JPWO2009041134A1 - 芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、光学特性、平滑性に非常に優れたポリカーボネートフィルムの流延製膜方法を提供することにあり、その目的は、メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、芳香族ポリカーボネートを15〜45質量%溶解させたドープ組成物であり、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールとの比(下記式(i)で表されるMA)が4〜14であるドープ組成物を、露点が0〜15℃に制御された雰囲気下においてエンドレスベルトに流延し、下記式(ii)で表される残留溶媒濃度が35〜45%の状態で剥離することを特徴とする芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法によって達成された。式(i) MA=脂肪族アルコールの質量/(脂肪族アルコールの質量+メチレンクロライドの質量)×100式(ii) 残留溶媒濃度(%)=溶媒量/(溶媒量+溶質量)×100

Description

本発明は、ポリカーボネート溶液を金属等の支持体上に流延した後、ある程度の溶媒を含んだ状態で該支持体より剥離し、乾燥させて、各種の光学用材料やガラス代替基板などの種々の分野に用いられる光学特性、平滑性に非常に優れたポリカーボネート樹脂フィルムを製膜する方法に関するものである。
ポリカーボネートの溶液流延製膜法によるフィルム等の工業的製造法においては、支持体として一般的にスチールベルト等の金属基材が用いられている。この支持体上に、ポリカーボネート溶液を押出しダイより流延し、ウェブと呼ばれる膜状物を成形し、該ウェブが含有する溶媒をある程度揮発させてから支持体より剥ぎ取ることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、このような製造方法は、溶媒を充分に揮発させる必要があったため通常の設備ではキャストスピード(以下CS)を遅くしなければならず、生産性が悪かった。また高CSを可能とするためにベルト長を長くした場合には、剥離時に強い静電気が発生し、これによりベルトが損傷したり、フィルムのズジやムラ、微小傷の発生原因となった。このため、高品質のフィルムを生産性よく長期的に生産するのが非常に困難な状況であった。
従来、支持体からのフィルム等の剥ぎ取りに関してはいくつかの技術が提案されている。例えば、高分子樹脂溶液中に離型剤を添加して剥ぎ取りを助ける方法や、支持体表面を例えばフッ素樹脂等で被覆して、その表面エネルギーを低下させフィルム等の剥離力を低下させる方法などが提案されている。
支持体からのフィルム等の剥ぎ取り条件を主に規定したものとして、例えば、特許文献2〜5等が開示されている。
また、特に特許文献2には、剥離時の残留溶媒量を乾量基準10〜30%にして、かつ剥離部分において支持体の表面温度を20℃以下15.5℃以上に保つことを特徴とする流延製膜方法が記載されている。
特許文献6には、膜状物を支持体より剥ぎ取ることによりフィルムを製造する方法において該膜状物を剥し、支持体上に次の流延が行われる間、該支持体の表面温度が15℃以下であり、かつ支持体が露出している部分が支持体の表面温度より低い露点の気体により満たされていることを特徴とする流延製膜方法が記載されている。
特許文献7には、ポリマーの溶液を支持体上に流延し、これを乾燥させ光学用ポリマーフィルムを製造するに際し、該液膜を流延した後、−40℃〜10℃の温度で支持体上で乾燥を行うことを特徴とする光学用ポリマーフィルムの製造方法、厚み方向にのみ光学異方性のあるフィルムを製造する方法が記載されている。
これらの技術においては、転写、剥離傷、粘着傷、スクラッチなどの表面欠点、及び透明性が確かに改善されたものの、例えば有機EL用のガラス代替基板などの用途においては、これらの公知技術を用いても充分とは言いがたく、剥離時に発生する帯電によりベルトが徐々に傷んでいくため、高品質の樹脂フィルムを長期的に安定して生産することは難しかった。この問題は、製膜速度を向上させたい場合、また製膜するフィルムの厚みを厚くしたい場合等にさらに顕在化している。
特開平5−239229号公報 特許第2640189号公報 特開平5−239229号公報 特開平2−111511号公報 特開平7−304048号公報 特開平2−111511号公報 特開平7−304048号公報
このようなことから、従来技術ではウェブを支持体から剥離する際に、低残溶での剥離が必須であり、これにより剥離時に非常に帯電し易く高CSでの安定した連続製膜が非常に困難であった。
本願発明は上記の問題を解消し、光学特性、平滑性に非常に優れたポリカーボネートフィルムの流延製膜方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、芳香族ポリカーボネートを15〜45質量%溶解させたドープ組成物であり、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールとの比(下記式(i)で表されるMA)が4〜14であるドープ組成物を、露点が0〜15℃に制御された雰囲気下においてエンドレスベルトに流延し、下記式(ii)で表される残留溶媒濃度が35〜45%の状態で剥離することを特徴とする芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
式(i) MA=脂肪族アルコールの質量/(脂肪族アルコールの質量+メチレンクロライドの質量)×100
式(ii) 残留溶媒濃度(%)=溶媒量/(溶媒量+溶質量)×100
2.前記メチレンクロライドと脂肪族アルコールとの比(MA)が5〜12であるドープ組成物を用いることを特徴とする前記1に記載の芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
3.剥離部の露点が0〜5℃に制御された雰囲気下で剥離することを特徴とする前記1または2に記載の芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
4.ベルト上に流延してから剥離までの時間が、120〜270秒であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
本願発明により、光学特性、平滑性に非常に優れたポリカーボネートフィルムの流延製膜方法を提供することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本願発明者らは流延製膜法について鋭意検討した結果、次の点を知見し本願発明を完成させた。すなわち、ドープの溶媒組成、固形分濃度を適度に調整し製膜時や剥離時の温湿度を制御することにより、高残溶での剥離を可能とし、高CSで品質の良いポリカーボネートフィルムを長期的に安定して製造することを可能としたものである。
本発明の芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法は、メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、芳香族ポリカーボネートを15〜45質量%溶解させたドープ組成物であり、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールとの比(下記式(i)で表されるMA)が4〜14であるドープ組成物を、露点が0〜15℃に制御された雰囲気下においてエンドレスベルトに流延し、下記式(ii)で表される残留溶媒濃度が35〜45%の状態で剥離することを特徴とする。
式(i) MA=脂肪族アルコールの質量/(脂肪族アルコールの質量+メチレンクロライドの質量)×100
式(ii) 残留溶媒濃度(%)=溶媒量/(溶媒量+溶質量)×100
以下、本発明を詳細に説明する。
(芳香族ポリカ−ボネ−ト)
本発明で使用する芳香族ポリカ−ボネ−トについて特に制約はなく、希望するフィルムの諸特性が得られる芳香族ポリカ−ボネ−トであれば特に制約はない。一般に,ポリカ−ボネ−トと総称される高分子材料は,その合成手法において重縮合反応が用いられて,主鎖が炭酸結合で結ばれているものを総称するが,これらの内でも,一般に,フェノ−ル誘導体と,ホスゲン,ジフェニルカ−ボネ−トらから重縮合で得られるものを意味する。通常,ビスフェノ−ル−Aと呼称されている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノ−ル成分とする繰り返し単位で表される芳香族ポリカ−ボネ−トが好ましく選ばれるが,適宜各種ビスフェノ−ル誘導体を選択することで,芳香族ポリカ−ボネ−ト共重合体を構成することが出来る。
かかる共重合成分としてこのビスフェノ−ル−A以外に,ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等をあげることができる。
また,一部にテレフルタル酸および/またはイソフタル酸成分を含む芳香族ポリエステルカ−ボネ−トを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノ−ル−Aからなる芳香族ポリカ−ボネ−トの構成成分の一部に使用することにより芳香族ポリカ−ボネ−トの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することが出来るが,このような共重合体についても本発明は有効である。
ここで用いられる芳香族ポリカ−ボネ−トの粘度平均分子量は、10000以上、200000以下であれば好適に用いられる。粘度平均分子量20000〜120000が特に好ましい。粘度平均分子量が10000より低い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足する場合があり,また400000以上の高分子量になるとド−プの粘度が大きくなり過ぎ取扱い上問題を生じるので好ましくない。粘度平均分子量は市販の高速液体クロマトグラフィ等で測定することができる。
本発明において、芳香族ポリカ−ボネ−ト溶液組成物に用いる溶媒のうち、メチレンクロライドと脂肪族アルコールとの比(下記式(i)で表されるMA)が4〜14であることを特徴する。
式(i) MA=脂肪族アルコールの質量/(脂肪族アルコールの質量+メチレンクロライドの質量)×100
上記比(MA)は好ましくは5〜12である。
本発明はドープ組成物中、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールで構成されるが、他の溶媒を使用することもできる。その他残りの溶媒としては芳香族ポリカ−ボネ−トを高濃度に溶解し、かつアルコ−ルと相溶性があること、さらには低沸点溶媒であれば特に限定はない。例えば、芳香族ポリカ−ボネ−トに対して溶解力のある溶媒として、塩化メチレン以外にクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エ−テル系の溶媒、シクロヘキサノン等のケトン系の溶媒が挙げられる。
他の溶媒を使用する場合は特に限定はなく、効果を勘案して用いればよい。ここでいう効果とは、溶解性や安定性を犠牲にしない範囲で溶媒を混合することによる、たとえば溶液流延法により製膜したフイルムの表面性の改善(レベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調節、結晶化抑制効果などである。これらの効果の度合により混合する溶媒の種類や添加量を決定すればよく、また混合する溶媒として1種または2種以上用いてもかまわない。
好適に用いられる他の溶媒としてはクロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、メトキシエチルアセテ−トなどのエ−テル系溶媒が挙げられる。
加えるアルコ−ルの種類は用いる溶媒により制限される。アルコ−ルと該溶媒とが相溶性があることが必要条件である。これらは単独で加えても良いし、2種類以上組み合わせても問題ない。本発明におけるアルコ−ルとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4の鎖状、あるいは分岐した脂肪族アルコ−ルが好ましい。具体的にはメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、タ−シャリ−ブタノ−ルなどが挙げられる。これらのうちエタノ−ル、イソプロパノ−ル、タ−シャリ−ブタノ−ルはほぼ同等の効果が得られるが、メタノ−ルはやや効果が低い。理由は明らかでないが溶媒の沸点、すなわち乾燥時の飛び易さが関係しているものと推測している。それ以上の高級アルコ−ルは、高沸点であるためフィルム製膜後も残留しやすくなるので好ましくない。
アルコ−ルの添加量は慎重に選択されなければならない。これらは芳香族ポリカ−ボネ−トに対する溶解性には全く乏しく、完全な貧溶媒である。従ってあまり多く加えることはできず、満足すべき剥離性が得られる最少量とすべきである。一般には全溶媒量に対して1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは1.5〜5質量%であり、メチレンクロライド量に対しては、上記比MAを満足する範囲に調整されることが好ましい。
添加量が1〜10質量%の範囲であると、該溶媒のポリマ−に対する溶解性、ド−プ安定性が向上し、剥離性改善の効果が大きくなる。
本発明の溶液組成物は、結果としてヘイズの低い透明な溶液が得られればいかなる方法で調製してもよい。あらかじめある溶媒に溶解させた芳香族ポリカ−ボネ−ト溶液に、アルコ−ルを所定量添加してもよいし、アルコ−ルを含む混合溶媒に芳香族ポリカ−ボネ−トを溶解させてもよい。ただ先にも述べた様にアルコ−ルは貧溶媒であるため、前者のあとから添加する方法ではポリマ−の析出によるド−プ白濁の可能性があるため、後者の混合溶媒に溶解させる方法が好ましい。
本発明における芳香族ポリカ−ボネ−ト溶液組成物(ド−プ)は、用いる共溶媒、芳香族ポリカ−ボネ−トの分子量にも依存するが、芳香族ポリカ−ボネ−ト量15〜45質量%含有に対して、溶媒量が15〜55質量%、更に20〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。溶媒量がこれを越えると溶液の安定性は問題ないが、芳香族ポリカ−ボネ−トの実効濃度が低くなるためこの溶液組成物を用いて溶液流延法で製膜した場合、溶液粘度が低いために外部擾乱が起きやすく表面平滑性が得られ難く好ましくない。逆に溶媒量がこれ未満では安定なド−プが得られにくい。これらの濃度は主としてド−プの安定性、溶液粘度を勘案して決定される。
本発明においては、芳香族ポリカ−ボネ−ト溶液組成物(ド−プ)を支持基板上に流延した後、溶媒を蒸発させることによりフイルムを得る。加熱により溶媒を蒸発させることができる。工業的連続製膜工程は一般に流延工程、前乾燥工程、後乾燥工程の3工程からなる。流延工程はド−プを平滑に流延する工程であり、前乾燥工程は流延したド−プから大部分の溶媒を蒸発除去する工程であり、後乾燥工程は残りの溶媒を除去する工程である。
流延工程では、ダイから押し出す方法、ドクタ−ブレ−ドによる方法、リバ−スロ−ルコ−タによる方法等が用いられる。工業的には、ダイからド−プをベルト状もしくはドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が最も一般的である。用いられる支持基板としてはガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレ−ト等のプラスチック基板などがある。支持基板の材質、表面状態も流延フィルムの剥離性に大きな影響を与えることは言うまでもない。例えば表面張力の極めて低いテフロン(登録商標)等でコ−ティングされた基板では、剥離性は良好である。しかしながら高度に表面性、光学均質性の優れたフィルムを工業的に連続製膜するには、表面を鏡面仕上げした金属基板が最も一般的に用いられており、本発明はそのような金属基板で効果が認められるものである。
一般にド−プから透明かつ平滑なフイルムを製膜するにあたり溶液粘度は極めて重要な因子である。溶液粘度はポリマ−の濃度、分子量および溶媒の種類に依存するが、本発明の溶液組成物の粘度は、500〜50000cps、好ましくは700〜30000cpsである。これを越えると溶液の流動性が下がるために平滑なフイルムが得られないことがあり好ましくない。また、それ未満では流動性が高すぎ、通常キャストに用いるTダイからド−プが均一に吐出しにくくなったり、外部擾乱のために表面に乱れが生じ均質・平滑なフイルムが得られない。アルコ−ルを添加することによる溶液粘度への影響は、添加量が微量なこともありわずかなものである。
本発明の流延時の温度は用いる溶媒によるが、10〜40℃、好ましくは15〜35℃の範囲で行われる。平滑性の優れたフィルムを得るためにはダイから押し出された溶液が支持基板上で流延・平滑化する必要がある。この際流延温度が高すぎると、平滑になる前に表面の乾燥・固化が起きるため好ましくない。また温度が低すぎると、流延溶液が冷却されて粘度が上昇し、平滑性が得られにくいばかりか結露するために好ましくない。
本発明の流延時の湿度は、露点が0〜15℃に制御された雰囲気下でエンドレスベルトに流延されることが特徴である。好ましくは0〜5℃である。露点が上記範囲に制御されることにより、剥離性が良好になり、光学特性、平滑性に非常に優れたポリカーボネートフィルムが得られる。露点が15℃を越えた雰囲下で製膜した場合には、表面に結露した水滴が付着し、平面性が損なわれたり、ゴミや異物の原因となる。また、20℃を越えた雰囲気下では表面の結露部分で白化が生じ、さらに25℃を越えた雰囲下では、フィルムが全面的に白化し、剥離時にフィルムがちぎれて破断する場合がある。
露点の制御には流延工程全体を1、または複数のゾーンに分けて制御してもよい。特に剥離部周辺に乾燥風を吹き付けつけたり、剥離部周辺に囲いを設けて独立したゾーンとして露点を制御することが好ましい。
流延工程から乾燥工程に移る前に、ある程度の時間乾燥を抑制しド−プの流動性を確保することにより、フィルムの表面性を高度に平滑化(レベリング効果)することが可能である。
前乾燥工程においては、できるだけ短時間に支持基板上に流延されたド−プから大部分の溶媒を蒸発除去する必要がある。しかしながら、急激な蒸発が起こると発泡による変形を受けるために、乾燥条件は慎重に選択すべきである。本発明においては、使用する溶媒の中で最も低い沸点、好適にはその(沸点−5℃)を上限とする範囲から乾燥を開始すべきである。その後、逐次的あるいは連続的に昇温して乾燥効率をあげるべきである。この工程における最終段階での温度の上限は、120℃、好ましくは100℃が採用される。この工程では、残留溶媒が本発明の場合は35〜45質量%も含まれるために、それ以上高温にすると発泡が生じるために好ましくない。また、必要に応じて風を送ってもよい。その場合、一般には風速20m/秒以下、好ましくは15m/秒以下の範囲が用いられる。それを越えると風の擾乱のために平滑面が得られないために好ましくない。風速は段階的ないしは連続的に増大させてもよいし、むしろ好ましい。初期の段階では風の擾乱を避けるために無風でもよい。
この前乾燥工程ではフィルムは基板上にあり、工程の最後に基板から剥離される。その際に残留溶媒量が多いとフィルムが柔らかいために変形が起き、また残留溶媒が少ないと、本発明の溶液組成物からキャストした流延フィルムでも、支持基板との密着性が高くなり剥離性が悪くなるため応力歪、剥離筋、剥離傷が生じる。従って残留溶媒量は重要な因子であり、好適には下記式(ii)で表される残留溶媒量が35〜45質量%の範囲が選択される。
式(ii) 残留溶媒濃度(%)=溶媒量/(溶媒量+溶質量)×100
金属基板を用いた溶液流延法では、一般に製膜開始当初は剥離性良好であるが、剥離を繰り返すうちに次第に剥離性が低下していくことが多い。この原因は定かではないが、次第に基板表面に表面張力の高い金属原子が多く露出してくる、あるいは極微量のポリマ−が表面に付着していき、それがいわば接着層のように働き始める、などと推定している。この対策として定期的に基板表面を洗浄する、例えば水で基板面を拭くなどすれば剥離性は回復させることができるが、工業的な連続製膜工程では極めてわずらわしい作業であり効率的ではない。本発明によれば、そのような作業をすることなく支持基板からの流延フィルムの剥離性を良好に維持することができる。
後乾燥工程においては、基板より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下にする必要がある。残留溶媒が多いと経時的に変形が起こったり、その後の例えば液晶表示装置などへの加工工程で熱が加わると寸法変化、いわゆる熱収縮が起こるためである。一般に後乾燥工程は、工業的にはピンテンタ−方式あるいはロ−ル懸垂方式等でフィルムを搬送しながら乾燥する方法が採られるが、これらの方法では乾燥途中でフィルムに様々な力が加わる。従って液晶表示装置用途等、光学的に高度な均質性が求められるフィルムの製膜では乾燥温度はフィルムの変形が生じない範囲から選択しなくてはならない。一般には、用いる芳香族ポリポリカ−ボネ−トのガラス転移温度をTg(℃)とするとき、(Tg−120℃)〜Tgの範囲、好ましくは(Tg−100℃)〜(Tg−10℃)の範囲が選ばれる。それ以上ではフィルムの熱変形が起こり好ましくなく、それ以下では乾燥速度が著しく遅くなるために好ましくない。熱変形は残留溶媒が少なくなるにつれて起きにくくなる。従って、該範囲内で初期に低温で、その後段階的ないしは連続的に昇温する方法をとることが好ましい。この後乾燥工程においては前乾燥工程と同様に送風してもよい。
本発明においては、上記芳香族ポリカ−ボネ−トフィルムを製造する際に、溶媒ガス濃度が高く、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気中で乾燥を実施してもよい。可燃性の溶媒を使用する場合は、溶媒の爆発限界を考慮した安全性の面からこの不活性ガス雰囲気中での乾燥方法が好ましい。この場合、溶媒のガス濃度は乾燥の熱エネルギ−,回収効率を勘案すると3体積%以上が望ましい。また不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は10体積%以下が望ましい。
本発明のフィルムの厚みは、10〜300μm、好ましくは50〜200μmの範囲である。特に表示装置を構成するプラスチック基板、位相差フィルム用原反フィルムには50〜200μmの厚みが好んで用いられる。これより厚いと残留溶媒を除去することが困難であり、これより薄いと厚み斑を抑制することが困難である。
〈表示装置〉
本発明により製造された芳香族ポリカ−ボネ−トフィルムを用いることにより、種々の視認性に優れた表示装置を作製することが出来る。本発明の芳香族ポリカ−ボネ−トフィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の芳香族ポリカ−ボネ−トフィルムは平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。
(有機EL素子)
本発明の芳香族ポリカーボネートフィルムが特に好適に用いられる有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子について説明する。
有機EL素子は、二枚の基板にいずれも内側に透明電極を配置し、間に例えば、(a)注入機能、(b)輸送機能、および(c)発光機能の各機能を持つ層を積層した複合層等からなる有機EL素子層が挟まれ、周囲がシールされたものである。有機EL素子を構成する場合には、例えば、本発明の芳香族ポリカーボネートフィルムを用いた基板(パターン化透明導電層・補助電極層を含む)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極/封止層からなる層構成を挙げることができる。該層構成は、特に限定されるものではなく、具体的には、陽極/発光層/陰極、陽極/正孔注入層/発光層/陰極、陽極/発光層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極などの多くの層構造に対応できる。この構成に限定されるものではなく、カラー化するためのカラーフィルターもしくはそのほかの複数の手段(層)を伴なうことがある。有機EL素子は基板としてガラス基板を用いることもできるが、ガラス基板の外側に、本発明の芳香族ポリカーボネートフィルムを適用することができ、あるいは、ガラス基板の代りに、本発明の芳香族ポリカーボネートフィルムを用いることもでき、二枚のガラス基板をいずれも本発明の芳香族ポリカーボネートフィルムに置き換えれば、全体がフレキシブルなディスプレイとすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈使用したポリカーボネート樹脂〉
・帝人化成(株)パンライトL−1225Y
・帝人化成(株)パンライトK−1300Y
・共重合体A:モノマーとしてBCF(9,9−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン)とBPA(2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン)とを、BCF30モル%/BPA70モル%で共重合(Tg195℃)
・共重合体B:モノマーとしてBCF(9,9−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン)とBPA(2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン)とを、BCF70モル%/BPA30モル%で共重合(Tg230℃)
以下の製造法により、本発明及び比較の芳香族ポリカーボネートフィルムを作製した。
[実施例1]
エタノール3.3質量部含む、塩化メチレンとエタノール混合溶媒65質量部に対して、ビスフェノールAを構成単位とするポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)パンライトL−1225Y)35質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風して露点を7℃以下に制御したステンレスベルト上に流涎し、220秒後に剥離した。その時の残留溶媒を42質量%だった。剥離性は良好であり帯電も少ない事より目視でフィルム表面に剥離段や剥離筋等は見られなかった。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は115μmであった。
[実施例2]
エタノール8.4質量部含む、塩化メチレンとエタノール混合溶媒70質量部に対して、ビスフェノールAを構成単位とするポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)パンライトK−1300Y)30質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風して露点を5℃以下に制御したステンレスベルト上に流涎し、さらに剥離部をしきりで覆って除湿機をつけることで露点を3℃以下にした雰囲気で200秒後に剥離した。その時の残留溶媒は42質量%であった。剥離性は良好であり帯電も少ない事より目視でフィルム表面に剥離段や剥離筋等は見られなかった。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は114μmであった。
[実施例3]
エタノール2.7質量部含む、塩化メチレンとエタノール混合溶媒68質量部に対して、ビスフェノールAを含む共重合ポリカーボネート樹脂(共重合体A)32質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風して露点を10℃以下に制御したステンレスベルト上に流涎し、250秒後に剥離した。その時の残留溶媒を40質量%であった。剥離性は良好であり帯電も少ない事より目視でフィルム表面に剥離段や剥離筋等は見られなかった。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は125μmであった。
[実施例4]
エタノール4.4質量部含む、塩化メチレンとエタノール混合溶媒63質量部に対して、ビスフェノールAを含む共重合ポリカーボネート樹脂(共重合体B)37質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風して露点を8℃以下に制御したステンレスベルト上に流涎し、残留溶媒を42質量%の時に剥離した。流延から剥離までの時間は130秒であった。剥離性は良好であり帯電も少ない事より目視でフィルム表面に剥離段や剥離筋等は見られなかった。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は85μmであった。
[実施例5〜13]
表1記載のようにポリカーボネート樹脂、溶媒、MA、露点、残留溶媒、延伸から剥離までの時間、膜厚を変化させ、実施例1と同様にして、実施例5〜13の芳香族ポリカーボネートフィルムを作製した。
[比較例1]
エタノール5.4質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒90質量部に対して、ビスフェノールAを構成単位とするポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)パンライトK−1300Y)10質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風することで露点を10℃以下に制御したのステンレスベルト上に流涎し、300秒後に剥離した。そのときの残留溶媒は40質量%であり、膜厚は115μmであった。固形分が少ないために剥離するまでの時間が非常にかかり、生産効率が著しく低かった。また、ドープの濃度が低いために粘度が低く、流涎した際、レチやゆず肌などが表面に現れ、表面平坦性が悪くなり、ヘイズが高くなった。
[比較例2]
エタノール2質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒50質量部に対して、ビスフェノールAを構成単位とするポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)パンライトL−1225Y)50質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、ドープの粘性が高すぎて固化した。このためステンレスベルト上に流涎ができず、フィルムを成膜することができなかった。
[比較例3]
エタノール9.8質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒70質量部に対して、ビスフェノールAを含む共重合ポリカーボネート樹脂(共重合体A)30質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥窒素を送風することで露点を0度以下にした場所で剥離したステンレスベルト上に流涎し、230秒後に剥離した。この際の残留溶媒を43質量%であった。剥離性は良好でありフィルム表面に剥離段や剥離筋等は見られなかった。しかし、露点を下げすぎたために帯電が大きくなりフィルムーロール間で放電が発生し、フィルム表面に突起が現れ表面の平坦性が悪くなった。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は116μmであった。
[比較例4]
エタノール7質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒70質量部に対して、ビスフェノールAを含む共重合ポリカーボネート樹脂(共重合体B)30質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープをステンレスベルト上に流涎し、露点を制御せず15℃以上の場所で210秒後に剥離した。この際の残留溶媒を41質量%であった。剥離性は良好でありフィルム表面に剥離段や剥離筋等は見られなかった。しかし、露点が高かったために、剥離した際にフィルムのベルト面が塩化メチレンの蒸発による潜熱の影響で結露し、フィルムに空孔が存在する事で白濁した。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は110μmであった。
[比較例5]
エタノール5.6質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒70質量部に対して、ビスフェノールAを構成単位とするポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)パンライトL−1225Y)30質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風することで露点を7℃制御した雰囲気下のステンレスベルト上に流涎し、300秒後に剥離した。この際の残留溶媒は20質量%であった。剥離する際の残留溶媒が20質量%と小さいために剥離時に帯電が生じ、フィルム表面に剥離段や剥離筋等が目視で見られた。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は120μmであった。
[比較例6]
エタノール3.5質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒70質量部に対して、ビスフェノールAを構成単位とするポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)パンライトL−1225Y)30質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風することで露点を6℃に制御した雰囲気下のステンレスベルト上に流涎し、100秒後に剥離した。この際の残留溶媒を53質量%であった。剥離する際に破断して、フィルムを作製することができなかった。
[比較例7]
エタノール1.4質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒70質量部に対して、ビスフェノールAを含む共重合ポリカーボネート樹脂(共重合体A)30質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風する事で露点を7℃制御した雰囲気下でステンレスベルト上に流涎し、230秒後に剥離した。この際の残留溶媒を42質量%であった。しかしエタノールの割合が2質量と小さいために剥離に対する張力が非常に大きくなり、フィルム表面に剥離段や剥離筋等が目視で見られた。残留溶媒濃度が1質量%以下になるまで乾燥した。膜厚は114μmであった。
[比較例8]
エタノール11.2質量部含む塩化メチレンとエタノール混合溶媒70質量部に対して、ビスフェノールAを含む共重合ポリカーボネート樹脂(共重合体B)30質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを乾燥空気を送風することで露点を7℃制御した雰囲気下のステンレスベルト上に流涎し、200秒後に剥離した。この際の残留溶媒を42質量%であった。しかしエタノールの割合が16質量と大きいために、剥離した際に結露が著しくフィルムのベルト面に空孔が開き、白濁した。膜厚は112μmであった。
[比較例9、10]
表1記載のようにポリカーボネート樹脂、溶媒、MA、露点、残留溶媒、延伸から剥離までの時間、膜厚を変化させ、比較例1と同様にして、比較例9、10の芳香族ポリカーボネートフィルムを作製した。
上記芳香族ポリカーボネートフィルム試料の構成、製造条件、生産性評価、表面粗さ(Ra)、ヘイズを下記表1に纏めた。
尚、生産性評価、表面粗さ(Ra)、ヘイズについては下記評価を行った。
(生産性)
○:故障、欠陥がなく生産性が高い
△:やや故障、欠陥が多く生産性に劣る
×:故障、欠陥が多く生産性が悪い
(表面粗さ(Ra))
JIS B 0601:2001で規定され、表面粗さ(Ra)は光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を用いて測定した。
(ヘイズ)
フィルム試料1枚をASTM−D1003−52に従って、東京電色工業(株)社製T−2600DAを使用して測定した。
本発明の実施例1〜13の芳香族ポリカーボネートフィルム試料は、生産性、表面粗さ(Ra)、ヘイズが優れていることが明らかである。
次いで、実施例1〜13、比較例1〜10(フィルム作製できなかった比較例2、6を除く)で作製した芳香族ポリカーボネートフィルムをプラスチック基板として使用し、透明導電層(ITO)を成膜し、透明導電フィルムに有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を作製した。
ITO導電層100nmを付与したポリカーボネートフィルム上にCuPc(10nm)/NPD(30nm)/CBP:Ir(ppy)33質量%/Alq3(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(120nm)の順で正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電極を真空蒸着法で成膜し、最後にN2ガス雰囲気で封止をした。
〈有機ELの評価〉
(発光ムラ)
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。200cdで発光させた発光素子について、50倍の顕微鏡で発光ムラを観察した。
発光ムラの評価ランク
◎:9割以上が均一に発光している
○:8割以上が均一に発光している
△:7割以上が均一に発光している
×:7割未満しか均一に発光していない
(表示欠陥)
有機EL素子を発光させて白表示した時の表示欠陥部位の面積を下記ランクで評価した。
◎:表示欠陥がまったくない
○:表示欠陥が面積で1%未満
△:表示欠陥が面積で1%以上3%未満
×:表示欠陥が面積で3%以上
(電圧上昇)
10mA/cm2の一定電流で駆動したときに、初期電圧と150時間後の電圧を測定した。初期電圧に対する100時間後の電圧の相対値を電圧上昇率とし、下記ランク分けした。
◎:100〜105
○:106〜115
△:116〜125
×:125以上
(輝度低下)
輝度が初期輝度の90%に低下するのに要した時間を測定し、これを10%減衰時間(τ0.9)として素子の初期における劣化の指標に用いた。その結果を実施例1を100とした相対値として、下記ランク分けした。
◎:100
○:90〜99
△:80〜89
×:79以下
(ダークスポット)
各有機ELデバイスを、60℃、90%RHの環境下で、300時間及び500時間保存した後、50倍の拡大写真を撮影してダークスポットの発生状況を目視観察し、下記の基準に従ってダークスポット耐性の評価を行った。
◎:500時間後もダークスポットの発生が全く認められない
○:300時間保存後はダークスポットの発生が認められないが、500時間保存後にわずかながらダークスポットの発生が認められた
△:300時間保存後でもダークスポットの発生がやや認めらる
×:300時間保存後にダークスポットの発生が多数認めら、実用に耐えない品質である
比較例の4と8以外の全てのフィルムにおいて発光が観測されたが、比較例の芳香族ポリカーボネートフィルムを用いた有機ELは、多数の剥離筋や表面に突起物が存在する基板であるため、表面平坦性が悪いことにより発光ムラや表示欠陥や電圧が上昇する発光輝度の低下が現れた。また、導電層の抵抗が均一でなく、そこから電荷が一点に集中することよりダークスポットを形成し、寿命が短くなる問題もあった。
本発明の製造方法で作製した芳香族ポリカーボネートフィルムは非常に表面が平滑であり、発光ムラや表示欠陥や電圧上昇、ダークスポットに優れ、有機EL基板に非常に適していることがわかった。

Claims (4)

  1. メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、芳香族ポリカーボネートを15〜45質量%溶解させたドープ組成物であり、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールとの比(下記式(i)で表されるMA)が4〜14であるドープ組成物を、露点が0〜15℃に制御された雰囲気下においてエンドレスベルトに流延し、下記式(ii)で表される残留溶媒濃度が35〜45%の状態で剥離することを特徴とする芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
    式(i) MA=脂肪族アルコールの質量/(脂肪族アルコールの質量+メチレンクロライドの質量)×100
    式(ii) 残留溶媒濃度(%)=溶媒量/(溶媒量+溶質量)×100
  2. 前記メチレンクロライドと脂肪族アルコールとの比(MA)が5〜12であるドープ組成物を用いることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
  3. 剥離部の露点が0〜5℃に制御された雰囲気下で剥離することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
  4. ベルト上に流延してから剥離までの時間が、120〜270秒であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法。
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