JPWO2009110091A1 - 光拡散性樹脂組成物およびこれを利用した光拡散シート - Google Patents

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Abstract

優れた光拡散性と光透過性を備えるとともに、良好な隠蔽性を有する光拡散シートを得ることが可能な樹脂組成物の提供を目的とする。当該樹脂組成物は、次の成分(A)ないし(D);(A)次の成分(a1)および(a2)を共重合して得られるアクリル系ポリマー100質量部(a1)芳香環含有モノマー 45〜95質量%(a2)官能基含有モノマー 5〜25質量%(B)次の成分(b1)および(b2)を共重合して得られるポリマー50〜200質量部(b1)芳香環含有モノマー 20〜65質量%(b2)フッ素含有モノマーまたはシロキサン基含有モノマー35〜80質量%(C)イソシアネート系またはエポキシ系の硬化剤 0.1〜20質量部を含有することを特徴とする。

Description

本発明は、光拡散性樹脂組成物に関し、より詳細には、高い光透過性および光拡散性を備えるとともに、隠蔽性にも優れる光拡散性樹脂組成物およびこれを用いた光拡散シートに関するものである。
テレビ、パソコン、携帯電話等に用いられる液晶表示装置には、液晶自体に発光性がないため、液晶パネル背後に配置されたバックライトユニットから光を供給している。このバックライトユニットには、導光板からの光線を拡散させ輝度を均一にする目的で光拡散シートが組み込まれている。この光拡散シートには、導光板からの光線を効率的に利用し、輝度ムラを防止するために高い光透過性と光拡散性が要求される。また、導光板の光散乱パターンを隠すために適度な隠蔽性も求められる。
従来、光拡散シートには、光分散剤として、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ガラス粉末、石英粉末等のような無機微粒子や、ポリスチレン、ポリメタクリレート、シリコーン樹脂等の有機微粒子が用いられてきた。しかしながら、このような光拡散性の微粒子は比較的高価であり、また微粒子を含む樹脂組成物を基材に塗工して光拡散シートを製造する場合には、スジ等が生じやすいという問題があった。このため、光拡散性の微粒子を使用せず、屈折率の異なる樹脂を組み合わせ、これらの樹脂が相分離した構造を形成させることによって、光拡散性を付与した光拡散板が提案されている(特許文献1および2)。
しかしながら、これらの技術では、光透過性、光拡散性および隠蔽性の全ての性能を満足するものが得られなかった。
特開2005−181825号公報 特開2004−238582号公報
従って、優れた光拡散性と光透過性を備えるとともに、良好な隠蔽性を有する光拡散シートを得ることが可能な樹脂組成物の開発が求められており、本発明は、そのような光拡散性樹脂組成物の提供を課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、芳香環含有モノマーおよび官能基含有モノマーを共重合させたアクリル系ポリマーと、芳香環含有モノマーと官能基含有モノマーを共重合させたポリマーとをブレンドすると、このポリマー中のフッ素またはシロキサン基部分が結晶性が高いことから凝集し、アクリル系ポリマー中に均一に微分散した海島構造が形成され、この構造が安定して維持されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
次の成分(A)ないし(D)
(A)次の成分(a1)および(a2)を共重合して得られるアクリル系ポリマー
100質量部
(a1)芳香環含有モノマー 45〜95質量%
(a2)官能基含有モノマー 5〜25質量%
(B)次の成分(b1)および(b2)を共重合して得られるポリマー
50〜200質量部
(b1)芳香環含有モノマー 20〜65質量%
(b2)フッ素含有モノマーまたはシロキサン基含有モノマー
35〜80質量%
(C)イソシアネート系またはエポキシ系の硬化剤 0.1〜20質量部
を含有する光拡散性樹脂組成物である。
また本発明は、基材の片面に上記光拡散性樹脂組成物から形成される樹脂層を設けてなる光拡散シートである。
さらに本発明は、上記光拡散性樹脂組成物を基材の片面に塗工し、次いで硬化させることを特徴とする光拡散シートの製造方法である。
本発明の光拡散性樹脂組成物によって、高い光透過性及び光拡散性を兼ね備え、さらに隠蔽性にも優れる光拡散シートが得られる。価格の高い微粒子を使用しないので製造コストをさげることができ、また、この光拡散性樹脂組成物は基材上に塗工してもスジ等が生じないため、歩留まりを向上することが可能である。
本発明の光拡散性樹脂組成物に用いる成分(A)のアクリル系ポリマー(以下、「ポリマー(A)」ということがある)は、成分(a1)芳香環含有モノマーおよび成分(a2)官能基含有モノマーを共重合して得られるものである。
成分(a1)の芳香環含有モノマーは、構造中に芳香環を1個または2個有するモノマーであり、(メタ)アクリル系モノマーと比較して一般に高い屈折率を有する。具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルナフタレン、メタクリロイロキシエチルフタル酸、パラクミルフェノキシエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミドなどが挙げられる。これらのうち、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートが取り扱いやすさの観点から好ましい。
また、成分(a2)の官能基含有モノマーは、構造中に官能基を有するモノマーである。この官能基としては、後述する成分(C)のイソシアネート系硬化剤またはエポキシ系硬化剤と化学反応または相互反応する官能基であれば特に限定されるものではないが、具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基等などが挙げられる。官能基含有モノマーとして、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマーを例示することができる。
成分(A)中の成分(a1)および(a2)の含有量は、成分(a1)が45〜95質量%(以下、単に「%」で示す)、好ましくは65〜95%であり、成分(a2)が5〜25%、好ましくは5〜15%である。
成分(A)は、上記成分(a1)および(a2)のモノマーの他に、これらと共重合可能なモノマー(a3)を共重合させることができる。共重合可能なモノマーとして、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の複素環(メタ)アクリレート;シクロヘキシルマレイミド、アクリロイルモルホリン等が例示できる。
成分(A)中の成分(a3)の含有量は、通常0〜50%、好ましくは、0〜35%である。
本発明に用いる成分(A)は、上記成分(a1)ないし(a3)を共重合して得られるが、成分(a1)ないし(a3)の合計量のうち50%以上がアクリル系モノマーである。
成分(A)は、ラジカル重合法、リビング重合法、カチオン重合法等の従来公知の重合法により製造することができるが、コスト面で有利なため、ラジカル重合法により製造したものが好ましい。
上記のようにして得られる成分(A)の分子量は、特に限定されるものではないが、分散安定性の観点から、1000〜40万が好ましく、さらに1000〜15万が好ましい。なお、本明細書において分子量とは、実施例中に記載の測定方法によって求められる重量平均分子量を意味する。
成分(A)には、分子量を調整するために必要に応じ2−メルカプトエタノール、β−メルカプトプロピオン酸、n−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いることができる。
また本発明に用いる成分(B)は、成分(b1)および(b2)を共重合して得られるポリマー(以下、「ポリマー(B)ということがある」)である。
成分(b1)は、芳香環含有モノマーであり、上記成分(a1)と同じものが使用できる。好ましいものとしては、取り扱いやすさの観点からベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートが挙げられる。
成分(b2)は、フッ素含有モノマーまたはシロキサン基含有モノマーであり、構造中にフッ素またはシロキサン基を含むモノマーである。このうちフッ素含有モノマーとしては、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ化アルキルエステル基含有モノマー等が例示できる。
一方、成分(b2)のうち、シロキサン基含有モノマーとしては、下記式(1)または(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009110091
上記式(1)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは1〜1000の整数を示す。より好ましくは、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり、nは6〜300である。
Figure 2009110091
上記式(1)で表される化合物は、例えば、特開平06−228316号公報等に記載の方法によって製造することができる。また、市販品として、サイラプレーンFM−0711(平均分子量(Mw)1000,比重0.96、屈折率1.411、粘度(m/s)10)、FM−0721(平均分子量(Mw)5000,比重0.97、屈折率1.406、粘度(m/s)70)、FM−0725(平均分子量(Mw)10,000,比重0.97、屈折率1.405、粘度(m/s)200)などが挙げられる。一方、上記式(2)で表される化合物は、サイラプレーンTM−0701(平均分子量(Mw)423、比重0.93、屈折率1.418)、TM−0701T(平均分子量(Mw)423、比重0.91、屈折率1.420)などがある(いずれもチッソ社製)。
成分(B)中の成分(b1)および(b2)の含有量は、成分(b1)が20〜65%、好ましくは30〜60%であり、成分(b2)が35〜80%、好ましくは40〜70%である。
成分(B)は、上記成分(b1)および(b2)のモノマーの他に、これらと共重合可能なモノマー(b3)を共重合させることができる。この成分(b3)としては、上記(a3)と同じものが使用できる。
成分(B)は、ラジカル重合法、リビング重合法、カチオン重合法等の従来公知の重合法により製造することができるが、コスト面で有利という点でラジカル重合法により製造したものが好ましい。
上記のようにして得られる成分(B)の分子量は、特に限定されるものではないが、分散安定性の観点から、1000〜40万が好ましく、さらに1000〜15万が好ましい。
本発明の光拡散性樹脂組成物における成分(B)の配合量は、成分(A)100質量部(以下、単に「部」で示すことがある)に対して、50〜200部であり、好ましくは60〜150部である。50部よりも少ない、或いは200部よりも多いと均一性が悪くなり、隠蔽性、光拡散性が悪化するため好ましくない。
本発明に用いる成分(C)は、イソシアネート系硬化剤またはエポキシ系硬化剤である。イソシアネート系硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパンなどポリオールとのアダクト体等が例示でき、これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネートが耐候性の観点から好ましく用いられる。
一方、エポキシ系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N‘,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N‘−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらのうち、ジグリシジルアミン、N,N,N‘,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N‘−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが耐候性の観点から好ましい。
本発明の偏光板用粘着剤組成物における成分(C)の配合量は、成分(A)100部に対して、0.1〜20部であり、好ましくは5〜15部である。0.1部よりも少ないと強度が得られないという点で好ましくなく、20部よりも多いと耐候性が悪くなるという点で好ましくない。
なお、本発明の光拡散性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤等を配合することができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤が例示できる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。また分散剤としては、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸等の(ハロ)アルキルスルホン酸及びナトリウム塩等の界面活性剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン系界面活性剤、ポリビニルアルコール、セルロース等の高分子系分散安定剤等が例示できる。
本発明の光分散性樹脂組成物の調製は、上記成分(A)ないし(C)を常法に従って混合すればよく、成分(B)中の結晶性の高いフッ素またはシロキサン基部分が凝集し、成分(B)が成分(A)中に均一に微分散した安定性の高い海島構造が形成される。
かくして得られた光拡散性樹脂組成物を、基材上の片面に塗工し、硬化させて樹脂層を形成させることによって本発明の光拡散シートが得られる。樹脂組成物の塗工は、バーコーター、スピンコーター、ロールコーター等を用いて行うことができる。樹脂層の膜厚は、通常1〜40μmであり、好ましくは、5〜30μm程度である。また、基材としては、透明性がよく機械的強度が十分なものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリメタクリル酸エステル等を使用することができるが、透明性、耐候性、コーティング適性からポリエチレンテレフタレートないしはポリカーボネートを使用することが好ましい。
また、本発明の光拡散性樹脂組成物を用いて成形することにより、本発明の光拡散板を製造することができる。
成分(A)および(B)をニーダーで混練して、ペレタイザーでペレット化し、これを押出成形機にて型に流しこみ硬化させることで本発明の光拡散板が得られる。さらに、レンチキュラーシート、プリズムシートを製造することもできる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
製造例1
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン100部、ベンジルメタクリレート(BzMA)58部、メチルメタクリレート(MMA)30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)10部およびメタクリル酸(MAA)2部を仕込み、80℃に昇温後アゾビスイソブチロニトリル0.5部を投入して7時間重合を行ってアクリル系ポリマー(A−1)を得た。得られたポリマー(A−1)の分子量および屈折率を下記測定方法によって測定した。分子量は約5万、屈折率は1.54であった。
(分子量の測定方法)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィHLC−8220CGPC(東ソー製)を使用し、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、流速0.85ml/min、温度40℃、検出器は示差屈折計(RI)の条件で行った。
(屈折率の測定方法)
ドクターブレードを用いて厚さ約25μmの試料を作成し、アッベ式屈折計(アタゴ社製)により、23℃において測定を行った。測定波長は、589nmであった。
製造例2〜4
表1に示すモノマー組成とし、メチルエチルケトンを120部、重合反応時間を12時間にした以外は製造例1と同様にしてアクリル系ポリマー(A−2)〜(A−4)を得た。得られたポリマーの分子量および屈折率について製造例1と同様にして測定した。結果を表1に併せて示す。
Figure 2009110091
製造例5
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーおよび窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン100部、ベンジルメタクリレート(BzMA)50部およびパーフルオロオクチルエチルメタクリレート(PFOEMA)50部を仕込み、80℃に昇温後アゾビスイソブチロニトリル0.5部を投入して7時間重合を行ってアクリル系ポリマー(B−1)を得た。得られたポリマー(B−1)の分子量および屈折率を下記測定方法によって測定した。製造例1と同様にして分子量および屈折率を測定した結果、分子量は約6万、屈折率は1.47であった。
製造例6〜11
下記表2に示すモノマー組成にした以外は、製造例5と同様にしてポリマー(B−2)〜(B−7)を得た。得られたポリマーについて、製造例1と同様にして分子量および屈折率を測定した。結果を表2に併せて示す。
Figure 2009110091
実施例1
光拡散シートの作製:
(樹脂組成物の調製)
製造例1により得られたアクリル系ポリマー(A−1)100部と、製造例5で得られたポリマー(B−1)100部を混合し、これにイソシアネート系硬化剤としてTPA−100(HDI系硬化剤;旭化成社製)5.5部を添加、混合して樹脂組成物を調製した。
(光拡散シートの作製)
得られた樹脂組成物を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターで塗工し、80℃で10分間乾燥して膜厚23μmの光拡散シートを得た。
実施例2〜7、比較例1〜7
アクリル系ポリマーとポリマーを下記表3のように代えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。また、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして光拡散シートを作製した。
上記実施例及び比較例で得られた光拡散シートについて、透過率、拡散率および隠蔽性を以下の評価方法で評価した。この結果を表3にまとめて示す。
<透過率の測定方法>
ヘイズメーター(HM−150;Murakami Color Reserch Laboratory製)を用いて下記条件によって測定した。
(条件)
JIS K7136に準拠して測定を行った。
<拡散率の測定方法>
変角光度計(GC 5000L;日本電色工業社製)を用いて、下記条件により測定した。
(条件)
入射角180°で5°、20°、70°における透過光の透過率から拡散率を求めた。
<隠蔽性の評価方法>
光拡散シートを10cmの距離で蛍光灯に透かした時の蛍光灯の見え方について下記基準により評価した。
(基準)
◎ :蛍光灯が完全に見えない
○ :蛍光灯の明かりの強弱が見える
× :蛍光灯の明かりのラインが見える
××:蛍光灯が明確に見える
Figure 2009110091
表3に示した評価結果から明らかなように、本発明の光拡散性樹脂組成物により得られた光拡散シートは、隠蔽性に優れ良好な拡散率を示している。さらに、本発明の光拡散性樹脂組成物により得られた光拡散板も、隠蔽性に優れ良好な拡散率を示している。
実施例7
光拡散板の製造:
(樹脂組成物の調整)
製造例1により得られたアクリル系ポリマー(A−1)および製造例5で得られたポリマー(B−1)をそれぞれ乾燥し、乾燥後のポリマー(A−1)100部と乾燥後のポリマー(B−1)25部をニーダーで加熱混練して樹脂組成物を調整した。
(光拡散板)
得られた樹脂組成物を押出成形機により成形し、厚さ2mmの光拡散板を得た。
本発明の樹脂組成物によって、高い光透過性及び光拡散性を備え、さらに良好な隠蔽性を有する樹脂層を形成することができる。したがって、このものは光拡散シートに用いる樹脂組成物として有用なものである。

Claims (6)

  1. 次の成分(A)ないし(C)
    (A)次の成分(a1)および(a2)を共重合して得られるアクリル系ポリマー
    100質量部
    (a1)芳香環含有モノマー 45〜95質量%
    (a2)官能基含有モノマー 5〜25質量%
    (B)次の成分(b1)および(b2)を共重合して得られるポリマー
    50〜200質量部
    (b1)芳香環含有モノマー 20〜65質量%
    (b2)フッ素含有モノマーまたはシロキサン基含有モノマー
    35〜80質量%
    (C)イソシアネート系またはエポキシ系の硬化剤 0.1〜20質量部
    を含有する光拡散性樹脂組成物。
  2. 成分(b2)のフッ素含有モノマーが、フッ化アルキルエステル基含有モノマーである請求項1記載の光拡散性樹脂組成物。
  3. 成分(b2)のシロキサン基含有モノマーが、下記式(1)
    Figure 2009110091
    (式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは1〜1000の整数を示す)
    で表されるものである請求項1記載の光拡散性樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3の何れかの項記載の光拡散性樹脂組成物から形成される樹脂層を基材の片面に設けてなる光拡散シート。
  5. 請求項1ないし3の何れかの項記載の光拡散性樹脂組成物を基材の片面に塗工し、次いで硬化させることを特徴とする光拡散シートの製造方法。
  6. 請求項1ないし3の何れかの項記載の光拡散性樹脂組成物を成形してなる光拡散板。
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