JP2002356510A - 重合体の製造方法 - Google Patents

重合体の製造方法

Info

Publication number
JP2002356510A
JP2002356510A JP2001162646A JP2001162646A JP2002356510A JP 2002356510 A JP2002356510 A JP 2002356510A JP 2001162646 A JP2001162646 A JP 2001162646A JP 2001162646 A JP2001162646 A JP 2001162646A JP 2002356510 A JP2002356510 A JP 2002356510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
atom
polymer
polymerization
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001162646A
Other languages
English (en)
Inventor
Minako Shibata
美奈子 柴田
Masato Onoe
真人 尾上
Osamu Nishizawa
理 西澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001162646A priority Critical patent/JP2002356510A/ja
Publication of JP2002356510A publication Critical patent/JP2002356510A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】原子移動型ラジカル重合法による重合体の製造
方法であって、使用した金属触媒の除去を効率的かつ簡
便に行ない得る様に改良された重合体の製造方法を提供
する。 【解決手段】重合溶媒の存在下、ラジカル的移動可能な
原子または原子団を有する開始剤と遷移金属が中心金属
である金属錯体から成るレドックス触媒とを使用し、原
子移動型ラジカル重合法で1種以上の重合性ビニル単量
体を重合して非水溶性重合体を得、次いで、非水溶性重
合体を含有する重合反応液と水とを接触させた後、水相
と有機相とに分離し、有機相から非水溶性重合体を回収
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合体の製造方法
に関し、詳しくは、原子移動型ラジカル重合法による重
合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子移動型ラジカル重合法は、リビング
ラジカル重合法の1つの方法であり、次の様な図式で表
される。
【0003】
【化1】
【0004】上記において、Pはポリマー又は開始剤、
(M)は遷移金属、Xはハロゲン、YおよびLは(M)
に配位可能な配位子、nおよびn+1は遷移金属の原子
価であり、低原子価錯体(1)と高原子価錯体(2)と
はレドックス共役系を構成する。
【0005】最初に、低原子価錯体(1)が有機ハロゲ
ン化物P−Xからハロゲン原子Xをラジカル的に引き抜
いて、高原子価錯体(2)及び炭素中心ラジカルP・を
形成する(この反応の速度はKactで表される)。この
ラジカルP・は、図示の様に単量体と反応して同種の中
間体ラジカル種P・を形成する(この反応の速度はKpr
opagationで表される)。高原子価錯体(2)とラジカ
ルP・との間の反応は、生成物P−Xを生ずると同時
に、低原子価錯体(1)を再生する(この反応の速度は
Kdeactで表される)。そして、低原子価錯体(1)は
P−Xと更に反応して新たな反応を進行させる。本反応
においては、成長ラジカル種P・の濃度を低く抑制する
ことが重合を制御することにおいて最も重要である。
【0006】上記の原子移動型ラジカル重合法の具体例
としては、次の様な報告がある。
【0007】(1)CuCl/ビピリジル錯体の存在
下、α―クロロエチルベンゼンを開始剤としたスチレン
の重合(J.Wang and K.Matyjaszewski, J.Am.Che
m.Soc.,117, 5614(1995 )
【0008】(2)RuCl2(PPh33、有機アル
ミ化合物の存在下でのCCl4を開始剤とするメタクリ
ル酸メチルの重合(M.Kato,M.Kamigaito,M.Sawamo
to,T.Higashimura,Macromolecules,28,1821
(1995))
【0009】その後、配位子、金属種、開始剤などの設
計が行われ、原子移動型ラジカル重合法は、アクリレー
ト単量体を含めて多種の単量体種への展開が計られてき
た。
【0010】ところで、従来、使用した金属触媒の除去
は、重合終了後の溶液をそのまま或いは適当な溶媒で希
釈した後、アルミナ、シリカ及び/又はクレーのカラム
又はパッドに通すか、または、重合溶液に金属吸着剤を
分散させて処理する方法によって行われている。
【0011】しかしながら、上記の方法は、多くの吸着
剤を必要とする上、スケールが大きい場合は濾過時間が
長くなり、また、場合によっては重合体と一緒に金属触
媒が流出し、工業的規模での実施が困難である。
【0012】また、Macromolecules,33,1476
(2000).には、イオン交換樹脂による銅成分の除
去方法が記載されているが、斯かる方法の工業的実施は
必ずしも容易ではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、原子移動型ラジ
カル重合法による重合体の製造方法であって、使用した
金属触媒の除去を効率的かつ簡便に行ない得る様に改良
された重合体の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、重合溶媒の存在下、ラジカル的移動可能な原子また
は原子団を有する開始剤と遷移金属が中心金属である金
属錯体から成るレドックス触媒とを使用し、原子移動型
ラジカル重合法で1種以上の重合性ビニル単量体を重合
して非水溶性重合体を得、次いで、非水溶性重合体を含
有する重合反応液と水とを接触させた後、水相と有機相
とに分離し、有機相から非水溶性重合体を回収すること
を特徴とする重合体の製造方法に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の重合体の製造方法は、原子移動型ラジカル重合
法であり、概念的には前述の図式で表される。
【0016】本発明で使用する重合溶媒は、特に制限は
ないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフ
ェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等の
脂肪族または芳香族エーテル類、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ア
セトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等の
ニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート等のカルボニル化
合物、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチル
アルコール、イソアミルアルコール等のアルコール類、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、
クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム等のハロ
ゲン化炭素類が挙げられる。
【0017】上記の中では水溶性溶媒が好適である。こ
こで、水溶性溶媒とは、水と任意の割合で混合して均一
化する溶媒をいう。斯かる水溶性溶媒としては、例え
ば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プ
ロピオニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、エチ
レンカーボネート、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール
等が挙げられる。これらの重合溶媒は、単独使用の他、
2種以上の混合物として使用することが出来る。
【0018】本発明で使用する開始剤は、ラジカル的移
動可能な原子または原子団を有する開始剤である。斯か
る開始剤としては、以下の表1及び表2に一般式で表さ
れた様な有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル
化合物が挙げられる。
【0019】
【表1】<開始点が1つの開始剤> (1)C65−CH2X (2)C65C(H)(X)CH3 (3)C65−C(X)(CH32 (但し、C65はフェニル基、Xは塩素、臭素またはヨ
ウ素である) (4)R1−C(H)(X)−CO22 (5)R1−C(CH3)(X)−COO22 (6)R1−C(H)(X)−C(O)R2 (7)R1−C(CH3)(X)−C(O)R2 (但し、R1及びR2は、水素原子、炭素数1〜20のア
ルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、それ
ぞれの炭素原子上にアルコール性水酸基、アミノ基、カ
ルボキシル基、アルキルチオ基などの官能基を有してい
てもよく、また、同一もしくは異なっていてもよい。X
は、塩素、臭素またはヨウ素である) (8)R1−C64−SO2X (但し、C64はフェニレン基、R1は、水素原子、炭
素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアラルキ
ル基であり、それぞれの炭素原子上にアルコール性水酸
基、アミノ基、カルボキシル基、アルキルチオ基などの
官能基を有していてもよく、また、同一もしくは異なっ
ていてもよい。Xは塩素、臭素またはヨウ素である)
【0020】
【表2】<開始点が2つ以上の開始剤> (9)o−、m−、p−XCH2−C64−CH2X (10)o−、m−、p−CH3C(H)(X)−C64
−C(H)(X)CH3 (11)o−、m−、p−(CH32C(X)−C64
C(X)(CH32 (但し、C64はフェニレン基、Xは塩素、臭素または
ヨウ素である) (12)RO2C−C(H)(X)−(CH2)n−C
(H)(X)−COO2R (13)RO2C−C(CH3)(X)−(CH2)n−C
(CH3)(X)−CO2R (14)RC(O)−C(H)(X)−(CH2n−C
(H)(X)−C(O)R (15)RC(O)−C(CH3)(X)−(CH2n
C(CH3)(X)−C(O)R (但し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール
基またはアラルキル基であり、それぞれの炭素原子上に
アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アル
キルチオ基などの官能基を有していてもよく、また、同
一もしくは異なっていてもよい。Xは、塩素、臭素また
はヨウ素、nは0〜20の整数である) (16)XCH2CO2−(CH2n−OCOCH2X (17)CH3C(H)(X)CO2−(CH2n−OCO
C(H)(X)CH3、(CH32C(X)CO2−(C
2n−OCOC(X)(CH32(但し、Xは、塩
素、臭素またはヨウ素、nは1〜20の整数である) (18)RO(O)CCH(X)(CH2nCH(X)C
(O)OR (19)RC(O)CH(X)2 (但し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール
基またはアラルキル基、Xは、塩素、臭素またはヨウ
素、nは1〜20の整数である)
【0021】本発明において、好ましい開始剤は、1−
フェニルエチルクロライド、1−フェニルエチルブロマ
イド、2−クロロプロピオニトリル、2−クロロプロピ
オン酸、2−ブロモプロピオン酸、2−クロロイソブチ
ル酸、2−ブロモイソブチル酸およびそのアルキルエス
テル、p−ハロメチルスチレンであり、更に好ましい開
始剤は、1−フェニルエチルクロライド、1−フェニル
エチルブロマイド、メチル−2−クロロプロピオネー
ト、エチル−2−クロロプロピオネート、メチル−2−
ブロモプロピオネート、エチル−2−ブロモプロピオネ
ート、α,α’−ジクロロキシレン、α,α’−ジブロ
モキシレン、2,5−ジブロモアジピン酸エステル、
2,6−ジブロモ−1,7−ヘプタン二酸エステルであ
る。
【0022】本発明で使用するレドックス触媒は、遷移
金属が中心金属である金属錯体から成る。遷移金属とし
ては、特に制限されないが、周期表7〜11族から選ば
れる少なくとも1種の遷移金属が好適である。レドック
ス触媒(レドックス共役錯体)においては、前述の図式
に示す様に低原子価錯体(1)と高原子価錯体(2)と
が可逆的に変化する。
【0023】具体的に使用される低原子価金属(M)n
としては、Cu+、Ni0、Ni+、Ni2+、Pd0、Pd
+、Pt0、Pt+、Pt2+、Rh+、Rh2+、Rh3+、C
+、Co2+、Ir0、Ir+、Ir2+、Ir3+、F
2+、Ru2+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Os2+、Os
3+、Re2+、Re3+、Re4+、Re6+、Mn2+、Mn3+
の群から選ばれる金属であり、中でも、Cu+、Ru2+
Fe2+、Ni2+が好ましい。1価の銅化合物の具体例と
しては、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シア
ン化第一銅などが挙げられる。
【0024】上記の金属錯体には有機配位子が使用され
る。有機配位子は、重合溶媒への可溶化およびレドック
ス共役錯体の可逆的な変化を可能にするため使用され
る。金属への配位原子としては、窒素原子、酸素原子、
リン原子、硫黄原子などが挙げられるが、好ましくは窒
素原子またはリン原子である。有機配位子の具体例とし
ては、2,2’−ビピリジル及びその誘導体、1,10
−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチ
レンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ト
リス(ジメチルアミノエチル)アミン、トリフェニルホ
スフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
【0025】前記の遷移金属(M)と有機配位子とは、
別々に添加して重合系中で金属錯体を生成させてもよい
し、予め金属錯体を合成して重合系中へ添加してもよ
い。特に、銅の場合は前者の方法が好ましく、ルテニウ
ム、鉄、ニッケルの場合は後者の方法が好ましい。
【0026】予め合成されるルテニウム、鉄、ニッケル
錯体の具体例としては、トリストリフェニルホスフィノ
二塩化ルテニウム(RuCl2(PPh33)、ビスト
リフェニルホスフィノ二塩化鉄(FeCl2(PPh3
2)、ビストリフェニルホスフィノ二塩化ニッケル(N
iCl2(PPh32)、ビストリブチルホスフィノ二
臭化ニッケル(NiBr2(PBu32)等が挙げられ
る。
【0027】本発明で使用する重合性ビニル単量体とし
ては、通常のラジカル重合可能な単量体であれば制限な
く使用することが出来る。斯かる単量体の具体例として
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ
エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)
アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2
−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールア
(メタ)クリルアミド、N−ビニルピロリドン、スチレ
ン、o-、m-、p-メトキシスチレン、o-、m-、p-t−ブト
キシスチレン、o-、m-、p-クロロメチルスチレン等が挙
げられる。
【0028】上記の重合性ビニル単量体は、2種類以上
使用してランダム共重合やブロック共重合されてもよい
し、また、重合の途中で他の単量体を徐々に添加しても
よい。何れにしても、本発明は、上記の単量体の組み合
わせによって非水溶性の重合体を製造する場合に適用さ
れる。
【0029】本発明において、重合溶媒の使用量は、特
に限定されないが、単量体100重量部に対し、通常1
〜2000重量部、好ましくは10〜1000重量部で
ある。低原子価金属(M)nの使用量は、特に限定され
ないが、反応系中の濃度として、通常10-4〜10-1
ル/l、好ましくは10-3〜10-1モル/lである。そ
して、開始剤に対し、通常0.01〜100(モル
比)、好ましくは0.1〜50(モル比)である。ま
た、重合温度は、特に限定されないが、通常0〜200
℃、好ましくは20〜150℃である。本発明におい
て、重合はリビング的に進行し、分子量分布の狭い非水
溶性重合体が得られる。
【0030】本発明の最大の特徴は、非水溶性重合体を
含有する重合反応液と水とを接触させた後、水相と有機
相とに分離し、有機相から非水溶性重合体を回収する点
にある。
【0031】上記の水としては、純水、イオン交換水、
蒸留水、工業用水などが挙げられるる。また、本発明に
おいて、水は、水溶液の形態で使用するこも出来、若干
の酸、塩基、塩を含んでいてもよく、酸素、二酸化炭
素、窒素などのガスを含んでいてもよい。酸は、硫酸、
炭酸などの鉱酸の他、酢酸、トルエンスルホン酸などの
有機酸であってもよい。また、必要に応じ、水と良く混
合できる有機溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、アセ
トン、メタノール等を含んでいてもよい。
【0032】非水溶性重合体を含有する重合反応液と水
との接触は、両者を撹拌混合することによって行なうこ
とが出来る。この場合、水または水溶液/重合反応溶液
の重量比は、通常0.01〜100、好ましくは0.1
〜10である。重合反応液の温度は、重合終了直後の高
い状態であっても、その後に冷却された低い状態であっ
てもよい。水または水溶液は、所定量を一度に混合して
も数回に分けて混合してもよい。また、金属触媒の水相
側への移行(抽出)を効率よく行うため、混合前あるい
は混合後に、酸素や空気によるバブリング処理を施した
り、酸化剤試薬を加えたりしてもよい。
【0033】水相と有機相との分離は、撹拌を停止して
静置することにより行われる。その後、水相を除去する
ことにより、実質的に金属触媒を含まない非水溶性重合
体を含有する有機相を回収する。
【0034】有機相からの非水溶性重合体の回収は周知
の方法によって行われる。例えば、残存単量体および/
または溶媒の留去、適当な溶媒中での再沈殿、沈殿した
重合体の濾過または遠心分離、重合体の洗浄および乾燥
を適宜に行なう。
【0035】再沈殿用溶媒としては、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、シクロヘキサン等のC5−C8アルカン
又はC5−C8シクロアルカン、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のC1−C6アルコール、水な
どが挙げられが、好ましくは、水、ヘキサン、メタノー
ル或いはこれらの混合物である。得られた重合体は、周
知の手法に従って、サイズ排除クロマトグラフィ、NM
Rスペクトル等により分析することが出来る。この様に
して、残留金属成分の含量が1ppm以下であり、不純
物による着色がない高純度な非水溶性重合体を得ること
ができる。
【0036】本発明の製造方法で得られる非水溶性重合
体の数平均分子量は、通常250〜500000、好ま
しくは500〜250000であり、分子量分布(重量
平均分子量/数平均分子量)は、通常1.8以下、好ま
しくは1.5以下である。
【0037】本発明の製造方法は、リビング"重合法で
あることから、重合を自由自在に開始し且つ終了させる
ことが出来る。更に、重合体は、更なる重合を開始する
ために必要な官能基"X"を有しているため、第1のモノ
マーが重合で消費された後、第2のモノマーは成長する
ポリマー鎖上の第2のブロックを形成するために添加す
ることが出来る。同一の又は異なるモノマーを加えるこ
とで、マルチ-ブロックコポリマーを調製することが出
来る。
【0038】本発明で得られる重合体は、直接的には、
エラストマー、エンジニアリング樹脂、塗料、接着剤、
インク及び画像形成組成物などとして使用される他、セ
メント調整剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、粘性係数
向上剤、紙添加剤、静電気防止剤、被覆剤、樹脂調整剤
などの添加剤として使用される。また、本発明で得られ
る重合体は、ポリウレタン等のより大きな高分子製品の
中間体として、水処理化学物質、複合部品、化粧品、毛
髪用品、腸内拡張剤、診断剤、持続放出組成剤などの製
薬剤などとして使用することが出来る。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。
【0040】実施例1 500ml4つ口フラスコに3方コック、温度計、攪拌
翼を取り付け、窒素置換した後、臭化第1銅165mg
を投入した。一方、単量体として2−エチルヘキシルア
クリレート184g、重合溶媒としてDMF92ml、
開始剤として2−ブロモプロピオン酸メチル692m
g、アミン配位子としてペンタメチルジエチレントリア
ミン398mgを混合し、15分間窒素バブリングし
た。攪拌翼を緩やかに回転させながら、反応容器中に上
記の単量体溶液を注ぎ、86℃オイルバスに浸し、内温
を80℃に保ったまま2時間重合した。
【0041】重合終了後、反応容器を氷浴にて急冷し、
THF/水(150ml/15ml)溶液を反応液中に注
いだところ、2相に分離し、下相の水相は青色、上相の
有機相は無色を呈した。これを分液し、有機相中のTH
Fを減圧下留去し、メタノール600mlにて重合体を
再沈させ、減圧下に乾燥した。これにより、ポリ(2−
エチルヘキシルアクリレート)100gを得た。この重
合体は無色の粘性液体であり、重合体中の銅成分を原子
吸光法にて分析したところ1ppm以下であった。ま
た、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:ポ
リスチレン標準換算)でTHFを溶出液として分析した
ところ、重合体の数平均分子量は16850、分子量分
布は1.34であった。
【0042】実施例2 実施例1において、単量体として2−エチルヘキシルア
クリレートの代わりにスチレン104g、開始剤として
2−ブロモプロピオン酸メチルの代わりにα―ブロモエ
チルベンゼン740mgを使用し、重合温度を90℃、
重合時間を4時間に変更した以外は、実施例1と同様に
操作し、ポリスチレン75gを得た。この重合体は無色
の固体であり、重合体中の銅成分は1ppm以下であ
り、GPCによる測定の結果、重合体の数平均分子量は
17500、分子量分布は1.22であった。
【0043】比較例1 実施例1において、重合終了後にTHF/水の代わりに
THF150mlで希釈し、中性アルミナカラム150
gを通すことによって銅成分の除去を試みた。溶出した
重合体溶液は黄色を呈しており、メタノール中への再沈
精製によっても脱色できなかった。原子吸光法による銅
成分の分析によると、重合体中の銅含量は25ppmで
あった。
【0044】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、原子移動
型ラジカル重合法による重合体の製造方法であって、使
用した金属触媒の除去を効率的かつ簡便に行ない得る様
に改良された重合体の製造方法が提供され、本発明の工
業的価値は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西澤 理 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4J015 CA00 4J100 AB02P AB07P AB08P AL03P AL04P AL05P AL08P AL09P AM19P AM21P AQ08P BA02P BA03P BA04P BA05P BA08P BA31P BB01P BC04P BC43P BC53P CA01 GC07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合溶媒の存在下、ラジカル的移動可能
    な原子または原子団を有する開始剤と遷移金属が中心金
    属である金属錯体から成るレドックス触媒とを使用し、
    原子移動型ラジカル重合法で1種以上の重合性ビニル単
    量体を重合して非水溶性重合体を得、次いで、非水溶性
    重合体を含有する重合反応液と水とを接触させた後、水
    相と有機相とに分離し、有機相から非水溶性重合体を回
    収することを特徴とする重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 重合溶媒が水溶性溶媒である請求項1に
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 遷移金属が周期表7〜11族から選ばれ
    る少なくとも1種の遷移金属である請求項1又は2に記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 レドックス触媒を構成する遷移金属の低
    原子価金属がRu2+、Ni、Fe2+、Cu1+の群から選
    ばれる金属である請求項1〜3の何れかに記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 金属錯体を構成する配位子が窒素原子、
    リン原子、酸素原子、硫黄原子の群から選ばれる少なく
    とも1種を有する配位子である請求項1〜4の何れかに
    記載の製造方法。
JP2001162646A 2001-05-30 2001-05-30 重合体の製造方法 Withdrawn JP2002356510A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001162646A JP2002356510A (ja) 2001-05-30 2001-05-30 重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001162646A JP2002356510A (ja) 2001-05-30 2001-05-30 重合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002356510A true JP2002356510A (ja) 2002-12-13

Family

ID=19005741

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001162646A Withdrawn JP2002356510A (ja) 2001-05-30 2001-05-30 重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002356510A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006299070A (ja) * 2005-04-20 2006-11-02 Kaneka Corp ビニル系重合体精製方法
WO2008017523A1 (de) 2006-08-09 2008-02-14 Evonik Röhm Gmbh Verfahren zur herstellung von halogenfreien atrp-produkten
WO2009113148A1 (ja) 2008-03-10 2009-09-17 Dic株式会社 鉄錯体を触媒とする重合体の製造方法
US7674866B2 (en) 2005-09-14 2010-03-09 Kyushu University, National University Corporation Method of producing polymer using iron complex as catalyst

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006299070A (ja) * 2005-04-20 2006-11-02 Kaneka Corp ビニル系重合体精製方法
US7674866B2 (en) 2005-09-14 2010-03-09 Kyushu University, National University Corporation Method of producing polymer using iron complex as catalyst
WO2008017523A1 (de) 2006-08-09 2008-02-14 Evonik Röhm Gmbh Verfahren zur herstellung von halogenfreien atrp-produkten
WO2009113148A1 (ja) 2008-03-10 2009-09-17 Dic株式会社 鉄錯体を触媒とする重合体の製造方法
US8017706B2 (en) 2008-03-10 2011-09-13 Dic Corporation Process for production of polymers with iron complex catalyst

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5171248B2 (ja) 原子移動ラジカル重合法
KR100222450B1 (ko) (메트)아크릴, 비닐, 비닐리덴 및 디엔 단량체의 조절된 라디칼 중합 또는 공중합 방법 및 수득된 (공)중합체
JP2946497B2 (ja) Fe、Ru、又はOs錯体の存在下で(メタ)アクリル単量体及びビニル単量体を制御下ラジカル(共)重合する方法並びに該方法により得られる(共)重合体
CA2730262C (en) Apparatus and methods for controlled radical polymerization
US7999066B2 (en) Copper removal from ATRP products by means of addition of sulfur compounds
EP1928919A2 (en) Atom transfer radical polymerization in microemulsion and true emulsion polymerization
Jiao et al. Efficient one-pot synthesis of uniform, surface-functionalized, and “living” polymer microspheres by reverse atom transfer radical precipitation polymerization
JP2003147015A (ja) 重合体から銅金属錯体を除く方法
JP2002356510A (ja) 重合体の製造方法
JP2002249505A (ja) メタクリレート系重合体の製造方法
JP5094578B2 (ja) グラフトポリマーの製造方法
JP4984243B2 (ja) ビニル系重合体の製造方法
JP4193418B2 (ja) 重合体の製造方法
JP2002363213A (ja) 重合体の製造方法
JP2003238609A (ja) ラジカル重合性モノマーから成る重合体の製造方法
JP5211439B2 (ja) ビニル系モノマーの重合方法及び重合体の製造方法
JP4003452B2 (ja) ブロック共重合体の製造方法
JP2006299236A (ja) ビニル系ポリマーの製造方法
WO2006093283A1 (ja) ビニル系重合体の製造方法
JP4665637B2 (ja) ビニル系ポリマーの製造方法
JP2003212925A (ja) 長鎖アルキル(メタ)アクリレート系重合体及びその製造方法
US6716918B2 (en) Methacrylate-based polymer and process for producing the same
JP2002212247A (ja) ブロック共重合体の製造方法
Honigfort Copper removal in atom transfer radical polymerization
JP2004211079A (ja) 重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080805