JP2016197102A - 腐食センサの設計方法および腐食センサの製造方法 - Google Patents

腐食センサの設計方法および腐食センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気抵抗式の腐食センサにおけるセンサ部の当初厚さとして適切な厚さを設定できる、腐食センサの設計方法を提供する。
【解決手段】腐食センサ1の設計方法であって、上記腐食センサが、任意の環境に曝露されて腐食により厚さ方向に減肉する鉄または鉄合金からなるセンサ部11、および、上記任意の環境から遮断される鉄または鉄合金からなる参照部21を備え、上記参照部の電気抵抗値、および、上記センサ部の電気抵抗値に基づいて上記センサ部の腐食量を測定する、電気抵抗式の腐食センサであり、上記センサ部の当初厚さとして特定の式を満たす厚さを設定する、腐食センサの設計方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、腐食センサの設計方法および腐食センサの製造方法に関する。
社会資本である、橋梁、港湾、建築物などの鋼構造物や、自動車、列車などの鋼構造体を安全に長期間使用することは極めて重要なことであるが、これらの鋼構造物、鋼構造体には、劣化などの問題がある。劣化の主な原因の1つに腐食があり、腐食に対する耐久性は、耐食材料設計、防食仕様・方法、保守管理により決まる。鋼構造物、鋼構造体の劣化を防ぐまたは遅らせるために、これらを適切に行うには、鋼構造物、鋼構造体の腐食量を正確に把握することが重要となる。
腐食量を測定する技術としては、電気抵抗式の腐食センサが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。電気抵抗式の腐食センサは、センサ部の鉄または鉄合金として腐食量の評価対象を用い、腐食による電気抵抗値の増加量から腐食量を求める。
T.Prosek、外2名、「Materials and Corrosion」、2014年5月、第65巻、第5号、p.448−456
本発明者らが電気抵抗式の腐食センサについて検討した結果、センサ部として用いる鉄または鉄合金の当初厚さを適切に設定することが困難な場合があることを見出した。すなわち、センサ部の当初厚さが薄すぎるとセンサ部が全て腐食して測定が不能になってしまう場合があり、その一方で、センサ部の当初厚さが厚すぎると測定精度が劣る場合があることを見出した。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、電気抵抗式の腐食センサにおけるセンサ部の当初厚さとして適切な厚さを設定できる、腐食センサの設計方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の定数を用いることで、センサ部の当初厚さを適切に設定できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[2]を提供する。
[1]腐食センサの設計方法であって、上記腐食センサが、任意の環境に曝露されて腐食により厚さ方向に減肉する鉄または鉄合金からなるセンサ部、および、上記任意の環境から遮断される鉄または鉄合金からなる参照部を備え、上記参照部の電気抵抗値、および、上記センサ部の電気抵抗値に基づいて上記センサ部の腐食量を測定する、電気抵抗式の腐食センサであり、上記センサ部の当初厚さとして後述する式(I)を満たす厚さを設定する、腐食センサの設計方法。
[2]任意の環境に曝露されて腐食により厚さ方向に減肉する鉄または鉄合金からなるセンサ部、および、上記任意の環境から遮断される鉄または鉄合金からなる参照部を備え、上記参照部の電気抵抗値、および、上記センサ部の電気抵抗値に基づいて上記センサ部の腐食量を測定する、電気抵抗式の腐食センサを製造する、腐食センサの製造方法であって、上記[1]に記載の腐食センサの設計方法よって上記センサ部の当初厚さを設定する、腐食センサの製造方法。
本発明によれば、電気抵抗式の腐食センサにおけるセンサ部の当初厚さとして適切な厚さを設定できる、腐食センサの設計方法を提供することができる。
図1(A)は、電気抵抗式の腐食センサの一例を模式的に示す平面図である。図1(B)は、図1(A)のA−A線断面図である。 図2(A)は、鉄A(当初厚さ:25μm)の測定結果を示すグラフであり、図2(B)は、鉄B(当初厚さ:250μm)の測定結果を示すグラフである。 図3は、実験例Iの湿度環境を示すグラフである。 図4は、実験例Iの腐食深さの経時変化を示すグラフである。 図5(A)は、実験例I−1の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図5(B)は、実験例I−1の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフである。 図6(A)は、実験例I−2の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図6(B)は、実験例I−2の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフである。 図7(A)は、実験例I−3の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図7(B)は、実験例I−3の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフである。 図8(A)は、実験例I−4の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図8(B)は、実験例I−4の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明は、腐食センサの設計方法の説明だけでなく、腐食センサの製造方法の説明も兼ねる。
まず、電気抵抗式の腐食センサの構造について、図1(A)および図1(B)に基づいて説明する。なお、図1(A)および図1(B)に基づいて説明する腐食センサは一例であり、腐食センサはこれに限定されるものではない。
図1(A)は、電気抵抗式の腐食センサの一例を模式的に示す平面図である。図1(B)は、図1(A)のA−A線断面図である。電気抵抗式の腐食センサ1は、任意の環境に曝露されるセンサ部11と、センサ部11が曝露される任意の環境から遮断される参照部21とを有する。センサ部11および参照部21は、共に鉄または鉄合金からなり、平板状の基板31の一面上に、絶縁シート41を介して、並列配置されている。
なお、センサ部11が曝露される「任意の環境」は、センサ部11が腐食するような環境である「腐食環境」を含む、各種の環境を内包した概念である。すなわち、腐食センサ1は、センサ部11が腐食する腐食環境で使用されることはもちろん、センサ部11が腐食しない環境で使用されてもよい。
図1(B)に示すように、センサ部11および参照部21の断面は、所定の厚さを有する矩形(正方形を含む)である。センサ部11および参照部21の両側面は、絶縁性の樹脂51で覆われ、さらに、参照部21の上面は、絶縁性のカバー61で覆われている。
すなわち、図1(B)に示すように、腐食センサ1を断面視した場合、矩形である参照部21の両側面および上下面は各部材で覆われている。このため、腐食センサ1が任意の環境下にあっても、参照部21は、この任意の環境から遮断される。
その一方で、センサ部11の上面は、カバー61で覆われていない。すなわち、図1(B)に示すように、腐食センサ1を断面視した場合、矩形であるセンサ部11の両側面および下面は各部材で覆われているが、上面は露出している。このため、腐食センサ1が任意の環境下にある場合、センサ部11の上面は、この任意の環境に曝露される。腐食センサ1が特に腐食環境下にある場合は、上面が曝露されたセンサ部11は、その厚さ方向(上面側から下面側に向かう方向)に腐食が進行する。
なお、基板31としては、例えば、ステンレス鋼板が挙げられるが、これに限定されるものではない。
基板31上に配置される絶縁シート41の材料としては、特に限定されず、従来公知の材料を使用でき、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステルが挙げられる。絶縁シート41の厚さ(図1(B)中の上下方向の長さ(以下、同様))は、例えばステンレス鋼板である基板31と鉄または鉄合金であるセンサ部11および参照部21とを絶縁できる厚さであればよく、例えば、20〜200μmが挙げられる。
樹脂51の材料としては、特に限定されず、従来公知の材料を使用でき、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロンなどが挙げられる。樹脂51の厚さは、センサ部11および参照部21の厚さに準ずる。
カバー61の材料としては、特に限定されず、従来公知の材料を使用でき、例えば、ゴム、塗料などが挙げられ、耐候性を有するものが好ましい。カバー61の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1〜10mmが挙げられる。
センサ部11を構成する鉄または鉄合金は、腐食量を測定する対象から選択され、特に限定されるものではない。なお、参照部21を構成する鉄または鉄合金としては、センサ部11を構成する鉄または鉄合金と同じ材料であることが好ましい。
センサ部11および参照部21を構成する鉄または鉄合金は、電気抵抗値の変化が測定されるため、一定の長さを持った長尺状の形状であることが好ましく、例えば、図1(A)に示すように、一定間隔で屈曲した蛇行形状が挙げられる。
このとき、センサ部11の長さ(全長)は、例えば、30〜500mmが挙げられる。また、図1(B)に示すようにセンサ部11を断面視した場合において、その幅は、例えば、1〜10mmが挙げられる。なお、これら数値範囲の下限は腐食センサ1の測定精度の観点から、上限は腐食センサ1の取り扱いの利便性の観点からそれぞれ決定される。厚さについては後述する。
参照部21の形状は、センサ部11と同形状であることが好ましい。
そして、センサ部11と参照部21とは、例えば、図1(A)に示すように、連続した一連の長尺状の鉄または鉄合金であってもよい。この場合、センサ部11および参照部21を構成する一連の鉄または鉄合金の両端に電流源71が接続され、センサ部11の両端に電圧測定部81が接続され、参照部21の両端に電圧測定部91が接続される。
このような腐食センサ1において、電流源71から定電流を流し、電圧測定部81および電圧測定部91で電圧を測定することにより、センサ部11および参照部21の各々の電気抵抗値を求める。
このとき、センサ部11は、任意の環境に曝露されることにより次第に腐食が進行した場合、センサ部11の電気抵抗値は、当初の値から次第に増大する。一方で、参照部21はセンサ部11が曝露されている任意の環境から遮断されているため、腐食は進行せず、参照部21の電気抵抗値は、基本的には当初の値から不変である。
なお、センサ部11の腐食の進行と電気抵抗値の増大とが関係している理由は、一般的には、以下のように考えられている。
センサ部11を構成する鉄または鉄合金は、腐食が進行するに伴い、任意の環境に曝露されている領域を起点にして厚さ方向に減肉する。減肉分の鉄または鉄合金は、表面から失われるか、または、腐食生成物に置き換わって表面に残存する。この腐食生成物は、不導体、または、導電体であったとしても元の鉄または鉄合金と比較して導電性が非常に低いものとなることが多い。結果として、腐食による電気抵抗値の増大は、センサ部11を構成する鉄または鉄合金の減肉によるものと見なされることが一般的である。
このようにして、腐食センサ1においては任意の一定間隔でセンサ部11および参照部21の電気抵抗値を求め、求めた電気抵抗値に基づいてセンサ部11の腐食量(腐食深さ)を測定(換算)する。より詳細には、腐食量の換算式は、下記式(1)で表される。
CD=tinit{(Rref,init/Rsens,init)−(Rref/Rsens)} … (1)
CD:腐食量(腐食深さ)[μm]
init:センサ部の当初厚さ[μm]
ref,init:参照部の当初の電気抵抗値[Ω]
sens,init:センサ部の当初の電気抵抗値[Ω]
ref:参照部の測定時の電気抵抗値[Ω]
sens:センサ部の測定時の電気抵抗値[Ω]
次に、鉄または鉄合金からなるセンサ部11の当初厚さについて説明する。
まず、センサ部11の当初厚さの下限値について説明する。センサ部11の当初厚さが薄いと、腐食量がセンサ部11の当初厚さに達する(つまり、センサ部11が全て腐食する)ことで腐食量の測定が不能になってしまう場合があることから、厚い方が好ましい。
本発明者らが検討した結果、鉄または鉄合金の腐食には、その鉄または鉄合金が曝露される任意の環境の平均気温および海塩粒子量が、他の要因よりも大きな影響を与えることを見出した。
ここで、海塩粒子量は、ISO9223で規定されている環境因子の1種であり、下記第2表に示すように、S〜Sの4つのカテゴリに分類される。なお、海塩粒子とは、大気中に含まれるエアロゾル粒子の一種であって、海洋や塩湖の水(海水)に由来する塩分からなる微粒子のことである。
本発明者らは更に検討を重ねることで、鉄または鉄合金が曝露される任意の環境の平均気温と、その任意の環境の海塩粒子量のカテゴリ(S〜S)と応じて決定される、下記第1表に示す定数kを見出した。
なお、この定数kは、本発明者らが、腐食センサ1を用い、約10箇所の地域(海岸や、海から100km程度離れた山中など)でサンプリングした結果得られた数値である。このサンプリングは、1箇所につき10分間隔で行い、その期間は、3ヶ月から最長で2年間に渡った。また、1箇所でのサンプル数は、複数(例えば20サンプル)であった。
本発明者らは、上記第1表に示す定数kと、腐食量の測定を予定している期間(測定期間)(T[日])とを掛け合わせることで得られる数値(=kT)以上の値を、センサ部11の当初厚さ(tinit[μm])として設定した。そして、検討を重ねた結果、このように設定することで、センサ部11の当初厚さ(tinit[μm])を、測定期間(T)の終了時点における腐食量(腐食深さ)よりも厚くできることを見出した。
次に、センサ部11の当初厚さの上限値について説明する。
上記式(1)では、センサ部11の当初厚さ(tinit)に電気抵抗値の変化分を掛け合わせているため、センサ部11の当初厚さが厚いほど測定精度が劣る(誤差が大きくなる)。このような観点からは、センサ部11の当初厚さは、できる限り薄く設定することが好ましい。
ここで、本発明者らは、図1(A)および図1(B)に基づいて説明した電気抵抗式の腐食センサ1を用いて、測定結果のバラツキを調査した。センサ部11および参照部21の鉄または鉄合金として、鉄A(当初厚さ:25μm)、および、鉄B(当初厚さ:250μm)を用い、気温30℃で相対湿度30%である乾燥環境(すなわち、センサ部11の腐食が進行せず測定結果のバラツキのみ調査可能な環境)に腐食センサ1を曝露した。腐食センサ1のその他の条件等は、後述する実験例Iに準ずる。なお、測定期間(T)は180分間(1/8日)、測定間隔(T)は1分間(1/1440日)とした。結果を、図2(A)〜図2(B)のグラフに示す。
図2(A)は、鉄A(当初厚さ:25μm)の測定結果を示すグラフであり、図2(B)は、鉄B(当初厚さ:250μm)の測定結果を示すグラフである。横軸に測定期間(T[min])を示し、左縦軸に腐食深さ(CD[μm])を示し、右横軸にバラツキを示している。バラツキは、測定される腐食深さ(CD[μm])の当初厚さ(tinit[μm])に対する割合((CD/tinit)×100)であり、単位は「%」である。
図2(A)〜図2(B)のグラフに示す結果から、鉄または鉄合金の当初厚さに依らず、測定結果のバラツキは約±0.1%ということが分かる。
ところで、腐食深さの測定結果にバラツキがあったとしても、少なくとも、測定間隔(T)ごとに測定される腐食深さ(CD[μm])が経時的に減少しないこと、換言すれば、任意の測定期間(T)で腐食速度が負の値にならないことが望まれる。
本発明者らは、上記バラツキに基づく値「1000」に、上記第1表に示す定数kと腐食量の測定間隔(T[日])との積を掛け合わせることで得られる数値(=1000kT)以下の値を、センサ部11の当初厚さ(tinit[μm])として設定した。そして、検討を重ねた結果、センサ部11の当初厚さ(tinit[μm])を、このように設定することで、測定される腐食深さ(腐食量)が経時的に減少せずに測定精度に優れることを見出した。
以上のことから、センサ部11の当初厚さとして下記式(I)を満たす厚さを設定する。これにより、センサ部11の当初厚さとして適切な厚さを設定できる。
kT≦tinit≦1000kT …(I)
init:センサ部の当初厚さ[μm]
:センサ部の腐食量を測定する測定期間[日]
:センサ部の腐食量を測定する測定間隔[日]
k:センサ部が曝露される任意の環境における平均気温と海塩粒子量のカテゴリS〜S(ISO9223)とに応じて決定される上記第1表に記載の定数
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例I>
図1(A)および図1(B)に基づいて説明した電気抵抗式の腐食センサ1を作製し、腐食深さの経時変化を測定した。
センサ部11および参照部21を構成する一連の鉄または鉄合金としては、鉄A(当初厚さtinit:25μm)および鉄B(当初厚さtinit:250μm)を用いた。その他の条件として、幅:3mm、全長:70mmとした。
腐食センサ1の作製は、まず、ステンレス鋼板である基板31(50mm×70mm)上に、ポリエチレンテレフタレートからなる絶縁シート41(デュポン社製のマイラーシート、厚さ:30μm)を配置し、その上に、センサ部11および参照部21を配置した。絶縁シート41上に、エポキシ樹脂である樹脂51を、センサ部11および参照部21の厚さ分だけ平坦に敷き詰めて、センサ部11および参照部21の両側面を覆った。さらに、参照部21の上面を覆うようにして、耐候性のゴム製のカバー161(厚さ:3mm)を配置した。
作製した腐食センサ1を、気温50℃に保持され、かつ、3時間ごとに相対湿度が図3のグラフに示すように段階的に下がる湿度環境(恒温恒湿器により与えられる)に30時間曝露した。
図3は、実験例Iの湿度環境を示すグラフであり、横軸に測定期間(T[h])を示し、縦軸に相対湿度(RH[%])を示している。腐食センサ1には、事前に、人工海塩をスプレー噴霧により100mg/m付着させた。上記付着量は、海塩粒子量のカテゴリ(ISO9223)のSに相当する。
気温50℃で海塩粒子量のカテゴリがSであるから、上記第1表に記載の定数kとして「3」が選択される。また、測定期間(T)は、30時間であるから、30/24[日]となる。
したがって、センサ部11の当初厚さ(tinit)の下限値としては、上記式(I)の左辺から、k×T=3×(30/24)=3.75μmが設定される。鉄Aおよび鉄Bの当初厚さ(25μmおよび250μm)は、いずれも、このように設定された下限値(3.75μm)以上の厚さである。
図4は、実験例Iの腐食深さの経時変化を示すグラフであり、横軸に測定期間(T[h])を示し、縦軸に腐食深さ(CD[μm])を示している。鉄A(tinit=25μm)と鉄B(tinit=250μm)とで、腐食深さの大まかな変化は一致しているが、鉄B(tinit=250μm)と比較して、鉄A(tinit=25μm)は、アーティファクト(artifact)が少ないことが見て取れる。
次に、実験例Iについて、腐食深さの測定間隔(T[日])を1/1440(1分間)、1/144(10分間)、1/24(1時間)、および、1/8(3時間)の4種に変化させた際の、センサ部11の当初厚さ(tinit)の上限値について検討した。
<実験例I−1:T=1/1440(1分間)の場合>
実験例I−1では、上記式(I)の右辺から、センサ部11の当初厚さ(tinit)の上限値として、1000×3×(1/1440)=2.1μmが設定されるが、鉄Aおよび鉄Bの当初厚さ(25μmおよび250μm)は、いずれもこの値を超えている。
ここで、測定間隔T=1/1440で測定される腐食深さの変化から、腐食速度(CR[mmy−1])を算出した。腐食速度が負の値になった場合には、測定された腐食深さが、その前に測定された腐食深さよりも小さいことになり、腐食現象として矛盾しており、測定精度の点で不十分と判断される。
図5(A)は、実験例I−1の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図5(B)は、実験例I−1の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフであり、横軸に測定期間(T[h])を示し、縦軸に腐食速度(CR[mmy−1])を示している(以下同様)。
図5(A)および図5(B)に示すように、両グラフともに、腐食速度が負の値を示す期間があり、腐食現象として矛盾し、測定精度が不十分であることが分かった。特に、図5(B)に示すように、鉄B(tinit=250μm)を用いた場合においては、腐食速度の相対湿度依存性すら見て取れなかった。
<実験例I−2:T=1/144(10分間)の場合>
実験例I−2では、上記式(I)の右辺から、センサ部11の当初厚さ(tinit)の上限値として、1000×3×(1/144)=21μmが設定されるが、鉄Aおよび鉄Bの当初厚さ(25μmおよび250μm)は、いずれもこの値を超えている。
図6(A)は、実験例I−2の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図6(B)は、実験例I−2の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフである。
図6(A)および図6(B)に示すように、両グラフともに、腐食速度が負の値を示す期間があり、測定精度が不十分であることが分かる。ただし、図6(A)に示すように、鉄A(tinit=25μm)を用いた場合においては、腐食速度が非常に小さい領域において腐食速度が負の値になるのみに留まった。
<実験例I−3:T=1/24(1時間)の場合>
実験例I−3では、上記式(I)の右辺から、センサ部11の当初厚さ(tinit)の上限値として、1000×3×(1/24)=125μmが設定される。鉄Bの当初厚さ(250μm)は125μmを超えているが、鉄Aの当初厚さ(25μm)は125μm以下を満たしている。
図7(A)は、実験例I−3の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図7(B)は、実験例I−3の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフである。
図7(B)に示すように、鉄B(tinit=250μm)を用いた場合においては、腐食速度が負の値を示す期間があった。これに対して、図7(A)に示すように、鉄A(tinit=25μm)を用いた場合においては、測定期間(T)中、腐食速度は負の値を示さず、測定精度に優れるものと評価できる。
<実験例I−4:T=1/8(3時間)の場合>
実験例I−4では、上記式(I)の右辺から、センサ部11の当初厚さ(tinit)の上限値として、1000×3×(1/8)=375μmが設定されるが、鉄Aおよび鉄Bの当初厚さ(25μmおよび250μm)は、共に、375μm以下を満たしている。
図8(A)は、実験例I−4の鉄A(tinit=25μm)の腐食速度を示すグラフであり、図8(B)は、実験例I−4の鉄B(tinit=250μm)の腐食速度を示すグラフである。
図8(A)および図8(B)に示すように、両グラフともに、測定期間(T)中、腐食速度は負の値を示さず、測定精度に優れるものと評価できる。
なお、実験例I−1〜I−4では、測定期間(T)である30時間経過後においても、センサ部11は残存しており、測定期間(T)の途中で全て腐食して測定不能になってしまうことはなかった。
以上のことから、センサ部11の当初厚さとして上記式(I)を満たす厚さを設定することで、測定精度に優れ、かつ、測定期間(T)の経過終了時点で残存する適切な厚さにできることが分かった。
<実験例II>
実験例I(実験例I−1〜I−4)では定数kを固定した条件で検討したが、次に、測定期間T、および、測定間隔Tを固定した条件で、定数kを変化させた場合について検討を行った。結果を下記第3表〜第8表に示す。
腐食センサ1が曝露される環境の気温として7℃、12℃、17℃、23℃、27℃および35℃を選択し、各気温で腐食センサ1には事前に海塩粒子量のカテゴリがS〜Sになるように人工海塩をスプレー噴霧し、鉄または鉄合金として、鉄A(当初厚さtinit:25μm)および鉄B(当初厚さtinit:250μm)以外に、鉄C(当初厚さtinit:10μm)および下記第9表に示す化学組成(残部はFe)の鉄合金(当初厚さtinit:250μm)を用いた。
上記以外は、実験例I−4と同様にして、腐食速度を測定した。測定期間(T)中に腐食速度が負の値を示さなかった場合には、測定精度に優れるものとして下記表中の「精度」の欄に「○」を記載し、測定期間(T)中に腐食速度が負の値を示した場合には、測定精度が不十分であるものとして「×」を記載した。
また、測定期間(T)である30時間経過後において、センサ部11が残存していた場合には下記表中の「残存」の欄に「○」を記載し、残存していなかった場合には「×」を記載した。
上記第3表〜第8表に示す結果からも、センサ部11の当初厚さ(tinit)として上記式(I)を満たす厚さを設定することで、測定精度に優れ、かつ、測定期間(T)の経過終了時点で残存する適切な厚さにできることが分かった。
1:腐食センサ
11:センサ部
21:参照部
31:基板
41:絶縁シート
51:樹脂
61:カバー
71:電流源
81:電圧測定部
91:電圧測定部

Claims (2)

  1. 腐食センサの設計方法であって、
    前記腐食センサが、任意の環境に曝露される鉄または鉄合金からなるセンサ部、および、前記任意の環境から遮断される鉄または鉄合金からなる参照部を備え、前記参照部の電気抵抗値、および、前記センサ部の電気抵抗値に基づいて前記センサ部の腐食量を測定する、電気抵抗式の腐食センサであり、
    前記センサ部の当初厚さとして下記式(I)を満たす厚さを設定する、腐食センサの設計方法。
    kT≦tinit≦1000kT …(I)
    init:前記センサ部の当初厚さ[μm]
    :前記センサ部の腐食量を測定する測定期間[日]
    :前記センサ部の腐食量を測定する測定間隔[日]
    k:前記センサ部が曝露される任意の環境における平均気温と海塩粒子量のカテゴリS〜S(ISO9223)とに応じて決定される下記第1表に記載の定数
  2. 任意の環境に曝露される鉄または鉄合金からなるセンサ部、および、前記任意の環境から遮断される鉄または鉄合金からなる参照部を備え、前記参照部の電気抵抗値、および、前記センサ部の電気抵抗値に基づいて前記センサ部の腐食量を測定する、電気抵抗式の腐食センサを製造する、腐食センサの製造方法であって、
    請求項1に記載の腐食センサの設計方法よって前記センサ部の当初厚さを設定する、腐食センサの製造方法。
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