JPWO2009136626A1 - エレクトロクロミック材料 - Google Patents

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Abstract

本発明は、4級ピリジニウム塩、テレフタル酸ジエステル若しくはビフェニル−4,4’−ジエステル構造に由来するエレクトロクロミック特性を発現する部分を有するハイパーブランチポリマーからなるエレクトロクロミック高分子化合物、該高分子化合物より得られるワニス、薄膜状構造体及びエレクトロクロミック素子に関する。本発明のエレクトロクロミック材料は応答速度が速く、高い着色効率を有し、繰り返し安定性に優れ長期使用可能であり、しかも種々の溶媒への溶解性に優れている。

Description

本発明は、エレクトロクロミック材料に関し、さらに詳述すると、エレクトロクロミック特性を発現する化合物をポリマー部分として有するハイパーブランチポリマーからなるエレクトロクロミック材料に関する。
調光素子や表示素子に応用されるエレクトロクロミック素子は、電圧を印加すると可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に着色化または無色化されるエレクトロクロミズムという現象を利用した素子である。このエレクトロクロミック素子は、一般に、例えば透明電極基板、エレクトロクロミック層、対極基板が順次設けられている素子により構成される。
これまで、エレクトロクロミック特性を有する化合物として、例えば酸化タングステンなどの無機化合物が知られており(特許文献1)、透明電極上に該無機酸化物を真空蒸着法またはスパッタリング法にて成膜して、エレクトロクロミック素子を作製する方法が提案されている。しかしながら、この製造方法は、膜形成時に真空技術が必須であり、コストが高くなるという課題がある。
より安価で簡単な製造工程により製造できる素子として、例えばビオロゲン誘導体などからなる有機エレクトロクロミック化合物等を利用した各種エレクトロクロミック素子が提案されている。
例えば、緑色エレクロトクロミック表示用ビオロゲン化合物(特許文献2)、ビオロゲン構造を有する高分子化合物を用いたエレクトロクロミックミラー(特許文献3)、高分子固体電解質の前駆体成分と反応性ビオロゲン化合物の共重合により得られる電解質層を設けたエレクトロクロミック素子(特許文献4)などが提案されている。
さらに、陽イオンのドープによりエレクトロクロミック特性を発現させたトリアジン環含有多分岐重合体(特許文献5)、外周部にエレクトロクロミック機能を有する機能性官能基からなる機能性層を有するコア−シェル型ミクロスフェア(該ミクロスフィアは例えばデンドリマーやハイパーブランチポリマーである)の含有層を有するエレクトロクロミック素子(特許文献6)など、ハイパーブランチポリマーのエレクトロクロミック素子への適用も提案されている。
特開昭63−18336号公報 特開平5−170738号公報 特開平11−38454号公報 特開平11−183940号公報 特開平9−302073号公報 特開2003−121883号公報
これまでに提案されている有機エレクトロクロミック化合物は、特に表示素子への適用という観点から、応答速度や着色効率、繰り返し安定性などの点において、従来の表示素子である液晶におけるそれら性能と比して課題を残すものであり、更なる性能向上が求められるものであった。
また前述のハイパーブランチポリマー等の高分子化合物を用いた有機エレクトロクロミック化合物にあっては、各種有機溶媒に対する溶解性が低く、使用可能な溶媒が限定されることとなり、素子作製時の薄膜形成が困難であるなどの問題もあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、応答速度が速く、高い着色効率を有し、繰り返し安定性に優れ長期使用可能であり、しかも種々の溶媒への溶解性に優れるエレクトロクロミック材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、エレクトロクロミック特性を発現する4級ピリジニウム塩含有化合物に由来する部分、又は、テレフタル酸ジエステル構造若しくはビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分をポリマーの一部に有するハイパーブランチポリマー、詳細には、上記4級ピリジニウム塩含有化合物に由来する部分、又は、テレフタル酸ジエステル構造若しくはビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分を前記ハイパーブランチポリマーの分岐鎖末端に配置させた高分子化合物を用いることで、優れたエレクトロクロミック特性と溶解性に優れる高分子材料となり得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は第1観点として、エレクトロクロミック特性を発現する部分を有するハイパーブランチポリマーからなるエレクトロクロミック材料に関する。
第2観点として、前記エレクトロクロミック特性を発現する部分が、4級ピリジニウム塩からなる化合物に由来するか、又は、テレフタル酸ジエステル構造の部分若しくはビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分であることを特徴とする、第1観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第3観点として、前記ハイパーブランチポリマーが、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする第1観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、
2はシアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、4−ニトロスチリル基、又は式(2a)、式(2b)又は式(2c)
(式(2a)、式(2b)又は式(2c)中、R7はエーテル結合又はエステル結合を含む、炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表し、
8乃至R11は夫々独立して、水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表し、
-は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、PhSO3 -、4−MePhSO3 -又はR12SO4 -を表す。(前記式中Phはフェニル基、Meはメチル基、R12は炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表す。))
で表される構造を表すか、又は水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表し、
3乃至R6は夫々独立して、水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表し、又は
3又はR5は前記式(2a)、式(2b)又は式(2c)で表される構造を表し、
-は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、PhSO3 -、4−MePhSO3 -又はR12SO4 -を表し(前記式中Phはフェニル基、Meはメチル基、R12は炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表す。)、
1は式(3)
(式(3)中、A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基を表し、
1乃至Z4は、夫々独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される構造を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって2乃至100,000の整数を表す。〕
第4観点として、前記A1が、式(4)で表される構造であることを特徴とする第3観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第5観点として、前記X-及び前記Y-が、夫々独立して、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンである、第3観点又は第4観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第6観点として、前記X-及び前記Y-の何れか一方が塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンであり、他方がPhSO3 -又は4−MePhSO3 -であることを特徴とする、第3観点又は第4観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第7観点として、前記R7がエーテル結合を含む炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である、第3観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第8観点として、前記R7が炭素原子数1乃至10のアルコキシ基で置換された直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素原子数1乃至10のアルキル基である、第7観点に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第9観点として、前記R7が炭素原子数1乃至10の分岐鎖状アルコキシ基で置換された炭素原子数1乃至10のアルキル基であって、該分岐状アルコキシ基が酸素原子に結合する炭素原子において分岐しているアルキル基である、第8観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第10観点として、前記R7が2−メトキシエチル基又は2−イソプロポキシエチル基である、第8観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第11観点として、前記R7が2−メトキシエチル基又は2−イソプロポキシエチル基であり、前記X-が臭素イオンであり、前記Y-が4−MePhSO3 -であることを特徴とする、第10観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第12観点として、前記R3、R5、R9、R11がメチル基であることを特徴とする、第11観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第13観点として、前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500乃至5,000,000であることを特徴とする、第3観点乃至第12観点のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第14観点として、前記ハイパーブランチポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーAを、該モノマーA 1モルに対して5モル%乃至200モル%の量の重合開始剤Bの存在下で重合させることにより得られるところの高分岐ポリマーの末端に、必要により結合基を介してテレフタル酸ジエステル構造の部分又はビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分を結合してなる高分子化合物であることを特徴とする、第1観点記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第15観点として、前記モノマーAが1分子中にビニル基又は(メタ)アクリル基のうち何れか一方を少なくとも2つ有する化合物である、第14観点に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第16観点として、前記モノマーAがジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、第15観点に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第17観点として、前記モノマーAがジビニルベンゼン又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、第16観点に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第18観点として、前記重合開始剤Bがアゾ系重合開始剤である、第14観点乃至第17観点のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第19観点として、前記重合開始剤Bが2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]である、第18観点に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第20観点として、前記ハイパーブランチポリマーがゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される1,000乃至200,000の重量平均分子量(Mw)を有する高分子化合物である、第14観点乃至第19観点のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料に関する。
第21観点として、第1観点乃至第20観点のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料が、少なくとも1種の溶剤に溶解又は分散していることを特徴とするワニスに関する。
第22観点として、第1観点乃至第20観点のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料を含有する薄膜状構造体に関する。
第23観点として、少なくとも片方が透明である2枚の電極層間に、第1観点乃至第20観点のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料を含有する薄膜状構造体が挟まれているエレクトロクロミック素子に関する。
本発明のエレクトロクロミック材料は、応答速度が速く、高い着色効率を有し、繰り返し安定性に優れ長期使用可能なエレクトロクロミック特性を有する。また着色効率が極めて高いため、膜厚を薄くしても高いコントラストを得ることができ、一層の薄膜化による応答速度向上が達成できる。
また本発明のエレクトロクロミック材料は、高分子化合物という特性を生かして、簡単な塗布・乾燥操作でそのまま薄膜状の構造体を形成させることが可能である。しかも、本発明のエレクトロクロミック材料は、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)だけでなく、アルコールや水などにも可溶であることから、溶媒を限定することなくワニスの形態にすることができ、薄膜状の構造体を形成することができる。
図1は本発明のエレクトロクロミック素子の構成例を示す断面図である。 図2は本発明のエレクトロクロミック素子の別の構成例を示す断面図である。 図3は実施例1で作製したエレクトロクロミックセル(EC発色層膜厚:300nm)に正電圧又は負電圧を印加した際の、波長530nmにおける透過率の時間変化を示す図である。 図4は実施例1で作製したエレクトロクロミックセル(EC発色層膜厚:300nm)に正負の電圧を繰り返し印加した際の、波長530nmにおける透過率の時間変化を示す図である。 図5は実施例1で作製したエレクトロクロミックセル(EC発色層膜厚:300nm)に電圧を印加後、回路を切断し、再び電圧を印加した際の、波長530nmにおける透過率の時間変化を示す図である。 図6は実施例1で作製したエレクトロクロミックセル(EC発色層膜厚:500nm)の電圧印加前、電圧印加2秒後の吸光度変化(400nm乃至800nm)及びそれらの吸光度の変化量を示す図である。 図7は実施例1で作製したエレクトロクロミックセル(EC発色層膜厚:300nm及び500nm)の電圧印加前後の吸光度変化量の吸光度変化(400nm乃至800nm)を示す図である。 図8は実施例2で作製したEC基導入量が100%のHBPS−EC−15(OTs、Br)試料で作製したエレクトロクロミック薄膜の、印加電圧−0.2V又は−1.0Vにおける透過率変化(330nm乃至1050nm)を示す図である。 図9は実施例2で作製した、EC基導入率を種々変化させたHBPS−EC−15(OTs、Br)試料で作製したエレクトロクロミック薄膜の、印加電圧−1.0Vにおける透過率変化(330nm乃至1050nm)を示す図である。 図10は合成例12で製造した高分岐ポリマー(H−DVB−OH)の1H NMRスペクトルの測定結果を示す図である。 図11は合成例12で製造したH−DVB−Iの1H NMRスペクトルの測定結果を示す図である。 図12は合成例12で製造したH−DVB−Iの13C NMRスペクトルの測定結果を示す図である。 図13は合成例12で製造したH−DVB−EC(Y)の1H NMRスペクトルの測定結果を示す図である。 図14は合成例13で製造したH−DVB−EC(M)の1H NMRスペクトルの測定結果を示す図である。 図15は実施例3で作製したエレクトロクロミックセルの印加電圧−3.5Vにおける透過率変化(300nm乃至600nm)を示す図である。
本発明のエレクトロクロミック材料は、4級ピリジニウム塩含有化合物に由来する部分、又は、テレフタル酸ジエステル構造の部分若しくはビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分をポリマーの一部に有するハイパーブランチポリマーである。
本発明で用いられる前記ハイパーブランチポリマーとしては、まずは前記式(1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はシアノ基、ニトロ基又は前記式(2a)、式(2b)又は式(2c)で表される構造を表すか、又は水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表す。R3乃至R6は夫々独立して、水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表し、又は、R3又はR5は前記式(2a)、式(2b)又は式(2c)で表される構造を表す。
-は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、PhSO3 -、4−MePhSO3 -又はR12SO4 -を表す(前記式中Phはフェニル基、Meはメチル基、R12は炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表す。)。
nは繰り返し単位構造の数であって、2乃至100,000の整数を表す。
また、A1は前記式(3)で表される構造を表す。
式(2a)、式(2b)又は式(2c)中、R7はエーテル結合又はエステル結合を含む炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表す。
8乃至R11は夫々独立して、水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表す。
そしてY-は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、PhSO3 -、4−MePhSO3 -又はR12SO4 -を表す(前記式中Phはフェニル基、Meはメチル基、R12は炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表す。)。
式(3)中、A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基を表す。
1乃至Z4は、夫々独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される構造を表す。
前記式(1)中のR2乃至R6、式(2a)、式(2b)又は式(2c)中のR8乃至R11、式(3)中のA2における直鎖状アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、ノルマルプロピレン基、ノルマルブチレン基、ノルマルヘキシレン基等が挙げられる。また、前記分岐鎖状アルキレン基の具体例としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基等が挙げられる。
さらに、前記環状アルキレン基としては、炭素原子数3乃至30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素原子数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。
前記式(2a)、式(2b)又は式(2c)中のR7においてエーテル結合又はエステル結合を含む、炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基とは、例えば、前記段落[0026]で述べた直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基中にエーテル結合又はエステル結合を含む基を挙げることができる。
より好ましくは、R7はエーテル結合を含む炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。特に得られる化合物の吸湿性、潮解性のなさを考慮すると、特に好ましくは炭素原子数1乃至10のアルコキシ基で置換された炭素原子数1乃至10のアルキル基、最も好ましくは炭素原子数1乃至10の分岐鎖状アルコキシ基で置換された炭素原子数1乃至10のアルキル基であって、該分岐鎖状アルコキシ基が酸素原子に結合する炭素原子において分岐しているアルキル基である。
具体的には、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基、イソプロポキシメチル基、2−イソプロポキシエチル基、sec−ブトキシメチル基、2−sec−ブトキシエチル基、シクロヘキソキシメチル基、1−シクロヘキソキシエチル基、シクロペントキシメチル基、1−シクロペントキシエチル基等が挙げられ、好ましくは2−メトキシエチル基及び2−イソプロポキシエチル基であり、特に好ましくは2−イソプロポキシエチル基である。
また前記式(2a)、式(2b)又は式(2c)中のR7における炭素原子数1乃至30のヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基等、アルケニル基の例としてはビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基及びシンナミル基等、アルキニル基の例としてはエチニル基、1−プロピニル基及び1−ブチニル基等、そしてアラルキル基の例としてはベンジル基及び2−フェニルエチル基等が挙げられる。
さらにアリール基の例としてはフェニル基、ビフェニル骨格、ターフェニル基およびナフチル基等、複素環基の例としてはピリジル基及びピペリジニル基等が挙げられる。
前記式(1)中のX-または式(2a)、式(2b)又は式(2c)中のY-は、溶媒への溶解性を考慮すると、夫々独立して、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンであることが好ましい。
或いは、前記X-または式(2a)、式(2b)又は式(2c)中のY-は、何れか一方が塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンであり、他方がPhSO3 -又は4−MePhSO3 -であることが好ましく、特に、前記X-が臭素イオンであり、前記Y-が4−MePhSO3 -であることが最も好ましい。
また前記式(3)中のZ1乃至Z4における炭素原子数1乃至20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。
また、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキソキシ基及びノルマルペントキシ基等が挙げられる。
上記のZ1乃至Z4において、特に水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基であることが好ましい。
<式(1)で表されるハイパーブランチポリマーの製造方法>
上記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、4級ピリジニウム塩含有化合物と、式(5)で表されるハイパーブランチポリマー(以降、HBPS−Halとも称する)を反応させることにより、製造可能である。
式(5)中、R1、A1及びnは上述の定義と同義であり、B1及びB2はハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。
上記式(5)で表されるHBPS−Halは、例えば、分子末端(上記式(5)中、B1及びB2に相当する基)にジチオカルバメート基を有する分岐鎖状の光重合性高分子を、例えばジチオカルバメート基を有するスチレン化合物の光重合による合成方法(Koji Ishizu, Akihide Mori, Macromol. Rapid Commun. 21,665−668(2000)、Koji Ishizu, Akihide Mori, Polymer International 50,906−910(2001)、Koji Ishizu, Yoshihiro Ohta, Susumu Kawauchi, Macromolecules Vol.35, No.9, 3781−3784(2002))や、ジチオカルバメート基を有するアクリル化合物の光重合による合成方法(Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, AkihideMori, Polymer International 51,424−428(2002)、Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Susumu Kawauchi, Macromolecules Vol.36, No.10, 3505−3510(2002)、Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Jaebum Park, Satoshi Uchida, Polymer International 53,259−265(2004))によって合成し、上記ジチオカルバメート基をハロゲン化することにより、製造することができる。
具体的には、下記式(6)で表されるジチオカルバメート化合物をリビングラジカル重合した後、ジチオカルバメート基をハロゲン化し、前記式(5)で表されるHBPS−Halを製造する。
式(6)中、R1及びA1は上述の定義と同義であり、R13及びR14は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基を表し、又は、R13とR14は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよい
炭素原子数1乃至5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、ノルマルペンチル基等が挙げられる。
炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
また、R13とR14が互いに結合し、それらと結合する窒素原子と共に形成する環としては、四乃至八員環が挙げられる。そして、環としてメチレン基を四乃至六個含む環が挙げられる。また、酸素原子又は硫黄原子と、4乃至6個のメチレン基を含む環も挙げられる。
13とR14が互いに結合し、それらと結合する窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環等が挙げられる。
上記式(6)で表される化合物のリビングラジカル重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合形式により行なうことができるが、有機溶媒溶液中での溶液重合が好ましい。
溶液重合の場合は、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物を溶解可能な有機溶媒溶液中で、任意の濃度で重合反応を行なうことができる。この場合、溶液中において式(6)で表されるジチオカルバメート化合物の濃度は任意であるが、例えば、1乃至80質量%であり、好ましくは2乃至70質量%であり、より好ましくは5乃至60質量%である。
有機溶媒としては、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物を溶解可能な有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶媒は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
式(6)で表されるジチオカルバメート化合物のリビングラジカル重合は、有機溶媒溶液中、加熱又は紫外線等の光照射によって行なうことができるが、紫外線等の光照射によって行なうことが好ましい。光照射は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等の紫外線照射ランプを使用して、反応系の内部又は外部から照射することによって行なうことができる。
リビングラジカル重合においては、重合開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。
重合時間としては、0.1乃至100時間であり、好ましくは1乃至50時間であり、より好ましくは3乃至30時間である。通常、重合時間の経過と共にモノマー(式(6)で表されるジチオカルバメート化合物)の転化率は増加する。重合温度は特に制限されないが、0乃至200℃であり、好ましくは10乃至150℃であり、より好ましくは20乃至100℃である。
式(6)で表されるジチオカルバメート化合物のリビングラジカル重合時には、分子量や分子量分布を調整するために、メルカプタン類、スルフィド類等の連鎖移動剤や、二硫化テトラエチルチウラムなどのスルフィド化合物を使用することができる。さらに、所望により、ヒンダードフェノール類などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤、4−tert−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、ピクリン酸、フェノチアジン、ジチオベンゾイルジスルフィド等の重合禁止剤も使用できる。
さらに、リビングラジカル重合時には、枝分かれ度や重合度を調整するために、ジチオカルバメート基を有していない公知のビニルモノマー又は不飽和二重結合を有する化合物を添加することもできる。これらは、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物の総量に対して50モル%未満の割合で使用することができる。これらの具体例としては、スチレン類、ビニルビフェニル類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルピロリドン類、アクリロニトリル類、マレイン酸類、マレイミド類、ジビニル化合物類及びトリビニル化合物類が挙げられる。
なお、上記式(6)で表されるジチオカルバメート化合物は、下記の式(7)で表される化合物と式(8)で表される化合物との求核置換反応により容易に得ることができる。
式(7)中、R1及びA1は上述の定義と同義であり、Dは脱離基を表す。脱離基としてはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メシル基、トシル基等が挙げられる。式(8)中、R13及びR14は上述の定義と同義であり、Mはリチウム、ナトリウム又はカリウムを表す。
本求核置換反応は、通常上記二種類の化合物を両方溶解できる有機溶媒中で行なうことが好ましい。反応後、水/非水系有機溶媒による分液処理や、再結晶処理によって式(6)で表されるジチオカルバメート化合物を高純度で得ることができる。また、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物は、Macromol.Rapid Commun. 21,665−668(2000)又はPolymer International 51,424−428(2002)に記載の方法を参照して製造することもできる。
式(6)で表されるジチオカルバメート化合物の具体例はN,N’−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン等が挙げられる。
上述のようにして得られるジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーを、ハロゲン原子に置換することによって、前記式(5)で表されるハイパーブランチポリマーを得ることができる。
ハロゲン化の方法は、ジチオカルバメート基をハロゲン原子に変換することができる方法であれば、特に制限はない。本反応で使用できるハロゲン化剤としては、塩素、N−クロロコハク酸イミド、塩素化イソシアヌール酸、塩化スルフリル、tert−ブチルハイポクロリド、三塩化リン、五塩化リン、トリフェニルホスフィンジクロリド、塩化第二銅、五塩化アンチモン等の塩素化剤、臭素、N−ブロモコハク酸イミド、N−ブロモグルタルイミド、N,N’,N’’−トリブロモイソシアヌル酸、N,N’−ジブロモイソシアヌル酸ナトリウム、N,N’−ジブロモイソシアヌル酸カリウム、N,N’−ジブロモイソシアヌル酸、N−ブロモイソシアヌル酸ナトリウム、N,N’−ジブロモヒダントイン、N−ブロモヒダントインカリウム、N,N’−ジブロモヒダントインナトリウム、N−ブロモ−N’−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、1−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインナトリウム、1−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインカリウム、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインナトリウム、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインカリウム等の臭素化剤、ヨウ素、N−ヨードコハク酸イミド、ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸、ヨウ素酸等のヨウ素化剤を使用することができる。ハロゲン化剤の使用量は、ハイパーブランチポリマー内のジチオカルバメート基の数に対して1乃至20倍モル当量、好ましくは1.5乃至15倍モル当量、より好ましくは2乃至10倍モル当量であればよい。置換反応の条件としては、反応時間0.01乃至100時間、反応温度0乃至300℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間0.1乃至10時間、反応温度20乃至150℃である。
分子末端のジチオカルバメート基をハロゲン原子に置換する反応は、水又は有機溶剤中で行なうことが好ましい。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーとハロゲン化剤とを溶解可能なものが好ましい。また、該溶剤がジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーを製造する際に使用する溶剤と同じものであると、反応操作も簡便になり好ましい。
ハロゲン化の方法としては、有機溶剤溶液中、臭素等のハロゲン化剤を使用して、加熱還流することによって行なう反応が好ましい。有機溶剤としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、酢酸等の有機酸系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種またはそれ以上を混合して用いてもよい。また、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2乃至1,000倍質量、好ましくは1乃至500倍質量、より好ましくは5乃至100倍質量、最も好ましくは10乃至50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間0.01乃至100時間、反応温度0乃至200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間0.1乃至5時間、反応温度20乃至150℃である。
反応後は系内に残存するハロゲン化剤を分解処理することが望ましいが、その際、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤の水溶液、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ水溶液を用いることが出来る。また、エチレン、プロピレン、ブテン、シクロヘキセン等の不飽和結合を含む化合物と反応させてもよい。使用量は用いたハロゲン化剤に対して、0.1乃至50当量、好ましくは、0.5乃至10当量、より好ましくは1乃至3当量であれば良い。上述のような反応によって得られた分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることにより分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。
こうして得られた式(5)で表される分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマー(HBPS−Hal)を4級ピリジニウム塩含有化合物と反応させることにより、式(1)で表されるエレクトロクロミック特性を発現する部分を有する高分子化合物を製造する。
式(5)で表されるHBPS−Halと反応させる前記4級ピリジニウム塩含有化合物としては、例えばピリジン及びその誘導体、ビオロゲン及びその誘導体等からなる塩が挙げられ、前記塩としては、例えば、ハロゲン化物塩(塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩等)、過ハロゲン酸塩(過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等)、無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、四フッ化ホウ酸塩、六フッ化リン酸塩、酢酸塩等)等が挙げられる。中でも好ましくは塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、過塩素酸塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、スルホン酸塩、四フッ化ホウ酸塩、六フッ化リン酸塩等が挙げられ、最も好ましくは、塩化物塩、臭化物塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、スルホン酸塩、四フッ化ホウ酸塩である。
特に好ましい化合物として、例えば、4,4’−ビピリジニウム誘導体、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビピリジニウム誘導体、4−シアノピリジニウム誘導体、4−トリフルオロメチルピリジニウム誘導体、4−ニトロスチリルピリジニウム誘導体等の上記塩類を挙げることができる。
また下記一般式で表される化合物等も好適な化合物として挙げることができる。
上記式中、Pはビピリジニウム基の窒素原子に対して4位又は2位で結合したチオフェニル基、フリル基、ビチオフェニル基、ターチオフェニル基、フルオレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、ビニル基又は単結合を表し、Ra及びRbはそれぞれ独立してアルキル基、ポリ(テトラメチレンオキシ)基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、Q-は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、PhSO3 -、4−MePhSO3 -又はR12SO4 -を表す(前記式中Phはフェニル基、Meはメチル基、R12は炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表す。)。
前記式(5)で表されるHBPS−Halと前記4級ピリジニウム塩含有化合物との反応は、有機溶剤中で、対応する塩基の存在下で行うことができる。対応する塩基の量は、前記式(5)で表されるHBPS−Hal中のハロゲン原子の1モル当量に対して0.1乃至20倍モル当量、好ましくは0.5乃至10倍モル当量、より好ましくは1乃至5倍モル当量で使用される。
使用する溶剤は、前記4級ピリジニウム塩含有化合物と前記式(5)で表されるHBPS−Halを溶解可能なものであればよく、さらに、反応後の高分子化合物を溶解しない溶剤であればより好ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系化合物、ジメチルスルホキシド等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、使用量は、式(5)で表されるHBPS−Halの質量に対して0.2乃至1,000倍質量、好ましくは1乃至500倍質量、より好ましくは5乃至100倍質量、最も好ましくは10乃至50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。
また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。
反応条件としては、反応温度0乃至300℃、反応時間0.01乃至100時間から適宜選択される。好ましくは反応温度20乃至150℃、反応時間0.1乃至10時間である。
このようにして製造された式(1)で表されるハイパーブランチポリマーである本発明のエレクトロクロミック材料は、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwが500乃至5,000,000であり、好ましくは1,000乃至1,000,000であり、より好ましくは2,000乃至500,000であり、最も好ましくは3,000乃至100,000である。また、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)としては1.0乃至7.0であり、好ましくは1.1乃至6.0であり、より好ましくは1.2乃至5.0である。
また、本発明のエレクトロクロミック材料としては、前述の式(1)で表されるハイパーブランチポリマーのほか、分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーAを、該モノマーA 1モルに対して5モル%乃至200モル%の量の重合開始剤Bの存在下で重合させることにより得られるところの高分岐ポリマー(以降、H−DVB−OHとも称する)の末端に、必要により結合基を介して、テレフタル酸ジエステル構造の部分又はビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分を結合してなる高分子化合物を挙げることができる。
前記分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーAは、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方を少なくとも2つ有することが好ましく、特にジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
このようなモノマーAとしては、例えば、以下の(A1)乃至(A7)に示した有機化合物が例示される。
(A1)ビニル系炭化水素:
(A1−1)脂肪族ビニル系炭化水素類;イソプレン、ブタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン等
(A1−2)脂環式ビニル系炭化水素;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン等
(A1−3)芳香族ビニル系炭化水素;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフルオレン、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジン等
(A2)ビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルケトン:
(A2−1)ビニルエステル;アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、イタコン酸ジビニル、ビニル(メタ)アクリレート等
(A2−2)アリルエステル;マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート等
(A2−3)ビニルエーテル;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等
(A2−4)アリルエーテル;ジアリルエーテル、ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、テトラメタリルオキシエタン等
(A2−5)ビニルケトン;ジビニルケトン、ジアリルケトン等
(A3)(メタ)アクリル酸エステル:
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシチタントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ウンデシレノキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート等
(A4)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物:
ポリエチレングリコール(分子量300)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)ジ(メタ)アクリレート等
(A5)含窒素ビニル系化合物:
ジアリルアミン、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルシアヌレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスマレイミド等
(A6)含ケイ素ビニル系化合物:
ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシラザン、ジエトキジビニルシラン等
(A7)含フッ素ビニル系化合物:
1,4−ジビニルパーフルオロブタン、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン、1,6−ジビニルパーフルオロヘキサン、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、1,8−ジビニルパーフルオロオクタン、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタン等
これらのうち好ましいものは、上記(A1−3)群の芳香族ビニル系炭化水素化合物、(A2)群のビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテルおよびビニルケトン、(A3)群の(メタ)アクリル酸エステル、(A4)群のポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物、並びに(A5)群の含窒素ビニル系化合物であり、特に好ましいのは、(A1−3)群に属するジビニルベンゼン、(A2)群に属するフタル酸ジアリル、(A3)群に属するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、並びに(A5)群に属するメチレンビス(メタ)アクリルアミドであり、これらの中でもジビニルベンゼン及びエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
前記重合開始剤Bとしては、好ましくはアゾ系重合開始剤が用いられる。アゾ系重合開始剤としては、例えば以下の(1)〜(5)に示す化合物を挙げることができる。
(1)アゾニトリル化合物:
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等;
(2)アゾアミド化合物:
2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等;
(3)環状アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]−プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド等;
(4)アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート等;
(5)その他:
2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等。
上記アゾ系重合開始剤の中でも、10時間半減期温度が30乃至120℃であるアゾ系重合開始剤が好ましい。
このような条件に当てはまるアゾ系重合開始剤として、上記アゾ系重合開始剤の中でも、特に2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が好ましい。
前記重合開始剤Bは、前記分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーA 1モルに対して5モル%乃至200モル%の量で使用され、好ましくは20モル%乃至150モル%、より好ましくは50モル%乃至100モル%の量で使用される。
前記H−DVB−OHの製造に際し、前述のモノマーAに対して所定量の重合開始剤Bの存在下で重合させる際、該重合方法としては公知の方法、例えば溶液重合、分散重合、沈殿重合、及び塊状重合等が挙げられ、中でも溶液重合または沈殿重合が好ましい。特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶液重合によって反応を実施することが好ましい。
このとき用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系またはエステルエーテル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等の複素環式化合物系溶媒、ならびにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒等である。
中でも、大気圧下において90乃至200℃の沸点を有する有機溶媒を用いることが好ましく、例えばトルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、酢酸ブチル、1,4−ジオキサン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が特に好ましい有機溶媒として挙げられる。
上記重合反応を有機溶媒の存在下で行う場合、重合反応物全体における有機溶媒の含量は、好ましくは1質量%〜300質量%、さらに好ましくは10質量%〜100質量%である。
重合反応は常圧、加圧密閉下、または減圧下で行われ、常圧下で行うのが好ましい。
重合反応は、前述の重合開始剤Bの10時間半減期温度より25℃以上高い温度で実施され、より具体的には、前記モノマーA、前記重合開始剤B及び有機溶媒を含む溶液を、該重合開始剤Bの10時間半減期温度より25℃以上高い温度に保たれた該有機溶媒中へ滴下することにより、重合反応を行うことが好ましい。
また、より好ましくは前記有機溶媒の還流温度で重合反応を実施することが好ましい。
なお、重合反応の終了後、得られたH−DVB−OHを任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を実施することができる。反応溶液からH−DVB−OHを回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
このようにして得られるH−DVB−OHの重量平均分子量(以下Mwと略記)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で好ましくは1,000〜2000,000、さらに好ましくは5,000〜100,000、最も好ましくは10,000〜50,000である。
続いて、得られたH−DVB−OHを、(a)テレフタル酸ジエステル構造を有する化合物もしくはそのハロゲン化物誘導体、モノカルボン酸誘導体と反応させる工程、或いは、(b)フェニルエステル構造を有する化合物のハロゲン化物誘導体と反応させた後に、フェニルエステル構造を有するボロン酸誘導体を反応させる工程を経て、エレクトロクロミック特性を発現する部分を有する高分子化合物を製造する。
上記(a)工程は、具体的には(i)塩基の存在下で、H−DVB−OHとテレフタル酸ジエステル構造を有するハロゲン化物誘導体とを溶媒中で縮合反応させる方法、(ii)酸触媒存在下、H−DVB−OHとテレフタル酸ジエステル構造を有する化合物、モノカルボン酸誘導体とを溶媒中で縮合させる方法がある。
上記の(i)テレフタル酸ジエステル構造を有するハロゲン化物誘導体とは、例えばメチル−4−(クロロカルボニル)ベンゾエート、エチル−4−(クロロカルボニル)ベンゾエート、プロピル−4−(クロロカルボニル)ベンゾエート、ブチル−4−(クロロカルボニル)ベンゾエート、ペンチル−4−(クロロカルボニル)ベンゾエート、ヘキシル−4−(クロロカルボニル)ベンゾエート、メチル−4−(ブロモカルボニル)ベンゾエート、エチル−4−(ブロモカルボニル)ベンゾエート、プロピル−4−(ブロモカルボニル)ベンゾエート、ブチル−4−(ブロモカルボニル)ベンゾエート、ペンチル−4−(ブロモカルボニル)ベンゾエート、ヘキシル−4−(ブロモカルボニル)ベンゾエート、メチル−4−(ヨードカルボニル)ベンゾエート、エチル−4−(ヨードカルボニル)ベンゾエート、プロピル−4−(ヨードカルボニル)ベンゾエート、ブチル−4−(ヨードカルボニル)ベンゾエート、ペンチル−4−(ヨードカルボニル)ベンゾエート、ヘキシル−4−(ヨードカルボニル)ベンゾエート等が挙げられる。
また、この工程で用いる塩基としては、N,N’−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン(TEA)、或いはジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
また、反応に用いられる溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン酢酸エチル、或いはこれらの混合溶媒を用いることができる。
反応は通常、室温〜150℃の反応温度で、10分〜48時間の反応時間で実施する。
得られた化合物は任意の方法で、例えば再沈殿等の方法により回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を実施する。
上記の(ii)テレフタル酸ジエステル構造を有する化合物、モノカルボン酸誘導体としては、メチル−4−(ヒドロキシカルボニル)ベンゾエート、エチル−4−(ヒドロキシカルボニル)ベンゾエート、プロピル−4−(ヒドロキシカルボニル)ベンゾエート、ブチル−4−(ヒドロキシカルボニル)ベンゾエート、ペンチル−4−(ヒドロキシカルボニル)ベンゾエート、ヘキシル−4−(ヒドロキシカルボニル)ベンゾエート、1,4−ジメトキシカルボニルベンゼン、1,4−ジエトキシカルボニルベンゼン、1,4−ジプロポキシカルボニルベンゼン、1,4−ジブトキシカルボニルベンゼン、1,4−ジペンチルオキシカルボニルベンゼン、1,4−ジヘキシルオキシカルボニルベンゼン等が挙げられる。
またこの工程で用いられる酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、四塩化チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等が挙げられる。
またこの工程で用いる溶媒としては、前記(i)工程で用いたものを使用できる。この反応は通常、室温〜150℃の反応温度で、10分〜48時間の反応時間で実施する。
得られた化合物は任意の方法で、例えば再沈殿等の方法により回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を実施する。
上記(b)工程は、塩基又は酸触媒の存在下、溶媒中で、H−DVB−OHとフェニルエステル構造を有するハロゲン化物誘導体とを反応させ、ハロゲン化アリール中間体を得る。
ここで使用されるフェニルエステル構造を有するハロゲン化物誘導体としては、例えば4−ヨードベンゾイルクロリド、4−クロロベンゾイルクロリド、4−ブロモベンゾイルクロリド、4−ヨードベンゾイルブロミド、4−クロロベンゾイルブロミド、4−ブロモベンゾイルブロミド,4−ヨードベンゾイルヨーダイド、4−クロロベンゾイルヨーダイド、4−ブロモベンゾイルヨーダイド、4−クロロ安息香酸、4−ブロモ安息香酸、4−ヨード安息香酸、4−クロロ安息香酸メチル、4−ブロモ安息香酸メチル、4−ヨード安息香酸メチル、4−クロロ安息香酸エチル、4−ブロモ安息香酸エチル、4−ヨード安息香酸メチル等が挙げられる。
またこの工程で用いる塩基並びに溶媒としては、前記(a)(i)工程で用いたものを使用できる。この反応は通常、室温〜150℃の反応温度で、10分〜48時間の反応時間で実施し、得られた中間体を再沈殿等の任意の方法で回収、精製する。
上記ハロゲン化アリール中間体を、続いて、パラジウム触媒と塩基の存在下で、フェニルエステル構造を有するボロン酸誘導体とクロスカップリング反応させる(鈴木カップリング反応)。
ここで使用されるフェニルエステル構造を有するボロン酸誘導体としては、例えば4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステル、4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸、4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸ジメチルエステル、4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸ジエチルエステル、4−エトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステル、4−エトキシカルボニルフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、4−エトキシカルボニルフェニルボロン酸、4−エトキシカルボニルフェニルボロン酸ジメチルエステル、4−エトキシカルボニルフェニルボロン酸ジエチルエステル等が挙げられる。
また、上記パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh34)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(DBA)3)等が挙げられる。
さらに、このクロスカップリング反応で使用される塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、トリエチルアミン(TEA)、N,N’−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、或いはジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
通常このクロスカップリング反応は、室温〜150℃の反応温度で、1〜48時間の反応時間で実施され、得られた化合物は再沈殿等の任意の方法で回収、精製することができる。
<ワニス及び薄膜構造体の製造方法>
本発明のエレクトロクロミック材料を含有する薄膜構造体を形成する具体的な方法としては、まず、エレクトロクロミック材料を溶媒に溶解又は分散してワニスの形態(膜形成材料)とし、該ワニスを基板上にキャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等によって塗布し、その後、ホットプレート又はオーブン等で乾燥して成膜する。
これらの塗布方法の中でもスピンコート法が好ましい。スピンコート法を用いる場合には、単時間で塗布することができるために、揮発性の高い溶液であっても利用でき、また、均一性の高い塗布を行うことができるという利点がある。
上記ワニスの形態において使用する溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、プロパノール、水、テトラヒドロフラン(THF)またはトリクロロメタン等が挙げられる。これら溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒を混合してもよい
また上記溶媒に溶解又は分散させる濃度は任意であるが、エレクトロクロミック材料と溶媒の総質量(合計質量)に対して、エレクトロクロミック材料の濃度は0.001乃至90質量%であり、好ましくは0.002乃至80質量%であり、より好ましくは0.005乃至70質量%である。
形成された本発明のエレクトロクロミック材料からなる層の厚さは、通常0.01μm乃至50μm、好ましくは0.1μm乃至20μmである。
また、必要であれば、本発明のエレクトロクロミック材料に加えて、さらに発色を助長する化合物を併用して膜又は層を形成しても良い。
<エレクロトクロミック素子の製造方法>
本発明のエレクトロクロミック素子は、少なくとも1枚は透明な2枚の導電基板と、これら基板間の挿設されたイオン導電性物質層と、このイオン伝導性物質層と前記いずれかの導電基板との間に挿設された、エレクトロクロミック発色層より構成される。前記エレクトロクロミック発色層は、本発明のエレクトロクロミック材料を含有することを特徴とする。本発明のエレクトロクロミック素子の代表的な構成例を図1に示す。
図1に示すように、本発明のエレクトロクロミック素子は、一例として、透明基板1の一方の面に透明電極層2が形成された透明導電基板の面上に、エレクトロクロミック発色層3を形成した第一の積層体と、透明基板6の一方の面に透明電極層5が形成された第二の積層体(透明導電基板)とを、第一の積層体のエレクトロクロミック発色層3と、第二の積層体の透明電極層5が向き合うように適当な間隔で対向させ、ここにイオン導電性物質を有するイオン導電性物質層4を挟持させてなる。
そして上記素子は、電極間に電圧を印加することによりエレクトロクロミック現象を生じさせ、発色・消色を起こすことができる。電圧印加手段としては公知のものを利用することができる。
本発明のエレクトロクロミック素子を構成する各膜および層の形成方法としては、特に限定されるものではなく、膜及び層を形成する慣用の方法によって作製可能である。
例えば図2に示すように、透明基板1の一方の面に透明電極層2が形成された透明導電基板としてITO付きガラス基板を採用し、該基板上に例えば前述の<薄膜構造体の製造方法>に例示した方法でエレクトロクロミック材料を含有するエレクトロクロミック発色層3を形成し、第一の積層体(積層板A)を作製する。なお、該ITO付きガラス基板は、前記第二の積層体(積層板B)でもある。
この積層板Aのエレクトロクロミック発色層3と、積層板Bの透明電極層5を1乃至1000μm程度の間隔で対向させ、注入口を除いた周辺をシール材7でシールし、注入口付きの空セルを作製する。この注入口より、液状のイオン導電性物質を注入し、注入口を適宜封止することにより、イオン導電性物質層4を形成し、エレクトロクロミック素子を完成させる。
あるいは、前記積層板Aの発色層3(又は積層板Bの電極層5)上に液状のイオン導電性物質を滴下し、滴下したイオン導電性物質に積層板Bの電極層5(又は積層板Aの発色層3)が接するように積層板B(又は積層板A)を重ね、周辺をシールすることによってエレクトロクロミック素子を完成させる。
本発明のエレクトロクロミック素子のイオン導電性物質層4に用いるイオン導電性物質とは、通常室温で1×10-7S/cm以上のイオン伝導度を示す物質であることが好ましい。イオン導電性物質としては特に限定されず、液状イオン導電性物質、ゲル状イオン導電性物質或いは固体状イオン導電性物質等を挙げることができる。
このなかでも、例えば液状のものとして、溶媒に塩類、酸類、アルカリ類等の支持電解質を溶解したもの等を用いることができる。前記溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性をするものが好ましい。具体的には水や、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、N,N’−ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリコール等の有機極性溶媒が挙げられる。これらは、使用に際して単独もしくは混合物として使用できる。
支持電解質としての塩類は、特に限定されず、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩などがあげられ、具体的にはLiClO4、LiSCN,LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN,KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH34NBF4、(C254NBF4、(n−C494NBF4、(C254NBr、(n−C494NBr、(C254NClO4、(n−C494NClO4等の4級アンモニウム塩および環状4級アンモニウム塩等、もしくはこれらの混合物が好適なものとして挙げられる。
また本発明のエレクトロクロミック素子において、前記積層板Aと積層板Bとの間隔を一定間隔に確保するためにスペーサーを用いることができる。スペーサーとしては特に限定されないが、ガラス、ポリマー等で構成されるビーズ、ファイバーまたはシートを用いることができる。スペーサーは対向する導電基板の間隙に挿入したり、あるいは、導電基板の電極上に樹脂等の絶縁物で構成される突起状物を形成する方法等により設けることができる。
本発明のエレクトロクロミック素子は、上述の構成や製造方法に何等限定されるものではなく、更に他の構造又は要素を備えていてもよい。
他の構造又は要素としては、例えば、紫外線反射層や紫外線吸収層などの紫外線カット層、エレクトロクロミックミラー向け用途の場合にはミラー層全体、もしくは各膜層の表面保護を目的とするオーバーコート層等を挙げることができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例は本発明を何等制限するものではない。
以下の合成例及び実施例で用いた試薬の入手先及び測定装置は以下のとおりである。
[試薬]
・4,4’−ビピリジル(>98.0%) 東京化成工業(株)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル(>98.0%) 東京化成工業(株)
・エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(>99.0%) 東京化成工業(株)
・p−トルエンスルホン酸クロリド(>97.0%) 和光純薬工業(株)
・HBPS−Br(ハイパーブランチポリ(ビニル−4−ベンジルブロミド)) 日産化学工業(株)
・4−ヘキシルアニリン(>98.0%) 和光純薬工業(株)
・ジビニルベンゼン(DVB) 新日鐵化学(株)(DVB−960)
・2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド] 大塚化学(株)(VA−086、10時間半減期温度:86℃)
・4−ヨードベンゾイルクロリド アルドリッチ社
・4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステル アルドリッチ社
・メチル−4−(クロロカルボニル)ベンゾエート 東京化成工業(株)
[測定装置]
(1)分光光度計:
(株)日立ハイテクノロジーズ 日立分光光度計U−4100
(2)1H NMRスペクトル(合成例1〜5、合成例7〜10):
ブルカー社 AVANCE400(400MHz)
(3)1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル(合成例11〜12)
日本電子データム(株) JNM−ECA700
溶媒:CDCl3又はDMSO
内部標準:テトラメチルシラン
(4)光源:
浜松ホトニクス(株) キセノンランプ E7536
(5)光学フィルタ:
東芝硝子(株)(現:旭テクノガラス(株))
(6)検出器:
オプトシリウス(株) Ocean Optics USB4000
(7)ポテンシオスタット:
(有)日厚計測 ポテンシオスタット NPGS−301
(8)ファンクションジェネレータ:
(株)エヌエフ回路設計ブロック ファンクションジェネレータ FG−121B
(9)スピンコーター:
(有)共和理研 K−359SD−2 SPINNER
(10)レーザー顕微鏡
(株)キーエンス 超深度形状測定顕微鏡 VK−8510
(11)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
東ソー(株) HLC−8220 GPC
カラム:Shodex(登録商標) KF−804L、KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
[1]合成例1:HBPS−EC8(OTs-、Br-)の合成
<2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル p−トシレートの合成>
反応器にTHF 50mL、水 50mLに溶解させたNaOH 3.185g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル 10.00g(61mmol)を加え、0℃で撹拌した。
40mLのTHFに溶解させたp−トシルクロリド 12.85g(67mmol)を反応器にゆっくり滴下し、滴下後、室温に戻して終夜撹拌した。希硫酸で溶液を酸性にした後、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で3回洗浄後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を濃縮、シリカゲルカラム(溶媒 ヘキサンのみ→ヘキサン:クロロホルム=4:1)で精製して無色の液体2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル p−トシレート 14.35g(41mmol)を得た(収率:67%)。
<{1−[2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル]−4,4’−ビピリジニウム}p−トシレートの合成>
窒素雰囲気下、反応器に4,4’−ビピリジル 788mg(5.05mmol)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル p−トシレート 2.20g(6.20mmol)、アセトニトリル 50mLを加え、室温で1時間撹拌し、続けて60℃で終夜還流した。
室温に戻した後、溶媒を留去し、シリカゲルカラム(溶媒 メタノール:アセトン=4:6)で精製して黄色の液体{1−[2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル]4,4’−ビピリジニウム}p−トシレート 1.396mg(2.73mmol)を得た(収率:54%)。
<HBPS−EC−8(OTs-、Br-)の合成>
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 234mg(1.18mmolユニット)、{1−[2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル]4,4’−ビピリジニウム}p−トシレート 733mg(1.43mmol)、N,N’−ジメチルホルムアミド 50mLを加え、室温で30分間撹拌後、続けて60℃で終夜還流した。
室温に戻した後、溶媒を留去し、テトラヒドロフランで洗浄して、黄色の固体HBPS−EC−8(OTs-、Br-)を得た。EC基の導入率は1H NMR測定より85%であった。
[2]合成例2:HBPS−EC−10(OTs-、Br-)の合成
<2−メトキシエチル p−トシレートの合成>
反応器にTHF 60mL、1.5M NaOH水溶液 100mL、2−メトキシエタノール 7.66g(100mmol)を加え、0℃で撹拌した。40mLのTHFに溶解させたp−トシルクロリド 21.264g(110mmol、1.1eq)を反応器にゆっくり滴下し、滴下後、室温に戻して終夜撹拌した。希硫酸で溶液を酸性にした後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で3回洗浄後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を濃縮、シリカゲルカラム(溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=4.1)で精製して無色の液体である2−メトキシエチル p−トシレート 12.618g(54.8mmol)を得た(収率:55%)。
<1−(2−メトキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレートの合成>
窒素雰囲気下、反応器に4,4’−ビピリジル 781mg(5.00mmol)、2−メトキシエチル p−トシレート 1.725g(7.50mmol、1.5eq)、N,N’−ジメチルホルムアミド 50mLを加え、室温で30分間撹拌後、続けて60℃で終夜還流した。
室温に戻した後、溶媒を留去し、シリカゲルカラム(溶媒 メタノール:アセトン=4:6)で精製して黄色の液体1−(2−メトキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート914mg(2.36mmol)を得た(収率:47%)。
<HBPS−EC−10(OTs-、Br-)の合成>
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 202mg(1.01mmolユニット)、1−(2−メトキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 467mg(1.20mmol、1.2eq)、N,N’−ジメチルホルムアミド 50mLを加え、室温で20分間撹拌後、続けて60℃で終夜還流した。
室温に戻した後、溶媒を留去し、アセトンで洗浄して黄色の固体HBPS−EC−10(OTs-、Br-)を得た。EC基の導入率は1H NMR測定より91%であった。
[3]合成例3:HBPS−EC−15(OTs-、Br-)の合成
<2−イソプロポキシエチル p−トシレートの合成>
反応器にTHF 70mL、2.6M NaOH水溶液 50mL、2−(1−メチルエトキシ)エタノール 10.468g(101mmol)を加え、0℃で撹拌した。
70mLのTHFに溶解させたp−トシルクロリド 20.825g(109mmol、1.1eq)を反応器にゆっくり滴下し、滴下後、室温に戻して終夜撹拌した。希硫酸で溶液を酸性にした後、ジエチルエーテルで抽出し、飽和食塩水で3回洗浄後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を濃縮、シリカゲルカラム(溶媒 ヘキサン→クロロホルム)で精製して無色の液体2−イソプロポキシエチル p−トシレート 16.059g(62.2mmol)を得た(収率:62%)。
<1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレートの合成>
窒素雰囲気下、反応器に4,4’−ビピリジル 1.594g(10.2mmol)、2−イソプロポキシエチル p−トシレート 3.988g(15.4mmol)、N,N’−ジメチルホルムアミド 60mLを加え、室温で30分間撹拌後、続けて60℃で終夜還流した。
室温に戻した後、溶媒を留去し、シリカゲルカラム(溶媒 アセトン→メタノール:アセトン=1:1)で精製して粘性の高い黄色の液体1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 2.132g(5.14mmol)を得た(収率:51%)。
<HBPS−EC−15(OTs-、Br-)の合成>
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 196mg(0.984mmolユニット)、1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 619mg(1.49mmol、1.5eq)、クロロホルム 80mLを加え、室温で30分間撹拌後、続けて60℃で終夜還流した。
室温に戻した後、溶媒を留去し、アセトンで洗浄して黄色固体のHBPS−EC−15(OTs-、Br-)459mgを得た。EC基の導入率は1H NMR測定より85%であった。
[4]合成例4:HBPS−EC−13(I-、Br-)の合成
<2−ヘキシル−1−ヨードデカンの合成>
反応器に2−ヘキシル−1−クロロデカン 2.682g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム 7.483g(49.9mmol、4.8eq)、アセトン 100mLを加え、60℃で終夜還流した。室温に戻してアセトンを留去し、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で3回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過して濃縮、真空乾燥させ、深赤色の液体2−ヘキシル−1−ヨードデカン 3.075g(8.73mmol)を得た(粗収率:85%)。
<[1−(2−ヘキシルデシル)−4,4’−ビピリジニウム]ブロミドの合成>
窒素雰囲気下、反応器に4,4’−ビピリジル 499mg(3.19mmol)、2−ヘキシル−1−ヨードデカン 1.496g(4.25mmol、1.3eq)、N,N’−ジメチルホルムアミド 10mL、アセトニトチル 40mLを加え、30分間室温で撹拌し、続けて60℃で2日間還流した。室温に戻した後、溶媒を留去した。残渣を少量のTHFに溶解してヘキサンで再沈殿、減圧ろ過を2回繰り返すことで、黄色の固体[1−(2−ヘキシルデシル)−4,4’−ビピリジニウム]ブロミド 61mg(120μmol)を得た(収率:4%)。
<HBPS−EC−13(I-、Br-)の合成>
アルゴン雰囲気下、反応器にHBPS−Br 23mg(120μmolユニット)、[1−(2−ヘキシルデシル)−4,4’−ビピリジニウム]ブロミド 61mg(120μmol、1.2eq)、クロロホルム 50mLを加え、30分間室温で撹拌し、続けて60℃で終夜還流した。室温に戻した後、飽和食塩水で3回洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、濃縮、真空乾燥させることで、赤褐色の固体HBPS−EC−13(I-、Br-)得た。EC基の導入率は1H NMR測定より42%であった。
[5]合成例5:HBPS−EC−2(Br-、I-)の合成
<HBPS−EC−2(Br-、I-)の合成>
上記スキームに従って、前述の製造手順に倣ってHBPS−EC−2(Br-、I-)を製造した。
得られたHBPS−EC−2(Br-、I-)は室温に戻したところ、溶媒(DMF)中で不溶化した。
[6]合成例6:HBPS−EC−3(2Br-)の合成
上記スキームに従って、前述の製造手順に倣ってHBPS−EC−3(2Br-)を製造した。
得られたHBPS−EC−3(2Br-)は室温に戻したところ、溶媒(DMF)に難溶であった。
[実施例1:エレクトロクロミック評価]
前記合成例3で製造したHBPS−EC−15(OTs-、Br-)(以降、単にHBPS−EC−15とも称する)を用いて下記方法にて図2に示す構成にてエレクトロクロミック(EC)セルを作製し、評価した。
[成膜方法]
<膜厚300nmのHBPS−EC−15の薄膜作製>
5質量%のHBPS−EC−15 メタノール溶液を調製し、ITOガラス基板(2.0cm×1.5cm)上にスピンコート法(2,000rpm、1分間)によってエレクトロクロミック(EC)発色層を成膜し、100℃で24時間真空乾燥した。レーザー顕微鏡にて膜厚を算出した(300nm)。
<膜厚500nmのHBPS−EC−15の薄膜作製>
10質量%のEBPS−EC−15 メタノール溶液を調製し、ITOガラス基板(2.0cm×1.5cm)上にスピンコート法(2,000rpm、3分間)によってEC発色層を成膜し、100℃で24時間真空乾燥した。レーザー顕微鏡にて膜厚を算出した(500nm)。
[ECセル作製方法]
1時間アルゴンバブリングにより脱気した0.1Mテトラブチルアンモニウムブロミド シクロヘキサノン溶液 1μLを、マイクロピペッターを用いて前述のHBPS−EC−15の各薄膜上に滴下し、この上にITOガラス基板を重ね合わせ、パラフィルムでシールすることにより、エレクトロクロミック(EC)セルを作製した。
[ECセル評価法]
製造したECセル(色変化部分は1.5cm×1.5cm)に、乾電池2個を用いて電圧3.2Vを印加し、530nmにおける透過率、又は、400nm乃至800nmの吸光度変化を測定した。
光源はキセノンランプ(光学フィルターを用いて400nm以下の波長をカット)を使用し、Ocean Optics USB4000を用いて検出した。正・負極の切り替えは、乾電池にスイッチを取り付けて手動で行った。
1)ECセルの着色・消色時間評価(応答速度、図3)
HBPS−EC−15層の膜厚が300nmのECセルを用い、HBPS−EC−15薄膜を成膜したITOガラス基板を負極、対向するITOガラス基板を正極として電圧3.2Vを印加したところ、即座に着色(紫色)が観測された。このとき、着色にかかった時間は<1.4秒であった。
更に、HBPS−EC−15薄膜を成膜したITOガラス基板側に正極、対向するITOガラス基板側に負極の反転した電圧3.2Vを印加すると、着色は即座に消去された。このとき、消色にかかった時間は<1.0秒であった。
すなわち、本セルが着色(<1.4秒)・消色(<1.0秒)共に非常に優れた応答速度を有していることが確認された。
なお、波長530nmにおいて、本ECセルの透明時の透過率は0.72、紫色呈色時の透過率は0.5であった。
2)ECセルの繰り返し特性評価(図4)
前記<1)ECセルの着色・消色時間評価>で使用したセルを用いて、5秒毎に着消色(正負の電圧印加)を繰り返した。着色・消色を10回以上(200秒間)行なっても消え残りなどが発生することはなく、本セルが繰り返し特性にも優れることが確認された。
3)ECセルの着色持続時間評価(メモリー特性、図5)
前記<1)ECセルの着色・消色時間評価>で使用したセルを用い、セルに電圧を印加して着色化した後、回路を切断して電圧を除去したところ、切断後も20秒間着色状態を維持した。
その後、正負を反転して電圧を印加したところ即座に消色され、また、消え残りも生じることはなかった。すなわち、本セルが少なくとも20秒以上の着色状態のメモリー特性を有し、逆電圧印加により自在に消色可能であることが確認された。
4)ECセルの吸光度の変化量(図6、図7)
HBPS−EC−15層の膜厚が300nm又は500nmのECセルを用い、電圧印加前、電圧印加2秒後の吸光度変化(400nm乃至800nm)を測定し、印加前後の吸光度の変化量を算出した。図6に膜厚500nmのECセルを用いた際の電圧印加前、印加後及び変化量の吸光度を、また、図7に膜厚300nm及び膜厚500nmそれぞれの印加前後の吸光度変化量を示した。
HBPS−EC−15層の膜厚300nm及び500nmのいずれのECセルも、520〜530nm波長付近に吸収極大が見られ、このときの吸光度(変化量)は、ぞれぞれ、0.2(膜厚:300nm)、0.5(膜厚:500nm)であった。この結果は、本セルが紫色に着色していること、そして膜厚500nmのECセルの着色がより濃いものであることを示すものであった。なお、EC層膜厚と吸光度(変化量)の結果は、試料の局所的不均一性などのために必ずしも比例関係にあるわけではない。
そしてこの520〜530nm波長付近の吸収は、ビオロゲンのラジカルカチオンダイマー由来の吸収であるとみられ、この結果は、HBPS−EC−15の末端に位置するビピリジニウム基が容易にラジカルカチオンダイマーを形成することを示唆するものであった。
[合成例7〜10:EC基の導入量を種々変化させたHBPS−EC−15(OTs-、Br-)の合成]
[7]合成例7:HBPS−EC−15(10%)(OTs-、Br-)の合成
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 985mg(5mmolユニット)、前記合成例3の手順に従い得られた1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 207mg(0.5mmol)及びDMF 50mlを加え、60℃で24時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 10ml及びメタノール 5mlに溶解した後、酢酸エチル 200mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、黄色固体980mg(収率82%)を得た。EC基の導入率は1H NMR測定により17%であった。
上記黄色固体 980mgに、N−メチルイミダゾール 1.1ml(13.5mmol)及びDMF 50mlを加え、60℃で24時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 5ml及びメタノール 5mlに溶解し、酢酸エチル 200mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、褐色固体のHBPS−EC−15(10%)(OTs-、Br-)636mgを得た。
[8]合成例8:HBPS−EC−15(20%)(OTs-、Br-)の合成
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 985mg(5mmolユニット)、前記合成例3の手順に従い得られた1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 415mg(1mmol)及びDMF 50mlを加え、60℃で36時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 10ml及びメタノール 5mlに溶解した後、酢酸エチル 200mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、黄色固体1.3g(収率100%)を得た。EC基の導入率は1H NMR測定により24%であった。
上記黄色固体 1gに、N−メチルイミダゾール 0.8ml(10mmol)及びDMF 70mlを加え、60℃で24時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 5mlに溶解し、酢酸エチル 200mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、褐色固体のHBPS−EC−15(20%)(OTs-、Br-)600mgを得た。
[9]合成例9:HBPS−EC−15(50%)(OTs-、Br-)の合成
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 1.182g(6mmolユニット)、前記合成例3の手順に従い得られた1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 1.244g(3mmol)及びDMF 60mlを加え、60℃で36時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 10mlに溶解し、酢酸エチル 500mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、黄色固体2.34g(収率96%)を得た。
上記黄色固体1gに、N−メチルイミダゾール 0.8ml(10mmol)及びDMF 70mlを加え、60℃で24時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 5mlに溶解し、酢酸エチル 200mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、褐色固体のHBPS−EC−15(50%)(OTs-、Br-)705mgを得た。
[10]合成例10:HBPS−EC−15(80%)(OTs-、Br-)の合成
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 394mg(3mmolユニット)、前記合成例3の手順に従い得られた1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 995mg(2.4mmol)及びDMF 30mlを加え、60℃で24時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 5mlに溶解し、酢酸エチル 200mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、黄色固体1.06g(収率76%)を得た。
上記黄色固体 1.06gに、N−メチルイミダゾール 0.8ml(10mmol)及びDMF 70mlを加え、60℃で24時間撹拌した。溶媒を濃縮し、反応液をDMF 5mlに溶解し、酢酸エチル 200mlで再沈殿させた。沈殿物をろ過、乾燥して、褐色固体のHBPS−EC−15(80%)(OTs-、Br-)880mgを得た。
[11]合成例11:HBPS−EC−15(100%)(OTs-、Br-)の合成
窒素雰囲気下、反応器にHBPS−Br 196mg(0.98mmolユニット)、前記合成例3の手順に従い得られた1−(2−イソプロポキシエチル)−[4,4’]ビピリジニル−1−イウム p−トシレート 743mg(1.77mmol)及びクロロホルム 80mlを加え、室温で30分間撹拌後、60℃で24時間撹拌した。溶媒を濃縮し、アセトンで洗浄して、黄色固体のHBPS−EC−15(100%)(OTs-、Br-)548mg(収率90%)を得た。
[実施例2:EC基の導入量制御によるエレクトロクロミック特性の評価]
合成例7乃至合成例11で製造した、EC基の導入率を変化させた各HBPS−EC−15を用い、下記方法にてエレクトロクロミック薄膜を作製し、そのエレクトロクロミック特性のEC基導入量率依存性について評価を行った。
[成膜方法]
10質量%のHBPS−EC−15(OTs、Br)/DMF溶液を夫々調製し、ITOガラス基板(1.0cm×2.0cm)上にスピンコート法(600rpmで10秒間、続いて2,500rpmで20秒間)によって、エレクトロクロミック(EC)発色層を成膜し、室温で12時間真空乾燥させEC薄膜とした。
[EC薄膜評価方法]
製造したEC薄膜にポテンシオスタットを接続し、作用電極にEC薄膜を成膜したITOガラス、対極に白金電極、参照極にAg/Ag+電極を用いた3電極系で測定した。電圧を−0.2Vから−1.0V間で変化させ、330nmから1050nm間の透過率を測定した。
なお測定にはオーシャンオプティクス製HR−4000を用いた。
[EC薄膜の透過率の変化]
EC基導入量が100%のHBPS−EC−15(OTs、Br)試料で作製したEC薄膜を用い、印加電圧−0.2Vで15秒保持した後の透過率と、印加電圧−1.0Vで15秒保持した後の透過率を測定した結果を図8に示す。
図8に示す通り、印加電圧を−1.0Vとしたとき、波長520nm乃至530nm付近に透過率の極小が見られた。
また、図9にEC基導入量を種々変化させたHBPS−EC−15(OTs、Br)試料で作製したEC薄膜の印加電圧−1.0Vにおける透過率を示す。
図9に示す通り、EC基の導入量が50%乃至100%の試料において、波長520nm乃至530nm付近に透過率の極小が見られ、このときの透過率は其々、94%(EC基導入量50%)、84%(EC基導入量80%)、77%(EC基導入量100%)であった。尚、EC基導入量10%乃至20%の試料においては透過率の変化は殆ど見られなかった。
この結果は、本EC薄膜が紫色に着色していること、そしてEC基導入量が多いものほど着色がより濃いものであることを示すものであった。
[12]合成例12:H−DVB−EC(Y)の合成
<高分岐ポリマー(H−DVB−OH)の合成>
500mLの反応フラスコにN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)174gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込んで窒素置換し、フラスコ内温度が120℃になるまで加熱した。
別の200mLの反応フラスコに、DVB 6.51g(50mmol)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド] 14.4g(50mmol)及びDMAc 230gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行った。
前述の500mL反応フラスコ中の120℃に加熱されているDMAc中に、DVB及び2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が仕込まれた前記200mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、70分間かけて内容物を滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌した。
次に、この反応液を、ロータリーエバポレーターを用いてDMAcを留去し、濃縮操作を行った。その後、THF 585gを添加してポリマーをスラリー状にて沈降させ、デカンテーションにより分取した。再度、このスラリーをメタノール 40gに溶解させ、THF 585g中にポリマーを沈殿させた。沈殿物をろ過により分取し、真空乾燥にて乾燥後、白色粉末の目的物8.1gを得た。得られた目的物の1H NMRスペクトルの測定結果を図10に示す。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは23,600、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.22であった。
<H−DVB−Iの合成>
300mLの反応フラスコにH−DVB−OH 3.0g(11.5mmol/OH基ユニット)、N,N’−ジメチル−4−アミノピリジン 2.1g(17.2mmol)及びトリエチルアミン 2.3g(23.0mmol)を仕込み、DMF/THF=1/1(質量比)混合溶媒120mLを加えて溶解し、氷浴下にて1時間撹拌した。反応溶液中に4−ヨードベンゾイルクロリド 4.6g(17.2mmol)を加え、徐々に室温まで昇温させ、20時間撹拌した。反応溶液から不溶物をろ過により除去した後、濾液を濃縮し、メタノール 300mL中にポリマーを沈殿させた。ろ過により沈殿物を分取し、真空乾燥にて乾燥後、白色粉末の目的物5.0gを得た。得られた目的物の1H NMRおよび13C NMRスペクトルの測定結果を図11及び図12に示す。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは24,600、分散度:Mw/Mnは1.23であった。
[H−DVB−EC(Y)の合成]
100mLの反応フラスコにH−DVB−I 2.0g(4.07mmol/ヨウ素基ユニット)及び4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステル 1.3g(4.88mmol)を仕込み、DMF 60mLを加えて溶解させた後、炭酸カリウム 2.81g(20.4mmol)を添加した。次いで、攪拌しながら5分間窒素を流し込んだ後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 47mg(0.041mmol)を加え、90℃にて2時間撹拌した。ろ過により不溶物を除去した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。その後、メタノール 100mL中にポリマーを沈殿させ、ろ過により沈殿物を分取し、真空乾燥にて乾燥後、白色粉末の目的物1.9gを得た。得られた目的物の1H NMRスペクトルの測定結果を図13に示す。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは26,000、分散度:Mw/Mnは2.14であった。
[13]合成例13:H−DVB−EC(M)の合成
100mLの反応フラスコに合成例12で調製したH−DVB−OH 1.1g(4.0mmol/OH基ユニット)、N,N’−ジメチル−4−アミノピリジン 0.73g(6.0mmol)及びトリエチルアミン 0.82g(8.0mmol)を仕込み、DMF/THF=1/1(質量比)混合溶媒 42mLを加えて溶解させ、氷浴下にて1時間撹拌した。反応溶液中にメチル4−(クロロカルボニル)ベンゾエート 1.2g(6.0mmol)を加え、徐々に室温まで昇温させ、20時間撹拌した。反応溶液から不溶物をろ過により除去した後、濾液を濃縮し、メタノール 150mLを加えてポリマーを沈殿させた。ろ過により沈殿物を分取し、真空乾燥にて乾燥後、白色粉末の目的物0.89gを得た。得られた目的物の1H NMRスペクトルの測定結果を図14に示す。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは15,700、分散度:Mw/Mnは1.26であった。
[実施例3:エレクトロクロミック評価]
前記合成例12で製造したH−DVB−EC(Y)を用いて、図2に示す構成に準じてエレクトロクロミック(EC)セルを作製し、評価した。
[製膜方法]
H−DVB−EC(Y)の2質量%クロロホルム溶液をそれぞれ調製し、ITOガラス基板(2.6cm×2.2cm)上にスピンコート法(2,000rpm、1分間)によってEC発色層を成膜し、40℃で24時間乾燥した。レーザー顕微鏡にて膜厚を算出した(H−DVB−EC(Y):200nm、H−DVB−EC(M):200nm)。
[ECセル作製方法]
室温にて炭酸プロピレン 10mLに過塩素酸リチウム 2gを溶解した後、ポリメタクリル酸メチル 10g及びアセトニトリル 30mLを加え、110℃に加熱した。更にアセトニトリル 30mLを少量ずつ加えながら完全に溶解させ、電化輸送ゲル電解質(CTゲル溶液)を作成した。
CTゲル溶液を前述のH−DVB−EC(Y)の薄膜上にそれぞれ滴下し、その上にITOガラス基板を重ね合わせ、40℃のホットプレート上で24時間乾燥させて、エレクトロクロミック(EC)セルを作成した。
[ECセル評価]
製造したECセルに−3.5Vの電圧を印加し、300乃至600nmの吸光度変化を測定した。
光源はキセノンランプを用い、熱カットフィルタとUVカットフィルタを通した光をOcean Optics USB 4000で1分毎に検出した。
H−DVB−EC(Y)を用いたECセルの吸光度変化を図15に示す。
図15に示す通り、360nm付近に吸収極大が見られ、この結果は本ECセルが黄色に着色していることを示すものであった。
1・・・透明基板 6・・・透明基板
2・・・透明電極層 7・・・シール材
3・・・エレクトロクロミック発色層 A・・・積層板A(第一の積層体)
4・・・イオン導電性物質層 B・・・積層板B(第二の積層体)
5・・・透明電極層

Claims (23)

  1. エレクトロクロミック特性を発現する部分を有するハイパーブランチポリマーからなるエレクトロクロミック材料。
  2. 前記エレクトロクロミック特性を発現する部分が、4級ピリジニウム塩からなる化合物に由来するか、又は、テレフタル酸ジエステル構造の部分若しくはビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分であることを特徴とする、請求項1記載のエレクトロクロミック材料。
  3. 前記ハイパーブランチポリマーが、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミック材料。
    〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、
    2はシアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、4−ニトロスチリル基、又は式(2a)、式(2b)又は式(2c)
    (式(2a)、式(2b)又は式(2c)中、R7はエーテル結合又はエステル結合を含む、炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表し、
    8乃至R11は夫々独立して、水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表し、
    -は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、PhSO3 -、4−MePhSO3 -又はR12SO4 -を表す。(前記式中Phはフェニル基、Meはメチル基、R12は炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表す。))
    で表される構造を表すか、又は水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表し、
    3乃至R6は夫々独立して、水素原子又は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を表し、又は
    3又はR5は前記式(2a)、式(2b)又は式(2c)で表される構造を表し、
    -は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、PhSO3 -、4−MePhSO3 -又はR12SO4 -を表し(前記式中Phはフェニル基、Meはメチル基、R12は炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表す。)、
    1は式(3)
    (式(3)中、A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基を表し、
    1乃至Z4は、夫々独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される構造を表し、
    nは繰り返し単位構造の数であって2乃至100,000の整数を表す。〕
  4. 前記A1が、式(4)で表される構造であることを特徴とする請求項3記載のエレクトロクロミック材料。
  5. 前記X-及び前記Y-が、夫々独立して、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンである、請求項3又は請求項4記載のエレクトロクロミック材料。
  6. 前記X-及び前記Y-の何れか一方が塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンであり、他方がPhSO3 -又は4−MePhSO3 -であることを特徴とする、請求項3又は請求項4記載のエレクトロクロミック材料。
  7. 前記R7がエーテル結合を含む炭素原子数1乃至30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である、請求項3乃至請求項6のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料。
  8. 前記R7が炭素原子数1乃至10のアルコキシ基で置換された直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素原子数1乃至10のアルキル基である、請求項7に記載のエレクトロクロミック材料。
  9. 前記R7が炭素原子数1乃至10の分岐鎖状アルコキシ基で置換された炭素原子数1乃至10のアルキル基であって、該分岐状アルコキシ基が酸素原子に結合する炭素原子において分岐しているアルキル基である、請求項8記載のエレクトロクロミック材料。
  10. 前記R7が2−メトキシエチル基又は2−イソプロポキシエチル基である、請求項8記載のエレクトロクロミック材料。
  11. 前記R7が2−メトキシエチル基又は2−イソプロポキシエチル基であり、前記X-が臭素イオンであり、前記Y-が4−MePhSO3 -であることを特徴とする、請求項10記載のエレクトロクロミック材料。
  12. 前記R3、R5、R9、R11がメチル基であることを特徴とする、請求項11記載のエレクトロクロミック材料。
  13. 前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500乃至5,000,000であることを特徴とする、請求項3乃至請求項12のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料。
  14. 前記ハイパーブランチポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーAを、該モノマーA 1モルに対して5モル%乃至200モル%の量の重合開始剤Bの存在下で重合させることにより得られるところの高分岐ポリマーの末端に、必要により結合基を介してテレフタル酸ジエステル構造の部分又はビフェニル−4,4’−ジエステル構造の部分を結合してなる高分子化合物であることを特徴とする、請求項1記載のエレクトロクロミック材料。
  15. 前記モノマーAが1分子中にビニル基又は(メタ)アクリル基のうち何れか一方を少なくとも2つ有する化合物である、請求項14に記載のエレクトロクロミック材料。
  16. 前記モノマーAがジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、請求項15に記載のエレクトロクロミック材料。
  17. 前記モノマーAがジビニルベンゼン又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項16に記載のエレクトロクロミック材料。
  18. 前記重合開始剤Bがアゾ系重合開始剤である、請求項14乃至請求項17のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料。
  19. 前記重合開始剤Bが2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]である、請求項18に記載のエレクトロクロミック材料。
  20. 前記ハイパーブランチポリマーがゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される1,000乃至200,000の重量平均分子量(Mw)を有する高分子化合物である、請求項14乃至請求項19のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料。
  21. 請求項1乃至請求項20のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料が、少なくとも1種の溶剤に溶解又は分散していることを特徴とするワニス。
  22. 請求項1乃至請求項20のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料を含有する薄膜状構造体。
  23. 少なくとも片方が透明である2枚の電極層間に、請求項1乃至請求項20のうち何れか一項に記載のエレクトロクロミック材料を含有する薄膜状構造体が挟まれているエレクトロクロミック素子。
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