JPWO2010131342A1 - 諸元情報推定装置及び車両 - Google Patents

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Abstract

車両のステアリングギア比nを推定する諸元情報推定装置であって、車両の走行時に車両のハンドル舵角St及びヨーレートYrを取得する操舵角センサ26及びヨーレートセンサ51と、操舵角センサ26及びヨーレートセンサ51によって取得されたハンドル舵角St及びヨーレートYrに基づいて、ステアリングギア比nを推定するECU4と、を備えて構成することで、スタビリティファクタKHを用いることなくステアリングギア比nを車両ごとに推定することができる。

Description

本発明は、車両の諸元情報を推定する装置及び車両に関するものである。
従来、車両固有の関数値であるスタビリティファクタを用いて、自車両の運動を制御する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、工場出荷時等の走行結果、及び試作車両等のモデル車両の特性に基づいて、車両運動を制御するスタビリティファクタを設定する。すなわち、この方法では、モデル車両のステアリングボックスのギア比(操舵ギア比)やホイールベース長等の諸元情報を用いてスタビリティファクタを算出している。
特開2006−131052号公報
しかしながら、モデル車両と同一車種の車両であっても車両ごとに操舵ギア比又はホイールベース長等の諸元情報が異なる場合がある。この場合、特許文献1記載の方法では、スタビリティファクタを正確に算出することが困難となるので、結果、車両運動の制御を精度良く行うことができない場合がある。
一方、操舵ギア比又はホイールベース長を推定するには、車両モデルの運動方程式を用いて算出することが可能であるが、車両モデルの運動方程式にはスタビリティファクタが含まれるため、スタビリティファクタが既知でなければ操舵ギア比及びホイールベース長を推定することができない。
そこで、本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであって、スタビリティファクタを用いることなく諸元情報を推定することができる諸元情報推定装置及び車両を提供することを目的とする。
すなわち本発明の一形態である諸元情報推定装置は、車両の操舵ギア比を推定する諸元情報推定装置であって、前記車両の走行時に前記車両の操舵角及びヨーレートを取得する走行データ取得部と、前記走行データ取得部によって取得された前記操舵角及び前記ヨーレートに基づいて、前記操舵ギア比を推定する操舵ギア比推定部と、を備えることを特徴として構成される。
本発明の一形態である諸元情報推定装置では、走行データ取得部により走行時の操舵角及びヨーレートが取得され、操舵ギア比推定部により操舵角及びヨーレートを用いて操舵ギア比が推定される。このため、車両ごとに操舵ギア比が異なる場合であってもスタビリティファクタを用いることなく操舵ギア比を車両ごとに推定することができるので、結果、車両運動の制御を精度良く行うことが可能となる。
ここで、前記操舵ギア比推定部は、前記操舵角と所定の閾値との大小関係に基づいて、前記操舵ギア比を推定する処理を変更することが好適である。実タイヤ切れ角の操舵角依存性は、操舵角の大きさに基づいて変化する。このため、操舵角の大きさに基づいて推定処理を変更することで、例えば小舵角と大舵角とで推定処理を変更して操舵ギア比を推定することができるので、操舵ギア比を精度良く推定することができる。
また、前記走行データ取得部は、前記車両の走行時に前記車両の横加速度をさらに取得し、前記操舵ギア比推定部は、前記横加速度が所定の範囲内となる走行条件での走行時に前記走行データ取得部により取得された前記操舵角及び前記ヨーレートを用いて前記操舵ギア比を推定してもよい。
また、前記走行データ取得部は、前記車両の走行時に前記車両の車速をさらに取得し、前記操舵ギア比推定部は、前記車速が所定の範囲内であって前記ヨーレート及び前記車速を積算した値を前記横加速度から減算した演算値が所定の範囲内となることを前記走行条件に含め、前記走行条件を満たす走行時に前記走行データ取得部により取得された前記操舵角及び前記ヨーレートを用いて前記操舵ギア比を推定することが好適である。このように構成することで、例えば車両モデルの運動方程式を用いて、スタビリティファクタの影響を排除して操舵ギア比を推定することが可能となる。
また、本発明の一形態である車両は、操舵ギア比に基づいて車両制御を行う車両であって、操舵角及びヨーレートに基づいて前記操舵ギア比を推定し、操舵ギア比が変化したものとして前記車両の制御を変更する車両制御部を備えることを特徴として構成される。
本発明の一形態である車両では、車両制御部により、操舵角及びヨーレートに基づいて操舵ギア比が推定され、操舵ギア比が変化したものとして車両の制御が変更される。このため、車両ごとに操舵ギア比が異なる場合であっても、スタビリティファクタを用いることなく精度良く車両の制御を行うことができる。
さらに、本発明の一形態である諸元情報推定装置は、車両のホイールベースを推定する諸元情報推定装置であって、前記車両の走行時に前記車両の操舵角及びヨーレートを取得する走行データ取得部と、前記走行データ取得部によって取得された前記操舵角及び前記ヨーレートに基づいて、前記ホイールベースを推定するホイールベース推定部と、を備えることを特徴として構成される。
本発明の一形態である諸元情報推定装置では、走行データ取得部により走行時の操舵角及びヨーレートが取得され、ホイールベース推定部により操舵角及びヨーレートを用いてホイールベースが推定される。このため、車両ごとにホイールベースが異なる場合であってもスタビリティファクタを用いることなくホイールベースを車両ごとに推定することができるので、結果、車両運動の制御を精度良く行うことが可能となる。
また、本発明の一形態である車両は、ホイールベースに基づいて車両制御を行う車両であって、操舵角及びヨーレートに基づいて前記ホイールベースを推定し、ホイールベースが変化したものとして前記車両の制御を変更する車両制御部を備えることを特徴として構成される。
本発明の一形態である車両では、車両制御部により、操舵角及びヨーレートに基づいてホイールベースが推定され、ホイールベースが変化したものとして車両の制御が変更される。このため、車両ごとにホイールベースが異なる場合であっても、スタビリティファクタを用いることなく精度良く車両の制御を行うことができる。
本発明によれば、スタビリティファクタを用いることなく、諸元情報を推定することができる。
実施形態に係る諸元情報推定装置を備える車両の構成概要図である。 実施形態に係る諸元情報推定装置を備える車両のブロック図である。 実施形態に係る諸元情報推定装置の動作を示すフローチャートである。 実施形態に係る諸元情報推定装置の動作を説明する概要図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る諸元情報推定装置は、車両の諸元情報を推定する装置であって、例えば、車両の工場出荷時、修理点検時等の車両調整時に好適に採用されるものである。車両の諸元情報は、例えば、操舵ギア比又はホイールベース長等である。なお、本実施形態では、諸元情報推定装置の一例として、操舵ギア比推定装置について説明する。操舵ギア比推定装置は、車両のステアリングギア比(操舵ギア比)を推定する装置である。
最初に、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置を備える車両の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置を備える車両の構成を示す構成概要図であり、図2は、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置を備える車両の制御部分のブロック図である。
図1に示すように、車両の前輪10FL、10FRは転舵輪であり、操舵系に接続されている。操舵系は、車室内にその回転軸を中心に回転自在に配置されて運転者による操舵入力を受けるステアリングホイール20と、これに連結されてその回転力を伝達するステアリングシャフト21と、ステアリングシャフト21の回転を直線運動に変換するラックアンドピニオン型のギア機構であるステアリングギアボックス22と変換された直線運動を前輪10FL、10FRに伝えるリレーロッド23、タイロッド24L、24Rを備える。
そして、ステアリングシャフト21には、運転者によるハンドル舵角Stを検出する操舵角センサ26と、操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ25と、電動により操舵トルクを付与する操舵モータ27が配置されている。
車両は、4輪10FL〜10RRのそれぞれに配置されたブレーキ装置3FL〜3RRにより付加される制動力を独立して調整可能な構成を有している。各車輪10FL〜10RRにはブレーキ装置3FL〜3RRのほか、車輪速を検出するための車輪速センサ12FL〜12RRが配置されている。
4輪10FL〜10RRのそれぞれに配置されたブレーキ装置3FL〜3RRは例えば油圧式のブレーキ装置であり、それぞれにホイールシリンダ31FL〜31RRが配置され、ブレーキアクチュエータ30と接続されて、それぞれへの付加油圧を制御することで制動力配分を制御するものである。
制御装置であるECU(Electric Control Unit)4は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェイス等を備えている。ECU4には、車輪速センサ12FL〜12RR、操舵トルクセンサ25、操舵角センサ26のほか、ヨーレートセンサ51、横Gセンサ52の出力が入力されており、操舵モータ27、ブレーキアクチュエータ30のほか、エンジンを含む駆動系6の制御を行う。この駆動系6制御は、ECU4が直接行ってもよいし、駆動系6専用の制御装置に対して制御指令を発することで行ってもよい。
ECU4は、制御パラメータを用いて、車両の挙動を制御する機能を有している。制御パラメータには、例えば、ステアリングギア比、ホイールベース、車速に依存する車両固有の関数値であるスタビリティファクタ等が含まれる。ECU4が行う車両制御の一例として、VSC(Vehicle Stability Control=車両安定性制御)を説明する。ECU4は、例えば、車両の走行安定性を高めるために、車両のヨーレートを予め求められた目標ヨーレートに一致させるように制御する機能を有している。ECU4は、例えば、舵角St、車速V、横加速度Gと、予め設定されているステアリングギア比、ホイールベース、スタビリティファクタとに基づいて、目標ヨーレートの算出を行い、目標ヨーレートが上限値に達しないように制御する機能を有している。
ECU4が用いる制御パラメータは、車両を構成する個々の部品の交差やアライメントのばらつき等によって車両ごとに異なる値となる場合がある。そこで、ECU4は、車両を構成する個々の部品の交差やアライメントのばらつき等によって車両ごとに異なる値となった制御パラメータを推定する機能を有している。例えば、ECU4は、工場出荷時や点検時において取得された実測データを用いて、ステアリングギア比又はホイールベースを推定する機能を有している。例えば、ECU4は、スタビリティファクタの影響が小さくなる走行条件で走行させ、車両モデルの運動方程式を用いてステアリングギア比又はホイールベースを推定する機能を有している。この機能について詳細を説明する。車両がグリップ状態で走行する場合の目標ヨーレートは、以下の式1となる。
Figure 2010131342
式1において、YrStdは目標ヨーレート、Vは車速、Stはハンドル舵角(操舵角)、nはステアリングギア比、Lはホイールベース、Kはスタビリティファクタ、Gは横加速度である。
走行条件が低速でかつ低横加速度の場合、式1の第2項の影響は小さくなる。すなわち、当該走行条件ではスタビリティファクタの影響は排除された式となる。この場合、目標ヨーレートYrStdは、以下の式2となる。
Figure 2010131342
車両がグリップ状態で走行する場合には、目標ヨーレートYrStdと実ヨーレートYrが一致する。このため、ECU4は、実測した実ヨーレートYr、車速V、ハンドル舵角Stを式2に代入することにより、ステアリングギア比nとホイールベースLとの関係式を算出することができる。ECU4は、算出した関係式を用いて、ステアリングギア比nが既知であればホイールベースLを推定することができ、又、ホイールベースLが既知であればステアリングギア比nを推定することができる。なお、式2は、他の制御値との関係式を用いて変形可能であり、変形した式2を用いたり、定数等を掛け合わせて用いたりしてもよい。
上述した車輪速センサ12FL〜12RR、操舵トルクセンサ25、操舵角センサ26、ヨーレートセンサ51、横Gセンサ52及びECU4を備えて操舵ギア比推定装置1が構成されている。すなわち、車輪速センサ12FL〜12RR、操舵トルクセンサ25、操舵角センサ26、ヨーレートセンサ51及び横Gセンサ52が走行データ取得部として機能し、ECU4が車両制御部及び操舵ギア比推定部として機能する。
次に、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置1の動作を説明する。以下では図3を用いて、ステアリングギア比nの推定処理を説明する。図3は、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。図3に示す制御処理は、例えば、出荷前の工場における学習工程や検査工程でECU4が実行するものである。なお、ホイールベースLは車両諸元情報として既知であるとする。
図3に示すように、ECU4は、旋回走行実施処理を開始する(S10)。例えば、ECU4は、半径Rの円に沿って一定車速Vで車両を旋回させる(定常旋回走行)。そして、ECU4は、走行時の操舵角センサ26の出力であるハンドル舵角St、ヨーレートセンサ51の出力である実ヨーレートYr、横Gセンサ52の出力である横加速度Gを入力する。S10の処理が終了すると、学習許可判定処理へ移行する(S12)。
S12の処理は、ECU4が実行し、S10の走行データで学習できるか否かを判定する処理である。ECU4は、例えば、所定の走行条件を所定期間(例えば3秒)満たしていれば、学習許可とする。所定の走行条件は、例えば、ハンドル舵角Stの絶対値が所定の閾値(例えば90deg)より大きいことである。所定の閾値よりも大きくなければ、十分な測定範囲で走行データを得ることが出来ないためである。さらに、所定の条件として、車速Vが第1閾値(例えば7km/h)より大きく第2閾値(例えば13km/h)より小さいことが含まれる。車速Vに設けられた上限値は、式2の前提である低速走行を満たす必要があるためである。また、所定の条件として、横加速度Gの絶対値が所定の閾値(例えば6m/s)より小さいことが含まれる。横加速度Gに設けられた上限値は、式2の前提である低加速度走行を満たす必要があるためである。また、所定の条件として、車両が駆動スリップしないことが含まれる。式1、2の前提であるグリップ走行を満たす必要があるためである。さらに、ヨーレートYrと車速Vとを積算した値Yr・Vを横加速度Gから減算した値の絶対値が所定の閾値(例えば0.2m/s)より小さいことが含まれる。式1、2の前提であるグリップ走行を満たす必要があるためである。ECU4が上述した走行条件の1つを満たさないと判定した場合には、旋回走行実施処理へ再度移行し、上述した走行条件を所定期間満たすと判定するまで、S10及びS12の処理が繰り返し実行される。一方、ECU4が上述した走行条件の全てを満たすと判定した場合には、学習処理へ移行する(S14)。
S14の処理は、ECU4が実行し、ステアリングギア比nの算出して学習する処理である。ECU4は、S12で判定した学習許可時間においてS10で入力した走行データを用いてステアリングギア比nを算出する。ここで、ECU4は、ハンドル舵角Stが小舵角領域(例えば90〜180degの範囲)と大舵角領域(例えば180deg以上の範囲)で推定演算を変更する。例えば、図4に示すように、ハンドル舵角Stが小舵角領域では、ハンドル舵角Stをステアリングギア比nで割った値は実タイヤ切れ角θとほぼ等しくなるが、ハンドル舵角Stが大舵角領域ではこの関係を満たさないためである。ECU4は、例えば、ハンドル舵角Stが小舵角領域で、以下の式3を用いてステアリングギア比nを算出する。
Figure 2010131342
ECU4は、式3を用いて算出したステアリングギア比nを時間平均した値を学習値とする。あるいは、ECU4は、設定されているステアリングギア比nが既知の場合には、算出したステアリングギア比nのうち、設定されているステアリングギア比nに最も近い値を学習値として採用してもよい。
ECU4は、ハンドル舵角Stが大舵角領域となる場合は、例えば、図4から算出されるタイヤ切れ角θを補正するための補正項をF(St)とする。なお、図4に示すタイヤ切れ角θのハンドル舵角依存性は据え切りデータから求めることができる。ECU4は、以下の式4を用いてステアリングギア比nを算出する。
Figure 2010131342
ECU4は、ハンドル舵角Stが小舵角領域となる場合と同様に、式4を用いて算出したステアリングギア比nを時間平均した値を学習値とする。あるいは、ECU4は、設定されているステアリングギア比nが既知の場合には、算出したステアリングギア比nのうち、設定されているステアリングギア比nに最も近い値を学習値として採用してもよい。S14の処理が終了すると、図3に示す制御処理を終了する。
以上で図3に示す制御処理を終了する。図3に示す制御処理を実行することにより、スタビリティファクタKを用いることなくステアリングギア比nが推定される。また、ステアリングギア比nを用いて車両制御するシステムを搭載する車両においては、そのステアリングギア比nの設定が複数存在すると、車両ごとにECUを変更する必要がある。このため、コストが増大するおそれがある。しかしながら、図3に示す制御処理を実行することのより、ステアリングギア比nを学習できるので、ECU変更や組み付けによるコスト増大を抑制することが可能となる。
また、ECU4は、図3に示す制御処理を実行することにより得られたステアリングギア比nを用いて車両制御を行うことで、精度良く車両制御を行うことができる。
以上、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置1によれば、操舵角センサ26及びヨーレートセンサ51により走行時のハンドル舵角St及びヨーレートYrが取得され、ECU4によりハンドル舵角St及びヨーレートYrを用いてステアリングギア比nが推定される。このため、車両ごとにステアリングギア比nが異なる場合であってもスタビリティファクタKを用いることなくステアリングギア比nを車両ごとに推定することができるので、結果、車両運動の制御を精度良く行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置1によれば、小舵角領域と大舵角領域とで推定処理を変更してステアリングギア比nを推定することができるので、ステアリングギア比nを精度良く推定することができる。
また、本実施形態に係る操舵ギア比推定装置1によれば、低速かつ低横加速度の走行条件を満たす走行時の運動方程式を用いてスタビリティファクタKの影響を排除できるので、スタビリティファクタKの値が既知でなくても、ステアリングギア比nを推定することが可能となる。
さらに、本実施形態に係る車両では、ECU4により、ハンドル舵角St及びヨーレートYrを用いてステアリングギア比nが推定され、ステアリングギア比nが変化したものとして車両の制御が変更される。このため、車両ごとにステアリングギア比nが異なる場合であっても、スタビリティファクタKを用いることなく精度良く車両の制御を行うことができる。
なお、上述した各実施形態は本発明に係る諸元情報推定装置及び車両の一例を示すものである。本発明に係る諸元情報推定装置及び車両は、実施形態に係る操舵ギア比推定装置1及び車両に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る操舵ギア比推定装置1及び車両を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述した実施形態では、ステアリングギア比nを推定する諸元情報推定装置及び車両を説明したが、本発明に係る諸元情報推定装置及び車両は、ホイールベースLを推定することも可能である。なお、ホイールベースLを推定する場合には、上述した車輪速センサ12FL〜12RR、操舵トルクセンサ25、操舵角センサ26、ヨーレートセンサ51及び横Gセンサ52が走行データ取得部として機能し、ECU4が車両制御部及びホイールベース推定部として機能する。そして、例えば、図3に示す学習処理(S14)の処理の一部を変更するだけで、ホイールベースLを推定することができる。以下では、ホイールベースLの推定処理について、簡単に説明する。なお、ステアリングギア比nは既知であるものとする。
ECU4は、S12で判定した学習許可時間においてS10で入力した走行データを用いてホイールベースLを算出する。ここで、ECU4は、ハンドル舵角Stが小舵角領域(例えば90〜180degの範囲)と大舵角領域(例えば180deg以上の範囲)で推定演算を変更する。ECU4は、例えば、ハンドル舵角Stが小舵角領域で、以下の式5を用いてホイールベースLを算出する。
Figure 2010131342
ECU4は、式5を用いて算出したホイールベースLを時間平均した値を学習値とする。あるいは、ECU4は、設定されているホイールベースLが既知の場合には、算出したホイールベースLのうち、設定されているホイールベースLに最も近い値を学習値として採用してもよい。
ECU4は、ハンドル舵角Stが大舵角領域となる場合は、例えば、図4から算出されるタイヤ切れ角θを補正するための補正項をF(St)とする。なお、図4に示すタイヤ切れ角θのハンドル舵角依存性はステアリングギア比n及び据え切りデータから求めることができる。ECU4は、以下の式6を用いてホイールベースLを算出する。
Figure 2010131342
ECU4は、ハンドル舵角Stが小舵角領域となる場合と同様に、式6を用いて算出したホイールベースLを時間平均した値を学習値とする。あるいは、ECU4は、設定されているホイールベースLが既知の場合には、算出したホイールベースLのうち、設定されているホイールベースLに最も近い値を学習値として採用してもよい。
以上でホイールベースLの推定処理を終了する。このように、スタビリティファクタKを用いることなくホイールベースLが推定される。
1…操舵ギア比推定装置(諸元情報推定装置)、4…ECU(操舵ギア比推定部、車両制御部)、12FL〜12RR…車輪速センサ、22…ステアリングギアボックス、25…操舵トルクセンサ、26…操舵角センサ、51…ヨーレートセンサ、52…横Gセンサ。

Claims (7)

  1. 車両の操舵ギア比を推定する諸元情報推定装置であって、
    前記車両の走行時に前記車両の操舵角及びヨーレートを取得する走行データ取得部と、
    前記走行データ取得部によって取得された前記操舵角及び前記ヨーレートに基づいて、前記操舵ギア比を推定する操舵ギア比推定部と、
    を備えることを特徴とする諸元情報推定装置。
  2. 前記操舵ギア比推定部は、前記操舵角と所定の閾値との大小関係に基づいて、前記操舵ギア比を推定する処理を変更する請求項1に記載の諸元情報推定装置。
  3. 前記走行データ取得部は、前記車両の走行時に前記車両の横加速度をさらに取得し、
    前記操舵ギア比推定部は、前記横加速度が所定の範囲内となる走行条件での走行時に前記走行データ取得部により取得された前記操舵角及び前記ヨーレートを用いて前記操舵ギア比を推定する請求項1に記載の諸元情報推定装置。
  4. 前記走行データ取得部は、前記車両の走行時に前記車両の車速をさらに取得し、
    前記操舵ギア比推定部は、前記車速が所定の範囲内であって前記ヨーレート及び前記車速を積算した値を前記横加速度から減算した演算値が所定の範囲内となることを前記走行条件に含め、前記走行条件を満たす走行時に前記走行データ取得部により取得された前記操舵角及び前記ヨーレートを用いて前記操舵ギア比を推定する請求項3に記載の諸元情報推定装置。
  5. 操舵ギア比に基づいて車両制御を行う車両であって、
    操舵角及びヨーレートに基づいて前記操舵ギア比を推定し、操舵ギア比が変化したものとして前記車両の制御を変更する車両制御部を備えることを特徴とする車両。
  6. 車両のホイールベースを推定する諸元情報推定装置であって、
    前記車両の走行時に前記車両の操舵角及びヨーレートを取得する走行データ取得部と、
    前記走行データ取得部によって取得された前記操舵角及び前記ヨーレートに基づいて、前記ホイールベースを推定するホイールベース推定部と、
    を備えることを特徴とする諸元情報推定装置。
  7. ホイールベースに基づいて車両制御を行う車両であって、
    操舵角及びヨーレートに基づいて前記ホイールベースを推定し、ホイールベースが変化したものとして前記車両の制御を変更する車両制御部を備えることを特徴とする車両。
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