可能である。
好ましい化合物の具体例としては、例えば、基本骨格として一般式A1R1A2で示される構造を有する化合物であり、ここで、A1およびA2は中心元素であり、好ましい実施形態では窒素またはリンである。Rは炭化水素置換基であり、好ましい実施形態では、アルキレン、アルケニレン、アリーレンなどである。Rが低級アルキレンの場合、一般的に化合物が安価であるので好ましい。このような基本骨格を有する化合物の具体例としては、例えば、一般式(R2)nA1R1A2(R3)mで示される構造を有する化合物であり、ここで、R2およびR3は、基本骨格構造の酸化還元能力に影響を与えない基であり、好ましい実施形態では炭化水素であり、より好ましくは、アルキル、アルケニル、アリールなどである。nおよびmは、A1、R1、A2、R2、R3の原子価が分子全体として釣り合うように決められる数である。
触媒化合物は、必要に応じて、様々な基を有していてもよい。例えば、中心元素に、任意の有機基または無機基を結合させることが可能である。
触媒化合物の好ましい具体例としては、例えば、中心元素として窒素を有するものとして、トリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン)、テトラキスジメチルアミノエテン(TDAE)、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカントリブチルホスフィン(TDME)などが挙げられる。近年、ホール輸送能を有する有機化合物が盛んに研究されているが、そのような有機化合物が使用可能である。また、フタル酸イミド類、ピリジン類、ビピリジン類、N,N,N‘,N“,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、エチレンジアミン、ジメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルジアミノメタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(2−(メチルアミノ)エチル)アミン、ヘマトポルフィリン、およびこれらの誘導体が使用可能である。
本発明の触媒として使用される化合物は、その多くは公知化合物であり、試薬販売会社などから市販されているものをそのまま用いることが可能であり、あるいは、公知の方法により合成することが可能である。また、天然物中に存在する化合物は、その天然物から抽出するなどの方法により入手することもできる。
本発明の触媒は、極めて活性が高く、少量でリビングラジカル重合を触媒することが可能である。
本発明の方法には、リビングラジカル重合の反応途中の成長鎖を保護する保護基を用いる。このような保護基としては、従来からリビングラジカル重合に用いる保護基として公知の各種保護基を用いることが可能である。ここで、保護基としてハロゲンを用いることが好ましい。従来技術に関して上述したとおり、特殊な保護基を用いる場合には、その保護基が非常に高価であることなどの欠点がある。
本発明の方法においては、好ましくは、炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物を反応材料に添加し、この有機ハロゲン化物から成長鎖に与えられるハロゲンを保護基として用いる。このような有機ハロゲン化物は比較的安価であるので、リビングラジカル重合に用いられる保護基のために用いられる公知の他の化合物に比べて有利である。また、必要に応じて、炭素以外の元素にハロゲンが結合した低分子ドーマント種を用いることも可能である。
また、ハロゲン原子を有する触媒化合物を使用する場合には、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物のハロゲン原子は、触媒中のハロゲン原子と同一であってもよく、異なってもよい。異種のハロゲン原子であっても、有機ハロゲン化物と触媒の化合物との間で、互いにハロゲン原子を交換することが可能であるからである。ただし、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物のハロゲン原子と、触媒中のハロゲン原子とが同一であれば、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物と触媒の化合物との間でのハロゲン原子の交換がより容易であるので、好ましい。
ここで、R2は、ハロゲン、水素またはアルキルである。好ましくは、水素または低級アルキルである。より好ましくは、水素またはメチルである。
メチルペンタン、2−ヨード−2−シアノブタノール、4−メチルペンタン、シアノ−4−メチルペンタン、2−ヨード−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド4−メチルペンタン、2−ヨード−2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド4−メチルペンタン、2−ヨード−2−(2−イミダソリン−2−イル)プロパン、2−ヨード−2−(2−(5−メチル−2−イミダソリン−2−イル)プロパン等が挙げられる。これらのハロゲン化物は単独で用いてもよく、または組合せて用いてもよい。
本発明の重合方法には、モノマーとして、ラジカル重合性モノマーを用いる。ラジカル重合性モノマーとは、有機ラジカルの存在下にラジカル重合を行い得る不飽和結合を有するモノマーをいう。このような不飽和結合は二重結合であってもよく、三重結合であってもよい。すなわち、本発明の重合方法には、従来から、リビングラジカル重合を行うことが公知の任意のモノマーを用いることができる。
ホニルイミニウム(N(CF3SO2)2 −)塩、2−(N−エチル−N−メチル−N−水素化アミノ)エチルメタクリレート+/トリフルオロスルホニルイミニウム(N(CF
3SO2)2 −)塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタクリレート+/フルオ
ロハイドロジェネーション((FH)nF−)塩、N−エチル−N−メチルピロリジニウムメタクリレート+/フルオロハイドロジェネーション((FH)nF−)塩などのイオ
ン液体性のメタクリレートを用いることができる。
アクリレートのリビングラジカル重合の制御は一般に困難であるが、本願発明によれば、制御することが可能である。特に、リン系の触媒を使用すれば、アクリレートの重合を好適に制御できる。
本発明のリビングラジカル重合方法においては、必要に応じて、少量のラジカル反応開始剤を用いてもよい。このようなラジカル反応開始剤としては、ラジカル反応に使用する開始剤として公知の開始剤が使用可能である。例えば、アゾ系のラジカル反応開始剤および過酸化物系のラジカル開始剤などが使用可能である。アゾ系のラジカル反応開始剤の具体例としては、例えば、アゾビス(イソブチロニトリル)が挙げられる。過酸化物系のラジカル開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−butyl peroxybenzoate(BPB)、di(4−tert−butylcyclohexyl) peroxydicarbonate(PERKADOX16)、過酸化二硫酸カリウムが挙げられる。
モノマーなどの反応混合物が反応温度において液体であれば、必ずしも溶媒を用いる必要はない。必要に応じて、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、従来、リビングラジカル重合に用いられていた溶媒をそのまま使用することが可能である。溶媒を用いる場合には、その使用量は重合反応が適切に行われる限り特に限定されないが、モノマー100重量部に対して1重量部以上用いることが好ましく、10重量部以上用いることがより好ましく、50重量部以上用いることがさらに好ましい。溶媒の使用量が少なすぎる場合には、反応溶液の粘度が高くなりすぎる場合がある。また、モノマー100重量部に対して2000重量部以下とすることが好ましく、1000重量部以下とすることがより好ましく、500重量部以下とすることがさらに好ましい。溶媒の使用量が多すぎる場合には、反応溶液のモノマー濃度が薄くなりすぎる場合がある。
上述したリビングラジカル重合のための各種材料には、必要に応じて、公知の添加剤等を必要量添加してもよい。そのような添加剤としては、例えば、重合抑制剤などが挙げられる。
上述した各種原料を混合することにより、リビングラジカル重合の材料として適切な原料組成物が得られる。得られた組成物は、従来公知のリビングラジカル重合方法に用いることができる。
原料組成物は、好ましくは、触媒と、ラジカル反応性不飽和結合を有するモノマーと、ドーマント種として使用される炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物を含む。より好ましくは、ハロゲン分子またはハロゲンを提供できるハロゲン化無機化合物をさらに含む。原料組成物は、これらに加えてさらに溶媒を含んでもよい。
本発明の方法における反応温度は特に限定されない。好ましくは、10℃以上であり、より好ましくは、20℃以上であり、さらに好ましくは、30℃以上であり、いっそう好ましくは、40℃以上であり、特に好ましくは、50℃以上である。また、好ましくは、130℃以下であり、より好ましくは、120℃以下であり、さらに好ましくは、110℃以下であり、いっそう好ましくは、105℃以下であり、特に好ましくは、100℃以下である。
本発明の方法における反応時間は特に限定されない。好ましくは、15分間以上であり、より好ましくは、30分間以上であり、さらに好ましくは、1時間以上である。また、好ましくは、3日以下であり、より好ましくは、2日以下であり、さらに好ましくは、1日以下である。
本発明の方法における重合反応は、反応容器中に空気が存在する条件下で行ってもよい。また、必要に応じて窒素やアルゴンなどの不活性ガスで空気を置換しても良い。
本発明において、酸化還元能力を有する有機化合物は、酸化状態と、還元状態との両方の状態をとり得る。重合を開始する際には、触媒化合物がすべて一方の状態にあることは好ましくなく、酸化状態の触媒化合物と、還元状態の触媒化合物との両方が存在することが好ましい。酸化状態の触媒化合物と、還元状態の触媒化合物との両方が存在することによって、ドーマント種(polymer−X)の成長ラジカル(polymer・)への可逆的活性化反応が効率良く進むと考えられる。
本発明は特に理論に束縛されないが、その推定されるメカニズムを説明する。
(スキーム1)
であると理解される。右辺においてはTDAEとハロゲンの間で一電子が移動した塩の状態、あるいはTDAEとハロゲンの間で部分電荷が移動した錯体の状態を取りうる。
本発明の方法で得られる生成ポリマーは、末端にハロゲン(例えば、ヨウ素)を有する。このポリマーを製品に使用する際には、必要があれば、末端のハロゲンを除去して、使用することもできる。また、末端のハロゲンを積極的に利用し、これを別の官能基に変換して、新たな機能を引き出すこともできる。末端のハロゲンの反応性は、一般に高く、非常に様々な反応により、その除去や変換ができる。例えば、ハロゲンがヨウ素である場合のポリマー末端の処理方法の例を以下のスキームに示す。これらのスキームに示す反応などにより、ポリマー末端を利用することができる。また、ハロゲンがヨウ素以外である場合についても、同様にポリマー末端を官能基に変換することができる。
(スキーム3)
上述した本発明のリビングラジカル重合方法によれば、分子量分布の狭いポリマーが得られる。例えば、反応材料の配合や反応条件を適切に選択することにより、重合平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnが1.5以下のポリマーを得ることが可能であり、さらに反応材料配合および反応条件を適切に選択することにより、Mw/Mnが1.4以下、1.3以下、1.2以下、さらには1.1以下のポリマーを得ることが可能となる。なお、本発明のリビングラジカル重合方法において、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化物のハロゲン原子が臭素である場合にも、Mw/Mnが2.0を下回るポリマーを得ることが可能であり、従来のラジカル重合法に比して、分子量分布の狭いポリマーが得られる。前記の通り、臭素化合物は、ヨウ素化合物に比べて安定なため、生成ポリマーから末端ハロゲンを除去する必要性が比較的低くく、得られるポリマーの有用性が極めて高い。さらに、臭素を複数持った化合物は、多くが市販または容易に合成できるため、星型、くし型、表面グラフト化型の多様なトポロジー(分岐)ポリマーも容易に得られる。よって、前記有機ハロゲン化物のハロゲン原子が臭素である場合にも、得られるポリマーは下記の用途に好適に使用できる。
まず、実施例で用いた主な化合物の構造を以下に記載する。
実施例で用いられたモノマーの構造式を以下に示す。
実施例で用いられた触媒化合物およびドーマント種となる有機ハロゲン化化合物(CPI)の構造式を以下に示す。
[TDAEを触媒として用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
(entry 1−1)
ドーマント種となるハロゲン化アルキルとして、80mMの2−ヨード−2−シアノプロピル(CP−I;化学構造式は上述のとおり)を用いた。触媒として40mMのテトラキスジメチルアミノアミン(TDAE;化学構造式は上述のとおり)を用いた。有機化酸化物またはジアゾ化合物などのラジカル開始剤は用いなかった。これらの材料を3gのメチルメタクリレート(MMA)に溶解して上記濃度の反応溶液とした。モノマー濃度は約8Mであった。これらの材料の溶解性は良好であり、均一な溶液が形成された。アルゴンにて残存酸素を置換し、この反応溶液を80℃に加熱することにより重合反応を行った。実験結果を表1のentry 1−1に示す。
2mMのヨウ素(I2)を用いた以外は、上記entry 1の実験と同様に実験を行った。実験結果を表1のentry 2に示す。PDIは1.18であり、分子量分布が非常に狭いポリマーが得られた。この重合反応において、ヨウ素は、TDAEと反応してTDAEに正の電荷を与え、触媒作用を促進したと考えられる。
CP−Iを用いなかった以外は、上記entry 1の実験と同様に実験を行った。実験結果を表1のentry 3に示す。
の数平均分子量である。
の酸化還元反応により、ポリマーの成長末端のラジカル(polymer・)とヨウ素との間の反応が触媒されてリビングラジカル重合が進行したと考えられる。
[TDMEを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
(entry 2−1〜2−2)
TDAEの代わりに、40mMの1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(TDME;化学構造式は上述のとおり)を用いた。表1のentry 4−5)に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を表1に示す。
[触媒を用いないメチルメタクリレート(MMA)の重合]
TDAE、CP−Iおよびヨウ素(I2)を用いなかった以外は、実施例1のentry 1−2と同様に実験を行った。結果を表1のentry C−1に示す。分子量分布の狭いポリマーは得られなかった。
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R−I): 2−ヨード−2−シアノプロピル(CP−I)
触媒:TDAE(テトラキスジメチルアミノアミン)、TDME(1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)、I2
ラジカル開始剤(In):使用せず。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリスチレン(PSt)換算分子量と分子量分布指数。
[TEAを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
(entry 3−1)
TDAEの代わりに、120mMのトリエチルアミン(TEA;化学構造式は上述のとおり)を用いた。表2のentry 3−1に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を表2に示す。
表3のentry 3−2〜3−5に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、entry 3−1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を表2に示す。
MMAモノマーに溶媒としてトルエンを添加して50重量%のモノマー溶液として重合反応を行った。表3のentry 3−6に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、entry 3−1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を表2に示す。
モノマー濃度:8M(バルク)、4M(50%トルエン溶液)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R−I): 2−ヨード−2−シアノプロピル(CP−I)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
触媒:トリエチルアミン(TEA)
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリスチレン(PSt)換算分子量と分子量分布指数。
[TBAを用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
(entry 4−1)
TDAEの代わりに、20mMのトリブチルアミン(TBA;化学構造式は上述のとおり)を用いた。表3のentry 4−1に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を表3に示す。
表3のentry 4−2〜4−3に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、entry 4−1と同様に、メチルメタクリレート(MMA)の重合を行った。結果を表2に示す。
モノマー濃度:8M(バルク)、4M(50%トルエン溶液)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R−I): 2−ヨード−2−シアノプロピル(CP−I)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
触媒:トリブチルアミン(TBA)
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリスチレン(PSt)換算分子量と分子量分布指数。
[TEAを用いたベンジルメタクリレート(BzMA)の重合]
(entry 5−1)
TDAEの代わりに、40mMのトリエチルアミン(TEA;化学構造式は上述のとおり)を用いた。また、モノマーとしてベンジルメタクリレート(BzMA)を用いた。そして表4のentry 5−1に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、ベンジルメタクリレート(BzMA)の重合を行った。結果を表4に示す。
表4および表5のentry 5−2〜5−4に示すように、反応材料および反応条件を変更した以外は、entry 5−1と同様に、ベンジルメタクリレート(BzMA)の重合を行った。結果を表4および表5に示す。
モノマー濃度:8M(バルク)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル(R−I): 2−ヨード−2−シアノプロピル(CP−I)
ラジカル開始剤(In):使用せず。
触媒:トリエチルアミン(TEA)
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて得たポリスチレン(PSt)換算分子量と分子量分布指数。
(実施例6)
[スチレン(St)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を表6Aおよび6Bに示す。
モノマー濃度は8M(バルク重合)。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン(PSt)換算分子量と分子量分布指数。
VR110=2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)
(実施例7)
[アクリロニトリル(AN)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
すべて溶液重合(溶媒(エチレンカーボネート)を50%含む)(モノマー濃度は溶媒が50%あるため4M)
MnおよびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
(実施例8)
[n−ブチルアクリレート(BA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は、バルク重合の場合は8M、溶媒が50%の場合は4M。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
BPB = t−ブチルパーベンゾエート
TBP = triブチルホスフィン(Bu3P)
DAP = ジアミルパーオキサイド
VR110 = 2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)
(実施例9)
[TDAEまたはDEMEを触媒として用いたメチルメタクリレート(MMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は、バルク重合の場合は8M、溶媒が25%の場合は6M,溶媒が50%の場合は4M。
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFDG)
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
(実施例10)
[ベンジルメタクリレート(BzMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例5と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は、バルク重合の場合は8M、溶媒が50%の場合は4M。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
(実施例11)
[ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は8M(バルク重合)。
モノマーの分子量は475
MnおよびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
(実施例12)
[2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は8M(バルク重合)。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
(実施例13)
[2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とメチルメタクリレート(MMA)のランダム共重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
MMAとHEMAのランダム共重合
モノマー濃度は8M(バルク重合)。
MnおよびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
(実施例14)
[2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は4M(溶液重合)。
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFDG)
MnおよびPDI:ジメチルホルムアミド(DMF)を溶出液として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
(実施例15)
[グリシジルメタクリレート(GMA)の重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は8M(バルク重合)。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、多角光散乱(MALLS)検出器により決定した分子量と分子量分布指数。
(実施例16)
[メチルメタクリレート(MMA)(第一ブロック)とベンジルメタクリレート(BzMA)(第二ブロック)のブロック共重合]
以下の表に示すとおり反応材料および反応条件を変更した以外は、実施例1と同様に、重合を行った。結果を以下の表に示す。
モノマー濃度は4M(溶液重合)。
ポリメタクリル酸メチル−ヨウ素付加体(PMMA−I)は、Mn=3600、PDI=1.20である。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
(実施例17)
[メチルメタクリレート(MMA)とベンジルメタクリレート(BzMA)の逐次添加ブロック共重合]
第一ブロックとして、MMA(4M)の溶液重合(トルエン50vol%)を、CP−I(40mM)、TDME(20mM)、ヨウ素I2(10mM)の存在下で、90℃で3.5時間行ったところ、重合率は62%となり、Mn=6200、PDI=1.28のポリメタクリル酸メチル−ヨウ素付加体(PMMA−I)が生成した。この溶液に(PMMA−Iを単離精製することなく)、BzMA(初期MMA添加量と同当量)とTDME(BzMAの0.0025当量)、ヨウ素I2(BzMAの0.00125当量)を添加し、90℃で重合を行った。これにより、第二ブロックとして、MMA(第一ブロック時の未重合モノマー)とBzMAのランダム共重合が生じ、分子量分布の狭いPMMA−ブロック−(PMMA−ランダム−PBzMA)が生成した。結果を以下の表に示す。なお、PBzMAはポリメタクリル酸ベンジルを表す。
モノマー濃度は4M(溶液重合)(第一ブロック)。
第一ブロックでは、MMA、CP−I、TDME、ヨウ素(I2)のモル比は、4000:40:20:10であった。第一ブロックの反応後、初期MMA量と同モルのBzMAを添加した。この際に添加したBzMA、TDME、ヨウ素(I2)のモル比は、4000:10:5であった。
MnおよびPDI:テトラヒドロフラン(THF)を溶出液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリメチルメタクリレート(PMMA)換算分子量と分子量分布指数。
以下の配合を用いた以外は、実施例1と同様に、重合実験を行った。
モノマー:スチレン、8.0M(1g)
ドーマント種となるハロゲン化アルキル:1−フェニルエチルブロミド、80mM(0.016g)(以下の表中では「PEB」と略す)
触媒:CuBr 5mM(0.00071g)
配位子:4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン 10mM(0.0035g)
(以下の表中では「dHbipy」と略す)
配位子はCuBr(触媒)をモノマーに溶かすために必ず必要であり、dHbipyの場合、CuBrに対して2当量必要である。この実験の触媒濃度(CuBr錯体濃度)は5mMである。なお、この実験においては、過酸化物を用いなかった。銅錯体触媒の場合には過酸化物を用いないことが当業者の技術常識であったからである。その理由は、(1)銅錯体触媒の場合には、過酸化物を用いなくてもラジカル反応が開始されること、および、(2)銅錯体触媒に過酸化物を加えると、成長種の失活反応が起こってしまって却って分子量分布が広くなってしまうことである。具体的には、例えば、上記非特許文献1においても、過酸化物を含まない反応原料が用いられることが記載されている。
dHbipy:CuBrをモノマー(スチレン)に溶かすための配位子。
また、反応後のMnは1200〜1400であって著しく低く、高分子量のポリスチレンが得られなかった。またMw/Mnの値(PDI)も、実施例1における本発明の触媒における値よりもかなり大きくなっている。従って、遷移金属触媒の活性が、本発明の触媒の活性に比べて著しく劣ることが理解される。
スチレン 8.7 M (1 g)
1−フェニルエチルブロミド 87 mM (0.016 g)
CuBr 87 mM (0.013 g)
4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン 174 mM (0.076 g)
この反応溶液を110℃で7時間加熱して、ポリマーを得ている。モノマー1gに対して、錯体化合物を0.089g、すなわち、モノマーに対して8.9重量%という多量の触媒を用いている。
Claims (15)
- リビングラジカル重合法のための触媒であって、
該触媒は、酸化還元能力を有する有機化合物であって、該有機化合物の還元状態と酸化状態との間の可逆的酸化還元反応により、リビングラジカル重合の触媒反応を行う、
触媒。 - 請求項1に記載の触媒であって、前記可逆的酸化還元反応の際に酸化または還元される中心元素が、窒素、炭素、リン、硫黄、または酸素から選択され、前記酸化状態において該中心元素が正の電荷を有する、
触媒。 - 請求項1または2のいずれか1項に記載の触媒であって、前記還元状態の有機化合物において、前記可逆的酸化還元反応において酸化または還元される中心元素にハロゲン原子または水素原子のいずれも結合していない、触媒。
- 請求項3に記載の触媒であって、前記還元状態の有機化合物において、前記可逆的酸化還元反応において酸化または還元される中心元素には、置換炭化水素基または非置換炭化水素基が結合しており、ここで、該置換炭化水素基においては、炭化水素基中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されているか、または炭化水素基中の炭素骨格中に1つ以上のエーテル結合またはエステル結合が挿入されており、
ここで、該有機化合物中に2つ以上の中心元素が存在する場合には、それぞれの中心元素が、該置換炭化水素基または非置換炭化水素基によって連結されている、
触媒。 - 請求項4に記載の触媒であって、前記置換炭化水素基の炭素数が1〜10であり、非置換炭化水素基の炭素数が1〜10である、触媒。
- 請求項4または5に記載の触媒であって、前記中心元素に置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアリーレン基が結合しており、
ここで、該中心元素に置換アルキル基が結合している場合、該置換アルキル基においては、アルキル中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アルキレン基が結合している場合、該置換アルキレン基においては、アルキレン中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アルケニル基が結合している場合、該置換アルケニル基においては、アルケニル中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アルケニレン基が結合している場合、該置換アルケニレン基においては、アルケニレン中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アリール基が結合している場合、該置換アリール基においては、アリール中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されており、
該中心元素に置換アリーレン基が結合している場合、該置換アリーレン基においては、アリーレン中の1つ以上の水素原子が水酸基、アミノ基、シアノ基から選択される置換基により置換されている、
触媒。 - 請求項4または5に記載の触媒であって、前記還元状態の有機化合物において、前記可逆的酸化還元反応において酸化または還元される中心元素には、非置換炭化水素基が結合しており、
ここで、該有機化合物中に2つ以上の中心元素が存在する場合には、それぞれの中心元素が、該非置換炭化水素基によって連結されている、
触媒。 - 請求項7に記載の触媒であって、前記還元状態の有機化合物中の中心元素には、前記非置換炭化水素基のみが結合している、触媒。
- 請求項4に記載の触媒であって、ここで、前記有機化合物が1つまたは2つ以上の中心元素を有し、該中心元素が窒素であり、該中心元素である窒素原子に、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、またはアルキニレン基から選択される3つの置換基が結合しており、
ただし、該有機化合物が1つの中心元素を有する場合、該中心元素である窒素原子に、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基から選択される3つの置換基が結合しており、
そして、該有機化合物が2つ以上の中心元素を有する場合、該2つ以上の中心元素のそれぞれは、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基により連結されており、
ここで、該アルキル基およびアルキレン基の炭素数は1〜10であり、該アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基およびアルキニレン基の炭素数は2〜10である、
触媒。 - 以下の群の有機化合物から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の触媒:
トリエチルアミン;
トリブチルアミン;
テトラキスジメチルアミノアミン;
1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン
トリブチルホスフィン;
トリフェニルホスフィン;
ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン(BTTF)
エチレンジアミン;
ジメチルエチレンジアミン;
テトラメチルエチレンジアミン;
テトラメチルジアミノメタン;
トリス(2−アミノエチル)アミン;
トリス(2−(メチルアミノ)エチル)アミン;
1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン;および
ヘマトポルフィリン。 - リビングラジカル重合を行う工程を包含する重合方法であって、該リビングラジカル重合工程が、請求項1〜10のいずれか1項に記載の触媒の存在下で行われる、方法。
- 請求項11に記載の方法であって、前記リビングラジカル重合を行う際の反応混合物にラジカル開始剤が添加されない、方法。
- 請求項11または12に記載の方法であって、前記重合を開始する際に、前記触媒として、前記還元状態の有機化合物と、該有機化合物にハロゲンを提供できるハロゲン分子またはハロゲン化無機化合物との混合物が使用される、方法。
- 請求項11または12に記載の方法であって、前記重合を開始する際に、前記触媒として、前記還元状態の有機化合物と、ハロゲン分子との混合物が使用される、方法。
- ポリマーの製造方法であって、請求項1〜10のいずれかに記載の触媒の存在下にラジカル重合性モノマーを重合させる工程を包含する、製造方法。
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