JP4915919B2 - インターフェロン産生細胞の活性調節剤 - Google Patents
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Description
全身性エリテマトーデス(Shiozawa et al., Arthr. & Rheum. 35, 412, 1992)
慢性関節リウマチ(Hopkins et al.,Clin. Exp. Immunol. 73, 88, 1988)
更に組み換えIFNα2の投与によって自己免疫疾患症状が発現あるいは悪化した症例が報告されている(Wada et al., Am.J. Gastroenterol. 90, 136, 1995; Perez et al., Am. J. Hematol. 49, 365, 1995)。
Shiozawa et al., Arthr. & Rheum. 35, 412, 1992 Hopkins et al.,Clin. Exp. Immunol. 73, 88, 1988 Wada et al., Am.J. Gastroenterol. 90, 136, 1995 Perez et al., Am. J. Hematol. 49, 365, 1995 Blanco et al., Science, 16:294,1540-1543,2001
BDCA2は、IPC特異抗原として同定された。IPCにおけるBDCA2の発現は恒常的である。つまりBDCA2を認識する抗体は、IPCの活性化のレベルとは無関係に、IPCに結合する。ところがIFNは活性化されたIPCによって産生される。したがって、活性化されたIPCに選択的に作用する抗体を得ることができれば理想的である。またBDCAを認識するモノクローナル抗体以外の報告においては、モノクローナル抗体が認識する抗原分子やその発現パターンは同定されていない。
更に本発明者らは、BST2およびそのホモログがIPCの活性化の指標として利用できることを見出し本発明を完成した。すなわち本発明は、以下のIPC活性の調節剤、調節方法、その製造方法、活性化IPCの検出と分離方法、IPCの活性化レベルの測定方法、あるいはIPCの活性化を調節する作用の検出方法、そして当該作用を有する物質のスクリーニング方法に関する。
〔1〕BST2およびそのホモログのいずれかまたは両方を認識する抗体を有効成分として含有するインターフェロン産生細胞の活性抑制剤。
〔2〕インターフェロン産生細胞の活性が、インターフェロン産生活性およびインターフェロン産生細胞の生存のいずれか、または両方である〔1〕に記載のインターフェロン産生細胞の活性抑制剤。
〔3〕インターフェロン産生細胞の活性が、インターフェロン産生活性であり、かつインターフェロンがタイプ1インターフェロンである〔2〕に記載のインターフェロン産生細胞の活性抑制剤。
〔4〕BST2およびそのホモログが、配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質である〔1〕に記載のインターフェロン産生細胞の活性抑制剤。
〔5〕配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質を認識する抗体を有効成分として含有する、〔4〕に記載のインターフェロン産生細胞の活性抑制剤。
〔6〕配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質の全てを認識する抗体を有効成分として含有する、〔4〕に記載のインターフェロン産生細胞の活性抑制剤。
〔7〕BST2およびそのホモログのいずれかまたは両方を認識する抗体をインターフェロン産生細胞に接触させる工程を含む、インターフェロン産生細胞の活性抑制方法。
〔8〕インターフェロン産生細胞の活性が、インターフェロン産生活性およびインターフェロン産生細胞の生存のいずれか、または両方である〔5〕に記載のインターフェロン産生細胞の活性抑制方法。
〔9〕次の工程を含む、インターフェロン産生細胞の活性を抑制する抗体の製造方法。
(1)BST2およびそのホモログのいずれかまたは両方、もしくはその断片を免疫原として免疫動物に投与する工程
(2)(1)の免疫動物の抗体産生細胞から、BST2およびそのホモログのいずれかまたは両方を認識する抗体を産生する抗体産生細胞を選択する工程、
(3)(2)で選択された抗体産生細胞を培養するか、または当該抗体産生細胞が産生する抗体をコードする遺伝子を単離し、この遺伝子を発現可能に保持する細胞を培養する工程、および
(4)(3)の培養物からインターフェロン産生細胞の活性を抑制する抗体を回収する工程。
〔10〕免疫原が、ヒトから採取されたインターフェロン産生細胞である〔9〕に記載の方法。
〔11〕次の(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質を検出する工程を含む、活性化されたインターフェロン産生細胞の検出方法。
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を有するポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
〔12〕次の(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質を有する細胞を単離する工程を含む、活性化されたインターフェロン産生細胞の分離方法。
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を有するポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
〔13〕配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識する抗体を含む、活性化されたインターフェロン産生細胞検出用試薬。
〔14〕配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された少なくとも15塩基からなる連続した塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを含む、活性化されたインターフェロン産生細胞検出用試薬。
〔15〕配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識する抗体を含む、活性化されたインターフェロン産生細胞分離用試薬。
〔16〕次の工程を含む、生体のインターフェロン産生細胞の活性化のレベルを測定する方法。
(1)生体から採取された試料に含まれるインターフェロン産生細胞における、(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質を発現している細胞、およびその発現レベルのいずれかまたは両方を検出する工程、および
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を有するポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)(1)で測定された細胞の数、およびその発現レベルのいずれかまたは両方を、被検者のインターフェロン産生細胞の活性化のレベルに関連付ける工程
〔17〕生体から採取された試料が、体液、皮膚、滑膜組織、造血組織、膿、肺胞洗浄液、および血液細胞を含む可能性のある生検組織試料からなる群から選択されるいずれかの試料である〔16〕に記載の方法。
〔18〕次の工程を含む、被験物質のインターフェロン産生細胞の活性化を調節する作用の検出方法。
(1)インターフェロン産生細胞を被験物質とともに細胞刺激剤と接触させるか、またはインターフェロン産生細胞と被験物質の接触の前、若しくは後に細胞刺激剤と接触させる工程
(2)インターフェロン産生細胞における、(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質の発現レベルを測定する工程、および
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を有するポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
(3) (2)で測定された指標物質の発現レベルを、対照と比較し、発現レベルが対照よりも有意に高い場合に被験物質のインターフェロン産生細胞の活性化を増強する作用が、また対照よりも有意に低い場合には被験物質のインターフェロン産生細胞の活性化を抑制する作用が検出される工程
〔19〕細胞刺激剤がウイルス、ウイルスの構成要素、バクテリアのDNA、およびインターフェロンからなる群から選択される少なくとも1つの細胞刺激剤である〔18〕に記載の方法。
〔20〕次の工程を含む、インターフェロン産生細胞の活性化を調節する作用を有する被験物質のスクリーニング方法。
(1)〔18〕に記載の方法によって、被験物質のインターフェロン産生細胞の活性化を調節する作用を測定する工程、および
(2)対照と比較して前記活性化を調節する作用が大きい被験化合物を選択する工程
〔21〕〔20〕に記載の方法によって選択された被験物質を有効成分として含有する、インターフェロン産生細胞の活性を調節するための医薬組成物。
〔22〕配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識する抗体を含む、インターフェロン産生細胞の活性化を調節する作用を検出するための試薬。
〔23〕配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された少なくとも15塩基からなる連続した塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを含む、インターフェロン産生細胞の活性化を調節する作用を検出するための試薬。
〔24〕次のi)-vi)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
i)配列番号:4、または配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
ii)配列番号:3、または配列番号:5に記載の塩基配列のコード領域を含むポリヌクレオチド;
iii)配列番号:4、または配列番号:6に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を有し、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等なタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
iv)配列番号:3、または配列番号:5に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;および
v)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において、N末端から139〜158位のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
vi)配列番号:6に記載のアミノ酸配列において、N末端から96〜100位のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
〔25〕〔24〕に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含む蛋白質。
〔26〕〔25〕に記載の蛋白質に対する抗体であって、配列番号:4に記載のアミノ酸配列のN末端から139〜158位のアミノ酸配列を含む領域を認識する抗体。
〔27〕〔25〕に記載の蛋白質に対する抗体であって、配列番号:6に記載のアミノ酸配列のN末端から96〜100位のアミノ酸配列を含む領域を認識する抗体。
〔28〕モノクローナル抗体である〔26〕または〔27〕に記載の抗体。
〔29〕〔24〕に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
〔30〕〔24〕に記載のポリヌクレオチド、またはそのポリヌクレオチドを含むベクターを保持する形質転換細胞。
〔31〕〔30〕に記載の形質転換細胞を培養し、培養物から〔25〕に記載の蛋白質を採取する工程を含む、〔25〕に記載の蛋白質の製造方法。
〔32〕FERM ABP-10339として寄託されたハイブリドーマ3D3#7、またはFERM ABP-10340として寄託されたハイブリドーマ3G7#6。
〔33〕FERM ABP-10339として寄託されたハイブリドーマ3D3#7、またはFERM ABP-10340として寄託されたハイブリドーマ3G7#6が産生するモノクローナル抗体、またはその抗原結合領域を含む断片。
〔34〕FERM ABP-10339として寄託されたハイブリドーマ3D3#7、またはFERM ABP-10340として寄託されたハイブリドーマ3G7#6を培養し、培養物に含まれるイムノグロブリンを回収する工程を含む、モノクローナル抗体またはその抗原結合領域を含む断片の製造方法。
〔35〕FERM ABP-10339として寄託されたハイブリドーマ3D3#7、またはFERM ABP-10340として寄託されたハイブリドーマ3G7#6が産生するモノクローナル抗体、またはその抗原結合領域を含む断片を有効成分として含有するインターフェロン産生細胞の活性抑制剤。
また本発明において、マウスにおけるホモログである、マウスBST2HおよびマウスBST2HSも、新規分子として同定された。ヒトと同様に、これらの分子は既知分子であるマウスBST2Dと、スプライシングバリアントの関係にあると考えられた。これらの分子は、マウスIPCのマーカーとして有用である。
その後、抗HM1.24抗体がミエローマを特異的に認識することが明らかにされ、ミエローマの治療を目的としてヒト化抗体が作成された(Ozaki S. et al. Blood 93: 3922, 1999; :WO98/14580)。ヒト化抗HM1.24抗体は、造血組織の癌に対する治療効果を有している(WO02/064159)。現在はその実用化を目指して臨床試験が進められている。以上のようにヒトBST2は、造血器系の腫瘍におけるマーカーとして利用されている。しかし現在のところBST2を認識する抗体とIPCの関連を示唆する報告は無い。
本発明において、BST2とはそのスプライシングバリアントを含む。したがって、これらのスプライシングバリアントは、いずれもヒトBST2あるいはマウスBST2に含まれる。以下スプライシングバリアントをサブタイプと記載することもある。
本発明において明らかにされたヒトとマウスのBST2とそのホモログの塩基配列情報、およびアミノ酸配列情報を以下にまとめた。
塩基配列 アミノ酸配列 アミノ酸配列の長さ
ヒトBST2D 配列番号:1 配列番号:2 (180)
ヒトBST2H 配列番号:3 配列番号:4 (158)
ヒトBST2HS 配列番号:5 配列番号:6 (100)
マウスBST2H 配列番号:7 配列番号:8 (178)
マウスBST2D 配列番号:9 配列番号:10 (172)
マウスBST2HS 配列番号:22 配列番号:23 (105)
[ヒトIPCの細胞表面抗原のプロファイル]
CD4陽性、CD123陽性、
Lineage(CD3、CD14、CD16、CD19、CD20、CD56)陰性、CD11c陰性
したがって、これらの公知のマーカーの発現プロファイルを持ち、IFN産生能を持つ細胞をIPCと言うこともできる。更に、これらのマーカーの発現プロファイルの発現パターンとは異なるプロファイルを持つ細胞群であっても、IFN産生能を有する生体中の細胞はIPCに含まれる。
[マウスIPCの細胞表面抗原のプロファイル]
−CD11c、B220、Ly6C、およびCD45RBが陽性
−CD11b、CD3、CD19が陰性
更に、ヒトあるいはマウスのIPCに共通して見られる特徴として、以下のような特徴を示すことができる。
[細胞の形態上の特徴]
−プラズマ細胞に似ている
−細胞表面が平滑な丸い細胞
−核が比較的大きい
[細胞の機能的な特徴]
−ウイルス感染時に、短期間に大量のType-1 interferonを産生する
−ウイルス感染後、樹状細胞に分化する
たとえば、自己免疫性の疾患の病態とIFNαの関連性が指摘されている。IFNαの大部分がIPCによって産生されている。したがってその産生を抑制すれば、IFNαによってもたらされる病態を緩和することができる。なお本発明において、IPCによるIFN産生抑制とは、IPCが産生するIFNの少なくとも1種類のIFN産生を抑制することを言う。本発明における好ましいIFNは、タイプ1IFNである。中でもIFNαは重要である。
トキシン類:緑膿菌毒素(Pseudomonas Endotoxin; PE)、ジフテリアトキシン、リシン
放射性同位元素:Tc99m、Sr89、I131、Y90
抗癌剤:カリキアマイシン、マイトマイシン、パクリタキセル
蛋白質からなるトキシン類は、2官能性試薬によって抗体あるいはその断片などに結合することができる。あるいは、抗体をコードする遺伝子にトキシン類をコードする遺伝子を接合し、両者の融合蛋白質を得ることもできる。放射性同位元素を抗体に結合する方法も公知である。たとえば、キレート剤を利用して、抗体を放射性同位元素で標識する方法が公知である。更に抗癌剤は、糖鎖あるいは2官能性試薬などの利用により、抗体に結合することができる。
また、Fc受容体に結合したIgGは、細胞内にいったん取り込まれる。その後、エンドソームに発現したFc受容体と結合して、再び血中に放出される現象が明らかにされている。Fc受容体との結合活性が高いIgGは、細胞に取り込まれた後に再び血中に放出される可能性が高まる。その結果、IgGの血中における滞留期間が延長される(Hinton,PR. et al. J Biol Chem. 279:6213-6216. 2004)。その他、Fc領域のアミノ酸配列の改変は、CDC(補体依存性の細胞障害作用;Complement Dependent Cytotoxicity)活性の変化をもたらすとも言われている。これらの改変を施した抗体を本発明における抗体として用いることができる。
(1)BST2またはそのホモログを免疫原として免疫動物に投与する工程
(2)(1)の免疫動物の抗体産生細胞から、BST2を認識する抗体を産生する抗体産生細胞を選択する工程、
(3)(2)で選択された抗体産生細胞を培養するか、または当該抗体産生細胞が産生する抗体をコードする遺伝子を単離し、この遺伝子を発現可能に保持する細胞を培養する工程、および
(4)(3)の培養物からインターフェロン産生細胞の活性を抑制する抗体を回収する工程。
−生体から採取されたIPC
−造血幹細胞などから分化誘導されたIPC
−外来性のBST2またはそのホモログ遺伝子を発現可能に保持する細胞
生体からIPCを採取するためには、たとえば先に述べたような細胞表面マーカーの発現プロファイルに基づいて、目的とする細胞を採取すればよい。複数の細胞表面マーカーを指標として特定の細胞を集めるための方法は公知である。たとえば免疫染色とセルソーターを利用することによって、目的とする発現プロファイルに適合する細胞を容易に分取することができる。たとえばヒトのIPCは、BDCA-2陽性細胞を選択することにより、IPCが濃縮される。ヒトから採取されたIPCは、必要に応じて活性化された後に免疫原として利用される。
IPCは、生体の末梢血あるいは造血組織以外に、培養細胞として得ることもできる。たとえばヒトおよびマウスの造血幹細胞を培養し、IPCに分化させることによって大量に得ることができる。ヒトおよびマウス造血幹細胞をin vitroでIPCに分化させるための条件は公知である。
あるいは、既にIPC特異的であることが明らかな抗体を利用して、当該抗体陽性の細胞をIPCとして分取することもできる。本発明者らが樹立した、マウスIPC特異抗原を認識するモノクローナル抗体産生細胞2E6(WO 2004/013325, FERM-BP-8445)が産生するモノクローナル抗体を、マウスIPCの分取に利用することができる。
次に、融合細胞が有する選択マーカーに基づいて、細胞融合に成功した細胞が選択される。たとえばHAT感受性の細胞株を細胞融合に用いた場合には、HAT培地において成育する細胞を選択することによって、細胞融合に成功した細胞が選択される。更に選択された細胞が産生する抗体が、目的とする反応性を有していることを確認する。
本発明に利用することができるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとして、たとえば、ハイブリドーマ3D3#7あるいは3G7#6を示すことができる。ハイブリドーマ3D3#7およびハイブリドーマ3G7#6は、2005年5月27日付けで独立行政法人産業技術総合研究所内特許生物寄託センターに対して、受領番号FERM ABP-10339および受領番号FERM ABP-10340として寄託されている。以下に、寄託を特定する内容を記載する。
(a)寄託機関の名称・あて名
名称:独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番1号中央第6(郵便番号305-8566)
(b)寄託日:2005年5月27日
(c)受領番号:ABP-10339 (ハイブリドーマ3D3#7)
(c)受領番号:ABP-10340 (ハイブリドーマ3G7#6)
(a)BST2およびそのホモログのいずれかまたは両方に結合する抗体、またはその抗原結合領域を含む断片
(b)(a)の抗体の相補性決定領域を移植したイムノグロブリン、またはその抗原結合領域を含む断片、および
(c)(a)または(b)に記載の成分をコードするポリヌクレオチド
本発明において、IPCの活性を抑制するモノクローナル抗体としては、配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識するモノクローナル抗体を利用することができる。本発明においては、1種類あるいは複数種類のモノクローナル抗体を利用することができる。たとえば、ある特定のBST2またはそのサブタイプを認識する複数種のモノクローナル抗体を配合して、本発明に利用することができる。あるいは、異なるBST2またはそのサブタイプを認識する複数種のモノクローナル抗体を組み合わせて用いることもできる
−定常領域を欠失した抗原結合領域を含む断片(Monoclonal Antibodies : Principles and Practice, third edition, Academic Press Limited. 1995; Antibody Engineering, A Practical Approach, IRL PRESS, 1996)
−モノクローナル抗体の抗原結合領域と宿主のイムノグロブリンの定常領域とで構成されるキメラ抗体(遺伝子発現実験マニュアル 講談社 1994年 (石田 功、安東 民衛 編))
−宿主のイムノグロブリンにおける相補性決定領域(CDR)をモノクローナル抗体のCDRに置換したCDR置換抗体(遺伝子発現実験マニュアル 講談社 1994年 (石田 功、安東 民衛 編))
イムノグロブリンを発現することができるベクターは、細胞に導入することにより投与することができる。生体への投与にあたっては、生体への投与によって細胞に感染させることができるものはそのまま投与することができる。あるいは、いったん生体から分離したリンパ球にベクターを導入して再び生体に戻すこともできる(ex vivo)。
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を含むポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
上記指標物質の検出方法は、公知である。たとえば指標物質(a)または(b)のようなポリヌクレオチドは、各塩基配列に相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのハイブリダイズによって検出することができる。一方(c)または(d)のような蛋白質は、当該蛋白質を認識する抗体を用いて免疫学的に検出することができる。
(1)生体から採取された試料に含まれるインターフェロン産生細胞における、(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質を発現している細胞、およびその発現レベルのいずれかまたは両方を検出する工程、および
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を含むポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)(1)で測定された細胞の数、およびその発現レベルのいずれかまたは両方を、被検者のインターフェロン産生細胞の活性化のレベルに関連付ける工程
たとえば、全身性エリテマトーデス患者の皮膚病変部におけるIPCの蓄積が報告されている(Farkas, L.et al. Am. J. Pathol. 159:237-243.2001)。あるいは、脊椎関節症患者の関節液中におけるIPCの増加が観察されている(Van Krinks. C.H. et al. Rheumatology, 43:453-460. 2004)。これらの生体試料中における前記指標物質の発現レベルを明らかにすることによって、自己免疫症状の程度を評価するための情報を得ることができる。
またウイルス感染においては、感染によって産生が誘導されるサイトカインの種類が、ウイルスの種類によって異なる場合のあることが知られている(Dalod,M. et al. J.Exp.Med.195:517-528.2002)。したがって、本発明の方法によって特にIPCの活性化を刺激するウイルスの種類を予め明らかにしておけば、逆にIPCの活性化を感染源であるウイルスの種類を特定するための診断材料の一つにすることができる。
(1)生体試料中の、下記(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質を発現している細胞および、前記(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質の発現レベルのいずれか、または両方を測定する工程、および
(2)(1)で測定された細胞の数、およびその発現レベルのいずれかまたは両方を、自己免疫疾患あるいはウイルス感染に関連付ける工程
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列からなる蛋白質
本発明においては、対照と比較して、(1)で測定された細胞の数あるいは発現レベルが高い場合には、自己免疫疾患あるいはウイルス感染が検出される。本発明において、対照としては、健常者の測定結果を利用することができる。あるいは、同一の被検者について本発明の検出方法を繰り返すことによって、当該被検者の自己免疫疾患あるいはウイルス感染の症状の変化を追跡することもできる。
細胞を含む試料をモノクローナル抗体と接触させ、試料中のIPCに前記マーカーに結合する抗体を結合させる。細胞試料と抗体は、抗体の免疫学的結合活性が維持できる条件下で接触させられる。具体的には、弱酸性〜弱アルカリ性のpHで、かつ生理食塩水に近い塩濃度のもとで接触させるのが望ましい。試料には、IPCを含む可能性があるあらゆる試料を用いることができる。たとえば、末梢血のリンパ球集団、あるいはリンパ節や脾臓等のリンパ系組織を試料とすることができる。これらの細胞試料の調製方法は公知である。あるいは、造血幹細胞を、IPCに分化させて細胞試料とすることもできる。造血幹細胞を含む細胞集団を、in vitroで、あるいはin vivoにおいてIPCに分化させる方法は公知である。人為的に分化させたIPCの検出あるいは同定は、IPCへの分化に必要な条件の探索において有用である。
その他、抗体を、適当な固相に結合しておくこともできる。プレートやチューブの内壁、カラムやキャピラリーの内壁、あるいはビーズ状の固相の表面などが固相として利用される。
本発明の抗体は、間接的に標識することもできる。たとえば、ラット由来の抗体は、ラットイムノグロブリンを認識する標識抗体によって、間接的に標識することができる。抗体を間接的に標識するための標識抗体は、一般に二次抗体と呼ばれる。
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を含むポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
(1)IPCにおける、前記(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質の発現レベルを測定する工程、および
(2)(1)で測定された指標物質の発現レベルが、刺激を与えないIPCと比較して上昇していた場合に、被検細胞が活性化されていると判定する工程
あるいは、(1)で測定された指標物質の発現レベルが、刺激を与えないIPCと比較して上昇していた場合に、活性化されたIPCが検出される。
(1)IFN産生細胞を被験物質とともに細胞刺激剤と接触させるか、またはIFN産生細胞と被験物質の接触の前、若しくは後に細胞刺激剤と接触させる工程
(2)IFN産生細胞における、(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質の発現レベルを測定する工程、および
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列を含むポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列を有する蛋白質
(3) (2)で測定された指標物質の発現レベルを、対照と比較し、発現レベルが対照よりも有意に高い場合に被験物質のIPCの活性化を増強する作用が、また対照よりも有意に低い場合には被験物質のIPCの活性化を抑制する作用が検出される工程
更にex vivoでの評価においては、生体外で調製されたIPCに対して、細胞刺激剤または被験物質を接触させる。接触後のIPCを生体に投与し、更に被験物質または細胞刺激剤を投与する。生体内におけるIPCの活性化のレベルを評価し、被験物質の作用が評価される。IPCの活性化のレベルは、たとえば血中のIFNのレベルを指標として評価することができる。なお生体外におけるIPCの調製とは、生体からIPCを採取すること、あるいはIPCの前駆細胞の分化誘導によって人工的にIPCを調製することを言う。
(1)IFN産生細胞を被験物質とともに細胞刺激剤と接触させるか、またはIFN産生細胞と被験物質の接触の前、若しくは後に細胞刺激剤と接触させる工程
(2)IFN産生細胞における、(a)-(d)のいずれかに記載の指標物質の発現レベルを測定する工程、
(a)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(d)配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列から選択された連続するアミノ酸配列からなる蛋白質
(3) (2)で測定された指標物質の発現レベルを、対照と比較し、発現レベルが対照よりも有意に高い場合に被験物質のIPCの活性化を増強する作用が、また対照よりも有意に低い場合には被験物質のIPCの活性化を抑制する作用が検出される工程、および
(4)対照と比較して前記活性化を調節する作用が大きい被験化合物を選択する工程
IPCは生体中のIFNの大部分を産生する重要な細胞である。したがって、本発明のスクリーニング方法によって得ることができる化合物は、免疫システムの調節剤として重要である。たとえば、本発明に基づくIPCの活性化を抑制する作用を測定する方法を利用して、自己免疫疾患あるいはアレルギーの治療薬のスクリーニング方法が提供される。あるいは本発明は、本発明のスクリーニング方法によって選択された、IPCの活性化を抑制する作用を有する化合物を有効成分として含有する、自己免疫疾患あるいはアレルギーの治療薬に関する。
塩基配列 塩基配列によってコードされるアミノ酸配列
BST2H 配列番号:3 配列番号:4
BST2HS 配列番号:5 配列番号:6
すなわち本発明は、次のi)-vi)のいずれかに記載のポリヌクレオチド、あるいは当該ポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むタンパク質に関する。
i)配列番号:4、または配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
ii)配列番号:3、または配列番号:5に記載の塩基配列のコード領域を含むポリヌクレオチド;
iii)配列番号:4、または配列番号:6に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を有し、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等なタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
iv)配列番号:3、または配列番号:5に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;および
v)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において、N末端から139〜158位のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
vi)配列番号:6に記載のアミノ酸配列において、N末端から96〜100位のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
配列番号:4における139−158位のアミノ酸配列
配列番号:6における96−100位のアミノ酸配列
同様に、配列番号:3あるいは配列番号:5の塩基配列中、これらのアミノ酸配列をコードする塩基配列は、それぞれの遺伝子を特異的に検出するための標的配列として有用である。すなわち、次の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドを検出するためのプローブあるいはプライマーとして有用である。
配列番号:3における418−477位の塩基配列
配列番号:5における289−303位の塩基配列
非極性アミノ酸:Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp
非荷電性アミノ酸:Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln
酸性アミノ酸:AspおよびGlu
塩基性アミノ酸:Lys、Arg、His
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
免疫原とする細胞は以下のようにして調製した。Balb/cマウス雌(4〜6週令)の骨髄細胞を、10ng/mlのFLT-3リガンド(R&D Systems社製)を添加した10%FCS-RPMI1640培地〔10%牛胎児血清(FCS)、およびペニシリン、ストレプトマイシンを含むRPMI1640培地〕にて10日間培養した。10日後、IPC(Interferon producing cell)を、CD11c陽性、CD11b陰性、B220陽性分画としてセルソーター(FACSVantage, Becton Dickinson社製)で分離した。抗体はBecton Dickinson社製のものを用いた。
上記の分離した細胞を、0、4、11日目に、片足あたり1x106個ずつ、完全フロインドアジュバント(CFA:ヤトロン社製)と共にラットのフットパッド(foot pad)へ注入した。12日目に免疫ラットのリンパ節を分離し、リンパ球を採取した。マウスのミエローマ細胞P3x63Ag8.653とラットのリンパ球を4:5の割合で混合し、ポリエチレングリコール(PEG)を加えて細胞を融合した。融合後の細胞を十分に洗浄してHAT培地に分散させ、1ウェルあたり5x104個の細胞を含むように96 well plateにまいた。
Balb/cマウス雌(4〜6週令)の骨髄細胞を、10ng/mlのFLT-3リガンドを添加した10%FCS-RPMI1640培地にて10日間培養した。10日目には約40%の細胞がIPCになった。この細胞を用い、ハイブリドーマ培養上清を1次抗体とし、2次抗体にFITC標識抗ラットIg抗体(BD Pharmingen社製)を用いて染色した。その後、各種抗体(CD11b、CD11c、CD3、CD19、CD45RB、B220、Ly6C;いずれもBecton Dickinson社製)により二重染色し、フローサイトメトリー法により解析(FACS解析)した。
実施例2と同様に培養した骨髄細胞を、培養上清を1次抗体とし、2次抗体にFITC標識抗ラットIg抗体を用いて染色した。その後、セルソーター(FACSVantage, Becton Dekinson社製)を用いて陽性細胞を分離した。サイトスピン後、ギムザ染色し、顕微鏡下にて観察したところ、IPCに特異的な形態を示した(図2a)。すなわち、この細胞の形は丸く、大きな核を有していた。
実施例2と同様に培養した骨髄細胞をSNK01培養上清および2次抗体で染色後、セルソーターにて陽性、陰性細胞を分離した。各々の分画の細胞、1x105個ずつを96 well 丸底プレートに分注し(100μl/well)、インフルエンザウイルスPR8を感染させ、24時間後の培養上清中のIFNαの濃度を以下のようなELISA法にて測定した。
SNK01陽性細胞では、陰性細胞に比べて、高いインターフェロンの産生が認められた。すなわち、モノクローナル抗体SNK01が認識する抗原はIPCに特異的な表面抗原であることが確認できた(図3)。
実施例2と同様に培養したマウス骨髄細胞を1x105個ずつ、96 well丸底プレートに分注した。これにSNK01抗体、またはコントロール抗体であるラットIgGを添加し、37℃にて30分間培養後、インフルエンザウイルスPR8を添加し、37℃にて24時間培養し、培養上清中のIFNαを上記実施例4に示したELISAにより測定した(図4)。その結果、SNK01は濃度依存的にIFNαの産生を抑制した。すなわち、この抗体のマウスIPCに与える作用は、特異的な作用であると考えられた。
1) IPC-cDNAライブラリーの作製
実施例2と同様にFLT-3リガンドで骨髄細胞から誘導したIPCより全RNAをフェノール-グアニジン法により抽出し、oligo-dTカラムによりmRNAを精製した。精製したmRNAからGubler-Hoffman法によりcDNAを合成し、両端にEcoRI-NotIアダプター(インビトロジェン社製)を結合後、スパンカラム(クロマスピン400、クロンテック社製)により未反応のEcoRIアダプターおよび500塩基以下の短いcDNAを除去した。得られた両端にEcoRIサイトを有するcDNAを動物細胞用発現用ベクターpME18s (XhoI断片を除いたもの)のEcoRIサイトにT4リガーゼにより結合し、大腸菌DH10(インビトロジェン社製)にエレクトロポーレーション法により形質転換した。これを100μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地(LB・カルベニシリン)500mlで30℃で一晩培養し、QIA filter plasmid maxi kit (Qiagen社製)により 同キットのプロトコールに従ってplasmidを抽出、精製し、IPC-cDNAライブラリーを得た。
COS7細胞を6cmディシュに5x105個ずつ10枚まき、37℃、5%CO2存在下で20時間培養後、Effectene trasfection Reagent(Qiagen社製)により同製品のプロトコールに従い、上記1)で取得したIPC cDNAライブラリーをtransfectionした。48時間、37℃、5%CO2下で培養後、PBS(Phosphate Buffered Saline)で洗浄、PBS/5mM EDTAで細胞をディシュから剥離し、さらにPBSで洗浄後、セルストレナー(70μm, ファルコン社製)を通した。遠心後(1300rpm, 5分)上清を除去し、PBS/ 0.5%BSA/2mM EDTAを1ml添加して懸濁し、Fc block (ファーミンジェン社製) 40μlを加え4℃で20分間置いた。これにビオチン化したSNK01抗体30〜50μgを加え、氷上で30分間保持した。PBSで洗浄後、100μlのPBSに懸濁し、ストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec社製)10-20μlを加え10℃で15分静置した。PBS/ 0.5%BSA/2mM EDTAで洗浄することにより過剰なストレプトアビジンマイクロビーズを除去し、1mlのPBS/ 0.5%BSA/2mM EDTAに懸濁した。AutoMACS(Miltenyi Biotec社製)でposseldsの条件で細胞を分取した。改良Hirt法(BioTechniques Vol.24,760-762,1998)によりplasmidを抽出、精製した。得られたplasmidを大腸菌DH10にエレクトロポーレーション法により形質転換し、LB・カルベニシリン100mlで30℃で一晩培養し、QIA filter plasmid midi kit (Qiagen社製)により 同キットのプロトコールに従ってplasmidを抽出、精製した。
その結果モノクローナル抗体SNK01が結合したクローンは、配列番号:7および、配列番号:9に記載の塩基配列を有していた。これらの塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を、配列番号:8および配列番号:10に示した。
配列番号:9に記載の塩基配列は、マウスBST2として既知の塩基配列であった(GenBank Acc#.BC027328)。一方、配列番号:7に記載の塩基配列は、配列番号:9の塩基配列と部分的に同一の塩基配列を有していたが、3’末端側に異なる塩基配列が見られ、異なるアミノ酸配列をコードしていた。すなわち、配列番号:8に記載のアミノ酸配列のうち、N末端から139位までのアミノ酸配列は、配列番号:10に記載されたアミノ酸配列と一致した。そして配列番号:8に記載のアミノ酸配列において、N末端から140〜178番目のアミノ酸は、配列番号:8に記載のアミノ酸配列に固有の配列であった。両者はオータナティブスプライシングによって生じたバリアントであると考えられた。これらの知見に基づいて、配列番号:7に記載の塩基配列によってコードされるアミノ酸配列(配列番号:8)からなるタンパク質は、マウスBST2の新規なスプライシングバリアントであると考えられた。以下、配列番号:7に記載の塩基配列からなる遺伝子をmBST2H、配列番号:9に記載の塩基配列からなる遺伝子をmBST2Dとも称する。(図7(a))
上記発現クローニング法により得られたプラスミドをQIA filter plasmid midi kit (Qiagen社製)により再度大腸菌より高度に精製し、もう一度COS7細胞にtransfectionした。48時間後、定法に従って、SNK01抗体およびFITC標識抗ラットIg抗体で反応させ、FACS解析を行うことで、plasmid上にクローン化されているcDNAが、抗原をコードしているかどうかを確認した。
その結果、上記モノクローナル抗体SNK01は、プラスミドを導入したCOS7細胞に対する結合が観察された。したがって、プラスミド上にクローン化されているcDNAは、いずれもこのモノクローナル抗体によって認識された抗原をコードしていることが確認された。
前記モノクローナル抗体が、配列番号:8または配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識し結合することを、ウエスタンブロッティング法によって確認した。配列番号:8または配列番号:10に記載のアミノ酸配列を遺伝子組み換え体として発現させ、本発明のモノクローナル抗体との反応性を確認した。具体的な操作は次のとおりである。
クローニングしたmBST2DおよびmBST2Hをコードするplasmid(1μg)を鋳型として、PCRにより配列番号:7または配列番号:9に記載の塩基配列を有するDNAを増幅した。PCRに用いたプライマーの塩基配列は次のとおりである。
forward primer(配列番号:11):
5'-tttttgctagcgacggatcacatggcgccctctttctatcactatctgcccgtgcccatggatgagatgggggggaagcaagga-3'
reverse primer(配列番号:12)
5'-tttttttctcgagtcctcaaaagagcaggaacagtgac-3'
また反応液の組成は以下のとおりである。
1XGC bufferI,
dNTP mix (0.25 mM ),
LA Taq DNA polymerase 5U(以上タカラバイオ製)/100μL
forward primer (1 pmol):
reverse primer (1 pmol)
一方、哺乳動物細胞発現plasmid pcDNA3.1(インビトロジェン社製)5μgを制限酵素Nhe IおよびXho Iで消化、CIAP (タカラバイオ製)処理後、アガロースゲル電気泳動により精製し、エタノール沈殿後、TE buffer 4 μLに溶解した。前述のDNA断片それぞれ2μLと、このplasmid 0.5μLをligation kit ver.II (タカラバイオ製)を用いて連結し、大腸菌DH5に形質転換した。
LB培地(100μg/mlアンピシリン)にて37℃で一晩培養後、出現したコロニー数個を選び、QIAprep Spin miniprep kit(QIAGEN社製)を用いてplasmidを抽出した。抽出されたプラスミドに挿入されているDNA断片の塩基配列を定法に従って決定した。配列番号:8または配列番号:10に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認し、目的の構築物pcDNA3.1-mBST2DおよびpcDNA3.1-mBST2Hを得た。
pcDNA3.1-mBST2D(pcDNA3.1-mBST2D-His構築の場合)あるいはpcDNA3.1-mBST2H(pcDNA3.1-mBST2H-His構築の場合)1μgを鋳型として、PCRによりHisタグをコードする塩基配列を付加した。PCRに用いたプライマーの塩基配列は次のとおりである。なおforward primer(配列番号:13)は、pcDNA3.1-mBST2D-HisとpcDNA3.1-mBST2H-Hisに同じものを用いた。反応液の組成と温度サイクルの条件は1)と同様とした。
forward primer(配列番号:13):
5'-ccagctcacccgcacccaggacagtc-3'
reverse primer(pcDNA3.1-mBST2D-His用、配列番号:14):
5' -tttttttctcgagtcaatgatgatgatgatgatgaaagagcagaaacagtgacactttga-3'
reverse primer(pcDNA3.1-mBST2H-His用、配列番号:15):
5'-tttttttctcgagtcaatgatgatgatgatgatggaagtctccttttggatcctgagctg-3'
一方、pcDNA3.1-mBST2D およびpcDNA3.1-mBST2H 5μgを制限酵素BamH IおよびXho Iで消化、CIAP (タカラバイオ製)処理後、アガロースゲル電気泳動により精製し、エタノール沈殿後、TE buffer 4 μLに溶解した。PCRで増幅されたDNA断片それぞれ2μLとこれらのplasmid 0.5μLをligation kit ver.II (タカラバイオ製)を用いて連結し、大腸菌DH5に形質転換した。
LB培地(100μg/mlアンピシリン)にて37℃で一晩培養後、出現したコロニー数個を選び、QIAprep Spin miniprep kit(QIAGEN社製)を用いてこれらよりplasmidを抽出した。抽出されたプラスミドに挿入されているDNA断片の塩基配列を定法に従って決定した。Hisタグをコードする塩基配列が付加されたDNA断片が挿入されていることを確認し、目的の構築物pcDNA3.1-mBST2D-HisおよびpcDNA3.1-mBST2H-Hisを得た。
6cmディシュにCOS7細胞を5x105で10枚まき、37℃、5%CO2下で20時間培養した。培養後のCOS7細胞に、Effectene trasfection Reagent(Qiagen社製)により、pcDNA3.1-mBST2D-HisあるいはpcDNA3.1-mBST2H-Hisを形質転換した。操作は、同製品のプロトコールに従った。37℃・5%CO2下で48時間の培養後、PBSで洗浄、PBS/5mM EDTAで細胞をディシュから剥離し回収した。回収した細胞は、さらにPBSで洗浄後、1xHalt Protease Inhibitor Coctail (PIERCE 社製)を含む2mlのRIPA bufferを加えて氷上で1時間溶解した。RIPA bufferの組成を以下に示す。
50 mM Tris-HCl(pH7.4),
150 mM NaCl,
1% Triton x-100,
0.5% sodium deoxycholate,
0.1% SDS
沈殿には200μLの1x変性bufferを、濃縮した上清には等量の2x変性bufferを加え100℃にて10分間煮沸した後、それぞれ5μLをNuPAGE4-12% Bis-Tris Gel (インビトロジェン社製)にて電気泳動した。泳動後のゲルから試料をセミドライ方式のブロッティング装置(BIO CRAFT社製、MODEL BE-330)にて、PVDF膜(MILLIPORE社製)にトランスファーした。
抗体による検出はイムノスターキット(和光純薬社製)を用いた。まず、1次抗体として、HRP標識抗His tag 抗体(インビトロジェン社製)を5000倍希釈の濃度で用いて、イムノスターキットのプロトコールに従ってシグナルを検出した。シグナルの検出後、PVDF膜を変性溶液(7M 塩酸グアニジン、50mM グリシン、0.05mM EDTA、0.1 M 塩化カリウム、20 mM 2-メルカプトエタノール)で室温で1時間振とう処理することにより、標識抗His tag 抗体を除去した。次に、ビオチン標識したSNK01抗体を用いて、同様に、シグナルを検出した。結果を図5に示す。
各細胞より抽出したRNAより合成したcDNAを鋳型として、定法に従ってPCRを行い、抗原遺伝子がIPCに特異的に発現していることを確認した。PCRに用いたプライマーの塩基配列は次の通りである。
配列番号:7用forward(配列番号:16):
5'-acatggcgccctctttctatcac-3'
reverse(配列番号:17):
5'-gagcccaggttttgaaggaagtg-3'
配列番号:9用forward(配列番号:18):
5'-agctcacccgcacccaggacagt-3'
reverse(配列番号:19):
5'-cactccccagtcctaaagttct-3'
βアクチン用センスプライマー(配列番号:20):
5'-gtgggccgctctaggcaccaa-3'
アンチセンスプライマー(配列番号:21):
5'-ctctttgatgtcacgcacgatttc-3'
CD3陽性細胞(T細胞)、
CD8陽性細胞、
マウスIPC、
myeloid DC、および
マウス各臓器より抽出したRNAより合成したcDNAパネル、
実施例8において、配列番号:7用プライマーの組み合わせにより、配列番号:7のcDNAに該当する増幅断片の他に、短い増幅断片が観察された。本増幅断片を定法によりクローニングして塩基配列を確認したところ、配列番号:7に示したmBST2Hの第2エクソン部分が欠失した塩基配列を有していた。すなわち、配列番号:22に示した塩基配列を有する、マウスBST2の新規のスプライシングバリアントであると考えられた。この遺伝子がコードするアミノ酸配列を配列番号:23に示した。実施例8に示したように、本遺伝子もマウスIPCに発現していることを確認した。この配列番号:22記載の遺伝子を、以下mBST2HSとも称する。
mBST2D、mBST2H、mBST2HSのアミノ酸配列のアライメントを図7(a)に、それぞれのゲノム構造を図7(b)に示す。
実施例6により得られたmBST2DおよびmBST2HのcDNAを鋳型とし、以下の塩基配列からなるプライマーを使って以下の条件でPCRを行った。
pmBST2-F ;tttttgctagcgacggatcacatggcgccctctttctatcactatctgcccgtgcccatggatgagatgggggggaagcaagga(配列番号:24)および
pmBST2-R; tttttttctcgagtcctcaaaagagcaggaacagtgac(配列番号:25)
DNAポリメラーゼ:LA Taq(タカラバイオ社)
[95℃を30秒、55℃を30秒、72℃を2分]を25サイクル
増幅されたそれぞれの断片を制限酵素NheI及びXhoI(いずれもタカラバイオ社製)で処理して切断した後、同様にNheIとXhoIで処理した動物細胞発現用ベクターpcDNA3.1-Zeo(+)(インビトロジェン社)とligation kit ver.II(タカラバイオ社製)を用いて連結し、それぞれの発現ベクターとした。mBST2HSの発現ベクターについてはmBST2Hの第2エクソン部分をPCR法を用いて定法に従って除去することによって作成した。
本発明において同定されたマウスIPC特異抗原BST2のヒトオーソログを検索したところ、ヒトBST2として報告された既知の遺伝子であった(Ishikawa,J. et al. Genomics, 1995; 26, 527-;GenBank Acc#. D28137)。更にマウスで見出された新規スプライシングバリアントのヒトオーソログも含めて以下のようにしてPCR法によりクローニングし、3種類の発現ベクターを作成した。
mBST2Hオーソログ用のプライマー
hBST2 primer F(配列番号:26)および
primerhBHR;ttttttctcgagctagggatgtgggggtgagaggaatgtggcaggtggagggtagcgggggaaggctatctctgacctcagtcgctccacctctgcagac(配列番号:28)
mBST2HSオーソログ用のプライマー
hBST2 primer F(配列番号:26)および
primerhBST2HSR1; aaaaaaactcgagcttatggtttaatgtagtgatctctccacagtgtggttgcaggtggcggcct(配列番号:29)
hBST2D、hBST2H、hBST2HSのアミノ酸配列のアライメントを図8(a)に、それぞれのゲノム構造を図8(b)に示した。hBST2HおよびhBST2HSは新規スプライシングバリアントであることが示唆された。
各細胞より抽出したRNAより合成したcDNAを鋳型として、定法に従ってPCRを行い、ヒトBST2の各バリアントの発現を検討した。PCR条件としては、95℃、1分間反応させた後、95℃を30秒、60℃を30秒、73℃を45秒を、1サイクルとして、Dタイプは30サイクル、Hタイプ及びHSタイプは35サイクル反応させた(図9)。
プライマーの配列は次の通りである。
Forward primer; gccttcgggcagtgatggagtgtc (配列番号:30)
D用Reverse primer; tcaagcgaaaagccgagcaggac(配列番号:31)
H、HS用Reverse primer; aatgtggcaggtggagggtag(配列番号:32)
結果、ヒトBST2mRNAは複数の組織、細胞で発現していることがわかった。また、IPCにおいてはHSV刺激により、発現が増強されることがわかった。
1)抗マウスBST2抗体の作製
マウスBST2の3種類のサブタイプD、H、HSのいずれか、あるいは複数を認識する抗体を以下のように作製した。
6cmディッシュ5枚に、1枚あたり4x105個のCOS7細胞を播種し、20時間培養後にEffectene trasfection Reagent(Qiagen社製)を用いて同製品のプロトコールに従い、上記実施例10で作製したそれぞれのタイプのcDNAがクローニングされた3種類の発現ベクターを同量(ディッシュ1枚あたり1μg)ずつ混合してトランスフェクションした。24時間後、新鮮な培地に交換し、更に24時間後、PBS/5mM EDTAで細胞を回収し、PBSで洗浄した後に、Wister rat(5〜6週令)の両足のfoot padにアジュバンドCFAとともに注入した。このような操作を0、4、11日目に行って免疫したラットから、12日目にリンパ節を採取して、実施例1に示したのと同様の方法で、ハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマの培養上清をCell ELISAによってスクリーニングし、3種類の発現ベクターをトランスフェクションしたCOS7細胞には反応し、宿主のCOS7細胞には反応しないクローンを選択した。更にFACS解析でも結合活性を確認して細胞のクローニングを行い、最終的には5つの陽性クローンを得た。
得られたクローンの培養上清を用いて、実施例5に示した方法に従って、IFN産生に与える影響を検討したところ、いずれもコントロール抗体と比較してIPCのIFN産生を抑制する活性があった。更に、0.1μMのCpG ODN 1668(MWG Biotech社)を用いて刺激した際にも、IFN産生抑制活性を示した(図10)。このことから、SNK01以外のmBST2に対する抗体もIPCからのIFN産生を抑制する活性を示すことが確認された。
1) ヒトBST2抗体の作製
ヒトBST2の3種類のサブタイプD、H、HSのいずれか、あるいは複数を認識する抗体を実施例13と同様の方法に従って作製した。実施例11で作製したそれぞれのタイプのヒトcDNAがクローニングされた3種類の発現ベクターを用い、ハイブリドーマのスクリーニングは培養上清をFACS解析することによって行った。hBST2Hにのみ反応するクローン(3D3#7)、hBST2H及びhBST2Dに反応するクローン(3E2#8、5C11#7)、hBST2H、hBST2D、hBST2HSいずれにも反応するクローン(3G7#6)など、複数のクローンが得られた。得られた複数のクローンの精製抗体を取得し、更に解析を行った。
健常人より末梢血を採取し、PBL(末梢血リンパ球)を分離した。Lineage抗体(CD3、CD14、CD16、CD19、CD20、CD56抗体)にてMACSで種々の細胞を除去した後、CD4陽性、CD123陽性、Lineage陰性細胞群をIPCとしてセルソーターで分離した。このように取得したヒトIPCを2x104cells/wellで96 wellプレートに播種し、それぞれ3、10、30μg/mLの濃度で抗BST2抗体を添加して37℃で1時間培養した。1時間培養後にHerpes Simplex virus(20 pfu/cell)を添加し、37℃で24時間培養し、培養上清中のIFNαをELISA kit(Bender Med System社)により、測定した。その結果、抗ヒトBST2抗体は、既に報告のあるBDCA2抗体(Miltenyi社)と同様に、ヒトIFN産生抑制活性を示すことが明らかとなった。(図11a)クローン3D3#7はhBST2Hに、クローン3G7#6はhBST2H、hBST2D、およびhBST2HSのいずれにも反応した。(図11b)すなわち、ヒトBST2を認識する抗体は、IPCのIFN産生活性に影響を与えることが明らかとなった。
1) マウスBST2の発現パターン
モノクローナル抗体SNK01を用いて、マウスBST2タンパク質の発現をFACSにより解析した。Balb/cマウス、あるいはTypeI IFN receptorノックアウトマウスの脾臓細胞を、CpG(0.5μM)あるいはインフルエンザウイルスPR8で24時間刺激した後、各種抗体を用いて細胞染色を行った。刺激をしていない通常の状態では、図1に示したようにBST2はIPCに特異的に発現していたが、Balb/cマウスにおいては刺激によって、多くの細胞においてBST2の発現が誘導されることが明らかになった(図12)。CD3陽性であるT細胞、CD19陽性であるB細胞、DX5陽性であるNK細胞、Gr-1陽性である顆粒球、いずれにおいても同様の傾向が検出された。更に、それらのCpG、ウイルスによるBST2の発現増強は、IFNRノックアウトマウスでは検出されなかったことから、IFNのシグナルを介してBST2の発現が誘導されることが推定された。
実施例14の1)で作製した抗体5C11を用いて、ヒトBST2タンパク質の発現をFACSにより解析した。健常人の末梢血よりPBLを採取し、IFNαを1ng/mlの濃度で添加して37℃、24時間培養し、抗BDCA-2抗体、抗BDCA-4抗体と5C11との二重染色を行った(図13)。この結果、ヒトIPCにおいて、通常はBST2の発現が検出されないが、IFN刺激によりBST2の発現が誘導されることが明らかになった。すなわち、BST2分子はマウスと同様ヒトにおいても、IFNにより発現が誘導され、更にIFNの産生自体に影響を与えることが明らかになった。また、CpGにより刺激した場合にも、IPC上で発現が誘導されることが明らかになった(図14)。
1) 抗体投与マウスより採取した細胞の解析
Balb/cマウスの腹腔内にSNK01、およびコントロールのラットIgGを1匹あたり300μgずつ、一日おきに3回投与し(0.9mg/マウス)、6日目に脾臓、骨髄をそれぞれ採取し、IPCの存在率をB220、CD11c、CD11bの染色によって解析した。更に、骨髄細胞を1x106/wellにて96wellプレートに播種し、CpG(0.5μM)あるいはインフルエンザウイルスPR8によって刺激し、24時間後の培養上清のサイトカイン値をELISAにより測定した(図15)。
その結果、SNK01投与群において、各種刺激に対してのIFNの産生能が低いことが明らかになった。なお、IL-12の産生への影響は認められなかった。このことより、本抗体投与により、分子が発現している細胞の機能に変化を生じ、in vitroでの刺激によるIFN産生能が抑制されたことが示された。
抗体を前投与(1.5日前と0.5日前にそれぞれ一匹あたり500μg)したマウス(n=3)に5x104pfu/mouseのMCMV(マウスサイトメガロウイルス)を腹腔内に投与し、感染を起した。この感染後、1.5日後のマウスの血清中のIFNαをELISAにより測定した。また、脾臓でのIPCの存在率をB220、CD11c、CD11bの染色によって解析した(図16)。
その結果、SNK01投与群において、血清中のIFN産生量は抑制されていた。なお、TNFαの産生への影響は認められなかった。すなわち、本抗体投与により、in vivoにおけるIFN産生能が抑制されたことが示された。抗体の細胞への結合が、細胞機能を調節したものと考えられた
Balb/cマウス(n=3)の腹腔内にSNK01、および実施例13で作製した抗マウスBST2抗体クローン#12、ラットIgG(コントロール)を1匹あたり500μgずつ投与し、24時間後に、各臓器でのIPCの存在率をFACS解析によって測定した。その際には、実施例1に示した方法により作製されたIPC特異的抗体であるSNK02抗体、及びCD11c抗体(Beckton Dickinson社製)を用いて染色を行なった。
その結果、抗マウスBST2抗体投与群において、末梢血、脾臓、リンパ節、骨髄の各臓器でのIPCの減少が確認された(図17)。なお、リンパ節において、T細胞B細胞には大きな変化は認められなかった。すなわち本抗体が、IPCの活性を調節することが示された。
Claims (25)
- 下記(a)〜(f)のいずれかに記載の蛋白質を認識する抗体を有効成分として含有するIPC(interferon producing cell)のインターフェロン産生活性の抑制剤。
(a) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(b) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含む蛋白質
(c) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列において10個以内のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(d) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列からなるDNAと0.2 x SSC、55℃で洗浄する条件でハイブリダイズするDNAがコードする蛋白質であって、IPCで発現し、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(e) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(f) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列がコードする蛋白質であって、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質 - インターフェロン産生活性がタイプ1インターフェロン産生活性である請求項1に記載の抑制剤。
- 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5のいずれかによりコードされるアミノ酸配列からなる蛋白質を認識する抗体を有効成分として含有する、請求項1または2に記載の抑制剤。
- 該抗体が、配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質を認識する抗体である請求項1または2に記載の抑制剤。
- 配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質を認識する抗体を有効成分として含有する、請求項4に記載の抑制剤。
- 配列番号:2、および配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質を認識する抗体を有効成分として含有する、請求項4に記載抑制剤。
- 配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質の全てを認識する抗体を有効成分として含有する、請求項4に記載の抑制剤。
- 下記(a)〜(f)の記載の蛋白質を認識する抗体を非ヒト動物体内またはインビトロにおいてIPCに接触させる工程を含む、IPCのインターフェロン産生活性の抑制方法。
(a) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(b) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含む蛋白質
(c) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列において10個以内のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(d) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列からなるDNAと0.2 x SSC、55℃で洗浄する条件でハイブリダイズするDNAがコードする蛋白質であって、IPCで発現し、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(e) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(f) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列がコードする蛋白質であって、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質 - 次の工程を含む、請求項1に記載の抑制剤の製造方法。
(1)請求項1の(a)〜(f)の記載の蛋白質、もしくはその断片を免疫原として非ヒト免疫動物に投与する工程
(2)(1)の非ヒト免疫動物の抗体産生細胞から、該蛋白質を認識する抗体を産生する抗体産生細胞を選択する工程、
(3)(2)で選択された抗体産生細胞を培養するか、または当該抗体産生細胞が産生する抗体をコードする遺伝子を単離し、この遺伝子を発現可能に保持する細胞を培養する工程、および
(4)(3)の培養物からIPCのインターフェロン産生活性を抑制する抗体を回収する工程。 - 免疫原が、ヒトから採取されたIPCである請求項9に記載の方法。
- IPCを含む細胞試料において下記(a)〜(f)のいずれかに記載の蛋白質または該蛋白質をコードする遺伝子の発現を検出する工程を含む、活性化されたIPCの検出方法。
(a) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(b) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含む蛋白質
(c) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列において10個以内のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(d) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列からなるDNAと0.2 x SSC、55℃で洗浄する条件でハイブリダイズするDNAがコードする蛋白質であって、IPCで発現し、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(e) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(f) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列がコードする蛋白質であって、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質 - IPCを含む細胞試料において下記(a)〜(f)のいずれかに記載の蛋白質または該蛋白質をコードする遺伝子を発現する細胞を単離する工程を含む、活性化されたIPCの分離方法。
(a) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(b) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含む蛋白質
(c) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列において10個以内のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(d) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列からなるDNAと0.2 x SSC、55℃で洗浄する条件でハイブリダイズするDNAがコードする蛋白質であって、IPCで発現し、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(e) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(f) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列がコードする蛋白質であって、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質 - 配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識する抗体を含む、活性化IPC検出用試薬。
- 配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を有する遺伝子の発現を検出するプローブまたはプライマーを含む、活性化IPC検出用試薬。
- 配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識する抗体を含む、活性化IPC分離用試薬。
- 次の工程を含む、生体のIPCの活性化のレベルを測定する方法。
(1)生体から採取された試料に含まれるIPCにおける、下記(a)〜(f)のいずれかに記載の蛋白質または該蛋白質をコードする遺伝子を発現している細胞、およびその発現レベルのいずれかまたは両方を検出する工程、および
(a) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(b) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含む蛋白質
(c) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列において10個以内のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(d) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列からなるDNAと0.2 x SSC、55℃で洗浄する条件でハイブリダイズするDNAがコードする蛋白質であって、IPCで発現し、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(e) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(f) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列がコードする蛋白質であって、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(2)(1)で測定された細胞の数、およびその発現レベルのいずれかまたは両方を、被検者のIPCの活性化のレベルに関連付ける工程 - 生体から採取された試料が、体液、皮膚、滑膜組織、造血組織、膿、肺胞洗浄液、および血液細胞を含む可能性のある生検組織試料からなる群から選択されるいずれかの試料である請求項16に記載の方法。
- 次の工程を含む、被験物質のIPCの活性化を調節する作用の検出方法。
(1)IPCを被験物質とともに細胞刺激剤と接触させるか、またはIPCと被験物質の接触の前、若しくは後に細胞刺激剤と接触させる工程
(2)IPCにおける、下記(a)〜(f)のいずれかに記載の蛋白質または該蛋白質をコードする遺伝子の発現レベルを測定する工程、および
(a) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列を含む蛋白質
(b) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含む蛋白質
(c) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列において10個以内のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(d) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列からなるDNAと0.2 x SSC、55℃で洗浄する条件でハイブリダイズするDNAがコードする蛋白質であって、IPCで発現し、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(e) 配列番号:2、4、6、8、10、または23に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(f) 配列番号:1、3、5、7、9、または22に記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列がコードする蛋白質であって、IPCで発現する蛋白質であって、該蛋白質を認識する抗体の添加によりIPCのインターフェロン産生活性を抑制させる蛋白質
(3) (2)で測定された指標物質の発現レベルを、対照と比較し、発現レベルが対照よりも有意に高い場合に被験物質のIPCの活性化を増強する作用が、また対照よりも有意に低い場合には被験物質のIPCの活性化を抑制する作用が検出される工程 - 細胞刺激剤がウイルス、ウイルスの構成要素、バクテリアのDNA、およびインターフェロンからなる群から選択される少なくとも1つの細胞刺激剤である請求項18に記載の方法。
- 次の工程を含む、IPCの活性化を調節する作用を有する被験物質のスクリーニング方法。
(1)請求項18または19に記載の方法によって、被験物質のIPCの活性化を調節する作用を測定する工程、および
(2)対照と比較して前記活性化を調節する作用が大きい被験化合物を選択する工程 - 配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:6からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質を認識する抗体を含む、IPCの活性化を調節する作用を検出するための試薬。
- 配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列を有する遺伝子の発現を検出するプローブまたはプライマーを含む、IPCの活性化を調節する作用を検出するための試薬。
- 該プローブまたはプライマーが、配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された少なくとも30塩基からなる連続した塩基配列を含む、請求項22に記載の試薬。
- 該プローブまたはプライマーが、配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:5からなる群から選択されるいずれかの配列番号に記載の塩基配列から選択された少なくとも50塩基からなる連続した塩基配列を含む、請求項22に記載の試薬。
- FERM ABP-10339として寄託されたハイブリドーマ3D3#7、またはFERM ABP-10340として寄託されたハイブリドーマ3G7#6が産生するモノクローナル抗体、またはその抗原結合領域を含む断片を有効成分として含有するIPCのインターフェロン産生活性の抑制剤。
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