明 細 書 抗体作製方法 技術分野
本発明は抗体作製方法に関する。 背景技術
周知の通り、 生体防御機能のなかでもその中心的な存在である免 疫機能の解明は、 疾病の診断、 治療において、 重要な課題となりつ つある。 例えば、 癌、 糖尿病等の生活習慣病の他各種疾病の診断に 用いられる手法の中で、 疾病に深く関わりのあるマーカー物質の濃 度、 量を目視可能に検出するィムノクロマ ト法のように、 より簡易 的診断が可能なものまでも提案されており、 研究用試薬、 診断用試 薬、 各種物質モニター用試薬、 免疫学的診断、 治療の分野はより拡 大していく ものであるが、 当該方法における抗体の安定した確保は 、 今後より重要になってく ることが明らかである。 また、 ファージ ディ スプレイ系を用いた抗体ライブラリ一作製技術が開発され、 ヒ 卜抗体単離も可能となっている。
ところで、 免疫学的測定に必要なモノクローナル抗体の作製は、 まずマウスに抗原を注射 (免疫) する工程で約 3 ヶ月を要する。 そ の後抗体を産生している B 細胞群を取り出し、 ミエローマ細胞と細 胞融合する。 この工程によって、 無限に増殖することが可能な抗体 産生細胞 (ハイプリ ドーマ) 群を構築する。 最後にこのハイプリ ド 一マ群の中から、 目的にあった抗体を産生している細胞を選別 (ク ローニング) し、 この細胞を用いて抗体の大量調製を実施する。 こ のクローニング工程では、 ハイプリ ドーマ群を希釈し、 1 ゥエルに
1 細胞しかいないという状態にして、 1 細胞から培養を行う。 これ を抗体の性質が検討できる細胞濃度まで増殖させ、 得られるモノク ローナル抗体の性質を検査する。 この検査で陽性となったゥエルを 再度希釈し、 上記と同様に検査を実施する。 この操作を複数回実施 し、 使用に耐えうるハイプリ ドーマを分離取得する。 この工程 1サ ィクルに約 2週間を要し、 全体で約 3 ヶ月以上を要する場合もある 。 このようにモノクローナル抗体の作製には手間と時間のかかる作 業が必要であり、 また、 これを専門の業者に依頼すると、 抗体の作 製費用が高額となる。
ここで、 公知文献を挙げて抗体作製方法を具体的に説明すると、 特開平 1 0 — 2 8 2 0 9 7号公報には、 アジュバン ド物質、 サイ ト 力イ ンの組合せを特徴とする抗原に対する特異的な免疫法が記載さ れている。 特開 2 0 0 4— 1 2 1 2 3 7号公報には、 抗体産生応答 の誘導方法により、 抗原特異的抗体の産生応答が誘導された抹消血 リ ンパ球細胞を、 ェプス夕イ ンバールウィルスにより不死化し、 抗 原特異的 B細胞を単離して抗原特異的抗体産生 B細胞を調製し、 さ らにこの B細胞を培養することを特徴とする抗原特異的抗体の製造 方法が記載されている。 特開 2 0 0 6 - 1 8 0 7 0 8号公報には、 標識化抗原をターゲッ ト細胞に結合させる工程と、 標識化夕ーゲッ ト細胞を分離する工程と、 抗体遺伝子を調製する工程と、 抗体遺伝 子を発現ベクターを用いて発現させる工程とを含む抗体作製方法が 記載されている。 また、 特表 2 0 0 6 — 5 1 6 4 0 8号公報には、 一連の工程を経て、 目的の抗体からヒ ト化高親和性抗体を作製する 方法が記載されている。 発明の開示
本発明の目的は、 したがって、 手間と時間が係る作業が必要な抗
体作製をより短時間で、 しかも容易に抗体が作製できるような新規 な抗体作製方法を提供することにある。
また、 本発明は、 これらの新規な抗体作製手法に基づき、 腎臓癌 マーカ一として今般注目されている S 100A 10タンパク質の免疫学的 測定、 治療に有効な抗体作製方法を実現することを目的としている 。 S 100A 10タンパク質は、 高山達也他、 腎細胞癌における S 100A 10蛋 白の特異的発現, 腎癌研究会会報, 28 : 9- 10, 2005等で示されるよ うに、 腎臓癌マ一カーとしても有用であり、 当該マーカーは、 尿成 分からも得られることから、 腎臓癌の簡易的な診断においてその価 値が高いからである。
これらの目的を達成するため、 本発明は、 体外で免疫用細胞を含 む組織を抗原と刺激物質を含む培養液中で免疫する工程と、 その免 疫された細胞を選別する工程と、 その選別された免疫細胞から抗体 を得る工程とを含む抗体作製方法を提供する。
すなわち、 本発明は、 いわゆる体外免疫法において、 特定の刺激 物質を添加した培養液で、 抗原による感作免疫細胞を得ることで、 通常必要としていた時間の数十分の一の時間で抗体を作製すること を実現したものである。
より詳細には、 まず、 異物 (抗原) が体内に入ると、 マクロファ 一ジゃ樹状細胞がこれを細胞内に取り込む。 異物は、 細胞内で分解 し、 分解産物を細胞膜表面上に提示する。 次いで、 分解産物にナイ ーブ T 細胞が近づき、 ナイーブ T 細胞表面の T 細胞レセプ夕一 (TC R) を介して抗原を認識する。 この過程を経て T 細胞が活性化され 、 ヘルパー T 細胞(Th2)となる。
一方 B 細胞も体内に侵入した異物 (抗原) を細胞表面上の B 細胞 レセプ夕一 (BCR)で認識して細胞内に取り込む。 取り込んだ抗原を やはり分解し、 分解産物を MHC C l as s I I分子上に提示する.。 この際
に細胞膜表面に CD40 という分子も同時に発現する。
このようにしてできた Th2 と抗原提示 B 細胞が近づき、 互いに認 識することで B 細胞の活性化と抗体のクラススィ ッチが入る。 この 際に、 同じ抗原で活性化した分子同士でなければかかる現象は発現 しない。
なお、 上記の場合には免疫反応を生体内で実施しているけれども 、 この免疫反応を生体外で発生させる方法が、 いわゆる体外免疫法 である。
本発明は、 生体外において、 所望の抗体産生細胞を得るために、 刺激物質を添加して B細胞を抗体産生細胞 (プラズマ細胞) 又はメ モリ一 B細胞へと分化誘導するものである。 ここで、 刺激物質とは 、 例えば B細胞、 樹状細胞、 T細胞などのような免疫担当細胞の膜表 面に発現しているレセプ夕一分子と相互作用可能である限り、 特に 制限はない。 本発明の実施には、 特にサイ ト力イ ンレセプ夕一に対 する刺激物質として、 IL-1、 IL- 2、 IL-3、 IL- 4、 IL-5、 IL-6、
IL-7、 IL-10, IL- 21、 表面抗原に対する刺激物質として TGF- /3 (T rans forming Growth Factor - beta) 、 BAFF (B cell Activating Factor) 、 APRIL (A Prol i ferat ion- Indue ing Ligand) 、 CD40 1 ig and, CD38 1 igand, BCDF (B Cell Di f ferenciat ion Factor) 、 BCA F (B Cell Activation Factor) 、 シグナル伝達に関与する受容体 に対する刺激物質として LPS (Lipopolysaccharide) 等が例示され る。 刺激物質の使用濃度は、 免疫する細胞濃度に依存して変化する けれども、 LPS は 10ng/mL〜 500 z g/mLの濃度が良く、 特に 20〜80 g/mLの濃度が推奨される。 また、 LPS以外の物質では、 一般に lng/m L〜50 g/mL の濃度が良く、 特に 10ng/mL〜40ng/mLの濃度が推奨さ れる。 また、 これら物質の機能を代替するァゴニス ト抗体であって も問題はない。 その分化誘導の過程において、 特に IL-4、 IL- 5、 an
t i -CD38抗体、 an t i - CD40抗体刺激により、 抗体の親和性成熟及びク ラススイ ッチを誘導し、 より親和性の高い抗体となすことができる さ らに、 FACSc anのようなフローサイ トメ ト リー等に基づく細胞 分離装置を用いて、 目的とした細胞を染色して選別する手法を利用 した感作免疫細胞の検出及び分離を行う。
本発明における免疫細胞の選別及び検出の際に用いられる染色剤 としては、 特に限定されものではない。 例えば、 染色剤として T ryp an B l ueを用いて増殖 ' 生存している B細胞を検出しているが、 その 他、 フローサイ トメ ト リーの際に用いられる F I TCや PEなどの蛍光物 質を標識した抗原や抗体、 さ らに細胞内のカルシウム濃度を検出す る Fu r a-2のような蛍光プローブや細胞内の DNAを染色するェチジゥ ムブロマイ ドに代表される DNA染色剤等、 目的とする免疫細胞を染 色できるものであれば、 適宜使用することができる。
また、 クラススィ ッチやァフィ二ティ マチユレ一ショ ンの発生し た細胞を選別する際も、 上記したものと同様の染色剤を適宜使用す ることができる。
染色された細胞を検出 · 選別する手法は、 例えばフローサイ トメ ト リー等の細胞分離装置の他、 例えばへモサイ トメータ一等の血球 計算盤や、 電気泳動デバイス、 遠心分離デバイス、 磁気ビーズデバ イス、 マイクロ流路デバイスなどを好適に利用することができる。
また、 この分離された細胞と、 ミエローマ細胞を融合させて、 ハ イブリ ドーマを得ても良いが、 ハイプリ ドーマを得る必要は必ずし もない。
さ らに、 本発明は、 抗体遺伝子を得るための細胞を、 組織上から 選別すべく、 体外免疫工程により、 免疫細胞を選別し、 その免疫細 胞から、 抗体遺伝子を PCR手法を用いて形成し、 これを宿主細胞に
導入して培養発現し、 抗体の大量生産をする構成を取り得るもので あり、 当該手法によれば、 組織片から免疫後の細胞を得るため、 作 業効率の向上が図れる。
当該細胞から得られる抗体遺伝子を PCR ( po l yme rase cha i n re ac t i on) 法により増幅し、 更に大腸菌等の宿主細胞により、 好ましく はコロニー化させて抗体を得る工程を組み合わせることで、 大量の 抗体を短時間で作製することが可能となる。 宿主細胞としては、 大 腸菌の他、 ス ト レブトマイセス、 枯草菌、 酵母、 CH0細胞、 COS細胞 、 HEK293細胞、 等が例示される。
また、 発現べクタ一としては、 宿主細胞で発現されるものであれ ば、 特に限定されるものではない。 発現べクタ一として、 例えば、 細菌プラスミ ド由来、 酵母プラスミ ド由来、 染色体、 ェピソーム、 ウィルス由来、 レ 卜ロウィルス由来のベクターなどを例示すること ができる。
上記したような課題に加えて、 本発明者らは、 体外で免疫細胞を 選別し得たとしても、 スク リーニングまでの準備としてのハイプリ ドーマ形成工程を要することなく抗体遺伝子の分離ができないかと いう課題にも取り組んだ。
本発明者らは、 体外免疫手法を採るに際し、 メモリー B細胞又は プラズマ細胞へ分化誘導及び、 その過程で発生すると考えられる抗 体の親和性成熟 · クラススィ ツチを所定の刺激物質の添加により実 現できるという知見を得、 本発明を完成した。
従来、 高親和性抗体の作製は、 生体内においては、 繰り返し抗原 を免疫することにより、 メモリー B細胞又はプラズマ細胞への分化 誘導を行い、 その過程で発生すると考えられる抗体の親和性成熟 - クラススィ ッチを利用 している。 分化誘導した免疫細胞からハイブ リ ドーマを形成し、 スク リーニングを行う ことで高親和性抗体を得
ている。 一方、 生体外の場合は、 ハイプリ ドーマや市販のライブラ リーなどから得た抗体遺伝子に PCR を用いたランダム変異導入法等 により様々な変異を導入したライブラ リ一を構築し、 ファージミ ド ベクターへの組み込みを経て、 バニング法によって、 強い抗体をス ク リーニングする方法が主であった。
しかしながら、 本発明者らは、 生体外で特定の刺激物質を、 所定 の環境下で、 供給することでもメモリー B細胞又はプラズマ細胞へ の分化誘導及び、 その過程で発生すると考えられる抗体の親和性成 熟 · クラススィ ッチが可能であることを知見したのである。 また、 刺激物質の導入は、 B細胞をメモリー B細胞、 プラズマ細胞へ分化 誘導することを可能としていることから、 体外免疫における当該手 法は、 従来の脾臓細胞そのものもしく は、 B細胞と T細胞の共培養 状態でしか免疫ができなかったものを、 B細胞のみであっても免疫 可能にし、 抗原も従来の体外免疫法同様、 生体内での免疫に比べて 1 / 1 0 0 0〜 : 1 Z 1 0 0 0 0程度の少量で可能となった。
さ らに、 本発明において使用する刺激物質は、 親和性成熟や抗体 のクラススィ ッチに関係している蛋白質の発現を誘導し、 その結果 、 抗体の I g Mから I g Gへのクラススィ ッチを迅速にかつ確実に 行わせることも実現した。
要するに、 本発明は、 いわゆる体外免疫法において、 組織片をす り潰す等して得られる細胞に特定の刺激物質を添加した培養液で、 抗原による感作を行い免疫細胞を得ることで、 通常免疫動物を免疫 した場合に必要としていた時間の数十分の一の時間で実現できるよ うにしたものである。
上記のような本発明による抗体作製方法の実施において、 生体内 及び生体外において免疫反応を発生させる方法は、 すでに説明した ような手法によって有利に実施することができる。
本発明における体外免疫手法において、 各種の刺激物質と各種の 分化、 誘導等との関係について以下に説明する。
本発明で示す抗原は、 免疫用組織片調製直後の 1回で充分である が、 2〜3日の間隔を置いて、 複数回行っても制限はない。 またその 際の抗原濃度は lpmol〜 lmmolが好ましく、 例えば lnmo 1を例示する ことができる。
抗原刺激を補助する'目的で LPSに代表される TLR (Toll Like Rece pt or)を刺激する物質を添加しても良い。 この刺激物質の添加は、 抗原刺激の度に行う ことが好ましく、 添加量は 10ng/mL〜 500 g/mL の濃度が良く、 特に 20〜80 xg/mLの濃度が良い。
また、 本発明で示す、 メモリ一 B細胞又はプラズマ細胞へ分化誘 導及び、 その過程で発生すると考えられる抗体の親和性成熟 ' クラ ススィ ッチの誘導用刺激物質としては、 前述の刺激物質であれば特 に制限はないが、 特に IL-4、 IL-5、 anti- CD38抗体、 anti-CD40抗体 が好ましい。 添加濃度は、 IL-4、 IL-5は lng/mL〜50 g/mL の濃度 が良く、 特に 10ng/mL〜40ng/mLが好ましく、 anti- CD38抗体、 anti- CD40抗体は lng/mL〜50 g/mL の濃度が良く、 特に 100ng/mL〜 10 g /niLが好ましい。 また、 この刺激物質の添加は、 抗原刺激の度に行 う ことが好ましい。
本発明における体外で行う免疫用の組織片を構成する細胞として は、 例えば、 上述したものの他、 例えばマウス、 ラッ ト、 モルモッ ト、 ラビッ トなどのような免疫動物由来の臓器 · 組織から得た細胞 、 i P S細胞 * E S細胞を分化させて調整した免疫担当細胞、 培養 細胞株を分化させて調整した免疫担当細胞などを例示することがで さる。
本発明で用いられる抗原には、 例えば、 h (ヒ ト) S 1 0 0 A 1 0、 h e (鶏) Eし、 h (ヒ 卜) R a s、 h (ヒ 卜) r a p 7 4 ,
h (ヒ 卜) T O P O 2 B 、 b (ゥシ) S A、 b (クシ) C a s e 1 n等のマウス由来以外の蛋白質、 マウス由来の m (マウス) S 1 0
0 A 1 0 、 m S A、 m M a p k 1等の 白質 、 ぺプチド ( 4種類 :
7 m e r 、 1 0 m e r 、 1 6 m e r 、 2 0 m e r ) などを例示する ことができる。 さらに 、 本発明の実施では、 従来抗体を得るために 用いることができない 、 低分子化合物 ( □―ダミ ン等の蛍光物質、
F I T C ) も利用可能となる。
本発明は、 体外での目的に応じた刺激物質の導入によ Ό 、 T細胞 を必要とせず、 B細胞を抗体産生細胞に分化誘導するェ程によ Ό 、 低分子抗原の利用が可能になるほか 、 クラススィ ッチによる好まし い抗体、 親和性成熟による抗体が得られる免疫細胞を得ることがで さる。
さ らに、 上記したように、 FACSc anのようなフローサイ トメ ト リ 一等に基づく細胞分離装置を用いて、 目的とした細胞を染色して選 別する手法を利用した感作免疫細胞の検出及び分離を行う。
その他、 得られる免疫細胞の大きさは、 他の細胞に比べ大きいこ と、 更に親和度を成熟させた場合、 細胞の大きさがより大きくなる こともあるため、 細胞の大きさによって、 選別することも可能であ る。 また、 当該細胞の大きさにより、 選別する手法としては、 例え ば特開 2007- 175684号公報等に記載された手法を好適に使用するこ とができる。
本発明における免疫細胞の選別、 検出の際に用いられる染色剤は 、 すでに説明した通りである。 また、 クラススィ ッチゃァフィ ニテ ィ マチユレ一シヨ ンの発生した細胞を選別する際も、 上記したよう に、 同様の染色剤を適宜使用することができる。
さ らに、 本発明は、 上記したように、 抗体遺伝子を得るための細 胞を、 組織上から、 体外免疫工程により、 免疫細胞を選別し、 その
免疫細胞から、 抗体遺伝子を PCR法を用いて形成し、 これを宿主細 胞に導入して培養発現し、 抗体の大量生産をする構成を取り得るも のであり、 当該手法によれば、 組織片から免疫後の細胞を得るため 、 作業効率の向上を図ることができる。 ここで、 免疫細胞を選別し ないで、 組織片の細胞の遺伝子を分離したとしても、 PCRに使用す るプライマ一が抗体遺伝子特異的なものであるため、 目的の遺伝子 のみを取得することが可能であり、 免疫細胞を選別した場合と同様 に、 抗体遺伝子を抽出する手法を採用することも可能である。
上記したように、 当該細胞から得られる抗体遺伝子を PCR法によ り増幅し、 さ らに大腸菌等の宿主細胞により、 好ましく はコロニー 化させて抗体を得る工程を組み合わせることで、 大量の抗体を短時 間で作製可能となすことができる。 使用しうる宿主細胞及び発現べ クタ一は、 前記した通りである。
本発明における抗体の選別方法としては、 例えば、 ファージゃ大 腸菌、 酵母、 動物細胞等の表面に抗体を表示させる方法、 酵母、 大 腸菌等を用いる 2 —ハイブリ ッ ド法、 I V V法、 リボソームデイス プレイ法のような D NAや mR NAに提示させる方法、 表面プラズ モン共鳴を利用 した B I A C O R E法、 E L I S A法、 ウエスタン プロッ ト法、 磁気ビーズに抗体もしく は高原を固定化し、 磁力を用 いた選別 (MA C S ) 方法等を例示することができる。 この選別方 法は、 タンパク質間相互作用を調べ得る手法であれば、 特に限定さ れるものではない。
本発明によれば、 以下の詳細な説明から理解されるように、 短時 間で、 目的とする免疫細胞を分離及び取得することができ、 さ らに は、 遺伝子工学的な手法による抗体の作製によって、 迅速な抗体の 生産及び取得を可能とすることができる。 この免疫細胞は、 とりわ けスク リーニング等に好適である。
図面の簡単な説明
図 1 Aは、 調製した Total RNAの電気泳動を示す写真、 図 1 Bは その説明図であり、
図 2 Aは、 調製した cDNAの電気泳動を示す写真、 図 2 Bはその説 明図であり、
図 3 Aは、 調製した scFv PCR産物の電気泳動を示す写真、 図 3 B はその説明図であり、
図 4 Aは、 調製した大腸菌クローンの電気泳動を示す写真、 図 4 Bはその説明図であり、
図 5 Aは、 精製した MBP - scFv蛋白質の SDS- PAGE法による解析図 、 図 5 Bはその説明図であり、
図 6は、 抗原と IgGl陽性率の関係をプロッ トしたグラフであり、 図 7は、 マーカ一遺伝子と mRNA発現量の関係をプロッ 卜したダラ フであり、
図 8は、 サイ ト力インの細胞毒性試験の結果を刺激物質と比増殖 率の関係としてプロッ 卜したグラフであり、
図 9 A及び図 9 Bは、 それぞれ、 刺激物質と比増殖率の関係をプ ロッ トしたグラフであり、
図 1 0 A, 図 1 0 B, 図 1 0 C及び図 1 0 Dは、 それぞれ、 単独 刺激時の Blimp- 1発現量、 Xbp- 1発現量、 Be卜 6発現量及び AID発現量 を測定した結果をプロッ 卜したグラフであり、
図 1 1 A及び図 1 1 Bは、 それぞれ、 複合刺激、 プラズマ細胞分 化時の Blimp-1発現量及び Xbp-1発現量を測定した結果をプロッ トし たグラフであり、
図 1 2 A及び図 1 2 Bは、 それぞれ、 複合刺激、 体細胞変異時の Be卜 6発現量及び AID発現量を測定した結果をプロッ 卜したグラフで あり、
図 1 3 は、 複合刺激、 プラズマ細胞分化時の Blimp- 1発現量を測 定した結果をプロッ 卜 したグラフであり、
図 1 4は、 複合刺激、 プラズマ細胞分化時の Xbp-1発現量を測定 した結果をプロッ 卜したグラフであり、
図 1 5は、 複合刺激、 体細胞変異時の Bel- 6発現量を測定した結 果をプロッ 卜 したグラフであり、
図 1 6は、 複合刺激、 体細胞変異時の AID発現量を測定した結果 をプロッ 卜 したグラフであり、
図 1 7 A及び図 1 7 Bは、 それぞれ、 サイ ト力イ ン濃度の上限と 下限のマーカ一発現量を、 抗原 1 nmolを免疫した場合と抗原 0. 1 nmo 1を免疫した場合とについてプロッ ト したグラフであり、
図 1 8 A及び図 1 8 Bは、 それぞれ、 B細胞の分化の検討の結果 を、 脾臓細胞中の B細胞の割合と脾臓細胞中のプラズマ細胞の割合 とについてプロッ 卜したグラフであり、
図 1 9 A, 図 1 9 B, 図 1 9 C及び図 1 9 Dは、 それぞれ、 B細 胞の分化の検討の結果を、 B細胞中の T1-B細胞の割合、 B細胞中の Π-Β細胞の割合、 B細胞中の B2細胞の割合及び B細胞中の Activate d - B細胞の割合についてプロッ ト したグラフであり、
図 2 O A, 図 2 0 B, 図 2 0 C及び図 2 0 Dは、 それぞれ、 B細 胞分化の検討時の Blimp- 1発現量、 Xbp- 1発現量、 Be卜 6発現量及び A ID発現量を測定した結果をプロッ 卜 したグラフであり、
図 2 1 は、 Splenocyteに対して免疫操作を行い取得した anti- Hen Egg Lysozyme/ MBP-scFvの ELISA結果を示したものであり、 抗原特 異性をみるために、 )6 -カゼイ ン, S100A2, S100A14, Hen Egg Lyso zymeをそれぞれコー 卜 した ELI SAプレー トを用いて比較したグラフ であり、
図 2 2 は、 B細胞に対して免疫操作を行い取得した anti-Hen Egg
Lysozyme/ MBP- scFvの ELISA結果を示したものであり、 抗原特異性 をみるために、 β -カゼイ ン, S100A2, S100A14, Hen Egg Lysozyme をそれぞれコートした ELISAプレー トを用いて比較したダラフであ Ό、
図 2 3 は、 anti- Hen Egg Lysozyme/ MBP-scFv/ EGFPの ELISA結果 を示したものであり、 EGFPは, Gl -Linker 及び G5 -Linkerを介し て scFvに融合されており、 また、 抗原特異性をみるために、 β -力 ゼイ ン, S100A2, S100A14, Hen Egg Lysozymeをそれぞれコー ト し た ELISAプレー トを用いて比較したグラフであり、
図 2 4は、 anti-jS -Casomorphin7/ MBP-scFv, ant i-Angiotens in 1/ MBP-scFv, anti-PTH/ MBP- scFvの ELI SA結果を示したものであ り、 抗原特異性をみるために、 /3 _Cas7/3 - Casomorphin 7 (b-Cas7 ) , Angiotensin I (Ang I) , PTHをそれぞれコー ト した ELISAプ レー トを用いて比較したグラフであり、
図 2 5 は、 抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を吸光度 (mAlbumin ELISA) に関して評価した結果をプロッ トしたグラフであり、 図 2 6 は、 抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を陽性クローン出現 率 (mAlbumin 陽性率) に関して評価した結果をプロッ ト したグラ フであり、.
図 2 7 は、 抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を吸光度 (mSlOOAlO ELISA lnmolの抗原) に関して評価した結果をプロッ ト したグラフ であり、
図 2 8 は、 抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を吸光度 (mSlOOAlO ELISA lnmolの抗原) に関して評価した結果をプロッ ト したグラフ であり、
図 2 9 は、 抗マウス蛋白質抗体の取得の結果を陽性クローン出現 率 (mSlOOAlO 陽性率) に関して評価した結果をプロッ 卜 したグラ
フであり、 そして
図 3 0 は、 抗低分子化合物抗体の取得を示す電気泳動の写真であ る。 発明を実施するための最良の形態
引き続いて、 本発明の好ましい実施の形態を説明する。 なお、 本 発明は、 以下に記載する特定の実施の形態によって限定されるもの ではないことを理解されたい。
本発明は、 マウス、 ラッ ト等の免疫用動物から臓器を摘出し、 当 該臓器から免疫細胞を含む細胞群を分離して、 これを刺激物質を含 む培養液中で抗原による感作を行う ことで、 免疫細胞を得るもので ある。
この免疫細胞を、 FACSc an等の細胞分離装置、 又はその他の細胞 染色による選別手法を用いて、 リ ンパ球中、 例えば目的の抗体を産 生する B細胞を選別する。 選別した B細胞をミエローマ細胞との融合 により不死化させ、 ハイプリ ドーマを形成させ、 クロ一ニング後に 抗体や抗体遺伝子を取得することも可能であるが、 必ずしもハイブ リ ドーマ形成の工程は必要とはしない。
この選別した細胞若しくはハイプリ ドーマから、 遺伝子を抽出し 、 PCR法により H鎖、 L鎖の遺伝子を取得、 大腸菌で発現できるよう に一本鎖抗体 s cFvに改変してプラスミ ド化した後、 大腸菌内で発現 させて抗体を得るものであれば、 抗原については、 特定しないが、 この中で例えば、 S 100A 10タンパク質が尿を検体として用いること ができる腎臓癌マーカーとして使用できることから、 本発明は、 腎 臓癌の免疫学的診断のための抗体の作製方法として、 好適である。 〔マウス由来のヒ ト抗体の作製について〕
本発明では、 マウス由来のヒ ト抗体の作製工程を更に組み合わせ
ても良い。 以下にヒ ト抗体を取得する工程例を示す。
1 . 免疫ヒ 卜化マウス由来の脾臓細胞を用いる方法
マウスの脾臓細胞内の抗体遺伝子をすベてヒ ト由来の遺伝子に置 き換えた免疫ヒ ト化マウスが報告されている。 これは、 抗体遺伝子 以外はマウス由来の細胞なので、 今回の体外免疫法を直接そのまま 使用しての免疫が可能である。 この方法で取れてきた抗体はすべて ヒ ト抗体となる。
2. 抗体のヒ ト化を行う方法
取得した遺伝子から、 抗体のアミ ノ酸配列を決定する。 このアミ ノ酸配列をヒ ト抗体のアミノ酸配列ライブラリーと比較する。 超可 変領域 (Complementarity determiningregion) 以外の ί几 のフレ ーム部分を特に比較し、 ホモロジ一 (相同性) の高い配列をヒ ト抗 体のアミノ酸配列ライブラリーから選択する。 選択したフレーム配 列に、 取得した抗体遺伝子の超可変領域を組み込み、 ヒ ト化する。 この段階では抗体はヒ ト化マウス抗体である。
完全長ヒ ト抗体は、 取得した遺伝子から、 抗体のアミ ノ酸配列を 決定する。 このアミ ノ酸配列をヒ ト抗体のアミ ノ酸配列ライブラリ 一と比較する。 超可変領域を含む抗体の全長を比較し、 ホモロジ一 の高い配列をヒ ト抗体のアミ ノ酸配列ライブラリ一から選択する。 選択した配列を細胞で発現させれば、 完全長ヒ ト抗体となる。 選択 した配列の超可変領域を遺伝子工学的手法で改変して元の配列とそ つ く り同じにしても完全長ヒ ト抗体とすることもできる。
こ こで、 本発明を要約して示すと、 下記の各項に記載される通り である。
( 1 ) 体外で免疫用細胞を含む組織を抗原と刺激物質を含む培養 液中で免疫する工程と、
前記免疫された細胞を選別する工程と、
前記選別された免疫細胞から抗体を得る工程とを含む抗体作製方 法。
( 2 ) 前記免疫細胞から、 PCR増幅手法により増幅抗体遺伝子を 取得した後、 宿主細胞により抗体又は抗体に類する蛋白質の発現調 製をするステップをさ らに含む上記第 1項に記載の抗体作製方法。
( 3 ) 前記組織が免疫用動物である上記第 1項に記載の抗体作製 方法。
(4) 前記選別された細胞が、 クラススィ ッチ若しく はァフィ二 ティ マチユレーシヨ ンの発生した細胞である上記第 1項に記載の抗 体作製方法。
( 5 ) 前記免疫された細胞の選別が、 フローサイ トメ ト リー又は 染色による上記第 1項に記載の抗体作製方法。
( 6 ) 前記刺激物質が、 免疫担当細胞上に発現しているサイ ト力 イ ン受容体、 表面抗原又はシグナル伝達に関与する受容体を刺激す る物質である上記第 1項に記載の抗体作製方法。
( 7 ) 前記抗原がペプチ ドである上記第 1項に記載の抗体作製方 法。
( 8 ) 前記抗原が S100 familyに属するタンパク質であり、 一本 鎖抗体 scFv (single chain variable fragment) 若しく は 体 IgGl (Immunogloblin Gl)を取得する上記第 1項に記載の抗体作製方法
( 9 ) 前記抗原が S100A10タンパク質であり、 一本鎖抗体 scFv (s ingle chain variable fragment) 若しく は抗体 IgGl (Immunoglobl in Gl)を取得する上記第 1項に記載の抗体作製方法。
( 1 0 ) 前記刺激物質が、 サイ ト力イ ン受容体に対する刺激物質 としての、 IL-4又は IL-5、 表面抗原に対する刺激物質としての、 an t i - CD38抗体又は an t i - CD40抗体、 及びシグナル伝達に関与する受容
体に対する刺激物質としての LPS (Lipopolysaccharide) の少なく とも 1つである上記第 6項に記載の抗体作製方法。
( 1 1 ) 体外で免疫用細胞を含む組織と、 IL-4、 IL- 5、 anti-CD3 8抗体、 anti - CD40抗体及び LPSからなる群から選ばれた 1以上の刺 激物質を含む培養液中で免疫して抗体を作製する上記第 1項に記載 の抗体作製方法。
( 1 2 ) 選別された前記抗体遺伝子アミ ノ酸配列を決定する工程 と、
このアミ ノ酸配列をヒ ト抗体のアミ ノ酸配列ライブラリ一と比較 し、 ホモロジ一 (相同性) の高い配列をヒ ト抗体のアミノ酸配列ラ イブラ リーから選択し又は改変調整してヒ ト化抗体遺伝子を形成す る工程とをさ らに含む上記第 1項に記載の抗体作製方法。 実施例
引き続いて、 本発明を下記の実施例により さ らに具体的に説明す る。 なお、 これらの実施例は、 本発明を限定するものではない。 実施例 1
本例では、 S100A10タンパク質を抗原例として用い、 抗体 IgGlの 作製方法について説明する。
脾臓細胞 (Splenocyte) 抽出
マウスの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 洗浄した。 2匹分の 脾臓をメッシュ上に乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした後、 遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4 ) し、 細胞を回収した。 次いで、 A CK lysing Buffer 3mUこ細胞を懸濁した後、 lOmL PBS (―)を加えた 。 遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4で) して細胞を回収し、 RPMI 1640 ( 一) 6mLに懸濁した。 セルス トレイナーを通して、 不溶性の脂肪等 を除去した。
体外免疫
S100A10タンパク質抗原をアツセィキッ ト (Dc Protein Assay ki t 、 BioRad社製)で濃度を測定した。 この際のスタンダー ドとして 、 BSA (Sigma社製) を用いた。 濃度既知の S 100A10タンパク質抗原 を所定の量 (5 g若しく は 20 g) 分注し、 これにアジュバン ト N- ァセチルムラミル -L-ァラニル -D-ィソグルタミ ン lmg/mLを 100 L ( マウス 1 匹当 で添加し 室温で 15分間静置した。 脾臓細胞に 、 調製した抗原溶液を添加し、 室温で 15分間静置した。 RPMI 1640 ( 40%FBS)を 6mLずつ添加した。 刺激物質 (IL-4 (終濃度 10ng/mU、 I L-5 (終濃度 10ng/mU、 anti-CD38抗体 (終濃度 l^ g/mL)、 anti-CD4 0抗体 (終濃度 1 g/mU、 LPS (終濃度 40 i g/niL) ) を添加した。 10 cmデッシュに全量を播いた。 37°C C02 イ ンキュベータ一にて培養
(4 日間) した。 培養終了後、 細胞を遠心分離 ( 2000rpm、 5分、 4 ) で回収し、 Trypan Blue Stain 0.4¾ (GIBC0社製) で細胞を染 色し血球計算版 (ァズワン社製) にて免疫後の脾臓細胞数をカウン 卜した。 細胞数は の S100A10抗原を免疫した場合、 1.33 x 107 cells, 20 gの S100A10抗原を免疫した場合、 0.71 x 107 cells で あった。 この細胞を Medium B (Clona Cell HYキッ ト、 StemCell Te chnology社製) を用いてゥォッシュ洗浄 (lOmL x 3 times) し、 1. 00 x 108 cells/mLに調製した。
メラノーマ細胞の調製
PAI 細胞 (マウス由来ミエローマ細胞) を Medium A (Clona Cell
HYキッ ト、 StemCell Technology社製) を用いて、 継代培養してお いた。 Medium Bを用いて細胞をゥォッシュ洗浄 UOmL x 3 times) し、 上記と同じ装置を用いてカウン ト した。 当該細胞数は、 細胞融 合時に 5 X 107 eel Is が好ましい。
細胞融合
脾臓細胞 Splenocyte :メラノーマ細胞 Myeloma = 2 : 1 にて細 胞を混合し、 遠心して回収した。 タッ ピングした後、 PEG (ポリエ チレングリコール) 溶液を、 5;½gの S100A10抗原を免疫した場合 66. 5 L、 20 gの S100A10抗原を免疫した場合 35.5/ L (Splenocyte 1 x 108 cellsに対して 500 L)、 で混合した。
遠心分離して回収した後、 Medium B を、 5 ^ gの S100A10抗原を免 疫した場合 665 /xL、 20;a gの S100A10抗原を免疫した場合 355; L (Sp lenocyte 1 x 108 cellsに対して 5 mL)、 で一滴ずつ添加した。
これに Medium C (Clona Cell HYキッ ト、 StemCell Technology 社製) を、 の S100A10抗原を免疫した場合 665 / L、 20/_igの S100 A10抗原を免疫した場合 355;aL (Splenocyte 1 x 108 cellsに対し て 5mL)、 で一滴ずつ添加した。 この溶液を、 5 gの S100A10抗原を 免疫した場合 5.32mし 20 gの S100A10抗原を免疫した場合 2.84mL ( Splenocyte 1 x 108 ce 11 sに対して 40mL)、 で Med iumCに静かに添加 し、 37で C02 イ ンキュベータ一にて培養 (1日間) (15mL遠沈管 にて) した。
細胞融合したその日に 4 のイ ンキュベータ一に Medium D (Clon a Cell HYキッ ト、 StemCell Technology社製) を移し、 溶解してお いた。 溶解確認後、 よく混合した後、 室温に戻した。
クローニング
細胞を遠心して回収し、 5^ gの S100A10抗原を免疫した場合 1.33m し 20 gの S100A10抗原を免疫した場合 0.71mL (Splenocyte 1 x 10 8 cellsに対して lOmL)の Medium C に懸濁し、 これを、 5 gの S100A 10抗原を免疫した場合 11.97mL, 20 gの S 100A10抗原を免疫した場 合 6.39mL (Splenocyte 1 x 108 cellsに対して 90 mL)の Medium D に懸濁した。 37でで 15分イ ンキュベー ト した後、 10cmデッシュに撒 いた。 更に、 37で C02 イ ンキュベータ一にて培養 (10〜14日間)
した。
ハーべス 卜
胞コロニーを目視下でカウントし、 その全てを 96well plate (ゥエルプレート) に移し、 200 Lの Medium E (Clona Cell HYキ ッ ト、 StemCell Technology社製) を加えた。 次いで、 37 C02 ィ ンキュベー夕一にて培養 (4日間) した。 上清を 150; L 回収し、 S1
00A10 ELISA による確認を行った。
S100A10 ELISA Plateの調製
S100A10抗原を PBS (-)にて 5 z g/mLに希釈し、 lOO^Lずつ 96well plate (Nunc-Immuno module F8 maxisoap, Nunc社製) に添加した
。 これを 4t:で 1日間静置した後、 上清を捨て、 0. 1%BSA /PBS (-) を 200 Lずつ添加した。 室温で 1時間静置した後、 PBS (―)で 3回洗 浄し、 S100A10 ELISA Plateを調製した。
S100A10 ELISA
S100A10 ELISA Plateに上記ハーべス 卜の項で取得した 150 /z の 培養上清を加え、 37 インキュベータ一にて 1時間静置した。 上清 を捨て、 PBS (―)で 3回洗浄し、 PBS (―)で 5000倍に希釈した二次抗 体 (anti-Mouse IgGl-HRP, フナコシ社製) を 50^ L添加し、 37でィ ンキュベー夕一にて 1時間静置した。 上清を捨て、 PBS (―)で 3回洗 浄し、 lOO^Lの TMB溶液を添加し、 37 インキュベータ一にて 10分 '間静置した。 その後直ちに 1N HC1 (和光純薬社製) を 添加 し、 反応を停止させた。 その後、 各ゥエルの 450nmの吸光度をマイ クロプレー トリーダ一 (Model 550 , BioRad社製) にて測定した。 得られた結果を下記の第 1表に示す。
第 1表
次いで、 ハイブリ ドーマをコロニー化し、 そのコロニーの大小を 肉眼で確認した。 それらのコロニーを上記手法によりクローニング し、 その後の増殖を確認した。 増殖したクローンの培養上清を S100 A10 ELISAによって、 抗 SIOOAIO I gG 1抗体を産生しているクローン 数を確認した。 上記第 1表に記載の通り、 体外免疫法によって、 Ig G1が作製できることを確認した。 免疫工程で要した日数は、 約 5日 と、 通常 (2〜3ヶ月) に比べ非常に早い時間で S100A10タンパク質 に対する IgGlが作製できた。
実施例 2
本例では、 抗 S100A10抗体遺伝子の抽出及び大腸菌による抗体の 発現工程について説明する。
DNA抽出、 一本鎖抗体 scFvプラスミ ドの作製
免疫後の B細胞ゃハイブリ ドーマ 1.5 X 106 cells (セル) より、 Isogen (二ツボンジーン社製) を用いて Total RNA を取得した。 なお、 前記実施例 1 で説明した体外免疫工程で得られる免疫細胞を 当該工程で用いても良い。
次いで、 1.2% Agarose Gel (ァガロースゲル) 電気泳動により 、 取得確認を実施した。 得られた結果を図 1 A及び図 1 Bに示す。 取得した Total RNA をテンプレー トとして、 マウス (mouse) VH 遺伝子特異的プライマ一若しく は mouse VL遺伝子特異的プライマ一
と し、 ReverTra Ace (T0Y0B0社製) 試薬を用いて一本鎖 cDNAを合成 した。 調製した cDNAをテンプレー トとしてプライマー VH forward p rimer mix/VH reverse primer mix若しく は VL forward primer mix /VL reverse primer mixを用レ て、 Pr imeSTAR HS Polymerase (TaK aRa社製)により、 1st PCR を実施した。 使用 したプライマ一配列は 、 Antibody Engineering a practical approach (pp.210- 211)に紹 介されているものを利用した。
その後、 2% Agarose Gel 電気泳動により、 取得確認を実施した 。 得られた結果を図 2 A及び図 2 Bに示す。
電気泳動後のァガロースゲルから目的のバン ドを切り取り、 QIAQ uick Gel Extraction kit (QIAGEN社製)を用いて VH 遺伝子及び 遺伝子を抽出し、 精製した。 次いで、 その VH 遺伝子及び VL 遺伝 子の各 10ngを用いて、 PrimeSTAR HS Polymerase (TaKaRa社製)によ り、 プライマーを添加せず、 Link PCR を実施した。 その後、 Link PCR のサンプルにプライマ一 2nd PCR Primer Premixを加えてその まま PCR増幅を実施した。 その後、 Vk Agarose Gel 電気泳動により 、 取得確認を実施した。 得られた結果を図 3 A及び図 3 Bに示す。 これらの結果から、 目的の scFv PCR産物が得られたことが確認でき た。
次いで、 scFv PCR産物を、 制限酵素 EcoRI及び Hindlllと 37でで 1 時間反応させて分解し、 電気泳動後のァガロースゲルから目的のバ ン ドを切り取り、 QIAquick Gel Extraction kit (QIAGEN社製)を用 いて scFv 遺伝子を抽出し、 精製した。 同様に、 プラスミ ドベクタ — pMAL-ρΠを制限酵素 EcoRI及び Hindlllと 37°Cで 1時間反応させて 分解し、 電気泳動後のァガロースゲルから目的のバン ドを切り取り 、 QIAquick Gel Extraction kit (QIAGEN社製)を用いてプラスミ ド ベクター遺伝子を抽出し、 精製した。 これらの精製物をプラスミ ド
ベクター遺伝子 lmolに対し scFv遺伝子 6 mol の割合で混合し、 DNA Ligation kit く Mighty Mix) (TaKaRa社製)を用いてライゲーシヨ ン した。 ライゲーシヨ ン溶液 Lを大腸菌 JM109株のコンビテン ト セルと混合し、 大腸菌 JM109株を形質転換した。 この形質転換体を 5 0/ g/mLのアンピシリ ンを含む LB寒天培地に塗布し、 37でで 18時間 培養した。
scFv遺伝子の連結したプラスミ ドを持つ大腸菌クローンをセレク シヨ ンするため、 上記の工程で形成したコロニーをコロニ一 PCR法 に供し、 さ らに 2% Agarose Gel電気泳動により、 取得確認を実施し た。 得られた結果を図 4 A及び図 4 Bに示す。
上記のようにして得たクローンを 50^ g/mLのアンピシリ ンを含む LB液体培地により 37でで 18時間培養し、 QIAprep Miniprep kit (QI AGEN社製)を用いて、 プラスミ ド DNAを抽出した。 抽出したプラスミ ドの MA配列を DNAシークェンサ一 MegaBASE 1000 (GEヘルスケア社 製)を用いて確認した。 この抗体遺伝子の取得工程には、 3日を要し た。
大腸菌による一本鎖抗体 scFvの発現
シークェンスを確認したプラスミ ドを用いて、 大腸菌 BL21 (DE3) 株を形質転換した。 この形質転換体を 50 g/mLのアンピシリ ンを含 む LB寒天培地に塗布し、 37 で 18時間培養した。
次いで、 上記のようにして形成したコロニーを、 5mL.の 50/ g/mL のアンピシリ ンを含む LBG液体培地により 30 で 18時間培養した。 この培養液 lmLを lOOmLの g/mLのアンピシリ ンを含む LBG液体培 地により 30でで培養レた。 培養 1時間ごとに 660nmの吸光度を分光光 度計 UV-1200 (島津製作所社製) にて測定した。 吸光度が 0.5に達し た時点で、 IPTGを終濃度 0.5mMになるように添加し、 23でで 20時間 培養した。 培養終了後、 遠心分離(6000rpm , 20min , 4 )により大
腸菌菌体を回収した。 これを Sol. A 5mL (20¾ Sucrose , ImM EDTA , 30mM Tris-HCl pH8.0 , 0.5mM APMSF)に溶解し、 室温で 10分間静置 した。 遠心分離(6000rpm , 20min , 4で)により大腸菌菌体を回収し 、 氷冷した Sol. B 5mL (5mM MgSi^ )に溶解し氷上に 10分間静置した 。 その後遠心分離(6000rpm , 20min , 4で)により、 上清を回収した その後、 上記のようにして回収した上清をアミ ロースレジンカラ ム (10mL、 2.5cm x 3.3cm) に供した。 上清が全てカラムを通過 した後、 ゥォッシュ緩衝液(200mM NaCl, 20mM Tris-HCl pH8.0 ) 4 OmLでカラムを洗浄した。 この洗浄を 2回実施した後、 £1 6緩衝液( 5 mM Maltose , 200mM NaCl , 20mM Tris-HCl pH8.0 )40mLでカラ ムに吸着した MBP (Mai tose binding protein) -scFv蛋白質を溶 出し、 精製した。 精製した MBP-scFv蛋白質を SDS- PAGE法により解析 した。 得られた結果を図 5 A及び図 5 Bに示す。
また、 精製した MBP- scFv蛋白質の濃度を、 アツセィキッ ト (Dc P rotein Assay kit 、 BioRad社製)で測定した。 その結果、 50mLの培 養液から 0.345 mgの MBP- scFv蛋白質が得られたことがわかった。
ところで、 上記の精製工程には 3日を要した。 本方法は、 抗体遺 伝子の取得工程から数えれば、 6日で終了し、 通常の方法 (2〜3ケ 月 を要する) に比べ非常に早い時間で S100A10タンパク質に対する s cFvを作製できたことがわかる。
なお、 本発明は、 実施例として抗 S100A10抗体を大量に生産する ことを可能とすることを示したが、 抗体は抗 S100A10抗体に限られ るものではなく、 その他のさまざまな抗体にも有利に適用可能であ ることを理解されたい。
実施例 3
前記実施例 1 に記載の手法を反復した。 但し、 本例の場合、 S100
Alタンパク質及び S10 0A10タンパク質を抗原として使用し、 前記実 施例 1 と同様の手法で体外免疫法を実施し、 IgGl陽性率を計算した 。 図 6は、 このようにして得られた結果をプロッ トしたものである 。 抗原によってバラつきがでるものの、 どちらも 60%以上という高 い確率で IgGlへのクラススィ ッチが発生していることを図 6から確 認することができる。
本発明では、 体外 ( i n V i t r o ) での免疫において、 LPS (40 g/mL) 、 IL- 4、 IL-5 ( lOng/mL) 、 anti - CD38抗体、 anti-CD4 0抗体 (1 x g/mL) 等の刺激物質を抗原免疫後に 1回添加し、 4日間刺 激物質存在下で培養することで有効なクラススィ ッチが実現可能で あることが明らかになった。
実施例 4
前記実施例 1 に記載の手法を反復した。 但し、 本例の場合、 S100 A10 蛋白質を抗原として前記実施例 1 と同搽の手法で体外免疫法を 実施し、 培養を行った 4日 目と 7日 目に全細胞を回収し、 そこから To tal-RN Aを取得した。
Tota卜 RNA600ngをテンプレー トとして、 ReverTra Ace (TOYOBO 社) を用いて逆転写反応を実施した。 反応組成は、 メーカ一プロ ト コールに従い 20 Lの容量で、 プライマ一として、 01igo (dT) 20 (T 0Y0B0社) を用いた。 反応条件は、 42で20分、 99で 5分、 4 5分で 実施した。 この産物 1 Lをテンプレー トとして、 PowerSYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosystems社)を用いて Rea卜 time PC Rを実施した。 反応条件は、 95 10分— (95 1 秒、 60 1分) を 4 0サイクルで行った。
また、 本例で使用した機材は、 7500Fast (Applied Biosystems 社)である。 得られた結果を内部標準である j6ァクチンで標準化し 、 'グラフ化した。 得られた結果を図 7 に示す。 図 7から、 すべての
マーカー遺伝子 (Bcl6、 AID、 Xbpl, Bl impl) で発現量の上昇が確 認され、 抗体の親和性、 抗体産生細胞の分化、 誘導がより高まるこ とが確認された。 ここで、 Bcl6 や AIDは、 主に抗体の親和性成熟や クラススィ ッチに関与する遺伝子であり、 Xbplは、 多機能転写因子 であって、 抗体産生細胞への分化にもかかわつているとされ、 Blim piも Xbplと同様に、 B細胞が抗体産生細胞(プラズマ細胞)へ分化す る際に働く 因子である。
実施例 5
本例では、 サイ ト力イ ンの細胞毒性試験の実験方法について説明 する。
BALB/cマウス (4週齢、 早、 SPF/VAF) を頸椎脱臼にて殺し、 マウ スの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 70%エタノールで洗浄した 。 さ らに、 PBSで洗浄した後、 2匹分の脾臓をセルス トレイナー上に 乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした。 セルス トレーナ一を 4m Lの PBS (-)で 3回洗浄することで脾臓細胞をセルス ト レイナーから溶 出させた。 これを遠心分離 ( 1300rpm X 3min , 4 ) し、 細胞を回 収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、 10mL PBS (—)を加 えることで赤血球を除去し、 遠心分離 ( 1300rpm X 3min , A°C ) し て脾臓細胞を回収した。 この脾臓細胞は RPMI 1640培地 10mLに懸濁し 、 セルス トレイナーを通すことにより、 不溶性の脂肪等を除去した 。 細胞数を血球計算版を用いて計測し、 lx 107cells/mLになるよう に濃縮した。
刺激物質 (IL-4 (標準の終濃度 10ng/mU、 IL-5 (標準の終濃度 10 ng/mL) , anti-CD38抗体(標準の終濃度 1 z g/mL)、 ant i- CD40抗体(標 準の終濃度 l^ g/mULPS (標準の終濃度 40 g/mL) ) を標準の終濃 度の 10000倍にて調製した。 これを PBS (-)を用いて 10倍の段階希釈
を行った。 これにより、 10_6〜104倍までの刺激物質希釈系列を調 製した。 この刺激物質 1.5 L (1/1000容量)と脾臓細胞 300 Lを混合 し、 40%FBSを含む RPMI 1640培地で、 細胞濃度 2x 106 ce 11 s/mLに調製 し、 4日間 37 の C02イ ンキュベーターで培養した。
培養後、 細胞溶液 IOO Lを 96well pi ateに分注し、 37での (:02ィ ンキュベー夕一で 2時間保温した。 そこに Cell Counting kit-8 (Doj indo社製)を lOmL添加し、 さ らに 1時間保温した。 マイクロプレー ト リーダ—を用いて 450nmの吸光度を測定し、 ブランクとして 650nmの 吸光度を測定した。 450nmの測定値から 650nmの測定値を減じ、. 測定 値を得た。 それぞれの測定値を刺激物質無添加の場合の測定値で割 ることにより、 比増殖率を得た。 得られた結果を図 8のグラフに示 す。 グラフ化した際に、 10— 5以下の結果は 10— 4の結果と同一の値を 示したため割愛した。 また、 刺激物質の各希釈倍率での終濃度は、 下記の第 2表に示す通りである。
第 2表
上記したように、 サイ ト力イ ンの細胞毒性試験の結果を図 8 にグ ラフで示すが、 このグラフは、 縦軸が比増殖率、 横軸が刺激物質の 希釈倍率となっている。 図中矢印で示した濃度が通常使用 している 濃度である。 実験は 3回独立して行い、 平均をグラフ化した。
標準の終濃度で細胞毒性は観察されなかった。 LP Sに関しては現 在の 1 0倍濃度を使用することで、 細胞死が観察される場合があった 。 しかし刺激物を何も加えなかった場合と同程度までにしか下がつ ていないことからこの濃度でも使用可能であることが明らかとなつ た。 また、 標準の終濃度では、 どの刺激物質を加えた場合も細胞の 増殖が観察されたので、 最も効率よく免疫されると考えられる。 実施例 6
本例では、 刺激物質組み合わせ検討の実験方法について説明する
BALB/cマウス (4週齢、 早、 SPF/VAF) を頸椎脱臼にて殺し、 マウ スの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 70%エタノールで洗浄した 。 さ らに、 PBSで洗浄した後、 2匹分の脾臓をセルス ト レイナー上に 乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした。 セルス トレーナ一を 4m Lの PBS (-)で 3回洗浄することで脾臓細胞をセルス ト レイナーから溶 出させた。 これを遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4 ) し、 細胞を回 収した。
ACK lysing Buffer 3mL に細胞を懸濁した後、 10mL PBS (―)を加 えることで赤血球を除去し、 遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4で) し て脾臓細胞を回収した。 この脾臓細胞を RPMI 1640培地 lOmLに懸濁さ せ、 セルス ト レイナーを通すことにより、 不溶性の脂肪等を除去し た。 細胞数を血球計算版を用いて計測し、 lx 107cells/mUこなるよ うに濃縮した。
刺激物質 (IL-4 (標準の終濃度 10ng/mU、 IL-5 (標準の終濃度 10 ng/mL) , anti- CD38抗体(標準の終濃度 l/ g/mL)、 ant i- CD40抗体(標 準の終濃度 1 z g/mULPS (標準の終濃度 ^^ g/mL) ) を標準の終濃 度の 1000倍にて調製した。 この刺激物質 1.5 L (1/1000容量) と脾臓 細胞 300 Lを混合し、 40%FBSを含む RPMI 1640培地で、 細胞濃度 2x10 6cells/mLに調製し、 4日間 37での C02イ ンキュベーターで培養した 培養後、 細胞溶液 IOO Lを 96well plateに分注し、 37での C02ィ ンキュベー夕一で 2時間保温した。 そこに Cell Counting kit-8 (Doj indo社製)を lOmL添加し、 さ らに 1時間保温した。 マイクロプレー ト リ一ダーを用いて 450nmの吸光度を測定し、 ブランクとして 650nraの 吸光度を測定した。 450nmの測定値から 650nmの測定値を減じ、 測定 値を得た。 それぞれの測定値を刺激物質無添加の場合の測定値で割 ることにより、 比増殖率を得た。 得られた結果を図 9 A及び図 9 B
に示す。 なお、 グラフの縦軸は比増殖率を示し、 横軸は添加した刺 激物質の種類を示している。
また、 培養後の残りの細胞を回収し、 IS0GEN (二ツボンジーン 社製) を用いて Total RNAを回収した。 この To t a卜 RNA600ngを踌型 として、 ReverTra Ace (T0Y0B0 社) を用いて逆転写反応を実施し た。 反応組成は、 メーカープロ トコールに従い 20 zLの容量で、 プ ライマ一として、 01igo (dT) 20 (T0Y0B0社) を用いた。 反応条件は 、 42で20分、 99 5分、 4で 5分で実施した。 この産物 をテンプ レートとして、 PowerSYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosy stems社)を用いて Real-time PCRを実施した。 反応条件は、 95 10 分→ (95t: i5秒、 60 1分) を 40サイクルで行った。 また、 本例で 使用した機材は、 7500Fast (Applied B iosys tems社)であった。 得 られた結果を内部標準である i6ァクチンで標準化した。 この数値を 無添加の場合の値でさらに標準化してグラフ化した。 得られた結果 を、 図 1 0 A〜図 1 0 D、 図 1 1 A及び図 1 1 B、 図 1 2 A及び図 1 2 B、 図 1 3、 図 1 4、 図 1 5及び図 1 6に示す。
刺激物質組み合わせ検討の結果を示す一連のグラフから、 細胞増 殖に関しては、 ant iCD40刺激と LPS刺激が効果的であることが明ら かとなつた。 しかし、 その際に LPSと ant iCD40が共存する場合には 増殖が抑えられることが明らかとなった。 これは、 細胞に入る刺激 が強すぎた結果、 アポト一シスが誘導されたことによると思われる 一方、 プラズマ細胞の分化マーカーの発現量は、 LPS、 antiCD38 、 IL5のいずれかを添加した場合に増加しており、 これら刺激によ つて分化が進行することが示唆された。 また、 これら刺激を複合し て添加することで、 発現量の増大が確認された。 また、 LPSには細 胞増殖効果も存在するため、 共存させることで全体の細胞数が増加
し、 結果として発現量が減少するという結果が得られた。 また、 分 化マーカーの発現量がいずれか 2種を添加することで、 ほぼ飽和し ていることから、 分化刺激は現在の使用濃度で充分目的を達してい ることが明らかとなった。 さらに、 IL4と antiCD40を添加すること で、 全体の細胞数が上昇するので、 結果として発現量は減少してい るが、 ここに IL5や antiCD38、 LPSを添加することで分化マーカーの 発現量を上昇させることが可能であることを確認できた。
さ らに、 体細胞変異のマーカー発現量は、 同様に LPS、 antiCD38 、 IL5のいずれかを添加した場合に増加していた。 細胞があまり増 殖しない条件 (IL4、 antiCD40、 LPSが存在しない条件) では IL5と a ntiCD38刺激によって体細胞変異マーカーの発現量が増大するが、 細胞が増殖する条件では LPS刺激によるマーカー発現量の増大が確 認された。 これは、 LPSによって抗原非依存的に B細胞の活性化 · 分 化が進行することを示唆している。 LPSは大腸菌のペプチドグリカ ンを構成する リポ多糖であり、 これが共存している状態は、 生体内 では微生物に感染した状態であることを意味している。 生体防御と いう観点から、 LPS刺激によって、 B細胞の体細胞変異 · 活性化を誘 導し、 より適した抗体を産生する細胞を作りだす働きが免疫担当細 胞に備わっていることが考えられる。
今回の体外免疫方法では、 まずもともとの脾臓細胞中に存在した B細胞のうち、 . 目的の抗体を産生している細胞は IL4、 antiCD40によ つて増殖し、 IL5、 antiCD38によって体細胞変異をうけ、 ァフィ二 ティ のバリェ一シヨ ンをもった細胞群となることが予想された。 ま た、 抗原と反応しない細胞は LPS刺激によって増殖 · 体細胞変異を うけ、 抗原と反応できるように変異を蓄積していく システムである ことが示唆された。
実施例 7
本例では、 サイ ト力イ ン濃度の上限と下限のマーカー発現量の実 験方法について説明する。
BALB/cマウス (4週齢、 早、 SPF/VAF) を頸椎脱臼にて殺し、 マウ スの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 70%エタノールで洗浄した 。 さ らに、 PBSで洗浄した後、 2匹分の脾臓をセルス ト レイナー上に 乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした。 セルス トレーナ一を 4m Lの PBS (-)で 3回洗浄することで脾臓細胞をセルス ト レイナーから溶 出させた。 これを遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4で) し、 細胞を回 収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、 10mL PBS (—)を加 えることで赤血球を除去し、 遠心分離 ( 1300rpm X 3min, AaC ) し て脾臓細胞を回収した。 この脾臓細胞を RPMI 1640培地 1 OmLに懸濁さ せ、 セルス トレイナーを通すことにより、 不溶性の脂肪等を除去し た。 細胞数を血球計算版を用いて計測し、 lx 107cells/mLになるよ うに濃縮した。
抗原として精製した hSlOOAlO蛋白質を用い、 0. lnmolもしく は lnm olを用いて、 脾臓細胞 lxl07cellsを免疫した。 この際、 アジュバン トとしてムラミルジペプチド (SIGMA社) を 50 g添加した。 免疫反 応は室温で 15分静置して実施した。 刺激物質 (IL-4 、 IL-5 、 ant i - CD38抗体、 anti- CD40抗体、 LPS) は下記の第 3表の終濃度になる ように調製した。 この刺激物質と、 免疫した脾臓細胞を混合し、 40 %FBSを含む RPMI 1640培地で、 細胞濃度 2x 106 ce 11 s/mLに調製し、 4日 間 37 の C02イ ンキュベーターで培養した。
培養後、 全ての細胞を回収し、 IS0GEN (二ツボンジーン社製) を用いて Total RNAを回収した。 この Tota卜 RNA600ng を铸型として 、 ReverTra Ace (T0Y0B0 社) を用いて逆転写反応を実施した。 反 応組成は、 メーカ一プロ トコ一ルに従い 20^Lの容量で、 プライマ
一として、 01igo (dT) 20 (T0Y0B0社) を用いた。 反応条件は、 42で 20分、 99 5分、 4 5分で実施した。 この産物 I Lをテンプレー ト として、 PowerSYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosys terns 社)を用いて Realtime PCRを実施した。 反応条件は、 95で 10分— ( 95で 15秒、 60で 1分) を 40サイクルで行った。 また、 本例で使用し た機材は、 7500Fast (Applied B iosys terns社)であった。 得られた 結果を内部標準である j8ァクチンで標準化した。 この数値を無添加 の場合の値でさ らに標準化してグラフ化した。 得られた結果を図 1 7 A及び図 1 7 Bに示す。
第 3
サイ トカイ ン濃度の上限と下限のマーカ一発現量の結果を示す図
1 7 A及び図 1 7 Bにおいて、 グラフの横軸は調べたマーカー遺伝 子の名称を示し、 縦軸は mRNAの発現量を示す。 グラフの縦軸におい て、 数値が 0.05減少した場合、 mRNA発現量が約 2倍になったと換算 できる。
図から、 抗原濃度が 0. nmolでも lnmolでも、 上限及び下限の刺激 物質濃度で、 無添加の場合と同等もしく はそれ以上のマーカーの発 現を確認することができた。 このことから、 これらの範囲で刺激物 質を添加することで抗原によって免疫された細胞が、 形質細胞に分 化し、 その過程で抗体の親和性成熟やクラススィ ッチが発生してい ることが示唆された。
実施例 8
本例では、 B細胞の分化の検討の実験方法について説明する。
BALB/cマウス (4週齢、 早、 SPF/VAF) を頸椎脱臼にて殺し、 マウ スの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 70%エタノールで洗浄した 。 さ らに、 PBSで洗浄した後、 2匹分の脾臓をセルス ト レイナー上に 乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした。 セルス ト レーナ一を 4m Lの PBS (-)で 3回洗浄することで脾臓細胞をセルス トレイナーから溶 出させた。 これを遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4で) し、 細胞を回 収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、 10mL PBS (―)を加 えることで赤血球を除去し、 遠心分離 ( 1300rpm x 3min, 4 ) し て脾臓細胞を回収した。 この脾臓細胞を RPMI 1640培地 10mLに懸濁さ せ、 セルス トレイナーを通すことにより、 不溶性の脂肪等を除去し た。 細胞数を血球計算版を用いて計測し、 lx 107cells/mLになるよ うに濃縮した。
抗原として精製した hSIOOA 10蛋白質 lnmolを用いて、 脾臓細胞 2x1 07 eel Isを免疫した。 この際、 アジュバン トとしてムラミルジぺプ チド (SIGMA社) を lOO^ g添加した。 免疫反応は室温で 15分静置し て実施した。 刺激物質 (IL-4 、 IL-5 、 anti-CD38抗体、 anti- CD40 抗体、 LPS) は標準の終濃度の 1000倍になるように調製した。 この 刺激物質 10 zLと、 免疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、 40%FBSを含む RPMI 1640培地で、 細胞濃度 2xl06cells/mLに調製し、 4日間 37での C0 2イ ンキュベーターで培養した。 コン トロールとして、 抗原のみ添 加したものと刺激物質のみ添加したもの、 無添加のものを同時に行 つた。
培養後、 全ての細胞を回収し、 lx 108cells/mLになるよう に、 染 色バッファ一 (0.5%BSA, 2mM EDTAを含む PBS (-)バッファー)に懸濁
した。 この細胞 20 Lを抗体で染色した。 染色方法は、 下記の第 4 表に記載の通りである。
第 4表
染色した細胞を 500mLの染色バッファ一に懸濁し、 FACSCaliberを
用いて、 解析した。 各細胞の陽性率を測定し、 グラフ化した。 得ら れた結果を、 図 1 8 A、 図 1 8 B、 図 1 9 A〜図 1 9 Dに示す。 グ ラフは、 縦軸が各細胞の陽性率で、 横軸に抗原 · 刺激の有無を示す
B細胞の分化の検討の結果を示す一連のグラフから、 脾臓細胞を 生体外で免疫することによって、 B細胞の活性化 ' 増殖及び、 ブラ ズマ細胞への分化を確認した。 B細胞の活性化 ' 成熟は、 抗原では なく刺激物質によって引き起こされていることが明らかとなった。 抗原のみの場合は、 プラズマ細胞への分化は確認されたが、 B細胞 の成熟はあまり確認されなかったことから、 プラズマ細胞への分化 は主に抗原刺激によって引き起こされていることが示唆された。 B 細胞の増殖は抗原のみを添加した場合でも刺激物質のみを添加した 場合と同様に確認できたことから、 B細胞の増殖に関してはアジュ バン トによる効果であることが示唆された。 これは、 アジュバン ト の構造力 s'LPSの末端構造と同一であることと、 LPSによって細胞増殖 が観察されるという結果からも示唆される。
得られたプラズマ細胞の割合が、 刺激物質のみを添加した場合に おいても上昇していたことから、 抗原非依存的に分化し得ることが 示唆された。
また、 脾臓中の B細胞は、 抗原や刺激物質によって、 T1-B細胞→T 2-Β細胞→Β2細胞— Activated B細胞と成熟し、 プラズマ細胞に分化 していく。 実際、 今回の手法によって B細胞がより成熟し、 特に B2 細胞が免疫しない場合に比べて大幅に増加していることが明らかと なった。
また、 Ac t iba ted- B細胞の割合が免疫の有無によってほとんど変 化がなかつたことから、 Ac t iba ted - B細胞からプラズマ細胞への分 化は非常に迅速に行われていることが示唆された。 抗原と刺激物質
を共に添加した場合、 刺激物質のみ添加した場合と比較して、 B2細 胞の割合が上昇していた。 このことから、 抗原が同時に添加される ことによって、 抗原依存的な B細胞の活性化が優先され、 抗原非依 存的な活性化が減少することが示唆された。 つまり、 今回の体外免 疫法によって、 目的の抗体を産生している細胞を優先的に分化させ 得ることが示唆された。
実施例 9
本例では、 B細胞分化の検討マーカ一発現量の実験方法について 説明する。
BALB/cマウス (4週齢、 、 SPF/VAF) を頸椎脱臼にて殺し、 マウ スの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 70 %エタノールで洗浄した 。 さ らに、 PBSで洗浄した後、 2匹分の脾臓をセルス ト レイナー上に 乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした。 セルス トレーナ一を 4m Lの PBS (-)で 3回洗浄することで脾臓細胞をセルス トレイナ一から溶 出させた。 これを遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4で) し、 細胞を回 収した。
ACK lysing Buffer 3mUこ細胞を懸濁した後、 lOmL PBS (―)を加 えることで赤血球を除去し、 遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4t: ) し て脾臓細胞を回収した。 この脾臓細胞を RPMI 1640培地 lOmLに懸濁さ せ、 セルス トレイナーを通すことにより、 不溶性の脂肪等を除去し た。 細胞数を血球計算版を用いて計測し、 1 X 107cells/mLになる ように濃縮した。
抗原として精製した hSlOOAlO蛋白質 lnmolを用いて、 脾臓細胞 2x1 07 eel Isを免疫した。 この際、 アジュバン トとしてムラミルジぺプ チド (SIGMA社) を lOO g添加した。 免疫反応は室温で 15分静置し て実施した。 刺激物質 (IL-4 、 IL-5 、 anti-CD38抗体、 anti-CD40 抗体、 LPS) は標準の終濃度の 1000倍になるように調製した。 この
刺激物質 10 Lと、 免疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、 40%FBSを含む RPMI 1640培地で、 細胞濃度 2xl06cells/mLに調製し、 4日間 37での CO 2イ ンキュベーターで培養した。 コン トロールとして、 抗原のみ添 加したものど刺激物質のみ添加したもの、 無添加のものを同時に行 つた。
培養後、 全ての細胞を回収し、 IS0GEN (二ツボンジーン社製) を用いて Total RNAを回収した。 この Tota卜 RNA600ngを铸型として 、 ReverTra Ace (T0Y0B0 社) を用いて逆転写反応を実施した。 反 応組成は、 メ一カープロ トコールに従い 20 Lの容量で、 プライマ —として、 01igo (dT) 20 (T0Y0B0社) を用いた。 反応条件は、 42で 20分、 99 5分、 4 5分で実施した。 この産物 をテンプレー ト として、 PowerSYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosystems 社) を用いて Realtime PCRを実施した。 反応条件は、 95で 10分— (95 15秒、 60で 1分) を 40サイクルで行った。 また、 本例で使用 した機材は、 7500Fast (Applied B iosys tems社)であった。 得られ た結果を内部標準である j8 ァクチンの数値を、 同時に測定した PI as ma 細胞もしく は Activated B細胞の割合とかけあわせることでそれ ぞれの細胞由来の ιδァクチンの発現量を得た。 この Plasma細胞由来 の βァクチンの発現量で Bl imp- 1及び Xbp- 1の発現量を、 Activated B細胞由来の /3ァクチンの発現量で Be卜 6及び AIDの発現量をそれぞ れ標準化した。 この値を、 無添加の場合でさ らに標準化し、 グラフ 化した。 得られた結果を図 2 O A〜図 2 0 Dに示す。
B細胞分化の検討マーカー発現量の結果を示す一連のグラフから わかるように、 抗体染色の結果と同様に、 抗原を添加した場合にプ ラズマ細胞への分化マーカーである Bl imp-1や Xbp-1の発現量が上昇 していた。 また、 体細胞変異のマーカーである Bcl-6や AIDは、 刺激 物質を添加することによって高発現となることが明らかとなった。
これにより、 抗原のみでなく、 刺激物質を加えることで、 より高親 和性の抗体が得やすくなる可能性があることが確認された。
さ らに、 抗原と刺激物質を共に加えた場合に、 刺激物質のみを加 えた場合より も体細胞変異マーカーの発現量が減少していることか ら、 特定の抗原が共存することで、 体細胞変異をある程度抑制し、 変異が入りすぎることによる活性の低下を防ぐシステムがあること が示唆された。
また、 免疫前の脾臓細胞では、 分化マーカーはほとんど発現して いないが、 体細胞変異マーカーは高い発現量を示した。 これは、 体 細胞変異によって抗体のレパー ト リーを増やす反応を常に行ってい るためであると考えられる。
実施例 1 0
本例では、 E L I S A実験方法について説明する。
5 ml LB培地で培養し集菌した後, 1mlの PBSに懸濁して超音波破砕 を行い, 可溶性の MBP- scFvを含む破砕上清画分を採取した。
この上清画分を 3% BSA/PBSで 50倍に希釈し、 この 50 ^ 1を ELI SA法 に用いた。 得られた結果を図 2 1 〜図 2 4 に示す。
図 2 1 に示す E L I S A法では、 本体外免疫法に則り、 モデル抗 原と して、 Hen Egg Lysozyme (HEL) を免疫し構築した an t i-HEL/MB P-scFvの活性を ELISAにより測定した。 抗原特異性を調べるために 、 iS -Casein, S100A2, S100A14, Hen Egg Lysozyme をそれぞれコ ー ト した EL ISAプレー トを用いて測定を行った。 この結果、 本法を 用いることで Hen Egg Lysozymeに対して明らかに特異性のある scFv が得られていることが確認された。
図 2 2 に示す E L I S A法では、 本体外免疫法の変法として、 Sp lenocyteに代えて、 MACSを用いて分離した、 B細胞に対して Hen Egg Lysozymeを免疫した。 図 2 1 と同様にして、 構築した ant i-HEL/MB
P - scFvの特異性を確認したところ、 十分な特異性を持つ scFvが得ら れていることが確認された。 このことから、 本法では、 分離された B細胞に対しても、 直接的に有効な免疫操作が可能であることが示 された。
図 2 3に示す E L I S A法では、 本体外免疫法で目的の scFvの遺 伝子配列が得られる。 これを利用することで、 scFvにさ らに機能を 付け加えることも可能である。 その一例として、 anti- HEL/MBP-scF vの C末端に蛍光蛋白質の 1つである EGFPを融合させた、 anti -HEL/MB P- scFv- EGFPを作製した。 scFvと EGFPの間は, Glyおよび Gly- Gly - G1 y-Gly-Gly といった長さの異なるリ ンカ一を介したものを 2種類作 製した。 図 2 1 と同様にして、 構築した MBP-scFv-EGFPの特異性を 確認したところ、 Hen Egg Lysozymeに対して特異性を持ち、 且つ、 蛍光を有する scFvの作製が可能であることが確認された。
蛋白質以外のモデル抗原として、 本法に則りペプチ ドを免疫した 。 一般の免疫方法では、 ペプチ ドの様な低分子量のものは、 KLHや B SA等の蛋白質にコンジュゲー ト したものを抗原として用いるが、 本 法では、 体外において B細胞を直接標的にすることから、 ペプチド そのものでも免疫反応が生じると考えられる。 そこで、 長さの異な る 4種類のペプチ ドをモデル抗原として用い、 ペプチ ドを直接免疫 した。 用いたペプチ ドは、 次の通りである : |8 -cosomorphin- 7 (Bo vine; YPFPGPI, 7 a. a. ) , Angiotensin I (Human; DRVYIHPFHL, 10 a. a. ) , Parathyroid Hormone; PTH (Human; EADKADVNVLYKAKSQ, 1 6 a. a. )。 各ペプチ ドを PBSに溶かし、 10 / gを免疫した。
図 2 4に示す E L I S A法では、 本法に則り構築した ant i- /3 - Ca somorphin7/ MBP-scFv, ant i-Angiotens in 1/ BP-scFv, antト PTH I MBP- scFvの活性を ELISAにより測定した。 特異性を調べるために 、 /3 -Casomorphin-7, Angiotensin I, PTHをそれぞれコー トした EL
ISAプレー トを用いて測定を行った。 この結果、 各ペプチドに対し て有意に特異性を持つ scFvが得られることが確認された。 本法では 、 ペプチドそのものを抗原として添加するだけで.、 短いペプチドに 対しても scFvの取得が可能であることが示された。
実施例 1 1
本例では、 抗 mouse (マウス) 蛋白質抗体の取得実験方法につい て説明する。
BALB/cマウス (4週齢、 早、 SPF/VAF) を頸椎脱臼にて殺し、 マウ スの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 70%エタノールで洗浄した 。 さ らに、 PBSで洗浄した後、 2匹分の脾臓をセルス ト レイナー上に 乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした。 セルス ト レーナ一を 4m Lの PBS (-)で 3回洗浄することで脾臓細胞をセルス トレイナ一から溶 出ざせた。 これを遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4で) し、 細胞を回 収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、 10mL PBS (―)を加 えることで赤血球を除去し、 遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4 ) し て脾臓細胞を回収した。 この脾臓細胞を RPMI 1640培地 lOmUこ懸濁さ せ、 セルス トレイナーを通すことにより、 不溶性の脂肪等を除去し た。 細胞数を血球計算版を用いて計測し、 lx 107cells/mLになるよ うに濃縮した。
抗原として精製した hSIOOAlO蛋白質及び、 購入した mAlbumin (SI GMA社)を用いた。 それぞれ lnmol、 10 nmolを用いて、 脾臓細胞 2x10 7cellsを免疫した。 この際、 アジュバン トとしてムラミルジぺプチ ド (SIGMA社) を 100 S添加した。 免疫反応は室温で 15分静置して 実施した。 刺激物質. (IL-4 、 IL-5 、 anti-CD38抗体、 anti-CD40抗 体、 LPS) は標準の終濃度の 1000倍になるように調製した。 この刺 激物質 lO^Lと、 免疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、 40%FBSを含む RP
MI 1640培地で、 細胞濃度 2xl06cells/mLに調製し、 4日間 37 の C02 イ ンキュベーターで培養した。
培養後、 全ての細胞を回収し、 IS0GEN (二ツボンジーン社製) を用いて Total RNAを回収した。 この To t a卜 RNA600ngを铸型として 、 ReverTra Ace (T0Y0B0 社) を用いて逆転写反応を実施した。 反 応組成は、 メーカ一プロ トコ一ルに従い 20/_iLの容量で、 プライマ 一として、 01igo (dT) 20 (T0Y0B0社) を用いた。 反応条件は、 42 20分、 99で5分、 4 5分で実施した。 この産物 IO Lをテンプレー ト として、 PCRによって抗体の H鎖及び L鎖の超可変領域を増幅した。 P CRには PrimeSTAR HS (TaKaRa社)を用い、 反応組成 · 反応条件はメ 一カープ口 トコ一ルに従った。 得られた 400bpのフラグメン トをァ ガロースゲル電気泳動 (2.0 % Seakem GTG Agarose (TaKaRa社)/ T ΑΕ バッファー、 150V 30 min) によって分離し、 QIAEX II Gel Ext raction kit (QIAGEN社)を用いて抽出精製した。 実験方法は、 メー カープロ トコールに従った。 抽出したフラグメン ト各 50 ngをテン プレー トとして、 PCRによって 800bp の scFvフラグメン トを調製し た。 PCRには PrimeSTAR HS (TaKaRa社)を用い、 反応組成 · 反応条件 はメーカ一プロ トコ一ルに従った。 得られた 800bpのフラグメン ト を制限酵素 Kpnlおよび Hindlll (共に T0Y0B0社製) で切断し、 pMa 卜 c2Eべク夕一 (NEB社)にサブクローニングした。
サブクローニングした DNAを用いて、 大腸菌 JM109株を形質転換し 、 得られたクローンを Overnight Express Auto Induct ion System (Novagen社)を添加した LB培地 5mLで培養した。 27でで一晩培養した 後、 1.5mLの培養液から菌体を回収し、 ImM AEBSF (SIGMA社) を含 む BugBuster ProteinExtraction Reagent 300 Lで可溶性蛋白質 を回収した。
回収した可溶性蛋白質 5 Lを SDS-PAGE法(10% ポリアク リルアミ
ドゲル、 25mA 60min)で MBP-scFvの発現を確認した。
また、 ELISA法を用いて、 抗体のァフィ二ティ を検証した。 ELISA 用のプレートとして、 mSlOOAlOもしくは mAlbuminを固定化したプレ ートを調製した。 1ゥエル当たり、 l gの蛋白質を添加し、 4でで一 固定化した。 PBS (-)で洗浄後、 mSlOOAlO 013【6は3%85 (牛血清 アルブミン (和光純薬社) ) /PBS(- )で、 mAlbumin plateは 1% HEL (ニヮ トリ卵白リゾチーム (生化学工業社) ) /PBS (-)で、 それぞ れブロッキングを行った。 室温で 1時間ブロッキングを行った後、 P BSで洗浄した。 このように調製したプレートに、 MBP - scFv 抗体サ ンプルを添加した。 抗体は mSlOOAlO plate に添加するものは 3%BSA /PBS (-)で、 mAlbumin plate に添加するものは 1% HEL/PBS (-)で、 それぞれ 50倍に希釈し、 室温で 30分間静置した。 このサンプル Lを調製したプレートに添加し、 37°Cで 1時間反応させた。 PBS (-)で 洗浄後、 2次抗体(anti- MBP, HRP conjugate (NEB社))を PBS (-)で 20 00倍に希釈した溶液を 添加し、 37 で 1時間反応させた。 PBS (-)で洗浄後、 SureBlue Reserve (KPL社)を 100 L添加して、 発色 させた。 発色反応は室温で 3分間行い、 反応を停止するために IN HC 1 (和光純薬社)を 100 L添加した。 その後、 マイクロプレートリ一 ダ一モデル 680 (BioRad社)で 450nm/655nniの吸光度を測定した。
測定値から、 ブランクの値を差し引き、 グラフ化した。 グラフの 縦軸には吸光度を、 横軸にはサンプル Noを記載した。 mAlbuminを免 疫したクローンは mAlbuminplateでの値をポジティブ値、 mSlOOAlO pi ateでの値をネガティブ値とした。 特に差の見られたクローンに は星印を加えた。
また、 ポジティブ値をネガティブ値で割り、 マイナスの値を示し 、 かつポジティブ値が正の値を示したクローンを +十、 2以上の値 を示したクローンを十、 1〜 2の値を示したクローンを土、 1以下の
値を示したクローンを一と定義し、 それぞれの陽性率をグラフ化し た。 このようにして得られた結果を図 2 5〜図 2 9に示す。
抗 mouse蛋白質抗体の取得結果を示す一連のグラフから理解され るように、 mSlOOAlOに関しては、 多数の抗体を取得することができ た。 抗体のァフィ二ティ分布を調べた結果、 高濃度の抗原を免疫す ることで、 ァフィ二ティ のないクローンが多数得られた。 しかしな がら、 高ァフィ二ティ の抗体の陽性率は低濃度の抗原で免疫した場 合と大差ないことから、 体細胞変異の頻度が上昇したため、 抗原に 反応できなくなったクローンが増加したと考えられる。 このことか ら、 抗原性の低い抗原を使用する場合は、 なるべく高濃度に使用す ることで、 より 目的に即した抗体を得られる可能性が示唆された。 一方、 mAlbuminに対する抗体は、 非常の取得困難であることが明 らかとなつた 。 この原因として、 マウスの血液中に多量に存在して いるので 、 れに対する抗体を作成しやすいと自己免疫疾患になる 確率が急上昇する。 このため、 骨髄から脾臓に免疫担当細胞が運ば れる前にセレクシヨ ンを受けて可能性のあるクローンを排除してい ることが考えられる。 よって、 これらに対する抗体を作製する場合 には、 骨髄から免疫担当細胞を取得して免疫する方が効率よく抗体 を取得でさる可能性がある。 さ らに 、 mSlOOAlO 抗体を取得した結 果から、 lOnmolより も濃い濃度で免疫することで効率よく抗体を取 得できる可能性が示唆された。 また、 弱いながらも、 mAlbuminに反 応する抗体が取 ίίできているため、 遺伝子に人為的に変異を導入す ることで、 目的の抗体を取得する手法も採用することができる。 実施例 1 2
本例では、 抗低分子化合物抗体の取得及び実験方法について説明 する。
BALB/cマウス (4週齢、 早、 SPF/VAF) を頸椎脱臼にて殺し、 マウ
スの脾臓を肉眼で確認した後、 摘出し、 70%エタノールで洗浄した 。 さらに、 PBSで洗浄した後、 2匹分の脾臓をセルス トレイナ一上に 乗せ、 セルスク レイパーにてすりつぶした。 セルス トレーナ一を 4ηι Lの PBS (-)で 3回洗浄することで脾臓細胞をセルス トレイナーから溶 出させた。 これを遠心分離 ( 1300rpm X 3min, 4 ) し、 細胞を回 収した。
ACK lysing Buffer 3mLに細胞を懸濁した後、 10mL PBS (―)を加 えることで赤血球を除去し、 遠心分離 U300rpm X 3min, 4で) し て脾臓細胞を回収した。 この脾臓細胞は RPMI 1640培地 lOmLに懸濁し 、 セルス ト レイナーを通すことにより、 不溶性の脂肪等を除去した 。 細胞数を血球計算版を用いて計測し、 lx 107cells/mLになるよう に濃縮した。
抗原として HEL-Cy3蛋白質及び HEL-ITCを用いた。 それぞれ Cy3 Mo no Reactive Dye Pack (GEヘルスケア社)、 FITC (フナコシ社)を用 いて HEL (生化学工業社)をラベル化した。 ラベル化率を測定し、 低 分子化合物 1 nmol相当を用いて、 脾臓細胞 2xl07cellsを免疫した。 この際、 アジュバン トとしてムラミルジペプチド (SIGMA社) を 100 / g添加した。 免疫反応は室温で 15分静置して実施した。 刺激物質 (IL-4 、 IL-5 、 anti- CD38抗体、 anti- CD40抗体、 LPS) は標準の 終濃度の 1000倍になるように調製した。 この刺激物質 IO Lと、 免 疫した脾臓細胞(2mL)を混合し、 40%FBSを含む RPMI 1640培地で、 細 胞濃度 2xl06cells/mLに調製し、 4日間 37での C02イ ンキュベーター で培養した。
培養後、 全ての細胞を回収し、 IS0GEN (二ツボンジーン社製) を用いて Total RNAを回収した。 この To t a卜 RNA600ng を铸型として 、 ReverTra Ace (T0Y0B0 社) を用いて逆転写反応を実施した。 反 応組成は、 メーカ一プロ トコールに従い 20 Lの容量で、 プライマ
—として、 01igo(dT) 20 (T0Y0B0社) を用いた。 反応条件は、 42¾ 20分、 99 5分、 4で5分で実施した。 この産物 IO Lをテンプレー ト として、 PCRによって抗体の H鎖及び L鎖の超可変領域を増幅した。 P CRには PrimeSTAR HS (TaKaRa社)を用い、 反応組成 · 反応条件はメ —カープロ トコールに従った。 得られた 400bpのフラグメン トをァ ガロースゲル電気泳動 (2.0 % Seakem GTG Agarose (TaKaRa社)/ T ΑΕ バッファ一、 150V 30 niin) によって分離し、 QIAEX II Gel Ext raction kit (QI AGEN社)を用いて抽出精製した。 実験方法は、 メー カープ口 トコールに従った。 抽出したフラグメン ト各 50ngをテンプ レー トとして、 PCRによって 800bpの scFvフラグメン トを調製した。 PCRには PrimeSTAR HS (TaKaRa社)を用い、 反応組成 · 反応条件はメ —力一プロ トコールに従った。 得られた 800bpのフラグメン トを制 限酵素 Kpnl及び Hindlll (共に T0Y0B0社製) で切断し、 pMa卜 c2Eベ クタ一 (NEB社)にサブクローニングした。
サブクローニングした DNAを用いて、 大腸菌 JM109株を形質転換し 、 得られたクローンを Overn ight Express Auto Induction System (Novagen社)を添加した LB培地 5mLで培養した。 27 で一晩培養した のち、 1.5mLの培養液から菌体を回収し、 ImM AEBSF (SIGMA社) を 含む BugBuster Prote inExtract ion Reagent 300 M L で可溶性蛋白 質を回収した。
回収した可溶性蛋白質 5 Lを SDS-PAGE法(10% ポリアク リルアミ ドゲル、 25mA 60min)で MBP- scFvの発現を確認した。
図 3 0は、 抗低分子化合物抗体の取得を示す電気泳動写真を示し たものである。 Cy3-HEL、 FITC- HELともに、 目的の蛋白質 (図中の 矢印部分) の高発現を確認できた。 このことから、 目的の抗体を取 得できたことが示唆された。
産業上の利用の可能性
以上に説明したように、 本発明によれば、 抗原抗体反応に基づい た疾病の診断における抗体の作製を短期間に大量に行えることから 、 疾病診断に限らず、 免疫学的マーカー検査分野の拡大を促進する ことができる。 また、 抗原抗体反応に基づいた疾病の治療に利用す る抗体を短期間に多種類取得できることから、 抗体医薬分野の拡大 を促進することができる。
さ らには、 腎臓癌マーカーの 1 つである S 1 00A 1 0タンパク質の検 出を可能とする抗体の作製を短期間に大量に行えることから、 抗体 の製造コス 卜が下がり、 癌検診を目的とした尿検査を頻繁に低コス 卜でできるようになる。