JPWO2009072660A1 - 抗体作製方法 - Google Patents

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Abstract

体外で免疫用細胞を含む組織を抗原と刺激物質を含む培養液中で免疫する工程と、前記免疫された細胞を選別する工程と、前記選別された免疫細胞から抗体を得る工程とを含む抗体作製方法。この抗体作製方法によると、抗体を短時間で大量に作製することができ、よって免疫学的検査の普及に寄与することができる。

Description

本発明は抗体作製方法に関する。
周知の通り、生体防御機能のなかでもその中心的な存在である免疫機能の解明は、疾病の診断、治療において、重要な課題となりつつある。例えば、癌、糖尿病等の生活習慣病の他各種疾病の診断に用いられる手法の中で、疾病に深く関わりのあるマーカー物質の濃度、量を目視可能に検出するイムノクロマト法のように、より簡易的診断が可能なものまでも提案されており、研究用試薬、診断用試薬、各種物質モニター用試薬、免疫学的診断、治療の分野はより拡大していくものであるが、当該方法における抗体の安定した確保は、今後より重要になってくることが明らかである。また、ファージディスプレイ系を用いた抗体ライブラリー作製技術が開発され、ヒト抗体単離も可能となっている。
ところで、免疫学的測定に必要なモノクローナル抗体の作製は、まずマウスに抗原を注射(免疫)する工程で約3ヶ月を要する。その後抗体を産生しているB細胞群を取り出し、ミエローマ細胞と細胞融合する。この工程によって、無限に増殖することが可能な抗体産生細胞(ハイブリドーマ)群を構築する。最後にこのハイブリドーマ群の中から、目的にあった抗体を産生している細胞を選別(クローニング)し、この細胞を用いて抗体の大量調製を実施する。このクローニング工程では、ハイブリドーマ群を希釈し、1ウェルに1細胞しかいないという状態にして、1細胞から培養を行う。これを抗体の性質が検討できる細胞濃度まで増殖させ、得られるモノクローナル抗体の性質を検査する。この検査で陽性となったウェルを再度希釈し、上記と同様に検査を実施する。この操作を複数回実施し、使用に耐えうるハイブリドーマを分離取得する。この工程1サイクルに約2週間を要し、全体で約3ヶ月以上を要する場合もある。このようにモノクローナル抗体の作製には手間と時間のかかる作業が必要であり、また、これを専門の業者に依頼すると、抗体の作製費用が高額となる。
ここで、公知文献を挙げて抗体作製方法を具体的に説明すると、特開平10−282097号公報には、アジュバンド物質、サイトカインの組合せを特徴とする抗原に対する特異的な免疫法が記載されている。特開2004−121237号公報には、抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された抹消血リンパ球細胞を、エプスタインバールウィルスにより不死化し、抗原特異的B細胞を単離して抗原特異的抗体産生B細胞を調製し、さらにこのB細胞を培養することを特徴とする抗原特異的抗体の製造方法が記載されている。特開2006−180708号公報には、標識化抗原をターゲット細胞に結合させる工程と、標識化ターゲット細胞を分離する工程と、抗体遺伝子を調製する工程と、抗体遺伝子を発現ベクターを用いて発現させる工程とを含む抗体作製方法が記載されている。また、特表2006−516408号公報には、一連の工程を経て、目的の抗体からヒト化高親和性抗体を作製する方法が記載されている。
本発明の目的は、したがって、手間と時間が係る作業が必要な抗体作製をより短時間で、しかも容易に抗体が作製できるような新規な抗体作製方法を提供することにある。
また、本発明は、これらの新規な抗体作製手法に基づき、腎臓癌マーカーとして今般注目されているS100A10タンパク質の免疫学的測定、治療に有効な抗体作製方法を実現することを目的としている。S100A10タンパク質は、高山達也他、腎細胞癌におけるS100A10蛋白の特異的発現,腎癌研究会会報,28:9−10,2005等で示されるように、腎臓癌マーカーとしても有用であり、当該マーカーは、尿成分からも得られることから、腎臓癌の簡易的な診断においてその価値が高いからである。
これらの目的を達成するため、本発明は、体外で免疫用細胞を含む組織を抗原と刺激物質を含む培養液中で免疫する工程と、その免疫された細胞を選別する工程と、その選別された免疫細胞から抗体を得る工程とを含む抗体作製方法を提供する。
すなわち、本発明は、いわゆる体外免疫法において、特定の刺激物質を添加した培養液で、抗原による感作免疫細胞を得ることで、通常必要としていた時間の数十分の一の時間で抗体を作製することを実現したものである。
より詳細には、まず、異物(抗原)が体内に入ると、マクロファージや樹状細胞がこれを細胞内に取り込む。異物は、細胞内で分解し、分解産物を細胞膜表面上に提示する。次いで、分解産物にナイーブT細胞が近づき、ナイーブT細胞表面のT細胞レセプター(TCR)を介して抗原を認識する。この過程を経てT細胞が活性化され、ヘルパーT細胞(Th2)となる。
一方B細胞も体内に侵入した異物(抗原)を細胞表面上のB細胞レセプター(BCR)で認識して細胞内に取り込む。取り込んだ抗原をやはり分解し、分解産物をMHC Class II分子上に提示する。この際に細胞膜表面にCD40という分子も同時に発現する。
このようにしてできたTh2と抗原提示B細胞が近づき、互いに認識することでB細胞の活性化と抗体のクラススイッチが入る。この際に、同じ抗原で活性化した分子同士でなければかかる現象は発現しない。
なお、上記の場合には免疫反応を生体内で実施しているけれども、この免疫反応を生体外で発生させる方法が、いわゆる体外免疫法である。
本発明は、生体外において、所望の抗体産生細胞を得るために、刺激物質を添加してB細胞を抗体産生細胞(プラズマ細胞)又はメモリーB細胞へと分化誘導するものである。ここで、刺激物質とは、例えばB細胞、樹状細胞、T細胞などのような免疫担当細胞の膜表面に発現しているレセプター分子と相互作用可能である限り、特に制限はない。本発明の実施には、特にサイトカインレセプターに対する刺激物質として、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−21、表面抗原に対する刺激物質としてTGF−β(Transforming Growth Factor−beta)、BAFF(B cell Activating Factor)、APRIL(A Proliferation−Inducing Ligand)、CD40 ligand、CD38 ligand、BCDF(B Cell Differenciation Factor)、BCAF(B Cell Activation Factor)、シグナル伝達に関与する受容体に対する刺激物質としてLPS(Lipopolysaccharide)等が例示される。刺激物質の使用濃度は、免疫する細胞濃度に依存して変化するけれども、LPSは10ng/mL〜500μg/mLの濃度が良く、特に20〜80μg/mLの濃度が推奨される。また、LPS以外の物質では、一般に1ng/mL〜50μg/mLの濃度が良く、特に10ng/mL〜40ng/mLの濃度が推奨される。また、これら物質の機能を代替するアゴニスト抗体であっても問題はない。その分化誘導の過程において、特にIL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体刺激により、抗体の親和性成熟及びクラススイッチを誘導し、より親和性の高い抗体となすことができる。
さらに、FACScanのようなフローサイトメトリー等に基づく細胞分離装置を用いて、目的とした細胞を染色して選別する手法を利用した感作免疫細胞の検出及び分離を行う。
本発明における免疫細胞の選別及び検出の際に用いられる染色剤としては、特に限定されものではない。例えば、染色剤としてTrypan Blueを用いて増殖・生存しているB細胞を検出しているが、その他、フローサイトメトリーの際に用いられるFITCやPEなどの蛍光物質を標識した抗原や抗体、さらに細胞内のカルシウム濃度を検出するFura−2のような蛍光プローブや細胞内のDNAを染色するエチジウムブロマイドに代表されるDNA染色剤等、目的とする免疫細胞を染色できるものであれば、適宜使用することができる。
また、クラススイッチやアフィニティマチュレーションの発生した細胞を選別する際も、上記したものと同様の染色剤を適宜使用することができる。
染色された細胞を検出・選別する手法は、例えばフローサイトメトリー等の細胞分離装置の他、例えばヘモサイトメーター等の血球計算盤や、電気泳動デバイス、遠心分離デバイス、磁気ビーズデバイス、マイクロ流路デバイスなどを好適に利用することができる。
また、この分離された細胞と、ミエローマ細胞を融合させて、ハイブリドーマを得ても良いが、ハイブリドーマを得る必要は必ずしもない。
さらに、本発明は、抗体遺伝子を得るための細胞を、組織上から選別すべく、体外免疫工程により、免疫細胞を選別し、その免疫細胞から、抗体遺伝子をPCR手法を用いて形成し、これを宿主細胞に導入して培養発現し、抗体の大量生産をする構成を取り得るものであり、当該手法によれば、組織片から免疫後の細胞を得るため、作業効率の向上が図れる。
当該細胞から得られる抗体遺伝子をPCR(polymerase chain reaction)法により増幅し、更に大腸菌等の宿主細胞により、好ましくはコロニー化させて抗体を得る工程を組み合わせることで、大量の抗体を短時間で作製することが可能となる。宿主細胞としては、大腸菌の他、ストレプトマイセス、枯草菌、酵母、CHO細胞、COS細胞、HEK293細胞、等が例示される。
また、発現ベクターとしては、宿主細胞で発現されるものであれば、特に限定されるものではない。発現ベクターとして、例えば、細菌プラスミド由来、酵母プラスミド由来、染色体、エピソーム、ウィルス由来、レトロウィルス由来のベクターなどを例示することができる。
上記したような課題に加えて、本発明者らは、体外で免疫細胞を選別し得たとしても、スクリーニングまでの準備としてのハイブリドーマ形成工程を要することなく抗体遺伝子の分離ができないかという課題にも取り組んだ。
本発明者らは、体外免疫手法を採るに際し、メモリーB細胞又はプラズマ細胞へ分化誘導及び、その過程で発生すると考えられる抗体の親和性成熟・クラススイッチを所定の刺激物質の添加により実現できるという知見を得、本発明を完成した。
従来、高親和性抗体の作製は、生体内においては、繰り返し抗原を免疫することにより、メモリーB細胞又はプラズマ細胞への分化誘導を行い、その過程で発生すると考えられる抗体の親和性成熟・クラススイッチを利用している。分化誘導した免疫細胞からハイブリドーマを形成し、スクリーニングを行うことで高親和性抗体を得ている。一方、生体外の場合は、ハイブリドーマや市販のライブラリーなどから得た抗体遺伝子にPCRを用いたランダム変異導入法等により様々な変異を導入したライブラリーを構築し、ファージミドベクターへの組み込みを経て、パニング法によって、強い抗体をスクリーニングする方法が主であった。
しかしながら、本発明者らは、生体外で特定の刺激物質を、所定の環境下で、供給することでもメモリーB細胞又はプラズマ細胞への分化誘導及び、その過程で発生すると考えられる抗体の親和性成熟・クラススイッチが可能であることを知見したのである。また、刺激物質の導入は、B細胞をメモリーB細胞、プラズマ細胞へ分化誘導することを可能としていることから、体外免疫における当該手法は、従来の脾臓細胞そのものもしくは、B細胞とT細胞の共培養状態でしか免疫ができなかったものを、B細胞のみであっても免疫可能にし、抗原も従来の体外免疫法同様、生体内での免疫に比べて1/1000〜1/10000程度の少量で可能となった。
さらに、本発明において使用する刺激物質は、親和性成熟や抗体のクラススイッチに関係している蛋白質の発現を誘導し、その結果、抗体のIgMからIgGへのクラススイッチを迅速にかつ確実に行わせることも実現した。
要するに、本発明は、いわゆる体外免疫法において、組織片をすり潰す等して得られる細胞に特定の刺激物質を添加した培養液で、抗原による感作を行い免疫細胞を得ることで、通常免疫動物を免疫した場合に必要としていた時間の数十分の一の時間で実現できるようにしたものである。
上記のような本発明による抗体作製方法の実施において、生体内及び生体外において免疫反応を発生させる方法は、すでに説明したような手法によって有利に実施することができる。
本発明における体外免疫手法において、各種の刺激物質と各種の分化、誘導等との関係について以下に説明する。
本発明で示す抗原は、免疫用組織片調製直後の1回で充分であるが、2〜3日の間隔を置いて、複数回行っても制限はない。またその際の抗原濃度は1pmol〜1mmolが好ましく、例えば1nmolを例示することができる。
抗原刺激を補助する目的でLPSに代表されるTLR(Toll Like Receptor)を刺激する物質を添加しても良い。この刺激物質の添加は、抗原刺激の度に行うことが好ましく、添加量は10ng/mL〜500μg/mLの濃度が良く、特に20〜80μg/mLの濃度が良い。
また、本発明で示す、メモリーB細胞又はプラズマ細胞へ分化誘導及び、その過程で発生すると考えられる抗体の親和性成熟・クラススイッチの誘導用刺激物質としては、前述の刺激物質であれば特に制限はないが、特にIL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体が好ましい。添加濃度は、IL−4、IL−5は1ng/mL〜50μg/mLの濃度が良く、特に10ng/mL〜40ng/mLが好ましく、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体は1ng/mL〜50μg/mLの濃度が良く、特に100ng/mL〜10μg/mLが好ましい。また、この刺激物質の添加は、抗原刺激の度に行うことが好ましい。
本発明における体外で行う免疫用の組織片を構成する細胞としては、例えば、上述したものの他、例えばマウス、ラット、モルモット、ラビットなどのような免疫動物由来の臓器・組織から得た細胞、iPS細胞・ES細胞を分化させて調整した免疫担当細胞、培養細胞株を分化させて調整した免疫担当細胞などを例示することができる。
本発明で用いられる抗原には、例えば、h(ヒト)S100A10、he(鶏)EL、h(ヒト)Ras、h(ヒト)rap74,h(ヒト)TOPO2B、b(ウシ)SA、b(ウシ)Casein等のマウス由来以外の蛋白質、マウス由来のm(マウス)S100A10、mSA、mMapk1等の蛋白質、ペプチド(4種類:7mer、10mer、16mer、20mer)などを例示することができる。さらに、本発明の実施では、従来抗体を得るために用いることができない、低分子化合物(ローダミン等の蛍光物質、FITC)も利用可能となる。
本発明は、体外での目的に応じた刺激物質の導入により、T細胞を必要とせず、B細胞を抗体産生細胞に分化誘導する工程により、低分子抗原の利用が可能になるほか、クラススイッチによる好ましい抗体、親和性成熟による抗体が得られる免疫細胞を得ることができる。
さらに、上記したように、FACScanのようなフローサイトメトリー等に基づく細胞分離装置を用いて、目的とした細胞を染色して選別する手法を利用した感作免疫細胞の検出及び分離を行う。
その他、得られる免疫細胞の大きさは、他の細胞に比べ大きいこと、更に親和度を成熟させた場合、細胞の大きさがより大きくなることもあるため、細胞の大きさによって、選別することも可能である。また、当該細胞の大きさにより、選別する手法としては、例えば特開2007−175684号公報等に記載された手法を好適に使用することができる。
本発明における免疫細胞の選別、検出の際に用いられる染色剤は、すでに説明した通りである。また、クラススイッチやアフィニティマチュレーションの発生した細胞を選別する際も、上記したように、同様の染色剤を適宜使用することができる。
さらに、本発明は、上記したように、抗体遺伝子を得るための細胞を、組織上から、体外免疫工程により、免疫細胞を選別し、その免疫細胞から、抗体遺伝子をPCR法を用いて形成し、これを宿主細胞に導入して培養発現し、抗体の大量生産をする構成を取り得るものであり、当該手法によれば、組織片から免疫後の細胞を得るため、作業効率の向上を図ることができる。ここで、免疫細胞を選別しないで、組織片の細胞の遺伝子を分離したとしても、PCRに使用するプライマーが抗体遺伝子特異的なものであるため、目的の遺伝子のみを取得することが可能であり、免疫細胞を選別した場合と同様に、抗体遺伝子を抽出する手法を採用することも可能である。
上記したように、当該細胞から得られる抗体遺伝子をPCR法により増幅し、さらに大腸菌等の宿主細胞により、好ましくはコロニー化させて抗体を得る工程を組み合わせることで、大量の抗体を短時間で作製可能となすことができる。使用しうる宿主細胞及び発現ベクターは、前記した通りである。
本発明における抗体の選別方法としては、例えば、ファージや大腸菌、酵母、動物細胞等の表面に抗体を表示させる方法、酵母、大腸菌等を用いる2−ハイブリッド法、IVV法、リボソームデイスプレイ法のようなDNAやmRNAに提示させる方法、表面プラズモン共鳴を利用したBIACORE法、ELISA法、ウェスタンブロット法、磁気ビーズに抗体もしくは高原を固定化し、磁力を用いた選別(MACS)方法等を例示することができる。この選別方法は、タンパク質間相互作用を調べ得る手法であれば、特に限定されるものではない。
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、短時間で、目的とする免疫細胞を分離及び取得することができ、さらには、遺伝子工学的な手法による抗体の作製によって、迅速な抗体の生産及び取得を可能とすることができる。この免疫細胞は、とりわけスクリーニング等に好適である。
図1Aは、調製したTotal RNAの電気泳動を示す写真、図1Bはその説明図であり、
図2Aは、調製したcDNAの電気泳動を示す写真、図2Bはその説明図であり、
図3Aは、調製したscFv PCR産物の電気泳動を示す写真、図3Bはその説明図であり、
図4Aは、調製した大腸菌クローンの電気泳動を示す写真、図4Bはその説明図であり、
図5Aは、精製したMBP−scFv蛋白質のSDS−PAGE法による解析図、図5Bはその説明図であり、
図6は、抗原とIgG1陽性率の関係をプロットしたグラフであり、
図7は、マーカー遺伝子とmRNA発現量の関係をプロットしたグラフであり、
図8は、サイトカインの細胞毒性試験の結果を刺激物質と比増殖率の関係としてプロットしたグラフであり、
図9A及び図9Bは、それぞれ、刺激物質と比増殖率の関係をプロットしたグラフであり、
図10A,図10B,図10C及び図10Dは、それぞれ、単独刺激時のBlimp−1発現量、Xbp−1発現量、Bcl−6発現量及びAID発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図11A及び図11Bは、それぞれ、複合刺激、プラズマ細胞分化時のBlimp−1発現量及びXbp−1発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図12A及び図12Bは、それぞれ、複合刺激、体細胞変異時のBcl−6発現量及びAID発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図13は、複合刺激、プラズマ細胞分化時のBlimp−1発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図14は、複合刺激、プラズマ細胞分化時のXbp−1発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図15は、複合刺激、体細胞変異時のBcl−6発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図16は、複合刺激、体細胞変異時のAID発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図17A及び図17Bは、それぞれ、サイトカイン濃度の上限と下限のマーカー発現量を、抗原1nmolを免疫した場合と抗原0.1nmolを免疫した場合とについてプロットしたグラフであり、
図18A及び図18Bは、それぞれ、B細胞の分化の検討の結果を、脾臓細胞中のB細胞の割合と脾臓細胞中のプラズマ細胞の割合とについてプロットしたグラフであり、
図19A,図19B,図19C及び図19Dは、それぞれ、B細胞の分化の検討の結果を、B細胞中のT1−B細胞の割合、B細胞中のT2−B細胞の割合、B細胞中のB2細胞の割合及びB細胞中のActivated−B細胞の割合についてプロットしたグラフであり、
図20A,図20B,図20C及び図20Dは、それぞれ、B細胞分化の検討時のBlimp−1発現量、Xbp−1発現量、Bcl−6発現量及びAID発現量を測定した結果をプロットしたグラフであり、
図21は、Splenocyteに対して免疫操作を行い取得したanti−Hen Egg Lysozyme/MBP−scFvのELISA結果を示したものであり、抗原特異性をみるために、β−カゼイン,S100A2,S100A14,Hen Egg LysozymeをそれぞれコートしたELISAプレートを用いて比較したグラフであり、
図22は、B細胞に対して免疫操作を行い取得したanti−Hen Egg Lysozyme/MBP−scFvのELISA結果を示したものであり、抗原特異性をみるために、β−カゼイン,S100A2,S100A14,Hen Egg LysozymeをそれぞれコートしたELISAプレートを用いて比較したグラフであり、
図23は、anti−Hen Egg Lysozyme/MBP−scFv/EGFPのELISA結果を示したものであり、EGFPは,G1−Linker及びG5−Linkerを介してscFvに融合されており、また、抗原特異性をみるために、β−カゼイン,S100A2,S100A14,Hen Egg LysozymeをそれぞれコートしたELISAプレートを用いて比較したグラフであり、
図24は、anti−β−Casomorphin7/MBP−scFv,anti−Angiotensin I/MBP−scFv,anti−PTH/MBP−scFvのELISA結果を示したものであり、抗原特異性をみるために、β−Cas7β−Casomorphin7(b−Cas7),Angiotensin I(Ang I),PTHをそれぞれコートしたELISAプレートを用いて比較したグラフであり、
図25は、抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を吸光度(mAlbumin ELISA)に関して評価した結果をプロットしたグラフであり、
図26は、抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を陽性クローン出現率(mAlbumin陽性率)に関して評価した結果をプロットしたグラフであり、
図27は、抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を吸光度(mS100A10 ELISA 1nmolの抗原)に関して評価した結果をプロットしたグラフであり、
図28は、抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を吸光度(mS100A10 ELISA 1nmolの抗原)に関して評価した結果をプロットしたグラフであり、
図29は、抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を陽性クローン出現率(mS100A10陽性率)に関して評価した結果をプロットしたグラフであり、そして
図30は、抗低分子化合物抗体の取得を示す電気泳動の写真である。
引き続いて、本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下に記載する特定の実施の形態によって限定されるものではないことを理解されたい。
本発明は、マウス、ラット等の免疫用動物から臓器を摘出し、当該臓器から免疫細胞を含む細胞群を分離して、これを刺激物質を含む培養液中で抗原による感作を行うことで、免疫細胞を得るものである。
この免疫細胞を、FACScan等の細胞分離装置、又はその他の細胞染色による選別手法を用いて、リンパ球中、例えば目的の抗体を産生するB細胞を選別する。選別したB細胞をミエローマ細胞との融合により不死化させ、ハイブリドーマを形成させ、クローニング後に抗体や抗体遺伝子を取得することも可能であるが、必ずしもハイブリドーマ形成の工程は必要とはしない。
この選別した細胞若しくはハイブリドーマから、遺伝子を抽出し、PCR法によりH鎖、L鎖の遺伝子を取得、大腸菌で発現できるように一本鎖抗体scFvに改変してプラスミド化した後、大腸菌内で発現させて抗体を得るものであれば、抗原については、特定しないが、この中で例えば、S100A10タンパク質が尿を検体として用いることができる腎臓癌マーカーとして使用できることから、本発明は、腎臓癌の免疫学的診断のための抗体の作製方法として、好適である。
〔マウス由来のヒト抗体の作製について〕
本発明では、マウス由来のヒト抗体の作製工程を更に組み合わせても良い。以下にヒト抗体を取得する工程例を示す。
1.免疫ヒト化マウス由来の脾臓細胞を用いる方法
マウスの脾臓細胞内の抗体遺伝子をすべてヒト由来の遺伝子に置き換えた免疫ヒト化マウスが報告されている。これは、抗体遺伝子以外はマウス由来の細胞なので、今回の体外免疫法を直接そのまま使用しての免疫が可能である。この方法で取れてきた抗体はすべてヒト抗体となる。
2.抗体のヒト化を行う方法
取得した遺伝子から、抗体のアミノ酸配列を決定する。このアミノ酸配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーと比較する。超可変領域(Complementarity determiningregion)以外の抗体のフレーム部分を特に比較し、ホモロジー(相同性)の高い配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーから選択する。選択したフレーム配列に、取得した抗体遺伝子の超可変領域を組み込み、ヒト化する。この段階では抗体はヒト化マウス抗体である。
完全長ヒト抗体は、取得した遺伝子から、抗体のアミノ酸配列を決定する。このアミノ酸配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーと比較する。超可変領域を含む抗体の全長を比較し、ホモロジーの高い配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーから選択する。選択した配列を細胞で発現させれば、完全長ヒト抗体となる。選択した配列の超可変領域を遺伝子工学的手法で改変して元の配列とそっくり同じにしても完全長ヒト抗体とすることもできる。
ここで、本発明を要約して示すと、下記の各項に記載される通りである。
(1)体外で免疫用細胞を含む組織を抗原と刺激物質を含む培養液中で免疫する工程と、
前記免疫された細胞を選別する工程と、
前記選別された免疫細胞から抗体を得る工程とを含む抗体作製方法。
(2)前記免疫細胞から、PCR増幅手法により増幅抗体遺伝子を取得した後、宿主細胞により抗体又は抗体に類する蛋白質の発現調製をするステップをさらに含む上記第1項に記載の抗体作製方法。
(3)前記組織が免疫用動物である上記第1項に記載の抗体作製方法。
(4)前記選別された細胞が、クラススイッチ若しくはアフィニティマチュレーションの発生した細胞である上記第1項に記載の抗体作製方法。
(5)前記免疫された細胞の選別が、フローサイトメトリー又は染色による上記第1項に記載の抗体作製方法。
(6)前記刺激物質が、免疫担当細胞上に発現しているサイトカイン受容体、表面抗原又はシグナル伝達に関与する受容体を刺激する物質である上記第1項に記載の抗体作製方法。
(7)前記抗原がペプチドである上記第1項に記載の抗体作製方法。
(8)前記抗原がS100 familyに属するタンパク質であり、一本鎖抗体scFv(single chain variable fragment)若しくは抗体IgG1(Immunogloblin G1)を取得する上記第1項に記載の抗体作製方法。
(9)前記抗原がS100A10タンパク質であり、一本鎖抗体scFv(single chain variable fragment)若しくは抗体IgG1(Immunogloblin G1)を取得する上記第1項に記載の抗体作製方法。
(10)前記刺激物質が、サイトカイン受容体に対する刺激物質としての、IL−4又はIL−5、表面抗原に対する刺激物質としての、anti−CD38抗体又はanti−CD40抗体、及びシグナル伝達に関与する受容体に対する刺激物質としてのLPS(Lipopolysaccharide)の少なくとも1つである上記第6項に記載の抗体作製方法。
(11)体外で免疫用細胞を含む組織と、IL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体及びLPSからなる群から選ばれた1以上の刺激物質を含む培養液中で免疫して抗体を作製する上記第1項に記載の抗体作製方法。
(12)選別された前記抗体遺伝子アミノ酸配列を決定する工程と、
このアミノ酸配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーと比較し、ホモロジー(相同性)の高い配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーから選択し又は改変調整してヒト化抗体遺伝子を形成する工程とをさらに含む上記第1項に記載の抗体作製方法。
引き続いて、本発明を下記の実施例によりさらに具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
実施例1
本例では、S100A10タンパク質を抗原例として用い、抗体IgG1の作製方法について説明する。
脾臓細胞(Splenocyte)抽出
マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、洗浄した。2匹分の脾臓をメッシュ上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした後、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。次いで、ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えた。遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して細胞を回収し、RPMI1640(−)6mLに懸濁した。セルストレイナーを通して、不溶性の脂肪等を除去した。
体外免疫
S100A10タンパク質抗原をアッセイキット(Dc Protein Assay kit、BioRad社製)で濃度を測定した。この際のスタンダードとして、BSA(Sigma社製)を用いた。濃度既知のS100A10タンパク質抗原を所定の量(5μg若しくは20μg)分注し、これにアジュバントN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン1mg/mLを100μL(マウス1匹当50μL)で添加し室温で15分間静置した。脾臓細胞に、調製した抗原溶液を添加し、室温で15分間静置した。RPMI1640(40%FBS)を6mLずつ添加した。刺激物質(IL−4(終濃度10ng/mL)、IL−5(終濃度10ng/mL)、anti−CD38抗体(終濃度1μg/mL)、anti−CD40抗体(終濃度1μg/mL)、LPS(終濃度40μg/mL))を添加した。10cmデッシュに全量を播いた。37℃ COインキュベーターにて培養(4日間)した。培養終了後、細胞を遠心分離(2000rpm、5分、4℃)で回収し、Trypan Blue Stain 0.4%(GIBCO社製)で細胞を染色し血球計算版(アズワン社製)にて免疫後の脾臓細胞数をカウントした。細胞数は5μgのS100A10抗原を免疫した場合、1.33 x 10cells、20μgのS100A10抗原を免疫した場合、0.71 x 10cellsであった。この細胞をMedium B(Clona Cell HYキット、StemCell Technology社製)を用いてウオッシュ洗浄(10mL x 3times)し、1.00 x 10cells/mLに調製した。
メラノーマ細胞の調製
PAI細胞(マウス由来ミエローマ細胞)をMedium A(Clona Cell HYキット、StemCell Technology社製)を用いて、継代培養しておいた。Medium Bを用いて細胞をウオッシュ洗浄(10mL x 3times)し、上記と同じ装置を用いてカウントした。当該細胞数は、細胞融合時に5 x 10cellsが好ましい。
細胞融合
脾臓細胞Splenocyte:メラノーマ細胞Myeloma=2:1にて細胞を混合し、遠心して回収した。タッピングした後、PEG(ポリエチレングリコール)溶液を、5μgのS100A10抗原を免疫した場合66.5μL、20μgのS100A10抗原を免疫した場合35.5μL(Splenocyte 1 x 10cellsに対して500μL)、で混合した。
遠心分離して回収した後、Medium Bを、5μgのS100A10抗原を免疫した場合665μL、20μgのS100A10抗原を免疫した場合355μL(Splenocyte 1 x 10cellsに対して5mL)、で一滴ずつ添加した。
これにMedium C(Clona Cell HYキット、StemCell Technology社製)を、5μgのS100A10抗原を免疫した場合665μL、20μgのS100A10抗原を免疫した場合355μL(Splenocyte 1 x 10cellsに対して5mL)、で一滴ずつ添加した。この溶液を、5μgのS100A10抗原を免疫した場合5.32mL、20μgのS100A10抗原を免疫した場合2.84mL(Splenocyte 1 x 10cellsに対して40mL)、でMediumCに静かに添加し、37℃ COインキュベーターにて培養(1日間)(15mL遠沈管にて)した。
細胞融合したその日に4℃のインキュベーターにMedium D(Clona Cell HYキット、StemCell Technology社製)を移し、溶解しておいた。溶解確認後、よく混合した後、室温に戻した。
クローニング
細胞を遠心して回収し、5μgのS100A10抗原を免疫した場合1.33mL、20μgのS100A10抗原を免疫した場合0.71mL(Splenocyte 1 x 10cellsに対して10mL)のMedium Cに懸濁し、これを、5μgのS100A10抗原を免疫した場合11.97mL、20μgのS100A10抗原を免疫した場合6.39mL(Splenocyte 1 x 10cellsに対して90mL)のMedium Dに懸濁した。37℃で15分インキュベートした後、10cmデッシュに撒いた。更に、37℃ COインキュベーターにて培養(10〜14日間)した。
ハーベスト
細胞コロニーを目視下でカウントし、その全てを96well plate(ウェルプレート)に移し、200μLのMedium E(Clona Cell HYキット、StemCell Technology社製)を加えた。次いで、37℃ COインキュベーターにて培養(4日間)した。上清を150μL回収し、S100A10 ELISAによる確認を行った。
S100A10 ELISA Plateの調製
S100A10抗原をPBS(−)にて5μg/mLに希釈し、100μLずつ96well plate(Nunc−Immuno module F8 maxisoap.Nunc社製)に添加した。これを4℃で1日間静置した後、上清を捨て、0.1%BSA/PBS(−)を200μLずつ添加した。室温で1時間静置した後、PBS(−)で3回洗浄し、S100A10 ELISA Plateを調製した。
S100A10 ELISA
S100A10 ELISA Plateに上記ハーベストの項で取得した150μLの培養上清を加え、37℃インキュベーターにて1時間静置した。上清を捨て、PBS(−)で3回洗浄し、PBS(−)で5000倍に希釈した二次抗体(anti−Mouse IgG1−HRP、フナコシ社製)を50μL添加し、37℃インキュベーターにて1時間静置した。上清を捨て、PBS(−)で3回洗浄し、100μLのTMB溶液を添加し、37℃インキュベーターにて10分間静置した。その後直ちに1N HCl(和光純薬社製)を100μL添加し、反応を停止させた。その後、各ウェルの450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Model 550,BioRad社製)にて測定した。得られた結果を下記の第1表に示す。
次いで、ハイブリドーマをコロニー化し、そのコロニーの大小を肉眼で確認した。それらのコロニーを上記手法によりクローニングし、その後の増殖を確認した。増殖したクローンの培養上清をS100A10 ELISAによって、抗S100A10 IgG1抗体を産生しているクローン数を確認した。上記第1表に記載の通り、体外免疫法によって、IgG1が作製できることを確認した。免疫工程で要した日数は、約5日と、通常(2〜3ヶ月)に比べ非常に早い時間でS100A10タンパク質に対するIgG1が作製できた。
実施例2
本例では、抗S100A10抗体遺伝子の抽出及び大腸菌による抗体の発現工程について説明する。
DNA抽出、一本鎖抗体scFvプラスミドの作製
免疫後のB細胞やハイブリドーマ1.5 x 10cells(セル)より、Isogen(ニッポンジーン社製)を用いてTotal RNAを取得した。なお、前記実施例1で説明した体外免疫工程で得られる免疫細胞を当該工程で用いても良い。
次いで、1.2% Agarose Gel(アガロースゲル)電気泳動により、取得確認を実施した。得られた結果を図1A及び図1Bに示す。
取得したTotal RNAをテンプレートとして、マウス(mouse)VH遺伝子特異的プライマー若しくはmouse VL遺伝子特異的プライマーとし、ReverTra Ace(TOYOBO社製)試薬を用いて一本鎖cDNAを合成した。調製したcDNAをテンプレートとしてプライマーVH forward primer mix/VH reverse primer mix若しくはVL forward primer mix/VL reverse primer mixを用いて、PrimeSTAR HS Polymerase(TaKaRa社製)により、1st PCRを実施した。使用したプライマー配列は、Antibody Engineering a practical approach(pp.210−211)に紹介されているものを利用した。
その後、2% Agarose Gel電気泳動により、取得確認を実施した。得られた結果を図2A及び図2Bに示す。
電気泳動後のアガロースゲルから目的のバンドを切り取り、QIAquick Gel Extraction kit(QIAGEN社製)を用いてVH遺伝子及びVL遺伝子を抽出し、精製した。次いで、そのVH遺伝子及びVL遺伝子の各10ngを用いて、PrimeSTAR HS Polymerase(TaKaRa社製)により、プライマーを添加せず、Link PCRを実施した。その後、Link PCRのサンプルにプライマー2nd PCR Primer Premixを加えてそのままPCR増幅を実施した。その後、2% Agarose Gel電気泳動により、取得確認を実施した。得られた結果を図3A及び図3Bに示す。これらの結果から、目的のscFv PCR産物が得られたことが確認できた。
次いで、scFv PCR産物を、制限酵素EcoRI及びHindIIIと37℃で1時間反応させて分解し、電気泳動後のアガロースゲルから目的のバンドを切り取り、QIAquick Gel Extraction kit(QIAGEN社製)を用いてscFv遺伝子を抽出し、精製した。同様に、プラスミドベクターpMAL−p2Xを制限酵素EcoRI及びHindIIIと37℃で1時間反応させて分解し、電気泳動後のアガロースゲルから目的のバンドを切り取り、QIAquick Gel Extraction kit(QIAGEN社製)を用いてプラスミドベクター遺伝子を抽出し、精製した。これらの精製物をプラスミドベクター遺伝子1molに対しscFv遺伝子6molの割合で混合し、DNA Ligation kit〈Mighty Mix〉(TaKaRa社製)を用いてライゲーションした。ライゲーション溶液20μLを大腸菌JM109株のコンピテントセルと混合し、大腸菌JM109株を形質転換した。この形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で18時間培養した。
scFv遺伝子の連結したプラスミドを持つ大腸菌クローンをセレクションするため、上記の工程で形成したコロニーをコロニーPCR法に供し、さらに2% Agarose Gel電気泳動により、取得確認を実施した。得られた結果を図4A及び図4Bに示す。
上記のようにして得たクローンを50μg/mLのアンピシリンを含むLB液体培地により37℃で18時間培養し、QIAprep Miniprep kit(QIAGEN社製)を用いて、プラスミドDNAを抽出した。抽出したプラスミドのDNA配列をDNAシークエンサーMegaBASE 1000(GEヘルスケア社製)を用いて確認した。この抗体遺伝子の取得工程には、3日を要した。
大腸菌による一本鎖抗体scFvの発現
シークエンスを確認したプラスミドを用いて、大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。この形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で18時間培養した。
次いで、上記のようにして形成したコロニーを、5mLの50μg/mLのアンピシリンを含むLBG液体培地により30℃で18時間培養した。この培養液1mLを100mLの50μg/mLのアンピシリンを含むLBG液体培地により30℃で培養した。培養1時間ごとに660nmの吸光度を分光光度計UV−1200(島津製作所社製)にて測定した。吸光度が0.5に達した時点で、IPTGを終濃度0.5mMになるように添加し、23℃で20時間培養した。培養終了後、遠心分離(6000rpm,20min,4℃)により大腸菌菌体を回収した。これをSol.A 5mL(20% Sucrose,1mM EDTA,30mM Tris−HCl pH8.0,0.5mM APMSF)に溶解し、室温で10分間静置した。遠心分離(6000rpm,20min,4℃)により大腸菌菌体を回収し、氷冷したSol.B 5mL(5mM MgSO)に溶解し氷上に10分間静置した。その後遠心分離(6000rpm,20min,4℃)により、上清を回収した。
その後、上記のようにして回収した上清をアミロースレジンカラム(10mL、φ2.5cm x 3.3cm)に供した。上清が全てカラムを通過した後、ウオッシュ緩衝液(200mM NaCl,20mM Tris−HCl pH8.0)40mLでカラムを洗浄した。この洗浄を2回実施した後、Elute緩衝液(5mM Maltose,200mM NaCl,20mM Tris−HCl pH8.0)40mLでカラムに吸着したMBP(Maltose binding protein)−scFv蛋白質を溶出し、精製した。精製したMBP−scFv蛋白質をSDS−PAGE法により解析した。得られた結果を図5A及び図5Bに示す。
また、精製したMBP−scFv蛋白質の濃度を、アッセイキット(Dc Protein Assay kit、BioRad社製)で測定した。その結果、50mLの培養液から0.345mgのMBP−scFv蛋白質が得られたことがわかった。
ところで、上記の精製工程には3日を要した。本方法は、抗体遺伝子の取得工程から数えれば、6日で終了し、通常の方法(2〜3ヶ月を要する)に比べ非常に早い時間でS100A10タンパク質に対するscFvを作製できたことがわかる。
なお、本発明は、実施例として抗S100A10抗体を大量に生産することを可能とすることを示したが、抗体は抗S100A10抗体に限られるものではなく、その他のさまざまな抗体にも有利に適用可能であることを理解されたい。
実施例3
前記実施例1に記載の手法を反復した。但し、本例の場合、S100A1タンパク質及びS10 0A10タンパク質を抗原として使用し、前記実施例1と同様の手法で体外免疫法を実施し、IgG1陽性率を計算した。図6は、このようにして得られた結果をプロットしたものである。抗原によってバラつきがでるものの、どちらも60%以上という高い確率でIgG1へのクラススイッチが発生していることを図6から確認することができる。
本発明では、体外(in vitro)での免疫において、LPS(40μg/mL)、IL−4、IL−5(10ng/mL)、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体(1μg/mL)等の刺激物質を抗原免疫後に1回添加し、4日間刺激物質存在下で培養することで有効なクラススイッチが実現可能であることが明らかになった。
実施例4
前記実施例1に記載の手法を反復した。但し、本例の場合、S100A10蛋白質を抗原として前記実施例1と同様の手法で体外免疫法を実施し、培養を行った4日目と7日目に全細胞を回収し、そこからTotal−RN Aを取得した。
Total−RNA600ngをテンプレートとして、ReverTra Ace(TOYOBO社)を用いて逆転写反応を実施した。反応組成は、メーカープロトコールに従い20μLの容量で、プライマーとして、Oligo(dT)20(TOYOBO社)を用いた。反応条件は、42℃20分、99℃5分、4℃5分で実施した。この産物1μLをテンプレートとして、PowerSYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を用いてReal−time PCRを実施した。反応条件は、95℃10分→(95℃ 15秒、60℃1分)を40サイクルで行った。
また、本例で使用した機材は、7500Fast(Applied Biosystems社)である。得られた結果を内部標準であるβアクチンで標準化し、グラフ化した。得られた結果を図7に示す。図7から、すべてのマーカー遺伝子(Bcl6、AID、Xbp1、Blimp1)で発現量の上昇が確認され、抗体の親和性、抗体産生細胞の分化、誘導がより高まることが確認された。ここで、Bcl6やAIDは、主に抗体の親和性成熟やクラススイッチに関与する遺伝子であり、Xbp1は、多機能転写因子であって、抗体産生細胞への分化にもかかわっているとされ、Blimp1もXbp1と同様に、B細胞が抗体産生細胞(プラズマ細胞)へ分化する際に働く因子である。
実施例5
本例では、サイトカインの細胞毒性試験の実験方法について説明する。
BALB/cマウス(4週齢、♀、SPF/VAF)を頸椎脱臼にて殺し、マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、70%エタノールで洗浄した。さらに、PBSで洗浄した後、2匹分の脾臓をセルストレイナー上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした。セルストレーナーを4mLのPBS(−)で3回洗浄することで脾臓細胞をセルストレイナーから溶出させた。これを遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えることで赤血球を除去し、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して脾臓細胞を回収した。この脾臓細胞はRPMI1640培地10mLに懸濁し、セルストレイナーを通すことにより、不溶性の脂肪等を除去した。細胞数を血球計算版を用いて計測し、1x10cells/mLになるように濃縮した。
刺激物質(IL−4(標準の終濃度10ng/mL)、IL−5(標準の終濃度10ng/mL)、anti−CD38抗体(標準の終濃度1μg/mL)、anti−CD40抗体(標準の終濃度1μg/mL)LPS(標準の終濃度40μg/mL))を標準の終濃度の10000倍にて調製した。これをPBS(−)を用いて10倍の段階希釈を行った。これにより、10−6〜10倍までの刺激物質希釈系列を調製した。この刺激物質1.5μL(1/1000容量)と脾臓細胞300μLを混合し、40%FBSを含むRPMI1640培地で、細胞濃度2x10cells/mLに調製し、4日間37℃のCOインキュベーターで培養した。
培養後、細胞溶液100μLを96well plateに分注し、37℃のCOインキュベーターで2時間保温した。そこにCell Counting kit−8(Dojindo社製)を10mL添加し、さらに1時間保温した。マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定し、ブランクとして650nmの吸光度を測定した。450nmの測定値から650nmの測定値を減じ、測定値を得た。それぞれの測定値を刺激物質無添加の場合の測定値で割ることにより、比増殖率を得た。得られた結果を図8のグラフに示す。グラフ化した際に、10−5以下の結果は10−4の結果と同一の値を示したため割愛した。また、刺激物質の各希釈倍率での終濃度は、下記の第2表に示す通りである。
上記したように、サイトカインの細胞毒性試験の結果を図8にグラフで示すが、このグラフは、縦軸が比増殖率、横軸が刺激物質の希釈倍率となっている。図中矢印で示した濃度が通常使用している濃度である。実験は3回独立して行い、平均をグラフ化した。
標準の終濃度で細胞毒性は観察されなかった。LPSに関しては現在の10倍濃度を使用することで、細胞死が観察される場合があった。しかし刺激物を何も加えなかった場合と同程度までにしか下がっていないことからこの濃度でも使用可能であることが明らかとなった。また、標準の終濃度では、どの刺激物質を加えた場合も細胞の増殖が観察されたので、最も効率よく免疫されると考えられる。
実施例6
本例では、刺激物質組み合わせ検討の実験方法について説明する。
BALB/cマウス(4週齢、♀、SPF/VAF)を頸椎脱臼にて殺し、マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、70%エタノールで洗浄した。さらに、PBSで洗浄した後、2匹分の脾臓をセルストレイナー上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした。セルストレーナーを4mLのPBS(−)で3回洗浄することで脾臓細胞をセルストレイナーから溶出させた。これを遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えることで赤血球を除去し、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して脾臓細胞を回収した。この脾臓細胞をRPMI1640培地10mLに懸濁させ、セルストレイナーを通すことにより、不溶性の脂肪等を除去した。細胞数を血球計算版を用いて計測し、1x10cells/mLになるように濃縮した。
刺激物質(IL−4(標準の終濃度10ng/mL)、IL−5(標準の終濃度10ng/mL)、anti−CD38抗体(標準の終濃度1μg/mL)、anti−CD40抗体(標準の終濃度1μg/mL)LPS(標準の終濃度40μg/mL))を標準の終濃度の1000倍にて調製した。この刺激物質1.5μL(1/1000容量)と脾臓細胞300μLを混合し、40%FBSを含むRPMI1640培地で、細胞濃度2x10cells/mLに調製し、4日間37℃のCOインキュベーターで培養した。
培養後、細胞溶液100μLを96well plateに分注し、37℃のCOインキュベーターで2時間保温した。そこにCell Counting kit−8(Dojindo社製)を10mL添加し、さらに1時間保温した。マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定し、ブランクとして650nmの吸光度を測定した。450nmの測定値から650nmの測定値を減じ、測定値を得た。それぞれの測定値を刺激物質無添加の場合の測定値で割ることにより、比増殖率を得た。得られた結果を図9A及び図9Bに示す。なお、グラフの縦軸は比増殖率を示し、横軸は添加した刺激物質の種類を示している。
また、培養後の残りの細胞を回収し、ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてTotal RNAを回収した。このTotal−RNA600ngを鋳型として、ReverTra Ace(TOYOBO社)を用いて逆転写反応を実施した。反応組成は、メーカープロトコールに従い20μLの容量で、プライマーとして、Oligo(dT)20(TOYOBO社)を用いた。反応条件は、42℃20分、99℃5分、4℃5分で実施した。この産物1μLをテンプレートとして、PowerSYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を用いてReal−time PCRを実施した。反応条件は、95℃10分→(95℃15秒、60℃1分)を40サイクルで行った。また、本例で使用した機材は、7500Fast(Applied Biosystems社)であった。得られた結果を内部標準であるβアクチンで標準化した。この数値を無添加の場合の値でさらに標準化してグラフ化した。得られた結果を、図10A〜図10D、図11A及び図11B、図12A及び図12B、図13、図14、図15及び図16に示す。
刺激物質組み合わせ検討の結果を示す一連のグラフから、細胞増殖に関しては、antiCD40刺激とLPS刺激が効果的であることが明らかとなった。しかし、その際にLPSとantiCD40が共存する場合には増殖が抑えられることが明らかとなった。これは、細胞に入る刺激が強すぎた結果、アポトーシスが誘導されたことによると思われる。
一方、プラズマ細胞の分化マーカーの発現量は、LPS、antiCD38、IL5のいずれかを添加した場合に増加しており、これら刺激によって分化が進行することが示唆された。また、これら刺激を複合して添加することで、発現量の増大が確認された。また、LPSには細胞増殖効果も存在するため、共存させることで全体の細胞数が増加し、結果として発現量が減少するという結果が得られた。また、分化マーカーの発現量がいずれか2種を添加することで、ほぼ飽和していることから、分化刺激は現在の使用濃度で充分目的を達していることが明らかとなった。さらに、IL4とantiCD40を添加することで、全体の細胞数が上昇するので、結果として発現量は減少しているが、ここにIL5やantiCD38、LPSを添加することで分化マーカーの発現量を上昇させることが可能であることを確認できた。
さらに、体細胞変異のマーカー発現量は、同様にLPS、antiCD38、IL5のいずれかを添加した場合に増加していた。細胞があまり増殖しない条件(IL4、antiCD40、LPSが存在しない条件)ではIL5とantiCD38刺激によって体細胞変異マーカーの発現量が増大するが、細胞が増殖する条件ではLPS刺激によるマーカー発現量の増大が確認された。これは、LPSによって抗原非依存的にB細胞の活性化・分化が進行することを示唆している。LPSは大腸菌のペプチドグリカンを構成するリポ多糖であり、これが共存している状態は、生体内では微生物に感染した状態であることを意味している。生体防御という観点から、LPS刺激によって、B細胞の体細胞変異・活性化を誘導し、より適した抗体を産生する細胞を作りだす働きが免疫担当細胞に備わっていることが考えられる。
今回の体外免疫方法では、まずもともとの脾臓細胞中に存在したB細胞のうち、目的の抗体を産生している細胞はIL4、antiCD40によって増殖し、IL5、antiCD38によって体細胞変異をうけ、アフィニティのバリエーションをもった細胞群となることが予想された。また、抗原と反応しない細胞はLPS刺激によって増殖・体細胞変異をうけ、抗原と反応できるように変異を蓄積していくシステムであることが示唆された。
実施例7
本例では、サイトカイン濃度の上限と下限のマーカー発現量の実験方法について説明する。
BALB/cマウス(4週齢、♀、SPF/VAF)を頸椎脱臼にて殺し、マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、70%エタノールで洗浄した。さらに、PBSで洗浄した後、2匹分の脾臓をセルストレイナー上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした。セルストレーナーを4mLのPBS(−)で3回洗浄することで脾臓細胞をセルストレイナーから溶出させた。これを遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えることで赤血球を除去し、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して脾臓細胞を回収した。この脾臓細胞をRPMI1640培地10mLに懸濁させ、セルストレイナーを通すことにより、不溶性の脂肪等を除去した。細胞数を血球計算版を用いて計測し、1x10cells/mLになるように濃縮した。
抗原として精製したhS100A10蛋白質を用い、0.1nmolもしくは1nmolを用いて、脾臓細胞1x107cellsを免疫した。この際、アジュバントとしてムラミルジペプチド(SIGMA社)を50μg添加した。免疫反応は室温で15分静置して実施した。刺激物質(IL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体、LPS)は下記の第3表の終濃度になるように調製した。この刺激物質と、免疫した脾臓細胞を混合し、40%FBSを含むRPMI1640培地で、細胞濃度2x10cells/mLに調製し、4日間37℃のCOインキュベーターで培養した。
培養後、全ての細胞を回収し、ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてTotal RNAを回収した。このTotal−RNA600ngを鋳型として、ReverTra Ace(TOYOBO社)を用いて逆転写反応を実施した。反応組成は、メーカープロトコールに従い20μLの容量で、プライマーとして、Oligo(dT)20(TOYOBO社)を用いた。反応条件は、42℃20分、99℃5分、4℃5分で実施した。この産物1μLをテンプレートとして、PowerSYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を用いてReal−time PCRを実施した。反応条件は、95℃10分→(95℃15秒、60℃1分)を40サイクルで行った。また、本例で使用した機材は、7500Fast(Applied Biosystems社)であった。得られた結果を内部標準であるβアクチンで標準化した。この数値を無添加の場合の値でさらに標準化してグラフ化した。得られた結果を図17A及び図17Bに示す。
サイトカイン濃度の上限と下限のマーカー発現量の結果を示す図17A及び図17Bにおいて、グラフの横軸は調べたマーカー遺伝子の名称を示し、縦軸はmRNAの発現量を示す。グラフの縦軸において、数値が0.05減少した場合、mRNA発現量が約2倍になったと換算できる。
図から、抗原濃度が0.nmolでも1nmolでも、上限及び下限の刺激物質濃度で、無添加の場合と同等もしくはそれ以上のマーカーの発現を確認することができた。このことから、これらの範囲で刺激物質を添加することで抗原によって免疫された細胞が、形質細胞に分化し、その過程で抗体の親和性成熟やクラススイッチが発生していることが示唆された。
実施例8
本例では、B細胞の分化の検討の実験方法について説明する。
BALB/cマウス(4週齢、♀、SPF/VAF)を頸椎脱臼にて殺し、マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、70%エタノールで洗浄した。さらに、PBSで洗浄した後、2匹分の脾臓をセルストレイナー上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした。セルストレーナーを4mLのPBS(−)で3回洗浄することで脾臓細胞をセルストレイナーから溶出させた。これを遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えることで赤血球を除去し、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して脾臓細胞を回収した。この脾臓細胞をRPMI1640培地10mLに懸濁させ、セルストレイナーを通すことにより、不溶性の脂肪等を除去した。細胞数を血球計算版を用いて計測し、1x10cells/mLになるように濃縮した。
抗原として精製したhS100A10蛋白質1nmolを用いて、脾臓細胞2x10cellsを免疫した。この際、アジュバントとしてムラミルジペプチド(SIGMA社)を100μg添加した。免疫反応は室温で15分静置して実施した。刺激物質(IL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体、LPS)は標準の終濃度の1000倍になるように調製した。この刺激物質10μLと、免疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、40%FBSを含むRPMI1640培地で、細胞濃度2x10cells/mLに調製し、4日間37℃のCOインキュベーターで培養した。コントロールとして、抗原のみ添加したものと刺激物質のみ添加したもの、無添加のものを同時に行った。
培養後、全ての細胞を回収し、1x10cells/mLになるように、染色バッファー(0.5%BSA,2mM EDTAを含むPBS(−)バッファー)に懸濁した。この細胞20μLを抗体で染色した。染色方法は、下記の第4表に記載の通りである。
染色した細胞を500mLの染色バッファーに懸濁し、FACSCaliberを用いて、解析した。各細胞の陽性率を測定し、グラフ化した。得られた結果を、図18A、図18B、図19A〜図19Dに示す。グラフは、縦軸が各細胞の陽性率で、横軸に抗原・刺激の有無を示す。
B細胞の分化の検討の結果を示す一連のグラフから、脾臓細胞を生体外で免疫することによって、B細胞の活性化・増殖及び、プラズマ細胞への分化を確認した。B細胞の活性化・成熟は、抗原ではなく刺激物質によって引き起こされていることが明らかとなった。抗原のみの場合は、プラズマ細胞への分化は確認されたが、B細胞の成熟はあまり確認されなかったことから、プラズマ細胞への分化は主に抗原刺激によって引き起こされていることが示唆された。B細胞の増殖は抗原のみを添加した場合でも刺激物質のみを添加した場合と同様に確認できたことから、B細胞の増殖に関してはアジュバントによる効果であることが示唆された。これは、アジュバントの構造がLPSの末端構造と同一であることと、LPSによって細胞増殖が観察されるという結果からも示唆される。
得られたプラズマ細胞の割合が、刺激物質のみを添加した場合においても上昇していたことから、抗原非依存的に分化し得ることが示唆された。
また、脾臓中のB細胞は、抗原や刺激物質によって、T1−B細胞→T2−B細胞→B2細胞→Activated B細胞と成熟し、プラズマ細胞に分化していく。実際、今回の手法によってB細胞がより成熟し、特にB2細胞が免疫しない場合に比べて大幅に増加していることが明らかとなった。
また、Actibated−B細胞の割合が免疫の有無によってほとんど変化がなかったことから、Actibated−B細胞からプラズマ細胞への分化は非常に迅速に行われていることが示唆された。抗原と刺激物質を共に添加した場合、刺激物質のみ添加した場合と比較して、B2細胞の割合が上昇していた。このことから、抗原が同時に添加されることによって、抗原依存的なB細胞の活性化が優先され、抗原非依存的な活性化が減少することが示唆された。つまり、今回の体外免疫法によって、目的の抗体を産生している細胞を優先的に分化させ得ることが示唆された。
実施例9
本例では、B細胞分化の検討マーカー発現量の実験方法について説明する。
BALB/cマウス(4週齢、♀、SPF/VAF)を頸椎脱臼にて殺し、マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、70%エタノールで洗浄した。さらに、PBSで洗浄した後、2匹分の脾臓をセルストレイナー上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした。セルストレーナーを4mLのPBS(−)で3回洗浄することで脾臓細胞をセルストレイナーから溶出させた。これを遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えることで赤血球を除去し、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して脾臓細胞を回収した。この脾臓細胞をRPMI1640培地10mLに懸濁させ、セルストレイナーを通すことにより、不溶性の脂肪等を除去した。細胞数を血球計算版を用いて計測し、1 x 10cells/mLになるように濃縮した。
抗原として精製したhS100A10蛋白質1nmolを用いて、脾臓細胞2x10cellsを免疫した。この際、アジュバントとしてムラミルジペプチド(SIGMA社)を100μg添加した。免疫反応は室温で15分静置して実施した。刺激物質(IL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体、LPS)は標準の終濃度の1000倍になるように調製した。この刺激物質10μLと、免疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、40%FBSを含むRPMI1640培地で、細胞濃度2x10cells/mLに調製し、4日間37℃のCOインキュベーターで培養した。コントロールとして、抗原のみ添加したものと刺激物質のみ添加したもの、無添加のものを同時に行った。
培養後、全ての細胞を回収し、ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてTotal RNAを回収した。このTotal−RNA600ngを鋳型として、ReverTra Ace(TOYOBO社)を用いて逆転写反応を実施した。反応組成は、メーカープロトコールに従い20μLの容量で、プライマーとして、Oligo(dT)20(TOYOBO社)を用いた。反応条件は、42℃20分、99℃5分、4℃5分で実施した。この産物1μLをテンプレートとして、PowerSYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を用いてReal−time PCRを実施した。反応条件は、95℃10分→(95℃15秒、60℃1分)を40サイクルで行った。また、本例で使用した機材は、7500Fast(Applied Biosystems社)であった。得られた結果を内部標準であるβアクチンの数値を、同時に測定したPlasma細胞もしくはActivated B細胞の割合とかけあわせることでそれぞれの細胞由来のβアクチンの発現量を得た。このPlasma細胞由来のβアクチンの発現量でBlimp−1及びXbp−1の発現量を、Activated B細胞由来のβアクチンの発現量でBcl−6及びAIDの発現量をそれぞれ標準化した。この値を、無添加の場合でさらに標準化し、グラフ化した。得られた結果を図20A〜図20Dに示す。
B細胞分化の検討マーカー発現量の結果を示す一連のグラフからわかるように、抗体染色の結果と同様に、抗原を添加した場合にプラズマ細胞への分化マーカーであるBlimp−1やXbp−1の発現量が上昇していた。また、体細胞変異のマーカーであるBcl−6やAIDは、刺激物質を添加することによって高発現となることが明らかとなった。これにより、抗原のみでなく、刺激物質を加えることで、より高親和性の抗体が得やすくなる可能性があることが確認された。
さらに、抗原と刺激物質を共に加えた場合に、刺激物質のみを加えた場合よりも体細胞変異マーカーの発現量が減少していることから、特定の抗原が共存することで、体細胞変異をある程度抑制し、変異が入りすぎることによる活性の低下を防ぐシステムがあることが示唆された。
また、免疫前の脾臓細胞では、分化マーカーはほとんど発現していないが、体細胞変異マーカーは高い発現量を示した。これは、体細胞変異によって抗体のレパートリーを増やす反応を常に行っているためであると考えられる。
実施例10
本例では、ELISA実験方法について説明する。
5ml LB培地で培養し集菌した後,1mlのPBSに懸濁して超音波破砕を行い,可溶性のMBP−scFvを含む破砕上清画分を採取した。
この上清画分を3% BSA/PBSで50倍に希釈し、この50μlをELISA法に用いた。得られた結果を図21〜図24に示す。
図21に示すELISA法では、本体外免疫法に則り、モデル抗原として、Hen Egg Lysozyme(HEL)を免疫し構築したanti−HEL/MBP−scFvの活性をELISAにより測定した。抗原特異性を調べるために、β−Casein,S100A2,S100A14,Hen Egg LysozymeをそれぞれコートしたELISAプレートを用いて測定を行った。この結果、本法を用いることでHen Egg Lysozymeに対して明らかに特異性のあるscFvが得られていることが確認された。
図22に示すELISA法では、本体外免疫法の変法として、Splenocyteに代えて、MACSを用いて分離した、B細胞に対してHen Egg Lysozymeを免疫した。図21と同様にして、構築したanti−HEL/MBP−scFvの特異性を確認したところ、十分な特異性を持つscFvが得られていることが確認された。このことから、本法では、分離されたB細胞に対しても、直接的に有効な免疫操作が可能であることが示された。
図23に示すELISA法では、本体外免疫法で目的のscFvの遺伝子配列が得られる。これを利用することで、scFvにさらに機能を付け加えることも可能である。その一例として、anti−HEL/MBP−scFvのC末端に蛍光蛋白質の1つであるEGFPを融合させた、anti−HEL/MBP−scFv−EGFPを作製した。scFvとEGFPの間は,GlyおよびGly−Gly−Gly−Gly−Glyといった長さの異なるリンカーを介したものを2種類作製した。図21と同様にして、構築したMBP−scFv−EGFPの特異性を確認したところ、Hen Egg Lysozymeに対して特異性を持ち、且つ、蛍光を有するscFvの作製が可能であることが確認された。
蛋白質以外のモデル抗原として、本法に則りペプチドを免疫した。一般の免疫方法では、ペプチドの様な低分子量のものは、KLHやBSA等の蛋白質にコンジュゲートしたものを抗原として用いるが、本法では、体外においてB細胞を直接標的にすることから、ペプチドそのものでも免疫反応が生じると考えられる。そこで、長さの異なる4種類のペプチドをモデル抗原として用い、ペプチドを直接免疫した。用いたペプチドは、次の通りである:β−cosomorphin−7(Bovine;YPFPGPI,7 a.a.),Angiotensin I(Human;DRVYIHPFHL,10 a.a.),Parathyroid Hormone;PTH(Human;EADKADVNVLYKAKSQ,16 a.a.)。各ペプチドをPBSに溶かし、10μgを免疫した。
図24に示すELISA法では、本法に則り構築したanti−β−Casomorphin7/MBP−scFv,anti−Angiotensin I/MBP−scFv,anti−PTH/MBP−scFvの活性をELISAにより測定した。特異性を調べるために、β−Casomorphin−7,Angiotensin I,PTHをそれぞれコートしたELISAプレートを用いて測定を行った。この結果、各ペプチドに対して有意に特異性を持つscFvが得られることが確認された。本法では、ペプチドそのものを抗原として添加するだけで、短いペプチドに対してもscFvの取得が可能であることが示された。
実施例11
本例では、抗mouse(マウス)蛋白質抗体の取得実験方法について説明する。
BALB/cマウス(4週齢、♀、SPF/VAF)を頸椎脱臼にて殺し、マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、70%エタノールで洗浄した。さらに、PBSで洗浄した後、2匹分の脾臓をセルストレイナー上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした。セルストレーナーを4mLのPBS(−)で3回洗浄することで脾臓細胞をセルストレイナーから溶出させた。これを遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えることで赤血球を除去し、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して脾臓細胞を回収した。この脾臓細胞をRPMI1640培地10mLに懸濁させ、セルストレイナーを通すことにより、不溶性の脂肪等を除去した。細胞数を血球計算版を用いて計測し、1x10cells/mLになるように濃縮した。
抗原として精製したhS100A10蛋白質及び、購入したmAlbumin(SIGMA社)を用いた。それぞれ1nmol、10nmolを用いて、脾臓細胞2x10cellsを免疫した。この際、アジュバントとしてムラミルジペプチド(SIGMA社)を100μg添加した。免疫反応は室温で15分静置して実施した。刺激物質(IL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体、LPS)は標準の終濃度の1000倍になるように調製した。この刺激物質10μLと、免疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、40%FBSを含むRPMI1640培地で、細胞濃度2x10cells/mLに調製し、4日間37℃のCOインキュベーターで培養した。
培養後、全ての細胞を回収し、ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてTotal RNAを回収した。このTotal−RNA600ngを鋳型として、ReverTra Ace(TOYOBO社)を用いて逆転写反応を実施した。反応組成は、メーカープロトコールに従い20μLの容量で、プライマーとして、Oligo(dT)20(TOYOBO社)を用いた。反応条件は、42℃20分、99℃5分、4℃5分で実施した。この産物10μLをテンプレートとして、PCRによって抗体のH鎖及びL鎖の超可変領域を増幅した。PCRにはPrimeSTAR HS(TaKaRa社)を用い、反応組成・反応条件はメーカープロトコールに従った。得られた400bpのフラグメントをアガロースゲル電気泳動(2.0% Seakem GTG Agarose(TaKaRa社)/TAEバッファー、150V 30min)によって分離し、QIAEX II Gel Extraction kit(QIAGEN社)を用いて抽出精製した。実験方法は、メーカープロトコールに従った。抽出したフラグメント各50ngをテンプレートとして、PCRによって800bpのscFvフラグメントを調製した。PCRにはPrimeSTAR HS(TaKaRa社)を用い、反応組成・反応条件はメーカープロトコールに従った。得られた800bpのフラグメントを制限酵素KpnIおよびHindIII(共にTOYOBO社製)で切断し、pMal−c2Eベクター(NEB社)にサブクローニングした。
サブクローニングしたDNAを用いて、大腸菌JM109株を形質転換し、得られたクローンをOvernight Express Auto Induction System(Novagen社)を添加したLB培地5mLで培養した。27℃で一晩培養した後、1.5mLの培養液から菌体を回収し、1mM AEBSF(SIGMA社)を含むBugBuster ProteinExtraction Reagent 300μLで可溶性蛋白質を回収した。
回収した可溶性蛋白質5μLをSDS−PAGE法(10% ポリアクリルアミドゲル、25mA 60min)でMBP−scFvの発現を確認した。
また、ELISA法を用いて、抗体のアフィニティを検証した。ELISA用のプレートとして、mS100A10もしくはmAlbuminを固定化したプレートを調製した。1ウェル当たり、1μgの蛋白質を添加し、4℃で一晩固定化した。PBS(−)で洗浄後、mS100A10 plateは3%BSA(牛血清アルブミン(和光純薬社))/PBS(−)で、mAlbumin plateは1% HEL(ニワトリ卵白リゾチーム(生化学工業社))/PBS(−)で、それぞれブロッキングを行った。室温で1時間ブロッキングを行った後、PBSで洗浄した。このように調製したプレートに、MBP−scFv抗体サンプルを添加した。抗体はmS100A10 plateに添加するものは3%BSA/PBS(−)で、mAlbumin plateに添加するものは1% HEL/PBS(−)で、それぞれ50倍に希釈し、室温で30分間静置した。このサンプル50μLを調製したプレートに添加し、37℃で1時間反応させた。PBS(−)で洗浄後、2次抗体(anti−MBP,HRP conjugate(NEB社))をPBS(−)で2000倍に希釈した溶液を50μL添加し、37℃で1時間反応させた。PBS(−)で洗浄後、SureBlue Reserve(KPL社)を100μL添加して、発色させた。発色反応は室温で3分間行い、反応を停止するために1N HCl(和光純薬社)を100μL添加した。その後、マイクロプレートリーダーモデル680(BioRad社)で450nm/655nmの吸光度を測定した。
測定値から、ブランクの値を差し引き、グラフ化した。グラフの縦軸には吸光度を、横軸にはサンプルNoを記載した。mAlbuminを免疫したクローンはmAlbuminplateでの値をポジティブ値、mS100A10 plateでの値をネガティブ値とした。特に差の見られたクローンには星印を加えた。
また、ポジティブ値をネガティブ値で割り、マイナスの値を示し、かつポジティブ値が正の値を示したクローンを++、2以上の値を示したクローンを+、1〜2の値を示したクローンを±、1以下の値を示したクローンを−と定義し、それぞれの陽性率をグラフ化した。このようにして得られた結果を図25〜図29に示す。
抗mouse蛋白質抗体の取得結果を示す一連のグラフから理解されるように、mS100A10に関しては、多数の抗体を取得することができた。抗体のアフィニティ分布を調べた結果、高濃度の抗原を免疫することで、アフィニティのないクローンが多数得られた。しかしながら、高アフィニティの抗体の陽性率は低濃度の抗原で免疫した場合と大差ないことから、体細胞変異の頻度が上昇したため、抗原に反応できなくなったクローンが増加したと考えられる。このことから、抗原性の低い抗原を使用する場合は、なるべく高濃度に使用することで、より目的に即した抗体を得られる可能性が示唆された。
一方、mAlbuminに対する抗体は、非常の取得困難であることが明らかとなった。この原因として、マウスの血液中に多量に存在しているので、これに対する抗体を作成しやすいと自己免疫疾患になる確率が急上昇する。このため、骨髄から脾臓に免疫担当細胞が運ばれる前にセレクションを受けて可能性のあるクローンを排除していることが考えられる。よって、これらに対する抗体を作製する場合には、骨髄から免疫担当細胞を取得して免疫する方が効率よく抗体を取得できる可能性がある。さらに、mS100A10抗体を取得した結果から、10nmolよりも濃い濃度で免疫することで効率よく抗体を取得できる可能性が示唆された。また、弱いながらも、mAlbuminに反応する抗体が取得できているため、遺伝子に人為的に変異を導入することで、目的の抗体を取得する手法も採用することができる。
実施例12
本例では、抗低分子化合物抗体の取得及び実験方法について説明する。
BALB/cマウス(4週齢、♀、SPF/VAF)を頸椎脱臼にて殺し、マウスの脾臓を肉眼で確認した後、摘出し、70%エタノールで洗浄した。さらに、PBSで洗浄した後、2匹分の脾臓をセルストレイナー上に乗せ、セルスクレイパーにてすりつぶした。セルストレーナーを4mLのPBS(−)で3回洗浄することで脾臓細胞をセルストレイナーから溶出させた。これを遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)し、細胞を回収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、10mL PBS(−)を加えることで赤血球を除去し、遠心分離(1300rpm x 3min,4℃)して脾臓細胞を回収した。この脾臓細胞はRPMI1640培地10mLに懸濁し、セルストレイナーを通すことにより、不溶性の脂肪等を除去した。細胞数を血球計算版を用いて計測し、1x10cells/mLになるように濃縮した。
抗原としてHEL−Cy3蛋白質及びHEL−ITCを用いた。それぞれCy3 Mono Reactive Dye Pack(GEヘルスケア社)、FITC(フナコシ社)を用いてHEL(生化学工業社)をラベル化した。ラベル化率を測定し、低分子化合物1nmol相当を用いて、脾臓細胞2x10cellsを免疫した。この際、アジュバントとしてムラミルジペプチド(SIGMA社)を100μg添加した。免疫反応は室温で15分静置して実施した。刺激物質(IL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体、LPS)は標準の終濃度の1000倍になるように調製した。この刺激物質10μLと、免疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、40%FBSを含むRPMI1640培地で、細胞濃度2x10cells/mLに調製し、4日間37℃のCOインキュベーターで培養した。
培養後、全ての細胞を回収し、ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてTotal RNAを回収した。このTotal−RNA600ngを鋳型として、ReverTra Ace(TOYOBO社)を用いて逆転写反応を実施した。反応組成は、メーカープロトコールに従い20μLの容量で、プライマーとして、Oligo(dT)20(TOYOBO社)を用いた。反応条件は、42℃20分、99℃5分、4℃5分で実施した。この産物10μLをテンプレートとして、PCRによって抗体のH鎖及びL鎖の超可変領域を増幅した。PCRにはPrimeSTAR HS(TaKaRa社)を用い、反応組成・反応条件はメーカープロトコールに従った。得られた400bpのフラグメントをアガロースゲル電気泳動(2.0% Seakem GTG Agarose(TaKaRa社)/TAEバッファー、150V 30min)によって分離し、QIAEX II Gel Extraction kit(QIAGEN社)を用いて抽出精製した。実験方法は、メーカープロトコールに従った。抽出したフラグメント各50ngをテンプレートとして、PCRによって800bpのscFvフラグメントを調製した。PCRにはPrimeSTAR HS(TaKaRa社)を用い、反応組成・反応条件はメーカープロトコールに従った。得られた800bpのフラグメントを制限酵素KpnI及びHindIII(共にTOYOBO社製)で切断し、pMal−c2Eベクター(NEB社)にサブクローニングした。
サブクローニングしたDNAを用いて、大腸菌JM109株を形質転換し、得られたクローンをOvernight Express Auto Induction System(Novagen社)を添加したLB培地5mLで培養した。27℃で一晩培養したのち、1.5mLの培養液から菌体を回収し、1mM AEBSF(SIGMA社)を含むBugBuster ProteinExtraction Reagent 300μLで可溶性蛋白質を回収した。
回収した可溶性蛋白質5μLをSDS−PAGE法(10% ポリアクリルアミドゲル、25mA 60min)でMBP−scFvの発現を確認した。
図30は、抗低分子化合物抗体の取得を示す電気泳動写真を示したものである。Cy3−HEL、FITC−HELともに、目的の蛋白質(図中の矢印部分)の高発現を確認できた。このことから、目的の抗体を取得できたことが示唆された。
以上に説明したように、本発明によれば、抗原抗体反応に基づいた疾病の診断における抗体の作製を短期間に大量に行えることから、疾病診断に限らず、免疫学的マーカー検査分野の拡大を促進することができる。また、抗原抗体反応に基づいた疾病の治療に利用する抗体を短期間に多種類取得できることから、抗体医薬分野の拡大を促進することができる。
さらには、腎臓癌マーカーの1つであるS100A10タンパク質の検出を可能とする抗体の作製を短期間に大量に行えることから、抗体の製造コストが下がり、癌検診を目的とした尿検査を頻繁に低コストでできるようになる。

Claims (12)

  1. 体外で免疫用細胞を含む組織を抗原と刺激物質を含む培養液中で免疫する工程と、
    前記免疫された細胞を選別する工程と、
    前記選別された免疫細胞から抗体を得る工程とを含む抗体作製方法。
  2. 前記免疫細胞から、PCR増幅手法により増幅抗体遺伝子を取得した後、宿主細胞により抗体又は抗体に類する蛋白質の発現調製をするステップをさらに含む請求項1に記載の抗体作製方法。
  3. 前記組織が免疫用動物である請求項1に記載の抗体作製方法。
  4. 前記選別された細胞が、クラススイッチ若しくはアフィニティマチュレーションの発生した細胞である請求項1に記載の抗体作製方法。
  5. 前記免疫された細胞の選別が、フローサイトメトリー又は染色による請求項1に記載の抗体作製方法。
  6. 前記刺激物質が、免疫担当細胞上に発現しているサイトカイン受容体、表面抗原又はシグナル伝達に関与する受容体を刺激する物質である請求項1に記載の抗体作製方法。
  7. 前記抗原がペプチドである請求項1に記載の抗体作製方法。
  8. 前記抗原がS100 familyに属するタンパク質であり、一本鎖抗体scFv(single chain variable fragment)若しくは抗体IgG1(Immunogloblin G1)を取得する請求項1に記載の抗体作製方法。
  9. 前記抗原がS100A10タンパク質であり、一本鎖抗体scFv(single chain variable fragment)若しくは抗体IgG1(Immunogloblin G1)を取得する請求項1に記載の抗体作製方法。
  10. 前記刺激物質が、サイトカイン受容体に対する刺激物質としての、IL−4又はIL−5、表面抗原に対する刺激物質としての、anti−CD38抗体又はanti−CD40抗体、及びシグナル伝達に関与する受容体に対する刺激物質としてのLPS(Lipopolysaccharide)の少なくとも1つである請求項6に記載の抗体作製方法。
  11. 体外で免疫用細胞を含む組織と、IL−4、IL−5、anti−CD38抗体、anti−CD40抗体及びLPSからなる群から選ばれた1以上の刺激物質を含む培養液中で免疫して抗体を作製する請求項1に記載の抗体作製方法。
  12. 選別された前記抗体遺伝子アミノ酸配列を決定する工程と、
    このアミノ酸配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーと比較し、ホモロジー(相同性)の高い配列をヒト抗体のアミノ酸配列ライブラリーから選択し又は改変調整してヒト化抗体遺伝子を形成する工程とをさらに含む請求項1に記載の抗体作製方法。
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