JPWO2009057256A1 - 呼気分析方法 - Google Patents

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Abstract

従来の冷却凝縮機構を有する呼気分析装置は、凝縮液収集容器の取り扱いが煩雑である上に時間を要した。本発明は、呼気分析装置を用いて呼気を分析する方法であって、前記呼気分析装置は、容器と、呼気の注入口と、呼気の排出口と、冷却部と、電極部と、対向電極部と、化学物質検出部を備え、前記呼気は水蒸気と揮発性有機化合物を含み、前記揮発性有機化合物の分子量は15以上500以下であって、前記方法は、前記呼気を前記注入口から前記容器へ注入する注入工程と、前記冷却部により前記電極部を冷却して前記電極部の外周面に前記呼気を凝縮する凝縮工程と、凝縮された前記呼気を帯電微粒子化する帯電微粒子化工程と、前記帯電微粒子を前記化学物質検出部へ静電気力により回収する回収工程と、回収された前記帯電微粒子に含まれる揮発性有機化合物を検出する検出工程とを包含する。

Description

本発明は、呼気中に含まれる種々の成分を静電霧化によって濃縮して分析する呼気分析方法に関する。
呼気中には水、窒素、酸素、二酸化炭素のほか、代謝成分や揮発性有機化合物、揮発性硫黄化合物などの微量成分が含まれる。例えば、アルコール、ケトン、アルデヒド、アミン、芳香族炭化水素、脂肪酸、イソプレン、メルカプタン等やそれらの誘導体などである。
この呼気中に含まれる微量成分と疾病の間に何らかの関連があると考えられている。疾病と呼気中の成分に相関関係があるとの研究成果も公表されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。血液検査と異なり被験者に身体的、精神的な苦痛を与えることなく検査できるため、診断、術後経過の観察、治療方針の決定など医療分野への応用が期待されている。
しかし、疾病との関連性を示唆されている呼気成分の濃度は、通常ppmからpptのオーダーであって、極めて微量である(非特許文献4)。
そのため従来の呼気分析装置では、呼気を冷却凝縮する方法や、呼気成分をトラップ剤へ捕捉/濃縮する方法などの公知技術によって、効率よく分析するという手法が採用されていた。
例えば呼気を冷却凝縮する方法として、熱電素子を使った方法がよく知られている(特許文献1)。図11は特許文献1で記載されている呼気冷却凝縮装置を示す。
呼気冷却凝縮装置では、被験者が吹き込んだ呼気を冷却しその凝縮液を採取する。呼気冷却凝縮装置は、呼気通過管911、凝縮液収集容器904、および熱電素子903を備えている。熱電素子903と凝縮液収集容器904とは熱伝体902によって接続されている。呼気通過管911と凝縮液収集容器904とは着脱自在に固定されている。呼気通過管911には一方弁が2つ設けられた逆流防止具908が設けられ、且つ吹き込んだ呼気の量を測定する流量計916が設けられている。
図11に示した呼気冷却凝縮装置は、分析に必要な量の凝縮液を得るまでに時間を要するものの、比較的簡便に装置を扱うことができるため、一般的に用いられている装置の一つである。
また別の手法として、静電噴霧を用いた濃縮方法の例が特許文献2によって開示されている。これは、不揮発性の希薄生体分子溶液を静電噴霧することで、ミスト中の溶媒を気化し濃縮を行なう方法であり、呼気中に含まれる不揮発性成分の濃縮にも利用できる。図12に特許文献2で記載されている生体分子溶液の濃縮手段を示す。
図12に示す静電噴霧装置によって、巨大生体分子を含む不揮発性物質の堆積物が得られる。この堆積物は、不揮発性物質の堆積物の他の物質への相互作用を測定するために使用される。なお、特許文献2では、生体分子の静電噴霧法による堆積は、希薄生体分子溶液の微量濃縮の手段として利用できることも開示されている。
THE LANCET 353巻 pp.1930−1933(1999) ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 247巻 pp.272−278 (1997) The American Journal of Cardiology pp.1593−1594 (2004) Respiratory Physiology&Neurobiology 145巻 pp.295−300(2005) 特開2004−361160公報(第6頁、図1) 特表2002−511792公報(第31頁第12〜13行目、第78頁、図9) 米国特許出願公開第2004/0210154号明細書(特に0054段落) 特開2007−033388号公報(特に0002〜0005段落) 特許第3952052号公報
特許文献1および特許文献2に記載の従来装置はいずれも、凝縮液蓄積容器(図11中の凝縮液収集容器904および図12中の液体容器1005)を有しており、その中に多量の呼気凝縮液を蓄積しなければならなかった。
すなわち特許文献1に記載の例では、容量が20mL〜200mLの凝縮液収集容器904を冷却し、容器側壁に凝縮した液滴を容器底部へ落下させ蓄積していた。
また、特許文献2に記載の例では、容器の中の液体へ電圧を印加するために、電極が液体に十分浸るまで、容器を多量の呼気凝縮液で満たさなければならなかった。
このように多量の呼気凝縮液を得るためには、かなりの時間を要するという課題を有していた。そのため、例えば緊急を要する救急患者に対して迅速な呼気分析が困難であった。
それに加えて多量の呼気凝縮液を得るには、呼気を大量に収集しなければならないという課題もあった。そのため、患者、高齢者、乳幼児など健常人に比べて体力的な面で利用者にとって、身体的、精神的負担も大きかった。
本発明は、前記従来の課題を解決し、短時間かつ簡便に呼気凝縮液を生成し、呼気を分析する方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決する本発明は、呼気分析装置を用いて呼気を分析する方法であって、前記呼気分析装置は、容器と、前記容器の一端に設けられた呼気の注入口と、前記容器の他端に設けられた呼気の排出口と、前記容器の内部に設けられた冷却部と、前記冷却部の近傍に設けられた電極部と、前記容器の内部に設けられた対向電極部と、前記対向電極の近傍に設けられた化学物質検出部を備え、前記呼気は水蒸気と揮発性有機化合物を含み、前記方法は、前記呼気を前記注入口から前記容器へ注入する注入工程と、前記冷却部により前記電極部を冷却して前記電極部の外周面に前記呼気を凝縮する凝縮工程と、凝縮された前記呼気を帯電微粒子化する帯電微粒子化工程と、前記帯電微粒子を前記化学物質検出部へ静電気力により回収する回収工程と、回収された前記帯電微粒子に含まれる揮発性有機化合物を検出する検出工程とを包含する。
本発明において、前記揮発性有機化合物の分子量は15以上500以下であることが好ましい。
本発明において、前記容器は閉鎖可能であることが好ましい。
本発明において、前記冷却部は熱電素子であることが好ましい。
本発明において、前記電極部は前記冷却部により水蒸気の結露点以下に冷却されることが好ましい。
本発明において、前記電極部と前記冷却部とは、直接または熱伝導体を介して接触していることが好ましい。
本発明において、前記電極部は陰極、前記対向電極部は陽極であることが好ましい。
本発明において、前記帯電微粒子は水および呼気成分を含むことが好ましい。
本発明において、前記化学物質検出部は前記帯電微粒子により帯電する電荷を除去する機構を有することが好ましい。
本発明において、前記化学物質検出部は接地されることが好ましい。
本発明において、前記化学物質検出部は前記容器から分離可能であることが好ましい。
本発明において、前記帯電微粒子化工程は静電霧化であることが好ましい。
本発明において、前記帯電微粒子化工程において、前記電極部と前記対向電極部の間を流れる電流に応じて、前記電極部と前記対向電極部との間の電圧印加を制御することが好ましい。
本発明において、前記回収工程において、前記対向電極に対して前記化学物質検出部へ電圧を印加することが好ましい。
本発明において、前記電極部に付着した化学物質を除去するには、前記電極部を加熱することが好ましい。
本発明において、前記電極部を加熱して化学物質を除去するには、前記熱電素子を用いることが好ましい。
本発明において、前記電極部に付着した化学物質を、前記呼気以外の気体の気流により除去することが好ましい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明の呼気分析方法によれば、短時間で、冷却した電極部の外周面に呼気凝縮液を生成できる。また効率的に呼気成分を化学物質検出部へ捕集することができる。その結果として、分析に要する時間を大幅に短縮できるという効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態1における呼気分析装置の模式図である。 図2は、本発明の実施の形態1における呼気分析装置の動作を示す説明図である。 図3は、本発明の実施の形態2における呼気分析装置の模式図である。 図4は、凝縮工程における電極部表面の顕微鏡写真である。 図5は、帯電微粒子化工程の説明図である。 図6は、帯電微粒子化工程における電極部先端の説明図および顕微鏡写真である。 図7は、本発明の回収工程における第2電極部の顕微鏡写真である。 図8は、本発明の検出工程における呼気の分析例である。 図9は、本発明の検出工程における呼気の分析例である。 図10は、本発明の検出工程における呼気の分析例である。 図11は、従来の呼気分析装置の模式図である。 図12は、従来の呼気分析装置の模式図である。
符号の説明
100 呼気分析装置
101 容器
102 注入口
103 排出口
104 冷却部
105 電極部
106 対向電極部
107 化学物質検出部
108a、108b バルブ
201 水蒸気
202a、202b 呼気成分
203 呼気
204 凝縮液
205 帯電微粒子
301 マウスピース
302 唾液トラップ
303 放熱部
304 接続部
305 温度センサ
306 湿度センサ
307 逆止弁
308 ポンプ
309 制御部
310 表示部
401 凝縮液
501 テーラーコーン
502 凝縮液
503 帯電微粒子
601 テーラーコーン
602 帯電微粒子
701 第2電極部
702 凝縮液
703 凝結体
901 呼気冷却凝縮装置
902 熱伝体
903 熱電素子
904 凝縮液収集容器
905 キャップ
906 呼気導入パイプ
907 呼気排出用の開口
908 逆流防止具
909 吐出逆止弁
910 吸入逆止弁
911 呼気通過管
912 マウスピース
913 唾液トラップ
914 保温材
915 電気ヒータ
916 流量計
917 表示器
1001 X−Yステージ
1002 基体
1003 蛋白質スポット
1004 誘電体グリッド
1005 液体容器
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における呼気分析装置の模式図である。
本実施の形態において、呼気分析装置100は以下の構成からなる。
容器101は隔壁によって外部と仕切られる。隔壁を通じて外部との物質の出入りは行なわれない。容器101の形状は、直方体でも良いし、多面体、紡錘形、球形、流路状でも良い。容器101の容積は、呼気の総流入量に比べて十分小さいことが好ましい。たとえば呼気の総流入量が300ccの場合には、容器の容積は6cc以下が好ましい。容器101の材料は、吸着ガスや内蔵ガスの少ないものが望ましい。
容器101の材料は、ステンレス、アルミ、銅などの金属類でも良いし、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、窒化シリコン、アルミナ、シリコンカーバイドなど無機物でも良いし、表面に二酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタルなどの絶縁体薄膜が形成されたシリコン基板を用いても良い。またはこれらを2種類以上組み合わせても良い。
容器101の材料は、アクリル樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、フッ素樹脂、PDMSなどが好ましい。容器101の材料がプラスチックである場合、容器101の内壁には金属薄膜をコーティングすることがより好ましい。金属薄膜としてはアルミ薄膜が安価でガスバリア性に優れるため最も好ましいが、他の金属薄膜でも良い。またはこれらを2種類以上組み合わせても良い。なお、容器101は、堅固であることが好ましいが、エアーバック、バルーン、フレキシブルチューブ、シリンジなどのように柔軟もしくは可動性があっても良い。
注入口102は容器101の一端に設けられている。注入口102は容器101へ呼気を注入するために用いられる。注入口102を設ける位置については、呼気が容器101の内部へすみやかに注入される場所であれば、どこでも良い。たとえば容器101が直方体の場合には、注入口102は角部よりも面中央部に位置することが好ましい。なお本発明では、注入口102の形状、寸法、材料は限定されない。注入口102は、図1に示すように一本の管状であっても良いし、途中に分岐を有していても良い。さらに注入口102は、一箇所であっても良いし、複数箇所でも良い。
排出口103は、容器101の他端に設けられている。排出口103は、容器101から余剰な呼気を排出するために用いられる。排出口103を設ける位置は、余剰な呼気を容器101から排出できる場所であれば良い。なお本発明では、排出口103の形状、寸法、材料は限定されない。排出口103の形状は図1に示すように直管状であっても良いし、途中に分岐を設けても良い。さらに排出口103は一箇所であっても良いし、複数箇所でも良い。
冷却部104は、容器101の内部に設けられている。冷却部104を設けることにより、水蒸気の結露点以下まで冷却できるため、水蒸気および揮発性有機化合物を凝縮することができる。冷却部104は、熱電素子であることが最も好ましい。また、冷却部104は、水のような冷媒を使ったヒートパイプでも良いし、空気熱交換素子でも良いし、冷却ファンでも良い。効率よく呼気を冷却するために、冷却部104の表面積を大きくしても良いし、冷却部104の表面に凹凸加工を施しても良いし、冷却部104の表面に多孔体を設けても良い。冷却部104の位置は、容器101の底部であることが最も好ましい。冷却部104の位置は、側部や天井部でも良いし、これらを組み合わせて複数の冷却部104を設けても良い。
本発明の実施の形態において、冷却部104として熱電素子を用いる場合、熱電素子の放熱部には放熱フィンを設けても良い。あるいは熱電素子の放熱部を水冷しても良いし、空冷しても良いし、別の熱電素子で冷却しても良いし、他の冷却方法を用いても良い。またこれらを2種類以上組み合わせても良い。
電極部105は、容器101の内部にあって冷却部104の近傍に設けられている。電極部105は、冷却部104に直接接触していても良いし、熱伝導性シート、熱伝導性樹脂、金属板、グリースなど熱伝導体を介して接触させても良い。
電極部105は、冷却部104によって水蒸気の結露点以下に冷却されることが好ましい。一般に呼気は温度34℃、湿度95%と言われる。呼気中の水蒸気および揮発性有機化合物を結露させるために、電極部105の温度は、0℃以上30℃以下であることが好ましい。電極部105の温度は、0℃以上15℃以下であることがより好ましい。電極部105の温度は、電極部105の全体にわたり均一であることが好ましいが、異なっていてもよい。
電極部105の材料は、金属であることが最も好ましい。電極部105の材料は、シリコン、カーボンナノチューブでも良いし、グラファイト、フラーレン、ナノコーン、カーボンペースト、グラッシーカーボンなどの炭素材料でも良いし、PEDOT;PSS、ペンタセン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの有機導電ポリマーでも良い。さらに、酸化錫(ITO)、ポリシリコンなどの無機導電性材料でも良いし、有機銀のような有機金属でも良いし、エミッターとして用いられる他の材料であっても良い。
電極部105は、1つでも良いし、複数あっても良い。電極部105は、直線的に一次元に配列しても良い。電極105は、円周状、放物線状、楕円周状、正方格子状、斜方格子状、最密充填格子状、放射状、ランダム状などのように二次元に配列しても良い。電極部105は球面状、放物曲面状、楕円曲面状などのように三次元に配列しても良い。
電極部105の形状は、針状であることが好ましい。速やかに水蒸気の結露点以下へ電極部105を冷却するために、電極部105の長さは、3mm以上10mm以下であることが好ましい。電極部105の材料は、良熱伝導材料が好ましく、金属であることが最も好ましい。具体的にはステンレス、銅、真鍮、アルミ、ニッケル、タングステンなどの単体金属でも良いし、これらを二種類以上組み合わせた合金や金属間化合物であっても良い。さらにこれらの電極部105の表面を金、白金、アルミなどの金属薄膜で被覆しても良い。
対向電極部106は、電極部105に相対するように設けられている。対向電極部106の形状は、円環状であることが最も好ましい。対向電極部106の形状は、長方形、台形など多角形でも良い。対向電極部106の材料は、金属であることが好ましい。具体的にはステンレス、銅、真鍮、アルミ、ニッケル、タングステンなどの単体金属でも良いし、これらを二種類以上組み合わせた合金や金属間化合物であっても良い。さらにこれらの電極部105の表面を金、白金、アルミなどの金属薄膜で被覆しても良い。
電極部105は陰極であって、かつ対向電極部106は陽極であることが好ましい。電極部105と対向電極部106の間に印加する電圧は、固定値であっても良いし、可変値でも良い。可変値は帯電微粒子化の状況に応じて制御されることが好ましい。帯電微粒子化の状況は、電極部105と対向電極106の間を流れる電流値でモニターしても良いし、電極部105と化学物質検出部107の間を流れる電流値でモニターしても良いし、専用電極対を設けて電流値をモニターしても良い。
化学物質検出部107は、対向電極部106の近傍に設けられている。化学物質検出部107は、ガスクロマトグラフでも良いし、他の化学物質検出器を用いても良い。例えば、MOSFET(金属―酸化物―半導体電界効果トランジスタ)、ISFET(イオン感応型電界効果トランジスタ),バイポーラトランジスタ、有機薄膜トランジスタ、オプトード、金属酸化物半導体センサ、水晶マイクロバランス(QCM)、表面弾性波(SAW)素子、固体電解質ガスセンサ、電気化学電池センサ、表面波プラズモン共鳴(SPR)、ラングミュアブロジェット膜(LB膜)センサなどのセンサでも良い。化学物質検出部107は、高速液体クロマトグラフ、質量分析装置、核磁気共鳴装置などでも良い。化学物質検出部107は、図1に示すように1箇所でも良いし、複数箇所でも良い。さらに複数の化学物質検出部を設ける場合、同一種類でもよいし複数種類でも良い。
本発明の実施の形態において、化学物質検出部107は、化学物質に対して選択的に感応する電界効果トランジスタを用いても良い。電界効果トランジスタは、シリコンやガリウムヒ素、カーボンナノチューブ、シリコンナノワイヤなどの無機半導体材料を用いて作製しても良い。電界効果トランジスタは、ペンタセン、ポリチオフェン、PEDOT:PSSなどの有機半導体材料を用いて作製しても良い。有機半導体材料を用いて有機電気化学トランジスタを作製しても良い。なお本発明では、電界効果トランジスタの材料、寸法、数、製造方法は限定されない。
化学物質検出部107は、除電されることが好ましい。たとえば呼気が負に帯電している場合、化学物質検出部107は負に帯電する。この帯電量が過剰になるとき、化学物質検出部107の動作に多大な影響を及ぼすため、除電できるようにすることが好ましい。なお、除電は、常時行なっても良いし、適宜行なっても良い。
化学物質検出部107は、接地することにより除電することが好ましい。化学物質検出部107は、イオナイザーにより除電することが好ましい。
化学物質検出部107は、容器101から分離可能であることが好ましい。化学物質検出部107を分離した後、化学物質検出部107を洗浄することが好ましい。化学物質検出部107をディスポーザブルにしても良い。なぜなら、前回の測定履歴を気にすることなく清浄な状態で化学物質を検出できるためである。
注入口102および排出口103には、バルブ108aおよびバルブ108bが設けられていることが好ましい。これらのバルブ108aおよび108bにより、容器101を閉鎖可能にすることが好ましい。なお本発明では、バルブ108aおよび108bの材料、位置、種類は限定されない。さらに、注入口102および排出口103のコンダクタンスが小さくしても良い。
本発明の実施の形態において、注入口102および排出口103には、呼気の流れを制御する制御弁を設けても良い。制御弁は、逆止弁でも良いし、ストップバルブでも良い。
本発明の実施の形態において、注入口102および排出口103には、呼気の流量を計測する計測器を設けても良い。計測器は積算流量計でも良いし、マスフローメータでも良いし、他の流量計測器でも良い。
図2は、本発明の実施の形態1における呼気分析装置の動作を示す説明図である。図2において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
注入工程では、水蒸気201と呼気成分202a、202bからなる呼気203が、注入口102を通じて、容器101へ注入される。図2(a)は注入工程を表す。容器101の内部が呼気203によって満たされたかどうかを判別するには、化学物質検出部107を用いても良いし、化学物質検出部107とは別の化学物質検出部を用いても良い。化学物質検出部107は一つでも良いし、複数でも良い。
注入工程では、注入口102側から加圧して注入することが好ましいが、排出口103側を減圧して注入しても良い。
注入工程では、注入口102側を加圧する場合、ダイアフラムポンプやペリスタティックポンプやシリンジポンプなど電動ポンプを用いて注入しても良いし、シリンジやスポイドを使って手動で注入しても良いし、吐息でそのまま注入しても良い。
注入工程では、排出口103側を減圧する場合、ダイアフラムポンプやペリスタティックポンプやシリンジポンプなど電動ポンプにより注入しても良いし、シリンジにより手動で注入しても良い。
注入工程では、呼気203を容器101へ注入する前に、容器101の内部を清浄な空気で満たすことが好ましい。容器101の内部を、乾燥窒素やその他の不活性ガスでみたしても良いし、呼気と同程度の湿度を有する標準ガスや、較正用ガスで満たしても良い。
注入工程では、余剰な呼気203は排出口103から排出される。簡便のため図2(a)において呼気成分202a、202bは2種類だけ記載しているが、一般的に2種類以上の成分を含む。
凝縮工程では、冷却部104により、電極部105が水蒸気の結露点以下に冷却される。その結果、電極部105の外周面において、呼気中の水蒸気やその他の呼気成分202a、202bを含む凝縮液204が形成される。図2(b)および図2(c)は凝縮工程を表す。図2(b)は凝縮工程の初期段階を表す。図2(b)は、電極部105の外周面における凝縮液204の形成を表している。図2(c)は、凝縮工程の進行段階を表す。図2(c)は、電極部105の外周面における凝縮液204による被覆を表す。
なお、凝縮工程では、凝縮液204の量が過剰にならないよう、冷却部104の温度を制御することが好ましい。
帯電微粒子化工程では、凝縮液204から多数の帯電微粒子205を形成する。図2(d)は帯電微粒子化工程を表す。帯電微粒子の形態は、分子1個〜数十個からなるクラスタであっても良いし、分子数十〜数百個からなる微粒子であっても良いし、数百個以上からなる液滴であっても良い。またはこれらの2種類以上が混在していても良い。
帯電微粒子には、電気的に中性な分子の他に、呼気成分分子由来のイオンまたはラジカルが含まれていても良い。またはこれらが混在していても良い。帯電微粒子は、マイナスに荷電していることがより好ましいが、プラスに荷電していても良い。
帯電微粒子は、水および呼気成分を含んでいることが好ましい。帯電微粒子中の水と呼気成分の比率は、呼気と同じでも良いし、異なっていても良い。
帯電微粒子化工程では、帯電微粒子化するために静電霧化を用いることが好ましい。静電霧化の原理は次のとおりである。電極部105と対向電極部106の間に印加された電圧によって、電極部105先端へ凝縮液204が搬送される。クーロン引力により、対向電極部106に向かって、凝縮液204の液面が円錐状に盛り上がる。さらに凝縮が進んだ時、凝縮液先端における電荷の集中により、クーロン力が増大する。クーロン力が水の表面張力を超える時、凝縮液204が分裂、飛散して、帯電微粒子を形成する。
なお、静電霧化を行う際、コロナ放電が発生することがある。呼気中の相対湿度が低い場合や、電極部105の外周面に十分凝縮液が生成されていない場合である。コロナ放電は帯電微粒子化工程に含めても良い。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間を流れる電流に応じて、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を制御することが好ましい。例えば、帯電微粒子の過剰生成やコロナ放電などが原因で、電極部105と対向電極部106の間に過剰な電流が流れる時、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を一旦中断することが好ましい。電極部105と対向電極部106との間の印加電圧を小さくしても良い。その原因が除去され次第、電圧印加を再開しても良い。
帯電微粒子205の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。
帯電微粒子205に付加される帯電量は、微粒子1個あたり電荷素量(1.6x10-19C)と同量であることが最も好ましい。帯電微粒子205に付加される帯電量は、電荷素量より大きいことが好ましい。
回収工程では、帯電微粒子205を化学物質検出部107へ回収する。図2(e)は回収工程を表す。回収工程では、静電気力により帯電微粒子205を回収することが好ましい。対向電極部106に対して化学物質検出部107へ電圧を印加することが好ましい。帯電微粒子205が負の電荷を持つ場合、対向電極部106に対して化学物質検出部107へ直流正電圧を印加することが好ましい。電圧印加は、連続的であることが好ましいが、パルス的でも良い。
検出工程では、帯電微粒子に含まれる揮発性有機化合物を、化学物質検出部107によって検出する。検出工程では、揮発性有機化合物の定量を行なうことが好ましいが、化学物質の存在のみを検出しても良い。検出工程では、あらかじめ較正しておいた化学物質検出部を用いることが好ましい。なお本発明では、較正方法は限定されない。
揮発性有機化合物は、ケトン類、アミン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、アルデヒド類、エステル類、有機酸、硫化水素、メチルメルカプタン、ジスルフィドなどであることが好ましい。揮発性有機化合物は、アルカン、アルケン、アルキン、ジエン、脂環式炭化水素、アレン、エーテル、カルボニル、カルバニオ、タンパク、多核芳香族、複素環、有機誘導体、生物分子、代謝物、イソプレン、イソプレノイドおよびその誘導体などでも良い。
揮発性有機化合物の分子量は、(1)揮発の容易さ、(2)呼気中に含まれる得る化合物、という観点から、15以上500以下が好ましく、30以上400以下がより好ましい。
世界保健機関(WHO)によると、(広義の)揮発性有機化合物は、超揮発性有機化合物(VVOC、沸点0℃〜50−100℃)、揮発性有機化合物(VOC、沸点50−100℃〜240−260℃)、半揮発性有機化合物(SVOC、沸点240−260℃〜380−400℃)、粒子状物質(POM、沸点380℃以上)に分類される。代表的なVVOCは、ホルムアルデヒド(分子量30、沸点−19.2℃)、アセトアルデヒド(分子量44、沸点20.2℃)、ジクロロメタン(分子量85、沸点40℃)である。代表的なVOCは、トルエン(分子量92、沸点110.7℃)、キシレン(分子量106、沸点144℃)、ベンゼン(分子量78、沸点80.1℃)、スチレン(分子量104、沸点145.1℃)などである。代表的なSVOCは、リン酸トリブチル(分子量266、沸点289℃)、フタル酸ジオクチル(分子量391、沸点370℃)などである。本発明では、単に揮発性有機化合物といえば、広義の揮発性有機化合物を意味し、VVOC、VOC、SVOC、POMなどを含む。
揮発性有機化合物の沸点は、−160℃以上400℃以下が好ましい。
温度変動、湿度変動、妨害物質の存在、電磁ノイズなど誤差要因を低減するため、容器101の内部に、補正用の化学物質検出部を設けても良い。化学物質検出部と補正用の化学物質検出部を差動で動作させて誤差要因を低減してもよい。
本発明の実施の形態において、上述の注入工程から検出工程までの少なくとも2つ以上の工程は同時に行なわれてもよい。すなわち、例えば凝縮工程と帯電微粒子化工程が同時に行なわれても良い。またはそれぞれの工程を順序立てて行なっても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105に付着した化学物質を除去するために、電極部105を加熱することが好ましい。電極部105を加熱する時に、容器101へ清浄なガスを注入しても良い。電極部105付着した化学物質を除去するために、他の方法を組み合わせても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105を加熱して化学物質を除去するために、熱電素子を用いることが好ましい。熱電素子は、容易に冷却面と加熱面を反転できるので、便利である。凝縮工程および化学物質を除去する時に同一の熱電素子を兼用すれば、分析装置の小型化にも寄与できる。電極部105に付着した化学物質が除去されたことを検出するために、化学物質検出部107を用いても良い。電極部105に付着した化学物質が除去されたことを検出するために、電極部105の外周面に検出部を設けても良いし、他の公知技術を用いても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105に付着した化学物質は、呼気以外の気体の気流により除去することが好ましい。気体は乾燥窒素ガスであることが好ましい。気体は化学物質検出部の較正用ガスであることが好ましい。
本発明の実施の形態では、電極部105を冷却することにより、電極部105の外周面に呼気凝縮液を得ることが特徴の一つである。つまり、従来の分析方法では、電極部が単なる電圧印加のための手段でしかなかった。そのために、呼気凝縮液を保持するには凝縮液蓄積容器を別途設けなければならなかった。しかし前述のように、凝縮液蓄積容器へ呼気凝縮液を蓄積するには相当な時間を要する。そこでこれを解決するために、本発明では、電極部105に2つの役割を持たせたことに特色がある。すなわち、電極部105は、(1)電圧印加のための電極、(2)呼気凝縮液を保持する手段を兼ねる。これにより、呼気分析に必要な凝縮液の量を大幅に削減できる上に、分析時間を短縮できる。
なお本発明の実施の形態は、従来の静電霧化を利用したマイナスイオンミスト発生装置の形態とは基本的に異なる。すなわち、従来のマイナスイオンミスト発生装置は、帯電微粒子の直径が数nm〜数十nmと非常に小さい。したがって、帯電微粒子は空気中に10分間程度の長時間浮遊する。また帯電微粒子の拡散性が高い。これらのマイナスイオンミストの性質は、肌や毛髪の保湿器、脱臭器へ適用するには、大きな利点となる。しかし、本発明のような分析装置ではこの性質は欠点となる。なぜなら、帯電微粒子の浮遊性、拡散性により、検出対象である化学物質はむしろ希釈されてしまうためである。希釈を防ぐために、本発明では、閉鎖可能な容器の内部に静電霧化機構を設け、化学物質を含んだ帯電微粒子を静電気力によって効率的に回収する。それが本発明のもう一つの特色である。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における呼気分析装置の模式図である。図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
本発明の実施の形態において、図3において、注入口102の近傍には、マウスピース301と唾液トラップ302が設けられている。
マウスピース301は、呼気を容器101へ容易に注入できるため、呼気分析装置の操作を簡便にできる。マウスピース301は衛生上、使い捨てにすることが好ましい。マウスピース301は、シリコーンラバーで形成されることが好ましい。なお本発明では、マウスピース301の材質、寸法、形状を限定されない。
唾液トラップ302は、呼気とともに唾液が容器101へ混入してしまうことを抑制する。唾液トラップ302は、唾液のみならず口から排出される唾、痰、食べ物の残りカス、埃などをトラップしても良い。
本発明の実施の形態において、冷却部104の一端に放熱部303が設けられている。放熱部303は、容器101の外部に設けてあることが好ましい。放熱部303は、放熱フィンであることが最も好ましい。放熱部303は、冷却ファンでも良いし、水冷管でも良いし、その他の冷却手段でも良い。また、これらを2種類以上組み合わせても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105の一部に接続部304が設けられている。接続部304は、冷却部104と電極部105を接続する部材であって、接続部304を通じて熱伝導する。電極部105は、接続部304を介して加熱しても良い。なお本発明では、接続部304の形状、寸法、材質は限定されない。
本発明の実施の形態において、冷却部104の近傍には温度センサ305が設けられている。温度センサ305を設けることにより、凝縮の具合を制御することができる。すなわち冷却部104近傍の温度を所望の温度に保持することにより、凝縮液の量を自由自在に制御できる。温度センサ305は、電極部105の近傍に設けてもよい。温度センサ305は、接続部304の近傍に設けてもよい。温度センサ305は、注入口102の近傍に設けても良い。温度センサ305は、容器101の内部に設けても良い。温度センサ305は1つでも良いし、複数個設けても良い。
本発明の実施の形態において、温度センサ305は、熱電対が最も好ましい。温度センサ305は、抵抗温度センサでも良いし、赤外温度センサでも良いし、他の温度センサでも良い。温度センサ305は、1種類でも良いし、複数種類でも良い。温度センサ305は、注入される呼気の温度を計測しても良い。
本発明の実施の形態において、呼気分析装置100には湿度センサ306が設けられている。注入される呼気の湿度は個々人によって異なるため、湿度センサ306を設けることが好ましい。湿度センサ306により呼気の飽和水蒸気量、露点などを算出できるので、冷却部104および電極部105の設定温度、成分分析データの解析などに有用である。なお本発明では、湿度センサ306の種類、数量、位置は限定されない。
本発明の実施の形態において、排出口103の近傍には逆止弁307が設けられている。逆止弁307を設けることにより、呼気注入時に誤って大気などが容器101の中へ混入するのを防止する。逆止弁307は、注入口102の近傍に設けても良い。逆止弁307はダイアフラムでも良いし、チャッキバルブでも良いし、他の逆流防止具を用いても良い。
本発明の実施の形態において、逆止弁307の近傍にはポンプ308が設けられている。ポンプ308は、呼気を容器101へ注入するのを補助する。特に呼気を吐き出す力の弱い患者や高齢者、乳幼児への使途には好適である。ポンプ308は、ダイアフラムポンプでも良いし、シリンジポンプでも良いし、真空管などでも良い。ポンプ308は、容器101内を清浄にするためのガスを、注入するために用いても良い。ポンプ308には、流量調整用のバルブが付置されていても良い。
本発明の実施の形態において、化学物質検出部107には、検出対象である化学物質に対して選択的に応答する感応膜を設けても良い。なお本発明では、感応膜の種類、数量、配置、寸法は限定されない。たとえば感応膜の材料として、金属酸化物、白金、パラジウムなどの無機化合物を用いても良いし、分子インプリントによる鋳型ポリマーを用いても良いし、有機半導体材料、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、酵素、生体膜、受容体タンパク、抗体、オリゴヌクレオチドなどを用いても良いし、ラングミュア‐ブロジェット膜(LB膜)、脂質二重膜を用いても良い。またはこれらの複数種類を組み合わせても良い。
本発明の実施の形態において、化学物質検出部107には、制御部309および表示部310が設けられている。制御部309は、化学物質検出部107の電気的および機械的な制御を行なう部位である。制御部309には、化学物質検出部107で計測された値を解析する解析部を設けても良い。解析部は、主成分分析、絶対値表現分析、判別分析、因子分析、クラスタ分析、コンジョイント分析など多変量解析を行なっても良いし、多回帰解析など他の統計解析を行なっても良い。表示部310は、化学物質検出部107で計測した値を表示することが好ましい。表示部310は、制御部309で得た値をそのまま表示しても良いし、解析した値を表示しても良い。
本発明の実施の形態において、呼気分析装置100には電磁シールドを設けることが好ましい。電磁シールドを設けることにより、外部からの電磁ノイズを遮蔽することができるので、微弱な信号を検知できる。
(実施例1)
容器101は、厚み0.5mmの透明アクリル樹脂板により作製した。容器101は、32mm×17mm×12mmの直方体とした。凝縮液の形成過程を観察するために、容器101を透明体により作製することが好ましい。容器101は一体成型しても良い。
注入口102は、容器101の一端に直径3mmの貫通穴を形成した後、外径3mmのシリコーンチューブを接続することにより形成した。なお本発明では、注入口102の形成方法は限定されない。容器101を一体成型すると同時に、注入口102を形成しても良いし、切削加工で形成しても良いし、ドライエッチング、ホットエンボス、ナノインプリントなど他の一般的な方法で形成しても良い。
排出口103は、容器101の他端に直径3mmの貫通穴を形成した後、外径3mmのシリコーンチューブを接続することにより形成した。なお本発明では、排出口103の形成方法は限定されない。容器101を一体成型すると同時に排出口103を形成しても良いし、切削加工で形成しても良いし、ドライエッチング、ホットエンボス、ナノインプリントなど他の一般的な方法で形成しても良い。
冷却部104として容器101の内部に熱電素子を設けた。熱電素子の大きさは14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。熱電素子の冷却面は、セラミックス材で被覆した。セラミックス材はその表面に微細な凹凸や多孔体構造を有するため、接触する物体を効率的に冷却できる。なお、本実施例では1箇所に熱電素子を設けたが、複数箇所に熱電素子を設けても良い。
電極部105として、容器101の内部にあって冷却部104の近傍に、ステンレス製針を設けた。電極部105の長さは、3mmであった。電極部105の直径は、最も太い部分で0.79mm、最も細い部分で0.5mmであった。電極部105の先端には直径0.72mmの球を設け、安定して帯電微粒子化工程を行なえるようにした。電極部105は、ステンレス板を介して、冷却部104の熱電素子と接触させた。ステンレス板の大きさは、10mm×10mm×1mmであった。ステンレス板と熱電素子とは良熱伝導性の樹脂により接触させた。
対向電極部106は、電極部105の先端から3mm離れたところに設けた。対向電極部106の形状は、外径12mm、内径8mm、厚さ0.47mmの円環状であった。対向電極部106の材質はステンレスであった。
化学物質検出部107は、冷却可能な電極と、シリンジと、ガスクロマトグラフで構成した。化学物質検出部107の一部は、熱電素子で冷却した。熱電素子の大きさは、14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は、0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。ガスクロマトグラフはジーエルサイエンス社製のGC−4000を用いた。
注入口102および排出口103には、それぞれバルブ108aおよびバルブ108bを設けた。バルブ108aおよびバルブ108bとしてボールバルブを用いた。
次に呼気分析装置の操作手順を説明する。
注入工程では、呼気モデルガスを注入口102から容器101へ注入した。本実施例において容器101の容積は6.5mLであって、成人の肺活量(2000〜4000cc程度)に比べて十分小さく、呼気モデルガスを数秒間噴き込めば、容器101の中は呼気モデルガスで充満されたとみなせる。
呼気モデルガスは、乾燥窒素ガスを水および酢酸0.3%水溶液へ導入し、バブリングして得た。乾燥窒素ガスの流量は500sccmであった。呼気モデルガスの温度は25℃であった。この呼気モデルガスを用いた理由は、(a)実際の呼気成分中に酢酸成分が含まれていること(非特許文献4 297頁)、(b)揮発性有機化合物であること、および(c)本発明の呼気分析装置の効果を再現性よく定量的に評価するためには実際の呼気よりも入手し易いこと、である。
注入工程では、容器101へ呼気モデルガスを注入する前に、容器101の内部を乾燥窒素ガスで満たした。
注入工程では、余剰な呼気モデルガスは排出口103を通じて排出した。
凝縮工程では、熱電素子により電極部105を冷却した。電極部105の温度は動作前に26℃であったが、30秒後には15℃まで低下した。電極部105の温度は、Kタイプの熱電対により測定した。
熱電素子を動作し始めて5秒後に、電極部105の外周面において凝縮液が形成された。初期段階では、凝縮液は直径10μm以下の液滴状であった。時間の経過とともに、液滴状の凝縮液は成長して、分析に十分な液量を得た。電極部105での凝縮液の形成は、マイクロスコープ(KEYENCE社製、VH−6300)を用いて観察した。図4は、電極部105の外周面に呼気凝縮液が形成された様子を表す。図4に示すように電極部105の外周面に凝縮液401が形成された。
帯電微粒子化工程では、凝縮液を多数の帯電微粒子にした。帯電微粒子化は、静電霧化により行なった。なお、本発明の帯電微粒子化をコロナ放電により行なってもよい。
帯電微粒子の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。帯電微粒子は、1個ずつ単独で存在することが好ましい。帯電微粒子は、複数個の結合体で存在しても良い。なお本発明では、微粒子化された呼気の形状は限定されない。球形であっても良いし、扁平形であっても良いし、紡錘形であっても良い。
電極部105と対向電極部106の間にはDC5kVを印加した。この時、電極部105を陰極、対向電極部106を陽極とした。電極部105を陽極、対向電極106を陰極としても同様の効果が得られるが、帯電微粒子化工程は比較的不安定であった。
帯電微粒子化工程では、電極部105の先端に、テーラーコーンと呼ばれる円錐形の水柱が形成された。その水柱の先端から、化学物質を含む多数の帯電微粒子が放出された。図5は、テーラーコーンおよび帯電微粒子の生成を説明する図である。テーラーコーン501を形成する凝縮液502は、電極部105の先端方向へ、順次搬送された。テーラーコーン501の最先端すなわち電界の集中する場所から、帯電微粒子503が形成された。
図6に、呼気凝縮液により形成したテーラーコーンを示す。呼気モデルガスを注入し始めてから7秒後に、テーラーコーン601が形成された。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間に流れる電流を計測した。過剰な電流が流れた場合には、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を中断または印加電圧を減少させた。
回収工程では、帯電微粒子を化学物質検出部107へ静電気力により回収した。対向電極106に対して化学物質検出部107へ+500Vの電圧を印加した。なお本発明では、印加電圧の大きさを限定されない。帯電微粒子の寿命の観点から、回収工程は帯電微粒子工程と同時に行なうことが最も好ましく、遅くとも帯電微粒子工程開始10分後までに回収工程を行なうことが好ましい。
静電気力により回収された帯電微粒子は、再び冷却凝縮して液状にした。回収した帯電微粒子は、液状にすることが最も好ましいが、霧状のままでもよい。液体状にするには、帯電微粒子を冷却凝縮しても良いし、水溶液やゲルに溶解しても良い。
化学物質検出部107は、冷却可能な電極と、シリンジと、ガスクロマトグラフから構成されるが、図7は、その冷却可能な電極、すなわち第2電極部701の外周面において、帯電微粒子が再び冷却凝縮される様子を表す。冷却凝縮の様子は、マイクロスコープ(KEYENCE社製、VH−6300)を用いて観察した。
図7(a)は、第2電極部701の温度を12℃にした時の、冷却凝縮の様子を表す。第2電極部701の外周面に、凝縮液702が形成された。図7(b)は、第2電極部701の温度を22℃にした時の、冷却凝縮の様子を表す。第2電極部701の外周面に、凝縮液702は形成されなかった。図7(c)は、第2電極部701の温度を−5℃にした時の、冷却凝縮の様子を表す。第2電極部701の外周面に、凝縮液702が凝結した凝結体703が形成された。
(表1)は、第2電極部701の温度と、凝縮液702の液量の関係を表す。凝縮液702の液量は、6分間の回収工程により得られた量とした。なお、第2電極701の温度を−5℃とした時、凝縮液702は凝結したため、液量を0とした。第2電極部701の温度が0℃以下の時、凝縮液702は凝結した。したがって第2電極部701の温度は、0℃以上18℃以下であることが好ましい。凝縮液702を短時間に得られるので、第2電極部701の温度は、0℃以上7℃以下であることがより好ましい。なお、凝結した凝縮液702は、加温することにより、再び液化してもよい。
回収工程では、第2電極部701の温度を12℃にして、帯電微粒子を冷却凝縮した。得られた1μLの凝縮液702をシリンジにより採取し、ガスクロマトグラフへ導入した。
検出工程では、ガスクロマトグラフへ導入された呼気凝縮液を分析した。図8は呼気成分すなわち酢酸を分析した例を示す。縦軸は、酢酸のガスクロマトグラムのピーク面積を表す。ピーク面積が大きいほど、酢酸の濃度が高いことを意味する。リファレンスとして0.3%の酢酸水溶液を示した(図8の左側棒グラフ)。比較のため、静電霧化を用いずに呼気を冷却凝縮しただけの例を示した(図8の中側棒グラフ)。静電霧化を用いて呼気を分析した用いた場合(図8の右側棒グラフ)には、静電霧化を用いない場合に比べて、約2倍の濃縮効果が得られた。この結果は、同じ量の呼気成分を収集するための時間が、従来装置に比べて約半分ですむことを意味しており、本発明により効率的に呼気を分析できることを示している。
なお、検出条件は以下のとおりであった。分析カラムにはキャピラリカラム(TC−FFAP,ジーエルサイエンス社製)を用いた。キャピラリカラムの内径は0.53mm、長さは30mであった。キャリアガスはヘリウムであった。オーブン温度は160℃とした。インジェクション温度および水素炎イオン化検出器(FID)温度はそれぞれ250℃であった。
検出工程の後、容器101から化学物質検出部107を取り外した。取り外された化学物質検出部107をメタノールにより洗浄した。
検出工程の後、電極部105に付着した化学物質を除去するため、電極部105を加熱した。電極部105を熱電素子により加熱した。熱電素子は、凝縮工程において電極部105を冷却した時と同一のものを用いた。電極部105を加熱する時、熱電素子に加える電圧の極性は、電極部105を冷却した時の極性と反転した。
電極部105を加熱して付着した化学物質を除去するため、電極部105を乾燥窒素ガスの気流に曝した。これにより迅速に電極部105から化学物質の除去を行なうことができた。乾燥窒素ガスは注入口102から導入した。
帯電微粒子化工程または回収工程において、化学物質検出部107の除電を行なった。化学物質検出部107を接地することにより除電した。
帯電微粒子化工程において、対向電極部106と電極部105の間に流れる電流をモニターした。過剰な電流が流れた時には、電極部105と対向電極部106の間の電圧印加を中断した。
図9は、容器101を設けた場合と、容器101を設けない場合の呼気分析の結果を示す。閉鎖可能な容器101を設けた場合が、容器101を設けない場合よりも、効率的に呼気を分析できた。従来装置を使用した場合、凝縮液を得るために10分以上を要した。しかし本実施例では、呼気の注入開始から検出工程を含めて実質的な所要時間は約3分であった。その結果、分析に要する時間を短縮できた。
従来の冷却凝縮装置を用いると凝縮液収集容器の操作を伴うため、多くの時間を要する。しかし本発明によると、従来の冷却凝縮のみで呼気分析を行う場合に比べて、呼気成分を効率的に濃縮できることから、分析時間を短縮することができた。
(実施例2)
本実施例ではヒトの呼気を分析した。本実施例において、呼気分析装置は実施例1と同じものを用いたため、呼気分析装置の説明を省略する。
呼気分析装置の操作手順を次に説明する。
注入工程では、注入口102から容器101へ呼気を注入した。まず、呼気をサンプラーバッグ(容積1L、アルミコーティング)へ500mL採取した。その後、呼気をサンプラーバッグから注入口102を通じて、容器101へ注入した。
注入工程では、容器101へ呼気を注入する前に、容器101の内部を乾燥窒素ガスで満たした。
注入工程では、余剰な呼気は排出口103を通じて排出した。
凝縮工程では、熱電素子により電極部105を冷却した。電極部105の温度は動作前に26℃であったが、30秒後には15℃まで低下した。電極部105の温度測定は、Kタイプの熱電対で行った。
熱電素子動作開始5秒後に、電極部105の外周面において凝縮液が形成され始めた。初期段階では、凝縮液は直径10μm以下の液滴状であった。時間の経過とともに、液滴状の凝縮液は成長して、分析に十分な液量を得た。
帯電微粒子化工程では、凝縮液を多数の帯電微粒子にした。帯電微粒子化は静電霧化で行なった。なお、前述の実施の形態1でも述べたように、静電霧化の初期段階で、コロナ放電が発生するが、本発明の帯電微粒子化工程にはこれも含めても良い。
帯電微粒子の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。帯電微粒子は、1個ずつ単独で存在することが好ましい。帯電微粒子は、複数個が結合体で存在しても良い。なお本発明では、微粒子化された呼気の形状を限定されない。球形であっても良いし、扁平形であっても良いし、紡錘形であっても良い。
電極部105と対向電極部106の間にはDC5kVを印加した。この時、電極部105を陰極、対向電極部106を陽極とした。電極部105を陽極、対向電極106を陰極としても同様の効果が得られるが、帯電微粒子化工程は比較的不安定であった。
帯電微粒子化工程では、電極部105の先端に、テーラーコーンと呼ばれる円錐形の水柱が形成された。その水柱の先端から、化学物質を含む多数の帯電微粒子が放出された。
呼気を注入し始めてから7秒後に、テーラーコーン601が形成された。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間に流れる電流を計測した。過剰な電流が流れた場合には、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を中断または印加電圧を減少させた。
回収工程では、帯電微粒子を化学物質検出部107へ静電気力により回収した。対向電極106に対して化学物質検出部107へ+500Vの電圧を印加した。なお本発明では、印加電圧の大きさは限定されない。帯電微粒子の寿命の観点から、回収工程は帯電微粒子工程と同時に行なうことが最も好ましく、遅くとも帯電微粒子工程開始10分後までに回収工程を行なうことが好ましい。
静電気力により回収された帯電微粒子は、再び冷却凝縮して液状にした。なお、回収した帯電微粒子は、液状にすることが最も好ましいが、霧状のままでもよい。液体状にするには、帯電微粒子を冷却凝縮しても良いし、水溶液やゲルに溶解しても良い。
回収工程では、第2電極部701の温度を12℃にして、帯電微粒子を冷却凝縮した。得られた1μLの凝縮液702をシリンジにより採取し、ガスクロマトグラフへ導入した。
検出工程では、ガスクロマトグラフへ導入された呼気凝縮液を分析した。図10は呼気を分析した例を示す。呼気中に含まれる揮発性有機化合物を検出した。
なお、検出条件は以下のとおりであった。分析カラムにはキャピラリカラム(TC−FFAP,ジーエルサイエンス社製)を用いた。キャピラリカラムの内径は0.53mm、長さは30mであった。キャリアガスはヘリウムであった。オーブン温度は160℃とした。インジェクション温度および水素炎イオン化検出器(FID)温度はそれぞれ250℃であった。
呼気の注入開始から検出工程を含めて実質的な所要時間は約3分であった。本発明によると、短時間かつ簡便にヒトの呼気の分析ができた。
(実施例3)
容器101は、厚み4mmのアルミ板により作製した。容器101は、34mm×34mm×20mmの直方体とした。
注入口102は、容器101の一端に、外径3.17mm、長さ50mmのステンレス管を接続することにより形成した。
排出口103は、容器101の他端に、外径3.17mm、長さ50mmのステンレス管を接続することにより形成した。
冷却部104として熱電素子を容器101の内部に設けた。熱電素子の大きさは14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。熱電素子の冷却面は、セラミックス材で被覆した。セラミックス材はその表面に微細な凹凸や多孔体構造を有するため、接触する物体を効率的に冷却することができる。なお、本実施例では1箇所に熱電素子を設けたが複数箇所に熱電素子を設けても良い。
電極部105として、容器101の内部にあって冷却部104の近傍に、ステンレス製針を設けた。電極部105の長さは、3mmであった。電極部105の直径は、最も太い部分で0.79mm、最も細い部分で0.5mmであった。電極部105の先端には直径0.72mmの球を設け、安定して帯電微粒子化工程を行なえるようにした。電極部105は、ステンレス板を介して、冷却部104の熱電素子と接触させた。ステンレス板の大きさは、10mm×10mm×1mmであった。なお、ステンレス板と熱電素子とは良熱伝導性の樹脂で接触させた。
対向電極部106は、電極部105の先端から3mm離れたところに設けた。対向電極部106の形状は、外径12mm、内径8mm、厚さ0.47mmの円環状であった。対抗電極部106の材質はステンレスであった。
化学物質検出部107は、冷却可能な電極と、シリンジと、ガスクロマトグラフで構成した。化学物質検出部107の一部は、熱電素子で冷却した。熱電素子の大きさは、14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は、0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。ガスクロマトグラフはジーエルサイエンス社製のGC−4000を用いた。
注入口102および排出口103には、それぞれバルブ108aおよびバルブ108bを設けた。バルブ108aおよびバルブ108bとしてボールバルブを用いた。
次に呼気分析装置の操作手順を説明する。
注入工程では、呼気モデルガスを注入口102から容器101へ注入した。本実施例において容器101の容積は6.5mLであって、成人の肺活量(2000〜4000cc程度)に比べて十分小さく、呼気モデルガスを数秒間吹き込めば、容器101の中は呼気モデルガスで充満されたとみなすことができる。
呼気モデルガスは、乾燥窒素ガスを水および有機溶液(酢酸(分子量60.05)、2−プロパノール(分子量60.10)、キシレン(分子量106.17)、サリチル酸メチル(分子量152.15)、メントール(分子量156.27))へ導入し、バブリングして得た。乾燥窒素ガスの流量は500sccmであった。なお、上記の有機溶液はいずれも揮発性有機化合物である。
注入工程では、容器101へ呼気モデルガスを注入する前に、容器101の内部を乾燥窒素ガスで満たした。
注入工程では、余剰な呼気モデルガスは排出口103を通じて排出した。
凝縮工程では、熱電素子により電極部105を冷却した。電極部105の温度は動作前に26℃であったが、30秒後には15℃まで低下した。電極部105の温度は、Kタイプの熱電対により測定した。
熱電素子を動作し始めて5秒後に、電極部105の外周面において凝縮液が形成された。めた。初期段階では、凝縮液は直径10μm以下の液滴状であった。時間の経過とともに、液滴状の凝縮液は成長して、分析に十分な液量を得た。
帯電微粒子化工程では、凝縮液を多数の帯電微粒子にした。帯電微粒子化は、静電霧化により行なった。なお、本発明の帯電微粒子化をコロナ放電により行なってもよい。
帯電微粒子の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。帯電微粒子は、1個ずつ単独で存在することが好ましい。帯電微粒子は、複数個が結合体で存在しても良い。なお本発明では、微粒子化された呼気の形状を限定されない。球形であっても良いし、扁平形であっても良いし、紡錘形であっても良い。
電極部105と対向電極部106の間にはDC5kVを印加した。この時、電極部105を陰極、対向電極部106を陽極とした。電極部105を陽極、対向電極106を陰極としても同様の効果が得られるが、帯電微粒子化工程は比較的不安定であった。
帯電微粒子化工程では、電極部105の先端に、テーラーコーンと呼ばれる円錐形の水柱が形成された。その水柱の先端から、化学物質を含む多数の帯電微粒子が放出された。
呼気モデルガスを注入し始めてから7秒後に、テーラーコーン601が形成された。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間に流れる電流を計測した。過剰な電流が流れた場合には、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を中断または印加電圧を減少させた。
回収工程では、帯電微粒子を化学物質検出部107へ静電気力により回収した。対向電極106に対して化学物質検出部107へ+500Vの電圧を印加した。なお本発明では、印加電圧の大きさは限定されない。帯電微粒子の寿命の観点から、回収工程は帯電微粒子工程と同時に行なうことが最も好ましく、遅くとも帯電微粒子工程開始10分後までに回収工程を行なうことが好ましい。
静電気力により回収された帯電微粒子は、再び冷却凝縮して液状にした。なお、回収した帯電微粒子は、液状にすることが最も好ましいが、霧状のままでもよい。液体状にするには、帯電微粒子を冷却凝縮しても良いし、水溶液やゲルに溶解しても良い。
回収工程では、第2電極部701の温度を12℃にして、帯電微粒子を冷却凝縮した。得られた1μLの凝縮液702をシリンジにより採取し、ガスクロマトグラフへ導入した。
検出工程では、ガスクロマトグラフへ導入された呼気凝縮液を分析した。
(表2)は、揮発性有機化合物、すなわち酢酸、2−プロパノール、キシレン、サリチル酸メチル、メントールおよびスクラレオールを分析した例を表す。(表2)において、濃縮比とは、単位体積あたりの呼気モデルガスに含まれる揮発成分の濃度に対する、凝縮液702に含まれる揮発成分の濃度の比である。
(表2)に示すように、いずれの揮発性有機化合物についても濃縮効果が得られ、効率的に呼気を分析できることを示している。揮発性有機化合物の分子量は、12以上500以下が好ましく、30以上300以下がより好ましい。
なお、検出条件は以下のとおりであった。分析カラムにはキャピラリカラム(INERTCAP PURE WAX、ジーエルサイエンス社製)を用いた。キャピラリカラムの内径は0.25mm、長さは30mであった。キャリアガスはヘリウムであった。オーブン温度は160℃とした。インジェクション温度および水素炎イオン化検出器(FID)温度はそれぞれ250℃であった。
本実施例において、揮発性有機化合物を容易に濃縮できることを示した。この結果から、本発明によれば、短時間かつ簡便に呼気分析ができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明にかかる呼気分析方法は、短時間で簡便な測定が可能な呼気分析装置へ適用可能であり、呼気診断装置、ストレス計測器などの医療分野、ヘルスケア分野などへ利用することができる。
本発明は、呼気中に含まれる種々の成分を静電霧化によって濃縮して分析する呼気分析方法に関する。
呼気中には水、窒素、酸素、二酸化炭素のほか、代謝成分や揮発性有機化合物、揮発性硫黄化合物などの微量成分が含まれる。例えば、アルコール、ケトン、アルデヒド、アミン、芳香族炭化水素、脂肪酸、イソプレン、メルカプタン等やそれらの誘導体などである。
この呼気中に含まれる微量成分と疾病の間に何らかの関連があると考えられている。疾病と呼気中の成分に相関関係があるとの研究成果も公表されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。血液検査と異なり被験者に身体的、精神的な苦痛を与えることなく検査できるため、診断、術後経過の観察、治療方針の決定など医療分野への応用が期待されている。
しかし、疾病との関連性を示唆されている呼気成分の濃度は、通常ppmからpptのオーダーであって、極めて微量である(非特許文献4)。
そのため従来の呼気分析装置では、呼気を冷却凝縮する方法や、呼気成分をトラップ剤へ捕捉/濃縮する方法などの公知技術によって、効率よく分析するという手法が採用されていた。
例えば呼気を冷却凝縮する方法として、熱電素子を使った方法がよく知られている(特許文献1)。図11は特許文献1で記載されている呼気冷却凝縮装置を示す。
呼気冷却凝縮装置では、被験者が吹き込んだ呼気を冷却しその凝縮液を採取する。呼気冷却凝縮装置は、呼気通過管911、凝縮液収集容器904、および熱電素子903を備えている。熱電素子903と凝縮液収集容器904とは熱伝体902によって接続されている。呼気通過管911と凝縮液収集容器904とは着脱自在に固定されている。呼気通過管911には一方弁が2つ設けられた逆流防止具908が設けられ、且つ吹き込んだ呼気の量を測定する流量計916が設けられている。
図11に示した呼気冷却凝縮装置は、分析に必要な量の凝縮液を得るまでに時間を要するものの、比較的簡便に装置を扱うことができるため、一般的に用いられている装置の一つである。
また別の手法として、静電噴霧を用いた濃縮方法の例が特許文献2によって開示されている。これは、不揮発性の希薄生体分子溶液を静電噴霧することで、ミスト中の溶媒を気化し濃縮を行なう方法であり、呼気中に含まれる不揮発性成分の濃縮にも利用できる。図12に特許文献2で記載されている生体分子溶液の濃縮手段を示す。
図12に示す静電噴霧装置によって、巨大生体分子を含む不揮発性物質の堆積物が得られる。この堆積物は、不揮発性物質の堆積物の他の物質への相互作用を測定するために使用される。なお、特許文献2では、生体分子の静電噴霧法による堆積は、希薄生体分子溶液の微量濃縮の手段として利用できることも開示されている。
THE LANCET 353巻 pp.1930−1933(1999) ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 247巻 pp.272−278 (1997) The American Journal of Cardiology pp.1593−1594 (2004) Respiratory Physiology&Neurobiology 145巻 pp.295−300(2005) 特開2004−361160公報(第6頁、図1) 特表2002−511792公報(第31頁第12〜13行目、第78頁、図9) 米国特許出願公開第2004/0210154号明細書(特に0054段落) 特開2007−033388号公報(特に0002〜0005段落) 特許第3952052号公報
特許文献1および特許文献2に記載の従来装置はいずれも、凝縮液蓄積容器(図11中の凝縮液収集容器904および図12中の液体容器1005)を有しており、その中に多量の呼気凝縮液を蓄積しなければならなかった。
すなわち特許文献1に記載の例では、容量が20mL〜200mLの凝縮液収集容器904を冷却し、容器側壁に凝縮した液滴を容器底部へ落下させ蓄積していた。
また、特許文献2に記載の例では、容器の中の液体へ電圧を印加するために、電極が液体に十分浸るまで、容器を多量の呼気凝縮液で満たさなければならなかった。
このように多量の呼気凝縮液を得るためには、かなりの時間を要するという課題を有していた。そのため、例えば緊急を要する救急患者に対して迅速な呼気分析が困難であった。
それに加えて多量の呼気凝縮液を得るには、呼気を大量に収集しなければならないという課題もあった。そのため、患者、高齢者、乳幼児など健常人に比べて体力的な面で利用者にとって、身体的、精神的負担も大きかった。
本発明は、前記従来の課題を解決し、短時間かつ簡便に呼気凝縮液を生成し、呼気を分析する方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決する本発明は、呼気分析装置を用いて呼気を分析する方法であって、前記呼気分析装置は、容器と、前記容器の一端に設けられた呼気の注入口と、前記容器の他端に設けられた呼気の排出口と、前記容器の内部に設けられた冷却部と、前記冷却部の近傍に設けられた電極部と、前記容器の内部に設けられた対向電極部と、前記対向電極の近傍に設けられた化学物質検出部を備え、前記呼気は水蒸気と揮発性有機化合物を含み、前記方法は、前記呼気を前記注入口から前記容器へ注入する注入工程と、前記冷却部により前記電極部を冷却して前記電極部の外周面に前記呼気を凝縮する凝縮工程と、凝縮された前記呼気を帯電微粒子化する帯電微粒子化工程と、前記帯電微粒子を前記化学物質検出部へ静電気力により回収する回収工程と、回収された前記帯電微粒子に含まれる揮発性有機化合物を検出する検出工程とを包含する。
本発明において、前記揮発性有機化合物の分子量は15以上500以下であることが好ましい。
本発明において、前記容器は閉鎖可能であることが好ましい。
本発明において、前記冷却部は熱電素子であることが好ましい。
本発明において、前記電極部は前記冷却部により水蒸気の結露点以下に冷却されることが好ましい。
本発明において、前記電極部と前記冷却部とは、直接または熱伝導体を介して接触していることが好ましい。
本発明において、前記電極部は陰極、前記対向電極部は陽極であることが好ましい。
本発明において、前記帯電微粒子は水および呼気成分を含むことが好ましい。
本発明において、前記化学物質検出部は前記帯電微粒子により帯電する電荷を除去する機構を有することが好ましい。
本発明において、前記化学物質検出部は接地されることが好ましい。
本発明において、前記化学物質検出部は前記容器から分離可能であることが好ましい。
本発明において、前記帯電微粒子化工程は静電霧化であることが好ましい。
本発明において、前記帯電微粒子化工程において、前記電極部と前記対向電極部の間を流れる電流に応じて、前記電極部と前記対向電極部との間の電圧印加を制御することが好ましい。
本発明において、前記回収工程において、前記対向電極に対して前記化学物質検出部へ電圧を印加することが好ましい。
本発明において、前記電極部に付着した化学物質を除去するには、前記電極部を加熱することが好ましい。
本発明において、前記電極部を加熱して化学物質を除去するには、前記熱電素子を用いることが好ましい。
本発明において、前記電極部に付着した化学物質を、前記呼気以外の気体の気流により除去することが好ましい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明の呼気分析方法によれば、短時間で、冷却した電極部の外周面に呼気凝縮液を生成できる。また効率的に呼気成分を化学物質検出部へ捕集することができる。その結果として、分析に要する時間を大幅に短縮できるという効果が得られる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における呼気分析装置の模式図である。
本実施の形態において、呼気分析装置100は以下の構成からなる。
容器101は隔壁によって外部と仕切られる。隔壁を通じて外部との物質の出入りは行なわれない。容器101の形状は、直方体でも良いし、多面体、紡錘形、球形、流路状でも良い。容器101の容積は、呼気の総流入量に比べて十分小さいことが好ましい。たとえば呼気の総流入量が300ccの場合には、容器の容積は6cc以下が好ましい。容器101の材料は、吸着ガスや内蔵ガスの少ないものが望ましい。
容器101の材料は、ステンレス、アルミ、銅などの金属類でも良いし、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、窒化シリコン、アルミナ、シリコンカーバイドなど無機物でも良いし、表面に二酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタルなどの絶縁体薄膜が形成されたシリコン基板を用いても良い。またはこれらを2種類以上組み合わせても良い。
容器101の材料は、アクリル樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、フッ素樹脂、PDMSなどが好ましい。容器101の材料がプラスチックである場合、容器101の内壁には金属薄膜をコーティングすることがより好ましい。金属薄膜としてはアルミ薄膜が安価でガスバリア性に優れるため最も好ましいが、他の金属薄膜でも良い。またはこれらを2種類以上組み合わせても良い。なお、容器101は、堅固であることが好ましいが、エアーバック、バルーン、フレキシブルチューブ、シリンジなどのように柔軟もしくは可動性があっても良い。
注入口102は容器101の一端に設けられている。注入口102は容器101へ呼気を注入するために用いられる。注入口102を設ける位置については、呼気が容器101の内部へすみやかに注入される場所であれば、どこでも良い。たとえば容器101が直方体の場合には、注入口102は角部よりも面中央部に位置することが好ましい。なお本発明では、注入口102の形状、寸法、材料は限定されない。注入口102は、図1に示すように一本の管状であっても良いし、途中に分岐を有していても良い。さらに注入口102は、一箇所であっても良いし、複数箇所でも良い。
排出口103は、容器101の他端に設けられている。排出口103は、容器101から余剰な呼気を排出するために用いられる。排出口103を設ける位置は、余剰な呼気を容器101から排出できる場所であれば良い。なお本発明では、排出口103の形状、寸法、材料は限定されない。排出口103の形状は図1に示すように直管状であっても良いし、途中に分岐を設けても良い。さらに排出口103は一箇所であっても良いし、複数箇所でも良い。
冷却部104は、容器101の内部に設けられている。冷却部104を設けることにより、水蒸気の結露点以下まで冷却できるため、水蒸気および揮発性有機化合物を凝縮することができる。冷却部104は、熱電素子であることが最も好ましい。また、冷却部104は、水のような冷媒を使ったヒートパイプでも良いし、空気熱交換素子でも良いし、冷却ファンでも良い。効率よく呼気を冷却するために、冷却部104の表面積を大きくしても良いし、冷却部104の表面に凹凸加工を施しても良いし、冷却部104の表面に多孔体を設けても良い。冷却部104の位置は、容器101の底部であることが最も好ましい。冷却部104の位置は、側部や天井部でも良いし、これらを組み合わせて複数の冷却部104を設けても良い。
本発明の実施の形態において、冷却部104として熱電素子を用いる場合、熱電素子の放熱部には放熱フィンを設けても良い。あるいは熱電素子の放熱部を水冷しても良いし、空冷しても良いし、別の熱電素子で冷却しても良いし、他の冷却方法を用いても良い。またこれらを2種類以上組み合わせても良い。
電極部105は、容器101の内部にあって冷却部104の近傍に設けられている。電極部105は、冷却部104に直接接触していても良いし、熱伝導性シート、熱伝導性樹脂、金属板、グリースなど熱伝導体を介して接触させても良い。
電極部105は、冷却部104によって水蒸気の結露点以下に冷却されることが好ましい。一般に呼気は温度34℃、湿度95%と言われる。呼気中の水蒸気および揮発性有機化合物を結露させるために、電極部105の温度は、0℃以上30℃以下であることが好ましい。電極部105の温度は、0℃以上15℃以下であることがより好ましい。電極部105の温度は、電極部105の全体にわたり均一であることが好ましいが、異なっていてもよい。
電極部105の材料は、金属であることが最も好ましい。電極部105の材料は、シリコン、カーボンナノチューブでも良いし、グラファイト、フラーレン、ナノコーン、カーボンペースト、グラッシーカーボンなどの炭素材料でも良いし、PEDOT;PSS、ペンタセン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの有機導電ポリマーでも良い。さらに、酸化錫(ITO)、ポリシリコンなどの無機導電性材料でも良いし、有機銀のような有機金属でも良いし、エミッターとして用いられる他の材料であっても良い。
電極部105は、1つでも良いし、複数あっても良い。電極部105は、直線的に一次元に配列しても良い。電極105は、円周状、放物線状、楕円周状、正方格子状、斜方格子状、最密充填格子状、放射状、ランダム状などのように二次元に配列しても良い。電極部105は球面状、放物曲面状、楕円曲面状などのように三次元に配列しても良い。
電極部105の形状は、針状であることが好ましい。速やかに水蒸気の結露点以下へ電極部105を冷却するために、電極部105の長さは、3mm以上10mm以下であることが好ましい。電極部105の材料は、良熱伝導材料が好ましく、金属であることが最も好ましい。具体的にはステンレス、銅、真鍮、アルミ、ニッケル、タングステンなどの単体金属でも良いし、これらを二種類以上組み合わせた合金や金属間化合物であっても良い。さらにこれらの電極部105の表面を金、白金、アルミなどの金属薄膜で被覆しても良い。
対向電極部106は、電極部105に相対するように設けられている。対向電極部106の形状は、円環状であることが最も好ましい。対向電極部106の形状は、長方形、台形など多角形でも良い。対向電極部106の材料は、金属であることが好ましい。具体的にはステンレス、銅、真鍮、アルミ、ニッケル、タングステンなどの単体金属でも良いし、これらを二種類以上組み合わせた合金や金属間化合物であっても良い。さらにこれらの電極部105の表面を金、白金、アルミなどの金属薄膜で被覆しても良い。
電極部105は陰極であって、かつ対向電極部106は陽極であることが好ましい。電極部105と対向電極部106の間に印加する電圧は、固定値であっても良いし、可変値でも良い。可変値は帯電微粒子化の状況に応じて制御されることが好ましい。帯電微粒子化の状況は、電極部105と対向電極106の間を流れる電流値でモニターしても良いし、電極部105と化学物質検出部107の間を流れる電流値でモニターしても良いし、専用電極対を設けて電流値をモニターしても良い。
化学物質検出部107は、対向電極部106の近傍に設けられている。化学物質検出部107は、ガスクロマトグラフでも良いし、他の化学物質検出器を用いても良い。例えば、MOSFET(金属―酸化物―半導体電界効果トランジスタ)、ISFET(イオン感応型電界効果トランジスタ),バイポーラトランジスタ、有機薄膜トランジスタ、オプトード、金属酸化物半導体センサ、水晶マイクロバランス(QCM)、表面弾性波(SAW)素子、固体電解質ガスセンサ、電気化学電池センサ、表面波プラズモン共鳴(SPR)、ラングミュアブロジェット膜(LB膜)センサなどのセンサでも良い。化学物質検出部107は、高速液体クロマトグラフ、質量分析装置、核磁気共鳴装置などでも良い。化学物質検出部107は、図1に示すように1箇所でも良いし、複数箇所でも良い。さらに複数の化学物質検出部を設ける場合、同一種類でもよいし複数種類でも良い。
本発明の実施の形態において、化学物質検出部107は、化学物質に対して選択的に感応する電界効果トランジスタを用いても良い。電界効果トランジスタは、シリコンやガリウムヒ素、カーボンナノチューブ、シリコンナノワイヤなどの無機半導体材料を用いて作製しても良い。電界効果トランジスタは、ペンタセン、ポリチオフェン、PEDOT:PSSなどの有機半導体材料を用いて作製しても良い。有機半導体材料を用いて有機電気化学トランジスタを作製しても良い。なお本発明では、電界効果トランジスタの材料、寸法、数、製造方法は限定されない。
化学物質検出部107は、除電されることが好ましい。たとえば呼気が負に帯電している場合、化学物質検出部107は負に帯電する。この帯電量が過剰になるとき、化学物質検出部107の動作に多大な影響を及ぼすため、除電できるようにすることが好ましい。なお、除電は、常時行なっても良いし、適宜行なっても良い。
化学物質検出部107は、接地することにより除電することが好ましい。化学物質検出部107は、イオナイザーにより除電することが好ましい。
化学物質検出部107は、容器101から分離可能であることが好ましい。化学物質検出部107を分離した後、化学物質検出部107を洗浄することが好ましい。化学物質検出部107をディスポーザブルにしても良い。なぜなら、前回の測定履歴を気にすることなく清浄な状態で化学物質を検出できるためである。
注入口102および排出口103には、バルブ108aおよびバルブ108bが設けられていることが好ましい。これらのバルブ108aおよび108bにより、容器101を閉鎖可能にすることが好ましい。なお本発明では、バルブ108aおよび108bの材料、位置、種類は限定されない。さらに、注入口102および排出口103のコンダクタンスが小さくしても良い。
本発明の実施の形態において、注入口102および排出口103には、呼気の流れを制御する制御弁を設けても良い。制御弁は、逆止弁でも良いし、ストップバルブでも良い。
本発明の実施の形態において、注入口102および排出口103には、呼気の流量を計測する計測器を設けても良い。計測器は積算流量計でも良いし、マスフローメータでも良いし、他の流量計測器でも良い。
図2は、本発明の実施の形態1における呼気分析装置の動作を示す説明図である。図2において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
注入工程では、水蒸気201と呼気成分202a、202bからなる呼気203が、注入口102を通じて、容器101へ注入される。図2(a)は注入工程を表す。容器101の内部が呼気203によって満たされたかどうかを判別するには、化学物質検出部107を用いても良いし、化学物質検出部107とは別の化学物質検出部を用いても良い。化学物質検出部107は一つでも良いし、複数でも良い。
注入工程では、注入口102側から加圧して注入することが好ましいが、排出口103側を減圧して注入しても良い。
注入工程では、注入口102側を加圧する場合、ダイアフラムポンプやペリスタティックポンプやシリンジポンプなど電動ポンプを用いて注入しても良いし、シリンジやスポイドを使って手動で注入しても良いし、吐息でそのまま注入しても良い。
注入工程では、排出口103側を減圧する場合、ダイアフラムポンプやペリスタティックポンプやシリンジポンプなど電動ポンプにより注入しても良いし、シリンジにより手動で注入しても良い。
注入工程では、呼気203を容器101へ注入する前に、容器101の内部を清浄な空気で満たすことが好ましい。容器101の内部を、乾燥窒素やその他の不活性ガスでみたしても良いし、呼気と同程度の湿度を有する標準ガスや、較正用ガスで満たしても良い。
注入工程では、余剰な呼気203は排出口103から排出される。簡便のため図2(a)において呼気成分202a、202bは2種類だけ記載しているが、一般的に2種類以上の成分を含む。
凝縮工程では、冷却部104により、電極部105が水蒸気の結露点以下に冷却される。その結果、電極部105の外周面において、呼気中の水蒸気やその他の呼気成分202a、202bを含む凝縮液204が形成される。図2(b)および図2(c)は凝縮工程を表す。図2(b)は凝縮工程の初期段階を表す。図2(b)は、電極部105の外周面における凝縮液204の形成を表している。図2(c)は、凝縮工程の進行段階を表す。図2(c)は、電極部105の外周面における凝縮液204による被覆を表す。
なお、凝縮工程では、凝縮液204の量が過剰にならないよう、冷却部104の温度を制御することが好ましい。
帯電微粒子化工程では、凝縮液204から多数の帯電微粒子205を形成する。図2(d)は帯電微粒子化工程を表す。帯電微粒子の形態は、分子1個〜数十個からなるクラスタであっても良いし、分子数十〜数百個からなる微粒子であっても良いし、数百個以上からなる液滴であっても良い。またはこれらの2種類以上が混在していても良い。
帯電微粒子には、電気的に中性な分子の他に、呼気成分分子由来のイオンまたはラジカルが含まれていても良い。またはこれらが混在していても良い。帯電微粒子は、マイナスに荷電していることがより好ましいが、プラスに荷電していても良い。
帯電微粒子は、水および呼気成分を含んでいることが好ましい。帯電微粒子中の水と呼気成分の比率は、呼気と同じでも良いし、異なっていても良い。
帯電微粒子化工程では、帯電微粒子化するために静電霧化を用いることが好ましい。静電霧化の原理は次のとおりである。電極部105と対向電極部106の間に印加された電圧によって、電極部105先端へ凝縮液204が搬送される。クーロン引力により、対向電極部106に向かって、凝縮液204の液面が円錐状に盛り上がる。さらに凝縮が進んだ時、凝縮液先端における電荷の集中により、クーロン力が増大する。クーロン力が水の表面張力を超える時、凝縮液204が分裂、飛散して、帯電微粒子を形成する。
なお、静電霧化を行う際、コロナ放電が発生することがある。呼気中の相対湿度が低い場合や、電極部105の外周面に十分凝縮液が生成されていない場合である。コロナ放電は帯電微粒子化工程に含めても良い。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間を流れる電流に応じて、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を制御することが好ましい。例えば、帯電微粒子の過剰生成やコロナ放電などが原因で、電極部105と対向電極部106の間に過剰な電流が流れる時、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を一旦中断することが好ましい。電極部105と対向電極部106との間の印加電圧を小さくしても良い。その原因が除去され次第、電圧印加を再開しても良い。
帯電微粒子205の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。
帯電微粒子205に付加される帯電量は、微粒子1個あたり電荷素量(1.6x10-19C)と同量であることが最も好ましい。帯電微粒子205に付加される帯電量は、電荷素量より大きいことが好ましい。
回収工程では、帯電微粒子205を化学物質検出部107へ回収する。図2(e)は回収工程を表す。回収工程では、静電気力により帯電微粒子205を回収することが好ましい。対向電極部106に対して化学物質検出部107へ電圧を印加することが好ましい。帯電微粒子205が負の電荷を持つ場合、対向電極部106に対して化学物質検出部107へ直流正電圧を印加することが好ましい。電圧印加は、連続的であることが好ましいが、パルス的でも良い。
検出工程では、帯電微粒子に含まれる揮発性有機化合物を、化学物質検出部107によって検出する。検出工程では、揮発性有機化合物の定量を行なうことが好ましいが、化学物質の存在のみを検出しても良い。検出工程では、あらかじめ較正しておいた化学物質検出部を用いることが好ましい。なお本発明では、較正方法は限定されない。
揮発性有機化合物は、ケトン類、アミン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、アルデヒド類、エステル類、有機酸、硫化水素、メチルメルカプタン、ジスルフィドなどであることが好ましい。揮発性有機化合物は、アルカン、アルケン、アルキン、ジエン、脂環式炭化水素、アレン、エーテル、カルボニル、カルバニオ、タンパク、多核芳香族、複素環、有機誘導体、生物分子、代謝物、イソプレン、イソプレノイドおよびその誘導体などでも良い。
揮発性有機化合物の分子量は、(1)揮発の容易さ、(2)呼気中に含まれる得る化合物、という観点から、15以上500以下が好ましく、30以上400以下がより好ましい。
世界保健機関(WHO)によると、(広義の)揮発性有機化合物は、超揮発性有機化合物(VVOC、沸点0℃〜50−100℃)、揮発性有機化合物(VOC、沸点50−100℃〜240−260℃)、半揮発性有機化合物(SVOC、沸点240−260℃〜380−400℃)、粒子状物質(POM、沸点380℃以上)に分類される。代表的なVVOCは、ホルムアルデヒド(分子量30、沸点−19.2℃)、アセトアルデヒド(分子量44、沸点20.2℃)、ジクロロメタン(分子量85、沸点40℃)である。代表的なVOCは、トルエン(分子量92、沸点110.7℃)、キシレン(分子量106、沸点144℃)、ベンゼン(分子量78、沸点80.1℃)、スチレン(分子量104、沸点145.1℃)などである。代表的なSVOCは、リン酸トリブチル(分子量266、沸点289℃)、フタル酸ジオクチル(分子量391、沸点370℃)などである。本発明では、単に揮発性有機化合物といえば、広義の揮発性有機化合物を意味し、VVOC、VOC、SVOC、POMなどを含む。
揮発性有機化合物の沸点は、−160℃以上400℃以下が好ましい。
温度変動、湿度変動、妨害物質の存在、電磁ノイズなど誤差要因を低減するため、容器101の内部に、補正用の化学物質検出部を設けても良い。化学物質検出部と補正用の化学物質検出部を差動で動作させて誤差要因を低減してもよい。
本発明の実施の形態において、上述の注入工程から検出工程までの少なくとも2つ以上の工程は同時に行なわれてもよい。すなわち、例えば凝縮工程と帯電微粒子化工程が同時に行なわれても良い。またはそれぞれの工程を順序立てて行なっても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105に付着した化学物質を除去するために、電極部105を加熱することが好ましい。電極部105を加熱する時に、容器101へ清浄なガスを注入しても良い。電極部105付着した化学物質を除去するために、他の方法を組み合わせても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105を加熱して化学物質を除去するために、熱電素子を用いることが好ましい。熱電素子は、容易に冷却面と加熱面を反転できるので、便利である。凝縮工程および化学物質を除去する時に同一の熱電素子を兼用すれば、分析装置の小型化にも寄与できる。電極部105に付着した化学物質が除去されたことを検出するために、化学物質検出部107を用いても良い。電極部105に付着した化学物質が除去されたことを検出するために、電極部105の外周面に検出部を設けても良いし、他の公知技術を用いても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105に付着した化学物質は、呼気以外の気体の気流により除去することが好ましい。気体は乾燥窒素ガスであることが好ましい。気体は化学物質検出部の較正用ガスであることが好ましい。
本発明の実施の形態では、電極部105を冷却することにより、電極部105の外周面に呼気凝縮液を得ることが特徴の一つである。つまり、従来の分析方法では、電極部が単なる電圧印加のための手段でしかなかった。そのために、呼気凝縮液を保持するには凝縮液蓄積容器を別途設けなければならなかった。しかし前述のように、凝縮液蓄積容器へ呼気凝縮液を蓄積するには相当な時間を要する。そこでこれを解決するために、本発明では、電極部105に2つの役割を持たせたことに特色がある。すなわち、電極部105は、(1)電圧印加のための電極、(2)呼気凝縮液を保持する手段を兼ねる。これにより、呼気分析に必要な凝縮液の量を大幅に削減できる上に、分析時間を短縮できる。
なお本発明の実施の形態は、従来の静電霧化を利用したマイナスイオンミスト発生装置の形態とは基本的に異なる。すなわち、従来のマイナスイオンミスト発生装置は、帯電微粒子の直径が数nm〜数十nmと非常に小さい。したがって、帯電微粒子は空気中に10分間程度の長時間浮遊する。また帯電微粒子の拡散性が高い。これらのマイナスイオンミストの性質は、肌や毛髪の保湿器、脱臭器へ適用するには、大きな利点となる。しかし、本発明のような分析装置ではこの性質は欠点となる。なぜなら、帯電微粒子の浮遊性、拡散性により、検出対象である化学物質はむしろ希釈されてしまうためである。希釈を防ぐために、本発明では、閉鎖可能な容器の内部に静電霧化機構を設け、化学物質を含んだ帯電微粒子を静電気力によって効率的に回収する。それが本発明のもう一つの特色である。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における呼気分析装置の模式図である。図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
本発明の実施の形態において、図3において、注入口102の近傍には、マウスピース301と唾液トラップ302が設けられている。
マウスピース301は、呼気を容器101へ容易に注入できるため、呼気分析装置の操作を簡便にできる。マウスピース301は衛生上、使い捨てにすることが好ましい。マウスピース301は、シリコーンラバーで形成されることが好ましい。なお本発明では、マウスピース301の材質、寸法、形状を限定されない。
唾液トラップ302は、呼気とともに唾液が容器101へ混入してしまうことを抑制する。唾液トラップ302は、唾液のみならず口から排出される唾、痰、食べ物の残りカス、埃などをトラップしても良い。
本発明の実施の形態において、冷却部104の一端に放熱部303が設けられている。放熱部303は、容器101の外部に設けてあることが好ましい。放熱部303は、放熱フィンであることが最も好ましい。放熱部303は、冷却ファンでも良いし、水冷管でも良いし、その他の冷却手段でも良い。また、これらを2種類以上組み合わせても良い。
本発明の実施の形態において、電極部105の一部に接続部304が設けられている。接続部304は、冷却部104と電極部105を接続する部材であって、接続部304を通じて熱伝導する。電極部105は、接続部304を介して加熱しても良い。なお本発明では、接続部304の形状、寸法、材質は限定されない。
本発明の実施の形態において、冷却部104の近傍には温度センサ305が設けられている。温度センサ305を設けることにより、凝縮の具合を制御することができる。すなわち冷却部104近傍の温度を所望の温度に保持することにより、凝縮液の量を自由自在に制御できる。温度センサ305は、電極部105の近傍に設けてもよい。温度センサ305は、接続部304の近傍に設けてもよい。温度センサ305は、注入口102の近傍に設けても良い。温度センサ305は、容器101の内部に設けても良い。温度センサ305は1つでも良いし、複数個設けても良い。
本発明の実施の形態において、温度センサ305は、熱電対が最も好ましい。温度センサ305は、抵抗温度センサでも良いし、赤外温度センサでも良いし、他の温度センサでも良い。温度センサ305は、1種類でも良いし、複数種類でも良い。温度センサ305は、注入される呼気の温度を計測しても良い。
本発明の実施の形態において、呼気分析装置100には湿度センサ306が設けられている。注入される呼気の湿度は個々人によって異なるため、湿度センサ306を設けることが好ましい。湿度センサ306により呼気の飽和水蒸気量、露点などを算出できるので、冷却部104および電極部105の設定温度、成分分析データの解析などに有用である。なお本発明では、湿度センサ306の種類、数量、位置は限定されない。
本発明の実施の形態において、排出口103の近傍には逆止弁307が設けられている。逆止弁307を設けることにより、呼気注入時に誤って大気などが容器101の中へ混入するのを防止する。逆止弁307は、注入口102の近傍に設けても良い。逆止弁307はダイアフラムでも良いし、チャッキバルブでも良いし、他の逆流防止具を用いても良い。
本発明の実施の形態において、逆止弁307の近傍にはポンプ308が設けられている。ポンプ308は、呼気を容器101へ注入するのを補助する。特に呼気を吐き出す力の弱い患者や高齢者、乳幼児への使途には好適である。ポンプ308は、ダイアフラムポンプでも良いし、シリンジポンプでも良いし、真空管などでも良い。ポンプ308は、容器101内を清浄にするためのガスを、注入するために用いても良い。ポンプ308には、流量調整用のバルブが付置されていても良い。
本発明の実施の形態において、化学物質検出部107には、検出対象である化学物質に対して選択的に応答する感応膜を設けても良い。なお本発明では、感応膜の種類、数量、配置、寸法は限定されない。たとえば感応膜の材料として、金属酸化物、白金、パラジウムなどの無機化合物を用いても良いし、分子インプリントによる鋳型ポリマーを用いても良いし、有機半導体材料、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、酵素、生体膜、受容体タンパク、抗体、オリゴヌクレオチドなどを用いても良いし、ラングミュア‐ブロジェット膜(LB膜)、脂質二重膜を用いても良い。またはこれらの複数種類を組み合わせても良い。
本発明の実施の形態において、化学物質検出部107には、制御部309および表示部310が設けられている。制御部309は、化学物質検出部107の電気的および機械的な制御を行なう部位である。制御部309には、化学物質検出部107で計測された値を解析する解析部を設けても良い。解析部は、主成分分析、絶対値表現分析、判別分析、因子分析、クラスタ分析、コンジョイント分析など多変量解析を行なっても良いし、多回帰解析など他の統計解析を行なっても良い。表示部310は、化学物質検出部107で計測した値を表示することが好ましい。表示部310は、制御部309で得た値をそのまま表示しても良いし、解析した値を表示しても良い。
本発明の実施の形態において、呼気分析装置100には電磁シールドを設けることが好ましい。電磁シールドを設けることにより、外部からの電磁ノイズを遮蔽することができるので、微弱な信号を検知できる。
(実施例1)
容器101は、厚み0.5mmの透明アクリル樹脂板により作製した。容器101は、32mm×17mm×12mmの直方体とした。凝縮液の形成過程を観察するために、容器101を透明体により作製することが好ましい。容器101は一体成型しても良い。
注入口102は、容器101の一端に直径3mmの貫通穴を形成した後、外径3mmのシリコーンチューブを接続することにより形成した。なお本発明では、注入口102の形成方法は限定されない。容器101を一体成型すると同時に、注入口102を形成しても良いし、切削加工で形成しても良いし、ドライエッチング、ホットエンボス、ナノインプリントなど他の一般的な方法で形成しても良い。
排出口103は、容器101の他端に直径3mmの貫通穴を形成した後、外径3mmのシリコーンチューブを接続することにより形成した。なお本発明では、排出口103の形成方法は限定されない。容器101を一体成型すると同時に排出口103を形成しても良いし、切削加工で形成しても良いし、ドライエッチング、ホットエンボス、ナノインプリントなど他の一般的な方法で形成しても良い。
冷却部104として容器101の内部に熱電素子を設けた。熱電素子の大きさは14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。熱電素子の冷却面は、セラミックス材で被覆した。セラミックス材はその表面に微細な凹凸や多孔体構造を有するため、接触する物体を効率的に冷却できる。なお、本実施例では1箇所に熱電素子を設けたが、複数箇所に熱電素子を設けても良い。
電極部105として、容器101の内部にあって冷却部104の近傍に、ステンレス製針を設けた。電極部105の長さは、3mmであった。電極部105の直径は、最も太い部分で0.79mm、最も細い部分で0.5mmであった。電極部105の先端には直径0.72mmの球を設け、安定して帯電微粒子化工程を行なえるようにした。電極部105は、ステンレス板を介して、冷却部104の熱電素子と接触させた。ステンレス板の大きさは、10mm×10mm×1mmであった。ステンレス板と熱電素子とは良熱伝導性の樹脂により接触させた。
対向電極部106は、電極部105の先端から3mm離れたところに設けた。対向電極部106の形状は、外径12mm、内径8mm、厚さ0.47mmの円環状であった。対向電極部106の材質はステンレスであった。
化学物質検出部107は、冷却可能な電極と、シリンジと、ガスクロマトグラフで構成した。化学物質検出部107の一部は、熱電素子で冷却した。熱電素子の大きさは、14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は、0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。ガスクロマトグラフはジーエルサイエンス社製のGC−4000を用いた。
注入口102および排出口103には、それぞれバルブ108aおよびバルブ108bを設けた。バルブ108aおよびバルブ108bとしてボールバルブを用いた。
次に呼気分析装置の操作手順を説明する。
注入工程では、呼気モデルガスを注入口102から容器101へ注入した。本実施例において容器101の容積は6.5mLであって、成人の肺活量(2000〜4000cc程度)に比べて十分小さく、呼気モデルガスを数秒間噴き込めば、容器101の中は呼気モデルガスで充満されたとみなせる。
呼気モデルガスは、乾燥窒素ガスを水および酢酸0.3%水溶液へ導入し、バブリングして得た。乾燥窒素ガスの流量は500sccmであった。呼気モデルガスの温度は25℃であった。この呼気モデルガスを用いた理由は、(a)実際の呼気成分中に酢酸成分が含まれていること(非特許文献4 297頁)、(b)揮発性有機化合物であること、および(c)本発明の呼気分析装置の効果を再現性よく定量的に評価するためには実際の呼気よりも入手し易いこと、である。
注入工程では、容器101へ呼気モデルガスを注入する前に、容器101の内部を乾燥窒素ガスで満たした。
注入工程では、余剰な呼気モデルガスは排出口103を通じて排出した。
凝縮工程では、熱電素子により電極部105を冷却した。電極部105の温度は動作前に26℃であったが、30秒後には15℃まで低下した。電極部105の温度は、Kタイプの熱電対により測定した。
熱電素子を動作し始めて5秒後に、電極部105の外周面において凝縮液が形成された。初期段階では、凝縮液は直径10μm以下の液滴状であった。時間の経過とともに、液滴状の凝縮液は成長して、分析に十分な液量を得た。電極部105での凝縮液の形成は、マイクロスコープ(KEYENCE社製、VH−6300)を用いて観察した。図4は、電極部105の外周面に呼気凝縮液が形成された様子を表す。図4に示すように電極部105の外周面に凝縮液401が形成された。
帯電微粒子化工程では、凝縮液を多数の帯電微粒子にした。帯電微粒子化は、静電霧化により行なった。なお、本発明の帯電微粒子化をコロナ放電により行なってもよい。
帯電微粒子の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。帯電微粒子は、1個ずつ単独で存在することが好ましい。帯電微粒子は、複数個の結合体で存在しても良い。なお本発明では、微粒子化された呼気の形状は限定されない。球形であっても良いし、扁平形であっても良いし、紡錘形であっても良い。
電極部105と対向電極部106の間にはDC5kVを印加した。この時、電極部105を陰極、対向電極部106を陽極とした。電極部105を陽極、対向電極106を陰極としても同様の効果が得られるが、帯電微粒子化工程は比較的不安定であった。
帯電微粒子化工程では、電極部105の先端に、テーラーコーンと呼ばれる円錐形の水柱が形成された。その水柱の先端から、化学物質を含む多数の帯電微粒子が放出された。図5は、テーラーコーンおよび帯電微粒子の生成を説明する図である。テーラーコーン501を形成する凝縮液502は、電極部105の先端方向へ、順次搬送された。テーラーコーン501の最先端すなわち電界の集中する場所から、帯電微粒子503が形成された。
図6に、呼気凝縮液により形成したテーラーコーンを示す。呼気モデルガスを注入し始めてから7秒後に、テーラーコーン601が形成された。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間に流れる電流を計測した。過剰な電流が流れた場合には、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を中断または印加電圧を減少させた。
回収工程では、帯電微粒子を化学物質検出部107へ静電気力により回収した。対向電極106に対して化学物質検出部107へ+500Vの電圧を印加した。なお本発明では、印加電圧の大きさを限定されない。帯電微粒子の寿命の観点から、回収工程は帯電微粒子工程と同時に行なうことが最も好ましく、遅くとも帯電微粒子工程開始10分後までに回収工程を行なうことが好ましい。
静電気力により回収された帯電微粒子は、再び冷却凝縮して液状にした。回収した帯電微粒子は、液状にすることが最も好ましいが、霧状のままでもよい。液体状にするには、帯電微粒子を冷却凝縮しても良いし、水溶液やゲルに溶解しても良い。
化学物質検出部107は、冷却可能な電極と、シリンジと、ガスクロマトグラフから構成されるが、図7は、その冷却可能な電極、すなわち第2電極部701の外周面において、帯電微粒子が再び冷却凝縮される様子を表す。冷却凝縮の様子は、マイクロスコープ(KEYENCE社製、VH−6300)を用いて観察した。
図7(a)は、第2電極部701の温度を12℃にした時の、冷却凝縮の様子を表す。第2電極部701の外周面に、凝縮液702が形成された。図7(b)は、第2電極部701の温度を22℃にした時の、冷却凝縮の様子を表す。第2電極部701の外周面に、凝縮液702は形成されなかった。図7(c)は、第2電極部701の温度を−5℃にした時の、冷却凝縮の様子を表す。第2電極部701の外周面に、凝縮液702が凝結した凝結体703が形成された。
(表1)は、第2電極部701の温度と、凝縮液702の液量の関係を表す。凝縮液702の液量は、6分間の回収工程により得られた量とした。なお、第2電極701の温度を−5℃とした時、凝縮液702は凝結したため、液量を0とした。第2電極部701の温度が0℃以下の時、凝縮液702は凝結した。したがって第2電極部701の温度は、0℃以上18℃以下であることが好ましい。凝縮液702を短時間に得られるので、第2電極部701の温度は、0℃以上7℃以下であることがより好ましい。なお、凝結した凝縮液702は、加温することにより、再び液化してもよい。
回収工程では、第2電極部701の温度を12℃にして、帯電微粒子を冷却凝縮した。得られた1μLの凝縮液702をシリンジにより採取し、ガスクロマトグラフへ導入した。
検出工程では、ガスクロマトグラフへ導入された呼気凝縮液を分析した。図8は呼気成分すなわち酢酸を分析した例を示す。縦軸は、酢酸のガスクロマトグラムのピーク面積を表す。ピーク面積が大きいほど、酢酸の濃度が高いことを意味する。リファレンスとして0.3%の酢酸水溶液を示した(図8の左側棒グラフ)。比較のため、静電霧化を用いずに呼気を冷却凝縮しただけの例を示した(図8の中側棒グラフ)。静電霧化を用いて呼気を分析した用いた場合(図8の右側棒グラフ)には、静電霧化を用いない場合に比べて、約2倍の濃縮効果が得られた。この結果は、同じ量の呼気成分を収集するための時間が、従来装置に比べて約半分ですむことを意味しており、本発明により効率的に呼気を分析できることを示している。
なお、検出条件は以下のとおりであった。分析カラムにはキャピラリカラム(TC−FFAP,ジーエルサイエンス社製)を用いた。キャピラリカラムの内径は0.53mm、長さは30mであった。キャリアガスはヘリウムであった。オーブン温度は160℃とした。インジェクション温度および水素炎イオン化検出器(FID)温度はそれぞれ250℃であった。
検出工程の後、容器101から化学物質検出部107を取り外した。取り外された化学物質検出部107をメタノールにより洗浄した。
検出工程の後、電極部105に付着した化学物質を除去するため、電極部105を加熱した。電極部105を熱電素子により加熱した。熱電素子は、凝縮工程において電極部105を冷却した時と同一のものを用いた。電極部105を加熱する時、熱電素子に加える電圧の極性は、電極部105を冷却した時の極性と反転した。
電極部105を加熱して付着した化学物質を除去するため、電極部105を乾燥窒素ガスの気流に曝した。これにより迅速に電極部105から化学物質の除去を行なうことができた。乾燥窒素ガスは注入口102から導入した。
帯電微粒子化工程または回収工程において、化学物質検出部107の除電を行なった。化学物質検出部107を接地することにより除電した。
帯電微粒子化工程において、対向電極部106と電極部105の間に流れる電流をモニターした。過剰な電流が流れた時には、電極部105と対向電極部106の間の電圧印加を中断した。
図9は、容器101を設けた場合と、容器101を設けない場合の呼気分析の結果を示す。閉鎖可能な容器101を設けた場合が、容器101を設けない場合よりも、効率的に呼気を分析できた。従来装置を使用した場合、凝縮液を得るために10分以上を要した。しかし本実施例では、呼気の注入開始から検出工程を含めて実質的な所要時間は約3分であった。その結果、分析に要する時間を短縮できた。
従来の冷却凝縮装置を用いると凝縮液収集容器の操作を伴うため、多くの時間を要する。しかし本発明によると、従来の冷却凝縮のみで呼気分析を行う場合に比べて、呼気成分を効率的に濃縮できることから、分析時間を短縮することができた。
(実施例2)
本実施例ではヒトの呼気を分析した。本実施例において、呼気分析装置は実施例1と同じものを用いたため、呼気分析装置の説明を省略する。
呼気分析装置の操作手順を次に説明する。
注入工程では、注入口102から容器101へ呼気を注入した。まず、呼気をサンプラーバッグ(容積1L、アルミコーティング)へ500mL採取した。その後、呼気をサンプラーバッグから注入口102を通じて、容器101へ注入した。
注入工程では、容器101へ呼気を注入する前に、容器101の内部を乾燥窒素ガスで満たした。
注入工程では、余剰な呼気は排出口103を通じて排出した。
凝縮工程では、熱電素子により電極部105を冷却した。電極部105の温度は動作前に26℃であったが、30秒後には15℃まで低下した。電極部105の温度測定は、Kタイプの熱電対で行った。
熱電素子動作開始5秒後に、電極部105の外周面において凝縮液が形成され始めた。初期段階では、凝縮液は直径10μm以下の液滴状であった。時間の経過とともに、液滴状の凝縮液は成長して、分析に十分な液量を得た。
帯電微粒子化工程では、凝縮液を多数の帯電微粒子にした。帯電微粒子化は静電霧化で行なった。なお、前述の実施の形態1でも述べたように、静電霧化の初期段階で、コロナ放電が発生するが、本発明の帯電微粒子化工程にはこれも含めても良い。
帯電微粒子の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。帯電微粒子は、1個ずつ単独で存在することが好ましい。帯電微粒子は、複数個が結合体で存在しても良い。なお本発明では、微粒子化された呼気の形状を限定されない。球形であっても良いし、扁平形であっても良いし、紡錘形であっても良い。
電極部105と対向電極部106の間にはDC5kVを印加した。この時、電極部105を陰極、対向電極部106を陽極とした。電極部105を陽極、対向電極106を陰極としても同様の効果が得られるが、帯電微粒子化工程は比較的不安定であった。
帯電微粒子化工程では、電極部105の先端に、テーラーコーンと呼ばれる円錐形の水柱が形成された。その水柱の先端から、化学物質を含む多数の帯電微粒子が放出された。
呼気を注入し始めてから7秒後に、テーラーコーン601が形成された。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間に流れる電流を計測した。過剰な電流が流れた場合には、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を中断または印加電圧を減少させた。
回収工程では、帯電微粒子を化学物質検出部107へ静電気力により回収した。対向電極106に対して化学物質検出部107へ+500Vの電圧を印加した。なお本発明では、印加電圧の大きさは限定されない。帯電微粒子の寿命の観点から、回収工程は帯電微粒子工程と同時に行なうことが最も好ましく、遅くとも帯電微粒子工程開始10分後までに回収工程を行なうことが好ましい。
静電気力により回収された帯電微粒子は、再び冷却凝縮して液状にした。なお、回収した帯電微粒子は、液状にすることが最も好ましいが、霧状のままでもよい。液体状にするには、帯電微粒子を冷却凝縮しても良いし、水溶液やゲルに溶解しても良い。
回収工程では、第2電極部701の温度を12℃にして、帯電微粒子を冷却凝縮した。得られた1μLの凝縮液702をシリンジにより採取し、ガスクロマトグラフへ導入した。
検出工程では、ガスクロマトグラフへ導入された呼気凝縮液を分析した。図10は呼気を分析した例を示す。呼気中に含まれる揮発性有機化合物を検出した。
なお、検出条件は以下のとおりであった。分析カラムにはキャピラリカラム(TC−FFAP,ジーエルサイエンス社製)を用いた。キャピラリカラムの内径は0.53mm、長さは30mであった。キャリアガスはヘリウムであった。オーブン温度は160℃とした。インジェクション温度および水素炎イオン化検出器(FID)温度はそれぞれ250℃であった。
呼気の注入開始から検出工程を含めて実質的な所要時間は約3分であった。本発明によると、短時間かつ簡便にヒトの呼気の分析ができた。
(実施例3)
容器101は、厚み4mmのアルミ板により作製した。容器101は、34mm×34mm×20mmの直方体とした。
注入口102は、容器101の一端に、外径3.17mm、長さ50mmのステンレス管を接続することにより形成した。
排出口103は、容器101の他端に、外径3.17mm、長さ50mmのステンレス管を接続することにより形成した。
冷却部104として熱電素子を容器101の内部に設けた。熱電素子の大きさは14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。熱電素子の冷却面は、セラミックス材で被覆した。セラミックス材はその表面に微細な凹凸や多孔体構造を有するため、接触する物体を効率的に冷却することができる。なお、本実施例では1箇所に熱電素子を設けたが複数箇所に熱電素子を設けても良い。
電極部105として、容器101の内部にあって冷却部104の近傍に、ステンレス製針を設けた。電極部105の長さは、3mmであった。電極部105の直径は、最も太い部分で0.79mm、最も細い部分で0.5mmであった。電極部105の先端には直径0.72mmの球を設け、安定して帯電微粒子化工程を行なえるようにした。電極部105は、ステンレス板を介して、冷却部104の熱電素子と接触させた。ステンレス板の大きさは、10mm×10mm×1mmであった。なお、ステンレス板と熱電素子とは良熱伝導性の樹脂で接触させた。
対向電極部106は、電極部105の先端から3mm離れたところに設けた。対向電極部106の形状は、外径12mm、内径8mm、厚さ0.47mmの円環状であった。対抗電極部106の材質はステンレスであった。
化学物質検出部107は、冷却可能な電極と、シリンジと、ガスクロマトグラフで構成した。化学物質検出部107の一部は、熱電素子で冷却した。熱電素子の大きさは、14mm×14mm×1mmであった。熱電素子の最大吸熱は、0.9Wであった。熱電素子の最大温度差は69℃であった。熱電素子には放熱フィンを設けた。ガスクロマトグラフはジーエルサイエンス社製のGC−4000を用いた。
注入口102および排出口103には、それぞれバルブ108aおよびバルブ108bを設けた。バルブ108aおよびバルブ108bとしてボールバルブを用いた。
次に呼気分析装置の操作手順を説明する。
注入工程では、呼気モデルガスを注入口102から容器101へ注入した。本実施例において容器101の容積は6.5mLであって、成人の肺活量(2000〜4000cc程度)に比べて十分小さく、呼気モデルガスを数秒間吹き込めば、容器101の中は呼気モデルガスで充満されたとみなすことができる。
呼気モデルガスは、乾燥窒素ガスを水および有機溶液(酢酸(分子量60.05)、2−プロパノール(分子量60.10)、キシレン(分子量106.17)、サリチル酸メチル(分子量152.15)、メントール(分子量156.27))へ導入し、バブリングして得た。乾燥窒素ガスの流量は500sccmであった。なお、上記の有機溶液はいずれも揮発性有機化合物である。
注入工程では、容器101へ呼気モデルガスを注入する前に、容器101の内部を乾燥窒素ガスで満たした。
注入工程では、余剰な呼気モデルガスは排出口103を通じて排出した。
凝縮工程では、熱電素子により電極部105を冷却した。電極部105の温度は動作前に26℃であったが、30秒後には15℃まで低下した。電極部105の温度は、Kタイプの熱電対により測定した。
熱電素子を動作し始めて5秒後に、電極部105の外周面において凝縮液が形成された。めた。初期段階では、凝縮液は直径10μm以下の液滴状であった。時間の経過とともに、液滴状の凝縮液は成長して、分析に十分な液量を得た。
帯電微粒子化工程では、凝縮液を多数の帯電微粒子にした。帯電微粒子化は、静電霧化により行なった。なお、本発明の帯電微粒子化をコロナ放電により行なってもよい。
帯電微粒子の直径は、帯電微粒子の安定性の観点から、2nm以上30nm以下であることが好ましい。帯電微粒子は、1個ずつ単独で存在することが好ましい。帯電微粒子は、複数個が結合体で存在しても良い。なお本発明では、微粒子化された呼気の形状を限定されない。球形であっても良いし、扁平形であっても良いし、紡錘形であっても良い。
電極部105と対向電極部106の間にはDC5kVを印加した。この時、電極部105を陰極、対向電極部106を陽極とした。電極部105を陽極、対向電極106を陰極としても同様の効果が得られるが、帯電微粒子化工程は比較的不安定であった。
帯電微粒子化工程では、電極部105の先端に、テーラーコーンと呼ばれる円錐形の水柱が形成された。その水柱の先端から、化学物質を含む多数の帯電微粒子が放出された。
呼気モデルガスを注入し始めてから7秒後に、テーラーコーン601が形成された。
帯電微粒子化工程では、電極部105と対向電極部106の間に流れる電流を計測した。過剰な電流が流れた場合には、電極部105と対向電極部106との間の電圧印加を中断または印加電圧を減少させた。
回収工程では、帯電微粒子を化学物質検出部107へ静電気力により回収した。対向電極106に対して化学物質検出部107へ+500Vの電圧を印加した。なお本発明では、印加電圧の大きさは限定されない。帯電微粒子の寿命の観点から、回収工程は帯電微粒子工程と同時に行なうことが最も好ましく、遅くとも帯電微粒子工程開始10分後までに回収工程を行なうことが好ましい。
静電気力により回収された帯電微粒子は、再び冷却凝縮して液状にした。なお、回収した帯電微粒子は、液状にすることが最も好ましいが、霧状のままでもよい。液体状にするには、帯電微粒子を冷却凝縮しても良いし、水溶液やゲルに溶解しても良い。
回収工程では、第2電極部701の温度を12℃にして、帯電微粒子を冷却凝縮した。得られた1μLの凝縮液702をシリンジにより採取し、ガスクロマトグラフへ導入した。
検出工程では、ガスクロマトグラフへ導入された呼気凝縮液を分析した。
(表2)は、揮発性有機化合物、すなわち酢酸、2−プロパノール、キシレン、サリチル酸メチル、メントールおよびスクラレオールを分析した例を表す。(表2)において、濃縮比とは、単位体積あたりの呼気モデルガスに含まれる揮発成分の濃度に対する、凝縮液702に含まれる揮発成分の濃度の比である。
(表2)に示すように、いずれの揮発性有機化合物についても濃縮効果が得られ、効率的に呼気を分析できることを示している。揮発性有機化合物の分子量は、12以上500以下が好ましく、30以上300以下がより好ましい。
なお、検出条件は以下のとおりであった。分析カラムにはキャピラリカラム(INERTCAP PURE WAX、ジーエルサイエンス社製)を用いた。キャピラリカラムの内径は0.25mm、長さは30mであった。キャリアガスはヘリウムであった。オーブン温度は160℃とした。インジェクション温度および水素炎イオン化検出器(FID)温度はそれぞれ250℃であった。
本実施例において、揮発性有機化合物を容易に濃縮できることを示した。この結果から、本発明によれば、短時間かつ簡便に呼気分析ができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明にかかる呼気分析方法は、短時間で簡便な測定が可能な呼気分析装置へ適用可能であり、呼気診断装置、ストレス計測器などの医療分野、ヘルスケア分野などへ利用することができる。
本発明の実施の形態1における呼気分析装置の模式図である。 本発明の実施の形態1における呼気分析装置の動作を示す説明図である。 本発明の実施の形態2における呼気分析装置の模式図である。 凝縮工程における電極部表面の顕微鏡写真である。 帯電微粒子化工程の説明図である。 帯電微粒子化工程における電極部先端の説明図および顕微鏡写真である。 本発明の回収工程における第2電極部の顕微鏡写真である。 本発明の検出工程における呼気の分析例である。 本発明の検出工程における呼気の分析例である。 本発明の検出工程における呼気の分析例である。 従来の呼気分析装置の模式図である。 従来の呼気分析装置の模式図である。
符号の説明
100 呼気分析装置
101 容器
102 注入口
103 排出口
104 冷却部
105 電極部
106 対向電極部
107 化学物質検出部
108a、108b バルブ
201 水蒸気
202a、202b 呼気成分
203 呼気
204 凝縮液
205 帯電微粒子
301 マウスピース
302 唾液トラップ
303 放熱部
304 接続部
305 温度センサ
306 湿度センサ
307 逆止弁
308 ポンプ
309 制御部
310 表示部
401 凝縮液
501 テーラーコーン
502 凝縮液
503 帯電微粒子
601 テーラーコーン
602 帯電微粒子
701 第2電極部
702 凝縮液
703 凝結体
901 呼気冷却凝縮装置
902 熱伝体
903 熱電素子
904 凝縮液収集容器
905 キャップ
906 呼気導入パイプ
907 呼気排出用の開口
908 逆流防止具
909 吐出逆止弁
910 吸入逆止弁
911 呼気通過管
912 マウスピース
913 唾液トラップ
914 保温材
915 電気ヒータ
916 流量計
917 表示器
1001 X−Yステージ
1002 基体
1003 蛋白質スポット
1004 誘電体グリッド
1005 液体容器

Claims (17)

  1. 呼気分析装置を用いて呼気を分析する方法であって、
    前記呼気分析装置は、
    容器と、
    前記容器の一端に設けられた呼気の注入口と、
    前記容器の他端に設けられた呼気の排出口と、
    前記容器の内部に設けられた冷却部と、
    前記冷却部の近傍に設けられた電極部と、
    前記容器の内部に設けられた対向電極部と、
    前記対向電極の近傍に設けられた化学物質検出部を備え、
    前記呼気は水蒸気と揮発性有機化合物を含み、
    前記方法は、
    前記呼気を前記注入口から前記容器へ注入する注入工程と、
    前記冷却部により前記電極部を冷却して前記電極部の外周面に前記呼気を凝縮する凝縮工程と、
    凝縮された前記呼気を帯電微粒子化する帯電微粒子化工程と、
    前記帯電微粒子を前記化学物質検出部へ静電気力により回収する回収工程と、
    回収された前記帯電微粒子に含まれる揮発性有機化合物を検出する検出工程と
    を包含する呼気分析方法。
  2. 前記揮発性有機化合物の分子量は、15以上500以下であることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法
  3. 前記容器は、閉鎖可能であることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  4. 前記冷却部は、熱電素子であることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  5. 前記電極部は、前記冷却部により水蒸気の結露点以下に冷却されることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  6. 前記電極部と前記冷却部とは、直接または熱伝導体を介して接触していることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  7. 前記電極部は陰極、前記対向電極部は陽極であることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  8. 前記帯電微粒子は水および呼気成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  9. 前記化学物質検出部は、前記帯電微粒子により帯電する電荷を除去する機構を有することを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  10. 前記化学物質検出部は、接地されることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  11. 前記化学物質検出部は前記容器から分離可能であることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  12. 前記帯電微粒子化工程は、静電霧化であることを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  13. 前記帯電微粒子化工程において、前記電極部と前記対向電極部の間を流れる電流に応じて、前記電極部と前記対向電極部との間の電圧印加を制御することを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  14. 前記回収工程において、前記対向電極に対して前記化学物質検出部へ電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  15. 前記電極部に付着した化学物質を除去するには、前記電極部を加熱することを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
  16. 前記電極部を加熱して化学物質を除去するには、前記熱電素子を用いることを特徴とする請求項1または請求項14に記載の呼気分析方法。
  17. 前記電極部に付着した化学物質を、前記呼気以外の気体の気流により除去することを特徴とする請求項1に記載の呼気分析方法。
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