JPWO2010117086A1 - 実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法 - Google Patents

実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法 Download PDF

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Abstract

温度変動の再現性が高く、高精度で腐食速度を換算・評価することが可能な実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法であって、 カーゴタンカー実船の、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホール又はクリーニングホールの蓋裏に、腐食試験片を、該腐食試験片における腐食試験面の温度変動が、該カーゴタンク上甲板の下側のカーゴタンク内壁、又は、該カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物表面の温度変動と同等となるように固定し、該腐食試験片を、該カーゴタンク内雰囲気に暴露することを特徴とする。

Description

本発明は、船舶において、バラストタンクやカーゴタンクの甲板部分(以下、「タンク上甲板」、「バラストタンク上甲板」、「カーゴタンク上甲板」等とも記す。)に使用される鋼板、又はタンク上甲板としての使用を目的とされる鋼板に対して、腐食速度を精度良く算出できる、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法に関する。
従来から、船舶のバラストタンク上甲板や、原油タンク等のカーゴタンク上甲板においては、腐食が問題となっており、耐食鋼材や表面処理による防食処理のニーズがある。
カーゴタンク内の雰囲気は、SO、NO、CO、HS等の腐食性のガスを含み、かつ、露点が室温以上である。そのため、カーゴタンク上甲板に使用される鋼板では、腐食が問題となる。
特に、船舶の運行中に、カーゴタンク内の温度が0〜70℃程度の範囲で変化する場合には、腐食の発生が顕著となる。したがって、カーゴタンク上甲板に使用される鋼板は、優れた耐食性が求められており、精度良く耐食性を評価する必要がある。
腐食による板厚減少の測定は、超音波板厚計によって行われている。しかし、この方法では、短期間では正確な腐食評価ができない。
また、試験片を用いる暴露試験では、上甲板が底板から数m〜数十mと非常に高い位置にあるので、試験片の取付けが困難である。さらに、架台を用いる暴露試験では、上甲板の腐食で重要な因子となる温度変動を再現できない。
日本船舶協会242研究会は、原油タンク上甲板の腐食調査において、上甲板のマンホールの蓋を試験片として用いる方法を提案している(例えば、非特許文献1)。
この方法によれば、上甲板の腐食における重要な因子である、温度変動が再現できる。しかし、超音波板厚計を用いてマンホールの蓋の板厚を測定し腐食量を評価するので、腐食量の測定誤差が大きい。また、マンホールの蓋の重量が大きいので、腐食による微小な重量の減少から、精度よく腐食速度を算出できない。
また、蓋の重量測定や錆取り等の作業が困難であり、さらに、同時に2種類以上の鋼材の評価ができない。
以上の理由から、上甲板の耐食性試験は、上甲板環境を模擬する、ラボ試験で行われる。
例えば、原油タンク上甲板の腐食評価法として、タンク気相部のガスを模擬した人工ガスを試験槽中に流し込ながら、試験槽内に入れた試験片の温度を、上甲板の温度変動に似せ、周期的に変える方法が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
この方法では、試験片を用いて試験を行うので、定量的な腐食評価が可能である。
しかし、この方法は、タンク内のガスと温度変動のみを考慮した試験であり、気相内のガス成分変動や実際の温度変動を十分に再現できない。
さらに、原油特有の揮発成分の試験片への付着等、腐食挙動に重要な現象が再現できないので、実際の上甲板における腐食の結果が、試験の結果と異なる可能性があり、試験の信頼性が低い。
特開2007−224344号公報
「原油タンカーの新形コロージョン挙動の研究」,社団法人日本造船協会,H12年度研究概要報告,SR242
本発明は、前記の事情にかんがみてなされたものであり、船舶のバラストタンク上甲板や、原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、又は、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板で使用される鋼板、及び、上甲板への使用を目的とする鋼板の腐食量を精度良く評価でき、さらに、この部位の腐食で重要な因子となる温度変動を再現でき、かつ、腐食による重量減を精度良く計測することにより、腐食速度を精度良く算出することが可能な、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上甲板の環境条件を網羅しつつ、実施可能な定量試験方法について鋭意検討した。
初めに、本発明者らは、定量評価手段について検討した。
超音波板厚計やマイクロメータを用いて板厚を計測し、腐食量を評価する方法は、測定位置等による測定誤差がある。すなわち、腐食後の板厚は均一ではないため、板厚測定により腐食量を評価するためには、腐食の前後で正確に同じ位置を測定する必要があるが、実際には、正確に同じ位置での測定は困難である。その結果、精度の良い測定ができないので、耐食性を評価する上で、好ましくない。
試験片を用いて、腐食後の重量減によって腐食量を評価する方法は、秤量機の測定精度を上げることで精度の良い測定が可能である。よって、腐食評価は、重量減を測定する方法が好ましい。
しかし、測定対象物が大き過ぎる場合は、精度の良い重量減測定はできない。
そこで、重量減が精度良く測定できるように、取外し可能な試験片を用いることとした。
次に、本発明者らは、試験片の取付け箇所について検討した。
試験片の取付け方法として、上甲板のタンク側や、上甲板のロンジのフランジ部やウエブ部に架台を取付ける方法が考えられる。しかし、これらの部位は底板から数〜数十mと高い場所に位置しているので、架台の取付けや試験片の取付け、取外しが容易にはできない。
さらに、上甲板の環境を再現するには、試験片の試験面を水平下向きにする必要があり、かつ、試験片の温度変動を、上甲板の温度変動と同等にする必要がある。
本発明者らは、上甲板とほぼ同じに温度変動し、かつ、カーゴタンク内雰囲気に面している上甲板のマンホールやクリーニングホールの蓋裏に着目し、これらを架台として試験片を固定する方法について検討した。
その結果、これらの蓋にネジを差し込むか、又は、スタットボルトを溶着させることで、容易に試験片の取付け取外しができ、かつ、試験面の位置や温度変動が、上甲板の条件と一致することを見出した。
さらに、試験片の形状を、T型継ぎ手等のカーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物と相似形状にすることにより、上甲板ロンジ等の腐食評価が可能であることを見出した。
本発明者らは、マンホールやクリーニングホールの蓋と試験片を電気的に絶縁させる方法についても検討した。
通常、架台に試験片を取付ける場合、架台と試験片を電気的に絶縁させるために、架台や試験片の接触部に塗装を施したり、絶縁板や絶縁シートを挟んだりする。
しかし、蓋と試験片の接触部を塗装したり、通常の絶縁板や絶縁シート等で絶縁したりすると、上甲板の温度変動を十分に再現できなくなる。その結果、試験片腐食面の結露時間や乾燥時間が、実際の上甲板における腐食現象とは異なるものとなり、精度の良い腐食評価ができないという問題がある。
本発明者らは、蓋と試験片の間に市販の伝熱絶縁シート、又は、銅板、銅合金板、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板の1種以上の金属板を間に挟むことで、上記の問題が解決できるかどうかを、以下の方法で調査した。
初めに、熱電対をつけた厚さ10mm、大きさ100mm角の2枚の鋼板に、シリコーンゲルをマトリックス樹脂とする伝熱絶縁シートか、又は、当該鋼板を絶縁塗装した塗装塗膜上に厚さ0.1mmの銅板、黄銅板、アルミニウム板若しくは5000系アルミニウム合金板のいずれかを1枚挟み、絶縁されていることを確認した。
その後、一方の鋼板にヒーターを取付け、上甲板の温度変動と同様の温度変動となるように、0℃から70℃の範囲で±0.01〜1℃/sの昇温、冷却を繰り返し、その際の他方の鋼板の温度変化を測定した。
その結果、いずれの場合でも、温度変動のずれが±3℃以内であることが確認された。
以上の結果から、蓋と試験片の間に伝熱絶縁シート、又は、絶縁塗膜と金属板を挟むことで、上甲板の温度変動を正確に再現できることがわかった。
次に、実船のカーゴタンク上甲板に用いられている鋼(日本海事協会造船用鋼KA36)と同じ成分組成の鋼からなる、2mm×100×100mmの2枚の平板腐食試験片を用意した。
そして、1枚の試験片を、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク側の内壁に、同じ成分組成の鋼からなるスタットボルトで貼り付けた。もう1枚の試験片を、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホールの蓋裏に、シリコン樹脂製の厚さ0.5mmの伝熱絶縁シートを挟んで固定し、シリコンチューブで絶縁したスタットボルトで固定した。
その後、空荷で日本から中東へ、カーゴタンクに原油を積んで中東から日本へ、6往復した後、前記2枚の平板腐食試験片を取外して、腐食減量を比較した。
その結果、マンホールの蓋裏に取付けた試験片の腐食減量は、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク側の内壁に貼り付けた試験片の腐食減量の98%であって、外観上も極めて近い腐食状態であることが判明した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)カーゴタンカー実船の、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホール又はクリーニングホールの蓋裏に、腐食試験片を、該腐食試験片における腐食試験面の温度変動が、該カーゴタンク上甲板の下側のカーゴタンク内壁、又は、該カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物表面の温度変動と同等となるように固定し、該腐食試験片を、該カーゴタンク内雰囲気に暴露することを特徴とする、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
(2)前記腐食試験片が、前記カーゴタンク内構造物と相似形状であることを特徴とする前記(1)の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
(3)前記マンホール又は前記クリーニングホールの蓋裏において、絶縁シート、絶縁塗装膜、又は、樹脂層のいずれか1種以上を介して、前記腐食試験片を、マンホール又はクリーニングホールの蓋と電気的に絶縁することを特徴とする前記(1)又は(2)の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
(4)塗装膜又は樹脂層によって前記カーゴタンク内雰囲気と隔離されている、銅、銅合金、アルミニウム、又は、アルミニウム合金の1種以上の金属板又は金属箔を介して、前記マンホール又は前記クリーニングホールの蓋裏に、前記腐食試験片を固定することを特徴とする前記(3)の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
ここで、「温度変動と同等となるように」とは、厚さ20mmの鋼製の実船上甲板が日照等により0〜70℃に温度変動する場合、試験片の温度が、実船上甲板の温度と常時±3℃以内の温度差で変動するか、又は、試験片の温度が実船上甲板の温度と同じ温度に達するまでの時間が、常時15分以内である場合をいうものとする。
本発明によれば、船舶のバラストタンク上甲板や、原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板に使用される鋼板、又は、使用を目的とする鋼板に対して、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内壁又は構造物等の部位における腐食で重要な因子となる温度変動を再現でき、かつ、実際のカーゴタンク内雰囲気の腐食環境での腐食による重量減を精度良く計測できるので、簡易にかつ精度良く腐食速度を算出することが可能となる。
図1は、本発明に係る実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法で用いる、ロンジ上部を模擬した試験片の斜視図である。
以下、本発明の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法(以下、「耐食性評価試験方法」又は「試験方法」とも記す。)の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、発明の趣旨を理解させるために詳細に説明するものであって、本発明を限定するものではない。
本発明の耐食性評価試験方法は、カーゴタンカー実船の、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホール又はクリーニングホールの蓋裏に、腐食試験片の腐食試験面温度変動が、カーゴタンク上甲板の下側のカーゴタンク内壁、又は、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物表面の温度変動と同等となるように、腐食試験片を固定し、カーゴタンク内雰囲気に暴露させる方法である。
初めに、本発明の耐食性評価試験方法で用いる、試験架台について説明する。
試験架台には、上甲板のマンホールやクリーニングホールカバーの蓋を用いる。これと同様な蓋状のものであれば、それを用いることもでき、特に限定されるものではない。
次に、腐食試験片(以下、「試験片」とも記す。)の取付け方法について説明する。
腐食試験片の取付けは、ボルト締めで行う。ネジの取付け方法は、架台となる蓋にネジ穴を設ける方法でも、スタットボルトを溶着する方法であってもよい。ネジと試験片との接触部には塗装等を行い、電気的に絶縁することが好ましい。
試験架台となる蓋と試験片との間を電気的に絶縁する方法としては、マンホール又はクリーニングホールの蓋裏において、絶縁シート、絶縁塗装膜又は樹脂層のいずれか1種以上を介して、腐食試験片を取付ける方法がある。
具体的には、例えば、エポキシ樹脂等を接触部に塗装する方法や、フッ素樹脂板等の絶縁板を接触部に介在させる方法等があり、電気的に絶縁可能な方法であれば、特に限定されるものではない。
上甲板の温度変動を正確に再現したい場合には、蓋と試験との間の接触部に絶縁伝熱シートを介在させることが好ましい。
本発明の耐食性評価試験方法においては、さらに、塗装膜又は樹脂層によってカーゴタンク内雰囲気と隔離されている銅、銅合金、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の1種以上の金属板又は金属箔を介して、試験片を蓋に固定することがより好ましい。
これにより、上甲板の温度変動をより正確に再現でき、正確な耐食性評価試験を行うことが可能となる。
本願発明の試験方法においては、厚さ20mmの鋼製の実船上甲板が日照等により0〜70℃に温度変動する場合、試験片の温度が、実船上甲板の温度と常時±3℃以内の温度差で変動するか、又は、試験片の温度が実船上甲板の温度と同じ温度に達するまでの時間が、常時15分以内であることが必要である。
試験片と、実船上甲板の裏側の温度変動差がこれよりも大きい場合、腐食の評価において、1年間運用した実船の上甲板の裏側の腐食状態を再現できないと考えられるからである。
本発明の試験方法で用いる腐食試験片は、例えば、カーゴタンク内構造物と相似形状としてもよい。形状は特に限定されず、適宜選択できる。試験片をカーゴタンク内構造物と相似形状とした場合には、再現性よく耐食性評価試験を行うことが可能となる。
本発明において、腐食評価は、試験片の重量減によって行うことが好ましい。試験片の腐食速度は、試験片の重量減量と腐食面面積、試験時間から算出することができる。
腐食後の重量測定は、試験片を取り外し、塗装除去、除錆の後に行うことにより、試験片の重量減を精度良く計測することができる。
以上説明したように、本発明に係る実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法によれば、船舶のバラストタンク上甲板や原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板に使用される鋼板、又は、使用を目的とする鋼板に対して、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内壁、又は、構造物等の部位における腐食で重要因子となる温度変動を再現できる。また、実際のカーゴタンク内の雰囲気で試験を行うことができる。
したがって、実際の腐食環境を正確に再現した試験が可能である。
さらに、試験片の重量の減少により腐食量を評価するので、計測時の測定誤差が小さく、腐食による重量減を精度良く計測できる。
その結果、簡易にかつ精度良く腐食速度を算出することが可能となる。
以下、本発明に係る実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法の実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
以下の実施例は、本発明における態様の一例であり、例えば、腐食速度の算出における塗装剥離方法や除錆方法等は、下記の方法に限られるものではない。本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能である。
実施例1
大型原油タンカーの原油タンク上甲板の暴露試験を下記の要領で実施した。
腐食試験片には造船用鋼材(KA36)を用いた。腐食試験片の板厚は5mm、大きさは40mm×100mmとし、試験片の角部4か所に、ボルト締め用として、直径10mmの穴を設けた。
試験片の表面全面をエメリー#60で研磨し、脱脂後、重量測定を行った。その後、試験評価部と裏面(蓋との接触面)以外をエポキシ樹脂塗装し、乾燥後、試験評価部の面積を測定した。
架台として、大型原油タンカーの原油タンク部に設置されているタンククリーニングホールの蓋と同じものを用い、上記試験片が止められるように、蓋裏面に長さ30mm、径6mmのスタットボルトを溶着した。
試験片と蓋との間には、厚さ380μm、熱抵抗0.26℃/W、耐圧4000Vの伝熱絶縁シート、又は、厚さ50μmの銅箔を介在させた。
ボルト接合部には、試験片との電気的な接続を防止するため、長さ5mm、内径6ミリのシリコンチューブを取付けた。
蓋に上記試験片を取付け、試験片及び銅箔側面部は、タンク内の雰囲気と隔離するため、エポキシ塗装及びシリコンシーラントで覆った。
これらの蓋を、実船のクリーニングホールの蓋と取り換えて暴露試験を行い、180日後に回収した。
試験片の腐食速度は、試験片の重量減量と腐食面面積、試験時間から算出することができる。上記蓋を回収した後、試験片を取外し、試験片の塗装除去、除錆の後、重量測定を実施した。
塗装除去は、市販の塗装剥離剤、カンペ製塗装はがし剤スプレーを用いて実施した。
除錆方法は、JIS Z 2371の参考表1に記載されている化学的腐食生成物除去方法のうち、水酸化ナトリウムと粒状亜鉛を用いる方法を用いた。すなわち、水酸化ナトリウム(JIS K 8576)50gと粒状亜鉛(JIS K 8012)の小片200gに純水を加えて1000mlにしたものを80〜90℃に熱して、その中に試験片を浸漬させた。
これにより、表面の塗装及び腐食生成物は肉眼で見て完全に除去できた。
また、別途、試験前試験片に対し、上記の塗装除去及び除錆を施した。その結果、塗装除去及び除錆の前後で、重量変化は生じなかった。つまり、上記の塗装除去及び除錆では、地金は溶解しないことが確認できた。したがって、上記の方法により塗装及び腐食生成物のみを除去でき、腐食による重量減量を正確に測定できることが確認できた。
試験の結果を表1に示す。
Figure 2010117086
表1に示すように、各試験片とも、腐食速度は0.1mm/y程度であった。各々の試験片の間の誤差は小さく、後述する超音波板厚計を用いた計測と異なり、腐食評価法として適していることが分かる。
実施例2
造船用鋼材(KA36)を用いて、図1に示すような試験片11を作製した。上甲板における腐食ではアッパーデッキとロンジの接合付近の腐食が厳しいため、試験片は、ロンジ上部を模擬したものとした。
試験片の上部の角部4か所には、ボルト締め用として、直径10mmの穴を設けた。
試験片の表面全面をエメリー#60で研磨し、脱脂した後、重量測定を行い、その後、腐食面12と蓋の裏面との接触面13以外をエポキシ樹脂塗装し、実施例1と同様の手順で耐食性評価試験を行なった。
結果を下記表2に示す。
Figure 2010117086
表2に示すように、試験を行った4個の各試験片の間の誤差が小さく、超音波板厚計を用いた計測と異なり、腐食評価法として適していることが分かる。
この結果から、例えば、ロンジ等を模擬した構造部形状の試験体でも、本発明の試験方法による試験が可能であることが分かる。
以上の結果により、本発明の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法が、温度変動の再現性が高く、高精度で腐食速度を算出することが可能であることが明らかである。
比較例
下記の要領で、超音波板厚計を用いた腐食量の測定を行った。
はじめに、原油タンク上甲板の板厚を、0.5m間隔で、長手方向に5点ずつ、幅方向に4点ずつの、計20点で測定した。板厚の測定は、甲板上から超音波板厚計の端子を当てて行った。超音波板厚計には、オリンパスNDT(株)製EPOCH4を使用した。
同様の板厚測定を180日経過後に行い、板厚の減少量から年間腐食速度を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2010117086
表3に示すように、超音波板厚計で測定した板厚の減少量から算出された腐食速度は、ばらつきが大きいことが分かる。また、板厚の初期値よりも180日後の板厚が大きく測定され、その結果、算出された腐食速度が負の値となった点もあった。
これは、超音波板厚計による板厚測定により腐食量を評価するためには、腐食の前後で正確に同じ位置を測定する必要があるが、実際には、正確に同じ位置での測定は困難であり、測定誤差が大きくなったためと考えられる。
この結果から、超音波板厚計による板厚測定によって耐食性を評価するのは困難であることが分かる。
本発明によれば、船舶のバラストタンク上甲板や原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板に使用される鋼板、又は、使用を目的とする鋼板に対して、カーゴタンクの上甲板のカーゴタンク内壁ないし構造物等の部位における腐食で重要因子となる温度変動を再現できる。また、実際のカーゴタンク内雰囲気の腐食環境での腐食による重量減を精度良く算出できる。その結果、簡易にかつ精度良く腐食速度を算出することが可能となる。
これにより、短期間での耐食性評価ができることから、耐食鋼開発又は防食法開発を推進する上で、産業上の効果は極めて大きい。
11 試験片
12a,12b 腐食面
13 蓋の裏面との接触面
本発明は、船舶において、バラストタンクやカーゴタンクの甲板部分(以下、「タンク上甲板」、「バラストタンク上甲板」、「カーゴタンク上甲板」等とも記す。)に使用される鋼板、又はタンク上甲板としての使用を目的とされる鋼板に対して、腐食速度を精度良く算出できる、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法に関する。
従来から、船舶のバラストタンク上甲板や、原油タンク等のカーゴタンク上甲板においては、腐食が問題となっており、耐食鋼材や表面処理による防食処理のニーズがある。
カーゴタンク内の雰囲気は、SOx、NOx、CO、HS等の腐食性のガスを含み、かつ、露点が室温以上である。そのため、カーゴタンク上甲板に使用される鋼板では、腐食が問題となる。
特に、船舶の運行中に、カーゴタンク内の温度が0〜70℃程度の範囲で変化する場合には、腐食の発生が顕著となる。したがって、カーゴタンク上甲板に使用される鋼板は、優れた耐食性が求められており、精度良く耐食性を評価する必要がある。
腐食による板厚減少の測定は、超音波板厚計によって行われている。しかし、この方法では、短期間では正確な腐食評価ができない。
また、試験片を用いる曝露試験では、上甲板が底板から数m〜数十mと非常に高い位置にあるので、試験片の取付けが困難である。さらに、架台を用いる曝露試験では、上甲板の腐食で重要な因子となる温度変動を再現できない。
日本船舶協会242研究会は、原油タンク上甲板の腐食調査において、上甲板のマンホールの蓋を試験片として用いる方法を提案している(例えば、非特許文献1)。
この方法によれば、上甲板の腐食における重要な因子である、温度変動が再現できる。しかし、超音波板厚計を用いてマンホールの蓋の板厚を測定し腐食量を評価するので、腐食量の測定誤差が大きい。また、マンホールの蓋の重量が大きいので、腐食による微小な重量の減少から、精度よく腐食速度を算出できない。
また、蓋の重量測定や錆取り等の作業が困難であり、さらに、同時に2種類以上の鋼材の評価ができない。
以上の理由から、上甲板の耐食性試験は、上甲板環境を模擬する、ラボ試験で行われる。
例えば、原油タンク上甲板の腐食評価法として、タンク気相部のガスを模擬した人工ガスを試験槽中に流し込ながら、試験槽内に入れた試験片の温度を、上甲板の温度変動に似せ、周期的に変える方法が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
この方法では、試験片を用いて試験を行うので、定量的な腐食評価が可能である。
しかし、この方法は、タンク内のガスと温度変動のみを考慮した試験であり、気相内のガス成分変動や実際の温度変動を十分に再現できない。
さらに、原油特有の揮発成分の試験片への付着等、腐食挙動に重要な現象が再現できないので、実際の上甲板における腐食の結果が、試験の結果と異なる可能性があり、試験の信頼性が低い。
特開2007−224344号公報
「原油タンカーの新形コロージョン挙動の研究」,社団法人日本造船協会,H12年度研究概要報告,SR242
本発明は、前記の事情にかんがみてなされたものであり、船舶のバラストタンク上甲板や、原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、又は、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板で使用される鋼板、及び、上甲板への使用を目的とする鋼板の腐食量を精度良く評価でき、さらに、この部位の腐食で重要な因子となる温度変動を再現でき、かつ、腐食による重量減を精度良く計測することにより、腐食速度を精度良く算出することが可能な、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上甲板の環境条件を網羅しつつ、実施可能な定量試験方法について鋭意検討した。
初めに、本発明者らは、定量評価手段について検討した。
超音波板厚計やマイクロメータを用いて板厚を計測し、腐食量を評価する方法は、測定位置等による測定誤差がある。すなわち、腐食後の板厚は均一ではないため、板厚測定により腐食量を評価するためには、腐食の前後で正確に同じ位置を測定する必要があるが、実際には、正確に同じ位置での測定は困難である。その結果、精度の良い測定ができないので、耐食性を評価する上で、好ましくない。
試験片を用いて、腐食後の重量減によって腐食量を評価する方法は、秤量機の測定精度を上げることで精度の良い測定が可能である。よって、腐食評価は、重量減を測定する方法が好ましい。
しかし、測定対象物が大き過ぎる場合は、精度の良い重量減測定はできない。
そこで、重量減が精度良く測定できるように、取外し可能な試験片を用いることとした。
次に、本発明者らは、試験片の取付け箇所について検討した。
試験片の取付け方法として、上甲板のタンク側や、上甲板のロンジのフランジ部やウエブ部に架台を取付ける方法が考えられる。しかし、これらの部位は底板から数〜数十mと高い場所に位置しているので、架台の取付けや試験片の取付け、取外しが容易にはできない。
さらに、上甲板の環境を再現するには、試験片の試験面を水平下向きにする必要があり、かつ、試験片の温度変動を、上甲板の温度変動と同等にする必要がある。
本発明者らは、上甲板とほぼ同じに温度変動し、かつ、カーゴタンク内雰囲気に面している上甲板のマンホールやクリーニングホールの蓋裏に着目し、これらを架台として試験片を固定する方法について検討した。
その結果、これらの蓋にネジを差し込むか、又は、スタットボルトを溶着させることで、容易に試験片の取付け取外しができ、かつ、試験面の位置や温度変動が、上甲板の条件と一致することを見出した。
さらに、試験片の形状を、T型継ぎ手等のカーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物と相似形状にすることにより、上甲板ロンジ等の腐食評価が可能であることを見出した。
本発明者らは、マンホールやクリーニングホールの蓋と試験片を電気的に絶縁させる方法についても検討した。
通常、架台に試験片を取付ける場合、架台と試験片を電気的に絶縁させるために、架台や試験片の接触部に塗装を施したり、絶縁板や絶縁シートを挟んだりする。
しかし、蓋と試験片の接触部を塗装したり、通常の絶縁板や絶縁シート等で絶縁したりすると、上甲板の温度変動を十分に再現できなくなる。その結果、試験片腐食面の結露時間や乾燥時間が、実際の上甲板における腐食現象とは異なるものとなり、精度の良い腐食評価ができないという問題がある。
本発明者らは、蓋と試験片の間に市販の伝熱絶縁シート、又は、銅板、銅合金板、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板の1種以上の金属板を間に挟むことで、上記の問題が解決できるかどうかを、以下の方法で調査した。
初めに、熱電対をつけた厚さ10mm、大きさ100mm角の2枚の鋼板に、シリコーンゲルをマトリックス樹脂とする伝熱絶縁シートか、又は、当該鋼板を絶縁塗装した塗装塗膜上に厚さ0.1mmの銅板、黄銅板、アルミニウム板若しくは5000系アルミニウム合金板のいずれかを1枚挟み、絶縁されていることを確認した。
その後、一方の鋼板にヒーターを取付け、上甲板の温度変動と同様の温度変動となるように、0℃から70℃の範囲で±0.01〜1℃/sの昇温、冷却を繰り返し、その際の他方の鋼板の温度変化を測定した。
その結果、いずれの場合でも、温度変動のずれが±3℃以内であることが確認された。
以上の結果から、蓋と試験片の間に伝熱絶縁シート、又は、絶縁塗膜と金属板を挟むことで、上甲板の温度変動を正確に再現できることがわかった。
次に、実船のカーゴタンク上甲板に用いられている鋼(日本海事協会造船用鋼KA36)と同じ成分組成の鋼からなる、2mm×100×100mmの2枚の平板腐食試験片を用意した。
そして、1枚の試験片を、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク側の内壁に、同じ成分組成の鋼からなるスタットボルトで貼り付けた。もう1枚の試験片を、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホールの蓋裏に、シリコン樹脂製の厚さ0.5mmの伝熱絶縁シートを挟んで固定し、シリコンチューブで絶縁したスタットボルトで固定した。
その後、空荷で日本から中東へ、カーゴタンクに原油を積んで中東から日本へ、6往復した後、前記2枚の平板腐食試験片を取外して、腐食減量を比較した。
その結果、マンホールの蓋裏に取付けた試験片の腐食減量は、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク側の内壁に貼り付けた試験片の腐食減量の98%であって、外観上も極めて近い腐食状態であることが判明した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)カーゴタンカー実船の、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホール又はクリーニングホールの蓋裏に、腐食試験片を、前記マンホール又はクリーニングホールの蓋と電気的に絶縁し、かつ、前記腐食試験片における腐食試験面の温度変動が、前記カーゴタンク上甲板の下側のカーゴタンク内壁、又は、前記カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物表面の温度変動と同等となるように、伝熱絶縁シートを介してボルト締めして固定し、前記腐食試験片を、前記カーゴタンク内雰囲気に曝露することを特徴とする、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
(2)カーゴタンカー実船の、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホール又はクリーニングホールの蓋裏に、腐食試験片を、絶縁シート、絶縁塗膜層、又は、樹脂層のいずれか1種以上を介して前記マンホール又はクリーニングホールの蓋と電気的に絶縁し、かつ、前記腐食試験片における腐食試験面の温度変動が、前記カーゴタンク上甲板の下側のカーゴタンク内壁、又は、前記カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物表面の温度変動と同等となるように、塗装膜又は樹脂層によって前記カーゴタンク内雰囲気と隔離されている、銅、銅合金、アルミニウム、又は、アルミニウム合金の1種以上の金属板又は金属箔を介してボルト締めして固定し、前記腐食試験片を、前記カーゴタンク内雰囲気に曝露することを特徴とする、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
)前記腐食試験片が、前記カーゴタンク内構造物と相似形状であることを特徴とする前記(1)又は(2)の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
ここで、「温度変動と同等となるように」とは、厚さ20mmの鋼製の実船上甲板が日照等により0〜70℃に温度変動する場合、試験片の温度が、実船上甲板の温度と常時±3℃以内の温度差で変動するか、又は、試験片の温度が実船上甲板の温度と同じ温度に達するまでの時間が、常時15分以内である場合をいうものとする。
本発明によれば、船舶のバラストタンク上甲板や、原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板に使用される鋼板、又は、使用を目的とする鋼板に対して、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内壁又は構造物等の部位における腐食で重要な因子となる温度変動を再現でき、かつ、実際のカーゴタンク内雰囲気の腐食環境での腐食による重量減を精度良く計測できるので、簡易にかつ精度良く腐食速度を算出することが可能となる。
発明に係る実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法で用いる、ロンジ上部を模擬した試験片の斜視図である。
以下、本発明の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法(以下、「耐食性評価試験方法」又は「試験方法」とも記す。)の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、発明の趣旨を理解させるために詳細に説明するものであって、本発明を限定するものではない。
本発明の耐食性評価試験方法は、カーゴタンカー実船の、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホール又はクリーニングホールの蓋裏に、腐食試験片の腐食試験面温度変動が、カーゴタンク上甲板の下側のカーゴタンク内壁、又は、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物表面の温度変動と同等となるように、腐食試験片を固定し、カーゴタンク内雰囲気に曝露させる方法である。
初めに、本発明の耐食性評価試験方法で用いる、試験架台について説明する。
試験架台には、上甲板のマンホールやクリーニングホールカバーの蓋を用いる。これと同様な蓋状のものであれば、それを用いることもでき、特に限定されるものではない。
次に、腐食試験片(以下、「試験片」とも記す。)の取付け方法について説明する。
腐食試験片の取付けは、ボルト締めで行う。ネジの取付け方法は、架台となる蓋にネジ穴を設ける方法でも、スタットボルトを溶着する方法であってもよい。ネジと試験片との接触部には塗装等を行い、電気的に絶縁することが好ましい。
試験架台となる蓋と試験片との間を電気的に絶縁する方法としては、マンホール又はクリーニングホールの蓋裏において、絶縁シート、絶縁塗装膜又は樹脂層のいずれか1種以上を介して、腐食試験片を取付ける方法がある。
具体的には、例えば、エポキシ樹脂等を接触部に塗装する方法や、フッ素樹脂板等の絶縁板を接触部に介在させる方法等があり、電気的に絶縁可能な方法であれば、特に限定されるものではない。
上甲板の温度変動を正確に再現したい場合には、蓋と試験との間の接触部に絶縁伝熱シートを介在させることが好ましい。
本発明の耐食性評価試験方法においては、さらに、塗装膜又は樹脂層によってカーゴタンク内雰囲気と隔離されている銅、銅合金、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の1種以上の金属板又は金属箔を介して、試験片を蓋に固定することがより好ましい。
これにより、上甲板の温度変動をより正確に再現でき、正確な耐食性評価試験を行うことが可能となる。
本願発明の試験方法においては、厚さ20mmの鋼製の実船上甲板が日照等により0〜70℃に温度変動する場合、試験片の温度が、実船上甲板の温度と常時±3℃以内の温度差で変動するか、又は、試験片の温度が実船上甲板の温度と同じ温度に達するまでの時間が、常時15分以内であることが必要である。
試験片と、実船上甲板の裏側の温度変動差がこれよりも大きい場合、腐食の評価において、1年間運用した実船の上甲板の裏側の腐食状態を再現できないと考えられるからである。
本発明の試験方法で用いる腐食試験片は、例えば、カーゴタンク内構造物と相似形状としてもよい。形状は特に限定されず、適宜選択できる。試験片をカーゴタンク内構造物と相似形状とした場合には、再現性よく耐食性評価試験を行うことが可能となる。
本発明において、腐食評価は、試験片の重量減によって行うことが好ましい。試験片の腐食速度は、試験片の重量減量と腐食面面積、試験時間から算出することができる。
腐食後の重量測定は、試験片を取り外し、塗装除去、除錆の後に行うことにより、試験片の重量減を精度良く計測することができる。
以上説明したように、本発明に係る実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法によれば、船舶のバラストタンク上甲板や原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板に使用される鋼板、又は、使用を目的とする鋼板に対して、カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内壁、又は、構造物等の部位における腐食で重要因子となる温度変動を再現できる。また、実際のカーゴタンク内の雰囲気で試験を行うことができる。
したがって、実際の腐食環境を正確に再現した試験が可能である。
さらに、試験片の重量の減少により腐食量を評価するので、計測時の測定誤差が小さく、腐食による重量減を精度良く計測できる。
その結果、簡易にかつ精度良く腐食速度を算出することが可能となる。
以下、本発明に係る実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法の実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
以下の実施例は、本発明における態様の一例であり、例えば、腐食速度の算出における塗装剥離方法や除錆方法等は、下記の方法に限られるものではない。本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能である。
大型原油タンカーの原油タンク上甲板の曝露試験を下記の要領で実施した。
腐食試験片には造船用鋼材(KA36)を用いた。腐食試験片の板厚は5mm、大きさは40mm×100mmとし、試験片の角部4か所に、ボルト締め用として、直径10mmの穴を設けた。
試験片の表面全面をエメリー#60で研磨し、脱脂後、重量測定を行った。その後、試験評価部と裏面(蓋との接触面)以外をエポキシ樹脂塗装し、乾燥後、試験評価部の面積を測定した。
架台として、大型原油タンカーの原油タンク部に設置されているタンククリーニングホールの蓋と同じものを用い、上記試験片が止められるように、蓋裏面に長さ30mm、径6mmのスタットボルトを溶着した。
試験片と蓋との間には、厚さ380μm、熱抵抗0.26℃/W、耐圧4000Vの伝熱絶縁シート、又は、厚さ50μmの銅箔を介在させた。
ボルト接合部には、試験片との電気的な接続を防止するため、長さ5mm、内径6ミリのシリコンチューブを取付けた。
蓋に上記試験片を取付け、試験片及び銅箔側面部は、タンク内の雰囲気と隔離するため、エポキシ塗装及びシリコンシーラントで覆った。
これらの蓋を、実船のクリーニングホールの蓋と取り換えて曝露試験を行い、180日後に回収した。
試験片の腐食速度は、試験片の重量減量と腐食面面積、試験時間から算出することができる。上記蓋を回収した後、試験片を取外し、試験片の塗装除去、除錆の後、重量測定を実施した。塗装除去は、市販の塗装剥離剤、カンペ製塗装はがし剤スプレーを用いて実施した。
除錆方法は、JIS Z 2371の参考表1に記載されている化学的腐食生成物除去方法のうち、水酸化ナトリウムと粒状亜鉛を用いる方法を用いた。すなわち、水酸化ナトリウム(JIS K 8576)50gと粒状亜鉛(JIS K 8012)の小片200gに純水を加えて1000mlにしたものを80〜90℃に熱して、その中に試験片を浸漬させた。
これにより、表面の塗装及び腐食生成物は肉眼で見て完全に除去できた。
また、別途、試験前試験片に対し、上記の塗装除去及び除錆を施した。その結果、塗装除去及び除錆の前後で、重量変化は生じなかった。つまり、上記の塗装除去及び除錆では、地金は溶解しないことが確認できた。したがって、上記の方法により塗装及び腐食生成物のみを除去でき、腐食による重量減量を正確に測定できることが確認できた。
試験の結果を表1に示す。
Figure 2010117086
表1に示すように、各試験片とも、腐食速度は0.1mm/y程度であった。各々の試験片の間の誤差は小さく、後述する超音波板厚計を用いた計測と異なり、腐食評価法として適していることが分かる。
造船用鋼材(KA36)を用いて、図1に示すような試験片11を作製した。上甲板における腐食ではアッパーデッキとロンジの接合付近の腐食が厳しいため、試験片は、ロンジ上部を模擬したものとした。
試験片の上部の角部4か所には、ボルト締め用として、直径10mmの穴を設けた。
試験片の表面全面をエメリー#60で研磨し、脱脂した後、重量測定を行い、その後、腐食面12と蓋の裏面との接触面13以外をエポキシ樹脂塗装し、実施例1と同様の手順で耐食性評価試験を行なった。
結果を下記表2に示す。
Figure 2010117086
表2に示すように、試験を行った4個の各試験片の間の誤差が小さく、超音波板厚計を用いた計測と異なり、腐食評価法として適していることが分かる。
この結果から、例えば、ロンジ等を模擬した構造部形状の試験体でも、本発明の試験方法による試験が可能であることが分かる。
以上の結果により、本発明の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法が、温度変動の再現性が高く、高精度で腐食速度を算出することが可能であることが明らかである。
(比較例)
下記の要領で、超音波板厚計を用いた腐食量の測定を行った。
はじめに、原油タンク上甲板の板厚を、0.5m間隔で、長手方向に5点ずつ、幅方向に4点ずつの、計20点で測定した。板厚の測定は、甲板上から超音波板厚計の端子を当てて行った。超音波板厚計には、オリンパスNDT(株)製EPOCH4を使用した。
同様の板厚測定を180日経過後に行い、板厚の減少量から年間腐食速度を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2010117086
表3に示すように、超音波板厚計で測定した板厚の減少量から算出された腐食速度は、ばらつきが大きいことが分かる。また、板厚の初期値よりも180日後の板厚が大きく測定され、その結果、算出された腐食速度が負の値となった点もあった。
これは、超音波板厚計による板厚測定により腐食量を評価するためには、腐食の前後で正確に同じ位置を測定する必要があるが、実際には、正確に同じ位置での測定は困難であり、測定誤差が大きくなったためと考えられる。
この結果から、超音波板厚計による板厚測定によって耐食性を評価するのは困難であることが分かる。
本発明によれば、船舶のバラストタンク上甲板や原油タンク、石炭タンク、粗リン酸、粗硫酸等のカーゴタンク上甲板に使用される鋼板、又は、使用を目的とする鋼板に対して、カーゴタンクの上甲板のカーゴタンク内壁ないし構造物等の部位における腐食で重要因子となる温度変動を再現できる。また、実際のカーゴタンク内雰囲気の腐食環境での腐食による重量減を精度良く算出できる。その結果、簡易にかつ精度良く腐食速度を算出することが可能となる。
これにより、短期間での耐食性評価ができることから、耐食鋼開発又は防食法開発を推進する上で、産業上の効果は極めて大きい。
11 試験片
12a,12b 腐食面
13 蓋の裏面との接触面

Claims (4)

  1. カーゴタンカー実船の、カーゴタンク内雰囲気に面したマンホール又はクリーニングホールの蓋裏に、腐食試験片を、該腐食試験片における腐食試験面の温度変動が、該カーゴタンク上甲板の下側のカーゴタンク内壁、又は、該カーゴタンク上甲板のカーゴタンク内構造物表面の温度変動と同等となるように固定し、該腐食試験片を、該カーゴタンク内雰囲気に暴露することを特徴とする、実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
  2. 前記腐食試験片が、前記カーゴタンク内構造物と相似形状であることを特徴とする請求項1に記載の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
  3. 前記マンホール又は前記クリーニングホールの蓋裏において、絶縁シート、絶縁塗装膜、又は、樹脂層のいずれか1種以上を介して、前記腐食試験片を、マンホール又はクリーニングホールの蓋と電気的に絶縁することを特徴とする請求項1又は2に記載の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
  4. 塗装膜又は樹脂層によって前記カーゴタンク内雰囲気と隔離されている、銅、銅合金、アルミニウム、又は、アルミニウム合金の1種以上の金属板又は金属箔を介して、前記マンホール又は前記クリーニングホールの蓋裏に、前記腐食試験片を固定することを特徴とする請求項3に記載の実船上甲板カーゴタンク内面の耐食性評価試験方法。
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