JPWO2009107514A1 - 金属腐食性を低減したポリアミド組成物のペレットの製造方法および成形品の製造方法 - Google Patents

金属腐食性を低減したポリアミド組成物のペレットの製造方法および成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高いリフロー工程温度にも耐え、ブリスターなどの外観上の変化が生じにくい成形品となるポリアミド組成物のペレットを与えることが可能であり、ホスフィン酸塩を含むにも拘らず、金属製部品の腐食や摩耗を低減し、低コストでかつ効率的にペレットを生産することができるペレットの製造方法の提供。【解決手段】融点が270〜300℃であるポリアミド(I)を15〜95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含むポリアミド組成物のペレットの製造方法であって、押出機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で少なくとも上記ポリアミド(I)およびホスフィン酸塩(II)を溶融混練し、次いでペレット化する、ポリアミド組成物のペレットの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は難燃性のポリアミド組成物のペレットの製造方法、成形品の製造方法およびポリアミド組成物に関する。
ポリアミド樹脂は力学特性や耐熱性に優れるため自動車部品分野や電気・電子部品分野で多く使用されており、ポリアミド樹脂の中でもより耐熱性が高い半芳香族ポリアミドが商業化され、これらの部品の性能向上に貢献している。特に電気・電子部品分野では部品の実装効率が高い表面実装プロセスが普及しており、寸法変化が小さく、外観に優れる半芳香族ポリアミドはこれらの部品を形成する好適な素材として普及している。また近年、環境負荷低減の観点から表面実装プロセスにおいて使用されるハンダとして鉛フリーハンダが採用されているが、鉛フリーハンダは融解温度が比較的高いことから、表面実装プロセスのリフロー工程における温度を高く(260℃程度に)設定する必要があり、そのため、半芳香族ポリアミドの中でも、融点が比較的高いものが採用されている。
ところで電気・電子部品分野では、部品に対して難燃性が要求され、アンダーライターズ・ラボラトリーのUL94規格における評価V−0を達成することが多くの場合必要であり、これまでは部品を形成する材料として臭素系難燃剤を配合した素材が一般的に使用されてきた。しかしながら、近年の環境に対する意識の高まりから、有害な鉛、カドミウムなどいくつかの従来材料は使用が規制される状況にあり、臭素系難燃剤等のハロゲンを含む難燃剤に関しても、その安全性や実質的な環境負荷等の評価結果に関係なくその使用が忌避される傾向があり、ハロゲンを含まない難燃性の半芳香族ポリアミド組成物の需要は高まりつつある。
一般的なポリアミドに配合されるハロゲンを含まない難燃剤はいくつか知られている。しかしながら、上記したような融点が比較的高い半芳香族ポリアミドに対して配合される難燃剤には、高度の難燃性能の他に、さらにポリアミド組成物を製造する際の溶融混練時や成形品を製造する際の成形加工時の高温条件に耐え得る高度の耐熱性が要求される。そのため、このような半芳香族ポリアミドに対して配合することができる難燃剤には限りがあった。
高度の難燃性および耐熱性を有しハロゲンを含まない難燃剤として、ホスフィン酸塩が知られている。たとえば、脂環式ジアミン単位から主としてなるジアミン単位を有する特定のポリアミドおよびホスフィン酸塩を含有する難燃性ポリアミド成形材料が知られている(特許文献1参照)。また、ナイロン66等の脂肪族ポリアミドおよび特定のホスフィン酸塩を含む成形材料が知られている(特許文献2参照)。さらに、特定の半芳香族ポリアミド、ポリフェニレンエーテルおよびホスフィン酸塩を含む特定の樹脂組成物が知られている(特許文献3および4参照)。
ポリアミド組成物は通常ペレットの形態で製造・流通され、これを射出成形機等を用いて成形することにより成形品が製造されるが、ポリアミド組成物を製造する際における押出機のシリンダー温度や、ペレットを成形品とする際における射出成形機等の成形機のシリンダー温度は、ポリアミドを十分溶融させるために、通常ポリアミドの融点以上の温度に設定される。そのため融点が比較的高い半芳香族ポリアミドを使用する場合には上記温度は高めに設定され、得られる成形品の品質の観点から半芳香族ポリアミドを多量に配合する場合には、特にこの傾向が強くなる。
しかしながら、難燃剤として上記ホスフィン酸塩を使用した場合に、従来の方法によりポリアミド組成物のペレットを製造したり、得られたペレットから成形品を製造すると、押出機や射出成形機等の成形機のシリンダーや、シリンダー内に配設されるスクリュー、さらには射出成形時に使用される金型等の金属製部品が著しく腐食したりあるいは摩耗したりする問題があった。耐熱性が高いとされるホスフィン酸塩を使用した場合にこのような問題が起こることは予想外であった。
特開昭51−63859号公報 特開平9−235465号公報 特開2007−182550号公報 特開2007−182551号公報 特開平8−73720号公報
本発明は、鉛フリーハンダが使用されるような高いリフロー工程温度にも耐え、しかもブリスターなどの外観上の変化が生じにくい成形品となるポリアミド組成物のペレットを与えることが可能であり、難燃剤としてホスフィン酸塩を含むにも拘らず、押出機のシリンダーやシリンダー内に配設されるスクリュー等の金属製部品の腐食や摩耗を低減し、低コストでかつ効率的にペレットを生産することができるペレットの製造方法を提供することを課題とする。また本発明は、難燃剤としてホスフィン酸塩を含むにも拘らず、射出成形機等の成形機のシリンダーや、シリンダー内に配設されるスクリュー、さらには射出成形時に使用される金型等の金属製部品の腐食や摩耗を低減し、低コストかつ効率的に成形品を製造することができる成形品の製造方法を提供することを課題とする。さらに本発明は上記成形品の製造方法に使用されるポリアミド組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の融点を有する半芳香族ポリアミドおよびホスフィン酸塩を特定の押出条件で押出してペレットとすることにより、押出機のシリンダーや、シリンダー内に配設されるスクリュー等の金属製部品の腐食や摩耗を著しく低減させることができることを見出した。また特定の融点を有する半芳香族ポリアミドおよびホスフィン酸塩を含むポリアミド組成物を特定の射出成形条件で成形することにより、射出成形機のシリンダーや、シリンダー内に配設されるスクリュー、さらには射出成形時に使用される金型等の金属製部品の腐食や摩耗を著しく低減させることができることを見出した。本発明者らはこれらの知見を基にさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]融点が270〜300℃であるポリアミド(I)を15〜95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含むポリアミド組成物のペレットの製造方法であって、押出機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で少なくとも上記ポリアミド(I)およびホスフィン酸塩(II)を溶融混練し、次いでペレット化する、ポリアミド組成物のペレットの製造方法、
[2]ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有する上記[1]の製造方法、
[3]上記ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有し、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40〜80:20である上記[2]の製造方法、
[4]ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6〜0.95dl/gである上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法、
[5]上記ホスフィン酸塩が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法、
Figure 2009107514
[式(1)および(2)中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
[6]上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法、
[7]上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)を含む上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法、
[8]融点が270〜300℃であるポリアミド(I)を15〜95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含むポリアミド組成物を押出成形、射出成形またはブロー成形する成形品の製造方法であって、成形機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で上記ポリアミド組成物を成形する成形品の製造方法、
[9]ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有する上記[8]の製造方法、
[10]上記ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有し、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40〜80:20である上記[9]の製造方法、
[11]ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6〜0.95dl/gである上記[8]〜[10]のいずれかの製造方法、
[12]上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である上記[8]〜[11]のいずれかの製造方法、
Figure 2009107514
[式(1)および(2)中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
[13]上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである上記[8]〜[11]のいずれかの製造方法、
[14]上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)をさらに含む上記[8]〜[13]のいずれかの製造方法、
[15]融点が270〜300℃であるポリアミド(I)を15〜95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含むポリアミド組成物であって、成形機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で押出成形、射出成形またはブロー成形するために使用されるポリアミド組成物、
[16]ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有する上記[15]のポリアミド組成物、
[17]上記ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有し、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40〜80:20である上記[16]のポリアミド組成物、
[18]ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6〜0.95dl/gである上記[15]〜[17]のいずれかのポリアミド組成物、
[19]上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である上記[15]〜[18]のいずれかのポリアミド組成物、
Figure 2009107514
[式(1)および(2)中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
[20]上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである上記[15]〜[18]のいずれかのポリアミド組成物、
[21]上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)をさらに含む上記[15]〜[20]のいずれかのポリアミド組成物、
[22]上記ポリアミド組成物が滴下防止剤(IV)をさらに含む上記[15]〜[21]のいずれかのポリアミド組成物、
に関する。
本発明によれば、鉛フリーハンダが使用されるような高いリフロー工程温度(たとえば260℃程度の温度)にも耐え、しかもブリスターなどの外観上の変化が生じにくい成形品となるポリアミド組成物のペレットを与えることが可能であり、難燃剤としてホスフィン酸塩を含むにも拘らず、押出機のシリンダーや、シリンダー内に配設されるスクリュー等の金属製部品の腐食や摩耗を低減し、低コストでかつ効率的にペレットを生産することができるペレットの製造方法が提供される。また本発明によれば、難燃剤としてホスフィン酸塩を含むにも拘らず、射出成形機等の成形機のシリンダーや、シリンダー内に配設されるスクリュー、さらには射出成形時に使用される金型等の金属製部品の腐食や摩耗を低減し、低コストでかつ効率的に成形品を製造することができる成形品の製造方法が提供される。さらに本発明によれば、上記成形品の製造方法に使用されるポリアミド組成物が提供される。
以下に本発明の詳細な説明を行う。
本発明に使用されるポリアミド(I)は融点が270〜300℃である。本発明において使用されるポリアミド(I)としては、PA46等の脂肪族ポリアミドや、テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有する半芳香族ポリアミド等が挙げられる。これらのうち、耐熱性、低吸水性の点で半芳香族ポリアミドが好ましい。
半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸単位がテレフタル酸を40〜100モル%含有することにより、耐熱性の高い成形品を与えるペレットや耐熱性の高い成形品を得ることができる。ジカルボン酸単位におけるテレフタル酸単位の含有率は60〜100モル%の範囲内がより好ましく、75〜100モル%の範囲内がさらに好ましく、90〜100モル%の範囲内が特に好ましい。
上記のジカルボン酸単位は、テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。該他のジカルボン酸単位としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を含むことができる。これらのなかでも芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。ジカルボン酸単位におけるこれらの他のジカルボン酸単位の含有率は、60モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、25モル%以下であることがさらに好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。
上記の半芳香族ポリアミドは、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸から誘導される単位を溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
半芳香族ポリアミドを構成するジアミン単位は、炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有することが好ましい。ジアミン単位における炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位の含有率は、75〜100モル%の範囲にあることがより好ましく、90〜100モル%の範囲がさらに好ましい。炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を上記の割合で含有する半芳香族ポリアミドを使用すると、耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性に優れる成形品を与えるペレットや、耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性に優れる成形品を得ることができる。
上記の炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位としては、例えば、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を含むことができる。
上記のジアミン単位は、耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性に優れる成形品を与えるペレットや、耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性に優れる成形品を得ることができることから、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位を60〜100モル%含有することが好ましく、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有することがより好ましい。
1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を併用する場合には、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比は、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40〜80:20であることが好ましく、65:35〜75:25であることがより好ましい。1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を上記の割合で含有する半芳香族ポリアミドを用いると、ポリアミド(I)の融点を容易に後述する範囲とすることができ、また十分な結晶性およびハンダ耐熱性を有し、表面実装工程での変形が小さな成形品を得ることができる。
上記のジアミン単位は、炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでもよい。該他のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を含むことができる。ジアミン単位におけるこれらの他のジアミン単位の含有率は40モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。
また、上記の半芳香族ポリアミドはアミノカルボン酸単位を含んでもよい。該アミノカルボン酸単位としては、例えば、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム;11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸などから誘導される単位を挙げることができる。半芳香族ポリアミドにおけるアミノカルボン酸単位の含有率は、半芳香族ポリアミドの全ジカルボン酸単位100モル%に対して、40モル%以下の割合であることが好ましく、20モル%以下の割合がより好ましい。
半芳香族ポリアミドは、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)は、40%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。末端封止率が10%以上の半芳香族ポリアミドを用いると、溶融成形性や表面美麗性などの物性がより優れた成形品を与えるペレットや溶融成形性や表面美麗性などの物性がより優れた成形品を得ることができる。
なお、末端封止率は、半芳香族ポリアミドに存在しているカルボキシル基末端およびアミノ基末端の数と、末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記計算式に従って求めることができる。各末端基の数はH−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値に基づいて求めることができる。
末端封止率(%)=[(Y−Z)/Y]×100
[式中、Yは半芳香族ポリアミドの分子鎖の末端基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Zは封止されずに残ったカルボキシル基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。]
末端封止剤としては、末端アミノ基もしくは末端カルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物を用いることができる。具体的には、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などが挙げられるが、反応性および封止末端の安定性などの点から、末端アミノ基に対する末端封止剤としては、モノカルボン酸が好ましく、末端カルボキシル基に対する末端封止剤としては、モノアミンが好ましい。また、取り扱いの容易さなどの観点から末端封止剤としてはモノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
本発明に用いられるポリアミド(I)は、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により製造することができる。
ポリアミド(I)は、例えば、最初にジアミン、ジカルボン酸、および必要に応じて触媒や末端封止剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200〜250℃の温度において加熱重合して濃硫酸中30℃における極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gのプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合することにより製造することができる。プレポリマーの極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gの範囲内であると、後重合の段階においてカルボキシル基とアミノ基のモルバランスのずれや重合速度の低下が少なく、さらに分子量分布の小さな、各種物性や成形性に優れたポリアミド組成物を与えるポリアミド(I)が得られる。重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガス流動下に行うのが好ましく、重合温度が200〜280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であるのが好ましく、かかる条件で重合すると、ポリアミド樹脂の分解がほとんどなく、劣化の少ないポリアミド(I)が得られる。
ポリアミド(I)を製造するに際して使用することができる触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステルが挙げられる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを挙げることができる。
本発明に用いられるポリアミド(I)の融点は270〜300℃であることが必要であり、275〜295℃であることが好ましく、285〜293℃であることがより好ましい。ポリアミド(I)が上記範囲の融点を有することにより、ポリアミド組成物においてポリアミド(I)を多量に配合した場合であっても、後述する押出機あるいは成形機のシリンダー温度で溶融混練を十分に行うことができ、しかも十分なハンダ耐熱性を有する成形品を与えるペレットあるいは十分なハンダ耐熱性を有する成形品を製造することが可能となる。なお、本明細書における融点とは、実施例において後述するように、示差走査熱量分析装置(DSC)により測定された値である。
本発明に用いられるポリアミド(I)は、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.6〜0.95dl/gであることが好ましく、0.65〜0.93dl/gがより好ましい。極限粘度[η]が上記の範囲内のものを使用すると、成形性に優れたポリアミド組成物が得られ、力学的特性、耐熱性などにより優れた成形品が得られる。なお、極限粘度が0.95dl/gを超えると押出機あるいは成形機の剪断発熱により溶融樹脂温度が大幅に上昇し、金属製部品の腐食や摩耗が起こり易くなる傾向がある。
本発明において使用されるホスフィン酸塩(II)としては下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩を好ましく使用することができる。
Figure 2009107514
[式(1)および(2)中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
上記式(1)および(2)において、Rが表す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。またRが表すアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基などが挙げられる。
上記式(2)において、Rが表す直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−へキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基等が挙げられる。Rが表すアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、t−ブチルフェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基等の炭素数6〜10のアリーレン基などが挙げられる。Rが表すアリールアルキレン基としては、例えば、フェニルエチレン基、2−フェニル−1,3−プロピレン基等の炭素数6〜10のアリールアルキレン基などが挙げられる。
上記式(1)において、Mがマグネシウム、カルシウムまたは亜鉛を表す場合にはmは2であることが好ましく、Mがアルミニウムを表す場合にはmは3であることが好ましい。また、上記式(2)において、Mがマグネシウム、カルシウムまたは亜鉛を表す場合にはnおよびxはともに1であることが好ましく、Mがアルミニウムを表す場合にはnが3でありxが2であることが好ましい。
上記式(1)または(2)で示されるホスフィン酸塩は、例えば、特許文献5に記載されているように、ホスフィン酸化合物と、金属炭酸塩、金属水酸化物、金属酸化物等の金属成分とを水溶液中で反応させて製造することができる。
上記のホスフィン酸化合物としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メチレンビス(メチルホスフィン酸)、1,4−フェニレンビス(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等が挙げられる。
また上記の金属成分としては、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンを含む金属炭酸塩、金属水酸化物、金属酸化物等が挙げられる。
上記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩の具体例としては、例えば、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
また上記式(2)で示されるジホスフィン酸塩の具体例としては、例えば、メチレンビス(メチルホスフィン酸)カルシウム、メチレンビス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メチレンビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メチレンビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、1,4−フェニレンビス(メチルホスフィン酸)カルシウム、1,4−フェニレンビス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、1,4−フェニレンビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、1,4−フェニレンビス(メチルホスフィン酸)亜鉛が挙げられる。
上記のホスフィン酸塩の中でも、難燃性、電気特性、入手性の観点から、ホスフィン酸塩(II)としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましく、特に工業的に市販されているジエチルホスフィン酸アルミニウムが耐熱性、量産性の観点からより好ましく使用することができる。
ホスフィン酸塩(II)は、その平均粒径が好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは0.5〜40μmである粉末状のものを用いることが好ましい。このような平均粒径を有するホスフィン酸塩(II)を使用すると、高い難燃性を発現するばかりでなく成形品の強度が著しく高くなる。なお、本明細書におけるホスフィン酸塩(II)の平均粒径とは、水等の媒体に分散させたホスフィン酸塩(II)の分散液を測定サンプルとして用いて、レーザー回折式粒度分布計を使用して測定される粒子径と粒子数の頻度分布からもとめた数平均粒子径を意味する。
ホスフィン酸塩(II)は必ずしも完全に純粋である必要はなく、未反応物あるいは副生成物が少量残存していてもよい。
本発明のペレットの製造方法において製造されるペレットを構成するポリアミド組成物、および本発明の成形品の製造方法において使用されるポリアミド組成物は、上記のポリアミド(I)を15〜95質量%および上記のホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含有する。当該ポリアミド組成物がポリアミド(I)を15〜95質量%含有することにより、力学的特性等に優れた成形品を得ることができる。また、当該ポリアミド組成物がホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含有することにより、優れた難燃性を有する成形品を得ることができる。上記のポリアミド組成物におけるポリアミド(I)の含有率としては35〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。一方、上記のポリアミド組成物におけるホスフィン酸塩(II)の含有率としては10〜20質量%であることが好ましく、10〜17質量%であることがより好ましい。
上記のポリアミド組成物には、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)を配合することができる。金属化合物(III)を配合すると、ポリアミド組成物のペレットを製造する際や、ポリアミド組成物を成形する際に使用される金属製部品の腐食や摩耗をより一層低減することができる。上記金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ケイ素(シリカ)等が挙げられる。上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ水和物等が挙げられる。上記金属炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。上記ホウ酸金属塩としては、例えば、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げられる。上記ハイドロタルサイトまたはその誘導体としては、塩基性アルミニウムマグネシウムカーボネートハイドレート(ハイドロタルサイト)、ハイドロタルサイトを焼成し結晶水を脱水したもの等が挙げられる。これらの金属化合物(III)の中でも、酸性物質を捕捉する効果が大きいことから、酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、アルミナ水和物、ハイドロタルサイトが好ましい。ポリアミド組成物におけるこれらの金属化合物(III)の配合量としては、少なすぎると十分な効果が望めず、多すぎると配合後のポリアミド組成物の流動性が低下する場合があることから、ポリアミド(I)100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、上記のポリアミド組成物には難燃化効率を高めるため滴下防止剤(IV)を配合してもよい。滴下防止剤(IV)としては、繊維化ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;無水マレイン酸変性ポリスチレン等の変性芳香族ビニル系重合体;無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合体等の変性ポリオレフィン;アイオノマーなどを挙げることができる。これらの中でも、滴下防止効果が高いことから、繊維化ポリテトラフルオロエチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレンが好ましく、ハロゲンを含まないことから無水マレイン酸変性ポリスチレンがより好ましい。ポリアミド組成物における滴下防止剤(IV)の配合量としては、少なすぎると十分な効果が望めず、多すぎると得られる成形品に外観不良等が生じる場合があることから、0.05〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましい。
上記のポリアミド組成物には、さらなる難燃性付与のため、メラミン、メラム、メレム、メロン等のメラミン系化合物と、リン酸、ポリリン酸等のリン酸化合物とから形成される難燃助剤(V)を配合してもよい。このような難燃助剤(V)を配合すると難燃性評価時に炭化が促進されるため、ホスフィン酸塩(II)の配合量を低減することができる。このような難燃助剤(V)の具体例としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製ポリリン酸メラミン「Melapur200」または「Melapur200 70」、日産化学工業株式会社製ポリリン酸メラミン「Phosmel−200」などが挙げられる。ポリアミド組成物における難燃助剤(V)の配合量としては、あまりに多すぎると射出成形により成形品を製造する際などに金型が汚染されることがあることから、0〜5質量%であることが好ましく、0〜1質量%であることがより好ましい。
上記のポリアミド組成物には充填材(VI)を含有させてもよい。充填材(VI)としては、繊維状、平板状、針状、粉末状、クロス状などの各種形態を有するものを使用することができる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、液晶ポリマー(LCP)繊維、金属繊維等の繊維状充填材;マイカ、タルク等の平板状充填材;チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー等の針状充填材;シリカアルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、アスベスト、ガラスビーズ、カーボンブラック、グラファイト、二硫化モリブデン、フェノール樹脂粒子、架橋スチレン系樹脂粒子、架橋アクリル系樹脂粒子等の粉末状充填材などが挙げられる。これらの充填材(VI)は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの充填材(VI)の表面は、ポリアミド(I)中への分散性を高める目的で、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の高分子または低分子の化合物によって表面処理されていることが好ましい。
上記の充填材(VI)の中でも、低コストであり、生産性に優れ、力学強度が高い成形品が得られることから、繊維状充填材または針状充填材が好ましく、ガラス繊維が特に好ましい。ガラス繊維を配合すると、得られる成形品の機械的強度が向上するだけでなく、寸法安定性、低吸水性などがより向上する。ガラス繊維には、チョップドストランド、ミルドファイバー、カットファイバー等があり、成形品の形状や所望とされる特性に応じて、これらのうちの1種を単独であるいは2種以上を併用して配合することができる。ガラス繊維の断面形状としては、丸型、繭型、扁平型等が挙げられるが、得られるポリアミド組成物の流動性を向上させる観点からは断面形状が扁平型のガラス繊維を使用することが好ましく、コスト低減、汎用的であり入手性に優れる点および得られる成形品の強度等の観点からは断面形状が丸型のガラス繊維を使用することが好ましい。
ポリアミド組成物における充填材(VI)の含有率としては0〜60質量%であることが好ましく、0〜45質量%であることがさらに好ましい。
上記のポリアミド組成物にはアミド化合物(VII)を配合してもよい。アミド化合物(VII)としては、アミドオリゴマー、脂肪族アミド、脂肪族ジカルボン酸のビスアミド、芳香族カルボン酸アミド、芳香族ジカルボン酸のビスアミド、脂肪族ジアミンのビスアミドなどを包含する。これらの中でも、モノカルボン酸とジカルボン酸の混合物とジアミンとの反応により得られるアミド化合物が好ましい。アミド化合物(VII)はポリアミド組成物の流動性、成形性の観点から、その融点が80〜260℃のものが好ましい。アミド化合物(VII)の分子量は300〜3000であることが好ましい。ポリアミド組成物におけるアミド化合物(VII)の配合量は0.1〜5質量%であることが好ましい。
上記のポリアミド組成物には、靭性を改良するための変性エラストマー(無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレンブテン共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブテン−スチレンブロック共重合体等)、ポリアミド(I)以外の脂肪族ポリアミド(PA612、PA11、PA12、PA66、PA6等)、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド等の他種ポリマーを配合してもよい。ポリアミド組成物におけるこれらの他種ポリマーの配合量は0〜40質量%であることが好ましい。
また上記のポリアミド組成物には、二酸化チタン、酸化亜鉛等の反射材(顔料)を配合してもよい。ポリアミド組成物における反射材(顔料)の配合量は0〜20質量%であることが好ましい。
さらに上記のポリアミド組成物には、着色剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸やこれらのエステル等の熱安定剤;ヒンダードフェノール系、チオ系、リン系、ヒンダードアミン系等の酸化防止剤;帯電防止剤;結晶核剤;可塑剤;ポリオレフィンワックス、高級脂肪酸エステル等のワックス類;シリコーンオイル等の離型剤;滑剤などの他の成分をさらに配合することもできる。ポリアミド組成物における他の成分の配合量は0〜1質量%であることが好ましい。
本発明のペレットの製造方法は、押出機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で少なくとも上記ポリアミド(I)およびホスフィン酸塩(II)を溶融混練し、次いでペレット化する。本明細書において上記の押出機のシリンダー温度とはシリンダーにおける設定温度を意味する。押出機のシリンダー温度が高すぎると金属製部品の腐食や摩耗が生じ易くなることから、押出機のシリンダー温度が305℃を超えない条件であることが好ましく、300℃を超えない条件であることがより好ましい。
なお、本発明のペレットの製造方法においては、ポリアミド(I)およびホスフィン酸塩(II)が溶融混練される部分のシリンダー温度が全体に渡り上記温度を超えない条件であればよく、例えば、後述するようにポリアミド(I)を押出機の最上流部の供給口より供給し、ホスフィン酸塩(II)をサイドフィーダーより供給する場合にはホスフィン酸塩(II)がサイドフィードされた箇所より下流部分のシリンダー温度が全体に渡り上記温度を超えない条件であればよい。
押出機のシリンダー温度の下限値としては、ポリアミド(I)、ホスフィン酸塩(II)等の成分を溶融混練することができる温度であれば特に制限されないが、例えば、270℃を例示することができる。
押出機における溶融樹脂の温度としては、押出機内での剪断発熱を考慮すると、上記のシリンダー温度+10℃以下であることが好ましく、シリンダー温度+5℃以下であることがより好ましい。
本発明のペレットの製造方法において使用される押出機としては、特に制限されず、単軸押出機、二軸押出機等を挙げることができるが、セルフクリーニング性があり生産性に優れることから二軸押出機が好ましく、中でもベント式二軸押出機がより好ましい。押出機のシリンダー長さ(L)とシリンダー径(D)との比率(L/D)としては40以下が好ましく、シリンダー径(単径)としては20〜100mmが好ましい。
押出機を形成するシリンダーおよびスクリューや、押出機に取り付けられるダイス等の溶融樹脂に接触する金属製部品の鋼材は特に制限はなく、窒化処理した鋼材、あるいはCr、Mo、Ni、W等の合金成分を含む複硼化物系の硬質焼結合金を使用することができ、高温に晒された際の耐食性や耐酸化性に優れることから複硼化物系の硬質焼結合金を使用することが好ましいが、本発明によれば、金属製部品の腐食や摩耗を低減することができることから、複硼化物系の硬質焼結合金を使用していない金属製部品を使用した押出機であっても十分に用いることができる。
本発明のペレットの製造方法において、得られるペレットに配合すべき上記した各成分は、タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機等の混合機を使用して混合したり、所望により一部の成分からなるマスターバッチを形成したりして予備混合した後、得られた混合物を上記の押出機の最上流部の供給口より供給し溶融混練してポリアミド組成物のペレットを製造することができる。また、所望により一部の成分を押出機の中流〜下流域よりサイドフィードすることも可能である。サイドフィードされるのが好ましい成分としては、例えば、ホスフィン酸塩(II)や繊維状充填材等が挙げられる。ホスフィン酸塩(II)をサイドフィードすることにより、押出機においてポリアミド(I)とホスフィン酸塩(II)が共に溶融混練される時間を短くすることができ、金属製部品の腐食や摩耗を効果的に防ぐことができる。
押出機の最上流部の供給口あるいはサイドフィーダーより上記成分を供給するに際しては、窒素ラインより窒素を導入するなどして窒素パージすることが好ましい。窒素パージすることにより押出機のシリンダー内において酸素による樹脂等の劣化を防ぐことができる。
上記のようにして溶融混練されたポリアミド組成物をストランド状に押出し、ペレタイザーによりカットすることによりペレットを製造することができる。ペレタイザーによるカットの前には、ストランド状のポリアミド組成物を水中に通すなどして冷却しておくことが好ましい。
得られるペレットのサイズに特に制限はないが、スクリュー径18mmφ以下の小型の射出成形機により射出成形されて成形品となる場合も想定されるので、ペレット径が1mm〜3mmであることが好ましく、ペレット長さが1mm〜3.5mmであることが好ましい。
本発明の成形品の製造方法は、成形機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で少なくとも上記ポリアミド組成物を押出成形、射出成形またはブロー成形する。本明細書において上記の成形機のシリンダー温度とはシリンダーにおける設定温度を意味する。成形機のシリンダー温度が高すぎると金属製部品の腐食や摩耗が生じ易くなることから、成形機のシリンダー温度が305℃を超えない条件であることが好ましく、300℃を超えない条件であることがより好ましい。
なお、本発明の成形品の製造方法においては、押出機、射出成形機またはブロー成形機においてポリアミド組成物が溶融混練される部分のシリンダー温度が全体に渡り上記温度を超えない条件であればよい。
成形機のシリンダー温度の下限値としては、ポリアミド組成物を溶融混練することができる温度であれば特に制限されないが、例えば、270℃を例示することができる。
成形機における溶融樹脂の温度としては、成形機内での剪断発熱を考慮すると、上記のシリンダー温度+10℃以下であることが好ましく、シリンダー温度+5℃以下であることがより好ましい。
本発明の成形品の製造方法において、射出成形を行う際に使用される射出成形機としては、特に制限されず、プランジャー式射出成形機、プリプラ式射出成形機、スクリュー・イン・ライン式射出成形機等を挙げることができるが、プリプラ式射出成形機、スクリュー・イン・ライン式射出成形機が好ましい。射出成形機のシリンダー径としては10〜40mmが好ましい。
成形機には付帯設備として、ポリアミド組成物(ペレット)の自由落下による供給を解消し、さらには有効に水分、ガスを取り除くことができる定量供給装置(例えば、株式会社日本油機製の「ハングリーフィーダ」や株式会社ハルナ製の「エコマック」等)を併用することが好ましい。このような定量供給装置を使用すると、ペレットの成形機への供給が任意の程度に制御され、成形機内におけるスクリュー回転による過度の剪断発熱を抑制し、溶融樹脂の過度の温度上昇を抑制することができる。
成形機にポリアミド組成物を供給するに際しては、窒素ラインより窒素を導入するなどして窒素パージすることが好ましい。窒素パージすることにより成形機のシリンダー内において酸素による樹脂等の劣化を防ぐことができる。
成形機を形成するシリンダーおよびスクリューの鋼材は特に制限はなく、一般的に使用されるSCM440あるいはSACM645等の鋼材が挙げられるが、Cr、Mo、Ni、W等の合金成分を含む複硼化物系の硬質焼結合金(例えば、東洋鋼板株式会社製「KH V50」など)が高温に晒された際の耐食性や耐酸化性に優れることから好ましい。なお本発明によれば、金属製部品の腐食や摩耗を低減することができることから、複硼化物系の硬質焼結合金を使用していない金属製部品を使用した成形機であっても十分に用いることができる。
一方、射出成形する際に使用される金型を形成する鋼材についても特に制限はないが、SKD11、「ELMAX」(SUS420C)等の耐食・耐摩耗性に優れるものが好ましい。中でも「ELMAX」がより好ましく、連続生産性を改善することができる。また、金型表面はコーティングがされていてもよい。コーティング材についても特に制限はないがTiN(窒化物)、DLC(炭素結合を有する非晶質炭素膜)が高温耐久性や微細な金型への適用が可能であり、好ましい。
成形機に供給されるポリアミド組成物としては、ペレットの形態であることが好ましい。本発明の成形品の製造方法において使用されるポリアミド組成物は、本発明のペレットの製造方法において製造されたペレットであってもよく、またポリアミド組成物の構成が本発明の規定を満たす限り、本発明のペレットの製造方法において製造されたペレットでないペレットであってもよい。ポリアミド組成物としては、さらに射出成形において生じたスプルー、ランナーや成形不良品等を粉砕した再生材であってもよい。
本発明によって製造される成形品としては、使用されるポリアミド組成物が耐トラッキング性などの電気特性に優れ、V−0クラスの難燃性を有し、実用的に使用される温度下での発生ガスが少ないことから、難燃性が必要とされる様々な電子部品、自動車部品、家電製品、建築材料、サニタリー用品、スポーツ用品、雑貨等を好ましく例示することができる。より具体的には、コネクター、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ハードディスク部品、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、ICやLEDのハウジング、ギア、ベアリングリテーナー、スプリングホルダー、チェインテンショナー、ワッシャー、各種ハウジング、ウェイトローラー、ブレーカーパーツ、クラッチパーツ等が挙げられる。中でも、本発明によって成形される成形品としては、SMT方式に対応した、コネクター、ソケット、カードコネクター、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、ハードディスク部品、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハウジング等を特に好ましく例示することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における、ポリアミドの融点、ポリアミドの極限粘度、二軸押出機における溶融樹脂温度、射出成形機における溶融樹脂温度、試験片の難燃性、試験片のハンダ耐熱性、ペレットを使用した銅板腐食試験は、以下の方法により測定または評価した。
ポリアミドの融点
示差走査熱量分析装置(DSC)を使用して、ポリアミド(試料質量10mg)をDSCの炉の中で、窒素雰囲気下、330℃で2分間加熱して完全に融解させた後、−50℃/分の速度で50℃まで冷却し、再び10℃/分の速度で昇温した時に現れる結晶の融解ピークの位置を測定し、これを融点とした。ピークが複数ある場合は高温側の融点を採用した。
ポリアミドの極限粘度
濃度が0.05g/dl、0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.4g/dlであるポリアミドの濃硫酸溶液を調製し、それぞれの濃硫酸溶液について、ウベローデ粘度計を使用して30℃における溶液粘度を測定した。得られた濃度と溶液粘度の関係から濃度0g/dlに外挿した際の溶液粘度を求めて、これを極限粘度[η]とした。
溶融樹脂温度(二軸押出機)
以下の実施例1および比較例1において、押し出された溶融樹脂の温度を、ニードル状の熱電対(BS−21E−010、2.1mmφ)を取り付けた温度計(安立計器株式会社製「HA−100E」)を使用して測定した。温度が上昇し5秒以上一定温度を保持したところを計測値とした。
溶融樹脂温度(射出成形機)
ファナック株式会社製射出成形機「α−15」(スクリュー径18mmφ、延長ノズル径2mmφ)を使用して回転数50rpm、計量値20mm、背圧2kg/cm、射出速度50mm/sの条件でパージし、連続的に排出された溶融樹脂の温度を、ニードル状の熱電対(BS−21E−010、2.1mmφ)を取り付けた温度計(安立計器株式会社製「HA−100E」)を使用して測定した。温度が上昇し5秒以上一定温度を保持したところを計測値とした。
難燃性
以下の実施例および比較例において射出成形された板状の試験片(厚さ0.4mm、幅12.5mm、長さ125mm)を使用して、以下に示すUL−94規格の規定に準じて難燃性を評価した。
厚さ0.4mmの試験片の上端をクランプで止めて試験片を垂直に固定し、下端に所定の炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(1回目)を測定する。消火したら直ちに再び下端に炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(2回目)を測定する。5片について同じ測定を繰り返し、1回目の燃焼時間のデータ5個と、2回目の燃焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得る。10個のデータの合計をT、10個のデータのうち最大値をMとする。Tが50秒以下、Mが10秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下にセットした乾燥したコットンに着火することがなければ「V−0」、Tが250秒以下、Mが30秒以下でその他はV−0と同様の条件を満たせば「V−1」、Tが250秒以下、Mが30秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下のコットンに着火した場合には「V−2」となる。
ハンダ耐熱性
以下の実施例および比較例において射出成形された板状の試験片(厚さ0.5mm、幅10mm、長さ30mm)を、40℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気中に100時間放置した。この試験片を赤外線加熱炉中で150℃で1分間加熱し、次いで100℃/分の速度で昇温し、変形や膨れが260℃以下で発生した場合を「×」、変形や膨れが生じないか、生じても260℃を超える温度であった場合を「○」とした。
銅板腐食試験
銅箔(株式会社ニラコ製、純度99.9%、厚み0.05mm)を2cm×2cmの試験片として準備し、試料(ポリアミド組成物のペレット)2gおよび銅箔試験片をるつぼ(30ml、径45mm、高さ36mm)に入れ、ふたを閉じた。加熱炉を300℃または320℃に設定して60分間加熱処理し、その後自然冷却で室温まで冷却した。内部の銅箔を取り出し、表面状態を観察した。表面状態が変化していないか、あるいは色調の変化のみである場合を「○」、茶褐色の錆び状のものが生じた場合を「×」とした。
実施例、比較例および参考例では、下記のものを使用した。
〔ポリアミド〕
PA9T−1:
テレフタル酸4931.5g(29.7モル)、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物〔前者/後者=70/30(モル比)〕4844.1g(30.6モル)、安息香酸224.2g(1.8モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物10gおよび蒸留水2.5リットルを内容積20リットルのオートクレーブに入れ窒素置換した。この混合物を100℃で30分間攪拌し、2時間かけてオートクレーブ内部の温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブ内部の圧力は2MPaまで昇圧した。そのまま2時間反応を続けた後、230℃に昇温し、次いで2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分間かけて圧力を1MPaまで下げ、さらに1時間反応させて、極限粘度[η]が0.14dl/gのプレポリマーを得た。これを100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の粒径になるまで粉砕した。これを、230℃、13Pa(0.1mmHg)にて10時間固相重合し、融点が292℃、極限粘度[η]が0.80dl/g、末端封止率が76%である白色のポリアミド(PA9T−1)を得た。
PA9T−2:
1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物〔前者/後者=70/30(モル比)〕4844.1g(30.6モル)に代えて1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物〔前者/後者=85/15(モル比)〕4844.1g(30.6モル)を使用したこと以外は、上記PA9T−1の製造と同様にして、融点が306℃、極限粘度[η]が0.81dl/g、末端封止率が78%である白色のポリアミド(PA9T−2)を得た。
〔ホスフィン酸塩(II)〕
クラリアント社製、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、「OP1230」(平均粒径25μm)
〔金属化合物(III)〕
a:ボラックス社製、ホウ酸亜鉛「FIREBRAKE415」
b:酸化カルシウム
c:河合石灰工業株式会社製、アルミナ水和物「セラシールBMM」
〔滴下防止剤(IV)〕
ノバケミカルズ社製、スチレン/無水マレイン酸共重合体「Dylark D332」
〔難燃助剤(V)〕
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ポリリン酸メラミン「Melapur200」
〔充填材(VI)〕
日東紡績株式会社製、ガラス繊維「CS−3G−225」(断面形状:丸型、3mmチョップストランド、繊維径9.5μm)
[実施例1および比較例1]
表1に示す割合で、プラスチック工学研究所製二軸押出機(スクリュー径30mmφ、L/D=32、回転数150rpm、吐出量10kg/h)にPA9T−1またはPA9T−2を最上流部のホッパーより供給し、ホスフィン酸塩(II)および充填材(VI)をサイドフィーダーより供給して、溶融混練した。二軸押出機のシリンダー温度としては表1の値を採用した。溶融混練されたポリアミド組成物をストランド状に押出し、冷却後切断して、ポリアミド組成物のペレットを得た。25kgのペレットを製造した後のスクリューの厚みを初期の厚みから差し引くことによりスクリュー摩耗量を定量した。結果を表1に示した。
Figure 2009107514
表1から、融点が292℃であるPA9T−1を使用してシリンダー設定温度295℃(溶融樹脂の温度は299℃)の条件でポリアミド組成物のペレットを製造した実施例1では、スクリューの摩耗は見られなかった。一方、融点が306℃のPA9T−2を使用した比較例1では樹脂を十分に溶融混練するために320℃のシリンダー設定温度が必要となり(溶融樹脂の温度は325℃)、ポリアミド組成物のペレットの製造において押出機のスクリューの摩耗が発生し、金属腐食性が認められた。
[実施例2〜7および比較例2]
表2に示す割合で、ホスフィン酸塩(II)および充填材(VI)以外の成分を予備混合(ドライブレンド)して押出機の最上流部のホッパーより供給し、ホスフィン酸塩(II)および充填材(VI)をサイドフィーダーより供給する以外は実施例1と同様にして(ただし、比較例2ではシリンダー温度を320℃とした)、表2に示す割合で各成分を含有するポリアミド組成物のペレットを製造した。得られたペレットを用いて、射出成形機としてファナック株式会社製「α−15」(スクリュー径18mmφ、延長ノズル径2mmφ)を使用して、表2に記載したシリンダー設定温度で、上記した方法にしたがって、溶融樹脂温度を測定するとともに、難燃性およびハンダ耐熱性試験用の試験片を射出成形し、上記した方法にしたがって、難燃性およびハンダ耐熱性を評価した。また、上記ペレットを用いて銅板腐食試験を行った。結果を表2に示した。
Figure 2009107514
実施例2〜7において、溶融樹脂温度に近い300℃での銅板腐食試験ではいずれも茶褐色の錆び状のものの生成は見られず、得られた射出成形品は高度な難燃性と260℃を超えるハンダ耐熱性を保持していることが分かる。実施例3〜5では金属化合物(III)が配合されており、金属製部品の腐食防止効果が強化されている。実施例6および7は滴下防止剤(IV)または難燃助剤(V)の配合によりホスフィン酸塩(II)の添加量の削減が可能であった。
これに対して比較例2ではポリアミドの融点が300℃を超えるため、射出成形機のシリンダー温度を高く設定する必要が生じ、比較例2の溶融樹脂温度に近い320℃の銅板腐食試験では、茶褐色でクレーター状の錆びが発生し、溶融樹脂による著しい腐食が生じることが示唆された。なお、融点が300℃以下のポリアミドを使用した実施例2においても、320℃の銅板腐食試験では茶褐色でクレーター状の錆びが発生したことから、成形機のシリンダー温度を本発明で規定する範囲とする必要があることが分かる。
[参考例]
上記のPA9T−1(サンプル1)、上記のホスフィン酸塩(II)(サンプル2)および実施例2において得られたペレット(サンプル3)のそれぞれについて(サンプル量約10mg;ペレットの場合はカットしたものを用いた)、メトラー・トレド社製熱重量測定装置(TGA)を用いて、空気流量150ml/分および昇温速度10℃/分の条件で30℃から500℃まで加熱して熱重量測定を行った。250℃でのサンプルの質量に対する各温度でのサンプルの相対質量を以下の表3に示した。
Figure 2009107514
上記の結果より、ポリアミド(I)(サンプル1)およびホスフィン酸塩(II)(サンプル2)については、それぞれ単独では、加熱に対する質量減少が比較的小さいものの、両者を配合したポリアミド組成物(サンプル3)では、加熱による大きな質量減少が確認された。加熱時に減少した質量に対応する分解物が金属製部品の腐食や摩耗に関与すると思われることから、耐熱性が高いホスフィン酸塩(II)であっても、これがポリアミド(I)とともにポリアミド組成物に含有された場合に、金属製部品の腐食や摩耗が生じることが推測される。
本発明によれば、特定の融点を有するポリアミドによりハンダ耐熱性を犠牲にすることなく、金属製部品の腐食や摩耗が低減されたハロゲンフリーが達成可能なポリアミド組成物のペレットの製造方法および成形品の製造方法が提供される。本発明の成形品の製造方法はSMT方式に対応した、コネクター、ソケット、カードコネクター、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、ハードディスク部品、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハウジング等の製造に特に有用である。

Claims (22)

  1. 融点が270〜300℃であるポリアミド(I)を15〜95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含むポリアミド組成物のペレットの製造方法であって、押出機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で少なくとも上記ポリアミド(I)およびホスフィン酸塩(II)を溶融混練し、次いでペレット化する、ポリアミド組成物のペレットの製造方法。
  2. ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有する請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有し、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40〜80:20である請求項2に記載の製造方法。
  4. ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6〜0.95dl/gである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 上記ホスフィン酸塩が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
    Figure 2009107514

    [式(1)および(2)中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
  6. 上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  7. 上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)を含む請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 融点が270〜300℃であるポリアミド(I)を15〜95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含むポリアミド組成物を押出成形、射出成形またはブロー成形する成形品の製造方法であって、成形機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で上記ポリアミド組成物を成形する成形品の製造方法。
  9. ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有する請求項8に記載の製造方法。
  10. 上記ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有し、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40〜80:20である請求項9に記載の製造方法。
  11. ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6〜0.95dl/gである請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である請求項8〜11のいずれかに記載の製造方法。
    Figure 2009107514

    [式(1)および(2)中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
  13. 上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである請求項8〜11のいずれかに記載の製造方法。
  14. 上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)をさらに含む請求項8〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 融点が270〜300℃であるポリアミド(I)を15〜95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5〜25質量%含むポリアミド組成物であって、成形機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で押出成形、射出成形またはブロー成形するために使用されるポリアミド組成物。
  16. ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有する請求項15に記載のポリアミド組成物。
  17. 上記ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有し、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40〜80:20である請求項16に記載のポリアミド組成物。
  18. ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6〜0.95dl/gである請求項15〜17のいずれかに記載のポリアミド組成物。
  19. 上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である請求項15〜18のいずれかに記載のポリアミド組成物。
    Figure 2009107514

    [式(1)および(2)中、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
  20. 上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである請求項15〜18のいずれかに記載のポリアミド組成物。
  21. 上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)をさらに含む請求項15〜20のいずれかに記載のポリアミド組成物。
  22. 上記ポリアミド組成物が滴下防止剤(IV)をさらに含む請求項15〜21のいずれかに記載のポリアミド組成物。
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