本発明は、半導体パッケージ用ソケットに関し、より詳細には、ガルウィング形半導体パッケージのリードに2箇所で接触するようにした2点接触形半導体パッケージ用ソケットに関する。
ガルウィング形リードを有する半導体パッケージの信頼性テストに用いられるオープントップ型半導体パッケージ用ソケット(以下、単に、「ICソケット」ともいう。)が従来から知られている。このようなICソケットは、電子機器への半導体パッケージ実装時に確実な半田付けを可能とするため、信頼性テストで半導体パッケージのそのリード先端を傷めないようにする必要がある。そのため、信頼性テストを実行するとき、半導体パッケージのガルウィング形のリードとICソケットのコンタクトの接触は、肩当て接触方式や横当て接触方式が採用されている。さらに、半導体パッケージからの成形樹脂の屑が飛散するなどしてコンタクトとガルウィング形のリードとの接触が妨げられることを避け、安定した接触を確保するため、特許文献1に開示されるように、2点接触形のICソケットが提案されている。特許文献1に開示される2点接触形ICソケットは、2つの接触部を有するコンタクトの一方の接触部がガルウィング形リードの肩ストレート部と脚部とをつなぐ折れ曲がり部に最初に接触し、その後、他方の接触部がガルウィング形リードの脚部に接触するように構成されている。
上記特許文献1に開示される2点接触形ICソケットにおいて、リード脚部に接触するコンタクトの接触部は、リードの脚部に対して水平方向から接触する構造であるため、該接触部とリード脚部との接圧が高くなる恐れがあり、それにより、リードを変形させる恐れがある。特に、近年のように、半導体パッケージが高密度化し、リード数が多くなると、リードの径も小さくなり、リードの変形の恐れもいっそう高くなる。
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、半導体パッケージのガルウィング形リードの脚部との接触圧力が高くなることを抑え、リードの脚部の曲がりをできるだけ防止し得る2点接触形半導体用ソケットを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、本体から略水平方向に取り出される水平肩部、該水平肩部から略垂直方向に折り曲げられている垂直脚部を少なくとも含んでいるガルウィング形リードを有する半導体パッケージが載置されるパッケージ載置台を含むソケット基板と、前記ソケット基板に対し弾性部材を介して上下動自在に取り付けられているカバー部材と、各々が前記パッケージ載置台に載置されている前記半導体パッケージのガルウィング形リードの水平肩部に上から接触し得る第1の接触片、該半導体パッケージのガルウィング形リードの垂直脚部に横から接触し得る第2の接触片及び前記ソケット基板に固定される固定部を少なくとも含み、前記カバー部材の上下動に伴い前記パッケージ載置台上へ前進、または前記パッケージ載置台から後退することができるように形成されている複数のコンタクトを備える2点接触形半導体パッケージ用ソケットにおいて、前記パッケージ載置台には、前記半導体パッケージが載置されるとき、該半導体パッケージのガルウィング形リードが跨ぐことが可能なダム壁が形成され、前記コンタクトの前記第1の接触片及び前記第2の接触片は、それぞれ、前記半導体パッケージのガルウィング形リードに所定の接圧で接触し得るように、該接圧を決定する弾性変形可能な弾性変形部を有することを特徴とする。
本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、また、前記コンタクトの第1の接触片および第2の接触片が、前記第1の接触片の前記接圧を決定する弾性変形部により、前記カバー部材の上下動に伴い、同時に前記パッケージ載置台上へ前進、または前記パッケージ載置台から後退することができるように形成されていてもよい。
本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、さらに、前記コンタクトの前記第1の接触片および前記第2の接触片が、それぞれ弾性変形部材を有し、それぞれの弾性変形部材は、それぞれの前記接圧を決定するとともに、前記カバー部材の上下動に伴い前記パッケージ載置台上へそれぞれ前進し、または前記パッケージ載置台からそれぞれ後退することができるように形成されていてもよい。
本発明に係る2点接触形半導体用ソケットは、パッケージ載置台に載置された半導体パッケージにコンタクトが接触するとき、コンタクトの第1の接触片は、半導体パッケージのガルウィング形リードの水平肩部に上から接触することができる。また、第2の接触片の先端部は、第2の接触片が弾性変形部を別途備えていることで、半導体パッケージのガルウィング形リードの垂直脚部に小さな接圧で接触することができる。本発明に係る2点接触形半導体用ソケットは、このように構成されることにより、半導体パッケージのガルウィング形リードを変形させることも無く、さらに、半導体パッケージの跳ね上がりによる電気的接触不良を確実に抑えることができる。
図1は、半導体パッケージが装着されていない状態における本発明の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの上面図である。
図2は、図1に示される2点接触形ICソケットの側面図である。
図3は、コンタクトが取り付けられていない状態の図1に示される2点接触形ICソケットの底面図である。
図4は、図1に示される2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図5は、半導体パッケージを装着するために図2に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図2と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図6Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図2と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図6Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図2と同様の第1の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図7は、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図2と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図8は、本実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図9は、半導体パッケージを装着するために図7に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図8と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図10Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図10Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第2の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図11は、載置された半導体パッケージのリードに対し、コンタクトの第1及び第2の2つの接触片が接触し、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図8と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
以下、本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットについて図面を用いて説明する。
(第1の実施例)
図1ないし図7に、本発明の第1の実施例及びその変形例に係る2点接触形ICソケットが示されている。図1は、半導体パッケージが装着されていない状態における本発明の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの上面図であり、図2は、図1に示される2点接触形ICソケットの側面図であり、図3は、コンタクトが取り付けられていない状態の図1に示される2点接触形ICソケットの底面図である。図4は、図1に示される2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図5は、半導体パッケージを装着するために図2に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図2と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図6Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図2と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図6Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図2と同様の第1の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図7は、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図2と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
本実施例の2点接触形ICソケット1には、例えば、リード52が概略正方形状のパッケージ本体51の4側面から取り出され、且つガルウィング形に形成されたQFP(Quad Flat Package)タイプの半導体パッケージ50が装着されるものとする。半導体パッケージ50は、具体的には、図6A、6B、7に示されるように、チップ等を内蔵するように樹脂成形されたパッケージ本体51と、パッケージ本体51の4側面から取り出される複数のガルウィング形のリード52を含んでいる。また、ガルウィング形のリード52各々は、パッケージ本体51から取り出される水平肩部52a、垂直脚部52b及び水平先端部52cを含んでいる。さらに、垂直脚部52bは、水平肩部52aと概略直角をなすように下方に向かって折り曲げられており、水平先端部52cは、垂直脚部52bと概略直角をなすように外側に向かって(パッケージ本体51と反対側に向かって)折り曲げられている。したがって、水平肩部52aと水平先端部52cは、概略平行をなしている。
本実施例の2点接触形ICソケット1は、概略、上から見て概略正方形に形成されており、全体の形状として直方体をなしている。本実施例の2点接触形ICソケット1は、図1ないし4に示されるように、ソケット基板10、カバー部材20及び複数のコンタクト30を備えている。
ソケット基板10は、ソケット基板本体12と該ソケット基板本体上12に固定され、半導体パッケージ50が載置されるパッケージ載置台11を含んでいる。
ソケット基板本体12は、電気的に絶縁性の合成樹脂から作られており、カバー部材20を上下動自在に支持するとともに、複数のコンタクト30を支持する。ソケット基板本体12の4つの側部には、コンタクト30の固定部36に形成される係合凹部36c及び係合凸部36aとそれぞれが互いに嵌合することで該コンタクト30を固定することができるように、底面12d側から上方に順に係合凸部12b及び係合凹部12cが形成されている。また、隣接するコンタクト30が電気的に短絡することを防止するために、係合凸部12b及び係合凹部12cに直交して複数の仕切り壁12aが形成される。したがって、コンタクト30のそれぞれは、隣り合う仕切り壁12aの間にコンタクト30の固定部36が固定されることで、ソケット基板本体12に支持される。
ソケット基板本体12の4隅には、図3に示されるように、カバー部材20に設けられたガイド部材22が摺動するガイド孔12hがソケット基板本体12を貫通するように形成されている。また、ガイド孔12hには、ガイド部材22がガイド孔12hから抜けないようにガイド部材22に形成される係止爪22bが摺動する係止溝12iが、ガイド孔12hの外周に沿って垂直方向に形成されている。この係止溝12iには、カバー部材20の上下動するストローク分だけ底面12dから上方に係合突起(不図示)が形成されている。したがって、該係合突起にガイド部材22の係止爪22bが係合することで、ガイド部材22はそれ以上ガイド孔12hから上方に向かって上昇することを妨げられる。ガイド孔12hに沿う係止溝12i及びガイド部材22の係止爪22bは、互いに対向する位置に設けられることが好ましい。なお、12jは、ICソケット1をテストボードの取り付けるときの位置決め突起であり、12f、12gは、ソケット基板本体の中心に設けられた貫通孔である。本実施例では、12fは、パッケージ載置台11に形成された貫通孔11iと同径に形成されており、12gは、それより小径に2段に形成されているがこれに限られるものではない。
パッケージ載置台11は、ソケット基板本体12と同様、電気的に絶縁性の合成樹脂から作られ、上から見て概略正方形に形成されている。パッケージ載置台11は、上記ソケット基板本体12の上であって、そのほぼ中央部に固定される。パッケージ載置台11には、途中に段部を有する水平断面矩形状の貫通孔11jが形成されている。したがって、パッケージ載置台11は、ソケット基板本体12の上面に形成された係止爪12eが貫通孔11jの途中に形成される段部に係止することで固定される(図1参照)。なお、本実施例では、パッケージ載置台11は、ソケット基板本体12と別体に形成されるものとして説明されているが、一体に形成されてもよい。
パッケージ載置台11の上面11c外周には、載置される正方形状の半導体パッケージ50のパッケージ本体51の4つの側部を取り囲むようにダム壁11aが形成される。半導体パッケージ50がパッケージ載置台11に載置されると、例えば、図6Aに示されるように、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52は、このダム壁11aを跨ぐように載置される。言い換えると、ダム壁11aは、半導体パッケージ50がパッケージ載置台11に載置されたとき、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52を支持するように形成されている。
パッケージ載置台11の上面11cのダム壁11aの内側には、水平断面矩形状の凹部11dが形成され、さらにその中心部には、貫通孔11iが形成されている。また、凹部11dの4隅であってパッケージ載置台11の上面11cには、支持突起11bが形成されている。支持突起11bは、半導体パッケージ50を取り出す際に、該半導体パッケージ50を指で押圧したり、ハンドラなどで押圧したりした際に、ダム壁11aに支持されているガルウィング形リード52の曲がりを軽減させるために設けられている。また、貫通孔11iは、例えば、ICソケット1をテストボードに取り付けるときにねじを用いる場合、ねじの頭部分の逃げ部となる。
パッケージ載置台11の上面11cのダム壁11aの外側4隅には、従来装置と同様、半導体パッケージ50のモールド部51をダム壁11aの内側に案内するための傾斜面11fを有する位置決め部材11eが形成されている。また、4隅に設けられている位置決め部材11eを連結する枠部材11gがダム壁11aに平行に形成されている。該枠部材11gは、垂直断面略L字形をなしている。該枠部材11gには、垂直方向に、複数のスリット11hが互いに平行に形成されている。各スリット11h内には、コンタクト30が、その第1及び第2の接触片31及び32がパッケージ載置台11のダム壁11aに対して前進後退可能に配置される。すなわち、複数のスリット11hを画成する仕切り壁は、ソケット基板本体12に形成された仕切り壁12aに対応して形成されている。
本実施例においては、パッケージ載置台11のダム壁11aの外側側面の下方に、遅延用カム突起11kが設けられている。遅延用カム突起11kは、垂直断面概略円弧状の凸面をなしており、パッケージ載置台11の4つの外側側面に沿って水平方向に延在している。遅延用カム突起11kは、後述するコンタクト30の第2の接触片のU字形湾曲部32eの遅延用突部32dが接触しながら摺動することで、コンタクト30の第2の接触片32の先端部32aのダム壁11aに向かっての前進を遅らせるための部材である。
次に、カバー部材20は、ソケット基板10のパッケージ載置台11及びソケット基板本体12と同様に電気的に絶縁性の合成樹脂から作られており、上から見て概略正方形に形成され、全体として直方体に形成されている。カバー部材20の中央部には、パッケージ載置台11の位置決め部材11eが出入り可能な水平断面正方形状の開口部24が形成される。
上述したように、カバー部材20は、ソケット基板10のソケット基板本体12に対して上下動自在に支持されている。具体的には、カバー部材20の4隅に、上記ソケット基板本体12に形成されるガイド孔内を上下方向(垂直方向)に移動可能なガイド部材22が設けられる。
ガイド部材22は、カバー部材20の4隅に設けられた取り付け孔(不図示)に嵌め込まれ、カバー部材20に固定される。ガイド部材22には、上下に対応して、係止爪22a、22bが形成されており、下方に設けられた係止爪22bは、上述したように、ソケット基板本体12に設けられた係止溝12i内を摺動する。上方に設けられた係止爪22aは、カバー部材20に設けられた取り付け孔に沿って垂直方向に形成されている位置決め溝23内に設けられた係止突起(不図示)に係合することでカバー部材20に固定される。また、ガイド部材22のカバー部材20への固定に際しては、ガイド部材22が取り付け孔内を摺動しないようにカバー部材20上方からタッピンねじのような部材でガイド部材22の上端を押さえつけるようにすることが好ましい。なお、位置決め溝23は、カバー部材20を貫通し、ソケット基板本体12のガイド孔に沿って形成されている係止溝に対応するように形成される。なお、本実施例では、ガイド部材22は、カバー部材20と別体に形成されるものとして説明されているが、カバー部材20と一体に形成されていてもよい。
カバー部材20の4つの側部には、カム部21が設けられ、ソケット基板本体12に固定支持されるコンタクト30の駆動レバー34に対応するカム面21aがカム部21の下面及び側面に沿って形成される。カム面21aは、カバー部材20が下方に押し下げられると、コンタクト30の駆動レバー34に当接し、複数のコンタクト30を同時に内側から外側へ(すなわち、パッケージ載置台11のダム壁11aから後退する方向に)移動させることを可能とするように形成される。カム面21aは、また、カム部21の側面に沿って、隣接する仕切り壁21bとの間に複数形成される。すなわち、隣接する仕切り壁21bの間に、対応するコンタクト30の駆動レバー34の従動部34aが入り込む構造になっている。
カバー部材20とソケット基板本体12との間には、弾性部材としての圧縮コイルばね29が、例えば、図2に示されるようにガイド部材22に平行に配置される。圧縮コイルばね29は、図2に示されるように、コンタクト30と半導体パッケージ50の接触の際に、コンタクト30の後述する従動部34aに不要なテンションがかからないようにカバー部材20を上昇した位置に保持する。
次に、コンタクト30は、半導体パッケージ50とテストボード(不図示)とを電気的に接続する部材であり、従って、導電性の金属薄板からプレス加工により形成される。
本実施例におけるコンタクト30は、図4に示されるように、第1の接触片31及び第2の接触片32の2つの接触片、連結片33、駆動レバー34、S字形湾曲部35、固定部36及び端子部37を含んでいる。
第1の接触片31は、連結片33の一端から前方に延び、その先端部31aは、ICソケット1が図4に示されるようにフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台11のダム壁11a上面に接触するように形成されている。第1の接触片31の先端部31aは、S字形湾曲部35の弾性力により、所定の接圧でダム壁11a上面に接触している。結果として、S字形湾曲部35は、第1の接触片31の先端部31aが半導体パッケージ50のリード52に接触する圧力を決定する。第1の接触片31の先端部31aは、また、ダム壁11aの上面に対して前進または後退するとき、図5に矢印Xで示される略円弧状の軌跡を描いて、斜め上方からダム壁11a上面に接触またはダム壁11a上面から斜め上方へ離脱するように形成されている。
本実施例においては、第2の接触片32は、先端部32a、第1のアーム32b、U字形湾曲部32e及び第2のアーム32fを含んでいる。
第2の接触片32の第2のアーム32fが、連結片33の一端から第1の接触片31が前方に延在する途中からS字形湾曲部35に沿って下方に延びている。続いて、第2の接触片32の第1のアーム32bが、弾性変形可能なようにU字形状に湾曲している弾性変形部材としてのU字形湾曲部32eを介して先端部32aに向かって上方に延びている。
第1のアーム32bは、途中に、先端部32aに続くC字形折れ曲がり部32c、後述する遅延用突部32dを有している。第1のアーム32bは、U字形湾曲部32eからC字形折れ曲がり部32cまでの間は、第2のアーム32fにほぼ平行に形成されている。第1のアーム32bは、続いて、C字形折れ曲がり部32cで外側上方(図4において、左側上方)に概略円弧状に折り曲げられ、先端部32aに続いている。したがって、先端部32aの下方に、該先端部32a、第1のアーム32bのC字形折れ曲がり部32cによって取り囲まれる空間Sが形成される。このような空間が形成されることにより、半導体パッケージ50のリード52の寸法誤差によってリード52が外側へ配置されている場合や、リード52自体の寸法が外側へ長く形成された半導体パッケージ50にも対応することが可能となる。
第2の接触片32の先端部32aは、図4にも明確に示されるように、第1の接触片31の先端部31aより下方に位置する。第2の接触片32の先端部32aは、ICソケット1が図2に示されるようにフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台11のダム壁11の外側側面に接触するように形成されている。第2の接触片32の先端部32aは、U字形湾曲部32eの弾性力により所定の接触圧力でダム壁11aの外側側面に接触している。結果として、第2の接触片32のU字形湾曲部32eは、第2の接触片32の先端部32aが半導体パッケージ50のリード52に接触する圧力を決定する。言い換えれば、第2の接触片32のU字形湾曲部32eは、第2の接触片32の先端部32aが半導体パッケージ50のリード52に接触する圧力を、従来のようにS字形湾曲部35から直接的に与えられる接圧とは異なる接圧に調整可能である。具体的には、本実施例では、S字形湾曲35から直接与えられる接圧より小さい接圧に調整可能である。第2の接触片32の先端部32aは、また、ダム壁11aの外側側面(図4において、ダム壁11aの右側側面)に対して前進または後退するとき、図5に矢印Yで示される略円弧状の軌跡を描いて、横から(図5において、右側から)ダム壁11aの外側側面に接触またはダム壁11aの外側側面から横へ離脱するように形成されている。
第2の接触片32の先端部32aは、さらに、第2の接触片32に負荷が全くかかっていない状態においては、第1の接触片31の先端部31aより若干前方に位置するように形成されている(図5参照)。
本実施例においては、第2の接触片32は、さらに、U字形湾曲部32eの上方に延びる第1のアーム32bに続く部分の近傍に遅延用突部32dが形成されている。該遅延用突部32dは、上述したように、パッケージ載置台11の外側側面下方に形成されている遅延用カム突部11kの円弧状凸面に接して摺動し得るように形成されている。このように構成することで、第2の接触片32の先端部32aは、第1の接触片31の先端部31aが半導体パッケージ50のリード52に接触するより遅くリード52に接触することが可能となる。それにより、後述するように、半導体パッケージ50のリード52の製造誤差によって発生する半導体パッケージ50の跳ね上がりによる対向する位置に配置されるコンタクト30とリード52との接触不良をより確実に防止することができる。
コンタクト30の駆動レバー34は、連結片33の他端から後方垂直方向に延び、その先端に従動部34aが形成されている。駆動レバー34の従動部34aは、ICソケット1が図4に示されるフリーの状態にあるとき、カバー部材20のカム部21のカム面21aに対応して配置されるように形成されている。従動部34aは、ICソケット1がフリーの状態にあるとき、カム面21aに接触していてもよいが、図4に示されるように、カム面21aから若干離れていることが好ましい。
コンタクト30のS字形湾曲部35は、本実施例では、コンタクト30を弾性変形可能とする弾性変形部材であり、必ずしもS字形の湾曲形状に限られるものではない。S字形湾曲部35は、連結片33に対して直交するように該連結片33から下方に延び、固定部36に連結されている。S字形湾曲部35は、上述したように、コンタクト30の弾性変形を可能とし、カバー部材20の上下動に伴い、コンタクト30の第1及び第2の接触片31及び32のそれぞれの先端部31a、32aを同時に前進後退させることができる。すなわち、本実施例では、S字形湾曲部35は、コンタクト30の第1の接触片31及び第2の接触片32を同時に前進後退させる共通の弾性変形部材として、また第1の接触片31の半導体パッケージ50のリード52への接触圧力を決定する弾性変形部材として作用する。
コンタクト30の固定部36は、係合凸部36a、支持部36b、係合凹部36cを有し、それぞれがソケット基板本体12の係合凹部12c、係合凸部12bと嵌まり合うように形成されている。なお、係合凸部36aの上方及び/または下方には、コンタクト30のソケット基板本体12への固定を確実にするために、突起を設けることが好ましい。
コンタクト30の端子部37は、固定部36から下方に向けて突出するように形成されている。コンタクト37の端子部37は、隣接するコンタクト30の端子部37と配列方向に重ならないように、前後(図4において左右に)に位置をずらして配置されるように形成されていることが好ましい。このようにコンタクト30の端子部37の位置をずらすことにより、コンタクト数が多くてもテストボードに形成されるスルーホールの隣り合うスルーホールとの間隔を大きく取ることができる。
これまで本実施例に係るICソケット1の構造について説明をしてきたが、以下、本実施例に係るICソケット1に半導体パッケージ50を装着すべくICソケット1の操作について図4、5、6A及び7を用いて説明する。なお、図には示されていないが、ICソケット1は、テストボードに装着されている。
図4には、半導体パッケージ50が装着されていないフリーの状態にあるICソケット1が示されている。この時、カバー部材20は、ソケット基板10に対して最も上昇した第1の位置にある。また、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aは、ソケット基板10のパッケージ載置台11のダム壁11a上に所定の接圧で接触しており、第2の接触片32の先端部32aは、ダム壁11aの外側側面に所定の接圧で接触している。
ICソケット1のフリーの状態から、カバー部材20を、例えば、パッケージ装着機械により、図5に示されるように、カバー部材20がソケット基板本体12に当接した状態である第2の位置まで、下方に押し下げる(すなわち、カバー部材20を第1の位置から第2の位置まで下降させる)。カバー部材20が押し下げられている途中で、コンタクト30の駆動レバー34の従動部34aが、カバー部材20のカム部21に設けられているカム面21aに当接する。カバー部材20のさらなる押し下げに伴い、駆動レバー34の従動部34aは、該カム面21aに沿って後方に(図4において右方に)移動する。それにより、図5に示されるように、コンタクト30の第1及び第2の接触片31、32が、それぞれ、矢印X及びYで示される概略円弧状の軌跡を描いてダム壁11aから後方に後退させられる。
カバー部材20が図5に示される第2の位置にあるとき、コンタクト30の第1及び第2の接触片31、32それぞれの先端部31a、32aは、パッケージ載置台11の枠部材11gに形成されるスリット11h内に後退している。また、パッケージ載置台11の位置決め部材11eは、カバー部材20の下降に伴い相対的に上昇し、カバー部材20の開口部24内に入り込んでいる。
ICソケット1が図5の状態にあるとき、半導体パッケージ50を、例えば、パッケージ装着機械により、開口部24、位置決め部材11eを通してパッケージ載置台11上に載置する。この時、半導体パッケージ50の本体51は、ダム壁11a内に入り込み、支持突起11b上に支持される。半導体パッケージ50のリード52は、ダム壁11aを跨ぎ、該ダム壁11aに支持される。具体的には、ガルウィング形リード52の水平肩部52aがダム壁11aの上面に支持され、リード52の垂直脚部52bが該垂直脚部52bと半導体パッケージ50の本体51との間にダム壁11aを挟むように、ダム壁11aの外側側面に沿って配置される。
半導体パッケージ50が図5に示されるICソケット1のパッケージ載置台11上に置かれた後、カバー部材20の押圧力を解除すると、カバー部材20は、コンタクト30のS字形湾曲部35の復元力により第1の位置に向かって上昇する。それにより、駆動レバー34の従動部34aもカバー部材20のカム面21aに沿って、前進する。したがって、コンタクト30の第1の接触片31及び第2の接触片32もダム壁11aに向かって前進する。
図6Aに示されるように、本実施例では、コンタクト30の第2の接触片32の前進に伴い、該第2の接触片32に設けられている遅延用突部32dがパッケージ載置台11に設けられている遅延用カム突起11kに接触する。それにより、第2の接触片32の先端部32aは、遅延用突部32dが遅延用カム突起11kを乗り越えるまでは、前進を阻まれる。したがって、図6Aに示されるように、第1の接触片31の先端部31aが先に半導体パッケージ50のリード52の水平肩部52aに斜め上方から接触する。
コンタクト30と半導体パッケージ50との電気的接触をこのように構成することで、半導体パッケージ50の跳ね上がりによる電気的接触が不良になることをより確実に防止することができる。具体的には、例えば、対向して取り出されている半導体パッケージ50のリード52の形状に製造誤差によるバラツキが生じている場合を想定する。このようにリード52の形状にバラツキがあると、一方のコンタクト30の第1の接触片31の先端部31aが対応するリード52の水平肩部52aに接触しても対向する他方の第1の接触片31の先端部31aは接触していない恐れがある。そうすると、半導体パッケージ50は、リード52とコンタクト30が接触していない側が跳ね上がり、それによりリード52とコンタクト30の接触が不良になる恐れがある。しかしながら、本実施例に係るICソケット1においては、他方の第1の接触片31の先端部31aは、実質的にリード52の水平肩部52aの上方に接近しているように構成されている。したがって、他方の第1の接触片31の先端部31aは、リード52の水平肩部52aの跳ね上がりが小さなうちに該水平肩部52aに上方から接触し、半導体パッケージ30が完全に跳ね上がることを抑えることが可能となる。
続いて、カバー部材20がさらに上昇すると、第2の接触片32がダム壁11aに向かって、したがって、ガルウィング形リード52の垂直脚部52bに向かってさらに前進する。それにより、第2の接触片32の遅延用突部32dが遅延用カム突起11kを乗り越え、結果として、第2の接触片32の先端部32aが第1の接触片31より若干遅れてガルウィング型リード52の垂直脚部52bに横から接触する。この時、第2の接触片32は、U字形湾曲部32eを備えることで、垂直脚部52bに小さい接圧で接触し、したがって、該垂直脚部52bを変形させることがない。
図7に示されるように、カバー部材20が第1の位置に完全に上昇することで、半導体パッケージ50のICソケット1への装着は完了する。
半導体パッケージ50をICソケット1から取り外す操作は、上で述べた装着時の操作と逆の操作を行えばよいので説明を省略する。
さて、本実施例では、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aが第2の接触片32の先端部32aより先にガルウィング形リード52に接触するように説明した。しかしながら、コンタクト30と半導体パッケージ50との電気的接触はこれに限られるものではない。例えば、図6Bに示される変形例のように、第2の接触片32の先端部32aが第1の接触片31の先端部31aより先にガルウィング形リード52に接触するように構成されてもよい。あるいは、両先端部31a及び32aがほぼ同時に接触するようにしてもよい。
ここで、図6Bに示される第1の実施例の変形例について簡単に説明する。図6Bに示される変形例は、上述したように、第2の接触片32の先端部32aが第1の接触片31の先端部31aより先にガルウィング形リード52に接触するように構成されている。具体的には、図6Bに示される変形例に係るICソケット1においては、パッケージ載置台11に設けられていた遅延用カム突起11k及び第2の接触片32に設けられていた遅延用突起32cが設けられていない点でのみ第1の実施例と異なる。すなわち、第2の接触片32の前端部32aは、図5に示されるようにカバー部材20が第2の位置にあるとき、第1の接触片31の先端部31aより前に位置している。カバー部材20の押圧力が解除されると、第2の接触片32の先端部32aは、この位置関係を維持してリード52に向かって前進する。本変形例では、第2の接触片32は、遅延することが無いので、第2の接触片32の先端部32aが、ガルウィング形リード52の垂直脚部52bに先に横から接触する。続いて、第1の接触片31の先端部31aがガルウィング形リード52の水平肩部52aに上から接触する。
本変形例の場合も、第2の接触片32は、従来のものに比べて弾性力が小さくなるように形成されているので、第2の接触片32の先端部32aは、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の垂直脚部52bを弱い弾性力で横に押すだけである。したがって、半導体パッケージ50のリード52の形状に上述したようなバラツキがある場合でも、対向する第2の接触片32、32の一方の第2の接触片32の先端部32aが先に対応する垂直脚部52bに接触しても半導体パッケージ50を跳ね上げることがない。すなわち、対向する第2の接触片32の他方の接触片の先端部32aは、対応する垂直脚部52bに接近しているので、すぐに、対向する第2の接触片32、32で対応する垂直脚部52b、52bを介して半導体パッケージ50を挟む状態となる。したがって、本変形例の場合も半導体パッケージ50を跳ね上げ、コンタクト30と半導体パッケージ50との電気的接触が不良となることが防止される。
以上述べたように、本発明の第1の実施例及び変形例に係るICソケット1は、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aがダム壁11aの上面に接触し、第2の接触片32の先端部32aがダム壁11aの外側側面に接触することを特徴とする。また、第2の接触片32は、コンタクト30のS字形湾曲部に加えてさらに弾性変形可能なU字形湾曲部32eを備えることを特徴とする。
したがって、パッケージ載置台11に載置された半導体パッケージ50にコンタクト30が接触するとき、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aは、必ず、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の水平肩部52aに上から接触する。また、第2の接触片32の先端部32aは、必ず、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の垂直脚部52bに小さな接圧で接触する。それにより、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52を変形させることも無く、さらに、半導体パッケージの跳ね上がりによる電気的接触不良を確実に抑えることができる。
(第2の実施例)
図8ないし図11に、本発明の第2の実施例及びその変形例に係る2点接触形ICソケットが示されている。図8は、本実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図9は、半導体パッケージを装着するために図7に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図8と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図10Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図10Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第2の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図11は、載置された半導体パッケージのリードに対し、コンタクトの第1及び第2の2つの接触片が接触し、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図8と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
本実施例の2点接触形ICソケット101においても、リード52が概略正方形状のパッケージ本体51の4側面から取り出され、且つガルウィング形に形成されたQFP(Quad Flat Package)タイプの半導体パッケージ50が装着されるものとする。
本実施例の2点接触形ICソケット101は、概略、上から見て概略正方形に形成されており、全体の形状として直方体をなしている。本実施例の2点接触形ICソケット101は、第1の実施例と同様、図8に示されるように、ソケット基板110、カバー部材120、複数のコンタクト130及びコンタクト130の第2の接触片132を駆動する回転枠部材140を備えている。したがって、本実施例におけるICソケット101は、コンタクト130の構造が相違するとともに、該コンタクト130の第2の接触片132を駆動する回転枠部材140を備えていることにおいて第1の実施例のICソケット1と相違する。また、この相違により、ソケット基板110の基板本体112及びカバー部材120の構造が若干変更されているが、その他の構造は、ほぼ同じである。したがって、以下、この異なる構造を中心に説明し、ほぼ同一構造を有するその他の構造の説明は省略する。なお、本実施例において、部品に引用する数字から100を引いた数字が、第1の実施例の部品に引用する数字(及びアルファベット)と同じ場合、第1の実施例における部品と同じ部品を指していると理解されたい。
本実施例におけるソケット基板110は、第1の実施例と同様、パッケージ載置台111及びソケット基板本体112を含んでいる。パッケージ載置台111は、第1の実施例とほぼ同じであり、ソケット基板本体112も、コンタクト130の固定部136との嵌合構造が若干異なるのみで実質的な変更はない。本実施例では、ソケット基板本体112のコンタクト130の固定部136との嵌合構造は、例えば、図8に示されるように、係合凸部112bが形成されているのみで係合凹部は設けられていない。
次に、本実施例のカバー部材120は、上記第1の実施例と同様、概略直方体形状を成し、該カバー部材120をソケット基板本体112に対して上下動可能に支持するガイド部材122及びパッケージ載置台111の位置決め部材111eが出入り可能な開口部124を備える。
本実施例においては、さらに、カバー部材120が第1の実施例と同様の第1のカム部121に加えて、第2のカム部125を備えている点で上記第1の実施例とその構造が異なる。
第1のカム部121は、第1の実施例とほぼ同様に、カバー部材120の4つの側部に沿って形成される。第1のカム部121の第1のカム面121aは、該第1のカム部121の下面及び側面に沿って形成されるとともに、隣接する仕切り壁121bとの間に形成される。第1のカム面121aは、ソケット基板本体112に固定支持されるコンタクト130の第1の接触片131を駆動する駆動レバー131cに対応して複数形成される。第1のカム面121aは、また、カバー部材120が下方に押し下げられると、コンタクト130の第1の接触片131の駆動レバー131cに当接し、複数のコンタクト130の第1の接触片131を同時に内側から外側へ移動させることを可能とするように形成される。
第2のカム部125は、カバー部材120の4隅に、カバー部材120の4つの側部のそれぞれの側部において対向するように形成されるとともに、第2のカム部125それぞれの下面及び側面には第2のカム面125aが形成されている。第2のカム面125aは、カバー部材120が下方に押し下げられると、対向する第2のカム面125a、125aとの間に配置される回転枠部材140の従動バー144に当接し、複数のコンタクト130の第2の接触片132を同時に内側から外側へ移動させることを可能とするように形成される。
次に、本実施例におけるコンタクト130は、図8に示されるように、第1の接触片131、第2の接触片132、固定部136及び端子部137を含んでいる。本実施例におけるコンタクト130の第1の接触片131と第2の接触片132は、それぞれ、独立して駆動される。すなわち、本実施例における第1の接触片131と第2の接触片132は、それぞれ独立して変位し得るように固定部136の上面から立ち上がっている。
コンタクト130の第1の接触片131は、先端部131a、連結片131b、駆動レバー131c、従動部131d及び弾性変形部材としてのS字形湾曲部131eを含んでおり、固定部136の後方(図8において、右側)に接続されている。先端部131aは、図8に示されるように、半導体パッケージ50がパッケージ載置台111に載置されておらず、且つICソケット101がフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台111のダム壁111aの上面に上から接触するように形成される。連結片131bは、先端部131a、駆動レバー131c及びS字形湾曲部131eを連結している。駆動レバー131cは、先端部である従動部131dがカバー部材120に設けられている第1のカム面121aに対応するように形成される。第1の接触片131のS字形湾曲部131eは、第1の接触片131が弾性変形することを可能とし、第1の接触片131の先端部131aの半導体パッケージ50のリード52への接圧を決定する。
第1の接触片131の先端部131aは、カバー部材120が押し下げられると、従動部131dがカバー部材120の第1のカム面121aに当接することで、ダム壁111aの上面から斜め上方に後退し得る。カバー部材120の上下動に伴う第1の接触片131の先端部131aの前進及び後退の軌跡は、図9の矢印Xで示されるように円弧状である。
コンタクト130の第2の接触片132は、先端部132a、概略C字形の駆動部132g及び弾性変形部材としてのS字形湾曲部132hを含んでおり、固定部136の前方(図8において、左側)に接続されている。先端部131aは、図8に示されるように、半導体パッケージ50がパッケージ載置台111に載置されておらず、且つICソケット101がフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台111のダム壁111aの外側側面に横から接触するように形成される。C字形駆動部132gは、回転枠部材140の回転レバー141の上端部に当接するように形成される。第2の接触片132のS字形湾曲部132hは、第2の接触片132が弾性変形することを可能とし、第2の接触片132の先端部132aの半導体パッケージ50のリード52への接圧を決定する。
第2の接触片132の先端部132aは、カバー部材120が押し下げられると、回転枠部材140の回転レバー141が回転し、C字形駆動部132gが後方に押されることで、ダム壁111aの上面から斜め上方に後退し得る。カバー部材120の上下動に伴う第2の接触片132の先端部132aの前進及び後退の軌跡は、図9の矢印Yで示されるように円弧状である。
コンタクト130の固定部136は、コンタクト130をソケット基板本体112に固定する部材であり、第1の実施例と同様に、ソケット基板本体112の係合凸部112bが嵌合する係合凹部136cが形成されている。固定部130は、また、パッケージ載置台111のダム壁11aの外側側面や仕切り壁112aの上面とともに回転枠部材140の回転軸部142を回転可能に支持する。
次に、回転枠部材140は、電気的に絶縁性の合成樹脂から成形され、図8において右側方から見て、概略矩形状をなしている。回転枠部材140は、回転レバー部141、回転軸部142、スリット143及び従動バー144を含んでいる。回転枠部材140は、上述したように、カバー部材120の4隅に形成された対をなす第2のカム部125の間に回転軸部142を回転中心として回転可能に配置される。
回転枠部材140には、回転枠部材140を前後方向(図8において、左右方向)に貫通する複数のスリット143が形成されている。隣接するスリット143との間を仕切る仕切り壁は、ソケット基板本体112に設けられた仕切り壁112aに対応している。したがって、スリット143各々には、コンタクト130の第1の接触片131及び第2の接触片132が該スリット143内を前進、後退できるように配置される。
回転枠部材140の上部には、スリット143を横断して上方を閉じるように、従動バー144が形成されている。従動バー144の両端部は、カバー部材120の対向する角部にそれぞれ対向して形成されている第2のカム面125a、125aに当接し、カバー部材120が上下動するとき、この第2のカム面125a、125aに沿って摺動し得るように構成されている。それにより、回転枠部材140は、回転軸部142を回転中心として回転する。なお、図8に示されるように、カバー部材120がソケット基板110に対して最も上昇している第1の位置にあるとき、従動バー144の両端部は、第2のカム面125aに対して接触していてもよいが、若干離れていてもよい。
回転枠部材140の下方には、スリット143を横断して下方(図8において左側)を塞ぐように、回転レバー部141が形成されている。回転レバー部141は、垂直断面概略C字形をなしており、その上端部は、第2の接触片132のC字形駆動部132gに当接するように形成され、下端部は、回転軸部142に連結している。回転レバー部141は、また、回転軸部142に連結する下端部近傍は、図8に示されるように、ICソケット101がフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台111のダム壁111aの外側側面の下方に接して垂直に保持されるように形成される。
回転枠部材140の下端部には、回転枠部材140の回転中心となる回転軸部142が設けられている。該回転軸部142は、垂直断面略円形を成しており、回転枠部材140の両端部から外側(図8において、図面に対して垂直方向)に突出し、ソケット基板本体112に形成されている円孔(不図示)または上方に開放した係合溝(不図示)内に回転可能に支持されている。なお、回転軸部材142には、例えば、ネジリコイルばねが設けられていてもよい。該ネジリコイルばねは、図8に示されるように、回転枠部材140の回転軸部141がダム壁111aの外側側面の下方に接して垂直に保持されるように、回転軸部142に回転モーメントを与える。
以上、第2の本実施例に係るICソケット101の構造について上記第1の実施例との相違点を中心として説明をしてきた。ここからは、本実施例に係るICソケット101に半導体パッケージ50を装着するためにICソケット1を操作する手順について図8、9、10A及び11を用いて説明する。なお、図には示されていないが、本実施例においても、ICソケット101は、テストボードに装着されている。
図8には、半導体パッケージ50が装着されていないフリーの状態にあるICソケット101が示されている。この時、カバー部材120は、ソケット基板110に対して最も上昇した第1の位置にある。また、コンタクト130の第1の接触片131の先端部131aは、パッケージ載置台111のダム壁111a上に所定の接圧で接触しており、第2の接触片132の先端部132aは、ダム壁111aの外側側面に所定の接圧で接触している。
ICソケット101のフリーの状態から、カバー部材120を、図9に示されるように、カバー部材120がソケット基板110に当接した状態である第2の位置まで、下方に押し下げる。カバー部材120が押し下げられている途中で、コンタクト130の第1の接触片131の駆動レバー131cの従動部131dが、カバー部材120に設けられている第1のカム面121aに当接する。同様に、回転枠部材140の従動バー144の両端部が第2のカム面125aに当接する。カバー部材20のさらなる押し下げに伴い、駆動レバー131cの従動部34a及び従動バー144の両端部は、それぞれ第1のカム面121a及び第2のカム面125aに沿って後方に(図8において右方に)移動する。それにより、図9に示されるように、コンタクト130の第1及び第2の接触片131、132が、それぞれ、矢印X及びYで示される概略円弧状の軌跡を描いてダム壁111aから後方に後退させられる。
カバー部材120が図9に示される第2の位置にあるとき、コンタクト130の第1の接触片131及び第2の接触片132それぞれの先端部131a、132aは、パッケージ載置台111の位置決め部材111eより後方に後退している。また、該位置決め部材111eは、カバー部材120の下降に伴い相対的に上昇し、カバー部材120の開口部124内に入り込んでいる。
ICソケット101が図9の状態にあるとき、半導体パッケージ50が、第1の実施例と同様に、開口部124、位置決め部材111eを通してパッケージ載置台111上に載置される。この時、半導体パッケージ50の本体51、ガルウィング形リード52の水平肩部52a、垂直脚部52bは、上記第1の実施例と同様にパッケージ載置台111上に位置する。
半導体パッケージ50が図9に示されるICソケット101のパッケージ載置台111上に置かれた後、カバー部材120の押圧力を解除すると、カバー部材120は、コンタクト130のS字形湾曲部131e、132eなどの復元力により第1の位置に向かって上昇する。それにより、駆動レバー131cの従動部131d及び従動レバー144も、それぞれ、カバー部材120の第1のカム面121a及び第2のカム面125aに沿って前進する。したがって、コンタクト130の第1の接触片131及び第2の接触片132もダム壁111aに向かって前進する。
図10Aに示されるように、本実施例では、第1のカム面121a、第2のカム面125a及び駆動レバー131c、回転枠部材140の形状を適宜調整することにより、第1の接触片131の先端部131aが先に半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の水平肩部52aに斜め上方から接触する。したがって、本実施例においても、第1の実施例と同様、半導体パッケージ50の跳ね上がりによる電気的接触が不良になることをより確実に防止することができる。
続いて、カバー部材120がさらに上昇すると、第2の接触片132は、ダム壁111aに向かってさらに前進し、第2の接触片132の先端部132aは、第1の接触片131より若干遅れてガルウィング型リード52の垂直脚部52bに横から接触する。この時、第2の接触片132は、S字形湾曲部132hを介して、垂直脚部52bに小さい接圧で接触し、したがって、該垂直脚部52bを変形させることがない。
図11に示されるように、カバー部材120が第1の位置に完全に上昇することで、半導体パッケージ50のICソケット101への装着は完了する。
半導体パッケージ50をICソケット101から取り外す操作は、上で述べた装着時の操作と逆の操作を行えばよいので説明を省略する。
本実施例においても、図10Bに示されるように、コンタクト130の第2の接触片132の先端部132aが第1の接触片131の先端部131aより先に半導体パッケージ50のリード52に接触する変形例について簡単に説明する。図10Bに示される変形例に係るICソケット101においては、例えば、第2のカム面125aを上記第2の実施例における溶離も若干上に形成することで、回転枠部材140の従動バー144の戻りを早くすることができる。それにより、第2の接触片132の先端部132aは、第1の接触片131の先端部131aより先に、ガルウィング形リード52の垂直脚部52bに横から接触することができる。第1の接触片131の先端部131aは、その直後にガルウィング形リード52の水平肩部52aに上から接触する。
本変形例の場合も、第2の接触片132は、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の垂直脚部52bを弱い弾性力で横に押すだけであり、したがって、上記第1の実施例と同様に、半導体パッケージ50を跳ね上げることがない。
以上述べたように、本発明の第2の実施例及び変形例に係るICソケット101も、上記第1の実施例と同様に、コンタクト130の第1の接触片131の先端部131aがダム壁111aの上面に接触し、第2の接触片132の先端部132aがダム壁111aの外側側面に接触することを特徴とする。また、第2の接触片132は、第1の接触片131のS字形湾曲部131eとは別に弾性変形可能なS字形湾曲部132hを備えることを特徴とする。結果として、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52を変形させることも無く、さらに、半導体パッケージの跳ね上がりによる電気的接触不良を確実に抑えることができる。
本発明は、半導体パッケージ用ソケットに関し、より詳細には、ガルウィング形半導体パッケージのリードに2箇所で接触するようにした2点接触形半導体パッケージ用ソケットに関する。
ガルウィング形リードを有する半導体パッケージの信頼性テストに用いられるオープントップ型半導体パッケージ用ソケット(以下、単に、「ICソケット」ともいう。)が従来から知られている。このようなICソケットは、電子機器への半導体パッケージ実装時に確実な半田付けを可能とするため、信頼性テストで半導体パッケージのそのリード先端を傷めないようにする必要がある。そのため、信頼性テストを実行するとき、半導体パッケージのガルウィング形のリードとICソケットのコンタクトの接触は、肩当て接触方式や横当て接触方式が採用されている。さらに、半導体パッケージからの成形樹脂の屑が飛散するなどしてコンタクトとガルウィング形のリードとの接触が妨げられることを避け、安定した接触を確保するため、特許文献1に開示されるように、2点接触形のICソケットが提案されている。特許文献1に開示される2点接触形ICソケットは、2つの接触部を有するコンタクトの一方の接触部がガルウィング形リードの肩ストレート部と脚部とをつなぐ折れ曲がり部に最初に接触し、その後、他方の接触部がガルウィング形リードの脚部に接触するように構成されている。
上記特許文献1に開示される2点接触形ICソケットにおいて、リード脚部に接触するコンタクトの接触部は、リードの脚部に対して水平方向から接触する構造であるため、該接触部とリード脚部との接圧が高くなる恐れがあり、それにより、リードを変形させる恐れがある。特に、近年のように、半導体パッケージが高密度化し、リード数が多くなると、リードの径も小さくなり、リードの変形の恐れもいっそう高くなる。
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、半導体パッケージのガルウィング形リードの脚部との接触圧力が高くなることを抑え、リードの脚部の曲がりをできるだけ防止し得る2点接触形半導体パッケージ用ソケットを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、本体から略水平方向に取り出される水平肩部、該水平肩部から略垂直方向に折り曲げられている垂直脚部を少なくとも含んでいるガルウィング形リードを有する半導体パッケージが載置されるパッケージ載置台を含むソケット基板と、前記ソケット基板に対し弾性部材を介して上下動自在に取り付けられているカバー部材と、各々が前記パッケージ載置台に載置されている前記半導体パッケージのガルウィング形リードの水平肩部に上から接触し得る第1の接触片、該半導体パッケージのガルウィング形リードの垂直脚部に横から接触し得る第2の接触片及び前記ソケット基板に固定される固定部を少なくとも含み、前記カバー部材の上下動に伴い前記パッケージ載置台上へ前進、または前記パッケージ載置台から後退することができるように形成されている複数のコンタクトを備える2点接触形半導体パッケージ用ソケットにおいて、前記パッケージ載置台には、前記半導体パッケージが載置されるとき、該半導体パッケージのガルウィング形リードが跨ぐことが可能なダム壁が形成され、前記コンタクトの前記第1の接触片及び前記第2の接触片は、それぞれ、前記半導体パッケージのガルウィング形リードに所定の接圧で接触し得るように、該接圧を決定する弾性変形可能な弾性変形部を有することを特徴とする。
本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、また、前記コンタクトの第1の接触片および第2の接触片が、前記第1の接触片の前記接圧を決定する弾性変形部により、前記カバー部材の上下動に伴い、同時に前記パッケージ載置台上へ前進、または前記パッケージ載置台から後退することができるように形成されていてもよい。
本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、さらに、前記コンタクトの前記第1の接触片および前記第2の接触片が、それぞれ弾性変形部材を有し、それぞれの弾性変形部材は、それぞれの前記接圧を決定するとともに、前記カバー部材の上下動に伴い前記パッケージ載置台上へそれぞれ前進し、または前記パッケージ載置台からそれぞれ後退することができるように形成されていてもよい。
本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、パッケージ載置台に載置された半導体パッケージにコンタクトが接触するとき、コンタクトの第1の接触片は、半導体パッケージのガルウィング形リードの水平肩部に上から接触することができる。また、第2の接触片の先端部は、第2の接触片が弾性変形部を別途備えていることで、半導体パッケージのガルウィング形リードの垂直脚部に小さな接圧で接触することができる。本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットは、このように構成されることにより、半導体パッケージのガルウィング形リードを変形させることも無く、さらに、半導体パッケージの跳ね上がりによる電気的接触不良を確実に抑えることができる。
図1は、半導体パッケージが装着されていない状態における本発明の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの上面図である。
図2は、図1に示される2点接触形ICソケットの側面図である。
図3は、コンタクトが取り付けられていない状態の図1に示される2点接触形ICソケットの底面図である。
図4は、図1に示される2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図5は、半導体パッケージを装着するために図4に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図4と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図6Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図4と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図6Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図4と同様の第1の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図7は、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図4と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図8は、本発明の第2の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図9は、半導体パッケージを装着するために図8に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図8と同様の第2の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図10Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第2の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図10Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第2の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
図11は、載置された半導体パッケージのリードに対し、コンタクトの第1及び第2の2つの接触片が接触し、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図8と同様の第2の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
以下、本発明に係る2点接触形半導体パッケージ用ソケットについて図面を用いて説明する。
(第1の実施例)
図1ないし図7に、本発明の第1の実施例及びその変形例に係る2点接触形ICソケットが示されている。図1は、半導体パッケージが装着されていない状態における本発明の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの上面図であり、図2は、図1に示される2点接触形ICソケットの側面図であり、図3は、コンタクトが取り付けられていない状態の図1に示される2点接触形ICソケットの底面図である。図4は、図1に示される2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図5は、半導体パッケージを装着するために図4に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図4と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図6Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図4と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図6Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図4と同様の第1の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図7は、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図4と同様の第1の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
本実施例の2点接触形ICソケット1には、例えば、リード52が概略正方形状のパッケージ本体51の4側面から取り出され、且つガルウィング形に形成されたQFP(Quad Flat Package)タイプの半導体パッケージ50が装着されるものとする。半導体パッケージ50は、具体的には、図6A、6B、7に示されるように、チップ等を内蔵するように樹脂成形されたパッケージ本体51と、パッケージ本体51の4側面から取り出される複数のガルウィング形のリード52を含んでいる。また、ガルウィング形のリード52各々は、パッケージ本体51から取り出される水平肩部52a、垂直脚部52b及び水平先端部52cを含んでいる。さらに、垂直脚部52bは、水平肩部52aと概略直角をなすように下方に向かって折り曲げられており、水平先端部52cは、垂直脚部52bと概略直角をなすように外側に向かって(パッケージ本体51と反対側に向かって)折り曲げられている。したがって、水平肩部52aと水平先端部52cは、概略平行をなしている。
本実施例の2点接触形ICソケット1は、上から見て概略正方形に形成されており、全体の形状として直方体をなしている。本実施例の2点接触形ICソケット1は、図1ないし4に示されるように、ソケット基板10、カバー部材20及び複数のコンタクト30を備えている。
ソケット基板10は、ソケット基板本体12と該ソケット基板本体上12に固定され、半導体パッケージ50が載置されるパッケージ載置台11を含んでいる。
ソケット基板本体12は、電気的に絶縁性の合成樹脂から作られており、カバー部材20を上下動自在に支持するとともに、複数のコンタクト30を支持する。ソケット基板本体12の4つの側部には、コンタクト30の固定部36に形成される係合凹部36c及び係合凸部36aとそれぞれが互いに嵌合することで該コンタクト30を固定することができるように、底面12d側から上方に順に係合凸部12b及び係合凹部12cが形成されている。また、隣接するコンタクト30が電気的に短絡することを防止するために、係合凸部12b及び係合凹部12cに直交して複数の仕切り壁12aが形成される。したがって、コンタクト30のそれぞれは、隣り合う仕切り壁12aの間にコンタクト30の固定部36が固定されることで、ソケット基板本体12に支持される。
ソケット基板本体12の4隅には、図3に示されるように、カバー部材20に設けられたガイド部材22が摺動するガイド孔12hがソケット基板本体12を貫通するように形成されている。また、ガイド孔12hには、ガイド部材22がガイド孔12hから抜けないようにガイド部材22に形成される係止爪22bが摺動する係止溝12iが、ガイド孔12hの外周に沿って垂直方向に形成されている。この係止溝12iには、カバー部材20の上下動するストローク分だけ底面12dから上方に係合突起(不図示)が形成されている。したがって、該係合突起にガイド部材22の係止爪22bが係合することで、ガイド部材22はそれ以上ガイド孔12hから上方に向かって上昇することを妨げられる。ガイド孔12hに沿う係止溝12i及びガイド部材22の係止爪22bは、互いに対向する位置に設けられることが好ましい。なお、12jは、ICソケット1をテストボードの取り付けるときの位置決め突起であり、12f、12gは、ソケット基板本体の中心に設けられた貫通孔である。本実施例では、12fは、パッケージ載置台11に形成された貫通孔11iと同径に形成されており、12gは、それより小径に2段に形成されているがこれに限られるものではない。
パッケージ載置台11は、ソケット基板本体12と同様、電気的に絶縁性の合成樹脂から作られ、上から見て概略正方形に形成されている。パッケージ載置台11は、上記ソケット基板本体12の上であって、そのほぼ中央部に固定される。パッケージ載置台11には、途中に段部を有する水平断面矩形状の貫通孔11jが形成されている。したがって、パッケージ載置台11は、ソケット基板本体12の上面に形成された係止爪12eが貫通孔11jの途中に形成される段部に係止することで固定される(図1参照)。なお、本実施例では、パッケージ載置台11は、ソケット基板本体12と別体に形成されるものとして説明されているが、一体に形成されてもよい。
パッケージ載置台11の上面11c外周には、載置される正方形状の半導体パッケージ50のパッケージ本体51の4つの側部を取り囲むようにダム壁11aが形成される。半導体パッケージ50がパッケージ載置台11に載置されると、例えば、図6Aに示されるように、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52は、このダム壁11aを跨ぐように載置される。言い換えると、ダム壁11aは、半導体パッケージ50がパッケージ載置台11に載置されたとき、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52を支持するように形成されている。
パッケージ載置台11の上面11cのダム壁11aの内側には、水平断面矩形状の凹部11dが形成され、さらにその中心部には、貫通孔11iが形成されている。また、凹部11dの4隅であってパッケージ載置台11の上面11cには、支持突起11bが形成されている。支持突起11bは、半導体パッケージ50を取り出す際に、該半導体パッケージ50を指で押圧したり、ハンドラなどで押圧したりした際に、ダム壁11aに支持されているガルウィング形リード52の曲がりを軽減させるために設けられている。また、貫通孔11iは、例えば、ICソケット1をテストボードに取り付けるときにねじを用いる場合、ねじの頭部分の逃げ部となる。
パッケージ載置台11の上面11cのダム壁11aの外側4隅には、従来装置と同様、半導体パッケージ50のパッケージ本体51をダム壁11aの内側に案内するための傾斜面11fを有する位置決め部材11eが形成されている。また、4隅に設けられている位置決め部材11eを連結する枠部材11gがダム壁11aに平行に形成されている。該枠部材11gは、垂直断面略L字形をなしている。該枠部材11gには、垂直方向に、複数のスリット11hが互いに平行に形成されている。各スリット11h内には、コンタクト30が、その第1及び第2の接触片31及び32がパッケージ載置台11のダム壁11aに対して前進後退可能に配置される。すなわち、複数のスリット11hを画成する仕切り壁は、ソケット基板本体12に形成された仕切り壁12aに対応して形成されている。
本実施例においては、パッケージ載置台11のダム壁11aの外側側面の下方に、遅延用カム突起11kが設けられている。遅延用カム突起11kは、垂直断面概略円弧状の凸面をなしており、パッケージ載置台11の4つの外側側面に沿って水平方向に延在している。遅延用カム突起11kは、後述するコンタクト30の第2の接触片のU字形湾曲部32eの遅延用突部32dが接触しながら摺動することで、コンタクト30の第2の接触片32の先端部32aのダム壁11aに向かっての前進を遅らせるための部材である。
次に、カバー部材20は、ソケット基板10のパッケージ載置台11及びソケット基板本体12と同様に電気的に絶縁性の合成樹脂から作られており、上から見て概略正方形に形成され、全体として直方体に形成されている。カバー部材20の中央部には、パッケージ載置台11の位置決め部材11eが出入り可能な水平断面正方形状の開口部24が形成される。
上述したように、カバー部材20は、ソケット基板10のソケット基板本体12に対して上下動自在に支持されている。具体的には、カバー部材20の4隅に、上記ソケット基板本体12に形成されるガイド孔内を上下方向(垂直方向)に移動可能なガイド部材22が設けられる。
ガイド部材22は、カバー部材20の4隅に設けられた取り付け孔(不図示)に嵌め込まれ、カバー部材20に固定される。ガイド部材22には、上下に対応して、係止爪22a、22bが形成されており、下方に設けられた係止爪22bは、上述したように、ソケット基板本体12に設けられた係止溝12i内を摺動する。上方に設けられた係止爪22aは、カバー部材20に設けられた取り付け孔に沿って垂直方向に形成されている位置決め溝23内に設けられた係止突起(不図示)に係合することでカバー部材20に固定される。また、ガイド部材22のカバー部材20への固定に際しては、ガイド部材22が取り付け孔内を摺動しないようにカバー部材20上方からタッピンねじのような部材でガイド部材22の上端を押さえつけるようにすることが好ましい。なお、位置決め溝23は、カバー部材20を貫通し、ソケット基板本体12のガイド孔12hに沿って形成されている係止溝12iに対応するように形成される。なお、本実施例では、ガイド部材22は、カバー部材20と別体に形成されるものとして説明されているが、カバー部材20と一体に形成されていてもよい。
カバー部材20の4つの側部には、カム部21が設けられ、ソケット基板本体12に固定支持されるコンタクト30の駆動レバー34に対応するカム面21aがカム部21の下面及び側面に沿って形成される。カム面21aは、カバー部材20が下方に押し下げられると、コンタクト30の駆動レバー34に当接し、複数のコンタクト30を同時に内側から外側へ(すなわち、パッケージ載置台11のダム壁11aから後退する方向に)移動させることを可能とするように形成される。カム面21aは、また、カム部21の側面に沿って、隣接する仕切り壁21bとの間に複数形成される。すなわち、隣接する仕切り壁21bの間に、対応するコンタクト30の駆動レバー34の従動部34aが入り込む構造になっている。
カバー部材20とソケット基板本体12との間には、弾性部材としての圧縮コイルばね29が、例えば、図2に示されるようにガイド部材22に平行に配置される。圧縮コイルばね29は、図2に示されるように、コンタクト30と半導体パッケージ50の接触の際に、コンタクト30の後述する従動部34aに不要なテンションがかからないようにカバー部材20を上昇した位置に保持する。
次に、コンタクト30は、半導体パッケージ50とテストボード(不図示)とを電気的に接続する部材であり、従って、導電性の金属薄板からプレス加工により形成される。
本実施例におけるコンタクト30は、図4に示されるように、第1の接触片31及び第2の接触片32の2つの接触片、連結片33、駆動レバー34、S字形湾曲部35、固定部36及び端子部37を含んでいる。
第1の接触片31は、連結片33の一端から前方に延び、その先端部31aは、ICソケット1が図4に示されるようにフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台11のダム壁11a上面に接触するように形成されている。第1の接触片31の先端部31aは、S字形湾曲部35の弾性力により、所定の接圧でダム壁11a上面に接触している。結果として、S字形湾曲部35は、第1の接触片31の先端部31aが半導体パッケージ50のリード52に接触する圧力を決定する。第1の接触片31の先端部31aは、また、ダム壁11aの上面に対して前進または後退するとき、図5に矢印Xで示される略円弧状の軌跡を描いて、斜め上方からダム壁11a上面に接触またはダム壁11a上面から斜め上方へ離脱するように形成されている。
本実施例においては、第2の接触片32は、先端部32a、第1のアーム32b、U字形湾曲部32e及び第2のアーム32fを含んでいる。
第2の接触片32の第2のアーム32fが、連結片33の一端から第1の接触片31が前方に延在する途中からS字形湾曲部35に沿って下方に延びている。続いて、第2の接触片32の第1のアーム32bが、弾性変形可能なようにU字形状に湾曲している弾性変形部材としてのU字形湾曲部32eを介して先端部32aに向かって上方に延びている。
第1のアーム32bは、途中に、先端部32aに続くC字形折れ曲がり部32c、後述する遅延用突部32dを有している。第1のアーム32bは、U字形湾曲部32eからC字形折れ曲がり部32cまでの間は、第2のアーム32fにほぼ平行に形成されている。第1のアーム32bは、続いて、C字形折れ曲がり部32cで前方上方(図4において、左側上方)に向かって概略円弧状に折り曲げられ、先端部32aに続いている。したがって、先端部32aの下方に、該先端部32a、第1のアーム32bのC字形折れ曲がり部32cによって取り囲まれる空間Sが形成される。このような空間が形成されることにより、半導体パッケージ50の寸法誤差によって半導体パッケージ50のリード52が外側へ配置されている場合や、リード52自体の寸法が外側へ長く形成された半導体パッケージ50にも対応することが可能となる。
第2の接触片32の先端部32aは、図4にも明確に示されるように、第1の接触片31の先端部31aより下方に位置する。第2の接触片32の先端部32aは、ICソケット1が図4に示されるようにフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台11のダム壁11aの外側側面に接触するように形成されている。第2の接触片32の先端部32aは、U字形湾曲部32eの弾性力により所定の接触圧力でダム壁11aの外側側面に接触している。結果として、第2の接触片32のU字形湾曲部32eは、第2の接触片32の先端部32aが半導体パッケージ50のリード52に接触する圧力を決定する。言い換えれば、第2の接触片32のU字形湾曲部32eは、第2の接触片32の先端部32aが半導体パッケージ50のリード52に接触する圧力を、従来のようにS字形湾曲部35から直接的に与えられる接圧とは異なる接圧に調整可能である。具体的には、本実施例では、S字形湾曲35から直接与えられる接圧より小さい接圧に調整可能である。第2の接触片32の先端部32aは、また、ダム壁11aの外側側面(図4において、ダム壁11aの右側側面)に対して前進または後退するとき、図5に矢印Yで示される略円弧状の軌跡を描いて、横から(図5において、右側から)ダム壁11aの外側側面に接触またはダム壁11aの外側側面から横へ離脱するように形成されている。
第2の接触片32の先端部32aは、さらに、第2の接触片32に負荷が全くかかっていない状態においては、第1の接触片31の先端部31aより若干前方に位置するように形成されている(図5参照)。
本実施例においては、第2の接触片32は、さらに、U字形湾曲部32eの上方に延びる第1のアーム32bに続く部分の近傍に遅延用突部32dが形成されている。該遅延用突部32dは、上述したように、パッケージ載置台11の外側側面下方に形成されている遅延用カム突部11kの円弧状凸面に接して摺動し得るように形成されている。このように構成することで、第2の接触片32の先端部32aは、第1の接触片31の先端部31aが半導体パッケージ50のリード52に接触するより遅くリード52に接触することが可能となる。それにより、後述するように、半導体パッケージ50のリード52の製造誤差によって発生する半導体パッケージ50の跳ね上がりによる対向する位置に配置されるコンタクト30とリード52との接触不良をより確実に防止することができる。
コンタクト30の駆動レバー34は、連結片33の他端から後方垂直方向に延び、その先端に従動部34aが形成されている。駆動レバー34の従動部34aは、ICソケット1が図4に示されるフリーの状態にあるとき、カバー部材20のカム部21のカム面21aに対応して配置されるように形成されている。従動部34aは、ICソケット1がフリーの状態にあるとき、カム面21aに接触していてもよいが、図4に示されるように、カム面21aから若干離れていることが好ましい。
コンタクト30のS字形湾曲部35は、本実施例では、コンタクト30を弾性変形可能とする弾性変形部材であり、必ずしもS字形の湾曲形状に限られるものではない。S字形湾曲部35は、連結片33に対して直交するように該連結片33から下方に延び、固定部36に連結されている。S字形湾曲部35は、上述したように、コンタクト30の弾性変形を可能とし、カバー部材20の上下動に伴い、コンタクト30の第1及び第2の接触片31及び32のそれぞれの先端部31a、32aを同時に前進後退させることができる。すなわち、本実施例では、S字形湾曲部35は、コンタクト30の第1の接触片31及び第2の接触片32を同時に前進後退させる共通の弾性変形部材として、また第1の接触片31の半導体パッケージ50のリード52への接触圧力を決定する弾性変形部材として作用する。
コンタクト30の固定部36は、係合凸部36a、支持部36b、係合凹部36cを有し、それぞれがソケット基板本体12の係合凹部12c、係合凸部12bと嵌まり合うように形成されている。なお、係合凸部36aの上方及び/または下方には、コンタクト30のソケット基板本体12への固定を確実にするために、突起を設けることが好ましい。
コンタクト30の端子部37は、固定部36から下方に向けて突出するように形成されている。コンタクト30の端子部37は、隣接するコンタクト30の端子部37と配列方向に重ならないように、前後(図4において左右に)に位置をずらして配置されるように形成されていることが好ましい。このようにコンタクト30の端子部37の位置をずらすことにより、コンタクト数が多くてもテストボードに形成されるスルーホールの隣り合うスルーホールとの間隔を大きく取ることができる。
これまで本実施例に係るICソケット1の構造について説明をしてきたが、以下、本実施例に係るICソケット1に半導体パッケージ50を装着すべくICソケット1の操作について図4、5、6A及び7を用いて説明する。なお、図には示されていないが、ICソケット1は、テストボードに装着されている。
図4には、半導体パッケージ50が装着されていないフリーの状態にあるICソケット1が示されている。この時、カバー部材20は、ソケット基板10に対して最も上昇した第1の位置にある。また、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aは、ソケット基板10のパッケージ載置台11のダム壁11a上に所定の接圧で接触しており、第2の接触片32の先端部32aは、ダム壁11aの外側側面に所定の接圧で接触している。
ICソケット1のフリーの状態から、カバー部材20を、例えば、パッケージ装着機械により、図5に示されるように、カバー部材20がソケット基板本体12に当接した状態である第2の位置まで、下方に押し下げる(すなわち、カバー部材20を第1の位置から第2の位置まで下降させる)。カバー部材20が押し下げられている途中で、コンタクト30の駆動レバー34の従動部34aが、カバー部材20のカム部21に設けられているカム面21aに当接する。カバー部材20のさらなる押し下げに伴い、駆動レバー34の従動部34aは、該カム面21aに沿って後方に(図4において右方に)移動する。それにより、図5に示されるように、コンタクト30の第1及び第2の接触片31、32が、それぞれ、矢印X及びYで示される概略円弧状の軌跡を描いてダム壁11aから後方に後退させられる。
カバー部材20が図5に示される第2の位置にあるとき、コンタクト30の第1及び第2の接触片31、32それぞれの先端部31a、32aは、パッケージ載置台11の枠部材11gに形成されるスリット11h内に後退している。また、パッケージ載置台11の位置決め部材11eは、カバー部材20の下降に伴い相対的に上昇し、カバー部材20の開口部24内に入り込んでいる。
ICソケット1が図5の状態にあるとき、半導体パッケージ50を、例えば、パッケージ装着機械により、開口部24、位置決め部材11eを通してパッケージ載置台11上に載置する。この時、半導体パッケージ50の本体51は、ダム壁11a内に入り込み、支持突起11b上に支持される。半導体パッケージ50のリード52は、ダム壁11aを跨ぎ、該ダム壁11aに支持される。具体的には、ガルウィング形リード52の水平肩部52aがダム壁11aの上面に支持され、リード52の垂直脚部52bが該垂直脚部52bと半導体パッケージ50の本体51との間にダム壁11aを挟むように、ダム壁11aの外側側面に沿って配置される。
半導体パッケージ50が図5に示されるICソケット1のパッケージ載置台11上に置かれた後、カバー部材20の押圧力を解除すると、カバー部材20は、コンタクト30のS字形湾曲部35の復元力により第1の位置に向かって上昇する。それにより、駆動レバー34の従動部34aもカバー部材20のカム面21aに沿って、前進する。したがって、コンタクト30の第1の接触片31及び第2の接触片32もダム壁11aに向かって前進する。
図6Aに示されるように、本実施例では、コンタクト30の第2の接触片32の前進に伴い、該第2の接触片32に設けられている遅延用突部32dがパッケージ載置台11に設けられている遅延用カム突起11kに接触する。それにより、第2の接触片32の先端部32aは、遅延用突部32dが遅延用カム突起11kを乗り越えるまでは、前進を阻まれる。したがって、図6Aに示されるように、第1の接触片31の先端部31aが先に半導体パッケージ50のリード52の水平肩部52aに斜め上方から接触する。
コンタクト30と半導体パッケージ50との電気的接触をこのように構成することで、半導体パッケージ50の跳ね上がりによる電気的接触が不良になることをより確実に防止することができる。具体的には、例えば、対向して取り出されている半導体パッケージ50のリード52の形状に製造誤差によるバラツキが生じている場合を想定する。このようにリード52の形状にバラツキがあると、一方のコンタクト30の第1の接触片31の先端部31aが対応するリード52の水平肩部52aに接触しても対向する他方の第1の接触片31の先端部31aは接触していない恐れがある。そうすると、半導体パッケージ50は、リード52とコンタクト30が接触していない側が跳ね上がり、それによりリード52とコンタクト30の接触が不良になる恐れがある。しかしながら、本実施例に係るICソケット1においては、他方の第1の接触片31の先端部31aは、実質的にリード52の水平肩部52aの上方に接近しているように構成されている。したがって、他方の第1の接触片31の先端部31aは、リード52の水平肩部52aの跳ね上がりが小さなうちに該水平肩部52aに上方から接触し、半導体パッケージ50が完全に跳ね上がることを抑えることが可能となる。
続いて、カバー部材20がさらに上昇すると、第2の接触片32がダム壁11aに向かって、したがって、ガルウィング形リード52の垂直脚部52bに向かってさらに前進する。それにより、第2の接触片32の遅延用突部32dが遅延用カム突起11kを乗り越え、結果として、第2の接触片32の先端部32aが第1の接触片31より若干遅れてガルウィング型リード52の垂直脚部52bに横から接触する。この時、第2の接触片32は、U字形湾曲部32eを備えることで、垂直脚部52bに小さい接圧で接触し、したがって、該垂直脚部52bを変形させることがない。
図7に示されるように、カバー部材20が第1の位置に完全に上昇することで、半導体パッケージ50のICソケット1への装着は完了する。
半導体パッケージ50をICソケット1から取り外す操作は、上で述べた装着時の操作と逆の操作を行えばよいので説明を省略する。
さて、本実施例では、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aが第2の接触片32の先端部32aより先にガルウィング形リード52に接触するように説明した。しかしながら、コンタクト30と半導体パッケージ50との電気的接触はこれに限られるものではない。例えば、図6Bに示される変形例のように、第2の接触片32の先端部32aが第1の接触片31の先端部31aより先にガルウィング形リード52に接触するように構成されてもよい。あるいは、両先端部31a及び32aがほぼ同時に接触するようにしてもよい。
ここで、図6Bに示される第1の実施例の変形例について簡単に説明する。図6Bに示される変形例は、上述したように、第2の接触片32の先端部32aが第1の接触片31の先端部31aより先にガルウィング形リード52に接触するように構成されている。具体的には、図6Bに示される変形例に係るICソケット1においては、パッケージ載置台11に設けられていた遅延用カム突起11k及び第2の接触片32に設けられていた遅延用突起32cが設けられていない点でのみ第1の実施例と異なる。すなわち、第2の接触片32の先端部32aは、図5に示されるようにカバー部材20が第2の位置にあるとき、第1の接触片31の先端部31aより前に位置している。カバー部材20の押圧力が解除されると、第2の接触片32の先端部32aは、この位置関係を維持してリード52に向かって前進する。本変形例では、第2の接触片32は、遅延することが無いので、第2の接触片32の先端部32aが、ガルウィング形リード52の垂直脚部52bに先に横から接触する。続いて、第1の接触片31の先端部31aがガルウィング形リード52の水平肩部52aに上から接触する。
本変形例の場合も、第2の接触片32は、従来のものに比べて弾性力が小さくなるように形成されているので、第2の接触片32の先端部32aは、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の垂直脚部52bを弱い弾性力で横に押すだけである。したがって、半導体パッケージ50のリード52の形状に上述したようなバラツキがある場合でも、対向する第2の接触片32、32の一方の第2の接触片32の先端部32aが先に対応する垂直脚部52bに接触しても半導体パッケージ50を跳ね上げることがない。すなわち、対向する第2の接触片32の他方の接触片の先端部32aは、対応する垂直脚部52bに接近しているので、すぐに、対向する第2の接触片32、32で対応する垂直脚部52b、52bを介して半導体パッケージ50を挟む状態となる。したがって、本変形例の場合も半導体パッケージ50を跳ね上げ、コンタクト30と半導体パッケージ50との電気的接触が不良となることが防止される。
以上述べたように、本発明の第1の実施例及び変形例に係るICソケット1は、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aがダム壁11aの上面に接触し、第2の接触片32の先端部32aがダム壁11aの外側側面に接触することを特徴とする。また、第2の接触片32は、コンタクト30のS字形湾曲部に加えてさらに弾性変形可能なU字形湾曲部32eを備えることを特徴とする。
したがって、パッケージ載置台11に載置された半導体パッケージ50にコンタクト30が接触するとき、コンタクト30の第1の接触片31の先端部31aは、必ず、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の水平肩部52aに上から接触する。また、第2の接触片32の先端部32aは、必ず、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の垂直脚部52bに小さな接圧で接触する。それにより、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52を変形させることも無く、さらに、半導体パッケージの跳ね上がりによる電気的接触不良を確実に抑えることができる。
(第2の実施例)
図8ないし図11に、本発明の第2の実施例及びその変形例に係る2点接触形ICソケットが示されている。図8は、本実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図9は、半導体パッケージを装着するために図8に示されるICソケットのコンタクトを開いた状態を示す、図8と同様の第2の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図10Aは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第1の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第2の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図10Bは、載置された半導体パッケージのリードに対し、最初に、コンタクトの第2の接触片が接触する状態を示す、図8と同様の第2の実施例の変形例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。図11は、載置された半導体パッケージのリードに対し、コンタクトの第1及び第2の2つの接触片が接触し、半導体パッケージの装着が完了した状態を示す、図8と同様の第2の実施例に係る2点接触形ICソケットの概略右半分の部分断面図である。
本実施例の2点接触形ICソケット101においても、リード52が概略正方形状のパッケージ本体51の4側面から取り出され、且つガルウィング形に形成されたQFP(Quad Flat Package)タイプの半導体パッケージ50が装着されるものとする。
本実施例の2点接触形ICソケット101は、上から見て概略正方形に形成されており、全体の形状として直方体をなしている。本実施例の2点接触形ICソケット101は、第1の実施例と同様、図8に示されるように、ソケット基板110、カバー部材120、複数のコンタクト130及びコンタクト130の第2の接触片132を駆動する回転枠部材140を備えている。したがって、本実施例におけるICソケット101は、コンタクト130の構造が相違するとともに、該コンタクト130の第2の接触片132を駆動する回転枠部材140を備えていることにおいて第1の実施例のICソケット1と相違する。また、この相違により、ソケット基板110の基板本体112及びカバー部材120の構造が若干変更されているが、その他の構造は、ほぼ同じである。したがって、以下、この異なる構造を中心に説明し、ほぼ同一構造を有するその他の構造の説明は省略する。なお、本実施例において、部品に引用する数字から100を引いた数字が、第1の実施例の部品に引用する数字(及びアルファベット)と同じ場合、第1の実施例における部品と同じ部品を指していると理解されたい。
本実施例におけるソケット基板110は、第1の実施例と同様、パッケージ載置台111及びソケット基板本体112を含んでいる。パッケージ載置台111は、第1の実施例とほぼ同じであり、ソケット基板本体112も、コンタクト130の固定部136との嵌合構造が若干異なるのみで実質的な変更はない。本実施例では、ソケット基板本体112のコンタクト130の固定部136との嵌合構造は、例えば、図8に示されるように、係合凸部112bが形成されているのみで係合凹部は設けられていない。
次に、本実施例のカバー部材120は、上記第1の実施例と同様、概略直方体形状を成し、該カバー部材120をソケット基板本体112に対して上下動可能に支持するガイド部材122及びパッケージ載置台111の位置決め部材111eが出入り可能な開口部124を備える。
本実施例においては、さらに、カバー部材120が第1の実施例と同様の第1のカム部121に加えて、第2のカム部125を備えている点で上記第1の実施例とその構造が異なる。
第1のカム部121は、第1の実施例とほぼ同様に、カバー部材120の4つの側部に沿って形成される。第1のカム部121の第1のカム面121aは、該第1のカム部121の下面及び側面に沿って形成されるとともに、隣接する仕切り壁121bとの間に形成される。第1のカム面121aは、ソケット基板本体112に固定支持されるコンタクト130の第1の接触片131を駆動する駆動レバー131cに対応して複数形成される。第1のカム面121aは、また、カバー部材120が下方に押し下げられると、コンタクト130の第1の接触片131の駆動レバー131cに当接し、複数のコンタクト130の第1の接触片131を同時に内側から外側へ移動させることを可能とするように形成される。
第2のカム部125は、カバー部材120の4隅に、カバー部材120の4つの側部のそれぞれの側部において対向するように形成されるとともに、第2のカム部125それぞれの下面及び側面には第2のカム面125aが形成されている。第2のカム面125aは、カバー部材120が下方に押し下げられると、対向する第2のカム面125a、125aとの間に配置される回転枠部材140の従動バー144に当接し、複数のコンタクト130の第2の接触片132を同時に内側から外側へ移動させることを可能とするように形成される。
次に、本実施例におけるコンタクト130は、図8に示されるように、第1の接触片131、第2の接触片132、固定部136及び端子部137を含んでいる。本実施例におけるコンタクト130の第1の接触片131と第2の接触片132は、それぞれ、独立して駆動される。すなわち、本実施例における第1の接触片131と第2の接触片132は、それぞれ独立して変位し得るように固定部136の上面から立ち上がっている。
コンタクト130の第1の接触片131は、先端部131a、連結片131b、駆動レバー131c、従動部131d及び弾性変形部材としてのS字形湾曲部131eを含んでおり、固定部136の後方(図8において、右側)に接続されている。先端部131aは、図8に示されるように、半導体パッケージ50がパッケージ載置台111に載置されておらず、且つICソケット101がフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台111のダム壁111aの上面に上から接触するように形成される。連結片131bは、先端部131a、駆動レバー131c及びS字形湾曲部131eを連結している。駆動レバー131cは、先端部である従動部131dがカバー部材120に設けられている第1のカム面121aに対応するように形成される。第1の接触片131のS字形湾曲部131eは、第1の接触片131が弾性変形することを可能とし、第1の接触片131の先端部131aの半導体パッケージ50のリード52への接圧を決定する。
第1の接触片131の先端部131aは、カバー部材120が押し下げられると、従動部131dがカバー部材120の第1のカム面121aに当接することで、ダム壁111aの上面から斜め上方に後退し得る。カバー部材120の上下動に伴う第1の接触片131の先端部131aの前進及び後退の軌跡は、図9の矢印Xで示されるように円弧状である。
コンタクト130の第2の接触片132は、先端部132a、概略C字形の駆動部132g及び弾性変形部材としてのS字形湾曲部132hを含んでおり、固定部136の前方(図8において、左側)に接続されている。先端部132aは、図8に示されるように、半導体パッケージ50がパッケージ載置台111に載置されておらず、且つICソケット101がフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台111のダム壁111aの外側側面に横から接触するように形成される。C字形駆動部132gは、回転枠部材140の回転レバー141の上端部に当接するように形成される。第2の接触片132のS字形湾曲部132hは、第2の接触片132が弾性変形することを可能とし、第2の接触片132の先端部132aの半導体パッケージ50のリード52への接圧を決定する。
第2の接触片132の先端部132aは、カバー部材120が押し下げられると、回転枠部材140の回転レバー141が回転し、C字形駆動部132gが後方に押されることで、ダム壁111aの外側側面から斜め上方に後退し得る。カバー部材120の上下動に伴う第2の接触片132の先端部132aの前進及び後退の軌跡は、図9の矢印Yで示されるように円弧状である。
コンタクト130の固定部136は、コンタクト130をソケット基板本体112に固定する部材であり、第1の実施例と同様に、ソケット基板本体112の係合凸部112bが嵌合する係合凹部136cが形成されている。固定部136は、また、パッケージ載置台111のダム壁111aの外側側面や仕切り壁112aの上面とともに回転枠部材140の回転軸部142を回転可能に支持する。
次に、回転枠部材140は、電気的に絶縁性の合成樹脂から成形され、図8において右側方から見て、概略矩形状をなしている。回転枠部材140は、回転レバー部141、回転軸部142、スリット143及び従動バー144を含んでいる。回転枠部材140は、上述したように、カバー部材120の4隅に形成された対をなす第2のカム部125の間に回転軸部142を回転中心として回転可能に配置される。
回転枠部材140には、回転枠部材140を前後方向(図8において、左右方向)に貫通する複数のスリット143が形成されている。隣接するスリット143との間を仕切る仕切り壁は、ソケット基板本体112に設けられた仕切り壁112aに対応している。したがって、スリット143各々には、コンタクト130の第1の接触片131及び第2の接触片132が該スリット143内を前進、後退できるように配置される。
回転枠部材140の上部には、スリット143を横断して上方を閉じるように、従動バー144が形成されている。従動バー144の両端部は、カバー部材120の対向する角部にそれぞれ対向して形成されている第2のカム面125a、125aに当接し、カバー部材120が上下動するとき、この第2のカム面125a、125aに沿って摺動し得るように構成されている。それにより、回転枠部材140は、回転軸部142を回転中心として回転する。なお、図8に示されるように、カバー部材120がソケット基板110に対して最も上昇している第1の位置にあるとき、従動バー144の両端部は、第2のカム面125aに対して接触していてもよいが、若干離れていてもよい。
回転枠部材140の下方には、スリット143を横断して下方を塞ぐように、回転レバー部141が形成されている。回転レバー部141は、垂直断面概略C字形をなしており、その上端部は、第2の接触片132のC字形駆動部132gに当接するように形成され、下端部は、回転軸部142に連結している。回転レバー部141は、また、回転軸部142に連結する下端部近傍は、図8に示されるように、ICソケット101がフリーの状態にあるとき、パッケージ載置台111のダム壁111aの外側側面の下方に接して垂直に保持されるように形成される。
回転枠部材140の下端部には、回転枠部材140の回転中心となる回転軸部142が設けられている。該回転軸部142は、垂直断面略円形を成しており、回転枠部材140の両端部から外側(図8において、図面に対して垂直方向)に突出し、ソケット基板本体112に形成されている円孔(不図示)または上方に開放した係合溝(不図示)内に回転可能に支持されている。なお、回転軸部材142には、例えば、ネジリコイルばねが設けられていてもよい。該ネジリコイルばねは、図8に示されるように、回転枠部材140の回転軸部142がダム壁111aの外側側面の下方に接して垂直に保持されるように、回転軸部142に回転モーメントを与える。
以上、第2の本実施例に係るICソケット101の構造について上記第1の実施例との相違点を中心として説明をしてきた。ここからは、本実施例に係るICソケット101に半導体パッケージ50を装着するためにICソケット1を操作する手順について図8、9、10A及び11を用いて説明する。なお、図には示されていないが、本実施例においても、ICソケット101は、テストボードに装着されている。
図8には、半導体パッケージ50が装着されていないフリーの状態にあるICソケット101が示されている。この時、カバー部材120は、ソケット基板110に対して最も上昇した第1の位置にある。また、コンタクト130の第1の接触片131の先端部131aは、パッケージ載置台111のダム壁111a上に所定の接圧で接触しており、第2の接触片132の先端部132aは、ダム壁111aの外側側面に所定の接圧で接触している。
ICソケット101のフリーの状態から、カバー部材120を、図9に示されるように、カバー部材120がソケット基板110に当接した状態である第2の位置まで、下方に押し下げる。カバー部材120が押し下げられている途中で、コンタクト130の第1の接触片131の駆動レバー131cの従動部131dが、カバー部材120に設けられている第1のカム面121aに当接する。同様に、回転枠部材140の従動バー144の両端部が第2のカム面125aに当接する。カバー部材120のさらなる押し下げに伴い、駆動レバー131cの従動部131d及び従動バー144の両端部は、それぞれ第1のカム面121a及び第2のカム面125aに沿って後方に(図8において右方に)移動する。それにより、図9に示されるように、コンタクト130の第1及び第2の接触片131、132が、それぞれ、矢印X及びYで示される概略円弧状の軌跡を描いてダム壁111aから後方に後退させられる。
カバー部材120が図9に示される第2の位置にあるとき、コンタクト130の第1の接触片131及び第2の接触片132それぞれの先端部131a、132aは、パッケージ載置台111の位置決め部材111eより後方に後退している。また、該位置決め部材111eは、カバー部材120の下降に伴い相対的に上昇し、カバー部材120の開口部124内に入り込んでいる。
ICソケット101が図9の状態にあるとき、半導体パッケージ50が、第1の実施例と同様に、開口部124、位置決め部材111eを通してパッケージ載置台111上に載置される。この時、半導体パッケージ50の本体51、ガルウィング形リード52の水平肩部52a、垂直脚部52bは、上記第1の実施例と同様にパッケージ載置台111上に位置する。
半導体パッケージ50が図9に示されるICソケット101のパッケージ載置台111上に置かれた後、カバー部材120の押圧力を解除すると、カバー部材120は、コンタクト130のS字形湾曲部131e、132eおよび圧縮コイルバネの復元力により第1の位置に向かって上昇する。それにより、駆動レバー131cの従動部131d及び従動レバー144も、それぞれ、カバー部材120の第1のカム面121a及び第2のカム面125aに沿って前進する。したがって、コンタクト130の第1の接触片131及び第2の接触片132もダム壁111aに向かって前進する。
図10Aに示されるように、本実施例では、第1のカム面121a、第2のカム面125a及び駆動レバー131c、回転枠部材140の形状を適宜調整することにより、第1の接触片131の先端部131aが先に半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の水平肩部52aに斜め上方から接触する。したがって、本実施例においても、第1の実施例と同様、半導体パッケージ50の跳ね上がりによる電気的接触が不良になることをより確実に防止することができる。
続いて、カバー部材120がさらに上昇すると、第2の接触片132は、ダム壁111aに向かってさらに前進し、第2の接触片132の先端部132aは、第1の接触片131より若干遅れてガルウィング型リード52の垂直脚部52bに横から接触する。この時、第2の接触片132は、S字形湾曲部132hを介して、垂直脚部52bに小さい接圧で接触し、したがって、該垂直脚部52bを変形させることがない。
図11に示されるように、カバー部材120が第1の位置に完全に上昇することで、半導体パッケージ50のICソケット101への装着は完了する。
半導体パッケージ50をICソケット101から取り外す操作は、上で述べた装着時の操作と逆の操作を行えばよいので説明を省略する。
本実施例においても、図10Bに示されるように、コンタクト130の第2の接触片132の先端部132aが第1の接触片131の先端部131aより先に半導体パッケージ50のリード52に接触する変形例について簡単に説明する。図10Bに示される変形例に係るICソケット101においては、例えば、第2のカム面125aを上記第2の実施例におけるよりも若干上に形成することで、回転枠部材140の従動バー144の戻りを早くすることができる。それにより、第2の接触片132の先端部132aは、第1の接触片131の先端部131aより先に、ガルウィング形リード52の垂直脚部52bに横から接触することができる。第1の接触片131の先端部131aは、その直後にガルウィング形リード52の水平肩部52aに上から接触する。
本変形例の場合も、第2の接触片132は、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52の垂直脚部52bを弱い弾性力で横に押すだけであり、したがって、上記第1の実施例と同様に、半導体パッケージ50を跳ね上げることがない。
以上述べたように、本発明の第2の実施例及び変形例に係るICソケット101も、上記第1の実施例と同様に、コンタクト130の第1の接触片131の先端部131aがダム壁111aの上面に接触し、第2の接触片132の先端部132aがダム壁111aの外側側面に接触することを特徴とする。また、第2の接触片132は、第1の接触片131のS字形湾曲部131eとは別に弾性変形可能なS字形湾曲部132hを備えることを特徴とする。結果として、半導体パッケージ50のガルウィング形リード52を変形させることも無く、さらに、半導体パッケージの跳ね上がりによる電気的接触不良を確実に抑えることができる。