JP2002249505A - メタクリレート系重合体の製造方法 - Google Patents

メタクリレート系重合体の製造方法

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JP2002249505A
JP2002249505A JP2001389513A JP2001389513A JP2002249505A JP 2002249505 A JP2002249505 A JP 2002249505A JP 2001389513 A JP2001389513 A JP 2001389513A JP 2001389513 A JP2001389513 A JP 2001389513A JP 2002249505 A JP2002249505 A JP 2002249505A
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methacrylate
metal
solvent
radical
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JP2001389513A
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貴宏 ▲斉▼藤
Takahiro Saito
Osamu Nishizawa
理 西澤
Takeshi Fukuda
猛 福田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リビングラジカル重合法を利用したメタクリレ
ート系重合体の製造方法を提供する。 【解決手段】重合溶媒として、水、エーテル類、アミド
類、ニトリル類、アルコール類の群から選ばれる少なく
とも1種を含む溶媒を使用し、重合開始剤として、有機
ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物またはハロ
ゲン含有マクロイニシエーターを使用し、周期表7族〜
11族から選ばれる少なくとも1種の遷移金属(M)が
中心金属である金属錯体から成るレドックス触媒であっ
て、重合開始時における低原子価金属(M)n(ただ
し、nは整数)と高原子価金属(M)n +1とのモル比
(M)n/(M)n+1が90/10〜0.1/99.9の
範囲内であるレドックス触媒の存在下、少なくともメタ
クリレート系モノマーを1種以上を含むラジカル重合性
モノマーを重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタクリレート系
重合体の製造方法に関し、詳しくは、リビングラジカル
重合法を利用したメタクリレート系重合体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来リビングラジカル重合法には次の3
つの方法が研究されている。
【0003】(1)先ず、ラジカル開始剤または共有結
合化学種から成長ラジカルを生成する。次いで、成長ラ
ジカルと補足ラジカルとがモノマーを取り込みながら反
応して共有結合化学種を生成する疑似停止反応と、共有
結合化学種から補足ラジカルが解離して再び成長ラジカ
ルを生成する反応とが、可逆的に生じて重合が進行す
る。
【0004】(2)先ず、低原子価状態の金属化学種が
共有結合化学種から酸化的に原子を引き抜き成長ラジカ
ルと高原子価状態の金属化学種が生成する。次いで、成
長ラジカルと高原子価状態の金属化学種とがモノマーを
取り込みながら反応して低原子価状態の金属化学種を生
成する疑似停止反応と、低原子価状態の金属化学種から
高原子価状態の金属化学種が解離して再び成長ラジカル
を生成する反応とが、可逆的に生じて重合が進行する。
【0005】(3)先ず、ラジカル開始剤から成長ラジ
カルを生成する。次いで、成長ラジカルと連鎖移動剤と
がモノマーを取り込みながら反応して連鎖移動ラジカル
が生成する疑似停止反応と、連鎖移動ラジカルと連鎖移
動化学種とが反応してラジカルが移動する反応と、連鎖
移動ラジカルとモノマーとが反応して再び連鎖移動ラジ
カルを生成する疑似停止反応との3つの反応が、同時に
生じて重合が進行する。
【0006】このうち、第(2)の方法に分類される原
子移動型ラジカル重合法は、次の様な図式で表される。
【0007】
【化1】
【0008】上記において、Pはポリマー鎖、(M)は
遷移金属、Xはハロゲン、YおよびLは(M)に配位可
能な配位子、nおよびn+1は遷移金属の原子価であ
り、低原子価錯体(1)と高原子価錯体(2)とはレド
ックス共役系を構成する。
【0009】最初に、低原子価錯体(1)がハロゲンを
含有する重合開始剤P−Xからハロゲン原子Xをラジカ
ル的に引き抜いて、高原子価錯体(2)及び炭素中心ラ
ジカルP・を形成する(この反応の速度はKactで表さ
れる)。このラジカルP・は、図示の様にモノマーと反
応して同種の中間体ラジカル種P・を形成する(この反
応の速度はKpropagationで表される)。高原子価錯体
(2)とラジカルP・との間の反応は、生成物P−Xを
生ずると同時に、低原子価錯体(1)を再生する(この
反応の速度はKdeactで表される)。そして、低原子価
錯体(1)はP−Xと更に反応して新たな反応を進行さ
せる。本反応においては、成長ラジカル種P・の濃度を
低く抑制することが重合を制御することにおいて最も重
要である。
【0010】上記の原子移動型ラジカル重合法の具体例
としては、次の様な報告がある。
【0011】(1)CuCl/ビピリジル錯体の存在
下、α−クロロエチルベンゼンを開始剤としたスチレン
の重合(J.Wang and K.Matyjaszewski, J.Am.C
hem.Soc.,117,5614(1995)
【0012】(2)RuCl2(PPh33、有機アル
ミ化合物の存在下でのCCl4を開始剤とするメタクリ
ル酸メチルの重合(M.Kato,M.Kamigaito,M.Sawamo
to,T.Higashimura,Macromolecules,28,182
1(1995))
【0013】その後、配位子、金属種、重合開始剤など
の設計が行われ、原子移動型ラジカル重合法は、アクリ
レートモノマーを含めて多種のモノマー種への展開が計
られてきた。
【0014】しかしながら、前記の図式で示した平衡状
態が成立し得ない場合がある。これは、特にメタクリレ
ートの場合においてしばしば観測され、エステル基の置
換基の何らかの電子的、立体的要因によって、成長ラジ
カル濃度が著しく大きくなるためと考えられる。
【0015】米国特許5807937号公報には、高原
子価錯体(2)(例えばCuCl2)を低原子価錯体
(1)(例えばCuCl)に対し、好ましくは0.2〜
10モル%加えることによりラジカル濃度を低く抑える
ことが可能である旨が記載されている。しかしながら、
前記の図式で示した平衡状態を保つためには不十分な場
合があり、それ以上の高原子価錯体(2)を加えても溶
解性が悪く、上記平衡に関与する高原子価錯体(2)の
濃度が低すぎて重合そのものが非常に遅くなってしまう
という問題点がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、原子移動型リビ
ングラジカル重合法を利用したメタクリレート系重合体
の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、特定の溶媒と特定の重合開始剤を使用し、重
合開始時における低原子価金属(M)n(ただし、nは
整数)と高原子価金属(M)n+1とのモル比(M)n
(M)n+1が特定の範囲内であるレドックス触媒の存在
下、メタクリレート系モノマーを1種以上を含むラジカ
ル重合性モノマーを重合するならば、制御された重合体
が効率よく得られるとの知見を得た。
【0018】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
であり、その要旨は、重合溶媒として、水、エーテル
類、アミド類、ニトリル類、アルコール類の群から選ば
れる少なくとも1種を含む溶媒を使用し、重合開始剤と
して、有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物
またはハロゲン含有マクロイニシエーターを使用し、周
期表7族〜11族から選ばれる少なくとも1種の遷移金
属(M)が中心金属である金属錯体から成るレドックス
触媒であって、重合開始時における低原子価金属(M)
n(ただし、nは整数)と高原子価金属(M)n+1とのモ
ル比(M)n/(M)n+1が90/10〜0.1/99.
9の範囲内であるレドックス触媒の存在下、少なくとも
メタクリレート系モノマーを1種以上を含むラジカル重
合性モノマーを重合させることを特徴とするメタクリレ
ート系重合体の製造方法に存する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法で利用される原子移動型ラジカル重合
は、概念的には前述の図式(化1)で表される。
【0020】(a)重合溶媒:本発明においては、重合
溶媒として、水、エーテル類、アミド類、ニトリル類、
アルコール類の群から選ばれる少なくとも1種を含む溶
媒を使用する。エーテル類としては、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソ
ール、ジメトキシベンゼン等が挙げられ、アミド類とし
ては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−
ジメチルアセトアミド等が挙げられ、ニトリル類として
は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ル、アルコール類としては、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール等が
挙げられる。これらの中では、水、エーテル類、アミド
類、アルコール類の群から選ばれる少なくとも1種が好
ましく、水、アニソール又はDMFが更に好ましい。
【0021】本発明においては、上記の重合溶媒とそれ
以外の溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホル
ム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などとを混
合して使用してもよい。ただし、この場合は、上記の重
合溶媒の量を開始剤のモル量以上にする必要がある。
【0022】重合溶媒の使用量は、特に限定されない
が、モノマー仕込み量100重量部に対し、通常1〜2
000重量部、好ましくは10〜1000重量部であ
る。
【0023】(b)重合開始剤:本発明においては、重
合開始剤として、有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホ
ニル化合物またはハロゲン含有マクロイニシエーターを
使用する。
【0024】本発明で使用する有機ハロゲン化物または
ハロゲン化スルホニル化合物は、重合の開始点(重合開
始末端または開始末端ということもある)となるハロゲ
ンを少なくとも1つ有する化合物であれば特に制限はな
いが、通常、開始点となるハロゲンを1つ又は2つ有す
る化合物であり、以下の一般式(1)〜(19)で表さ
れる化合物が好ましい。但し、一般式(1)〜(19)
において、C65はフェニル基、C64はフェニレン
基、R1およびR2は、水素原子、炭素数1〜20のアル
キル基、アリール基またはアラルキル基であり、それぞ
れの炭素原子上にアルコール性水酸基、アミノ基、カル
ボキシル基、アルキルチオ基などの官能基を有していて
もよく、また、同一もしくは異なっていてもよい。X
は、塩素、臭素またはヨウ素、nは0〜20の整数であ
る。
【0025】<開始点が1つの重合開始剤> (1)C65−CH2X (2)C65C(H)(X)CH3 (3)C65−C(X)(CH32 (4)R1−C(H)(X)−CO22 (5)R1−C(CH3)(X)−CO22 (6)R1−C(H)(X)−C(O)R2 (7)R1−C(CH3)(X)−C(O)R2 (8)R1−C64−SO2
【0026】<開始点が2つの重合開始剤> (9)o−、m−、p−XCH2−C64−CH2X (10)o−、m−、p−CH3C(H)(X)−C64
−C(H)(X)CH3 (11)o−、m−、p−(CH32C(X)−C64
C(X)(CH32 (12)RO2C−C(H)(X)−(CH2)n−C
(H)(X)−CO2R (13)RO2C−C(CH3)(X)−(CH2n−C
(CH3)(X)−CO2R (14)RC(O)−C(H)(X)−(CH2n−C
(H)(X)−C(O)R (15)RC(O)−C(CH3)(X)−(CH2n
C(CH3)(X)−C(O)R (16)XCH2CO2−(CH2n−OCOCH2X、 (17)CH3C(H)(X)CO2−(CH2n−OCO
C(H)(X)CH3 (18)(CH32C(X)CO2−(CH2n−OCO
C(X)(CH32 (19)RC(O)CH(X)2
【0027】一般式(1)で表される重合開始剤として
は、フェニルメチルクロライド、フェニルメチルブロマ
イド、フェニルメチルヨーダイド等、一般式(2)で表
される重合開始剤としては、1−フェニルエチルクロラ
イド、1−フェニルエチルブロマイド、1−フェニルエ
チルヨーダイド等、一般式(3)で表される重合開始剤
としては、1−フェニルイソプロピルクロライド、1−
フェニルイソプロピルブロマイド、1−フェニルイソプ
ロピルヨーダイド等、一般式(4)で表される重合開始
剤としては、2−クロロプロピオン酸、2−ブロモプロ
ピオン酸、2−ヨードプロピオン酸、2−クロロブタン
酸、2−ブロモブタン酸、2−ヨードブタン酸、メチル
−2−クロロプロピオネート、エチル−2−クロロプロ
ピオネート、メチル−2−ブロモプロピオネート、エチ
ル−2−ブロモプロピオネート、メチル−2−ヨードプ
ロピオネート等、一般式(5)で表される重合開始剤と
しては、2−クロロイソブタン酸、2−ブロモイソブタ
ン酸、2−ヨードイソブタン酸、メチル−2−クロロイ
ソブチレート、エチル−2−クロロイソブチレート、メ
チル−2−ブロモイソブチレート、エチル−2−ブロモ
イソブチレート、メチル−2−ヨードイソブチレート、
エチル−2−ヨードイソブチレート等、一般式(6)で
表される開始剤としては、α−クロロアセトフェノン、
α−ブロモアセトフェノン、α−クロロアセトン、α−
ブロモアセトン等、一般式(7)で表される開始剤とし
ては、α−クロロイソプロピルフェニルケトン、α−ブ
ロモイソプロピルフェニルケトン等、一般式(8)で表
される開始剤としては、p−トルエンスルフォニルクロ
リド、p−トルエンスルフォニルブロミド等、一般式
(9)で表される開始剤としては、α、α’−ジクロロ
キシレン、α、α’−ジブロモキシレン、α、α’−ジ
ヨードキシレン等、一般式(10)で表される開始剤と
しては、ビス(1−クロロエチル)ベンゼン、ビス(1
−ブロモエチル)ベンゼン等、一般式(11)で表され
る開始剤としては、ビス(1−クロロ−1−メチルエチ
ル)ベンゼン、ビス(1−ブロモ−1−エチル)ベンゼ
ン等、一般式(12)で表される開始剤としては、2,
5−ジクロロアジピン酸ジメチル、2,5−ジブロモア
ジピン酸ジメチル、2,5−ジヨードアジピン酸ジメチ
ル、2,5−ジクロロアジピン酸ジエチル、2,5−ジ
ブロモアジピン酸ジエチル、2,5−ジヨードアジピン
酸ジエチル、2,6−ジクロロ−1,7−ヘプタン二酸
ジメチル、2,6−ジブロモ−1,7−ヘプタン二酸ジ
メチル、2,6−ジヨード−1,7−ヘプタン二酸ジメ
チル、2,6−ジクロロ−1,7−ヘプタン二酸ジエチ
ル、2,6−ジブロモ−1,7−ヘプタン二酸ジエチ
ル、2,6−ジヨード−1,7−ヘプタン二酸ジエチル
等、一般式(13)で表される開始剤としては、2,6
−ジクロロ−2,6−ジメチル−1,7−ヘプタン二酸
ジメチル、2,6−ジブロモ−2,6−ジメチル−1,
7−ヘプタン酸ジメチル等、一般式(14)で表される
開始剤としては、3,5−ジクロロ−2,6−ヘプタン
ジオン、3,5−ジブロモ−2,6−ヘプタンジオン
等、一般式(15)で表される開始剤としては、3,5
−ジクロロ−3,5−ジメチル−2,6−ヘプタンジオ
ン、3,5−ジブロモ−3,5−ジメチル−2,6−ヘ
プタンジオン等、一般式(16)で表される開始剤とし
ては、エチレングリコールビス(2−ブロモ酢酸)エス
テル等、一般式(17)で表される開始剤としては、エ
チレングリコールビス(2−ブロモプロピオン酸)エス
テル、エチレングリコールビス(2−クロロプロピオン
酸)エステル、一般式(18)で表される開始剤として
は、エチレングリコールビス(2−ブロモイソ酪酸)エ
ステル、エチレングリコールビス(2−クロロイソ酪
酸)エステル等、一般式(19)で表される開始剤とし
ては、α,α−ジクロロアセトフェノン、α,α−ジブ
ロモアセトフェノン等が挙げられる。
【0028】本発明で使用するハロゲン含有マクロイニ
シエーターとは、重合の開始点(重合開始末端)となる
ハロゲン末端を少なくとも1つ有する重合体である。ハ
ロゲン含有マクロイニシエーターは、通常、原子移動型
ラジカル重合法または逆原子移動型ラジカル重合法によ
るレドックス触媒系を使用したリビングラジカル重合方
法で得られる。
【0029】原子移動型ラジカル重合法を使用する場合
は、重合開始時に重合開始剤としてハロゲン含有ラジカ
ル開始剤、触媒として低原子価金属錯体を使用してラジ
カル重合性モノマーをリビングラジカル重合させ、一
方、逆原子移動型ラジカル重合法を使用する場合は、重
合開始時に重合開始剤としてラジカル開始剤、触媒とし
てハロゲン含有高原子価金属錯体を使用してラジカル重
合性モノマーをリビングラジカル重合させる。
【0030】上記の何れの重合法の場合も、重合開始剤
は、開始点となるハロゲンを少なくとも1つ有する化合
物であれば特に制限はないが、通常、開始点となるハロ
ゲンを1つ又は2つ有する化合物である。理論的には、
マクロイニシエーターの重合に使用する重合開始剤の開
始点の数がそのまま得られるマクロイニシエーター1分
子当たりの開始点の数となるが、2分子停止反応、不均
化反応、ハロゲンの脱離などの副反応で開始点が若干少
なくなることもある。従って、重合条件などにより分子
量分布および1分子当たりの開始点の数の異なるマクロ
イニシエーターが得られる。
【0031】マクロイニシエーターの製造方法として
は、原子移動型ラジカル重合法によるリビングラジカル
重合方法が好ましい。そして、その重合条件は、重合開
始剤が限定される以外は、本発明の製造方法で利用され
るリビングラジカル重合方法における条件と同じであ
る。
【0032】ハロゲン含有マクロイニシエーターの製造
方法において、ラジカル重合は無溶媒または各種の溶媒
中で行うことが出来る。必要に応じて使用する重合溶媒
としては、例えば、水、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキ
シベンゼン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセト
ニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート等のエステル化合物ま
たはカーボネート化合物、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール等の
アルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素
類、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、ク
ロロベンゼン等ハロゲン化炭化水素類が挙げられる。重
合溶媒の使用量は、特に限定されないが、モノマー仕込
み量100重量部に対し、通常0.1〜5000重量
部、好ましくは1〜2000重量部、更に好ましくは1
0〜1000重量部である。
【0033】ハロゲン含有マクロイニシエーターの重合
に使用するモノマーは、ラジカル重合性モノマーであれ
ば特に制限はなく、従って、マクロイニシエーターを重
合開始剤として行う本発明における重合に使用するモノ
マーと同じでも異なっていても構わない。異なるモノマ
ーを使用した場合は次の様な共重合体が得られる。すな
わち、重合開始剤として開始点となるハロゲンを1つ有
するマクロイニシエーターを使用した場合はジブロック
共重合体、重合開始剤として開始点となるハロゲンを2
つ有するマクロイニシエーターを使用した場合はトリブ
ロック共重合体が得られる。
【0034】本発明において、好ましい重合開始剤は、
有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物で
あり、更に好ましい重合開始剤は、1−フェニルエチル
クロライド、1−フェニルエチルブロマイド、2−クロ
ロプロピオニトリル、2−クロロプロピオン酸およびそ
のアルキルエステル、2−ブロモプロピオン酸およびそ
のアルキルエステル、2−クロロイソブタン酸およびそ
のアルキルエステル、2−ブロモイソブタン酸およびそ
のアルキルエステル、α,α’−ジクロロキシレン、
α,α’−ジブロモキシレン、p−ハロメチルスチレ
ン、2,5−ジブロモアジピン酸ジアルキルエステル、
2,6−ジブロモ−1,7−ヘプタン二酸ジアルキルエ
ステルである。特に好まし重合開始剤は、1−フェニル
エチルクロライド、1−フェニルエチルブロマイド、メ
チル−2−クロロプロピオネート、エチル−2−クロロ
プロピオネート、メチル−2−ブロモプロピオネート、
エチル−2−ブロモプロピオネート、α,α’−ジクロ
ロキシレン、α,α’−ジブロモキシレン、2,5−ジ
ブロモアジピン酸ジメチル、2,6−ジブロモ−1,7
−ヘプタン二酸ジメチルである。
【0035】(c)レドックス触媒:本発明において
は、周期表7族〜11族から選ばれる少なくとも1種の
遷移金属(M)が中心金属である金属錯体から成るレド
ックス触媒を使用する。レドックス触媒(レドックス共
役錯体)は、前述の図式(化1)に示す様に低原子価金
属(M)nが中心金属である低原子価錯体(1)と高原
子価金属(M)n+1が中心金属である高原子価錯体
(2)とが可逆的に変化する。ただし、nは0以上の整
数であり、通常、n=0、1、2、3、4、5、6であ
る。
【0036】具体的に使用される低原子価金属(M)n
としては、Cu+、Ni0、Ni+、Ni2+、Pd0、Pd
+、Pt0、Pt+、Pt2+、Rh+、Rh2+、Rh3+、C
+、Co2+、Ir0、Ir+、Ir2+、Ir3+、F
2+、Ru2+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Os2+、Os
3+、Re2+、Re3+、Re4+、Re6+、Mn2+、Mn3+
の群から選ばれる金属であり、中でも、Cu+、R
2+、Fe2+、Ni2+が好ましい。
【0037】1価の銅化合物としては、塩化第一銅、臭
化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅など、2価の
ニッケル化合物としては、二塩化ニッケル、二臭化ニッ
ケル、二ヨウ化ニッケル等、二価の鉄化合物としては、
二塩化鉄、二臭化鉄、二ヨウ化鉄など、2価のルテニウ
ム化合物としては、二塩化ルテニウム、二臭化ルテニウ
ム、二ヨウ化ルテニウム等が挙げられる。
【0038】低原子価金属(M)nの使用量は、特に限
定されないが、反応系中の濃度として、通常10-4〜1
-1モル/l、好ましくは10-3〜10-1モル/lであ
る。また、低原子価金属(M)nの使用量は、重合開始
剤の重合開始末端1モルに対し、通常0.01〜100
モル、好ましくは0.1〜50モル、更に好ましくは
0.1〜10モルである。
【0039】上記の金属錯体には有機配位子が使用され
る。有機配位子は、重合溶媒への可溶化およびレドック
ス共役錯体の可逆的な変化を可能にするため使用され
る。金属への配位原子としては、窒素原子、酸素原子、
リン原子、硫黄原子などが挙げられるが、好ましくは窒
素原子またはリン原子である。有機配位子の具体例とし
ては、2,2’−ビピリジル及びその誘導体、1,10
−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチ
レンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ト
リス(ジメチルアミノエチル)アミン、トリフェニルホ
スフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
【0040】前記の遷移金属(M)と有機配位子とは、
別々に添加して重合系中で金属錯体を生成させてもよい
し、予め金属錯体を合成して重合系中へ添加してもよ
い。特に、銅の場合は前者の方法が好ましく、ルテニウ
ム、鉄、ニッケルの場合は後者の方法が好ましい。
【0041】予め合成されるルテニウム、鉄、ニッケル
錯体の具体例としては、トリストリフェニルホスフィノ
二塩化ルテニウム(RuCl2(PPh33)、ビスト
リフェニルホスフィノ二塩化鉄(FeCl2(PPh3
2)、ビストリフェニルホスフィノ二塩化ニッケル(N
iCl2(PPh32)、ビストリブチルホスフィノ二
臭化ニッケル(NiBr2(PBu32)等が挙げられ
る。
【0042】本発明におけるレドックス触媒は、上記の
錯体(低原子価錯体)に高原子価錯体を添加することに
より形成される。この際、本発明においては、レドック
ス触媒系の低原子価金属(M)nと高原子価金属(M)
n+1とのモル比(M)n/(M)n+1が重合開始時に90
/10〜0.1/99.9であることが重要である。
【0043】すなわち、本発明は、前述の重合溶媒を使
用することを前提とし、低原子価金属(M)nと高原子
価金属(M)n+1との上記の比率の規定によって特徴づ
けられる。これにより、レドックス平衡を保ち、重合速
度を大きく低下させずに、メタクリレートモノマーを含
む如何なるモノマー系においても重合の制御が可能とな
る。そして、本発明において、重合がリビング的に進行
するために重合を制御することが出来、しかも、分子量
分布の狭い重合体が得られる。低原子価金属(M)n
量が上記範囲より増えると重合の制御が困難となり、上
記範囲より少なくなると十分な速度で重合が進行しな
い。重合開始時の低原子価金属(M)nと高原子価金属
(M)n+1とのモル比(M)n/(M)n+1は好ましくは
60/40〜1/99である。
【0044】(d)ラジカル重合性モノマー:本発明に
おいては、少なくともメタクリレート系モノマーの1種
以上を含むラジカル重合性モノマーを使用する。
【0045】メタクリレート系モノマーとしては、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメ
タクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチル
メタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ベン
ジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、
ラウリルメタクリレート、n−オクチルメタクリレー
ト、2−メトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチ
ルメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコール
メタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロ
ロ2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒド
ロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシ3−フェ
ノキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコール
メタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレー
ト、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等が
挙げられる。
【0046】メタクリレート系モノマーと共重合される
モノマーとしては、通常のラジカル重合可能なモノマー
であれば特に制限はないが、通常アクリレート系モノマ
ー又はスチレン誘導体が好適に使用される。これらの共
重合モノマーの具体例としては、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニル
アクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシル
アクリレート、ラウリルアクリレート、n−オクチルア
クリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ブトキ
シエチルアクリレート、メトキシテトラエチレングリコ
ールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフ
ルフリルアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシ
プロピルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレ
ート、ポリエチレングリコールアクリレート、2−(ジ
メチルアミノ)エチルアクリレート、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−
メチロールメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、
スチレン、o−、m−、p−メトキシスチレン、o−、
m−、p−t−ブトキシスチレン、o−、m−、p−ク
ロロメチルスチレン等が挙げられる。これらは、2種類
以上のモノマーでランダム共重合またはブロック共重合
されてもよい。更に、重合の途中でモノマーを徐々に添
加して共重合してもよい。
【0047】(e)その他の重合条件:本発明における
リビングラジカル重合方法は、通常−50〜200℃、
好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜130
℃の温度で行われる。重合終了後、周知の方法に従っ
て、残存モノマー及び/又は溶媒の留去、適当な溶媒中
での再沈殿、沈殿したポリマーの濾過または遠心分離、
ポリマーの洗浄および乾燥を行うことが出来る。必要に
応じ、生成ポリマーの良溶媒、例えば、テトラヒドロフ
ラン(THF)、トルエン等で重合溶液を希釈し、アル
ミナ、シリカ又はクレーのカラム若しくはパッドに通す
ことにより、触媒として使用した遷移金属錯体を重合溶
媒から除去することが出来る。その他、重合溶液に金属
吸着剤を分散させて処理する方法も採用し得る。金属成
分は、必要ならば重合体中に残っていてもよい。得られ
た重合体は、周知の手法に従って、サイズ排除クロマト
グラフィー、NMRスペクトル等により分析することが
出来る。
【0048】再沈殿に使用する溶媒としては、水;ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数5〜8のアルカ
ン;シクロヘキサン等の炭素数5〜8のシクロアルカ
ン;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の炭
素数1〜6のアルコール等が挙げられる。これらの中で
は、水、ヘキサン、メタノール又はこれらの混合物が好
適である。
【0049】本発明の製造方法で得られる重合体の数平
均分子量は、通常250〜500,000、好ましくは
500〜250,000であり、分子量分布(Mw:重
量平均分子量/Mn:数平均分子量)は、通常1.8以
下、好ましくは1.5以下である。
【0050】本発明の製造方法はリビングラジカル重合
法を利用しているため、重合可能なラジカル末端にハロ
ゲンXを結合させて重合を疑似停止したり、再度ハロゲ
ン末端からラジカル末端を生成して重合を開始したり、
重合を自由自在に開始し且つ終了させることが出来る。
更に、本発明の製造方法で得られた重合体は、更なる重
合を開始することが可能なハロゲン末端"X"を有してい
るため、第1のモノマーが重合で消費されて第1のブロ
ック鎖を形成した後、第2のモノマーを添加して第1の
ブロック鎖の末端から成長する第2のブロックを形成す
ることが出来る。そして、同一又は異なるモノマーを加
えることにより、マルチ−ブロックコポリマーを調製す
ることが出来る。また、本発明の製造方法で得られる重
合体は、変成工程に供し、ハロゲン末端と官能基を有す
る化合物と反応させることにより、目的とする他の官能
基を有する重合体に変換することが出来る。
【0051】本発明の製造方法で得られる重合体は、直
接的には、エラストマー、エンジニアリング樹脂、塗
料、接着剤、インク及び画像形成組成物などとして使用
される他、セメント調整剤、分散剤、乳化剤、界面活性
剤、粘性係数向上剤、紙添加剤、静電気防止剤、被覆
剤、樹脂調整剤などの添加剤として使用される。また、
本発明の製造方法で得られる重合体は、ポリウレタン等
のより大きな高分子製品の中間体として、水処理化学物
質、複合部品、化粧品、毛髪用品、腸内拡張剤、診断
剤、持続放出組成剤などの製薬剤などとして使用するこ
とが出来る。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。以下の諸例において
は、分子量の測定は、ポリスチレン標準試料で校正した
ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して行った。
【0053】実施例1 溶媒としてアニソール50ml(49.8g)、モノマ
ーとしてベンジルメタクリレート52g(2.93×1
-1モル)、配位子としてペンタメチルジエチレントリ
アミン0.3054g(1.76×10-3モル)、重合
開始剤としてメチル−2−ブロモイソブチレート0.5
260g(2.91×10-3モル)をフラスコに仕込
み、15分間窒素バブリングして混合溶液を得た。
【0054】次いで、窒素置換されたコンデンサー、窒
素導入管、撹拌機及び温度計付きのフラスコに、触媒と
して臭化第一銅0.0413g(2.88×10-4
ル)、臭化第二銅0.3402g(1.52×10-3
ル)を仕込み(I価/II価=16/84)を仕込み、
70℃で重合を行い、ベンジルメタクリレート重合体を
得た。任意の時間にフラスコ内より反応溶液を抜き出
し、重合体の分子量を測定した。表1に示す様に、この
重合体の分子量は重合時間の経過に従い増加し、また、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.4
0以下の狭分布であった。
【0055】
【表1】
【0056】実施例2 実施例1において、溶媒として水30ml、モノマーと
してメトキシテトラエチレングリコールメタクリレート
10.15g(3.56×10-2モル)、配位子として
2,2'−ビピリジル0.2648g(1.66×10-3
モル)、重合開始剤としてメチル−2−ブロモイソブチ
レート0.0668g(3.69×10- 4モル)を使用
した以外は、実施例1と同様にして混合溶液を得た。
【0057】次いで、実施例1において、上述のモノマ
ーを含む混合溶液、触媒として塩化第一銅0.0116
g(1.17×10-4モル)、塩化第二銅0.0966g
(7.18×10-4モル)として(I価/II価=14/
86)、重合温度を20℃とした以外は、実施例1同様
にして重合を行った。表2に示す様に、この重合体の分
子量は重合時間の経過に従い増加し、また、分子量分布
(重量平均分子量/数平均分子量)は1.40以下の狭
分布であった。なお、表2中の収率の欄における記号
「−」は測定せずを意味する(以下の表においても同
じ)。
【0058】
【表2】
【0059】比較例1 実施例1において、溶媒としてアニソール70ml、モ
ノマーとしてベンジルメタクリレート70g(2.84
モル)、配位子としてペンタメチルジエチレントリアミ
ン0.6634g(3.83×10-3モル)、重合開始
剤としてメチル−2−ブロモイソブチレート0.663
4g(3.97×10-3モル)を使用した以外は、実施
例1同様にして混合溶液を得た。
【0060】次いで、実施例1において、上述のモノマ
ーを含む混合溶液、触媒として臭化第一銅0.5664
g(3.95×10-3モル)を仕込み(I価/II価=1
00/0)、重合温度を30℃とした以外は、実施例1
同様にして重合を行った。表3に示す様に、重合開始よ
り10分以内に数平均分子量10,000以上の重合体
が生成し、また、重合体の分子量分布は1.5以上であ
り重合の制御は不可能であった。
【0061】
【表3】
【0062】比較例2 比較例1において、更に、触媒として臭化第二銅0.0
507g(2.17×10-4モル)を加えた(I価/II
価=95/5)以外は、比較例1と全く同様にして重合
を行った。任意の時間にフラスコ内より反応溶液を抜き
出し、分子量を測定した。表4に示す様に、重合開始よ
り10分で数平均分子量10,000程度の重合体が生
成し、また、重合体の分子量分布は1.5以上であり重
合の制御は不可能であった。
【0063】
【表4】
【0064】比較例3 実施例1において、溶媒として水30ml、モノマーと
してメトキシテトラエチレンオキシドメタクリレート1
0.23g(3.59×10-2モル)、配位子として
2,2'−ビピリジル0.1789g( 1.53×10
-3モル)、重合開始剤としてメチル−2−ブロモイソブ
チレート0.0615g(3.40×10- 4モル)を使
用した以外は、実施例1と同様にして混合溶液を得た。
【0065】次いで、実施例1において、上述のモノマ
ーを含む混合溶液、触媒として塩化第一銅0.0353
g(3.57×10-4モル)を仕込み(I価/II価=1
00/0)、重合温度を20℃とした以外は、実施例1
同様にして重合を行った。表5に示す様に、重合開始よ
り10分以内に数平均分子量10,000以上の重合体
が生成し、また、重合体の分子量分布は1.5以上であ
り重合の制御は不可能であった。
【0066】
【表5】
【0067】比較例4 実施例1において、溶媒をアニソールに代わりヘキサン
を使用した以外は、実施例1と全く同様の操作を行っ
た。任意の時間にフラスコ内より反応溶液を抜き出し、
分子量を測定した。表6に示す様に、重合は実質的に停
止し高分子量体が得られず、また、重合体の分子量分布
は1.5以上であり重合の制御は不可能であった。
【0068】
【表6】
【0069】実施例3 実施例1において、溶媒をアニソールに代わりジメチル
ホルムアミド(DMF)、触媒使用量を第一塩化銅0.
0285g(2.88×10-4モル)、第二塩化銅0.
0043g(3.20×10-5モル)(・価/・価=9
0/10)、モノマーをベンジルメタクリレートに代わ
りメチルメタクリレート29g(2.93×10-1
ル)及びスチレン30.5g(2.93×10-1モル)
を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。そ
の結果を表7に示す。
【0070】
【表7】
【0071】以上説明した実施例および比較例から明ら
かな通り、レドックス触媒系の低原子価金属(M)n
高原子価金属(M)n+1とのモル比(M)n/(M)n+1
を重合開始時に90/10〜0.1/99.9の範囲内
としてメタクリレート系モノマーを重合するならば、分
子量分布の狭いメタクリレート系重合体が得られる。
【0072】
【発明の効果】以上、本発明によれば、リビングラジカ
ル重合方法を利用したメタクリレート系重合体の製造方
法が提供され、本発明の工業的価値は大きい。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J015 CA14 CA15 4J100 AL02P CA01 CA04 CA05 DA04 FA03 FA08 FA19 FA30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合溶媒として、水、エーテル類、アミ
    ド類、ニトリル類、アルコール類の群から選ばれる少な
    くとも1種を含む溶媒を使用し、重合開始剤として、有
    機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物またはハ
    ロゲン含有マクロイニシエーターを使用し、周期表7族
    〜11族から選ばれる少なくとも1種の遷移金属(M)
    が中心金属である金属錯体から成るレドックス触媒であ
    って、重合開始時における低原子価金属(M)n(ただ
    し、nは整数)と高原子価金属(M)n+1とのモル比
    (M)n/(M)n+1が90/10〜0.1/99.9の
    範囲内であるレドックス触媒の存在下、(d)少なくと
    もメタクリレート系モノマーを1種以上を含むラジカル
    重合性モノマーを重合させることを特徴とするメタクリ
    レート系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 重合溶媒が、水、エーテル類、アミド
    類、アルコール類の群から選ばれる少なくとも1種であ
    る請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 低原子価金属(M)nが、Cu+、R
    2+、Fe2+、Ni2+の群から選ばれる1種である請求
    項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合開始剤が有機ハロゲン化物またはハ
    ロゲン化スルホニル化合物である請求項1〜3の何れか
    に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 得られる重合体の分子量分布(Mw/M
    n)が1.8以下である請求項1〜4の何れかに記載の
    製造方法。
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