JP4211099B2 - 透明導電性積層シートの製造方法 - Google Patents

透明導電性積層シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低い初期表面抵抗値を有すると共に、加熱処理後の表面抵抗値の上昇が小さく耐熱性に優れた透明導電性積層シートの製造方法、及び透明導電性積層シートに関し、液晶ディスプレイ(LCD)基板、透明タッチパネル基板、及び、プラズマディスプレイ(PDP)用電磁波遮蔽フィルター等に用いるに好適な透明導電性積層シートの製造方法、及び透明導電性積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、著しい普及を遂げている携帯電話、ポケットベル、電子手帳、携帯情報端末、ノートパソコン等のLCD搭載携帯型機器等のLCD基板や、現金自動引出機、列車・航空機等の座席予約機、電子手帳、ワードプロセッサー等の透明タッチパネル基板、或いは、PDP用電磁波遮蔽フィルターとしては、透明基材上に透明導電層を有する積層シートを基本構造とし、その透明基材としてガラスが用いられているが、近年、その透明基材として、小型化や軽量化の要求に対応できる重さ上の問題や耐衝撃性等の機械的強度上の問題のある従来のガラスに代えて、透明性の優れるポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等の樹脂の利用が検討され、一部において実用化され始めている。
【0003】
しかしながら、溶液流延法や押出成形法等により成形されたこれら樹脂基材上に、耐溶剤性付与等のためのハードコート層、酸素ガスや水蒸気に対するガスバリア層、インジウムチンオキサイド(ITO)等による透明導電層、ポリイミド等による配向層等が形成されてなるLCD基板は、ガラス基材のLCD基板に比して、初期表面抵抗値が高く、更に、ポリイミド配向層の形成や電極取付け等の種々の加熱工程を経ることにより表面抵抗値が上昇してしまうという問題があった。又、これらの加熱工程を経ることによりガスバリア性も同時に低下してしまい、時間の経過と共に液晶パネル内に気泡や黒点等が発生し易くなるという問題を内在していた。
【0004】
又、前記LCD基板におけると同様に基材を樹脂化した透明タッチパネル基板においても、やはり、電極取付け等の加熱工程を経ることによる表面抵抗値の上昇が、入力による位置決め精度を低下させるという問題に繋がっている。
【0005】
又、前記LCD基板におけると同様に基材を樹脂化したPDP用電磁波遮蔽フィルターにおいても、初期表面抵抗値が高いことは、透明導電層の厚さを厚くして抵抗値の低減化に対処せざるを得ないこととなって、フィルターとしての光線透過率が低下するという問題に繋がっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、LCD基板、透明タッチパネル基板、及び、PDP用電磁波遮蔽フィルター等における透明導電性積層シートについての前述の現状に鑑みてなされたもので、従って、本発明は、低い初期表面抵抗値を有すると共に、加熱処理後の表面抵抗値の上昇が小さく耐熱性に優れた透明導電性積層シートの製造方法、及び透明導電性積層シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題について鋭意検討した結果、透明基材として用いる樹脂シートの樹脂組成物中に含有される各種の添加剤のシート表面へのブリードアウト等が、課題とする表面抵抗値に影響を与えていることをつきとめ本発明に到達したもので、即ち、本発明は、総量0.001重量%以上の添加剤を含有する樹脂組成物から成形された透明樹脂シートの層と、ドライプレーティング法により形成された透明導電層を少なくとも含む積層シートを製造するにおいて、前記透明樹脂シートの表面を、炭素数2〜12のアルカン、炭素数5〜8のシクロアルカン、炭素数2〜12のアルキルアルコール、及びエチレングリコールの炭素数1〜4のアルキルエーテル、からなる群から選ばれたいずれかの有機溶剤を含み、前記樹脂組成物を構成する樹脂の25℃での溶解度が0.01重量%以下、かつ前記樹脂組成物に含有される添加剤の25℃での溶解度が1重量%以上の溶剤で洗浄した後、積層シートとする透明導電性積層シートの製造方法、を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において透明樹脂シートの層の樹脂組成物を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂、並びに、熱硬化樹脂、光硬化樹脂等が挙げられ、中で、前記熱可塑性樹脂が好ましい。
【0009】
ここで、ポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ジオールとホスゲンとの界面重合による方法(ホスゲン法、又は界面重合法)、或いは、芳香族ジオールとジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとのエステル交換による方法(エステル交換法、又は溶融重合法)のいずれによって得られたものでもよく、又、一種の芳香族ジオールからなるホモポリマーであっても、二種以上の芳香族ジオールからなるコポリマーであってもよい。
【0010】
尚、その芳香族ジオールとしては、具体的には、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔ビスフェノールF〕、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フルオロフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−4−フルオロフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−クロロフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−ブロモフェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−フルオロフェニルメタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン〔ビスフェノールP〕、1,1−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3’−フェニル−4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(4’−ニトロフェニル)エタン、1,1−ビス(3’−ブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン等のビス(ヒドロキシフェニル)フェニルアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン〔ビスフェノールS〕、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類等が挙げられ、中で、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類が好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールP、ビスフェノールS等が特に好ましい。
【0011】
又、ポリアリレート系樹脂としては、芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸又はそのクロライドとを溶融重合法、溶液重合法、又は界面重合法で反応させて得られたいずれのものでもよく、その芳香族ジオールとしては、ポリカーボネート系樹脂において挙げたと同様のものが挙げられ、又、芳香族ジカルボン酸又はそのクロライドとしては、具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びそれらのクロライド等が挙げられる。
【0012】
又、ポリエーテルスルホン系樹脂は、ビス(4−クロロフェニル)スルホンと、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルカリ金属塩との重縮合反応によって得られたものである。
【0013】
又、ポリエチレンテレフタレート系樹脂としては、テレフタル酸又はそのアルキル(炭素数1〜4程度)エステルを主成分とするジカルボン酸単位とエチレングリコールを主成分とするグリコール単位との重縮合体であって、このエチレンテレフタレート単位が構成繰り返し単位の90モル%以上を占めるものが好ましい。
【0014】
尚、テレフタル酸及びそのアルキルエステル以外のジカルボン酸単位としては、具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸の一種又は二種以上が、又、エチレングリコール以外のグリコール単位として、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族グリコールの一種又は二種以上が、更に、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸等の一種又は二種以上が、共重合成分として用いられていてもよく、中で、ジカルボン酸単位としてはイソフタル酸等が、又、グリコール単位としてはジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が好適であり、これらは、各々、15モル%以内の範囲で用いられているものが好ましい。
【0015】
又、環状ポリオレフィン系樹脂としては、シクロブテン類、シクロペンテン類、シクロヘキセン類等の単環式環状オレフィン、ノルボルネン類、トリシクロ−3−デセン類等の多環式環状オレフィン等の環状オレフィンのビニレン重合による単独重合体、複数種の環状オレフィンのビニレン重合による共重合体、或いは、これら環状オレフィンとエチレンとの共重合体等のいずれでもよい。
【0016】
尚、その環状オレフィンとしては、具体的には、例えば、シクロブテン類、シクロペンテン、4−メチルシクロペンテン等のシクロペンテン類、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、3−ビニルシクロヘキセン等のシクロヘキセン類等の単環式環状オレフィン、ノルボルネン、1−メチルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン等のノルボルネン類、トリシクロ〔4.3.0.12,5 〕−3−デセン、2−メチルトリシクロ〔4.3.0.12,5 〕−3−デセン等のトリシクロ−3−デセン類、ジシクロペンタジエン(トリシクロ〔4.3.0.12,5 〕−3,7−デカジエン)、ジシクロペンタジエン(トリシクロ〔4.3.0.12,5 〕−3,8−デカジエン)、7−メチルジシクロペンタジエン等のジシクロペンタジエン類、テトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン等のテトラシクロ−3−ドデセン類、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6 .02,7 .09,13〕−4−ペンタデセン、10−メチルペンタシクロ〔6.5.1.13,6 .02,7 .09,13〕−4−ペンタデセン、ペンタシクロ〔4.7.0.12,5 .08,13.19,12〕−3−ペンタデセン等のペンタシクロペンタデセン類、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6 .02,7 .09,13〕−4,10−ペンタデカジエン、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6 .02,7 .09,13〕−4,11−ペンタデカジエン等のペンタシクロペンタデカジエン類、ヘキサシクロ〔6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14〕−4−ヘプタデセン等のヘキサシクロヘプタデセン類等の多環式環状オレフィンを挙げることができる。
【0017】
又、熱硬化樹脂としては、例えば、不飽和二重結合、アミノ基、多価カルボン酸又はその無水物基、エポキシ基等の、熱による架橋反応可能な官能基を分子鎖中に二つ以上有する線状高分子の架橋反応による硬化物、及び、分子鎖中に前記官能基を有さない線状高分子を有機過酸化物等の存在下に加熱して架橋反応させた硬化物、のいずれでもよく、具体的には、例えば、オキシジアニリンとピロメリット酸からなる全芳香族ポリイミドの熱硬化物、ジビニルベンゼン重合体の熱硬化物、架橋化ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0018】
又、光硬化樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和基を分子鎖中に一つ以上有する(メタ)アクリレート等の紫外線、電子線等の高エネルギー線照射による硬化物であって、具体的には、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート等、アクリロイル基の末端に官能基を有した光重合性モノマーに光重合開始剤等の存在下に高エネルギー線を照射して高分子量化させると共に架橋反応させた硬化物が挙げられる。
【0019】
本発明においては、前記した樹脂の中で、透明樹脂シートとしての耐熱性の面から、ガラス転移温度が100℃以上、更には120℃以上、特には140℃以上であるものが好ましい。
【0020】
本発明において透明樹脂シートの層を構成する樹脂組成物に含有される添加剤としては、通常、樹脂の添加剤として用いられるものが対象となり、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、防黴剤等が挙げられ、これらは、通常、樹脂との合計量に対して、各々0.001〜5.0重量%程度添加される。
【0021】
ここで、酸化防止剤としては、具体的には、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、シクロヘキシルフェノール、スチレン化フェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のフェノール系、アルドール−α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチル−6−エトキシキノリン等のアミン系、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)−ジトリデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト等の燐系のもの等が挙げられる。
【0022】
又、熱安定剤としては、具体的には、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、10−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等のホスファフェナントレン系、及び、燐系酸化防止剤として挙げたものの外、トリオクタデシルホスファイト、o−シクロヘキシルフェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェニルテトラアルキルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)−ジトリデシルホスファイト、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ジトリデシルホスファイト−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラフェニルテトラトリデシルペリタエリスリトールテトラホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト等の燐系のもの等が挙げられる。
【0023】
又、紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンと1,2,3,4−ブタン−テトラカルボン酸との縮合物、N−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、N−(2−ヒドロキシプロピル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,1−ペンタン−ジ−カルボン酸−ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)イミノ}〕等のヒンダードアミン系、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系のもの等が挙げられる。
【0024】
又、帯電防止剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート等のアニオン系界面活性剤、第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレート等のカチオン系界面活性剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0025】
又、滑剤としては、具体的には、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、合成パラフィン、マイクロパラフィンワックス、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボン等の脂肪族炭化水素系、高級脂肪酸、高級オキシ脂肪酸等の脂肪酸系、高級脂肪族アミド、アルキレンビス高級脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系、一価アルコールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸エステル、ポリグリコールの高級脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル系、高級脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等の脂肪族アルコール系、金属石鹸系、シリコン系、蜜蝋系のもの等が挙げられる。
【0026】
又、離型剤としては、具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル系、シリコン系のもの等が挙げられる。
【0027】
又、可塑剤としては、具体的には、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸エステル系、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等の脂肪族1塩基酸エステル系、コハク酸ジデシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジデシル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル等の脂肪族2塩基酸エステル系、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールアルキルエステル、ジペンタエリスリトールヘキサアルキルエステル等のグリコールエステル系、トリクロロエチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等の燐酸エステル系、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化ステアリン酸オクチル、エポキシ化ステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル等のエポキシ系、及び、トリメリット酸トリオクチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、塩化パラフィン、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、トリアセチレン、トリブチン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、水添ターフェニル、ショウノウ等が挙げられる。
【0028】
又、着色剤としては、具体的には、例えば、ピグメントグリーンB等のニトロソ系顔料、ナフトールエローSレーキ等のニトロ系顔料、ハンザエロー、ベンジジンエロー、パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、パーマネントカーミンFB、ピラゾロンレッド、トルイジンボルドー、リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド3B、ボルドー10B、ボルマルーン等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン系顔料、カーバゾールジオキサジンバイオレット等のジオキサジン系顔料、マダーレーキ、ロッグウッドレーキ、コチニールレーキ等の天然染料、エオキシンレーキ、キノリンエローレーキ、ピーコックブルーレーキ等の酸性染料、ローダミンレーキ、マラカントグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料、アリザリンマダーレーキ等の媒染染料、チオインジゴマルーン、インダンスレンブルー等の建染染料等の有機染顔料、及び、有機蛍光顔料、アニリンブラック等が挙げられる。
【0029】
又、難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤とがあるが、非ハロゲン系が好ましく、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の有機燐系のものが特に好ましい。
【0030】
又、防黴剤としては、具体的には、例えば、ペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールNa塩、p−クロロ−m−キシレノール、2−フェニル−4−クロロフェノール、N−(トリクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)サルファミド、ビス(トリ−n−ブチルチン)オキサイド、トリブチルチンラウレート、トリブチルチンクロライド、2−(4−チアゾール)ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0031】
本発明において、前記樹脂と前記添加剤からなる樹脂組成物中の前記添加剤の含有量は、その種類を問わず、総量として0.001重量%以上であり、0.01〜5.0重量%であるのが好ましい。添加剤の総量が前記範囲未満では、本発明におけるような課題自体が存在しない。
【0032】
本発明における透明樹脂シートは、前記樹脂組成物を、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形等の公知の溶融成形法、或いは、溶液流延法等でシート状に成形したものであり、その厚みは、通常、0.05〜2mm程度のものである。
又、その透明樹脂シートは、550nmにおける光線透過率が80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのが更に好ましい。
【0033】
本発明の製造方法における透明導電性積層シートは、前記透明樹脂シートの層と、透明導電層を少なくとも含み、通常、更にガスバリア層等を含むものである。
【0034】
その透明導電層は、前記透明樹脂シート上に、直接に又は他の層を介して形成されたものであり、可視光線を透過し得る金属又は金属酸化物の薄膜からなり、その金属又は金属酸化物としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、酸化インジウム、酸化錫等が挙げられ、これらは単独で又は混合物として用いられる。その中で酸化インジウム90〜99%と酸化錫1〜10%との混合物であるインジウムチンオキサイド(ITO)が導電性と透明性のバランスの面から好ましい。
【0035】
前記透明樹脂シート上への前記透明導電層の形成は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、プラズマ化学蒸着法等の従来公知のドライプレーティング法でなされ、その厚みは、通常、50〜3000Å程度であり、200〜2000Å程度であるのが好ましい。
【0036】
又、そのガスバリア層は、液晶パネル内への水分子や酸素分子の侵入による気泡の発生やパネル内材料の劣化を防止する目的で設けられるものであり、可視光線を透過し得る金属、非金属、亜金属の酸化物、窒化物の薄膜からなり、それらの酸化物、窒化物としては、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化パラジウム、酸化白金、酸化銅、酸化銀、酸化金、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化アンチモン、酸化錫、酸化ビスマス、窒化珪素等が挙げられ、中で、酸化珪素(一酸化珪素、二酸化珪素)、酸化アルミニウム、窒化珪素が好ましい。
【0037】
前記透明樹脂シート上への前記ガスバリア層の形成は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、プラズマ化学蒸着法等の従来公知のドライプレーティング法でなされ、その厚みは、通常、50〜1000Å程度である。
【0038】
又、本発明の製造方法における透明導電性積層シートは、通常、更にハードコート層を含むものである。
そのハードコート層は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、多官能アクリレート等のアクリレートと光重合開始剤を、必要に応じて有機溶剤に溶解させた塗布溶液を、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフ法等の従来公知の塗布法で、本発明における前記透明樹脂シートの層、前記透明導電層、又は前記ガスバリア層のいずれかの層上に塗布し、乾燥させ、光硬化させることにより形成させたものであり、その厚みは、通常、0.5〜20μm程度である。
【0039】
本発明の透明導電性積層シートの製造方法においては、前記透明樹脂シートへの前記透明導電層、前記ガスバリア層、或いはハードコート層等の形成に先立ち、前記透明樹脂シートの表面を、その樹脂組成物を構成する樹脂の25℃での溶解度が0.01重量%以下の溶剤で洗浄することが必須である。
【0040】
透明樹脂シート表面の洗浄を行わない場合には本発明の目的を達成できず、又、洗浄に用いる溶剤の、樹脂組成物を構成する樹脂の溶解度が前記範囲超過では、樹脂シート表面において、溶解、膨潤、白化、亀裂、或いは変形等が生じて、透明導電性積層シートとして実用に耐えないものとなる。
【0041】
更に、洗浄に用いる溶剤は、樹脂組成物に含有される添加剤の25℃での溶解度が1重量%以上であるものが好ましく、3重量%以上であるものが更に好ましい。
【0042】
ここで、その溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等、及びそれらの異性体等の炭素数2〜12のアルカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜8のシクロアルカン、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ウンデカノール等の炭素数2〜12のアルキルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキレングリコールの炭素数1〜4のアルキルエーテル等の有機溶剤、並びに、蟻酸水溶液、酢酸水溶液、乳酸水溶液、蓚酸水溶液、マレイン酸水溶液、安息香酸水溶液、ピクリン酸水溶液等の有機溶剤/水混合溶剤、或いは有機化合物水溶液、及び、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、硝酸カリウム水溶液等や希塩酸、希硝酸、正燐酸水溶液、重クロム酸水溶液等の無機化合物水溶液等が挙げられ、これらの中で、樹脂組成物を構成する樹脂及び添加剤の溶解度が前記範囲となるものが、適宜、選択され用いられるが、本発明においては有機溶剤が好ましい。
【0043】
尚、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール等の芳香族系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の含エステル系溶剤、或いは、アセトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶剤は、それぞれ単独では、本発明における透明樹脂シートの洗浄溶剤としては不適であるが、その樹脂組成物を構成する樹脂及び添加剤の前記溶解度の範囲を満足できれば、前記アルカン、シクロアルカン、アルキルアルコール、及びアルキレングリコールアルキルエーテル等との混合溶剤として用いることができる。
【0044】
本発明における前記洗浄は、通常、室温から、樹脂組成物を構成する樹脂のガラス転移温度までの範囲の温度で、0.5〜30分程度の時間で、洗浄に通常用いられる方法、例えば、樹脂シートを溶剤に浸漬する方法、浸漬した状態で超音波処理する方法、溶剤を樹脂シートにスプレーする方法、樹脂シートを溶剤中に連続的に通過させる方法、樹脂シートをスピンコーターに装着し溶剤を滴下しスピンさせる方法等、によりなすことができる。
【0045】
本発明の透明導電性積層シートの製造方法は、前記の如くして表面を溶剤洗浄した透明樹脂シートの層と前記透明導電層を必須の構成層とし、更に、前記ガスバリア層、前記ハードコート層等を有してもよいが、これらの各層の積層順序は特に限定されるものではなく、又、積層方法も特に限定されるものではない。必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、化学薬品処理等の表面処理を施し、或いは、イソシアネート系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、アルキルチタネート系等の公知のアンカーコート剤を用いること等により、積層シートとすることもできる。
【0046】
本発明における透明導電性積層シートの層構成としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、透明樹脂シートの層を(B)、透明導電層を(C)、ガスバリア層を(G)、ハードコート層を(H)とすると、C/B、C/G/B、C/H/B、C/H/B/G、C/H/B/H/G、C/H/B/G/H、C/G/H/B/H、C/H/G/H/B/H、C/G/H/B/H/G/H、等が挙げられる。
【0047】
以上、本発明の製造方法により製造される本発明の透明導電性積層シートは、初期表面抵抗値が50Ω/□以下であって、且つ、透明樹脂シートの層の樹脂組成物を構成する樹脂のガラス転移温度より10℃低い温度で、2時間の加熱処理後の表面抵抗値も50Ω/□以下を示すものであり、又、波長550nmにおける光線透過率は80%以上を有するものであって、LCD基板、透明タッチパネル基板、及び、PDP用電磁波遮蔽フィルター等に好適に用いられる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において透明樹脂シート層の樹脂組成物に用いた樹脂及び添加剤を以下に示す。
【0049】
樹脂
▲1▼ビスフェノールAとホスゲンの界面重合法により製造し、粘度平均分子量22000、ガラス転移温度146℃のポリカーボネート樹脂(表1中、「PCR▲1▼」と表示。)。
▲2▼粘度平均分子量14400、ガラス転移温度145℃の市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ノバレックス7020AD」)(表1中、「PCR▲2▼」と表示。)。
▲3▼ガラス転移温度189℃の市販のポリアリレート樹脂(ユニチカ社製「U−100」)(表1中、「PAR」と表示。)。
▲4▼ガラス転移温度225℃の市販のポリエーテルスルホン樹脂(アイシーアイジャパン社製「ビクトレックス5200G」)(表1中、「PES」と表示。)。
▲5▼極限粘度0.75g/dl、ガラス転移温度78℃の市販のポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学社製「ノバペックスGC500」)(表1中、「PET」と表示。)。
【0050】
▲6▼光重合性モノマーとして、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシレン99重量部と、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)1重量部、光重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド0.06重量部と、ベンゾフェノン0.04重量部、を均一に攪拌、混合した後、ガラス製型に注入し、出力80W/cmのメタルハライドランプを用いて、上下面から400mm離間させて30分間紫外線照射して硬化させた光硬化樹脂(表1中、「UV硬化」と表示。)。
【0051】
添加剤
▲1▼酸化防止剤として、トリス(モノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト(旭電化工業社「アデカスタブ329K」)(表1中、「酸防▲1▼」と表示。)。
▲2▼酸化防止剤として、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(日本チバガイギー社製「イルガノックス1010」)(表1中、「酸防▲2▼」と表示。)。
▲3▼熱安定剤として、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ジトリデシルホスファイト−5’−t−ブチルフェニル)ブタン(旭電化工業社「アデカスタブ522A」)(表1中、「熱安定」と表示。)。
▲4▼離型剤として、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製「リケマールS100A」)(表1中、「離型」と表示。)。
【0052】
実施例1〜14、比較例1〜13、参考例1
表1に示す樹脂ペレットと添加剤とを、表1に示す添加剤含有量となるようにドライブレンドした後、ベント付き二軸押出機を用いて、バレル温度300℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練してストランド状に押出し、カッテイングしたペレットを、Tダイを装備した単軸押出機に供給してシート状に溶融押出し、表面温度を130〜140℃に調整した冷却ドラム上で冷却することにより、厚み約500μmのシートに成形した。
得られた樹脂シートにつき、以下に示す方法で、光線透過率を測定し、結果を表1に示した。
光線透過率
分光光度計(島津製作所製「MPS−2000型」)を用い、JIS K7105に準拠して、波長550nmにおける光線透過率を測定した。
【0053】
引き続いて、得られた樹脂シートから切り出した100mm×100mm角シートを、表1に示す洗浄溶剤、洗浄法、及び洗浄時間で洗浄した後、100℃で30分間、熱風乾燥した。尚、樹脂シートに用いられた樹脂及び添加剤の洗浄溶剤にに対する25℃での各溶解度を表1に示す。
浸漬、乾燥後のシートについて、前記と同様の方法で光線透過率を測定すると共に、以下に示す方法で表面状態を観察し、以下の基準で評価した結果を表1に示した。
溶剤洗浄後のシートの表面状態
光学顕微鏡を用いて、倍率1000倍で、表面の白化等の溶解痕や亀裂の発生状態等を観察し、それらの発生の認められないものを「○」、それらの発生が認められるものを「×」と判定した。
【0054】
次いで、ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPE−3A」)40重量部、エポキシアクリレート(日本化薬社製「カヤラッドR−130」)50重量部、シランカップリング剤(東レ・コーニング社製「SZ6030」)10重量部、及び光重合開始剤(チバスペシャリティケミカル社製「ダロキュア1173」)5重量部からなる塗布液を、スピンコーターを用いて、3000rpm、10秒の条件で、溶剤浸漬、乾燥後の樹脂シート表面に塗布し、高圧水銀ランプを用いて、5.0J/m2 で紫外線照射して硬化させることにより、厚み3.2μのハードコート層を、シート両面に形成した。
【0055】
引き続いて、形成した一方のハードコート層上に、80℃にてインジウムチンオキサイドをスパッタリングすることにより厚み1300Åの透明導電層を形成し、更に、他方のハードコート層上に、室温にて二酸化珪素をスパッタリングすることにより厚み250Åのガスバリア層を形成し、透明導電層/ハードコート層/透明樹脂シート層/ハードコート層/ガスバリア層の5層からなる透明導電性積層シートを製造した。
【0056】
得られた透明導電性積層シートについて、以下に示す方法で、初期、及び加熱処理後の表面抵抗値、並びに、初期、及び加熱処理後の酸素ガス透過量を測定し、結果を表1に示した。
表面抵抗値
4端子法抵抗測定器(三菱化学社製「ローレスタMP」)を用いて、加熱処理前の初期、及び、各使用樹脂のガラス転移温度より10℃低い温度に設定した熱風循環式オーブン中で2時間の加熱処理を施した後の表面抵抗値を測定した。
酸素ガス透過量
二酸化珪素ガスバリア層の正味のガスバリア性を評価するため、塩酸によりインジウムチンオキサイド透明導電層をエッチングし除去した積層シートについて、JIS K7126に準拠し、差圧法により、加熱処理前の初期、及び、各使用樹脂のガラス転移温度より10℃低い温度に設定した熱風循環式オーブン中で2時間の加熱処理を施した後の酸素ガス透過量(単位;cc/m2 ・atm・24hr)を測定した。
【0057】
実施例15
実施例1と同じ樹脂組成物25重量部を塩化メチレン75重量部に溶解させた後、アプリケーターにてガラス上に流延し、乾燥させて厚み約100μmに成形した透明樹脂シートを用いた外は、実施例1と同様とした。
【0058】
【表1】
Figure 0004211099
【0059】
【表2】
Figure 0004211099
【0060】
【表3】
Figure 0004211099
【0061】
【発明の効果】
本発明は、低い初期表面抵抗値を有すると共に、加熱処理後の表面抵抗値の上昇が小さく耐熱性に優れ、LCD基板、透明タッチパネル基板、及び、PDP用電磁波遮蔽フィルター等に用いるに好適な透明導電性積層シートの製造方法、及び透明導電性積層シートを提供することができる。

Claims (6)

  1. 総量0.001重量%以上の添加剤を含有する樹脂組成物から成形された透明樹脂シートの層と、ドライプレーティング法により形成された透明導電層を少なくとも含む積層シートを製造するにおいて、前記透明樹脂シートの表面を、炭素数2〜12のアルカン、炭素数5〜8のシクロアルカン、炭素数2〜12のアルキルアルコール、及びエチレングリコールの炭素数1〜4のアルキルエーテル、からなる群から選ばれたいずれかの有機溶剤を含み、前記樹脂組成物を構成する樹脂の25℃での溶解度が0.01重量%以下、かつ前記樹脂組成物に含有される添加剤の25℃での溶解度が1重量%以上の溶剤で洗浄した後、積層シートとすることを特徴とする透明導電性積層シートの製造方法。
  2. 透明樹脂シートの層の樹脂組成物を構成する樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、及びポリエーテルスルホン系樹脂からなる熱可塑性樹脂の群から選ばれたいずれかの樹脂である請求項1に記載の透明導電性積層シートの製造方法。
  3. 透明樹脂シートの層の樹脂組成物に含有される添加剤が酸化防止剤である請求項1又は2に記載の透明導電性積層シートの製造方法。
  4. ドライプレーティング法により形成された透明導電層がインジウムチンオキサイドからなる請求項1乃至のいずれかに記載の透明導電性積層シートの製造方法。
  5. 積層シートが更にドライプレーティング法により形成されたガスバリア層を含む請求項1乃至のいずれかに記載の透明導電性積層シートの製造方法。
  6. ドライプレーティング法により形成されたガスバリア層が酸化珪素からなる請求項に記載の透明導電性積層シートの製造方法。
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