JPWO2009128400A1 - クランクアームの回転半径変更装置と該変更装置を備えた駆動装置 - Google Patents

クランクアームの回転半径変更装置と該変更装置を備えた駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】クランク機構に作用する自然の力を利用してクランクアームの回転中心位置を変更し、連結軸の移動に必要な動力を削減し、構造を簡素にして設置空間を抑制できるクランクアームの回転半径変更装置を提供する。【解決手段】回転半径変更装置10は、駆動軸21に固定されて回転力を付与されるホルダ3と、ホルダ3に対して往復移動自在にホルダ3に支持され、ホルダ3と共に回転しながらホルダ3に付与された回転力の伝達を行うクランクアーム1と、ホルダ3に対するクランクアーム1の固定位置を変更する変更手段4とを備える。変更手段4は、ホルダ3に移動自在に支持された係合部材41,42と、クランクアーム1との係合方向に係合部材41,42を付勢する付勢部材45と、付勢部材45の付勢力に抗して、クランクアーム1との係合の解除方向に、係合部材41,42を移動させる移動手段43とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、クランクアームの回転半径変更装置とその変更方法、及び該変更装置を備えた駆動装置に関する。
クランク機構は、モータ等の駆動手段の回転駆動力を、クランクアームに連結されたリンクアームの往復直線運動に変換する。
リンクアームの往復直線運動の範囲(ストローク)は、クランクアームとリンクアームとの連結軸と、クランクアームの回転中心との距離によって定まるクランクアームの回転半径に起因する。このため、クランクアームの回転中に上記連結軸の位置を移動させてクランクアームの回転半径を可変するクランクアームの回転半径変更装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開2006−161999号公報(段落0009〜0017、段落0029、図1、図2) 特開2005−80993号公報(段落0049〜0067、図2〜4) 特表2001−519690号公報(第9頁第24行目〜第11頁第17行目、図2) 特開平10−169745号公報(段落0011〜0015、図1〜4) 実開平3−125655号公報(第9頁第10行目〜第11頁第17行目、第2図)
特許文献1、2に記載のクランクアームの回転半径変更装置は、連結軸の位置を拘束する面が形成されたガイド部材を具備し、ガイド部材によって回転半径を変更する。しかし、ガイド部材は、クランク部材に対向し、クランク部材から離れて独立して設置されるため、設置するための空間が大きくなるという問題があった。
一方、特許文献3〜5に記載の回転半径変更装置は、クランク部材を回転させる駆動装置とは別の駆動装置を用いて連結軸を強制的に移動させることで、回転半径を変更する。クランク部材、連結軸及びリンクアームの軸線上には大きな軸力が作用するので、クランク部材が回転し、リンクアームが往復直線運動しているときに、連結軸を強制的に移動させるには大きな動力を必要とする他、軸力に逆らって装置を作動させるので装置が故障し易いという問題があった。
本発明の目的は斯かる課題に鑑みてなされたもので、クランクアームの回転半径を変更し、リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させるのにあたり、クランク機構に作用する自然の力を利用してクランクアームの回転中心位置を変更して連結軸との距離を可変することによって、必要な動力を削減し、構造を簡素にし、設置空間を抑制することである。
前記目的を達成するために、本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置は、クランクアームの回転により駆動軸の回転駆動力をリンクアームの往復直線運動に変換するクランク機構における当該クランクアームの回転半径変更装置であって、前記回転半径変更装置は、前記クランク機構に作用する自然の力によって前記クランクアームの回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させる機能を有し、その変位によって、前記クランクアームの回転半径を変更し、前記リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させることを特徴とする。
前記変位機能は、前記駆動軸に固定されて回転力を付与されるとともに、前記クランクアームを往復移動自在に支持する支持部材と、前記クランクアームの往復移動を規制して、前記支持部材に前記クランクアームを固定する固定位置を変更する変更手段と、により実現することができる。
前記変更手段については、前記クランクアームと前記支持部材との係合位置を切り替えることで、前記支持部材に対する前記クランクアームの固定位置を変更するように構成することができる。
前記変更手段については、前記支持部材に移動自在に支持された移動体と、前記クランクアームとの係合方向に前記移動体を付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記クランクアームとの係合の解除方向に、前記移動体を移動させる移動手段とを備える構成を採用してもよい。
前記支持部材については、前記クランクアームの縁に接して、前記クランクアームの移動をガイドする回転体を備える構成を採用することができる。
本発明に係る駆動装置は、上記クランクアームの回転半径変更装置と、前記支持部材の固定された駆動軸を回転させる駆動手段とを備えることを特徴とする。
前記本発明に係る駆動装置は、前記クランクアームにおける回転力を伝達する連結軸と前記駆動軸との距離が長くなる程、前記駆動手段による前記駆動軸の回転速度を減少させ、前記連結軸と前記駆動軸との距離が短くなる程、前記駆動手段による前記駆動軸の回転速度を増加させる駆動制御手段を備えるように構成してもよい。
本発明に係るクランクアームの回転半径変更方法は、クランクアームの回転により駆動軸の回転駆動力をリンクアームの往復直線運動に変換するクランク機構における当該クランクアームの回転半径変更方法であって、前記回転半径変更方法は、前記クランク機構に作用する自然の力により前記クランクアームの回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させることによって、前記クランクアームの回転半径を変更し、前記リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させることを特徴とする。
本発明は上記の通り、クランク機構に作用する自然の力を利用してクランクアームの回転中心位置を変更するため、構造が簡素で設置空間が抑制でき、連結軸の移動に必要な動力を削減できる。
本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置を自動車のワイパー装置に適用した例の概要図である。 クランクアームを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 クランクアームの回転半径とワイパーワームの揺動範囲との関係を表す概要図であり、(a)はクランクアームの回転半径が最小の場合、(b)は回転半径が最大の場合を示す。 回転半径変更装置を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。 (a)は基板の平面図、(b)は基板の平面図である。 係止部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図である。 (a)は一方の係止部材が出力軸に係止している様子を表す平面図、(b)は他方の係合片と係合切欠きとが対向した様子を表す平面図、(c)は他方の係止部材がクランクアームに係合している様子を表す平面図である。 (a)は他方の係止部材が出力軸に係止している様子を表す平面図、(b)は一方の係合片と係合切欠きとが対向した様子を表す平面図、(c)は他方の係止部材がクランクアームに係合している様子を表す平面図である。 クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が0°、(b)は0°から90°になる間を示す。 クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が90°、(b)は90°から180°になる間を示す。 クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が180°、(b)は180°から270°になる間を示す。 クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が270°、(b)は270°から360°になる間を示す。 本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置をノズル装置に適用した例を示す図である。 本発明のクランクアームの回転半径変更装置の更に他の適用例を示す第1の図である。 本発明のクランクアームの回転半径変更装置の更に他の適用例を示す第2の図である。 (a)はその他の実施の形態のクランクアームの回転半径変更装置の側面図、(b)は図16(a)のクランクアームの回転半径変更装置の平面図である。 (a)はその他の実施の形態のクランクアームの回転半径変更装置の側面図、(b)は図17(a)のクランクアームの回転半径変更装置の平面図である。 本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置の他の実施形態の説明図であり、(a)は同装置の平面図、(b)は同装置の側面図、(c)は同装置の正面図。 図18の変更装置で採用したコロの説明図であり、(a)は保持器で保持されたコロの平面図、(b)は当該コロの側面図、(c)は当該コロの分解側面図、(d)は当該コロの断面図。 (a)は図19のコロを採用する場合に使用する第1の基板の平面図、(b)は図19のコロを採用する場合に使用する第2の基板の平面図。 図19のコロを図20の基板の内面に設置するための設置板に、当該コロを取り付けた状態の説明図であり、(a)(d)は取付け状態の平面図、(b)(e)は取付け状態の側面図、(c)(f)はその設置板の内面に設置したときの概念図である。 係合部材の他の実施の形態の説明図であり、(a)は係合部材の正面図、(b)はその側面図である。 図18の変更装置において、駆動軸とホルダの基板との連結構造の一例を示した断面図。 図18の変更装置において、図19のコロ7に代えて市販のベアリングを採用した例の説明図であり、(a)はベアリングを適用した同装置の平面図、(b)はベアリングを適用した同装置の側面図。 図18の変更装置にカバーを取付けた外観図であり、(a)はカバー付き変更装置の平面図、(b)はその側面図、(c)は(a)中の矢印BK方向から同変更装置を見た図。 図18(a)、図24(a)、図4(b)の変更装置において、係合部材をクランクアームから離隔する向きに移動させる手段についての他の例として、図18(a)、図24(a)、図4(b)に示すソレノイドの代わりに、モータ駆動装置を採用した例の説明図であり、図中(a)は当該モータ駆動装置を採用した変更装置の平面図、(b)は同装置の側面図、(c)は同装置の正面図。 図26に示すモータ駆動装置の詳細説明図であり、図中(a)はモータ駆動装置の断面の平面図、(b)はA−A線での断面図。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るクランクアーム1の回転半径変更装置(以下、変更装置10という)を自動車のワイパー装置100に適用した例の概要図である。本発明の変更装置10は、自動車のワイパー装置100以外にも、例えば、自動車のその他の装置、自動車以外の乗り物及び加工装置、遊戯装置等の種々の装置にも適用できる。
図1に示すように、ワイパー装置100は例えば自動車のボディAに設置されており、ボディAのいずれかの部分に固定されたモータ(駆動手段)2の動力を、クランクアーム1に連結されたリンクアーム11の往復直線運動に変換した後、ワイパーアーム13の往復揺動に変換し、ワイパーアーム13の先端部に接続された払拭体14でフロントガラス19を払拭する。
クランクアーム1は、連結軸16によりリンクアーム11に回転自在に連結されてホルダ(支持部材)3に支持され、モータ2の駆動軸21に回転力を付与されたホルダ3と共に回転して、リンクアーム11をその長さ方向に往復直線運動させる。
ワイパーアーム13の基部には、リンクプレート12が一体的に連結もしくは接合されている。リンクプレート12は、ボディAに固定されたピボット軸17に回転自在に支持され、リンクアーム11から直線運動を伝達されるとピボット軸17の周りに揺動し、ワイパーアーム13を揺動させる。
本実施の形態では、助手席側に配設されるワイパーアーム13Aと運転席側に配設されるワイパーアーム13Bとが並設されている。各ワイパーアーム13A、13Bに連結されている両リンクプレート12A、12B間には、連結リンクアーム15が架設されている。
リンクプレート12Aは、一端部においてリンクアーム11にピン18Aで回転自在に支持され、他端部においてワイパーアーム13Aと一体化されてピボット軸17AでボディAに回転自在に支持されている。
リンクプレート12Bは、一端部において連結リンクアーム15にピン18Bで回転自在に支持され、他端部においてワイパーアーム13Bと一体化されてピボット軸17BでボディAに回転自在に支持されている。
連結リンクアーム15は、リンクプレート12Bと共にピン18Aで回転自在に支持されており、リンクアーム11と共に直線運動し、リンクプレート12Aの揺動に連動してリンクプレート12Bを回動させる。
次に、変更装置10について説明する。図1に示すように、変更装置10は、クランクアーム1の回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させる機能を有し、その変位によって、クランクアーム1の回転半径を変更し、リンクアーム11の往復直線運動ストロークを変化させる。
変更装置10の前記変位機能は、モータ2の駆動軸21に固定されて回転力を付与されるとともに、クランクアーム1をその長さ方向に往復移動自在に支持する支持部材としてのホルダ3と、ホルダ3に対するクランクアーム1の固定位置を変更する変更手段4と、により実現される。前記変更手段4は、電力供給源に電気的に接続された切り換え操作器20の操作によって作動する。なお、ホルダ3の「幅方向」とは、平面視においてクランクアーム1の長さ方向に直交する方向(図において左右方向)のことを意味する。
クランクアーム1は、ホルダ3に挿通した状態で、ホルダ3に対する長さ方向の相対移動以外の移動が拘束されており、駆動軸21の回転によってホルダ3と一体的に回転する。
図2(a)に示すように、クランクアーム1には駆動軸21に挿通される挿通孔1aが、例えばクランクアーム1の長さ方向に長く形成されている。クランクアーム1は、駆動軸21を中心に回転し、駆動軸21に対しクランクアーム1の長さ方向に移動する。図面では、挿通孔1aは、クランクアーム1の長さ方向の略中点と連結軸16との間に形成されている。
図2(b)に示すように、クランクアーム1の両縁には円弧状の凸部1cが形成されている。したがって、ホルダ3とクランクアーム1との摩擦が軽減され、クランクアーム1の長さ方向の移動が円滑に行われる。
図2(a)〜(c)に示すように、クランクアーム1は、連結軸16を介してリンクアーム11に連結される連結部1Aと、ホルダ3に挿通する挿通部1Bとからなる。連結部1Aは、例えばL字状を呈し、挿通部1Bの一端部からから立設される側壁1dと、側壁1dからクランクアーム1の中心に向かって形成される天壁1eとからなる。天壁1eには、連結軸16が挿入される挿入孔1fが形成されている。本実施の形態では連結軸16はボールジョイントからなっている。
挿通部1Bと連結部1Aの天壁1eとは駆動軸21の軸線方向に離れており、駆動軸21が挿通孔1aの連結部1Aに近い方の端部に位置するときには、天壁1eとホルダ3とが平面視において重なる。この結果、クランクアーム1の回転半径を小さくすることができるとともに、変更装置10の設置空間を抑えることができる。これは、仮に連結部1Aがなく、挿入孔1fが挿通部1Bに形成されていると、連結軸16とホルダ3の挿入孔1f側端面との間にリンクアーム11を配設させる必要があることから、クランクアーム1の最小の回転半径が規制されてしまうと同時に、変更装置10の設置空間が大きくなってしまうからである。
クランクアーム1の長さ方向の移動によって、駆動軸21が挿通孔1aの両端部間を相対的に移動する。これにより、クランクアーム1の回転中心位置はそのクランクアーム長さ方向に変位し、クランクアーム1の回転半径は、クランクアーム1に形成された挿通孔1aにおける駆動軸21の位置、つまり、連結軸16と駆動軸21との位置関係に応じて変更される。図3(a)に示すように駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16寄りに位置したときには、駆動軸21から連結軸16までの距離(回転半径)L1が最小になるため、クランクアーム1の回転半径は最小になる。このとき、リンクアーム11の往復直線運動の距離(ストローク)が最小になるため、両ワイパーアーム13A、13Bが揺動し、払拭体14A、払拭体14Bが払拭する領域は最小になる。
一方、図3(b)に示すように駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に位置したときには、駆動軸21から連結軸16までの距離L1が最大になるため、クランクアーム1の回転半径は最大になる。このとき、リンクアーム11の往復直線運動の距離(ストローク)が最大になるため、両ワイパーアーム13A、13Bが揺動し、払拭体14A、払拭体14Bが払拭する領域も最大になる。
例えば、図3(a)の状態から図3(b)の状態に移行するように、駆動軸21と連結軸16との距離L1が2倍になると、クランクアーム1の回転半径変更後における両ワイパーアーム13A、13Bの揺動範囲は、変更前の揺動範囲の2倍になる。したがって、挿通孔1aの長さ及び形成位置に応じて、駆動軸21と連結軸16との距離(クランクアーム1の回転半径)が変更される最大範囲が決定される。このため、挿通孔1aの長さ及び形成位置は、両払拭体14A、14Bの目標の払拭範囲によって適宜に設定される。
クランクアーム1の幅方向に対する挿通孔1aの形成位置は問われないが、図面のように幅方向の中央に形成されている場合には、駆動軸21がクランクアーム1及びホルダ3に偏心しないことから、これらの回転よって通過する領域が同一の大きさのクランクアーム1及びホルダ3の中では最小となるので好適である。
クランクアーム1の縁(外側面)には係合切欠き1bが複数形成されており、係合切り欠き1bには、後述の変更手段4を構成する係合部材(移動体)41、42の係合片41a、42aが係合する。本実施の形態では、図4(a)〜(c)に示すように、クランクアーム1の外側から係合片41a、42aが係合切欠き1bに挿入するので、係合切欠き1bは縁に形成されている。また、係合片41a、42aがクランクアーム1の両側に分かれて配設されているので、係合切欠き1bも両縁に形成されている。つまり、係合切欠き1bの形状・位置と係合片41a、42aの形状・位置とは対応している。
図4(a)〜(c)に示すように、ホルダ3は例えば、駆動軸21に取り付けられた2つのボルト22に狭持されて固定されており、駆動軸21に挿通された状態で駆動軸21の軸線方向(図において上下方向)に並設される2枚の平板状の基板31、32と、クランクアーム1の縁に接する回転体34とを備える。
図5(a)、(b)に示すように、基板31、基板32にはそれぞれ駆動軸21に挿通される挿通孔31a、32aと、係合部材41、42の係合片41a、42aが挿入する挿入切欠き31b、32bと、回転体34の回転軸部材34Aに挿入される回転軸部材孔31d、32dとが所定の位置に形成されている。駆動軸21の回転をホルダ3に確実に伝えるために、駆動軸21の先端から軸線方向に所定区間は、対極する両端が軸線方向に切断されている。基板31の挿通孔31aは駆動軸21に嵌合されるような形状に形成されている。
回転体34は、基板31、32間に介在して固定されている回転軸部材34Aと、回転軸部材34Aに回転自在に支持された回転部材34Bとを備える。回転体34は、クランクアーム1の各縁に少なくとも一つは配設されている。本実施の形態では、回転軸部材34Aは、1組の雄螺子と雌螺子とで構成され、適宜にワッシャー34Cが配設される。
図面では、回転部材34Bの外周面には全周に亘って円弧状の凹部34aが内向きに形成されている。ここで、回転部材34Bの凹部34aの壁面が、ホルダ3に挿通しているクランクアーム1に接しているので、クランクアーム1は、その幅方向への移動、及び回転軸部材34Aの軸線方向への移動が拘束される。
回転部材34Bは、例えば、ボールベアリング等の軸受けからなる。したがって、クランクアーム1の長さ方向の移動が円滑に行われる。また、例えば軸受けを構成する内輪(図示せず)と基板31、32との間にワッシャーを介在させて、雄螺子と雌螺子とを螺合することによって、回転部材34Bの回転自在の状態を維持しつつ、基板31、32を強固に固定してホルダ3の構造的安定性を向上させることができる。
さらに、回転部材34Bが軸受けからなることで、回転部材34Bの、回転軸部材34Aの軸線方向のガタツキがなくなるので、回転部材34Bに拘束されるクランクアーム1の、回転軸部材34Aの軸線方向の拘束も確実になる。ここで、クランクアーム1の凸部1cと回転部材34Bの凹部34aとが嵌合すれば、クランクアーム1の回転体34による拘束が一層確実になるので望ましい。
変更手段4は、係合片41a、42aと係合切欠き1bとを切り替えて係合させることによって、駆動軸21に対するクランクアーム1の往復移動を規制して、ホルダ3に対するクランクアーム1の固定位置、つまりクランクアーム1の回転半径を変更する。変更手段4は、基板31の上面に設置され、クランクアーム1をその長さ方向に係止させる係合部材41、42と、係合部材41、42をクランクアーム1から離隔する向きに移動させる双安定型自己保持ソレノイド(以下、ソレノイドという)(移動手段)43と、ソレノイド43をホルダ3に固定するための固定部44と、係合部材41、42をクランクアーム1に係合する方向に付勢する付勢部材45とを有する。
ソレノイド43は、基板31に固定された固定部44に支持されて固定されている。固定部44は、例えば複数(図において2つ)のL字形状を呈した固定部材44A、44Bを備え、固定部材44A、44Bは、その長さ方向がクランクアーム1の幅方向に一致した状態でクランクアーム1の長さ方向に並設されている。固定部材44A、44Bはそれぞれ、底部44aと底部44aから連設される側部44bとからなり、クランクアーム1の長さ方向の外側に底部44aが配設され、内側に側部44bが配設されている。
両固定部材44A、44Bは、底部44aで基板31に固定され、側部44bでソレノイド43を挟んだ状態で支持している。図面では、固定部材44A、44Bの底部44aはそれぞれ固定軸部材34Aの雌螺子と、基板31とに挟まれて螺合によって固定されている。側部44bには外側から所定の雄ねじ44Cが嵌入して内側に突出しており、ソレノイド43を収容するハウジング43cに螺合してハウジング43cを支持している。固定部材44Aの底部44aには切欠部44cが形成されており、切欠部44c内に駆動軸21が配設されている。これは、駆動軸21と変更手段4とを集約することによってホルダ3の大きさを縮小するためである。
固定部材44A、44B間にはL字形状を呈する拘束部材46が、その長さ方向が固定部材44A、44Bの長さ方向に一致した状態で配設されている。拘束部材46は、ソレノイド43と基板31との間で基板31から所定距離をおいて位置する底板46aと、底板46aから連設され、いずれか一方の固定部材44A、44Bの側部44bとハウジング43cとの間に位置する側板46bとからなり、雄ねじ44Cによって支持されている。拘束部材46の底板46aと基板31との間の距離は、後述する係合部材41、42の挿通片41b、42bの厚さに一致していることが望ましい。係合部材41、42の駆動軸21の軸線方向の移動を拘束するためである。
本実施の形態では、変更手段4は、2つの係合部材41、42を有し、それぞれの形状と構造は同一である。一方の係合部材41は他方の係合部材42に平面視において180度回転した状態で配設されている。図6(a)〜(d)に示すように、各係合部材41、42は、拘束部材46と基板31との間に挿通する、例えば平面視矩形状の挿通片41b、42bと、一端部で挿通片41b、42bに連設され、クランクアーム1に係合する係合片41a、42aと、係合片41a、42aが形成されている端部で挿通片41b、42bに連設され、ソレノイド43の荷重を受ける伝達片41c、42cとを有する。
図4(a)〜(c)に示すように、挿通片41b、42bはその長辺方向とクランクアーム1の幅方向とが一致するように拘束部材46と基板31との間に挿通し、クランクアーム1の長さ方向に並設されている。固定部材44A、44Bの側部44b、44b間距離が、並設された挿通片41b、42bの短辺長さの総和に一致しているので、挿通片41b、42bは、内側面でお互いに接し、外側面で対面する固定部材44A、44Bの側部44bに接するので、挿通片41b、42bはクランクアーム1の長さ方向において拘束される。挿通片41b、42bの厚さが、拘束部材46の底板46aと基板31との間の距離に一致していることから、挿通片41b、42bは駆動軸21の軸線方向においても拘束されるので、その長辺方向(クランクアーム1の幅方向)にのみ移動可能である。ここでは、挿通片41b、42bの長辺方向の移動を円滑にするために、挿通片41b、42bの両縁部に円弧状の凸部41d、42dが外向きに形成されている。
挿通部41b、42bが基板31と拘束部材46との間に挿通したときに、係合片41a、42aはクランクアーム1の長さ方向外側に位置し、一方の係合部材41の係合片41aと他方の係合部材42の係合片42aとの間には所定距離が確保されている。また、係合片41a、42aは駆動軸21の基端部側に突出し、クランクアーム1の軸線方向に交差している。
本実施の形態では、係合片41aと係合片42aとはクランクアーム1の長さ方向に所定距離をおいて配設されているのに対して、係合切欠き1bはクランクアーム1の長さ方向において略同一の位置に形成されている。つまり、係合片41a、41b間の位置関係と係合切欠き1b、1b間の位置関係は相違する。従って、2つの係合片41a、42aが同時に係合切欠き1bに挿入することはない。また、係合切欠き1bと係合片41a、42aとのクランクアーム1の長さ方向の位置関係によって、ホルダ3に対するクランクアーム1の固定位置、つまり駆動軸21と連結軸16との距離が決定される。
係合片41a、42aは、ホルダ3の駆動軸21の軸線方向長さより長く形成されて、両基板31、32の挿入切欠き31b、32b及びクランクアーム1の係合切欠き1bに挿入している。係合片41a、42aは、クランクアーム1の係合切欠き1bに挿入して係合すれば、ホルダ3の駆動軸21の軸線方向長さより短くてもよい。しかしながら、本実施の形態のように、係合片41aが所定距離をおいた2枚の基板31、32の挿入切欠き31b、32bに挿入した方が、係合片41a、42aの固定状態を確実にすることができるので好ましい。
係合片41a、42aのクランクアーム1に対向する側面には円弧状の凸部41e、42eが外向きに形成されており、係合片41a、42aとクランクアーム1との摩擦係数が軽減される。
一方、伝達片41c、42cは、係合片41a、42aとは反対向き(図において上側)に突出しており、ソレノイド43に対向している。伝達片41c、42cは一枚で構成されていてもよく、また、図6(a)〜(d)に示すように、伝達片41c、42cに、例えば1組のボルト・ナット等によって連結伝達片41f、42fを固定して一体的に形成させることも可能である。
伝達片41c、42cは、クランクアーム1の長さ方向において両固定部材44A、44Bの側壁44bの位置より外側に突出しており、当該突出した部分(以下、突出部分という)には付勢部材45が設置されている。付勢部材45は例えばばね等の弾性体で構成され、対向する突出部分間に架設され、付勢部材45の付勢方向は挿通片41b、42bの長辺方向に一致している。したがって、係合部材41、42の挿通片41a、42aの長辺方向移動が円滑に行われる。
図4(a)〜(c)に示すように、ソレノイド43は、可動鉄心(図示せず)に接続され、同軸線状に配設された出力軸43a、43bを有し、出力軸43a、43bはその軸方向に一体的に移動する。本実施の形態では、平面視において出力軸43a、43bの軸線方向はクランクアーム1の長さ方向に直交し、それぞれ係合部材41、42の伝達片41c、42cのいずれかに対向している。
出力軸43a、43bは、可動鉄心や固定鉄心(図示せず)を収納するハウジング43cの両端面から突出し、ソレノイド43に流れる電流の方向が切り換えられると、流れた電流に対応する向きに出力軸43a、43bが移動して、出力軸43a、43bのいずれか一方がハウジング43cの端面から偏って突出する。
ソレノイド43への電力供給は、ソレノイド43に接続されたリード線(図示せず)が駆動軸21に形成された貫通孔(図示せず)内に挿入され、駆動軸21の基端部(例えばウオームギア部)に設置された銅板・銅箔等の回転接触導体(ブラシ)(図示せず)に接続されることによって行われる。接続導体は、所定の電力供給源と、上記のソレノイド43に流れる電流の向きを切り換える切り換えスイッチ等の切り換え操作器20を介して電気的に接続されている。
図7(a)〜(c)及び図8(a)〜(c)を用いて変更手段4の動作を説明する。初期状態として、図7(a)に示すように、出力軸43aがハウジング43cの端面から偏って突出して、係合部材41の伝達片41cに当接し、係合部材41の係合片41aを係合切欠き1bから引き抜いた状態を想定する。このとき、付勢部材45は付勢状態にあり、係合部材41をクランクアーム1の幅方向内向きに付勢している。
一方、係合部材42の伝達片42cは、出力軸43bの先端から離れた位置にあり、係合片41aと係合切欠き1bとが対向していることから、係合片42aは係合切欠き1bとは対向しておらず、付勢部材45に付勢されてクランクアーム1の縁に係止している。
つまり、係合部材41は出力軸43aに、係合部材42はクランクアーム1にクランクアーム1の幅方向外向きに係止すると同時に、付勢部材45によってクランクアーム1の幅方向内向きに付勢されているので、ホルダ3に拘束されたクランクアーム1又はホルダ3に固定された移動手段43に拘束されて、変更手段4からの係合部材41,42の脱着が阻止されている。
ここで、図7(b)に示すように、係合部材42の係合片42a側に形成されている係合切欠き1bが、クランクアーム1の長さ方向において係合部材42の係合片42aと同一の位置に移動すると、係合部材41は出力軸43aに係止しているので、図7(c)に示すように、係合部材42のみが付勢部材45によってクランクアーム1の幅方向内向きに移動し、係合片42aが係合切欠き1bに挿入して係合する。この結果、クランクアーム1が係合片41aに係合し、クランクアーム1の長さ方向の移動が拘束される。
この状態においても、両係合部材41、42の変更手段4からの脱着を阻止するために、付勢部材45が付勢状態にあることが好適である。
移動手段4の電流の流れが切り換えられると、図8(a)に示すように、クランクアーム1に係合している係合部材42の伝達片42cに対向する他方の出力軸43bがハウジング43cの端面から偏って突出した状態になり、係合片42aが係合切欠き1bから引き抜かれる。
この時、出力軸43aはクランクアーム1の幅方向内向きに移動するので、出力軸43aの先端と係合部材41の伝達片41cとが離れる。したがって、係合片41aは、対向するクランクアーム1の縁に係止する。
ここで、図8(b)に示すように、クランクアーム1が長さ方向に移動し、係合片41aと、係合片41aに対向するクランクアーム1の縁に形成されている係合切欠き1bとがクランクアーム1の長さ方向において同一の位置になるとき、図8(c)に示すように、係合片41aは付勢部材45の付勢力によって係合切欠き1bに挿入し、クランクアーム1に係合する。
次に、変更手段4が設置されていないと想定した場合のワイパー装置100の動作を説明する。説明を容易にするために、ホルダ3は図示しない。駆動手段2の駆転軸21の回転によるクランクアーム1の回転に連動してリンクアーム11、ワイパーアーム13A、13Bが往復運動をするので、クランクアーム1の1回転は、リンクアーム11、ワイパーアーム13の1往復に相当する。
クランクアーム1とリンクアーム11とが連結軸16を介して回転自在に連結されていることから、クランクアーム1はリンクアーム11に対して連結軸16を中心に回転する。つまり、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θは連結軸16を頂点として0°〜360°まで変化する。
クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが0°(360°)の場合、クランクアーム1とリンクアーム11とが同軸線状になって、ピン18Aと連結軸16との間に駆動軸21が位置し、クランクアーム1の回転半径が最小となっている。
駆動手段2が駆動され、クランクアーム1が時計回りに回転し始めると、図9(b)に示すように、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に引っ張られるので、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部に移動するようにクランクアーム1がその長さ方向に移動する。これにより、クランクアーム1の回転中心位置はクランクアーム長さ方向(具体的には駆動軸21が連結軸16から相対的に離れる方向)に変位し、クランクアーム1の回転半径が大きくなっている。
図10(a)に示すように、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが90°になるとき、クランクアーム1の回転半径は最大となっている。クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが180°になるまでの間では、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に押されるので、図10(b)に示すように、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16寄りの端部に移動するようにクランクアーム1がその長さ方向に移動する。これにより、クランクアーム1の回転中心位置はクランクアーム長さ方向(具体的には駆動軸21が連結軸16に相対的に近づく方向)に変位し、クランクアーム1の回転半径が小さくなる。
図11(a)に示すように、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが180°の場合、クランクアーム1とリンクアーム11とが同軸線状になって、ピン18Aと駆動軸16の間に連結軸21が位置し、クランクアーム1の回転半径が最小となっている。クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが270°になるまでの間では、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に引っ張られるので、図11(b)に示すように、クランクアーム1は再度、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部に移動するように長さ方向に移動し、クランクアーム1の回転半径が大きくなる。
その後、同様に図12(a)に示すように、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが270°になるとき、クランクアーム1の回転半径は最大となっている。クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが360°(0°)になるまでの間、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に押されるので、図12(b)に示すように、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16寄りの端部に移動するように、クランクアーム1が長さ方向に移動し、クランクアーム1の回転半径が小さくなる。その後、クランクアーム1は同様の動作を繰り返す。
このように、本適用例の変更装置10では、リンクアーム11を介して伝達される抵抗力の影響で、クランクアーム1は、駆動軸21よりも下側で連結軸16を下方に移動させる際、及び、駆動軸21よりも上側で連結軸16を上方に移動させる際に、挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部を、駆動軸21に接近する方向に移動させる。また、駆動軸21よりも下側で連結軸16を上方に移動させる際、及び、駆動軸21よりも上側で連結軸16を下方に移動させる際に、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部を、駆動軸21に接近する方向に移動させる。
挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部が駆動軸21に当接すると、クランクアーム1の回転半径が最大となり、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部が駆動軸21に当接すると、クランクアーム1の回転半径が最小となる。つまり、クランクアーム1は、駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する度に、回転半径が最大となる位置と、最小となる位置との間で2回の往復移動を行う。
この往復移動を規制して、駆動軸21を中心としたクランクアーム1の回転半径を固定することで、リンクアーム1を往復直線運動させるためのクランクアーム1の回転運動を用いて、クランクアーム1の回転半径を変更することが可能となる。この現象を利用して、クランクアーム1の回転半径を変更する場合には、リンクアーム11を介して伝達する際の抵抗力が大きいことが好ましく、本適用例の自動車のワイパー装置100等に最適である。
本適用例では、クランクアーム1が駆動手段2によって1回転して長さ方向の移動を2往復行う際に、上述した変更手段4を作動させると、係合片41a、42aの位置と係合切欠き1bの位置とによって定められるクランクアーム1の回転半径に変更することができる。切り換え操作器20によってクランクアーム1に係合する係合片41a、42aを選択することができるので、外部から自動的にクランクアーム1の回転半径を変更することができる。
クランクアーム1の回転半径を変更するためには、付勢部材45の付勢力による係合片41aまたは係合片42aとクランクアーム1との係合を解除するのみであるので、クランクアーム1の回転半径を変更する動力は小さい。また、ホルダ3に設置された変更手段4によってクランクアーム1の回転半径を変更することができるので、クランクアーム1の回転半径を変更するための設置空間を小さく抑えることができる。
また、駆動手段2の動力をリンクアーム11へ伝達する既存のクランク機構と変更装置10とを交換すれば、リンクアーム11による動力伝達を行う既存のリンク機構を利用できるので経済的である。
また、切り換え操作器20の操作で変更手段4を作動させるのに合わせて、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を変更することにより、駆動手段2に過負荷を生じさせずに払拭体14による単位時間当たりの払拭回数を増加させることが可能となる。具体的には、クランクアーム1による回転力の伝達位置である連結軸16と駆動軸21との距離が長くなる程、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を減少させ、連結軸16と駆動軸21との距離が短くなる程、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を増加させることで、駆動手段2の負荷の大幅な増加を抑えつつ、リンクアーム11の往復運動回数を増加させることができる。例えば、図3(b)の状態から図3(a)の状態に移行して駆動軸21と連結軸16との距離L1が1/2倍になるのに伴い、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を2倍に増加させることで、駆動手段2の負荷をそのままに、単位時間当たりの払拭体14の払拭回数を2倍に増加させることができる。
(実施の形態2)
図13は本発明に係るクランクアーム1の回転半径変更装置10をノズル装置200に適用した例を示す図である。同図において、実施の形態1と共通する部分については、同一の名称・符号を用い、説明を省略する。
図13に示す本適用例のノズル装置200は、自動車のフロントガラスに水を吹き付ける人工降雨装置であり、変更装置10と、ホースに接続されて水を噴射させるノズル61と、ノズル61を移動させるための可動枠体62と、可動枠体62の移動方向を規制するレール63と、クランクアーム1と可動枠体62とを連結するリンクアーム11とを備える。
レール63は、その長さ方向が水平方向と一致するように配設されて、互いが連結されている。レール63は同一規格の一対のアングル(等辺アングル又は不等辺アングル)からなり、それぞれのアングルの側板が外側に、底板が内側に配設されている。レール63の側板の内面には、可動枠体62を誘導するガイド部64が、レール63の長さ方向に形成されている。本実施の形態では、ガイド部64は丸棒からなっているが適宜に設定される。
可動枠体62は、ガイド部64に沿って移動自在にするための滑車621を備える。可動枠体62は、レール63の備える一対のガイド部64に滑車621を嵌め合わせ、ノズル61の設置される平面が水平面に交差するように、レール63の長さ方向に直線運動自在に載置されている。
変更装置10は、クランクアーム1の回転面が水平面に交差するように、レール63の一端部に配設されたモータ2の駆動軸21にホルダ3を支持されている。リンクアーム11は、一端部で連結軸16によりクランクアーム1に回転自在に支持され、他端部でピン18Aを介して可動枠体62に回動自在に連結されている。
本実施の形態では、運転席側に配設される可動枠体62A、62B、ノズル61A、61Bと助手席側に配設される可動枠体62C、ノズル61Cとが並設されている。可動枠体62A,62B間、及び、可動枠体62B,62C間には連結リンクアーム65が架設されて、各可動枠体62A〜62Cが連結されている。
図面では、可動枠体62Cとクランクアーム1とがリンクアーム11を介して連結されており、クランクアーム1の回転に伴って可動枠体62Cが往復直線運動を行う。したがって、可動枠体62Cの往復直線運動に連動して可動枠体62A、62Bが往復直線運動を行う。
変更手段4が作動していないとき、クランクアーム1は1回転する間に長さ方向に1往復移動する。これは、クランクアーム1の回転面が水平面に交差し、滑車621とガイド部64とを用いて可動枠体62が移動することから可動枠体62が移動する際にほとんど抵抗が生じないので、クランクアーム1に作用する軸力がほとんどないからである。
すなわち、図9(b)に示すように、クランクアーム1が水平面の上側を回転しているとき(連結軸16が駆動軸21より下側に位置するとき)は、クランクアーム1が自重で下向きに移動(落下)して、図10(a)に示すように、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に位置し、図11(b)に示すように、水平面の下側を回転しているとき(連結軸16が駆動軸21より上側に位置するとき)も、クランクアーム1の自重で下向きに移動して駆動軸21が連結軸16寄りの端部に位置する。
また、クランクアーム1の回転に伴って、リンクアーム11はピン18Aを中心に揺動する。したがって、クランクアーム1はリンクアーム11の自重によっても下向きに移動する。具体的には、連結軸16が駆動軸21より下側に位置するときは、図9(b)に矢印で示すようにリンクアーム11の自重で下向きに移動して駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に位置し、連結軸16が駆動軸21より上側に位置するときも図12(b)に矢印で示すようにクランクアーム1の自重で下向きに移動して駆動軸21が連結軸16寄りの端部に位置する。
このように、本適用例では、クランクアーム1を垂直回転あるいは水平方向に対して斜めに回転させると、クランクアーム1及びリンクアーム11に働く重力の影響により、連結軸16を駆動軸21よりも上側又は下側に位置させたクランクアーム1が、下方に移動する。このため、クランクアーム1は、駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する間に、連結軸16を駆動軸21よりも下側に移動させる際に1回目、連結軸16を駆動軸21よりも上側に移動させる際に2回目の下方に向けた移動を行う。
1回目の下方へのクランクアーム1の移動では、挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に駆動軸21が当接して、クランクアーム1の回転半径が最大となる。また、2回目の下方へのクランクアーム1の移動では、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部に駆動軸21が当接して、クランクアーム1の回転半径が最小となる。つまり、クランクアーム1は、駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する度に、回転半径が最大となる位置と、最小となる位置との間で1回の往復移動を行う。
この往復移動を規制して、駆動軸21を中心としたクランクアーム1の回転半径を固定することで、リンクアーム1を往復直線運動させるためのクランクアーム1の回転運動を用いて、クランクアーム1の回転半径を変更することが可能となる。この現象を利用して、クランクアーム1の回転半径を変更する場合には、リンクアーム11を介して動力を伝達する際の抵抗力が小さいことが好ましい。
本適用例では、上述した変更手段4を作動させると、係合片41a、42aの位置と係合切欠き1bの位置とによって定められるクランクアーム1の回転半径に変更することができる。切り換え操作器20によってクランクアーム1に係合する係合片41a、42aを選択することができるので、外部から自動的にクランクアーム1の回転半径を変更することができる。
上記実施の形態1では、クランクアーム1を垂直回転あるいは水平方向に対して斜めに回転させることから、上記実施の形態2と同様に、クランクアーム1及びリンクアーム11に働く重力の影響で、連結軸16を駆動軸21よりも上側又は下側に位置させたクランクアーム1を、下方に移動させようとする力が働く。但し、リンクアーム11を介して働く抵抗力が上記実施の形態2と比べて大きい場合は、この抵抗力によりクランクアーム1の下方への移動が阻害される虞がある。
抵抗力の影響は、クランクアーム1の回転数が多いほど大きくなる。これは、リンクアーム11を介して伝達される抵抗力に抗してクランクアーム1が回転運動させられており、この抵抗力の影響をそれほど受けずにクランクアーム1が垂直方向に移動できるクランクアーム1の回転位置が制限されるため、回転速度が速すぎるとクランクアーム1が下方に十分に移動する前に、再び抵抗力の影響を大きく受ける回転位置までクランクアーム1が回転してしまうためであると考えられる。
このため、スプリングなどの付勢部材を用いて、クランクアーム1を常時下側に付勢して、クランクアーム1の下方への移動を確実に行えるようにしてもよい。クランクアーム1の下方への付勢は、リンクアーム11を介して行うことが好ましい。これは、駆動軸21を中心として回転運動を行うクランクアーム1に付勢部材を取り付ける場合には、ホルダ3や駆動軸21との接触を避けるように付勢部材の配置や取り付けの構造が制限されるのに対し、リンクアーム1に付勢部材を取り付ける場合には、このような制限がないからである。
以下、付勢部材を用いてクランクアーム1を下方へ付勢する変更装置10の他の適用例を説明する。
(実施の形態3)
図14及び図15は、本実施形態のワイパー装置100での変更装置10の構成及び動作を示す概要図である。図14(a)はクランクアーム1とリンクアーム11との角度が0°から90°になる間、(b)は90°の状態を示す。また、図15(a)はクランクアーム1とリンクアームとの角度が180°から270°になる間、(b)は270°の状態を示す。
本実施形態の変更装置10は、上記実施の形態1の変更装置10が、リンクアーム11とボディAとに架設された付勢部材5を備える構成を有する。付勢部材5は、例えばばね等の弾性体で構成され、リンクアーム11の長さ方向の中央よりクランクアーム1側の部分に一端を、他端をほぼ同位置でリンクアーム11よりも下側に位置するボディAにそれぞれ連結されて、リンクアーム11を下方に向けて常時付勢している。以下、変更手段4が作動していないと想定した場合のワイパー装置100の動作を説明する。
図14(a)に示すように、角度が0°から90°まで時計回りに回転するクランクアーム1は、クランクアーム1並びにリンクアーム11に働く重力、リンクアーム11の引張力、及び付勢部材5の付勢力により、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部を駆動軸21に接近させるように移動し、クランクアーム1の回転半径が大きくなる。図14(b)に示すように、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部が駆動軸21に当接すると、クランクアーム1の回転半径が最大となる。
また、図15(a)に示すように、角度が180°から270°まで時計回りに回転するクランクアーム1は、リンクアーム11の引張力により、クランクアーム1並びにリンクアーム11に働く重力及び付勢部材5の付勢力に抗して、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部を駆動軸21に接近させるように移動し、クランクアーム1の回転半径が大きくなる。
リンクアーム11に対するクランクアーム1の角度が270°に近づくと、付勢部材5の付勢力が増大すると共に、クランクアーム1並びにリンクアーム11に働く重力及び付勢部材5の付勢力に抗してクランクアーム1を上方に移動させようと働くリンクアーム11の引張力の影響が小さくなり、図15(b)に示すように、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部が駆動軸21に当接するまで、クランクアーム1が下方に移動する。
このように、本適用例でも、実施の形態2の場合と同様に、クランクアーム1が駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する間に、連結軸16を駆動軸21よりも下側に移動させる際に1回目、連結軸16を駆動軸21よりも上側に移動させる際に2回目の下方に向けた移動を行わせ、クランクアーム1の回転半径を最大と最小との間で確実に変化させることができる。従って、変更手段4を作動させると、係合片41a、42aの位置と係合切欠き1bの位置とで定められるクランクアーム1の回転半径に変更することができる。
なお、付勢部材5によりクランクアーム1に働かせる付勢力は適宜設定でき、例えば、クランクアーム1が角度が180°から270°まで時計回りに回転する際に、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部を駆動軸21に接近させずにそのまま下方に移動するように、付勢力を働かせてもよい。また、付勢部材5の取付位置も、リンクアーム11を介してクランクアーム1に十分な付勢力を働かせることができるよ
うに、適宜設定できる。
(実施の形態4)
図18は、本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置の他の実施の形態の説明図である。同図において、実施の形態1と共通する部分については、同一の名称・符号を用い、説明を省略する。
<回転部材34Bについて金属製軸受けの採用による強度向上>
図18の変更装置10では、実施の形態1で説明した回転部材34Bの一例として、ボールベアリング等の金属製の軸受けを採用することにより、回転部材34Bの強度向上を図っている。かかる金属製の軸受けは、その内輪の内周面を回転軸部材34Aの外周面に固定し、その外輪の外周面がクランクアーム1の縁に接して回転できるように構成してある。
<軸受け34B−1の採用に伴う複数のコロ7の導入>
また、図18の変更装置10においては、前記軸受け34B−1の採用に伴い、回転軸部材34A軸線方向へのクランクアーム1の移動を拘束する構成として、第1及び第2の基板31、32の内面(クランクアーム1との対向面)に図19のコロ7を複数設け、これらのコロ7外周面の一部がクランクアーム1の表裏面側からクランクアーム1に接触する構成を採用した。回転部材34としての軸受けの外輪の外周面は凹部のないフラットな円弧面であるため、その軸受けだけで回転軸部材34A軸線方向へのクランクアーム1の移動を拘束することは困難だからである。
第1の基板31に設けた複数のコロ7は、図18(a)(b)のようにクランクアーム長さ方向(矢印Y方向)に沿って並べて配置してある。この点は第2の基板32に設けた複数のコロ7についても同様である。各基板31、32の複数のコロ7のうち、クランクアーム1の先端側に位置するコロ7(7A)は、クランクアーム1の幅方向ほぼ中央部に接触するように設けている。一方、クランクアーム1の後端側に位置するコロ7(7B、7B)は、クランクアーム11の幅方向に並べて2つ配置することで、クランクアーム1の挿通孔1aの両縁部に接触するように設けている。これは、コロ7(7B、7B)がクランクアーム1の挿通孔1aを避けて、確実にクランクアーム1に接触できるようにするためである。
図19は、図18の変更装置10で採用したコロ7の説明図である。
同図のコロ7は円柱形状で、上下の保持器71、72によって回転可能に保持されている。上側の保持器71は、コロ7の径方向約上半分を収容するための凹部71Aと、この凹部71Aの底からコロ7の外周面を外部に露出させるための開口部71Bと、コロ7の軸(以下、コロ軸70という)を回転可能に支持する軸受け溝71Cとを備えて構成される。一方、下側の保持器72は、コロ7の径方向約下半分を収容するための凹部72Aを備えている。
そして、上側の保持器71の凹部71Aと下側の保持器72の凹部72Aとを互いに対向させ、その両凹部71A、72A間にコロ7を配置した状態で、上下の保持器71、72を図示しない固定手段で固定することにより、上下の保持器71、12は、一体化される。これにより、コロ7は、コロ軸70を中心として回転可能に保持され、そのコロ外周面の一部が上側の保持器71の開口部71Bから外部に露出する。
図20は、図19のコロ7を採用する場合に使用する第1及び第2の基板31、32の平面図である。
図20の基板31、32には、コロ7とその上側の保持器71を挿入するための複数の窓8が開設されており、これらの複数の窓8はいずれも基板31、32の表裏面を貫通するように形成してある。
図21は、図19のコロ7を図20の基板31、32の内面に設置するための設置板8A、8Bに、当該コロ7を取り付けた状態の説明図である。
図21の設置板8A、8Bには、同図(c)(f)のように、図20の窓8と対応するコロ取付け用凹部80を複数形成してある。そして、その各コロ取付け用凹部80にコロ7の下側の保持器72を圧入で嵌め込むことによって、当該コロ7は、設置板8A、8Bに一体に取り付けられるようになっている。コロ7を設置板8A、8Bに取り付ける方式としては、前記のような圧入による嵌め込みとは別の方式を採用してもよい。
コロ7を取り付けた前記設置板8Aは、コロ7とその上側の保持器71を基板31の窓8に挿入した状態で、同基板31にネジ止め固定される。これにより、コロ7外周面の一部(上側の保持器71Aの開口部から露出している部分)が窓8から露出し、クランクアーム1に接触できるようになる。
コロ7を取り付けた設置板8Bも、先に説明した設置板8Aと同様に、基板32に固定される。以上のようにして2つの設置板8A、8Bがそれぞれの基板31、32に取り付けられると、第1の基板31のコロ7と第2の基板32のコロ8は、図21(c)(f)及び図18(b)のように対向して配置され、クランクアーム1の表裏両面側から当該クランクアーム1にコロ7外周面の一部が接触する。この接触によって回転軸部材34A軸線方向へのクランクアーム1の移動が拘束される。
<コロ7とベアリングBRの比較>
前記コロ7に代えて図24のように市販のベアリングBRを採用することもできる。しかし、変更装置10全体のコスト低減と薄型化を図るならば、コロ7を採用するのが好適である。コロ7とこれと同程度の耐荷重仕様のベアリング(市販品)とを比較すると、コロ7の方が、小径で基板31、32の厚み方向に嵩張らないし、部品点数も少なく安価だからである。
<基板31、32の強度向上>
図18の変更装置10においては、図5に示す基板31、32の挿入切欠き31b、32bに代えて、その挿入切欠き31b、32bと同じ方向性の長孔31f、32f(図20(a)(b)参照)を採用した。挿入切欠き31b、32bや、長孔31f、32fに直角に作用する曲げ力に対する基板31、32の強度は、長孔31f、32fの方が強いため、長孔31f、32fの採用によって基板31、32全体の強度向上を図ることができる。
<係合部材41、42の動作のスムーズ化>
図18の変更装置10においては、図6に示す係合部材41、42の他の実施の形態として、図22に示す係合部材41、42を採用した。
図22の係合部材41、42は、基板31、32の長孔31f、32f(図18(a)と図20(a)(b)参照)に挿入されてクランクアーム1に係合する係合片41a、42aと、係合片41a、42aに一体に形成されてソレノイド43の荷重を受ける伝達片41c、42cと、係合片41a、42aに取り付けられた回転体41g、42gとからなる。
図22の係合部材41、42も、図6の係合部材41、42と同様に、基板41、42の長孔31f、32f(図6の係合部材41、42では挿入切欠き31b、32b)に沿ってスライドでき、その係合片41a、42aがクランクアーム1の係合切欠き1b、1bに係合することで、クランクアーム1をその長さ方向に係止させる。なお、図22の係合部材41、42は、係合片41a、42aの端部に設けた凸部41h、42h側がクランクアーム1の係合切欠き1b、1bに係合する構造になっているが、凸部41h、42hのない形状でもよい。
前記係合部材41、42の回転体41g、42gは、2枚の基板31、32間に配置される。そして、前記のように係合部材41、42が長孔31f、32fに沿ってスライドするとき、この回転体41g、42gは、両基板31、32の内面に接触しながら回転することによって、係合部材41、42のスライド動作を安定させる役割と円滑にする役割を果たし、係合部材41、42のスライド動作をスムーズなものにする。
前記係合部材41、42の回転体41g、42gとしては、例えば金属製のボールベアリングや、それ以外の転がり軸受けを採用することができ、また、図19に示すコロ7を採用することもできる。
<付勢部材45の分離>
図18の変更装置10では、更に図4に示す付勢部材45の他の実施の形態として、図18に示すように、係合部材41、42ごとにその近傍に対応するキックバネ45A、45Bを配置し、その各キックバネ45A、45Bによって2つの係合部材41、42を個別に付勢する構成を採用した。なお、前記キックバネ45A、45Bによる係合部材41、42の付勢方向などについては、図4に示す一つのばねからなる付勢部材45と同様であるため、その詳細説明は省略する。
<駆動軸21とホルダ3の基板31、32との連結構造>
図23は、図18の変更装置10において、駆動軸21とホルダ3の基板31、32との連結構造の一例を示した断面図である。
図23の連結構造では駆動軸21の端部に段差21A、21Bを2段形成している。また、上下の段差21A、21B間は、実施の形態1で説明した駆動軸21(図4参照)と同じく、駆動軸21の対極する外周両側を軸線方向に切断した形状とし(以下、この形状部分を第1の切断形状部21Cという)、上段の段差から駆動軸21の先端までは、同様に切断した形状(以下、この形状部分を第2の切断形状部21Dという)と雄ねじ21Eとを連続して形成してある。さらに、図20(a)(b)のように、第1の基板31の挿通孔31aは、前記第1の切断形状部21Cの径方向断面形状に合わせて形成し、第2の基板32の挿通孔32aは、前記第2の切断形状部21Dの径方向断面形状に合わせて形成してある。
駆動軸21とホルダ3を連結する作業は、駆動軸21の第2の切断形状部21Dを第2の基板32の挿通孔32a(図20(b)参照)に嵌め込む作業、駆動軸21の第1の切断形状部21Cを第1の基板31の挿通孔31a(図20(a)参照)に嵌め込む作業、及び、上下の基板31、32間にこれらを連結するスペーサ22Fを介在させる作業を行った後、駆動軸21の雄ねじ21Eにナット22Gを取り付け締め付ける。これにより、第1の基板31がナット22Gの締め付け力で駆動軸21の上段21Aに固定され、駆動軸21とホルダ3が堅固に連結し一体化される。
<異物の混入防止>
図25は、図18の変更装置10にカバーC1〜C4を取付けた外観図である。図25において、第1のカバーC1は、ソレノイド43、付勢部材45としてのキックバネ45A、45b及び基板31の長孔31f(図18参照)を覆う形状になっていて、ソレノイド43やばね45Aに塵埃、水等の異物が直接接触するのを防止する役割と、長孔31fから装置10内部に異物が入り込むのを防止する役割を果たしている。また、第2のカバーC2は、第1と第2の基板31、32間にできる外周の隙間を覆うことにより、その外周の隙間から装置10内部へ異物が入り込むのを防止している。第3のカバーC3は、クランクアームの往復移動に追従して伸縮可能な蛇腹形状になっていて、クランクアーム1の後端側外周を覆うことにより、クランクアーム1の後端側から基板31、32間の隙間を通じて装置10内部に異物が入り込むのを防止している。第4のカバーC4は、基板31、32間から出没するクランクアーム1の先端側を覆うようになっている。また、図示は省略するが、塵埃や水などの浸入を確実に防止するため、更に基板31、32全体を覆うゴムなどによる保護カバーを取り付けても良い。
(実施の形態5)
図26は、図18(a)、図24(a)、図4(b)の変更装置10において、係合部材41、42をクランクアーム1から離隔する向きに移動させる手段についての他の例として、図18(a)、図24(a)、図4(b)に示すソレノイド43の代わりに、モータ駆動装置430を採用した例の説明図である。
図26において、モータ駆動装置430は、図27に示す小型のモータM、モータMの回転数を減速する減速ギアDG、減速ギアDGに連結されたピニオンP、ピニオンPに係合するラックR、並びに、これらを収容するハウジング43Cから構成されている。
モータMの回転力は、減速ギアDGを介してピニオンPに伝達され、ピニオンPの回転によりラックRは直線移動する。その直線移動の方向は、係合部材41、42をクランクアーム1から離隔する向きである。
また、ラックRは、図18(a)、図24(a)、図4(b)に示すソレノイド43の出力軸43a、43bと同様に、クランクアーム1の長さ方向に直交するように設けられており、そのラック両端R1、R2は、それぞれ係合部材41、42の伝達片41c、42cのいずれかに対向するように構成してある。この点も図18(a)などのソレノイド43の出力軸43a、43bと同様である。
ピニオンPとラックRの各ギアどうしの噛み合わせについて説明すると、図26のモータ駆動装置430では、図27(a)(b)のようにラックRの一部のみにピニオンPのギアと噛み合うギアGを設ける構成の採用により、ラックRが所定距離移動した後は、ピニオンPとラックRの各ギアどうしの噛み合わせがフリーとなって、ピニオンPが空転するように構成してある。
前記のような空転機構の採用により、モータMには過負荷がかからず、モータMの寿命が延びる、及び、ピニオンPやラックRのギア破損を防止できる等、モータ駆動装置430の信頼性、耐久性の向上を図ることができる。
図26(a)は、ラックRが右側に最大に直線移動したときの状態を示している。この図26(a)のラックRが左側へ直線移動するときの係合部材41、42の動作形態などは、図18(a)、図24(a)、図4(b)において、ソレノイド43の出力軸43aがハウジング43cから左側へ突出するときの係合部材41、42の動作形態などと同様である。また、そのように左側へ直線移動した図26(a)のラックRが同図(a)のように右側へ最大に直線移動するときの係合部材41、42の動作形態などは、図18(a)、図24(a)、図4(b)において、ソレノイド43の出力軸43bがハウジング43cから右側へ突出するときの係合部材41、42の動作形態などと同様であるため、その詳細説明は省略する。
<モータ駆動装置430とソレノイド43との比較>
モータ駆動装置430は、図18(a)などのソレノイド43に比べて、部品点数は増加するものの、係合部材41、42を移動させるストロークの調整が容易である。また、その係合部材41、42を移動させる力はモータ駆動装置430の方が強く、かつ、モータ駆動装置430は係合部材41、42を移動させた後の状態を強くキープできることから、モータ駆動装置430の方が好適である。
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
なお、実施の形態1、2では、クランクアーム1の長さ方向において、係合切欠き1b、1bが略同一の位置、係合片41a、42aが異なる位置であるが、図16(a)、(b)に示すように、係合片51a、51aが一の係合部材51に形成され、クランクアーム1'の両縁側でクランクアーム1の長さ方向において同一の位置に配設されて、係合切欠き1'bがクランクアーム1の長さ方向において異なる位置に配設されるようにすることも可能である。また、図17(a)、(b)に示すように、クランクアーム1'と係止部材51とを組み合わせて、クランクアーム1'の長さ方向において、係合切欠き1b'が異なる位置、係合片41a、42aも異なる位置とすることも可能である。
また、実施の形態1、2では、クランクアーム1の回転半径は最大と最小の2段階で変更できるが、これに限るものではなく、例えば最大、中間、最小と3段階でも、さらには4段階以上にも変更することも可能である。この場合、変更手段4又は係合切欠き(被係合部)1bを増設する。さらに、増設された変更手段4の電力供給源として例えば乾電池等を用いてホルダ3に設置し、リモコン操作で変更手段4を作動させてもよい。
上記各実施の形態では、クランクアーム1を移動自在に保持するために、クランクアーム1とホルダ3との摩擦抵抗を少なくすることが好ましい。例えば、クランクアーム1を箱型のホルダ3で移動自在に保持する場合は、金属よりも摩擦抵抗の小さなプラスチックでホルダ3を構成することが好ましい。また、クランクアーム1とホルダ3との摩擦抵抗をより小さくするために、上述のように回転体あるいはベアリングを用いる他に、クランクアーム1と接するホルダ3の4隅を丸形にしてもよい。
1………クランクアーム
1A……連結部
1B……挿通部
1a……挿通孔
1b……係合切欠き(被係合部)
1f……挿入孔
2………モータ(駆動手段)
3………ホルダ(支持部材)
4………変更手段
10……クランクアームの変更装置
11……リンクアーム
12,12A,12B…リンクプレート
13,13A,13B…ワイパーアーム
15……連結リンクアーム
16……連結軸
21……駆動軸
31……基板(第1の基板)
31a…挿通孔
31b…挿入切欠き
32……基板(第2の基板)
32a…挿通孔
32b…挿入切欠き
34……回転体
41……係合部材
41a…係合片(係合部)
41b…挿通片
41c…伝達片
41f…連結伝達片
42……係合部材
42a…係合片(係合部)
42b…挿通片
42c…伝達片
42f…連結伝達片
43……双安定型自己保持ソレノイド(移動手段)
43a…出力軸
43b…出力軸
44……固定部
45,5……付勢部材
46……拘束部材
100…ワイパー装置
A………ボディ
θ………クランクアームとリンクアームとの角度
【書類名】明細書
【発明の名称】クランクアームの回転半径変更装置該変更装置を備えた駆動装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクアームの回転半径変更装置該変更装置を備えた駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クランク機構は、モータ等の駆動手段の回転駆動力を、クランクアームに連結されたリンクアームの往復直線運動に変換する。
【0003】
リンクアームの往復直線運動の範囲(ストローク)は、クランクアームとリンクアームとの連結軸と、クランクアームの回転中心との距離によって定まるクランクアームの回転半径に起因する。このため、クランクアームの回転中に上記連結軸の位置を移動させてクランクアームの回転半径を可変するクランクアームの回転半径変更装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】
特開2006−161999号公報(段落0009〜0017、段落0029、図1、図2)
【特許文献2】
特開2005−80993号公報(段落0049〜0067、図2〜4)
【特許文献3】
特表2001−519690号公報(第9頁第24行目〜第11頁第17行目、図2)
【特許文献4】
特開平10−169745号公報(段落0011〜0015、図1〜4)
【特許文献5】
実開平3−125655号公報(第9頁第10行目〜第11頁第17行目、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載のクランクアームの回転半径変更装置は、連結軸の位置を拘束する面が形成されたガイド部材を具備し、ガイド部材によって回転半径を変更する。しかし、ガイド部材は、クランク部材に対向し、クランク部材から離れて独立して設置されるため、設置するための空間が大きくなるという問題があった。
【0006】
一方、特許文献3〜5に記載の回転半径変更装置は、クランク部材を回転させる駆動装置とは別の駆動装置を用いて連結軸を強制的に移動させることで、回転半径を変更する。クランク部材、連結軸及びリンクアームの軸線上には大きな軸力が作用するので、クランク部材が回転し、リンクアームが往復直線運動しているときに、連結軸を強制的に移動させるには大きな動力を必要とする他、軸力に逆らって装置を作動させるので装置が故障し易いという問題があった。
【0007】
本発明の目的は斯かる課題に鑑みてなされたもので、クランクアームの回転半径を変更し、リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させるのにあたり、クランク機構に作用する自然の力を利用してクランクアームの回転中心位置を変更して連結軸との距離を可変することによって、必要な動力を削減し、構造を簡素にし、設置空間を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置は、クランクアームの回転により駆動軸の回転駆動力をリンクアームの往復直線運動に変換するクランク機構における当該クランクアームの回転半径変更装置であって、前記回転半径変更装置は、前記駆動軸に固定されて回転力を付与されるとともに、前記クランクアームを往復移動自在に支持する支持部材と、前記クランクアームの往復移動を規制して、前記支持部材に前記クランクアームを固定する固定位置を変更する変更手段と、からなり、前記変更手段は、前記支持部材に移動自在に支持された移動体と、前記移動体を前記クランクアームに係合する方向に付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記クランクアームとの係合の解除方向に、前記移動体を移動させる移動手段とを備え、前記クランクアームと支持部材との係合位置を切り替えることで、支持部材に対するクランクアームの固定位置を変更し、クランクアームの回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させ、その変位によって、前記クランクアームの回転半径を変更し、前記リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させることを特徴とする。
【0009】
前記支持部材については、前記クランクアームの縁に接して、前記クランクアームの移動をガイドする回転体を備える構成を採用することができる。
【0010】
本発明に係る駆動装置は、上記クランクアームの回転半径変更装置と、前記支持部材の固定された駆動軸を回転させる駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記本発明に係る駆動装置は、前記クランクアームにおける回転力を伝達する連結軸と前記駆動軸との距離が長くなる程、前記駆動手段による前記駆動軸の回転速度を減少させ、前記連結軸と前記駆動軸との距離が短くなる程、前記駆動手段による前記駆動軸の回転速度を増加させる駆動制御手段を備えるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記の通り、クランク機構に作用する自然の力を利用してクランクアームの回転中心位置を変更するため、構造が簡素で設置空間が抑制でき、連結軸の移動に必要な動力を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】
本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置を自動車のワイパー装置に適用した例の概要図である。
【図2】
クランクアームを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図3】
クランクアームの回転半径とワイパーアームの揺動範囲との関係を表す概要図であり、(a)はクランクアームの回転半径が最小の場合、(b)は回転半径が最大の場合を示す。
【図4】
回転半径変更装置を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。
【図5】
(a)は基板の平面図、(b)は基板の平面図である。
【図6】
係止部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図である。
【図7】
(a)は一方の係止部材が出力軸に係止している様子を表す平面図、(b)は他方の係合片と係合切欠きとが対向した様子を表す平面図、(c)は他方の係止部材がクランクアームに係合している様子を表す平面図である。
【図8】
(a)は他方の係止部材が出力軸に係止している様子を表す平面図、(b)は一方の係合片と係合切欠きとが対向した様子を表す平面図、(c)は他方の係止部材がクランクアームに係合している様子を表す平面図である。
【図9】
クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が0°、(b)は0°から90°になる間を示す。
【図10】
クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が90°、(b)は90°から180°になる間を示す。
【図11】
クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が180°、(b)は180°から270°になる間を示す。
【図12】
クランクアーム様子を表す概要図であり、(a)はリンクアームとの角度が270°、(b)は270°から360°になる間を示す。
【図13】
本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置をノズル装置に適用した例を示す図である。
【図14】
本発明のクランクアームの回転半径変更装置の更に他の適用例を示す第1の図である。
【図15】
本発明のクランクアームの回転半径変更装置の更に他の適用例を示す第2の図である。
【図16】
(a)はその他の実施の形態のクランクアームの回転半径変更装置の側面図、(b)は図16(a)のクランクアームの回転半径変更装置の平面図である。
【図17】
(a)はその他の実施の形態のクランクアームの回転半径変更装置の側面図、(b)は図17(a)のクランクアームの回転半径変更装置の平面図である。
【図18】
本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置の他の実施形態の説明図であり、(a)は同装置の平面図、(b)は同装置の側面図、(c)は同装置の正面図。
【図19】
図18の変更装置で採用したコロの説明図であり、(a)は保持器で保持されたコロの平面図、(b)は当該コロの側面図、(c)は当該コロの分解側面図、(d)は当該コロの断面図。
【図20】
(a)は図19のコロを採用する場合に使用する第1の基板の平面図、(b)は図19のコロを採用する場合に使用する第2の基板の平面図。
【図21】
図19のコロを図20の基板の内面に設置するための設置板に、当該コロを取り付けた状態の説明図であり、(a)(d)は取付け状態の平面図、(b)(e)は取付け状態の側面図、(c)(f)はその設置板の内面に設置したときの概念図である。
【図22】
係合部材の他の実施の形態の説明図であり、(a)は係合部材の正面図、(b)はその側面図である。
【図23】
図18の変更装置において、駆動軸とホルダの基板との連結構造の一例を示した断面図。
【図24】
図18の変更装置において、図19のコロ7に代えて市販のベアリングを採用した例の説明図であり、(a)はベアリングを適用した同装置の平面図、(b)はベアリングを適用した同装置の側面図。
【図25】
図18の変更装置にカバーを取付けた外観図であり、(a)はカバー付き変更装置の平面図、(b)はその側面図、(c)は(a)中の矢印BK方向から同変更装置を見た図。
【図26】
図18(a)、図24(a)、図4(b)の変更装置において、係合部材をクランクアームから離隔する向きに移動させる手段についての他の例として、図18(a)、図24(a)、図4(b)に示すソレノイドの代わりに、モータ駆動装置を採用した例の説明図であり、図中(a)は当該モータ駆動装置を採用した変更装置の平面図、(b)は同装置の側面図、(c)は同装置の正面図。
【図27】
図26に示すモータ駆動装置の詳細説明図であり、図中(a)はモータ駆動装置の断面の平面図、(b)はA−A線での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るクランクアーム1の回転半径変更装置(以下、変更装置10という)を自動車のワイパー装置100に適用した例の概要図である。本発明の変更装置10は、自動車のワイパー装置100以外にも、例えば、自動車のその他の装置、自動車以外の乗り物及び加工装置、遊戯装置等の種々の装置にも適用できる。
【0015】
図1に示すように、ワイパー装置100は例えば自動車のボディAに設置されており、ボディAのいずれかの部分に固定されたモータ(駆動手段)2の動力を、クランクアーム1に連結されたリンクアーム11の往復直線運動に変換した後、ワイパーアーム13の往復揺動に変換し、ワイパーアーム13の先端部に接続された払拭体14でフロントガラス19を払拭する。
【0016】
クランクアーム1は、連結軸16によりリンクアーム11に回転自在に連結されてホルダ(支持部材)3に支持され、モータ2の駆動軸21に回転力を付与されたホルダ3と共に回転して、リンクアーム11をその長さ方向に往復直線運動させる。
【0017】
ワイパーアーム13の基部には、リンクプレート12が一体的に連結もしくは接合されている。リンクプレート12は、ボディAに固定されたピボット軸17に回転自在に支持され、リンクアーム11から直線運動を伝達されるとピボット軸17の周りに揺動し、ワイパーアーム13を揺動させる。
【0018】
本実施の形態では、助手席側に配設されるワイパーアーム13Aと運転席側に配設されるワイパーアーム13Bとが並設されている。各ワイパーアーム13A、13Bに連結されている両リンクプレート12A、12B間には、連結リンクアーム15が架設されている。
【0019】
リンクプレート12Aは、一端部においてリンクアーム11にピン18Aで回転自在に支持され、他端部においてワイパーアーム13Aと一体化されてピボット軸17AでボディAに回転自在に支持されている。
【0020】
リンクプレート12Bは、一端部において連結リンクアーム15にピン18Bで回転自在に支持され、他端部においてワイパーアーム13Bと一体化されてピボット軸17BでボディAに回転自在に支持されている。
【0021】
連結リンクアーム15は、リンクプレート12Bと共にピン18Aで回転自在に支持されており、リンクアーム11と共に直線運動し、リンクプレート12Aの揺動に連動してリンクプレート12Bを回動させる。
【0022】
次に、変更装置10について説明する。図1に示すように、変更装置10は、クランクアーム1の回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させる機能を有し、その変位によって、クランクアーム1の回転半径を変更し、リンクアーム11の往復直線運動ストロークを変化させる。
【0023】
変更装置10の前記変位機能は、モータ2の駆動軸21に固定されて回転力を付与されるとともに、クランクアーム1をその長さ方向に往復移動自在に支持する支持部材としてのホルダ3と、ホルダ3に対するクランクアーム1の固定位置を変更する変更手段4と、により実現される。前記変更手段4は、電力供給源に電気的に接続された切り換え操作器20の操作によって作動する。なお、ホルダ3の「幅方向」とは、平面視においてクランクアーム1の長さ方向に直交する方向(図において左右方向)のことを意味する。
【0024】
クランクアーム1は、ホルダ3に挿通した状態で、ホルダ3に対する長さ方向の相対移動以外の移動が拘束されており、駆動軸21の回転によってホルダ3と一体的に回転する。
【0025】
図2(a)に示すように、クランクアーム1には駆動軸21に挿通される挿通孔1aが、例えばクランクアーム1の長さ方向に長く形成されている。クランクアーム1は、駆動軸21を中心に回転し、駆動軸21に対しクランクアーム1の長さ方向に移動する。図面では、挿通孔1aは、クランクアーム1の長さ方向の略中点と連結軸16との間に形成されている。
【0026】
図2(b)に示すように、クランクアーム1の両縁には円弧状の凸部1cが形成されている。したがって、ホルダ3とクランクアーム1との摩擦が軽減され、クランクアーム1の長さ方向の移動が円滑に行われる。
【0027】
図2(a)〜(c)に示すように、クランクアーム1は、連結軸16を介してリンクアーム11に連結される連結部1Aと、ホルダ3に挿通する挿通部1Bとからなる。連結部1Aは、例えばL字状を呈し、挿通部1Bの一端部からから立設される側壁1dと、側壁1dからクランクアーム1の中心に向かって形成される天壁1eとからなる。天壁1eには、連結軸16が挿入される挿入孔1fが形成されている。本実施の形態では連結軸16はボールジョイントからなっている。
【0028】
挿通部1Bと連結部1Aの天壁1eとは駆動軸21の軸線方向に離れており、駆動軸21が挿通孔1aの連結部1Aに近い方の端部に位置するときには、天壁1eとホルダ3とが平面視において重なる。この結果、クランクアーム1の回転半径を小さくすることができるとともに、変更装置10の設置空間を抑えることができる。これは、仮に連結部1Aがなく、挿入孔1fが挿通部1Bに形成されていると、連結軸16とホルダ3の挿入孔1f側端面との間にリンクアーム11を配設させる必要があることから、クランクアーム1の最小の回転半径が規制されてしまうと同時に、変更装置10の設置空間が大きくなってしまうからである。
【0029】
クランクアーム1の長さ方向の移動によって、駆動軸21が挿通孔1aの両端部間を相対的に移動する。これにより、クランクアーム1の回転中心位置はそのクランクアーム長さ方向に変位し、クランクアーム1の回転半径は、クランクアーム1に形成された挿通孔1aにおける駆動軸21の位置、つまり、連結軸16と駆動軸21との位置関係に応じて変更される。図3(a)に示すように駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16寄りに位置したときには、駆動軸21から連結軸16までの距離(回転半径)L1が最小になるため、クランクアーム1の回転半径は最小になる。このとき、リンクアーム11の往復直線運動の距離(ストローク)が最小になるため、両ワイパーアーム13A、13Bが揺動し、払拭体14A、払拭体14Bが払拭する領域は最小になる。
【0030】
一方、図3(b)に示すように駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に位置したときには、駆動軸21から連結軸16までの距離L1が最大になるため、クランクアーム1の回転半径は最大になる。このとき、リンクアーム11の往復直線運動の距離(ストローク)が最大になるため、両ワイパーアーム13A、13Bが揺動し、払拭体14A、払拭体14Bが払拭する領域も最大になる。
【0031】
例えば、図3(a)の状態から図3(b)の状態に移行するように、駆動軸21と連結軸16との距離L1が2倍になると、クランクアーム1の回転半径変更後における両ワイパーアーム13A、13Bの揺動範囲は、変更前の揺動範囲の2倍になる。したがって、挿通孔1aの長さ及び形成位置に応じて、駆動軸21と連結軸16との距離(クランクアーム1の回転半径)が変更される最大範囲が決定される。このため、挿通孔1aの長さ及び形成位置は、両払拭体14A、14Bの目標の払拭範囲によって適宜に設定される。
【0032】
クランクアーム1の幅方向に対する挿通孔1aの形成位置は問われないが、図面のように幅方向の中央に形成されている場合には、駆動軸21がクランクアーム1及びホルダ3に偏心しないことから、これらの回転よって通過する領域が同一の大きさのクランクアーム1及びホルダ3の中では最小となるので好適である。
【0033】
クランクアーム1の縁(外側面)には係合切欠き1bが複数形成されており、係合切り欠き1bには、後述の変更手段4を構成する係合部材(移動体)41、42の係合片41a、42aが係合する。本実施の形態では、図4(a)〜(c)に示すように、クランクアーム1の外側から係合片41a、42aが係合切欠き1bに挿入するので、係合切欠き1bは縁に形成されている。また、係合片41a、42aがクランクアーム1の両側に分かれて配設されているので、係合切欠き1bも両縁に形成されている。つまり、係合切欠き1bの形状・位置と係合片41a、42aの形状・位置とは対応している。
【0034】
図4(a)〜(c)に示すように、ホルダ3は例えば、駆動軸21に取り付けられた2つのボルト22に狭持されて固定されており、駆動軸21に挿通された状態で駆動軸21の軸線方向(図において上下方向)に並設される2枚の平板状の基板31、32と、クランクアーム1の縁に接する回転体34とを備える。
【0035】
図5(a)、(b)に示すように、基板31、基板32にはそれぞれ駆動軸21に挿通される挿通孔31a、32aと、係合部材41、42の係合片41a、42aが挿入する挿入切欠き31b、32bと、回転体34の回転軸部材34Aに挿入される回転軸部材孔31d、32dとが所定の位置に形成されている。駆動軸21の回転をホルダ3に確実に伝えるために、駆動軸21の先端から軸線方向に所定区間は、対極する両端が軸線方向に切断されている。基板31の挿通孔31aは駆動軸21に嵌合されるような形状に形成されている。
【0036】
回転体34は、基板31、32間に介在して固定されている回転軸部材34Aと、回転軸部材34Aに回転自在に支持された回転部材34Bとを備える。回転体34は、クランクアーム1の各縁に少なくとも一つは配設されている。本実施の形態では、回転軸部材34Aは、1組の雄螺子と雌螺子とで構成され、適宜にワッシャー34Cが配設される。
【0037】
図面では、回転部材34Bの外周面には全周に亘って円弧状の凹部34aが内向きに形成されている。ここで、回転部材34Bの凹部34aの壁面が、ホルダ3に挿通しているクランクアーム1に接しているので、クランクアーム1は、その幅方向への移動、及び回転軸部材34Aの軸線方向への移動が拘束される。
【0038】
回転部材34Bは、例えば、ボールベアリング等の軸受けからなる。したがって、クランクアーム1の長さ方向の移動が円滑に行われる。また、例えば軸受けを構成する内輪(図示せず)と基板31、32との間にワッシャーを介在させて、雄螺子と雌螺子とを螺合することによって、回転部材34Bの回転自在の状態を維持しつつ、基板31、32を強固に固定してホルダ3の構造的安定性を向上させることができる。
【0039】
さらに、回転部材34Bが軸受けからなることで、回転部材34Bの、回転軸部材34Aの軸線方向のガタツキがなくなるので、回転部材34Bに拘束されるクランクアーム1の、回転軸部材34Aの軸線方向の拘束も確実になる。ここで、クランクアーム1の凸部1cと回転部材34Bの凹部34aとが嵌合すれば、クランクアーム1の回転体34による拘束が一層確実になるので望ましい。
【0040】
変更手段4は、係合片41a、42aと係合切欠き1bとを切り替えて係合させることによって、駆動軸21に対するクランクアーム1の往復移動を規制して、ホルダ3に対するクランクアーム1の固定位置、つまりクランクアーム1の回転半径を変更する。変更手段4は、基板31の上面に設置され、クランクアーム1をその長さ方向に係止させる係合部材41、42と、係合部材41、42をクランクアーム1から離隔する向きに移動させる双安定型自己保持ソレノイド(以下、ソレノイドという)(移動手段)43と、ソレノイド43をホルダ3に固定するための固定部44と、係合部材41、42をクランクアーム1に係合する方向に付勢する付勢部材45とを有する。
【0041】
ソレノイド43は、基板31に固定された固定部44に支持されて固定されている。固定部44は、例えば複数(図において2つ)のL字形状を呈した固定部材44A、44Bを備え、固定部材44A、44Bは、その長さ方向がクランクアーム1の幅方向に一致した状態でクランクアーム1の長さ方向に並設されている。固定部材44A、44Bはそれぞれ、底部44aと底部44aから連設される側部44bとからなり、クランクアーム1の長さ方向の外側に底部44aが配設され、内側に側部44bが配設されている。
【0042】
両固定部材44A、44Bは、底部44aで基板31に固定され、側部44bでソレノイド43を挟んだ状態で支持している。図面では、固定部材44A、44Bの底部44aはそれぞれ固定軸部材34Aの雌螺子と、基板31とに挟まれて螺合によって固定されている。側部44bには外側から所定の雄ねじ44Cが嵌入して内側に突出しており、ソレノイド43を収容するハウジング43cに螺合してハウジング43cを支持している。固定部材44Aの底部44aには切欠部44cが形成されており、切欠部44c内に駆動軸21が配設されている。これは、駆動軸21と変更手段4とを集約することによってホルダ3の大きさを縮小するためである。
【0043】
固定部材44A、44B間にはL字形状を呈する拘束部材46が、その長さ方向が固定部材44A、44Bの長さ方向に一致した状態で配設されている。拘束部材46は、ソレノイド43と基板31との間で基板31から所定距離をおいて位置する底板46aと、底板46aから連設され、いずれか一方の固定部材44A、44Bの側部44bとハウジング43cとの間に位置する側板46bとからなり、雄ねじ44Cによって支持されている。拘束部材46の底板46aと基板31との間の距離は、後述する係合部材41、42の挿通片41b、42bの厚さに一致していることが望ましい。係合部材41、42の駆動軸21の軸線方向の移動を拘束するためである。
【0044】
本実施の形態では、変更手段4は、2つの係合部材41、42を有し、それぞれの形状と構造は同一である。一方の係合部材41は他方の係合部材42に平面視において180度回転した状態で配設されている。図6(a)〜(d)に示すように、各係合部材41、42は、拘束部材46と基板31との間に挿通する、例えば平面視矩形状の挿通片41b、42bと、一端部で挿通片41b、42bに連設され、クランクアーム1に係合する係合片41a、42aと、係合片41a、42aが形成されている端部で挿通片41b、42bに連設され、ソレノイド43の荷重を受ける伝達片41c、42cとを有する。
【0045】
図4(a)〜(c)に示すように、挿通片41b、42bはその長辺方向とクランクアーム1の幅方向とが一致するように拘束部材46と基板31との間に挿通し、クランクアーム1の長さ方向に並設されている。固定部材44A、44Bの側部44b、44b間距離が、並設された挿通片41b、42bの短辺長さの総和に一致しているので、挿通片41b、42bは、内側面でお互いに接し、外側面で対面する固定部材44A、44Bの側部44bに接するので、挿通片41b、42bはクランクアーム1の長さ方向において拘束される。挿通片41b、42bの厚さが、拘束部材46の底板46aと基板31との間の距離に一致していることから、挿通片41b、42bは駆動軸21の軸線方向においても拘束されるので、その長辺方向(クランクアーム1の幅方向)にのみ移動可能である。ここでは、挿通片41b、42bの長辺方向の移動を円滑にするために、挿通片41b、42bの両縁部に円弧状の凸部41d、42dが外向きに形成されている。
【0046】
挿通部41b、42bが基板31と拘束部材46との間に挿通したときに、係合片41a、42aはクランクアーム1の長さ方向外側に位置し、一方の係合部材41の係合片41aと他方の係合部材42の係合片42aとの間には所定距離が確保されている。また、係合片41a、42aは駆動軸21の基端部側に突出し、クランクアーム1の軸線方向に交差している。
【0047】
本実施の形態では、係合片41aと係合片42aとはクランクアーム1の長さ方向に所定距離をおいて配設されているのに対して、係合切欠き1bはクランクアーム1の長さ方向において略同一の位置に形成されている。つまり、係合片41a、41b間の位置関係と係合切欠き1b、1b間の位置関係は相違する。従って、2つの係合片41a、42aが同時に係合切欠き1bに挿入することはない。また、係合切欠き1bと係合片41a、42aとのクランクアーム1の長さ方向の位置関係によって、ホルダ3に対するクランクアーム1の固定位置、つまり駆動軸21と連結軸16との距離が決定される。
【0048】
係合片41a、42aは、ホルダ3の駆動軸21の軸線方向長さより長く形成されて、両基板31、32の挿入切欠き31b、32b及びクランクアーム1の係合切欠き1bに挿入している。係合片41a、42aは、クランクアーム1の係合切欠き1bに挿入して係合すれば、ホルダ3の駆動軸21の軸線方向長さより短くてもよい。しかしながら、本実施の形態のように、係合片41aが所定距離をおいた2枚の基板31、32の挿入切欠き31b、32bに挿入した方が、係合片41a、42aの固定状態を確実にすることができるので好ましい。
【0049】
係合片41a、42aのクランクアーム1に対向する側面には円弧状の凸部41e、42eが外向きに形成されており、係合片41a、42aとクランクアーム1との摩擦係数が軽減される。
【0050】
一方、伝達片41c、42cは、係合片41a、42aとは反対向き(図において上側)に突出しており、ソレノイド43に対向している。伝達片41c、42cは一枚で構成されていてもよく、また、図6(a)〜(d)に示すように、伝達片41c、42cに、例えば1組のボルト・ナット等によって連結伝達片41f、42fを固定して一体的に形成させることも可能である。
【0051】
伝達片41c、42cは、クランクアーム1の長さ方向において両固定部材44A、44Bの側壁44bの位置より外側に突出しており、当該突出した部分(以下、突出部分という)には付勢部材45が設置されている。付勢部材45は例えばばね等の弾性体で構成され、対向する突出部分間に架設され、付勢部材45の付勢方向は挿通片41b、42bの長辺方向に一致している。したがって、係合部材41、42の挿通片41a、42aの長辺方向移動が円滑に行われる。
【0052】
図4(a)〜(c)に示すように、ソレノイド43は、可動鉄心(図示せず)に接続され、同軸線状に配設された出力軸43a、43bを有し、出力軸43a、43bはその軸方向に一体的に移動する。本実施の形態では、平面視において出力軸43a、43bの軸線方向はクランクアーム1の長さ方向に直交し、それぞれ係合部材41、42の伝達片41c、42cのいずれかに対向している。
【0053】
出力軸43a、43bは、可動鉄心や固定鉄心(図示せず)を収納するハウジング43cの両端面から突出し、ソレノイド43に流れる電流の方向が切り換えられると、流れた電流に対応する向きに出力軸43a、43bが移動して、出力軸43a、43bのいずれか一方がハウジング43cの端面から偏って突出する。
【0054】
ソレノイド43への電力供給は、ソレノイド43に接続されたリード線(図示せず)が駆動軸21に形成された貫通孔(図示せず)内に挿入され、駆動軸21の基端部(例えばウオームギア部)に設置された銅板・銅箔等の回転接触導体(ブラシ)(図示せず)に接続されることによって行われる。接続導体は、所定の電力供給源と、上記のソレノイド43に流れる電流の向きを切り換える切り換えスイッチ等の切り換え操作器20を介して電気的に接続されている。
【0055】
図7(a)〜(c)及び図8(a)〜(c)を用いて変更手段4の動作を説明する。初期状態として、図7(a)に示すように、出力軸43aがハウジング43cの端面から偏って突出して、係合部材41の伝達片41cに当接し、係合部材41の係合片41aを係合切欠き1bから引き抜いた状態を想定する。このとき、付勢部材45は付勢状態にあり、係合部材41をクランクアーム1の幅方向内向きに付勢している。
【0056】
一方、係合部材42の伝達片42cは、出力軸43bの先端から離れた位置にあり、係合片41aと係合切欠き1bとが対向していることから、係合片42aは係合切欠き1bとは対向しておらず、付勢部材45に付勢されてクランクアーム1の縁に係止している。
【0057】
つまり、係合部材41は出力軸43aに、係合部材42はクランクアーム1にクランクアーム1の幅方向外向きに係止すると同時に、付勢部材45によってクランクアーム1の幅方向内向きに付勢されているので、ホルダ3に拘束されたクランクアーム1又はホルダ3に固定された移動手段43に拘束されて、変更手段4からの係合部材41,42の脱着が阻止されている。
【0058】
ここで、図7(b)に示すように、係合部材42の係合片42a側に形成されている係合切欠き1bが、クランクアーム1の長さ方向において係合部材42の係合片42aと同一の位置に移動すると、係合部材41は出力軸43aに係止しているので、図7(c)に示すように、係合部材42のみが付勢部材45によってクランクアーム1の幅方向内向きに移動し、係合片42aが係合切欠き1bに挿入して係合する。この結果、クランクアーム1が係合片41aに係合し、クランクアーム1の長さ方向の移動が拘束される。
【0059】
この状態においても、両係合部材41、42の変更手段4からの脱着を阻止するために、付勢部材45が付勢状態にあることが好適である。
【0060】
移動手段4の電流の流れが切り換えられると、図8(a)に示すように、クランクアーム1に係合している係合部材42の伝達片42cに対向する他方の出力軸43bがハウジング43cの端面から偏って突出した状態になり、係合片42aが係合切欠き1bから引き抜かれる。
【0061】
この時、出力軸43aはクランクアーム1の幅方向内向きに移動するので、出力軸43aの先端と係合部材41の伝達片41cとが離れる。したがって、係合片41aは、対向するクランクアーム1の縁に係止する。
【0062】
ここで、図8(b)に示すように、クランクアーム1が長さ方向に移動し、係合片41aと、係合片41aに対向するクランクアーム1の縁に形成されている係合切欠き1bとがクランクアーム1の長さ方向において同一の位置になるとき、図8(c)に示すように、係合片41aは付勢部材45の付勢力によって係合切欠き1bに挿入し、クランクアーム1に係合する。
【0063】
次に、変更手段4が設置されていないと想定した場合のワイパー装置100の動作を説明する。説明を容易にするために、ホルダ3は図示しない。駆動手段2の駆転軸21の回転によるクランクアーム1の回転に連動してリンクアーム11、ワイパーアーム13A、13Bが往復運動をするので、クランクアーム1の1回転は、リンクアーム11、ワイパーアーム13の1往復に相当する。
【0064】
クランクアーム1とリンクアーム11とが連結軸16を介して回転自在に連結されていることから、クランクアーム1はリンクアーム11に対して連結軸16を中心に回転する。つまり、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θは連結軸16を頂点として0°〜360°まで変化する。
【0065】
クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが0°(360°)の場合、クランクアーム1とリンクアーム11とが同軸線状になって、ピン18Aと連結軸16との間に駆動軸21が位置し、クランクアーム1の回転半径が最小となっている。
【0066】
駆動手段2が駆動され、クランクアーム1が時計回りに回転し始めると、図9(b)に示すように、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に引っ張られるので、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部に移動するようにクランクアーム1がその長さ方向に移動する。これにより、クランクアーム1の回転中心位置はクランクアーム長さ方向(具体的には駆動軸21が連結軸16から相対的に離れる方向)に変位し、クランクアーム1の回転半径が大きくなっている。
【0067】
図10(a)に示すように、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが90°になるとき、クランクアーム1の回転半径は最大となっている。クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが180°になるまでの間では、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に押されるので、図10(b)に示すように、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16寄りの端部に移動するようにクランクアーム1がその長さ方向に移動する。これにより、クランクアーム1の回転中心位置はクランクアーム長さ方向(具体的には駆動軸21が連結軸16に相対的に近づく方向)に変位し、クランクアーム1の回転半径が小さくなる。
【0068】
図11(a)に示すように、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが180°の場合、クランクアーム1とリンクアーム11とが同軸線状になって、ピン18Aと駆動軸16の間に連結軸21が位置し、クランクアーム1の回転半径が最小となっている。クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが270°になるまでの間では、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に引っ張られるので、図11(b)に示すように、クランクアーム1は再度、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部に移動するように長さ方向に移動し、クランクアーム1の回転半径が大きくなる。
【0069】
その後、同様に図12(a)に示すように、クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが270°になるとき、クランクアーム1の回転半径は最大となっている。クランクアーム1とリンクアーム11との角度θが360°(0°)になるまでの間、払拭体14A、14Bとフロントガラス19との摩擦力によってクランクアーム1が連結軸16を介してリンクアーム11に押されるので、図12(b)に示すように、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16寄りの端部に移動するように、クランクアーム1が長さ方向に移動し、クランクアーム1の回転半径が小さくなる。その後、クランクアーム1は同様の動作を繰り返す。
【0070】
このように、本適用例の変更装置10では、リンクアーム11を介して伝達される抵抗力の影響で、クランクアーム1は、駆動軸21よりも下側で連結軸16を下方に移動させる際、及び、駆動軸21よりも上側で連結軸16を上方に移動させる際に、挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部を、駆動軸21に接近する方向に移動させる。また、駆動軸21よりも下側で連結軸16を上方に移動させる際、及び、駆動軸21よりも上側で連結軸16を下方に移動させる際に、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部を、駆動軸21に接近する方向に移動させる。
【0071】
挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部が駆動軸21に当接すると、クランクアーム1の回転半径が最大となり、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部が駆動軸21に当接すると、クランクアーム1の回転半径が最小となる。つまり、クランクアーム1は、駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する度に、回転半径が最大となる位置と、最小となる位置との間で2回の往復移動を行う。
【0072】
この往復移動を規制して、駆動軸21を中心としたクランクアーム1の回転半径を固定することで、リンクアーム1を往復直線運動させるためのクランクアーム1の回転運動を用いて、クランクアーム1の回転半径を変更することが可能となる。この現象を利用して、クランクアーム1の回転半径を変更する場合には、リンクアーム11を介して伝達する際の抵抗力が大きいことが好ましく、本適用例の自動車のワイパー装置100等に最適である。
【0073】
本適用例では、クランクアーム1が駆動手段2によって1回転して長さ方向の移動を2往復行う際に、上述した変更手段4を作動させると、係合片41a、42aの位置と係合切欠き1bの位置とによって定められるクランクアーム1の回転半径に変更することができる。切り換え操作器20によってクランクアーム1に係合する係合片41a、42aを選択することができるので、外部から自動的にクランクアーム1の回転半径を変更することができる。
【0074】
クランクアーム1の回転半径を変更するためには、付勢部材45の付勢力による係合片41aまたは係合片42aとクランクアーム1との係合を解除するのみであるので、クランクアーム1の回転半径を変更する動力は小さい。また、ホルダ3に設置された変更手段4によってクランクアーム1の回転半径を変更することができるので、クランクアーム1の回転半径を変更するための設置空間を小さく抑えることができる。
【0075】
また、駆動手段2の動力をリンクアーム11へ伝達する既存のクランク機構と変更装置10とを交換すれば、リンクアーム11による動力伝達を行う既存のリンク機構を利用できるので経済的である。
【0076】
また、切り換え操作器20の操作で変更手段4を作動させるのに合わせて、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を変更することにより、駆動手段2に過負荷を生じさせずに払拭体14による単位時間当たりの払拭回数を増加させることが可能となる。具体的には、クランクアーム1による回転力の伝達位置である連結軸16と駆動軸21との距離が長くなる程、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を減少させ、連結軸16と駆動軸21との距離が短くなる程、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を増加させることで、駆動手段2の負荷の大幅な増加を抑えつつ、リンクアーム11の往復運動回数を増加させることができる。例えば、図3(b)の状態から図3(a)の状態に移行して駆動軸21と連結軸16との距離L1が1/2倍になるのに伴い、駆動手段2による駆動軸21の回転速度を2倍に増加させることで、駆動手段2の負荷をそのままに、単位時間当たりの払拭体14の払拭回数を2倍に増加させることができる。
【0077】
(実施の形態2)
図13は本発明に係るクランクアーム1の回転半径変更装置10をノズル装置200に適用した例を示す図である。同図において、実施の形態1と共通する部分については、同一の名称・符号を用い、説明を省略する。
【0078】
図13に示す本適用例のノズル装置200は、自動車のフロントガラスに水を吹き付ける人工降雨装置であり、変更装置10と、ホースに接続されて水を噴射させるノズル61と、ノズル61を移動させるための可動枠体62と、可動枠体62の移動方向を規制するレール63と、クランクアーム1と可動枠体62とを連結するリンクアーム11とを備える。
【0079】
レール63は、その長さ方向が水平方向と一致するように配設されて、互いが連結されている。レール63は同一規格の一対のアングル(等辺アングル又は不等辺アングル)からなり、それぞれのアングルの側板が外側に、底板が内側に配設されている。レール63の側板の内面には、可動枠体62を誘導するガイド部64が、レール63の長さ方向に形成されている。本実施の形態では、ガイド部64は丸棒からなっているが適宜に設定される。
【0080】
可動枠体62は、ガイド部64に沿って移動自在にするための滑車621を備える。可動枠体62は、レール63の備える一対のガイド部64に滑車621を嵌め合わせ、ノズル61の設置される平面が水平面に交差するように、レール63の長さ方向に直線運動自在に載置されている。
【0081】
変更装置10は、クランクアーム1の回転面が水平面に交差するように、レール63の一端部に配設されたモータ2の駆動軸21にホルダ3を支持されている。リンクアーム11は、一端部で連結軸16によりクランクアーム1に回転自在に支持され、他端部でピン18Aを介して可動枠体62に回動自在に連結されている。
【0082】
本実施の形態では、運転席側に配設される可動枠体62A、62B、ノズル61A、61Bと助手席側に配設される可動枠体62C、ノズル61Cとが並設されている。可動枠体62A,62B間、及び、可動枠体62B,62C間には連結リンクアーム65が架設されて、各可動枠体62A〜62Cが連結されている。
【0083】
図面では、可動枠体62Cとクランクアーム1とがリンクアーム11を介して連結されており、クランクアーム1の回転に伴って可動枠体62Cが往復直線運動を行う。したがって、可動枠体62Cの往復直線運動に連動して可動枠体62A、62Bが往復直線運動を行う。
【0084】
変更手段4が作動していないとき、クランクアーム1は1回転する間に長さ方向に1往復移動する。これは、クランクアーム1の回転面が水平面に交差し、滑車621とガイド部64とを用いて可動枠体62が移動することから可動枠体62が移動する際にほとんど抵抗が生じないので、クランクアーム1に作用する軸力がほとんどないからである。
【0085】
すなわち、図9(b)に示すように、クランクアーム1が水平面の上側を回転しているとき(連結軸16が駆動軸21より下側に位置するとき)は、クランクアーム1が自重で下向きに移動(落下)して、図10(a)に示すように、駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に位置し、図11(b)に示すように、水平面の下側を回転しているとき(連結軸16が駆動軸21より上側に位置するとき)も、クランクアーム1の自重で下向きに移動して駆動軸21が連結軸16寄りの端部に位置する。
【0086】
また、クランクアーム1の回転に伴って、リンクアーム11はピン18Aを中心に揺動する。したがって、クランクアーム1はリンクアーム11の自重によっても下向きに移動する。具体的には、連結軸16が駆動軸21より下側に位置するときは、図9(b)に矢印で示すようにリンクアーム11の自重で下向きに移動して駆動軸21が挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に位置し、連結軸16が駆動軸21より上側に位置するときも図12(b)に矢印で示すようにクランクアーム1の自重で下向きに移動して駆動軸21が連結軸16寄りの端部に位置する。
【0087】
このように、本適用例では、クランクアーム1を垂直回転あるいは水平方向に対して斜めに回転させると、クランクアーム1及びリンクアーム11に働く重力の影響により、連結軸16を駆動軸21よりも上側又は下側に位置させたクランクアーム1が、下方に移動する。このため、クランクアーム1は、駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する間に、連結軸16を駆動軸21よりも下側に移動させる際に1回目、連結軸16を駆動軸21よりも上側に移動させる際に2回目の下方に向けた移動を行う。
【0088】
1回目の下方へのクランクアーム1の移動では、挿通孔1aの連結軸16から遠い方の端部に駆動軸21が当接して、クランクアーム1の回転半径が最大となる。また、2回目の下方へのクランクアーム1の移動では、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部に駆動軸21が当接して、クランクアーム1の回転半径が最小となる。つまり、クランクアーム1は、駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する度に、回転半径が最大となる位置と、最小となる位置との間で1回の往復移動を行う。
【0089】
この往復移動を規制して、駆動軸21を中心としたクランクアーム1の回転半径を固定することで、リンクアーム1を往復直線運動させるためのクランクアーム1の回転運動を用いて、クランクアーム1の回転半径を変更することが可能となる。この現象を利用して、クランクアーム1の回転半径を変更する場合には、リンクアーム11を介して動力を伝達する際の抵抗力が小さいことが好ましい。
【0090】
本適用例では、上述した変更手段4を作動させると、係合片41a、42aの位置と係合切欠き1bの位置とによって定められるクランクアーム1の回転半径に変更することができる。切り換え操作器20によってクランクアーム1に係合する係合片41a、42aを選択することができるので、外部から自動的にクランクアーム1の回転半径を変更することができる。
【0091】
上記実施の形態1では、クランクアーム1を垂直回転あるいは水平方向に対して斜めに回転させることから、上記実施の形態2と同様に、クランクアーム1及びリンクアーム11に働く重力の影響で、連結軸16を駆動軸21よりも上側又は下側に位置させたクランクアーム1を、下方に移動させようとする力が働く。但し、リンクアーム11を介して働く抵抗力が上記実施の形態2と比べて大きい場合は、この抵抗力によりクランクアーム1の下方への移動が阻害される虞がある。
【0092】
抵抗力の影響は、クランクアーム1の回転数が多いほど大きくなる。これは、リンクアーム11を介して伝達される抵抗力に抗してクランクアーム1が回転運動させられており、この抵抗力の影響をそれほど受けずにクランクアーム1が垂直方向に移動できるクランクアーム1の回転位置が制限されるため、回転速度が速すぎるとクランクアーム1が下方に十分に移動する前に、再び抵抗力の影響を大きく受ける回転位置までクランクアーム1が回転してしまうためであると考えられる。
【0093】
このため、スプリングなどの付勢部材を用いて、クランクアーム1を常時下側に付勢して、クランクアーム1の下方への移動を確実に行えるようにしてもよい。クランクアーム1の下方への付勢は、リンクアーム11を介して行うことが好ましい。これは、駆動軸21を中心として回転運動を行うクランクアーム1に付勢部材を取り付ける場合には、ホルダ3や駆動軸21との接触を避けるように付勢部材の配置や取り付けの構造が制限されるのに対し、リンクアーム1に付勢部材を取り付ける場合には、このような制限がないからである。
【0094】
以下、付勢部材を用いてクランクアーム1を下方へ付勢する変更装置10の他の適用例を説明する。
【0095】
(実施の形態3)
図14及び図15は、本実施形態のワイパー装置100での変更装置10の構成及び動作を示す概要図である。図14(a)はクランクアーム1とリンクアーム11との角度が0°から90°になる間、(b)は90°の状態を示す。また、図15(a)はクランクアーム1とリンクアームとの角度が180°から270°になる間、(b)は270°の状態を示す。
【0096】
本実施形態の変更装置10は、上記実施の形態1の変更装置10が、リンクアーム11とボディAとに架設された付勢部材5を備える構成を有する。付勢部材5は、例えばばね等の弾性体で構成され、リンクアーム11の長さ方向の中央よりクランクアーム1側の部分に一端を、他端をほぼ同位置でリンクアーム11よりも下側に位置するボディAにそれぞれ連結されて、リンクアーム11を下方に向けて常時付勢している。以下、変更手段4が作動していないと想定した場合のワイパー装置100の動作を説明する。
【0097】
図14(a)に示すように、角度が0°から90°まで時計回りに回転するクランクアーム1は、クランクアーム1並びにリンクアーム11に働く重力、リンクアーム11の引張力、及び付勢部材5の付勢力により、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部を駆動軸21に接近させるように移動し、クランクアーム1の回転半径が大きくなる。図14(b)に示すように、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部が駆動軸21に当接すると、クランクアーム1の回転半径が最大となる。
【0098】
また、図15(a)に示すように、角度が180°から270°まで時計回りに回転するクランクアーム1は、リンクアーム11の引張力により、クランクアーム1並びにリンクアーム11に働く重力及び付勢部材5の付勢力に抗して、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部を駆動軸21に接近させるように移動し、クランクアーム1の回転半径が大きくなる。
【0099】
リンクアーム11に対するクランクアーム1の角度が270°に近づくと、付勢部材5の付勢力が増大すると共に、クランクアーム1並びにリンクアーム11に働く重力及び付勢部材5の付勢力に抗してクランクアーム1を上方に移動させようと働くリンクアーム11の引張力の影響が小さくなり、図15(b)に示すように、挿通孔1aの連結軸16寄りの端部が駆動軸21に当接するまで、クランクアーム1が下方に移動する。
【0100】
このように、本適用例でも、実施の形態2の場合と同様に、クランクアーム1が駆動軸21を中心としてホルダ3と共に1回転する間に、連結軸16を駆動軸21よりも下側に移動させる際に1回目、連結軸16を駆動軸21よりも上側に移動させる際に2回目の下方に向けた移動を行わせ、クランクアーム1の回転半径を最大と最小との間で確実に変化させることができる。従って、変更手段4を作動させると、係合片41a、42aの位置と係合切欠き1bの位置とで定められるクランクアーム1の回転半径に変更することができる。
【0101】
なお、付勢部材5によりクランクアーム1に働かせる付勢力は適宜設定でき、例えば、クランクアーム1が角度が180°から270°まで時計回りに回転する際に、挿通孔1aの連結軸16と反対側の端部を駆動軸21に接近させずにそのまま下方に移動するように、付勢力を働かせてもよい。また、付勢部材5の取付位置も、リンクアーム11を介してクランクアーム1に十分な付勢力を働かせることができるよ
うに、適宜設定できる。
【0102】
(実施の形態4)
図18は、本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置の他の実施の形態の説明図である。同図において、実施の形態1と共通する部分については、同一の名称・符号を用い、説明を省略する。
【0103】
<回転部材34Bについて金属製軸受けの採用による強度向上>
図18の変更装置10では、実施の形態1で説明した回転部材34Bの一例として、ボールベアリング等の金属製の軸受けを採用することにより、回転部材34Bの強度向上を図っている。かかる金属製の軸受けは、その内輪の内周面を回転軸部材34Aの外周面に固定し、その外輪の外周面がクランクアーム1の縁に接して回転できるように構成してある。
【0104】
<軸受け34B−1の採用に伴う複数のコロ7の導入>
また、図18の変更装置10においては、前記軸受け34B−1の採用に伴い、回転軸部材34A軸線方向へのクランクアーム1の移動を拘束する構成として、第1及び第2の基板31、32の内面(クランクアーム1との対向面)に図19のコロ7を複数設け、これらのコロ7外周面の一部がクランクアーム1の表裏面側からクランクアーム1に接触する構成を採用した。回転部材34としての軸受けの外輪の外周面は凹部のないフラットな円弧面であるため、その軸受けだけで回転軸部材34A軸線方向へのクランクアーム1の移動を拘束することは困難だからである。
【0105】
第1の基板31に設けた複数のコロ7は、図18(a)(b)のようにクランクアーム長さ方向(矢印Y方向)に沿って並べて配置してある。この点は第2の基板32に設けた複数のコロ7についても同様である。各基板31、32の複数のコロ7のうち、クランクアーム1の先端側に位置するコロ7(7A)は、クランクアーム1の幅方向ほぼ中央部に接触するように設けている。一方、クランクアーム1の後端側に位置するコロ7(7B、7B)は、クランクアーム11の幅方向に並べて2つ配置することで、クランクアーム1の挿通孔1aの両縁部に接触するように設けている。これは、コロ7(7B、7B)がクランクアーム1の挿通孔1aを避けて、確実にクランクアーム1に接触できるようにするためである。
【0106】
図19は、図18の変更装置10で採用したコロ7の説明図である。
【0107】
同図のコロ7は円柱形状で、上下の保持器71、72によって回転可能に保持されている。上側の保持器71は、コロ7の径方向約上半分を収容するための凹部71Aと、この凹部71Aの底からコロ7の外周面を外部に露出させるための開口部71Bと、コロ7の軸(以下、コロ軸70という)を回転可能に支持する軸受け溝71Cとを備えて構成される。一方、下側の保持器72は、コロ7の径方向約下半分を収容するための凹部72Aを備えている。
【0108】
そして、上側の保持器71の凹部71Aと下側の保持器72の凹部72Aとを互いに対向させ、その両凹部71A、72A間にコロ7を配置した状態で、上下の保持器71、72を図示しない固定手段で固定することにより、上下の保持器71、12は、一体化される。これにより、コロ7は、コロ軸70を中心として回転可能に保持され、そのコロ外周面の一部が上側の保持器71の開口部71Bから外部に露出する。
【0109】
図20は、図19のコロ7を採用する場合に使用する第1及び第2の基板31、32の平面図である。
【0110】
図20の基板31、32には、コロ7とその上側の保持器71を挿入するための複数の窓8が開設されており、これらの複数の窓8はいずれも基板31、32の表裏面を貫通するように形成してある。
【0111】
図21は、図19のコロ7を図20の基板31、32の内面に設置するための設置板8A、8Bに、当該コロ7を取り付けた状態の説明図である。
【0112】
図21の設置板8A、8Bには、同図(c)(f)のように、図20の窓8と対応するコロ取付け用凹部80を複数形成してある。そして、その各コロ取付け用凹部80にコロ7の下側の保持器72を圧入で嵌め込むことによって、当該コロ7は、設置板8A、8Bに一体に取り付けられるようになっている。コロ7を設置板8A、8Bに取り付ける方式としては、前記のような圧入による嵌め込みとは別の方式を採用してもよい。
【0113】
コロ7を取り付けた前記設置板8Aは、コロ7とその上側の保持器71を基板31の窓8に挿入した状態で、同基板31にネジ止め固定される。これにより、コロ7外周面の一部(上側の保持器71Aの開口部から露出している部分)が窓8から露出し、クランクアーム1に接触できるようになる。
【0114】
コロ7を取り付けた設置板8Bも、先に説明した設置板8Aと同様に、基板32に固定される。以上のようにして2つの設置板8A、8Bがそれぞれの基板31、32に取り付けられると、第1の基板31のコロ7と第2の基板32のコロ8は、図21(c)(f)及び図18(b)のように対向して配置され、クランクアーム1の表裏両面側から当該クランクアーム1にコロ7外周面の一部が接触する。この接触によって回転軸部材34A軸線方向へのクランクアーム1の移動が拘束される。
【0115】
<コロ7とベアリングBRの比較>
前記コロ7に代えて図24のように市販のベアリングBRを採用することもできる。しかし、変更装置10全体のコスト低減と薄型化を図るならば、コロ7を採用するのが好適である。コロ7とこれと同程度の耐荷重仕様のベアリング(市販品)とを比較すると、コロ7の方が、小径で基板31、32の厚み方向に嵩張らないし、部品点数も少なく安価だからである。
【0116】
<基板31、32の強度向上>
図18の変更装置10においては、図5に示す基板31、32の挿入切欠き31b、32bに代えて、その挿入切欠き31b、32bと同じ方向性の長孔31f、32f(図20(a)(b)参照)を採用した。挿入切欠き31b、32bや、長孔31f、32fに直角に作用する曲げ力に対する基板31、32の強度は、長孔31f、32fの方が強いため、長孔31f、32fの採用によって基板31、32全体の強度向上を図ることができる。
【0117】
<係合部材41、42の動作のスムーズ化>
図18の変更装置10においては、図6に示す係合部材41、42の他の実施の形態として、図22に示す係合部材41、42を採用した。
【0118】
図22の係合部材41、42は、基板31、32の長孔31f、32f(図18(a)と図20(a)(b)参照)に挿入されてクランクアーム1に係合する係合片41a、42aと、係合片41a、42aに一体に形成されてソレノイド43の荷重を受ける伝達片41c、42cと、係合片41a、42aに取り付けられた回転体41g、42gとからなる。
【0119】
図22の係合部材41、42も、図6の係合部材41、42と同様に、基板41、42の長孔31f、32f(図6の係合部材41、42では挿入切欠き31b、32b)に沿ってスライドでき、その係合片41a、42aがクランクアーム1の係合切欠き1b、1bに係合することで、クランクアーム1をその長さ方向に係止させる。なお、図22の係合部材41、42は、係合片41a、42aの端部に設けた凸部41h、42h側がクランクアーム1の係合切欠き1b、1bに係合する構造になっているが、凸部41h、42hのない形状でもよい。
【0120】
前記係合部材41、42の回転体41g、42gは、2枚の基板31、32間に配置される。そして、前記のように係合部材41、42が長孔31f、32fに沿ってスライドするとき、この回転体41g、42gは、両基板31、32の内面に接触しながら回転することによって、係合部材41、42のスライド動作を安定させる役割と円滑にする役割を果たし、係合部材41、42のスライド動作をスムーズなものにする。
【0121】
前記係合部材41、42の回転体41g、42gとしては、例えば金属製のボールベアリングや、それ以外の転がり軸受けを採用することができ、また、図19に示すコロ7を採用することもできる。
【0122】
<付勢部材45の分離>
図18の変更装置10では、更に図4に示す付勢部材45の他の実施の形態として、図18に示すように、係合部材41、42ごとにその近傍に対応するキックバネ45A、45Bを配置し、その各キックバネ45A、45Bによって2つの係合部材41、42を個別に付勢する構成を採用した。なお、前記キックバネ45A、45Bによる係合部材41、42の付勢方向などについては、図4に示す一つのばねからなる付勢部材45と同様であるため、その詳細説明は省略する。
【0123】
<駆動軸21とホルダ3の基板31、32との連結構造>
図23は、図18の変更装置10において、駆動軸21とホルダ3の基板31、32との連結構造の一例を示した断面図である。
【0124】
図23の連結構造では駆動軸21の端部に段差21A、21Bを2段形成している。また、上下の段差21A、21B間は、実施の形態1で説明した駆動軸21(図4参照)と同じく、駆動軸21の対極する外周両側を軸線方向に切断した形状とし(以下、この形状部分を第1の切断形状部21Cという)、上段の段差から駆動軸21の先端までは、同様に切断した形状(以下、この形状部分を第2の切断形状部21Dという)と雄ねじ21Eとを連続して形成してある。さらに、図20(a)(b)のように、第1の基板31の挿通孔31aは、前記第1の切断形状部21Cの径方向断面形状に合わせて形成し、第2の基板32の挿通孔32aは、前記第2の切断形状部21Dの径方向断面形状に合わせて形成してある。
【0125】
駆動軸21とホルダ3を連結する作業は、駆動軸21の第2の切断形状部21Dを第2の基板32の挿通孔32a(図20(b)参照)に嵌め込む作業、駆動軸21の第1の切断形状部21Cを第1の基板31の挿通孔31a(図20(a)参照)に嵌め込む作業、及び、上下の基板31、32間にこれらを連結するスペーサ22Fを介在させる作業を行った後、駆動軸21の雄ねじ21Eにナット22Gを取り付け締め付ける。これにより、第1の基板31がナット22Gの締め付け力で駆動軸21の上段21Aに固定され、駆動軸21とホルダ3が堅固に連結し一体化される。
【0126】
<異物の混入防止>
図25は、図18の変更装置10にカバーC1〜C4を取付けた外観図である。図25において、第1のカバーC1は、ソレノイド43、付勢部材45としてのキックバネ45A、45b及び基板31の長孔31f(図18参照)を覆う形状になっていて、ソレノイド43やばね45Aに塵埃、水等の異物が直接接触するのを防止する役割と、長孔31fから装置10内部に異物が入り込むのを防止する役割を果たしている。また、第2のカバーC2は、第1と第2の基板31、32間にできる外周の隙間を覆うことにより、その外周の隙間から装置10内部へ異物が入り込むのを防止している。第3のカバーC3は、クランクアームの往復移動に追従して伸縮可能な蛇腹形状になっていて、クランクアーム1の後端側外周を覆うことにより、クランクアーム1の後端側から基板31、32間の隙間を通じて装置10内部に異物が入り込むのを防止している。第4のカバーC4は、基板31、32間から出没するクランクアーム1の先端側を覆うようになっている。また、図示は省略するが、塵埃や水などの浸入を確実に防止するため、更に基板31、32全体を覆うゴムなどによる保護カバーを取り付けても良い。
【0127】
(実施の形態5)
図26は、図18(a)、図24(a)、図4(b)の変更装置10において、係合部材41、42をクランクアーム1から離隔する向きに移動させる手段についての他の例として、図18(a)、図24(a)、図4(b)に示すソレノイド43の代わりに、モータ駆動装置430を採用した例の説明図である。
【0128】
図26において、モータ駆動装置430は、図27に示す小型のモータM、モータMの回転数を減速する減速ギアDG、減速ギアDGに連結されたピニオンP、ピニオンPに係合するラックR、並びに、これらを収容するハウジング43Cから構成されている。
【0129】
モータMの回転力は、減速ギアDGを介してピニオンPに伝達され、ピニオンPの回転によりラックRは直線移動する。その直線移動の方向は、係合部材41、42をクランクアーム1から離隔する向きである。
【0130】
また、ラックRは、図18(a)、図24(a)、図4(b)に示すソレノイド43の出力軸43a、43bと同様に、クランクアーム1の長さ方向に直交するように設けられており、そのラック両端R1、R2は、それぞれ係合部材41、42の伝達片41c、42cのいずれかに対向するように構成してある。この点も図18(a)などのソレノイド43の出力軸43a、43bと同様である。
【0131】
ピニオンPとラックRの各ギアどうしの噛み合わせについて説明すると、図26のモータ駆動装置430では、図27(a)(b)のようにラックRの一部のみにピニオンPのギアと噛み合うギアGを設ける構成の採用により、ラックRが所定距離移動した後は、ピニオンPとラックRの各ギアどうしの噛み合わせがフリーとなって、ピニオンPが空転するように構成してある。
【0132】
前記のような空転機構の採用により、モータMには過負荷がかからず、モータMの寿命が延びる、及び、ピニオンPやラックRのギア破損を防止できる等、モータ駆動装置430の信頼性、耐久性の向上を図ることができる。
【0133】
図26(a)は、ラックRが右側に最大に直線移動したときの状態を示している。この図26(a)のラックRが左側へ直線移動するときの係合部材41、42の動作形態などは、図18(a)、図24(a)、図4(b)において、ソレノイド43の出力軸43aがハウジング43cから左側へ突出するときの係合部材41、42の動作形態などと同様である。また、そのように左側へ直線移動した図26(a)のラックRが同図(a)のように右側へ最大に直線移動するときの係合部材41、42の動作形態などは、図18(a)、図24(a)、図4(b)において、ソレノイド43の出力軸43bがハウジング43cから右側へ突出するときの係合部材41、42の動作形態などと同様であるため、その詳細説明は省略する。
【0134】
<モータ駆動装置430とソレノイド43との比較>
モータ駆動装置430は、図18(a)などのソレノイド43に比べて、部品点数は増加するものの、係合部材41、42を移動させるストロークの調整が容易である。また、その係合部材41、42を移動させる力はモータ駆動装置430の方が強く、かつ、モータ駆動装置430は係合部材41、42を移動させた後の状態を強くキープできることから、モータ駆動装置430の方が好適である。
【0135】
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0136】
なお、実施の形態1、2では、クランクアーム1の長さ方向において、係合切欠き1b、1bが略同一の位置、係合片41a、42aが異なる位置であるが、図16(a)、(b)に示すように、係合片51a、51aが一の係合部材51に形成され、クランクアーム1'の両縁側でクランクアーム1の長さ方向において同一の位置に配設されて、係合切欠き1'bがクランクアーム1の長さ方向において異なる位置に配設されるようにすることも可能である。また、図17(a)、(b)に示すように、クランクアーム1'と係止部材51とを組み合わせて、クランクアーム1'の長さ方向において、係合切欠き1b'が異なる位置、係合片41a、42aも異なる位置とすることも可能である。
【0137】
また、実施の形態1、2では、クランクアーム1の回転半径は最大と最小の2段階で変更できるが、これに限るものではなく、例えば最大、中間、最小と3段階でも、さらには4段階以上にも変更することも可能である。この場合、変更手段4又は係合切欠き(被係合部)1bを増設する。さらに、増設された変更手段4の電力供給源として例えば乾電池等を用いてホルダ3に設置し、リモコン操作で変更手段4を作動させてもよい。
【0138】
上記各実施の形態では、クランクアーム1を移動自在に保持するために、クランクアーム1とホルダ3との摩擦抵抗を少なくすることが好ましい。例えば、クランクアーム1を箱型のホルダ3で移動自在に保持する場合は、金属よりも摩擦抵抗の小さなプラスチックでホルダ3を構成することが好ましい。また、クランクアーム1とホルダ3との摩擦抵抗をより小さくするために、上述のように回転体あるいはベアリングを用いる他に、クランクアーム1と接するホルダ3の4隅を丸形にしてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1………クランクアーム
1A……連結部
1B……挿通部
1a……挿通孔
1b……係合切欠き(被係合部)
1f……挿入孔
2………モータ(駆動手段)
3………ホルダ(支持部材)
4………変更手段
10……クランクアームの変更装置
11……リンクアーム
12,12A,12B…リンクプレート
13,13A,13B…ワイパーアーム
15……連結リンクアーム
16……連結軸
21……駆動軸
31……基板(第1の基板)
31a…挿通孔
31b…挿入切欠き
32……基板(第2の基板)
32a…挿通孔
32b…挿入切欠き
34……回転体
41……係合部材
41a…係合片(係合部)
41b…挿通片
41c…伝達片
41f…連結伝達片
42……係合部材
42a…係合片(係合部)
42b…挿通片
42c…伝達片
42f…連結伝達片
43……双安定型自己保持ソレノイド(移動手段)
43a…出力軸
43b…出力軸
44……固定部
45,5……付勢部材
46……拘束部材
100…ワイパー装置
A………ボディ
θ………クランクアームとリンクアームとの角度
前記目的を達成するために、本発明に係るクランクアームの回転半径変更装置は、クランクアームの回転により駆動軸の回転駆動力をリンクアームの往復直線運動に変換するクランク機構における当該クランクアームの回転半径変更装置であって、前記回転半径変更装置は、前記駆動軸に固定されて回転力を付与されるとともに、前記クランクアームを往復移動自在に支持する支持部材と、前記クランクアームの往復移動を規制して、前記支持部材に前記クランクアームを固定する固定位置を変更する変更手段と、からなり、前記変更手段は、前記支持部材に移動自在に支持された移動体と、前記移動体を前記クランクアームに係合する方向に付勢する第1の付勢部材と、前記第1の付勢部材の付勢力に抗して、前記クランクアームとの係合の解除方向に、前記移動体を移動させる移動手段とを備え、前記クランクアームと前記移動体との係合が解除されたときに、下記(1)から(6)のいずれかの力により、前記クランクアームが移動し、前記クランクアームと支持部材との係合位置を切り替えることで、支持部材に対するクランクアームの固定位置を変更し、クランクアームの回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させ、その変位によって、前記クランクアームの回転半径を変更し、前記リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させることを特徴とする。
(1)前記リンクアームを介して伝達される抵抗力。
(2)前記クランクアームに働く重力。
(3)前記リンクアームを介して伝達される抵抗力と、前記クランクアームに働く重力。
(4)前記リンクアームを介して伝達される抵抗力と、前記リンクアームに取り付けられた第2の付勢部材の付勢力。
(5)前記クランクアームに働く重力と、前記リンクアームに取り付けられた第2の付勢部材の付勢力。
(6)前記リンクアームを介して伝達される抵抗力と、前記クランクアームに働く重力と、前記リンクアームに取り付けられた第2の付勢部材の付勢力。

Claims (8)

  1. クランクアームの回転により駆動軸の回転駆動力をリンクアームの往復直線運動に変換するクランク機構における当該クランクアームの回転半径変更装置であって、
    前記回転半径変更装置は、前記クランク機構に作用する自然の力によって前記クランクアームの回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させる機能を有し、その変位によって、前記クランクアームの回転半径を変更し、前記リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させること
    を特徴とするクランクアームの回転半径変更装置。
  2. 前記変位機能は、
    前記駆動軸に固定されて回転力を付与されるとともに、前記クランクアームを往復移動自在に支持する支持部材と、
    前記クランクアームの往復移動を規制して、前記支持部材に前記クランクアームを固定する固定位置を変更する変更手段と、により実現されること
    を特徴とする請求項1に記載のクランクアームの回転半径変更装置。
  3. 前記変更手段は、
    前記クランクアームと前記支持部材との係合位置を切り替えることで、前記支持部材に対する前記クランクアームの固定位置を変更すること
    を特徴とする請求項2に記載のクランクアームの回転半径変更装置。
  4. 前記変更手段は、
    前記支持部材に移動自在に支持された移動体と、
    前記クランクアームとの係合方向に前記移動体を付勢する付勢手段と、
    前記付勢手段の付勢力に抗して、前記クランクアームとの係合の解除方向に、前記移動体を移動させる移動手段とを備えること
    を特徴とする請求項2又は3に記載のクランクアームの回転半径変更装置。
  5. 前記支持部材は、前記クランクアームの縁に接して、前記クランクアームの移動をガイドする回転体を備えていること
    を特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のクランクアームの回転半径変更装置。
  6. 請求項2乃至5のいずれかに記載のクランクアームの回転半径変更装置と、
    前記支持部材の固定された駆動軸を回転させる駆動手段と、を備えることを特徴とする駆動装置。
  7. 前記クランクアームにおける回転力を伝達する連結軸と前記駆動軸との距離が長くなる程、前記駆動手段による前記駆動軸の回転速度を減少させ、前記連結軸と前記駆動軸との距離が短くなる程、前記駆動手段による前記駆動軸の回転速度を増加させる駆動制御手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
  8. クランクアームの回転により駆動軸の回転駆動力をリンクアームの往復直線運動に変換するクランク機構における当該クランクアームの回転半径変更方法であって、
    前記回転半径変更方法は、前記クランク機構に作用する自然の力により前記クランクアームの回転中心位置をそのクランクアーム長さ方向に変位させることによって、前記クランクアームの回転半径を変更し、前記リンクアームの往復直線運動ストロークを変化させること
    を特徴とするクランクアームの回転半径変更方法。
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