JPWO2009044614A1 - 有機半導体装置 - Google Patents

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Abstract

低電圧駆動,高駆動電流の有機薄膜トランジスタを有する集積化に適した有機半導体装置を提供する。基板(10)と、基板(10)上に配置されたゲート電極(12)と、ゲート電極(12)上に配置された 第1ゲート絶縁膜(15)と、第1ゲート絶縁膜(15)上に配置された第2ゲート絶縁膜(17)と、第2ゲート絶縁膜(17)上に配置され,第1金属層(16,18)と第2金属層(20,22)の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜(17)上に配置された有機半導体層(24)とを備える有機薄膜トランジスタを備え、第1ゲート絶縁膜(15)は第2ゲート絶縁膜(17)よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、第2ゲート絶縁膜(17)は第1ゲート絶縁膜(15)よりも薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。

Description

本発明は、有機半導体装置に関し、特に高誘電率絶縁膜と極薄酸化膜の積層構造を有し、或いはソース/ドレイン電極に仕事関数の大きな材料を用い、トランジスタ性能の向上した有機半導体装置に関する。
有機半導体を用いた回路素子において、長期間安定して有機半導体の特性を維持し、また外部からの種々の応力および衝撃などに対しても耐久性が高い、信頼性に優れた回路素子が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に係る回路素子においては、有機半導体を含む回路部を基板上に形成してなる回路素子であって、当該回路部を所定空間をもって、囲む封止缶を有することを特徴とする。
一方、大気中の水蒸気の存在に起因して特性が変化若しくは劣化することを抑制し得る構造を有する電界効果トランジスタが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に開示された電界効果トランジスタは、基体上に形成されたゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたソース/ドレイン電極と、および、ソース/ドレイン電極間であってゲート絶縁膜上に形成された有機半導体材料層からなるチャネル形成領域とを備える。少なくともチャネル形成領域の上には保護層が形成され、この保護層は、少なくとも、吸湿性を有する層と、耐湿性を有する層の積層構造を有する。
一方、タンタル酸化膜(タンタルオキサイド:Ta25)膜は、その高誘電率(バルクの比誘電率が25)な電気特性のために、トランジスタのゲート絶縁膜として用いると、ゲート駆動電圧を大きく低減することが可能であるが、Ta25膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性のために、安定したゲート絶縁膜として用いることができず、トランジスタを高性能とすることが困難だった。
また、タンタル酸化膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用いる場合には、表面改質が非常に困難であり、有機半導体材料の配向制御も良好でなく、有機トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成することが困難であった。
特開2005−277065号公報 特開2005−191077号公報
タンタル酸化膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用いる場合には、表面改質が非常に困難であり、有機半導体材料の配向制御も良好でなく、有機トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成することが困難であった。
また、金(Au)電極を有機薄膜トランジスタのソース/ドレイン電極として使用する場合にはその比較的大きな仕事関数のため、有機半導体層への正孔注入が容易であるが、仕事関数の大きな有機半導体層に対しては必ずしも正孔注入量が十分では無かった。又、特に、ボトムコンタクト型の有機トランジスタにおいて、有機半導体層/無機電極界面の接触抵抗が大きいという課題があった。
本発明の目的は、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することにある。
本発明の目的は、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に配置され,第1金属層と第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層とを備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第3ゲート絶縁膜と、前記第3ゲート絶縁膜上に配置され,第1金属層と第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層とを備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第3ゲート絶縁膜と、前記第3ゲート絶縁膜上に配置された第4ゲート絶縁膜と、前記第4ゲート絶縁膜上に配置された第5ゲート絶縁膜と、前記第5ゲート絶縁膜上に配置され,第1金属層と第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第5ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層とを備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置が提供される。
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第1金属層と、前記第1金属層上に配置された第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層とを備え、前記第1金属層の仕事関数は前記第2金属層の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第1金属層と、前記第1金属層上に配置された第2金属層と、前記第2金属層上に配置された第3金属層との積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第3ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層とを備え、前記第1金属層および前記第3金属層の仕事関数は前記第2金属層の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層と、前記有機半導体層上に配置された第1金属層と、前記第1金属層上に配置された第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極とを備え、前記第1金属層の仕事関数は前記第2金属層の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層と、前記有機半導体層上に配置された第1金属層と、前記第1金属層上に配置された第2金属層と、前記第2金属層上に配置された第3金属層との積層構造からなるソース電極およびドレイン電極とを備え、前記第1金属層および前記第3金属層の仕事関数は前記第2金属層の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、シリコン酸化膜の表面をAr逆スパッタリング,UV/O3処理,HMDS処理によりあるいはその組み合わせにより表面修飾を行ったことを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、有機CMOSFET、有機集積回路、有機発光デバイス、フラットパネルディスプレイ、フレキシブルエレクトロニクス、および透明エレクトロニクスのいずれか若しくは組み合わせに適用されることを特徴とする有機半導体装置が提供される。
本発明によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明によれば、タンタル酸化膜と極薄(約20nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
本発明によれば、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第1の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第2の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第3の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第4の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例。 本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例。 本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例。 本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例。 本発明の第1の実施の形態(B)および第2実施の形態(C)と比較例2(A)に係る有機薄膜トランジスタのキャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性比較例。 本発明の第1の実施の形態(B)および第2実施の形態(C)と比較例2(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン/オフ比の特性比較例。 本発明の第1の実施の形態(B)および第2実施の形態(C)と比較例2(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン電流(A)の特性比較例。 本発明の第1乃至第2の実施の形態に係る有機半導体装置において、ゲート絶縁膜15を形成するタンタル酸化膜の膜厚をパラメータとし、縦軸にゲートキャパシタCOX(F/cm2)をとり、横軸にゲート絶縁膜17,170を形成するシリコン酸化膜の膜厚をとった場合の特性図。 本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 周辺部に積層型層間絶縁膜を形成し、集積化した本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第6の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例。 本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例。 本発明の第7の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例。 本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例。 本発明の第8の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例。 本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例。 本発明の第7の実施の形態(B)および第8の実施の形態(C)と比較例4(A)に係る有機薄膜トランジスタのキャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性比較例。 本発明の第7の実施の形態(B)および第8の実施の形態(C)と比較例4(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン/オフ比の特性比較例。 本発明の第7の実施の形態(B)および第8の実施の形態(C)と比較例4(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン電流(A)の特性比較例。 本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置の3層電極構造の形成工程の説明図であって、(a)リフトオフ工程における模式的断面構造図、(b)(a)のD部分の3層電極構造の拡大された模式的断面構造図、(c)ドライエッチングによる3層電極構造の形成工程の模式的断面構造図。 本発明の第6乃至第8の実施の形態に係る有機半導体装置において、ゲート絶縁膜15を形成するタンタル酸化膜の膜厚をパラメータとし、縦軸にゲートキャパシタCOX(F/cm2)をとり、横軸にゲート絶縁膜17,170を形成するシリコン酸化膜の膜厚をとった場合の特性図。 本発明の第9の実施の形態に係るトップコンタクト型の有機半導体装置の模式的断面構造図。 本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置であって、第6の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の周辺部において有機半導体発光素子を集積化した模式的断面構造図。 本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置であって、第7の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の周辺部において有機半導体発光素子を集積化した模式的断面構造図。 本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置であって、第8の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の周辺部において有機半導体発光素子を集積化した模式的断面構造図。 本発明の第1乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置のp型有機半導体層(トランジスタ活性層)24に適用可能なp型有機半導体材料の分子構造例であって、(a)Py105(Me):1,6ビス(2−(4−メチルフェニル)ビニル)ピレンの分子構造例、(b)アセン系材料としてのテトラセンの分子構造例、(c)アセン系材料としてのペンタセンの分子構造例、(d)フタロシアニン系材料としての銅フタロシアニン(CuPc)の分子構造例、(e)α―NPDの分子構造例、(f)P−6Pの分子構造例、(g)DBTBTの分子構造例、(h)BV2TVBの分子構造例、(i)BP2Tの分子構造例、(j)DHADTの分子構造例。 本発明の第1乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置のp型有機半導体層(トランジスタ活性層)24に適用可能な高分子系半導体材料の分子構造例であって、(a)ポリチオフェン(PT)の分子構造例、(b)ポリアセチレン(PA)の分子構造例、(c)ポリチエニレンビニレン(PTV)の分子構造例、(d)ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)の分子構造例、(e)9,9−ジオクチルフルオレン−ビチオフェン共重合体(F8T2)の分子構造例。 本発明の第10乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置の正孔輸送層を形成する正孔輸送材料の分子構造例であって、(a)GPDの分子構造例、(b)spiro-TADの分子構造例、(c)spiro-NPDの分子構造例、(d)oxidized-TPDの分子構造例。 本発明の第10乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置の正孔輸送層を形成するさらに別の正孔輸送材料の分子構造例であって、(a)TDAPBの分子構造例、(b)MTDATAの分子構造例。 本発明の第10乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置の電子輸送層を形成する電子輸送材料の分子構造例であって、(a)t-butyl-PBDの分子構造例、(b)TAZの分子構造例、(c)シロール誘導体の分子構造例、(d)ホウ素置換型トリアリール系化合物の分子構造例、(e)フェニルキノキサリン誘導体の分子構造例。 本発明の第10乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置の電子輸送層を形成する別の電子輸送材料の分子構造例であって、(a)Alq3の分子構造例、(b)BCPの分子構造例、(c)オキサジアゾール二量体の分子構造例、(d)スターバーストオキサジアゾールの分子構造例。
符号の説明
10…基板
12,120…ゲート電極
13,14,15,17,26,28,170…ゲート絶縁膜
16,20,160,260…金属層(ソース電極)
18,22,180,280…金属層(ドレイン電極)
24,40…p型有機半導体層(トランジスタ活性層)
30,32…絶縁膜
34,36…電極
38…有機半導体層
42,44, 132…正孔輸送層
46,136…電子輸送層
48…導電体層
50…カラーフィルタ
130…アノード電極
134…白色発光層
138…カソード電極
300…レジスト層
320…側壁電極
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[比較例]
(比較例1)
図1は、本発明の第1の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。また、図2は、本発明の第2の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。
本発明の第1の比較例に係る有機半導体装置の構造は、図1に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され,厚さ約250nmのシリコン酸化膜(CVD(化学的気相堆積:Chemical Vapor Deposition)−SiO2)からなるゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に配置され,厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜14上に配置され,後述するPy105(Me)からなる厚さ約50nmの有機半導体層24とを備える。
有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜14の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにヘキサメチルジンラザン(HMDS)処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。しかしながら、このような有機薄膜トランジスタの試作結果によれば、所定のドレイン電流IDを確保するためには、デート電圧を数10Vも印加する必要があり、ゲート電圧による制御性は良好ではないという結果が得られている。これは、ゲート絶縁膜14を相対的に厚さが約250nmと厚く、かつ比誘電率の相対的に低いシリコン酸化膜(CVD−SiO2)を用いているためである。
(比較例2)
また、本発明の第2の比較例に係る有機薄膜トランジスタの構造は、図2に示すように、基板10と、基板10上に配置され, 厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され,厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD(物理的気相堆積:Physical Vapor Deposition)−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜15上に配置され, 後述するPy105(Me)からなる厚さ約50nmの有機半導体層24とを備える。
比較例2の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、タンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。しかしながら、このような有機半導体装置の試作結果によれば、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測され、またドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランスコンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値もきわめて小さいという結果が得られている。これは、前述の通り、Ta25膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が観測されたためであると考えられる。
(比較例3)
図3は、本発明の第3の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。また、図4は、本発明の第4の比較例に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。
本発明の第3の比較例に係る有機半導体装置の構造は、図3に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され,厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD(物理的気相堆積:Physical Vapor Deposition)−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され,厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜15上に配置され,後述するPy105(Me)からなる厚さ約50nmの有機半導体層24とを備える。
有機半導体層24を形成するための前処理として、タンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにヘキサメチルジンラザン(HMDS)処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。しかしながら、このような有機半導体装置の試作結果によれば、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測され、またドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランスコンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値もきわめて小さいという結果が得られている。これは、Ta25膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が観測されたためである。
(比較例4)
また、本発明の第4の比較例に係る有機薄膜トランジスタの構造は、図4に示すように、基板10と、基板10上に配置され, 厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極120と、ゲート電極120上に配置され,厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD(Chemical Vapor Deposition)−SiO2)からなるゲート絶縁膜17と、ゲート絶縁膜17上に配置され,厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜17上に配置され, 後述するPy105(Me)からなる厚さ約50nmの有機半導体層24とを備える。
比較例4の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜17の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。しかしながら、このような有機半導体装置の試作結果によれば、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシス特性は改善されたものの、オン電流値が低く、またドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランスコンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も小さいという結果が得られている。これは、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15上にシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜17を形成したことによって、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善されたためである。一方、ソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)を形成するAu層20,22はその比較的大きな仕事関数のため、有機半導体層24への正孔注入が容易であるが、Cr層16、18は、相対的に小さな仕事関数を有するため、仕事関数の大きな有機半導体層24への正孔注入は必ずしも十分では無い。又、特に、図4に示すようなボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、有機半導体層24/無機電極(16,18,20,22)界面の接触抵抗が大きい。このため、本発明の第4の比較例に係る有機薄膜トランジスタにおける特性では、オン抵抗が高い。
[第1の実施の形態]
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。また、図6および図7は、本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例をそれぞれ示している。
本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図5に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極12と、ゲート電極12上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜17と、ゲート絶縁膜17上に配置された金属層16,18と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜17上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
また、有機薄膜トランジスタの周辺部において、ゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されるゲート絶縁膜17の積層構造からなる積層型層間絶縁膜をさらに備えていても良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜17よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜17はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは、望ましくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜17はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
また、例えば、ゲート絶縁膜15はスパッタリングにより形成されたタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜17は低温化学的気相成長法により形成され,ゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜17はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約20nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜17を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図5に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜17と、ゲート絶縁膜17上に配置され, 厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜17上に配置され,例えば、後述するPy105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜17の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、図6に示すように、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、図7に示すように、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランスコンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も比較例2に比べ高いという結果が得られている。図6および図7の結果は、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/5μm=200の寸法を有する有機半導体装置の特性例である。
本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置においては、Ta25膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15上に、ゲート絶縁膜17として、極薄(約20nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)を積層化形成することにより、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層24との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを形成することが可能になった。
その結果、タンタル酸化膜を有機薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として用いることにより、タンタル酸化膜本来の高誘電率特性を十分に活用することが可能となり、低電圧駆動,高駆動電流の有機薄膜トランジスタを備える有機半導体装置を形成することが可能になった。
さらに、有機薄膜トランジスタの高トランスコンダクタンス性能によって、高周波特性も向上し、高速スイッチング性能の有機薄膜トランジスタを備える有機半導体装置を形成することが可能になった。
尚、最終的な構造としては、図5には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。或いはまた、無機膜と有機膜の積層膜をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
また、本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置においては、p型有機半導体層24上に正孔輸送層を配置し、さらに正孔輸送層上に電子輸送層を配置し、さらにこの電子輸送層上にキャップ用の導電体層を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層の間に電子輸送層と正孔輸送層で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
この場合、本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置は、p型有機半導体層24のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)のエネルギー準位の絶対値がキャップ用の導電体層の仕事関数の絶対値よりも大きくすると良い。
ここで、HOMOのエネルギー準位とは、有機分子の基底状態を表す。また、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)のエネルギー準位とは、有機分子の励起状態を表す。ここで、LUMO準位は最低励起一重項準位(S1)に対応する。さらに電子や正孔が有機物に注入され、ラジカルアニオン(M-),ラジカルカチオン(M+)が形成された場合の正孔および電子の準位は、励起子結合エネルギーが存在しない分、HOMO準位,LUMO準位の外側の位置に電子伝導準位、正孔伝導準位が位置することになる。
p型有機半導体層24の代わりにn型有機半導体層を適用する場合には、n型有機半導体層のLUMOのエネルギー準位の絶対値が導電体層の仕事関数の絶対値よりも小さくすれば良い。
正孔輸送層としては、例えば、α−NPDを用いることができる。ここで、α−NPDは、4,4−ビスN−(1−ナフチル−1−)[N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(4,4-bis[N-(1-naphtyl-1-)N-phenyl-amino]-biphenyl)と呼ばれる。
電子輸送層としては、例えばAlq3などで形成することができる。ここで、Alq3は、アルミニウム8−ヒドロキシキノリネート(Aluminum 8-hydroxyquinolinate)或いは、トリ8−キノリノラトアルミニウムと呼ばれる材料である。
導電体層は、例えば、MgAg、Al、Ca、Li、Cs、Ni、Tiなどの金属材料、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOTなどの有機導電体材料で形成することができる。
上記pnダイオードによって、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間の短絡を防止することもできる。すなわち、上記pnダイオードによって、キャリアの逆流を防ぐことができ、導電体層を介してソース・ドレイン間が短絡することは原理的に発生しない。
p型トランジスタとして、ソース・ドレイン間にバイアス電圧を印加する場合、導電体層とドレイン電極(18,22)間は、電界の向きがpn接合の逆方向バイアスにあたるため、導電体層を介してソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間が短絡することはない。
同様に、ソース・ドレイン間にバイアス電圧を印加した場合、キャップ用の導電体層とソース電極(16,20)間は、pn接合の順方向バイアスにあたるため、キャップ用の導電体層はソース電極(基準電位)からpn接合の順方向電圧降下(Vf)分の電位差をもって安定する。また、p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24内部の電位は、キャップ用の導電体層の電磁シールド効果によって安定化する。
本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置の構造において、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10は、例えば、厚さ約30μm〜1mm程度のガラス基板,ステンレス基板,サファイア基板,シリコン基板などの無機材料基板、或いは、ポリイミド(PI),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)などの有機材料基板、或いはプラスチック基板などが用いられる。
ゲート電極12は、上記の例ではAl−Ta層を開示したが、他には、例えばMgAg、Al、Au、Ca、Li、Ta、Ni、Tiなどの金属、或いは、例えばITO、IZOなどの無機導電体材料、或いは、例えば、PEDOTなどの有機導電体材料で形成される。ここで、PEDOTとは、PEDOT:PSSであり、ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルフォネート(Poly-(3,4-ethylenedioxy-thiophene):poly-styrenesulfonate)と呼ばれる材料である。
ゲート絶縁膜15は、上記の例ではTa25層の例を開示したが、他には、例えば、Si3 4、Al23 、TiO2などのシリコン酸化膜に比べて高比誘電率の無機絶縁体材料、或いは、ポリイミド(PI)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)などの有機絶縁体材料を用いることもできる。
ソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)には、上記の例ではCr層16,18/Au層20,22の例を開示したが、他には、例えば、Ag、Al、Ni、Tiなどの金属、或いはPt,Taなどの仕事関数の高い金属、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOT:ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PSS)、PVPTA2:TBPAH、Et−PTPDEK:TBPAHなどの有機導電体材料が用いられ、p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24へのキャリア注入に適した材料を使用する。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24は、例えば、ペンタセン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、銅フタロシアニン(CuPc)などの有機半導体材料で形成される。
ペンタセンは、後述する図36(c)に示すような分子構造を有する。ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)は、後述する図37(d)に示すような分子構造を有する。銅フタロシアニン(CuPc)は、後述する図36(d)に示すような分子構造を有する。
或いはまた、p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24には、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
(p型有機半導体材料)
図36は、本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置のp型有機半導体層(トランジスタ活性層)24に適用可能なp型有機半導体材料の分子構造例である。
図36(a)は、Py105(Me):1,6ビス(2−(4−メチルフェニル)ビニル)ピレンの分子構造例を示す。ここでは分子構造の記載を省略するが、例えば同様の適用可能なフェニル系有機半導体材料としては、Py105:1,6ビス(2−(4−ブフェニル)ビニル)ピレン、ST10:4,4’ビス(2−(4−オクチルフェニル)ビニル)ビフェニル、ST126:4,4’ビス(2−(4−オクチルフェニル)ビニル)p−ターフェニル、ST128:1,6ビス(2−(4−ヘキシルフェニル)ビニル)ビフェニル、ST94:1,4ビス(2−(4−(4−ブチルフェニル)フェニル)ビニル)ベンゼン、ST124:4,4’ビス(2−(5−オクチルチオフェン−2−イル)ビニル)ビフェニルなどがある。
図36(b)は、アセン系材料としてのテトラセンの分子構造例、図36(c)は、アセン系材料としてのペンタセンの分子構造例、図36(d)は、フタロシアニン系材料としての銅フタロシアニン(CuPc)の分子構造例、図36(e)は、α―NPDの分子構造例、図36(f)は、P−6Pの分子構造例、図36(g)は、DBTBTの分子構造例、図36(h)は、BV2TVBの分子構造例、図36(i)は、BP2Tの分子構造例、図36(j)は、DHADTの分子構造例をそれぞれ示す。
さらに、図37は、本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置のp型有機半導体層(トランジスタ活性層)24に適用可能な高分子系半導体材料の分子構造例である。
図37(a)は、ポリチオフェン(PT)の分子構造例、図37(b)は、ポリアセチレン(PA)の分子構造例、図37(c)は、ポリチエニレンビニレン(PTV)の分子構造例、図37(d)は、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)の分子構造例、図37(e)は、9,9−ジオクチルフルオレン−ビチオフェン共重合体(F8T2)の分子構造例をそれぞれ示す。
本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約20nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。また、図9および図10は、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例をそれぞれ示す。
本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図8に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極12と、ゲート電極12上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置された金属層16,18と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜170よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
また、例えば、ゲート絶縁膜15はスパッタリングにより形成されたタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170は低温化学的気相成長法により形成され,ゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約5nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜170を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図8に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約5nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、図9に示すように、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、図10に示すように、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランス(相互)コンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も第1の実施の形態に比べ高いという結果が得られている。図9および図10の結果は、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/5μm=200の寸法を有する有機半導体装置の特性例である。
すなわち、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置においては、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15上に、ゲート絶縁膜170として、極薄(約5nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)を積層化形成することにより、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層24との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを形成することが可能になった。
その結果、タンタル酸化膜を有機薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として用いることにより、タンタル酸化膜本来の高誘電率特性十分に活用することが可能となり、低電圧駆動,高駆動電流の有機薄膜トランジスタを備える有機半導体装置を形成することが可能になった。
さらに、有機薄膜トランジスタの高トランスコンダクタンス性能によって、高周波特性も向上し、高速スイッチング性能の有機薄膜トランジスタを備える有機半導体装置を形成することが可能になった。
図11は、本発明の第1の実施の形態(B)および第2実施の形態(C)と比較例2(A)に係る有機薄膜トランジスタのキャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性比較例を示す。図11から明らかなように、比較例2に比べ、第1の実施の形態、第2実施の形態(C)の順にキャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性が向上している。ここで、μFET(cm2/V・s)は、有機半導体層24のキャリアモビリティーである。
第2実施の形態(C)においては、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15上に、ゲート絶縁膜170として、第1の実施の形態(B)に比較して、約半分の厚さの極薄(約5nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)を積層化形成することにより、キャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性が向上している。
また、図12は、本発明の第1の実施の形態(B)および第2実施の形態(C)と比較例2(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン/オフ比の特性比較例を示す。図12から明らかなように、比較例2に比べ、第1の実施の形態、第2実施の形態(C)の順にオン/オフ比の特性が向上している。
また、図13は、本発明の第1の実施の形態(B)および第2実施の形態(C)と比較例2(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン電流(A)の特性比較例を示す。図13から明らかなように、比較例2に比べ、第1の実施の形態、第2実施の形態(C)の順にオン電流の特性が向上している。
図12および図13に示す特性は、キャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性向上に伴い、直流的なトランスコンダクタンスgmが向上し、それに伴って、オン抵抗が低減され、オン電流が増大したためである。
また、図14は、本発明の第1乃至第2の実施の形態に係る有機半導体装置において、ゲート絶縁膜15を形成するタンタル酸化膜の膜厚をパラメータとし、縦軸にゲートキャパシタCOX(F/cm2)をとり、横軸にゲート絶縁膜17,170を形成するシリコン酸化膜の膜厚をとった場合の特性図を示す。図14中には、シリコン酸化膜の膜厚が零の場合で、タンタル酸化膜の膜厚が100nmの場合と、単層でシリコン酸化膜の膜厚が250nmの場合についても示す。
OX(F/cm2)は、ゲート絶縁膜の単位面積当りのゲートキャパシタであり、トランスコンダクタンスgm=(W/L)・COX・μFET・VDSの関係が成立する。ここで、Wは有機薄膜トランジスタのチャネル幅、Lは有機薄膜トランジスタのチャネル長、VDSドレイン・ソース間に印加する電圧値である。
図11乃至図14の結果は、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/5μm=200の寸法を有する有機半導体装置の特性例である。
ゲートキャパシタCOX(F/cm2)の値を増加させることによって、トランスコンダクタンスgmの値が増大し、有機薄膜トランジスタの性能が向上する。ゲートキャパシタCOX(F/cm2)の値を増加させるためには、図14から明らかなように、有機半導体層24に接するゲート絶縁膜170の厚さを、例えば約5nm以下とし、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15の厚さを、例えば約100nm以下とすれば良い。
尚、第1の実施の形態と同様に、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置においても、最終的な構造としては、図6には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
また、第1の実施の形態と同様に、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置においても、p型有機半導体層24上に正孔輸送層を配置し、さらに正孔輸送層上に電子輸送層を配置し、さらにこの電子輸送層上にキャップ用の導電体層を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層の間に電子輸送層と正孔輸送層で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
この場合、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置は、p型有機半導体層24のHOMOのエネルギー準位の絶対値がキャップ用の導電体層の仕事関数の絶対値よりも大きくすると良い。p型有機半導体層24の代わりにn型有機半導体層を適用する場合には、n型有機半導体層のLUMOのエネルギー準位の絶対値が導電体層の仕事関数の絶対値よりも小さくすれば良い。
上記の正孔輸送層としては、例えば、α−NPDを用いることができる。電子輸送層としては、例えばAlq3などで形成することができる。導電体層は、例えば、MgAg、Al、Ca、Li、Cs、Ni、Tiなどの金属材料、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOTなどの有機導電体材料で形成することができる。
本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第1の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極12の材料としても、第1の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第1の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)の材料としても、第1の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約5nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
[第3の実施の形態]
図15は、発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。
本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置は、図15に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極12と、ゲート電極12上に配置されたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され,金属層16,18と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16、20)およびドレイン電極(18、22)と、ソース電極(16、20)とドレイン電極818、22)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜13および170は、例えば、約10nm以下のシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成され、全体として、サンドイッチ構造の積層型ゲート絶縁膜を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜13および170を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図15に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に配置され,厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランスコンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も第2の実施の形態と同様に高いという結果が得られている。
すなわち、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置においても、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15上に、ゲート絶縁膜170として、極薄(約10nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)を積層化形成することにより、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層24との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを形成することが可能になった。
その結果、タンタル酸化膜を有機薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として用いることにより、タンタル酸化膜本来の高誘電率特性を十分に活用することが可能となり、低電圧駆動,高駆動電流の有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を形成することが可能になった。
さらに、有機薄膜トランジスタの高トランスコンダクタンス性能によって、高周波特性も向上し、高速スイッチング性能の有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を形成することが可能になった。
また、基板10およびゲート電極12とタンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15との間に、厚さ約10nm程度の極薄シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜13を介在させることにより、積層型絶縁膜(13/15/170)と基板10およびゲート電極12との密着性を向上することができる。
尚、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置においても、最終的な構造としては、図15には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
また、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置においても、p型有機半導体層24上に正孔輸送層を配置し、さらに正孔輸送層上に電子輸送層を配置し、さらにこの電子輸送層上にキャップ用の導電体層を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層の間に電子輸送層と正孔輸送層で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
この場合、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置は、p型有機半導体層24のHOMOのエネルギー準位の絶対値がキャップ用の導電体層の仕事関数の絶対値よりも大きくすると良い。p型有機半導体層24の代わりにn型有機半導体層を適用する場合には、n型有機半導体層のLUMOのエネルギー準位の絶対値が導電体層の仕事関数の絶対値よりも小さくすれば良い。
上記の正孔輸送層としては、例えば、α−NPDを用いることができる。電子輸送層としては、例えばAlq3などで形成することができる。導電体層は、例えば、MgAg、Al、Ca、Li、Cs、Ni、Tiなどの金属材料、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOTなどの有機導電体材料で形成することができる。
本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第1乃至第2の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極12の材料としても、第1乃至第2の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第1乃至第2の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,20)の材料としても、第1乃至第2の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約10nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
[第4の実施の形態]
図16は、周辺部に積層型層間絶縁膜を形成し、集積化した本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。
本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図16に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極12と、ゲート電極12上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置された金属層16,18と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタと、当該有機薄膜トランジスタの周辺部において集積化され、基板10と、基板10上に配置されたゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に配置されたゲート絶縁膜32とを備える積層型層間絶縁膜(30、32)を有する。
また、ゲート絶縁膜32上に配置された金属層34と、金属層34上に配置された金属層36と、金属層36上に配置された有機半導体層38とを備えていても良い。
さらに、具体的に、本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図16に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタと、当該有機薄膜トランジスタの周辺部において集積化され、基板10と、基板10上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜32とを備える積層型層間絶縁膜(30、32)とを有する。
また、ゲート絶縁膜32上に配置され, 厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層34と、金属層34上に配置され, 厚さ約80nmのAu層からなる金属層36と、金属層36上に配置され, 例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層38とを備えていても良い。
上記構成において、ゲート絶縁膜15とゲート絶縁膜30は同時に形成することができる。また、ゲート絶縁膜170とゲート絶縁膜32も同時に形成することができる。また、金属層34と金属層16,18も同時に形成することができ、金属層36と金属層20,22も同時に形成することができる。さらに、p型有機半導体層38とp型有機半導体層24も同時に形成することができる。
したがって、本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置においては、図16に示すように、例えば、図8に示した本発明の第2の実施の形態に係る有機半導体装置の周辺部において、集積化された積層型層間絶縁膜を同時に形成することができる。
上記の積層型層間絶縁膜の構造は、図16の構造に限るものではない。例えば、図15に示した本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置の周辺部において、集積化された積層型層間絶縁膜を同時に形成することもできる。
同様に、例えば、後述する図17に示す本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置の周辺部において、集積化された積層型層間絶縁膜を同時に形成することもできる。
本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置においても、最終的な構造としては、図16には図示を省略されているが、有機半導体層24,38上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極12の材料としても、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15および30の材料としても、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,20)の材料としても、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層24或いは38を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導材料は、本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成し、周辺部の積層型層間絶縁膜とともに集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第4の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約10nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを形成することが可能になり、周辺部の積層型層間絶縁膜とともに集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
[第5の実施の形態]
図17は、本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。
本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置は、図17に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極12と、ゲート電極12上に配置されたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜26と、ゲート絶縁膜26上に配置されたゲート絶縁膜28と、ゲート絶縁膜28上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され,金属層16,18と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする。
また、ゲート絶縁膜15および28は、例えば、厚さ約100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜13および170は、例えば、厚さ約10nm以下のシリコン酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜26は、例えば、厚さ約100nm以下のチタン酸化膜(TiO2)で構成され、全体として、積層型ゲート絶縁膜を備えていても良い。
さらに、具体的に、本発明の第3の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図17に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Ta層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に配置され,厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約100nmのチタン酸化膜(TiO2)からなるゲート絶縁膜26と、ゲート絶縁膜26上に配置され,厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜28と、ゲート絶縁膜28上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約1.2nmのCr層からなる金属層16,18と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,22)と、ソース電極(16,20)とドレイン電極(18,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
第1乃至第3の実施の形態と同様に、本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランスコンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も第2乃至第3の実施の形態と同様に高いという結果が得られている。
すなわち、本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置においても、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15上に、ゲート絶縁膜26/ゲート絶縁膜28/ゲート絶縁膜170の3層の積層構造を形成し、特にゲート絶縁膜170として、極薄(約10nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)を積層化形成することにより、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層24との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを製造することが可能になった。
その結果、タンタル酸化膜を有機薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として用いることにより、タンタル酸化膜本来の高誘電率特性を十分に活用することが可能となり、低電圧駆動,高駆動電流の有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を形成することが可能になった。
さらに、有機薄膜トランジスタの高トランスコンダクタンス性能によって、高周波特性も向上し、高速スイッチング性能の有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を形成することが可能になった。
また、基板10およびゲート電極12とタンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15との間に、厚さ約10nm程度の極薄シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜13を介在させ、かつゲート絶縁膜15上にゲート絶縁膜26/ゲート絶縁膜28/ゲート絶縁膜170の積層構造を形成することにより、積層型絶縁膜(13/15/26/28/170)と基板10およびゲート電極12との密着性を向上することができる。
尚、本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置においても、最終的な構造としては、図17には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
また、本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置においても、p型有機半導体層24上に正孔輸送層を配置し、さらに正孔輸送層上に電子輸送層を配置し、さらにこの電子輸送層上にキャップ用の導電体層を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層の間に電子輸送層と正孔輸送層で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
この場合、本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置は、p型有機半導体層24のHOMOのエネルギー準位の絶対値がキャップ用の導電体層の仕事関数の絶対値よりも大きくすると良い。p型有機半導体層24の代わりにn型有機半導体層を適用する場合には、n型有機半導体層のLUMOのエネルギー準位の絶対値が導電体層の仕事関数の絶対値よりも小さくすれば良い。
上記の正孔輸送層としては、例えば、α−NPDを用いることができる。電子輸送層としては、例えばAlq3などで形成することができる。導電体層は、例えば、MgAg、Al、Ca、Li、Cs、Ni、Tiなどの金属材料、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOTなどの有機導電体材料で形成することができる。
本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極12の材料としても、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(16,20)およびドレイン電極(18,20)の材料としても、第1乃至第3の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第5の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約10nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
[第6の実施の形態]
図18は、本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。また、図19および図20は、本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例をそれぞれ示している。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図18に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極120と、ゲート電極120上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜17と、ゲート絶縁膜17上に配置された金属層160,180と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜17上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
また、金属層20,22は、金(Au)電極で形成され、金属層160,180は、Au電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成される。
また、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層で形成される。
例えば、モリブデン酸化物(MoOX)層の膜厚は、約1nm〜5nm程度、望ましくは、約1.2nm〜4nm程度である。また、金(Au)電極の膜厚は、例えば、約20nm〜200nm程度であり、望ましくは、約80nmである。
或いはまた、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層と、例えば厚さ約0.5nm程度の極薄のクロム(Cr)層との混合層で形成されていても良い。或いはまた、金属層160,180は、クロム(Cr)層とモリブデン酸化物(MoOX)層の積層構造(Cr/MoOX)で形成されていても良い。
ここで、MoOX層の膜厚tについて、ゲート絶縁膜17との密着性、ソース/ドレイン電極である金(Au)層との密着性の観点から説明する。
MoOX層はCr層に比べて、仕事関数が大きいことから、有機薄膜トランジスタの電流駆動能力を高めることが可能である。しかしながら、MoOX層は、Cr層と比較した場合、ゲート絶縁膜であるSiO2膜と、ソース/ドレイン電極であるAu層との界面密着性が低い。一例として、MoOX(tnm)/Au(80nm)積層型電極構造において、t=2.5nmの場合、リフトオフプロセス中のソース/ドレイン電極の剥がれは無い。試作後のテープテストによるソース/ドレイン電極の剥がれも無い。したがって、t=2.5nmの場合、比較的十分な密着性が確保されている。一方、t=1.2nmの場合、リフトオフプロセス中のソース/ドレイン電極の剥がれは無いが、試作後のテープテストで、SiO2/MoOX界面において、ソース/ドレイン電極の剥がれが観測されている。さらに、t=5nm場合、リフトオフプロセス中にSiO2/MoOX界面において、ソース/ドレイン電極の剥がれが観測されている。これは、MoOX層の膜ストレス起因で、密着力が大幅に低くなっているためである。
密着性の向上方法として、Cr層とMoOX層の共蒸着によるCr−MoOX密着層を形成すると良い。例えば、Cr(33wt%)−MoOX(67wt%)の2.5nmのよるCr−MoOX混合層を形成することが良い。或いはまた、Cr層とMoOX層の積層構造によるCr/MoOX密着層を形成しても良い。例えば、Cr層(0.5nm)/ MoOX層(2.5nm))の積層構造を形成すると良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜17よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜17はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは、望ましくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜17はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約20nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜17を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図18に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜17と、ゲート絶縁膜17上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX)層からなる金属層160,180と、金属層160,180膜17上に配置され,厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜17上に配置され,例えば、後述するPy105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜17の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。また、Ar/O2プラズマ処理を実施しても良い。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、図19に示すように、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、図20に示すように、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランスコンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も比較例2に比べ高いという結果が得られている。図19および図20の結果は、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/5μm=200の寸法を有する有機半導体装置の特性例である。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置においては、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
さらに、ソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)を形成するAu層20,22はその比較的大きな仕事関数のため、有機半導体層24への正孔注入が容易であるが、モリブデン酸化物(MoOX)層160,180も相対的に大きな仕事関数を有するため、仕事関数の大きな有機半導体層24への正孔注入量が十分に確保される。又、図14に示すようなボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、有機半導体層24/無機電極(160,180,20,22)界面の接触抵抗が、図4に示す比較例の構造に比べて小さくなる。
このため、本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置におけるドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性において、オン抵抗が低く、オン電流が高いという結果が得られている。
すなわち、本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、ソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)構造の改善効果によって、有機半導体層24への正孔注入量が増大し、接触抵抗の低減と共に、オン抵抗の低減化、オン電流の増大化、トランスコンダクタンスの増大化を図ることができる。
尚、最終的な構造としては、図18には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。或いはまた、無機膜と有機膜の積層膜をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置の構造において、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10は、例えば、厚さ約30μm〜1mm程度のガラス基板,ステンレス基板,サファイア基板,シリコン基板などの無機材料基板、或いは、ポリイミド(PI),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)などの有機材料基板、或いはプラスチック基板などが用いられる。
ゲート電極120は、上記の例ではAl−Nd層を開示したが、他には、例えばMgAg、Al、Au、Ca、Li、Ta、Ni、Tiなどの金属、或いは、例えばITO、IZOなどの無機導電体材料、或いは、例えば、PEDOTなどの有機導電体材料で形成される。ここで、PEDOTとは、PEDOT:PSSであり、ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルフォネート(Poly-(3,4-ethylenedioxy-thiophene):poly-styrenesulfonate)と呼ばれる材料である。
ゲート絶縁膜15は、上記の例ではTa25層の例を開示したが、他には、例えば、Si3 4、Al23、TiO2 などのシリコン酸化膜に比べて高比誘電率の無機絶縁体材料、或いは、ポリイミド(PI)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)などの有機絶縁体材料を用いることもできる。
ソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)には、上記の例ではMoOX層160,180/Au層20,22の例を開示したが、他には、例えば、Pt,Taなどの仕事関数の高い金属、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOT:ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PSS)、PVPTA2:TBPAH、Et−PTPDEK:TBPAHなどの有機導電体材料が用いられ、p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24へのキャリア注入に適した材料を使用することもできる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24は、例えば、ペンタセン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、銅フタロシアニン(CuPc)などの有機半導体材料で形成される。
ペンタセンは、後述する図36(c)に示すような分子構造を有する。ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)は、後述する図37(d)に示すような分子構造を有する。銅フタロシアニン(CuPc)は、後述する図36(d)に示すような分子構造を有する。
或いはまた、p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24には、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約20nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、金(Au)電極より仕事関数の大きな材料である金属酸化物層と金電極との積層型電極をソース/ドレイン電極として用い、かつ高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、Auより仕事関数の大きな材料であるMoOX等を用いてMoOX/Auのような積層型電極をTa25/SiO2積層型ゲート絶縁膜と組み合わせて、必要に応じてAr逆スパッタリング,UV/O3処理,Ar/O2プラズマ処理,HMDS処理を単独もしくは複数実施して、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
[第7の実施の形態]
図21は、本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。また、図22および図23は、本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例をそれぞれ示す。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図21に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極120と、ゲート電極120上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置された金属層160,180と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
また、金属層20,22は、金(Au)電極で形成され、金属層160,180は、Au電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成される。
また、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層で形成される。
例えば、モリブデン酸化物(MoOX)層の膜厚は、約1nm〜5nm程度、望ましくは、約1.2nm〜4nm程度である。また、金(Au)電極の膜厚は、例えば、約20nm〜200nm程度であり、望ましくは、約80nmである。
或いはまた、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層と、例えば厚さ約0.5nm程度の極薄のクロム(Cr)層との混合層で形成されていても良い。或いはまた、金属層160,180は、クロム(Cr)層とモリブデン酸化物(MoOX)層の積層構造(Cr/MoOX)で形成されていても良い。
一例として、MoOX(tnm)/Au(80nm)積層型電極構造において、t=2.5nmの場合、リフトオフプロセス中のソース/ドレイン電極の剥がれは無い。試作後のテープテストによるソース/ドレイン電極の剥がれも無い。したがって、t=2.5nmの場合、比較的十分な密着性が確保されている。さらに、密着性の向上方法として、Cr層とMoOX層の共蒸着によるCr−MoOX密着層を形成すると良い。例えば、Cr(33wt%)−MoOX(67wt%)の2.5nmのよるCr−MoOX混合層を形成することが良い。或いはまた、Cr層とMoOX層の積層構造によるCr/MoOX密着層を形成しても良い。例えば、Cr層(0.5nm)/ MoOX層(2.5nm))の積層構造を形成すると良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜170よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成されることを特徴とする。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約5nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜170を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図21に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極120と、ゲート電極120上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約5nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層160,180と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。また、Ar/O2プラズマ処理を実施しても良い。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、図22に示すように、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、図23に示すように、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランス(相互)コンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も第11の実施の形態に比べ高いという結果が得られている。図22および図23の結果は、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/5μm=200の寸法を有する有機半導体装置の特性例である。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置においては、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
さらに、ソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)を形成するAu層20,22はその比較的大きな仕事関数のため、有機半導体層24への正孔注入が容易であるが、モリブデン酸化物(MoOX)層160,180も相対的に大きな仕事関数を有するため、仕事関数の大きな有機半導体層24への正孔注入量が十分に確保される。又、図21に示すようなボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、有機半導体層24/無機電極(160,180,20,22)界面の接触抵抗が、図4に示す比較例の構造に比べて小さくなる。
このため、本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置におけるドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性において、オン抵抗が低く、オン電流が高いという結果が得られている。
すなわち、本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、ソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)構造の改善効果によって、有機半導体層24への正孔注入量が増大し、接触抵抗の低減と共に、オン抵抗の低減化、オン電流の増大化、トランスコンダクタンスの増大化を図ることができる。
尚、第6の実施の形態と同様に、本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置においても、最終的な構造としては、図21には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極120の材料としても、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)の材料としても、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約5nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、金(Au)電極より仕事関数の大きな材料である金属酸化物層と金電極との積層型電極をソース/ドレイン電極として用い、かつ高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、Auより仕事関数の大きな材料であるMoOX等を用いてMoOX/Auのような積層型電極をTa25/SiO2積層型ゲート絶縁膜と組み合わせて、必要に応じてAr逆スパッタリング,UV/O3処理,Ar/O2プラズマ処理,HMDS処理を単独もしくは複数実施して、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
[第8の実施の形態]
図24は、本発明の第8の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。また、図25は、本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置のドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性例、図26は、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性例をそれぞれ示す。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置は、図24に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極120と、ゲート電極120上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置された金属層160,180と、金属層160,180上に配置された金属層20,22と、金属層20,22上に配置された金属層260,280との積層構造からなるソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)と、ソース電極(160,20,260)とドレイン電極(180,22,280)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備え、金属層160,180および金属層260,280の仕事関数は金属層20,22の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする。
また、金属層20,22は、金(Au)電極で形成され、金属層160,180および金属層260,280は、金電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成される。
また、金属層160,180および金属層260,280は、モリブデン酸化物(MoOX)層で形成される。
例えば、モリブデン酸化物(MoOX)層の膜厚は、約1nm〜5nm程度、望ましくは、約1.2nm〜4nm程度である。また、金(Au)電極の膜厚は、例えば、約20nm〜200nm程度であり、望ましくは、約80nmである。
或いはまた、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層と、例えば厚さ約0.5nm程度の極薄のクロム(Cr)層との混合層で形成されていても良い。或いはまた、金属層160,180は、クロム(Cr)層とモリブデン酸化物(MoOX)層の積層構造(Cr/MoOX)で形成されていても良い。
MoOX層はCr層に比べて、仕事関数が大きいことから、有機薄膜トランジスタの電流駆動能力を高めることが可能であるが、さらに、MoOX層/Au層/MoOX層の3層積層構造を用いることで、電流駆動能力を高くすることができる。
一例として、MoOX(tnm)/Au(80nm)/MoOX(tnm)積層型電極構造において、t=2.5nmの場合、リフトオフプロセス中のソース/ドレイン電極の剥がれは無い。試作後のテープテストによるソース/ドレイン電極の剥がれも無い。したがって、t=2.5nmの場合、比較的十分な密着性が確保されている。さらに、密着性の向上方法として、Cr層とMoOX層の共蒸着によるCr−MoOX密着層を形成すると良い。例えば、Cr(33wt%)−MoOX(67wt%)の2.5nmのよるCr−MoOX混合層を形成することが良い。或いはまた、Cr層とMoOX層の積層構造によるCr/MoOX密着層を形成しても良い。例えば、Cr層(0.5nm)/ MoOX層(2.5nm)の積層構造を形成すると良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜170よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約5nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜170を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図24に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極120と、ゲート電極120上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約5nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層160,180と、金属層160,180上に配置され,厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22と、金属層20,22上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層260,280との積層構造からなるソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)と、ソース電極(160,20,260)とドレイン電極(180,22,280)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。また、Ar/O2プラズマ処理を実施しても良い。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、図25に示すように、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、図26に示すように、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランス(相互)コンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も第11の実施の形態および第12の実施の形態に比べ高いという結果が得られている。図21および図22の結果は、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/5μm=200の寸法を有する有機半導体装置の特性例である。
図27は、本発明の第7の実施の形態(B)および第8の実施の形態(C)と比較例4(A)に係る有機薄膜トランジスタのキャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性比較例を示す。図27から明らかなように、比較例4に比べ、第8の実施の形態(C)のキャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性が向上している。ここで、μFET(cm2/V・s)は、有機半導体層24のキャリアモビリティーである。
第8の実施の形態(C)においては、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15上に、ゲート絶縁膜170として、第7の実施の形態(B)に比較して、約半分の厚さの極薄(約5nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)を積層化形成することにより、キャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性が向上している。
また、図28は、本発明の第7の実施の形態(B)および第8の実施の形態(C)と比較例4(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン/オフ比の特性比較例を示す。図28から明らかなように、比較例4に比べ、第7の実施の形態(B)のオン/オフ比の特性が向上している。
また、図29は、本発明の第7の実施の形態(B)および第8の実施の形態(C)と比較例4(A)に係る有機薄膜トランジスタのオン電流(A)の特性比較例を示す。図29から明らかなように、比較例4に比べ、第7の実施の形態(B)、第8の実施の形態(C)の順にオン電流の特性が向上している。
図28および図29に示す特性は、キャリアモビリティーμFET(cm2/V・s)の特性向上に伴い、直流的なトランスコンダクタンスgmが向上し、それに伴って、オン抵抗が低減され、オン電流が増大したためである。
図30は、本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置の3層電極構造の形成工程の説明図であって、図30(a)は、リフトオフ工程における模式的断面構造図、図30(b)は、図30(a)のD部分の3層電極構造の拡大された模式的断面構造図、図30(c)は、ドライエッチングによる3層電極構造の形成工程の模式的断面構造図をそれぞれ示す。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置の3層電極構造においては、図30(b)に示すように、MoOX層180がAu層22で被覆され、さらにMoOX層180およびAu層22が、MoOX層280で完全に被覆される構造となることが、正孔注入を増大し、また有機半導体層24との密着性を確保する上で望ましい。このような構造は、図30(a)に模式的に示すように、レジスト層300の剥離工程によるリフトオフ工程によって、ソース電極側、ドレイン電極側同時に形成することができる。尚、ドライエッチング工程を利用する場合には、図30(c)に示すように、ドライエッチングによって、略垂直にエッチングされた側壁部分に新たに、MoOX層320を形成することが望ましい。
また、図31は、本発明の第6乃至第8の実施の形態に係る有機半導体装置において、ゲート絶縁膜15を形成するタンタル酸化膜の膜厚をパラメータとし、縦軸にゲートキャパシタCOX(F/cm2)をとり、横軸にゲート絶縁膜17,170を形成するシリコン酸化膜の膜厚をとった場合の特性図を示す。図31中には、シリコン酸化膜の膜厚が零の場合で、タンタル酸化膜の膜厚が100nmの場合と、単層でシリコン酸化膜の膜厚が250nmの場合についても示す。
OX(F/cm2)は、ゲート絶縁膜の単位面積当りのゲートキャパシタであり、トランスコンダクタンスgm=(W/L)・COX・μFET・VDSの関係が成立する。ここで、Wは有機薄膜トランジスタのチャネル幅、Lは有機薄膜トランジスタのチャネル長、VDSドレイン・ソース間に印加する電圧値である。
図27乃至図29および図31に示す結果は、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/5μm=200の寸法を有する有機半導体装置の特性例である。
ゲートキャパシタCOX(F/cm2)の値を増加させることによって、トランスコンダクタンスgmの値が増大し、有機薄膜トランジスタの性能が向上する。ゲートキャパシタCOX(F/cm2)の値を増加させるためには、図31から明らかなように、有機半導体層24に接するゲート絶縁膜170の厚さを、例えば約5nm以下とし、タンタル酸化膜からなるゲート絶縁膜15の厚さを、例えば約100nm以下とすれば良い。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、接触抵抗を大きく低減し、第6乃至第7の実施の形態に示された単純なMoOX層/Au層の2層構造の積層型電極で得られる性能以上の高い電流駆動能力を示すことが、5Vという低電圧駆動に対しても実現できる。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置においては、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
さらに、ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)を形成するAu層20,22はその比較的大きな仕事関数のため、有機半導体層24への正孔注入が容易であるが、モリブデン酸化物(MoOX)層160,180,260,280も相対的に大きな仕事関数を有するため、仕事関数の大きな有機半導体層24への正孔注入量が十分に確保される。又、図24に示すようなボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタにおいて、有機半導体層24/無機電極(160,180,20,22,260,280)界面の接触抵抗が、図4に示す比較例の構造に比べて小さくなる。
このため、本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置におけるドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性において、オン抵抗が低く、オン電流が高いという結果が得られている。
すなわち、本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)構造の改善効果によって、有機半導体層24への正孔注入量が増大し、接触抵抗の低減と共に、オン抵抗の低減化、オン電流の増大化、トランスコンダクタンスの増大化を図ることができる。
尚、第6乃至第7の実施の形態と同様に、本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置においても、最終的な構造としては、図24には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第6乃至第7の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極12の材料としても、第6乃至第7の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第6乃至第7の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)の材料としても、第6乃至第7の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第13の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約10nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、金(Au)電極より仕事関数の大きな材料である金属酸化物層と金電極との積層型電極をソース/ドレイン電極として用い、かつ高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、Auより仕事関数の大きな材料であるMoOX等を用いてMoOX/Au/MoOXのような3層構造の積層型電極をTa25/SiO2積層型ゲート絶縁膜と組み合わせて、必要に応じてAr逆スパッタリング,UV/O3処理,Ar/O2プラズマ処理,HMDS処理を単独もしくは複数実施して、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
[第9の実施の形態]
図32は、本発明の第9の実施の形態に係るトップコンタクト型の有機半導体装置の模式的断面構造図を示す。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置は、図32に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極120と、ゲート電極120上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層と24と、有機半導体層24上に配置された金属層160,180と、金属層160,180上に配置された金属層20,22と、金属層20,22上に配置された金属層260,280との積層構造からなるソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)とを備え、金属層160,180および金属層260,280の仕事関数は金属層20,22の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有する。
尚、上記説明では、第8の実施の形態と同様に、金属層20,22を金属層160,180と金属層260,280で挟む構造からなる3層の積層型電極構造を記載したが、第6乃至第7の実施の形態と同様に、金属層260,280を省略し、金属層20,22と金属層160,180からなる2層の積層型電極構造を適用しても良い。
また、金属層20,22は、金電極で形成され、金属層160,180および金属層260,280は、金電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成される。
また、金属層160,180および金属層260,280は、モリブデン酸化物(MoOX)層で形成される。
例えば、モリブデン酸化物(MoOX)層の膜厚は、約1nm〜5nm程度、望ましくは、約1.2nm〜4nm程度である。また、金(Au)電極の膜厚は、例えば、約20nm〜200nm程度であり、望ましくは、約80nmである。
或いはまた、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層と、例えば厚さ約0.5nm程度の極薄のクロム(Cr)層との混合層で形成されていても良い。或いはまた、金属層160,180は、クロム(Cr)層とモリブデン酸化物(MoOX)層の積層構造(Cr/MoOX)で形成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜170よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約5nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜170を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図32に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極120と、ゲート電極120上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され,厚さ約5nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24と、p型有機半導体層24上に配置され,厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層160,180と、金属層160,180上に配置され,厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22と、金属層20,22上に配置され,厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層260,280との積層構造からなるソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)とを備える有機薄膜トランジスタを有する。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置の形成工程においても有機半導体層24を形成するための前処理として、シリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170の表面に対して、表面清浄化のために以下の処理を実行している。すなわち、Arの逆スパッタリング処理を約60sec、次に、UV/O3処理を約2分、さらに疎水化するためにHMDS処理を約15分、気相雰囲気中で行っている。また、Ar/O2プラズマ処理を実施しても良い。
このような有機半導体装置の試作結果によれば、ドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性においてヒステリシスが観測されず、また、ドレイン電流ID―ゲート電圧VG特性から得られるトランス(相互)コンダクタンスgm(ΔID/ΔVG)の値も第8の実施の形態と同様に高いという結果が得られている。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置においては、タンタル酸化膜自体の内部欠陥及び結合性に由来するヒステリシスな特性が改善され、十分にトランジスタ特性の性能改善効果が得られている。
さらに、ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)を形成するAu層20,22はその比較的大きな仕事関数のため、有機半導体層24への正孔注入が容易であるが、モリブデン酸化物(MoOX)層160,180,260,280も相対的に大きな仕事関数を有するため、仕事関数の大きな有機半導体層24への正孔注入量が十分に確保される。
このため、本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置におけるドレイン電流ID―ドレイン電圧VD特性において、オン抵抗が低く、オン電流が高いという結果が得られている。
すなわち、本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)構造の改善効果によって、有機半導体層24への正孔注入量が増大し、接触抵抗の低減と共に、オン抵抗の低減化、オン電流の増大化、トランスコンダクタンスの増大化を図ることができる。
尚、第6乃至第8の実施の形態と同様に、本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置においても、最終的な構造としては、図32には図示を省略されているが、有機半導体層24上には、低温成長によって形成された窒化膜やシリコン酸化膜、或いはこれらの積層構造をパッシベーション膜として形成しても良い。さらに、所定空間をもって、囲む封止缶によるパッケージ構造を備えていても良い。
また、本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置において、p型有機半導体層24およびソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)構造上に正孔輸送層を配置し、さらに正孔輸送層上に電子輸送層を配置し、さらにこの電子輸送層上にキャップ用の導電体層を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層の間に電子輸送層と正孔輸送層で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第6乃至第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極120の材料としても、第6乃至第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第6乃至第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)の材料としても、第6乃至第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約5nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、金(Au)電極より仕事関数の大きな材料である金属酸化物層と金電極との積層型電極をソース/ドレイン電極として用い、かつ高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、Auより仕事関数の大きな材料であるMoOX等を用いてMoOX/Au/MoOXのような3層構造の積層型電極をTa25/SiO2積層型ゲート絶縁膜と組み合わせて、必要に応じてAr逆スパッタリング,UV/O3処理,Ar/O2プラズマ処理,HMDS処理を単独もしくは複数実施して、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第9の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
[第10の実施の形態]
図33は、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置であって、第6の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の周辺部において有機半導体発光素子を集積化した模式的断面構造図を示す。
本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置は、図33に示すように、本発明の第11の実施の形態において説明した図18の構造の有機薄膜トランジスタと、有機半導体発光素子を集積化形成した構成を有する。
有機薄膜トランジスタは、有機半導体発光素子のドライバ用のトランジスタとして構成されることから、低電圧駆動かつ高輝度発光のためには、有機薄膜トランジスタのオン電流を増大することが必要である。本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置は、積層ゲート絶縁膜による高いオン電流と共に、ソース/ドレイン電極を本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置の構造を適用することにより、更に高い駆動電流を実現している。
本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置は、図33に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極120と、ゲート電極120上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜17と、ゲート絶縁膜17上に配置された金属層160,180と、金属層160,180上に配置された金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜17上に配置された有機半導体層24とを備え、金属層160,180の仕事関数は金属層20,22の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタと、前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、基板10上に配置されたアノード電極130と、アノード電極130上に配置された正孔輸送層132と、正孔輸送層132上に配置された発光層134と、発光層134上に配置された電子輸送層136と、電子輸送層136上に配置されたカソード電極138との積層構造からなる有機半導体発光素子をさらに備える。
半導体発光素子を搭載する基板10の裏面には、カラーフィルタ50を配置しても良い。
また、金属層20,22は、金(Au)電極で形成され、金属層160,180は、Au電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成される。
また、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層で形成される。
例えば、モリブデン酸化物(MoOX)層の膜厚は、約1nm〜5nm程度、望ましくは、約1.2nm〜4nm程度である。また、金(Au)電極の膜厚は、例えば、約20nm〜200nm程度であり、望ましくは、約80nmである。
或いはまた、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層と、例えば厚さ約0.5nm程度の極薄のクロム(Cr)層との混合層で形成されていても良い。或いはまた、金属層160,180は、クロム(Cr)層とモリブデン酸化物(MoOX)層の積層構造(Cr/MoOX)で形成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜17よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜17はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜17はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約20nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜17を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図33に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極12と、ゲート電極12上に配置され,厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約10nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜17と、ゲート絶縁膜17上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX)層からなる金属層160,180と、金属層160,180膜17上に配置され,厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜17上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタと、前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、基板10上に配置され,例えば、ITOからなるアノード電極130と、アノード電極130上に配置された正孔輸送層132と、正孔輸送層132上に配置された発光層134と、発光層134上に配置された電子輸送層136と、電子輸送層136上に配置され,例えば、Al/LiF積層電極からなるカソード電極138との積層構造からなる有機半導体発光素子をさらに備える。
また、図33に示すように、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置においては、p型有機半導体層24上に正孔輸送層42を配置し、さらに正孔輸送層42上に正孔輸送層44を配置し、正孔輸送層44上に電子輸送層46を配置し、さらにこの電子輸送層46上にキャップ用の導電体層48を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層48の間に電子輸送層46と正孔輸送層42,44で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
この場合、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置は、p型有機半導体層24のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)のエネルギー準位の絶対値がキャップ用の導電体層の仕事関数の絶対値よりも大きくすると良い。ここで、HOMOのエネルギー準位とは、有機分子の基底状態を表す。また、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)のエネルギー準位とは、有機分子の励起状態を表す。ここで、LUMO準位は最低励起一重項準位(S1)に対応する。さらに電子や正孔が有機物に注入され、ラジカルアニオン(M-),ラジカルカチオン(M+)が形成された場合の正孔および電子の準位は、励起子結合エネルギーが存在しない分、HOMO準位,LUMO準位の外側の位置に電子伝導準位、正孔伝導準位が位置することになる。
p型有機半導体層24の代わりにn型有機半導体層を適用する場合には、n型有機半導体層のLUMOのエネルギー準位の絶対値が導電体層の仕事関数の絶対値よりも小さくすれば良い。
正孔輸送層42,44としては、例えば、α−NPDを用いることができる。ここで、α−NPDは、4,4−ビスN−(1−ナフチル−1−)[N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(4,4-bis[N-(1-naphtyl-1-)N-phenyl-amino]-biphenyl)と呼ばれる。
電子輸送層46としては、例えばAlq3などで形成することができる。ここで、Alq3は、アルミニウム8−ヒドロキシキノリネート(Aluminum 8-hydroxyquinolinate)或いは、トリ8−キノリノラトアルミニウムと呼ばれる材料である。
導電体層48は、例えば、MgAg、Al、Ca、Li、Cs、Ni、Tiなどの金属材料、LiF/Alからなる金属積層構造、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOTなどの有機導電体材料で形成することができる。
上記pnダイオードによって、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間の短絡を防止することもできる。すなわち、上記pnダイオードによって、キャリアの逆流を防ぐことができ、導電体層48を介してソース・ドレイン間が短絡することは原理的に発生しない。
p型トランジスタとして、ソース・ドレイン間にバイアス電圧を印加する場合、導電体層48とドレイン電極(180,22)間は、電界の向きがpn接合の逆方向バイアスにあたるため、導電体層48を介してソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間が短絡することはない。
同様に、ソース・ドレイン間にバイアス電圧を印加した場合、キャップ用の導電体層48とソース電極(160,20)間は、pn接合の順方向バイアスにあたるため、キャップ用の導電体層48はソース電極(基準電位)からpn接合の順方向電圧降下(Vf)分の電位差をもって安定する。また、p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24内部の電位は、キャップ用の導電体層48の電磁シールド効果によって安定化する。
本発明の第5実施の形態に係る有機半導体装置の構造において、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極120の材料としても、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)の材料としても、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
(正孔輸送層を形成する正孔輸送材料)
図38は、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置に適用可能な正孔輸送層32,42,44を形成する正孔輸送材料の分子構造例であって、図38(a)は、GPDの分子構造例、図38(b)は、spiro-TADの分子構造例、図38(c)は、spiro-NPDの分子構造例、図38(d)は、oxidized-TPDの分子構造例をそれぞれ示す。
また、図39は、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置に適用可能な正孔輸送層32,42,44を形成するさらに別の正孔輸送材料の分子構造例であって、図39(a)は、TDAPBの分子構造例、図39(b)はMTDATAの分子構造例を示す。
(電子輸送層を形成する電子輸送材料)
図40は、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置の電子輸送層36,46を形成する電子輸送材料の分子構造例であって、図40(a)は、t-butyl-PBDの分子構造例、図40(b)は、TAZの分子構造例、図40(c)は、シロール誘導体の分子構造例、図40(d)は、ホウ素置換型トリアリール系化合物の分子構造例、図40(e)は、フェニルキノキサリン誘導体の分子構造例をそれぞれ示す。
また、図41は、本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置の電子輸送層36,46を形成する別の電子輸送材料の分子構造例であって、図41(a)は、Alq3の分子構造例、図41(b)は、BCPの分子構造例、図41(c)は、オキサジアゾール二量体の分子構造例、図41(d)は、スターバーストオキサジアゾールの分子構造例をそれぞれ示す。
発光層34には、例えば、キャリア輸送性発光材料、或いは発光ドーパントとホスト材料の混合層を適用することができる。キャリア輸送性発光材料としては、例えば、Alq3,BAlq,Bepp2,BDPHVBi,spiro-BDPVBi,(PSA)2Np−5,(PPA)(PSA)Pe−1,BSNなどの材料を用いることができる。発光ドーパントとホスト材料としては、例えば、クマリン6,C545T,Qd4,DEQ,DPT,DCM2,DCJTB,ルブレン,DPP,CBP,ABTX,DSA,DSAアミンなどの材料を用いることができる。
本発明の第10の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、オン電流の増大した有機薄膜トランジスタと、低電圧駆動かつ高輝度発光の有機半導体発光素子を集積化する有機半導体装置を提供することができる。
[第11の実施の形態]
図34は、本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置であって、第7の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の周辺部において有機半導体発光素子を集積化した模式的断面構造図を示す。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置は、図34に示すように、本発明の第7の実施の形態において説明した図21の構造の有機薄膜トランジスタと、有機半導体発光素子を集積化形成した構成を有する。
有機薄膜トランジスタは、有機半導体発光素子のドライバ用のトランジスタとして構成されることから、低電圧駆動かつ高輝度発光のためには、有機薄膜トランジスタのオン電流を増大することが必要である。本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置は、積層ゲート絶縁膜による高いオン電流と共に、ソース/ドレイン電極を本発明の第7の実施の形態に係る有機半導体装置の構造を適用することにより、更に高い駆動電流を実現している。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図34に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極120と、ゲート電極120上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置された金属層160,180と金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタと、前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、基板10上に配置されたアノード電極130と、アノード電極130上に配置された正孔輸送層132と、正孔輸送層132上に配置された発光層134と、発光層134上に配置された電子輸送層136と、電子輸送層136上に配置されたカソード電極138との積層構造からなる有機半導体発光素子をさらに備える。
半導体発光素子を搭載する基板10の裏面には、カラーフィルタ50を配置しても良い。
また、金属層20,22は、金(Au)電極で形成され、金属層160,180は、Au電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成される。
また、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層で形成される。
例えば、モリブデン酸化物(MoOX)層の膜厚は、約1nm〜5nm程度、望ましくは、約1.2nm〜4nm程度である。また、金(Au)電極の膜厚は、例えば、約20nm〜200nm程度であり、望ましくは、約80nmである。
或いはまた、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層と、例えば厚さ約0.5nm程度の極薄のクロム(Cr)層との混合層で形成されていても良い。或いはまた、金属層160,180は、クロム(Cr)層とモリブデン酸化物(MoOX)層の積層構造(Cr/MoOX)で形成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜170よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約5nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜170を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図34に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極120と、ゲート電極120上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約5nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層160,180と厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22の積層構造からなるソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)と、ソース電極(160,20)とドレイン電極(180,22)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタと、前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、基板10上に配置され,例えば、ITOからなるアノード電極130と、アノード電極130上に配置された正孔輸送層132と、正孔輸送層132上に配置された発光層134と、発光層134上に配置された電子輸送層136と、電子輸送層136上に配置され,例えば、Al/LiF積層電極からなるカソード電極138との積層構造からなる有機半導体発光素子をさらに備える。
また、第10の実施の形態と同様に、本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置においても、図34に示すように、p型有機半導体層24上に正孔輸送層42を配置し、さらに正孔輸送層42上に正孔輸送層44を配置し、さらに正孔輸送層44上に電子輸送層46を配置し、さらにこの電子輸送層46上にキャップ用の導電体層48を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層48の間に電子輸送層46と正孔輸送層42,44で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
この場合、本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置は、p型有機半導体層24のHOMOのエネルギー準位の絶対値がキャップ用の導電体層の仕事関数の絶対値よりも大きくすると良い。p型有機半導体層24の代わりにn型有機半導体層を適用する場合には、n型有機半導体層のLUMOのエネルギー準位の絶対値が導電体層の仕事関数の絶対値よりも小さくすれば良い。
上記の正孔輸送層42,44としては、例えば、α−NPDを用いることができる。電子輸送層46としては、例えばAlq3などで形成することができる。導電体層48は、例えば、MgAg、Al、Ca、Li、Cs、Ni、Tiなどの金属材料、LiF/Alからなる金属積層構造、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOTなどの有機導電体材料で形成することができる。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第7の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極120の材料としても、第7の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第6の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(160,20)およびドレイン電極(180,22)の材料としても、第7の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第6の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約5nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、金(Au)電極より仕事関数の大きな材料である金属酸化物層と金電極との積層型電極をソース/ドレイン電極として用い、かつ高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、Auより仕事関数の大きな材料であるMoOX等を用いてMoOX/Auのような積層型電極をTa25/SiO2積層型ゲート絶縁膜と組み合わせて、必要に応じてAr逆スパッタリング,UV/O3処理,Ar/O2プラズマ処理,HMDS処理を単独もしくは複数実施して、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
(正孔輸送層を形成する正孔輸送材料)
図38乃至図39に示した正孔輸送層を形成する正孔輸送材料料の分子構造例は、本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
(電子輸送層を形成する電子輸送材料)
図40乃至図41に示した電子輸送層を形成する電子輸送材料の分子構造例は、本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
発光層34には、第10の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
本発明の第11の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、オン電流の増大した有機薄膜トランジスタと、低電圧駆動かつ高輝度発光の有機半導体発光素子を集積化する有機半導体装置を提供することができる。
[第12の実施の形態]
図35は、本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置であって、第8の実施の形態に係るボトムコンタクト型の有機半導体装置の周辺部において有機半導体発光素子を集積化した模式的断面構造図を示す。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置は、図35に示すように、本発明の第8の実施の形態において説明した図24の構造の有機薄膜トランジスタと、有機半導体発光素子を集積化形成した構成を有する。
有機薄膜トランジスタは、有機半導体発光素子のドライバ用のトランジスタとして構成されることから、低電圧駆動かつ高輝度発光のためには、有機薄膜トランジスタのオン電流を増大することが必要である。本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置は、積層ゲート絶縁膜による高いオン電流と共に、ソース/ドレイン電極を本発明の第8の実施の形態に係る有機半導体装置の構造を適用することにより、更に高い駆動電流を実現している。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図35に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極120と、ゲート電極120上に配置されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置されたゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置された金属層160,180と、金属層160,180上に配置された金属層20,22と、金属層20,22上に配置された金属層260,280との積層構造からなるソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)と、ソース電極(160,20,260)とドレイン電極(180,22,280)間であってゲート絶縁膜170上に配置された有機半導体層24とを備え、金属層160,180および金属層260,280の仕事関数は金属層20,22の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタと、前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、基板10上に配置されたアノード電極130と、アノード電極130上に配置された正孔輸送層132と、正孔輸送層132上に配置された発光層134と、発光層134上に配置された電子輸送層136と、電子輸送層136上に配置されたカソード電極138との積層構造からなる有機半導体発光素子をさらに備える。
半導体発光素子を搭載する基板10の裏面には、カラーフィルタ50を配置しても良い。
また、金属層20,22は、金(Au)電極で形成され、金属層160,180および金属層260,280は、金電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成される。
また、金属層160,180および金属層260,280は、モリブデン酸化物(MoOX)層で形成される。
例えば、モリブデン酸化物(MoOX)層の膜厚は、約1nm〜5nm程度、望ましくは、約1.2nm〜4nm程度である。また、金(Au)電極の膜厚は、例えば、約20nm〜200nm程度であり、望ましくは、約80nmである。
或いはまた、金属層160,180は、モリブデン酸化物(MoOX)層と、例えば厚さ約0.5nm程度の極薄のクロム(Cr)層との混合層で形成されていても良い。或いはまた、金属層160,180は、クロム(Cr)層とモリブデン酸化物(MoOX)層の積層構造(Cr/MoOX)で形成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15はゲート絶縁膜170よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有する。
また、ゲート絶縁膜15はタンタル酸化膜で構成されていても良い。
また、ゲート絶縁膜15は、例えば、厚さ100nm以下のタンタル酸化膜で構成され、ゲート絶縁膜170はゲート絶縁膜15よりも薄く、例えば、約5nm以下のシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を備えていても良い。
上記のように、ゲート絶縁膜170を低温成膜の薄いシリコン酸化膜で形成することによって、スパッタリング法若しくは陽極酸化法によるタンタル酸化膜と共に、プラスチックなどのフレキシブル基板へのプロセス処理が容易になる。
さらに、具体的に、本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置の構造は、図35に示すように、基板10と、基板10上に配置され,厚さ約100nmのAl−Nd層からなるゲート電極120と、ゲート電極120上に配置され, 厚さ約100nmのタンタル酸化膜(PVD−Ta25)からなるゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に配置され, 厚さ約5nmのシリコン酸化膜(CVD−SiO2)からなるゲート絶縁膜170と、ゲート絶縁膜170上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層160,180と、金属層160,180上に配置され,厚さ約80nmのAu層からなる金属層20,22と、金属層20,22上に配置され, 厚さ約2.5nmのモリブデン酸化物(MoOX )層からなる金属層260,280との積層構造からなるソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)と、ソース電極(160,20,260)とドレイン電極(180,22,280)間であってゲート絶縁膜170上に配置され,例えば、Py105(Me)からなる厚さ約50nmのp型有機半導体層24とを備える有機薄膜トランジスタと、前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、基板10上に配置され,例えば、ITOから形成されるアノード電極130と、アノード電極130上に配置された正孔輸送層132と、正孔輸送層132上に配置された発光層134と、発光層134上に配置された電子輸送層136と、電子輸送層136上に配置され,例えば、Al/LiF積層電極からなるカソード電極138との積層構造からなる有機半導体発光素子をさらに備える。
また、第10乃至第11の実施の形態と同様に、本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置においても、図35に示すように、p型有機半導体層24上に正孔輸送層42を配置し、さらに正孔輸送層42上に正孔輸送層44を配置し、さらに正孔輸送層44上に電子輸送層46を配置し、さらにこの電子輸送層46上にキャップ用の導電体層48を配置した積層構造を備えていても良い。すなわち、p型有機半導体層24と導電体層48の間に電子輸送層46と正孔輸送層42,44で構成されるpnダイオードが形成されていてもよい。
この場合、本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置は、p型有機半導体層24のHOMOのエネルギー準位の絶対値がキャップ用の導電体層の仕事関数の絶対値よりも大きくすると良い。p型有機半導体層24の代わりにn型有機半導体層を適用する場合には、n型有機半導体層のLUMOのエネルギー準位の絶対値が導電体層の仕事関数の絶対値よりも小さくすれば良い。
上記の正孔輸送層42,44としては、例えば、α−NPDを用いることができる。電子輸送層46としては、例えばAlq3などで形成することができる。導電体層48は、例えば、MgAg、Al、Ca、Li、Cs、Ni、Tiなどの金属材料、LiF/Alからなる金属積層構造、ITO、IZOなどの無機導電体材料、PEDOTなどの有機導電体材料で形成することができる。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置の構造においても、各電極、各層はそれぞれスパッタ、蒸着、塗布などにより成膜される。
基板10の材料としては、第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート電極12の材料としても、第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜15の材料としても、第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
ソース電極(160,20,260)およびドレイン電極(180,22,280)の材料としても、第8の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
p型有機半導体層(トランジスタ活性層)24を、例えば、a−Si,ポリシリコンなどの無機半導体材料などで置換形成することもできる。
図36乃至図37に示したp型有機半導体材料の分子構造例は、本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、タンタル酸化膜と極薄(約10nm程度以下)の低温成膜によるシリコン酸化膜(CVD−SiO2)の積層化により、タンタル酸化膜に起因する有機薄膜トランジスタの静特性におけるヒステリシスを解決すると共に、シリコン酸化膜表面を有機半導体層との界面、すなわちチャネル部に接触することにより、既存のゲート絶縁膜の表面改質の手法が有効に機能することにより、その上に成膜する有機半導体材料の配向制御等が容易になり、高性能な有機薄膜トランジスタを有する有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、金(Au)電極より仕事関数の大きな材料である金属酸化物層と金電極との積層型電極をソース/ドレイン電極として用い、かつ高誘電率の絶縁膜を有機トランジスタのゲート絶縁膜として用い、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、Auより仕事関数の大きな材料であるMoOX等を用いてMoOX/Au/MoOXのような3層構造の積層型電極をTa25/SiO2積層型ゲート絶縁膜と組み合わせて、必要に応じてAr逆スパッタリング,UV/O3処理,Ar/O2プラズマ処理,HMDS処理を単独もしくは複数実施して、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、表面改質が容易であり、有機半導体材料の配向制御も良好で、有機薄膜トランジスタの特性向上(低電圧駆動,高駆動電流)を達成する集積化に適した有機半導体装置を提供することができる。
(正孔輸送層を形成する正孔輸送材料)
図38乃至図39に示した正孔輸送層を形成する正孔輸送材料料の分子構造例は、本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
(電子輸送層を形成する電子輸送材料)
図40乃至図41に示した電子輸送層を形成する電子輸送材料の分子構造例は、本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置においても同様に適用することができる。
発光層34には、第10乃至第11の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
本発明の第12の実施の形態に係る有機半導体装置によれば、正孔注入能力が高く、オン電流の増大した有機薄膜トランジスタと、低電圧駆動かつ高輝度発光の有機半導体発光素子を集積化する有機半導体装置を提供することができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1乃至第12の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
本発明の第1乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置の構成に適用される有機半導体材料は、例えば、真空蒸着法、カラムクロマトグラフィー,再結晶法などの化学的精製法、昇華精製法、高分子材料の場合には、スピンコート,ディップコート,ブレードコート,インクジェット法などの湿式成膜法などを用いて形成することができる。
本発明の第10乃至第12の実施の形態に係る有機半導体装置の構成においては、ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタと有機半導体発光素子の集積化構造を説明したが、第9の実施の形態において説明したようなトップコンタクト型の有機薄膜トランジスタと有機半導体発光素子の集積化構造も同様に実現可能である。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
本発明の有機半導体装置は、高性能な有機薄膜トランジスタとその集積化構造を実現できることから、有機CMOSFETなどの有機集積回路分野、有機発光デバイス、フラットパネルディスプレイ,フレキシブルディスプレイを実現するための有機ELディスプレイなどのフレキシブルエレクトロニクス分野、および透明エレクトロニクス分野、さらに照明機器、有機レーザ、太陽電池、ガスセンサ、味覚センサ,匂いセンサなどのバイオセンサなど幅広い分野において適用可能である。

Claims (25)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置され,第1金属層と第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層と
    を備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置。
  2. 前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、
    前記第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置される前記第2ゲート絶縁膜
    との積層構造からなる積層型層間絶縁膜をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体装置。
  3. 前記第1ゲート絶縁膜は前記第2ゲート絶縁膜よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、前記第2ゲート絶縁膜は前記第1ゲート絶縁膜よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有することを特徴とする請求項1に記載の有機半導体装置。
  4. 前記第1ゲート絶縁膜はタンタル酸化膜で構成され、前記第2ゲート絶縁膜は前記第1ゲート絶縁膜よりも薄いシリコン酸化膜で構成されて, 全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有することを特徴とする請求項1に記載の有機半導体装置。
  5. 基板と、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第3ゲート絶縁膜と、
    前記第3ゲート絶縁膜上に配置され,第1金属層と第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第3ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層と
    を備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置。
  6. 前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第3ゲート絶縁膜
    との積層構造からなる積層型層間絶縁膜をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の有機半導体装置。
  7. 基板と、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第3ゲート絶縁膜と、
    前記第3ゲート絶縁膜上に配置された第4ゲート絶縁膜と、
    前記第4ゲート絶縁膜上に配置された第5ゲート絶縁膜と、
    前記第5ゲート絶縁膜上に配置され,第1金属層と第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第5ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層と
    を備える有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置。
  8. 前記有機薄膜トランジスタの周辺部において、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第3ゲート絶縁膜と、
    前記第3ゲート絶縁膜上に配置された第4ゲート絶縁膜と、
    前記第4ゲート絶縁膜上に配置された第5ゲート絶縁膜
    との積層構造からなる積層型層間絶縁膜をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の有機半導体装置。
  9. 前記有機半導体層がp型有機半導体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の有機半導体装置。
  10. 基板と、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置された第1金属層と、前記第1金属層上に配置された第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極間であって前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層とを備え、
    前記第1金属層の仕事関数は前記第2金属層の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置。
  11. 前記第2金属層は、金電極で形成され、前記第1金属層は、前記金電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成されることを特徴とする請求項10に記載の有機半導体装置。
  12. 前記第1金属層は、モリブデン酸化物層、モリブデン酸化物層とクロム層との混合層若しくはクロム層とモリブデン酸化物層の積層構造で形成されることを特徴とする請求項11に記載の有機半導体装置。
  13. 前記第1ゲート絶縁膜は前記第2ゲート絶縁膜よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、前記第2ゲート絶縁膜は前記第1ゲート絶縁膜よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の有機半導体装置。
  14. 前記第1ゲート絶縁膜はタンタル酸化膜で構成されることを特徴とする請求項13に記載の有機半導体装置。
  15. 基板と、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層と、
    前記有機半導体層上に配置された第1金属層と、前記第1金属層上に配置された第2金属層の積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と
    を備え、前記第1金属層の仕事関数は前記第2金属層の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置。
  16. 前記第2金属層は、金電極で形成され、前記第1金属層は、前記金電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成されることを特徴とする請求項15に記載の有機半導体装置。
  17. 前記第1金属層は、モリブデン酸化物層、モリブデン酸化物層とクロム層との混合層若しくはクロム層とモリブデン酸化物層の積層構造で形成されることを特徴とする請求項16に記載の有機半導体装置。
  18. 前記第1ゲート絶縁膜は前記第2ゲート絶縁膜よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、前記第2ゲート絶縁膜は前記第1ゲート絶縁膜よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の有機半導体装置。
  19. 前記第1ゲート絶縁膜はタンタル酸化膜で構成されることを特徴とする請求項18に記載の有機半導体装置。
  20. 基板と、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
    前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
    前記第2ゲート絶縁膜上に配置された有機半導体層と、
    前記有機半導体層上に配置された第1金属層と、前記第1金属層上に配置された第2金属層と、前記第2金属層上に配置された第3金属層との積層構造からなるソース電極およびドレイン電極と
    を備え、前記第1金属層および前記第3金属層の仕事関数は前記第2金属層の仕事関数よりも大きい有機薄膜トランジスタを有することを特徴とする有機半導体装置。
  21. 前記第2金属層は、金電極で形成され、前記第1金属層および前記第3金属層は、前記金電極よりも仕事関数の大きな金属酸化物で形成されることを特徴とする請求項20に記載の有機半導体装置。
  22. 前記第1金属層は、モリブデン酸化物層、モリブデン酸化物層とクロム層との混合層若しくはクロム層とモリブデン酸化物層の積層構造で形成されることを特徴とする請求項21に記載の有機半導体装置。
  23. 前記第1ゲート絶縁膜は前記第2ゲート絶縁膜よりも高誘電率の絶縁膜で構成され、前記第2ゲート絶縁膜は前記第1ゲート絶縁膜よりも薄いシリコン酸化膜、若しくは低温成膜の薄いシリコン酸化膜で構成されて,全体として積層型ゲート絶縁膜構造を有することを特徴とする請求項20乃至22のいずれか1項に記載の有機半導体装置。
  24. 前記第1ゲート絶縁膜はタンタル酸化膜で構成されることを特徴とする請求項23に記載の有機半導体装置。
  25. 前記有機半導体層がp型有機半導体であることを特徴とする請求項10乃至24のいずれか1項に記載の有機半導体装置。
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