JP2004121237A - 体外免疫末梢血リンパ球を用いた抗原特異的抗体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 末梢血リンパ球を体外免疫することによる抗体産生応答の誘導方法や、迅速かつ効率よく任意の抗原に特異的なヒトモノクローナル抗体を作製する方法や、従来のファージディスプレイ法、特に未感作ヒト末梢血リンパ球を用いたファージディスプレイ法と比較して高効率かつ短期間に抗原特異的抗体遺伝子を取得する方法を提供すること。
【解決手段】 ヒト末梢血リンパ球を分離後、CD11c特異的抗体およびマグネチックビーズを用いCD11c陽性細胞を除去し、体外免疫を行い、抗原特異的ヒト抗体産生応答を誘導し、体外免疫後のリンパ球をファージディスプレイ法に供し、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体可変領域遺伝子を取得し、得られたヒトモノクローナル抗体可変領域遺伝子を、動物細胞発現ベクターに挿入し、異種タンパク質高発現ホスト細胞株に導入し発現させることで、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を大量に生産する。
【解決手段】 ヒト末梢血リンパ球を分離後、CD11c特異的抗体およびマグネチックビーズを用いCD11c陽性細胞を除去し、体外免疫を行い、抗原特異的ヒト抗体産生応答を誘導し、体外免疫後のリンパ球をファージディスプレイ法に供し、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体可変領域遺伝子を取得し、得られたヒトモノクローナル抗体可変領域遺伝子を、動物細胞発現ベクターに挿入し、異種タンパク質高発現ホスト細胞株に導入し発現させることで、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を大量に生産する。
Description
本発明は、末梢血リンパ球を体外免疫することによる抗体産生応答の誘導方法や、かかる誘導方法を利用した、抗原特異的抗体産生B細胞又はハイブリドーマの調製・作製方法、抗原特異的抗体遺伝子の取得方法、抗原特異的抗体の製造方法に関する。
免疫系において重要な働きをしている抗体を産生するリンパ球には寿命があり、無限には増殖できない。ハイブリドーマ作製法はガン細胞との細胞融合により、リンパ球の有限寿命を克服する技術である。抗体はタンパク質等の相互に類似した物質を特異的に識別できるタンパク質であり、生体内では抗原特異的液性免疫に関与している。かかる抗体の中でも、ヒト型モノクローナル抗体は人体に投与しても有害な免疫反応を引き起こさないため、ガンやアレルギー等の診断・治療のための高分子医薬として期待されている。従来のヒトモノクローナル抗体作製技術としては、1)マウスを用い作製したマウスモノクローナル抗体のキメラ化(定常領域のヒト化)やヒト化(CDR以外はすべてヒト化)、2)ヒト染色体を導入したマウスを用いたヒト型抗体の産生、3)未感作ヒト末梢血リンパ球を用いたファージディスプレイ法などが広く知られている。1)では、ヒト疾患治療への応用のためには、マウス由来の抗原性を完全に消失させる必要があるが、それは非常に困難で、また膨大な費用と時間のかかる作業となる。2)では、得られる抗体は基本的にヒト抗体ではあるが、マウスで作製されることによる新たな抗原性の獲得の可能性などの問題がある。3)では比較的容易に抗体が得られるものの、その効率が低く、膨大な数のスクリーニングを行う必要性が生じるなどの問題がある。また、得られた抗体遺伝子を動物細胞に導入し、大量生産するために、これまで多くの場合CHO細胞が用いられてきたが、その発現量は非常に低いものであった。
本発明者らは融合効率の高い親細胞株を開発し、従来困難とされていたヒト−ヒトハイブリドーマを多数作製することに成功し、ガン細胞を特異的に認識するヒト型モノクローナル抗体を用いたガン関連抗原の探索や遺伝子工学及び細胞工学的手法を用いた抗体機能の改変を行ってきた。また、ヒトに対する人為的免疫感作は困難なことから、試験管内で免疫感作を行い、任意の抗原に対する特異的ヒト型モノクローナル抗体を作製する効率的な体外免疫法を開発し、コメアレルゲン特異的なヒト型モノクローナル抗体を作製した。例えば、免疫細胞、特にNK細胞とマクロファージに選択的にアポトーシスを誘導するため、遅延型過敏症(リュウマチなど)の薬剤になりうると期待されている生理活性物質であるL−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル(LLME)の存在下において末梢血リンパ球をインビトロで抗原感作して体外免疫を行うと、末梢血リンパ球細胞に抗原特異的抗体の産生応答を誘導することができること(非特許文献1参照)や、溶解性抗原を用いたインビトロでの免疫化は、ムラミルジペプチド(MDP)、インターロイキン2及びインターロイキン4を添加することによって効果的に生じること(非特許文献2参照)や、CHO細胞から誘導された異種タンパク質高発現ホスト細胞株Ras clone I(非特許文献3参照)について報告している。
E. Lindner-Olsson et al.「Animal Cell technology: From Target to Market」Kluwer Academic Publisher, 2001, p.171-174 Cytotechnology 31, 131-139, 1999 Cytotechnology 35, 9-16, 2001
E. Lindner-Olsson et al.「Animal Cell technology: From Target to Market」Kluwer Academic Publisher, 2001, p.171-174 Cytotechnology 31, 131-139, 1999 Cytotechnology 35, 9-16, 2001
本発明の課題は、末梢血リンパ球を体外免疫することによる抗体産生応答の誘導方法や、迅速かつ効率よく任意の抗原に特異的なヒトモノクローナル抗体を作製する方法や、従来のファージディスプレイ法、特に未感作ヒト末梢血リンパ球を用いたファージディスプレイ法と比較して高効率かつ短期間に抗原特異的抗体遺伝子を取得する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究し、L−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル(LLME)の標的細胞が、末梢血リンパ球中のナチュラルキラー細胞(CD56陽性)、CD8陽性細胞、CD11c陽性細胞であることを明かにし、その中で、CD11c陽性細胞が体外免疫を抑制することを明らかにした。また、このCD11c陽性細胞を抗CD11c陽性抗体の結合したマグネチックビーズ等の薬剤で除去するか、あるいは抗CD11c抗体を用いたセルソーティング法などで除去することで、LLME未処理時での体外免疫の効率およびインビトロにおける抗原感作に対する免疫応答能が、LLME処理時に比較しても飛躍的に増大することを見い出した。さらに、このCD11c陽性細胞は、体外免疫時の抗原感作(IL−2、IL−4、ムラミルジペプチドおよび抗原存在下での培養)により、CD11c陽性細胞をGM−CSFおよびIL−4処理することによって誘導される未熟樹状細胞と同等の細胞に分化し、免疫応答・体外免疫を抑制していることを明かにし、CD11c陽性細胞を除去したリンパ球を用いた体外免疫時に、IL−10を共存させることで、さらなる体外免疫の高効率化が可能となることを見い出した。また、上記改良型体外免疫法と、従来から抗体遺伝子取得技術として知られるファージディスプレイ法を組み合わせることで、高効率的に、そして短期間でモノクローナル抗体の取得を可能とし、得られた抗原特異的抗体可変領域遺伝子を、動物細胞発現ベクターに挿入後、異種タンパク質高発現ホスト細胞株として樹立したRas clone I細胞に導入することで、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を大量生産しうることを見い出した。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、ヒト末梢血リンパ球を分離後、CD11c特異的抗体およびマグネチックビーズを用いCD11陽性細胞を除去し、常法により体外免疫を行い、抗原特異的ヒト抗体産生応答を誘導し、体外免疫後のリンパ球をファージディスプレイ法に供し、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体可変領域遺伝子の取得を行い、得られた抗原特異的ヒトモノクローナル抗体可変領域遺伝子を、動物細胞発現ベクターに挿入し、異種タンパク質高発現ホスト細胞株(Ras clone I)に導入し発現させることで、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を大量に生産可能であると見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞を、インビトロで抗原感作することにより体外免疫し、末梢血リンパ球細胞に抗原特異的抗体の産生応答を誘導することを特徴とする抗体産生応答の誘導方法(請求項1)や、マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞が、CD11c陽性細胞を除去した末梢血リンパ球細胞であることを特徴とする請求項1記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項2)や、末梢血リンパ球細胞が、ヒト由来の末梢血リンパ球細胞であることを特徴とする請求項1又は2記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項3)や、抗原特異的抗体がヒト型抗体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項4)や、インビトロでの抗原感作を、インターロイキン10の存在下で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項5)や、感作抗原として、ペプチド抗原を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項6)や、感作抗原として、ペプチド抗原とキーホールリンペットヘモシアニンとの複合体を用い行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項7)や、ペプチド抗原が、未感作外来抗原由来であることを特徴とする請求項6又は7記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項8)や、ペプチド抗原が、感作外来抗原由来であることを特徴とする請求項6又は7記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項9)や、ペプチド抗原が、自己抗原由来であることを特徴とする請求項6又は7記載の抗体産生応答の誘導方法(請求項10)に関する。
また本発明は、請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞を、エプスタインバールウィルスにより不死化し、抗原特異的B細胞を単離することを特徴とする抗原特異的抗体産生B細胞の調製方法(請求項11)や、請求項11記載の調製方法により得られる抗原特異的抗体産生B細胞を培養することを特徴とする抗原特異的抗体の製造方法(請求項12)や、請求項11記載の調製方法により得られる抗原特異的抗体産生B細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子の増幅を行うことを特徴とする抗原特異的抗体遺伝子の取得方法(請求項13)や、請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞を、ミエローマ細胞と細胞融合することを特徴とする抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法(請求項14)や、請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞を、エプスタインバールウィルスにより不死化し、単離した抗原特異的B細胞をミエローマ細胞と細胞融合することを特徴とする抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法(請求項15)や、請求項14又は15記載の作製方法により得られる抗原特異的抗体産生ハイブリドーマを培養することを特徴とする抗原特異的抗体の製造方法(請求項16)や、請求項14又は15記載の作製方法により得られる抗原特異的抗体産生ハイブリドーマからRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子の増幅を行うことを特徴とする抗原特異的抗体遺伝子の取得方法(請求項17)や、体外免疫法により抗原特異的抗体産生応答を誘導した末梢血リンパ球細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子の増幅し、得られたVH遺伝子及びVL遺伝子を合成リンカーで結合することを特徴とする抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子の取得方法(請求項18)や、請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子を増幅し、得られたVH遺伝子及びVL遺伝子を合成リンカーで結合することを特徴とする抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子の取得方法(請求項19)や、請求項18若しくは19記載の取得方法により得られる抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子をファージミドベクターにクローニングすることを特徴とする抗原特異的一本鎖抗体(scFV)の作製方法(請求項20)に関する。
さらに本発明は、請求項13若しくは17記載の取得方法により得られる抗原特異的抗体遺伝子、又は請求項18又は19記載の取得方法により得られる抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子が挿入された発現ベクターを宿主細胞に導入し、該宿主細胞が産生する抗原特異的抗体を採取することを特徴とする抗原特異的抗体の製造方法(請求項21)や、発現ベクターとして動物細胞発現ベクターを、宿主細胞として動物細胞を用いることを特徴とする請求項21記載の抗原特異的抗体の製造方法(請求項22)や、動物細胞が、異種タンパク質高発現ホスト細胞株であることを特徴とする請求項22記載の抗原特異的抗体の製造方法(請求項23)や、異種タンパク質高発現ホスト細胞株がRas clone Iであることを特徴とする請求項23記載の抗原特異的抗体の製造方法(請求項24)や、ヒト化抗体であることを特徴とする請求項21〜24のいずれか記載の抗原特異的抗体の製造方法(請求項25)や、IgG型又はIgE型であることを特徴とする請求項21〜25のいずれか記載の抗原特異的抗体の製造方法(請求項26)や、scFvであることを特徴とする請求項21〜26のいずれか記載の抗原特異的抗体の製造方法(請求項27)に関する。
本発明によると、末梢血リンパ球を体外免疫することにより抗体産生応答を誘導することができ、また、迅速かつ効率よく任意の抗原に特異的なヒトモノクローナル抗体を作製することができ、従来のファージディスプレイ法、特に未感作ヒト末梢血リンパ球を用いたファージディスプレイ法と比較して高効率かつ短期間に抗原特異的抗体遺伝子を取得することができる。
本発明の抗体産生応答の誘導方法としては、マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞を、インビトロで抗原感作することにより体外免疫し、末梢血リンパ球細胞に抗原特異的抗体の産生応答を誘導する方法であれば特に制限されるものではなく、末梢血リンパ球細胞に抗原特異的抗体の産生応答が誘導されたかどうか、すなわち、マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞中のB細胞の抗原特異的抗体産生応答が増強されたかどうかは、例えば、ペルオキシターゼ標識抗ヒトIgM抗体やPOD標識抗ヒトIgG抗体を用いるサンドイッチELISA法により確認することができる。
マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞の調製方法としては、例えばヒトから採血した全血から常法により分画した末梢血リンパ球細胞から、マクロファージ及び単球を物理的に取り除くことができる方法であれば特に制限されないが、マクロファージ、単球、樹状細胞に発現するCD11cに対する標識化抗体(PE標識抗CD11c抗体の結合したマグネチックビーズなど)やマクロファージ、単球に発現するCD14に対する標識化抗体(PE標識抗CD14抗体の結合したマグネチックビーズなど)を用いる方法を具体的に例示することができる。
また、インビトロでの抗原感作に際しては、IL−2,IL−4,IL−10,ムラミルジペプチド等のサイトカインやアジュバントの存在下、コメアレルゲン,ダニ抽出物,ハウスダスト,スギ花粉,カゼイン,オボアルブミン,ウイルスタンパク,細菌細胞膜成分,腫瘍抗原,各種ペプチド抗原と、マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞とを、37℃、5%CO2条件下でインキュベーションすることが好ましい。上記IL−2濃度としては1〜100U/mlが、IL−4濃度としては1〜100ng/mlが、IL−10濃度としては2〜200ng/mlが、ムラミルジペプチド濃度としては1〜100μg/mlが好ましく、抗原の濃度としては抗原の種類にもよるが1〜100μg/mlが好ましい。上記ペプチド抗原としては、微生物毒素由来のペプチド等の未感作外来抗原(ヒトがこれまでに接触したことがないと考えられる外来抗原、)由来のもの、食物抗原由来のペプチド等の感作外来抗原(ヒトが持ち合わせてはいないが、日々取り入れている外来抗原)由来のもの、ヒトサイトカイン由来のペプチド等の自己抗原(ヒトが持ち合わせている抗原)由来のものを例示することができる。また、感作抗原としてペプチド抗原を用いる場合、抗原性を増強するために、ペプチド抗原をキーホールリンペットヘモシアニン等の抗原性増強物質との複合体として用いることができる。
本発明の抗原特異的抗体産生B細胞の調製方法としては、上記本発明の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞とエプスタインバールウィルス(EBV)とを培養し、末梢血リンパ球細胞をEBVにより不死化し、目的の抗原に対する抗体活性をELISA法でスクリーニングすることにより抗原特異的B細胞を単離する方法であれば特に制限されず、また、本発明の抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法としては、上記本発明の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞をミエローマ細胞と常法により細胞融合する方法や、上記本発明の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞をEBVにより不死化し、単離した抗原特異的B細胞をミエローマ細胞と常法により細胞融合する方法を例示することができる。上記ミエローマ細胞として、マウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株を好適に例示することができる。
本発明の抗原特異的抗体の製造方法としては、上記本発明の抗原特異的抗体産生B細胞の調製方法により得られる抗原特異的抗体産生B細胞をB細胞培養用培地で37℃、5%CO2条件下培養し、培地から抗原特異的抗体、好ましくは抗原特異的モノクローナル抗体を採取する方法を挙げることができる。また、本発明の抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法により得られるハイブリドーマを用いる本発明の抗原特異的抗体の製造方法としては、前記抗原特異的抗体産生ハイブリドーマをハイブリドーマ培養用培地で37℃、5%CO2条件下培養し、培地から抗原特異的モノクローナル抗体を採取する方法を挙げることができる。上記B細胞培養用培地やハイブリドーマ培養用培地としては、IMDM/F12,IMDM/F12/l−15,RPMI1640,DME/F12等を挙げることができる。
本発明の抗原特異的抗体遺伝子の取得方法としては、上記本発明の抗原特異的抗体産生B細胞の調製方法により得られる抗原特異的抗体産生B細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCR(RT−PCR)により抗体可変領域遺伝子の増幅を行う方法や、上記本発明の抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法により得られるハイブリドーマからRT−PCRにより抗体可変領域遺伝子の増幅を行う方法を挙げることができる。VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーは、多様な抗原特異的抗体遺伝子が得られるように、多種類用いることが好ましい。
本発明の抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子の取得方法としては、体外免疫法により抗原特異的抗体産生応答を誘導した末梢血リンパ球細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子を増幅し、得られたVH遺伝子及びVL遺伝子を合成リンカーで結合する方法であれば特に制限されるものでなく、上記体外免疫法により抗原特異的抗体産生応答を誘導した末梢血リンパ球細胞としては、前記本発明の抗体産生応答の誘導方法により得られる末梢血リンパ球細胞や、インビトロでLLMEにより前処理を行った末梢血リンパ球細胞を具体的に例示することができる。また、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーは、多様な抗原特異的抗体遺伝子が得られるように、多種類用いることが好ましい。
本発明の抗原特異的一本鎖抗体(scFV)の作製方法としては、上記scFV遺伝子の取得方法により得られるscFV遺伝子をファージミドベクターにクローニングする方法であれば特に制限されるものではないが、かかるファージ抗体を濃縮するために、実施例記載のようなパンニングを複数回繰り返すことが好ましい。また、上記ファージミドベクターとしては、環状一本鎖DNAファージM13系ベクターを好適に例示することができる。
本発明の抗原特異的抗体の製造方法としては、前記本発明の抗原特異的抗体遺伝子の取得方法により得られる抗原特異的抗体遺伝子、又は前記本発明のscFV遺伝子の取得方法により得られるscFV遺伝子が挿入された発現ベクターを宿主細胞に導入し、該宿主細胞が産生する抗原特異的抗体を採取する方法であれば特に制限されるものではなく、発現ベクターとしては、上記抗原特異的抗体を宿主細胞内で発現させることができるベクターであればどのようなものでもよく、染色体、エピソーム及びウイルスに由来するベクター、例えば、細菌プラスミド由来、酵母プラスミド由来、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス由来のベクター、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来及びこれらの組合せに由来するベクター、例えば、コスミドやファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝的要素に由来するものを挙げることができるが、動物細胞発現ベクターが好ましい。これら発現ベクターは、発現を起こさせるだけでなく、発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。
また、宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真核細胞や、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞や、L細胞、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、BALB/c3T3細胞(ジヒドロ葉酸レダクターゼやチミジンキナーゼなどを欠損した変異株を含む)、BHK21細胞、HEK293細胞、Bowesメラノーマ細胞、卵母細胞等の動植物細胞などを挙げることができるが、動物細胞が好ましく、中でもRas clone I等の異種タンパク質高発現ホスト細胞株が特に好ましい。そして、本発明の抗原特異的抗体は、異なる抗原エピトープを特異的に認識する二機能性抗体であってもよいが、IgG型又はIgE型等のヒト化抗体やscFvであることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[材料及び方法]
[材料及び方法]
体外免疫法による抗原特異的ヒト抗体産生の誘導法
(ヒト末梢血リンパ球の分離)
ヘパリン入り真空採血管を用いて健常人から採血し、等量のPBSで希釈し、よく混和した。あらかじめ50ml遠心管にリンパ球分離液(Lymphocyte separation medium:LSM)を15mlずつ分注し、その上に希釈した血液25mlをLSMと血液の境界面を乱さないように静かに重層した。続いて、室温にて400×gで30分間遠心した。LSMと血漿の境界に白い帯状に浮遊する末梢血単核球層を、パスツールピペットを用いて、血清でコーティングした50ml遠心管に回収した。回収した単核球懸濁液の3倍以上のERDF培地を加え、よく混和し、200×gで5分間遠心した。得られた細胞のペレットをERDF培地に再懸濁し、200×gで5分間遠心した。この洗浄操作を血小板の混入がなくなるまで2〜3回繰り返した。
(ヒト末梢血リンパ球の分離)
ヘパリン入り真空採血管を用いて健常人から採血し、等量のPBSで希釈し、よく混和した。あらかじめ50ml遠心管にリンパ球分離液(Lymphocyte separation medium:LSM)を15mlずつ分注し、その上に希釈した血液25mlをLSMと血液の境界面を乱さないように静かに重層した。続いて、室温にて400×gで30分間遠心した。LSMと血漿の境界に白い帯状に浮遊する末梢血単核球層を、パスツールピペットを用いて、血清でコーティングした50ml遠心管に回収した。回収した単核球懸濁液の3倍以上のERDF培地を加え、よく混和し、200×gで5分間遠心した。得られた細胞のペレットをERDF培地に再懸濁し、200×gで5分間遠心した。この洗浄操作を血小板の混入がなくなるまで2〜3回繰り返した。
(L−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル処理)
1×106cells/mlの細胞密度になるように末梢血単核球をERDF培地に懸濁した後、終濃度が0.25mMになるようにL−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル(LLME)を添加し、時折攪拌しながら室温で20分間処理した。処理した細胞をERDF培地で3回洗浄し、LLMEを除去した後、体外免疫に用いた。
1×106cells/mlの細胞密度になるように末梢血単核球をERDF培地に懸濁した後、終濃度が0.25mMになるようにL−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル(LLME)を添加し、時折攪拌しながら室温で20分間処理した。処理した細胞をERDF培地で3回洗浄し、LLMEを除去した後、体外免疫に用いた。
(CD11c陽性細胞の分離)
単球の分離にはPE標識抗CD11c抗体(IMMUNOTECH社製)およびMACS Anti-PEマイクロビーズ(Miltenyi Biotec社製)を用い、分離にはMiltenyi Biotec社製のMS陽性カラムを使用した。また、Separation Buffer(SB)として2mM EDTAおよび0.5%BSAを含むPBSを脱気し、冷却後使用した。次いで、細胞数が5×105cellsになるように調整し、細胞を100μlの5% FBS含有PBSに懸濁した。PE標識抗CD11c抗体試薬2μlを加え、よく懸濁した後、2〜8℃で10分間反応させた。PBS1mlを加え800×gで5分間遠心した後、上清を完全に吸引除去した。次に、全細胞数1×107cellsに対し80μlの5%FBS含有PBSに懸濁した後、20μlのMACS Anti-PEマイクロビーズを加え、6〜12℃で15分間反応させた。反応終了後、1mlのSBを加えよく混和した後、3,000×gで1分間遠心した。上清を完全に除去した後、500μlのSBを加え、細胞液中にできるだけ気泡が入らないように注意しながら、細胞を温和にほぐした。次に、MACSにカラムとチューブをセットした後、SBを流しカラムに充填させ、ネガティブフラクション回収用チューブをセットした後、サンプルをカラムにアプライした。その後500μlのSBで3回洗浄し、通過してきたネガティブフラクションであるCD11c陰性細胞を回収した。また、カラムをマグネットから外し、SBを注入してプランジャーで押し出すことにより、カラムに保持されているポジティブフラクションであるCD11c陽性細胞を溶出した。なお、抗体のキャッピングを防ぐために、必ず脱気した冷たい緩衝液を使用し、細胞も冷却した状態で取り扱った。緩衝液やマイクロビーズの量は、標識細胞数が1×107cells以下の場合は上記条件のままで行い、それを超える場合は比例計算にて算出した量を使用した。
単球の分離にはPE標識抗CD11c抗体(IMMUNOTECH社製)およびMACS Anti-PEマイクロビーズ(Miltenyi Biotec社製)を用い、分離にはMiltenyi Biotec社製のMS陽性カラムを使用した。また、Separation Buffer(SB)として2mM EDTAおよび0.5%BSAを含むPBSを脱気し、冷却後使用した。次いで、細胞数が5×105cellsになるように調整し、細胞を100μlの5% FBS含有PBSに懸濁した。PE標識抗CD11c抗体試薬2μlを加え、よく懸濁した後、2〜8℃で10分間反応させた。PBS1mlを加え800×gで5分間遠心した後、上清を完全に吸引除去した。次に、全細胞数1×107cellsに対し80μlの5%FBS含有PBSに懸濁した後、20μlのMACS Anti-PEマイクロビーズを加え、6〜12℃で15分間反応させた。反応終了後、1mlのSBを加えよく混和した後、3,000×gで1分間遠心した。上清を完全に除去した後、500μlのSBを加え、細胞液中にできるだけ気泡が入らないように注意しながら、細胞を温和にほぐした。次に、MACSにカラムとチューブをセットした後、SBを流しカラムに充填させ、ネガティブフラクション回収用チューブをセットした後、サンプルをカラムにアプライした。その後500μlのSBで3回洗浄し、通過してきたネガティブフラクションであるCD11c陰性細胞を回収した。また、カラムをマグネットから外し、SBを注入してプランジャーで押し出すことにより、カラムに保持されているポジティブフラクションであるCD11c陽性細胞を溶出した。なお、抗体のキャッピングを防ぐために、必ず脱気した冷たい緩衝液を使用し、細胞も冷却した状態で取り扱った。緩衝液やマイクロビーズの量は、標識細胞数が1×107cells以下の場合は上記条件のままで行い、それを超える場合は比例計算にて算出した量を使用した。
(抗原感作)
抗原感作は、末梢血単核球を1穴あたり0.5×106cells/mlになるように24穴プレートに播種し、IL−2(1,10,50U/ml)、IL−4(1,10,50ng/ml)、IL−10(100ng/ml)、MDP(10μg/ml)、2−メルカプトエタノール(50μM)および抗原としてコメアレルゲン(10μg/ml)を添加した培地で7日間培養することで行った。なお、すべての培養には37℃、5%CO2条件下、10%非働化ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むERDF培地を用いた。コメアレルゲンは、市販米より松田らの方法(Agric. Biol. Chem., 52: 1465 (1988), Agric. Biol.Chem., 55: 509 (1991))により調製した。
抗原感作は、末梢血単核球を1穴あたり0.5×106cells/mlになるように24穴プレートに播種し、IL−2(1,10,50U/ml)、IL−4(1,10,50ng/ml)、IL−10(100ng/ml)、MDP(10μg/ml)、2−メルカプトエタノール(50μM)および抗原としてコメアレルゲン(10μg/ml)を添加した培地で7日間培養することで行った。なお、すべての培養には37℃、5%CO2条件下、10%非働化ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むERDF培地を用いた。コメアレルゲンは、市販米より松田らの方法(Agric. Biol. Chem., 52: 1465 (1988), Agric. Biol.Chem., 55: 509 (1991))により調製した。
(感作ペプチド抗原)
感作抗原として、可溶性抗原の全長タンパク質体及びより汎用性の広いペプチド体を感作抗原として用いて、体外免疫による抗原特異的抗体産生応答の誘導の可能性について検証した。可溶性抗原の全長タンパク質体として、10μg/mlのコレラトキシンBサブユニット(CTB;List Biological Laboratories, Inc.)、10μg/mlの上記コメアレルゲン(RA)、及び1μg/mlの腫瘍壊死因子α(TNFα;Pepro Tech EC. LTD.)を用いた。ペプチド抗原としては、10μg/mlのコレラトキシンBサブユニット由来のペプチドCTBpep(CSQKKAIERMKDTLR;配列番号1)、10μg/mlのコメアレルゲン由来のペプチドRApep(CVGRASAADEQ;配列番号2)、0.1μg/mlの腫瘍壊死因子α由来のペプチドTNFαpep(CVRSSSRTPSDKPVA;配列番号3)を用いた。また、10μg/mlのCTBpepとキーホルリンペットヘモシアニンとの複合体CTBpep−KLH、10μg/mlのRApepとキーホルリンペットヘモシアニンとの複合体RApep−KLH、1μg/mlのTNFαpepとキーホルリンペットヘモシアニンとの複合体TNFαpep−KLHを用いた。上記ペプチド抗原及びペプチド抗原−キーホールリンペットヘモシアニン複合体は、いずれもSigma Genosys Japan Co.Ltd.から購入した。抗原感作は、末梢血単核球を1穴あたり0.5×106cells/mlになるように24穴プレートに播種し、IL−2(10U/ml)、IL−4(1ng/ml)、IL−10(100ng/ml)、MDP(10μg/ml)、2−メルカプトエタノール(50μM)および上記ペプチド抗原等を添加した培地で7日間培養することで行った。すべての培養には37℃、5%CO2条件下、10%非働化ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むERDF培地を用いた。なお、抗原未感作のものをコントロールとした。
感作抗原として、可溶性抗原の全長タンパク質体及びより汎用性の広いペプチド体を感作抗原として用いて、体外免疫による抗原特異的抗体産生応答の誘導の可能性について検証した。可溶性抗原の全長タンパク質体として、10μg/mlのコレラトキシンBサブユニット(CTB;List Biological Laboratories, Inc.)、10μg/mlの上記コメアレルゲン(RA)、及び1μg/mlの腫瘍壊死因子α(TNFα;Pepro Tech EC. LTD.)を用いた。ペプチド抗原としては、10μg/mlのコレラトキシンBサブユニット由来のペプチドCTBpep(CSQKKAIERMKDTLR;配列番号1)、10μg/mlのコメアレルゲン由来のペプチドRApep(CVGRASAADEQ;配列番号2)、0.1μg/mlの腫瘍壊死因子α由来のペプチドTNFαpep(CVRSSSRTPSDKPVA;配列番号3)を用いた。また、10μg/mlのCTBpepとキーホルリンペットヘモシアニンとの複合体CTBpep−KLH、10μg/mlのRApepとキーホルリンペットヘモシアニンとの複合体RApep−KLH、1μg/mlのTNFαpepとキーホルリンペットヘモシアニンとの複合体TNFαpep−KLHを用いた。上記ペプチド抗原及びペプチド抗原−キーホールリンペットヘモシアニン複合体は、いずれもSigma Genosys Japan Co.Ltd.から購入した。抗原感作は、末梢血単核球を1穴あたり0.5×106cells/mlになるように24穴プレートに播種し、IL−2(10U/ml)、IL−4(1ng/ml)、IL−10(100ng/ml)、MDP(10μg/ml)、2−メルカプトエタノール(50μM)および上記ペプチド抗原等を添加した培地で7日間培養することで行った。すべての培養には37℃、5%CO2条件下、10%非働化ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むERDF培地を用いた。なお、抗原未感作のものをコントロールとした。
(サンドイッチELISA法)
抗体産生量は、酵素免疫測定法あるいは抗ヒトIgG抗体、検出抗体としてはペルオキシターゼ標識抗ヒトIgM抗体あるいは、POD標識抗ヒトIgG抗体を用いて行った。まず、96穴イムノプレートに50mM炭酸緩衝液で1,000倍希釈した抗ヒトIgM抗体あるいは抗ヒトIgG抗体を100μlずつ分注し、4℃で一晩静置することによって一次抗体をイムノプレートに吸着させた。その後、非吸着の一次抗体を除くために、TPBS(0.05%Tween20含有PBS)で3回洗浄した。次に、サンプルの非特異的吸着を防ぐために1%ウシ血清アルブミン含有PBS(1% BSA/PBS)を各穴に300μlずつ添加し、37℃で2時間静置することによりブロッキングを行った。さらに、TPBSで3回洗浄後、適宜希釈した各サンプルを100μlずつ添加し、37℃で1時間静置した。サンプルを取り除き、TPBSで3回洗浄後、1%BSA/PBSで2,000倍希釈したPOD標識抗ヒトIgM抗体あるいは抗ヒトIgG抗体を各穴に100μlずつ添加し、37℃で1時間静置した。その後、TPBSで3回洗浄し、基質0.3mg/ml、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩、及び0.06% H2O2を含む0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.0)を各穴に100μlずつ添加し、37℃で発色させ、ELISAリーダーを用いて、波長405nmにおける吸光度を測定した。スタンダードにはヒトIgMあるいはヒトIgGを用い、検量線(0〜100ng/ml)を作製することによってサンプルの抗体濃度を測定した。なお、IgE抗体の検出には、一次抗体として1,000倍希釈した抗ヒトIgE抗体、検出抗体(二次抗体)としては2,000倍希釈したビオチン標識抗ヒトIgE抗体および2,000倍希釈したPOD標識ストレプトアビジンを用い、発色液にはABTSを使用した。
抗体産生量は、酵素免疫測定法あるいは抗ヒトIgG抗体、検出抗体としてはペルオキシターゼ標識抗ヒトIgM抗体あるいは、POD標識抗ヒトIgG抗体を用いて行った。まず、96穴イムノプレートに50mM炭酸緩衝液で1,000倍希釈した抗ヒトIgM抗体あるいは抗ヒトIgG抗体を100μlずつ分注し、4℃で一晩静置することによって一次抗体をイムノプレートに吸着させた。その後、非吸着の一次抗体を除くために、TPBS(0.05%Tween20含有PBS)で3回洗浄した。次に、サンプルの非特異的吸着を防ぐために1%ウシ血清アルブミン含有PBS(1% BSA/PBS)を各穴に300μlずつ添加し、37℃で2時間静置することによりブロッキングを行った。さらに、TPBSで3回洗浄後、適宜希釈した各サンプルを100μlずつ添加し、37℃で1時間静置した。サンプルを取り除き、TPBSで3回洗浄後、1%BSA/PBSで2,000倍希釈したPOD標識抗ヒトIgM抗体あるいは抗ヒトIgG抗体を各穴に100μlずつ添加し、37℃で1時間静置した。その後、TPBSで3回洗浄し、基質0.3mg/ml、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩、及び0.06% H2O2を含む0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.0)を各穴に100μlずつ添加し、37℃で発色させ、ELISAリーダーを用いて、波長405nmにおける吸光度を測定した。スタンダードにはヒトIgMあるいはヒトIgGを用い、検量線(0〜100ng/ml)を作製することによってサンプルの抗体濃度を測定した。なお、IgE抗体の検出には、一次抗体として1,000倍希釈した抗ヒトIgE抗体、検出抗体(二次抗体)としては2,000倍希釈したビオチン標識抗ヒトIgE抗体および2,000倍希釈したPOD標識ストレプトアビジンを用い、発色液にはABTSを使用した。
抗原特異的B細胞株の単離
(Eptein-Barr virus(EBV)によるB細胞の不死化)
EBV溶液はマーモセットのリンパ球由来のB95−8細胞を10%FBS含有ERDF培地中で7日間培養した培養上清を用いた。24穴培養プレート中で体外免疫したリンパ球を滅菌した2mlエッペンドルフチューブにとり、遠心後、培養液を捨て、細胞ペレットにした。これに1mlウイルス溶液を加えて細胞をほぐした後、15分毎にチューブを軽く振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。その後、4mlの20%FBS含有ERDF培地と混合し、96穴プレートに200μlずつ分注した後、37℃、5%CO2条件下で培養した。培養開始後は3〜4日毎に培養上清の半量を新鮮な培養液と交換しながら培養を続けると、2〜3週間後には、EBV感染Bリンパ芽球による細胞塊が観察されるようになる。培養液の色が1日で黄変するようになったら、培養上清を一部採取し、目的の抗原に対する抗体活性をELISA法でスクリーニングした。目的抗原に対して陽性の反応性を示す抗体を含む穴の細胞は、細胞数の増加に伴って24穴培養プレート、60mmディッシュ、90mmディッシュへと順次スケールアップし、細胞株として樹立した。
(Eptein-Barr virus(EBV)によるB細胞の不死化)
EBV溶液はマーモセットのリンパ球由来のB95−8細胞を10%FBS含有ERDF培地中で7日間培養した培養上清を用いた。24穴培養プレート中で体外免疫したリンパ球を滅菌した2mlエッペンドルフチューブにとり、遠心後、培養液を捨て、細胞ペレットにした。これに1mlウイルス溶液を加えて細胞をほぐした後、15分毎にチューブを軽く振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。その後、4mlの20%FBS含有ERDF培地と混合し、96穴プレートに200μlずつ分注した後、37℃、5%CO2条件下で培養した。培養開始後は3〜4日毎に培養上清の半量を新鮮な培養液と交換しながら培養を続けると、2〜3週間後には、EBV感染Bリンパ芽球による細胞塊が観察されるようになる。培養液の色が1日で黄変するようになったら、培養上清を一部採取し、目的の抗原に対する抗体活性をELISA法でスクリーニングした。目的抗原に対して陽性の反応性を示す抗体を含む穴の細胞は、細胞数の増加に伴って24穴培養プレート、60mmディッシュ、90mmディッシュへと順次スケールアップし、細胞株として樹立した。
(ミエローマとの細胞融合によるハイブリドーマの作製)
親細胞としてはマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株RF−S1細胞を用いた。RF−S1細胞の培養には10〜15%FBS含有ERDF培地を用い、細胞を剥離する際には0.35%EDTA含有PBSを用いた。親細胞株RF−S1とEBV不死化B細胞株の細胞数が1:2で、かつ、親細胞株の細胞数が0.5〜2×107個となるようにそれぞれ調整したものを混合し、遠心した後、培養上清を完全に除去した。次に、遠心管の底を軽くたたくことにより、ペレットを遠心管の底部壁面に広げた。予め37℃に保温しておいた50%ポリエチレングリコール溶液1mlを、遠心管を手のひらで暖めながら1分間かけてゆっくりと添加した。これを1分間手のひらで保温した後、37℃に保温しておいたERDF培地を1ml添加し、さらに、30秒ごとに1mlずつ、合計9mlのERDF培地を添加した。添加終了後、1,200rpmで5分間遠心し、ペレットを37℃に保温しておいた15% FBS含有ERDF培地に、親細胞の細胞数にして2×105cells/mlとなるように懸濁した。この懸濁液を、96穴プレートに100μl/wellずつ分注した。このプレートを37℃、5%CO2条件下で一晩培養し、翌日、2倍濃度のHAT−U培地を100μl/wellずつ添加した。RF−S1と融合しなかったEBV不死化B細胞はウアバインの影響で死滅するため、融合した細胞のみが選択される。その後、3−4日毎に半量ずつ新鮮なHAT培地に交換し、2−3週間後、ハイブリドーマが出現してきたら、培地をHAT培地からHT培地に切り替えた。ハイブリドーマが各穴の80%程度に増殖した時点で、スクリーニングを行った。
親細胞としてはマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株RF−S1細胞を用いた。RF−S1細胞の培養には10〜15%FBS含有ERDF培地を用い、細胞を剥離する際には0.35%EDTA含有PBSを用いた。親細胞株RF−S1とEBV不死化B細胞株の細胞数が1:2で、かつ、親細胞株の細胞数が0.5〜2×107個となるようにそれぞれ調整したものを混合し、遠心した後、培養上清を完全に除去した。次に、遠心管の底を軽くたたくことにより、ペレットを遠心管の底部壁面に広げた。予め37℃に保温しておいた50%ポリエチレングリコール溶液1mlを、遠心管を手のひらで暖めながら1分間かけてゆっくりと添加した。これを1分間手のひらで保温した後、37℃に保温しておいたERDF培地を1ml添加し、さらに、30秒ごとに1mlずつ、合計9mlのERDF培地を添加した。添加終了後、1,200rpmで5分間遠心し、ペレットを37℃に保温しておいた15% FBS含有ERDF培地に、親細胞の細胞数にして2×105cells/mlとなるように懸濁した。この懸濁液を、96穴プレートに100μl/wellずつ分注した。このプレートを37℃、5%CO2条件下で一晩培養し、翌日、2倍濃度のHAT−U培地を100μl/wellずつ添加した。RF−S1と融合しなかったEBV不死化B細胞はウアバインの影響で死滅するため、融合した細胞のみが選択される。その後、3−4日毎に半量ずつ新鮮なHAT培地に交換し、2−3週間後、ハイブリドーマが出現してきたら、培地をHAT培地からHT培地に切り替えた。ハイブリドーマが各穴の80%程度に増殖した時点で、スクリーニングを行った。
ファージディスプレイ法による抗原特異的抗体可変領域遺伝子の取得
(全RNAの抽出)
体外免疫を行って8日間培養した細胞を回収し、SIGMA社製Genelute Mammalian Total RNA Kitを用いてRNA抽出を行った。
(全RNAの抽出)
体外免疫を行って8日間培養した細胞を回収し、SIGMA社製Genelute Mammalian Total RNA Kitを用いてRNA抽出を行った。
(cDNAの合成)
RNA1〜5μg分にオリゴdT1μl(0.5μg)、およびDEPC水を加え14μlにし、70℃で5分間インキュベートした。次に氷上に5分間置き、5×RTバッファー5μl、10mM dNTPミックス1.25μl、DEPC水4.25μl、逆転写酵素0.5μlを加えてよく混和し、40℃で10分間、55℃で50分間、70℃で15分間反応させてcDNAを合成した。
RNA1〜5μg分にオリゴdT1μl(0.5μg)、およびDEPC水を加え14μlにし、70℃で5分間インキュベートした。次に氷上に5分間置き、5×RTバッファー5μl、10mM dNTPミックス1.25μl、DEPC水4.25μl、逆転写酵素0.5μlを加えてよく混和し、40℃で10分間、55℃で50分間、70℃で15分間反応させてcDNAを合成した。
(PCRによる抗体可変領域遺伝子の増幅)
合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVL(κおよびλ)のそれぞれに特異的なプライマーを用いて抗体可変領域遺伝子の増幅を行った。滅菌蒸留水で10倍希釈したcDNA5μlに対し、VH遺伝子、VL遺伝子の各ファミリーについてフォワード側、リバース側の2種類のプライマー(5pmol/μl)をそれぞれ5μlずつ、10×PCR bufferを5μl、2.5mMdNTP mixtureを4μl、滅菌蒸留水を25.75μl、Taq DNAポリメラーゼを0.25μlずつ順次加えて混和し、サーマルサイクラーにセットした。94℃3分間変性反応後、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で2分間の反応を10サイクル、94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間の反応を10サイクル、94℃で1分間、50℃で1分間、72℃で2分間の反応を15サイクルおこない、反応終了後は15℃に保温するように設定した。反応終了後、2%アガロースゲルにアプライし、30分の電気泳動の後エチジウムブロマイドを用いて染色し、デザインナイフで目的のバンドを切り出して、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。なお、VH遺伝子、VL遺伝子各ファミリーの増幅に用いた可変領域増幅用プライマーの塩基配列(配列番号4〜19)を表1に示す。
合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVL(κおよびλ)のそれぞれに特異的なプライマーを用いて抗体可変領域遺伝子の増幅を行った。滅菌蒸留水で10倍希釈したcDNA5μlに対し、VH遺伝子、VL遺伝子の各ファミリーについてフォワード側、リバース側の2種類のプライマー(5pmol/μl)をそれぞれ5μlずつ、10×PCR bufferを5μl、2.5mMdNTP mixtureを4μl、滅菌蒸留水を25.75μl、Taq DNAポリメラーゼを0.25μlずつ順次加えて混和し、サーマルサイクラーにセットした。94℃3分間変性反応後、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で2分間の反応を10サイクル、94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間の反応を10サイクル、94℃で1分間、50℃で1分間、72℃で2分間の反応を15サイクルおこない、反応終了後は15℃に保温するように設定した。反応終了後、2%アガロースゲルにアプライし、30分の電気泳動の後エチジウムブロマイドを用いて染色し、デザインナイフで目的のバンドを切り出して、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。なお、VH遺伝子、VL遺伝子各ファミリーの増幅に用いた可変領域増幅用プライマーの塩基配列(配列番号4〜19)を表1に示す。
(ScFv DNAの作製)
前述の方法により得られたVH遺伝子及びVL遺伝子それぞれ1μlずつに対し、10×PCR bufferを5μl、2.5mM dNTP mixtureを4μl、滅菌蒸留水を36.75μl、Taq DNAポリメラーゼを0.25μlずつ加えて混和し、サーマルサイクラーにセットし、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で2分間の反応を7サイクル行って、VH遺伝子、VL遺伝子をフレキシブルなリンカーDNAでつないで一本鎖にしたScFv DNAを作製した。そこへVHのリバース側プライマー、VLのフォワード側プライマーを1μl(5pmol/μl)ずつ加え、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で2分間の反応を25サイクル行って、ScFv DNAを増幅した。得られたPCR産物は電気泳動し、QIAquick Gel Extraction Kitによって精製した。
前述の方法により得られたVH遺伝子及びVL遺伝子それぞれ1μlずつに対し、10×PCR bufferを5μl、2.5mM dNTP mixtureを4μl、滅菌蒸留水を36.75μl、Taq DNAポリメラーゼを0.25μlずつ加えて混和し、サーマルサイクラーにセットし、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で2分間の反応を7サイクル行って、VH遺伝子、VL遺伝子をフレキシブルなリンカーDNAでつないで一本鎖にしたScFv DNAを作製した。そこへVHのリバース側プライマー、VLのフォワード側プライマーを1μl(5pmol/μl)ずつ加え、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で2分間の反応を25サイクル行って、ScFv DNAを増幅した。得られたPCR産物は電気泳動し、QIAquick Gel Extraction Kitによって精製した。
(制限酵素処理)
調製したScFv DNAは、両末端にSfiI及びNotIの制限酵素処理サイトを有することから、ファージミドベクターpCANTAB 5Eへのクローニングに際して、ScFv DNAおよびベクターの両方についてSfiI及びNotIで制限酵素処理した。反応終了後、2%アガロースゲルで電気泳動し、QIAquick Gel Extraction Kitにより精製した。
調製したScFv DNAは、両末端にSfiI及びNotIの制限酵素処理サイトを有することから、ファージミドベクターpCANTAB 5Eへのクローニングに際して、ScFv DNAおよびベクターの両方についてSfiI及びNotIで制限酵素処理した。反応終了後、2%アガロースゲルで電気泳動し、QIAquick Gel Extraction Kitにより精製した。
(ライゲーション、トランスフォーム)
ScFv DNA10μlに対してベクターDNA 1μl、DNA Ligation Kit I (ver.2)(TaKaRa社製)を11μl加え、16℃で1時間インキュベートし、反応液をコンピテントなE.coli TG1細胞1mlに加え、氷上に45分間置き、42℃のウォーターバスで2分間インキュベートし、氷中で急冷した後37℃で1時間インキュベートして、その反応液100μlをSOBAG plateにスプレッドして30℃で20〜24時間インキュベートした。
ScFv DNA10μlに対してベクターDNA 1μl、DNA Ligation Kit I (ver.2)(TaKaRa社製)を11μl加え、16℃で1時間インキュベートし、反応液をコンピテントなE.coli TG1細胞1mlに加え、氷上に45分間置き、42℃のウォーターバスで2分間インキュベートし、氷中で急冷した後37℃で1時間インキュベートして、その反応液100μlをSOBAG plateにスプレッドして30℃で20〜24時間インキュベートした。
(ファージ抗体ライブラリーの取得)
SOBAG plateに得たコロニーを2×YT培地で洗浄して剥離し、アンピシリン、グルコースを加えて37℃で1時間振盪培養し、M13KO7ヘルパーファージを加えて37℃で1時間振盪培養し、1,000×gで10分間遠心し、ペレットを2×YT−AK培地でサスペンドし、37℃で一晩振盪培養した。これを1,000×gで20分間遠心してファージ抗体を含む上清を回収し、PEG−NaClを加えて混和し、氷上に30〜60分間置いた後10,000×gで20分間遠心してファージを沈殿させ、ペレットを2×YT培地で溶解し、ファージ抗体ライブラリーを得た。
SOBAG plateに得たコロニーを2×YT培地で洗浄して剥離し、アンピシリン、グルコースを加えて37℃で1時間振盪培養し、M13KO7ヘルパーファージを加えて37℃で1時間振盪培養し、1,000×gで10分間遠心し、ペレットを2×YT−AK培地でサスペンドし、37℃で一晩振盪培養した。これを1,000×gで20分間遠心してファージ抗体を含む上清を回収し、PEG−NaClを加えて混和し、氷上に30〜60分間置いた後10,000×gで20分間遠心してファージを沈殿させ、ペレットを2×YT培地で溶解し、ファージ抗体ライブラリーを得た。
(パニング)
抗原10μgを含むPBSをT−flaskに加えて室温で2時間インキュベートして抗原を吸着させ、PBSで3回洗浄し、10%スキムミルクを含むPBS(blocking buffer)を加えて室温1時間ブロッキングを行った。ファージ抗体ライブラリーにblocking bufferを加えて室温15分間インキュベートし、この反応液をブロッキングの終了したT−flaskに加えて37℃で2時間反応させた。反応後のT−flaskをPBSで20回、0.1% TPBSで20回洗浄し、そこへ対数増殖期のE.coli TG1細胞を加えて37℃で1時間振盪培養した。アンピシリン、グルコース、M13KO7ヘルパーファージを加えてさらに37℃で1時間振盪培養し、1,000×gで10分間遠心してペレットを2×YT−AK培地でサスペンドし、37℃で一晩振盪培養した。これを1,000×gで20分間遠心してファージ抗体を含む上清を回収し、PEG−NaClを加えてよく混和し、氷上に30〜60分間置いたあと10,000×gで20分間遠心してファージを沈殿させ、ペレットを2×YT培地で溶解して抗原特異的ファージ抗体ライブラリーを得た。この一連のパニングの操作を3〜5回繰り返し、抗原特異的ファージ抗体が十分に濃縮されたところで、E.coli TG細胞の再感染をおこなった。
抗原10μgを含むPBSをT−flaskに加えて室温で2時間インキュベートして抗原を吸着させ、PBSで3回洗浄し、10%スキムミルクを含むPBS(blocking buffer)を加えて室温1時間ブロッキングを行った。ファージ抗体ライブラリーにblocking bufferを加えて室温15分間インキュベートし、この反応液をブロッキングの終了したT−flaskに加えて37℃で2時間反応させた。反応後のT−flaskをPBSで20回、0.1% TPBSで20回洗浄し、そこへ対数増殖期のE.coli TG1細胞を加えて37℃で1時間振盪培養した。アンピシリン、グルコース、M13KO7ヘルパーファージを加えてさらに37℃で1時間振盪培養し、1,000×gで10分間遠心してペレットを2×YT−AK培地でサスペンドし、37℃で一晩振盪培養した。これを1,000×gで20分間遠心してファージ抗体を含む上清を回収し、PEG−NaClを加えてよく混和し、氷上に30〜60分間置いたあと10,000×gで20分間遠心してファージを沈殿させ、ペレットを2×YT培地で溶解して抗原特異的ファージ抗体ライブラリーを得た。この一連のパニングの操作を3〜5回繰り返し、抗原特異的ファージ抗体が十分に濃縮されたところで、E.coli TG細胞の再感染をおこなった。
(E.coli TG細胞の再感染)
パニング後、抗原特異的ファージ抗体が結合しているT−flaskに、対数増殖期のE.coli TG細胞を加えて37℃で1時間インキュベートして再感染を行った。この反応液をSOBAG plateにスプレッドし、30℃で一晩インキュベートした。生えてきたコロニーをピックアップして、2×YT−AG培地が入った96 deep well plateに一つずつ入れ、30℃で一晩振盪培養した。これをMaster Plateとする。M13KO7ヘルパーファージを含む2×YT−AG培地が入った96 deep well plateをあらたに用意し、Master Plate培養液の一部をそこへ分注した。37℃で2時間振盪培養した後、1,500×gで20分間遠心して上清を廃棄し、2×YT−AK培地を加えて37℃で一晩振盪培養した。これを1,500×gで20分間遠心し、モノクローナルなファージ抗体を含む上清を回収した。
パニング後、抗原特異的ファージ抗体が結合しているT−flaskに、対数増殖期のE.coli TG細胞を加えて37℃で1時間インキュベートして再感染を行った。この反応液をSOBAG plateにスプレッドし、30℃で一晩インキュベートした。生えてきたコロニーをピックアップして、2×YT−AG培地が入った96 deep well plateに一つずつ入れ、30℃で一晩振盪培養した。これをMaster Plateとする。M13KO7ヘルパーファージを含む2×YT−AG培地が入った96 deep well plateをあらたに用意し、Master Plate培養液の一部をそこへ分注した。37℃で2時間振盪培養した後、1,500×gで20分間遠心して上清を廃棄し、2×YT−AK培地を加えて37℃で一晩振盪培養した。これを1,500×gで20分間遠心し、モノクローナルなファージ抗体を含む上清を回収した。
(ELISAによるスクリーニング)
抗原を1μg/mlになるように50mM炭酸緩衝液で希釈し、96well immuno plateに100μlずつ分注し、4℃で一晩静置することによって抗原を吸着させた。非吸着の抗原を除くためにTPBSで3回洗浄した。次に1% BSAを含むPBSを300μlずつ分注し、37℃で2時間ブロッキングを行った。さらにTPBSで3回洗浄後、PBSを20μlずつ分注し、各サンプル(ファージ抗体)を80μlずつ分注し、37℃で2時間反応させた。TPBSで3回洗浄後、HRP標識抗M13ファージ抗体を1% BSAを含むPBSで2000倍希釈したものを100μlずつ分注し、37℃で2時間反応させた。その後TPBSで3回洗浄し、ABTSを含む発色液を100μlずつ分注し、ELISAリーダーを用いて波長405nmにおける吸光度を測定した。発色が確認されたサンプル、すなわち抗原に特異的なファージ抗体を含むサンプルについて、以降の操作を行った。
抗原を1μg/mlになるように50mM炭酸緩衝液で希釈し、96well immuno plateに100μlずつ分注し、4℃で一晩静置することによって抗原を吸着させた。非吸着の抗原を除くためにTPBSで3回洗浄した。次に1% BSAを含むPBSを300μlずつ分注し、37℃で2時間ブロッキングを行った。さらにTPBSで3回洗浄後、PBSを20μlずつ分注し、各サンプル(ファージ抗体)を80μlずつ分注し、37℃で2時間反応させた。TPBSで3回洗浄後、HRP標識抗M13ファージ抗体を1% BSAを含むPBSで2000倍希釈したものを100μlずつ分注し、37℃で2時間反応させた。その後TPBSで3回洗浄し、ABTSを含む発色液を100μlずつ分注し、ELISAリーダーを用いて波長405nmにおける吸光度を測定した。発色が確認されたサンプル、すなわち抗原に特異的なファージ抗体を含むサンプルについて、以降の操作を行った。
(抗原特異的可変領域遺伝子の取得)
ELISAで発色が確認されたファージ抗体を対数増殖期のE.coli TG1細胞に感染させ、SOBAG plateにスプレッドし、コロニーをピックアップしてアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAprep Spin Miniprep Kitを用いてプラスミド抽出を行った。このプラスミドを鋳型としてVHとVLを増幅するPCRを行い、VHはpSecTag2A、VLはpIRES−bleoに組み換え、動物細胞へのトランスフェクションをおこなった。PCRに用いたscFVからの可変領域遺伝子取得用のプライマー(配列番号20〜25)を表2に示す。また、PCRの反応条件は、はじめにVH、VL遺伝子を増幅したときと同じ条件でおこなった。PCR産物は2%アガロースゲルにて電気泳動後、キットで精製した。
ELISAで発色が確認されたファージ抗体を対数増殖期のE.coli TG1細胞に感染させ、SOBAG plateにスプレッドし、コロニーをピックアップしてアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAprep Spin Miniprep Kitを用いてプラスミド抽出を行った。このプラスミドを鋳型としてVHとVLを増幅するPCRを行い、VHはpSecTag2A、VLはpIRES−bleoに組み換え、動物細胞へのトランスフェクションをおこなった。PCRに用いたscFVからの可変領域遺伝子取得用のプライマー(配列番号20〜25)を表2に示す。また、PCRの反応条件は、はじめにVH、VL遺伝子を増幅したときと同じ条件でおこなった。PCR産物は2%アガロースゲルにて電気泳動後、キットで精製した。
(抗体H鎖定常領域遺伝子の調製)
ハイブリドーマ(BE2)より、前述の方法にて全RNAの抽出、cDNAの作製を行い、PCRにてヒトIgG定常領域遺伝子を増幅し、電気泳動、ゲル抽出によって精製した。用いた定常領域増幅用プライマー(配列番号26、27)を表3に示す。調製したDNAを、XhoI及びXbaIで制限酵素処理し、pGEMに組み込んでシークエンスを確認した、pCMV−Pに組み込んで大腸菌で増やし、ApaIおよびHindIIIで制限酵素処理してpSecTag2Aに組み込み、大腸菌で増やしてプラスミドを抽出、精製してベクターpSecTag2A−IgGcを作製した。
ハイブリドーマ(BE2)より、前述の方法にて全RNAの抽出、cDNAの作製を行い、PCRにてヒトIgG定常領域遺伝子を増幅し、電気泳動、ゲル抽出によって精製した。用いた定常領域増幅用プライマー(配列番号26、27)を表3に示す。調製したDNAを、XhoI及びXbaIで制限酵素処理し、pGEMに組み込んでシークエンスを確認した、pCMV−Pに組み込んで大腸菌で増やし、ApaIおよびHindIIIで制限酵素処理してpSecTag2Aに組み込み、大腸菌で増やしてプラスミドを抽出、精製してベクターpSecTag2A−IgGcを作製した。
(H鎖可変領域遺伝子の組換え)
調製したVH遺伝子をSfiIおよびNotIで制限酵素処理して、作製したベクターpSecTag2A−IgGcに組み込み、大腸菌で増やしてプラスミドを抽出、精製して抗体H鎖遺伝子を含むベクター溶液を調製した。
調製したVH遺伝子をSfiIおよびNotIで制限酵素処理して、作製したベクターpSecTag2A−IgGcに組み込み、大腸菌で増やしてプラスミドを抽出、精製して抗体H鎖遺伝子を含むベクター溶液を調製した。
(抗体L鎖遺伝子の調製)
調製したVL遺伝子とCL遺伝子をlinker ligation PCRにて結合して増幅し、抗体L鎖遺伝子を調製した。用いたプライマー(配列番号28〜31)を表4に示す。
調製したVL遺伝子とCL遺伝子をlinker ligation PCRにて結合して増幅し、抗体L鎖遺伝子を調製した。用いたプライマー(配列番号28〜31)を表4に示す。
(抗体L鎖遺伝子の組換え)
調製した抗体L鎖遺伝子をNotI及びEcoRIで制限酵素処理し、pIRES−bleoに組み込んで大腸菌で増やし、プラスミドを抽出、精製して抗体L鎖遺伝子を含むベクター溶液を調製した。
調製した抗体L鎖遺伝子をNotI及びEcoRIで制限酵素処理し、pIRES−bleoに組み込んで大腸菌で増やし、プラスミドを抽出、精製して抗体L鎖遺伝子を含むベクター溶液を調製した。
(抗体遺伝子のトランスフェクション)
作製した抗体L鎖遺伝子を含むベクターおよび抗体H鎖遺伝子を含むベクターを、ras clone I細胞に同時にトランスフェクションし、トランスフェクションはリポフェクトアミン法でおこなった。限界希釈で単クローン化して培養し、ELISAにて抗体産生を確認し、ヒトIgG産生細胞を獲得した。
作製した抗体L鎖遺伝子を含むベクターおよび抗体H鎖遺伝子を含むベクターを、ras clone I細胞に同時にトランスフェクションし、トランスフェクションはリポフェクトアミン法でおこなった。限界希釈で単クローン化して培養し、ELISAにて抗体産生を確認し、ヒトIgG産生細胞を獲得した。
[結果]
体外免疫法において誘導される免疫応答の解析結果
(末梢血リンパ球におけるポピュレーションの変化)
体外免疫法においては、血液から分離したリンパ球をそのまま用いて抗原感作を行っても抗体産生は誘導されないが、LLMEで前処理を行った後に抗原感作を行うと抗体産生が誘導される。そこでまず、LLME処理前後における、末梢血リンパ球におけるポピュレーションの変化をフローサイトメトリー法により比較したところ、単球画分の細胞が消失し、また、リンパ球画分については、NK細胞が消失すると同時に、CD8陽性細胞が減少し、さらにCD4陽性細胞の増加が観察された。そこで、これらの細胞が抗体産生に及ぼす影響について検討した。
(末梢血リンパ球におけるポピュレーションの変化)
体外免疫法においては、血液から分離したリンパ球をそのまま用いて抗原感作を行っても抗体産生は誘導されないが、LLMEで前処理を行った後に抗原感作を行うと抗体産生が誘導される。そこでまず、LLME処理前後における、末梢血リンパ球におけるポピュレーションの変化をフローサイトメトリー法により比較したところ、単球画分の細胞が消失し、また、リンパ球画分については、NK細胞が消失すると同時に、CD8陽性細胞が減少し、さらにCD4陽性細胞の増加が観察された。そこで、これらの細胞が抗体産生に及ぼす影響について検討した。
(リンパ球画分や単球画分が抗体産生に及ぼす影響)
まず、リンパ球画分について検討した。MACSmicrobeadsを用いてCD4陽性細胞、CD8陽性細胞、そしてNK細胞はCD56を用いて除去し、これらのリンパ球を用いて抗体感作を行った。その結果、何れにおいても、抗体産生は全く誘導されなかった。一方、CD11cを用いて単球を除去した後、抗原感作を行ったところ、LLME処理リンパ球と同等の抗体産生が誘導されることが明らかとなった。
まず、リンパ球画分について検討した。MACSmicrobeadsを用いてCD4陽性細胞、CD8陽性細胞、そしてNK細胞はCD56を用いて除去し、これらのリンパ球を用いて抗体感作を行った。その結果、何れにおいても、抗体産生は全く誘導されなかった。一方、CD11cを用いて単球を除去した後、抗原感作を行ったところ、LLME処理リンパ球と同等の抗体産生が誘導されることが明らかとなった。
(クラスター形成の経時的変化)
次に、抗原添加後のクラスター形成の変化を経時的に観察した。まず、未処理リンパ球では培養初期から、培養プレート全体に小さなクラスターが点在するが、LLME処理リンパ球ではそのようなクラスター形成は観察されなかった。その後も未処理区ではクラスターは殆ど大きくならず、点在したままであったが、LLME処理区では培養中期になってようやく、培養後期には肉眼で観察できるほどの大きなクラスターを形成するようになった。また、抗体産生を誘導できなかったCD4,CD8,CD56陽性細胞を除去したリンパ球では、未処理リンパ球と同様のクラスター形成の変化を示したのに対し、抗体産生が誘導されたCD11c陽性細胞を除去したリンパ球においては、LLME処理リンパ球と同様のクラスター形成の変化が観察されました。このクラスターはCD4陽性細胞およびCD19陽性細胞から構成されていたことから、単球はヘルパーT細胞とB細胞の相互作用の阻害を通じて抗体産生を抑制しているものと推察された。
次に、抗原添加後のクラスター形成の変化を経時的に観察した。まず、未処理リンパ球では培養初期から、培養プレート全体に小さなクラスターが点在するが、LLME処理リンパ球ではそのようなクラスター形成は観察されなかった。その後も未処理区ではクラスターは殆ど大きくならず、点在したままであったが、LLME処理区では培養中期になってようやく、培養後期には肉眼で観察できるほどの大きなクラスターを形成するようになった。また、抗体産生を誘導できなかったCD4,CD8,CD56陽性細胞を除去したリンパ球では、未処理リンパ球と同様のクラスター形成の変化を示したのに対し、抗体産生が誘導されたCD11c陽性細胞を除去したリンパ球においては、LLME処理リンパ球と同様のクラスター形成の変化が観察されました。このクラスターはCD4陽性細胞およびCD19陽性細胞から構成されていたことから、単球はヘルパーT細胞とB細胞の相互作用の阻害を通じて抗体産生を抑制しているものと推察された。
(細胞形態の経時的変化)
さらに細胞の形態変化についても観察したところ、未処理リンパ球においては抗原感作により形態の変化した細胞が観察されるようになるが、LLME処理リンパ球およびCD11c陽性細胞を除去したリンパ球においては、かかる形態の変化した細胞は観察されなかった。
さらに細胞の形態変化についても観察したところ、未処理リンパ球においては抗原感作により形態の変化した細胞が観察されるようになるが、LLME処理リンパ球およびCD11c陽性細胞を除去したリンパ球においては、かかる形態の変化した細胞は観察されなかった。
(単球を添加したLLME処理リンパ球からの抗体産生)
一方、LLME処理リンパ球にCD11c陽性細胞を添加した後、抗原感作を行うと、LLME処理リンパ球からの抗体産生は完全に阻害されることが明らかとなり、またこのとき、LLME処理リンパ球中には見られなかった形態の変化した細胞がCD11c陽性細胞を添加したLLME処理リンパ球中には観察されるようになったことから、この形態が変化した細胞はCD11c陽性細胞、つまり単球由来の細胞であることが推察された。そこで次に、単球画分の細胞の表現型について検討を行った。この細胞は予想通り、単球マーカーであるCD14を発現しており、また、多くの樹状細胞に発現が認められるCD11cやMHCクラスII分子なども発現していた。同時に、この細胞群は抗原提示細胞の機能発現に重要な接着分子のうちCD80の発現は見られなかったが、CD86、CD54、CD40といった分子は発現しており、さらに、樹状細胞の活性化マーカーであるCD83やCD58を発現していたことから、この細胞は抗原提示能を有する細胞群であることが推察された。
一方、LLME処理リンパ球にCD11c陽性細胞を添加した後、抗原感作を行うと、LLME処理リンパ球からの抗体産生は完全に阻害されることが明らかとなり、またこのとき、LLME処理リンパ球中には見られなかった形態の変化した細胞がCD11c陽性細胞を添加したLLME処理リンパ球中には観察されるようになったことから、この形態が変化した細胞はCD11c陽性細胞、つまり単球由来の細胞であることが推察された。そこで次に、単球画分の細胞の表現型について検討を行った。この細胞は予想通り、単球マーカーであるCD14を発現しており、また、多くの樹状細胞に発現が認められるCD11cやMHCクラスII分子なども発現していた。同時に、この細胞群は抗原提示細胞の機能発現に重要な接着分子のうちCD80の発現は見られなかったが、CD86、CD54、CD40といった分子は発現しており、さらに、樹状細胞の活性化マーカーであるCD83やCD58を発現していたことから、この細胞は抗原提示能を有する細胞群であることが推察された。
(CD4の発現)
また、単球は低発現ながらもCD4を発現していることが知られていることから、この細胞のCD4発現についても調べた。未処理のリンパ球ではCD4発現細胞の中には低発現のものと高発現のものが存在していたが、このうち低発現のものはLLME処理により消失する細胞で、このCD4低発現細胞というのが単球画分の細胞であることが明らかとなった。前述のように、CD4陽性細胞を除去しても抗体産生の誘導はできなかったが、単球もCD4を発現しているとすると、ビーズによりCD4陽性細胞を除去した場合、単球画分の細胞も同時に除去され、抗体産生が誘導されるようになるのではないかとも考えられるが、ビーズを用いてCD4陽性細胞を除去した場合、確かに単球画分の細胞も一部除去されてはいるものの、完全に除去されるわけではなく、むしろ多くの細胞が除去されないまま残っていた。したがって、ここに残っている単球の作用により抗体産生が阻害されていたものと考えられた。
また、単球は低発現ながらもCD4を発現していることが知られていることから、この細胞のCD4発現についても調べた。未処理のリンパ球ではCD4発現細胞の中には低発現のものと高発現のものが存在していたが、このうち低発現のものはLLME処理により消失する細胞で、このCD4低発現細胞というのが単球画分の細胞であることが明らかとなった。前述のように、CD4陽性細胞を除去しても抗体産生の誘導はできなかったが、単球もCD4を発現しているとすると、ビーズによりCD4陽性細胞を除去した場合、単球画分の細胞も同時に除去され、抗体産生が誘導されるようになるのではないかとも考えられるが、ビーズを用いてCD4陽性細胞を除去した場合、確かに単球画分の細胞も一部除去されてはいるものの、完全に除去されるわけではなく、むしろ多くの細胞が除去されないまま残っていた。したがって、ここに残っている単球の作用により抗体産生が阻害されていたものと考えられた。
(抗原感作後の単球の表現型)
一方、抗原感作による単球画分細胞上の表面抗原発現の変化についても調べた結果、MHCクラスII分子およびCD86分子の発現は、抗原感作前後において変化は見られなかったが、抗原感作前には発現が見られなかったCD80の発現が抗原感作により誘導されていたことから、単球の分化が進んでいることが予想された。しかし、活性化マーカーであるCD83の発現は低下していたことから、この細胞は未熟な状態あるいは不活性化状態であることが推察された。
一方、抗原感作による単球画分細胞上の表面抗原発現の変化についても調べた結果、MHCクラスII分子およびCD86分子の発現は、抗原感作前後において変化は見られなかったが、抗原感作前には発現が見られなかったCD80の発現が抗原感作により誘導されていたことから、単球の分化が進んでいることが予想された。しかし、活性化マーカーであるCD83の発現は低下していたことから、この細胞は未熟な状態あるいは不活性化状態であることが推察された。
以上のことから、未処理リンパ球においては、CD11c陽性細胞である単球画分の細胞によりクラスターの形成、すなわちT−B間相互作用が阻害され、その結果、B細胞からの抗体産生が抑制されていることが明らかとなった。体外免疫条件下で分化したこの単球画分の細胞は抗原提示細胞様の表現型を示し、また未熟な状態であることから未熟樹状細胞の一種ではないかと推察された。これまで、LLMEの効果はNK細胞やCD8発現細胞であるCTLなど、細胞障害活性を有する細胞群を除去することによるもので、また、それらの直接的作用というよりはむしろ、抗体産生反応に有利なサイトカイン環境を整えるという間接的作用であると考えられていたが、LLME処理の効果は単球を除去することであり、それがインビトロにおいて抗体産生を誘導するために必須の条件であることが明らかとなった。また、樹状細胞の前駆細胞でもある単球が末梢血リンパ球における免疫応答を負に制御する決定的因子であるということは、生体内における末梢血リンパ球の機能や意義を探る上でも非常に重要な結果であると考えられる。
体外免疫末梢血リンパ球を用いた抗原特異的抗体の製造
(CD11c陽性細胞を除去したヒト末梢血リンパ球からの抗体産生の誘導)
これまでに知られているヒト末梢血リンパ球の体外免疫による抗原特異的抗体産生応答の誘導には、抑制性細胞群を除去するためのLLMEという試薬を利用してきた。LLMEのターゲット細胞を同定していく過程で、LLMEのターゲット細胞の一つであるCD11c陽性細胞が、ヒト末梢血リンパ球の免疫応答を抑制している可能性が考えられた。そこで、LLME処理をしていない末梢血リンパ球から、マグネチックビーズ法によりCD11c陽性細胞を除去し、CD11c陽性細胞を除去した細胞を用いて体外免疫を行った。その結果、LLME処理を行うことにより、ヒト末梢血リンパ球からの抗体産生応答を誘導することが可能となったが、LLME処理をしない末梢血リンパ球でも、CD11c陽性細胞を除去することで、LLME処理した末梢血リンパ球と同等の抗体産生応答を誘導することが可能となった(図1)。このことからLLMEのターゲットはCD11c陽性細胞であり、LLME処理により、CD11c陽性細胞を除去することで初めて抗体産生応答が誘導されること、またLLME処理なしでも、CD11c陽性細胞のみを除去するだけでも、抗体産生応答を誘導可能であることが明らかとなった。
(CD11c陽性細胞を除去したヒト末梢血リンパ球からの抗体産生の誘導)
これまでに知られているヒト末梢血リンパ球の体外免疫による抗原特異的抗体産生応答の誘導には、抑制性細胞群を除去するためのLLMEという試薬を利用してきた。LLMEのターゲット細胞を同定していく過程で、LLMEのターゲット細胞の一つであるCD11c陽性細胞が、ヒト末梢血リンパ球の免疫応答を抑制している可能性が考えられた。そこで、LLME処理をしていない末梢血リンパ球から、マグネチックビーズ法によりCD11c陽性細胞を除去し、CD11c陽性細胞を除去した細胞を用いて体外免疫を行った。その結果、LLME処理を行うことにより、ヒト末梢血リンパ球からの抗体産生応答を誘導することが可能となったが、LLME処理をしない末梢血リンパ球でも、CD11c陽性細胞を除去することで、LLME処理した末梢血リンパ球と同等の抗体産生応答を誘導することが可能となった(図1)。このことからLLMEのターゲットはCD11c陽性細胞であり、LLME処理により、CD11c陽性細胞を除去することで初めて抗体産生応答が誘導されること、またLLME処理なしでも、CD11c陽性細胞のみを除去するだけでも、抗体産生応答を誘導可能であることが明らかとなった。
(CD11c陽性細胞による末梢血リンパ球の抗体産生応答の抑制)
上記結果から、CD11c陽性細胞群が、ヒト末梢血リンパ球の免疫応答を抑制している可能性が考えられた。そこで、実際にCD11c陽性細胞の免疫応答抑制能を評価した。その結果、LLME処理により抗体産生応答を誘導することが可能となったヒト末梢血リンパ球に、CD11c陽性細胞を添加することで、抗体産生応答が抑制されることが明らかとなった(図2)。このことから、CD11c陽性細胞がヒト末梢血リンパ球中で、抗体産生応答を抑制し、その細胞の除去により抗体産生応答を誘導しうることが明らかとなった。
上記結果から、CD11c陽性細胞群が、ヒト末梢血リンパ球の免疫応答を抑制している可能性が考えられた。そこで、実際にCD11c陽性細胞の免疫応答抑制能を評価した。その結果、LLME処理により抗体産生応答を誘導することが可能となったヒト末梢血リンパ球に、CD11c陽性細胞を添加することで、抗体産生応答が抑制されることが明らかとなった(図2)。このことから、CD11c陽性細胞がヒト末梢血リンパ球中で、抗体産生応答を抑制し、その細胞の除去により抗体産生応答を誘導しうることが明らかとなった。
(IL−10による体外免疫における抗体産生応答の増強)
図3に示すように、LLME処理したヒト末梢血リンパ球の体外免疫時にIL−10を共存させておくことで、抗原特異的抗体産生応答が増強されることが明らかとなっている。そこで、CD11c陽性細胞を除去することで、体外免疫による抗原特異的ヒト抗体産生応答を誘導した場合においても同様に、IL−10による体外免疫における抗体産生応答を増強しうるかどうかを調べた。その結果、IL−10を添加することで、抗体産生応答の増強が可能である。
図3に示すように、LLME処理したヒト末梢血リンパ球の体外免疫時にIL−10を共存させておくことで、抗原特異的抗体産生応答が増強されることが明らかとなっている。そこで、CD11c陽性細胞を除去することで、体外免疫による抗原特異的ヒト抗体産生応答を誘導した場合においても同様に、IL−10による体外免疫における抗体産生応答を増強しうるかどうかを調べた。その結果、IL−10を添加することで、抗体産生応答の増強が可能である。
(感作ペプチド抗原)
感作抗原として可溶性抗原の全長タンパク質体に加えて、ペプチドを用いた体外免疫において誘導される免疫応答を解析した(図4)。その結果、非感作外来抗原(コレラトキシンBサブユニット)、感作外来抗原(コメアレルゲン)、感作自己抗原(腫瘍壊死因子α)由来ペプチド及びそれらペプチドとキーホールリンペットヘモシアニン複合体を感作抗原として用いた体外免疫により、抗原特異的抗体産生応答を誘導できることが明らかとなった。このことから、取り扱いに危険が伴う病原性タンパク質や抗体作製の困難なサイトカイン類、末梢血リンパ球が感作後不応答状態を誘導され抗体作製が困難なアレルゲンタンパク質等に対する抗体も、それらに対応するペプチドを作製し、体外免疫における感作抗原として用いることで、それらの抗原に特異的な抗体が作製可能であることが明らかとなった。
感作抗原として可溶性抗原の全長タンパク質体に加えて、ペプチドを用いた体外免疫において誘導される免疫応答を解析した(図4)。その結果、非感作外来抗原(コレラトキシンBサブユニット)、感作外来抗原(コメアレルゲン)、感作自己抗原(腫瘍壊死因子α)由来ペプチド及びそれらペプチドとキーホールリンペットヘモシアニン複合体を感作抗原として用いた体外免疫により、抗原特異的抗体産生応答を誘導できることが明らかとなった。このことから、取り扱いに危険が伴う病原性タンパク質や抗体作製の困難なサイトカイン類、末梢血リンパ球が感作後不応答状態を誘導され抗体作製が困難なアレルゲンタンパク質等に対する抗体も、それらに対応するペプチドを作製し、体外免疫における感作抗原として用いることで、それらの抗原に特異的な抗体が作製可能であることが明らかとなった。
(ファージディスプレイ法による抗原特異的ヒト抗体遺伝子の取得)
これまでファージディスプレイ法によるヒト抗体遺伝子取得には、抗原により感作を受けていない末梢血リンパ球を用いるのが一般的であった。本実験では、体外免疫により抗原感作を行い、抗原特異的抗体産生応答を誘導したヒト末梢血リンパ球を用い、ファージディスプレイ法により抗原特異的抗体遺伝子を取得することを試みた。その結果、抗原感作を行っていない未感作リンパ球を用いたファージディスプレイ法では、抗原特異性の見られたクローンが、144クローン中2クローンであったのに対し、体外免疫により抗原感作を行い、抗原特異的抗体産生応答を誘導したリンパ球を用いファージディスプレイ法を行ったものでは、抗原特性を示すクローンは6クローンに増大し、またその反応性も大幅に増強されていることが明らかとなった(図5)。以上の結果から、未感作リンパ球を用いた場合では非常に低かった抗原特異的抗体遺伝子の取得効率が、体外免疫による抗原感作により、飛躍的に増大し、またそれに伴い抗原特異性の高いクローンの取得が可能であることが明らかとなった。さらに、CD11c陽性細胞を除去したリンパ球にIL−10を加えることにより得られる、抗体産生応答を増強したリンパ球を用いることで、さらなる効率化と抗原特異性の増強が可能である。
これまでファージディスプレイ法によるヒト抗体遺伝子取得には、抗原により感作を受けていない末梢血リンパ球を用いるのが一般的であった。本実験では、体外免疫により抗原感作を行い、抗原特異的抗体産生応答を誘導したヒト末梢血リンパ球を用い、ファージディスプレイ法により抗原特異的抗体遺伝子を取得することを試みた。その結果、抗原感作を行っていない未感作リンパ球を用いたファージディスプレイ法では、抗原特異性の見られたクローンが、144クローン中2クローンであったのに対し、体外免疫により抗原感作を行い、抗原特異的抗体産生応答を誘導したリンパ球を用いファージディスプレイ法を行ったものでは、抗原特性を示すクローンは6クローンに増大し、またその反応性も大幅に増強されていることが明らかとなった(図5)。以上の結果から、未感作リンパ球を用いた場合では非常に低かった抗原特異的抗体遺伝子の取得効率が、体外免疫による抗原感作により、飛躍的に増大し、またそれに伴い抗原特異性の高いクローンの取得が可能であることが明らかとなった。さらに、CD11c陽性細胞を除去したリンパ球にIL−10を加えることにより得られる、抗体産生応答を増強したリンパ球を用いることで、さらなる効率化と抗原特異性の増強が可能である。
(抗原特異的ヒト抗体の大量生産)
上記ファージディスプレイ法により取得した抗原特異的抗体遺伝子より、重鎖および軽鎖の可変領域遺伝子を調製し、別途調製した定常領域遺伝子と遺伝子工学的に連結し、さらに動物細胞発現用ベクターに組み込んだ(図6)。得られたベクターを、異種タンパク質高発現ホスト細胞株(ras clone I)に導入することで、抗原特異的ヒト抗体の大量生産が可能となる。
上記ファージディスプレイ法により取得した抗原特異的抗体遺伝子より、重鎖および軽鎖の可変領域遺伝子を調製し、別途調製した定常領域遺伝子と遺伝子工学的に連結し、さらに動物細胞発現用ベクターに組み込んだ(図6)。得られたベクターを、異種タンパク質高発現ホスト細胞株(ras clone I)に導入することで、抗原特異的ヒト抗体の大量生産が可能となる。
Claims (27)
- マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞を、インビトロで抗原感作することにより体外免疫し、末梢血リンパ球細胞に抗原特異的抗体の産生応答を誘導することを特徴とする抗体産生応答の誘導方法。
- マクロファージ及び単球を除去した末梢血リンパ球細胞が、CD11c陽性細胞を除去した末梢血リンパ球細胞であることを特徴とする請求項1記載の抗体産生応答の誘導方法。
- 末梢血リンパ球細胞が、ヒト由来の末梢血リンパ球細胞であることを特徴とする請求項1又は2記載の抗体産生応答の誘導方法。
- 抗原特異的抗体がヒト型抗体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法。
- インビトロでの抗原感作を、インターロイキン10の存在下で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法。
- 感作抗原として、ペプチド抗原を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法。
- 感作抗原として、ペプチド抗原とキーホールリンペットヘモシアニンとの複合体を用い行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法。
- ペプチド抗原が、未感作外来抗原由来であることを特徴とする請求項6又は7記載の抗体産生応答の誘導方法。
- ペプチド抗原が、感作外来抗原由来であることを特徴とする請求項6又は7記載の抗体産生応答の誘導方法。
- ペプチド抗原が、自己抗原由来であることを特徴とする請求項6又は7記載の抗体産生応答の誘導方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞を、エプスタインバールウィルスにより不死化し、抗原特異的B細胞を単離することを特徴とする抗原特異的抗体産生B細胞の調製方法。
- 請求項11記載の調製方法により得られる抗原特異的抗体産生B細胞を培養することを特徴とする抗原特異的抗体の製造方法。
- 請求項11記載の調製方法により得られる抗原特異的抗体産生B細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子の増幅を行うことを特徴とする抗原特異的抗体遺伝子の取得方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞を、ミエローマ細胞と細胞融合することを特徴とする抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞を、エプスタインバールウィルスにより不死化し、単離した抗原特異的B細胞をミエローマ細胞と細胞融合することを特徴とする抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法。
- 請求項14又は15記載の作製方法により得られる抗原特異的抗体産生ハイブリドーマを培養することを特徴とする抗原特異的抗体の製造方法。
- 請求項14又は15記載の作製方法により得られる抗原特異的抗体産生ハイブリドーマからRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子の増幅を行うことを特徴とする抗原特異的抗体遺伝子の取得方法。
- 体外免疫法により抗原特異的抗体産生応答を誘導した末梢血リンパ球細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子の増幅し、得られたVH遺伝子及びVL遺伝子を合成リンカーで結合することを特徴とする抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子の取得方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の抗体産生応答の誘導方法により、抗原特異的抗体の産生応答が誘導された末梢血リンパ球細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAからcDNAを合成し、合成したcDNAを鋳型とし、VHおよびVLのそれぞれに特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体可変領域遺伝子を増幅し、得られたVH遺伝子及びVL遺伝子を合成リンカーで結合することを特徴とする抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子の取得方法。
- 請求項18若しくは19記載の取得方法により得られる抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子をファージミドベクターにクローニングすることを特徴とする抗原特異的一本鎖抗体(scFV)の作製方法。
- 請求項13若しくは17記載の取得方法により得られる抗原特異的抗体遺伝子、又は請求項18又は19記載の取得方法により得られる抗原特異的一本鎖抗体(scFV)遺伝子が挿入された発現ベクターを宿主細胞に導入し、該宿主細胞が産生する抗原特異的抗体を採取することを特徴とする抗原特異的抗体の製造方法。
- 発現ベクターとして動物細胞発現ベクターを、宿主細胞として動物細胞を用いることを特徴とする請求項21記載の抗原特異的抗体の製造方法。
- 動物細胞が、異種タンパク質高発現ホスト細胞株であることを特徴とする請求項22記載の抗原特異的抗体の製造方法。
- 異種タンパク質高発現ホスト細胞株がRas clone Iであることを特徴とする請求項23記載の抗原特異的抗体の製造方法。
- ヒト化抗体であることを特徴とする請求項21〜24のいずれか記載の抗原特異的抗体の製造方法。
- IgG型又はIgE型であることを特徴とする請求項21〜25のいずれか記載の抗原特異的抗体の製造方法。
- scFvであることを特徴とする請求項21〜26のいずれか記載の抗原特異的抗体の製造方法。
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WO2009072660A1 (ja) | 2007-12-03 | 2009-06-11 | Kabushiki Kaisya Advance | 抗体作製方法 |
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2003
- 2003-09-05 JP JP2003314731A patent/JP2004121237A/ja active Pending
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