JPWO2009011081A1 - プラズマディスプレイパネルとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、第一の目的として、蛍光体層を改質することにより初期化輝点の発生を抑制するとともに、各色の放電セル間における放電特性のバラツキを解消し、優れた画像表示性能の発揮が期待できるプラズマディスプレイパネルとその製造方法を提供する。第二の目的として、上記課題解決に加え、フロントパネル側でも放電空間で発生した紫外線発光を利用して、可視光発光の発生を促進し、輝度の向上が期待できるプラズマディスプレイパネルとその製造方法を提供する。具体的には、蛍光体層14を蛍光体成分と、当該蛍光体層に主として2次電子放出特性を付与するために層の内部及び放電空間に臨む表面140に露出するようにMgO微粒子群16を配設して構成する。MgO微粒子群16は、(100)面及び(111)面からなる特定2種配向面、又は(100)面、(110)面、(111)面からなる特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有する各MgO微粒子16a〜16dから構成する。

Description

本発明は、各種ディスプレイに用いられるプラズマディスプレイパネルとその製造方法に関する。
近年、ハイビジョンやHD−TVをはじめとする高精細、高品位で大画面のテレビに期待が高まっている中で、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、以下、「PDP」という。)表示装置は、大型で薄型軽量を実現できるカラー表示デバイスとして注目されている。
図16は、一般的なAC型PDPの放電単位である、放電セルの構造を示す模式的な組図である。図16に示すPDP1xは、フロントパネル2及びバックパネル9を互いに貼り合わせて構成される。フロントパネル2は、フロントパネルガラス3の片面に、走査電極5及び維持電極4を一対とする表示電極対6が複数対にわたり併設され、当該表示電極対6を覆うように、誘電体層7および保護層8が順次積層されている。走査電極5、維持電極4は、それぞれ透明電極51、41及びバスライン52、42を積層して構成される。
誘電体層7は、ガラス軟化点が550℃〜600℃程度の範囲の低融点ガラスから形成され、AC型PDP特有の電流制限機能を有する。
表面層8は、駆動時に放電空間15で発生するプラズマ放電のイオン衝突から上記誘電体層7及び表示電極対6を保護すると共に、放電空間15に2次電子を効率よく放出し、放電開始電圧を低下させる役目をなす。通常、当該表面層8は2次電子放出特性、耐スパッタ性、光学透明性に優れる酸化マグネシウム(MgO)の材料で構成され、真空蒸着法や印刷法で厚み0.5μm〜1μm程度で成膜される。なお、表面層8と同様の構成は、誘電体層7及び表示電極対6を保護する他に、2次電子放出特性の確保を目的とした保護層として設けられることもある。
他方、バックパネル9は、バックパネルガラス10上に画像データを書き込むための複数のデータ(アドレス)電極11が前記フロントパネル2の表示電極対6と直交方向で交差するように併設される。バックパネルガラス10には、データ電極11を覆うように低融点ガラスからなる誘電体層12が配設される。誘電体層12において隣接する放電セル(図示省略)との境界上には、低融点ガラスからなる所定の高さの隔壁(リブ)13が放電空間15を区画するように、井桁状等のパターン部1231、1232を組み合わせて形成される。誘電体層12表面と隔壁13の側面には、R、G、B各色のいずれかの色の蛍光体材料を含む蛍光体インクが塗布され、焼成されることで、蛍光体層14(蛍光体層14R、14G、14B)が形成されている。
フロントパネル2とバックパネル9は、表示電極対6とデータ電極11とが放電空間15をおいて互いに直交するように配置され、その両パネルの周囲で封着される。この際に内部封止された放電空間15には、放電ガスとしてXe−Ne系あるいはXe−He系等の希ガスが約数十kPaの圧力で封入される。以上でPDP1xが構成される。
このPDP1xの駆動方法としては、1フィールドの映像を複数のサブフィールド(S.F.)に分割する階調表現方式(例えばフィールド内時分割表示方式)が用いられる。
ここで、従来のPDPにおいては以下の課題が存在する。
第一の問題として、初期化輝点の発生の問題がある。
従来、PDPでは各サブフィールドの初期化期間において、全表示セルを初期化してコントラスト比を向上させるために、弱放電(初期化放電)と呼ばれる弱い小さな放電を安定的に行う必要がある。このためPDPでは通常、電圧−時間推移がゆるやかに傾斜して上下するランプ波形を、フロントパネル側の走査電極とバックパネル側のデータ電極との間に印加し、小さな放電電流を定常的に流すことにより、弱放電が安定化するように調節される。
しかし、初期化期間の上りランプ波形印加時における放電は、バックパネル側のデータ電極あるいは2次電子放出係数が小さい蛍光体側がカソードとなる放電であるので、放電開始電圧が高くなりやすい。このため、時として弱放電の発生が不安定となり、強放電が発生しうる。強放電は、映像に無関係な誤発光(初期化輝点)となり、画面上で点状や線状の不要な輝点として発生し、画像表示性能を著しく低下させる原因となる。
また、PDPでは輝度向上を図る目的で、放電ガス組成中のXe濃度を高める対策がなされる場合がある。しかし、このようにXe濃度が高くなると、初期化輝点が生じやすくなる問題もある。
第二の問題として、PDPにおける各色の放電セルが、互いの2次電子放出特性においてバラツキを生じる問題がある。
すなわち従来のPDPにおいては、組成が異なるR、G、Bのいずれかの色の蛍光体材料を各色蛍光体層毎に用いているため、色の異なる放電セル同士で、各蛍光体材料の2次電子放出特性による放電特性のバラツキが存在する。このようなバラツキは、パネル全体での画像表示特性に悪影響を及ぼしうるので、これを改善すべき問題がある。
第三の問題として、PDPの駆動時に、放電ガスから発生する真空紫外光の一部がMgO層に吸収されてしまい、輝度向上が図りにくい問題がある。
すなわち、MgOからなる保護層を持つPDPでは、駆動時にNe−Xe系等の放電ガスから発生する147nmや173nmの真空紫外光が、放電空間内において球面波として発光する。このような球面波のうち、バックパネル側に配設された蛍光体層に達する真空紫外光は、当該蛍光体層中の蛍光体成分により可視光発光に供されるが、蛍光体層以外に照射される真空紫外光を可視光発光の発生に寄与させることができれば、効率の良い可視光発光の発生を促進して輝度の向上が期待できる。しかし、フロントパネル側で放電空間に広く面する前記保護層では、主として蛍光体層とは無関係に真空紫外光が吸収されてしまう。この結果、フロントパネル側に照射される真空紫外光は、実質的に蛍光体層において、可視光発光に寄与することができない問題がある。
初期化輝点の対策には、蛍光体層に、蛍光体層を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い粒子状の粉体を付着させ、初期化輝点の発生を改善する試みがなされている(特許文献1)。その他、誘電体層上や真空蒸着方法やスパッタ法で成膜したMgO膜上に、気相酸化法で作製したMgO微粒子を塗布して、MgO微粒子から放射される紫外線で蛍光体層を可視光発光させ、輝度を向上させる試みがある(特許文献2)。
WO06/038654号公報 特開2006−59786号公報
しかしながら、上記いずれの従来技術によっても、実際に初期化輝点の発生を有効に抑制できるとは言い難く、この問題を効果的に達成するのは困難である。
また、初期化輝点の発生を抑制するとともに、輝度向上を図り、且つ、各色放電セル間における放電特性のバラツキをも解消することは、優れた画像表示性能を持つPDPを得る上で重要であるが、非常に実現が困難であるとされている。
このように現状のPDPでは、未だいくつかの解決すべき余地が存在する。
本発明は、以上の課題に鑑みなされたものであって、第一の目的として、蛍光体層を改質して初期化輝点の発生を抑制するとともに、各色の放電セル間における放電特性バラツキを解消し、優れた画像表示性能の発揮が期待できるプラズマディスプレイパネルとその製造方法を提供する。
また、第二の目的として、上記課題解決に加え、フロントパネル側でも放電空間で発生した紫外線発光を利用して、可視光発光の発生を促進し、輝度の向上が期待できるプラズマディスプレイパネルとその製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、片面に蛍光体層が形成された第一基板が、前記片面において、放電空間を介して第二基板と対向に配置され、第一基板及び第二基板の周囲が封着されたプラズマディスプレイパネルであって、蛍光体層は、蛍光体成分と、(100)面及び(111)面とで囲まれた結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群とを含んでなり、酸化マグネシウム微粒子群が蛍光体層における、当該層内部または放電空間に臨む表面、或いは背面基板側の当該層底部、の少なくとも何れかの領域に配設された構成とした。
ここで、第二基板の片面には、放電空間に臨む表面領域に、前記酸化マグネシウム微粒子と同一の結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群を配設することもできる。
また、第二基板の前記片面には、複数の電極と、当該複数の電極を覆うように誘電体層とが配設され、前記酸化マグネシウム微粒子群は、前記誘電体層表面に対して直接、または保護層を介して配設された構成とすることもできる。
なお、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面を有する構成とすることができる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面を有する構成とすることができる。
また、酸化マグネシウム微粒子は、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面を有する構成とすることができる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面を有する構成とすることができる。
また、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、(100)面に相当する6面及び(111)面に相当する8面を持つ14面体とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面を持つ構成とすることができる。或いは、この場合の酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面を持つ構成とすることも可能である。
さらに本発明は、片面に蛍光体層が形成された第一基板が、前記方面において、放電空間を介して第二基板と対向に配置され、第一基板及び第二基板の周囲が封着されたプラズマディスプレイパネルであって、蛍光体層は、蛍光体成分と、(100)面、(110)面、(111)面とで囲まれた結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群とを含んでなり、酸化マグネシウム微粒子群が蛍光体層における、当該層内部または放電空間に臨む表面、或いは背面基板側の当該層底部、の少なくとも何れかの領域に配設された構成とした。
ここで、第二基板の片面には、放電空間に臨む表面領域に、前記酸化マグネシウム微粒子と同一の結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群を配設することもできる。
また、第二基板の前記片面には、複数の電極と、当該複数の電極を覆うように誘電体層とが配設され、前記酸化マグネシウム微粒子群は、前記誘電体層表面に対して直接、または保護層を介して配設された構成とすることもできる。
ここで、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面と、少なくとも1つの斜方面とを有する構成とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面、斜方面に(110)面を持つ構成とすることもできる。
或いは、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面と、少なくとも1つの斜方面とを有する構成とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面、斜方面に(110)面を持つ構成とすることもできる。
また、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、(100)面に相当する6面及び(110)面に相当する12面、並びに(111)面に相当する8面を持つ26面体の構成とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、斜方面に(110)面、切頂面に(100)面を持つ構成とすることができる。或いは、この場合の酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、斜方面に(110)面、切頂面に(111)面を持つ構成とすることもできる。
なお、本発明におけるMgO微粒子は、MgO前駆体の焼成生成物として構成することが望ましい。また当該MgO微粒子は、一次粒子の粒径が300nm以上が好適である。さらにBET値については2.0m2以下が理想的である。
以上の構成を持つ本発明のPDPでは、駆動時において、放電空間で発生した紫外線が蛍光体層に到達すると、蛍光体粒子の間隙に充填された特定配向面を有するMgO微粒子が当該紫外線を受け、優れた2次電子放出特性を発揮する。これにより、初期化期間では、蛍光体層から放電空間に向けて豊富な2次電子が放出され、弱放電がスムーズに発生する。これにより理想的な弱放電がなされ、不要な強放電(初期化輝点)の発生を抑制することができる。
また、本発明のMgO微粒子は放電に伴って紫外線発光するので、蛍光体は放電空間で生じた紫外線照射に加え、蛍光体層中のMgO微粒子による紫外線照射によっても励起され、効率よく可視光発光を生じることができる。ここで蛍光体層中では、蛍光体粒子の周囲を囲繞するMgO微粒子によって、蛍光体粒子をその周囲から効率よく励起でき、且つ乱反射を防いで適切に可視光を反射できるので、高輝度の可視光発光が期待できる。
さらに、本発明におけるMgO微粒子は蛍光体に比して十分に高い2次電子放出特性を有するため、これを蛍光体層に配設することで、各色蛍光体層の各蛍光体成分に起因する放電特性のバラツキを相対的に小さくできる。その結果、PDP全体の各色放電セル間で放電特性を揃えることができ、安定した画像表示性能が発揮される。
また、本発明ではさらに、フロントパネル(第二基板)側にMgO微粒子群を配設することにより、蛍光体層中の蛍光体は、放電空間で発生する球面波の紫外線照射により直接励起されるのに加え、当該球面波の紫外線照射により励起されたバックパネル側及びフロントパネル側のMgO微粒子からも紫外線発光を受けるので、いっそう効率よく励起される。その結果、蛍光体層では豊富な可視光発光が発生し、且つ、高い輝度で良好な画像表示性能が発揮されることとなる。
なお、本発明の前記MgO微粒子群の説明において、前記MgO微粒子群に特定の配向面を持つMgO微粒子を「含む」とは、MgO微粒子群には前記MgO微粒子以外の結晶構造を有するMgO微粒子も含まれることを意味するものである。ここで本発明のMgO微粒子がMgO微粒子群に含まれる比率が高いほど、本発明の高い効果が得られると考えられる。
本発明の実施の形態1に係るPDPの構成を示す断面図である。 各電極とドライバとの関係を示す模式図である。 PDPの駆動波形例を示す図である。 MgO微粒子の形状を示す図である。 MgO微粒子のバリエーションの形状を示す図である。 MgO微粒子の形状を示す写真である。 MgO微粒子の発光波長と発光強度の関係を示すグラフである。 MgO微粒子のCL測定波形を示すグラフである。 MgO微粒子のBET値と頻度との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係るPDPの構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態3に係るPDPの構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態4に係るPDPの構成を示す断面図である。 蛍光体層全体におけるMgO重量濃度と、輝度との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例のPDPの初期化輝点の発生の有無を示すグラフである。 実施例及び比較例のPDPの輝度を示すグラフである。 従来の一般的なPDPの構成を示す組図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1x PDP
2 フロントパネル
3 フロントパネルガラス
4 サステイン電極
5 スキャン電極
6 表示電極対
7、12 誘電体層
8 表面層
9 バックパネル
10 バックパネルガラス
11 データ(アドレス)電極
13 隔壁
14 蛍光体層
15 放電空間
16、16X、16Y MgO微粒子群
16a 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16b 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16c 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16d 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16a1、16a2 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
16b1、16b2 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
16c1 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
16d1 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
17 保護層
140 蛍光体層の表面
以下に、本発明の各実施の形態及び実施例を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施の形態1>
(PDPの構成例)
図1は、本発明の実施の形態1に係るPDP1のxz平面に沿った模式的な断面図である。当該PDP1は保護層周辺の構成を除き、全体的には従来構成(前述の図16)と同様である。
なお、図1では説明のため、蛍光体層14の内部に配設されるMgO微粒子群16の粒径を、実際よりも大きく、模式的に表している。
PDP1は、ここでは42インチクラスのNTSC仕様例のAC型としているが、本発明は当然ながらXGAやSXGA等、この他の仕様例に適用してもよい。HD(High Definition)以上の解像度を有する高精細なPDPとしては、例えば、次の規格を例示できる。パネルサイズが37、42、50インチの各サイズの場合、同順に1024×720(画素数)、1024×768(画素数)、1366×768(画素数)に設定できる。そのほか、当該HDパネルよりもさらに高解像度のパネルを含めることができる。HD以上の解像度を有するパネルとしては、1920×1080(画素数)を備えるフルHDパネルを含めることができる。
図1に示すように、PDP1の構成は互いに主面を対向させて配設された第一基板(バックパネル9)および第二基板(フロントパネル2)に大別される。
フロントパネル2の基板となるフロントパネルガラス3には、その一方の主面に所定の放電ギャップ(75μm)をおいて配設された一対の表示電極対6(走査電極5、維持電極4)が複数対にわたり形成されている。各表示電極対6は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)等の透明導電性材料からなる帯状の透明電極51、41(厚さ0.1μm、幅150μm)に対して、Ag厚膜(厚み2μm〜10μm)、Al薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等からなるバスライン52、42(厚さ7μm、幅95μm)が積層されてなる。このバスライン52、42によって透明電極51、41のシート抵抗が下げられる。
ここで「厚膜」とは、導電性材料を含むペースト等を塗布した後に焼成して形成する各種厚膜法により形成される膜をいう。また、「薄膜」とは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子線蒸着法等を含む、真空プロセスを用いた各種薄膜法により形成される膜をいう。
表示電極対6を配設したフロントパネルガラス3には、その主面全体にわたり、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi23)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み35μm)の誘電体層7が、スクリーン印刷法等によって形成されている。
誘電体層7は、AC型PDP特有の電流制限機能を有し、DC型PDPに比べて長寿命化を実現する要素になっている。
誘電体層7の放電空間15側の面には表面層8が配設される。表面層8は、放電時のイオン衝撃から誘電体層7を保護し、放電開始電圧を低減させる目的で配される薄膜であって、耐スパッタ性及び2次電子放出係数γに優れるMgO材料からなり、誘電体層7上に真空蒸着法、イオンプレーティング法等公知の薄膜形成法で厚さ約1μmの範囲で成膜される。なお、表面層8の材料はMgOに限らず、MgO、CaO、BaO及びSrOの群より選ばれた少なくとも一つの金属酸化物を含むように構成することもできる。
バックパネル9の基板となるバックパネルガラス10には、その一方の主面に、Ag厚膜(厚み2μm〜10μm)、Al薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等のいずれかからなるデータ電極11が、幅100μmで、x方向を長手方向としてy方向に一定間隔毎(360μm)でストライプ状に並設される。そして、各々のデータ電極11を内包するように、バックパネルガラス9の全面にわたって、厚さ30μmの誘電体層12が配設されている。
誘電体層12の上には、さらに隣接するデータ電極11の間隙に合わせて井桁状の隔壁13(高さ約110μm、幅40μm)が配設され、放電セルが区画されることで誤放電や光学的クロストークの発生を防ぐ役割をしている。
隣接する2つの隔壁13の側面とその間の誘電体層12の面上には、カラー表示のための赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの色に対応する蛍光体層14が形成されている。各種蛍光体の組成は、青色蛍光体(B)には、既知のBAM:Eu、赤色蛍光体(R)には(Y,Gd)BO3:EuやY23:Eu等、緑色蛍光体(G)にはZn2SiO4:Mn、YBO3:Tbおよび(Y,Gd)BO3:Tb等が利用できる。
蛍光体層14は上記蛍光体成分と、当該蛍光体層に主として2次電子放出特性を付与するために層の内部及び放電空間15に臨む表面140に露出するようにMgO微粒子群16が含まれている。ここで本実施の形態の特徴として、MgO微粒子群16は、(100)面及び(111)面からなる特定2種配向面、又は(100)面、(110)面、(111)面からなる特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有する各MgO微粒子16a〜16dが含まれてなる(図4(a)〜(d))。このMgO微粒子16a〜16dについては詳細を後述する。
なお、誘電体層12は必須ではなく、データ電極11を直接蛍光体層14で内包するようにしてもよい。
フロントパネル2とバックパネル9は、データ電極11と表示電極対6の互いの長手方向が直交するように対向配置され、両パネル2、9の外周縁部がガラスフリットで封着されている。この両パネル2、9間にはHe、Xe、Ne等を含む不活性ガス成分からなる放電ガスが所定圧力で封入される。
隔壁13の間は放電空間15であり、隣り合う一対の表示電極対6と1本のデータ電極11が放電空間15を挟んで交叉する領域が、画像表示にかかる放電セル(「サブピクセル」とも言う)に対応する。放電セルピッチはx方向が675μm、y方向が300μmである。隣り合うRGBの各色に対応する3つの放電セルで1画素(675μm×900μm)が構成される。
走査電極5、維持電極4及びデータ電極11の各々には、図2に示すようにパネルxy方向端部付近において、駆動回路として走査電極ドライバ111、維持電極ドライバ112、データ電極ドライバ113が電気的に接続される。ここで、維持電極4は一括して維持電極ドライバ112に接続され、各走査電極5と各データ電極11は、それぞれ独立して走査電極ドライバ111或いはデータ電極ドライバ113に接続される。
(PDPの駆動例)
上記構成のPDP1は、駆動時には各ドライバ111〜113を含む公知の駆動回路(不図示)によって、各表示電極対6の間隙に数十kHz〜数百kHzのAC電圧が印加される。これにより任意の放電セル内で放電が発生し、励起Xe原子による波長147nm主体の共鳴線と励起Xe分子による波長173nm主体の分子線を含む紫外線(図1の点線及び矢印)が蛍光体層14に照射される。蛍光体層14は励起されて可視光発光する。そして当該可視光はフロントパネル2を透過して前面に発光される。
この駆動方法の一例としては、フィールド内時分割階調表示方式が採られる。当該方式は、表示するフィールドを複数のサブフィールド(S.F.)に分け、各サブフィールドをさらに複数の期間に分ける。1サブフィールドは更に、(1)全放電セルを初期化状態にする初期化期間、(2)各放電セルをアドレスし、各放電セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していく書込期間、(3)表示状態にある放電セルを表示発光させる維持期間、(4)維持放電により形成された壁電荷を消去する消去期間という4つの期間に分割されてなる。
各サブフィールドでは、初期化期間で画面全体の壁電荷を初期化パルスでリセットした後、書込期間で点灯すべき放電セルのみに壁電荷を蓄積させる書込放電を行い、その後の放電維持期間ですべての放電セルに対して一斉に交流電圧(維持電圧)を印加することによって一定時間放電維持することで発光表示する。
ここで図3は、フィールド中の第m番目のサブフィールドにおける駆動波形例である。図3が示すように、各サブフィールドには、初期化期間、アドレス期間、維持期間、消去期間がそれぞれ割り当てられる。
初期化期間とは、それ以前の放電セルの点灯による影響(蓄積された壁電荷による影響)を防ぐため、画面全体の壁電荷の消去(初期化放電)を行う期間である。図3に示す駆動波形例では、走査電極5にデータ電極11および維持電極4に比べて高い電圧(初期化パルス)を印加し放電セル内の気体を放電させる。それによって発生した電荷はデータ電極11、走査電極5および維持電極4間の電位差を打ち消すように放電セルの壁面に蓄積されるので、走査電極5付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、負の電荷が壁電荷として蓄積される。またデータ電極11付近の蛍光体層14表面および維持電極4付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、正の電荷が壁電荷として蓄積される。この壁電荷により、走査電極5―データ電極11間、走査電極5―維持電極4間に所定の値の壁電位が生じる。
アドレス期間(書込期間)は、サブフィールドに分割された画像信号に基づいて選択された放電セルのアドレッシング(点灯/不点灯の設定)を行う期間である。当該期間では、放電セルを点灯させる場合には走査電極5にデータ電極11および維持電極4に比べ低い電圧(走査パルス)を印加させる。すなわち、走査電極5―データ電極11には前記壁電位と同方向に電圧を印加させると共に走査電極5―維持電極4間に壁電位と同方向にデータパルスを印加させ、アドレス放電(書込放電)を生じさせる。これにより蛍光体層14表面、維持電極4付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、負の電荷が蓄積され、走査電極5付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、正の電荷が壁電荷として蓄積される。以上で維持電極4―走査電極5間には所定の値の壁電位が生じる。
維持期間は、階調に応じた輝度を確保するために、書込放電により設定された点灯状態を拡大して放電を維持する期間である。ここでは、上記壁電荷が存在する放電セルで、一対の走査電極5および維持電極4の各々に維持放電のための電圧パルス(例えば約200Vの矩形波電圧)を互いに異なる位相で印加する。これにより表示状態が書き込まれた放電セルに対し電圧極性の変化毎にパルス放電を発生せしめる。
この維持放電により、放電空間15における励起Xe原子からは147nmの共鳴線が放射され、励起Xe分子からは173nm主体の分子線が放射される。この共鳴線・分子線が蛍光体層14表面に照射され、可視光発光による表示発光がなされる。そして、RGB各色ごとのサブフィールド単位の組み合わせにより、多色・多階調表示がなされる。なお、表面層8に壁電荷が書き込まれていない非放電セルでは、維持放電が発生せず表示状態は黒表示となる。
消去期間では、走査電極5に漸減型の消去パルスを印加し、これによって壁電荷を消去させる。
(MgO微粒子の構成)
図4は、MgO微粒子群16に含まれる各MgO微粒子の形状を示す模式図である。MgO微粒子群16は、MgO前駆体を焼成して得られる、主として4種の形状の粒子16a、16b、16c、16dを含んでなる。
粒子16a、16bは、図4(a)、(b)に示すように、それぞれ(100)面及び(111)面の2面からなる特定2種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有する。
粒子16c、16dは、図4(c)、(d)に示すように、それぞれ(100)面、(110)面、(111)面の3面からなる特定3種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有する。
ここで、図6(a)〜(d)は、それぞれ実際に作製されたMgO微粒子16a、16b、16cの形状と、従来例として、気相酸化法で作製したMgO微粒子の形状を順次に示す電子顕微鏡写真である。当図に示されるように、先の図4に示した各粒子16a、16b、16c、16dの各形状は、一例にすぎず、実際には図示された形状に比べて若干歪んだ形状を持つ粒子が含まれる。
図4(a)に示すMgO微粒子16aは、6面体を基本構造とし、その各頂点が切除されたことにより切頂面82aが形成された14面体である。6面存在する8角形状の主要面81aが(100)面に相当し、8面存在する3角形状の切頂面82aが(111)面に相当する。
次に、図4(b)に示すMgO微粒子16bは、8面体を基本構造とし、その各頂点が切除されたことにより切頂面81bが形成された14面体である。8面存在する6角形状の主要面82bが(111)面に相当し、6面存在する4角形状の切頂面81bが(100)面に相当する。
ここで主要面とは、上記6面体または8面体の中で同一ミラー指数を持つ面の面積の総和が最も大きいミラー指数を持つ面をいう。また切頂面とは、多面体の頂点が切除されたことにより形成された面をいう。
ここで、図4では一例として、MgO微粒子16aでは当該粒子全体の面積に対して(100)面が占める割合を50%以上98%以下としている。一方、MgO微粒子16bでは前記割合を30%以上50%以下としている。
また、図4(c)に示すMgO微粒子16cは、16bにおいて隣接する(111)面の境界が切除されることにより、斜方面83cが形成された26面体である。これによりMgO微粒子16cでは、6面存在する8角形状の(100)面からなる切頂面81cと、8面存在する6角形状の(111)面からなる主要面82cと、12面存在する4角形状の(110)面からなる斜方面83cとを有する26面体となっている。
また、図4(d)に示すMgO微粒子16dは、16aにおいて隣接する(100)面の境界が切除されることにより、斜方面83dが形成された26面体である。これにより、MgO微粒子16dでは、6面存在する8角形状の(100)面からなる主要面81d、8面存在する6角形状の(111)面からなる切頂面82dと、12面存在する4角形状の(110)面からなる斜方面83dとを有する26面体となっている。なお、焼成条件によっては、(100)面もしくは(110)面が占める面積が肥大する場合があり、このとき、(100)面もしくは(110)面が主要面となる。
ここで「斜方面」とは、26面体において、2つの頂点を結ぶ線である辺が切除されたことにより形成された面をいう。
図5は、上記MgO微粒子16a〜16dのバリエーションの形状を示す図である。
MgO微粒子16aは、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されていればよい。例えば、図5(a)に示すMgO微粒子16a1のように、切頂面が1つだけ存在する構造や、図5(b)に示すMgO微粒子16a2のように、切頂面が2つだけ存在する構造も取り得る。このとき、切頂面が(111)面に相当し、主要面が(100)面に相当する。なお、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されているとは、7面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面である構造を有していると言い換えることができる。
MgO微粒子16bは、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されていればよい。例えば、図5(c)に示すMgO微粒子16b1のように、切頂面が1つだけ存在する構造や、図5(d)に示すMgO微粒子16b2のように、切頂面が2つだけ存在する構造も取り得る。このとき、切頂面が(100)面に相当し、主要面が(111)面に相当する。なお、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されているとは、9面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面である構造を有していると言い換えることができる。
MgO微粒子16cは、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されていればよい。例えば、図5(e)に示すMgO微粒子16c1のように、6つの切頂面に対し、斜方面が1つだけ存在する構造も取り得る。このとき、主要面が(111)面に相当し、切頂面が(100)面に相当し、斜方面が(110)面に相当する。なお、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されているとは、10面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面であり、かつ、少なくとも1面が斜方面である構造を有していると言い換えることができる。
MgO微粒子16dは、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されていればよい。例えば、図5(f)に示すMgO微粒子16d1のように、8つの切頂面に対し、斜方面が1つだけ存在する構造も取り得る。このとき、主要面が(100)面に相当し、切頂面が(111)面に相当し、斜方面が(110)面に相当する。なお、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されているとは、8面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面であり、かつ、少なくとも1面が斜方面である構造を有していると言い換えることができる。
さらに、本発明におけるMgO結晶粒子は、従来の前駆体焼成法で作製されるMgO微粒子のように、特定の辺が他の辺よりも長い偏平な板状体ではなく、図4、5の各々に示すように、基本的に辺の長さが所定の範囲内に整った6面体もしくは8面体結晶の形状を有する。
PDP1では、蛍光体層14にMgO微粒子群16を配設するに際して、(100)面と(111)面からなる特定2種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有するMgO微粒子16a、16bと、さらに(100)面、(110)面、(111)面からなる特定3種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有するMgO微粒子16c、16dを用いている。PDP1では、このように特定2種配向面及び特定3種配向面を有するMgO微粒子16a〜16dを含むMgO微粒子群16を蛍光体層14の層内部に分散させて配置することで、各配向面の特性を発揮させるとともに、各特性を互いに補完させた効果を期待できるようになっている。
具体的には、(100)面は、上記3つの配向面の中で最も原子が密に詰まった面(最稠密面)に相当し、表面自由エネルギーが最も低い。このため、低温時及び常温以上の高温時の広い温度域で不純物ガス(水、炭化水素、炭酸ガス等)を吸着しにくく、不要な化学反応を生じにくい。よって(100)面の特性によれば、特に不純物ガスの吸着の影響が大きいとされる低温度域でも良好な化学安定性が期待できる(例えば、表面技術Vol.41.No.4 1990 50頁)。従って、(100)面を持つMgOをPDPに適用すれば、低温時及び常温以上の高温時の広い温度域にわたり放電空間15内部の不純物ガス(特に炭化水素ガス)が吸着するのを防止でき、2次電子放出特性を維持できる(J.Chem.Phys.Vol.103.No.8 3240−3252 1995)。
ここで(100)面は、低温時及び常温以上の高温時の広い温度域において電子放出の絶対量が小さい。よってMgO微粒子の配向面を(100)面のみに依存すると、2次電子放出特性が優れず、初期化輝点が発生しうる。
しかしながら、この問題はMgO微粒子において、さらに(111)面及び(110)面を併用することで抑制できる。(111)面は、低温から高温までの広い温度域で良好な電子放出特性を発揮し、特に常温以上で良好な電子放出特性を発揮する結晶面である。このため、特に、常温以上の温度範囲で初期化輝点の発生を抑制する効果が得られる。また(110)面は、低温から高温までの広い温度域で優れた電子放出特性を発揮できるので、豊富な電子を利用して、初期化輝点の発生がより効果的に防止される。
このように、各配向面が互いの特性を補完することによって、PDP1における初期化輝点の発生が良好に防止される。
以上のようにPDP1では、(100)面及び(111)面に囲まれてなるMgO微粒子16a、16b、もしくは、(100)面、(111)面、及び(110)面に囲まれてなるMgO微粒子16c、16d、または当該MgO微粒子16a〜16dを混合して利用することで、高い2次電子放出効果が奏され、特に蛍光体層14からの豊富な電子放出によって、初期化輝点の発生防止が期待できる。
PDP1で発揮される主な各効果を具体的にまとめると以下の通りである。
第一に、駆動時において、放電空間15で発生した波長147nmまたは173nmの紫外線が蛍光体層14に到達すると、蛍光体粒子の間隙に充填されたMgO微粒子16a〜16dが当該紫外線を受け、2次電子放出特性を発揮する。ここでMgO微粒子16a〜16dでは、特定2種及び特定3種配向面を利用することで、上記の通り従来に比べて格段に優れた2次電子放出特性を有しており、低温から高温までの広範囲な温度域にわたり、豊富な2次電子が放電空間15に向けて放出される。
従って、この特性を利用すれば、初期化期間にスキャン電極4とデータ電極11との間にランプ波形(図3)の電圧を印加すると、蛍光体層14から放電空間15に向けて放出される豊富な2次電子によって、理想的な弱放電がスムーズに発生する。
このため、肉眼で確認できる好ましくない強放電(初期化輝点)の発生が抑制され、スムーズに弱放電を進行させることができるので、初期化輝点による画像表示性能の低下の問題を有効に防止できる。従って、PDPの構成上、たとえランプ波形の電圧印加時においてデータ電極側がカソードとなるランプ波形を印加しても、放電開始電圧Vfを上げることなく従来と同等値で弱放電を発生させることができる。また、このような効果はPDPの環境温度が低温から比較的高温の場合まで、いずれの温度域にあっても、良好に発揮される。
このように本発明は、初期化輝点の防止に対して高い効果を奏しつつ、良好な実現性をも有するものである。
なお、MgO微粒子のサイズが小さい場合や、微粒子全体の表面積に占める割合が小さい場合は、各面に対応した上記の放電特性を充分に発揮しない場合がある。後述するように、気相酸化法で作製されたMgO微粒子は、粒径に比較的バラつきがあるため、300nm未満の粒径を有する微粒子は(100)面で構成されるにもかかわらず、PDPにおいて初期化輝点を発生したり、放電遅れを生ずる原因となりうる。しかしながら、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子16a〜16dは、粒径が均一で、ほぼ全ての微粒子が一次粒子として300nm以上の粒径を有する。これによりMgO微粒子16a〜16dは、ほぼ全ての微粒子が各配向面に対応した放電特性を発揮できるので、気相酸化法で作製されたMgO微粒子の問題を回避して、特に優れた初期化輝点の抑制効果が均一に得られようになっている。
第二に、蛍光体層14中にMgO微粒子16a〜16dが混在されることにより、蛍光体粒子の可視光発光効率の向上が図られる。すなわち、放電空間15で発生した波長147nmあるいは173nmの真空紫外光が蛍光体層中のMgO微粒子16a〜16dに到達すると、当該MgO微粒子16a〜16dは励起され、上述した2次電子を放出するとともに、自らも200nm〜300nm程度の波長範囲の紫外線を発生する(後述の図8を参照)。
蛍光体成分は、放電空間15からの真空紫外光と、MgO微粒子16a〜16dからの紫外線をともに受けるため、可視光変換過程が活発に行われる。特に蛍光体層14中では、蛍光体粒子の周囲を囲繞するようにMgO微粒子16a〜16dが存在することによって、蛍光体粒子をその周囲から効率よく励起させる効果が望める。その結果、優れた可視光発光効率により、高輝度の発光が発揮される。また200nm〜300nm程度の波長範囲の紫外線は、波長147nmあるいは173nmの真空紫外光に比べてMgOにおけるエネルギー変換効率が良く、活発な2次電子放出を促す。このようなMgO微粒子16a〜16dによる蛍光体粒子の紫外線励起作用は、特有のCL特性を有する本発明のMgO微粒子16a〜16dにおいて、特に有効に得られるものである。
第三に、MgO微粒子16a〜16dが蛍光体成分に比して十分に高い2次電子放出特性を有するため、各色蛍光体層14中の各蛍光体成分に起因する放電特性のバラツキが相対的に目立たなくなる。その結果、PDP全体の放電セルで放電特性を揃えることが可能となり、安定した画像表示性能が発揮される。
以上のように本発明によれば、MgO微粒子16a〜16dを蛍光体層14に配設することによって、初期化輝点の発光抑制、蛍光体の可視光発光量の向上、及び各色蛍光体層間の発光強度のバラツキを防止する効果をともに実現することができ、従来の構成に比べて飛躍的に優れた画像表示性能が期待されるものである。
(MgO微粒子のカソードルミネッセンス特性について)
従来の気相酸化法で作製したMgO微粒子(比較例)と、本発明の特定2種配向面もしくは特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a、16b、16c、16d(実施例)について行った、カソードルミネッセンス(CL)測定の結果を図7(a)、(b)に示す。
図7(a)に示されるように、実施例及び比較例のMgO微粒子はCLスペクトルにおいて、いずれも200nm〜500nm付近の広い波長領域において、ピークが存在する発光スペクトルを有する。
このうち実施例では図7(b)に示すように、CLスペクトルでは、200〜300nm付近において極大なピークの存在が確認できる。この200〜300nm付近の波長の光は、PDPの放電時にも発生する。この極大なピークは、気相酸化法で作製した比較例のMgO微粒子については確認されない。
実施例が、このような極大なピークを持つ200〜300nm付近の波長領域において、放電時に発生する光のエネルギーは約5eVである。図7中の実施例のMgO微粒子はこのエネルギーによって、エネルギーレベルにおいて真空準位から5eV以内に存在するMgOの電子を励起し、2次電子として放電空間に放出することができる。
一方、実施例のように、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子は、気相酸化法で作製された比較例のようなMgO微粒子に比べて電子放出性能が高いことが、本願発明者らの別の考察で明らかになっている。従って、CLスペクトルの200nm〜300nmの波長領域において、極大なピークの有無を確認することは、MgO微粒子の電子放出特性に関する有効な評価指針となる。従って、このことを根拠として、前駆体焼成法で作製された本発明のMgO微粒子は、気相酸化法で作製されたMgO微粒子よりも高い電子放出能を有すると評価できる。
本発明では、2次電子放出特性に優れるMgO微粒子16a〜16dを蛍光体層14に配設することにより、駆動時には蛍光体層から放電空間15に向けて良好に2次電子放出を行うことが可能である。その結果、初期化期間における弱放電をスムーズに生じさせ、初期化輝点の発生を改善することができる。
さらに、MgO微粒子16a〜16dが蛍光体成分に比して十分に高い2次電子放出特性を有するため、各色蛍光体層14中の各蛍光体成分に起因する放電特性のバラツキが相対的に目立たなくなる。その結果、PDP全体の放電セルで放電特性を揃えることが可能となり、PDP1における安定性の高い画像表示性能の発揮が期待できる。
以上より、CL測定で深紫外光(DUV)が検出される、特定2種配向面もしくは特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a、16b、16c、16dを配設したPDPでは、これによって放電時に200〜300nm付近の波長の光が発生すると考えられる。
ここで、本実施の形態1におけるMgO微粒子16a、16b、16c、16dが、各結晶構造において取り得る各結晶面の面積割合について説明する。
発明者らの検討によれば、PDPにおいて上記の効果を有効に得るためには以下の面積割合が望ましい。
MgO微粒子16aの表面における(100)面が、MgO微粒子16aの全表面において占める面積の割合は、50%以上98%以下の範囲が好適である。
MgO微粒子16bの表面における(100)面が、MgO微粒子16bの全表面において占める面積の割合は、30%以上50%以下の範囲が好適である。
MgO微粒子16cの表面における(111)面が、MgO微粒子16cの全表面において占める面積の割合は、10%以上80%以下の範囲が好適である。
同様に、MgO微粒子16cの表面における(100)面が、MgO微粒子16cの全表面において占める面積の割合は、5%以上50%以下の範囲が好適である。
さらに、MgO微粒子16cの表面における(110)面が、MgO微粒子16cの全表面において占める面積の割合は、5%以上50%以下の範囲が好適である。
MgO微粒子16dの表面における(111)面が、MgO微粒子16dの全表面において占める面積の割合は、10%以上40%以下の範囲が好適である。
同様に、MgO微粒子16dの表面における(100)面が、MgO微粒子16dの全表面において占める面積の割合は、40%以上80%以下の範囲が好適である。
さらに、MgO微粒子16dの表面における(110)面が、MgO微粒子16dの全表面において占める面積の割合は、10%以上40%以下の範囲が好適である。
(MgO微粒子による紫外光発光の確認)
本発明の前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子を波長173nmの真空紫外光により励起した際に発生する紫外線発光について、実際に測定を行って確認した。図8に、当該実験により測定された発光スペクトルを示す。
当図に示されるように、当該MgO微粒子においては、200nm〜300nmの波長領域において極大ピークの発光強度を有する紫外線の波形が確認できる。なお、当該MgO微粒子においては、波長147nmの真空紫外光により励起した場合でも、同様の紫外線発光が得られることが分かっている。
このような性質を有するMgO微粒子16a〜16dを蛍光体層に配設することにより、PDPパネル中のXeガスから発生した波長147nmや173nmの真空紫外光により、MgO微粒子群16が励起され、波長200〜300nmの紫外光を発光する。これにより、蛍光体層を構成する蛍光体材料が励起され、輝度を向上させることができる。
なお、このような紫外線発光は、従来の気相酸化法で作製されたMgO微粒子ではほとんど確認されないか、相当に低い発光量に止まっている。このため、従来のMgO微粒子を蛍光体層に混在させても蛍光体の可視光発光について有効な作用は期待できない。
(比表面積について)
本発明のMgO微粒子について、MgO前駆体を700℃以上2000℃未満の温度範囲で焼成して作製し、BET値の頻度を測定した。図9にその測定結果を示す。
比表面積(BET値)の測定はBET法に基づき、MgO微粒子の表面に吸着占有面積の分かったガス分子(N2)を吸着させ、その吸着量から求めて行った。
当図に示されるように、本発明のMgO微粒子のBET値は、MgO前駆体の種類や焼成プロファイル、焼成雰囲気等の各条件により若干変化するが、概ね1.0 m2/g以下、2.0m2/gの範囲に収まり、大部分が1.0 m2/g以上1.6 m2/g以下の範囲内に集中する。
一方、気相酸化法で作製されたMgO微粒子は、BET値が7.0 m2/g程度である。
このように、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子は、気相酸化法で作製されたMgO微粒子よりも比表面積が小さい性質を有することが確認できる。この特徴により本発明のMgO微粒子では、放電空間15中の不要ガスと接触する面積が従来よりも低減されるので、ガス吸着量が抑制され、経時的に優れた耐吸着性が発揮されるものと考えられる。
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2について、実施の形態1との差異を中心に説明する。図10は、本実施の形態2に係るPDP1aを示す断面図である。
PDP1aは、フロントパネル2における表面層8の上にMgO微粒子群16Xが配置され、表面層8とMgO微粒子群16Xとの積層構造により保護層17が形成された特徴を有する。MgO微粒子群16Xは、16と同様にMgO微粒子16a〜16dを含んで構成されている。
このような構成を持つPDP1aによれば、PDP1と同様の効果が望めるほか、MgO微粒子群16Xの配設によって、さらに高い初期化輝点の抑制効果と、PDP全体での輝度の向上が期待できる。
すなわち従来のPDPでは、放電空間で放電ガスにより球面波として発生する波長147nmや173nmの真空紫外光は、フロントパネル側のMgOからなる保護層においては実質的に何ら可視光発光に寄与されず、当該保護層に吸収されてしまう。そのため、球面波の真空紫外線のうち、蛍光体層に到達する一部の紫外線のみが蛍光体の可視光発光に供され、フロントパネル側に照射される残余の紫外線は可視光発光にほぼ寄与されずに無駄になっている。
これに対しPDP1aでは、バックパネル9側に配された蛍光体層14中のMgO微粒子群16に加え、さらにフロントパネル2側に配された表面層8上のMgO微粒子群16Xが、球面波として発生する波長147nmや173nmの紫外線発光により無駄なく照射される。このため、蛍光体層14中の蛍光体粒子16a〜16dは、球面波の波長147nmや173nmの紫外線発光により直接励起されるのに加え、当該球面波の紫外線により励起されたバックパネル9側及びフロントパネル2側のMgO微粒子から、比較的長波長である波長200〜300nmの紫外線発光を受けることができるので、効率よく励起される。その結果、蛍光体層14中の蛍光体粒子はその全表面を利用して、豊富に可視光発光を生じる。
さらに、フロントパネル3及びバックパネル9の両方に配されたMgO微粒子16a〜16dは、ともに球面波として発生する紫外線発光を受けることで、放電空間15内に大量の2次電子を放出する。これにより放電空間15では、当該2次電子を利用して良好な規模の放電が形成される。
またMgO微粒子16a〜16dから発光される200〜300nmの紫外光は、放電ガス中のXeガスから発生した147nmや173nmの真空紫外光から発生される紫外光よりも寿命が長い性質がある。このため、MgO微粒子16a〜16dから発生した紫外線が継続的に照射されることで、蛍光体層14中の電子は比較的浅い準位に存在し続け、蛍光体の電子放出特性が向上するといった効果が得られる。
なお、PDP1aのさらなる特徴として、MgO微粒子16a〜16dを用いることで、放電遅れ及び放電遅れの温度依存性、並びに放電遅れの空間電荷依存性の問題についても改善を期待できる。
一般に、PDPの放電遅れの問題は、MgOを含む表面層において、MgO微粒子の結晶中に2次電子放出特性が低い配向面のみが存在する場合に発生しうる。このような好ましくない配向面としては、(100)面が該当すると考えられる。
しかしながらPDP1aでは、表面層8上のMgO微粒子群16Xに、特定2種配向面で囲まれたNaCl結晶構造のMgO微粒子16a、16b、もしくは特定3種配向面で囲まれたNaCl結晶構造のMgO微粒子16c、16d、またはこれらのMgO微粒子16a〜16dを混合して用いるので、放電遅れに関する問題に対しても良好な効果を奏する。
すなわち、PDP1aの駆動時には、まず(100)面及び(111)面の各特性がともに発揮されることによって、低温時(PDPの駆動初期や環境温度が低い地域での使用時)及び常温以上の高温時(駆動開始から一定時間経過後、又は環境温度が高い地域での使用時)の広い温度域にわたり、不純物ガスの吸着が防止され、安定した電子放出特性が維持されるともに、放電空間には豊富な電子が放出される。これにより、「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」の各問題が効果的に抑制される。
さらに、(110)面を備えるMgO微粒子16c、16d固有の特性により、PDP駆動初期において放電開始時に発生する空間電荷のアシストを受けなくても充分な電子放出特性が得られる。このため、維持放電期間において表示電極対6に印加するパルス数(維持パルス数)の大小に関わらず、安定した電子放出が実現される。これは、言い換えると、放電遅れの空間電荷依存性を低減できる効果である。
このようにPDP1aでは、特定2種配向面を持つMgO微粒子を利用することによって、各配向面の特性を活かしつつ、相互に配向面の特性を補完させて、「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」の抑制を行なうことができる。
さらに、特定3種配向面を持つMgO微粒子を利用することによって、各配向面の特性を活かしつつ、相互に配向面の特性を補完させて、「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」に加えて「放電遅れの空間電荷依存性」の抑制も行え、一層良好な画像表示性能の発揮が期待できるものである。
<その他の実施の形態>
以下、その他の実施の形態3、4について、実施の形態1、2との差異を中心に説明する。
図11は、実施の形態3のPDP1bの構成を示す断面図である。PDP1bは、PDP1aとほぼ同様の構成であるが、表面層8を用いず、MgO微粒子16a〜16dからなるMgO微粒子群16Xを誘電体層7の表面に直接配設した点が異なる。
このような構成を持つPDP1bでも、駆動時にはMgO微粒子群16Xにおいて、2次電子放出特性の確保による初期化輝点の発生抑制と、可視光発光の高輝度化、並びに各放電セル毎の放電特性のバラツキの抑制等の各効果について、PDP1aとほぼ同様に奏される。さらに「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」に加えて、「放電遅れの空間電荷依存性」の各抑制効果も期待できる。
また、PDP1bでは、表面層8が無い分、フロントパネル2の可視光透過率が高められ、高い発光輝度を期待することができる。さらに、表面層8を形成するための薄膜形成工程が不要であり、PDPの構成と製造工程の簡略化とともに図る効果も期待できる。
図12は、実施の形態4のPDP1cの構成を示す断面図である。PDP1cは蛍光体層14のバックパネル9側の底面において、MgO微粒子16a〜16dによりMgO微粒子群16Yが形成された特徴を持つ。
このような構成のPDP1cによっても、PDP1と同様の効果が期待できる。また、蛍光体層14ではMgO微粒子群16Yの下地層が配設された構成となるため、蛍光体層14中の蛍光体粒子表面からバックパネル側に可視光発光がなされても、MgO微粒子群16Yによって当該可視光がフロントパネル2側に反射され、有効に画像表示に供されることとなる。その結果、より高い輝度で優れた画像表示性能が発揮されるのを期待できる。
なおPDP1cでは、図12の構成に加え、さらに蛍光体層14の層中にもMgO微粒子16a〜16dを分散させてもよい。
また、PDP1、1a〜1cの各構成は、矛盾しない範囲で互いに組み合わせても良い。
<PDPの製造方法>
次に、各実施の形態におけるPDP1、2の製造方法例について説明する。PDP1、1a〜1cの違いは、主に表面層8及び蛍光体層14周辺の構成にあり、その他の部分の製造工程は共通している。
(MgO微粒子の製造方法)
MgO微粒子16a〜16dを得るためには、一例として、高純度のマグネシウム化合物(MgO前駆体)を高温の酸素含有雰囲気(700℃以上)で均一に熱処理して焼成する。
MgO前駆体に利用できるマグネシウム化合物には、水酸化マグネシウムをはじめ、マグネシウムアルコキシド、マグネシウムアセチルアセトン、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。本発明では、これらの内のいずれか1種以上(2種以上を混合して用いてもよい)を選ぶことができる。選択した化合物によっては、通常、水和物の形態をとることもあるが、このような水和物を用いてもよい。
さらに、MgO前駆体として用いるマグネシウム化合物の純度は99.95%以上が好ましく、99.98%以上が一層好ましい。これはマグネシウム化合物に、アルカリ金属、ホウ素、珪素、鉄、アルミニウム等の不純物元素が多く存在すると、熱処理時(特に焼成温度が高い場合)に、粒子間の融着や焼結が起こり、結晶性の高いMgO微粒子が成長しにくいのに対して、高純度マグネシウム化合物を用いれば、その問題を防ぐことができるからである。
このような高純度のMgO前駆体を酸素含有雰囲気で焼成すると、作製されるMgO微粒子16a〜16dの純度も99.95%以上、あるいは99.98%以上の高純度となる。
次に焼成温度の設定を行なう場合、700℃以上が好ましく1000℃以上が一層好ましい。これは、焼成温度が700℃を下回る温度では、結晶面が十分発達せず欠陥が多くなり、微粒子への不純物ガスの吸着が多くなるためである。ただし、焼成温度が2000℃より高温に達すると、酸素抜けが生じてしまい、結果としてMgOの欠陥が多くなるため吸着が生じる。このため、1800℃以下が好ましい。
ここで、700℃以上2000℃以下の焼成温度条件で焼成を行なった場合、特定2種及び3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a〜16dがともに生成される。本発明者による別の実験により、およそ1500℃以上の温度で焼成を行うと、(110)面が縮小していく傾向がみられることが分かった。したがって、特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16c、16dの生成頻度を上げるためには、700℃以上1500℃未満の焼成温度が好ましい。一方、特定2種配向面で囲まれたMgO微粒子16a、16bの生成頻度を上げるためには、1500℃以上2000℃以下の焼成温度が好ましい。
なお、各MgO微粒子16a〜16dは、選別工程を経ることによって互いに分離することも可能である。
ここで、MgO前駆体としての水酸化マグネシウムを液相方法で作製する工程、及び、その水酸化マグネシウムを用いてMgO微粒子16a〜16dを含む粉体を作製する工程について具体的に説明する。
(1)出発原料として、純度99.95%以上のマグネシウムのアルコキシド(Mg(OR)2)やマグネシウムのアセチルアセトンを準備する。これらを溶かした水溶液に少量の酸を加えて加水分解することによって、MgO前駆体である水酸化マグネシウムのゲルを作製する。そして、当該ゲルを空気中で700℃以上2000℃以下で焼成して脱水することにより、MgO微粒子16a〜16dを含む粉体が作製される。
(2)純度99.95%以上の硝酸マグネシウム(Mg(NO32)を出発原料とし、これを溶かした水溶液を用意する。そして、この水溶液にアルカリ溶液を添加して、水酸化マグネシウムの沈殿物を作製する。次に、水酸化マグネシウムの沈殿物を水溶液から分離し、空気中で700℃以上2000℃以下で焼成して脱水することにより、MgO微粒子16a〜16dを含む粉体が作製される。
(3)純度99.95%以上の塩化マグネシウム(MgCl2)を出発原料とし、これを溶かした水溶液を用意する。そして、この水溶液に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を加えることによって、MgO前駆体である水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を沈殿させる。この沈殿物を水溶液から分離し、空気中で700℃以上2000℃以下で焼成して脱水することにより、MgO微粒子16a〜16dを含む粉体が作製される。
上記した各液相方法(1)〜(3)では、純度99.95%以上の(Mg(OR)2)、(Mg(NO32)あるいは、塩化マグネシウム(MgCl2)水溶液に、酸やアルカリを濃度コントロールしながら添加して加水分解することによって、非常に細かい水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)の沈殿物を作ることができる。この沈殿物を空気中で700℃以上で焼成することによって、Mg(OH)2からH2O(水)が脱離し、MgOの粉体が形成される。この方法で生成されるMgO微粒子16a〜16dを含む粉体は、結晶学的に欠陥が少ないため、炭化水素系ガスの吸着が起こりにくい構成になっている。
ここで、一般に気相酸化法で作製されるMgO微粒子は、粒径に比較的バラツキがある。
このため従来の製造工程では、均一な放電特性を得るために、一定の粒径範囲の粒子を選別する分級工程が必要である(例えば特開2006−147417号公報に記載)。
これに対し本発明では、MgO前駆体を焼成してMgO微粒子を得るが、当該MgO微粒子は、従来よりも粒径が均一で且つ一定の粒径範囲に収まっている。具体的には、本発明で作製されるMgO微粒子のサイズは300nm〜2μmの範囲に収まっている。このため、気相酸化法で作製された結晶よりも比表面積が小さい粒子が得られる。このことは、本発明のMgO微粒子16a〜16dが耐吸着性に優れている一つの要因であり、電子放出性能を向上させていると考えられる。また、これにより本発明では、不要な微粒子を振り分ける分級工程を省略することも可能であり、工程の簡略化により製造効率及びコストの面で非常に有利な面がある。
なお、MgO前駆体であるMg(OH)2は、六方晶系の化合物であり、MgOが取り得る立方晶系の8面体構造とは異なっている。従って、Mg(OH)2が熱分解してMgOの結晶を生成する結晶成長過程は複雑であるが、六方晶系のMg(OH)2の形態を残しながらMgOが形成されるため、結晶面として(100)面及び(111)面、さらに、これらに加えて(110)面が形成されるものと考えられる。
これに対して、気相合成法でMgOを形成する場合は、ある特定面だけが成長しやすい。例えば、不活性ガスが満たされた槽中で、Mg(マグネシウム金属)を高温に加熱しながら酸素ガスを少量流し、Mgを直接酸化させてMgOの粉体を形成する方法では、結晶の成長過程で、Mgが酸素を取り込みながら(100)面のみが表面に現れ、その他の配向面は成長しにくい。
その他のMgO微粒子の製造方法として、水酸化マグネシウムを焼成する方法と同様、MgO前駆体として、マグネシウムのアルコキシド、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等のNaCl型(立方晶系)でないマグネシウム化合物を用いて、直接700℃以上の高温で、熱平衡的に熱分解する工程を実施しても良い。これらの工程によれば、Mg元素に配位している(OR)2基、Cl2基、(NO32基、CO3基、C24基等が脱離する際に、(100)面だけでなく(110)面や(111)面も表面に現れる機構が働くことにより、特定2種配向面又は特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a〜16dを含む粉体が得られる。
(フロントパネル2の作製)
厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるフロントパネルガラス3の面上に、表示電極対6を作製する。ここでは印刷法によって表示電極対6を形成する例を示すが、これ以外にもダイコート法、ブレードコート法等で形成することができる。
まず、ITO、SnO2、ZnO等の透明電極材料を最終厚み約100nmで、ストライプ等所定のパターンでフロントパネルガラス上に塗布し、乾燥させる。これにより透明電極41、51が作製される。
一方、Ag粉末と有機ビヒクルに感光性樹脂(光分解性樹脂)を混合してなる感光性ペーストを調整し、これを前記透明電極41、51の上に重ねて塗布し、形成するバスラインのパターンに合わせた開口部を有するマスクで覆う。そして、当該マスク上から露光し、現像工程を経て、590〜600℃程度の焼成温度で焼成する。これにより透明電極41、51上に最終厚みが数μmのバスライン42、52が形成される。このフォトマスク法によれば、従来は100μmの線幅が限界とされていたスクリーン印刷法に比べ、30μm程度の線幅までバスライン42、52を細線化することが可能である。バスライン42、52の金属材料としては、Agの他にPt、Au、Al、Ni、Cr、また酸化錫、酸化インジウム等を用いることができる。バスライン42、52は上記方法以外にも、蒸着法、スパッタリング法などで電極材料を成膜したのち、エッチング処理して形成することも可能である。
次に、表示電極対6の上から、軟化点が550℃〜600℃の鉛系あるいは非鉛系の低融点ガラスやSiO2材料粉末とブチルカルビトールアセテート等からなる有機バインダーを混合したペーストを塗布する。そして550℃〜650℃程度で焼成し、最終厚みが膜厚数μm〜数十μmの誘電体層7を形成する。
ここで、PDP1、1a、1cを作製する場合は、次に誘電体層の表面に所定の厚みの表面層を成膜する。成膜方法は蒸着法を用い、酸素雰囲気中において、ピアス式電子ビームガンを加熱源として、上記蒸着源を加熱して行う。成膜時の電子ビーム電流量、酸素分圧量、基板温度等は成膜後の表面層の組成に大きな影響を及ぼさないため、任意設定で構わない。なお表面層の成膜方法は、上記EB法に限定するものではなく、その他の方法、例えばスパッタ法、イオンプレーティング法等、各種薄膜法を利用してもよい。
さらに、PDP1a〜1cを作製する場合には、誘電体層7または表面層8の表面にMgO微粒子群16Xを形成する。MgO微粒子16a〜16dを含む溶剤をスクリーン印刷法やスプレー法等により塗布し、その後に溶媒を除去し、十分乾燥させるとMgO微粒子群16Xが形成できる。
以上でフロントパネル2が作製される。
(バックパネルの作製)
厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるバックパネルガラス10の表面上に、スクリーン印刷法によりAgを主成分とする導電体材料を一定間隔でストライプ状に塗布し、厚さ数μm(例えば約5μm)のデータ電極11を形成する。データ電極11の電極材料としては、Ag、Al、Ni、Pt、Cr、Cu、Pd等の金属や、各種金属の炭化物や窒化物等の導電性セラミックスなどの材料やこれらの組み合わせ、あるいはそれらを積層して形成される積層電極も必要に応じて使用できる。
ここで、作製予定のPDP1を40インチクラスのNTSC規格もしくはVGA規格とするためには、隣り合う2つのデータ電極11の間隔を0.4mm程℃以下に設定する。
続いて、データ電極11を形成したバックパネルガラス10の面全体にわたって鉛系あるいは非鉛系の低融点ガラスやSiO2材料からなるガラスペーストを厚さ約20〜30μmで塗布して焼成し、誘電体層12を形成する。
次に、誘電体層12面上に所定のパターンで隔壁13を形成する。この隔壁13は、低融点ガラス材料ペーストを塗布し、サンドブラスト法やフォトリソグラフィ法を用い、隣接放電セル(図示省略)との境界周囲を仕切るように、放電セルの複数個の配列を行および列を仕切る井桁形状のパターンで形成する。
隔壁13が形成できたら、隔壁13の壁面と、隔壁13間で露出している誘電体層12の表面に赤色(R)蛍光体、緑色(G)蛍光体、青色(B)蛍光体のいずれかの蛍光体層14を作製する。
なお、PDP1cを作製する場合は、MgO微粒子を溶媒に分散させてなる分散液を誘電体層12の表面に塗布し、これを乾燥させてMgO微粒子群16Yを配設しておく。
RGB各色蛍光体には次の組成のものが利用できる。
赤色蛍光体;Y23;Eu3+
緑色蛍光体;Zn2SiO4:Mn
青色蛍光体;BaMgAl1017:Eu2+
蛍光体層の形成方法としては、静電塗布法、スプレー法、スクリーン印刷法等、いずれかの公知の方法が採用できる。
このうち静電塗布法を用いる場合は、エチルセルロース、α−ターピネオールをそれぞれ溶媒、溶剤として用い、これに平均粒径2.0μmの蛍光体粉体と粉体とを添加し、サンドミルで混合する。これにより15×10−3Pa・s程度の粘度の蛍光体インクを作製する。この蛍光体インクはサーバー内に投入し、ポンプにて径60μmのノズルから噴射させ、隣接する隔壁間に塗布する。このとき、パネルを隔壁13の長手方向に移動させ、ストライプ状に蛍光体インクを塗布する。塗布終了後は蛍光体インクを500℃で10分間焼成し、溶媒・溶剤を除去する。これによりMgO微粒子群16Xが層中に分散された蛍光体層14が形成される。
また、蛍光体層の表面140にMgO微粒子を配設する場合には、MgO微粒子を溶媒に分散させてなる分散液を作製し、これを静電塗布法、スプレー法、スクリーン印刷法等で散布させた後、乾燥させて定着させることにより形成できる。
(PDPの完成)
作製したフロントパネル2とバックパネル9を、封着用ガラスを用いて貼り合わせる。その後、放電空間15の内部を高真空(1.0×10−4Pa)程度に排気し、大気や不純物ガスを取り除く。そして当該内部に所定の圧力(ここでは66.5kPa〜101kPa)でNe−Xe系やHe−Ne−Xe系、Ne−Xe−Ar系等のXe混合ガスを放電ガスとして封入する。混合ガス中のXe濃度は15%〜100%とする。
以上の工程を経ることにより、PDP1、1a〜1cが完成する。
なお、上記方法例ではフロントパネルガラス3およびバックパネルガラス10をソーダライムガラスからなるものとしたが、これは材料の一例として挙げたものであって、これ以外の材料で構成してもよい。
<性能評価実験>
次に、本発明の実施例を比較例とともに作製して、本発明の性能評価試験を行った。その結果について以下に示す。なお、当然ながら実施例の構成及び性能評価試験の方法は、本発明を何ら限定するものではない。
[実験1]
気相酸化法及び前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子を量を変えて蛍光体成分と組み合わせ、蛍光体層として配設したPDPを駆動することにより、MgO微粒子の重量濃度と輝度変化の関係について調べた。蛍光体には一般的な蛍光特性を有する青色蛍光体のBaMgAl1017:Euを用いた。MgO微粒子としては、水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃及び1000℃で焼成することにより作製した実施例のMgO微粒子1、2を用意し、気相酸化法により作製した比較例のMgO微粒子3を用意した。用意したMgO微粒子1〜3の各BET値は、同順に1.0m2/g、2.0m2/g、7.1m2/gであった。
当該実験の結果を図13に示す。当図に示されるように、MgO微粒子3では混合量が増すにつれて輝度が急激に減少し、蛍光体層全体における重量濃度が10wt%に達すると、輝度が8割程度まで低下することが確認できる。これは、蛍光体から発光される可視光が、MgO微粒子により遮蔽または乱反射され、結果として良好にフロントパネル側から取り出すことができなくなり、輝度が減少するためと考えられる。
また、気相酸化法で作製されたMgO微粒子3は、粒径のバラツキが比較的大きく、微視的には粒径が大きい結晶粒子の周囲に、粒径の小さい微細粒子が多数存在しているため、BET値が大きい。このようなMgO微粒子を用いると、不要な可視光の散乱が生じ、画像表示性能に悪影響が生じるおそれがある。
これに対して、MgO微粒子1及び2では、BET値がそれぞれ1.0m2/g、2.0m2/gに低く調整され、蛍光体層全体における重量濃度が10wt%程度に達しても、輝度劣化はMgO微粒子3に比べてそれほど見られなかった。これは、MgO微粒子1及び2では、蛍光体から球面状に発光される可視光が、蛍光体層の空隙に存在するBET値の小さいMgO微粒子によって良好に反射され、その際に乱反射も防止されるので、MgO微粒子3に比べて輝度低下の要因が補填されたものと考えられる。この可視光の反射の効果は、BET値が小さいほど大きく、また、蛍光体からの可視光の乱反射もBET値が小さいほど抑えられることが分かっている。
また、BET値が1.0m2/gであるMgO微粒子1の場合では、MgO微粒子の重量濃度とともに輝度が上昇し、グラフでは5wt%程度の時に輝度が最大になる。従って、実際の輝度の最大値は、5wt%以上10wt%以下の範囲内に収まっていると考えられる。このようにMgO微粒子1及び2ではMgO微粒子の重量濃度が増しても輝度が低下しにくいが、これは当該微粒子が放電空間から受ける波長147nm或いは173nmの紫外線により励起され、微粒子自身も波長200〜300nm紫外線を発光するため、これに取り囲まれた蛍光体粒子が良好に可視光発光し、一層の輝度向上にかかる効果が得られたのが要因と考えられる。
なお、気相酸化法で作製されたMgO微粒子(MgO微粒子3)は、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子(MgO微粒子1、2)に比べて2次電子放出が小さい。その結果、初期化輝点の発生を効果的に防止し、所望の効果を得る為には、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子よりも多量に蛍光体層に配設しなければならない。しかし、気相酸化法で作製されたMgO微粒子では、上記グラフに示されたように、MgO微粒子の重量濃度が増えると輝度が減小する問題が生じる。従って、初期化輝点の発生を防止するとともに、輝度の向上を両立して図るためには、本発明のように前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子を用いることが望ましい。
[実験2]
次に、実施例及び比較例のサンプル1〜8のPDPを用意し、初期化輝点の発生率と輝度を調べた。サンプル2〜4(実施例1〜3)は実施の形態1のPDP1に準じて作製し、サンプル6〜8(実施例4〜6)は実施の形態2のPDP1aの構成に準じて作製した。
初期化輝点の発生率は、画像処理でRGBに分解し、単位面積当たりの発光面積を算出することで測定した。まず、各サンプルのPDPに初期化輝点を発生させ、画像としてPCに取り込み、RGBに分解する。そして、RGBに分解された画像において発光強度の閾値を決め、その閾値を越えるかどうかで発光の有無を決定し、単位面積あたりに発光している部分の面積で、初期化輝点の発生率を算出した。
輝度の測定は、各サンプルのPDPを放電維持電圧180V、周波数200kHzで駆動し、輝度計を用いて測定した。
各サンプルは以下のように調整した。
サンプル1(比較例1):最も基本的なPDPの従来構成として、バックパネル側の蛍光体にも、フロントパネル側の誘電体層にもMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル2(実施例1):バックパネル側の蛍光体層には、0.5wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層にはMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル3(実施例2):バックパネル側の蛍光体層には、2wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層にはMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル4(実施例3);バックパネル側の蛍光体層には、10wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層にはMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル5(比較例2):バックパネル側の蛍光体層にはMgO微粒子を配設せず、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設した構成とした。
サンプル6(実施例4):バックパネル側の蛍光体層には、0.5wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設する構造とした。
サンプル7(実施例5):バックパネル側の蛍光体層には、2wt%の割合で水酸化マグネしウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設する構造とした。
サンプル8(実施例6):バックパネル側の蛍光体層には、10wt%の割合で水酸化マグネしウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設する構造とした。
上記の条件で行った各サンプルPDPついて、初期化輝点の発生頻度に関する測定結果を図14、輝度に関する測定結果を図15にそれぞれ示す。この図14及び図15は、いずれもサンプル1の測定値に対する比較値としてグラフ化したものである。
図14に示す結果から、実施の形態1に相当する構成のサンプル2、3、4(実施例1、2、3)では、サンプル1(比較例1)に比べて初期化輝点の発生頻度が減少しており、PDPとして特に優れた性能を有することが確認できた。これは、蛍光体成分と前駆体焼成法で作製したMgO微粒子とを組み合わせることで、蛍光体層全体における2次電子放出係数γを従来よりも飛躍的に増大できたためと考えられる。さらに、蛍光体層中のMgO微粒子の重量濃度が増加するに従い、初期化輝点の発生頻度が顕著に減少することが分かった。
一方、図15に示す結果から、実施の形態1の構成に相当するサンプル2、3、4(実施例1、2、3)では、サンプル1(比較例1)に比べて輝度が高くなっており、PDPとして特に優れた画像表示性能が発揮されているのが確認できる。なお当該実験結果では、蛍光体層におけるMgO微粒子の重量濃度が2wt%の場合に最も高い輝度が得られる結果となった。
さらに、実施の形態2に相当する構成のサンプル6、7、8(実施例4、5、6)においても、サンプル5(比較例2)に比べて初期化輝点の発生頻度が減少しており、良好な特性を有することが確認できた(図14)。またサンプル6、7、8(実施例4、5、6)は、サンプル2、3、4(実施例1、2、3)と比較すると、初期化輝点の改善と輝度の向上ついて、一層の良好な性能を有することが確認できた(図14、図15)。
このように各実施例では、比較例とは異なり、前駆体焼成法により形成されたMgO微粒子が蛍光体成分と混在している。このため、蛍光体は放電ガス中で生じる紫外線の他に、前記MgO微粒子によっても紫外線励起されるので、可視光発光を効率的に生ずることができ、高い輝度での発光が可能となっている。また、各実施例では、蛍光体により一旦生じた可視光発光が、前記MgO微粒子により良好にフロントパネル側に反射され、画像表示に供されるようになっていることも、優れた輝度が得られる要因と思われる。
なお、蛍光体層中のMgO微粒子の重量濃度が増大すると、当該MgO微粒子によって蛍光体粒子で発生した可視光の遮光効果が大きくなる。従ってMgO微粒子を蛍光体層に添加する場合は、単にその重量濃度を多く設定して輝度向上の効果を図ろうとするのではなく、可視光の遮光効果も想定した上で最大輝度が得られるように、これら2つの効果の兼ね合いにより調整すべきである。
以上の各実験結果から、本願発明の優位性が確認された。
<その他の事項>
上記各実施の形態におけるPDPでは、MgO微粒子として16a〜16dを用いる例を示したが、本発明はこれら4種のMgO微粒子の全てを同時に用いる必要はない。このため、前述したMgO微粒子16a〜16d、16a1、16a2、16b1、16b2、16c1、16d1の内の1種以上を用いればよい。
本発明のPDPは、特に高精細画像表示を低電圧で駆動できるがガス放電パネル技術として、交通機関及び公共施設、家庭などにおけるテレビジョン装置及びコンピュータ用の表示装置等に利用することが可能である。
また本発明では、Xe分圧の高い構成や微細セル構成の場合でも初期化輝点の発生が抑制されるので、画質が温度環境に影響されにくい高画質なディスプレイとして利用することができる。
本発明は、各種ディスプレイに用いられるプラズマディスプレイパネルとその製造方法に関する。
近年、ハイビジョンやHD−TVをはじめとする高精細、高品位で大画面のテレビに期待が高まっている中で、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、以下、「PDP」という。)表示装置は、大型で薄型軽量を実現できるカラー表示デバイスとして注目されている。
図16は、一般的なAC型PDPの放電単位である、放電セルの構造を示す模式的な組図である。図16に示すPDP1xは、フロントパネル2及びバックパネル9を互いに貼り合わせて構成される。フロントパネル2は、フロントパネルガラス3の片面に、走査電極5及び維持電極4を一対とする表示電極対6が複数対にわたり併設され、当該表示電極対6を覆うように、誘電体層7および保護層8が順次積層されている。走査電極5、維持電極4は、それぞれ透明電極51、41及びバスライン52、42を積層して構成される。
誘電体層7は、ガラス軟化点が550℃〜600℃程度の範囲の低融点ガラスから形成され、AC型PDP特有の電流制限機能を有する。
表面層8は、駆動時に放電空間15で発生するプラズマ放電のイオン衝突から上記誘電体層7及び表示電極対6を保護すると共に、放電空間15に2次電子を効率よく放出し、放電開始電圧を低下させる役目をなす。通常、当該表面層8は2次電子放出特性、耐スパッタ性、光学透明性に優れる酸化マグネシウム(MgO)の材料で構成され、真空蒸着法や印刷法で厚み0.5μm〜1μm程度で成膜される。なお、表面層8と同様の構成は、誘電体層7及び表示電極対6を保護する他に、2次電子放出特性の確保を目的とした保護層として設けられることもある。
他方、バックパネル9は、バックパネルガラス10上に画像データを書き込むための複数のデータ(アドレス)電極11が前記フロントパネル2の表示電極対6と直交方向で交差するように併設される。バックパネルガラス10には、データ電極11を覆うように低融点ガラスからなる誘電体層12が配設される。誘電体層12において隣接する放電セル(図示省略)との境界上には、低融点ガラスからなる所定の高さの隔壁(リブ)13が放電空間15を区画するように、井桁状等のパターン部1231、1232を組み合わせて形成される。誘電体層12表面と隔壁13の側面には、R、G、B各色のいずれかの色の蛍光体材料を含む蛍光体インクが塗布され、焼成されることで、蛍光体層14(蛍光体層14R、14G、14B)が形成されている。
フロントパネル2とバックパネル9は、表示電極対6とデータ電極11とが放電空間15をおいて互いに直交するように配置され、その両パネルの周囲で封着される。この際に内部封止された放電空間15には、放電ガスとしてXe−Ne系あるいはXe−He系等の希ガスが約数十kPaの圧力で封入される。以上でPDP1xが構成される。
このPDP1xの駆動方法としては、1フィールドの映像を複数のサブフィールド(S.F.)に分割する階調表現方式(例えばフィールド内時分割表示方式)が用いられる。
ここで、従来のPDPにおいては以下の課題が存在する。
第一の問題として、初期化輝点の発生の問題がある。
従来、PDPでは各サブフィールドの初期化期間において、全表示セルを初期化してコントラスト比を向上させるために、弱放電(初期化放電)と呼ばれる弱い小さな放電を安定的に行う必要がある。このためPDPでは通常、電圧−時間推移がゆるやかに傾斜して上下するランプ波形を、フロントパネル側の走査電極とバックパネル側のデータ電極との間に印加し、小さな放電電流を定常的に流すことにより、弱放電が安定化するように調節される。
しかし、初期化期間の上りランプ波形印加時における放電は、バックパネル側のデータ電極あるいは2次電子放出係数が小さい蛍光体側がカソードとなる放電であるので、放電開始電圧が高くなりやすい。このため、時として弱放電の発生が不安定となり、強放電が発生しうる。強放電は、映像に無関係な誤発光(初期化輝点)となり、画面上で点状や線状の不要な輝点として発生し、画像表示性能を著しく低下させる原因となる。
また、PDPでは輝度向上を図る目的で、放電ガス組成中のXe濃度を高める対策がなされる場合がある。しかし、このようにXe濃度が高くなると、初期化輝点が生じやすくなる問題もある。
第二の問題として、PDPにおける各色の放電セルが、互いの2次電子放出特性においてバラツキを生じる問題がある。
すなわち従来のPDPにおいては、組成が異なるR、G、Bのいずれかの色の蛍光体材料を各色蛍光体層毎に用いているため、色の異なる放電セル同士で、各蛍光体材料の2次電子放出特性による放電特性のバラツキが存在する。このようなバラツキは、パネル全体での画像表示特性に悪影響を及ぼしうるので、これを改善すべき問題がある。
第三の問題として、PDPの駆動時に、放電ガスから発生する真空紫外光の一部がMgO層に吸収されてしまい、輝度向上が図りにくい問題がある。
すなわち、MgOからなる保護層を持つPDPでは、駆動時にNe−Xe系等の放電ガスから発生する147nmや173nmの真空紫外光が、放電空間内において球面波として発光する。このような球面波のうち、バックパネル側に配設された蛍光体層に達する真空紫外光は、当該蛍光体層中の蛍光体成分により可視光発光に供されるが、蛍光体層以外に照射される真空紫外光を可視光発光の発生に寄与させることができれば、効率の良い可視光発光の発生を促進して輝度の向上が期待できる。しかし、フロントパネル側で放電空間に広く面する前記保護層では、主として蛍光体層とは無関係に真空紫外光が吸収されてしまう。この結果、フロントパネル側に照射される真空紫外光は、実質的に蛍光体層において、可視光発光に寄与することができない問題がある。
初期化輝点の対策には、蛍光体層に、蛍光体層を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い粒子状の粉体を付着させ、初期化輝点の発生を改善する試みがなされている(特許文献1)。その他、誘電体層上や真空蒸着方法やスパッタ法で成膜したMgO膜上に、気相酸化法で作製したMgO微粒子を塗布して、MgO微粒子から放射される紫外線で蛍光体層を可視光発光させ、輝度を向上させる試みがある(特許文献2)。
WO06/038654号公報 特開2006−59786号公報
しかしながら、上記いずれの従来技術によっても、実際に初期化輝点の発生を有効に抑制できるとは言い難く、この問題を効果的に達成するのは困難である。
また、初期化輝点の発生を抑制するとともに、輝度向上を図り、且つ、各色放電セル間における放電特性のバラツキをも解消することは、優れた画像表示性能を持つPDPを得る上で重要であるが、非常に実現が困難であるとされている。
このように現状のPDPでは、未だいくつかの解決すべき余地が存在する。
本発明は、以上の課題に鑑みなされたものであって、第一の目的として、蛍光体層を改質して初期化輝点の発生を抑制するとともに、各色の放電セル間における放電特性バラツキを解消し、優れた画像表示性能の発揮が期待できるプラズマディスプレイパネルとその製造方法を提供する。
また、第二の目的として、上記課題解決に加え、フロントパネル側でも放電空間で発生した紫外線発光を利用して、可視光発光の発生を促進し、輝度の向上が期待できるプラズマディスプレイパネルとその製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、片面に蛍光体層が形成された第一基板が、前記片面において、放電空間を介して第二基板と対向に配置され、第一基板及び第二基板の周囲が封着されたプラズマディスプレイパネルであって、蛍光体層は、蛍光体成分と、(100)面及び(111)面とで囲まれた結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群とを含んでなり、酸化マグネシウム微粒子群が蛍光体層における、当該層内部または放電空間に臨む表面、或いは背面基板側の当該層底部、の少なくとも何れかの領域に配設された構成とした。
ここで、第二基板の片面には、放電空間に臨む表面領域に、前記酸化マグネシウム微粒子と同一の結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群を配設することもできる。
また、第二基板の前記片面には、複数の電極と、当該複数の電極を覆うように誘電体層とが配設され、前記酸化マグネシウム微粒子群は、前記誘電体層表面に対して直接、または保護層を介して配設された構成とすることもできる。
なお、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面を有する構成とすることができる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面を有する構成とすることができる。
また、酸化マグネシウム微粒子は、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面を有する構成とすることができる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面を有する構成とすることができる。
また、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、(100)面に相当する6面及び(111)面に相当する8面を持つ14面体とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面を持つ構成とすることができる。或いは、この場合の酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面を持つ構成とすることも可能である。
さらに本発明は、片面に蛍光体層が形成された第一基板が、前記方面において、放電空間を介して第二基板と対向に配置され、第一基板及び第二基板の周囲が封着されたプラズマディスプレイパネルであって、蛍光体層は、蛍光体成分と、(100)面、(110)面、(111)面とで囲まれた結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群とを含んでなり、酸化マグネシウム微粒子群が蛍光体層における、当該層内部または放電空間に臨む表面、或いは背面基板側の当該層底部、の少なくとも何れかの領域に配設された構成とした。
ここで、第二基板の片面には、放電空間に臨む表面領域に、前記酸化マグネシウム微粒子と同一の結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群を配設することもできる。
また、第二基板の前記片面には、複数の電極と、当該複数の電極を覆うように誘電体層とが配設され、前記酸化マグネシウム微粒子群は、前記誘電体層表面に対して直接、または保護層を介して配設された構成とすることもできる。
ここで、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面と、少なくとも1つの斜方面とを有する構成とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面、斜方面に(110)面を持つ構成とすることもできる。
或いは、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面と、少なくとも1つの斜方面とを有する構成とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面、斜方面に(110)面を持つ構成とすることもできる。
また、本発明の酸化マグネシウム微粒子は、(100)面に相当する6面及び(110)面に相当する12面、並びに(111)面に相当する8面を持つ26面体の構成とすることもできる。この場合、酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、斜方面に(110)面、切頂面に(100)面を持つ構成とすることができる。或いは、この場合の酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、斜方面に(110)面、切頂面に(111)面を持つ構成とすることもできる。
なお、本発明におけるMgO微粒子は、MgO前駆体の焼成生成物として構成することが望ましい。また当該MgO微粒子は、一次粒子の粒径が300nm以上が好適である。さらにBET値については2.0m2以下が理想的である。
以上の構成を持つ本発明のPDPでは、駆動時において、放電空間で発生した紫外線が蛍光体層に到達すると、蛍光体粒子の間隙に充填された特定配向面を有するMgO微粒子が当該紫外線を受け、優れた2次電子放出特性を発揮する。これにより、初期化期間では、蛍光体層から放電空間に向けて豊富な2次電子が放出され、弱放電がスムーズに発生する。これにより理想的な弱放電がなされ、不要な強放電(初期化輝点)の発生を抑制することができる。
また、本発明のMgO微粒子は放電に伴って紫外線発光するので、蛍光体は放電空間で生じた紫外線照射に加え、蛍光体層中のMgO微粒子による紫外線照射によっても励起され、効率よく可視光発光を生じることができる。ここで蛍光体層中では、蛍光体粒子の周囲を囲繞するMgO微粒子によって、蛍光体粒子をその周囲から効率よく励起でき、且つ乱反射を防いで適切に可視光を反射できるので、高輝度の可視光発光が期待できる。
さらに、本発明におけるMgO微粒子は蛍光体に比して十分に高い2次電子放出特性を有するため、これを蛍光体層に配設することで、各色蛍光体層の各蛍光体成分に起因する放電特性のバラツキを相対的に小さくできる。その結果、PDP全体の各色放電セル間で放電特性を揃えることができ、安定した画像表示性能が発揮される。
また、本発明ではさらに、フロントパネル(第二基板)側にMgO微粒子群を配設することにより、蛍光体層中の蛍光体は、放電空間で発生する球面波の紫外線照射により直接励起されるのに加え、当該球面波の紫外線照射により励起されたバックパネル側及びフロントパネル側のMgO微粒子からも紫外線発光を受けるので、いっそう効率よく励起される。その結果、蛍光体層では豊富な可視光発光が発生し、且つ、高い輝度で良好な画像表示性能が発揮されることとなる。
なお、本発明の前記MgO微粒子群の説明において、前記MgO微粒子群に特定の配向面を持つMgO微粒子を「含む」とは、MgO微粒子群には前記MgO微粒子以外の結晶構造を有するMgO微粒子も含まれることを意味するものである。ここで本発明のMgO微粒子がMgO微粒子群に含まれる比率が高いほど、本発明の高い効果が得られると考えられる。
本発明の実施の形態1に係るPDPの構成を示す断面図である。 各電極とドライバとの関係を示す模式図である。 PDPの駆動波形例を示す図である。 MgO微粒子の形状を示す図である。 MgO微粒子のバリエーションの形状を示す図である。 MgO微粒子の形状を示す写真である。 MgO微粒子の発光波長と発光強度の関係を示すグラフである。 MgO微粒子のCL測定波形を示すグラフである。 MgO微粒子のBET値と頻度との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係るPDPの構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態3に係るPDPの構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態4に係るPDPの構成を示す断面図である。 蛍光体層全体におけるMgO重量濃度と、輝度との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例のPDPの初期化輝点の発生の有無を示すグラフである。 実施例及び比較例のPDPの輝度を示すグラフである。 従来の一般的なPDPの構成を示す組図である。
以下に、本発明の各実施の形態及び実施例を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施の形態1>
(PDPの構成例)
図1は、本発明の実施の形態1に係るPDP1のxz平面に沿った模式的な断面図である。当該PDP1は保護層周辺の構成を除き、全体的には従来構成(前述の図16)と同様である。
なお、図1では説明のため、蛍光体層14の内部に配設されるMgO微粒子群16の粒径を、実際よりも大きく、模式的に表している。
PDP1は、ここでは42インチクラスのNTSC仕様例のAC型としているが、本発明は当然ながらXGAやSXGA等、この他の仕様例に適用してもよい。HD(High Definition)以上の解像度を有する高精細なPDPとしては、例えば、次の規格を例示できる。パネルサイズが37、42、50インチの各サイズの場合、同順に1024×720(画素数)、1024×768(画素数)、1366×768(画素数)に設定できる。そのほか、当該HDパネルよりもさらに高解像度のパネルを含めることができる。HD以上の解像度を有するパネルとしては、1920×1080(画素数)を備えるフルHDパネルを含めることができる。
図1に示すように、PDP1の構成は互いに主面を対向させて配設された第一基板(バックパネル9)および第二基板(フロントパネル2)に大別される。
フロントパネル2の基板となるフロントパネルガラス3には、その一方の主面に所定の放電ギャップ(75μm)をおいて配設された一対の表示電極対6(走査電極5、維持電極4)が複数対にわたり形成されている。各表示電極対6は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)等の透明導電性材料からなる帯状の透明電極51、41(厚さ0.1μm、幅150μm)に対して、Ag厚膜(厚み2μm〜10μm)、Al薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等からなるバスライン52、42(厚さ7μm、幅95μm)が積層されてなる。このバスライン52、42によって透明電極51、41のシート抵抗が下げられる。
ここで「厚膜」とは、導電性材料を含むペースト等を塗布した後に焼成して形成する各種厚膜法により形成される膜をいう。また、「薄膜」とは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子線蒸着法等を含む、真空プロセスを用いた各種薄膜法により形成される膜をいう。
表示電極対6を配設したフロントパネルガラス3には、その主面全体にわたり、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi23)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み35μm)の誘電体層7が、スクリーン印刷法等によって形成されている。
誘電体層7は、AC型PDP特有の電流制限機能を有し、DC型PDPに比べて長寿命化を実現する要素になっている。
誘電体層7の放電空間15側の面には表面層8が配設される。表面層8は、放電時のイオン衝撃から誘電体層7を保護し、放電開始電圧を低減させる目的で配される薄膜であって、耐スパッタ性及び2次電子放出係数γに優れるMgO材料からなり、誘電体層7上に真空蒸着法、イオンプレーティング法等公知の薄膜形成法で厚さ約1μmの範囲で成膜される。なお、表面層8の材料はMgOに限らず、MgO、CaO、BaO及びSrOの群より選ばれた少なくとも一つの金属酸化物を含むように構成することもできる。
バックパネル9の基板となるバックパネルガラス10には、その一方の主面に、Ag厚膜(厚み2μm〜10μm)、Al薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等のいずれかからなるデータ電極11が、幅100μmで、x方向を長手方向としてy方向に一定間隔毎(360μm)でストライプ状に並設される。そして、各々のデータ電極11を内包するように、バックパネルガラス9の全面にわたって、厚さ30μmの誘電体層12が配設されている。
誘電体層12の上には、さらに隣接するデータ電極11の間隙に合わせて井桁状の隔壁13(高さ約110μm、幅40μm)が配設され、放電セルが区画されることで誤放電や光学的クロストークの発生を防ぐ役割をしている。
隣接する2つの隔壁13の側面とその間の誘電体層12の面上には、カラー表示のための赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの色に対応する蛍光体層14が形成されている。各種蛍光体の組成は、青色蛍光体(B)には、既知のBAM:Eu、赤色蛍光体(R)には(Y,Gd)BO3:EuやY23:Eu等、緑色蛍光体(G)にはZn2SiO4:Mn、YBO3:Tbおよび(Y,Gd)BO3:Tb等が利用できる。
蛍光体層14は上記蛍光体成分と、当該蛍光体層に主として2次電子放出特性を付与するために層の内部及び放電空間15に臨む表面140に露出するようにMgO微粒子群16が含まれている。ここで本実施の形態の特徴として、MgO微粒子群16は、(100)面及び(111)面からなる特定2種配向面、又は(100)面、(110)面、(111)面からなる特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有する各MgO微粒子16a〜16dが含まれてなる(図4(a)〜(d))。このMgO微粒子16a〜16dについては詳細を後述する。
なお、誘電体層12は必須ではなく、データ電極11を直接蛍光体層14で内包するようにしてもよい。
フロントパネル2とバックパネル9は、データ電極11と表示電極対6の互いの長手方向が直交するように対向配置され、両パネル2、9の外周縁部がガラスフリットで封着されている。この両パネル2、9間にはHe、Xe、Ne等を含む不活性ガス成分からなる放電ガスが所定圧力で封入される。
隔壁13の間は放電空間15であり、隣り合う一対の表示電極対6と1本のデータ電極11が放電空間15を挟んで交叉する領域が、画像表示にかかる放電セル(「サブピクセル」とも言う)に対応する。放電セルピッチはx方向が675μm、y方向が300μmである。隣り合うRGBの各色に対応する3つの放電セルで1画素(675μm×900μm)が構成される。
走査電極5、維持電極4及びデータ電極11の各々には、図2に示すようにパネルxy方向端部付近において、駆動回路として走査電極ドライバ111、維持電極ドライバ112、データ電極ドライバ113が電気的に接続される。ここで、維持電極4は一括して維持電極ドライバ112に接続され、各走査電極5と各データ電極11は、それぞれ独立して走査電極ドライバ111或いはデータ電極ドライバ113に接続される。
(PDPの駆動例)
上記構成のPDP1は、駆動時には各ドライバ111〜113を含む公知の駆動回路(不図示)によって、各表示電極対6の間隙に数十kHz〜数百kHzのAC電圧が印加される。これにより任意の放電セル内で放電が発生し、励起Xe原子による波長147nm主体の共鳴線と励起Xe分子による波長173nm主体の分子線を含む紫外線(図1の点線及び矢印)が蛍光体層14に照射される。蛍光体層14は励起されて可視光発光する。そして当該可視光はフロントパネル2を透過して前面に発光される。
この駆動方法の一例としては、フィールド内時分割階調表示方式が採られる。当該方式は、表示するフィールドを複数のサブフィールド(S.F.)に分け、各サブフィールドをさらに複数の期間に分ける。1サブフィールドは更に、(1)全放電セルを初期化状態にする初期化期間、(2)各放電セルをアドレスし、各放電セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していく書込期間、(3)表示状態にある放電セルを表示発光させる維持期間、(4)維持放電により形成された壁電荷を消去する消去期間という4つの期間に分割されてなる。
各サブフィールドでは、初期化期間で画面全体の壁電荷を初期化パルスでリセットした後、書込期間で点灯すべき放電セルのみに壁電荷を蓄積させる書込放電を行い、その後の放電維持期間ですべての放電セルに対して一斉に交流電圧(維持電圧)を印加することによって一定時間放電維持することで発光表示する。
ここで図3は、フィールド中の第m番目のサブフィールドにおける駆動波形例である。図3が示すように、各サブフィールドには、初期化期間、アドレス期間、維持期間、消去期間がそれぞれ割り当てられる。
初期化期間とは、それ以前の放電セルの点灯による影響(蓄積された壁電荷による影響)を防ぐため、画面全体の壁電荷の消去(初期化放電)を行う期間である。図3に示す駆動波形例では、走査電極5にデータ電極11および維持電極4に比べて高い電圧(初期化パルス)を印加し放電セル内の気体を放電させる。それによって発生した電荷はデータ電極11、走査電極5および維持電極4間の電位差を打ち消すように放電セルの壁面に蓄積されるので、走査電極5付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、負の電荷が壁電荷として蓄積される。またデータ電極11付近の蛍光体層14表面および維持電極4付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、正の電荷が壁電荷として蓄積される。この壁電荷により、走査電極5―データ電極11間、走査電極5―維持電極4間に所定の値の壁電位が生じる。
アドレス期間(書込期間)は、サブフィールドに分割された画像信号に基づいて選択された放電セルのアドレッシング(点灯/不点灯の設定)を行う期間である。当該期間では、放電セルを点灯させる場合には走査電極5にデータ電極11および維持電極4に比べ低い電圧(走査パルス)を印加させる。すなわち、走査電極5―データ電極11には前記壁電位と同方向に電圧を印加させると共に走査電極5―維持電極4間に壁電位と同方向にデータパルスを印加させ、アドレス放電(書込放電)を生じさせる。これにより蛍光体層14表面、維持電極4付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、負の電荷が蓄積され、走査電極5付近の表面層8及びMgO微粒子群16の表面には、正の電荷が壁電荷として蓄積される。以上で維持電極4―走査電極5間には所定の値の壁電位が生じる。
維持期間は、階調に応じた輝度を確保するために、書込放電により設定された点灯状態を拡大して放電を維持する期間である。ここでは、上記壁電荷が存在する放電セルで、一対の走査電極5および維持電極4の各々に維持放電のための電圧パルス(例えば約200Vの矩形波電圧)を互いに異なる位相で印加する。これにより表示状態が書き込まれた放電セルに対し電圧極性の変化毎にパルス放電を発生せしめる。
この維持放電により、放電空間15における励起Xe原子からは147nmの共鳴線が放射され、励起Xe分子からは173nm主体の分子線が放射される。この共鳴線・分子線が蛍光体層14表面に照射され、可視光発光による表示発光がなされる。そして、RGB各色ごとのサブフィールド単位の組み合わせにより、多色・多階調表示がなされる。なお、表面層8に壁電荷が書き込まれていない非放電セルでは、維持放電が発生せず表示状態は黒表示となる。
消去期間では、走査電極5に漸減型の消去パルスを印加し、これによって壁電荷を消去させる。
(MgO微粒子の構成)
図4は、MgO微粒子群16に含まれる各MgO微粒子の形状を示す模式図である。MgO微粒子群16は、MgO前駆体を焼成して得られる、主として4種の形状の粒子16a、16b、16c、16dを含んでなる。
粒子16a、16bは、図4(a)、(b)に示すように、それぞれ(100)面及び(111)面の2面からなる特定2種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有する。
粒子16c、16dは、図4(c)、(d)に示すように、それぞれ(100)面、(110)面、(111)面の3面からなる特定3種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有する。
ここで、図6(a)〜(d)は、それぞれ実際に作製されたMgO微粒子16a、16b、16cの形状と、従来例として、気相酸化法で作製したMgO微粒子の形状を順次に示す電子顕微鏡写真である。当図に示されるように、先の図4に示した各粒子16a、16b、16c、16dの各形状は、一例にすぎず、実際には図示された形状に比べて若干歪んだ形状を持つ粒子が含まれる。
図4(a)に示すMgO微粒子16aは、6面体を基本構造とし、その各頂点が切除されたことにより切頂面82aが形成された14面体である。6面存在する8角形状の主要面81aが(100)面に相当し、8面存在する3角形状の切頂面82aが(111)面に相当する。
次に、図4(b)に示すMgO微粒子16bは、8面体を基本構造とし、その各頂点が切除されたことにより切頂面81bが形成された14面体である。8面存在する6角形状の主要面82bが(111)面に相当し、6面存在する4角形状の切頂面81bが(100)面に相当する。
ここで主要面とは、上記6面体または8面体の中で同一ミラー指数を持つ面の面積の総和が最も大きいミラー指数を持つ面をいう。また切頂面とは、多面体の頂点が切除されたことにより形成された面をいう。
ここで、図4では一例として、MgO微粒子16aでは当該粒子全体の面積に対して(100)面が占める割合を50%以上98%以下としている。一方、MgO微粒子16bでは前記割合を30%以上50%以下としている。
また、図4(c)に示すMgO微粒子16cは、16bにおいて隣接する(111)面の境界が切除されることにより、斜方面83cが形成された26面体である。これによりMgO微粒子16cでは、6面存在する8角形状の(100)面からなる切頂面81cと、8面存在する6角形状の(111)面からなる主要面82cと、12面存在する4角形状の(110)面からなる斜方面83cとを有する26面体となっている。
また、図4(d)に示すMgO微粒子16dは、16aにおいて隣接する(100)面の境界が切除されることにより、斜方面83dが形成された26面体である。これにより、MgO微粒子16dでは、6面存在する8角形状の(100)面からなる主要面81d、8面存在する6角形状の(111)面からなる切頂面82dと、12面存在する4角形状の(110)面からなる斜方面83dとを有する26面体となっている。なお、焼成条件によっては、(100)面もしくは(110)面が占める面積が肥大する場合があり、このとき、(100)面もしくは(110)面が主要面となる。
ここで「斜方面」とは、26面体において、2つの頂点を結ぶ線である辺が切除されたことにより形成された面をいう。
図5は、上記MgO微粒子16a〜16dのバリエーションの形状を示す図である。
MgO微粒子16aは、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されていればよい。例えば、図5(a)に示すMgO微粒子16a1のように、切頂面が1つだけ存在する構造や、図5(b)に示すMgO微粒子16a2のように、切頂面が2つだけ存在する構造も取り得る。このとき、切頂面が(111)面に相当し、主要面が(100)面に相当する。なお、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されているとは、7面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面である構造を有していると言い換えることができる。
MgO微粒子16bは、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されていればよい。例えば、図5(c)に示すMgO微粒子16b1のように、切頂面が1つだけ存在する構造や、図5(d)に示すMgO微粒子16b2のように、切頂面が2つだけ存在する構造も取り得る。このとき、切頂面が(100)面に相当し、主要面が(111)面に相当する。なお、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面が形成されているとは、9面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面である構造を有していると言い換えることができる。
MgO微粒子16cは、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されていればよい。例えば、図5(e)に示すMgO微粒子16c1のように、6つの切頂面に対し、斜方面が1つだけ存在する構造も取り得る。このとき、主要面が(111)面に相当し、切頂面が(100)面に相当し、斜方面が(110)面に相当する。なお、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されているとは、10面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面であり、かつ、少なくとも1面が斜方面である構造を有していると言い換えることができる。
MgO微粒子16dは、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されていればよい。例えば、図5(f)に示すMgO微粒子16d1のように、8つの切頂面に対し、斜方面が1つだけ存在する構造も取り得る。このとき、主要面が(100)面に相当し、切頂面が(111)面に相当し、斜方面が(110)面に相当する。なお、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面、かつ、少なくとも1つの斜方面が形成されているとは、8面以上を有する多面体であって、少なくとも1面が切頂面であり、かつ、少なくとも1面が斜方面である構造を有していると言い換えることができる。
さらに、本発明におけるMgO結晶粒子は、従来の前駆体焼成法で作製されるMgO微粒子のように、特定の辺が他の辺よりも長い偏平な板状体ではなく、図4、5の各々に示すように、基本的に辺の長さが所定の範囲内に整った6面体もしくは8面体結晶の形状を有する。
PDP1では、蛍光体層14にMgO微粒子群16を配設するに際して、(100)面と(111)面からなる特定2種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有するMgO微粒子16a、16bと、さらに(100)面、(110)面、(111)面からなる特定3種配向面で囲まれたNaCl結晶構造を有するMgO微粒子16c、16dを用いている。PDP1では、このように特定2種配向面及び特定3種配向面を有するMgO微粒子16a〜16dを含むMgO微粒子群16を蛍光体層14の層内部に分散させて配置することで、各配向面の特性を発揮させるとともに、各特性を互いに補完させた効果を期待できるようになっている。
具体的には、(100)面は、上記3つの配向面の中で最も原子が密に詰まった面(最稠密面)に相当し、表面自由エネルギーが最も低い。このため、低温時及び常温以上の高温時の広い温度域で不純物ガス(水、炭化水素、炭酸ガス等)を吸着しにくく、不要な化学反応を生じにくい。よって(100)面の特性によれば、特に不純物ガスの吸着の影響が大きいとされる低温度域でも良好な化学安定性が期待できる(例えば、表面技術Vol.41.No.4 1990 50頁)。従って、(100)面を持つMgOをPDPに適用すれば、低温時及び常温以上の高温時の広い温度域にわたり放電空間15内部の不純物ガス(特に炭化水素ガス)が吸着するのを防止でき、2次電子放出特性を維持できる(J.Chem.Phys.Vol.103.No.8 3240−3252 1995)。
ここで(100)面は、低温時及び常温以上の高温時の広い温度域において電子放出の絶対量が小さい。よってMgO微粒子の配向面を(100)面のみに依存すると、2次電子放出特性が優れず、初期化輝点が発生しうる。
しかしながら、この問題はMgO微粒子において、さらに(111)面及び(110)面を併用することで抑制できる。(111)面は、低温から高温までの広い温度域で良好な電子放出特性を発揮し、特に常温以上で良好な電子放出特性を発揮する結晶面である。このため、特に、常温以上の温度範囲で初期化輝点の発生を抑制する効果が得られる。また(110)面は、低温から高温までの広い温度域で優れた電子放出特性を発揮できるので、豊富な電子を利用して、初期化輝点の発生がより効果的に防止される。
このように、各配向面が互いの特性を補完することによって、PDP1における初期化輝点の発生が良好に防止される。
以上のようにPDP1では、(100)面及び(111)面に囲まれてなるMgO微粒子16a、16b、もしくは、(100)面、(111)面、及び(110)面に囲まれてなるMgO微粒子16c、16d、または当該MgO微粒子16a〜16dを混合して利用することで、高い2次電子放出効果が奏され、特に蛍光体層14からの豊富な電子放出によって、初期化輝点の発生防止が期待できる。
PDP1で発揮される主な各効果を具体的にまとめると以下の通りである。
第一に、駆動時において、放電空間15で発生した波長147nmまたは173nmの紫外線が蛍光体層14に到達すると、蛍光体粒子の間隙に充填されたMgO微粒子16a〜16dが当該紫外線を受け、2次電子放出特性を発揮する。ここでMgO微粒子16a〜16dでは、特定2種及び特定3種配向面を利用することで、上記の通り従来に比べて格段に優れた2次電子放出特性を有しており、低温から高温までの広範囲な温度域にわたり、豊富な2次電子が放電空間15に向けて放出される。
従って、この特性を利用すれば、初期化期間にスキャン電極4とデータ電極11との間にランプ波形(図3)の電圧を印加すると、蛍光体層14から放電空間15に向けて放出される豊富な2次電子によって、理想的な弱放電がスムーズに発生する。
このため、肉眼で確認できる好ましくない強放電(初期化輝点)の発生が抑制され、スムーズに弱放電を進行させることができるので、初期化輝点による画像表示性能の低下の問題を有効に防止できる。従って、PDPの構成上、たとえランプ波形の電圧印加時においてデータ電極側がカソードとなるランプ波形を印加しても、放電開始電圧Vfを上げることなく従来と同等値で弱放電を発生させることができる。また、このような効果はPDPの環境温度が低温から比較的高温の場合まで、いずれの温度域にあっても、良好に発揮される。
このように本発明は、初期化輝点の防止に対して高い効果を奏しつつ、良好な実現性をも有するものである。
なお、MgO微粒子のサイズが小さい場合や、微粒子全体の表面積に占める割合が小さい場合は、各面に対応した上記の放電特性を充分に発揮しない場合がある。後述するように、気相酸化法で作製されたMgO微粒子は、粒径に比較的バラつきがあるため、300nm未満の粒径を有する微粒子は(100)面で構成されるにもかかわらず、PDPにおいて初期化輝点を発生したり、放電遅れを生ずる原因となりうる。しかしながら、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子16a〜16dは、粒径が均一で、ほぼ全ての微粒子が一次粒子として300nm以上の粒径を有する。これによりMgO微粒子16a〜16dは、ほぼ全ての微粒子が各配向面に対応した放電特性を発揮できるので、気相酸化法で作製されたMgO微粒子の問題を回避して、特に優れた初期化輝点の抑制効果が均一に得られようになっている。
第二に、蛍光体層14中にMgO微粒子16a〜16dが混在されることにより、蛍光体粒子の可視光発光効率の向上が図られる。すなわち、放電空間15で発生した波長147nmあるいは173nmの真空紫外光が蛍光体層中のMgO微粒子16a〜16dに到達すると、当該MgO微粒子16a〜16dは励起され、上述した2次電子を放出するとともに、自らも200nm〜300nm程度の波長範囲の紫外線を発生する(後述の図8を参照)。
蛍光体成分は、放電空間15からの真空紫外光と、MgO微粒子16a〜16dからの紫外線をともに受けるため、可視光変換過程が活発に行われる。特に蛍光体層14中では、蛍光体粒子の周囲を囲繞するようにMgO微粒子16a〜16dが存在することによって、蛍光体粒子をその周囲から効率よく励起させる効果が望める。その結果、優れた可視光発光効率により、高輝度の発光が発揮される。また200nm〜300nm程度の波長範囲の紫外線は、波長147nmあるいは173nmの真空紫外光に比べてMgOにおけるエネルギー変換効率が良く、活発な2次電子放出を促す。このようなMgO微粒子16a〜16dによる蛍光体粒子の紫外線励起作用は、特有のCL特性を有する本発明のMgO微粒子16a〜16dにおいて、特に有効に得られるものである。
第三に、MgO微粒子16a〜16dが蛍光体成分に比して十分に高い2次電子放出特性を有するため、各色蛍光体層14中の各蛍光体成分に起因する放電特性のバラツキが相対的に目立たなくなる。その結果、PDP全体の放電セルで放電特性を揃えることが可能となり、安定した画像表示性能が発揮される。
以上のように本発明によれば、MgO微粒子16a〜16dを蛍光体層14に配設することによって、初期化輝点の発光抑制、蛍光体の可視光発光量の向上、及び各色蛍光体層間の発光強度のバラツキを防止する効果をともに実現することができ、従来の構成に比べて飛躍的に優れた画像表示性能が期待されるものである。
(MgO微粒子のカソードルミネッセンス特性について)
従来の気相酸化法で作製したMgO微粒子(比較例)と、本発明の特定2種配向面もしくは特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a、16b、16c、16d(実施例)について行った、カソードルミネッセンス(CL)測定の結果を図7(a)、(b)に示す。
図7(a)に示されるように、実施例及び比較例のMgO微粒子はCLスペクトルにおいて、いずれも200nm〜500nm付近の広い波長領域において、ピークが存在する発光スペクトルを有する。
このうち実施例では図7(b)に示すように、CLスペクトルでは、200〜300nm付近において極大なピークの存在が確認できる。この200〜300nm付近の波長の光は、PDPの放電時にも発生する。この極大なピークは、気相酸化法で作製した比較例のMgO微粒子については確認されない。
実施例が、このような極大なピークを持つ200〜300nm付近の波長領域において、放電時に発生する光のエネルギーは約5eVである。図7中の実施例のMgO微粒子はこのエネルギーによって、エネルギーレベルにおいて真空準位から5eV以内に存在するMgOの電子を励起し、2次電子として放電空間に放出することができる。
一方、実施例のように、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子は、気相酸化法で作製された比較例のようなMgO微粒子に比べて電子放出性能が高いことが、本願発明者らの別の考察で明らかになっている。従って、CLスペクトルの200nm〜300nmの波長領域において、極大なピークの有無を確認することは、MgO微粒子の電子放出特性に関する有効な評価指針となる。従って、このことを根拠として、前駆体焼成法で作製された本発明のMgO微粒子は、気相酸化法で作製されたMgO微粒子よりも高い電子放出能を有すると評価できる。
本発明では、2次電子放出特性に優れるMgO微粒子16a〜16dを蛍光体層14に配設することにより、駆動時には蛍光体層から放電空間15に向けて良好に2次電子放出を行うことが可能である。その結果、初期化期間における弱放電をスムーズに生じさせ、初期化輝点の発生を改善することができる。
さらに、MgO微粒子16a〜16dが蛍光体成分に比して十分に高い2次電子放出特性を有するため、各色蛍光体層14中の各蛍光体成分に起因する放電特性のバラツキが相対的に目立たなくなる。その結果、PDP全体の放電セルで放電特性を揃えることが可能となり、PDP1における安定性の高い画像表示性能の発揮が期待できる。
以上より、CL測定で深紫外光(DUV)が検出される、特定2種配向面もしくは特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a、16b、16c、16dを配設したPDPでは、これによって放電時に200〜300nm付近の波長の光が発生すると考えられる。
ここで、本実施の形態1におけるMgO微粒子16a、16b、16c、16dが、各結晶構造において取り得る各結晶面の面積割合について説明する。
発明者らの検討によれば、PDPにおいて上記の効果を有効に得るためには以下の面積割合が望ましい。
MgO微粒子16aの表面における(100)面が、MgO微粒子16aの全表面において占める面積の割合は、50%以上98%以下の範囲が好適である。
MgO微粒子16bの表面における(100)面が、MgO微粒子16bの全表面において占める面積の割合は、30%以上50%以下の範囲が好適である。
MgO微粒子16cの表面における(111)面が、MgO微粒子16cの全表面において占める面積の割合は、10%以上80%以下の範囲が好適である。
同様に、MgO微粒子16cの表面における(100)面が、MgO微粒子16cの全表面において占める面積の割合は、5%以上50%以下の範囲が好適である。
さらに、MgO微粒子16cの表面における(110)面が、MgO微粒子16cの全表面において占める面積の割合は、5%以上50%以下の範囲が好適である。
MgO微粒子16dの表面における(111)面が、MgO微粒子16dの全表面において占める面積の割合は、10%以上40%以下の範囲が好適である。
同様に、MgO微粒子16dの表面における(100)面が、MgO微粒子16dの全表面において占める面積の割合は、40%以上80%以下の範囲が好適である。
さらに、MgO微粒子16dの表面における(110)面が、MgO微粒子16dの全表面において占める面積の割合は、10%以上40%以下の範囲が好適である。
(MgO微粒子による紫外光発光の確認)
本発明の前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子を波長173nmの真空紫外光により励起した際に発生する紫外線発光について、実際に測定を行って確認した。図8に、当該実験により測定された発光スペクトルを示す。
当図に示されるように、当該MgO微粒子においては、200nm〜300nmの波長領域において極大ピークの発光強度を有する紫外線の波形が確認できる。なお、当該MgO微粒子においては、波長147nmの真空紫外光により励起した場合でも、同様の紫外線発光が得られることが分かっている。
このような性質を有するMgO微粒子16a〜16dを蛍光体層に配設することにより、PDPパネル中のXeガスから発生した波長147nmや173nmの真空紫外光により、MgO微粒子群16が励起され、波長200〜300nmの紫外光を発光する。これにより、蛍光体層を構成する蛍光体材料が励起され、輝度を向上させることができる。
なお、このような紫外線発光は、従来の気相酸化法で作製されたMgO微粒子ではほとんど確認されないか、相当に低い発光量に止まっている。このため、従来のMgO微粒子を蛍光体層に混在させても蛍光体の可視光発光について有効な作用は期待できない。
(比表面積について)
本発明のMgO微粒子について、MgO前駆体を700℃以上2000℃未満の温度範囲で焼成して作製し、BET値の頻度を測定した。図9にその測定結果を示す。
比表面積(BET値)の測定はBET法に基づき、MgO微粒子の表面に吸着占有面積の分かったガス分子(N2)を吸着させ、その吸着量から求めて行った。
当図に示されるように、本発明のMgO微粒子のBET値は、MgO前駆体の種類や焼成プロファイル、焼成雰囲気等の各条件により若干変化するが、概ね1.0 m2/g以下、2.0m2/gの範囲に収まり、大部分が1.0 m2/g以上1.6 m2/g以下の範囲内に集中する。
一方、気相酸化法で作製されたMgO微粒子は、BET値が7.0 m2/g程度である。
このように、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子は、気相酸化法で作製されたMgO微粒子よりも比表面積が小さい性質を有することが確認できる。この特徴により本発明のMgO微粒子では、放電空間15中の不要ガスと接触する面積が従来よりも低減されるので、ガス吸着量が抑制され、経時的に優れた耐吸着性が発揮されるものと考えられる。
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2について、実施の形態1との差異を中心に説明する。図10は、本実施の形態2に係るPDP1aを示す断面図である。
PDP1aは、フロントパネル2における表面層8の上にMgO微粒子群16Xが配置され、表面層8とMgO微粒子群16Xとの積層構造により保護層17が形成された特徴を有する。MgO微粒子群16Xは、16と同様にMgO微粒子16a〜16dを含んで構成されている。
このような構成を持つPDP1aによれば、PDP1と同様の効果が望めるほか、MgO微粒子群16Xの配設によって、さらに高い初期化輝点の抑制効果と、PDP全体での輝度の向上が期待できる。
すなわち従来のPDPでは、放電空間で放電ガスにより球面波として発生する波長147nmや173nmの真空紫外光は、フロントパネル側のMgOからなる保護層においては実質的に何ら可視光発光に寄与されず、当該保護層に吸収されてしまう。そのため、球面波の真空紫外線のうち、蛍光体層に到達する一部の紫外線のみが蛍光体の可視光発光に供され、フロントパネル側に照射される残余の紫外線は可視光発光にほぼ寄与されずに無駄になっている。
これに対しPDP1aでは、バックパネル9側に配された蛍光体層14中のMgO微粒子群16に加え、さらにフロントパネル2側に配された表面層8上のMgO微粒子群16Xが、球面波として発生する波長147nmや173nmの紫外線発光により無駄なく照射される。このため、蛍光体層14中の蛍光体粒子16a〜16dは、球面波の波長147nmや173nmの紫外線発光により直接励起されるのに加え、当該球面波の紫外線により励起されたバックパネル9側及びフロントパネル2側のMgO微粒子から、比較的長波長である波長200〜300nmの紫外線発光を受けることができるので、効率よく励起される。その結果、蛍光体層14中の蛍光体粒子はその全表面を利用して、豊富に可視光発光を生じる。
さらに、フロントパネル3及びバックパネル9の両方に配されたMgO微粒子16a〜16dは、ともに球面波として発生する紫外線発光を受けることで、放電空間15内に大量の2次電子を放出する。これにより放電空間15では、当該2次電子を利用して良好な規模の放電が形成される。
またMgO微粒子16a〜16dから発光される200〜300nmの紫外光は、放電ガス中のXeガスから発生した147nmや173nmの真空紫外光から発生される紫外光よりも寿命が長い性質がある。このため、MgO微粒子16a〜16dから発生した紫外線が継続的に照射されることで、蛍光体層14中の電子は比較的浅い準位に存在し続け、蛍光体の電子放出特性が向上するといった効果が得られる。
なお、PDP1aのさらなる特徴として、MgO微粒子16a〜16dを用いることで、放電遅れ及び放電遅れの温度依存性、並びに放電遅れの空間電荷依存性の問題についても改善を期待できる。
一般に、PDPの放電遅れの問題は、MgOを含む表面層において、MgO微粒子の結晶中に2次電子放出特性が低い配向面のみが存在する場合に発生しうる。このような好ましくない配向面としては、(100)面が該当すると考えられる。
しかしながらPDP1aでは、表面層8上のMgO微粒子群16Xに、特定2種配向面で囲まれたNaCl結晶構造のMgO微粒子16a、16b、もしくは特定3種配向面で囲まれたNaCl結晶構造のMgO微粒子16c、16d、またはこれらのMgO微粒子16a〜16dを混合して用いるので、放電遅れに関する問題に対しても良好な効果を奏する。
すなわち、PDP1aの駆動時には、まず(100)面及び(111)面の各特性がともに発揮されることによって、低温時(PDPの駆動初期や環境温度が低い地域での使用時)及び常温以上の高温時(駆動開始から一定時間経過後、又は環境温度が高い地域での使用時)の広い温度域にわたり、不純物ガスの吸着が防止され、安定した電子放出特性が維持されるともに、放電空間には豊富な電子が放出される。これにより、「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」の各問題が効果的に抑制される。
さらに、(110)面を備えるMgO微粒子16c、16d固有の特性により、PDP駆動初期において放電開始時に発生する空間電荷のアシストを受けなくても充分な電子放出特性が得られる。このため、維持放電期間において表示電極対6に印加するパルス数(維持パルス数)の大小に関わらず、安定した電子放出が実現される。これは、言い換えると、放電遅れの空間電荷依存性を低減できる効果である。
このようにPDP1aでは、特定2種配向面を持つMgO微粒子を利用することによって、各配向面の特性を活かしつつ、相互に配向面の特性を補完させて、「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」の抑制を行なうことができる。
さらに、特定3種配向面を持つMgO微粒子を利用することによって、各配向面の特性を活かしつつ、相互に配向面の特性を補完させて、「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」に加えて「放電遅れの空間電荷依存性」の抑制も行え、一層良好な画像表示性能の発揮が期待できるものである。
<その他の実施の形態>
以下、その他の実施の形態3、4について、実施の形態1、2との差異を中心に説明する。
図11は、実施の形態3のPDP1bの構成を示す断面図である。PDP1bは、PDP1aとほぼ同様の構成であるが、表面層8を用いず、MgO微粒子16a〜16dからなるMgO微粒子群16Xを誘電体層7の表面に直接配設した点が異なる。
このような構成を持つPDP1bでも、駆動時にはMgO微粒子群16Xにおいて、2次電子放出特性の確保による初期化輝点の発生抑制と、可視光発光の高輝度化、並びに各放電セル毎の放電特性のバラツキの抑制等の各効果について、PDP1aとほぼ同様に奏される。さらに「放電遅れ」と「放電遅れの温度依存性」に加えて、「放電遅れの空間電荷依存性」の各抑制効果も期待できる。
また、PDP1bでは、表面層8が無い分、フロントパネル2の可視光透過率が高められ、高い発光輝度を期待することができる。さらに、表面層8を形成するための薄膜形成工程が不要であり、PDPの構成と製造工程の簡略化とともに図る効果も期待できる。
図12は、実施の形態4のPDP1cの構成を示す断面図である。PDP1cは蛍光体層14のバックパネル9側の底面において、MgO微粒子16a〜16dによりMgO微粒子群16Yが形成された特徴を持つ。
このような構成のPDP1cによっても、PDP1と同様の効果が期待できる。また、蛍光体層14ではMgO微粒子群16Yの下地層が配設された構成となるため、蛍光体層14中の蛍光体粒子表面からバックパネル側に可視光発光がなされても、MgO微粒子群16Yによって当該可視光がフロントパネル2側に反射され、有効に画像表示に供されることとなる。その結果、より高い輝度で優れた画像表示性能が発揮されるのを期待できる。
なおPDP1cでは、図12の構成に加え、さらに蛍光体層14の層中にもMgO微粒子16a〜16dを分散させてもよい。
また、PDP1、1a〜1cの各構成は、矛盾しない範囲で互いに組み合わせても良い。
<PDPの製造方法>
次に、各実施の形態におけるPDP1、2の製造方法例について説明する。PDP1、1a〜1cの違いは、主に表面層8及び蛍光体層14周辺の構成にあり、その他の部分の製造工程は共通している。
(MgO微粒子の製造方法)
MgO微粒子16a〜16dを得るためには、一例として、高純度のマグネシウム化合物(MgO前駆体)を高温の酸素含有雰囲気(700℃以上)で均一に熱処理して焼成する。
MgO前駆体に利用できるマグネシウム化合物には、水酸化マグネシウムをはじめ、マグネシウムアルコキシド、マグネシウムアセチルアセトン、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。本発明では、これらの内のいずれか1種以上(2種以上を混合して用いてもよい)を選ぶことができる。選択した化合物によっては、通常、水和物の形態をとることもあるが、このような水和物を用いてもよい。
さらに、MgO前駆体として用いるマグネシウム化合物の純度は99.95%以上が好ましく、99.98%以上が一層好ましい。これはマグネシウム化合物に、アルカリ金属、ホウ素、珪素、鉄、アルミニウム等の不純物元素が多く存在すると、熱処理時(特に焼成温度が高い場合)に、粒子間の融着や焼結が起こり、結晶性の高いMgO微粒子が成長しにくいのに対して、高純度マグネシウム化合物を用いれば、その問題を防ぐことができるからである。
このような高純度のMgO前駆体を酸素含有雰囲気で焼成すると、作製されるMgO微粒子16a〜16dの純度も99.95%以上、あるいは99.98%以上の高純度となる。
次に焼成温度の設定を行なう場合、700℃以上が好ましく1000℃以上が一層好ましい。これは、焼成温度が700℃を下回る温度では、結晶面が十分発達せず欠陥が多くなり、微粒子への不純物ガスの吸着が多くなるためである。ただし、焼成温度が2000℃より高温に達すると、酸素抜けが生じてしまい、結果としてMgOの欠陥が多くなるため吸着が生じる。このため、1800℃以下が好ましい。
ここで、700℃以上2000℃以下の焼成温度条件で焼成を行なった場合、特定2種及び3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a〜16dがともに生成される。本発明者による別の実験により、およそ1500℃以上の温度で焼成を行うと、(110)面が縮小していく傾向がみられることが分かった。したがって、特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16c、16dの生成頻度を上げるためには、700℃以上1500℃未満の焼成温度が好ましい。一方、特定2種配向面で囲まれたMgO微粒子16a、16bの生成頻度を上げるためには、1500℃以上2000℃以下の焼成温度が好ましい。
なお、各MgO微粒子16a〜16dは、選別工程を経ることによって互いに分離することも可能である。
ここで、MgO前駆体としての水酸化マグネシウムを液相方法で作製する工程、及び、その水酸化マグネシウムを用いてMgO微粒子16a〜16dを含む粉体を作製する工程について具体的に説明する。
(1)出発原料として、純度99.95%以上のマグネシウムのアルコキシド(Mg(OR)2)やマグネシウムのアセチルアセトンを準備する。これらを溶かした水溶液に少量の酸を加えて加水分解することによって、MgO前駆体である水酸化マグネシウムのゲルを作製する。そして、当該ゲルを空気中で700℃以上2000℃以下で焼成して脱水することにより、MgO微粒子16a〜16dを含む粉体が作製される。
(2)純度99.95%以上の硝酸マグネシウム(Mg(NO32)を出発原料とし、これを溶かした水溶液を用意する。そして、この水溶液にアルカリ溶液を添加して、水酸化マグネシウムの沈殿物を作製する。次に、水酸化マグネシウムの沈殿物を水溶液から分離し、空気中で700℃以上2000℃以下で焼成して脱水することにより、MgO微粒子16a〜16dを含む粉体が作製される。
(3)純度99.95%以上の塩化マグネシウム(MgCl2)を出発原料とし、これを溶かした水溶液を用意する。そして、この水溶液に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を加えることによって、MgO前駆体である水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を沈殿させる。この沈殿物を水溶液から分離し、空気中で700℃以上2000℃以下で焼成して脱水することにより、MgO微粒子16a〜16dを含む粉体が作製される。
上記した各液相方法(1)〜(3)では、純度99.95%以上の(Mg(OR)2)、(Mg(NO32)あるいは、塩化マグネシウム(MgCl2)水溶液に、酸やアルカリを濃度コントロールしながら添加して加水分解することによって、非常に細かい水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)の沈殿物を作ることができる。この沈殿物を空気中で700℃以上で焼成することによって、Mg(OH)2からH2O(水)が脱離し、MgOの粉体が形成される。この方法で生成されるMgO微粒子16a〜16dを含む粉体は、結晶学的に欠陥が少ないため、炭化水素系ガスの吸着が起こりにくい構成になっている。
ここで、一般に気相酸化法で作製されるMgO微粒子は、粒径に比較的バラツキがある。
このため従来の製造工程では、均一な放電特性を得るために、一定の粒径範囲の粒子を選別する分級工程が必要である(例えば特開2006−147417号公報に記載)。
これに対し本発明では、MgO前駆体を焼成してMgO微粒子を得るが、当該MgO微粒子は、従来よりも粒径が均一で且つ一定の粒径範囲に収まっている。具体的には、本発明で作製されるMgO微粒子のサイズは300nm〜2μmの範囲に収まっている。このため、気相酸化法で作製された結晶よりも比表面積が小さい粒子が得られる。このことは、本発明のMgO微粒子16a〜16dが耐吸着性に優れている一つの要因であり、電子放出性能を向上させていると考えられる。また、これにより本発明では、不要な微粒子を振り分ける分級工程を省略することも可能であり、工程の簡略化により製造効率及びコストの面で非常に有利な面がある。
なお、MgO前駆体であるMg(OH)2は、六方晶系の化合物であり、MgOが取り得る立方晶系の8面体構造とは異なっている。従って、Mg(OH)2が熱分解してMgOの結晶を生成する結晶成長過程は複雑であるが、六方晶系のMg(OH)2の形態を残しながらMgOが形成されるため、結晶面として(100)面及び(111)面、さらに、これらに加えて(110)面が形成されるものと考えられる。
これに対して、気相合成法でMgOを形成する場合は、ある特定面だけが成長しやすい。例えば、不活性ガスが満たされた槽中で、Mg(マグネシウム金属)を高温に加熱しながら酸素ガスを少量流し、Mgを直接酸化させてMgOの粉体を形成する方法では、結晶の成長過程で、Mgが酸素を取り込みながら(100)面のみが表面に現れ、その他の配向面は成長しにくい。
その他のMgO微粒子の製造方法として、水酸化マグネシウムを焼成する方法と同様、MgO前駆体として、マグネシウムのアルコキシド、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等のNaCl型(立方晶系)でないマグネシウム化合物を用いて、直接700℃以上の高温で、熱平衡的に熱分解する工程を実施しても良い。これらの工程によれば、Mg元素に配位している(OR)2基、Cl2基、(NO32基、CO3基、C24基等が脱離する際に、(100)面だけでなく(110)面や(111)面も表面に現れる機構が働くことにより、特定2種配向面又は特定3種配向面で囲まれたMgO微粒子16a〜16dを含む粉体が得られる。
(フロントパネル2の作製)
厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるフロントパネルガラス3の面上に、表示電極対6を作製する。ここでは印刷法によって表示電極対6を形成する例を示すが、これ以外にもダイコート法、ブレードコート法等で形成することができる。
まず、ITO、SnO2、ZnO等の透明電極材料を最終厚み約100nmで、ストライプ等所定のパターンでフロントパネルガラス上に塗布し、乾燥させる。これにより透明電極41、51が作製される。
一方、Ag粉末と有機ビヒクルに感光性樹脂(光分解性樹脂)を混合してなる感光性ペーストを調整し、これを前記透明電極41、51の上に重ねて塗布し、形成するバスラインのパターンに合わせた開口部を有するマスクで覆う。そして、当該マスク上から露光し、現像工程を経て、590〜600℃程度の焼成温度で焼成する。これにより透明電極41、51上に最終厚みが数μmのバスライン42、52が形成される。このフォトマスク法によれば、従来は100μmの線幅が限界とされていたスクリーン印刷法に比べ、30μm程度の線幅までバスライン42、52を細線化することが可能である。バスライン42、52の金属材料としては、Agの他にPt、Au、Al、Ni、Cr、また酸化錫、酸化インジウム等を用いることができる。バスライン42、52は上記方法以外にも、蒸着法、スパッタリング法などで電極材料を成膜したのち、エッチング処理して形成することも可能である。
次に、表示電極対6の上から、軟化点が550℃〜600℃の鉛系あるいは非鉛系の低融点ガラスやSiO2材料粉末とブチルカルビトールアセテート等からなる有機バインダーを混合したペーストを塗布する。そして550℃〜650℃程度で焼成し、最終厚みが膜厚数μm〜数十μmの誘電体層7を形成する。
ここで、PDP1、1a、1cを作製する場合は、次に誘電体層の表面に所定の厚みの表面層を成膜する。成膜方法は蒸着法を用い、酸素雰囲気中において、ピアス式電子ビームガンを加熱源として、上記蒸着源を加熱して行う。成膜時の電子ビーム電流量、酸素分圧量、基板温度等は成膜後の表面層の組成に大きな影響を及ぼさないため、任意設定で構わない。なお表面層の成膜方法は、上記EB法に限定するものではなく、その他の方法、例えばスパッタ法、イオンプレーティング法等、各種薄膜法を利用してもよい。
さらに、PDP1a〜1cを作製する場合には、誘電体層7または表面層8の表面にMgO微粒子群16Xを形成する。MgO微粒子16a〜16dを含む溶剤をスクリーン印刷法やスプレー法等により塗布し、その後に溶媒を除去し、十分乾燥させるとMgO微粒子群16Xが形成できる。
以上でフロントパネル2が作製される。
(バックパネルの作製)
厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるバックパネルガラス10の表面上に、スクリーン印刷法によりAgを主成分とする導電体材料を一定間隔でストライプ状に塗布し、厚さ数μm(例えば約5μm)のデータ電極11を形成する。データ電極11の電極材料としては、Ag、Al、Ni、Pt、Cr、Cu、Pd等の金属や、各種金属の炭化物や窒化物等の導電性セラミックスなどの材料やこれらの組み合わせ、あるいはそれらを積層して形成される積層電極も必要に応じて使用できる。
ここで、作製予定のPDP1を40インチクラスのNTSC規格もしくはVGA規格とするためには、隣り合う2つのデータ電極11の間隔を0.4mm程度以下に設定する。
続いて、データ電極11を形成したバックパネルガラス10の面全体にわたって鉛系あるいは非鉛系の低融点ガラスやSiO2材料からなるガラスペーストを厚さ約20〜30μmで塗布して焼成し、誘電体層12を形成する。
次に、誘電体層12面上に所定のパターンで隔壁13を形成する。この隔壁13は、低融点ガラス材料ペーストを塗布し、サンドブラスト法やフォトリソグラフィ法を用い、隣接放電セル(図示省略)との境界周囲を仕切るように、放電セルの複数個の配列を行および列を仕切る井桁形状のパターンで形成する。
隔壁13が形成できたら、隔壁13の壁面と、隔壁13間で露出している誘電体層12の表面に赤色(R)蛍光体、緑色(G)蛍光体、青色(B)蛍光体のいずれかの蛍光体層14を作製する。
なお、PDP1cを作製する場合は、MgO微粒子を溶媒に分散させてなる分散液を誘電体層12の表面に塗布し、これを乾燥させてMgO微粒子群16Yを配設しておく。
RGB各色蛍光体には次の組成のものが利用できる。
赤色蛍光体;Y23;Eu3+
緑色蛍光体;Zn2SiO4:Mn
青色蛍光体;BaMgAl1017:Eu2+
蛍光体層の形成方法としては、静電塗布法、スプレー法、スクリーン印刷法等、いずれかの公知の方法が採用できる。
このうち静電塗布法を用いる場合は、エチルセルロース、α−ターピネオールをそれぞれ溶媒、溶剤として用い、これに平均粒径2.0μmの蛍光体粉体と粉体とを添加し、サンドミルで混合する。これにより15×10−3Pa・s程度の粘度の蛍光体インクを作製する。この蛍光体インクはサーバー内に投入し、ポンプにて径60μmのノズルから噴射させ、隣接する隔壁間に塗布する。このとき、パネルを隔壁13の長手方向に移動させ、ストライプ状に蛍光体インクを塗布する。塗布終了後は蛍光体インクを500℃で10分間焼成し、溶媒・溶剤を除去する。これによりMgO微粒子群16Xが層中に分散された蛍光体層14が形成される。
また、蛍光体層の表面140にMgO微粒子を配設する場合には、MgO微粒子を溶媒に分散させてなる分散液を作製し、これを静電塗布法、スプレー法、スクリーン印刷法等で散布させた後、乾燥させて定着させることにより形成できる。
(PDPの完成)
作製したフロントパネル2とバックパネル9を、封着用ガラスを用いて貼り合わせる。その後、放電空間15の内部を高真空(1.0×10−4Pa)程度に排気し、大気や不純物ガスを取り除く。そして当該内部に所定の圧力(ここでは66.5kPa〜101kPa)でNe−Xe系やHe−Ne−Xe系、Ne−Xe−Ar系等のXe混合ガスを放電ガスとして封入する。混合ガス中のXe濃度は15%〜100%とする。
以上の工程を経ることにより、PDP1、1a〜1cが完成する。
なお、上記方法例ではフロントパネルガラス3およびバックパネルガラス10をソーダライムガラスからなるものとしたが、これは材料の一例として挙げたものであって、これ以外の材料で構成してもよい。
<性能評価実験>
次に、本発明の実施例を比較例とともに作製して、本発明の性能評価試験を行った。その結果について以下に示す。なお、当然ながら実施例の構成及び性能評価試験の方法は、本発明を何ら限定するものではない。
[実験1]
気相酸化法及び前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子を量を変えて蛍光体成分と組み合わせ、蛍光体層として配設したPDPを駆動することにより、MgO微粒子の重量濃度と輝度変化の関係について調べた。蛍光体には一般的な蛍光特性を有する青色蛍光体のBaMgAl1017:Euを用いた。MgO微粒子としては、水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃及び1000℃で焼成することにより作製した実施例のMgO微粒子1、2を用意し、気相酸化法により作製した比較例のMgO微粒子3を用意した。用意したMgO微粒子1〜3の各BET値は、同順に1.0m2/g、2.0m2/g、7.1m2/gであった。
当該実験の結果を図13に示す。当図に示されるように、MgO微粒子3では混合量が増すにつれて輝度が急激に減少し、蛍光体層全体における重量濃度が10wt%に達すると、輝度が8割程度まで低下することが確認できる。これは、蛍光体から発光される可視光が、MgO微粒子により遮蔽または乱反射され、結果として良好にフロントパネル側から取り出すことができなくなり、輝度が減少するためと考えられる。
また、気相酸化法で作製されたMgO微粒子3は、粒径のバラツキが比較的大きく、微視的には粒径が大きい結晶粒子の周囲に、粒径の小さい微細粒子が多数存在しているため、BET値が大きい。このようなMgO微粒子を用いると、不要な可視光の散乱が生じ、画像表示性能に悪影響が生じるおそれがある。
これに対して、MgO微粒子1及び2では、BET値がそれぞれ1.0m2/g、2.0m2/gに低く調整され、蛍光体層全体における重量濃度が10wt%程度に達しても、輝度劣化はMgO微粒子3に比べてそれほど見られなかった。これは、MgO微粒子1及び2では、蛍光体から球面状に発光される可視光が、蛍光体層の空隙に存在するBET値の小さいMgO微粒子によって良好に反射され、その際に乱反射も防止されるので、MgO微粒子3に比べて輝度低下の要因が補填されたものと考えられる。この可視光の反射の効果は、BET値が小さいほど大きく、また、蛍光体からの可視光の乱反射もBET値が小さいほど抑えられることが分かっている。
また、BET値が1.0m2/gであるMgO微粒子1の場合では、MgO微粒子の重量濃度とともに輝度が上昇し、グラフでは5wt%程度の時に輝度が最大になる。従って、実際の輝度の最大値は、5wt%以上10wt%以下の範囲内に収まっていると考えられる。このようにMgO微粒子1及び2ではMgO微粒子の重量濃度が増しても輝度が低下しにくいが、これは当該微粒子が放電空間から受ける波長147nm或いは173nmの紫外線により励起され、微粒子自身も波長200〜300nm紫外線を発光するため、これに取り囲まれた蛍光体粒子が良好に可視光発光し、一層の輝度向上にかかる効果が得られたのが要因と考えられる。
なお、気相酸化法で作製されたMgO微粒子(MgO微粒子3)は、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子(MgO微粒子1、2)に比べて2次電子放出が小さい。その結果、初期化輝点の発生を効果的に防止し、所望の効果を得る為には、前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子よりも多量に蛍光体層に配設しなければならない。しかし、気相酸化法で作製されたMgO微粒子では、上記グラフに示されたように、MgO微粒子の重量濃度が増えると輝度が減小する問題が生じる。従って、初期化輝点の発生を防止するとともに、輝度の向上を両立して図るためには、本発明のように前駆体焼成法で作製されたMgO微粒子を用いることが望ましい。
[実験2]
次に、実施例及び比較例のサンプル1〜8のPDPを用意し、初期化輝点の発生率と輝度を調べた。サンプル2〜4(実施例1〜3)は実施の形態1のPDP1に準じて作製し、サンプル6〜8(実施例4〜6)は実施の形態2のPDP1aの構成に準じて作製した。
初期化輝点の発生率は、画像処理でRGBに分解し、単位面積当たりの発光面積を算出することで測定した。まず、各サンプルのPDPに初期化輝点を発生させ、画像としてPCに取り込み、RGBに分解する。そして、RGBに分解された画像において発光強度の閾値を決め、その閾値を越えるかどうかで発光の有無を決定し、単位面積あたりに発光している部分の面積で、初期化輝点の発生率を算出した。
輝度の測定は、各サンプルのPDPを放電維持電圧180V、周波数200kHzで駆動し、輝度計を用いて測定した。
各サンプルは以下のように調整した。
サンプル1(比較例1):最も基本的なPDPの従来構成として、バックパネル側の蛍光体にも、フロントパネル側の誘電体層にもMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル2(実施例1):バックパネル側の蛍光体層には、0.5wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層にはMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル3(実施例2):バックパネル側の蛍光体層には、2wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層にはMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル4(実施例3);バックパネル側の蛍光体層には、10wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層にはMgO微粒子を配設しない構造とした。
サンプル5(比較例2):バックパネル側の蛍光体層にはMgO微粒子を配設せず、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設した構成とした。
サンプル6(実施例4):バックパネル側の蛍光体層には、0.5wt%の割合で水酸化マグネシウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設する構造とした。
サンプル7(実施例5):バックパネル側の蛍光体層には、2wt%の割合で水酸化マグネしウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設する構造とした。
サンプル8(実施例6):バックパネル側の蛍光体層には、10wt%の割合で水酸化マグネしウムを前駆体として、各々1200℃焼成することにより作製されたMgO微粒子を配設し、フロントパネル側の誘電体層には、前駆体焼成によって作製された酸化マグネシウム微粒子を配設する構造とした。
上記の条件で行った各サンプルPDPついて、初期化輝点の発生頻度に関する測定結果を図14、輝度に関する測定結果を図15にそれぞれ示す。この図14及び図15は、いずれもサンプル1の測定値に対する比較値としてグラフ化したものである。
図14に示す結果から、実施の形態1に相当する構成のサンプル2、3、4(実施例1、2、3)では、サンプル1(比較例1)に比べて初期化輝点の発生頻度が減少しており、PDPとして特に優れた性能を有することが確認できた。これは、蛍光体成分と前駆体焼成法で作製したMgO微粒子とを組み合わせることで、蛍光体層全体における2次電子放出係数γを従来よりも飛躍的に増大できたためと考えられる。さらに、蛍光体層中のMgO微粒子の重量濃度が増加するに従い、初期化輝点の発生頻度が顕著に減少することが分かった。
一方、図15に示す結果から、実施の形態1の構成に相当するサンプル2、3、4(実施例1、2、3)では、サンプル1(比較例1)に比べて輝度が高くなっており、PDPとして特に優れた画像表示性能が発揮されているのが確認できる。なお当該実験結果では、蛍光体層におけるMgO微粒子の重量濃度が2wt%の場合に最も高い輝度が得られる結果となった。
さらに、実施の形態2に相当する構成のサンプル6、7、8(実施例4、5、6)においても、サンプル5(比較例2)に比べて初期化輝点の発生頻度が減少しており、良好な特性を有することが確認できた(図14)。またサンプル6、7、8(実施例4、5、6)は、サンプル2、3、4(実施例1、2、3)と比較すると、初期化輝点の改善と輝度の向上ついて、一層の良好な性能を有することが確認できた(図14、図15)。
このように各実施例では、比較例とは異なり、前駆体焼成法により形成されたMgO微粒子が蛍光体成分と混在している。このため、蛍光体は放電ガス中で生じる紫外線の他に、前記MgO微粒子によっても紫外線励起されるので、可視光発光を効率的に生ずることができ、高い輝度での発光が可能となっている。また、各実施例では、蛍光体により一旦生じた可視光発光が、前記MgO微粒子により良好にフロントパネル側に反射され、画像表示に供されるようになっていることも、優れた輝度が得られる要因と思われる。
なお、蛍光体層中のMgO微粒子の重量濃度が増大すると、当該MgO微粒子によって蛍光体粒子で発生した可視光の遮光効果が大きくなる。従ってMgO微粒子を蛍光体層に添加する場合は、単にその重量濃度を多く設定して輝度向上の効果を図ろうとするのではなく、可視光の遮光効果も想定した上で最大輝度が得られるように、これら2つの効果の兼ね合いにより調整すべきである。
以上の各実験結果から、本願発明の優位性が確認された。
<その他の事項>
上記各実施の形態におけるPDPでは、MgO微粒子として16a〜16dを用いる例を示したが、本発明はこれら4種のMgO微粒子の全てを同時に用いる必要はない。このため、前述したMgO微粒子16a〜16d、16a1、16a2、16b1、16b2、16c1、16d1の内の1種以上を用いればよい。
本発明のPDPは、特に高精細画像表示を低電圧で駆動できるガス放電パネル技術として、交通機関及び公共施設、家庭などにおけるテレビジョン装置及びコンピュータ用の表示装置等に利用することが可能である。
また本発明では、Xe分圧の高い構成や微細セル構成の場合でも初期化輝点の発生が抑制されるので、画質が温度環境に影響されにくい高画質なディスプレイとして利用することができる。
1、1a、1b、1c、1x PDP
2 フロントパネル
3 フロントパネルガラス
4 サステイン電極
5 スキャン電極
6 表示電極対
7、12 誘電体層
8 表面層
9 バックパネル
10 バックパネルガラス
11 データ(アドレス)電極
13 隔壁
14 蛍光体層
15 放電空間
16、16X、16Y MgO微粒子群
16a 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16b 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16c 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16d 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子
16a1、16a2 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
16b1、16b2 特定2種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
16c1 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
16d1 特定3種配向面で囲まれた結晶構造を有するMgO微粒子のバリエーション
17 保護層
140 蛍光体層の表面

Claims (26)

  1. 片面に蛍光体層が形成された第一基板が、前記片面において、放電空間を介して第二基板と対向に配置され、第一基板及び第二基板の周囲が封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    蛍光体層は、蛍光体成分と、(100)面及び(111)面とで囲まれた結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群とを含んでなり、
    酸化マグネシウム微粒子群は蛍光体層における、当該層内部または放電空間に臨む表面、或いは背面基板側の当該層底部、の少なくとも何れかの領域に配設されている
    プラズマディスプレイパネル。
  2. 第二基板の片面には、放電空間に臨む表面領域に、前記酸化マグネシウム微粒子と同一の結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群が配設されている
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 第二基板の前記片面には、複数の電極と、当該複数の電極を覆うように誘電体層とが配設され、
    前記酸化マグネシウム微粒子群は、前記誘電体層表面に対して直接、または保護層を介して配設されている
    請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 酸化マグネシウム微粒子は、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面を有する
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面を有する
    請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 酸化マグネシウム微粒子は、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面を有する
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面を有する
    請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 酸化マグネシウム微粒子は、(100)面に相当する6面及び(111)面に相当する8面を持つ14面体である
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  9. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面を持つ
    請求項8に記載のプラズマディスプレイパネル。
  10. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面を持つ
    請求項8に記載のプラズマディスプレイパネル。
  11. 酸化マグネシウム微粒子は、酸化マグネシウム前駆体の焼成生成物である
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  12. 酸化マグネシウム微粒子は、粒径が300nm以上である
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  13. 酸化マグネシウム微粒子は、BET値が2.0m2以下である
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  14. 片面に蛍光体層が形成された第一基板が、前記方面において、放電空間を介して第二基板と対向に配置され、第一基板及び第二基板の周囲が封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    蛍光体層は、蛍光体成分と、(100)面、(110)面、(111)面とで囲まれた結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群とを含んでなり、
    酸化マグネシウム微粒子群は蛍光体層における、当該層内部または放電空間に臨む表面、或いは背面基板側の当該層底部、の少なくとも何れかの領域に配設されている
    プラズマディスプレイパネル。
  15. 第二基板の片面には、放電空間に臨む表面領域に、前記酸化マグネシウム微粒子と同一の結晶構造を有する酸化マグネシウム微粒子を含む酸化マグネシウム微粒子群が配設されている
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
  16. 第二基板の前記片面には、複数の電極と、当該複数の電極を覆うように誘電体層とが配設され、
    前記酸化マグネシウム微粒子群は、前記誘電体層表面に対して直接、または保護層を介して配設されている
    請求項15に記載のプラズマディスプレイパネル。
  17. 酸化マグネシウム微粒子は、6面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面と、少なくとも1つの斜方面とを有する
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
  18. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、切頂面に(111)面、斜方面に(110)面を持つ
    請求項17に記載のプラズマディスプレイパネル。
  19. 酸化マグネシウム微粒子は、8面体構造を有し、更に少なくとも1つの切頂面と、少なくとも1つの斜方面とを有する
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
  20. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、切頂面に(100)面、斜方面に(110)面を持つ
    請求項19に記載のプラズマディスプレイパネル。
  21. 酸化マグネシウム微粒子は、(100)面に相当する6面及び(110)面に相当する12面、並びに(111)面に相当する8面を持つ26面体である
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
  22. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(111)面、斜方面に(110)面、切頂面に(100)面を持つ
    請求項21に記載のプラズマディスプレイパネル。
  23. 酸化マグネシウム微粒子は、主要面に(100)面、斜方面に(110)面、切頂面に(111)面を持つ
    請求項21に記載のプラズマディスプレイパネル。
  24. 酸化マグネシウム微粒子は、酸化マグネシウム前駆体の焼成生成物である
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
  25. 酸化マグネシウム微粒子は、粒径が300nm以上である
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
  26. 酸化マグネシウム微粒子は、BET値が2.0m2以下である
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
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