JPWO2008155920A1 - 肝細胞増殖促進作用を有する医薬 - Google Patents

肝細胞増殖促進作用を有する医薬 Download PDF

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Abstract

この出願は、肝再生療法に用いる医薬に関する。具体的には、数個の直鎖イソプレン単位を含む3,7,11,15−テトラメチル−2,4,6,10,14−ヘキサデカペンタエン酸等のようなポリプレニル系化合物を有効成分とする、肝細胞増殖もしくは肝再生を促進するための医薬を提供するものである。本発明により提供される医薬は、正常肝細胞に対する選択的増殖作用を奏し得、よって例えば肝癌治療における肝再生等に有用である。

Description

本発明は、肝細胞増殖促進作用を有するポリプレニル系化合物を有効成分として含み、肝再生療法に用いる医薬に関する。
肝再生療法としては、現在、臨床において劇症肝炎に対するグルカゴン・インスリン療法が用いられているものの、その効果は十分ではない。また、肝癌患者のうち肝予備能の低下が認められる慢性肝炎や肝硬変の併発例に対する肝癌切除は、切除後に十分な肝再生が期待できず肝不全が問題となるため行われていない。このようは背景から、劇症肝炎や肝癌切除後の肝不全を予防及び/又は治療するために安全に用いられる肝再生促進作用を有する医薬の開発が強く望まれている。基礎実験的な肝再生促進剤としては、hepatocyte growth factor、transforming growth factor-α、epidermal growth factor等の増殖因子や、バリン、ロイシン、アラニン、グルタミン等のアミノ酸、血小板、トロンボポエチン、抗カリクレイン抗体等が報告されている。(非特許文献1〜5、特許文献1〜5)
特に、肝癌は予後不良の疾患であり、治療後も高率に再発することが知られている。例えば、肝細胞増殖促進作用を有していても、肝細胞に対して形質転換を誘導する物質や癌細胞に対しても増殖促進作用をもつ物質は、肝癌の再発を促進するおそれがあることから医薬としての利用が困難である。従って、肝発癌を抑制し、かつ肝再生を促進する医薬の開発は、肝癌の治療成績を向上させ、長期にわたって再発を防止するために重要な課題である。
肝発癌を抑制する物質としてはオールトランスレチノイン酸(ATRA)、9-シスレチノイン酸(9CRA)及びフェンレチナイド等のレチノイドが報告されており、これらのうち、ATRAはマウスの肝細胞の増殖を誘導することも報告されている。しかしながら、ATRAはマウス肝発癌モデルにおいて発癌を促進するという報告もあり、安全性に疑問がある。さらに、ATRAの投与により、レチノイン酸症候群(発熱、呼吸困難、胸水貯留、肺浸潤、間質性肺炎、肺うっ血、低酸素血症、低血圧、肝不全、腎不全、多臓器不全等の諸症状)及び白血球増多症等の重大な副作用が発生することが知られている。従って、肝発癌を抑制し、かつ肝細胞の増殖を促進する安全な物質は未だ知られていないのが現状である。
一方、ポリプレニル系化合物の一つである(2E,4E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸(以下、本明細書においてこの物質を「NIK-333」と呼ぶ場合がある)は、レチノイン酸結合蛋白及びレチノイン酸受容体に対して親和性を有しており、肝癌細胞に対して分化誘導作用及びアポトーシス誘導作用を有することが知られている。NIK-333の一年間の長期投与により肝癌根治治療後の再発が有意に抑制されており、NIK-333の肝癌再発抑制作用が確認されている(非特許文献6)。しかしながら、ポリプレニル系化合物が肝細胞の増殖を促進することは従来全く知られていない。なお、NIK-333については、肝癌細胞にアポトーシスを誘導する濃度においてマウス初代培養肝細胞の増殖に影響を与えないことが報告されており(非特許文献7及び8)、一方、NIK-333がラットの部分肝切除モデルにおいて再生肝のDNA合成を遅らせるという報告もある(非特許文献9)。
Biohem. Biophys. Res. Commun., 133, pp.1042-1050, 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, pp.1558-1562, 1989 Cell, 18, pp.153-163, 1979 Eur. J. Pharmacol., 510, pp.167-180,2005 肝臓, 44, pp.383-394, 2003 N. Eng. J. Med. 334, pp.1561-1567,1996 Biohem. Biophys. Res. Commun., 219,pp.100-104, 1996 J. Lipid Res., 45, pp.1092-1103,2004 肝臓, 26, pp.605-612, 1985 特開平8-67628号公報 特開平5-229940公報 特開2007-23002公報 特開2007-45721公報 特開2003-2522792公報
本発明の課題は、肝細胞増殖促進作用を有し、肝不全の治療及び/又は予防などに有用な肝再生促進のための医薬を提供することにある。特に好ましい課題は、肝癌の予防及び治療のために有用な医薬として、肝細胞増殖促進作用と肝発癌抑制作用とを併せ持つ上記医薬を提供することにある。
本発明者らは、肝細胞増殖促進作用を有し、肝再生促進のための医薬として有用な物質を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、肝発癌抑制作用を有することが報告されているポリプレニル系化合物が、肝癌細胞の増殖に影響を与えない低濃度においてラット初代培養肝細胞の増殖を促進するとともに、増殖した細胞が細胞密度依存性を維持していること、すなわち該細胞は形質転換誘導されていない細胞(非肝癌細胞)であり、ポリプレニル系化合物が正常肝細胞に対して選択的に細胞増殖を促進することを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、ポリプレニル系化合物を有効成分として含み、肝細胞増殖を促進するための医薬が提供される。また、本発明により、ポリプレニル系化合物を有効成分として含み、肝再生を促進するための医薬が提供され、その好ましい態様として、肝癌の治療における肝再生促進のために用いる上記の医薬、及び肝癌切除術後における肝再生促進のために用いる上記の医薬が提供される。
上記発明の好ましい態様によれば、ポリプレニル系化合物がポリプレニルカルボン酸である上記の各医薬;ポリプレニルカルボン酸が3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸である上記の各医薬;及びポリプレニルカルボン酸が(2E,4E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸である上記の各医薬が提供される。
別の観点からは、本発明により、上記の各医薬の製造のためのポリプレニル系化合物、好ましくはポリプレニルカルボン酸、さらに好ましくは3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸、特に好ましくは(2E,4E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸の使用;肝細胞増殖を促進する方法であって、ポリプレニル系化合物の有効量を、肝細胞増殖促進を必要とするヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;及び肝再生を促進する方法、好ましくは肝癌の治療に際して肝再生を促進する方法であって、ポリプレニル系化合物の有効量を、肝再生を必要とするヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。
レチノイド及びポリプレニル系化合物のラット初代培養肝細胞に対する増殖促進作用を示すグラフである。図中、NIK-333:2E,4E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸、trans:オールトランスレチノイン酸、cis:9-シスレチノイン酸、GG:ゲラニルゲラニオール、GGP:ゲラニルゲラニルピロフォスフェートアンモニウム塩を示し、*及び**はそれぞれ溶媒添加対照群と有意差(P<0.05又はP<0.01)があることを示す。 レチノイド及びポリプレニル系化合物のラット初代培養肝細胞に対する増殖促進作用における細胞密度依存性を示すグラフである。図中の略号は図1と同じであり、*は溶媒添加対照群と有意差(P<0.05)があることを示す。 NIK-333がラット初代培養肝細胞に対する増殖促進作用を示す濃度において、ヒト肝癌由来細胞株に対する増殖促進作用を有しないことを示すグラフである。 部分切除肝再生モデル動物に対するNIK-333の肝再生促進効果を示した図である。図中の値は平均値±標準誤差で示し、*は P < 0.05 で有意差ありを示す。
本発明の医薬はポリプレニル系化合物を有効成分として含み、肝細胞増殖を促進する作用及び肝再生を促進する作用を有することを特徴としている。
本発明の医薬の有効成分であるポリプレニル系化合物としては、例えば、ポリプレニルカルボン酸である3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸、ゲラニルゲラノイン酸(GGA:geranyl geranoic acid)、フィタン酸(phytanic acid)などを挙げることができ、ポリプレニルカルボン酸エステル、ビタミンK1、ビタミンK2などを挙げることができる。
本発明の医薬の有効成分として用いられるポリプレニル系化合物は、環式又は非環式ポリプレニル化合物のいずれであってもよいが、非環式ポリプレニル化合物が好ましい。非環式ポリプレニル系化合物は、数個の直鎖イソプレン単位を含む化合物のことである。非環式ポリプレニル系化合物の末端の官能基の種類は特に限定されない。例えば、末端に第一級アリル水酸基を有するポリプレニルアルコール(ポリプレノール)、ポリプレノールの末端水酸基が有機酸とエステルを形成した化合物、末端にカルボキシル基を有するポリプレニルカルボン酸などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。好ましくはポリプレニルカルボン酸を用いることができる。
好ましいポリプレニルカルボン酸としては、例えば3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸を挙げることができ、さらに好ましい化合物として(2E,4E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸(NIK-333)を挙げることができる。本発明で使用されるポリプレニル系化合物は、公知の方法(日本国特公昭63-32058号公報、J. Chem. Soc. (C), 2154頁, 1966年など)により合成することができる。
ポリプレニル系化合物としては、生理学的に許容されるその塩を用いてもよい。塩の種類は特に限定されず、酸付加塩又は塩基付加塩のいずれでもよい。また、遊離形態又は塩の形態のポリプレニル系化合物の水和物又は溶媒和物を用いてもよい。本明細書において用いられる「ポリプレニル系化合物」の用語は、塩、水和物、及び溶媒和物などを包含し、任意の立体異性体(光学異性体及びジアステレオ異性体を含む)、立体異性体の混合物、任意の幾何異性体、及び幾何異性体の任意の混合物などを包含する。
本発明により提供される医薬は、肝細胞増殖促進作用を有しており、また該肝細胞増殖促進作用を介した肝再生促進作用を有している。従って、本発明の医薬は、例えば、肝不全又は肝癌などの肝疾患において正常な肝細胞の増殖を促進することにより肝再生を促進し、その結果として肝疾患の治療を効率的に達成することができる。また、肝再生による肝臓の健常化を達成することにより肝疾患の再発を防止するなどの予防的観点から本発明の医薬を用いることもできる。本発明の医薬の適用対象となる肝疾患は特に限定されないが、ウイルス性又はアルコール性などの急性肝炎、慢性肝炎、又は劇症肝炎、肝硬変、肝不全、あるいは肝癌などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
ポリプレニル系化合物については肝癌細胞に対するアポトーシス誘導作用が知られており、アポトーシスを誘導する濃度においては肝細胞増殖に影響を与えないことがNIK-333において報告されている(非特許文献7及び8)。いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明におけるポリプレニル系化合物の肝細胞増殖促進作用は、肝癌細胞に対してアポトーシスを誘導する濃度よりも低濃度で発揮される。すなわち、NIK-333を代表例とするポリプレニル系化合物は、低濃度において正常肝細胞に対して増殖促進作用を発揮して選択的に正常肝細胞を増殖させるが、高濃度においては肝癌細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導して抗癌作用を示す。従って、本発明の医薬は、特に肝癌の治療に際して、例えば肝癌切除術後の患者に投与することにより、投与直後の高い血中濃度において肝癌細胞に対してアポトーシスを誘導し、投与数時間後の低い血中濃度において正常肝細胞に対して増殖促進作用を発揮することができるので、極めて安全かつ効果的な医薬として使用することができる。また、治療ステージにおいて、高濃度投与と低濃度投与を適宜選択することにより、例えば、肝癌切除術の直後には高濃度投与を維持して残存する肝癌細胞を根絶し、その後の回復期においては低濃度投与を維持して肝再生を促進することができる。
本発明の医薬は、通常、ポリプレニル系化合物を含む医薬組成物を調製し、経口又は非経口のいずれか適当な投与方法により投与することができる。経口投与に適する医薬組成物の形態としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、軟カプセル剤、丸剤、散剤、液剤などが挙げられ、非経口投与に適する医薬組成物の形態としては、例えば、注射剤、坐剤などが挙げられる。これらの医薬組成物は、ポリプレニル系化合物又はその薬理学上許容し得る塩と通常の製剤担体の1種又は2種以上とを用いて常法により調製することができる。
例えば、経口投与に適する医薬の場合には、製剤担体として、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ショ糖などの賦形剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、硬化油などの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アラビアゴムなどの結合剤、グリセリン、エチレングリコールなどの湿潤剤、その他必要に応じて界面活性剤、矯味剤などを使用して所望の医薬組成物を調製することができる。
また、非経口投与に適する医薬の場合には、製剤担体として、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、寒天、トラガラントガムなどの希釈剤を用いて、必要に応じて溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤などを使用することができる。
本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、例えば、成人1日あたり経口投与の場合には50〜1,200 mg、好ましくは300〜900 mg、非経口の場合は1日1〜1,200 mg、好ましくは5〜900 mgの範囲である。上記の投与量をそれぞれ1日1〜3回に分けて投与することにより所望の促進効果が期待できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されることはない。
例1:ラット初代培養肝細胞に対する増殖促進効果
Wistar系雄性ラット(体重200-205 g)を用い、Seglenらの方法に従い、in situコラゲナーゼ還流法により肝実質細胞を単離した(Methods. Cell Biol., 13, pp.29-83, 1975)。単離した肝実質細胞を5%ウシ新生児血清含有Williams E培地(0.1μg/mLアプロチニン、100 U/mLペニシリンG、0.1 mg/mLストレプトマイシン、0.1 nmol/Lデキサメサゾン含有)に懸濁し、3回洗浄した後、コラーゲンコート培養ディッシュ(35 mmφ)に3.3×104 cells/cm2の細胞密度で播いた。5% CO2存在下で37℃、3時間培養することにより細胞をディッシュに接着させて、初代培養肝実質細胞系を作製した。なお、単離した肝細胞はトリパンブルー排除法により生存率を求め、93%以上のものを以降の実験に供した。
単離した肝実質細胞の培地を無血清Williams
E培地(0.1μg/mLアプロチニン、100 U/mLペニシリンG、0.1 mg/mLストレプトマイシン)に交換し、(2E,4E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸(NIK-333)、オールトランスレチノイン酸(trans)、9-シスレチノイン酸(cis)、ゲラニルゲラニオール(GG)、及びゲラニルゲラニルピロフォスフェートアンモニウム塩(GGP)を最終濃度が10-11、10-10、10-9、10-8、10-7及び10-6 mol/Lとなるように添加した。溶媒として0.01% DMSO含有のリン酸緩衝液(PBS: pH 7.4)を用いた。薬物添加から4時間後、核数の測定を以下の方法で行った。肝実質細胞をPBSで洗浄した後、0.1% Triton X-100含有の0.1 mol/Lクエン酸溶液0.25 mLを加えた。37℃で30分間インキュベートすることにより細胞膜を可溶化し、裸核を得た。さらに同量の0.3%トリパンブルー含有のPBS溶液を加え染色された核の数を血球計算盤で計測した。図1に示すようにNIK-333、trans及びGGPにはラット初代培養肝細胞に対して有意な増殖促進効果が認められ、その効果はNIK-333が最も強かった。
例2:ラット初代培養肝細胞の細胞密度依存性の増殖に対する影響
例1と同様の方法で単離した肝実質細胞を1、2、3.3、5、7及び10×104 cells/cm2の細胞密度で播いた。例1と同様の方法で前培養した肝実質細胞にNIK-333(10-9 mol/L)、trans(10-7 mol/L)、cis(10-6 mol/L)、GG(10-7 mol/L)、及びGGP(10-6 mol/L)を添加した。薬物添加から4時間後、例1と同様の方法で核数の測定を行った。図2に示したようにtransは細胞密度が増加しても細胞増殖促進作用が認められ、肝細胞に対する形質転換誘導作用が示唆された。一方、NIK-333及びGGPは細胞密度の増加とともに増殖促進作用が減弱し、正常な形質に保たれていることが示唆された。
例3:ヒト肝癌由来細胞株の増殖への影響
ヒト肝癌由来細胞株(HuH-7、JHH-7、HLF、Hep G2)を5% ウシ新生児血清含有Minimum essential medium(MEM)(100 U/mLペニシリンG、0.1 mg/mLストレプトマイシン)を用いて培養した。細胞を96穴プレートに1×104 cells/mLの細胞密度で播種し、5% CO2存在下において37℃で一晩培養した。1%血清含有MEM(100 U/mLペニシリンG、0.1 mg/mLストレプトマイシン)に培地を交換し、NIK-333を最終濃度が10-11、10-10、10-9、10-8及び10-7 mol/Lとなるように添加した。溶媒としてDMSOを用いた。5% CO2存在下において37℃で一晩培養し、生細胞数の測定を行った。生細胞数の測定はCell Counting Kit(和光純薬工業)を用いて行った。WST-1溶液10 μLを各wellに加え、5% CO2存在下において37℃で3時間加温した。マイクロプレートリーダーを用いて、測定波長450 nm、参照波長655 nmの条件で各wellの吸光度を測定した。図3に示すように、NIK-333は4種のヒト肝癌由来細胞株のいずれに対しても増殖促進作用を示さなかった。
例4:部分切除肝再生モデル動物に対するNIK-333の肝再生促進効果
NIK-333による肝実質細胞増殖促進効果をin vivo実験系の70%部分肝切除ラット(Partial Hepatectomy: PHラット)を用いて検討した。
Wistar系雄性ラット(体重130-170 g)にHiggins G. M.らの方法(Arch. Pathol., 12, pp.186-202, 1931)による70%部分肝切除術を施行してPHラットを作成した。このPHラットにNIK-333(溶媒をダイズ油とし、0.4mg/kg/day)を1日1回経口投与し、投与を1〜14日間反復継続して経時的反応を観察した。術後、1-14日間飼育したモデル動物について、ジエチルエーテル麻酔下で開腹し、残余肝を摘出した。残余肝は正常肝組織と壊死肝組織(部分肝切除で切除しきれずに残った肝臓)とに切り分け、それぞれの重量(湿重量)を測定した。試験は1群3例で実施し、平均値±標準誤差で表示した。コントロール群として溶媒投与群(ダイズ油、4 mL/kg, p.o.)とNIK-333投与群との間でStudent t検定を行った。検定の有意水準は両側5%及び1%とした。
NIK-333投与群(0.4 mg/kg/day)では、コントロール群よりも肝重量の早期の回復が見られた。PH後3日目に最も顕著な差が認められ、コントロール群の肝重量が2.5g liver weight /100g body weight (LW/BW)(増加率は約70%)であったのに対して、NIK-333投与群では、3.0 g LW/BW(増加率85%)であり、両群には有意差が認められた。結果を図4に示す(図中の値は平均値±標準誤差で示し、*は P < 0.05 で有意差があることを示す)。このように、NIK-333投与群では術後3日目からの増殖期の増強が著しく、PH後5日目でも更なる増殖が認められたが、14日目において、Sham群の値を超えるような過増殖は認められなかった。以上の結果から、NIK-333はin vitroの実験系(初代培養肝実質細胞系)で示されたような正常肝細胞に対する増殖促進作用を早期に示しつつも、過増殖には至らずに肝再生を促進させていることが実証された。
本発明により提供される医薬は、肝細胞増殖促進作用を介した肝再生促進作用を有しており、正常肝細胞を選択的に増殖させることができるので、例えば肝癌治療における肝再生などに有用である。

Claims (7)

  1. ポリプレニル系化合物を有効成分として含み、肝細胞増殖を促進するための医薬。
  2. ポリプレニル系化合物を有効成分として含み、肝再生を促進するための医薬。
  3. 肝癌の治療における肝再生促進のために用いる請求項2に記載の医薬。
  4. 肝癌切除術後における肝再生促進のために用いる請求項3に記載の医薬。
  5. ポリプレニル系化合物がポリプレニルカルボン酸である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医薬。
  6. ポリプレニルカルボン酸が3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸である請求項5に記載の医薬。
  7. ポリプレニルカルボン酸が(2E,4E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチル-2,4,6,10,14-ヘキサデカペンタエン酸である請求項5に記載の医薬。
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