JPWO2009011312A1 - Pet繊維強化ポリ乳酸系樹脂射出成形品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを含み、乳酸成分の含有率が50質量%以上であり、230℃以下の混練温度で混練された組成物である射出成形用樹脂組成物を、190〜230℃の射出成形温度で射出成形して、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対して50%以下であり、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品が得られる射出成形品製造方法であり、成形品は従来と比較して高強度であって、例えば複写機やプリンター等の比較的大型で質量が高い製品に用いる部材として適用することができる。

Description

本発明は、PET繊維強化ポリ乳酸系樹脂射出成形品およびその製造方法に関する。
近年、地球温暖化防止、循環型社会の構築に貢献する観点から、植物等の生物由来のバイオマス樹脂(例えばポリ乳酸系樹脂)からなる部材を種々の製品に用いる試みがなされている。
ここで重大な課題となるのが前記部材の機械的強度不足である。この点を改善することを目的として、従来、いくつかの方法が提案された。
例えば、ポリ乳酸に石油系樹脂を混合した組成物を用いた部材が提案された。ポリ乳酸に石油系樹脂を混合すれば、概ね混合比率の増加に伴い部材の強度は高くなる。
また、特開2004−7198号公報では、ポリ乳酸、ガラス繊維、および平均粒径が0.1〜3μmのタルクを含有し、前記ガラス繊維が繊維強化ポリ乳酸系樹脂全量に対して5〜60質量%、前記タルクが繊維強化ポリ乳酸系樹脂に対して5〜25質量%含有することを特徴とする繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物が提案された。この特許文献1には、この組成物によれば、新規な繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物が提供され、該ポリ乳酸系樹脂組成物は射出成形などにより成形することにより、耐熱性かつ耐衝撃性などが大きい機械的強度を有する生分解性プラスチック成形品が得られると記載されている。
また、特開2003−407799号公報では、ケナフ繊維を含有した生分解性樹脂組成物(好ましくはポリ乳酸)であって、ケナフ繊維の含有量が10〜50質量%であることを特徴とするケナフ繊維強化樹脂組成物が提案された。この特開2003−407799号公報には、このようなケナフ繊維強化樹脂組成物で成形した成形体の機械的強度を改善することができると共に、その耐熱性を大幅に向上させることができると記載されている。
上記のような特開2004−7198号公報、特開2003−407799号公報に記載の組成物を用いれば、ポリ乳酸樹脂のみを用いた場合と比較し、成形品の強度をある程度改善することができる。
しかしながら、これらの組成物からなる部材(成形品)を複写機やプリンターのような比較的大型の製品の部材として用いることは困難であった。理由は、例えば複写機の場合、例えば携帯電話と比べて大型であり質量が高いので、より高い強度が求められるが、上記の特許文献に記載されるような組成物では、比較的大型の製品に用いる部材に要求される程度の強度を有する部材を得ることができないからである。
また、上記に示したポリ乳酸に石油系樹脂を混合した組成物を用いた部材では、石油系樹脂の混合率をより高めることで比較的大型の製品に用いる場合の部材に要求される強度を得ることができるが、石油系樹脂の混合率を7割程度にまで高める必要があり(すなわちポリ乳酸の含有率を3割以下程度に低減する必要があり)、地球温暖化防止、循環型社会の構築に貢献するという目的が達成されない。
本発明は、このような課題を解決することを目的とする。
すなわち本発明の目的は、ポリ乳酸樹脂等の乳酸成分の含有率が50質量%以上の樹脂組成物からなり、従来と比較して高強度であって、例えば複写機やプリンター等の比較的大型で質量が高い製品に用いる部材として適用することができるポリ乳酸樹脂射出成形品を製造することができる製造方法を提供することにある。また、この製造方法によって製造された成形品を提供することにある。さらに、この成形品を部材とした電子機器を提供することにある。
本発明者は、上記のような課題を解決するために鋭意研究し、ポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを含み特定温度以下で混練された樹脂組成物を、特定の温度範囲で射出成形することで、切断面における前記PET繊維周囲のボイド(空隙)の断面積が前記PET繊維の断面積の50%以下であり、かつ、内部の前記PET繊維が劣化してない成形品が得られ、このような成形品が上記の課題を解決することを見出し本発明を完成させた。
本発明は次に示す(1)〜(9)である。
(1)ポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを含み、乳酸成分の含有率が50質量%以上であり、230℃以下の混練温度で混練された組成物である射出成形用樹脂組成物を、190〜230℃の射出成形温度で射出成形して、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対して50%以下であり、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品を得る、射出成形品製造方法。
(2)前記射出成形用樹脂組成物中における前記PET繊維の含有率が10〜30質量%である、上記(1)に記載の射出成形品製造方法。
(3)前記PET繊維の断面の直径Dが1〜20μmであり、前記PET繊維の長さL(μm)と前記直径Dとの比(L/D)が100〜1000である、上記(1)または(2)に記載の射出成形品製造方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の射出成形品製造方法によって製造した、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対して50%以下であり、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品。
(5)平均厚さXが1.5mm以上であり、質量Yが0.15kg以上である、上記(4)に記載の高強度成形品。
(6)さらに下記の式(I)を満たす、上記(4)または(5)に記載の高強度成形品。
式(I):Y/X=0.03〜3.3
(7)上記(4)〜(6)のいずれかに記載の高強度成形品を主部材とする筐体。
(8)上記(7)に記載の筐体を有し、質量が10kg以上である電子機器。
(9)複写機、プリンター、写真プリント機器、印刷機器、医療機器またはライフサイエンス機器である、上記(8)に記載の電子機器。
本発明によれば、ポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを含み、乳酸成分の含有率が50質量%以上の樹脂組成物からなり、従来と比較して高強度であって、例えば複写機やプリンター等の比較的大型で質量が高い製品に用いる部材として適用することができるポリ乳酸系樹脂射出成形品を製造することができる製造方法を提供することができる。また、この製造方法によって製造された成形品を提供することができる。さらに、この成形品を部材とした電子機器を提供することができる。
図1は、本発明の成形品の切断面を10,000倍に拡大した顕微鏡写真であり、図1(a)はボイド率(a)が2%の場合であり、図1(b)はボイド率(a)が45%の場合である。 図2は、実施例4の射出成形品のSEM写真である。 図3は、実施例5の射出成形品のSEM写真である。 図4は、比較例4の射出成形品のSEM写真である。
本発明について説明する。
本発明の射出成形品製造方法は、ポリ乳酸系樹脂とPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維とを含み、乳酸成分の含有率が50質量%以上であり、230℃以下の混練温度で混練された組成物である射出成形用樹脂組成物を、190〜230℃の射出成形温度で射出成形して、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積の50%以下であり、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品を得る、射出成形品製造方法である。
ここで、混練温度とは、混練時における前記射出成形用樹脂組成物の最高到達温度を意味するものとする。
また、射出成形温度とは、射出成形時における前記射出成形用樹脂組成物の最高到達温度を意味するものとする。
このような射出成形品製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
また、本発明の製造方法によって得られる高強度成形品を、以下では「本発明の成形品」ともいう。
また、以下の説明では、本発明の成形品の切断面における、1つのPET繊維の断面積に対するそのPET繊維が接する周囲のボイドの断面積の比(百分率)を、そのPET繊維における「ボイド率a」ともいう。
また、本発明の成形品の1つの切断面における30個のPET繊維のボイド率aの単純平均値を、成形品のその切断面における「ボイド率b」ともいう。
さらに、1つの成形品における任意の3箇所の切断面のボイド率bの単純平均値を、その成形品の「ボイド率c」ともいう。
本発明の成形品は、ボイド率cが50%以下である。
なお、単に「ボイド率」と記した場合はボイド率a、bおよびcの全てを意味するものとする。
ボイド率aの具体的な測定方法については後述する。
本発明の製造方法では、特定の組成を有し、特定の温度で混練された組成物である射出成形用樹脂組成物を190〜230℃の射出成形温度で射出成形する。そうすると、例えば、図1に示したような断面を有する成形品(本発明の成形品)が得られる。図1は、本発明の成形品の切断面を例示する顕微鏡写真である。図1(a)はボイド率aが2%の場合であり、図1(b)はボイド率aが45%の場合である。
本発明の成形品は、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対して(すなわち、ボイド率cが)50%以下であり、かつ、内部の前記PET繊維が劣化していない成形品である。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、上記のような射出成形用樹脂組成物を射出成形する場合、混練温度および射出成形温度が230℃以下であると、前記PET繊維の劣化を抑制しつつ成形品を製造することができ、さらに、ボイド率aを低下させることができて、得られた成形品のボイド率cを50%以下とすることができることを見出した。そして逆に230℃よりも高すぎると前記PET繊維の収縮が大きく、それに起因して前記PET繊維の表面に微細なクラックが発生する傾向があることを見出した。クラックが発生すれば前記PET繊維の強度が低下し、結果的には成形品としての機械的強度は低下する。
また、本発明者は、射出成形温度が190℃以上であると、前記射出成形用樹脂組成物に必要な流動性が付与され、前記射出成形用樹脂組成物の均一化が促進され、射出成形時における成形品内部の空隙の形成が抑制されることを見出した。これに対して前記射出成形用樹脂組成物の流動性が低いと、前記ポリ乳酸系樹脂と前記PET繊維との界面に空隙が生じる場合があることも見出した。
本発明の製造方法では、上記のような特定の組成であり上記のような特定の混練温度で混練された前記樹脂組成物を、190〜230℃という狭い温度範囲において射出成形する。そうすると特に機械的強度が高く、例えば複写機やプリンターのような比較的大型の電子機器等の主部材に要求される高い強度を具備する成形品を製造することができる。射出成形に用いる組成物の組成や混練時の温度が本発明の製造方法の場合と異なる場合や、射出成形時の温度が本発明の製造方法の場合と異なる場合は、このような高い強度を具備する成形品を製造することはできない。
本発明者は、混練時および射出成形時の温度が高すぎると、ボイド率aが高まり成形品内部の空隙が拡大して機械的強度は低下し、これに加えて前記PET繊維が大きく収縮することで劣化して表面にクラックを生じ、そのクラックを起点に破断し、形成されたボイド内で前記PET繊維が流動的になることで、成形品の機械的強度が低くなると考えている。また、逆に射出成形時の温度が低すぎれば、前記射出成形用樹脂組成物の不均一化が生じ、さらに前記射出成形用樹脂組成物中に空隙が発生して得られた成形品の機械的強度が低くなると考えている。
なお、以下において、成形品について「高い強度」、「高強度」およびこれに類する文言は、例えば複写機やプリンターのような比較的大型の電子機器等の主部材に要求される程度の高強度を意味するものとする。具体的には、本発明の製造方法によって得られる高強度成形品(本発明の成形品)をJIS K−7110の規定されるアイゾット衝撃試験に供すれば、アイゾット衝撃強度は8以上となる。
また、本発明の成形品は、上記のように、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品であるが、ここで「劣化していない」とは、全く劣化していないことを意味しない。本発明の製造方法における射出成形温度は190〜230℃であるが、この温度範囲外で射出成形した場合と比較して「劣化していない」ことを意味する。
本発明の製造方法において用いる前記射出成形用樹脂組成物について説明する。
前記射出成形用樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを含む。そして、乳酸成分の含有率A(以下、単に「含有率A」と記す場合もある。)が50質量%以上である。つまり、前記ポリ乳酸系樹脂中における乳酸成分の前記射出成形用樹脂組成物全質量に対する割合(百分率)が50質量%以上である。例えば、後述するように、前記ポリ乳酸系樹脂が乳酸共重合体樹脂であって、乳酸単位が前記乳酸共重合体中において80質量%の場合であれば、前記乳酸共重合体樹脂の0.8倍の質量の前記射出成形用樹脂組成物全質量に対する割合(百分率)が50質量%以上である。また、例えば、前記ポリ乳酸系樹脂が乳酸単独重合体樹脂の場合であれば、前記乳酸単独重合体樹脂の質量の前記射出成形用樹脂組成物全質量に対する割合(百分率)が50質量%以上である。
ここで、乳酸単位(乳酸成分)は以下の式で表される部分をいう。nは共重合体樹脂中の繰返し数である。
本発明の製造方法において用いる前記射出成形用樹脂組成物は含有率Aが50質量%以上であるので、地球温暖化防止、循環型社会の構築に貢献し得る。含有率Aは60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。後述する好ましい混練温度および射出成形温度とすることで、この含有率Aをより高めることができる。
本発明の製造方法においてポリ乳酸系樹脂とは、構成単位の少なくとも一部に乳酸成分を含む重合体を含むものであり、例えば、乳酸単独重合体樹脂、乳酸共重合体樹脂、これらを含むブレンド樹脂等が挙げられる。
また、前記乳酸成分の種類も特に限定されず例えばL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはこれらの混合物、または乳酸環状2量体であるL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、またはこれらの混合物を使用できる。
前記ポリ乳酸系樹脂の製造方法も特に限定されない。例えば従来公知の方法で合成することができる。例えば、乳酸単独重合体樹脂は、例えばL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはこれらの混合物を直接脱水縮合するか、またはL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、またはこれらの混合物等の開環重合によって得ることができる。また、乳酸共重合体樹脂は、例えば乳酸モノマーまたはラクチドと、前記モノマーと共重合可能な他の成分とを共重合して得ることができる。共重合可能な他の成分としては、例えば分子内に2個以上のエステル結合形成性の官能基をもつジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、およびこれらの種々の構成成分よりなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
また、前記ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量も特に限定されず、例えば50,000〜500,000、好ましくは100,000〜250,000である。重量平均分子量が50,000以上であると、得られる本発明の成形品の強度がより高まるので好ましい。重量平均分子量が500,000以下であると前記射出成形用樹脂組成物が均一になりやすく、それによって得られる本発明の成形品の強度がより高まる傾向があるので好ましい。
本発明の製造方法において用いる前記射出成形用樹脂組成物は、このようなポリ乳酸系樹脂の他にPET繊維を含む。
PET繊維はポリエチレンテレフタレートを主成分とする通常の繊維であれば、その形状、長さなどは特に限定されない。PETボトルなどをリサイクルして得たPET繊維を用いることもできる。この場合、地球温暖化防止、循環型社会の構築への貢献度がさらに高まるので好ましい。
前記PET繊維の断面形状は限定されない。円状であってよく、この場合、PET繊維の製造コストが低くなり、加えて前記射出成形用樹脂組成物中での分散性が高まるので好ましい。また、星状、多角形、不定形、凹凸のある形状などの異型断面や異型断面複合断面であってもよく、この場合、前記射出成形用樹脂組成物中において前記ポリ乳酸系樹脂との接触面積が多くなり密着性が高まり、得られた本発明の成形品の強度が高まる傾向があるので好ましい。
前記PET繊維の長さ(以下、「長さL」ともいう。)や断面の直径(以下、「直径D」ともいう。)も特に限定されない。例えば長さLは100〜20,000μmであることが好ましく、1,000〜10,000μmであることがより好ましい。また、直径Dは1〜20μmが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。直径Dが小さい程、本発明の成形品の機械的強度が高まる傾向があり好ましい。ただし小さすぎると射出成形が困難になる場合がある。また、前記射出成形用樹脂組成物の均一化が困難になる場合がある。さらにコストが高まる傾向がある。よって上記のような範囲の直径Dであることが好ましい。
ここで「直径D」とは、前記PET繊維を長さ方向に垂直な方向で切断した場合における断面の直径を意味する。上記のような切断面が円状ではないPET繊維の場合は、面積円相当径(Heywood径)を意味するものとする。
さらに、長さLと直径Dとの比であるアスペクト比(L/D)が100〜1,000であることが好ましく、200〜700であることがより好ましく、300〜500であることがさらに好ましい。
本発明者は、アスペクト比とMD収縮率とに相関があることを見出した。具体的には、アスペクト比が大きすぎるとMD収縮率が大きくなり、前記PET繊維の表面にクラックが生じやすくなり、結果として射出成形して得た本発明の成形品の機械的強度が低下することを見出した。ここでクラックが生じるのは熱収縮によりPET繊維表面にクラックが生じる現象で、自己内部応力に起因するものである。
また、アスペクト比が小さすぎても機械的強度が低下することを見出した。
そして、本発明者は、具体的に上記のような範囲のアスペクト比であると、得られる本発明の成形品の機械的強度がより高まることを見出した。
また、前記PET繊維の表面を表面処理剤で処理することが好ましい。この場合、前記PET繊維と前記ポリ乳酸系樹脂との親和性が高まるので、前記PET繊維周囲の空隙が形成され難くなり、ボイド率aが低下する傾向があるからである。用いることができる表面処理剤としては、例えば、イソフタル酸エステル類が挙げられる。
このようなPET繊維の前記射出成形用樹脂組成物中における含有率B(以下、単に「含有率B」ともいう。単位は「質量%」である。)は特に限定されず、例えば前記射出成形用樹脂組成物において前記ポリ乳酸系樹脂以外の残部であってよいが(すなわち、含有率Aと含有率Bとの合計が100質量%であってよいが)、10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。得られる本発明の成形品の強度がより高まるからである。
前記射出成形用樹脂組成物は、このようなポリ乳酸系樹脂およびPET繊維を含むが、さらに可塑剤を含むことが好ましい。その含有率は限定されないが、1〜30質量%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。可塑剤を含むと混練温度および射出成形温度を低下させることができるので得られる成形品の強度をより高めることができるからである。すなわち、可塑剤を含むと、含まなかった場合と比較して、混練温度および射出成形温度を低下させても前記樹脂組成物を必要な程度均一化することができるので、前記PET繊維に対する熱負荷を低減することができ、前記PET繊維の劣化がより抑制され、得られる成形品の強度がより高まるからである。
前記射出成形用樹脂組成物が上記のような好ましい範囲の含有率で可塑剤を含むと、含まなかった場合と比較して、本発明の製造方法において混練温度および射出成形温度を10℃程度低減することができる。すなわち、本発明の製造方法において230℃以下である混練温度を220℃以下とすることができる。また、230℃以下である射出成形温度を220℃以下とすることができる。また、190℃〜200℃であっても何ら問題なく前記樹脂組成物を必要な程度均一化することができ、本発明の成形品を得ることができる。これに対して、前記射出成形用樹脂組成物が可塑剤を含まない場合に190〜200℃の射出成形温度で射出成形すると、射出成形時にショートする場合がある。また、得られた成形品内部に亀裂が生じる場合がある。したがって、前記射出成形用樹脂組成物が可塑剤を含まない場合は、射出成形温度を200℃超とすることが好ましい。
前記射出成形用樹脂組成物が含有することができる前記可塑剤は特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステルまたはアジピン酸エステルその他エステル系可塑剤や、エポキシ系可塑剤が挙げられる。
この中でことに、モノマー型リン酸エステルを用いることが望ましい。
このように前記射出成形用樹脂組成物は、前記ポリ乳酸系樹脂と前記PET繊維とを含み、さらに前記可塑剤を含むことが好ましいが、その他に、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、中和剤、顔料等の着色剤、分散剤、ロジン、合成ゴム類、無機質添加剤、難燃剤、抗菌剤、香料、離型剤、加水分解防止剤などの成分を含んでもよい。このようなその他の成分は合計で20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明の製造方法において用いる前記射出成形用樹脂組成物は、上記のようにポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを含む。そして、この射出成形用樹脂組成物は230℃以下の混練温度で混練されたものである。
前記混練温度は190〜230℃であることが好ましく、210〜220℃であることがより好ましい。より好ましいボイド率とすることができ、加えて前記PET繊維の収縮が抑制され劣化し難くなるので、得られる本発明の成形品の強度がより高まるからである。また、前述したように、前記射出成形用樹脂組成物中における前記ポリ乳酸系樹脂の比率をより高めることができるからである。また、PET繊維のMD収縮率が低くなるからである。MD収縮率とは前記PET繊維の長さ方向の収縮率を意味する。特に前記混練温度および前記射出成形温度が225〜230℃であると、MD収縮率は3〜10%程度となり、ボイド率が1〜5%程度となる傾向があるので好ましい。
混練方法は特に限定されない。例えば従来公知の混練機を用いて混練することができる。従来公知の混練機としては、例えば2軸混練機、東芝機械TEM−26SSや日本製鋼所TEX28Vなどが挙げられる。
前述のように混練温度とは、混練時における前記射出成形用樹脂組成物の最高到達温度を意味するが、例えば2軸混練機を用いて混練する場合であれば、通常、スクリューのニーディング箇所から先端箇所における射出成形用樹脂組成物の最高温度が混練温度となる。
また、このような方法で混練した前記射出成形用樹脂組成物は成形機で射出成形するため、ペレットとすることが好ましい。
前記射出成形用樹脂組成物をペレットとする方法は特に限定されない。例えば従来公知のペレタイザーを用いてペレットを製造することができる。従来公知のペレタイザーとしては、例えば、神戸製鋼所製SCF−100などが挙げられる。
ペレットの大きさや形も限定されない。例えば2〜3mmの直径で高さが5〜10mmの円柱状のものが挙げられる。
本発明の製造方法では、上記のような方法で得た前記射出成形用樹脂組成物を、190〜230℃の射出成形温度で射出成形する。
ここで、射出成形温度は210〜220℃が好ましい。より好ましいボイド率とすることができ、加えて前記PET繊維の収縮が抑制され劣化し難くなるので、得られる本発明の成形品の強度がより高まるからである。また、前述したように、前記射出成形用樹脂組成物中における前記ポリ乳酸系樹脂の比率をより高めることができるからである。また、PET繊維がMD収縮率は低くなるからである。特に前記混練温度および前記射出成形温度が225〜230℃であると、MD収縮率は3〜10%程度となる傾向があり、ボイド率が1〜5%程度となる傾向があるので好ましい。
射出成形方法は特に限定されない。例えば従来公知の射出成形方法を適用することができる。例えば、ペレット状の前記射出成形用樹脂組成物を加熱溶融し、プランジャまたはスクリューによって金型内に加圧注入充填し、固化あるいは硬化して成形品にする射出成形方法が挙げられる。
より具体的には、例えばインラインスクリュー方式によって前記射出成形用樹脂組成物を射出成形して本発明の成形品を得ることができる。インラインスクリュー方式は、ペレット状の射出成形用樹脂組成物をホッパに投入する工程、加熱シリンダ内での可塑化・計量工程、加熱シリンダから金型内への射出工程、金型内での保圧・冷却工程および型開き後の取り出し工程から構成される。
上記のように射出成形温度とは、射出成形時における前記射出成形用樹脂組成物の最高到達温度を意味するが、例えばインラインスクリュー方式による場合であれば、通常、金型に注入される直前のノズル付近における射出成形用樹脂組成物の温度が射出成形温度となる。
このような本発明の製造方法によって、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対して50%以下であり、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品、すなわち本発明の成形品を製造することができる。
次に、本発明の成形品について説明する。
本発明の成形品は、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対する比率、すなわちボイド率cが50%以下である。
このボイド率cは、30%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。本発明の成形品の強度がより高まるからである。
さらに、前記ボイド率は0%ではないほうが好ましく、1%以上であることがより好ましい。本発明の成形品の強度がより高まるからである。
前述のようにボイド率は低いほど好ましいが、全くボイドがない、すなわちボイド率が0%であるよりも、わずかにボイドが存在するほうが本発明の成形品の強度がより高まる傾向がある。
この理由については明確でないが、本発明者は、PET繊維の長さ方向の強度と、成形品に力が加わった時のPET繊維とポリ乳酸系樹脂との摩擦力とが関係していると推定している。
本発明の成形品におけるボイド率aの測定方法について説明する。
本発明の成形品においてボイド率aは、次に説明する方法で測定した値を意味するものとする。
まず、本発明の成形品で製造した成形品を切断し、切断面の顕微鏡写真を得る。ここで倍率は10,000倍とする(すなわち、図1のような写真を得る。)。
そして、写真上において特定のPET繊維断面の面積(「断面積I」とする)およびその周辺のボイド(そのPET繊維が接しているボイド)の断面積(「断面積ii」とする)を求める。そして、これらの比((断面積ii)/(断面積I)×100)を算出して、そのPET繊維におけるボイド率aとする。
本発明の成形品は、平均厚さ(以下、「平均厚さX」ともいう。)が1.5mm以上であり、かつ、質量(以下、「質量Y」ともいう。)が0.15kg以上であってよい。さらに、本発明の成形品は下記の式(I)を満たすものであってよい。
式(I):Y/X=0.03〜3.3
本発明の成形品は、上記の平均厚さXおよび質量Yを満たすような比較的大きな成形品に通常求められる高い強度を具備する。また、上記のY/Xを満たすような薄くて大きな成形品に通常求められる高い強度を具備する。
上記に説明した本発明の製造方法における射出成形温度、B/A、L/Dなどを好ましい範囲としたり、可塑剤を添加することで、より質量が高い成形品としても、高い強度を具備するものを成形することができる。例えば平均厚さXを2mm以上かつ質量Yを0.2kg以上とすることができ、場合によっては平均厚さXを3mm以上かつ質量Yを0.3kg以上とすることができ、さらに、場合によっては平均厚さXを5mm以上かつ質量Yを0.5kg以上とすることができ、さらに、場合によっては平均厚さXを10mm以上かつ質量Yを1.0kg以上とすることができる。
なお、平均厚さXとは、本発明の成形品の任意の10箇所における厚さの単純平均値を意味するものとする。
また、本発明の成形品は、さらに下記の式(II)を満たすものであることが好ましい。
式(II):(B/A)/X=0.02〜0.2
本発明者は前記射出成形用樹脂組成物における含有率Bと含有率Aとの比と、平均厚さXとの間に式(II)のような関係がある場合に、本発明の成形品の強度が特に高まることを見出した。
式(II)における(B/A)/Xの値は0.08〜0.15であることが好ましく、この場合、Y/Xを2.5〜3.3とすることができる。このような場合に、より本発明の成形品の強度が高まるからである。
また、本発明の成形品を主部材として筐体を作成すれば、高強度の筐体が得られるので好ましい。
また、このような筐体を電子機器に適用することが好ましい。このような筐体を有する電子機器は強度が高いので好ましい。例えばこの電子機器の質量が10kg以上であり、求められる強度が高くても、それを満たすので好ましい。
このような筐体を有する電子機器としては、具体的に、複写機、プリンター、写真プリント機器、印刷機器、医療機器、ライフサイエンス機器が挙げられる。
<実施例1>
ポリ乳酸系樹脂としてレイシア(登録商標)(商品番号:H−100、三井化学社製)を用意した。また、PET繊維として、ポリエステルフィラメント糸(東洋紡績株式会社製)を用意した。
このPET繊維の直径Dは15μmであり、長さLは7000μmであり、L/Dは467である。
次に、これらのポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを2軸混練押出機(東芝機械社製、商品番号:TEM−26SS)を用いて混合した。ポリ乳酸系樹脂とPET繊維との合計量は4kgとし、混合比はポリ乳酸系樹脂:PET繊維=90:10(質量比)とした。混練温度は220℃とした。そして、混練後、押し出された射出成形用樹脂組成物を、断面の直径が2〜3mmの略円形で長さが約7mmのペレットとなるように水冷式ペレタイザーでカットし、得られたペレットを水道水に浸漬した。
次に、水道水からペレット状の射出成形用樹脂組成物を取り出し、前記ペレットを、80℃でかつ湿度がほぼ0%の条件で、乾燥機によって8時間程度乾燥した後、200℃の射出成形温度で射出成形し、筐体を得た。筐体は平均厚さ4.0mm、200mm角のものである。射出成形は、ファナック社製、電動射出成形機、商品番号:S−2000i100Aを用いて行った。
次に、得られた筐体を切り出して、JIS K−7110の規定されるノッチ付き試験片を得た。試験片はタイプ1(長さ80±2mm、幅10.0±0.2mm、厚さ4.0±0.2mm)であり、ノッチはタイプA(ノッチ半径0.25±0.05mm、ノッチ部の幅8.0±0.2mm)である。ノッチ付き試験片の質量は3.3〜3.8gである。
そして得られたノッチ付き試験片をJIS K−7110の規定されるアイゾット衝撃試験に供し、アイゾット衝撃強度を測定した。アイゾット衝撃強度を第1表に示す。
さらに、任意の箇所で切断し、切断面の顕微鏡写真を撮り、ボイド率bを測定した。
アイゾット衝撃強度およびボイド率bを第1表に示す。
<実施例2>
実施例1において90:10としたポリ乳酸系樹脂とPET繊維との混合比を70:30とし、さらに、実施例1において200℃としていた射出成形温度を215℃とし、その他は同様とした試験を行った。
試験結果を第1表に示す。
<実施例3>
実施例1において200℃としていた射出成形温度を230℃とし、その他は同様とした試験を行った。
試験結果を第1表に示す。
<実施例4>
実施例1で用いたポリ乳酸系樹脂およびPET繊維と、さらに可塑剤および難燃剤として作用するモノマー型リン酸エステルの一種であるトリフェニルホスフェート(TPP)(大八化学工業株式会社製)、および難燃剤として作用する縮合型リン酸エステル(商品名:PX−200、大八化学工業株式会社製)を用い、実施例1と同様の方法で混合した。ここでポリ乳酸系樹脂、PET繊維、PPSおよび縮合型リン酸エステルの合計量は4kgとし、混合比は、ポリ乳酸系樹脂:PET繊維:PPS:縮合型リン酸エステル=60:20:10:10とした。混練温度は200℃とした。そして混練後、得たペレットを実施例1と同様に処理し、同様の方法で射出成形を行った。ここで射出成形温度は200℃とした。その後、実施例1と同様にアイゾット衝撃試験に供した。
また、得られた射出成形品のSEM写真を撮影して射出成形品中のPET繊維表面におけるクラックの有無を確認した。図2に示す。
<実施例5>
混練温度および射出成形温度を220℃とした以外は、全て実施例4と同様とした処理を行い、同様の試験に供した。さらに同様にSEM写真を撮影した。図3に示す。
<実施例6>
別に、実施例1で製造した組成物を、実施例1に記載の条件で、箱型形状部品を成形した。厚みX=2.0mmの箱型形状(内装カバー、直方体のうち5つの面を有する略箱型の形状)の部品(縦:300mm、横:80mm、幅:20mm)を射出成形金型により成形した。質量Y=0.15kgであった。成形によるクラックは生じず、かつ耐衝撃強度を有する、箱型形状部品を成形できた。
<比較例1>
タルク(商品番号:C−3、日本タルク社製)と、ガラス繊維(チョップドストランド フィラメント径10μm、集束本数2000本、旭ファイバー社製)とを用意した。
次に、これらタルクおよびガラス繊維と、実施例1〜3と同じポリ乳酸系樹脂とを、実施例1〜3で用いたものと同じ2軸混練押出機を用いて混合した。混合時のこれらの合計量は実施例1の場合と同様とし、混合比はポリ乳酸系樹脂:タルク:ガラス繊維=70:15:15(質量比)とした。混練温度は220℃とした。そして、実施例1〜3と同様の方法で同様のペレットを得た。
次に得られたペレット状の組成物を220℃の射出成形温度で射出成形した。射出成形は、実施例1〜5と同じ電動射出成形機を用いた。
そして、実施例1と同様にJIS K−7110の規定されるノッチ付き試験片を成形した。
試験結果を第1表に示す。
比較例1は、特許文献1に記載されたものを追加実験する試験である。
<比較例2>
ケナフ(平均繊維長300μm〜20mm)を用意した。
そして、このケナフと実施例1〜5で用いたものと同じポリ乳酸系樹脂とを、実施例1〜5で用いたものと同じ2軸混練押出機を用いて混合した。混合時のこれらの合計量は実施例1の場合と同様とし、混合比はポリ乳酸系樹脂:ケナフ=80:20(質量比)とした。混練温度は220℃とした。そして、実施例1〜5と同様の方法で同様のペレットを得た。
次に得られたペレット状の組成物を220℃の射出成形温度で射出成形した。射出成形は、実施例と同じ電動射出成形機を用いた。
そして、実施例1と同様にJIS K−7110の規定されるノッチ付き試験片を成形した。
試験結果を第1表に示す。
比較例2は、特許文献2に記載されたものを追加実験する試験である。
<比較例3>
実施例1において200℃としていた射出成形温度を240℃とし、その他は同様とした試験を行った。
試験結果を第1表に示す。
<比較例4>
ポリ乳酸系樹脂の混合比を70質量%とし、TPPを用いず、さらに混練温度および射出成形温度を235℃とした以外は、全て実施例4と同様とした処理を行い、同様の試験に供した。さらに同様にSEM写真を撮影した。図4に示す。
<比較例5>
実施例1において220℃としていた混練温度を180℃とし、その他は同様とした試験を行った。
<比較例6>
実施例1において200℃としていた射出成形温度を180℃とし、その他は同様とした試験を行った。
実施例1〜5の場合、比較例1〜4と比較していずれもアイゾット衝撃強度が高くなった。特に射出形成温度が好ましい範囲内である実施例2の値が高くなった。
比較例1〜4の場合、アイゾット衝撃強度は7.5kJ/m以下と低くなった。射出成形品がこの程度の強度の場合、例えば複写機やプリンター等の比較的大型で質量が高い製品に用いる部材として適用することはできない。
また、図2に示したように混練温度および射出成形温度が200℃の実施例4の射出成形品ではPET繊維表面にクラックの発生はみられなかった。
また、図3に示したように混練温度および射出成形温度が220℃の実施例5の射出成形品ではPET繊維表面のクラックの発生はわずかであった。
さらに、図4に示したように混練温度および射出成形温度が235℃の比較例4ではPET繊維表面に顕著なクラックの発生が認められた。
また、比較例5の場合、組成物の流動性が低く混練自体が困難であり、均一に混合することができなかった。したがって、このような組成物で射出成形を行って成形品を作成しても、ボイド率cは50%超となり、強度も低くなる(衝撃強度が8kJ/m未満となる)と考えられた。
また、比較例6の場合、流動性が低く射出成形時にショートした。また、外見上、成形品に亀裂が生じていた。したがって成形品を作成してもボイド率cは50%超となっており、強度も低くなっている(衝撃強度が8kJ/m未満となる)と考えられた。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸系樹脂とPET繊維とを含み、乳酸成分の含有率が50質量%以上であり、230℃以下の混練温度で混練された組成物である射出成形用樹脂組成物を、190〜230℃の射出成形温度で射出成形して、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対して50%以下であり、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品を得る、射出成形品製造方法。
  2. 前記射出成形用樹脂組成物中における前記PET繊維の含有率が10〜30質量%である、請求項1に記載の射出成形品製造方法。
  3. 前記PET繊維の断面の直径Dが1〜20μmであり、前記PET繊維の長さL(μm)と前記直径Dとの比(L/D)が100〜1000である、請求項1または2に記載の射出成形品製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形品製造方法によって製造した、切断面における前記PET繊維周囲のボイドの断面積が前記PET繊維の断面積に対して50%以下であり、内部の前記PET繊維が劣化していない高強度成形品。
  5. 平均厚さXが1.5mm以上であり、質量Yが0.15kg以上である、請求項4に記載の高強度成形品。
  6. さらに下記の式(I)を満たす、請求項4または5に記載の高強度成形品。
    式(I):Y/X=0.03〜3.3
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の高強度成形品を主部材とする筐体。
  8. 請求項7に記載の筐体を有し、質量が10kg以上である電子機器。
  9. 複写機、プリンター、写真プリント機器、印刷機器、医療機器またはライフサイエンス機器である、請求項8に記載の電子機器。
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