JP2023001648A - 防水部品及びそれを備えた電子機器、インサート成形体を用いる防水方法ならびに電子機器の防水方法 - Google Patents

防水部品及びそれを備えた電子機器、インサート成形体を用いる防水方法ならびに電子機器の防水方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リフロー工程等の加熱工程を経ても十分な防水性を有し、なおかつ難燃性を有する、インサート成形体である防水部品及びそれを備えた電子機器を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体である防水部品であって、前記熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、式(I)又は式(II)で表される少なくとも1種のホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である、防水部品及びそれを備えた電子機器。【選択図】なし

Description

本発明は、防水部品及びそれを備えた電子機器、インサート成形体を用いる防水方法ならびに電子機器の防水方法等に関する。
近年、スマートフォン等の電子機器には防水性が求められることが多くなっている。このような電子機器の外部接続端子は典型的には樹脂や樹脂組成物と金属部品との複合体であり、金属部品が外部に露出していることが多く、樹脂や樹脂組成物と金属との接合面における防水が課題となる。同時に、電子部品が接合したプリント基板の製造方法として、プリント基板に鉛フリーはんだペーストを印刷し、その上に電子部品を実装後、リフロー炉で鉛フリーはんだが溶融する260℃程度で加熱する表面実装の利用が拡大している。表面実装はプリント基板の小型化や生産性向上を達成できるが、実装された部品はリフロー工程及びその後の冷却工程において、金属部品と樹脂又は樹脂組成物との膨張収縮特性の差に応じた応力が発生し、金属部品と樹脂又は樹脂組成物との間に微小な隙間が生じやすく、防水性を維持することが困難である。
そのため、従来このような外部接続端子における防水方法としては、弾性体等のシール材を用いる方法や、インサート成形時の金属表面の化学的なエッチングによる表面改質などが知られている(特許文献1、2等)。しかしながら、弾性体の取り付けや、金属表面エッチングのため、一工程で部品を完成できなかったり、コストが増加したりする問題があった。
そこで、金型にインサートされた金属部品に対して樹脂や樹脂組成物を射出成形し、一体に接合するインサート成形による防水部品の製造方法が提案されている(特許文献3~6等)。
例えば、特許文献3には、ゴム質重合体及び樹状ポリエステルなどを含有するポリアミド樹脂組成物とその樹脂組成物からなる樹脂金属複合体が開示されている。また、特許文献4には、特定の分岐状分子、充填材、耐衝撃改良材などを含有するポリアミド樹脂組成物とその樹脂組成物からなる樹脂金属複合体が開示されている。
特許文献5には、マグネシウム化合物、ガラス繊維、脂肪酸金属塩、アミド基含有化合物、及び無水マレイン酸基含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の添加剤などを含有するポリアミド樹脂組成物とその樹脂組成物を含む成形品が開示されている。特許文献6には、熱可塑性樹脂、無機強化材、及びポリオレフィン又は長鎖脂肪族酸系化合物を含む熱可塑性樹脂組成物を用いてなるインサート成形体である防水部品が開示されている。
ところで電気・電子部品分野では、部品に対して難燃性が要求されることが多く、アンダーライターズ・ラボラトリーのUL94規格における評価V-0を達成することが多くの場合必要である。従来、電気・電子部品を形成する耐熱性ポリアミドとして臭素系難燃剤を配合した材料が一般的に使用されてきた。しかしながら、近年の環境に対する意識の高まりから、有害な鉛、カドミウムなどを含有するいくつかの原料は使用が規制されつつある。臭素系難燃剤などのハロゲンを含有する化合物についても、その安全性や実質的な環境負荷などの評価結果に関係なくその使用が忌避される傾向があり、ハロゲンを含まない難燃性のポリアミドへの需要が高まっている。
ポリアミドに配合されるハロゲンを含まない難燃剤はいくつか知られている。しかしながら、融点が高い耐熱性ポリアミドに配合される難燃剤には、高い難燃性に加え、ポリアミド樹脂組成物を製造する際の溶融混練時や、成形品を製造する際の成形加工時の高い温度に耐えられる高い耐熱性が要求されており、特に表面実装プロセスのリフロー工程を経る電気電子部品においてこの傾向は顕著である。
高度な難燃性及び耐熱性を有し、かつハロゲンを含まない難燃剤として、ホスフィン酸塩が知られている。例えば脂環式ジアミン単位から主としてなるジアミン単位を有する特定のポリアミド及びホスフィン酸塩を含有する難燃性ポリアミド成形材料が知られている(例えば、特許文献7)。また、特定の半芳香族ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、及びホスフィン酸塩を含有する樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献8及び9)。
特開2002-33155号公報 国際公開第2010/107022号 特開2013-249363号公報 特開2014-141630号公報 特開2015-36415公報 国際公開第2020/175390号 特開昭51-63859号公報 特開2007-182550号公報 特開2007-182551号公報
しかしながら、上記特許文献3及び4の樹脂組成物に使用される樹脂は耐熱性が低く表面実装に適用するとリフロー工程において変形や溶融してしまうことがあった。また、ゴム質重合体成分の添加により耐熱性及び機械強度低下や、バリが増加する場合がある。特許文献5では、吸湿後の絶縁性として耐水性が評価されており、浸水性は評価されていない。さらに、上記いずれの特許文献においても防水性と難燃性の両立について何ら示唆されていない。一般に、樹脂組成物に難燃性を付与すると、機械特性や流動性等の特性が低下し、金属密着性も低下する傾向にある。樹脂組成物の金属密着性が低下すると十分な防水性が得られないおそれがある。そのため、表面実装のリフロー工程通過性を有する樹脂組成物で防水性と難燃性を両立させることに課題が残されていた。
すなわち本発明の課題は、リフロー工程等の加熱工程を経ても十分な防水性を有し、なおかつ難燃性を有する、インサート成形体である防水部品及びそれを備えた電子機器を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体である防水部品において、用いる熱可塑性樹脂に特定のオレフィン系化合物、特定のホスフィン酸塩及び特定の亜リン酸塩を特定量添加することにより、リフロー工程後の防水性が向上しなおかつ難燃性を付与できることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成した。
本発明は、下記[1]~[20]に関する。
[1]熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体である防水部品であって、
前記熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、下記式(I)又は下記式(II)で表される少なくとも1種のホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である、防水部品。
Figure 2023001648000001
Figure 2023001648000002
[式(I)及び式(II)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1~16の直鎖又は分鎖のアルキル基、又は炭素数が6~10のアリール基を示す。RとR及びRとRは互いに結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数が1~10の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、炭素数が6~10のアリーレン基、炭素数が7~20のアルキルアリーレン基、炭素数が3~10のシクロアルキレン基、炭素数が7~10のアラルキレン基、又は炭素数が7~20のアリールアルキレン基を示す。Mは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、又は亜鉛を示す。mは、1~4の整数である。nは、1~4の整数である。xは、1~4の整数である。式(II)において、m、x、nは、mx=2nの関係式を満たす。]
[2]前記ポリオレフィン(C1)が、マレイン酸変性、酸化、及び極性モノマー変性のうち少なくとも1種の変性処理がなされたポリオレフィンである、[1]に記載の防水部品。
[3]前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)が、炭素数15以上の長鎖脂肪酸化合物である、[1]又は[2]に記載の防水部品。
[4]前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)が、炭素数15以上の長鎖脂肪酸化合物であって、エステル化、マレイン酸変性、及びケン化のうち少なくとも1種の変性処理がなされた長鎖脂肪酸系化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の防水部品。
[5]前記亜リン酸塩(E)が、亜リン酸アルミニウム又は亜リン酸水素アルミニウムである、[1]~[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記熱可塑性樹脂(A)の融点が280℃以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の防水部品。
[7]前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド及び主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]~[6]のいずれかに記載の防水部品。
[8]前記熱可塑性樹脂(A)が、ジアミン単位の50~100モル%が炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位であるポリアミドである、[1]~[7]のいずれかに記載の防水部品。
[9]前記無機強化材(B)が、ガラス繊維、ミルドファイバー、ワラストナイト、マイカ、ガラスフレイク、及びガラスビーズからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]~[8]のいずれかに記載の防水部品。
[10]前記無機強化材(B)が、円形断面及び非円形断面を有するガラス繊維から選ばれる少なくとも1種であり、前記非円形断面を有するガラス繊維の断面の外周長さが、前記非円形断面と同じ断面積の前記円形断面を有するガラス繊維の外周長さに対して、1.05~1.8倍である、[1]~[9]のいずれかに記載の防水部品。
[11]表面実装工程に適用される用途に使用される、[1]~[10]のいずれかに記載の防水部品。
[12]外部接続端子である、[1]~[11]のいずれかに記載の防水部品。
[13]スイッチである、[1]~[11]のいずれかに記載の防水部品。
[14][1]~[13]のいずれかに記載の防水部品を備えた電子機器。
[15]携帯電子機器である、[14]に記載の電子機器。
[16]熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、[1]におけるホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である熱可塑性樹脂組成物を用いる、
前記熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体を用いる電子機器の防水方法。
[17]熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、及びポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、[1]におけるホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である熱可塑性樹脂組成物を用いる、
前記熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体の防水のための使用。
[18][1]~[11]のいずれかに記載の防水部品を外部接続端子として用いる、電子機器の防水方法。
[19][1]~[11]のいずれかに記載の防水部品をスイッチとして用いる、電子機器の防水方法。
[20]熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、[1]におけるホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である熱可塑性樹脂組成物と、金属部品とをインサート成形する、防水部品の製造方法。
本発明により、リフロー工程等の加熱工程を経ても十分な防水性を有し、なおかつ難燃性を有する、インサート成形体である防水部品及びそれを備えた電子機器を提供できる。
実施例のレッドインクテストに用いたサンプルの写真である。 実施例のレッドインクテストを説明するための図1のX-X’線断面図の模式図である。 実施例のレッドインクテストを説明するためのサンプルを示す写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の防水部品は、熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体である防水部品であって、
前記熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、前記式(I)又は前記式(II)で表される少なくとも1種のホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である。
前記熱可塑性樹脂組成物を用いることで、熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体の(熱可塑性樹脂組成物と金属との接合面における)防水性に優れ、防水部品の防水性が十分となり、難燃性との両立を発揮することができる。
この理由は必ずしも定かではないが、前記熱可塑性樹脂組成物を用いることで、成形工程や加熱工程前後においてポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)が溶融することで熱可塑性樹脂組成物と金属との接合面における応力を緩和し、さらにホスフィン酸塩(D)及び亜リン酸塩(E)が、樹脂と良好に相容性し、かつリフロー工程に耐え得る耐熱性を有しているので、熱可塑性樹脂組成物と金属との接合面における隙間の発生を防ぐことができるためと考えられる。
(熱可塑性樹脂(A))
本発明で用いる熱可塑性樹脂(A)としては、上記効果を付与できるものであれば特に制限はなく、例えばポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリアリレート;環状ポリオレフィン;ポリエーテルイミド;ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリイミド;芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエステルアミド等の液晶ポリマー;ポリアミノビスマレイミド;ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
中でも、寸法安定性及び耐熱性の観点から、ポリアミド、液晶ポリマー、PPS及び主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、液晶ポリマー及びポリアミドがより好ましく、ポリアミドがさらに好ましい。
なお、上記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体において、「主として」とは、シンジオタクチック構造を、例えば50モル%以上、更には60モル%以上有することを意味する。
熱可塑性樹脂(A)の融点は、280℃以上が好ましく、285℃以上がより好ましく、295℃以上がさらに好ましい。熱可塑性樹脂(A)の融点が前記温度範囲であれば、当該熱可塑性樹脂(A)を含む防水部品を、リフロー工程等の加熱工程に晒される用途に使用しても、十分な防水性を維持することができる。
(ポリアミド)
前記ポリアミドとしては、ジカルボン酸単位とジアミン単位を有するものが好ましい。
ジカルボン酸単位としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ジメチルマロン酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸、シクロデカンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等に由来する構成単位が挙げられる。これらの単位は1種又は2種以上であってもよい。
また、前記ポリアミドは、本発明の効果を損なわない範囲内において、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸に由来する構成単位を溶融成形が可能な範囲で含むこともできる。
前記ポリアミドとしては、ジアミン単位の50~100モル%が炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位であるものが好ましく、ジアミン単位の60~100モル%が炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位であるものがより好ましく、ジアミン単位の90~100モル%が炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位であるものがより好ましい。
炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位としては、例えば1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,4-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン;1,1-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1-エチル-1,4-ブタンジアミン、1,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,5-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミン等に由来する構成単位が挙げられる。これらの単位は1種又は2種以上であってもよい。
中でも1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、及び1,12-ドデカンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であることが好ましく、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であることがより好ましい。
ジアミン単位が1,9-ノナンジアミンに由来する構成単位及び2-メチル-1,8-オクタンジアミンに由来する構成単位を共に含む場合には、1,9-ノナンジアミンに由来する構成単位と2-メチル-1,8-オクタンジアミンに由来する構成単位のモル比は、1,9-ノナンジアミンに由来する構成単位/2-メチル-1,8-オクタンジアミンに由来する構成単位=95/5~40/60の範囲にあることが好ましく、90/10~50/50の範囲にあることがより好ましい。
また用途によっては、1,9-ノナンジアミンに由来する構成単位/2-メチル-1,8-オクタンジアミンに由来する構成単位=55/45~45/55の範囲にあることが好ましい場合もある。
前記ポリアミドにおけるジアミン単位は、本発明の効果を損なわない範囲で、炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位以外のジアミン単位を含むことができる。そのようなジアミン単位としては、例えばエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルジアミン等の脂環式ジアミン;p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン等に由来する構成単位が挙げられる。これらの単位は1種又は2種以上であってもよい。
前記ポリアミドはアミノカルボン酸単位を含んでもよい。アミノカルボン酸単位としては、例えば、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム;11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸等から誘導される単位を挙げることができる。前記ポリアミドにおけるアミノカルボン酸単位の含有量は、前記ポリアミドのジカルボン酸単位とジアミン単位の合計100モル%に対して、40モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。
前記ポリアミドは末端封止剤由来の単位を含んでもよい。末端封止剤由来の単位は、ジアミン単位に対して1.0~10モル%であることが好ましく、2.0~7.5モル%であることがより好ましく、2.5~6.5モル%であることがさらに好ましい。
末端封止剤由来の単位を上記所望の範囲とするには、重合原料仕込み時にジアミンに対して末端封止剤を上記所望の範囲となるよう仕込むことで行うことができる。なお、重合時にモノマー成分が揮発することを考慮して、得られる樹脂に所望量の末端封止剤由来の単位が導入されるよう、重合原料仕込み時の末端封止剤の仕込み量を微調整することが望ましい。
前記ポリアミド中の末端封止剤由来の単位の含有量を求める方法としては、例えば、特開平07-228690号公報に示されているように、溶液粘度を測定し、これと数平均分子量の関係式から全末端基量を算出し、ここから滴定によって求めたアミノ基量とカルボキシル基量を減じる方法や、H-NMRを用い、ジアミン単位と末端封止剤由来の単位のそれぞれに対応するシグナルの積分値に基づいて求める方法等が挙げられる。
末端封止剤としては、末端アミノ基もしくは末端カルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物を用いることができる。具体的には、モノカルボン酸、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類、モノアミン等が挙げられる。反応性及び封止末端の安定性等の観点から、末端アミノ基に対する末端封止剤としては、モノカルボン酸が好ましく、末端カルボキシル基に対する末端封止剤としては、モノアミンが好ましい。また、取り扱いの容易さ等の観点から末端封止剤としてはモノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物等を挙げることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及び安息香酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物等を挙げることができる。これらの中でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性及び価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、及びアニリンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記ポリアミドは、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法又は界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、及び溶融押出重合法等の方法により製造することができる。
前記ポリアミドは、例えば、最初にジアミン、ジカルボン酸、及び必要に応じて触媒や末端封止剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200~250℃の温度において加熱重合してプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合することにより製造することができる。重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下又は不活性ガス流動下に行うのが好ましく、重合温度が200~280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であるのが好ましく、かかる条件で重合すると、分解がほとんどなく、劣化の少ないポリアミドが得られる。
前記ポリアミドを製造する際に使用することができる触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩又はエステル等が挙げられる。上記の塩又はエステルとしては、リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等を挙げることができる。
また前記ポリアミドは、結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミド、それらの混合物のいずれであってもよい。
前記結晶性ポリアミドとしては、例えばポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド11T(H))、ポリウンデカミド(ポリアミド11)、ポリドデカミド(ポリアミド12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMDT)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリアミド6Iとポリアミド6Tとの共重合体(ポリアミド6I/6T)、及びポリアミド6Tとポリウンデカンアミド(ポリアミド11)との共重合体(ポリアミド6T/11)及びこれらの共重合物や混合物等が挙げられる。なお、前記ポリアミド9Tにはジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位(モル比50/50~99.9/0.1)であるポリアミド9Tも含まれる。前記結晶性ポリアミドには、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸のベンゼン環が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含まれる。
前記結晶性ポリアミドの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10Tが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T、及びポリアミド10Tがより好ましく、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T、及びポリアミド10Tがさらに好ましい。前記結晶性ポリアミドは、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
前記非晶性ポリアミドとしては、例えばテレフタル酸/イソフタル酸/1,6-ヘキサンジアミンの重縮合体、テレフタル酸/イソフタル酸/1,6-ヘキサンジアミン/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、テレフタル酸/2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン/2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン/ω-ラウロラクタムの重縮合体、イソフタル酸/2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン/2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミンの重縮合体、テレフタル酸/イソフタル酸/2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン/2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミンの重縮合体等が挙げられる。なお前記非晶性ポリアミドには、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸のベンゼン環が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含まれる。
前記非晶性ポリアミドの中でも、テレフタル酸/イソフタル酸/1,6-ヘキサンジアミンの重縮合体、テレフタル酸/イソフタル酸/1,6-ヘキサンジアミン/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、テレフタル酸/2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン/2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミンの重縮合体が好ましく、テレフタル酸/イソフタル酸/1,6-ヘキサンジアミンの重縮合体、テレフタル酸/イソフタル酸/1,6-ヘキサンジアミン/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体がより好ましい。前記非晶性ポリアミドは、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
(無機強化材(B))
本発明で用いる無機強化材(B)としては、例えばガラス繊維、ミルドファイバー、カットファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー、ガラスビーズ、球状シリカ、ガラスバルーン、シラスバルーン、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ、ガラスフレイク、カオリン、タルク、及び層状ケイ酸塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記無機強化材(B)の中でも、ガラス繊維、ミルドファイバー、ワラストナイト、マイカ、ガラスフレイク、及びガラスビーズからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ミルドファイバー、ワラストナイト、及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ミルドファイバー及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
無機強化材(B)は繊維状であることが好ましい。
無機強化材(B)が繊維状である場合、防水性の観点から、平均繊維径が好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは7μm以下である。また、強度の観点から、平均繊維径が好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上である。
また、防水性の観点から、平均繊維長が、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下、よりさらに好ましくは1500μm以下である。また、強度の観点から、平均繊維長が好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上である。
なお、前記平均繊維径及び平均繊維長は、溶融混練前のものである。
なお、本明細書中における「平均繊維径」とは累積質量50%における繊維径であり、無機強化材(B)を0.2%メタリン酸ナトリウム水溶液に分散させ、粒子径分布測定装置(Micromeritics Instrument Corp.製「SediGraph III 5120」等)を用いてX線透過式重力沈降法により測定可能である。
また、本明細書中における「平均繊維長」は、電子顕微鏡法を用いた画像解析により任意に選択した400本の無機強化材(B)の繊維長を測定し、重量平均値により求めることができる。
また、無機強化材(B)として、円形断面を有するガラス繊維及び非円形断面を有するガラス繊維のいずれか一方又は両方を用いることができる。
円形断面を有するガラス繊維及び非円形断面を有するガラス繊維を併用する場合、これらの含有量の割合は特に制限はないが、円形断面/非円形断面が20/80~80/20が好ましく、30/70~60/40がより好ましく、30/70~50/50がさらに好ましい。
円形断面を有するガラス繊維の断面形状としては、例えば真円形又は略円形である。非円形断面を有するガラス繊維の断面形状としては、例えば断面の長手方向の中央部がくびれた繭形、断面の重心に対して対称の位置に略平行である部分を有する長円形、又は楕円形である。
また、得られる成形体の難燃性及び機械的強度の観点から、無機強化材(B)は、円形断面及び非円形断面を有するガラス繊維から選ばれる少なくとも1種であり、非円形断面を有するガラス繊維の断面の外周長さが、非円形断面と同じ断面積の円形断面を有するガラス繊維の外周長さに対して1.05~1.8倍であることが好ましい。
無機強化材(B)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して8~130質量部であり、40~130質量部が好ましく、45~110質量部がより好ましい。
無機強化材(B)の含有量が、8質量部未満であると、無機強化材(B)の十分な補強効果が得られず、さらに防水効果も得られない。また、上記無機強化材(B)の含有量が、130質量部を超えると、溶融混練性が不良となる。
(オレフィン系化合物(C))
熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)を含む。すなわち、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン(C1)および長鎖脂肪酸系化合物(C2)のうち何れか一方を含んでもよく、両方を含んでもよい。本明細書中において「ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)」を「オレフィン系化合物(C)」と称すことがある。
(ポリオレフィン(C1))
ポリオレフィン(C1)としては、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル-エチレン共重合体、及びそれらが部分的に酸化やマレイン酸などの反応性官能基で変性された変性ポリオレフィンが挙げられる。
また、これらのポリオレフィンは高密度又は低密度であっても良く、メタロセン触媒により重合されていてもよい。
より具体的には、ポリオレフィン(C1)の中でも、ポリエチレン又はポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単独重合体が好ましい。
また、これらのポリオレフィンは、分子量が1,000以上であることが好ましく、分子量が5,000以上であることがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A)に対する相容性を高め、インサート成形品表面からポリオレフィン(C1)の脱落防止、表面性向上、成形性向上を達成するために、ポリオレフィン(C1)は部分的に酸化やマレイン酸などの反応性官能基で変性されているほうが好ましい。すなわちポリオレフィン(C1)は、マレイン酸変性、酸化、及び極性モノマー変性のうち少なくとも1種の変性処理をされたポリオレフィンであることが好ましく、酸化又はマレイン酸の反応性官能基で部分的に変性された変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、無水マレイン酸変性された変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
上記変性処理をされたポリオレフィンには、変性ポリエチレンワックス及び変性ポリプロピレンワックス等の変性ポリオレフィンワックスも含まれる。
また、エラストマー又はアイオノマーは、成形品の耐熱性及び機械強度の低下や、インサート成形品のバリが増加する場合があるため、実質的に含まないほうがよい。
(長鎖脂肪酸系化合物(C2))
長鎖脂肪酸系化合物(C2)としては、好ましくは炭素数15以上の長鎖脂肪酸化合物であり、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ライスブランワックス等の高級脂肪酸のカルシウム等の金属塩、エステル、及びそれらの混合物等が挙げられる。
長鎖脂肪酸系化合物(C2)の中でも、好ましくは炭素数15以上の飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩、エステル及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、炭素数20以上の飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩、エステル及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、モンタン酸の金属塩、エステル及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
また、長鎖脂肪酸系化合物(C2)は、炭素数15以上の長鎖脂肪酸化合物であって、エステル化、マレイン酸変性、及びケン化のうち少なくとも1種の変性処理がなされた長鎖脂肪酸系化合物であることも好ましい。
ポリオレフィン(C1)および長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量はそれぞれ、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して0.3~40質量部であり、好ましくは0.5質量部以上であり、1.5質量部以上であってもよく、2.0質量部以上であってもよい。また、ポリオレフィン(C1)および長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量はそれぞれ、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下であり、20質量部以下、15質量部以下、10質量部以下であってもよい。
上記ポリオレフィン(C1)および長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量はそれぞれ、0.3質量部未満であると、十分な防水効果が得られない。また、上記含有量がそれぞれ40質量部を超えると熱可塑性樹脂組成物の成形性に劣る。
ポリオレフィン(C1)と長鎖脂肪酸系化合物(C2)を併用する場合、上記含有量は、ポリオレフィン(C1)および長鎖脂肪酸系化合物(C2)の合計含有量である。
[ホスフィン酸塩(D)]
熱可塑性樹脂組成物は、ホスフィン酸塩(D)を含有することにより、優れた難燃性を有するインサート成形体を与える、ハロゲンフリーの熱可塑性樹脂組成物とすることができる。ホスフィン酸塩(D)及び後述の亜リン酸塩(E)以外の難燃剤を用いる場合、高い成形加工温度に耐えられることが困難になり、優れた防水性が得られないおそれがある。
ホスフィン酸塩(D)は、下記式(I)又は下記式(II)で表される少なくとも1種である。即ち、ホスフィン酸塩(D)は、下記式(I)で表されるホスフィン酸塩、下記式(II)で表されるジホスフィン酸塩、又はこれらの混合物である。
Figure 2023001648000003
Figure 2023001648000004
式(I)及び式(II)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1~16の直鎖又は分鎖のアルキル基、又は炭素数が6~10のアリール基を示す。中でも、炭素数が1~8のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-オクチル基であることがより好ましく、エチル基であることがさらに好ましい。炭素数が6~10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。RとR及びRとRは互いに結合して環を形成してもよい。
は、炭素数が1~10の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、炭素数が6~10のアリーレン基、炭素数が7~20のアルキルアリーレン基、炭素数が3~10のシクロアルキレン基、炭素数が7~10のアラルキレン基、又は炭素数が7~20のアリールアルキレン基を示す。
炭素数が1~10の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、n-ブチレン、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-オクチレン基が挙げられる。
炭素数が6~10のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。
炭素数が7~10のアルキルアリーレン基としては、例えば、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、tert-ブチルフェニレン基、メチルナフチレン基、エチルナフチレン基、tert-ブチルナフチレン基が挙げられる。
炭素数が3~10のシクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基、シクロヘキサジメチレン基が挙げられる。
炭素数が7~10のアラルキレン基としては、例えば、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、キシリレン基が挙げられる。
炭素数が7~20のアリールアルキレン基としては、例えば、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、フェニルブチレン基が挙げられる。
Mは、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、又は亜鉛を示し、アルミニウム、亜鉛が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
mは、1~4の整数である。nは、1~4の整数である。xは、1~4の整数である。式(II)において、m、x、nは、mx=2nの関係式を満たす(即ち、mとxの積は2とnの積に等しい)。
ホスフィン酸塩(D)を構成するホスフィン酸としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル-n-プロピルホスフィン酸、イソブチルメチルホスフィン酸、オクチルメチルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸が挙げられ、中でも、ジエチルホスフィン酸が好ましい。
上記式(I)で示されるホスフィン酸塩の具体例としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル-n-プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
上記式(II)で示されるジホスフィン酸塩を構成するジホスフィン酸としては、例えば、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)が挙げられる。
ジホスフィン酸塩の具体例としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)亜鉛が挙げられる。
ホスフィン酸塩(D)としては、より一層優れる難燃性の観点から、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛が好ましい。中でも、ジエチルホスフィン酸アルミニウムがより好ましい。
ホスフィン酸塩(D)の数平均粒子径は、得られるインサート成形体の難燃性、防水性、機械的強度、及び外観の観点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。数平均粒子径の下限は1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。数平均粒子径が上記範囲の粉末を用いることにより、より高い難燃性が発現するばかりでなく、得られる成形品の機械的強度をより高くすることができる。
なお、数平均粒子径はレーザー散乱粒度分布計の粒度分布測定装置を用いて粒子径分布を測定した場合の、重量累積50%の時の粒径値である。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)を100質量部に対して、ホスフィン酸塩(D)を25~40質量部含有する。ホスフィン酸塩(D)の上記含有量が25質量部未満であるとインサート成形体が優れた難燃性を発現することが困難となる。また、上記含有量が40質量部を超えると熱可塑性樹脂組成物の成形加工性や機械的強度に劣るおそれがある。ホスフィン酸塩(D)の上記含有量は、好ましくは26質量部以上、より好ましくは27質量部以上である。また、ホスフィン酸塩(D)の上記含有量は、好ましくは38質量部以下、より好ましくは35質量部以下である。
[亜リン酸塩(E)]
熱可塑性樹脂組成物は、亜リン酸塩(E)を含有することにより、優れた難燃性を発揮することができ、さらに熱可塑性樹脂組成物の溶融混練や成形加工が良好になる。
亜リン酸塩(E)としては、特に限定されないが、例えば、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸アンモニウム、亜リン酸アルミニウム及び亜リン酸水素アルミニウム等が挙げられる。より一層優れた難燃性を発揮する観点から、亜リン酸アルミニウム及び亜リン酸水素アルミニウムが好ましい。亜リン酸塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)を100質量部に対して、亜リン酸塩(E)を2~15質量部含有する。亜リン酸塩(E)の上記含有量が2質量部未満であると、インサート成形体が優れた難燃性を発現することが困難となる。また、上記含有量が15質量部を超えると熱可塑性樹脂組成物の成形加工性、防水性及び機械的強度に劣るおそれがある。亜リン酸塩(E)の上記含有量は、好ましくは2.5質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。亜リン酸塩(E)の上記含有量は、好ましくは13質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
熱可塑性樹脂組成物において、前記ホスフィン酸塩(D)及び前記亜リン酸塩(E)の総和は、難燃性、機械的強度及び成形加工性の観点から、熱可塑性樹脂組成物100質量%に対し、好ましくは16~25質量%である。上記含有量の総和は、より好ましくは16.5質量%以上、さらに好ましくは17質量%以上である。また、上記含有量の総和は、より好ましくは23質量%以下、さらに好ましくは22.5質量%以下である。
熱可塑性樹脂組成物において、前記亜リン酸塩(E)に対する前記ホスフィン酸塩(D)の質量比(D)/(E)は、難燃性の観点から、好ましくは70/30~94/6である。上記質量比は、より好ましくは75/25~93/7、さらに好ましくは80/20~92/8である。
熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C)、ホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)の含有量の総和は、熱可塑性樹脂組成物100質量%に対し、好ましくは90~99.9質量%、より好ましくは95~99.9質量%、さらに好ましくは95~99.5質量%である。上記含有量の総和が上記範囲であれば、より一層優れた難燃性及び防水性を有するインサート成形体を与える熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
(その他の成分)
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C)、ホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、光安定剤、スチレン-無水マレイン酸共重合体(SMA)、滑材、核剤、結晶化遅延剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、ラジカル抑制剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、減粘剤、ドリップ防止剤、摺動性付与剤、前記無機強化材(B)以外の無機物等の他の成分をさらに含んでいてもよい。
前記無機物としては、無機強化材以外として用いられる、例えばカーボンナノチューブ、フラーレン、タルク、ゼオライト、セリサイト、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アルミナシリケート、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラック、黒鉛、ハロイサイトやバーミキュライト等の各種粘土鉱物等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物における他の成分の含有量は、例えば、50質量%以下とすることができ、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。その他の成分を含む場合、含有量は例えば0.1質量%以上とすることができる。
(金属部品)
本発明で用いる金属部品を構成する金属としては、インサート成形可能なものであれば特に制限されないが、例えばアルミニウム、銅、鉄、スズ、ニッケル、亜鉛、銅合金、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の合金等が挙げられる。これらは表面がアルミニウム、スズ、ニッケル、金、銀、亜鉛、スズ等でメッキ加工されていてもよい。
(防水部品)
防水部品は、
熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、ホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の使用量を8~130質量部、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の使用量を0.3~40質量部として溶融混練して得られる熱可塑性樹脂組成物と、金属部品とをインサート成形する方法等により製造可能である。
ホスフィン酸塩(D)は、上述したとおり、式(I)又は式(II)で表される少なくとも1種である。
インサート成形に際しては、インサート成形法として知られている任意の方法、例えば射出インサート成形法や圧縮インサート成形法等を用いることができる。
なお、必要に応じ、インサート成形後に超音波溶着法、レーザー溶着法、振動溶着法、熱溶着法、ホットメルト法等による加工がさらに行われてもよい。
プリント基板に電子部品を搭載する部品実装において、溶融はんだ槽(ディップ槽)への浸漬によりはんだ付けを行う挿入実装工程が従来適用されてきた。一方、近年利用が拡大している表面実装では、プリント基板にはんだペーストを印刷し、その上に電子部品を実装後、リフロー炉で一般に260℃程度で加熱することによりはんだを溶融させプリント基板と電子部品を接合する。表面実装はプリント基板の小型化や生産性向上を達成できるが、実装された部品はリフロー工程及びその後の冷却工程において、金属部品と樹脂又は樹脂組成物との膨張収縮特性の差に応じた応力が発生し、金属部品と樹脂又は樹脂組成物との間に微小な隙間が生じやすく、防水性を維持することが困難である。本発明の防水部品は、リフロー工程などの加熱工程を経ても、変形しにくいことから、このようなリフロー工程が採用される表面実装工程に適用される用途に使用されることが好ましい。なお、必要に応じ、リフロー工程などの加熱工程を複数回適用してもよい。
本発明の防水部品は防水性に優れているので、FPCコネクタ、BtoBコネクタ、カードコネクタ、SMTコネクタ(同軸コネクタ等)、メモリーカードコネクタ等の外部接続端子;SMTリレー;SMTボビン;メモリーソケット、CPUソケット等のソケット;コマンドスイッチ、SMTスイッチ等のスイッチ;回転センサー、加速度センサー等のセンサー等として有用であり、中でも電子機器のスイッチ又は外部接続端子として有用であり、スイッチとして特に有用である。
本発明の防水部品をスイッチとして用いる場合、熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体の外形寸法を幅×奥行き×厚みとした場合、幅は15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましく、奥行きは50mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましく、厚みは50mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。なお、外形寸法の奥行きは、幅よりも長いものとする。
本発明の防水部品を、特にスイッチ又は外部接続端子として用いることにより、電子機器を効果的に防水することができる。
本発明の防水部品を備えた電子機器としては、例えばデジタルカメラやスマートフォン等の携帯電子機器等が挙げられるが、これらに限定されない。
すなわち本発明は、上述の熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体を用いる防水方法、並びに、インサート成形体の防水のための使用を提供することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されない。
なお、実施例及び比較例で用いる熱可塑性樹脂(A)の融点及びガラス転移温度の測定は、以下に示す方法に従って行った。
(熱可塑性樹脂(A)の融点及びガラス転移温度)
熱可塑性樹脂(A)として用いたポリアミド(後述するPA9T)の融点は、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量計(DSC7020)を使用して、窒素雰囲気下で、30℃から360℃へ10℃/minの速度で昇温した時に現れる融解ピークのピーク温度を融点(℃)とすることで求めた。なお、融解ピークが複数ある場合は最も高温側の融解ピークのピーク温度を融点とした。
その後、融点より30℃高い温度で10分保持して試料を完全に融解させた後、10℃/minの速度で40℃まで冷却し40℃で10分保持した。再び10℃/minの速度で融点より30℃高い温度まで昇温した時にDSC曲線が階段状に変化する中間点をガラス転移温度とした。
[実施例1~4及び比較例1~3]
プラスチック工学研究所製二軸押出機(スクリュー径32mmφ、L/D=30、回転数150rpm、吐出量10kg/h)に、表1に示す熱可塑性樹脂(A)、オレフィン系化合物(C)、ホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)、並びにその他の成分を最上流部のホッパーより供給し、さらに表1に示す無機強化材(B)をサイドフィーダーより供給して溶融混練した。溶融混練された熱可塑性樹脂組成物をストランド状に押出し、冷却後切断して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお表1中の熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、オレフィン系化合物(C)、ホスフィン酸塩(D)、亜リン酸塩(E)、及びその他の成分の量はいずれも「質量部」を意味する。
それらのペレットを用いて、以下の方法により成形品(インサート成形体)としての評価を行った。
〔レッドインクテスト(防水性試験)〕
(株)ソディック製の射出成形機TR40EHを用いて、銅母材に銀めっき処理されたLEDリードフレームに、各実施例又は比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を、最高温度320℃、金型温度140℃、射出速度100~200mm/sで箱型(外形寸法:幅2.8mm、奥行き3.0mm、厚み1.3mm)に射出成形した。上記で得られた平板状の成形品に最高到達温度が260℃のリフロー装置により下記のリフロー条件にて加熱処理を2回行ったサンプルを用いて、下記のレッドインクテストを実施した。
ここで、図1は上記サンプル表面の写真である。また、図2は、図1のサンプル写真のX-X’線断面図を表す模式図である。図2で表すように上記サンプルは、LEDリードフレーム1と熱可塑性樹脂組成物で形成された箱型2からなるインサート成形体であり、レッドインクテストに用いるためのインク滴下用の窪み3を有する。該窪み部分は、LEDリードフレームの一部がむき出しであって、かつLEDリードフレームの一部が欠落した不連結部分4を有している。また、上記箱型2には裏側(窪み3を有しない面)に隙間5を有するが、上記不連結部分4と該隙間5とは重なっていないものである。なお、図1の写真では、箱型2においてリング状部分が写し出されているが、これは熱可塑性樹脂組成物の湾曲部が光を反射してリング状に見えたものである。
(リフロー条件):
サンプルを25℃から150℃まで60秒かけて昇温し、次いで180℃まで90秒かけて昇温し、さらに260℃まで60秒かけて昇温した。その後260℃にて20秒間保持した後、サンプルを30秒かけて260℃から100℃まで冷却し、100℃に到達した後は空気を封入して23℃まで自然冷却した。
(レッドインクテスト):
熱可塑性樹脂組成物で形成された箱型の窪み部分に赤インク((株)パイロットコーポレーション製、万年筆用インクINK-30-RED)を滴下して、10分放置後、インクを除去した。そして、上記箱型(熱可塑性樹脂組成物)をLEDリードフレームから除去し、インクがインク滴下側とは反対であるLEDリードフレームの裏側に付着しているかどうかを確認した。
(評価基準)
上記インク漏れの評価基準として、窪み部分に残ったインク量を計量し、滴下したインク量に対する、窪み部分に残ったインク量の割合を算出(質量%)した。算出した値について、次の評価基準により評価した。
A:99質量%超~100質量%
B:60質量%超~99質量%未満
C:30質量%超~60質量%未満
D:0質量%超~30質量%未満
E:0質量%
なお、図3の(3-1)はサンプル表面の写真であり、左はレッドインク滴下前、右はレッドインク滴下後である。図3の(3-2)はレッドインク滴下前のサンプル裏面の写真である。図3の(3-3)はレッドインクテスト後の実施例1の結果を示す写真である。図3の(3-4)はレッドインクテスト後の比較例1の結果を示す写真である。
〔難燃性〕
日精樹脂工業(株)製射出成形機UH-1000を用いて、各実施例又は比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを、最高シリンダ温度320℃、金型温度140℃、射出速度750~150mm/sで幅12.5mm、長さ125mmの板状試験片(厚さ0.40mm、0.75mm)を射出成形し試験片とした。この各厚さの試験片を、以下に示すUL94規格の規定に準じて難燃性を評価した。
〈UL94規格・難燃性試験〉
上記試験片の上端をクランプで止めて試験片を垂直に固定し、下端に所定の炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(1回目)を測定する。消火したら直ちに再び下端に炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(2回目)を測定する。5片について同じ測定を繰り返し、1回目の燃焼時間のデータ5個と、2回目の燃焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得る。10個のデータの合計をT、10個のデータのうち最大値をMとする。Tが50秒以下、Mが10秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下にセットした乾燥したコットンに着火することがなければ「V-0」、Tが250秒以下、Mが30秒以下でその他はV-0と同様の条件を満たせば「V-1」、Tが250秒以下、Mが30秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下のコットンに着火した場合には「V-2」となる。
Figure 2023001648000005

なお、表1に示す各成分は下記のとおりである。
〔熱可塑性樹脂(A)〕
・PA9T:「ジェネスタGC51010」、(株)クラレ製、PA9T(ジカルボン酸単位がテレフタル酸単位であり、ジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単位及び2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位(モル比85/15)であるポリアミド)、融点305℃、ガラス転移温度125℃
〔無機強化材(B)〕
・ガラス繊維:「T-262」、日本電気硝子(株)製、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm
〔オレフィン系化合物(C)〕
(ポリオレフィン(C1))
・マレイン酸変性ポリプロピレン:「LICOCENE PP MA6252」、クラリアントケミカルズ(株)製、無水マレイン酸で変性されたポリプロピレンワックス
〔ホスフィン酸塩(D)〕
・ホスフィン酸アルミニウム:「Exolit OP 1230」(クラリアントケミカルズ(株)製、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、数平均粒径25μm)
〔亜リン酸塩(E)〕
・亜リン酸アルミニウム:「APA-100」(太平化学産業(株)製、亜リン酸アルミニウム)
〔その他の成分〕
・酸化防止剤-1:「Irganox1098」、BASFジャパン(株)製
・酸化防止剤-2:「Irgafos168」、BASFジャパン(株)製
・離型剤-1:高密度ポリエチレン「HI WAX 200P」、三井化学(株)製
・離型剤-2:高密度ポリエチレン「HI WAX NP055」、三井化学(株)製
・減粘剤:ステアリン酸カルシウム「カルシウムステアレートS」、日油(株)製
・ドリップ防止剤:スチレン-無水マレイン酸共重合体「XIBOND SZ23110」、Polyscope社製
・核剤:カーボンブラック「#980B」、三菱化学(株)製
実施例1では、図3の(3-3)が示すように樹脂組成物除去後のLEDリードフレーム裏面にはレッドインクが付着していなかった。実施例1では、リフロー工程を経ても、LEDリードフレームと熱可塑性樹脂組成物との間に隙間が生じず、防水性に優れるインサート成形体が得られたことが分かる。また、実施例1における樹脂組成物は、難燃性の試験に優れる結果が得られた。また、実施例2~4でも実施例1と同様の結果が得られ、防水性及び難燃性に優れるインサート成形体が得られたことが分かる。
一方、比較例1では、図3の(3-4)が示すように樹脂組成物除去後のLEDリードフレーム裏面にはレッドインクが付着していた。すなわち、比較例1は、熱可塑性樹脂組成物がオレフィン系化合物(C)を含有していないため、リフロー工程を経ることで、LEDリードフレームと熱可塑性樹脂組成物との間に隙間が生じ、不連結部分4からレッドインクが入り込みレッドインクが漏れたと考えられ、防水性に劣る結果となった。また、比較例2は、熱可塑性樹脂組成物におけるオレフィン系化合物(C)の含有量が少なすぎたため、リフロー工程を経ることで、LEDリードフレームと熱可塑性樹脂組成物との間に隙間が生じ、防水性に劣る結果となった。また、比較例3は、熱可塑性樹脂組成物がオレフィン系化合物(C)を含まないため、比較例2と同様に、リフロー工程を経ることで、LEDリードフレームと熱可塑性樹脂組成物との間に隙間が生じ、防水性に劣る結果となった。
したがって実施例と比較例の対比により、本発明の防水部品はリフロー工程後の防水性及び難燃性に優れることが分かる。
本発明によれば、リフロー工程等の加熱工程を経ても十分な防水性及び優れた難燃性を有する、インサート成形体である防水部品を提供できる。当該防水部品は、特に電子機器の外部接続端子等として有用である。
1.LEDリードフレーム(金属部品)
2.熱可塑性樹脂組成物で形成された箱型
3.インク滴下用の窪み
4.LEDリードフレームの不連続部分
5.隙間

Claims (20)

  1. 熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体である防水部品であって、
    前記熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、下記式(I)又は下記式(II)で表される少なくとも1種のホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
    前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である、防水部品。
    Figure 2023001648000006

    Figure 2023001648000007

    [式(I)及び式(II)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1~16の直鎖又は分鎖のアルキル基、又は炭素数が6~10のアリール基を示す。RとR及びRとRは互いに結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数が1~10の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、炭素数が6~10のアリーレン基、炭素数が7~20のアルキルアリーレン基、炭素数が3~10のシクロアルキレン基、炭素数が7~10のアラルキレン基、又は炭素数が7~20のアリールアルキレン基を示す。Mは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、又は亜鉛を示す。mは、1~4の整数である。nは、1~4の整数である。xは、1~4の整数である。式(II)において、m、x、nは、mx=2nの関係式を満たす。]
  2. 前記ポリオレフィン(C1)が、マレイン酸変性、酸化、及び極性モノマー変性のうち少なくとも1種の変性処理がなされたポリオレフィンである、請求項1に記載の防水部品。
  3. 前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)が、炭素数15以上の長鎖脂肪酸化合物である、請求項1又は2に記載の防水部品。
  4. 前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)が、炭素数15以上の長鎖脂肪酸化合物であって、エステル化、マレイン酸変性及びケン化のうち少なくとも1種の変性処理がなされた長鎖脂肪酸系化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の防水部品。
  5. 前記亜リン酸塩(E)が、亜リン酸アルミニウム又は亜リン酸水素アルミニウムである、請求項1~4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂(A)の融点が280℃以上である、請求項1~5のいずれかに記載の防水部品。
  7. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド及び主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~6のいずれかに記載の防水部品。
  8. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ジアミン単位の50~100モル%が炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位であるポリアミドである、請求項1~7のいずれかに記載の防水部品。
  9. 前記無機強化材(B)が、ガラス繊維、ミルドファイバー、ワラストナイト、マイカ、ガラスフレイク及びガラスビーズからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~8のいずれかに記載の防水部品。
  10. 前記無機強化材(B)が、円形断面及び非円形断面を有するガラス繊維から選ばれる少なくとも1種であり、前記非円形断面を有するガラス繊維の断面の外周長さが、前記非円形断面と同じ断面積の前記円形断面を有するガラス繊維の外周長さに対して、1.05~1.8倍である、請求項1~9のいずれかに記載の防水部品。
  11. 表面実装工程に適用される用途に使用される、請求項1~10のいずれかに記載の防水部品。
  12. 外部接続端子である、請求項1~11のいずれかに記載の防水部品。
  13. スイッチである、請求項1~11のいずれかに記載の防水部品。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載の防水部品を備えた電子機器。
  15. 携帯電子機器である、請求項14に記載の電子機器。
  16. 熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、ポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、下記式(I)又は下記式(II)で表される少なくとも1種のホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
    前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である熱可塑性樹脂組成物を用いる、
    前記熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体を用いる電子機器の防水方法。
    Figure 2023001648000008

    Figure 2023001648000009

    [式(I)及び式(II)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1~16の直鎖又は分鎖のアルキル基、又は炭素数が6~10のアリール基を示す。RとR及びRとRは互いに結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数が1~10の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、炭素数が6~10のアリーレン基、炭素数が7~20のアルキルアリーレン基、炭素数が3~10のシクロアルキレン基、炭素数が7~10のアラルキレン基、又は炭素数が7~20のアリールアルキレン基を示す。Mは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、又は亜鉛を示す。mは、1~4の整数である。nは、1~4の整数である。xは、1~4の整数である。式(II)において、m、x、nは、mx=2nの関係式を満たす。]
  17. 熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、及びポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、下記式(I)又は下記式(II)で表される少なくとも1種のホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
    前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である熱可塑性樹脂組成物を用いる、
    前記熱可塑性樹脂組成物及び金属部品からなるインサート成形体の防水のための使用。
    Figure 2023001648000010

    Figure 2023001648000011

    [式(I)及び式(II)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1~16の直鎖又は分鎖のアルキル基、又は炭素数が6~10のアリール基を示す。RとR及びRとRは互いに結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数が1~10の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、炭素数が6~10のアリーレン基、炭素数が7~20のアルキルアリーレン基、炭素数が3~10のシクロアルキレン基、炭素数が7~10のアラルキレン基、又は炭素数が7~20のアリールアルキレン基を示す。Mは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、又は亜鉛を示す。mは、1~4の整数である。nは、1~4の整数である。xは、1~4の整数である。式(II)において、m、x、nは、mx=2nの関係式を満たす。]
  18. 請求項1~11のいずれかに記載の防水部品を外部接続端子として用いる、電子機器の防水方法。
  19. 請求項1~11のいずれかに記載の防水部品をスイッチとして用いる、電子機器の防水方法。
  20. 熱可塑性樹脂(A)、無機強化材(B)、及びポリオレフィン(C1)および/又は長鎖脂肪酸系化合物(C2)、下記式(I)又は下記式(II)で表される少なくとも1種のホスフィン酸塩(D)、及び亜リン酸塩(E)を含み、
    前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記無機強化材(B)の含有量が8~130質量部であり、前記ポリオレフィン(C1)および/又は前記長鎖脂肪酸系化合物(C2)の含有量が0.3~40質量部であり、前記ホスフィン酸塩(D)の含有量が25~40質量部、前記亜リン酸塩(E)の含有量が2~15質量部である熱可塑性樹脂組成物と、金属部品とをインサート成形する、防水部品の製造方法。
    Figure 2023001648000012

    Figure 2023001648000013

    [式(I)及び式(II)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1~16の直鎖又は分鎖のアルキル基、又は炭素数が6~10のアリール基を示す。RとR及びRとRは互いに結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数が1~10の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、炭素数が6~10のアリーレン基、炭素数が7~20のアルキルアリーレン基、炭素数が3~10のシクロアルキレン基、炭素数が7~10のアラルキレン基、又は炭素数が7~20のアリールアルキレン基を示す。Mは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、又は亜鉛を示す。mは、1~4の整数である。nは、1~4の整数である。xは、1~4の整数である。式(II)において、m、x、nは、mx=2nの関係式を満たす。]
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