JPWO2010100744A1 - ファスナーチェーン及びファスナー - Google Patents

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Abstract

本発明に係るファスナーチェーン(2) は、左右一対のファスナーテープ(1a,1b) と、磁力を有する複数の磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)とを有し、前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)は、噛合頭部(14,14',24,24')が、噛合相手側の互いに隣接する磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)の首部(13,23) 間に、テープ表裏方向から前記磁力により嵌脱可能な寸法形状を有している。また、前記各磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)は、左右の前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)が噛合・分離する際に、テープ幅方向に沿った軸を中心に回転することを許容する回転許容部を有し、前記回転許容部は、前記各磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)のテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に配されている。このようなファスナーチェーン(2) であれば、スライダーを使用することなく、磁力を利用して左右の磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)を円滑に噛合・分離させることが可能で、且つ、優れた横引き強度を有することができる。

Description

本発明は、左右一対のファスナーテープの対向するテープ側縁部に、テープ長さ方向に沿った磁力を有する複数の磁性エレメントが列設され、その磁力を利用して左右の磁性エレメントを噛合させるファスナーチェーン及びファスナーに関する。
左右一対のファスナーテープに取着されるファスナーエレメントに、テープ長さ方向に沿った磁力を付与し、その磁力を利用して左右のファスナーエレメントを噛合させるファスナーが、例えば特開2006−149824号公報(特許文献1)や特開2007−319253号公報(特許文献2)に開示されている。
前記特許文献1に記載されているファスナーは、各ファスナーテープのテープ側縁部に、正面視にて矩形状の複数のエレメントが合成樹脂の射出成形により固着されている。また、各エレメントの内部には磁石が埋装されており、同磁石は、テープ長さ方向に沿った磁力を有している。
この場合、一方のファスナーテープに配される複数のエレメントは、他方のファスナーテープに配される吸着相手側のエレメントにおけるテープ長さ方向の寸法よりも大きな所定のピッチで列設されている。
また、互いに隣り合うエレメントの間には、吸着相手側のエレメントと同等又は同エレメントよりも小さいテープ長さ方向の寸法を有する合成樹脂製の位置決め部材が、ファスナーテープのテープ側縁部に取着されている。
この位置決め部材は、磁力を有してなく、前記エレメントとは別体に成形されている。このような位置決め部材が配されていることにより、片方のファスナーテープにて隣り合うエレメント同士が吸着しようとしても、同エレメントが位置決め部材に接触するため、これらのエレメント同士が接触することを防止できる。
また、同特許文献1のファスナーは、左右のファスナーテープに取着されたエレメントにより形成される左右のエレメント列の一端に、磁石板により互いに吸着することが可能な一対の開具が配されている。
このような特許文献1のファスナーでは、前記開具同士をテープ表裏方向で重ね合わせた後、同開具を中心して一方のファスナーテープを他方のファスナーテープに向けて、テープ表裏面に平行に回動させる。これにより、一方のファスナーテープに取着したエレメント間に、他方のファスナーテープに取着したエレメントが挿入されるとともに、左右のエレメントが磁力により吸着する。このため、通常のスライドファスナーが有するようなスライダーを用いなくても、左右のエレメント列が容易に閉鎖される。
前記特許文献2に記載されているファスナー80は、図27に示したような形状を備え、且つ、テープ長さ方向に沿った磁力を有する複数の磁性エレメント82が左右一対のファスナーテープ81のテープ側縁部に取着されている。この場合、テープ側端縁には芯紐部81aが形成されており、このファスナーテープ81の芯紐部81aを含むエレメント取付部に沿って複数の磁性エレメント82が一定の間隔をもって列設されている。
同ファスナー80の磁性エレメント82は、磁石86をインサートして合成樹脂を射出成形することにより形成されている。また、同磁性エレメント82は、磁力を有する矩形状の頭部83と、ファスナーテープ81のエレメント取付部に固着される脚部84と、頭部83の一側面に形成された係脱凸部85と、頭部83の他側面に形成された図示しない係脱凹部とを備えている。
この場合、前記係脱凸部85は、頭部83の一側面83aから円柱状に突出しており、その先端面は頭部先端に向けて傾斜したテーパ状に形成されている。前記係脱凹部は、頭部83の他側面83bと、頭部83に埋設した磁石86の端面との段差により形成されている。また、前記脚部84は、ファスナーテープ81の表裏面に跨って、頭部83よりもテープ長手方向の前後に長く形成されている。なお、同特許文献2のファスナー80にも、前記特許文献1のファスナー80と同様の開具が、左右のエレメント列の一端に配されている。
このような磁性エレメント82を有する特許文献2のファスナー80では、各磁性エレメント82の頭部83に係脱凸部85と係脱凹部とが形成されているため、左右の磁性エレメント82が係着する際に、各磁性エレメント82の係脱凸部85が、係着相手側の磁性エレメント82の係脱凹部に挿入されて嵌合する。
これにより、同ファスナー80は、ファスナー80を閉鎖した状態で左右のファスナーテープ81をテープ幅方向の外側に向けて引っ張る横引き力を受けても、左右の磁性エレメント82の係着状態を安定して維持することができ、横引き強度に優れている。更に、同ファスナー80には、係脱凸部85の先端面がテーパ状に形成されているため、左右の磁性エレメント82を係着させる際に、各エレメントの係脱凸部85が係着相手側のエレメントに引っ掛かることを防止し、同係脱凸部85を係着相手側の係脱凹部に円滑に挿入して嵌合させることができる。
また、同特許文献2には、別の実施例として、図28及び図29に示したようなファスナー90が記載されている。
同ファスナー90は、図示しない左右一対のファスナーテープと、同ファスナーテープのテープ側縁部に沿って列設された複数の磁性エレメント92,92’と、同磁性エレメント92,92’に沿って摺動させることにより左右の磁性エレメント92,92’を係着・分離させるスライダー94とを備えている。
前記磁性エレメント92,92’は、磁石95がその前後端面に表出するように埋設された頭部96,96’と、脚部97,97’とを備えている。この場合、一方のファスナーテープに取着した第1磁性エレメント92の頭部96は、テープ表裏方向の中央部に磁石95が埋設された柱部96aと、同柱部96aのエレメント第1面側に配された薄板部96bと、エレメント第2面側に配された図示しない薄板部とを有している。また、第1磁性エレメント92におけるエレメント第1面側に配された薄板部96bの後方には、係脱凸部96dと張出部96eとが形成され、エレメント第2面側に配された図示しない薄板部の前方には、第2磁性エレメント92’の後述する係脱凸部96d’と張出部96e’を嵌合させる係脱凹部と切欠き部とが形成されている。
一方、他方のファスナーテープに取着した第2磁性エレメント92’の頭部96’は、テープ表裏方向の中央部に磁石95が埋設された柱部96a’と、同柱部96a’のエレメント第1面側とエレメント第2面側に配された薄板部96b’,96c’とを有している。また、第2磁性エレメント92’におけるエレメント第1面側に配された薄板部96b’の前方には、第1磁性エレメント92に形成された前記係脱凸部96dと前記張出部96eが嵌合する係脱凹部96f’と切欠き部96g’とが形成され、エレメント第2面側に配された薄板部96c’の後方には、係脱凸部96d’と張出部96e’とが形成されている。
従って、この変形例に係るファスナー90についても、スライダー94を摺動させて左右の磁性エレメント92,92’を係着させる際に、各磁性エレメント92,92’の係脱凸部96d,96d’が、係着相手側の磁性エレメント92,92’の係脱凹部96f’に挿入されて嵌合する。特に、これらの係脱凸部96d,96d’及び係脱凹部96f’は、前述の図27に示した磁性エレメント82よりもしっかりと嵌合するため、ファスナー90の閉鎖時における横引き強度を更に向上させることができる。
特開2006−149824号公報 特開2007−319253号公報
前記特許文献1に記載されているファスナーは、エレメントが有する磁力を利用して、スライダーを使用することなく、左右のエレメントを容易に噛合させることができる。一方、同ファスナーは、噛合状態にある左右のエレメントを互いに離間するようにファスナーテープを外側に向けて引っ張ることにより、左右のエレメントを容易に分離することができるものの、横引き力に対する強度が低いという欠点があった。
図27に示したようなエレメントを有する前記特許文献2に記載のファスナー80は、各磁性エレメント82に係脱凸部85と係脱凹部とが形成されているため、横引き強度が向上している。また、同ファスナー80は、スライダーを用いずに左右の磁性エレメント82を磁力によって係着・分離させることができる。しかしながら、同ファスナー80では、左右の磁性エレメント82を係着(又は分離)させる際に、ファスナーテープ81をテープ幅方向に屈曲させながら、隣接する磁性エレメント82の頭部83間の間隔を拡げて、当該間隔に噛合相手側の磁性エレメント82の頭部83を挿入(又は抜脱)することにより、左右のエレメントをテープ幅方向から噛み合わせている(又は分離させている)。
しかしながら、ファスナーテープ81は、一般的に帯状に形成されているため、テープ表裏方向へは曲がり易いものの、テープ幅方向へは曲がり難い。このため、前述のようにスライダーを用いずにファスナーテープ81をテープ幅方向に屈曲させて左右の磁性エレメント82を係着(又は分離)させる場合、エレメントの磁力だけでは、ファスナーテープ81をテープ幅方向に屈曲させて磁性エレメント82の係着や分離を円滑に行うことは難しいという問題があった。
一方、図28及び図29に示した前記特許文献2の他の実施例に係るファスナー90は、スライダー94を用いて左右の磁性エレメント92,92’を係着・分離させているものの、例えばこのようなスライダー94を用いずに磁力のみを利用して、左右の磁性エレメント92,92’を係着・分離させることは前述と同様の理由により難しかった。
特に、同ファスナー90は、磁性エレメント92,92’が係着しているときに、左右の柱部96a,96a’同士が互いに面接触した状態又は近接した状態にあるため、例えば同ファスナー90自体をテープ表裏方向又はテープ幅方向へ曲げようとしても、左右のエレメントの柱部96a同士が干渉してファスナー90の屈曲を妨げる。このため、ファスナー90の屈曲性が低いという欠点もあった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、スライダーを使用することなく、磁力を利用して左右のエレメントを円滑に噛合・分離させることが可能で、且つ、優れた横引き強度を有するファスナーチェーン、及び同ファスナーチェーンから形成されるファスナーを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるファスナーチェーンは、基本的な構成として、左右一対の第1及び第2ファスナーテープの対向するテープ側縁部に、テープ長さ方向に沿った磁力を有する複数の磁性エレメントがテープ表裏面に跨って列設され、前記磁性エレメントは、前記テープ側縁部に固着する脚部と、同脚部からテープ幅方向に沿ってテープ外方に延在し、テープ長さ方向の前後に括れた首部と、同首部の先端からテープ幅方向にテープ外方へ向けて延在し、テープ長さ方向の前後へ膨大する噛合頭部とを備え、前記磁力を利用して左右の前記磁性エレメントを噛合させるファスナーチェーンであって、前記磁性エレメントは、前記噛合頭部が、噛合相手側の互いに隣接する前記磁性エレメントの首部間に、テープ表裏方向から前記磁力により嵌脱可能な寸法形状を有し、前記各磁性エレメントは、左右の前記磁性エレメントが噛合・分離する際に、一方の磁性エレメントが、他方の前記磁性エレメントと干渉することを回避し、テープ幅方向に沿った軸を中心に回転することを許容する回転許容部を有し、前記回転許容部は、前記各磁性エレメントのテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に配されてなることを最も主要な特徴とするものである。
本発明に係るファスナーチェーンにおいて、前記回転許容部は、前記各磁性エレメントの前記噛合頭部及び前記首部におけるテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に配されたテーパ面又は湾曲面により構成され、前記テーパ面又は湾曲面は、前記磁性エレメントのテープ長さ方向の寸法を、前記第1及び第2ファスナーテープのテープ表裏面から離れる方向に漸減させて形成されていることが好ましい。
また、前記テーパ面又は湾曲面は、前記各磁性エレメントの前記噛合頭部及び前記首部におけるテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面とに配されていることが好ましい。
更に、前記テーパ面は、第1テーパ面と、同第1テーパ面よりも傾斜の大きい第2テーパ面とを有していることが好ましく、この場合、前記第1テーパ面は、テープ第1面側の一方の側面と、テープ第2面側の他方の側面とに配され、前記第2テーパ面は、テープ第1面側の他方の側面と、テープ第2面側の一方の側面とに配されていることが好ましい。
本発明に係るファスナーチェーンにおいて、前記磁性エレメントは、前記第1ファスナーテープに取着される第1磁性エレメントと、前記第2ファスナーテープに取着される第2磁性エレメントとを有し、前記第1磁性エレメントは、前記第1ファスナーテープのテープ第1面側にて、前記首部の前方又は後方の括れ部分へ張り出した第1張出部と、前記ファスナーテープのテープ第2面側にて、前記噛合頭部の後端側又は前端側に形成された第1段部とを有し、前記第2磁性エレメントは、前記第2ファスナーテープのテープ第2面側にて、前記首部の前方又は後方の括れ部分へ張り出した第2張出部と、前記第2ファスナーテープのテープ第1面側にて、前記噛合頭部の後端側又は前端側に形成された第2段部とを有していることが好ましい。
この場合、前記第2段部の底面におけるテープ表裏方向の高さ位置は、前記第2磁性エレメントにおけるテープ表裏方向の中心高さ位置、又は同中心高さ位置よりも前記噛合頭部におけるテープ表裏方向の高さ寸法が大きくなる位置に設定され、前記第2張出部の張り出し面におけるテープ表裏方向の高さ位置は、前記中心高さ位置、又は同中心高さ位置よりも前記第2張出部におけるテープ表裏方向の高さ寸法が高くなる位置に設定され、前記第1張出部の張り出し面及び前記第1段部の底面は、前記第1及び第2磁性エレメントが噛合したときに、前記第2段部の前記底面及び前記第2張出部の前記張り出し面にそれぞれ当接又は対面するように配されていることが好ましい。
特にこの場合、前記第2段部の前記底面と、前記第2張出部の前記張り出し面とが同じ高さ位置に配されていることが好ましい。
更に、前記第1磁性エレメントは、テープ第2面側に、前記噛合頭部におけるテープ表裏方向の高さを、同噛合頭部の前記首部側から頭部先端に向けて漸減させる先端側傾斜面を有し、前記第2磁性エレメントは、テープ第1面側に、前記噛合頭部におけるテープ表裏方向の高さを、同噛合頭部の前記首部側から頭部先端に向けて漸減させる先端側傾斜面を有していることが好ましい。
また、本発明によれば、前述の構成を有するファスナーチェーンから形成され、複数の前記磁性エレメントにより形成されるエレメント列の一端に上止が配され、同エレメント列の他端に下止が配されているファスナーが提供される。
この場合、前記上止及び/又は下止は、互いに隣接する前記磁性エレメントの前記脚部が連結部を介して連結されることにより、又は、互いに隣接する前記磁性エレメントの前記脚部間の間隔に、前記ファスナーテープのテープ表裏面に跨って止具形成部を取着することにより構成されていることが好ましい。
本発明に係るファスナーチェーンは、左右一対の第1及び第2ファスナーテープの対向するテープ側縁部に、テープ長さ方向に沿った磁力を有する複数の磁性エレメントがテープ表裏面に跨って列設されている。また、同磁性エレメントは、脚部と、テープ長さ方向の前後に括れた首部と、テープ長さ方向の前後へ膨大する噛合頭部とを備え、且つ、噛合頭部が、噛合相手側の互いに隣接する磁性エレメントの首部間にテープ表裏方向から磁力により嵌脱可能な寸法形状を有している。
また、同ファスナーチェーンにおいて、前記各磁性エレメントは、左右の前記磁性エレメントが噛合している状態から分離する際に、一方の磁性エレメントが、他方の前記磁性エレメントと干渉することを回避し、テープ幅方向に沿った軸を中心に回転することを許容する回転許容部を有し、その回転許容部は、前記各磁性エレメントのテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に配されている。
本発明者等は、磁力を利用して左右の磁性エレメントをより円滑に噛合させるためには、従来のように左右の磁性エレメントをテープ幅方向から順次噛合させるのではなく、テープ表裏方向から噛合させれば良いことを発想し、更に鋭意検討及び試作を繰り返すことにより本発明を完成させた。
即ち、本発明のように左右の磁性エレメントをテープ表裏方向から噛合・分離させるようにしてファスナーチェーンを構成した場合、磁性エレメントを噛合又は分離させるときに、ファスナーテープを、テープが曲がり難いテープ幅方向ではなく、テープが曲がり易いテープ表裏方向に屈曲させながら、磁性エレメントの噛合又は分離を行うことができる。従って、スライダーを使用しなくても、各磁性エレメントの磁力を利用することによって、左右の磁性エレメントを互いに円滑に係着させて噛合させることができ、また、噛合した磁性エレメントの分離も容易に行うことができる。
また、例えば左右のエレメントをテープ幅方向から係着させる従来のファスナーでは、エレメントを1つずつ左右交互に係着させなければならなかったが、本発明のように左右の磁性エレメントをテープ表裏方向から係着させることによって、一方のファスナーテープに配された隣接する2つ以上の磁性エレメントを(更には、一方のファスナーテープに配された全ての磁性エレメントを)、噛合相手側の磁性エレメントに対して同時に係着させることが可能となり、左右の磁性エレメントの係着を簡単に且つ迅速に行うことが可能となる。
なお、図28及び図29に示した前記特許文献2に係るファスナー90においては、同特許文献2に左右の磁性エレメント92,92’をテープ表裏方向から係着・分離させることについては何も記載されてなく、また、スライダー94を用いていることから、左右の磁性エレメント92,92’をテープ幅方向から係着・分離させるものであることは明らかであるものの、同ファスナー90の図28に示した磁性エレメント92,92’の形状を見る限り、これらの磁性エレメント92,92’は、テープ表裏方向から係着・分離させることが可能な形状寸法を有していると思われる。
しかしながら、例えば図28に示した左右の磁性エレメント92,92’を有し、且つ、スライダー94を備えてないファスナーチェーンを想定した場合、左右の磁性エレメント92,92’を磁力によってテープ表裏方向から係着させることは可能であるものの、噛合状態にある左右の磁性エレメント92,92’をテープ表裏方向へ分離させることが難しいという問題があった。
具体的に説明すると、例えば、噛合状態にある左右の磁性エレメント92,92’をテープ表裏方向に分離させる方法としては、一方のファスナーテープをテープ表裏方向に折り曲げつつ、同ファスナーテープに取着されている磁性エレメント92を1つずつ噛合相手側のエレメント列からテープ表裏方向に分離させる第1の方法と、一方のファスナーテープを平行に持ち上げて、同ファスナーテープに取着されている全ての磁性エレメント92を同時にテープ表裏方向に分離させる第2の方法の二通りがある。
例えば前者の第1の方法のように、一方のファスナーテープをテープ表裏方向に折り曲げつつ、同ファスナーテープに取着されている磁性エレメント92を1つずつテープ表裏方向へ分離させる場合、一方の磁性エレメント92を、同磁性エレメント92の上下方向の高さ中心線が他方のファスナーテープのテープ面に対して傾くように回転させながら、噛合相手側の磁性エレメント92’間からテープ表裏方向に抜脱させることが必要とされる。
しかしながら、図28に示した磁性エレメント92,92’の場合、左右の磁性エレメント92,92’が噛合しているときには、一方の磁性エレメント92と噛合相手側の他方の磁性エレメント92’の柱部96a,96a’同士が互いに面接触した状態又は近接した状態にある。
従って、一方の磁性エレメント92を上述のように回転させようとしても、他方の磁性エレメント92’に干渉するため、自由に回転させることができずに引っ掛かってしまい、一方の磁性エレメント92を噛合相手側のエレメント列から1つずつテープ表裏方向に抜脱させることができなかった。このため、左右の磁性エレメント92,92’が噛合している状態から、一方のファスナーテープをテープ表裏方向に折り曲げながら、同ファスナーテープに取着されている磁性エレメント92を1つずつテープ表裏方向へ分離させることはできなかった。
一方、後者の第2の方法のように、一方のファスナーテープを平行に持ち上げて、同ファスナーテープに取着されている全ての磁性エレメント92を、噛合相手側のエレメント列から同時にテープ表裏方向へ分離させる場合、互いに磁力で吸着している複数の磁性エレメント92,92’を一斉にテープ表裏方向の反対側に向けて移動させることが必要とされる。
しかしながら、このように複数の磁性エレメント92,92’を一斉に移動させて分離させる場合には、分離の際に極めて大きな力が必要となることや、ファスナーテープを剛体に形成すること等が求められるため、左右の磁性エレメント92,92’を容易に分離させることができないという問題があった。
即ち、図28に示した磁性エレメント92,92’を有する特許文献2のファスナー90の場合、スライダー94を用いなければ、左右の磁性エレメント92,92’を分離することが極めて困難となっていた。
これに対して、本発明に係るファスナーチェーンでは、前述のように、各磁性エレメントのテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に回転許容部が配されていることにより、左右の前記磁性エレメントが噛合・分離する際に、一方の磁性エレメントが他方の前記磁性エレメントと干渉することを回避でき、テープ幅方向に沿った軸を中心に回転することを可能としている。
従って、本発明のファスナーチェーンでは、一方のファスナーテープをテープ表裏方向に折り曲げることにより、同ファスナーテープに取着されている磁性エレメントを、同磁性エレメントの上下方向の高さ中心線が他方のファスナーテープのテープ面に対して傾くように回転しながら、噛合相手側の磁性エレメントと干渉させずに噛合相手側の磁性エレメント間からテープ表裏方向に容易に抜脱させることができ、それによって、左右の磁性エレメントを円滑に分離させることができる。
特に本発明では、前記回転許容部が、前記各磁性エレメントの前記噛合頭部及び前記首部におけるテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に配されたテーパ面又は湾曲面により構成されており、そのテーパ面又は湾曲面は、前記磁性エレメントのテープ長さ方向の寸法を、前記第1及び第2ファスナーテープのテープ表裏面から離れる方向に漸減させて形成されている。
このようなテーパ面又は湾曲面が各磁性エレメントの噛合頭部と首部とに配されていることにより、噛合している左右の前記磁性エレメントを分離させる際に、一方の磁性エレメントが他方の磁性エレメントと干渉することを確実に回避でき、左右の磁性エレメントを円滑に分離させることができる。更に、左右の磁性エレメントを磁力によってテープ表裏方向から吸引して噛合させる際には、一方の磁性エレメントの噛合頭部を、テーパ面又は湾曲面を介して他方の磁性エレメントの首部間に容易に誘い込んで、左右の磁性エレメントを更に円滑に且つ安定して噛合させることができる。
特にこの場合、各磁性エレメントのテーパ面又は湾曲面が、噛合頭部及び首部におけるテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面とに配されていることにより、左右の磁性エレメントを磁力によって噛合させるときに、一方の磁性エレメントの噛合頭部を、テーパ面又は湾曲面を介して他方の磁性エレメントの首部間に更に安定して案内することができ、磁性エレメントの噛合をより円滑に行うことができる。
また、噛合している左右の磁性エレメントを分離させる際にも、一方の磁性エレメントを他方の磁性エレメントに対して容易に回転させながら、左右の磁性エレメントを更に円滑に分離させることができる。その上、テーパ面又は湾曲面が、噛合頭部及び首部におけるテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面とに配されていれば、各磁性エレメントの見た目(外観品質)が良くなり、ファスナーの意匠性を向上させることができる。
このような本発明に係るファスナーチェーンにおいて、前記テーパ面は、第1テーパ面と、同第1テーパ面よりも傾斜の大きい第2テーパ面とを有している。特にこの場合、前記第1テーパ面は、テープ第1面側の一方の側面と、テープ第2面側の他方の側面とに配され、前記第2テーパ面は、テープ第1面側の他方の側面と、テープ第2面側の一方の側面とに配されている。これにより、左右の磁性エレメントを噛合させるときに、一方の磁性エレメントの噛合頭部を、他方の磁性エレメントの首部間に更に案内し易くすることができる。
また、本発明に係るファスナーチェーンにおいて、磁性エレメントが、第1ファスナーテープに取着される第1磁性エレメントと、第2ファスナーテープに取着される第2磁性エレメントとを有しており、第1磁性エレメントは、第1ファスナーテープのテープ第1面側にて、首部の前方又は後方の括れ部分へ張り出した第1張出部と、ファスナーテープのテープ第2面側にて、噛合頭部の後端側又は前端側に形成された第1段部とを有している。また、第2磁性エレメントは、第2ファスナーテープのテープ第2面側にて、首部の前方又は後方の括れ部分へ張り出した第2張出部と、第2ファスナーテープのテープ第1面側にて、噛合頭部の後端側又は前端側に形成された第2段部とを有している。
これにより、第1磁性エレメントを他方のファスナーテープのテープ第1面側から第2磁性エレメントに円滑に噛み合わせることができる。また、第1磁性エレメントと第2磁性エレメントとが噛合している状態のときには、第2磁性エレメントの第2張出部と第2段部とによって、第1磁性エレメントの第1段部と第1張出部とをそれぞれ支持できるため、例えば、第1磁性エレメントがテープ第1面側から押圧力(突き上げ力)を受けても、左右の磁性エレメントの噛合が外れることを防止できる。
更に、同ファスナーチェーンの場合、第1磁性エレメントの噛合頭部と第2磁性エレメントの噛合頭部とが、テープ長さ方向に沿ってテープ第1面側とテープ第2面側とで交互に噛み合わされる。このため、第1磁性エレメントのエレメント列と第2磁性エレメントのエレメント列とを、テープ表裏方向についてバランス良く噛合させることができる。
この場合、第2段部の底面における高さ位置は、第2磁性エレメントの中心高さ位置、又は同中心高さ位置よりも噛合頭部における高さ寸法が大きくなる位置に設定されている。また、第2張出部の張り出し面における高さ位置は、前記中心高さ位置、又は同中心高さ位置よりも第2張出部における高さ寸法が高くなる位置に設定されている。更に、第1張出部の張り出し面及び第1段部の底面は、第1及び第2磁性エレメントが噛合したときに、第2段部の底面及び第2張出部の張り出し面に対して、それぞれ当接又は対面するように配されている。
これにより、第1磁性エレメントの第1張出部及び第1段部、並びに、第2磁性エレメントの第2段部及び第2張出部を容易に形成することができ、また、第1磁性エレメントと第2磁性エレメントとを互いに干渉させることなく、より円滑に噛合・分離させることができる。その上、第1及び第2磁性エレメントが噛合している状態にて、ファスナーチェーンのテープ表裏方向への屈曲性を容易に確保することができる。
更にこの場合、第2段部の底面と、第2張出部の張り出し面とが同じ高さ位置に配されていることにより、第1段部及び第1張出部を、第2張出部及び第2段部にて安定して支持することができる。特に、第2段部の底面及び第2張出部の張り出し面における高さ位置が前記中心高さ位置に配されており、且つ、第1張出部の張り出し面及び第1段部の底面が第2段部の底面及び第2張出部の張り出し面に当接するように配されていれば、第1段部及び第1張出部をより安定して支持できる。またこの場合、第1及び第2磁性エレメントが対称的な形状を有するため、ファスナーチェーンの外観品質を向上させることができる。
本発明に係るファスナーチェーンにおいて、第1磁性エレメントは、テープ第2面側に、噛合頭部におけるテープ表裏方向の高さを、同噛合頭部の首部側から頭部先端に向けて漸減させる先端側傾斜面を有している。また、第2磁性エレメントは、テープ第1面側に、噛合頭部におけるテープ表裏方向の高さを、同噛合頭部の首部側から頭部先端に向けて漸減させる先端側傾斜面を有している。これにより、第1及び第2磁性エレメントがテープ幅方向から互いに当接したときに、第2磁性エレメントに対して、第1磁性エレメントを傾斜面に沿って相対的に第2ファスナーテープのテープ第1面側へ移動させて、第1及び第2磁性エレメントをテープ表裏方向から噛合させることができる。
そして、本発明によれば、前述の構成を有するファスナーチェーンから形成され、複数の磁性エレメントにより形成されるエレメント列の一端に上止が配され、同エレメント列の他端に下止が配されているファスナーが提供される。
このような本発明のファスナーであれば、各磁性エレメントの磁力を利用することによって、左右の磁性エレメントを円滑に、且つ簡単に噛合させることができ、また、噛合状態にある左右の磁性エレメントを容易に分離させることができる。
この場合、前記上止及び/又は下止は、互いに隣接する磁性エレメントの脚部が連結部を介して連結されることにより、又は、互いに隣接する磁性エレメントの脚部間の間隔に、ファスナーテープのテープ表裏面に跨って止具形成部を取着することにより構成されている。これにより、左右の磁性エレメントが噛合状態にあるときに、ファスナーが横引き力を受けても、エレメント列が上止側及び/又は下止側から左右に分離することを効果的に防止することができる。
図1は、本発明の実施例1に係るファスナーを示す正面図である。 図2は、同ファスナーの第1磁性エレメントを示す斜視図である。 図3は、同ファスナーの第2磁性エレメントを示す斜視図である。 図4は、同ファスナーの上止を示す正面図である。 図5は、同ファスナーが分離した状態を示す正面図である。 図6は、同ファスナーの第1磁性エレメントと第2磁性エレメントとが噛合する前の状態を示す断面図である。 図7は、図6に示したVII−VII線断面図である。 図8は、図6に示したVIII−VIII線断面図である。 図9は、同ファスナーが閉鎖した状態を示す正面図である。 図10は、図9に示したX−X線断面図である。 図11は、図9に示したXI−XI線断面図である。 図12は、第1磁性エレメントが第2磁性エレメントから分離するときの状態を示す断面図である。 図13は、同ファスナーの使用例を説明する説明図である。 図14は、同ファスナーの別の使用例を説明する説明図である。 図15は、同ファスナーの更に別の使用例を説明する説明図である。 図16は、上止の変形例を示す正面図である。 図17は、下止の変形例を示す斜視図である。 図18は、下止の別の変形例を示す斜視図である。 図19は、同下止の第1開具を示す斜視図である。 図20は、同下止の第2開具を示す斜視図である。 図21は、第1及び第2磁性エレメントの変形例を示す断面図である。 図22は、第1及び第2磁性エレメントの変形例を示す断面図である。 図23は、本発明の実施例2に係るファスナーの第2磁性エレメントを示す斜視図である。 図24は、同ファスナーの第1磁性エレメントと第2磁性エレメントとを噛合させる前の状態を示す断面図である。 図25は、同ファスナーの第1磁性エレメントと第2磁性エレメントとを噛合させるときの状態を示す断面図である。 図26は、本発明の実施例3に係るファスナーの第2磁性エレメントを示す正面図である。 図27は、従来の磁性エレメントを示す斜視図である。 図28は、従来の別の磁性エレメントを示す斜視図である。 図29は、同磁性エレメントを有するファスナーを示す斜視図である。
符号の説明
1 ファスナーテープ
1a 第1ファスナーテープ
1b 第2ファスナーテープ
2 ファスナーチェーン
3 芯紐部
10,10’ ファスナー
11,11’ 第1磁性エレメント
11″ 第1磁性エレメント
11a 第1エレメント列
12 第1脚部
13 第1首部
14,14’ 第1噛合頭部
15,15″ 第1張出部
15a,15a″ 張り出し面
16,16″ 第1段部
16a,16a″ 底面
17a 第1テーパ面
17b 第2テーパ面
17c 第3テーパ面
18 第1先端側傾斜面
21,21’ 第2磁性エレメント
21″ 第2磁性エレメント
21a 第2エレメント列
22 第2脚部
23 第2首部
24,24’ 第2噛合頭部
25,25″ 第2張出部
25a,25a″ 張り出し面
26,26″ 第2段部
26a,26a″ 底面
27a 第1テーパ面
27b 第2テーパ面
27c 第3テーパ面
28 第2先端側傾斜面
31 上止
31a 連結部
32 下止
41 鞄
42 収納部
45 剛体ボックス
45a ボックス壁部
45b 折り曲げ部
47 テント
47a 入口カバー
47b テント本体
51 上止
51a 止具形成部
52 下止
53 蝶棒
54 箱体
54a テープ挟持部
54b 箱部
54c 嵌入孔
62 下止
63 第1開具
63a 第1テープ挟持部
63b 第1開具本体
63c 凹部
63d 凸部
64 第2開具
64a 第2テープ挟持部
64b 第2開具本体
64c 凸部
64d 凹部
71 第2磁性エレメント
以下、本発明の実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施例に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
図1は、本実施例1に係るファスナーを示す正面図である。図2は、同ファスナーの第1磁性エレメントを示す斜視図であり、図3は、同ファスナーの第2磁性エレメントを示す斜視図である。また、図4は、同ファスナーの上止を示す正面図である。
なお、本実施例1並びに後述する実施例2及び3では、ファスナーテープのテープ長さ方向を前後方向とし(上止が配されている側の方向を前方、下止が配されている側の方向を後方とする)、テープ幅方向を左右方向とし(第1磁性エレメントが配されている側の方向を左方、第2磁性エレメントが配されている側の方向を右方とする)、テープ表裏方向を上下方向として(第2磁性エレメントに対して第1磁性エレメントを噛合・分離させる側の方向を上方、その反対側の方向を下方とする)、説明を行うこととする。
本実施例1のファスナー10は、左右一対のファスナーテープ1の対向するテープ側縁部に磁性エレメント11,21が固着されたファスナーチェーン2に、上止31と下止32とが設けられて構成されている。
前記ファスナーテープ1は、正面から見たときに左側に配される第1ファスナーテープ1aと、右側に配される第2ファスナーテープ1bとを備えており、第1及び第2ファスナーテープ1a,1bは、それぞれ対向するテープ側縁に芯紐部3を有している。また、第1及び第2ファスナーテープ1a,1bには、芯紐部3を含むテープ側縁部に沿って複数の磁性エレメント11,21が所定のピッチで離間して列設されて、エレメント列11a,21aが形成されている。この場合、磁性エレメント11,21は、第1ファスナーテープ1aに取着される第1磁性エレメント11と、第2ファスナーテープ1bに取着される第2磁性エレメント21とを有している。
本実施例1において、第1及び第2磁性エレメント11,21と前記上止31及び下止32とは、酸化鉄又はネオジウムを含む磁性材料と、ナイロン等の合成樹脂とが混合された成形材料を、ファスナーテープ1のテープ表裏面に跨るように射出成形することによって所定の形状に成形されている。更に、所定の形状に成形された第1及び第2磁性エレメント11,21と上止31及び下止32とには、アルミ蒸着等の表面処理や塗装処理、鍍金などが順次施され、その後、第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21を噛合させた状態で強い磁界の中で着磁することによって形成されている。
本実施例1の第1磁性エレメント11は、第1ファスナーテープ1aのテープ表裏面に跨って固着されており、また、第1ファスナーテープ1aのテープ端縁部に固着した第1脚部12と、同第1脚部12から左右方向(テープ幅方向)に沿ってテープ外方に延在するとともに前後に括れた形状を有する第1首部13と、同第1首部13の先端から左右方向にテープ外方へ延在し、前後へ膨大する第1噛合頭部14とを有している。
また、各第1磁性エレメント11には、テープ長さ方向に沿って同一方向の磁極がエレメント全体に付与されており、本実施例1の場合は、各第1磁性エレメント11の前方側がN極、後方側がS極となるように着磁されている。この場合、第1磁性エレメント11の第1脚部12は、第1磁性エレメント11に付与した磁極の方向が判るように、テープ幅方向に対して前方側に傾斜した状態に配されている。
この第1磁性エレメント11には、第1首部13の前方の括れ部分に張り出す第1張出部15が、第1ファスナーテープ1aのテープ上面側に、即ち、第1磁性エレメント11の上下方向の中心高さ位置から上方側に配されている。また、第1噛合頭部14の後端側を切り欠いて形成した第1段部16が、第1ファスナーテープ1aのテープ下面側に、即ち、第1磁性エレメント11の上下方向の中心高さ位置から下方側に配されている。特に、本実施例1の場合、第1張出部15の下端面となる張り出し面15aと第1段部16の底面16a(切欠かれた第1噛合頭部14の下端面)は、第1磁性エレメント11の上下方向の中心高さ位置に配され、テープ表裏方向に直交する平坦面に形成されている。
また、第1磁性エレメント11におけるテープ表面側(テープ第1面側)の前後側面とテープ裏面側(テープ第2面側)の前後側面とには、第1脚部12から第1噛合頭部14にかけて第1テーパ面(傾斜面)17aが形成されており、同第1テーパ面17aは、第1磁性エレメント11のテープ長さ方向の寸法を、第1ファスナーテープ1aのテープ表裏面から離れる方向(言い換えると、第1磁性エレメント11の上下方向の中心高さ位置から上方及び下方)に向けて漸減させるように配されている。
つまり、第1磁性エレメント11のテープ長さ方向の寸法は、第1磁性エレメント11の上面側及び下面側より、第1ファスナーテープ1a側の方が大きく設定されている。なお、ここで、第1磁性エレメント11の前端面とは、第1磁性エレメント11のテープ長手方向中央よりも前側に、第1ファスナーテープ1aの平面(テープ面)に対して起立するように形成された面であり、また、第1磁性エレメント11の後端面とは、第1磁性エレメント11のテープ長手方向中央よりも後ろ側に、第1ファスナーテープ1aの平面(テープ面)に対して起立するように形成された面である。
更に、第1張出部15の上面側(テープ表面側)の前側面と、第1噛合頭部14の第1段部16が形成されている下面側(テープ裏面側)の後側面とには、第1テーパ面17aよりもテープ長さ方向に対する傾斜角度が大きい第2テーパ面(傾斜面)17bが形成されている。
更にまた、第1磁性エレメント11の第1脚部12には、テープ内方側端縁に向けて第1磁性エレメント11の上下方向の高さ寸法を漸減させる第3テーパ面(傾斜面)17cが形成されている。
本実施例1の第2磁性エレメント21は、第2ファスナーテープ1bのテープ表裏面に跨って固着されており、また、テープ長手方向に延びる軸線に対し、第1磁性エレメント11と線対称となる形態を有している。即ち、同第2磁性エレメント21は、第2ファスナーテープ1bのテープ端縁部に固着した第2脚部22と、同第2脚部22から左右方向に沿ってテープ外方に延在する第2首部23と、同第2首部23の先端から左右方向にテープ外方へ延在する第2噛合頭部24とを有している。
また、各第2磁性エレメント21には、第1磁性エレメント11と同じ方向の磁極、即ち、各第2磁性エレメント21の前方側がN極、後方側がS極となる磁極がエレメント全体に付与されており、更に、第2磁性エレメント21の第2脚部22は、同第2磁性エレメント21の磁極の方向が判るように、テープ幅方向に対して前方側に傾斜した状態で配されている。
この場合、第1磁性エレメント11の第1噛合頭部14及び第1首部13、並びに第2磁性エレメント21の第2噛合頭部24及び第2首部23は、第1磁性エレメント11の第1噛合頭部14が、互いに隣接する第2磁性エレメント21の第2首部23間にテープ表裏方向から嵌脱可能で、且つ、第2磁性エレメント21の第2噛合頭部24が、互いに隣接する第1磁性エレメント11の第1首部13間にテープ表裏方向から嵌脱可能な寸法形状に設定されている。
この第2磁性エレメント21には、第2首部23の前方の括れ部分に張り出す第2張出部25が、第2ファスナーテープ1bのテープ下面側に、即ち、第2磁性エレメント21の上下方向の中心高さ位置から下方側に配されている。また、第2噛合頭部24の後端側を切り欠いて形成した第2段部26が、第2ファスナーテープ1bのテープ上面側に、即ち、第2磁性エレメント21の上下方向の中心高さ位置から上方側に配されている。この場合、第2張出部25の上端面となる張り出し面25a、及び第2段部26の底面26a(切欠かれた第2噛合頭部24の上端面)は、第2磁性エレメント21の上下方向の中心高さ位置に配され、テープ表裏方向に直交する平坦面に形成されている。
また、第2磁性エレメント21におけるテープ表面側の前後側面とテープ裏面側の前後側面とには、第2脚部22から第2噛合頭部24にかけて第1テーパ面(傾斜面)27aが形成されており、同第1テーパ面27aは、第2磁性エレメント21のテープ長さ方向の寸法を、テープ表裏面から離れる方向に向けて漸減させるように配されている。
更に、第2張出部25の下面側の前側面と、第2噛合頭部24の第2段部26が形成されている上面側の後側面とには、第1テーパ面27aよりもテープ長さ方向に対する傾斜角度が大きい第2テーパ面(傾斜面)27bが形成されている。更にまた、第2磁性エレメント21の第2脚部22には、テープ内方側端縁に向けて第2磁性エレメント21の上下方向の高さ寸法を漸減させる第3テーパ面(傾斜面)27cが形成されている。
なお、本発明では、第1及び第2磁性エレメント11,21の第1及び第2噛合頭部14,24及び第1及び第2首部13,23におけるテープ表面側の前後側面と、テープ裏面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に、第1テーパ面17a,27a又は第2テーパ面17b,27bを有していれば良い。
つまり、後述するように本実施例1のファスナーは、第1エレメント列11aを第2エレメント列21aの上方側から接近させることによって、第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21とが磁力によって吸着して噛み合う。このため、第1磁性エレメント11の第1テーパ面17a及び第2テーパ面17bは、第1ファスナーテープ1aの下方側(テープ裏面側)に配され、第2磁性エレメント21の第1テーパ面27a及び第2テーパ面27bは、第2ファスナーテープ1bの上方側(テープ表面側)に配されていれば良い。
しかし、本実施例1のように第1及び第2磁性エレメント11,21のテープ表裏面側の前後側面に、第1テーパ面17a,27a又は第2テーパ面17b,27bが第1及び第2噛合頭部14,24から第1及び第2脚部12,22に渡って連続的に形成されていることによって、第1及び第2磁性エレメント11,21の見た目を良くすることができる。
更に、本発明では、第1及び第2磁性エレメント11,21に、上述のように傾斜した第1テーパ面17a,27a〜第3テーパ面17c,27cを形成する代わりに、それらのテーパ面と同じように第1及び第2磁性エレメント11,21のテープ長さ方向の寸法又はテープ表裏方向の寸法を漸減させるように湾曲した第1湾曲面〜第3湾曲面を形成することも可能である。
本実施例1の前記上止31は、図1に示したように、第1磁性エレメント11のエレメント列11a(以下、第1エレメント列11aと記す)の前端に配されており、前記下止32は、第2磁性エレメント21のエレメント列21a(以下、第2エレメント列21aと記す)の後端に配されている。また、上止31は、図4に上止31の拡大図を示したように、互いに隣接する2つの第1磁性エレメント11の第1脚部12を、連結部31aを介して一体的に連結した形状を有しており、下止32は、互いに隣接する2つの第2磁性エレメント21の第2脚部22を、連結部を介して一体的に連結した形状を有している。
このような本実施例1のファスナー10において、第1ファスナーテープ1aに形成された第1エレメント列11aと、第2ファスナーテープ1bに形成された第2エレメント列21aとを噛合させるためには、図6〜図8に示したように、第1磁性エレメント11を、第2エレメント列21aの上方側から、第2磁性エレメント21に噛み合わせるように接近させる。
これによって、第1磁性エレメント11が有する磁力と第2磁性エレメント21が有する磁力とにより第1及び第2磁性エレメント11,21が互いに引き付けあって、第1磁性エレメント11の第1噛合頭部14が、互いに隣接する第2磁性エレメント21の第2首部23間に案内されてテープ表裏方向の上方から嵌着する(図7を参照)。また同時に、第2磁性エレメント21の第2噛合頭部24が、互いに隣接する第1磁性エレメント11の第1首部13間に案内されてテープ表裏方向から嵌着する(図8を参照)。
このとき、第1及び第2磁性エレメント11,21の前後側面のテープ表面側(テープ第1面側)とテープ裏面側(テープ第2面側)とには第1テーパ面17a,27aが形成されており、更に、第1及び第2磁性エレメント11,21の第1及び第2段部16,26が形成されている側面には、第1テーパ面17a,27aよりも傾斜角度が大きい第2テーパ面17b,27bが形成されている。
より具体的に説明すると、第1磁性エレメント11の第1テーパ面17aは、第1ファスナーテープ1aの上方側の前側面(上止側の側面)及び後側面(下止側の側面)と、下方側の前側面及び後側面とに形成されている。この第1テーパ面17aより傾斜角度の大きい第2テーパ面17bは、第1ファスナーテープ1aの上方側の前側面と、下方側の後側面とに形成されている。特に、これらの第2テーパ面17bは、テープ幅方向(左右方向)について、第1脚部12よりも第1噛合頭部14側に形成され、また、テープ表裏方向(上下方向)について、第1磁性エレメント11の上下表面側から上下方向中央付近まで形成されている。
第2磁性エレメント21の第1テーパ面27aは、第2ファスナーテープ1bの上方側の前側面(上止側の側面)及び後側面(下止側の側面)と、下方側の前側面及び後側面とに形成されている。この第1テーパ面27aより傾斜角度の大きい第2テーパ面27bは、第2ファスナーテープ1bの上方側の後側面と、下方側の前側面とに形成されている。特に、これらの第2テーパ面27bは、テープ幅方向(左右方向)について、第2脚部22よりも噛合頭部24側に形成され、また、テープ表裏方向(上下方向)について、第2磁性エレメント21の上下表面側から上下方向中央付近まで形成されている。
従って、第1磁性エレメント11が磁力によって第2磁性エレメント21の上方側(テープ表面側)から噛合する際に、第1テーパ面17a,27a及び第2テーパ面17b,27bを介して、第1磁性エレメント11の第1噛合頭部14を、隣り合う2つの第2磁性エレメント21の第2首部23間に案内して容易に誘い込むことができる。それとともに、第2磁性エレメント21の第2噛合頭部24も、隣り合う2つの第1磁性エレメント11の第1首部13間に案内して容易に誘い込むことができる。更にこのとき、第1及び第2磁性エレメント11,21の各噛合頭部14,24を、例えばテープ表裏方向に対して前方又は後方に傾斜した角度からでも、噛合相手側の首部23、13間に円滑に誘い込むことができる。
また本実施例1では、第1磁性エレメント11における第1ファスナーテープ1aの下方側の第2テーパ面17bが、同第1磁性エレメント11の後側面(下止側の側面)に形成されており、第2磁性エレメント21における第2ファスナーテープ1bの上方側の第2テーパ面27bが、同第2磁性エレメント21の後側面(下止側の側面)に形成されている。
このように、左右の第1及び第2磁性エレメント11,21を噛み合わせる際に、傾斜角度の大きい第2テーパ面17b,27bがそれぞれの磁性エレメント11,21の誘い込み側に形成されていることにより、それぞれの噛合頭部14,24を、噛合相手側の首部23、13間に円滑に誘い込むことができる。
これにより、第1及び第2磁性エレメント11,21の各噛合頭部14,24を噛合相手側の磁性エレメント21,11の首部23,13間に嵌着させて、第1及び第2磁性エレメント11,21を、図1及び図9に示したように、上下方向の同じ高さ位置にて、円滑に且つ安定して噛合させることができる。
なお、本実施例1のファスナー10では、第1エレメント列11aと第2エレメント列21aの相対的な位置がテープ長さ方向にずれていても(即ち、上止31の位置と、第2エレメント列21aの前端に配された第2磁性エレメント21の位置とがテープ長さ方向にずれていても)、第1及び第2磁性エレメント11,21の磁力によって、各磁性エレメント11,21の噛合頭部14,24を噛合相手側の磁性エレメント21,11の首部23,13間に案内して、第1及び第2磁性エレメント11,21を容易に噛合させることができる。
また、第1及び第2磁性エレメント11,21が噛合したときに、第1及び第2磁性エレメント11,21の磁力と、第1磁性エレメント11の第1張出部15の張り出し面15a及び第1段部16の底面16aが、図10及び図11に示したように第2磁性エレメント21の第2段部26の底面26a及び第2張出部25の張り出し面25aに当接する。これによって、第1及び第2磁性エレメント11,21の噛合状態を安定させることができる。
この場合、本実施例1のファスナー10は、第1及び第2磁性エレメント11,21の各噛合頭部14,24が噛合相手側の磁性エレメント21,11の首部23,13間に嵌着しているため、横引き強度に優れている。このため、左右のファスナーテープ1が横引き力を受けてテープ幅方向の外側に向けて引っ張られても、第1及び第2磁性エレメント11,21の噛合状態を安定して維持することができる。
また、同ファスナー10は、第1及び第2磁性エレメント11,21に第1テーパ面17a,27a及び第2テーパ面17b,27bが設けられていることにより、第1及び第2磁性エレメント11,21が噛合している状態にあってもファスナー10をテープ表裏方向に容易に折り曲げることができ、屈曲性に優れている。
更に、同ファスナー10では、第1エレメント列11aの前端に上止31が配され、第2エレメント列21aの後端に下止32が配されている。このため、第1及び第2エレメント列11a,21aが噛み合わされている状態で横引き力を受けたときに、上止31が配されている第1エレメント列11aの前端側や、下止32が配されている第2エレメント列21aの後端側から、所謂噛合割れが生じることを効果的に防止でき、第1及び第2磁性エレメント11,21の噛合状態をより安定して維持することができる。
つまり、上止31や下止32が配されていない場合に、第1及び第2ファスナーテープ1a,1bの端部側付近で横引き力を受けると、第1及び第2エレメント列11a,21aの端部に配された第1磁性エレメント11及び/又は第2磁性エレメント21が、第1及び第2ファスナーテープ1a,1bのテープ面上を、磁性エレメント11,21同士の噛み合いを外す方向に回転するように動いてしまう。これにより、第1及び第2エレメント列11a,21aの端部に配された第1及び第2磁性エレメント11,21から順番に噛み合いが外れていき、左右の第1及び第2ファスナーテープ1a,1bが正面視にてY字状を呈するように、第1及び第2エレメント列11a,21aが一方の端部側から徐々に分離することがある。
しかし、上述のように上止31及び下止32が配されていることによって、エレメント列11a,21aの端部に配された第1磁性エレメント11及び/又は第2磁性エレメント21が上述のように回転するように動くことを防ぎ、第1及び第2エレメント列11a,21aが一方の端部側から分離することを効果的に防止できる。
次に、本実施例1のファスナー10において、第1及び第2磁性エレメント11,21を噛合している状態から分離する方法について説明する。
本実施例1のファスナー10では、例えば第1ファスナーテープ1aが剛体で構成されている場合であれば、第1ファスナーテープ1aを第2ファスナーテープ1bに対して上方へ平行に持ち上げることによって、第1ファスナーテープ1aに取着されている全ての第1磁性エレメント11が、第2磁性エレメント21の上方へ向けて同時に持ち上げられる。このため、同第1磁性エレメント11を第2磁性エレメント21から抜脱させて、噛合状態にある第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21とを分離することが可能である。
またその他に、本実施例1のファスナー10では、図12に示したように、第1ファスナーテープ1aをテープ後端側又はテープ前端側からテープ表面側(上方側)に折り曲げることによって、同第1ファスナーテープ1aに取着されている第1磁性エレメント11を、その第1ファスナーテープ1aの動きに従って、1つずつ第2磁性エレメント21の上方に持ち上げて、同第1磁性エレメント11を第2磁性エレメント21から抜脱させることができる。
この場合、各第1磁性エレメント11は、同第1磁性エレメント11の上下方向における高さ中心線が第2ファスナーテープ1bのテープ面に対して傾くように回転しながら、第2磁性エレメント21間から上方に持ち上げられる。その際に、本実施例1のファスナー10では、第1及び第2磁性エレメント11,21のテープ表裏面側の前後側面に、第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21との干渉を回避する回転許容部として、第1テーパ面17a,27aや第2テーパ面17b,27bが形成されている。このため、第1磁性エレメント11を、噛合相手側の第2磁性エレメント21に干渉させることなく、テープ幅方向に沿った軸を中心に円滑に回転させながら、第2磁性エレメント21から容易に抜脱させることができる。
このように第1磁性エレメント11がテープ幅方向に沿った軸を中心に回転して抜脱する場合、第1磁性エレメント11の後側面が、第2磁性エレメント21の間から抜け出て、その後、第1磁性エレメント11の前側面が、第2磁性エレメント21の間から抜け出る。なお、例えば上述の動きとは反対の動きで、第1磁性エレメント11を1つずつ第2磁性エレメント21に噛み合わせることができる。
即ち、本実施例1のファスナー10では、第1ファスナーテープ1aをテープ前端側又はテープ後端側から上方に折り曲げることにより、第1磁性エレメント11を上述のように回転させながら第2磁性エレメント21の上方に持ち上げて、同第1磁性エレメント11を1つずつ円滑に抜脱させることができる。このため、同第1磁性エレメント11を、軽い力で第2磁性エレメント21から容易に且つ円滑に分離することができる。
特に本実施例1のファスナー10では、図9などに示したように、第1磁性エレメント11の第1噛合頭部14から第1脚部12に渡る前端縁が、テープ幅方向と平行に配されており、同前端縁と、噛合相手側の第2磁性エレメント21の第2噛合頭部24から第2脚部22に渡る後端部とが対向するように配されている。このため、第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21を分離する際に、第1ファスナーテープ1aをテープ前端側から上方に折り曲げるよりも、テープ後端側から上方に折り曲げて第1磁性エレメント11を第2磁性エレメント21から抜脱させる方が、それぞれの接触面が真直ぐであるために第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21とが引っ掛かり難く、第1磁性エレメント11をより円滑に分離させることができる。
以上のように、本実施例1のファスナー10は、スライダーを使用することなく、磁力を利用して、第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21を円滑に且つ安定して噛合させることができ、また、噛合状態にある第1及び第2磁性エレメント11,21を、第1ファスナーテープ1aをテープ前端側又はテープ後端側から上方に折り曲げることによって、容易に且つ円滑に分離させることができる。また、同ファスナー10は、屈曲性にも優れている。
このような第1及び第2磁性エレメント11,21の噛合と分離を円滑に行うことができる本実施例1のファスナー10は、鞄類、箱類、又はテントなどの製品に好適に使用することができる。例えば図13に同ファスナー10の使用例を示したように、本実施例1のファスナー10を、ツールバッグなどの鞄41と、同鞄41に取着可能なポケットなどの収納部42とを連結する連結部分に使用することによって、収納部42を容易に着脱させることが可能となる。
また、図14に本実施例1のファスナー10の別の使用例を示したように、同ファスナー10を、剛体ボックス45に使用することによって、同剛体ボックス45の組み立てと分解とを自由に行うことが可能となる。この場合、剛体ボックス45は、上下、前後、及び左右の各面を形成するボックス壁部45aで囲まれることにより構成されている。
また、左右側面に配されるボックス壁部45aと、上面に配される蓋状のボックス壁部45aの側縁からは折り曲げ部45bが延設されており、この折り曲げ部45bに第1磁性エレメント11を有する第1ファスナーテープ1aが取着されている。また、折り曲げ部45bが折り曲げられたときに、同折り曲げ部45bが当接する他のボックス壁部45a表面に、第2磁性エレメント21を有する第2ファスナーテープ1bが取着されている。
なお、この場合、ボックス壁部45a及び折り曲げ部45bに、第1及び第2磁性エレメント11,21を有する第1及び第2ファスナーテープ1a,1bを取り付けるのではなく、ボックス壁部45a及び折り曲げ部45b自体に、第1及び第2磁性エレメント11,21を列状に直接取り付けても良い。
本実施例1のファスナー10の更に別の使用例として、図15に示したようなテント47が挙げられる。このテント47は、入口カバー47aのテント外側から見て右側に配される側縁(右側縁)に沿って、第1磁性エレメント11を有する第1ファスナーテープ1aが取着され、テント本体47bの入口周縁部の右側縁に沿って、第2磁性エレメント21を有する第2ファスナーテープ1bが取着されている。
また、入口カバー47aの左側縁と下側縁に沿って、第1磁性エレメント11と面対象となる磁性エレメントを有するファスナーテープが取着されており、テント本体47bの入口周縁部の左側縁と下側縁に沿って、第2磁性エレメント21と面対象となる磁性エレメントを有するファスナーテープが取着されている。なお、図15では、入口カバー47aに取着される磁性エレメントを第1磁性エレメント11とし、テント本体47bに取着される磁性エレメントを第2磁性エレメント21として表している。
前述のように、入口カバー47aの左側縁及び下側縁に取着される第1磁性エレメントは、入口カバー47aの右側縁に取着される第1磁性エレメント11に対して面対称の関係にあり、同第1磁性エレメントが有する第1張出部15の張り出し面15aと第1段部16の底面16aとは、下方に面するように形成されている。
また同様に、テント本体47bの入口周縁部の左側縁及び下側縁に取着される第2磁性エレメントは、同入口周縁部の右側縁に取着される第2磁性エレメント21に対して面対称の関係にあり、同第2磁性エレメントが有する第2張出部25の張り出し面25aと第2段部26の底面26aとは、上方に面するように形成されている。
これにより、同テント47は、外側に開く入口カバー47aを容易に開閉することができ、また、入口カバー47aが閉鎖されているときには、同入口カバー47aがテント外側からテント内側に向かう力を受けても開くことはなく、その閉鎖状態を安定して維持することができる。
また、入口カバー47aを開ける場合には、図12に示したように第1磁性エレメント11を1つずつ第2磁性エレメント21から抜脱させることにより、入口カバー47aをその下側縁側から容易に開けることができる。更に、図15に示したテント47の場合、入口カバー47aの上側縁がテント本体47bに接続されているため、入口カバー47a及びテント本体47bの入口周縁部の左右側縁の下端に、前述の下止32が配されていれば、入口カバー47aの閉鎖状態をより安定して維持することができる。
なお、本実施例1のファスナー10では、図1及び図4に示したような上止31及び/又は下止32を設ける代わりに、図16に示したような上止51や、同上止51の線対称となる形態を有する図示しない下止とを設けることができる。この図16に示した上止51は、2つの隣接する第1磁性エレメント11と、同第1磁性エレメント11の第1脚部12間の間隔に、テープ表裏面に跨って配された止具形成部51aとにより構成されている。
このような上止51であっても、同上止51に第2ファスナーテープ1bに配された第2磁性エレメント21を安定して嵌着させることができる。また、第1エレメント列11aと第2エレメント列21aとが噛み合わされている状態で横引き力を受けても、上止31が配されている第1エレメント列11aの前端側から噛合割れが生じることを効果的に防止することができる。
またその他に、本実施例1のファスナー10では、前述の下止32に代えて、例えば図17に示したような下止52や、図18に示したような下止62を用いることができる。
図17に示した下止52は、第1エレメント列11a後端の第1磁性エレメント11から連続的に形成された蝶棒53と、第2エレメント列21a後端の第2磁性エレメント21から連続的に形成された箱体54とを有している。
この場合、蝶棒53は、第1ファスナーテープ1aの表裏面に跨って、直方体状に形成されている。箱体54は、第2ファスナーテープ1bのテープ表裏面に跨って固着されており、この箱体54は、第2磁性エレメント21に連結するテープ挟持部54aと、同テープ挟持部54aの後端に配された箱部54bとを有しており、同箱部54bには、前面側から蝶棒53を嵌入することが可能な嵌入孔54cが形成されている。
なお、この嵌入孔54cは、蝶棒53をテープ表裏方向から嵌入することが可能なように、嵌入孔54cに蝶棒53が嵌入したときに同蝶棒53の上面側及び下面側に所定のクリアランスが形成されるような寸法形状で形成されている。
このような下止52を有することにより、第1エレメント列11aと第2エレメント列21aとを噛み合わせる際に、第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21のテープ長さ方向における噛み合わせ位置を安定させることができる。更に、第1エレメント列11aと第2エレメント列21aとが噛み合わされている状態で横引き力を受けても、第1及び第2エレメント列11a,21aの下止52が配されている後端側から、噛合割れが生じることを効果的に防止することができる。
一方、図18に示した下止62は、図19に示した第1開具63と、図20に示した第2開具64とを有している。
この場合、第1開具63は、第1ファスナーテープ1aに固着するとともに、第1エレメント列11aの後端に配された第1磁性エレメント11に連結する第1テープ挟持部63aと、同第1テープ挟持部63aの後端に配された円板状の第1開具本体63bとを有しており、同第1開具本体63bの裏面側には、第2開具64の後述する凸部64cを嵌着可能な凹部63cと、第2開具64の後述する凹部64dを嵌着可能な凸部63dとが形成されている。
第2開具64は、第2ファスナーテープ1bに固着するとともに、第2エレメント列21aの後端に配された第2磁性エレメント21に連結する第2テープ挟持部64aと、同第2テープ挟持部64aの後端に配された円板状の第2開具本体64bとを有しており、同第2開具本体64bの裏面側には、第1開具63の凹部63cに嵌着可能な凸部64cと、第1開具63の凸部63dに嵌着可能な凹部64dとが形成されている。
また、第1開具本体63bと第2開具本体64bとには、テープ表裏方向に互いに吸着する磁力が付与されている。また、第1開具本体63bの凹部63cと第2開具本体64bの凸部64cとは、第1開具本体63bと第2開具本体64bとが吸着したときに、第1及び第2開具本体63b,64bが左右方向(テープ幅方向)へ相対的に移動することを規制する規制部を構成している。
このような下止62を有することにより、第1エレメント列11aと第2エレメント列21aとを噛み合わせる際に、第1磁性エレメント11と第2磁性エレメント21のテープ長さ方向における噛み合わせ位置を安定させることができる。更に、第1エレメント列11aと第2エレメント列21aとが噛み合わされている状態で横引き力を受けても、凹部63cと凸部64cとからなる規制部によって第1及び第2開具本体63b,64bが左右方向へ相対的に移動して分離することを防止できるため、第1及び第2エレメント列11a,21aの後端側から噛合割れが生じることを効果的に防止することができる。
なお、本実施例1のファスナー10では、第1及び第2張出部15,25の張り出し面15a,25aと第1及び第2段部16,26の底面16a,26aとが、各磁性エレメント11,21の中心高さ位置に配されており、また、第1及び第2磁性エレメント11,21が噛合したときに、第1張出部15の張り出し面15a及び第1段部16の底面16aが、第2段部26の底面26a及び第2張出部25の張り出し面25aにそれぞれ当接するように形成されている(図10及び図11を参照)。
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図21及び図22に変形例となる第1及び第2磁性エレメント11″,21″を示したように、第1及び第2張出部15″,25″の張り出し面15a″,25a″と第1及び第2段部16″,26″の底面16a″,26a″とは、各磁性エレメント11″,21″の中心高さ位置よりも上方に配されていても良い。これにより、第1磁性エレメント11″の第1段部16″が配されている後方側の噛合頭部14の厚さと、第1張出部15″の厚さとを薄くすることができるため、第1磁性エレメント11″と第2磁性エレメント21″とを噛み合わせし易く構成することができる。
また本発明では、図21及び図22に示したように、第1及び第2磁性エレメント11″,21″が噛合したときに、第1張出部15″の張り出し面15a″及び第1段部16″の底面16a″が、第2段部26の底面26a″及び第2張出部25″の張り出し面25a″との間にクリアランスを設けて対面するように形成することも可能である。
更に本発明では、第1及び第2磁性エレメント11,21の磁極は、前方側がS極、後方側がN極となるように着磁されていても良い。また、実施例1のファスナー10は、第1磁性エレメント11を第2磁性エレメント21の上方から吸着係合させるように構成されているが、本発明では、第2磁性エレメントを第1磁性エレメントの上方から吸着係合させるようにしてファスナーを構成することもできる。
図23は、本実施例2に係るファスナーに配される第2磁性エレメントを示す斜視図である。また、図24は、同ファスナーの第1磁性エレメントと第2磁性エレメントとを噛合させる前の状態を示す断面図であり、図25は、同ファスナーの第1磁性エレメントと第2磁性エレメントとを噛合させるときの状態を示す断面図である。
本実施例2のファスナー10’における第1磁性エレメント11’には、第1噛合頭部14’の第1首部13側から頭部先端に向けて、同第1噛合頭部14’におけるテープ表裏方向の高さを漸減させる第1先端側傾斜面(テーパ面)18がテープ裏面側(第1噛合頭部14’の下方側)に形成されている。また、本実施例2における第2磁性エレメント21’には、第2噛合頭部24’の第2首部23側から頭部先端に向けて、同第2噛合頭部24’におけるテープ表裏方向の高さを漸減させる第2先端側傾斜面(テーパ面)28がテープ表面側(第2噛合頭部24’の上方側)に形成されている。
なお、本実施例2のファスナー10’は、第1及び第2磁性エレメント11’,21’に第1及び第2先端側傾斜面18,28がそれぞれ形成されていること以外の構成については、前記実施例1のファスナー10と実質的に同様である。従って、本実施例2において、前記実施例1と同様の構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。
本実施例2のファスナー10’は、第1先端側傾斜面18が形成された第1磁性エレメント11’と、第2先端側傾斜面28が形成された第2磁性エレメント21’とを有することによって、例えば図24及び図25に示したように、第1磁性エレメント11’と第2磁性エレメント21’とがテープ幅方向から互いに接近し、更に当接したときに、第1及び第2磁性エレメント11‘,21’の磁力による吸引力によって、第1磁性エレメント11’を,第2磁性エレメント21’に対して、第1及び第2先端側傾斜面18,28に沿って第2ファスナーテープ1bのテープ表面側へ相対的に移動させることができる。
これによって、第1磁性エレメント11’が第2磁性エレメント21’の上面側に容易に移動するため、同第1磁性エレメント11’を第2磁性エレメント21’の上方側から、同第2磁性エレメント21’に円滑に噛合させることができる。従って、本実施例2のファスナー10’は、磁性エレメント11’,21’がテープ幅方向から接近したときの吸引によっても、第1磁性エレメント11’と第2磁性エレメント21’とが噛合し易くすることができる。
図26は、本実施例3に係るファスナーに配される第2磁性エレメントを示す正面図である。
本実施例3における第1及び第2磁性エレメント71は、前記実施例1における第1及び第2磁性エレメント11,21から、第1及び第2張出部15,25と第1及び第2段部16,26を省いて構成されており、それ以外の構成については、前記実施例1のファスナー10と実質的に同様である。従って、本実施例3においても、前記実施例1と同様の構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。
図24に示すファスナーにおいて、第2ファスナーテープ1bに取り付けられる第2磁性エレメント71は、隣接する2つの第2磁性エレメント71の間に、図示を省略した第1ファスナーテープ1aに取り付けた第1磁性エレメントの第1噛合頭部を挿入可能に形成されている。この場合、隣り合う2つの第2磁性エレメント71の首部23の間の空間は、第1磁性エレメントの第1噛合頭部より大きく形成されている。
第2磁性エレメント71には、その第2噛合頭部24と首部23とに渡って第1テーパ面27aが形成されている。ここで、本実施例3の第1磁性エレメントは、テープ長さ方向に沿った軸線にて、第2磁性エレメント71と線対称の形態に形成されているため、その詳しい説明と図示を省略する。
このような第1磁性エレメントと第2磁性エレメント71が列設された本実施例3のファスナーは、第1及び第2磁性エレメント71が噛合している状態で、テープ裏面側からテープ表面側に向かう突き上げ力を受けたときの強度(突き上げ強度)が、前記実施例1のファスナー10に比べて低いものの、第1磁性エレメントと第2磁性エレメント71を噛合させる際に、第1磁性エレメントを第2磁性エレメント71の上方側からだけでなく、第2磁性エレメント71の下方側からでも円滑に噛み合わせることができる。
更に、本実施例3のファスナーは、第1及び第2磁性エレメント71が噛合している状態から、第1磁性エレメントを第2磁性エレメント71の上方側に抜脱させることによって、第1磁性エレメントと第2磁性エレメント71を分離させることができ、また、第1磁性エレメントを第2磁性エレメント71の下方側に抜脱させることによっても、第1磁性エレメントと第2磁性エレメント71を分離させることも可能である。
このように、本実施例3のファスナーは、第1磁性エレメントと第2磁性エレメント71の噛合及び分離を第2磁性エレメント71の上下方向から簡単に行うことができる。このため、前記実施例1のファスナー10よりもファスナーを開閉する際の操作性を向上させることができる。
なお、前述の実施例1〜実施例3において、第1及び第2磁性エレメントは、磁性材料と合成樹脂材料とを混合したものを射出成形することによって形成されているが、本発明の第1及び第2磁性エレメントはこれに限定されず、磁性を有する磁石などの物体を埋め込むと同時に合成樹脂を所定の形状に成型することによって、第1及び第2磁性エレメントを形成することもできる。

Claims (11)

  1. 左右一対の第1及び第2ファスナーテープ(1a,1b)の対向するテープ側縁部に、テープ長さ方向に沿った磁力を有する複数の磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)がテープ表裏面に跨って列設され、前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)は、前記テープ側縁部に固着する脚部(12,22)と、同脚部(12,22)からテープ幅方向に沿ってテープ外方に延在し、テープ長さ方向の前後に括れた首部(13,23)と、同首部(13,23)の先端からテープ幅方向にテープ外方へ向けて延在し、テープ長さ方向の前後へ膨大する噛合頭部(14,14',24,24')とを備え、前記磁力を利用して左右の前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)を噛合させるファスナーチェーン(2)であって、
    前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)は、前記噛合頭部(14,14',24,24')が、噛合相手側の互いに隣接する前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)の前記首部(13,23)間に、テープ表裏方向から前記磁力により嵌脱可能な寸法形状を有し、
    前記各磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)は、左右の前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)が噛合・分離する際に、一方の前記磁性エレメント(11,11',11'')が、他方の前記磁性エレメント(21,21',21'',71)と干渉することを回避し、テープ幅方向に沿った軸を中心に回転することを許容する回転許容部を有し、
    前記回転許容部は、前記各磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)のテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に配されてなる、
    ことを特徴とするファスナーチェーン。
  2. 前記回転許容部は、前記各磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)の前記噛合頭部(14,14',24,24')及び前記首部(13,23)におけるテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面のうちの少なくとも1つの側面に配されたテーパ面(17a,17b,27a,27b)又は湾曲面により構成され、
    前記テーパ面(17a,17b,27a,27b)又は湾曲面は、前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)のテープ長さ方向の寸法を、前記第1及び第2ファスナーテープ(1a,1b)のテープ表裏面から離れる方向に漸減させて形成されてなる、
    請求の範囲第1項記載のファスナーチェーン。
  3. 前記テーパ面(17a,17b,27a,27b)又は湾曲面は、前記各磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)の前記噛合頭部(14,14',24,24')及び前記首部(13,23)におけるテープ第1面側の前後側面と、テープ第2面側の前後側面とに配されてなる請求の範囲第2項記載のファスナーチェーン。
  4. 前記テーパ面(17a,17b,27a,27b)は、第1テーパ面(17a,27a)と、同第1テーパ面(17a,27a)よりも傾斜の大きい第2テーパ面(17b,27b)とを有してなる請求の範囲第2項記載のファスナーチェーン。
  5. 前記第1テーパ面(17a,27a)は、テープ第1面側の一方の側面と、テープ第2面側の他方の側面とに配され、前記第2テーパ面(17b,27b)は、テープ第1面側の他方の側面と、テープ第2面側の一方の側面とに配されてなる請求の範囲第4項記載のファスナーチェーン。
  6. 前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'')は、前記第1ファスナーテープ(1a)に取着される第1磁性エレメント(11,11',11'')と、前記第2ファスナーテープ(1b)に取着される第2磁性エレメント(21,21',21'')とを有し、
    前記第1磁性エレメント(11,11',11'')は、前記第1ファスナーテープ(1a)のテープ第1面側にて、前記首部(13)の前方又は後方の括れ部分へ張り出した第1張出部(15,15'') と、前記第1ファスナーテープ(1a)のテープ第2面側にて、前記噛合頭部(14,14')の後端側又は前端側に形成された第1段部(16,16'')とを有し、
    前記第2磁性エレメント(21,21',21'')は、前記第2ファスナーテープ(1b)のテープ第2面側にて、前記首部(23)の前方又は後方の括れ部分へ張り出した第2張出部(25,25'') と、前記第2ファスナーテープ(1b)のテープ第1面側にて、前記噛合頭部(24,24')の後端側又は前端側に形成された第2段部(26,26'')とを有してなる、
    請求の範囲第1項記載のファスナーチェーン。
  7. 前記第2段部(26,26'')の底面(26a,26a'')におけるテープ表裏方向の高さ位置は、前記第2磁性エレメント(21,21',21'')におけるテープ表裏方向の中心高さ位置、又は同中心高さ位置よりも前記噛合頭部(24,24')におけるテープ表裏方向の高さ寸法が大きくなる位置に設定され、
    前記第2張出部(25,25'')の張り出し面(25a,25a'')におけるテープ表裏方向の高さ位置は、前記中心高さ位置、又は同中心高さ位置よりも前記第2張出部(25,25'')におけるテープ表裏方向の高さ寸法が高くなる位置に設定され、
    前記第1張出部(15,15'')の張り出し面(15a,15a'')及び前記第1段部(16,16'')の底面(16a,16a'')は、前記第1及び第2磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'')が噛合したときに、前記第2段部(26,26'')の前記底面(26a,26a'')及び前記第2張出部(25,25'')の前記張り出し面(25a,25a'')にそれぞれ当接又は対面するように配されてなる、
    請求の範囲第6項記載のファスナーチェーン。
  8. 前記第2段部(26,26'')の前記底面(26a,26a'')と、前記第2張出部(25,25'')の前記張り出し面(25a,25a'')とが同じ高さ位置に配されてなる請求の範囲第7項記載のファスナーチェーン。
  9. 前記第1磁性エレメント(11')は、テープ第2面側に、前記噛合頭部(14')におけるテープ表裏方向の高さを、同噛合頭部(14')の前記首部(13)側から頭部先端に向けて漸減させる先端側傾斜面(18)を有し、
    前記第2磁性エレメント(21')は、テープ第1面側に、前記噛合頭部(24')におけるテープ表裏方向の高さを、同噛合頭部(24')の前記首部(23)側から頭部先端に向けて漸減させる先端側傾斜面(28)を有してなる、
    請求の範囲第6項記載のファスナーチェーン。
  10. 請求の範囲第1〜9項のいずれかに記載の前記ファスナーチェーン(2)から形成され、複数の前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)により形成されるエレメント列の一端に上止(31,51)が配され、同エレメント列の他端に下止(32,52,62)が配されてなることを特徴とするファスナー。
  11. 前記上止(31,51)及び/又は下止(32)は、互いに隣接する前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)の前記脚部(12,22)が連結部(31a)を介して連結されることにより、又は、互いに隣接する前記磁性エレメント(11,11',11'',21,21',21'',71)の前記脚部(12,22)間の間隔に、前記ファスナーテープ(1)のテープ表裏面に跨って止具形成部(51a)を取着することにより構成されてなる請求の範囲第10項記載のファスナー。
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