JPWO2009066606A1 - かつら及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、かつらベースの裏面に結び目が位置することで、ブラッシング時や洗浄時にも櫛等が結び目に直接接触することがないため結び目が緩み難くなる。また、毛材のかつらベースへの結着力が強く、毛材植設後の毛止めのための接着剤が不要であるから、かつら全体を薄く軽量にすることができ、頭部とかつら外周縁部との境目が認識され難くなる。さらに、植設した毛材の結び目より先の部分がかつらベースに支持されるので、毛材の立ち上がりが良好になり、ボリューム感が向上する。
1a 鉤部
2 かつらベース
2a かつらベースの表面
2b かつらベースの裏面
2c 第一の挿通部
2d 第二の挿通部
3 毛材
3a 毛材の折り返し部分
3b ループ
3c 毛材の一端側
3d 毛材の他端側
3e,31,32 結び目
3f 毛材の中間部分
かつらベースとしては、少なくとも一部が合成樹脂で成形された人工皮膚ベースか、少なくとも一部がネット部材で成形されたネットベースを使用する。人工皮膚ベースとしては、例えばポリウレタン樹脂のフィルム又はシートで使用者の頭形に沿ってなだらかに凸状に湾曲して成形されたものが好適である。ポリウレタン樹脂は弾力性と伸縮性を有しているため、毛植針をポリウレタン樹脂に突き通して毛材を結着したとき、貫通した毛材がポリウレタン樹脂の収縮力によってタイトに保持される。ネットベースの場合は、植設する毛材の結び目よりもネット目すなわちメッシュのサイズが小さいものを使用することが好ましい。例えば、メッシュサイズが毛材の直径の2〜2.5倍のものであれば、メッシュサイズが植設する毛材の結び目よりも小さくなる。また、毛材は、天然毛髪又は人工毛髪の何れをも使用することができる。
なお、かつらベースがネット部材である場合は、互いに隣り合う二つのネット目に毛植針1が挿通されていることになる。
ここで、毛植針1が挿通されている二つの孔もしくはネット目を、毛植針1が挿通された順に第一の挿通部2c、第二の挿通部2dという。第一の挿通部2cと第二の挿通部2dとの距離は、通常、0.5mm程度からせいぜい2mm程度が好ましい。この間の距離が長すぎると、毛材を結着後引っ張って締めつけたときにかつらベース2に凹凸状のしわが生じて変形したり結着部分が緩んだりする。
ここで、折り返し部分3aを挟んだ毛材3の両側を、それぞれ一端側3c及び他端側3dとする。なお、一端側3c及び他端側3dの長さは同一であってもよく、いずれか一方が長くてもよい。折り返し部分3aがいずれか一方側にずれている場合には、毛材3の一端側3cの長さと他端側3dの長さとが折り返し部分3aを挟んで不揃いになるため、自然な仕上りになる。
なお、上記段階のうち、第四段階でループ3bの捻り方向を時計回りにした場合には、第四段階で毛材3の他端側3dを毛植針1に引っ掛けて引き抜くことになる。
なお、毛材をかつらベース2に植設して結び目3eをかつらベース裏面2bに移動した後、かつらベース2の裏面2bを、例えばウレタン樹脂でコーティングを施すと、使用者の頭皮に結び目3eが直接触れないので違和感がなくなり、装着感に優れたものとなる。特に、かつらベース2がネットベースで成る場合は、この裏コーティングによって毛材3の掛け廻し部分3fのフィラメントの周りでの回動を防止し得る。
実施例1として、上記実施形態の方法によりかつらを作製した。ポリウレタン樹脂からなる厚さ0.20mmの軟質の人工皮膚をかつらベースとし、太さが0.08mmのポリアミド樹脂製の人工毛髪を植設した。図2、図3及び図4はこのかつらの断面を示すもので、それぞれ斜め上方、斜め下方及びさらに下方から、毛材の植設地点付近を撮影したものである。それぞれ(A)は走査型電子顕微鏡写真(図2,3,4の(A)において、倍率は各々、90倍、80倍、80倍)である。(B)は部材を説明するための図である。実施例1のかつらでは、結び目3eがかつらベース2の裏面2b側に位置し、この結び目3eから延びた掛け廻し部分3fが表面2a側に位置していることがわかる。
比較例1として、パンシングルと呼ばれる従来の結着方法で、実施例と同様のかつらベースに実施例と同様の毛材を植設した。この植設方法の詳細については上述した特許文献1の段落〔0007〕及び図16に記載されているから、ここでは説明を省略する。図5(A)は走査型電子顕微鏡(50倍)で撮影した比較例1のかつらの平面写真であり、かつらベース2の表面2a側に結び目31が露出していることがわかる。
比較例2として、パンダブルと呼ばれる従来の結着方法で、実施例と同様のかつらベースに実施例と同様の毛材を植設した。この植設方法の詳細については上述した特許文献1の段落〔0008〕及び図17に記載されているから、ここでは説明を省略する。図6(A)は走査型電子顕微鏡(70倍)で撮影した比較例2のかつらの平面写真であり、かつらベース2の表面2a側に結び目32が露出していることがわかる。
測定方法:シングル引張測定
測定機器:島津製作所 小型卓上試験機 EZ Test
測定条件:試料(チャック間距離) 50mm
引張速度 100mm/min
ここで、チャックとは、毛髪を挟む器具である。
さらに、かつらベースの裏面に結び目が位置することで、ブラッシング時や洗浄時にも櫛等が結び目に直接接触することがないため結び目が緩み難くなる。また、毛材のかつらベースへの結着力が強く、毛材植設後の毛止めのための接着剤が不要であるから、かつら全体を薄く軽量にすることができ、頭部とかつら外周縁部との境目が認識され難くなる。さらに、植設した毛材の結び目より先の部分がかつらベースに支持されるので、毛材の立ち上がりが良好になり、ボリューム感が向上する。
なお、かつらベースがネット部材である場合は、互いに隣り合う二つのネット目に毛植針1が挿通されていることになる。
ここで、毛植針1が挿通されている二つの孔もしくはネット目を、毛植針1が挿通された順に第一の挿通部2c、第二の挿通部2dという。人工皮膚のかつらベースでは第一の挿通部2cと第二の挿通部2dとの距離は、通常、0.5mm程度からせいぜい2mm程度が好ましい。この間の距離が長すぎると、毛材を結着後引っ張って締めつけたときにかつらベース2に凹凸状のしわが生じて変形したり結着部分が緩んだりする。
Claims (14)
- かつらベースに毛材が結着されて成るかつらであって、上記毛材の結び目が上記かつらベースの裏面に位置することを特徴とする、かつら。
- 前記毛材の結び目に連繋している掛け廻し部分が前記かつらベースの表面側に位置することを特徴とする、請求の範囲1に記載のかつら。
- 前記かつらベースの少なくとも一部が合成樹脂で成形された人工皮膚ベースで成り、毛材の結び目が該人工皮膚ベースに穿孔した針穴を通過して該人工皮膚ベースの裏面に位置することを特徴とする、請求の範囲1に記載のかつら。
- 前記人工皮膚ベースに穿孔した針穴が前記毛材を保持した状態で収縮することで、該毛材が上方向に保持されることを特徴とする、請求の範囲3に記載のかつら。
- 前記かつらベースの少なくとも一部がネット部材で成形されたネットベースで成り、前記毛材が該ネットベースを構成するフィラメントに巻回して結着されていて、前記結び目が該ネットベースの裏面に位置することを特徴とする、請求の範囲1に記載のかつら。
- 前記ネットベースのメッシュサイズが前記結び目より小径で成ることを特徴とする、請求の範囲5に記載のかつら。
- 毛材をかつらベースに結着して該毛材の一端側を引っ張ることで、毛材の結び目をかつらベースの裏面に移動すると共に、該結び目に連繋している掛け廻し部分をかつらベースの表面に位置させることを特徴とする、かつらの製造方法。
- 毛材をかつらベースに結着することによりかつらを製造する方法であって、
毛植針の鉤部をかつらベースの表面から裏面へ挿通し、別の箇所において裏面から表面へ挿通する第一段階と、
毛材を二つ折りにして、その折り返し部分に生じるループを上記鉤部に引っ掛ける第二段階と、
毛材のループを毛植針の鉤部に引っ掛けた状態で上記毛植針をかつらベースから引き抜く第三段階と、
上記鉤部を毛材の一端側に引っ掛ける第四段階と、
上記毛材の一端側を上記毛植針の鉤部に引っ掛けた状態で上記毛植針を上記ループから引き抜く第五段階と、
上記他端側を保持し、上記一端側を引っ張ることで、結び目を形成する第六段階と、
上記一端側を保持しながら上記他端側を引っ張ることで、上記結び目をかつらベースの裏面に移動させる第七段階と、
を備えたことを特徴とする、かつらの製造方法。 - 前記第二段階または第三段階において、毛植針をループに引っ掛けた状態で、毛植針を長さ方向を軸として捻ることを特徴とする、請求の範囲8に記載のかつらの製造方法。
- 前記毛材の結び目に連繋している掛け廻し部分を前記かつらベースの表面側に位置させて緊縛することを特徴とする、請求の範囲8に記載のかつらの製造方法。
- 前記かつらベースの少なくとも一部を合成樹脂製の人工皮膚ベースで成形し、毛材の結び目を該人工皮膚ベースに穿孔した針穴を通過させて該人工皮膚ベースの裏面に位置させることを特徴とする、請求の範囲7又は8に記載のかつらの製造方法。
- 前記人工皮膚ベースに穿孔した針穴が前記毛材を保持した状態で収縮することで、該毛材を上方向に保持させることを特徴とする、請求の範囲11に記載のかつらの製造方法。
- 前記かつらベースの少なくとも一部をネット部材によるネットベースで成形し、前記毛材を該ネットベースを構成するフィラメントに巻回して結着し、前記結び目を該ネットベースの裏面に位置させることを特徴とする、請求の範囲7又は8に記載のかつらの製造方法。
- 前記ネットベースのメッシュサイズを前記結び目より小径に形成することを特徴とする、請求の範囲13に記載のかつらの製造方法。
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