JPWO2010061766A1 - 電解用活性陰極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩の水溶液とニッケル−スズ合金で被覆された陰極とを接触させることによって、被覆層に含まれる溶出性のニッケル及びスズを水溶液中に溶出させ、それにより電解中に溶出するこれらの金属の量を低減させる。
Description
本発明は、食塩等の電解に際して用いられる電解用陰極の製造方法に関する。より詳しくは、電流効率の低下やセル電圧の上昇の起こり難い電解用活性陰極の製造方法に関する。
従来、アルカリ金属塩水溶液の電解による水酸化アルカリ金属の製造、例えば塩化ナトリウム水溶液の電解により、水酸化ナトリウム、塩素及び水素を製造する方法として、陽イオン交換膜により陽極室と陰極室とを区分し、陽極室には陽極を、陰極室には陰極をそれぞれ存在させ、陽極室にアルカリ金属塩水溶液を、陰極室に水酸化アルカリ金属水溶液を満たして、両電極間に直流電流を通して電解を行う方法及びそれに用いられるイオン交換膜電解槽は、周知である。
アルカリ金属塩、例えば塩化ナトリウム水溶液の電解にあっては、理論上、理論分解電圧をかけることにより、いわゆるファラデーの法則に従って、消費した電力に相当する水酸化ナトリウム、塩素及び水素が得られる。しかしながら、一般に電極の過電圧、陽イオン交換膜の電気抵抗、電極間に存在する塩化ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液の電気抵抗等により、電極間電圧の上昇を来たし、電力の損失を生じる。
そこで、電力損失を少なくするために、電極間距離を小さくする試みが種々なされている。特公平5−34434号公報、特公昭63−53272号公報および特公昭57−85981号公報には、陽・陰電極のうち少なくとも一方の電極をスプリング材、弾性マット材、バネ材等で陽イオン交換膜と共に対極に押し付けて密着させる形式の電解槽、所謂ゼロ・ギャップ電解槽が提案されている。本発明はこのゼロ・ギャップ電解槽等すなわち陽・陰電極が陽イオン交換膜を狭持して対峙するか、或いは陽・陰電極が陽イオン交換膜を介して小間隙を持って対峙する電解槽に好適に用いられる陰電極を提供することができる。
また、陽イオン交換膜については、技術の開発が進み、高い電流効率及び低電圧での電解が可能な、いわゆる低電力原単位での運転が可能な膜開発が開発されている。
他方、電極については、まず陽極としてチタン材等の陽極室液に耐性を有する導体材料の表面に、白金族金属又はその酸化物、或いはそれらの物質と周期律表第4族金属の酸化物との混合物等を被覆した、所謂寸法安定性陽極(DSA)が開発された。
また陰極には、一般に軟鋼やニッケルの如き導電性基体が用いられてきたが、導電性基体の表面を様々な金属や合金で被覆して水素過電圧を小さくした、いわゆる活性陰極も種々提案されている。我々はこれまでに、軟鋼やニッケルからなる導電性基体上にニッケル分25〜99重量%、スズ分75〜1重量%のニッケル−スズ合金を電気めっきによって被覆した活性陰極を提案している。上記活性陰極は、軟鋼やニッケルと比較して水素過電圧が0.2〜0.3Vも低く、電解電圧低減に大きな成果を上げてきた(特公昭63−4920号公報参照)。
しかしながら、その後の我々の研究によれば、ニッケル−スズ合金を電気めっきにより被覆した活性陰極を用いて連続的に電解を行ったところ、通電経過日数を経るにつれて、電流効率の低下、及び電解電圧の上昇、すなわち、電解性能の低下が認められることがわかった。そして、上記活性陰極は、電解槽にイオン交換膜を組込み、その後液張り込みから通電するまでの間に、活性陰極の極表面のニッケル及びスズが溶出してイオン交換膜内に取り込まれた結果、イオン交換膜の性能に悪影響を与え、これが電解性能の低下の要因となることもわかった。
一方、電解用活性陰極はめっき等の方法で表面被覆層を形成された後に、有機物やアルカリ可溶成分を除去するために、アルカリ水溶液で洗浄されることがしばしば行われてきた(特開昭59−25986号公報、特開2000−144470号公報、特許第3624394号公報および特許第3867913号公報参照)。
これらの特許文献には、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムの如き水酸化アルカリの水溶液を使用することしか開示されていない。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、活性陰極における被覆材がニッケル−スズ合金である場合、水酸化アルカリの水溶液を用いて洗浄しても、可溶性のスズは除去できるがニッケルは除去できず、イオン交換膜性能の低下が避けられないことがわかった。
従って、導電性基体の表面被覆物質がニッケル−スズ合金である場合にも可溶性のスズとニッケルを確実に除去でき、よってイオン交換膜性能の低下をもたらさずに、長期的に、高効率あるいは低電圧で、優れた電解を行うことが可能な方法が求められていた。
アルカリ金属塩、例えば塩化ナトリウム水溶液の電解にあっては、理論上、理論分解電圧をかけることにより、いわゆるファラデーの法則に従って、消費した電力に相当する水酸化ナトリウム、塩素及び水素が得られる。しかしながら、一般に電極の過電圧、陽イオン交換膜の電気抵抗、電極間に存在する塩化ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液の電気抵抗等により、電極間電圧の上昇を来たし、電力の損失を生じる。
そこで、電力損失を少なくするために、電極間距離を小さくする試みが種々なされている。特公平5−34434号公報、特公昭63−53272号公報および特公昭57−85981号公報には、陽・陰電極のうち少なくとも一方の電極をスプリング材、弾性マット材、バネ材等で陽イオン交換膜と共に対極に押し付けて密着させる形式の電解槽、所謂ゼロ・ギャップ電解槽が提案されている。本発明はこのゼロ・ギャップ電解槽等すなわち陽・陰電極が陽イオン交換膜を狭持して対峙するか、或いは陽・陰電極が陽イオン交換膜を介して小間隙を持って対峙する電解槽に好適に用いられる陰電極を提供することができる。
また、陽イオン交換膜については、技術の開発が進み、高い電流効率及び低電圧での電解が可能な、いわゆる低電力原単位での運転が可能な膜開発が開発されている。
他方、電極については、まず陽極としてチタン材等の陽極室液に耐性を有する導体材料の表面に、白金族金属又はその酸化物、或いはそれらの物質と周期律表第4族金属の酸化物との混合物等を被覆した、所謂寸法安定性陽極(DSA)が開発された。
また陰極には、一般に軟鋼やニッケルの如き導電性基体が用いられてきたが、導電性基体の表面を様々な金属や合金で被覆して水素過電圧を小さくした、いわゆる活性陰極も種々提案されている。我々はこれまでに、軟鋼やニッケルからなる導電性基体上にニッケル分25〜99重量%、スズ分75〜1重量%のニッケル−スズ合金を電気めっきによって被覆した活性陰極を提案している。上記活性陰極は、軟鋼やニッケルと比較して水素過電圧が0.2〜0.3Vも低く、電解電圧低減に大きな成果を上げてきた(特公昭63−4920号公報参照)。
しかしながら、その後の我々の研究によれば、ニッケル−スズ合金を電気めっきにより被覆した活性陰極を用いて連続的に電解を行ったところ、通電経過日数を経るにつれて、電流効率の低下、及び電解電圧の上昇、すなわち、電解性能の低下が認められることがわかった。そして、上記活性陰極は、電解槽にイオン交換膜を組込み、その後液張り込みから通電するまでの間に、活性陰極の極表面のニッケル及びスズが溶出してイオン交換膜内に取り込まれた結果、イオン交換膜の性能に悪影響を与え、これが電解性能の低下の要因となることもわかった。
一方、電解用活性陰極はめっき等の方法で表面被覆層を形成された後に、有機物やアルカリ可溶成分を除去するために、アルカリ水溶液で洗浄されることがしばしば行われてきた(特開昭59−25986号公報、特開2000−144470号公報、特許第3624394号公報および特許第3867913号公報参照)。
これらの特許文献には、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムの如き水酸化アルカリの水溶液を使用することしか開示されていない。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、活性陰極における被覆材がニッケル−スズ合金である場合、水酸化アルカリの水溶液を用いて洗浄しても、可溶性のスズは除去できるがニッケルは除去できず、イオン交換膜性能の低下が避けられないことがわかった。
従って、導電性基体の表面被覆物質がニッケル−スズ合金である場合にも可溶性のスズとニッケルを確実に除去でき、よってイオン交換膜性能の低下をもたらさずに、長期的に、高効率あるいは低電圧で、優れた電解を行うことが可能な方法が求められていた。
本発明者らはニッケル−スズ合金で表面被覆を有する電解用活性陰極の処理剤や処理条件について種々検討を行った結果、従来開発が求められていた上記方法の開発に成功し、本発明に到達した。
それ故、本発明の目的は、ニッケル−スズ合金の表面被覆を有する電解用活性陰極を、電解に使用する前に予め表面処理して、活性陰極の極表面の可溶性スズとニッケルを除去して可溶性スズとニッケルがイオン交換膜に取り込まれるのを防止し、それによってイオン交換膜の性能を低下させずに、高効率、低電圧で長期に亘り電解を継続しつづけることができる電解用陰極及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、本発明の上記電解陰極を備えた電解槽を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、導電性の基体表面がニッケル−スズ合金で被覆された電極を、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液と接触させることを特徴とする電解用陰極の製造方法により達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の上記製造方法で製造された電解用陰極を提供することにある。
本発明の上記目的および利点は、第3に、本発明の上記電解用陰極を備えた電解槽を提供することにある。
それ故、本発明の目的は、ニッケル−スズ合金の表面被覆を有する電解用活性陰極を、電解に使用する前に予め表面処理して、活性陰極の極表面の可溶性スズとニッケルを除去して可溶性スズとニッケルがイオン交換膜に取り込まれるのを防止し、それによってイオン交換膜の性能を低下させずに、高効率、低電圧で長期に亘り電解を継続しつづけることができる電解用陰極及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、本発明の上記電解陰極を備えた電解槽を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、導電性の基体表面がニッケル−スズ合金で被覆された電極を、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液と接触させることを特徴とする電解用陰極の製造方法により達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の上記製造方法で製造された電解用陰極を提供することにある。
本発明の上記目的および利点は、第3に、本発明の上記電解用陰極を備えた電解槽を提供することにある。
図1は、ゼロ・ギャップ電解槽の概略説明図である。
1、1’:電解槽枠
2、2’:背面隔壁
3、3’:リブ
4 :陽極
5 :イオン交換膜
6 :陰極
7 :弾性マット
8 :陰極集電板
2、2’:背面隔壁
3、3’:リブ
4 :陽極
5 :イオン交換膜
6 :陰極
7 :弾性マット
8 :陰極集電板
本発明の製造方法は導電性基体の表面がニッケル−スズ合金で被覆された電解用陰極の製造方法である。
導電性基体は、導電性物質からなり、一般的に陰極として使用する環境下に耐久性のあるものであり、例えば、ニッケル、鉄、チタンやステンレス合金鋼などが好ましいものとして挙げられる。導電性基体は基材が金属に限られるものではなく、一般的に樹脂と呼ばれるものを、使用される系において耐食性がある導電性の金属成分で被覆したものでもよい。
耐久性等の観点から、ニッケル又はニッケル合金が特に好ましい。
当該基体の形状は、通常は電極形状が導電性基体の形状に由来するものとなることから、所望の電極形状に合わせた形状とすることが好ましい。この電極形状は、例えば、平板状、曲板状、エキスパンドメタル状、パンチングメタル状、網状、多孔板状、すだれ状などである。
本発明においては、このような耐食性、導電性を有する基体表面がニッケル−スズ合金で被覆される。被覆の方法としては、それ自体公知の被覆方法が採用される。例えば、電気めっき、溶融めっき、無電解めっき、ドライコーティング(蒸着やスパッタリング等)、溶射等が挙げられる。なかでも電気めっきで被覆することが好ましい。電気めっきによってニッケル−スズ合金で被覆する場合も公知のニッケル−スズ合金の電解めっき法が採用される。具体的には以下の手順で行うことが好ましい。ニッケル−スズ合金とは、前記したような組成のニッケルとスズとを主成分とする合金であり、必要に応じてさらにニッケル、スズ以外の金属成分を少量、好ましくは10重量%以下、含んだ合金でもよい。
まずニッケル−スズ合金めっきを行うに先立って、予め導電性基体表面を脱脂、エッチング等の電気めっきにおける一般的な前処理に付すことが望ましい。その方法としてはそれ自体公知の方法が用いられる。以下では特に断らない限り、電気めっきを単に「めっき」と称することがある。
めっき液に含有されるニッケル、スズの金属源としては、一般的にめっきに用いられる塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、スルファミン酸塩あるいはクエン酸塩などの金属塩を単独あるいは組み合せて用いられ、これらを水、エタノール、ブタノール等に溶解してめっき浴が準備される。
めっき液には、公知の添加剤を加えてもよい。添加剤として加えられる第三成分は、例えばグリシン、α−アラニン、β−アラミン、ヒスチジン、プロリン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸;ピリジン、ピラゾール、エチレンジアミン等のアミン;クエン酸、酒石酸などのオキシカルボン酸及びその塩;チオ尿素、ザンドゲン酸等の含硫化合物;クレゾールスルフォン酸及びその塩;スマファミン酸及びその塩等のアミノスルホン酸及びその塩等が挙げられる。
めっき液のpHは、使用する金属塩、添加剤の種類にもよるため、最適なpHを選定して行うのが好ましい。pH調整には、使用される金属塩、添加剤にもよるが酸例えば塩酸、リン酸、フッ酸等またはアルカリ例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水等を加える。無論、これら酸やアルカリは緩衝剤としても好ましく用いられる場合もある。
上記の如きめっき液中に前述の基体を浸漬し、電流を流すことにより基体表面がニッケル−スズ合金で被覆される。このときめっき液の温度は、20℃〜80℃の範囲とするのが好ましい。
まためっきを行う際の電流密度は、好ましくは0.1〜30A/dm2の間である。ただし、めっき液の組成により適切な電流密度範囲があるため、最適な電流密度は生産性やめっき剥離性を考慮して選定される。
本発明においては、上記例の如くして基体表面をニッケル−スズ合金で被覆した後、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液と接触させることを特徴とする。このようにアルカリ金属炭酸水素塩水溶液で接触処理することにより、処理後の電極からニッケルやスズが溶出してくることが少なくなり、よって、長期にわたって高い電流効率及び低い電解電圧を維持することができるようになる。
当該アルカリ金属炭酸水素塩を具体的に例示すると、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムを挙げることができる。なかでもコストや水に対する溶解性、ニッケルやスズの溶出効率の点から、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸水素塩水溶液の濃度は使用するアルカリ金属炭酸水素塩の種類および水溶液の温度により異なるが、好ましくは0.05〜5.0mol/L、より好ましくは0.5〜3.0mol/L、特に好ましくは1.0〜2.0mol/Lである。濃度が高い方がニッケル、スズの溶出性が良好となるが、上記範囲を上回って濃度を高くしてもその効果は頭打ちとなりしかも高濃度の溶液の調整は溶解性の面より困難になるので好ましくない。
本発明において、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液を調製するには例えばアルカリ金属炭酸水素塩を水に溶解させればよい。
またアルカリ金属炭酸水素塩水溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で他の物質例えば、pH調整剤が配合されていてもよい。
本発明においては、上記のようなアルカリ金属炭酸水素塩水溶液を前記のニッケル−スズ合金で導電性基体の表面が被覆された電極(以下、「被覆電極」と称する)と接触させる。この接触は、例えば被覆電極をアルカリ金属炭酸水素塩水溶液中に浸漬する方法、被覆電極にアルカリ金属炭酸水素塩水溶液を吹き付ける方法などにより行われる。接触処理が容易で、且つ均一に接触させやすいので被覆電極をアルカリ金属炭酸水素塩水溶液中に浸漬する方法(以下、「浸漬法」と称す)が好ましい。
被覆電極とアルカリ金属炭酸水素塩水溶液とを接触させる際の温度は、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液が液体を保つ温度であればよいが、好ましくは5℃以上、80℃以下であり、より好ましくは20℃以上、70℃以下であり、特に好ましくは30℃以上、60℃以下である。高温ほど溶出効率が高いが、一方で高温のアルカリ金属炭酸水素塩水溶液は分解が早いので40℃程度で実施するのが、とりわけ実用的で好ましい。
浸漬法により接触を行う場合、浸漬時間は温度やアルカリ金属炭酸水素塩水溶液の濃度等にもよるが、好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは1〜12時間である。
可溶性ニッケル及びスズを十分に溶出させるためには、ある程度長い時間接触させた方がよいが、長すぎると工業的な実用性が低下する。
浸漬法により接触を行う場合のアルカリ金属炭酸水素塩水溶液の使用量は、被覆電極表面の被接触面が全て漬かる程度であればよく、例えば、被接触面1m2当り、50〜200Lである。
浸漬法により接触を行う場合には、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液を攪拌したり、あるいは超音波照射を行うことも好ましい。
被覆電極へのアルカリ金属炭酸水素塩水溶液の接触を行った後、該被覆電極を電解用陰極として用いる前に、該接触により被覆電極表面を水洗などにより洗浄し、表面からアルカリ金属炭酸水素塩を除去することが好ましい。
上記のようにして製造された電解用陰極は、公知の方法に従い、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、特に塩化物などの電解質の水素発生用の電解槽に用いることができる。なかでも塩化ナトリウムをイオン交換膜法で電解する際の電解用陰極として特に好適に用いることができる。
本発明の電解用陰極は、例えば日本国特許第3616265号に開示されているような、所謂ゼロ・ギャップ電解槽に組込んで用いられる。ゼロ・ギャップ電解槽の構造を概説すると、一方の電極は剛体多孔板であり、陽イオン交換膜を挟んで他方の電極は、特定の柔軟な多孔板電極であって、該柔軟な多孔板電極は更に特定の金属集合体よりなる弾性マット集電体によってイオン交換膜と共に剛体多孔板電極側へ押し付けられている。
図1にその電解槽の構成の1例を示す。図1は、複極式電解槽の一つのセルを開いて示したものであるが、単極式電解槽についても同様の構造である。
図中1、1’は単位セル枠(電解槽枠)であり、軟鋼等の金属製であるが、電解液に耐久性の強化プラスチック製等であってもよい。各単位セルは、背面隔壁2、2’によって隣のセルと区画される。背面隔壁も一般に金属製であり、塩化ナトリウム水溶液の電解にあっては、塩素ガスが発生するため、通常はチタン材等で、セル枠部分と共に内張されている。複極電解槽にあっては、各隣のセルより電気が供給され、背面隔壁を通して陽極室リブ3から陽極4に導かれる。図1にあっては説明上陽極を剛体多孔板として示すが、勿論陰極であってもよい。陽極多孔板は通常チタン基材上に陽極活物質として白金属酸化物又は、これに他の金属酸化物を混合又は混晶としてコートしたエキスパンドメタル又は網状物であり、当業者間によく知られた、所謂普通の形状安定陽極である。5は陽イオン交換膜であり、バーフルオロカーボン骨格を有し、側鎖に陽イオン交換基、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、りん酸基等或いはこれらの混合基が存在するナフィオン(商品名)等と呼ばれるものである。陽イオン交換膜5、単位セル枠1及び背面隔壁2によって区画され、中に陽極4が存在する空間が陽極室である。陽イオン交換膜を介して陽極室の反対側には、陰極6、次いで弾性マット7があり、更に必要に応じて剛体多孔板である陰極集電板8が存在していてもよい。この陰極集電板を用いないで、背面隔壁に至るまでの間を弾性マットで埋めることも可能である。特に陰極室の厚さの薄い、即ちイオン交換膜と背面隔壁との間隔が20mm以下の如く薄い場合には有効である。しかし、一般的に液や気泡の流路を十分確保する上から、或いは陰極全面に亘って均一に電流を分布させる意味からは該集電板を用いるのが好ましい。
なお、単位セル枠1’、背面隔壁2’及び陽イオン交換膜5で区画され、中に陰極6、弾性マット7等が存在する空間が陰極室である。
上記弾性マット7としては、日本国特許第3707985号に記載された線径0.02〜0.15mmの金属線を用いた織物よりなり、該織物はクリンプ加工され更に山形のヘリンボーン模様が賦形されており、各ヘリンボーン模様は一枚の織物につき2〜9回、120〜160°の角度で変曲しているものが好ましく用いられる。
また、陰極導電板を用いた場合には、陰極6、弾性マット7および陰極集電板8を、日本国特許第3686270号に記載のピンで、一体に固定することも好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に且つ詳細に説明する。
導電性基体は、導電性物質からなり、一般的に陰極として使用する環境下に耐久性のあるものであり、例えば、ニッケル、鉄、チタンやステンレス合金鋼などが好ましいものとして挙げられる。導電性基体は基材が金属に限られるものではなく、一般的に樹脂と呼ばれるものを、使用される系において耐食性がある導電性の金属成分で被覆したものでもよい。
耐久性等の観点から、ニッケル又はニッケル合金が特に好ましい。
当該基体の形状は、通常は電極形状が導電性基体の形状に由来するものとなることから、所望の電極形状に合わせた形状とすることが好ましい。この電極形状は、例えば、平板状、曲板状、エキスパンドメタル状、パンチングメタル状、網状、多孔板状、すだれ状などである。
本発明においては、このような耐食性、導電性を有する基体表面がニッケル−スズ合金で被覆される。被覆の方法としては、それ自体公知の被覆方法が採用される。例えば、電気めっき、溶融めっき、無電解めっき、ドライコーティング(蒸着やスパッタリング等)、溶射等が挙げられる。なかでも電気めっきで被覆することが好ましい。電気めっきによってニッケル−スズ合金で被覆する場合も公知のニッケル−スズ合金の電解めっき法が採用される。具体的には以下の手順で行うことが好ましい。ニッケル−スズ合金とは、前記したような組成のニッケルとスズとを主成分とする合金であり、必要に応じてさらにニッケル、スズ以外の金属成分を少量、好ましくは10重量%以下、含んだ合金でもよい。
まずニッケル−スズ合金めっきを行うに先立って、予め導電性基体表面を脱脂、エッチング等の電気めっきにおける一般的な前処理に付すことが望ましい。その方法としてはそれ自体公知の方法が用いられる。以下では特に断らない限り、電気めっきを単に「めっき」と称することがある。
めっき液に含有されるニッケル、スズの金属源としては、一般的にめっきに用いられる塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、スルファミン酸塩あるいはクエン酸塩などの金属塩を単独あるいは組み合せて用いられ、これらを水、エタノール、ブタノール等に溶解してめっき浴が準備される。
めっき液には、公知の添加剤を加えてもよい。添加剤として加えられる第三成分は、例えばグリシン、α−アラニン、β−アラミン、ヒスチジン、プロリン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸;ピリジン、ピラゾール、エチレンジアミン等のアミン;クエン酸、酒石酸などのオキシカルボン酸及びその塩;チオ尿素、ザンドゲン酸等の含硫化合物;クレゾールスルフォン酸及びその塩;スマファミン酸及びその塩等のアミノスルホン酸及びその塩等が挙げられる。
めっき液のpHは、使用する金属塩、添加剤の種類にもよるため、最適なpHを選定して行うのが好ましい。pH調整には、使用される金属塩、添加剤にもよるが酸例えば塩酸、リン酸、フッ酸等またはアルカリ例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水等を加える。無論、これら酸やアルカリは緩衝剤としても好ましく用いられる場合もある。
上記の如きめっき液中に前述の基体を浸漬し、電流を流すことにより基体表面がニッケル−スズ合金で被覆される。このときめっき液の温度は、20℃〜80℃の範囲とするのが好ましい。
まためっきを行う際の電流密度は、好ましくは0.1〜30A/dm2の間である。ただし、めっき液の組成により適切な電流密度範囲があるため、最適な電流密度は生産性やめっき剥離性を考慮して選定される。
本発明においては、上記例の如くして基体表面をニッケル−スズ合金で被覆した後、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液と接触させることを特徴とする。このようにアルカリ金属炭酸水素塩水溶液で接触処理することにより、処理後の電極からニッケルやスズが溶出してくることが少なくなり、よって、長期にわたって高い電流効率及び低い電解電圧を維持することができるようになる。
当該アルカリ金属炭酸水素塩を具体的に例示すると、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムを挙げることができる。なかでもコストや水に対する溶解性、ニッケルやスズの溶出効率の点から、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸水素塩水溶液の濃度は使用するアルカリ金属炭酸水素塩の種類および水溶液の温度により異なるが、好ましくは0.05〜5.0mol/L、より好ましくは0.5〜3.0mol/L、特に好ましくは1.0〜2.0mol/Lである。濃度が高い方がニッケル、スズの溶出性が良好となるが、上記範囲を上回って濃度を高くしてもその効果は頭打ちとなりしかも高濃度の溶液の調整は溶解性の面より困難になるので好ましくない。
本発明において、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液を調製するには例えばアルカリ金属炭酸水素塩を水に溶解させればよい。
またアルカリ金属炭酸水素塩水溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で他の物質例えば、pH調整剤が配合されていてもよい。
本発明においては、上記のようなアルカリ金属炭酸水素塩水溶液を前記のニッケル−スズ合金で導電性基体の表面が被覆された電極(以下、「被覆電極」と称する)と接触させる。この接触は、例えば被覆電極をアルカリ金属炭酸水素塩水溶液中に浸漬する方法、被覆電極にアルカリ金属炭酸水素塩水溶液を吹き付ける方法などにより行われる。接触処理が容易で、且つ均一に接触させやすいので被覆電極をアルカリ金属炭酸水素塩水溶液中に浸漬する方法(以下、「浸漬法」と称す)が好ましい。
被覆電極とアルカリ金属炭酸水素塩水溶液とを接触させる際の温度は、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液が液体を保つ温度であればよいが、好ましくは5℃以上、80℃以下であり、より好ましくは20℃以上、70℃以下であり、特に好ましくは30℃以上、60℃以下である。高温ほど溶出効率が高いが、一方で高温のアルカリ金属炭酸水素塩水溶液は分解が早いので40℃程度で実施するのが、とりわけ実用的で好ましい。
浸漬法により接触を行う場合、浸漬時間は温度やアルカリ金属炭酸水素塩水溶液の濃度等にもよるが、好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは1〜12時間である。
可溶性ニッケル及びスズを十分に溶出させるためには、ある程度長い時間接触させた方がよいが、長すぎると工業的な実用性が低下する。
浸漬法により接触を行う場合のアルカリ金属炭酸水素塩水溶液の使用量は、被覆電極表面の被接触面が全て漬かる程度であればよく、例えば、被接触面1m2当り、50〜200Lである。
浸漬法により接触を行う場合には、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液を攪拌したり、あるいは超音波照射を行うことも好ましい。
被覆電極へのアルカリ金属炭酸水素塩水溶液の接触を行った後、該被覆電極を電解用陰極として用いる前に、該接触により被覆電極表面を水洗などにより洗浄し、表面からアルカリ金属炭酸水素塩を除去することが好ましい。
上記のようにして製造された電解用陰極は、公知の方法に従い、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、特に塩化物などの電解質の水素発生用の電解槽に用いることができる。なかでも塩化ナトリウムをイオン交換膜法で電解する際の電解用陰極として特に好適に用いることができる。
本発明の電解用陰極は、例えば日本国特許第3616265号に開示されているような、所謂ゼロ・ギャップ電解槽に組込んで用いられる。ゼロ・ギャップ電解槽の構造を概説すると、一方の電極は剛体多孔板であり、陽イオン交換膜を挟んで他方の電極は、特定の柔軟な多孔板電極であって、該柔軟な多孔板電極は更に特定の金属集合体よりなる弾性マット集電体によってイオン交換膜と共に剛体多孔板電極側へ押し付けられている。
図1にその電解槽の構成の1例を示す。図1は、複極式電解槽の一つのセルを開いて示したものであるが、単極式電解槽についても同様の構造である。
図中1、1’は単位セル枠(電解槽枠)であり、軟鋼等の金属製であるが、電解液に耐久性の強化プラスチック製等であってもよい。各単位セルは、背面隔壁2、2’によって隣のセルと区画される。背面隔壁も一般に金属製であり、塩化ナトリウム水溶液の電解にあっては、塩素ガスが発生するため、通常はチタン材等で、セル枠部分と共に内張されている。複極電解槽にあっては、各隣のセルより電気が供給され、背面隔壁を通して陽極室リブ3から陽極4に導かれる。図1にあっては説明上陽極を剛体多孔板として示すが、勿論陰極であってもよい。陽極多孔板は通常チタン基材上に陽極活物質として白金属酸化物又は、これに他の金属酸化物を混合又は混晶としてコートしたエキスパンドメタル又は網状物であり、当業者間によく知られた、所謂普通の形状安定陽極である。5は陽イオン交換膜であり、バーフルオロカーボン骨格を有し、側鎖に陽イオン交換基、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、りん酸基等或いはこれらの混合基が存在するナフィオン(商品名)等と呼ばれるものである。陽イオン交換膜5、単位セル枠1及び背面隔壁2によって区画され、中に陽極4が存在する空間が陽極室である。陽イオン交換膜を介して陽極室の反対側には、陰極6、次いで弾性マット7があり、更に必要に応じて剛体多孔板である陰極集電板8が存在していてもよい。この陰極集電板を用いないで、背面隔壁に至るまでの間を弾性マットで埋めることも可能である。特に陰極室の厚さの薄い、即ちイオン交換膜と背面隔壁との間隔が20mm以下の如く薄い場合には有効である。しかし、一般的に液や気泡の流路を十分確保する上から、或いは陰極全面に亘って均一に電流を分布させる意味からは該集電板を用いるのが好ましい。
なお、単位セル枠1’、背面隔壁2’及び陽イオン交換膜5で区画され、中に陰極6、弾性マット7等が存在する空間が陰極室である。
上記弾性マット7としては、日本国特許第3707985号に記載された線径0.02〜0.15mmの金属線を用いた織物よりなり、該織物はクリンプ加工され更に山形のヘリンボーン模様が賦形されており、各ヘリンボーン模様は一枚の織物につき2〜9回、120〜160°の角度で変曲しているものが好ましく用いられる。
また、陰極導電板を用いた場合には、陰極6、弾性マット7および陰極集電板8を、日本国特許第3686270号に記載のピンで、一体に固定することも好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に且つ詳細に説明する。
実施例1
めっき浴として、塩化ニッケル6水和物0.125モル/リットル、塩化第一スズ2水和物0.063モル/リットル、ピロリン酸カリウム0.5モル/リットルおよびグリシン0.5モル/リットルを水に溶解し、アンモニア水を用いてpH8.2、温度50℃に調整したものを用いた。
導電性基材として、溶媒脱脂、塩化鉄エッチングを行ったニッケル製金網に電流密度5A/dm2で電気めっきを行い、基材上にニッケル−スズ合金の電着出物を生成させ、表面がニッケル−スズ合金で被覆された電極(活性陰極)を製作した。
次にこの活性陰極を40℃、0.6モル/リットル炭酸水素ナトリウム溶液中に6時間溶液を循環させながら浸漬させた。処理効果の評価は、活性陰極表面からのニッケル及びスズの溶出量を、浸漬処理後の炭酸水素ナトリウム溶液中の各濃度をIPCで測定することで行った。結果を表1に示す。
実施例2〜6および比較例1〜3
実施例1と同じ方法で陰極を製作した後、用いるアルカリ溶液及び浸漬処理温度を表1に示すように変化させて被覆電極の処理を行った。結果を併せて表1に示す。
実施例7、8および比較例4、5
対象となる活性陰極を所定サイズに切り出し、通電面積0.5dm2の小型電解実験装置にて食塩電解試験を実施した。電解条件は、出口濃度でNaOH濃度32%、NaCl濃度200g/L、温度90℃に制御し、電流密度50A/dm2にて行った。陰極、陽極、イオン交換膜のギャップはゼロギャップとした。結果を表2に示した。
なお、通電経過日数における電流効率変化、及び電圧変化は、通電開始後、電流効率及び、電圧が安定した時点を基準とし、該基準に対する、通電経過日数時点での、電流効率、及び電圧の変化を示す。
めっき浴として、塩化ニッケル6水和物0.125モル/リットル、塩化第一スズ2水和物0.063モル/リットル、ピロリン酸カリウム0.5モル/リットルおよびグリシン0.5モル/リットルを水に溶解し、アンモニア水を用いてpH8.2、温度50℃に調整したものを用いた。
導電性基材として、溶媒脱脂、塩化鉄エッチングを行ったニッケル製金網に電流密度5A/dm2で電気めっきを行い、基材上にニッケル−スズ合金の電着出物を生成させ、表面がニッケル−スズ合金で被覆された電極(活性陰極)を製作した。
次にこの活性陰極を40℃、0.6モル/リットル炭酸水素ナトリウム溶液中に6時間溶液を循環させながら浸漬させた。処理効果の評価は、活性陰極表面からのニッケル及びスズの溶出量を、浸漬処理後の炭酸水素ナトリウム溶液中の各濃度をIPCで測定することで行った。結果を表1に示す。
実施例2〜6および比較例1〜3
実施例1と同じ方法で陰極を製作した後、用いるアルカリ溶液及び浸漬処理温度を表1に示すように変化させて被覆電極の処理を行った。結果を併せて表1に示す。
対象となる活性陰極を所定サイズに切り出し、通電面積0.5dm2の小型電解実験装置にて食塩電解試験を実施した。電解条件は、出口濃度でNaOH濃度32%、NaCl濃度200g/L、温度90℃に制御し、電流密度50A/dm2にて行った。陰極、陽極、イオン交換膜のギャップはゼロギャップとした。結果を表2に示した。
なお、通電経過日数における電流効率変化、及び電圧変化は、通電開始後、電流効率及び、電圧が安定した時点を基準とし、該基準に対する、通電経過日数時点での、電流効率、及び電圧の変化を示す。
Claims (7)
- 導電性基体の表面がニッケル−スズ合金で被覆された電極を、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液と接触させることを特徴とする電解用陰極の製造方法。
- アルカリ金属炭酸水素塩水溶液の、アルカリ金属炭酸水素塩の濃度が0.05〜5.0mol/Lである請求項1に記載の製造方法。
- ニッケル−スズ合金で被覆された電極が、導電性基体表面をニッケル−スズ合金で電気めっきされて製造された請求項1に記載の製造方法。
- 電解用陰極がアルカリ金属塩電解用陰極である請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項4に記載の製造方法で製造された電解用陰極を用いる、アルカリ金属塩の電解方法。
- 請求項1に記載の製造方法で製造された電解用陰極。
- 請求項6に記載の電解用陰極を備えた電解槽。
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