JPWO2010001972A1 - 難燃性原着ポリエステル繊維、これを用いた難燃材および難燃性原着ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

難燃性原着ポリエステル繊維、これを用いた難燃材および難燃性原着ポリエステル繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

耐光性および耐久性に優れ、様々な色に着色できる難燃性原着ポリエステル繊維に必要な樹脂組成物および難燃化方法が切望されている。ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびホスファゼン類からなる群より選択される少なくとも1つの無機リン−窒素系化合物を含む難燃剤と、着色剤と、熱可塑性ポリエステル樹脂とを含む難燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られる繊維であって、前記ポリエステル樹脂組成物の総重量を基準として、前記無機リン−窒素系化合物の含有量が0.1〜12質量%であり、前記着色剤の含有量が0.01〜5質量%であり、前記熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量が83〜99.89質量%であることを特徴とする難燃性繊維を提供する。

Description

本発明は、無機リン−窒素系化合物と無機赤リンとの混合物を難燃剤の主要成分として配合した難燃性原着ポリエステル繊維、これを用いた難燃材および難燃性原着ポリエステル繊維の製造方法に関する。
熱可塑性ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、その力学特性、耐熱性、成形性、耐薬品性などのバランスに優れ、かつ安価であることから、繊維、フィルム、PETボトルに代表される成形品や包装材として極めて広い用途を有している。更に、近年、資源の再利用の面から、使用後のポリエステル製品、あるいは成型工程で発生したポリエステル屑を回収し得られた再生ポリエステル樹脂を、繊維やPETボトルの原料として再使用するようになって来た。しかしながら、このような需要が高まるなかで、熱可塑性ポリエステルは燃焼しやすいという欠点を有し、近年火災や環境に対する認識の高まりと共に、ハロゲン系難燃剤に代わる環境に優しい難燃化が強く要望されている。
ポリエステル繊維を難燃化する試みは、従来から種々検討がなされており、難燃剤との共重合により得られる共重合ポリエステルを用いる方法、難燃剤をポリエステルに練り込み紡糸する方法、リサイクルポリエステルを難燃化する方法、繊維製品を後加工で難燃化する方法など様々な方法が提案されている。一方、難燃性樹脂組成物に関しては、多くの提案がなされているが、難燃性能の発現は多岐に亘ることが報告されている。
例えば、特許文献1には、有機リン化合物を共重合して得られる共重合ポリエステルと回収ポリエステルとを混合した原料を用いて紡糸または紡糸および延伸して得られる難燃リサイクルポリエステル繊維の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、チップ製造工程および/またはフィルム製造工程において、回収し得られた固有粘度1.0から1.4の再生ポリエステル樹脂および固有粘度0.5〜1.0のポリエステル樹脂にホスフィンオキシド、ホスホネート、ホスフィネートなどの有機リン化合物を添加して得られるポリエステル樹脂に更に顔料を添加して得られるポリエステル樹脂組成物を溶融混合し繊維状に紡出させて得られる難燃性再生原着ポリエステル繊維が開示されている。
また例えば、特許文献3には、無機赤リンまたは樹脂被覆した無機赤リンを0.2〜15質量%、カーボンブラックを0〜5質量%含む樹脂組成物を溶融紡糸して得られる難燃性ポリエステル繊維が開示されている。
更に例えば、特許文献4には、リサイクルポリエステルを解重合した低分子体に有機リン化合物を添加し再重合して得られる再生ポリエステルを、次いで紡糸して得られる難燃再生ポリエステル繊維が開示されている。
更にまた例えば、特許文献5には、熱可塑性樹脂で被覆されたポリリン酸アンモニウム含有物質を、紡糸後の繊維製品に処理工程で含有させる難燃性繊維製品が開示されている。
また、特許文献6には、染色剤の染色性に影響を与えない、ポリフォスフェート化合物を含むポリエステル系合成繊維の後加工用難燃剤が開示されている。
更にまた、例えば、特許文献7には、無機赤リンとポリリン酸アンモニウムとを併用使用する難燃性樹脂組成物において、6質量%の無機赤リン存在下で10質量%以上のポリリン酸アンモニウムを添加した場合に、ポリエーテルエステル樹脂においては難燃化の相乗効果が認められるとの報告がある。その他、無機赤リンとポリリン酸アンモニウムのような無機リン−窒素系化合物とを併用した樹脂組成物に関しては多くの報告がなされているが、これらを併用した無機ハイブリッド難燃剤を練り込み、次いで紡糸することにより顕著な効果のある難燃性繊維を得たという報告はない。
特開2002−54026号公報 特開2007−254905号公報 特開2001−279073号公報 特開2006−70419号公報 特開2001−262466号公報 特開2007−92243号公報 国際公開第92/020731号パンフレット
しかしながら、特許文献1のような共重合ポリエステルを用いる方法では、共重合プロセスが必要であり、そのための重合技術や重合設備をもたない場合には利用できない。また、有機リン化合物の含有量をリン原子濃度で50,000ppm以上にするとポリマー融点の低下が著しく、ポリマー物性が低下するだけでなく、紡糸性や繊維強度に悪影響を及ぼすことが知られている。さらに、使用後のポリエステル繊維製品を再利用しようとしても、化学的に結合した有機リン構造単位を分離または分解等により除去することは極めて困難である。
特許文献2のような有機リン化合物を練り込んで紡糸する方法は、有機リン化合物の含有量を多くするとポリエステル樹脂の固有粘度が低下するため、10,000〜30,000ppmのリン原子濃度の範囲内で使用する必要がある。また、固相重合などにより固有粘度を高くしたポリエステル樹脂を原料として併用し、かつポリマーの熱劣化を防ぐために紡糸機内の滞留時間を短くするなど種々の対策が必要とされる。この際、分子量および融点の低い有機リン化合物を用いる場合にはブリードによる難燃性能の低下、糸切れなど紡糸における悪影響、繊維物性の低下など様々なトラブルの原因となる。
さらに特許文献3のように、難燃剤として無機赤リンを用い練り込み法で紡糸する場合には、無機赤リンが赤色を呈するために得られた繊維も赤色となる。従って、適度な難燃性を維持しつつ様々な色に着色した繊維を製造する場合には、色消しのための着色剤を余分に使用する必要があり、それに起因する着色剤の光劣化など耐光性に大きな問題が生じる。
また、特許文献2および4のように、難燃剤に有機リン化合物を用いてリサイクルポリエステルを難燃化する場合には、チップ製造工程および/またはフィルム製造工程など特定の廃材を樹脂原料として使用する必要がある。また、樹脂原料の固有粘度を高めるために紡糸前の固相重合や、回収したリサイクルポリエステルの解重合および再重合など、余分な工程を必要とする。このようなリサイクル原料使用上の制約や余分な工程の実施はコスト高の原因となり、リサイクル事業としての価値が低下し幅広く普及するための障害となる。
更にまた、特許文献5および6のように、ポリエステル繊維を紡糸した後に難燃化処理および染色処理する方法では処理が煩雑であったり、不均一であったり、又繊維の風合いを粗硬にしたり、洗濯などで難燃性・染色性が低下したりするなど種々の欠点を有する。難燃化および染色処理が不均一な場合には十分な難燃効果や長期間安定した色彩をもつ繊維製品を得ることはできず、使用時の安全面および品質面でも支障を来たす。特に、自動車内装材として用いる場合には、バインダーや多量の難燃剤を使用しなければならないため、重量増加の原因となる。その上、使用後のポリエステル繊維製品を再利用する場合には、難燃剤のバインダーとして用いる異種ポリマーの分離の問題が生じる。
練り込み方式で、樹脂組成物に難燃剤を加えて難燃性能を発現させる場合、満足な性能の難燃繊維を得るためには十分な量の難燃剤を添加する必要がある。しかしながら、多量の難燃剤を原料樹脂組成物に加える場合には、溶融紡糸の段階において糸形成が困難となるという問題や、溶融紡糸および延伸の過程において難燃剤が繊維の表面に析出するという問題、また糸切れが多発し生産性を著しく低下させるという問題、さらに繊維樹脂成分が本来持っている性質が著しく損なわれ満足な繊維物性を得ることができないという問題などの多くの好ましくない現象が生じる。例えば、ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸し、延伸倍率を4倍にして繊維を得ようとする場合、未延伸糸の繊維径は20〜500μmとなり、延伸糸の繊維径は10〜250μmとなる。このように繊維径が非常に細いものであるため、練り込み方式で使用される難燃剤は、難燃性能だけでなく、紡糸工程における繊維樹脂成分への分散性、繊維表面への非析出性、延伸工程における延伸性にも優れる必要がある。
したがって、特許文献7のような難燃剤が16質量%以上含まれる樹脂組成物を、特許文献7のようにプラスチック成形するのではなく、難燃剤を練り込み方式を用いて溶融紡糸により難燃繊維を製造する場合には、紡糸工程において糸形成ができなかったり、糸切れが多発して生産性が著しく低下したり、また難燃剤の繊維表面への析出が生じるなどの問題が起こることが予想される。このため、特許文献7の樹脂組成物を溶融紡糸することにより得られる繊維では無機赤リンとポリリン酸アンモニウムとの難燃化の相乗効果を期待できない。
したがって、長期間安定した色彩をもち、かつ優れた力学的性質を有するポリエステル繊維を容易に難燃化することができる方法、特に、少量多品種の生産に対応し、耐光性および耐久性に優れ、様々な色に着色でき、かつ環境にも優しい難燃性原着ポリエステル繊維に必要な樹脂組成物および難燃化方法が切望されている。
一方、このような難燃性原着ポリエステル繊維は、カーテン類、じゅうたん類、寝具類、テント類、シート類、幕類、防災頭巾、衣服類、布張り家具類、建物・自動車・船舶・飛行機等の内装材として広範囲に使用されている。
難燃剤としては、有機リン系化合物のほかに臭素系、塩素系などのハロゲン系化合物が広く使用されているが、燃焼の際に問題が生じる。すなわち、難燃剤としてハロゲン系化合物を使用したものを燃焼または焼却する時には、一般に環境汚染物質として注目されているダイオキシンを発生させる。
加えて、難燃性材料にはその耐久性も求められる。耐久性に優れる結果、廃棄量自体を減少させ、焼却処理による二酸化炭素の発生なども有効に抑制することができる。また、同時に従来の資源を再利用できれば、焼却処分される対象物のマテリアルリサイクルを可能とし、環境保全に寄与すると共に経済的にも有利である。特に、近年の容器包装リサイクル法によって回収された資源の有効利用ができなければ回収の意味もない。そこで、環境保全の観点からも既存の様々な資源を利用して汎用性がありかつ簡便に難燃性繊維を得る方法が切望されている。
本発明者らは、難燃剤、着色剤および熱可塑性ポリエステル樹脂の組み合わせを詳細に検討した結果、無機リン−窒素系化合物、特にポリリン酸塩および/またはホスファゼン類を用いることにより紡糸性能、耐光性および耐久性に優れ、様々な色に着色でき、環境にも優しく、かつ優れた難燃効果を示す、バランスの良い難燃性原着ポリエステル繊維が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供するものである。
(1)ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびホスファゼン類からなる群より選択される少なくとも1つの無機リン−窒素系化合物を含む難燃剤と、着色剤と、熱可塑性ポリエステル樹脂とを含む難燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られる繊維であって、前記ポリエステル樹脂組成物の総重量を基準として、前記無機リン−窒素系化合物の含有量は0.1〜12質量%であり、前記着色剤の含有量は0.01〜5質量%でありおよび前記熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は83〜99.89質量%であることを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維。
(2)ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびホスファゼン類からなる群より選択される少なくとも1つの無機リン−窒素系化合物ならびに無機赤リンを含む難燃剤と、着色剤と、熱可塑性ポリエステル樹脂と、を含む難燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られる繊維であって、前記ポリエステル樹脂組成物の総重量を基準として、前記無機リン−窒素系化合物の含有量は0.1〜8質量%であり、前記無機赤リンの含有量は0.1〜8質量%であり、前記着色剤の含有量は0.01〜5質量%でありおよび前記熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は83〜99.79質量%であり、かつ前記無機リン−窒素系化合物および前記無機赤リンの含有量の合計が0.2〜12質量%であることを特徴とする、上記(1)に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
(3)前記無機リン−窒素系化合物が、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンからなる群より選択される少なくとも1つのポリリン酸塩と、ホスファゼン類と、を含むことを特徴とする、上記(1)に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
(4)前記無機リン−窒素系化合物が、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンからなる群より選ばれた少なくとも1つのポリリン酸塩であり、難燃剤におけるポリリン酸塩由来のリン原子に対するポリリン酸塩由来でないリン原子の割合がリン原子比率で0.1〜20である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
(5)前記無機リン−窒素系化合物の分解温度が270℃以上である、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
(6)前記熱可塑性ポリエステル樹脂が再生ポリエルテル樹脂を含む、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
(7)着色剤が、アゾ系、アンスラキノン系、キナクリドン系、シアニングリーンおよびシアニンブルーからなるシアニン系、ジオキサジン系、α型フタロシアニンおよびβ型フタロシアニンからなるフタロシアニン系、ペリノン系、ベリレン系、ポリアゾ系、チタンイエロー、群青、酸化鉄、弁柄、亜鉛華、アナターゼ酸化チタンおよびルチル酸化チタンからなる酸化チタン系、ならびにカーボンブラック、グラファイト、スピリットブラック、チャンネルブラックおよびファーネスブラックからなるカーボン系からなる群より選択される少なくとも1つの顔料である、上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
(8)乾式法で引き取り速度300〜1000m/min、紡糸温度200〜300℃で溶融紡糸して得られる繊維である、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
(9)無機リン−窒素化合物または前記無機リン−窒素系化合物を含有するマスターバッチ、無機赤リンまたは前記無機赤リンを含有するマスターバッチ、着色剤を含有するマスターバッチおよび熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の難燃性原着ポリエステル繊維の製造方法。
(10)上記(1)ないし(8)に記載の難燃性原着ポリエステル繊維または上記(9)に記載の製造方法により得られる難燃性原着ポリエステル繊維を5〜100質量%含有する難燃材。
(11)上記(10)に記載の難燃材を用いた自動車用内装材。
本発明によれば、無機リン−窒素系化合物を難燃剤として用いることにより、紡糸性、難燃性、着色性、耐光性、耐久性などに優れる難燃性原着ポリエステル繊維および難燃材が得られる。また、難燃剤および着色剤をポリエステル樹脂と共に原料として練り込み、次いで溶融紡糸することにより、耐光性および耐久性に優れ、かつ様々な色に着色が可能な優れた難燃繊維および難燃材が提供できる。さらに原料として再生ポリエステル樹脂を利用するなどしてその利用範囲を拡大できるものである。また、無機リン−窒素系化合物、特にポリリン酸塩に無機赤リンを併用する場合には、紡糸の際のポリリン酸塩およびポリエステル樹脂の分解が抑制でき、紡糸性能および機械的物性に優れた繊維製造用の樹脂組成物を提供できる。
また、環境に優しい無機リンハイブリッド化合物を難燃剤として使用することで、製造工程において、または繊維製品使用後に廃棄物として処理する場合にも、環境負荷の少ない優れた製品となる。練り込んだ難燃剤の分離は比較的容易であり、後処理難燃化のようにバインダーとして用いる異種ポリマーの混入も無く再利用し易いため、難燃剤の使用量を少なくすることができる。特に、自動車内装用シート、カーペットなどには、難燃バッキング材による後処理加工が行われているが、本発明の難燃繊維を用いると、難燃バッキング材の使用を必要としないため、自動車の軽量化に貢献できる。
特に、ポリエステル樹脂組成物への難燃剤の使用量が増えると、繊維物性の低下や、紡糸が困難となる場合が多い。本発明では無機赤リンや、無機リン−窒素系化合物などの高性能な難燃剤を用いることで、難燃剤の使用量を少なくでき、かつマスターバッチを使用することでポリエステルと難燃剤との相溶性を増し、安定な樹脂組成物を得ると共に、機械的物性に優れるポリエステル繊維を得ることができる。
本発明は、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびホスファゼン類からなる群より選択される少なくとも1つの無機リン−窒素系化合物を含む難燃剤と、着色剤と、熱可塑性ポリエステル樹脂とを含む難燃性原着ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られることを特徴とする難燃性繊維である。そして、この難燃性原着ポリエステル繊維において、上記ポリエステル樹脂組成物の総重量を基準として、上記無機リン−窒素系化合物の含有量は0.1〜12質量%であり、上記着色剤の含有量は0.01〜5質量%でありおよび上記熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は83〜99.89質量%である。なお、本明細書において、特に注記しない限り、「〜」で示す数値範囲は上限と下限を含むものとする。例えば、「0.1〜8質量%」は「0.1質量%以上、8質量%以下」を意味するものとする。
本発明の難燃剤として用いる無機リン−窒素化合物としては、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンのようなポリリン酸塩ならびにホスファゼン類があり、これらを単独または併用して使用することができる。
本発明で用いられるポリリン酸アンモニウムは、下記一般式;
Figure 2010001972
(式中、nは10以上の整数であるが、好ましくは300以上であり、より好ましくは500以上、特に好ましくは1,000〜10,000である)で表される化合物であり、I〜VI型の6種類の結晶構造が知られている。本発明では、これらのI〜VI型のいずれのポリリン酸アンモニウムであっても使用することができるが、分解温度の高いII型のポリリン酸アンモニウムがより好ましい。重合度(n)が10以上であれば分解温度が著しく低下することがないため好ましい。また、重合度(n)の上限は特に制限されないが、重合度が余りにも大きくなると製造するのが難しくなると共に、分岐が多くなり繊維樹脂成分への均一な分散に支障をきたすため好ましくない。一般にポリリン酸アンモニウムは、リン酸、リン酸アンモニウムあるいはアミドリン酸アンモニウムなどに、尿素のようなアミド化合物や炭酸アンモニウムを脱水縮合剤またはアンモニア化剤として加え、反応させることにより得られる。
なお、ポリリン酸アンモニウムの結晶構造については、いくつかの文献で開示されている。例えば、シー・ワイ・シェン(C.Y.Shen)らによるジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイアティ(Journal of American Chemical Society),91,p62−67(1969)にはI型〜V型の結晶型のポリリン酸アンモニウムが報告されている。また、Kjell R.Waestadらによるジャーナル オブ アグリカルチャーラル フード ケミストリ(Journal of Agricultural and Food Chemistry),vol.24,No.2,p412−415(1978)にはI型、II型、V型およびVI型のポリリン酸アンモニウムが報告されている。さらに、特開2001−139315号明細書には、ポリリン酸アンモニウムのX線解析で、I型については面間隔6.02Å、II型については面間隔5.70Å、V型については面間隔5.60Å、およびVI型については面間隔6.62Åに最強ピーク強度が現れると報告されている。そして、結晶性の良いものほど難水性および難分解性となるため好ましく、中でも難分解性であるII型ポリリン酸アンモニウムに関する研究開発が多くなされている。
例えば、I型ポリリン酸アンモニウムは比較的簡単に合成できるが、結晶性が悪く、易水溶性である。このため、結晶性が良く難水溶性であるII型ポリリン酸アンモニウムの合成法が種々検討されている。例えば、リン酸アンモニウムと五酸化二リンとの等モル混合物に、アミド化合物、イミド化合物、炭酸アンモニウムのようなアンモニア縮合剤を加えて加熱する方法、I型ポリリン酸アンモニウムを乾燥空気雰囲気下、次いでアンモニア含有湿潤空気雰囲気下で加熱し、II型への相転移する方法、リン酸アンモニウムと尿素などのアンモニア化縮合剤を原料として、これにII型のポリリン酸アンモニウムを種化合物として加え、アンモニア含有湿潤空気雰囲気下に加熱する方法などが知られている。
本発明で用いられるポリリン酸メラミンとは、メラミンとオルトリン酸、ピロリン酸、またはポリリン酸とを実質的に等モル反応させて形成されるメラミン付加物を意味する。ポリリン酸メラミンの製造方法としては、オルトリン酸メラミンを加熱、焼成、縮合する方法、ポリリン酸およびメラミンから得る方法、オルトリン酸とメラミンから得る方法、メラミン、リン酸アンモニウムおよび尿素から得る方法などの各種方法が提案され、特開2004−010649号公報および特開2004−155764号公報に詳細に記載されている。ポリリン酸メラミンのなかでも、ピロリン酸との反応性生成物を、特にピロリン酸メラミンと呼んで区別している。
さらに本発明で用いられるホスファゼン類としては、ホスファゼン骨格を有する化合物であれば従来公知のものを特に制限なく使用できる。例えば、下記一般式(2)で示される環状ホスファゼン化合物および/または下記一般式(3)で示される鎖状ホスファゼン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のホスファゼン化合物が挙げられる。
Figure 2010001972
(式中、mは3〜25の整数である。XおよびXは、それぞれ独立に、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が6〜11のアリール基、フッ素原子、炭素数6〜12のアリールオキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数が1〜6のアルコキシ基およびアルコキシ置換アルコキシ基で表される置換基から選択される置換基である。なお、置換基上の水素は一部または全部がフッ素および/またはヘテロ元素を含有する基に置換されてもよい。なお、ヘテロ元素を含有する基とは、B、N、O、Si、P、S原子を含有する基であり、一例を挙げると、アミノ基、アミド基、アルデヒド基、グリシジル基、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、メルカプト基、シリル基等を含有する基が挙げられる。)
Figure 2010001972
(式中、kは3〜1000の整数である。XおよびXは上記と同様である。Yは−N=P(O)(X)または−N=P(X)を表し、Zは−P(X)または−P(O)(X)である。なお、Xは上記Xと同様である。)
これらのホスファゼン類の中でも、フェノキシホスファゼン(式(3)中、XおよびX=フェノキシ基)、プロポキシホスファゼン(式(3)中、XおよびX=プロポキシ基)、ジアミノホスファゼン(式(3)中、XおよびX=アミノ基)を基本骨格とした直鎖状化合物で、リン原子濃度10質量%以上のものが好ましい。特に、ホスファゼン類は、一般に融点が低く、熱可塑性ポリエステル樹脂との相溶性および/または分散性が悪く、紡糸時に均一に混合するのが困難であり、かつブリードの問題が生じる場合がある。このため、マスターバッチ化して使用するあるいは他の難燃剤と併用して使用するなどの細心の注意が必要である。
これらのホスファゼン類の製造方法は特に制限されず、従来公知の方法が用いられうる。例えば、上記環状ホスファゼン化合物および鎖状ホスファゼン化合物は、従来公知の方法に従い、ジクロロホスファゼン化合物から製造することができる。ジクロロホスファゼン化合物は、クロルベンゼンを溶媒とし、塩化アンモニウムと五塩化リン(又は塩化アンモニウムと三塩化リンと塩素)とを、120〜130℃程度で反応させて、脱塩酸化させ、反応生成物を精製すればよい。
本発明に用いる無機リン−窒素系化合物は、上述のように公知の文献などの製造方法によって得られるものすべてを使用できるほか、市販品を使用することができる。該市販品としては、テラージュ(製品名、ブーデンハイム・イベリカ社製)、FR CROS(製品名、ブーデンハイム・イベリカ社製)、ファイアカットP−770およびP−760(製品名、(株)鈴祐化学製)、PekoflamTC204およびTC−CS(製品名、クラリアント社製)、M−PPA(商品名、(株)三和ケミカル製)、Budit(製品名、クラリアント社製)、ファイアカットCLMP(製品名、(株)鈴祐化学製)、環状型のシクロホスファゼンオリゴマー(製品名、大塚化学(株)製)、直鎖型のポリホスファゼン(製品名、大塚化学(株)製)などがある。
本発明に用いる無機リン−窒素系化合物の分解温度は、示差走査熱量計、示差熱分析装置、熱重量測定装置などを用いる熱分析によって求めることができる。具体的には、分解温度は、ガス発生に基づく5%重量減が起こる温度とし、またそれに相当するガス発生に基づく吸熱ピークにおけるベースラインと吸熱ピーク立ち上がりの交点温度とする。本発明に用いられる無機リン−窒素化合物の分解温度は熱可塑性ポリエステル樹脂の融点以上の温度、通常は250℃以上であるが、特に好ましくは、270℃以上である。分解温度の上限は特に制限されるものではないが、一般に、分解温度は重合度や結晶性と共に増加することが知られており、重合度が高く結晶性の良いものが好ましい。
本発明に用いられる無機リン−窒素化合物は通常、粉体のものが用いられ、粉末の平均粒径は30μm以下であることが好ましく、より好ましくは該粉末の平均粒径10μm以下である。粉末の平均粒径が30μm以下であれば、無機リン−窒素系化合物をそのまま熱可塑性ポリエステル樹脂に混合し、均一に分散することができ、この際、粒径が小さいほど分散性は良くなる。したがって、粉末の平均粒径の下限に関しては、特に制限されるものではない。なお、上記粉末は、粒度分布が均一であることが望ましく、篩い分けなどにより、所定のメッシュサイズ、例えば、2種のメッシュサイズの篩を用いて粒度分布が狭く、粒径が揃ったものに調整されたものなどを利用してもよい。また、無機リン−窒素系化合物の粒子表面をメラミン、シリコンなどの樹脂で被膜したものを用いることができる。このことにより樹脂との相溶性を高めることができるだけでなく、特にポリリン酸塩の場合には、加水分解や熱分解をも抑制することができ、紡糸性能や難燃性能を著しく向上させうる。
本発明に用いられる無機リン−窒素系化合物は、通常は無色あるいは白色の粉体であるため、着色剤による繊維製品の着色に悪影響を及ぼすことがない。また難燃性能を発揮する官能基として、無機リン官能基だけでなく窒素官能基を併せもっており、窒素官能基は、リン官能基だけでは発揮できない難燃効果を発現でき、リン化合物だけでは不足する難燃性能を補うことができる。
無機リン−窒素系化合物のなかで、ポリリン酸塩が、また中でも特に、ポリリン酸アンモニウムは、リン原子濃度が最も高く、生成するアンモニアとの相乗効果によって、単位重量当たりでは、無機赤リンに次いで効果的な難燃性を有すると言われている。しかしながら、無機リン−窒素系化合物のなかでも、特にポリリン酸塩は熱分解および加水分解し易いものであり、生成するポリリン酸は酸性触媒として作用し、ポリリン酸塩の分解だけでなく、樹脂成分であるポリエステルの分解をも加速させ、紡糸性能や繊維物性に著しい悪影響を及ぼす。このようにポリリン酸塩を繊維製品に適用する場合には、熱および水分によって分解し易く、繊維製造工程における熱履歴が生じるため、細心の注意が必要である。
このため、難燃剤がポリリン酸塩を含む場合には、ポリリン酸塩とホスファゼン類および/または無機赤リンとを併用することが好ましい。難燃剤をかような構成とすることにより、ポリリン酸の生成による悪影響が緩和され、紡糸性能や繊維物性が著しく改善される。したがって、ポリリン酸塩により優れた難燃性を付与するとともに、ポリリン酸塩やポリエステル樹脂の分解が著しく抑制され、利用範囲を格段に広げることが可能となる。
本発明の難燃剤として用いる無機赤リンは、合成樹脂などの難燃剤として一般に用いられる無機赤リンを使用することができる。一般に、無機赤リンは、転化釜と称する反応容器中で黄リンを数日間加熱処理して得られる塊状物を粉砕処理し粉末化して得られる。しかし、このように処理した粉末状赤リンは熱、摩擦、衝撃などの外部刺激に対して不安定な場合があり、物理的または化学的な表面処理を施すことによって、または、黄リンからの熱転化の際に、分散剤を用いることによって安定化することができる。本発明にはこれらすべての形態の無機赤リンを使用することができるが、安定した難燃繊維を得るためには、無機赤リン粉末の平均粒径は10μm以下であり、かつ80質量%以上が粒径20μm以下の粒子で構成されていることが好ましい。更に、無機赤リンを樹脂で被覆し熱可塑性ポリエステル樹脂との相溶性を高め、製造時の安全性および安定性、ならびに繊維製品の信頼性を高めることができる。かような樹脂被覆の方法としては、合成樹脂などを用いるなど公知の方法が利用できる。
本発明に用いる無機赤リンは、上述のように公知の文献などの製造方法によって得られるものすべてを使用できるほか、市販品を使用することができる。該市販品としては、ノーバレット(製品名、燐化学工業株式会社製)およびヒシガード(製品名、日本化学工業株式会社製)がある。
本発明に用いられている無機赤リンはリン原子濃度が高く、リン系難燃剤のなかでも最も難燃効果の高いものであるが、それ自身が赤色を呈しているために、得られた繊維製品も赤色となり、この赤色が様々な着色製品を製造する場合には障害となる。繊維を様々な色に着色するためには、赤色と補色関係にある着色剤を用いて色消をして着色する必要がある。このため、難燃性能を高めるために無機赤リンを多量に使用すると、色消し用の着色剤を余分に使用しなければならず、着色剤の使用量が増え繊維製品の耐光性を著しく損なう原因となる。特に、赤色との補色関係にある着色剤は、光安定性が悪く反応性の高いものが多い上、反応性が高くかつ多量に使用されている無機赤リンと相互作用することも予想される。このため、かような着色剤を多量に使用する場合には耐光性を著しく損ねる原因となる。
本発明の難燃剤では無機リン−窒素化合物により優れた難燃性が付与されるため、無機赤リンの含有量を低減または全廃することができる。したがって、上記のような無機赤リンの着色による問題を抑制でき、その結果、繊維製品の耐光性を向上させることができる。
本発明に用いられる着色剤としては、有機顔料、無機顔料など公知のものが利用できる。例えば、アゾ系、アンスラキノン系、キナクリドン系、シアニングリーンおよびシアニンブルーからなるシアニン系、ジオキサジン系、α型フタロシアニンおよびβ型フタロシアニンからなるフタロシアニン系、ペリノン系、ベリレン系、ならびにポリアゾ系からなる有機顔料;チタンイエロー、群青、酸化鉄、弁柄、亜鉛華、アナターゼ酸化チタンおよびルチル酸化チタンからなる酸化チタン系、ならびにカーボンブラック、グラファイト、スピリットブラック、チャンネルブラックおよびファーネスブラックからなるカーボン系の無機顔料が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。通常はこれらの着色剤の中から適切な顔料を複数選び、適切な量を混合使用することよって難燃性繊維に所望の色づけを施すことができる。また、着色剤を樹脂組成物として原料に直接配合することで、紡糸した繊維に耐光性を付与することができる。特に難燃材として自動車内装材に使用される場合には、常に光による劣化を受け易いため耐光性は極めて重要な要素である。
難燃剤および着色剤は、繊維にとっては異物として認識され、紡糸および延伸過程での糸形成や、繊維製品の物性に著しい影響を及ぼす。特に、難燃剤は十分な難燃性を付与するために樹脂成分に対して相当量を使用する必要がある。このため、難燃剤の影響は大きく、プラスチック成形と比較して、繊維の難燃化には難燃剤に対してより厳しい条件が要求され、少量添加でより難燃効果のあるものが望まれる。
また、燃焼時における難燃剤の作用機構も様々であり、気相での難燃作用と固相での難燃作用とは全く異なるものである。気相では燃焼の連鎖を停止するものや燃焼に必要な酸素濃度を低減するものが難燃剤として好まれる。一方、固相ではチャー形成によって燃焼成分の表面を被覆するもの、イントメッセント(表面膨張層)形成により燃焼時の熱伝導率を減少させるものが難燃剤として望まれている。本発明の難燃剤は、固相では網目状のリン酸エステルからなるチャーを形成し、顕著な難燃性能を発現する。さらに、本発明に用いられる無機リン−窒素化合物は、燃焼時に分解することにより窒素成分に基づくガスを発生する。このため、固相においてイントメッセント形成に役立ち、優れた難燃剤となると共に、気相において燃焼連鎖の停止や酸素濃度の低減により、優れた難燃化を実現する。また、無機赤リンは、固相での難燃作用に優れるだけでなく、酸素と反応し易いことにより燃焼に必要な材料近辺の酸素量を減少させることができるため、気相における難燃作用にも優れる。
したがって、難燃剤中のリン含有量や窒素含有量が難燃性能に大きく影響を及ぼすため重要である。本発明に用いられる主な難燃剤成分のリン含有量および窒素含有量の理論値を示すと、ポリリン酸アンモニムでは、それぞれ31.9%および14.4%、ポリリン酸メラミンでは、それぞれ15.0%および40.8%、ピロリン酸メラミンでは、それぞれ14.4%および39.1%、フェノキシホスファゼンでは、それぞれ13.4%および6.1%、プロポキシホスファゼンでは、それぞれ19.0%および8.6%、ジアミノホスファゼンでは、それぞれ40.2および54.6%である。また、無機赤リンは、リン原子のみで形成されているため、リン含有量は100%であり、窒素含有量は0%である。このため、無機赤リンのリン含有量は格段に高い値を示し、難燃効果の優れた難燃剤であるとことがわかる。次いで、ジアミノホスファゼン、ポリリン酸アンモニウムはリン含有量が高く、難燃効果に優れる。特に、ポリリン酸アンモニウムは白色粉末で取り扱いが容易であり、リン含有量および窒素含有量ともバランスが良いので、無機赤リンに次いで、優れた難燃剤として広範囲に利用されうる。
難燃剤は難燃性能に加えて、樹脂成分中に均一に分散すること、およびかなりの熱履歴を受ける紡糸過程において著しい分解を起こさないことが必要とされる。分解によって生成する酸成分は、エステル化合物の加水分解や熱分解、脱水反応、エステル交換反応などの様々な反応に触媒として作用するため、少量であっても大きな影響を及ぼす場合が多く、使用に当たっては細心の注意が必要である。このため、難燃剤の選択には、リン含有量および窒素含有量に加えて、分解温度、分子量、粒径、粒度分布、形状(線形、分岐および架橋など構造的なものを含む)および相溶性も重要な因子となる。
また、難燃剤は紡糸および延伸過程における糸形成に大きく影響を及ぼす。このため、難燃剤としては、繊維表面への析出や、突起、ブルームング、およびブリードの発生が防止される分散性の良いもの、繊維樹脂成分への溶解を起こさないもの、繊維樹脂成分と反応し悪影響を及ぼさないものなどが求められる。したがって、糸形成および繊維物性の面においても、難燃性能に加えて、難燃剤の分解温度、分子量、粒径、粒度分布、形状(線形、分岐および架橋など構造的なものを含む)および相溶性が重要な因子であり、これら以外に、さらに紡糸および延伸過程における延伸性も重要な因子となる。
これらの因子は互いに相反する関係にある場合がある。例えば、ポリリン酸アンモニウムは優れた難燃性能を有するが、強固なアンモニウムイオン構造を有しているため、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミンおよびホスファゼン類と比較すると、繊維樹脂成分への分散性に劣る。このように、難燃性能や糸形成能に影響を与える因子間、あるいは難燃性能と糸形成能との間には、相反する現象が多々見られる。このため、本発明の難燃剤は、難燃剤を単品で用いるよりも、それぞれの長所を生かして複数併用して用いる方が好ましい。複数の難燃剤を併用して用いることにより、上述した難燃剤に要求される性能の面で好ましい結果が得られ、優れた難燃繊維を得ることができる。
次に本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂について説明する。本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂としては特に制限はなく、熱可塑性であればその構成成分を問わずいずれのポリエステル樹脂も使用することができる。本発明は、無機リン−窒素系化合物を用い、好ましくはポリリン酸塩に無機赤リンおよび/またはホスファゼン類を併用配合することにより、極めて優れた難燃性を原着ポリエステル繊維に付与できることを見出したものである。したがって、得られた難燃性原着ポリエステル樹脂組成物を用いて紡糸し繊維とすることができ、この際の紡糸は湿式、乾式に限らず、公知の方法が利用できる。また、熱可塑性ポリエステル樹脂に限ったのは、熱可塑性であれば廃棄ポリエステルを再利用することができるからである。
このような熱可塑性ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス−(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、およびtrans−ヘキサヒドロテレフタル酸ならびにそれらのアルキルエステル、アリールエステル、およびエチレングリコールエステルなどが挙げられる。一方、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,2−プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールや、ビスフェノールA、およびビスフェノールSならびにそのエチレングリコール、ポリエチレングリコール付加体、ジエチレングリコールおよび、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。更に、ポリ乳酸類のようなヒドロキシカルボン酸の縮合型ポリエステル樹脂を使用することができる。これらの中でも特に、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂としては、大量に使用され安価に入手できるポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが好ましい。また、これらの熱可塑性ポリエステル樹脂は単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂の数平均分子量は特に制限されないが、1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。1,000以上であれば糸形成が可能であり、また、100,000以下であれば粘度の上昇を抑制できるため溶融紡糸が容易である。なお、上記の数平均分子量は例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。通常、上記の数平均分子量は測定が簡単な固有粘度で代用することができ、固有粘度では、0.05〜2.53であり、好ましくは、0.19〜1.40となる。
また、本発明では、該熱可塑性ポリエステルとして使用後に廃棄されたものや、工業製品を製造する際の端材を利用することもできる。すなわち、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂は再生ポリエステル樹脂を含みうる。なお、本発明において、廃棄ポリエステル樹脂とは、使用済みポリエステル樹脂、使用前であるが規格外れ品であって、製品として使用されないものなど、製品以外のポリエステル樹脂を広く含むものとする。このような廃棄ポリエステル樹脂としては、合繊メーカー、フィルムメーカー、ペットボトル製造業、ポリエステル重合メーカーからでる端材や基準グレードを下回るポリエステル樹脂、一般廃棄物の容器包装リサイクル法によって得られるポリエステル樹脂が例示できる。これにより本来廃棄され、または焼却処理の対象となるべき廃材をマテリアルリサイクルすることができ、環境保全に寄与すると共に経済的にも有利である。
本発明で用いられる難燃性ポリエステル樹脂組成物では全ての難燃性ポリエステル樹脂がこのような廃棄ポリエステル樹脂であっても何ら差し支えない。むしろ全ての熱可塑性ポリエステル樹脂が使用済みのものであれば、廃材を原料成分として有効利用できると共に、本来焼却されるものを焼却せずに済むため、二酸化炭素の発生などを防止し、環境保全に寄与することができる。
本発明に用いられる難燃性ポリエステル樹脂組成物において、ポリエステル樹脂組成物の総重量を基準として、無機リン−窒素化合物の含有量は0.1〜12質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%であり、着色剤の含有量は0.01〜5質量%、好ましく0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜2質量%であり、熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は83〜99.89質量%、好ましくは89〜99.45質量%、より好ましくは93〜98.9質量%である。無機リン−窒素系化合物が0.1質量%を下回ると難燃性を付与することが困難となる。一方、無機リン−窒素化合物の含有量が12質量%を超えると紡糸が困難になるからである。さらに着色剤が0.01質量%を下回ると繊維製品を様々な色に着色するのが困難となり、5質量%を超えると変色などの耐光性悪化の原因となり好ましくない。
さらに、無機赤リンを含む場合には、無機リン−窒素化合物の含有量は0.1〜8質量%、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%であり、無機赤リンの含有量は0.1〜8質量%、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。そして、無機リン−窒素系化合物および無機赤リンの含有量の合計が0.2〜12質量%、好ましくは1.0〜8質量%、より好ましくは2.0〜5質量%である。また、着色剤の含有量は0.01〜5質量%、好ましく0.05〜3質量%、より好ましくは0.2〜0.66質量%であり、熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は83〜99.79質量%、好ましくは89〜98.95質量%、より好ましくは94.34〜97.8質量%である。無機赤リンがそれぞれ0.1質量%ならびに無機リン−窒素化合物および無機赤リンの含有量の合計が0.2質量%以上であれば難燃性を付与することできる。一方、無機赤リンが8質量%以下であれば、赤色を消すための色消し用着色剤の量を低減することができる。また無機リン−窒素化合物および無機赤リンの含有量の合計が12質量%以下であれば紡糸が困難とならない。
また、難燃性ポリエステル樹脂組成物がポリリン酸塩を含む場合、難燃剤におけるポリリン酸塩由来のリン原子に対するポリリン酸塩由来でないリン原子の割合は、リン原子比率で0.1〜20であり、好ましくは0.3〜15であり、より好ましく0.5〜10である。ここで、「ポリリン酸塩由来のリン原子」とはポリリン酸塩に含まれるリン原子を意味し、「ポリリン酸塩由来でないリン原子」とはポリリン酸塩以外のリン含有化合物中に含まれるリン原子を意味する。ポリリン酸塩由来のリン原子に対するポリリン酸塩由来でないリン原子の割合がリン原子比率で0.1以上20以下であれば、ポリリン酸塩およびポリエステル樹脂の分解が抑制される。すなわち、上記範囲の無機リン−窒素系化合物、無機赤リン、着色剤を樹脂組成物に配合することで、難燃性に優れると共に紡糸性に優れ、様々な色に着色したバランスの良い難燃性繊維が得られる。
本発明に用いられる難燃性ポリエステル樹脂組成物は、難燃剤および着色剤と、熱可塑性ポリエステル樹脂との割合が、上記割合を満たせばよい。また、これに加えて、紡糸性および繊維特性を損なわない範囲で、更に他の添加物を含ませることもできる。本発明の難燃剤中に含まれうる添加物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸ナトリウムおよびこれらの混合物などのような他の難燃剤が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物中に含まれうる添加物としては、炭酸カルシウム、タルク等の遅燃剤;フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪族カルボン酸などの可塑剤;無機塩、金属石鹸などの安定剤;アルキルフェノール、アルキレンビスフェノールなどの抗酸化防止剤;サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;などがある。
本発明に用いられる樹脂組成物を調製するには、前述の無機リン−窒素系化合物および無機赤リンを含む難燃剤および前述の着色剤のマスターバッチを使用することが好ましい。例えば、予めマスターバッチ基材に難燃剤および/または着色剤を含有するマスターバッチを調製し、両者を混合しこれに熱可塑性ポリエステル樹脂を混合溶融して調製する。マスターバッチとポリエステル樹脂とを溶融混合するには特別の方法を採用する必要はなく、従来公知の方法を採用すればよい。例えば、溶融前の夫々のチップを混合後溶融しても良いし、両者を別々に溶融した後紡糸直前にスタティックミキサーなどを用いて静的に混合してもよい。ただし、マスターバッチを使用することなく、無機リン−窒素系化合物および/または無機赤リンを溶融混合してもよい。特に、難燃剤として樹脂被覆された無機リン−窒素系化合物や無機赤リンを使用する場合には、ポリエステル樹脂との相溶性に優れるために、特にマスターバッチを使用する必要はなく、直接にポリエステル樹脂中に混合溶融することができる。
なお、無機リン−窒素系化合物を含有するマスターバッチを使用する際には、前述の無機リン−窒素系化合物を該マスターバッチ中に5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%含有することが好ましい。5質量%以上であれば、無機リン−窒素系化合物の配合量が十分な量であるためマスターバッチを使用する意義があり、その一方、70質量%以下であればマスターバッチの調製自体が困難とならない。
無機赤リンを含有するマスターバッチを使用する際には、前述の無機赤リンを該マスターバッチ中に5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%含有することが好ましい。5質量%以上であれば、無機赤リンの配合量が十分な量であるためマスターバッチを使用する意義があり、その一方、70質量%以下であればマスターバッチの調製自体が困難とならない。
無機リン−窒素系化合物および無機赤リンのマスターバッチに使用する基材としては、熱可塑性樹脂であってポリエステル樹脂組成物中に配合された後に、該樹脂組成物の特性を失わないものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリプロピレン系樹脂が好ましく、その中でもポリエチレンテレフタレート系ポリエステルやポリブチレンテレフタレート系ポリエステルを主成分として含むもの、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロックコポリマーなどが好ましい。なお、このようなマスターバッチは市販品を使用することができる。
また、着色剤のマスターバッチにおいて、着色剤は該マスターバッチ中に1〜60質量%、より好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは20〜30質量%含有される。1質量%以上であれば、着色剤の配合により所望の色を得ることができ、その一方、60質量%以下であれば着色剤を均一に混合することができる。マスターバッチに使用する樹脂としては、無機リン−窒素系化合物および無機赤リンに用いたものと同様なもの、すなわち熱可塑性樹脂であってポリエステル樹脂組成物中に配合された後に、該樹脂組成物の特性を失わないものであれば特に制限なく使用でき、最も好ましいものとして、熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリプロピレン系樹脂が使用できる。
なお、難燃剤および着色剤のマスターバッチを本発明の難燃性原着ポリエステル繊維の原料として使用するに当たって、それぞれのマスターバッチを別々に製造し、紡糸時に混合することが好ましい。難燃剤および着色剤は、反応性の高い場合が多く、マスターバッチを製造するような高温度および高濃度においては、相互に反応し劣化や変色を起こしやすい。このため、繊維製品における微妙な色の発現に支障となり、品質トラブルの原因となる場合がある。また、マスターバッチに使用する基材は、繊維製品の物性の安定的な維持やリサイクル性を高めるためにも、できるだけ繊維に用いる熱可塑性樹脂と同じもので、かつ単一材料を用いることが好ましい。
さらに、該難燃性原着ポリエステル繊維は、上記樹脂組成物を公知の溶融紡糸方法によって繊維化して得ることができる。その際の断面形状は任意であり、丸断面繊維、異形断面繊維、中空繊維いずれであってもよい。
溶融紡糸は、上述のように湿式、乾式に限らず、公知の方法が利用できるが、好ましくは乾式法で引き取り速度300〜1000m/minであり、紡糸温度は200〜300℃の条件で溶融紡糸を行うことが好ましく、糸形成状態に応じて適宜条件を変化させて最適条件において行う。特に、紡糸温度は、溶融紡糸時の難燃剤の分解を防止する観点から、難燃剤に含まれる無機リン−窒素系化合物の顕著な分解が起こらないように、無機リン−窒素系化合物の分解温度および熱履歴を考慮して、複数の温度を設定して行うことが好ましい。また、続く延伸工程においては従来公知の延伸方法を用いることができ、延伸倍率は1.0〜6.0程度で行う。
このようにして得られる本発明の難燃性原着ポリエステル繊維は、短繊維またはフィラメント等の繊維綿として、または該繊維綿を単に圧縮してフェルトとして使用し、またはそのまま難燃性充填材として使用することができる。この際、本発明の難燃性原着ポリエステル繊維の太さは、1.0〜660デシテックスであることが好ましく、より好ましくは3.3〜330デシテックス、特に好ましくは5.0〜17.0デシテックスである。1.0デシテックス以上の太さとすると糸切れの発生を抑制でき、その一方660デシテックス以下であれば、剛性によって加工が困難となることがない。また、このような短繊維またはフィラメントを単独または他の繊維と併用して従来公知の方法で製織または製編して布帛としてもよい。例えば、難燃性原着ポリエステル繊維糸を緯糸に用い、一方通常の白色ポリエステル延伸糸を経糸に用いた朱子織、または一方の面に難燃性繊維糸が配される二重織にして、布帛としてもよい。
本発明の第二は、上記難燃性原着ポリエステル繊維を5〜100質量%含有する難燃材である。難燃材としては、上記の難燃性原着ポリエステル繊維やこれからなるフェルト、布帛、繊維綿等を用いて調製できる。この際、該難燃材には、難燃性原着ポリエステル繊維が5〜100質量%、より好ましくは10〜50質量%、特には15〜30質量%含有されることが好ましい。本発明の難燃性原着ポリエステル繊維は難燃効果が大きいため、少なくとも5質量%を含有されると難燃材として有効に使用できる。従って、従来の部材に配合して難燃性を付与することができ、しかもその配合量が少量であるため、製品価格を安価にできると共に、従来の部材の風合いを損なわずに難燃効果を付与することができる。
このような難燃性原着ポリエステル繊維を含有する難燃材は、例えば、自動車用の内装材として用いられるシートや、ピラガーニッシュ、リヤパーセル等の内張り、マット、カーペット等の床内張り、サンバイザ、パッケージトレイ、アシストグリップなどの部品、その他、断熱材、各種遮音材、防振材として使用することができる。
本発明の第三は、無機リン−窒素系化合物または前記無機リン−窒素系化合物を含有するマスターバッチ、無機赤リンまたは前記赤リンを含有するマスターバッチ、着色剤を含有するマスターバッチおよび熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維の製造方法である。
本来、ポリエステル樹脂に無機化合物を加えて繊維に紡糸することは困難であり、特にポリエステル樹脂と無機化合物との相溶性が不充分であるために糸切れなどが生じやすかった。しかしながら、本発明では、マスターバッチを使用することで、公知の溶融混合法で簡便に添加物を均一に分散でき、その結果、糸切れすることなく紡糸できる。特に、本発明の方法は、無機リン−窒素系化合物および無機赤リンの無機系難燃剤を配合しつつも従来の溶融紡糸方法をそのまま採用できる点に特徴がある。このマスターバッチを用いる溶融混合は、上記の本発明の樹脂組成物の調製で記載したと同様の方法である。
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
(実施例1〜8)
表1に示す質量%のポリリン酸アンモニウム(APP)1(クラリアント社製、製品名PekoflamTC204、白色粉末、平均粒径8μm、リン含有量32質量%、窒素含有量15質量%、重合度1000、分解温度285℃)、無機赤リンおよび着色剤を含むそれぞれのマスターバッチと、表1に示す質量%のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂1(三菱化学株式会社製、商品名「NOVAPEX」)とをエクストルーダーで溶融混合して、表1に示す割合の難燃性ポリエステル樹脂組成物をそれぞれ得た。次いでこれらを乾式法で引き取り速度520m/min、温度230〜285℃で溶融紡糸し、単糸6.6デシテックスの難燃性ステープル(難燃性繊維1〜7)を得た。
また、PET樹脂1の代わりに、廃PETボトルおよび廃PETフィルムから得られた固有粘度0.65のリサイクルPET樹脂(PET樹脂2)を用いる以外は、実施例4に準じて溶融紡糸して、難燃性ステープル(難燃性繊維8)を得た。
こうして得られた難燃性繊維1〜8について紡糸性を調べた。また、難燃綿試料を作成し、難燃性、着色性、耐光性および機械的物性(強度および伸度)を調べた。その結果を実施例1ないし8として表1に示す。なお、紡糸性、難燃性、耐光性、着色性および機械的物性(強度および伸度)の測定は以下に従った。
(1)紡糸性については、紡糸により難燃性原着ポリエステル繊維糸条を得るときの糸条1t当たりの紡糸について、次の基準をもって紡糸性を評価した。◎:糸切れが5回未満、○:糸切れが5回以上15回未満、△:糸切れが15回以上、×:正常な糸にならず紡糸できない。
(2)難燃性は、特開2001−279073号公報に記載の方法に準じて測定した。予め得られた難燃綿を170±2℃の恒温乾燥機内に10分間放置したものを使用した。試験片として、150mm×100mm×20mmのステンレス製バスケットに全面が均一に、繊維方向が縦に一定となるようにほぐした10gの難燃綿を入れた。また詰める際に、外形から繊維綿が出ないように表面をドライヤーで軽くあてて平らにして、試験片とした。この試験片を設置台から252mmの位置に試験片の蓋側が下となるように水平に固定した。なお、網目は0.2〜0.4mmφのアルミ線を18メッシュに編んだものであり、上蓋は65mm×80mmの窓を横に2つ並べて開けたものである。
火源は、燃料の十分あるチャッカマン(Vestaチャッカマン株式会社東海製)とし、炎長50mm、着火口から試験片までの距離を20mmとした。試験片のほぼ中央に点火し、点火後は火源の周囲の空気を静穏な状態に保ち、燃焼が終了するまで放置した。炎を試験片に10秒間あてて燃え方を観察した。具体的には、炎をあててから着火までの平均時間(秒)、着火してからの燃焼時間の平均時間(秒:残炎平均時間)および最大時間(秒:残炎最大時間)、炭化長の最大値(mm)を測定し評価した。1試料について5試験片を用い、かつ各試験片について2点で評価した。従って、上記平均とは10測定の平均であり、最大とは10測定の最大値である。
着火までの平均時間が長く、燃焼時間が短いものほど、また炭化長が短いものほど難燃性能が優れていると言える。特に、着火までの平均時間に対しては気相での難燃効果の著しい難燃剤が有効であり、燃焼時間に対しては固相での難燃効果の著しいものが有効である。
(3)着色性は、分光測色計CM−3600d(コニカミノルタ製)を用いて、難燃綿試料のL*値、a*値およびb*値を測定して、数値データとして示した。L*値は明るさを、a*値は赤−緑の軸を、b*値は黄−青の軸を表わす、L*a*b*表色系で示し、同時に目視による色彩も記載した。ここで、a*値のプラス側は赤色を、マイナス側は緑色を示し、b*値のプラス側は黄色を、マイナス側は青色を示し、実際の色はL*値をz軸、a*値をx軸、b*値をy軸とする色空間によって表される。
(4)耐光性は常温、水銀灯下15cmで24時間放置したのち、下記の式で表されるΔEab値を、CM−3600d(コニカミノルタ製)で求めた。
Figure 2010001972
ここで、Δa、ΔbおよびΔLは、水銀灯照射前後のa*、b*およびL*値の差を示し、ΔEab値の小さいものほど優れていると言える。
(5)機械的物性(強度および伸度)は、卓上型材料試験機 STA−1150(株式会社オリエンテック製)で測定した。1試料について10測定した。強度および伸度が大きいものほど機械的物性の優れた繊維であると言える。
(6)分解温度はDSC装置を用い測定し、分解温度はガス発生に基づく吸熱ピークにおけるベースラインと吸熱ピーク立ち上がりの交点温度とし、測定しなかったものについてはカタログ値を用いた。
(7)固有粘度は、オルソクロロフェノール100mlに対してポリエチレンテレフタレート試料8gを溶解した溶液の相対粘度ηをオストワルド式粘度計を用いて測定することにより(25℃)、以下の近似式によって算出され、得られた固有粘度は下記の粘度式により数平均分子量と関係付けられる。
Figure 2010001972
Figure 2010001972
Figure 2010001972
(実施例9〜14)
ポリリン酸アンモニウム(APP)1の代わりに、表2に示す質量%のポリリン酸アンモニウム(APP)2(ブーデンハイム社製、製品名テラージュC−30、白色粉末、平均粒径10μm、リン含有量32質量%、メラミン被覆品、分解温度305℃)、ポリリン酸アンモニウム(APP)3(鈴祐化学製、製品名ファイアカット760、白色粉末、平均粒径8μm、リン含有量32質量%、分解温度250℃)、ポリリン酸メラミン(三和化学製、製品名MPP−A、白色粉末、平均粒径4μm、リン含有量15質量%、分解温度320℃)、ピロリン酸メラミン(鈴祐化学製、製品名ファイアカットCLMP、白色粉末、リン含有量15質量%、窒素含有量38質量%、平均粒径10μm、分解温度310℃)、ポリフェノキシホスファゼン(大塚化学製、製品名ホスファゼン、リン含有量13質量%、分解温度350℃以上)を用いる以外は、実施例1に準じて紡糸を行ない、難燃性ステープル(難燃性繊維9〜14)を得た。これらの難燃性繊維9〜14について、実施例1と同様に紡糸性、難燃性、着色度、耐光性および機械的物性(強度および伸度)を調べ、その結果を実施例9〜14として表2に示した。
Figure 2010001972
(比較例1〜6)
表3に示す質量%のポリリン酸アンモニウム(APP)1、ポリリン酸アンモニウム(APP)3、無機赤リンを用いる以外は、実施例1に準じて紡糸を行ない、難燃性ステープル(比較難燃性繊維1〜6)を得た。これらの比較難燃性繊維1〜6について、実施例1と同様に紡糸性、難燃性、着色度、耐光性および機械的物性(強度および伸度)を調べ、その結果を比較例1ないし7として表3に示した。
Figure 2010001972
実施例1〜14と、比較例1〜6との比較により、無機リン−窒素化合物および赤リンの使用量が少ないと難燃性を付与することが困難であり、一方、無機リン−窒素化合物および赤リンの使用量が多くなると紡糸性が悪くなることがわかった。
また、無機赤リンの使用量が多くなると、赤色を消すために着色剤の使用が多くなり、かつ無機赤リンとの相互作用も起こり易くなるため、耐光性が悪化し好ましくないことがわかる。
さらに、ポリリン酸アンモニウム(APP)3(分解温度250℃)を単独で用いた比較例6に比べて、ポリリン酸アンモニウム(APP)3と無機赤リンまたはホスファゼン類とを併用した実施例10および14では、紡糸性および難燃性に優れることがわかる。比較例6は分解温度の低いポリリン酸アンモニウム(APP)3を単独で用いたため、分解が生じ、紡糸性および難燃性が悪くなったと推定される。一方、ポリリン酸塩と無機赤リンまたはホスファゼン類との併用系においては、ポリリン酸塩の分解が抑制され、紡糸性および難燃性に優れた難燃性原着ポリエステル繊維が得られたと推定される。実施例1〜13において、ポリリン酸塩と無機赤リンとの併用により紡糸性が向上し、また一定量以下の無機赤リンに、無機リン−窒素化合物、特に、ポリリン酸アンモニウムを併用することにより、紡糸性、難燃性、着色度、耐光性および機械的物性の優れた難燃性原着ポリエステル繊維が得られることがわかる。
(実施例15)
実施例2、6、8、10、11および13で得た難燃性繊維2、6、8、10、11および13に、難燃加工未処理繊維(表中、未処理繊維と表記する)を表4に示す割合で配合して難燃綿を調製し、難燃材1〜6とした。これらの難燃性を調べた。なお、難燃加工未処理繊維は、ポリエステル樹脂組成物としてポリリン酸アンモニウムを含ませないこと以外は実施例1と同様にして調製したポリエステル樹脂組成物を紡糸した未処理繊維である。難燃材1〜6(難燃綿)の難燃性の評価は、実施例1と同様の方法を採用した。結果を表4に示す。
また、比較例1で得られた難燃性繊維(比較難燃性繊維1)に、難燃加工未処理繊維を表4に示す割合で配合し、上記の難燃材1に準じて難燃綿を調製し、比較難燃材1として、これらの難燃性を調べ、その結果を表4に示した。難燃性の評価は、実施例1と同様の方法を採用した。
さらに、表4において市販の難燃性繊維として、紡糸用樹脂組成物に共重合ポリエステルを用いている東洋紡績株式会社製、商品名「ハイム」を比較難燃性繊維2として、同様に難燃加工未処理繊維を配合し、比較難燃材2として難燃性を調べ、その結果を表4に示した。
Figure 2010001972

Claims (11)

  1. ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびホスファゼン類からなる群より選択される少なくとも1つの無機リン−窒素系化合物を含む難燃剤と、着色剤と、熱可塑性ポリエステル樹脂と、を含む難燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られる繊維であって、
    前記ポリエステル樹脂組成物の総重量を基準として、前記無機リン−窒素系化合物の含有量は0.1〜12質量%であり、前記着色剤の含有量は0.01〜5質量%でありおよび前記熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は83〜99.89質量%であることを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維。
  2. ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびホスファゼン類からなる群より選択される少なくとも1つの無機リン−窒素系化合物ならびに無機赤リンを含む難燃剤と、着色剤と、熱可塑性ポリエステル樹脂と、を含む難燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られる繊維であって、
    前記ポリエステル樹脂組成物の総重量を基準として、前記無機リン−窒素系化合物の含有量は0.1〜8質量%であり、前記無機赤リンの含有量は0.1〜8質量%であり、前記着色剤の含有量は0.01〜5質量%でありおよび前記熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は83〜99.79質量%であり、
    かつ前記無機リン−窒素系化合物および前記無機赤リンの含有量の合計が0.2〜12質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
  3. 前記無機リン−窒素系化合物が、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンからなる群より選択される少なくとも1つのポリリン酸塩と、ホスファゼン類と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
  4. 前記無機リン−窒素系化合物が、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンからなる群より選択される少なくとも1つのポリリン酸塩を含み、
    難燃剤におけるポリリン酸塩由来のリン原子に対するポリリン酸塩由来でないリン原子の割合がリン原子比率で0.1〜20であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
  5. 前記無機リン−窒素系化合物の分解温度が270℃以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
  6. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂が再生ポリエステル樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
  7. 前記着色剤が、アゾ系、アンスラキノン系、キナクリドン系、シアニングリーンおよびシアニンブルーからなるシアニン系、ジオキサジン系、α型フタロシアニンおよびβ型フタロシアニンからなるフタロシアニン系、ペリノン系、ベリレン系、ポリアゾ系、チタンイエロー、群青、酸化鉄、弁柄、亜鉛華、アナターゼ酸化チタンおよびルチル酸化チタンからなる酸化チタン系ならびにカーボンブラック、グラファイト、スピリットブラック、チャンネルブラックおよびファーネスブラックからなるカーボン系からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
  8. 乾式法で引き取り速度300〜1000m/min、紡糸温度200〜300℃で溶融紡糸して得られる繊維である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性原着ポリエステル繊維。
  9. 無機リン−窒素系化合物または前記無機リン−窒素系化合物を含有するマスターバッチ、無機赤リンまたは前記無機赤リンを含有するマスターバッチ、着色剤を含有するマスターバッチおよび熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性原着ポリエステル繊維の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性原着ポリエステル繊維または請求項9の製造方法により得られる難燃性原着ポリエステル繊維を5〜100質量%含有する難燃材。
  11. 請求項10に記載の難燃材を用いた自動車用内装材。
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