本発明は、調理容器を誘導加熱するとともに赤外線センサを用いて調理容器の温度を制御する誘導加熱調理器に関するものである。
近年、火を使わない調理器として誘導加熱調理器が広く普及している。この誘導加熱調理器は、加熱コイルの中央下方に赤外線センサを配置し、赤外線センサからの出力に応じて制御部によりインバータ回路を制御して加熱コイルの出力を制御している(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−38660号公報
しかしながら、上記構成の誘導加熱調理器において、使用者が無意識に赤外線センサの上面を塞がないように調理容器を載置すると、赤外線センサで調理容器の温度を適正に検知できない。特に、誘導加熱調理器の周囲が暗い場合は、赤外線センサの位置を視認しづらいという問題がある。また、鍋等の調理容器の底面で一番温度が上がりやすいのは、最も磁束密度が高く加熱時の発熱が大きい加熱コイル巻線の最外周と最内周の中間部であり、その箇所に赤外線センサを配置すれば、温度追従性の良い誘導加熱調理器を提供することができるが、赤外線センサは加熱コイルの中心を外した位置に配置されることになり、使用者が調理容器を赤外線センサの上に載置しない可能性がさらに高くなり、赤外線センサで調理容器の温度を適正に検知できないことが増えることになるという課題を有していた。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、調理容器から放射される赤外線の赤外線センサへの入射領域を容易に視認できるようにして、確実に赤外線センサによる調理容器の温度制御ができる使い勝手の良い誘導加熱調理器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の誘導加熱調理器は、外郭を構成する本体と、前記本体の上部に取り付けられ調理容器を載置するためのトッププレートと、前記トップププレートに対向して前記トッププレートの下方に設けられ交流磁界を発生して調理容器を誘導加熱するための加熱コイルとを備え、前記トッププレート面に赤外線センサ表示窓を設け、前記赤外センサ表示窓の内側に赤外センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓を形成し、前記赤外線透過窓の下方に調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線センサと発光部とを具備して前記赤外線透過窓の内側で前記発光部の発光が視認できるようにし、前記赤外線センサの出力信号に基づいて前記加熱コイルの出力を制御する制御部を設けたものである。
本発明の誘導加熱調理器は、赤外線センサ表示窓の内側に赤外線センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓を形成し、赤外線透過窓の下方に調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線センサを備え、赤外線センサの上面のみ、光を透す赤外線透過窓を設けることで、誘導加熱調理器の周囲の強い光が赤外線センサに入って鍋等の調理容器から発生する赤外線の検出レベルが低下することを防止するとともに使用者に対しては赤外線センサ表示窓を大きく表示し、赤外線センサ位置を認識させることができる。また、鍋等の調理容器が赤外線センサ表示窓から多少ずれても赤外線透過窓の上面は鍋等の調理容器で塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器のずれに対しても温度制御を安定して行うことができて、使い勝手を良くすることができる。
さらに、発光部により、使用者に赤外線センサの位置を知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。特に、周囲が暗い場合は、発光部にて赤外線センサの位置を知らせることは効果的である。
図1は本発明にかかる誘導加熱調理器の概略断面図
図2は図1の誘導加熱調理器に設けられたトッププレートの部分平面図
図3は図1の誘導加熱調理器の要部分解斜視図
図4は図1の誘導加熱調理器に設けられた導光筒保持部材の分解斜視図
図5は図4の導光筒保持部材を下から見た場合の分解斜視図
図6は図1の誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図
図7は実施の形態2のトッププレートの部分平面図
図8は図7の誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図
図9は実施の形態3のトッププレートの部分平面図
図10は図9の誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図
図11はその他の実施の形態のトッププレートの部分平面図
符号の説明
2 本体
4 トッププレート
6 加熱コイル
6a 加熱コイル中心
4a、4h 赤外線透過窓
4g、4n 赤外線センサ表示窓
4j 点灯窓
7b 遮光層
10 赤外線センサ
11 LED(発光体)
24a 制御部
43 赤外線入射部
56a 発光部
D 加熱コイル中心と発光部の中心を結ぶ直線
第1の発明は、外郭を構成する本体と、前記本体の上部に取り付けられ赤外線を透過する材料で形成されたトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレートに対向して配置され、交流磁界を発生して前記トッププレートに載置された調理容器底面を誘導加熱するための加熱コイルと、前記赤外線透過窓の下方に前記調理容器底面から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、前記トッププレートと対向した開口部が形成された赤外線入射部を有し前記赤外線入射部から入射した前記赤外線を通過させ前記赤外線センサに受光させる光路が形成された導光部と、前記トッププレート裏面方向に向かって可視光を発する発光部と、前記赤外線センサの出力信号に基づいて前記加熱コイルの出力を制御する制御部とを備え、前記トッププレート表面又は裏面に印刷されて、前記赤外線入射部の存在する位置を領域により表示する赤外線センサ表示窓を設け、前記赤外線センサ表示窓の内側に赤外センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓を形成し、前記発光部を前記赤外線透過窓の下方に設けて前記赤外線透過窓の内側で前記発光部の発光が視認できるようにすることにより、赤外線センサ表示窓の内側に赤外センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓が誘導加熱調理器の周囲の強い光(外乱光)が赤外線センサに入るのを抑制するので、外乱光によって、鍋等の調理容器から発生する赤外線の検出機能が低下することを防止することができる。遮光部を黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすることにより、外乱光がトッププレート内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部から侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。また、使用者に対しては赤外線センサ表示窓を大きく表示し、赤外線センサ位置を明確に認識させることができる。また、鍋等の調理容器が赤外線センサ表示窓から多少ずれても赤外線透過窓の上面は鍋等の調理容器で塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器のずれに対しても温度制御を安定して行うことができ、使い勝手を良くすることができる。
さらに、前記点灯窓の裏面に前記発光部の発する光を照射して、赤外線透過窓の内側で発光部の発光が視認できるようにすることで、使用者に赤外線センサの位置を正確に知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。特に、周囲が暗い場合は、発光部にて赤外線センサの位置を知らせることは効果的である。
第2の発明は、外郭を構成する本体と、前記本体の上部に取り付けられ赤外線を透過する材料で形成されたトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレートに対向して配置され、交流磁界を発生して前記トッププレートに載置された調理容器底面を誘導加熱するための加熱コイルと、前記赤外線透過窓の下方に前記調理容器底面から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、前記トッププレートと対向した開口部が形成された赤外線入射部を有し前記赤外線入射部から入射した前記赤外線を通過させ前記赤外線センサに受光させる光路が形成された導光部と、前記トッププレート裏面方向に向かって可視光を発する発光部と、前記トッププレート表面又は裏面に赤外線センサ表示窓を設け、前記赤外線センサ表示窓の内側に赤外センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓と点灯窓とを分離して形成し、前記点灯窓の下方に発光部を設け、前記点灯窓の裏面に前記発光部の発する光を照射することにより、赤外線透過窓は発光部用の光透過窓と遮光部により独立して赤外線センサ専用の光透過窓にすることができ、赤外線入射部の上方周囲の遮光性が向上し、誘導加熱調理器の周囲の強い光に対する赤外線センサの影響をより低減できる。なお、遮光部を黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすれば、外乱光がトッププレート内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部から侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。
また、発光部に対しては専用の点灯窓となっているが、点灯窓は赤外線センサ表示窓の中にあり、使用者から見れば、赤外線センサの位置を点灯していると感じられ、使用者に赤外線センサの位置を知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明にかかる誘導加熱調理器Cの概略断面図であり、図1に示されるように、本発明にかかる誘導加熱調理器Cは、外郭を構成する本体2と、本体2の上部に取り付けられ鍋等の調理容器Pが載置されるトッププレート4と、トッププレート4の下方に設けられ高周波磁界を発生させる略円盤状の加熱コイル6とを備えている。
トッププレート4は光を透過する結晶化セラミック等の絶縁体を材料として板状に形成され、その裏面または表面に加熱コイル6上面に対向した円形状の領域が表示されるように銀色等の有色薄膜印刷膜7a(図6参照)を形成することにより調理容器Pを載置する範囲が表示された加熱部5が設けられる(図2参照)。加熱部5の領域を表示する印刷抜き部4cは、印刷膜7aが形成されていない部分により所定幅の線で円形に形成されており、印刷膜7aの外側(下面)の層には、光透過率が略ゼロの遮光部として黒色の遮光層7b(図6参照)が印刷膜7aと略同等範囲に印刷で形成されている。なお、線状の印刷抜き部4cを周囲と異なる色としても良い。例えば、図2に示すように加熱コイル6上部に印刷膜7aで形成された円形状の印刷部4d及び加熱コイル6上部以外の印刷部4eを銀色とし、印刷抜き部4cに透明または半透明の黒色、茶色等の印刷膜を形成してもよい。また、加熱コイル6の外周より外側(横方向)に放射状で所定の長さのスリット部4fを複数設け、加熱部5の領域を表示してもよい。スリット部4fを光透過可能に形成し、またはトッププレート4の加熱コイル6周囲を光透過可能に構成し、その下方に環状で線状の発光部(図示せず)を設け、スリット部4fまたは加熱コイル6周囲で発光させて加熱部5の領域を表示してもよい。印刷部4d、印刷抜き部4c、スリット4fの形状は、いずれも加熱部5の範囲を表示するものであり、任意に1つ以上選択して加熱部5の範囲を表示してよい。
加熱部5を表示するトッププレート4の中央手前側の裏面には光を透過する黒色薄膜印刷膜7cが設けられ、赤外線センサ表示窓4g(図2参照)が形成されており、その平面形状は略長方形となっている。図6においてはAの範囲が赤外線センサ表示窓4gを示す。赤外線センサ表示窓4gには、その範囲内(内側)に後述する第1の導光筒42a(図6参照)の上端の開口部に対向する領域であって調理容器Pから放射され赤外線センサ10が受光する赤外線を透過できる赤外線透過窓4aが設けられている。図6においてはBの範囲が赤外線透過窓4aを示す。赤外線透過窓4aの周囲は遮光部として遮光層7bで囲まれている。また、赤外線透過窓4aには後述する発光体、例えば、LED11から出射された光が発光部56aで照射されて、トッププレート4を見たとき視認できる発光面4bが含まれるように形成されている。
赤外線センサ表示窓4gの領域内において、第2の導光部42bの端部の発光が視認できる発光面4bの手前側には「SENSOR」の文字が表示され、使用者は赤外線センサ表示窓4gが赤外線センサ10による温度測定用の領域を示す窓であること及び発光面4bが調理容器Pで覆うべき領域であることを容易に認識することができる。
加熱コイル6は耐熱樹脂等で形成されたコイルベース8に載置され、複数の棒状のコイルホルダ9が加熱コイル6の外周部でコイルベース8に螺着されることでコイルホルダ9の先端部により加熱コイル6の内周部が押さえられて保持されており、コイルベース8の下方には、加熱コイル6の中心から手前側(調理人側から見て、以下同様)に位置する調理容器P底部の温度を検知する赤外線センサ10とトッププレート4に向かって光を出射する発光部56aとが設けられ、その位置関係は上方から見て発光部56aの中心と加熱コイル6の中心とを結ぶ直線D上で、発光部56aの中心と加熱コイル6の中心の間に赤外線センサ10の光を入光する赤外線入射部43aの中心を配置するようにしている。また、赤外線入射部43aの中心は、直線Dの近傍にあっても良いが、赤外線入射部43aの少なくとも一部が直線D上にあることが好ましい。この世に構成することで、調理容器Pで発光部56aの上を覆うことで、より確実に赤外線入射部43aを調理容器Pで覆うことができる。赤外線センサ10と発光体11は基板(印刷配線板)12上に設置され他の電気部品と電気的に接続している。
トッププレート4の赤外線透過窓4a(図6参照)は、上方から見て加熱コイル6の内縁部の内側近傍において加熱コイル6の径方向内側で加熱コイル6の中心とは異なる部位に設けられており、赤外線入射部43aと発光部56aは赤外線透過窓4aの真下に位置している。
なお、加熱コイル6を内コイルと外コイルの分割巻き構成とし、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の外縁部の内側で、内コイルと外コイルとの間の直下に配置することもできる。
また、赤外線センサ10の上方には可視光の透過を抑制するための平板状のフィルタ14が設けられるとともに、赤外線センサ10の周囲にも可視光の透過を抑制するための側壁16が設けられている。フィルタ14は、赤外線センサ10の周囲を囲繞する側壁16を介して基板12上の赤外線センサ10を覆うように基板12上に取り付けられており、赤外線センサ10の真上に位置するフィルタ14には赤外線センサ10の視野を絞る、すなわち調理容器Pから放射され赤外線透過窓4aから第1の導光筒42a内面で反射せず直接赤外線センサ10に入射する赤外線の量を増加させるための凸レンズ18が一体的に形成されている。
また、基板12上には赤外線センサ10からの出力信号を増幅する増幅器(図示せず)等も設けられ、赤外線センサ10からの出力信号は増幅器で増幅されて、コネクタ20に接続されたリード線22と、増幅された赤外線センサ10の出力信号を調理容器の温度に換算する温度換算手段24bを介して制御部24aに接続されている。制御部24aと温度換算手段24bは制御基板24上で構成されている。なお、温度換算手段24bは基板12上に構成してもよい。さらに、制御基板24の前方には加熱調理器Cを操作する操作パネル28が設けられている。
また、赤外線センサ10と発光体11を載置する基板12はアルミニウム、非磁性ステンレスまたは鉄板等の金属で形成された金属ケース26に収容されており、金属ケース26の上面における赤外線センサ10の受光面と発光体11の光の出射面に対向する部分には調理容器Pからの赤外線を通過させるとともに発光体11から出射された光を通過させるための開口部26cが形成されている。第1の導光筒(第1の導光部)42aの下端は、金属ケース26の上面より下方に位置し、フィルタ14に近接するようにして赤外線透過窓4aからの赤外線が赤外線センサ10に入射される比率を高めている。また、開口部26c周囲の金属ケース26の上面が、金属ケース26が固定される導光筒保持部材(導光部保持部材)40の下面に密着して金属ケース26と導光筒保持部材40の間の隙間から光が侵入しないようになっている。金属ケース26は、金属ケース上26aと金属ケース下26bとを嵌合させることにより組み立てられる。金属ケース上26aと金属ケース下26bは、それぞれ金属板を折り曲げて形成されている。また、金属ケース上26aの一部を外側に折り曲げて固定片26dを形成している。また、金属ケース上26aの一部が内側に折り曲げられた係止片(図示せず)に、基板12が螺着され固定されている。
また、発光部56aから出射された光が通過するトッププレート4の一部は使用者が発光体11から導かれて発光部56aから照射される光を視認できる領域である発光面4b(図6参照)となっており、真上から見る場合は発光面4bは発光部56aの真上に位置し、使用者が手前側から斜視すると視差により発光部56aの真上から手前側に位置することになる。
操作パネル28を操作して加熱操作が指示されると、赤外線センサ10からの出力信号は温度換算手段24bにより調理容器Pの温度に換算されるが、温度換算手段24bを設けることなく赤外センサ10の出力信号を温度情報として制御部24aに直接出力するようにしてもよい。換算された温度または赤外センサ10の出力信号に基づいて制御部24aは加熱コイル6に高周波電力を供給するインバータ電源30を制御し、調理容器Pの温度を所定の温度または所定の温度以下に調節する。
図2及び図3に示されるように、コイルベース8に載置し保持された加熱コイル6の上方には、上から順に厚みが0.5〜1.5mm程度のアルミニウム製の板で形成され、アルミニウム製の調理容器Pを加熱した場合に調理容器Pに働く浮力を低減するための浮力低減板32と、厚みが略2mmでセラミックファイバー製の断熱材である断熱シート34と、厚みが略0.5mmの電気絶縁板であるマイカ板36が載置されており、コイルベース8の下面には、加熱コイル6からその裏面側への磁束を加熱コイル6近傍に集中するための放射状に延びる複数のフェライトコア38が所定の間隔で取り付けられている。これらのフェライトコア38の一部(後述)を除く殆どは側面視でU字状を呈し、その両端部は上方に折曲され、外端部は加熱コイル6の径方向外側に位置する一方、内端部は加熱コイル6の径方向内側に位置している。
また、コイルベース8の下面には樹脂製の導光筒保持部材40が取り付けられており、この導光筒保持部材40に形成された金属ケース固定部40e(図5参照)に上述した赤外線センサ10が収容された金属ケース26の固定片26dを螺着することにより金属ケース26は導光筒保持部材40に取り付けられている。このとき、開口部26cに導光筒(導光部)42の下端を挿入し、導光筒42の下部外壁40fの下端と円環部40aの下面と、金属ケース26の上面が密着することにより、開口部26cから金属ケース26内に導かれる光は導光筒42を経路とするもののみとなる。
以下、導光筒保持部材40の構成について図4及び図5を参照しながら説明する。
導光筒保持部材40は所定の幅で環状に形成され加熱コイル6の下面に上面が当接する円環部40aを有している。円環部40aの下面の幅中間部には垂直下方に向かって設けられた凸状の補強リブ40hが一体的に形成される。円環部40aの前部の内周側には導光筒42、金属ケース固定部40e、及び導光筒下部外壁40fが一体的に形成される。円環部40aの前部で導光筒42の前方には外側径方向に所定の幅で配線係止部40cが突設され、その先端近傍に配線係止片40dが断面L形に一体的に形成される。円環部40aの下面には金属ケース固定部40eが導光筒42の近傍に下方に向け突設され、また導光筒保持部材固定部40gが3箇所分散して設けられている。円環部40aの後部には第1のサーミスタ保持部材44が垂直方向に一体的に形成されている。また、円環部40aの中央部、すなわち導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44との間で、加熱コイル6の中心部の直下の位置には第2のサーミスタ保持部材51の下部を覆う第2のサーミスタカバー46が第2のサーミスタカバー46と円環部40aとを連結する連結部材48とともに一体的に形成されている。第1及び第2のサーミスタ保持部材44、46には第1及び第2のサーミスタ50、52がそれぞれソレノイドコイル状に形成されたコイルスプリング53、55とともに収容され(図1参照)、第1及び第2のサーミスタ50、52は、赤外線センサ10と同様、コネクタ(図示せず)に接続されたリード線(図示せず)を介して制御部24aに接続されている。
なお、第1及び第2のサーミスタ50、52は調理容器Pの温度を熱伝導で検知する温度検知手段で、第1及び第2のサーミスタ保持部材44、51にそれぞれ収容された第1及び第2のサーミスタ50、52はコイルスプリング53、55によりトッププレート4に向かって付勢されている。第2のサーミスタ保持部材51は、コイルベース8及び連結部材49とともに樹脂で一体に成型され保持されるとともに、第2のサーミスタカバー46により下部を覆われ、冷却風が第2のサーミスタ保持部材51の下面のサーミスタ52の係止部を係止するための穴から第2のサーミスタ保持部材51内に入り込み第2のサーミスタ52を冷却しないようにしている。また、赤外線センサ10の方がサーミスタ50、52より過渡的な温度応答性に優れていることから、例えば、炒め物調理のように油量が少ない調理の場合において調理容器P底面が急激に温度上昇するようなときでも、赤外線センサ10の出力に応じて調理容器Pの底面の温度を高感度に測定でき、加熱コイル6の出力は油発火等が起こる直前に素早く低減されるとともに、野菜などの被調理物が投入され調理容器Pの温度が低下すると素早く出力を回復されるように制御される。しかしながら、赤外線センサ10の上方に調理容器Pが載置されていない等の理由で赤外線センサ10で調理容器Pの温度を検知できない場合や、赤外線センサ10が故障した場合のバックアップとして加熱コイル6の中心より後方の位置にサーミスタ50は設けられ、揚げ物調理時の油温自動設定の際の温度調整用として加熱コイル6中央のサーミスタ52は設けられている。
導光筒保持部材40の円環部40aの内縁部には上方に向かって凸状のリブ40bが一体的に形成されており、このリブ40bがコイルベース8の裏面に接着剤によって接着保持された複数のフェライトコア38の内端面に沿うように挿入され、導光筒保持部材40の円環部40aに複数設けられた導光筒保持部材固定部40gがコイルベース8に螺着されることで、フェライトコア38の内端部底面及び側面は導光筒保持部材40により保持及び位置規制されている。したがって、導光筒保持部材40はフェライトコアの機械的保持部材としての機能も果たしている。
なお、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44はその一部がリブ40bの外側に位置しているので、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44に対応するフェライトコア38の内端部は導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44と干渉しないように切り欠かれており、内端部が切り欠かれたフェライトコア38は他のフェライトコア38より短く、側面視でL字状を呈している。図3に示されるように、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44の上方に位置する浮力低減板32、断熱シート34及びマイカ板36の一部は、少なくとも調理容器Pから導光筒42の上部開口を形成する赤外線入射部43aを通り赤外線センサ10に入射する赤外線を遮断しないように、また、第1及び第2のサーミスタ50、52が貫通してトッププレート4裏面に接触できるように切り欠かれている。
また、導光筒42は断面外形が楕円形に形成されており、その内部は2分されて、加熱コイル6の中心側に調理容器Pから放射される赤外線を赤外線センサ10に導くための第1の導光筒42aが形成される。第1の導光筒は上端にトッププレートと対向する開口を形成する赤外線入射部43a、赤外線センサ10に向かって開口する下端の開口部43b、及び赤外線入射部43aと下端の開口部43bとの間の貫通穴であり赤外線を通過させ赤外線センサ10に受光させる光路43cを有している。また、第1の導光筒42aに対して加熱コイル6の外縁側近傍に位置し、さらに加熱コイル6の中心より手前側に発光体11から出射される光をトッププレート4に向かって導くための第2の導光筒(第2の導光部)42bが形成されている。したがって、赤外線センサ10と発光体11を収容した金属ケース26は、赤外線センサ10と発光体11が第1の導光筒42aと第2の導光筒42bの下端開口部43bにそれぞれ対向するように導光筒保持部材40に螺着されている。
なお、導光筒42の上端部には上方に延びる馬蹄形のリブ42cが導光筒42の上端部外周に沿って形成されその外側に所定幅の段部42dが配設されており、第2の導光筒42bの内部には発光体11から出射される光をトッププレート4近傍に配置される発光部56aに効率的に導き発光させて視認しやすくするための導光体56が収容されている。このように、導光体56の上端が発光部56aとなり、トッププレート4の裏面方向に光を照射する。図3に示すマイカ板36は、加熱コイル6の上に固定される際、マイカ板36に設けられた穴36aにリブ42cが嵌め込まれ、段部42dの上に穴36aの周囲の縁部が載置される。同様に半球容器状の第2のサーミスタ保持部材51の上端部において上方に延びる略環状のリブ51aとその外側の段部51bが形成されており、マイカ板36は、穴36bにリブ51aが嵌入され、穴36bの周囲の縁部が段部51bに載置される。
図5及び図6に示されるように、導光体56は円柱状に形成されており、その下部には第2の導光筒42bの下端部に形成された一対の切欠42fに嵌入し導光体56を第2の導光筒42bに係止するための一対の係止片56aが一体的に形成されている。この導光体56は、金属ケース26を導光筒保持部材40に取り付ける前に第2の導光筒42bに下方から挿入される。なお、図6は浮力低減板32、断熱シート34、マイカ板36の形状を省略して画いている。
以上のように構成された誘導加熱調理器Cについて、以下その動作、作用を説明する。
食材を調理容器Pに入れて本発明にかかる誘導加熱調理器Cで調理するに際し、誘導加熱調理器Cの電源スイッチ(図示せず)を投入すると、発光体11が発光してその出射光が導光体56に導かれて発光部56aから光が照射され、トッププレート4の赤外線透過窓4a内の発光面4bに照射される。したがって、使用者は赤外線表示窓4gの内にある赤外線透過窓4aの発光面4bの発光を視認することができ、発光面4bを塞ぐように調理容器Pをトッププレート4上に載置すれば、確実に赤外線透過窓4aを調理容器Pの底面で塞ぐことができ、赤外線センサ10が調理容器Pの底面から放射される赤外線を確実に受光することができる。また、発光面4bと加熱部5の中心との間に赤外線センサ10を配置するようにしているので、使用者は加熱部5の中心と発光面4bを目印に調理容器Pを置くため、より確実に赤外線センサ10の上面の赤外線透過窓4a上に調理容器Pは置かれることになる。特に周囲が暗い場合には、この発光面4bによって赤外線透過窓4aの位置を使用者に知らせることを効果的に行うことができる。
操作パネル28を操作して加熱開始が指示されると、制御部24aはインバータ電源30を介して加熱コイル6に高周波電流を供給する。加熱コイル6に高周波電流が供給されると、加熱コイル6は交流磁界を発生し、調理容器Pは誘導加熱によって温度が上昇する。調理容器Pの温度が上昇すると、ステファン・ボルツマンの法則に示されるように、調理容器Pは一般にその絶対温度の4剰に比例した赤外線エネルギーを放射する。調理容器Pから放射された赤外線は、赤外線透過窓4aと第1の導光筒42a内部を通過し、赤外線センサ10を覆うように設けられ不要な光を除去するためのフィルタ14を透過して赤外線センサ10に到達する。
また、調理容器Pの温度が高くなると、赤外線エネルギーを受けた赤外線センサ10の出力信号は大きくなり、上述したように、この出力信号は増幅器により増幅されて温度換算手段24bに入力され、温度換算手段24bで赤外線センサ10の出力信号を調理容器Pの温度に換算する。制御部24aは、換算された調理容器Pの温度があらかじめ設定された所定の温度を超えるとインバータ電源30から加熱コイル6に出力される高周波電流の供給を停止しあるいは高周波電流を低減するように調節する。
赤外線透過窓4aを加熱コイル6の内径近傍に設け、赤外線透過窓4aの下に赤外線入射部43aと発光部56aを近接して設け、加熱コイル6中心と発光部56aの中心とを結ぶ直線上で、加熱コイル6中心と発光部56aの中心の間に赤外線センサ10を備えることで、加熱コイル6の中心部上方より高温となる調理容器Pの部分が放射する赤外線を、赤外線センサ10に入射させることができ、かつ調理容器Pの中心を加熱コイル6中心に対して可能なだけ近づけて、発光部56aからの光の照射による発光面4bを調理容器Pの底面で覆うことができる。これにより、加熱コイル6と加熱容器Pの磁気結合を大きくしつつ、すなわち加熱効率を高めつつ赤外線透過窓4aの上に調理容器P底面が位置するようにさせることができる。したがって、加熱効率を高くしながら赤外線センサ10による調理容器Pの温度制御を確実に行うことが可能となり、調理容器Pの異常な発熱を抑制し安全性が向上するとともに、高温での調理を効率良く行うことができ使い勝手が向上する。
本実施の形態では、赤外線センサ表示窓4gの内側に赤外センサ表示窓4gより狭い遮光層7bで囲まれた赤外線透過窓4aを形成しているので、使用者に対しては赤外線センサ表示窓4gを大きく表示し、赤外線センサ位置を認識させることができるとともに赤外線透過窓4aの周囲は遮光層7bでしっかり遮光しているので誘導加熱調理器Cの周囲の強い光があっても赤外線センサ10に極めて入りにくいようにしているので、赤外線センサ10の調理容器Pから発生する赤外線に対する検出レベルが低下することを防止できる。
また、調理容器Pが赤外線センサ表示窓4gから多少ずれても赤外線透過窓4aの上面は鍋等の調理容器で塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器Pのずれに対しても温度制御を安定して行うことができ、使い勝手の良い誘導加熱調理器を提供することができる。
さらに、赤外線透過窓4aに光を透過する黒色薄膜印刷膜7cを用い、赤外線センサ表示窓4g内で赤外線透過窓4a以外の箇所に同色の黒色の遮光層7bを用いることで、赤外線センサ表示窓4g内が黒で同色化するので、使用者からは赤外線センサ表示窓4gが一つの構成要素と見え、視認性が向上するとともにデザイン的にも向上する。
また、トッププレート4は赤外線透過窓4aの少なくとも一部を取り囲む領域を表示する赤外線センサ表示窓4gを備え、発光部56aから出射された光は赤外線センサ表示窓4gの取り囲む領域内で視認できるようにしたので、使用者は発光面4bでの発光の意味や赤外線センサ10の存在を発光面4bと赤外線透過窓4aを関連付けることにより、容易に認識することができる。
また、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の中心より手前側に位置させるようにしたので、赤外線透過窓4aの近傍で加熱コイル6外縁側において発光させる発光部56aの光が、その上方に調理容器Pが位置していない場合に、調理人側から見て調理容器Pの側壁で隠れにくくなり、調理人がより容易に発光部分を視認することができる。
さらに、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の中心を通り本体前面と直交する直線(図7の直線D)上に位置させるようにしたので、赤外線透過窓4aの近傍で加熱コイル6外縁側において発光させる発光部56aの光が、その上方に調理容器Pが位置していない場合に、調理人側から見て調理容器Pの側壁で最も隠れにくくなり、調理人が最も容易に発光部分を視認することができ、より使い勝手を良くすることができる。
なお、本実施の形態では、有色薄膜印刷膜7aと黒色薄膜印刷膜7cとを塗り分けてトッププレート4に色をつけているが、有色薄膜印刷膜7aを所定の位置に予め印刷し、その上から黒色薄膜印刷膜7cを略全体に重ねて印刷しても良い。要は赤外線センサ表示窓4gの内側に赤外センサ表示窓4gより狭い遮光層7bで囲まれた赤外線透過窓4aを形成できればよい。
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態の誘導加熱調理器に設けられたトッププレートの部分平面図である。また、図8は同誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図であり、以下、実施の形態1の記載と同様な部分については、同じ符号を付け説明を省略する。
図7において、加熱部5を表示するトッププレート4の中央手前側の裏面には光を透過する黒色薄膜印刷膜7c(図8参照)が設けられ、赤外線センサ表示窓4gが形成されており、その平面形状は略長方形となっている。図8においてはAの範囲が赤外線センサ表示窓4gを示す。赤外線センサ表示窓4gには、その範囲内(内側)に第1の導光筒42aの上端の開口部を形成する赤外線入射部43aに対向する領域であって調理容器Pから放射され赤外線センサ10が受光する赤外線を透過できる赤外線透過窓4hが設けられている。また、赤外線透過窓4hの近傍手前には点灯窓4jが形成されており、発光部56aから出射された光が視認できる。赤外線透過窓4hおよび点灯窓4jの周囲は遮光部として遮光層7bで囲まれている。図8においてはB1の範囲が赤外線透過窓4hを、B2の範囲が点灯窓4j示す。なお、図8において、B2の点灯窓4jが導光体56の発光部56aより若干前側にずれているのは、前方で使用する使用者からの視野角を配慮しているためである。赤外線センサ表示窓4gの領域内において、第2の導光部42bの端部の発光が視認できる領域である点灯窓4jの手前側には「SENSOR」の文字が表示され、使用者は赤外線センサ表示窓4gが赤外線センサ10による温度測定用の領域を示す窓であること及び点灯窓4jが調理容器Pで覆うべき領域であることを容易に認識することができる。
この構成により、赤外線透過窓4hは赤外線センサ10のみの透過窓にすることができ、赤外線センサ10の周囲の遮光性が向上し、誘導加熱調理器Cの周囲の強い光に対する赤外線センサ10の影響をより低減できる。また、本実施の形態においては、点灯窓4jも赤外線透過窓4hと同じ印刷構成(光を透過する黒色薄膜印刷膜7c)で行い、結果として発光部56aが点灯しないと使用者は点灯窓4jを認識できないが、点灯窓4jの印刷を無くしたり、光を透過する茶色等の別色とすることで、発光部56aの点灯が無くても点灯窓4jの存在を使用者に認識させることができる。
(実施の形態3)
図9は、本発明の第3の実施の形態の誘導加熱調理器に設けられたトッププレートの部分平面図である。また、図10は同誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図であり、以下、実施の形態1の記載と同様な部分については、同じ符号を付け説明を省略する。
図9において、加熱部5を表示するトッププレート4の裏面には光を透過する黒色薄膜印刷膜7c(図10参照)が略全体に設けられている。トッププレートの表面には表印刷膜7dにて、ドット形状4kや文字等で部分的に設けられ、ドット形状4k印刷で赤外線センサ表示窓4nが形成されており、その平面形状は略長方形となっている。図10においてはAの範囲が赤外線センサ表示窓4nを示す。赤外線センサ表示窓4nには、その範囲内に第1の導光筒42aの上端の開口部を形成する赤外線入射部43aに対向する領域であって調理容器Pから放射され赤外線センサ10が受光する赤外線を透過できる赤外線透過窓4aが設けられている。図10においてはBの範囲が赤外線透過窓4aを示す。赤外線透過窓4aの周囲は遮光部として遮光層7bで囲まれている。また、赤外線透過窓4aには発光部56aから出射された光が視認できる発光面4bが含まれるように形成されている。
赤外線センサ表示窓4nの領域内において、第2の導光部42bの端部の発光が視認できる発光面4bの手前側には「SENSOR」の文字を表印刷膜7dで表示し、使用者は赤外線センサ表示窓4nが赤外線センサ10による温度測定用の領域を示す窓であること及び発光面4bが調理容器Pで覆うべき領域であることを容易に認識することができる。
この構成により、実施の形態1で使用していた有色薄膜印刷膜7aを無くして、安価な表印刷膜7dにより印刷を施し、赤外線センサ表示窓4nを形成でき、コスト低減できる。また、トッププレートの表面で印刷するので、裏面印刷と異なり視野角を変えても認識状態のずれが無い利点がある。
なお、本実施の形態において、ドット形状4kにて赤外線センサ表示窓4nの範囲を示したが、ライン形状にて赤外線センサ表示窓4nを示しても良く、要は使用者に認識できる示し方であれば良い。
また、実施の形態1〜3において、赤外線センサ表示窓の中にデザイン的な印刷を入れても良い。例えば、図11は実施の形態3の赤外線センサ表示窓4nの中にドット形状4mの印刷を施している。要は、赤外線センサ表示窓が使用者に認識できれば良い。
さらに、実施の形態1〜3において、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の内径近傍に設けたが、加熱コイル6の中心でも良く、要は赤外線センサ表示窓4gの内側に赤外センサ表示窓4gより狭い遮光層7bで囲まれた赤外線透過窓4aを形成することで同様の効果が得られる。
また、実施の形態1〜3において、遮光層7bは一層であるが、加熱部5の範囲を多重に遮光層7bを設ける等をすれば、誘導加熱調理器Cの周囲が特に明るい時でも、周囲の光が赤外線センサ10に入り、赤外線センサ10の検出レベルを低下させることを効果的に防止できる。
さらに、実施の形態1〜3において、赤外線センサ表示窓の内側に赤外線透過窓4aを形成しているが、赤外線センサ表示窓の後方側のみ、赤外線透過窓4aが赤外線センサ表示窓よりはみ出ても、性能低下にあまり影響しない。
以上のように、外郭を構成する本体2と、本体2の上部に取り付けられ赤外線を透過する材料で形成されたトッププレート4と、トッププレート4の下方に設けられ、トッププレート4に対向して配置され、交流磁界を発生してトッププレート4に載置された調理容器P底面を誘導加熱するための加熱コイル6と、赤外線透過窓4a、4hの下方に調理容器P底面から放射される赤外線を検出する赤外線センサ10と、トッププレート4と対向した開口部が形成された赤外線入射部43aを有し赤外線入射部43aから入射した赤外線を通過させ赤外線センサ10に受光させる光路43cが形成された第1の導光筒42a(導光部)と、トッププレート4裏面方向に向かって可視光を発する発光部56aと、赤外線センサ10の出力信号に基づいて加熱コイルの出力を制御する制御部24aとを備え、トッププレート4表面又は裏面に印刷されて、赤外線入射部43の存在する位置を領域により表示する赤外線センサ表示窓4g、4nを設け、赤外線センサ表示窓4g、4nの内側に赤外センサ表示窓4g、4nより狭い遮光層7b(遮光部)で囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓4a、4hを形成し、発光部を前記赤外線透過窓4a、4hの下方に設けて赤外線透過窓4a、4hの内側で前記発光部の発光が視認できるようにすることにより、赤外線センサ表示窓4g、4nの内側に赤外センサ表示窓4g、4nより狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓4a、4hが誘導加熱調理器の周囲の強い光(外乱光)が赤外線センサ10に入るのを抑制するので、外乱光によって、調理容器Pから発生する赤外線の検出機能が低下することを防止することができる。遮光層7bを黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすることにより、外乱光がトッププレート4内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部43から侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。
また、使用者に対しては赤外線センサ表示窓4g、4nを大きく表示し、赤外線センサ10の位置を明確に認識させることができる。また、調理容器Pが赤外線センサ表示窓4g、4nから多少ずれても赤外線透過窓4a、4hの上面は調理容器Pで塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器Pのずれに対しても温度制御を安定して行うことができ、使い勝手を良くすることができる。
さらに、点灯窓4jの裏面に発光部56aの発する光を照射して、赤外線透過窓4a、4hの内側で発光部の発光が視認できるようにすることで、使用者に赤外線センサの位置を正確に知らせ、赤外線センサ入射部43aを覆う位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。特に、周囲が暗い場合は、発光部56aにて赤外線センサ10の位置を知らせることは効果的である。
また、トッププレート4表面又は裏面に赤外線センサ表示窓4g、4nを設け、赤外線センサ表示窓4g、4nの内側に赤外センサ表示窓4g、4nより狭い遮光部7bで囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓4a、4hと点灯窓4jとを分離して形成し、点灯窓4jの下方に発光部を設け、点灯窓の裏面に前記発光部の発する光を照射することにより、赤外線透過窓4a、4hは発光部用の光透過窓と遮光部により独立して赤外線センサ専用の光透過窓にすることができ、赤外線入射部の上方周囲の遮光性が向上し、誘導加熱調理器の周囲の強い光に対する赤外線センサの影響をより低減できる。なお、遮光部を黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすれば、外乱光がトッププレート内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部から侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。
以上のように、本発明にかかる誘導加熱調理器は、使用者に赤外線センサの位置を知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえることが可能となり、確実に赤外線センサによる調理容器の温度制御ができて使い勝手が良いので、家庭用または業務用の誘導加熱調理器等の用途にも適用できる。
本発明は、調理容器を誘導加熱するとともに赤外線センサを用いて調理容器の温度を制御する誘導加熱調理器に関するものである。
近年、火を使わない調理器として誘導加熱調理器が広く普及している。この誘導加熱調理器は、加熱コイルの中央下方に赤外線センサを配置し、赤外線センサからの出力に応じて制御部によりインバータ回路を制御して加熱コイルの出力を制御している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記構成の誘導加熱調理器において、使用者が無意識に赤外線センサの上面を塞がないように調理容器を載置すると、赤外線センサで調理容器の温度を適正に検知できない。特に、誘導加熱調理器の周囲が暗い場合は、赤外線センサの位置を視認しづらいという問題がある。また、鍋等の調理容器の底面で一番温度が上がりやすいのは、最も磁束密度が高く加熱時の発熱が大きい加熱コイル巻線の最外周と最内周の中間部であり、その箇所に赤外線センサを配置すれば、温度追従性の良い誘導加熱調理器を提供することができるが、赤外線センサは加熱コイルの中心を外した位置に配置されることになり、使用者が調理容器を赤外線センサの上に載置しない可能性がさらに高くなり、赤外線センサで調理容器の温度を適正に検知できないことが増えることになるという課題を有していた。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、調理容器から放射される赤外線の赤外線センサへの入射領域を容易に視認できるようにして、確実に赤外線センサによる調理容器の温度制御ができる使い勝手の良い誘導加熱調理器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の誘導加熱調理器は、外郭を構成する本体と、前記本体の上部に取り付けられ調理容器を載置するためのトッププレートと、前記トップププレートに対向して前記トッププレートの下方に設けられ交流磁界を発生して調理容器を誘導加熱するための加熱コイルとを備え、前記トッププレート面に赤外線センサ表示窓を設け、前記赤外線センサ表示窓の内側に赤外線センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓を形成し、前記赤外線透過窓の下方に調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線センサと発光部とを具備して前記赤外線透過窓の内側で前記発光部の発光が視認できるようにし、前記赤外線センサの出力信号に基づいて前記加熱コイルの出力を制御する制御部を設けたものである。
本発明の誘導加熱調理器は、赤外線センサ表示窓の内側に赤外線センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓を形成し、赤外線透過窓の下方に調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線センサを備え、赤外線センサの上面のみ、光を透す赤外線透過窓を設けることで、誘導加熱調理器の周囲の強い光が赤外線センサに入って鍋等の調理容器から発生する赤外線の検出レベルが低下することを防止するとともに使用者に対しては赤外線センサ表示窓を大きく表示し、赤外線センサ位置を認識させることができる。また、鍋等の調理容器が赤外線センサ表示窓から多少ずれても赤外線透過窓の上面は鍋等の調理容器で塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器のずれに対しても温度制御を安定して行うことができて、使い勝手を良くすることができる。
さらに、発光部により、使用者に赤外線センサの位置を知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。特に、周囲が暗い場合は、発光部にて赤外線センサの位置を知らせることは効果的である。
図1は本発明にかかる誘導加熱調理器の概略断面図
図2は図1の誘導加熱調理器に設けられたトッププレートの部分平面図
図3は図1の誘導加熱調理器の要部分解斜視図
図4は図1の誘導加熱調理器に設けられた導光筒保持部材の分解斜視図
図5は図4の導光筒保持部材を下から見た場合の分解斜視図
図6は図1の誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図
図7は実施の形態2のトッププレートの部分平面図
図8は図7の誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図
図9は実施の形態3のトッププレートの部分平面図
図10は図9の誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図
図11はその他の実施の形態のトッププレートの部分平面図
第1の発明は、外郭を構成する本体と、前記本体の上部に取り付けられ赤外線を透過する材料で形成されたトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレートに対向して配置され、交流磁界を発生して前記トッププレートに載置された調理容器底面を誘導加熱するための加熱コイルと、前記赤外線透過窓の下方に前記調理容器底面から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、前記トッププレートと対向した開口部が形成された赤外線入射部を有し前記赤外線入射部から入射した前記赤外線を通過させ前記赤外線センサに受光させる光路が形成された導光部と、前記トッププレート裏面方向に向かって可視光を発する発光部と、前記赤外線センサの出力信号に基づいて前記加熱コイルの出力を制御する制御部とを備え、前記トッププレート表面又は裏面に印刷されて、前記赤外線入射部の存在する位置を領域により表示する赤外線センサ表示窓を設け、前記赤外線センサ表示窓の内側に赤外線センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓を形成し、前記発光部を前記赤外線透過窓の下方に設けて前記赤外線透過窓の内側で前記発光部の発光が視認できるようにすることにより、赤外線センサ表示窓の内側に赤外線センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓が誘導加熱調理器の周囲の強い光(外乱光)が赤外線センサに入るのを抑制するので、外乱光によって、鍋等の調理容器から発生する赤外線の検出機能が低下することを防止することができる。遮光部を黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすることにより、外乱光がトッププレート内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部から侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。また、使用者に対しては赤外線センサ表示窓を大きく表示し、赤外線センサ位置を明確に認識させることができる。また、鍋等の調理容器が赤外線センサ表示窓から多少ずれても赤外線透過窓の上面は鍋等の調理容器で塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器のずれに対しても温度制御を安定して行うことができ、使い勝手を良くすることができる。
さらに、前記点灯窓の裏面に前記発光部の発する光を照射して、赤外線透過窓の内側で発光部の発光が視認できるようにすることで、使用者に赤外線センサの位置を正確に知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。特に、周囲が暗い場合は、発光部にて赤外線センサの位置を知らせることは効果的である。
第2の発明は、外郭を構成する本体と、前記本体の上部に取り付けられ赤外線を透過する材料で形成されたトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレートに対向して配置され、交流磁界を発生して前記トッププレートに載置された調理容器底面を誘導加熱するための加熱コイルと、前記赤外線透過窓の下方に前記調理容器底面から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、前記トッププレートと対向した開口部が形成された赤外線入射部を有し前記赤外線入射部から入射した前記赤外線を通過させ前記赤外線センサに受光させる光路が形成された導光部と、前記トッププレート裏面方向に向かって可視光を発する発光部と、前記トッププレート表面又は裏面に赤外線センサ表示窓を設け、前記赤外線センサ表示窓の内側に赤外線センサ表示窓より狭い遮光部で囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓と点灯窓とを分離して形成し、前記点灯窓の下方に発光部を設け、前記点灯窓の裏面に前記発光部の発する光を照射することにより、赤外線透過窓は発光部用の光透過窓と遮光部により独立して赤外線センサ専用の光透過窓にすることができ、赤外線入射部の上方周囲の遮光性が向上し、誘導加熱調理器の周囲の強い光に対する赤外線センサの影響をより低減できる。なお、遮光部を黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすれば、外乱光がトッププレート内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部から侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。
また、発光部に対しては専用の点灯窓となっているが、点灯窓は赤外線センサ表示窓の中にあり、使用者から見れば、赤外線センサの位置を点灯していると感じられ、使用者に赤外線センサの位置を知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明にかかる誘導加熱調理器Cの概略断面図であり、図1に示されるように、本発明にかかる誘導加熱調理器Cは、外郭を構成する本体2と、本体2の上部に取り付けられ鍋等の調理容器Pが載置されるトッププレート4と、トッププレート4の下方に設けられ高周波磁界を発生させる略円盤状の加熱コイル6とを備えている。
トッププレート4は光を透過する結晶化セラミック等の絶縁体を材料として板状に形成され、その裏面または表面に加熱コイル6上面に対向した円形状の領域が表示されるように銀色等の有色薄膜印刷膜7a(図6参照)を形成することにより調理容器Pを載置する範囲が表示された加熱部5が設けられる(図2参照)。加熱部5の領域を表示する印刷抜き部4cは、印刷膜7aが形成されていない部分により所定幅の線で円形に形成されており、印刷膜7aの外側(下面)の層には、光透過率が略ゼロの遮光部として黒色の遮光層7b(図6参照)が印刷膜7aと略同等範囲に印刷で形成されている。なお、線状の印刷抜き部4cを周囲と異なる色としても良い。例えば、図2に示すように加熱コイル6上部に印刷膜7aで形成された円形状の印刷部4d及び加熱コイル6上部以外の印刷部4eを銀色とし、印刷抜き部4cに透明または半透明の黒色、茶色等の印刷膜を形成してもよい。また、加熱コイル6の外周より外側(横方向)に放射状で所定の長さのスリット部4fを複数設け、加熱部5の領域を表示してもよい。スリット部4fを光透過可能に形成し、またはトッププレート4の加熱コイル6周囲を光透過可能に構成し、その下方に環状で線状の発光部(図示せず)を設け、スリット部4fまたは加熱コイル6周囲で発光させて加熱部5の領域を表示してもよい。印刷部4d、印刷抜き部4c、スリット部4fの形状は、いずれも加熱部5の範囲を表示するものであり、任意に1つ以上選択して加熱部5の範囲を表示してよい。
加熱部5を表示するトッププレート4の中央手前側の裏面には光を透過する黒色薄膜印刷膜7cが設けられ、赤外線センサ表示窓4g(図2参照)が形成されており、その平面形状は略長方形となっている。図6においてはAの範囲が赤外線センサ表示窓4gを示す。赤外線センサ表示窓4gには、その範囲内(内側)に後述する第1の導光筒42a(図6参照)の上端の開口部に対向する領域であって調理容器Pから放射され赤外線センサ10が受光する赤外線を透過できる赤外線透過窓4aが設けられている。図6においてはBの範囲が赤外線透過窓4aを示す。赤外線透過窓4aの周囲は遮光部として遮光層7bで囲まれている。また、赤外線透過窓4aには後述する発光体、例えば、LED11から出射された光が発光部56aで照射されて、トッププレート4を見たとき視認できる発光面4bが含まれるように形成されている。
赤外線センサ表示窓4gの領域内において、第2の導光部42bの端部の発光が視認できる発光面4bの手前側には「SENSOR」の文字が表示され、使用者は赤外線センサ表示窓4gが赤外線センサ10による温度測定用の領域を示す窓であること及び発光面4bが調理容器Pで覆うべき領域であることを容易に認識することができる。
加熱コイル6は耐熱樹脂等で形成されたコイルベース8に載置され、複数の棒状のコイルホルダ9が加熱コイル6の外周部でコイルベース8に螺着されることでコイルホルダ9の先端部により加熱コイル6の内周部が押さえられて保持されており、コイルベース8の下方には、加熱コイル6の中心から手前側(調理人側から見て、以下同様)に位置する調理容器P底部の温度を検知する赤外線センサ10とトッププレート4に向かって光を出射する発光部56aとが設けられ、その位置関係は上方から見て発光部56aの中心と加熱コイル6の中心とを結ぶ直線D上で、発光部56aの中心と加熱コイル6の中心の間に赤外線センサ10の光を入光する赤外線入射部43aの中心を配置するようにしている。また、赤外線入射部43aの中心は、直線Dの近傍にあっても良いが、赤外線入射部43aの少なくとも一部が直線D上にあることが好ましい。この世に構成することで、調理容器Pで発光部56aの上を覆うことで、より確実に赤外線入射部43aを調理容器Pで覆うことができる。赤外線センサ10と発光体11は基板(印刷配線板)12上に設置され他の電気部品と電気的に接続している。
トッププレート4の赤外線透過窓4a(図6参照)は、上方から見て加熱コイル6の内縁部の内側近傍において加熱コイル6の径方向内側で加熱コイル6の中心とは異なる部位に設けられており、赤外線入射部43aと発光部56aは赤外線透過窓4aの真下に位置している。
なお、加熱コイル6を内コイルと外コイルの分割巻き構成とし、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の外縁部の内側で、内コイルと外コイルとの間の直下に配置することもできる。
また、赤外線センサ10の上方には可視光の透過を抑制するための平板状のフィルタ14が設けられるとともに、赤外線センサ10の周囲にも可視光の透過を抑制するための側壁16が設けられている。フィルタ14は、赤外線センサ10の周囲を囲繞する側壁16を介して基板12上の赤外線センサ10を覆うように基板12上に取り付けられており、赤外線センサ10の真上に位置するフィルタ14には赤外線センサ10の視野を絞る、すなわち調理容器Pから放射され赤外線透過窓4aから第1の導光筒42a内面で反射せず直接赤外線センサ10に入射する赤外線の量を増加させるための凸レンズ18が一体的に形成されている。
また、基板12上には赤外線センサ10からの出力信号を増幅する増幅器(図示せず)等も設けられ、赤外線センサ10からの出力信号は増幅器で増幅されて、コネクタ20に接続されたリード線22と、増幅された赤外線センサ10の出力信号を調理容器の温度に換算する温度換算手段24bを介して制御部24aに接続されている。制御部24aと温度換算手段24bは制御基板24上で構成されている。なお、温度換算手段24bは基板12上に構成してもよい。さらに、制御基板24の前方には加熱調理器Cを操作する操作パネル28が設けられている。
また、赤外線センサ10と発光体11を載置する基板12はアルミニウム、非磁性ステンレスまたは鉄板等の金属で形成された金属ケース26に収容されており、金属ケース26の上面における赤外線センサ10の受光面と発光体11の光の出射面に対向する部分には調理容器Pからの赤外線を通過させるとともに発光体11から出射された光を通過させるための開口部26cが形成されている。第1の導光筒(第1の導光部)42aの下端は、金属ケース26の上面より下方に位置し、フィルタ14に近接するようにして赤外線透過窓4aからの赤外線が赤外線センサ10に入射される比率を高めている。また、開口部26c周囲の金属ケース26の上面が、金属ケース26が固定される導光筒保持部材(導光部保持部材)40の下面に密着して金属ケース26と導光筒保持部材40の間の隙間から光が侵入しないようになっている。金属ケース26は、金属ケース上26aと金属ケース下26bとを嵌合させることにより組み立てられる。金属ケース上26aと金属ケース下26bは、それぞれ金属板を折り曲げて形成されている。また、金属ケース上26aの一部を外側に折り曲げて固定片26dを形成している。また、金属ケース上26aの一部が内側に折り曲げられた係止片(図示せず)に、基板12が螺着され固定されている。
また、発光部56aから出射された光が通過するトッププレート4の一部は使用者が発光体11から導かれて発光部56aから照射される光を視認できる領域である発光面4b(図6参照)となっており、真上から見る場合は発光面4bは発光部56aの真上に位置し、使用者が手前側から斜視すると視差により発光部56aの真上から手前側に位置することになる。
操作パネル28を操作して加熱操作が指示されると、赤外線センサ10からの出力信号は温度換算手段24bにより調理容器Pの温度に換算されるが、温度換算手段24bを設けることなく赤外線センサ10の出力信号を温度情報として制御部24aに直接出力するようにしてもよい。換算された温度または赤外線センサ10の出力信号に基づいて制御部24aは加熱コイル6に高周波電力を供給するインバータ電源30を制御し、調理容器Pの温度を所定の温度または所定の温度以下に調節する。
図2及び図3に示されるように、コイルベース8に載置し保持された加熱コイル6の上方には、上から順に厚みが0.5〜1.5mm程度のアルミニウム製の板で形成され、アルミニウム製の調理容器Pを加熱した場合に調理容器Pに働く浮力を低減するための浮力低減板32と、厚みが略2mmでセラミックファイバー製の断熱材である断熱シート34と、厚みが略0.5mmの電気絶縁板であるマイカ板36が載置されており、コイルベース8の下面には、加熱コイル6からその裏面側への磁束を加熱コイル6近傍に集中するための放射状に延びる複数のフェライトコア38が所定の間隔で取り付けられている。これらのフェライトコア38の一部(後述)を除く殆どは側面視でU字状を呈し、その両端部は上方に折曲され、外端部は加熱コイル6の径方向外側に位置する一方、内端部は加熱コイル6の径方向内側に位置している。
また、コイルベース8の下面には樹脂製の導光筒保持部材40が取り付けられており、この導光筒保持部材40に形成された金属ケース固定部40e(図5参照)に上述した赤外線センサ10が収容された金属ケース26の固定片26dを螺着することにより金属ケース26は導光筒保持部材40に取り付けられている。このとき、開口部26cに導光筒(導光部)42の下端を挿入し、導光筒42の下部外壁40fの下端と円環部40aの下面と、金属ケース26の上面が密着することにより、開口部26cから金属ケース26内に導かれる光は導光筒42を経路とするもののみとなる。
以下、導光筒保持部材40の構成について図4及び図5を参照しながら説明する。
導光筒保持部材40は所定の幅で環状に形成され加熱コイル6の下面に上面が当接する円環部40aを有している。円環部40aの下面の幅中間部には垂直下方に向かって設けられた凸状の補強リブ40hが一体的に形成される。円環部40aの前部の内周側には導光筒42、金属ケース固定部40e、及び導光筒下部外壁40fが一体的に形成される。円環部40aの前部で導光筒42の前方には外側径方向に所定の幅で配線係止部40cが突設され、その先端近傍に配線係止片40dが断面L形に一体的に形成される。円環部40aの下面には金属ケース固定部40eが導光筒42の近傍に下方に向け突設され、また導光筒保持部材固定部40gが3箇所分散して設けられている。円環部40aの後部には第1のサーミスタ保持部材44が垂直方向に一体的に形成されている。また、円環部40aの中央部、すなわち導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44との間で、加熱コイル6の中心部の直下の位置には第2のサーミスタ保持部材51の下部を覆う第2のサーミスタカバー46が第2のサーミスタカバー46と円環部40aとを連結する連結部材48とともに一体的に形成されている。第1及び第2のサーミスタ保持部材44、46には第1及び第2のサーミスタ50、52がそれぞれソレノイドコイル状に形成されたコイルスプリング53、55とともに収容され(図1参照)、第1及び第2のサーミスタ50、52は、赤外線センサ10と同様、コネクタ(図示せず)に接続されたリード線(図示せず)を介して制御部24aに接続されている。
なお、第1及び第2のサーミスタ50、52は調理容器Pの温度を熱伝導で検知する温度検知手段で、第1及び第2のサーミスタ保持部材44、51にそれぞれ収容された第1及び第2のサーミスタ50、52はコイルスプリング53、55によりトッププレート4に向かって付勢されている。第2のサーミスタ保持部材51は、コイルベース8及び連結部材49とともに樹脂で一体に成型され保持されるとともに、第2のサーミスタカバー46により下部を覆われ、冷却風が第2のサーミスタ保持部材51の下面のサーミスタ52の係止部を係止するための穴から第2のサーミスタ保持部材51内に入り込み第2のサーミスタ52を冷却しないようにしている。また、赤外線センサ10の方がサーミスタ50、52より過渡的な温度応答性に優れていることから、例えば、炒め物調理のように油量が少ない調理の場合において調理容器P底面が急激に温度上昇するようなときでも、赤外線センサ10の出力に応じて調理容器Pの底面の温度を高感度に測定でき、加熱コイル6の出力は油発火等が起こる直前に素早く低減されるとともに、野菜などの被調理物が投入され調理容器Pの温度が低下すると素早く出力を回復されるように制御される。しかしながら、赤外線センサ10の上方に調理容器Pが載置されていない等の理由で赤外線センサ10で調理容器Pの温度を検知できない場合や、赤外線センサ10が故障した場合のバックアップとして加熱コイル6の中心より後方の位置にサーミスタ50は設けられ、揚げ物調理時の油温自動設定の際の温度調整用として加熱コイル6中央のサーミスタ52は設けられている。
導光筒保持部材40の円環部40aの内縁部には上方に向かって凸状のリブ40bが一体的に形成されており、このリブ40bがコイルベース8の裏面に接着剤によって接着保持された複数のフェライトコア38の内端面に沿うように挿入され、導光筒保持部材40の円環部40aに複数設けられた導光筒保持部材固定部40gがコイルベース8に螺着されることで、フェライトコア38の内端部底面及び側面は導光筒保持部材40により保持及び位置規制されている。したがって、導光筒保持部材40はフェライトコアの機械的保持部材としての機能も果たしている。
なお、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44はその一部がリブ40bの外側に位置しているので、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44に対応するフェライトコア38の内端部は導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44と干渉しないように切り欠かれており、内端部が切り欠かれたフェライトコア38は他のフェライトコア38より短く、側面視でL字状を呈している。図3に示されるように、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44の上方に位置する浮力低減板32、断熱シート34及びマイカ板36の一部は、少なくとも調理容器Pから導光筒42の上部開口を形成する赤外線入射部43aを通り赤外線センサ10に入射する赤外線を遮断しないように、また、第1及び第2のサーミスタ50、52が貫通してトッププレート4裏面に接触できるように切り欠かれている。
また、導光筒42は断面外形が楕円形に形成されており、その内部は2分されて、加熱コイル6の中心側に調理容器Pから放射される赤外線を赤外線センサ10に導くための第1の導光筒42aが形成される。第1の導光筒は上端にトッププレートと対向する開口を形成する赤外線入射部43a、赤外線センサ10に向かって開口する下端の開口部43b、及び赤外線入射部43aと下端の開口部43bとの間の貫通穴であり赤外線を通過させ赤外線センサ10に受光させる光路43cを有している。また、第1の導光筒42aに対して加熱コイル6の外縁側近傍に位置し、さらに加熱コイル6の中心より手前側に発光体11から出射される光をトッププレート4に向かって導くための第2の導光筒(第2の導光部)42bが形成されている。したがって、赤外線センサ10と発光体11を収容した金属ケース26は、赤外線センサ10と発光体11が第1の導光筒42aと第2の導光筒42bの下端開口部43bにそれぞれ対向するように導光筒保持部材40に螺着されている。
なお、導光筒42の上端部には上方に延びる馬蹄形のリブ42cが導光筒42の上端部外周に沿って形成されその外側に所定幅の段部42dが配設されており、第2の導光筒42bの内部には発光体11から出射される光をトッププレート4近傍に配置される発光部56aに効率的に導き発光させて視認しやすくするための導光体56が収容されている。このように、導光体56の上端が発光部56aとなり、トッププレート4の裏面方向に光を照射する。図3に示すマイカ板36は、加熱コイル6の上に固定される際、マイカ板36に設けられた穴36aにリブ42cが嵌め込まれ、段部42dの上に穴36aの周囲の縁部が載置される。同様に半球容器状の第2のサーミスタ保持部材51の上端部において上方に延びる略環状のリブ51aとその外側の段部51bが形成されており、マイカ板36は、穴36bにリブ51aが嵌入され、穴36bの周囲の縁部が段部51bに載置される。
図5及び図6に示されるように、導光体56は円柱状に形成されており、その下部には第2の導光筒42bの下端部に形成された一対の切欠42fに嵌入し導光体56を第2の導光筒42bに係止するための一対の係止片56bが一体的に形成されている。この導光体56は、金属ケース26を導光筒保持部材40に取り付ける前に第2の導光筒42bに下方から挿入される。なお、図6は浮力低減板32、断熱シート34、マイカ板36の形状を省略して画いている。
以上のように構成された誘導加熱調理器Cについて、以下その動作、作用を説明する。
食材を調理容器Pに入れて本発明にかかる誘導加熱調理器Cで調理するに際し、誘導加熱調理器Cの電源スイッチ(図示せず)を投入すると、発光体11が発光してその出射光が導光体56に導かれて発光部56aから光が照射され、トッププレート4の赤外線透過窓4a内の発光面4bに照射される。したがって、使用者は赤外線表示窓4gの内にある赤外線透過窓4aの発光面4bの発光を視認することができ、発光面4bを塞ぐように調理容器Pをトッププレート4上に載置すれば、確実に赤外線透過窓4aを調理容器Pの底面で塞ぐことができ、赤外線センサ10が調理容器Pの底面から放射される赤外線を確実に受光することができる。また、発光面4bと加熱部5の中心との間に赤外線センサ10を配置するようにしているので、使用者は加熱部5の中心と発光面4bを目印に調理容器Pを置くため、より確実に赤外線センサ10の上面の赤外線透過窓4a上に調理容器Pは置かれることになる。特に周囲が暗い場合には、この発光面4bによって赤外線透過窓4aの位置を使用者に知らせることを効果的に行うことができる。
操作パネル28を操作して加熱開始が指示されると、制御部24aはインバータ電源30を介して加熱コイル6に高周波電流を供給する。加熱コイル6に高周波電流が供給されると、加熱コイル6は交流磁界を発生し、調理容器Pは誘導加熱によって温度が上昇する。調理容器Pの温度が上昇すると、ステファン・ボルツマンの法則に示されるように、調理容器Pは一般にその絶対温度の4剰に比例した赤外線エネルギーを放射する。調理容器Pから放射された赤外線は、赤外線透過窓4aと第1の導光筒42a内部を通過し、赤外線センサ10を覆うように設けられ不要な光を除去するためのフィルタ14を透過して赤外線センサ10に到達する。
また、調理容器Pの温度が高くなると、赤外線エネルギーを受けた赤外線センサ10の出力信号は大きくなり、上述したように、この出力信号は増幅器により増幅されて温度換算手段24bに入力され、温度換算手段24bで赤外線センサ10の出力信号を調理容器Pの温度に換算する。制御部24aは、換算された調理容器Pの温度があらかじめ設定された所定の温度を超えるとインバータ電源30から加熱コイル6に出力される高周波電流の供給を停止しあるいは高周波電流を低減するように調節する。
赤外線透過窓4aを加熱コイル6の内径近傍に設け、赤外線透過窓4aの下に赤外線入射部43aと発光部56aを近接して設け、加熱コイル6中心と発光部56aの中心とを結ぶ直線上で、加熱コイル6中心と発光部56aの中心の間に赤外線センサ10を備えることで、加熱コイル6の中心部上方より高温となる調理容器Pの部分が放射する赤外線を、赤外線センサ10に入射させることができ、かつ調理容器Pの中心を加熱コイル6中心に対して可能なだけ近づけて、発光部56aからの光の照射による発光面4bを調理容器Pの底面で覆うことができる。これにより、加熱コイル6と加熱容器Pの磁気結合を大きくしつつ、すなわち加熱効率を高めつつ赤外線透過窓4aの上に調理容器P底面が位置するようにさせることができる。したがって、加熱効率を高くしながら赤外線センサ10による調理容器Pの温度制御を確実に行うことが可能となり、調理容器Pの異常な発熱を抑制し安全性が向上するとともに、高温での調理を効率良く行うことができ使い勝手が向上する。
本実施の形態では、赤外線センサ表示窓4gの内側に赤外線センサ表示窓4gより狭い遮光層7bで囲まれた赤外線透過窓4aを形成しているので、使用者に対しては赤外線センサ表示窓4gを大きく表示し、赤外線センサ位置を認識させることができるとともに赤外線透過窓4aの周囲は遮光層7bでしっかり遮光しているので誘導加熱調理器Cの周囲の強い光があっても赤外線センサ10に極めて入りにくいようにしているので、赤外線センサ10の調理容器Pから発生する赤外線に対する検出レベルが低下することを防止できる。
また、調理容器Pが赤外線センサ表示窓4gから多少ずれても赤外線透過窓4aの上面は鍋等の調理容器で塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器Pのずれに対しても温度制御を安定して行うことができ、使い勝手の良い誘導加熱調理器を提供することができる。
さらに、赤外線透過窓4aに光を透過する黒色薄膜印刷膜7cを用い、赤外線センサ表示窓4g内で赤外線透過窓4a以外の箇所に同色の黒色の遮光層7bを用いることで、赤外線センサ表示窓4g内が黒で同色化するので、使用者からは赤外線センサ表示窓4gが一つの構成要素と見え、視認性が向上するとともにデザイン的にも向上する。
また、トッププレート4は赤外線透過窓4aの少なくとも一部を取り囲む領域を表示する赤外線センサ表示窓4gを備え、発光部56aから出射された光は赤外線センサ表示窓4gの取り囲む領域内で視認できるようにしたので、使用者は発光面4bでの発光の意味や赤外線センサ10の存在を発光面4bと赤外線透過窓4aを関連付けることにより、容易に認識することができる。
また、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の中心より手前側に位置させるようにしたので、赤外線透過窓4aの近傍で加熱コイル6外縁側において発光させる発光部56aの光が、その上方に調理容器Pが位置していない場合に、調理人側から見て調理容器Pの側壁で隠れにくくなり、調理人がより容易に発光部分を視認することができる。
さらに、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の中心を通り本体前面と直交する直線(図7の直線D)上に位置させるようにしたので、赤外線透過窓4aの近傍で加熱コイル6外縁側において発光させる発光部56aの光が、その上方に調理容器Pが位置していない場合に、調理人側から見て調理容器Pの側壁で最も隠れにくくなり、調理人が最も容易に発光部分を視認することができ、より使い勝手を良くすることができる。
なお、本実施の形態では、有色薄膜印刷膜7aと黒色薄膜印刷膜7cとを塗り分けてトッププレート4に色をつけているが、有色薄膜印刷膜7aを所定の位置に予め印刷し、その上から黒色薄膜印刷膜7cを略全体に重ねて印刷しても良い。要は赤外線センサ表示窓4gの内側に赤外線センサ表示窓4gより狭い遮光層7bで囲まれた赤外線透過窓4aを形成できればよい。
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態の誘導加熱調理器に設けられたトッププレートの部分平面図である。また、図8は同誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図であり、以下、実施の形態1の記載と同様な部分については、同じ符号を付け説明を省略する。
図7において、加熱部5を表示するトッププレート4の中央手前側の裏面には光を透過する黒色薄膜印刷膜7c(図8参照)が設けられ、赤外線センサ表示窓4gが形成されており、その平面形状は略長方形となっている。図8においてはAの範囲が赤外線センサ表示窓4gを示す。赤外線センサ表示窓4gには、その範囲内(内側)に第1の導光筒42aの上端の開口部を形成する赤外線入射部43aに対向する領域であって調理容器Pから放射され赤外線センサ10が受光する赤外線を透過できる赤外線透過窓4hが設けられている。また、赤外線透過窓4hの近傍手前には点灯窓4jが形成されており、発光部56aから出射された光が視認できる。赤外線透過窓4hおよび点灯窓4jの周囲は遮光部として遮光層7bで囲まれている。図8においてはB1の範囲が赤外線透過窓4hを、B2の範囲が点灯窓4j示す。なお、図8において、B2の点灯窓4jが導光体56の発光部56aより若干前側にずれているのは、前方で使用する使用者からの視野角を配慮しているためである。赤外線センサ表示窓4gの領域内において、第2の導光部42bの端部の発光が視認できる領域である点灯窓4jの手前側には「SENSOR」の文字が表示され、使用者は赤外線センサ表示窓4gが赤外線センサ10による温度測定用の領域を示す窓であること及び点灯窓4jが調理容器Pで覆うべき領域であることを容易に認識することができる。
この構成により、赤外線透過窓4hは赤外線センサ10のみの透過窓にすることができ、赤外線センサ10の周囲の遮光性が向上し、誘導加熱調理器Cの周囲の強い光に対する赤外線センサ10の影響をより低減できる。また、本実施の形態においては、点灯窓4jも赤外線透過窓4hと同じ印刷構成(光を透過する黒色薄膜印刷膜7c)で行い、結果として発光部56aが点灯しないと使用者は点灯窓4jを認識できないが、点灯窓4jの印刷を無くしたり、光を透過する茶色等の別色とすることで、発光部56aの点灯が無くても点灯窓4jの存在を使用者に認識させることができる。
(実施の形態3)
図9は、本発明の第3の実施の形態の誘導加熱調理器に設けられたトッププレートの部分平面図である。また、図10は同誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大図であり、以下、実施の形態1の記載と同様な部分については、同じ符号を付け説明を省略する。
図9において、加熱部5を表示するトッププレート4の裏面には光を透過する黒色薄膜印刷膜7c(図10参照)が略全体に設けられている。トッププレートの表面には表印刷膜7dにて、ドット形状4kや文字等で部分的に設けられ、ドット形状4k印刷で赤外線センサ表示窓4nが形成されており、その平面形状は略長方形となっている。図10においてはAの範囲が赤外線センサ表示窓4nを示す。赤外線センサ表示窓4nには、その範囲内に第1の導光筒42aの上端の開口部を形成する赤外線入射部43aに対向する領域であって調理容器Pから放射され赤外線センサ10が受光する赤外線を透過できる赤外線透過窓4aが設けられている。図10においてはBの範囲が赤外線透過窓4aを示す。赤外線透過窓4aの周囲は遮光部として遮光層7bで囲まれている。また、赤外線透過窓4aには発光部56aから出射された光が視認できる発光面4bが含まれるように形成されている。
赤外線センサ表示窓4nの領域内において、第2の導光部42bの端部の発光が視認できる発光面4bの手前側には「SENSOR」の文字を表印刷膜7dで表示し、使用者は赤外線センサ表示窓4nが赤外線センサ10による温度測定用の領域を示す窓であること及び発光面4bが調理容器Pで覆うべき領域であることを容易に認識することができる。
この構成により、実施の形態1で使用していた有色薄膜印刷膜7aを無くして、安価な表印刷膜7dにより印刷を施し、赤外線センサ表示窓4nを形成でき、コスト低減できる。また、トッププレートの表面で印刷するので、裏面印刷と異なり視野角を変えても認識状態のずれが無い利点がある。
なお、本実施の形態において、ドット形状4kにて赤外線センサ表示窓4nの範囲を示したが、ライン形状にて赤外線センサ表示窓4nを示しても良く、要は使用者に認識できる示し方であれば良い。
また、実施の形態1〜3において、赤外線センサ表示窓の中にデザイン的な印刷を入れても良い。例えば、図11は実施の形態3の赤外線センサ表示窓4nの中にドット形状4mの印刷を施している。要は、赤外線センサ表示窓が使用者に認識できれば良い。
さらに、実施の形態1〜3において、赤外線透過窓4aを加熱コイル6の内径近傍に設けたが、加熱コイル6の中心でも良く、要は赤外線センサ表示窓4gの内側に赤外線センサ表示窓4gより狭い遮光層7bで囲まれた赤外線透過窓4aを形成することで同様の効果が得られる。
また、実施の形態1〜3において、遮光層7bは一層であるが、加熱部5の範囲を多重に遮光層7bを設ける等をすれば、誘導加熱調理器Cの周囲が特に明るい時でも、周囲の光が赤外線センサ10に入り、赤外線センサ10の検出レベルを低下させることを効果的に防止できる。
さらに、実施の形態1〜3において、赤外線センサ表示窓の内側に赤外線透過窓4aを形成しているが、赤外線センサ表示窓の後方側のみ、赤外線透過窓4aが赤外線センサ表示窓よりはみ出ても、性能低下にあまり影響しない。
以上のように、外郭を構成する本体2と、本体2の上部に取り付けられ赤外線を透過する材料で形成されたトッププレート4と、トッププレート4の下方に設けられ、トッププレート4に対向して配置され、交流磁界を発生してトッププレート4に載置された調理容器P底面を誘導加熱するための加熱コイル6と、赤外線透過窓4a、4hの下方に調理容器P底面から放射される赤外線を検出する赤外線センサ10と、トッププレート4と対向した開口部が形成された赤外線入射部43aを有し赤外線入射部43aから入射した赤外線を通過させ赤外線センサ10に受光させる光路43cが形成された第1の導光筒42a(導光部)と、トッププレート4裏面方向に向かって可視光を発する発光部56aと、赤外線センサ10の出力信号に基づいて加熱コイルの出力を制御する制御部24aとを備え、トッププレート4表面又は裏面に印刷されて、赤外線入射部43aの存在する位置を領域により表示する赤外線センサ表示窓4g、4nを設け、赤外線センサ表示窓4g、4nの内側に赤外線センサ表示窓4g、4nより狭い遮光層7b(遮光部)で囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓4a、4hを形成し、発光部を前記赤外線透過窓4a、4hの下方に設けて赤外線透過窓4a、4hの内側で前記発光部の発光が視認できるようにすることにより、赤外線センサ表示窓4g、4nの内側に赤外線センサ表示窓4g、4nより狭い遮光部で囲まれた赤外線透過窓4a、4hが誘導加熱調理器の周囲の強い光(外乱光)が赤外線センサ10に入るのを抑制するので、外乱光によって、調理容器Pから発生する赤外線の検出機能が低下することを防止することができる。遮光層7bを黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすることにより、外乱光がトッププレート4内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部43aから侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。
また、使用者に対しては赤外線センサ表示窓4g、4nを大きく表示し、赤外線センサ10の位置を明確に認識させることができる。また、調理容器Pが赤外線センサ表示窓4g、4nから多少ずれても赤外線透過窓4a、4hの上面は調理容器Pで塞ぐ余裕が生まれ、結果として、多少の調理容器Pのずれに対しても温度制御を安定して行うことができ、使い勝手を良くすることができる。
さらに、点灯窓4jの裏面に発光部56aの発する光を照射して、赤外線透過窓4a、4hの内側で発光部の発光が視認できるようにすることで、使用者に赤外線センサの位置を正確に知らせ、赤外線センサ入射部43aを覆う位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえるようになる。特に、周囲が暗い場合は、発光部56aにて赤外線センサ10の位置を知らせることは効果的である。
また、トッププレート4表面又は裏面に赤外線センサ表示窓4g、4nを設け、赤外線センサ表示窓4g、4nの内側に赤外線センサ表示窓4g、4nより狭い遮光部7bで囲まれた赤外線を透過する領域である赤外線透過窓4a、4hと点灯窓4jとを分離して形成し、点灯窓4jの下方に発光部を設け、点灯窓の裏面に前記発光部の発する光を照射することにより、赤外線透過窓4a、4hは発光部用の光透過窓と遮光部により独立して赤外線センサ専用の光透過窓にすることができ、赤外線入射部の上方周囲の遮光性が向上し、誘導加熱調理器の周囲の強い光に対する赤外線センサの影響をより低減できる。なお、遮光部を黒色または暗黒色に近い色(例えば、灰色、茶色等)として、光吸収作用の大きな皮膜とすれば、外乱光がトッププレート内部で反射して伝達するのを抑制するので、外乱光が赤外線入射部から侵入することを防止する効果をさらに高めることができる。
以上のように、本発明にかかる誘導加熱調理器は、使用者に赤外線センサの位置を知らせ、赤外線センサの透過窓を塞ぐ位置に鍋等の調理容器を確実に載置してもらえることが可能となり、確実に赤外線センサによる調理容器の温度制御ができて使い勝手が良いので、家庭用または業務用の誘導加熱調理器等の用途にも適用できる。
2 本体
4 トッププレート
6 加熱コイル
6a 加熱コイル中心
4a、4h 赤外線透過窓
4g、4n 赤外線センサ表示窓
4j 点灯窓
7b 遮光層
10 赤外線センサ
11 LED(発光体)
24a 制御部
43a 赤外線入射部
56a 発光部
D 加熱コイル中心と発光部の中心を結ぶ直線