JPWO2008126811A1 - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、ターゲット上での瞬時瞬時のプラズマ密度を上昇させて成膜速度を向上させるようにしたマグネトロンスパッタ装置を提供することにある。本発明のマグネトロンスパッタ装置は、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された回転磁石とを有し、ターゲット表面に複数のプラズマループが形成されると共に、当該プラズマループが回転磁石の回転にしたがって回転磁石の軸方向に発生、移動、消滅するマグネトロンスパッタ装置である。

Description

本発明は、液晶表示基板や半導体基板等の被処理体に所定の表面処理を施すための処理装置であるマグネトロンスパッタ装置に関する。
液晶表示素子やIC等の半導体素子などの製造において、その基板上に金属あるいは絶縁物などの薄膜を形成する薄膜形成工程は必要不可欠なものである。これらの工程では薄膜形成用の原材料をターゲットとして、直流高電圧あるいは高周波電力によりアルゴンガス等をプラズマ化し、そのプラズマ化ガスによりターゲットを活性化して融解し飛散させ、被処理基板に被着させるスパッタ装置による成膜方法が用いられている。
スパッタ成膜法においては、成膜速度を高速化するために、ターゲットの裏側に磁石を配置し、ターゲット表面に磁力線を平行に走らせることにより、ターゲット表面にプラズマを閉じ込め、高密度なプラズマを得るマグネトロンスパッタ装置による成膜法が主流となっている。
図14はこのような従来技術によるマグネトロンスパッタ装置の主要部構成を説明するための図であり、101はターゲット、102は薄膜を形成する被処理基板、103は複数のマグネット、104は磁力線、105はターゲット101が融解剥離する領域すなわちエロージョン領域である。
図14に示すように、ターゲット101の裏側に複数の磁石103をそれぞれのN極とS極の向きを所定の方向に配置し、ターゲット101と基板102との間に高周波電力(RF電力)106あるいは直流高圧電力107を印加してターゲット101上にプラズマを励起する。
一方、ターゲット101の背面に設置した複数の磁石103において、隣接するN極からS極に向かって磁力線104が発生する。ターゲット表面において垂直磁場(ターゲット表面と垂直な磁力線成分)がゼロの位置において、局所的に水平磁場(ターゲット表面と平行な磁力線成分)が最大となる。水平磁場成分が多い領域では、電子がターゲット表面近傍に補足され密度の高いプラズマが形成されるため、この位置を中心としてエロージョン領域105が形成される。
エロージョン領域105は他の領域に比べて高密度のプラズマに晒されるため、ターゲット101の消耗が激しくなる。成膜を続けることでこの領域においてターゲット材料が無くなると、ターゲット全体を交換しなくてはならなくなる。結果として、ターゲット101の利用効率が悪くなってしまい、さらにターゲット101と対向して設置された被処理基板102の薄膜の膜厚についても、エロージョン領域105に対向する位置の膜厚が厚くなり、被処理基板102全体の膜厚均一性が劣化するという性質を持つ。
そこで、磁場を発生させるマグネットを棒磁石とし、この棒磁石を移動もしくは回転させることでエロージョン領域を時間的に移動させ、時間平均で実質的にターゲットの局所的消耗を無くし、さらには被処理基板の膜厚の均一性を向上させる手法が従来提案されている(特許文献1〜3参照)。
これらの手法においては、棒磁石はN極とS極がその直径方向の対向表面にその長手方向と平行に同磁極の各配列を有するか、もしくはその直径方向の対向表面にその長手方向に関して螺旋状の同時極の各配列を有している。さらに、移動もしくは回転する棒磁石の周りには、エロージョン領域がターゲット内で閉じた回路を形成するために、固定した棒磁石を配置している。この固定した棒磁石は、N極とS極がその直径方向の対向表面にその長手方向と平行に同磁極の各配列を有している。
また、螺旋状に埋没した成膜用回転磁石を複数用いて磁界のウェーブを連続形成させる手法が従来提案されている(特許文献4参照)。
特開平5−148642号公報 特開2000−309867号公報 特許第3566327号公報 特開2001−32067号公報
しかしながら、上記従来手法においては、被処理基板への成膜速度を上げるために、瞬時瞬時のエロージョン密度を上げる、すなわちエロージョン領域が全体のターゲット領域に対して大きな割合にしようとすると、棒磁石の強度を増強し、さらにコンパクトにした棒磁石同士を近付ける必要がある。しかし、このような構成を採用すると、磁石同士の反発力もしくは吸引力により磁石や固定する棒が歪んでしまったり、あるいはその力に対抗して移動や回転を行うことが困難になるという問題点があった。具体的には、磁石同士に3000Nの吸引力は反発力が生じ、磁石を支えている金属が歪んでしまったり、同時に30N・mのトルクが発生し、非常に強力なモータが必要であったり、または回転速度を上げられない等の困難があった。そのことに起因して、成膜の均一性が悪化したり、装置寿命が短いという問題点があった。
また、周辺に固定した棒磁石と隣接する回転磁石が回転するに従い、回転磁石と周辺に固定した棒磁石との磁極が同一になる位相がどうしても生じてしまい、その際に閉じたプラズマ領域が形成されないという問題点があった。
さらに、螺旋状に埋没した成膜用回転磁石においても、磁界のウェーブは形成されるが閉じたプラズマループが形成されなかったり、隣り合う回転磁石同士に強力な力が生じて力に対向して回転することが困難であるという問題点があった。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的の一つは、ターゲット上での瞬時瞬時のプラズマ密度を上昇させて成膜速度を向上させるようにしたマグネトロンスパッタ装置を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、プラズマループを時間的に移動させてターゲットの局所的磨耗を防いで均一な消耗を実現することによりターゲットを長寿命化するようにしたマグネトロンスパッタ装置を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、回転装置や柱状回転軸に多大な負担をかけない、装置寿命の長い磁石回転機構を有するマグネトロンスパッタ装置を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから1N・mの範囲にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第2の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから1N・mの範囲にあり、かつ前記柱状回転軸がいずれかの方向にかかる力が1Nから300Nの間にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第3の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから10N・mの範囲にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第4の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから100N・mの範囲にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第5の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に複数のプラズマループが形成されることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第6の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記複数のプラズマループが前記磁石を動かすことにより移動することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第7の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
磁石を動かすことにより、ターゲット表面に形成されるプラズマループが生成・移動・消滅を繰り返すことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第8の態様によれば、第5から第7の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置であり、前記磁石が、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記プラズマループの移動、または生成・消滅することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第9の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分が、500ガウス以上1200ガウス以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第10の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分が、500ガウス以上750ガウス以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第11の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分のうち、最小値が最大値の25パーセントから65パーセントの範囲内にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第12の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分のうち、最小値が最大値の65パーセントから100パーセントの範囲内にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第13の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分のうち、最小値が最大値の75パーセントから100パーセントの範囲内にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第14の態様によれば、第9から第13の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置であり、前記磁石が、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記プラズマループの移動、または生成・消滅することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第15の態様によれば、前記回転磁石体は、前記柱状回転軸周囲に形成された複数の螺旋体を含み、前記柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋体同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成している螺旋状磁石群であり、
前記固定外周体はターゲット側からみて前記回転磁石体を囲んだ構造を成し、かつターゲット側にN極又はS極の磁極を形成しているかまたはあらかじめ磁化されていないものであることを特徴とする第1から第4、第8または第14の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第16の態様によれば、前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石列の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、35°から50°の間にあることを特徴とする第15の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第17の態様によれば、前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石列の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、30°から70°の間にあることを特徴とする第15の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第18の態様によれば、前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石列の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、70°から88°の間にあることを特徴とする第15の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第19の態様によれば、前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石列の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、75°から85°の間にあることを特徴とする第15の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第20の態様によれば、前記回転磁石体は、前記柱状回転軸に板磁石を螺旋状に設置することにより2個の螺旋を形成し、前記柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成している螺旋状板磁石群であることを特徴とする第15から第19の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第21の態様によれば、前記回転磁石体は、前記柱状回転軸に板磁石を螺旋状に設置することにより4個、6個、8個、または10個の螺旋を形成し、前記柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成している螺旋状板磁石群であることを特徴とする第15から第19の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第22の態様によれば、前記回転磁石体と前記固定外周体とは別に、自由に動く磁石が前記回転磁石体の近傍に設置されていることを特徴とする第15から第21の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第23の態様によれば、前記回転磁石体と前記固定外周体とは別に、自由に動く磁石が前記回転磁石体の近傍に設置され、前記回転柱状軸を回転させた時に前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルク及び力が、前記自由に動く磁石が無い場合に比べて常に減少していることを特徴とする第22の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第24の態様によれば、前記柱状回転軸の少なくとも一部が常磁性体であることを特徴とする第20から第23の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第25の態様によれば、前記柱状回転軸が中空構造の磁性体からなり、その厚みが、前記磁性体内部の全ての領域の磁束密度が、前記磁性体の飽和磁束密度の65%以下となるように設定されていることを特徴とする第20から24の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第26の態様によれば、前記柱状回転軸が中空構造の磁性体からなり、その厚みが、前記磁性体内部の全ての領域の磁束密度が、前記磁性体の飽和磁束密度の60%以下、かつ前記回転磁石体を形成する磁石の残留磁束密度よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする第20から25の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第27の態様によれば、前記柱状回転軸が中空構造の常磁性体からなり、その厚みが、前記常磁性体内の全ての領域における磁束密度が、前記回転磁石体を形成する磁石の残留磁束密度よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする第20から26の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第28の態様によれば、前記固定外周体の前記ターゲットとは反対側の面に、前記固定外周体と隣接して固定外周常磁性体が設置されていることを特徴とする第20から27の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第29の態様によれば、前記固定外周体から前記ターゲットの外側に向かう磁束が前記固定外周体から前記ターゲットの内側に向かう磁束よりも弱まるような手段を設けたことを特徴とする第20から28の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第30の態様によれば、前記手段は、前記固定外周体の表面のうち、前記ターゲット側からみて外側の側面と前記ターゲット側の面の一部とを連続して覆うように設けられた常磁性体部材を含むことを特徴とする第20から29の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第31の態様によれば、前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット表面と垂直方向に可動することを特徴とする第20から30の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第32の態様によれば、前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット材とターゲット材が貼り付けられているバッキングプレート及びバッキングプレート周辺から連続して設置された壁面により囲まれた空間内に設置され、前記空間が減圧可能であることを特徴とする第20から31の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第33の態様によれば、前記バッキングプレートの厚さは、前記ターゲットの初期厚さよりも薄いことを特徴とする第32の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第34の態様によれば、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とする第20から33の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第35の態様によれば、第20から34の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第36の態様によれば、第20から34の態様のいずれかに記載の、ターゲット材料の異なる複数のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第37の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記ターゲット表面と前記被処理基板表面との距離を30mm以下とし、かつ前記被処理基板表面での磁場が100ガウス以下になるようにしたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第38の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記ターゲット表面と前記被処理基板表面との距離を30mm以下とし、かつ前記被処理基板表面での磁場が20ガウス以下になるようにしたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第39の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設けられたターゲット保持手段と、前記ターゲット保持手段を介して前記ターゲットに対向して設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記ターゲット保持手段の厚さを前記ターゲットの初期厚さの30%以下としたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第40の態様によれば、前記被処理基板と前記ターゲットとの間の第1の空間を減圧可能とし、前記ターゲット保持手段と前記磁石との間の第2の空間を減圧可能とし、前記第1および第2の空間の圧力を実質的に等しくすることを特徴とする第39の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第41の態様によれば、前記バッキングプレートの厚さは、前記ターゲットの初期厚さよりも薄いことを特徴とする第40の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第42の態様によれば、前記ターゲット保持手段に冷却手段を設けたことを特徴とする第39から41のいずれかの態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第43の態様によれば、前記冷却手段は前記ターゲット保持手段の両端部に近くかつ前記第2の空間に設けたことを特徴とする第42の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第44の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
前記ターゲットは金属製のバッキングプレートに貼り付けられており、前記回転磁石体は前記バッキングプレートより電気的に接続された金属製のプレートで囲まれており、
プラズマを励起する電力として、少なくとも高周波電力を前記金属製のプレートを介してターゲットに印加する機構を備え、前記高周波電力は一つの周波数をもつ高周波電力、または複数の周波数を重畳させた高周波電力であり、
前記高周波電力のうち一番高い周波数をもつ高周波電力の真空における半波長の10分の1の距離よりも短いピッチで回転軸方向に複数の給電点をもつことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第45の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
前記被処理基板の、前記ターゲットとは反対側に、磁界を発生させる機構を有していることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第46の態様によれば、前記被処理基板の前記ターゲットとは反対側に設けられ、前記被処理基板を載せる設置台を有し、
前記磁界を発生させる機構は、前記設置台の内部に設けられた磁石であることを特徴とする第45の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第47の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第48の態様によれば、被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
前記回転磁石体は、表面がS極またはN極のいずれかになるように磁化された磁石を柱状回転軸に螺旋状に設けた第1の螺旋体と、該第1の螺旋体に平行して隣りあうように予め磁化されていない強磁性体を前記柱状回転軸に螺旋状に設けた第2の螺旋体とを含み、
前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第49の態様によれば、第47または第48の態様において、前記回転磁石体を、前記水平磁場に捕捉された電子のラーモア半径および磁場の曲率半径で決まるターゲット消耗分布により決定されるターゲット利用効率を80%以上とするような磁石構造としたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第50の態様によれば、前記ターゲット消耗分布は、前記ラーモア半径および磁場の曲率半径で決まるエロージョン半値幅により決定されたものであることを特徴とする第49の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第51の態様によれば、以下の式(1)を用いて前記ラーモア半径が決定されることを特徴とする第50の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
Figure 2008126811
:ラーモア半径
B:磁束密度
DC:セルフバイアス電圧
本発明の第52の態様によれば、以下の式(2)を用いて前記エロージョン半値幅が決定されることを特徴とする第50または第51の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
Figure 2008126811

W:エロージョン半値幅
R:磁場の曲率半径
本発明の第53の態様によれば、前記ターゲット消耗分布は、前記回転磁石体が回転した場合の前記エロージョン半値幅の位相平均から決定されることを特徴とする第50〜第52の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第54の態様によれば、ターゲット利用効率は前記ターゲット消耗分布が前記ターゲットの実質的に全面にわたって均一化するように決定されることを特徴とする第49〜第53の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第55の態様によれば、前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に複数の螺旋を形成するように設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような隣り合う前記板磁石群の磁石間隔を含むことを特徴とする第49〜第54の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第56の態様によれば、前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記板磁石の厚さを含むことを特徴とする第49〜第55の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第57の態様によれば、前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記板磁石の幅を含むことを特徴とする第49〜第56の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第58の態様によれば、前記回転磁石体は複数の板磁石が単一または複数のループをなして柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記ループの数を含むことを特徴とする第49〜第57の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第59の態様によれば、前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記螺旋状に延在する板磁石の延在方向と前記回転軸の軸方向とのなす角度を含むことを特徴とする第49〜第58の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第60の態様によれば、前記角度は57°乃至85°であることを特徴とする第59の態様に記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第61の態様によれば、前記回転磁石体は、表面がN極の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられると共にそれに隣接して表面がS極の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記表面がN極の板磁石の幅は前記表面がS極の板磁石の幅と異なるようにされていることを特徴とする第49〜第60の態様の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第62の態様によれば、前記表面がN極の板磁石の幅は前記表面がS極の板磁石の幅より小さいことを特徴とする第61の態様に記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第63の態様によれば、前記ループの数が1または2であることを特徴とする第58の態様に記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第64の態様によれば、前記角度が75°以上であることを特徴とする第60の態様に記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第65の態様によれば、前記厚さが5〜15mmであることを特徴とする第56の態様に記載されたマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第66の態様によれば、前記第1の螺旋体および/または前記第2の螺旋体の構成を、以下の式(3)で表される前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような構成にしたことを特徴とする第48の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。

利用効率≡エロージョン部分の断面積/ターゲット初期の断面積…(3)
※ただし、利用効率は、ターゲットの最小厚が初期厚みの5%の時の計算値とする。

本発明の第67の態様によれば、前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の間隔を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような間隔にしたことを特徴とする第66の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第68の態様によれば、前記間隔は11〜17mmであることを特徴とする第67の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第69の態様によれば、前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の板厚を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような厚さにしたことを特徴とする第66〜第68の態様の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第70の態様によれば、前記板厚は5〜15mmであることを特徴とする第69の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第71の態様によれば、前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体のループ数を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような数にしたことを特徴とする第66〜第70の態様の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第72の態様によれば、前記ループ数は1〜5であることを特徴とする第71の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第73の態様によれば、前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の幅を、ターゲットの利用効率が80%以上となるように異なる幅としたことを特徴とする第66〜第72の態様の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第74の態様によれば、前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体のうち、径方向外側にN極を形成している前記螺旋体の幅を、径方向外側にS極を形成している螺旋体の幅よりも大きく構成したことを特徴とする第73の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第75の態様によれば、前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の延在方向と前記回転軸の軸方向とのなす角度を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような角度にしたことを特徴とする第66〜第74の態様の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第76の態様によれば、前記角度は約57°〜約84°であることを特徴とする第75の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第77の態様によれば、前記角度は75°乃至85°であることを特徴とする第75の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第78の態様によれば、被処理基板を載置すべき保持体と、該保持体に対向して設置されるべきターゲットを保持するバッキングプレートと、
前記保持体と前記バッキングプレートとの間に設置されたプラズマ遮蔽板を有し、該遮蔽板には前記基板と前記ターゲットとの間となる空間にスリットが形成され、前記スリットの幅と前記プラズマの幅との差が20mm以内となるようにしたことを特徴とする第47または第48の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第79の態様によれば、被処理基板を載置すべき保持体と該保持体に対向して設置されるべきターゲットを保持するバッキングプレートと、
前記保持体と前記バッキングプレートとの間に設置されたプラズマ遮蔽板を有し、該遮蔽板には前記基板と前記ターゲットとの間となる空間にスリットが形成され、前記遮蔽板とターゲットの間隔を3〜15mmとなるようにしたことを特徴とする第47または第48の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第80の態様によれば、装置内を移動可能に設けられた移動磁石を有し、
前記移動磁石を前記回転磁石群の回転に応じて移動させることにより、前記回転磁石群の回転座標によって生じる強磁場を緩和するように構成したことを特徴とする第47または第48の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第81の態様によれば、前記移動磁石は、
前記回転磁石群と前記外周板磁石または固定外周強磁性体の間に移動可能に設けられていることを特徴とする第80の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第82の態様によれば、前記移動磁石は回転軸を有し、該回転軸を中心に回転可能であり、かつ回転方向と垂直な方向に磁化されており、さらに前記移動磁石は、
前記柱状回転軸の端部と前記外周板磁石または固定外周強磁性体との間に、前記移動磁石の回転軸が前記柱状回転軸の軸方向に垂直な方向になるように設けられ、
前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群の端部の極性と、前記固定外周磁石または固定外周強磁性体のうち、前記端部と対向する面の極性が一致する場合に発生する磁場を弱めるように前記移動磁石が回転するように構成したことを特徴とする第81の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第83の態様によれば、前記移動磁石は、
前記柱状回転軸の側面と前記固定外周板磁石または固定外周強磁性体との間に、前記回転磁石群の回転軸と平行な回転軸を有するように設けられ、該回転軸を中心に回転可能であり、かつ回転方向と垂直な方向に磁化されており、
前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群の側面の一部の極性と、前記固定外周磁石または固定外周強磁性体の前記側面の一部と対向する面の極性が一致する場合に発生する磁場を弱めるように、前記移動磁石が回転するように構成したことを特徴とする第81の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第84の態様によれば、前記移動磁石は、
前記柱状回転軸の側面と前記外周板磁石または固定外周強磁性体の間に、前記回転磁石群の回転軸と平行な方向に移動可能に設けられ、
前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群の側面の一部の極性と、前記固定外周磁石または固定外周強磁性体の前記側面の一部と対向する面の極性が一致する場合に発生する磁場を弱めるように、
前記移動磁石を前記回転磁石群の回転軸と平行な方向に移動するように構成したことを特徴とする第81または第83の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第85の態様によれば、前記移動磁石は、自由に回転する回転磁石であることを特徴とする第81乃至第84の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第86の態様によれば、前記移動磁石は、表面が非磁性体で覆われていることを特徴とする第80〜85の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第87の態様によれば、第80〜第86の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置の磁場の調整方法であって、
前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群と前記固定外周磁石または固定外周強磁性体の互いに対向する面の極性が一致する場合に、
前記移動磁石を、前記極性と反対の極性が前記対向する面を向くように移動させる工程を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置の磁場の調整方法が得られる。
本発明の第88の態様によれば、コリメータを有し、
前記コリメータを、飛散した前記ターゲットの飛散方向をそろえるように構成したことを特徴とする第47または第48の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第89の態様によれば、前記コリメータは、
前記被処理基板と前記ターゲットの間に設けられ、飛散した前記ターゲットの飛散方向を、成膜する膜の膜厚方向にそろえるように構成されていることを特徴とする第88の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第90の態様によれば、前記コリメータは、前記ターゲットに隣接して固定されていることを特徴とする第89の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第91の態様によれば、前記コリメータは、前記被処理基板の移動に合わせて移動可能に設けられていることを特徴とする第89の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第92の態様によれば、前記磁石は、
複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられ、回転可能な回転磁石群と、
回転磁石群の周辺にターゲット面と平行に設置され、かつターゲット面と垂直方向に磁化した固定外周板磁石と、
を有することを特徴とする第88〜第91の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第93の態様によれば、前記コリメータを構成する材料は、Ti、Ta、Al、ステンレススチールのうちの、少なくとも1つを含むことを特徴とする第88〜第92のいずれかの態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第94の態様によれば、前記コリメータに付着した前記ターゲットの材料の飛散体を、前記コリメータから除去する除去手段をさらに有することを特徴とする第88〜第93の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第95の態様によれば、前記除去手段は、前記コリメータに電圧を付加することにより、付着した前記ターゲットの材料の飛散体を除去する手段であることを特徴とする第94の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第96の態様によれば、第47または第48の態様に記載のマグネトロンスパッタ装置に設けられ、飛散した前記ターゲットの飛散方向をそろえる、マグネトロンスパッタ装置のターゲット整列装置であって、
コリメータを有し、
前記コリメータを、飛散した前記ターゲットの飛散方向をそろえるように構成したことを特徴とするターゲット整列装置が得られる。
本発明の第97の態様によれば、前記コリメータを構成する材料は、Ti、Ta、Al、ステンレススチールのうちの、少なくとも1つを含むことを特徴とする第96の態様に記載のターゲット整列装置が得られる。
本発明の第98の態様によれば、前記コリメータに付着した前記ターゲットを、前記コリメータから除去する除去手段をさらに有することを特徴とする第97の態様に記載のターゲット整列装置が得られる。
本発明の第99の態様によれば、前記除去手段は、前記コリメータに電圧を負荷することにより、付着した前記ターゲットを、除去する手段であることを特徴とする第98の態様に記載のターゲット整列装置が得られる。
本発明の第100の態様によれば、前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット表面と垂直方向に可動することを特徴とする第44〜第86、第88〜第99のいずれかの態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第101の態様によれば、前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット材とターゲット材が貼り付けられているバッキングプレート及びバッキングプレート周辺から連続して設置された壁面により囲まれた空間内に設置され、前記空間が減圧可能であることを特徴とする第44〜第86、第88〜第100のいずれかの態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第102の態様によれば、前記ターゲットはバッキングプレートに取り付けられており、該バッキングプレートの厚さは、前記ターゲットの初期厚さよりも薄いことを特徴とする第44〜第86、第88〜第101のいずれかの態様に記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第103の態様によれば、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とする第40〜第86、第88〜第102のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第104の態様によれば、第40〜第86、第88〜第102のいずれかの態様に記載のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第105の態様によれば、第40〜第86、第88〜第102のいずれかの態様に記載の、ターゲット材料の異なる複数のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置が得られる。
本発明の第106の態様によれば、第1〜第86、第88〜第105の態様のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置を用いて、前記柱状回転軸を回転させつつ被処理基板に前記ターゲットの材料を成膜することを特徴とするマグネトロンスパッタ方法が得られる。
本発明の第107の態様によれば、第106の態様に記載のスパッタ方法を用いて被処理基板にスパッタ成膜する工程を含むことを特徴とする電子装置の製造方法が得られる。
本発明の第108の態様によれば、第106の態様に記載のスパッタ方法を用いて被処理基板にスパッタ成膜する工程を含むことを特徴とする磁気記録装置の製造方法が得られる。
本発明の第109の態様によれば、第106の態様に記載のスパッタリング方法により形成された薄膜を有することを特徴とする製品が得られる。
本発明によれば、成膜速度を向上させると共に、ターゲットの局所的磨耗を防いで均一な消耗を実現することによりターゲットを長寿命化することが可能になると同時に、回転装置や柱状回転軸に多大な負担をかけない、装置寿命の長い磁石回転機構を有するマグネトロンスパッタ装置が実現する。
本発明の第1の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を示す概略構成図である。 図1に示されたマグネトロンスパッタ装置の磁石部分をより詳細に説明するための斜視図である。 本発明におけるエロージョン形成を説明する図であって、S極は点描で表している。 図1のマグネトロンスパッタ装置に用いられる柱状回転軸の比透磁率と、水平磁場強度との関係を示すグラフである。 固定外周板磁石に対して磁気回路を構成する固定外周常磁性体を配置した場合における水平磁場強度の変化を説明するグラフである。 ターゲット表面のプラズマの時間的変化を示す写真である。 長時間使用されたターゲットの消耗状態を示す写真である。 (a)は単一の螺旋状板磁石群を柱状回転軸上に配置した構造及びその作用を説明する図であり、(b)は複数の螺旋状板磁石群を柱状回転軸上に配置した場合の構造及びその場合における作用を説明する図であって、S極は点描で表している。 本発明の第3の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を説明する概略図である。 磁性体の厚みと磁性体内に発生する最大磁束密度との関係を表すグラフである。 螺旋状磁石群の螺旋個数と磁場の強度及び螺旋角との関係を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を示す図である。 ターゲット表面からの距離と水平磁場強度の関係を示すグラフである。 従来のマグネトロンスパッタ装置を説明する図である。 (a)は本発明の第4の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を示す概略構成図であって、(b)は(a)のX方向矢視図である。 本発明の第5の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を示す概略構成図である。 エロージョン半値幅とラーモア半径の関係を示す模式図である。 本発明の第6の実施形態において、ターゲット表面のエロージョン分布の実測値と計算値を比較した図である。 本発明の第6の実施形態において、柱状回転軸2および螺旋状板磁石群3の寸法を示す模式図である。 本発明の第6の実施形態において、柱状回転軸2および螺旋状板磁石群3の寸法を示す模式図である。 本発明の第6の実施形態において、ターゲット1における柱状回転軸2の回転軸と垂直な面の断面図であって、(a)は使用前のターゲット1を示す図、(b)は使用後(消耗後)のターゲット1を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、磁石間隔が8mm、12mm、17mmの場合の螺旋状板磁石群3の形状を示す平面図である。 本発明の第6の実施形態において、螺旋状板磁石群3の磁石間隔を変化させた場合のエロージョン分布を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、磁石間隔と利用効率および水平磁場の関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、板厚tmと消耗分布の関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、板厚tmと水平磁場および利用効率の関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、螺旋状板磁石群3のループ数mと角度αの関係を示す平面図である。 本発明の第6の実施形態において、螺旋状板磁石群3のループ数mと消耗分布の関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、ループ数mと利用効率および磁場強度の関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、角度α(螺旋角)と利用効率および磁場強度の関係示す図である。 本発明の第6の実施形態において、螺旋状板磁石群3のS磁石幅をN磁石幅より大きくした場合のターゲット側から見た図である。 図31において、S磁石幅と消耗分布の関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、N極とS極の磁石幅を変化させた場合の利用効率および水平磁場強さとの関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、磁石径を変化させた場合のエロージョン分布を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、磁石径を変化させた場合のプラズマループ幅およびエロージョン幅との関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、ターゲット1、被処理基板10、プラズマ遮蔽部材16、スリット18の位置関係を示す図である。 本発明の第6の実施形態において、ターゲット−スリット距離を変化させた場合のスリット18の幅と付着効率の関係を示す図である。 本発明の第7の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置の磁石部分をより詳細に説明するための(下方から見た)斜視図である。 図38をA2方向からみた図である。 本発明の第8の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を示す概略構成図である。 図40に示されたマグネトロンスパッタ装置の磁石部分をより詳細に説明するための(下方から見た)斜視図である。 図41をA3方向から見た図である。 本発明の第9の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置の磁石部分をより詳細に説明するための(下方から見た)斜視図である。 図43のA4方向からみた平面図である。 本発明の第10の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を示す概略構成図である。 本発明の第11の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置を示す概略構成図である。
符号の説明
1 ターゲット
2 柱状回転軸
3 螺旋状回転磁石群
4 固定外周板磁石
5 外周常磁性体
6 バッキングプレート
8 冷媒通路
9 絶縁材
10 被処理基板
11 処理室内空間
12 フィーダ線
13 カバー
14 外壁
15 常磁性体
16 プラズマ遮蔽部材
17 絶縁材
18 スリット
19 設置台
20 空間
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明をする。
図1は本発明によるマグネトロンスパッタ装置(回転マグネットスパッタ装置)の第1の実施の形態の構成を説明する断面図である。
図1において、1はターゲット、2は柱状回転軸、3は回転軸2の表面に螺旋状に配置した複数の螺旋状板磁石群、4は外周に配置した固定外周板磁石、5は固定外周板磁石4にターゲットとは反対側に対向して配置した外周磁性体、6はターゲット1が接着されているバッキングプレート、15は柱状回転軸2及び螺旋状板磁石群3を、前記ターゲット1側以外の部分について覆う構造をなす磁性体、8は冷媒を通す通路、9は絶縁材、10は被処理基板、19は被処理基板を設置する設置台、11は処理室内空間、12はフィーダ線、13は処理室と電気的に接続されたカバー、14は処理室を形成する外壁、16は外壁14に電気的に設置されて接続されたプラズマ遮蔽部材、17は耐プラズマ性に優れた絶縁材、及び18はプラズマ遮蔽部材17に設けられたスリットである。
フィーダ線12には、DC電源、RF電源、及び整合器が接続されている。このDC電源およびRF電源により、整合器を介し、さらに、フィーダ線12及びハウジングを介してバッキングプレート6及びターゲット1へプラズマ励起電力が供給され、ターゲット表面にプラズマが励起される。DC電力のみ若しくはRF電力のみでもプラズマの励起は可能である。RF電力を印加するとプラズマ密度が大幅に上昇することから、成膜時の被処理基板10へのイオン照射量を増大させたい場合には、RF電力のみ、さらに成膜レートをも増大させたい場合にはRF電力とDC電力を同時に印加し、一方、イオン照射量を減少させたい場合にはDC電力のみでプラズマ励起を行うなど、成膜種や成膜条件の要求により励起手段や電力量を選べる構造としている。また、絶縁体のターゲット1を用いる場合にはRF電力でプラズマ励起を行う。RF電力の周波数は、通常数100kHzから数100MHzの間から選ばれるが、プラズマの高密度低電子温度化という点から高い周波数が望ましい。本実施の形態では13.56MHzとした。
プラズマ遮蔽部材16はRF電力に対するグランド板としても機能し、このグランド板があると、被処理基板10が電気的浮遊状態にあっても効率良くプラズマが励起可能となる。磁性体15は、磁石で発生した磁界の磁気シールドの効果及びターゲット近辺での外乱による磁場の変動を減少する効果を持つ。
より詳細に磁石部分を説明するために、柱状回転軸2、複数の螺旋状板磁石群3、固定外周板磁石4の斜視図を図2に示す。ここで、複数の螺旋状板磁石群3は柱状回転軸2の回転にしたがって回転する回転磁石群を構成している。
柱状回転軸2の材質としては通常のステンレス鋼等でも良いが、磁気抵抗の低い磁性体、例えば、Ni−Fe系高透磁率合金や、Fe系の材質で一部または全てを構成することが望ましい。同時に、より効率的にターゲット表面上に強い磁束密度を実現するためには、飽和磁束密度も大きい方が良い。本実施の形態においては、構造用圧延鋼材であり、主成分がFeであるSS400(透磁率100以上、飽和磁束密度2T)を用いて柱状回転軸2が構成されている。柱状回転軸2は、図示しないギアユニットおよびモータにより回転させることが可能となっている。
柱状回転軸2はその断面が正16角形となっており、一辺の長さは16.7mmとした。それぞれの面に菱形の板磁石が多数取り付けられ、複数の螺旋状板磁石群3を構成している。この柱状回転軸2は外周に磁石を取り付ける構造であり、太くすることも容易であり磁石にかかる磁力による曲がりには強い構造となっている。
螺旋状板磁石群3を構成する各板磁石は強い磁界を安定して発生させるために、残留磁束密度、保磁力、エネルギー積の高い磁石が望ましく、例えば残留磁束密度が1.1T程度のSm−Co系焼結磁石、さらには残留磁束密度が1.3T程度あるNd−Fe−B系焼結磁石等が好適である。本実施の形態においては、Nd−Fe−B系焼結磁石を使用した。
螺旋状板磁石群3の各板磁石はその板面の垂直方向に磁化されており、柱状回転軸2に螺旋状に貼り付けて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。
固定外周板磁石4は、ターゲット1から見ると、螺旋状板磁石群3からなる回転磁石群を囲んだ構造をなし、ターゲット2の側がS極となるように磁化されている。固定外周板磁石4についても、螺旋状板磁石群3の各板磁石と同様の理由でNd−Fe−B系焼結磁石を用いている。
なお、ターゲットの温度上昇を防ぐため通路8に冷媒を流通させて冷却している。これに加えて、またはこれの代わりに、バッキングプレート6の両端に近い上方であって回転磁石3の下の両側の空間部に冷却手段を設置してもよい。それに加えて、例えばバッキングプレートプラスターゲットの上下両空間(減圧されている)の圧力をほぼ等しくすることによって、バッキングプレート6をターゲット1の初期厚さよりも薄くし、好ましくはターゲットの初期厚さの30%以下とすることができる。
次に、図3を用いて本実施の形態におけるエロージョン形成についてその詳細を説明する。上述のように、柱状回転軸2に多数の板磁石を配置することによって螺旋状板磁石群3を構成した場合、ターゲット側から螺旋状板磁石群3を見ると、近似的に板磁石のN極の周りを他の板磁石のS極が囲んでいる配置となる。図3はその概念図である。このような構成の下、板磁石3のN極から発生した磁力線は周辺のS極へ終端する。この結果として、板磁石面からある程度離れたターゲット面においては閉じた水平磁場領域(プラズマループ)301が多数形成される。さらに、柱状回転軸2を回転させることで、多数のプラズマループ301は回転と共に動く。図3においては、矢印の示す方向へプラズマループ301が動くこととなる。なお、回転磁石群3の端部においては、端部の一方からプラズマループ301が順次発生し、他方の端部で順次消滅する。
なお、本実施の形態では、柱状回転軸2の断面を正16角形としてそれぞれの面に板磁石を貼り付けているが、より滑らかな螺旋形状を実現するために、その断面をさらに数の多い正多角形(例えば、正32角形)にして細かな板磁石を貼り付けたり、ターゲット表面に水平磁場ループが形成される限りにおいて、コスト削減のために、数の少ない多角形(例えば、正8角形)としても良い。また、螺旋を形成する隣り合う板磁石同士を近付けるために、板磁石の断面を長方形でなく回転軸径方向で外側の辺が大きい台形にしたりしても良い。
次に、図4を用いて、柱状回転軸2を磁性体へ変えたことによる効果を説明する。
図4の縦軸及び横軸は、それぞれ、プラズマループ301の水平磁場強度及び柱状回転軸2の比透磁率を示し、水平磁場強度の、柱状回転軸2の比透磁率依存性を示している。図4では、比透磁率が1の場合で規格化している。図4より、柱状回転軸2の比透磁率が上昇するにつれて水平磁場強度も増加することが分かり、特に、比透磁率が100以上であれば60%程度の磁場強度増強が得られた。これは螺旋を形成している板磁石の回転柱状軸側の磁気抵抗を下げ、効率よくターゲット側へ磁力線を発生させることができたためである。これにより、プラズマを励起したときの閉じ込め効果が向上し、プラズマの電子温度が下がり被処理基板へのダメージを低減すると共に、プラズマ密度が上昇することで成膜速度を向上させることが可能となった。
さらに、図5に示すように、固定外周板磁石4の下に固定外周常磁性体5を設置した場合には設置しない場合に比べて水平磁場強度が約10%増強し、さらに固定外周常磁性体5の一部を柱状回転軸2に隣接する部分まで延長し、磁性流体を介して柱状回転軸2の磁性体部分に隣接させ、回転磁石群と固定外周板磁石との間に磁気抵抗の低い磁気回路を形成した場合については水平磁場強度が約30%増強し、成膜性能が向上することが分かった。
柱状回転軸2は、装置が大型化した際には歪みの発生を抑え、さらに小さなトルクで回転させるには、中空構造として軽くすることが望ましい。そこでどれだけ薄くしても磁気回路形成効果が保たれるか検討した。
図10は、磁性体の厚みと、磁性体内に発生する最大磁束密度との関係を調査したものである。螺旋状磁石(Ne−Fe−B系磁石)の残留磁束密度は1.3Tであり、磁性体(SS400)の透磁率は100、飽和磁束密度は2Tである。
厚みは1mmから10mmまで変化させた。図から分かるとおり、磁性体の厚さが1mmから2mmの領域は、磁性体内の磁場がほぼ飽和してしまい、磁気回路形成効果が現れていないことが分かる。厚さが4mmになると、磁性体内の最大磁束密度が最大飽和磁束密度の65%の1.3T程度となり、磁気回路形成効果が出始めることが分かった。さらに厚さを6mmとすると、磁性体内部の全ての領域の磁束密度が、前記磁性体の飽和磁束密度の60%以下となる1.2T以下となり、磁石の残留磁束密度よりも小さくなった。このときターゲット表面での水平磁場が500ガウスを越え、さらに厚さを厚くしても効果が変わらないことが分かった。磁性体の厚みを6mmとすることで、軽量化と磁気回路形成を同時に実現することができた。
本実施例において、螺旋磁石構造は、8個の螺旋を形成し、前記柱状回転軸2の軸方向に隣り合う螺旋同士が柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成している。すなわち4個の径方向外側がN極である螺旋板磁石群、4個の径方向外側がS極である螺旋板磁石群を具備している。径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成するには、最低2個の螺旋が必要であるが、本実施例では8個の螺旋構造を具備することにより、柱状回転軸の軸に垂直な視線で柱状回転軸及び螺旋板磁石群を見たときに、螺旋を形成する磁石列の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度(以下、螺旋角と呼ぶ)が、41°となっており、きつい傾斜をもつ螺旋構造が実現している。
図11に、螺旋磁石群の螺旋個数と、それに対応する螺旋角、及び閉じたプラズマループ上の、最大水平磁場と最小水平磁場を示している。螺旋磁石の厚みを12mmとし、図11の1101に示す実質的な幅は11mmとした。螺旋個数を増やすと螺旋角が減少し、同時に最大水平磁場が増大することが分かる。本実施例のように8個の螺旋構造を用いると、螺旋角が41°となり、同時にプラズマループ上の最大水平磁場が500ガウスを越えることが分かった。このように、磁石の厚みと幅を一度規定すると、螺旋個数を増やして螺旋角を減少させることで効率よく水平磁場を発生できることが分かった。このような効果は螺旋角が30°から70°、望ましくは35°から50°の間にあれば顕著であることが分かった。
以上より、エロージョン領域301の水平磁場すなわちターゲット面と平行な磁場強度は、500ガウスを越えており、プラズマを閉じ込めるには十分の強度が得られていることが分かった。
高密度プラズマの閉ループを形成するには、回転磁石の周辺に固定磁石を設置することは必須であるが、同時に固定磁石により柱状回転軸2に生じる力とトルクを減らすことは、装置を長期的に安定して運転させるために必要不可欠である。
例えば、図8(b)に示すように、螺旋状に板磁石を並べた柱状回転軸を複数本並べることは、エロージョン領域を広げ、被処理基板の成膜面積を広げてスループットを向上にことには寄与するが、閉じた高密度プラズマループを形成するには、隣り合う回転軸同士、同極の磁石を近付ける必要がある。よって、柱状回転軸に発生する反発力及びトルクは増大してしまい、これらを減少させるという目的には不適当である。
本実施例は、図8(a)に示すように、極性の異なる螺旋構造を交互に並べ、周辺に固定する磁石を垂直方向に全て同じ向きに磁化させているため、周辺磁石から見ると、回転磁石群のN極とS極が交互に近づくため、反発力と吸引力が打ち消しあって、実質的には、回転軸の両端部分のみで力とトルクが決まるような構造としている。本実施例の柱状回転軸にかかる力とトルクを調べたところ、力としては、垂直方向に220N、横方向(回転方向)に60Nであった。また、回転トルクは0.75(N・m)であった。従来装置の典型例に比べ、両者の値を大きく減少させることができた。このことから、柱状回転軸2を、小型モータで容易に回転させることが出来た。
柱状回転軸2を回転させながら、プラズマ励起を行った様子を図6に示す。図6は、ターゲット表面におけるプラズマの時間変化の写真を示している。プラズマ励起条件は、アルゴンガスを毎分1000cc導入し、13.56MHzのRF電力を800W投入した。柱状回転軸2は1Hzで回転させた。5Hz程度までは回転しながら安定にプラズマが励起できた。図6の左側の写真(上から下に時間的に変化する様子を示す)から分かるように、回転軸の左端から安定してプラズマループ601(エロージョンループ)が生成され、回転とともに移動して、図6の右側の写真(上から下に時間的に変化する様子を示す)から分かるように、回転軸の右端から安定して消滅している。また図7に長時間放電後のターゲットの消耗状態を写真で示す。図から、ターゲット1表面が局所的ではなく、均一に消耗していることが分かる。
一方、ターゲット1表面の水平磁場強度は、バッキングプレート6を薄くすれば、ターゲット1は磁石と近くなり、より増大する。水平磁場強度が増大すればプラズマ閉じ込めが改善され、より速い成膜レートやプラズマ励起効率が改善する。このために、空間20を減圧可能とし、バッキングプレート6をターゲット1の初期厚さより薄くすることで、さらなる成膜レート向上が図れた。
また、均一にターゲット1が消耗されるため、ターゲット1の消耗に合わせて磁石を垂直方向に動かすことで、ターゲット表面上のあらゆる位置に常に再現性良く等しい強度の水平磁場が形成可能となり、長期連続運転した際の成膜再現性が向上した。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を、図12を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、螺旋個数を2個としている。図11において螺旋個数を2個の場合は、最大水平磁場と最小水平磁場の差が少なくなっていることが分かる。ループ上の磁場が均一になると、ループ上でのプラズマ密度も均一となり、磁石を回転することによるターゲット1消耗の均一化効果がより向上する。これは、周辺の固定磁石と螺旋磁石の向きがより垂直に近づくためである。このときの螺旋角は79°であった。このような均一化効果を得るには、螺旋角が70°から88°の間であれば好ましく、75°から85°の間であればより好適であることが分かった。ただし、図11からも分かるとおり、同じ磁石の厚さ、及び実質的な磁石幅が同じ場合には最大磁場の値が螺旋個数を減らすと減少してしまうことが分かる。このことは、プラズマ密度の低下を招き、ひいては成膜レートが減少し、装置のスループットが低下してしまう。よって、本実施例においては、磁石厚を12mmから20mmと厚くして、ターゲット表面の水平磁場強度を増大させた。その結果、ループ上の最大水平磁場が654ガウス、最小水平磁場が510ガウスとなり、全てのループ上で500ガウスを超える水平磁場分布が実現した。この場合、水平磁場の最小値が最大値の78パーセントとなり、螺旋が8個の場合では実現が難しかった均一性を確保できた。
本実施例においては図12の1201に示すような、自由に回転できる磁石を、磁性体カバーと回転磁石の間に設置した。この磁石1201は、軸1202を中心に自由に回転できるようになっている。このことから、螺旋磁石を回転させると常に磁石1201が自由に動いて柱状回転軸と引力を発生させる。このことより、軸の重力による歪みを防ぐ効果があり、長尺化しても歪みにくい構造としている。
また、本実施例においては、被処理基板とターゲット表面との距離を25mmに設定している。図13は、ターゲット表面からの距離と水平磁場の関係を示している。横軸の負側が磁石側であり、正側が被処理基板側である。本実施例におけるスパッタ成膜法は、成膜均一性が優れていることと、ターゲット表面に500ガウス以上の強磁場を発生させていることで、プラズマがターゲット表面近傍でのみ励起される。図13より、ターゲット表面と被処理基板とが25mm離れていれば、その位置での磁場強度は100ガウスを下回り、ターゲット表面の磁場強度の5分の1以下となっているため、プラズマ励起には影響を殆ど与えない。よって、ターゲットと被処理基板を30mm以下、好ましくは20mmm以下に近付けても、磁石を回転させることで、均一な成膜ができることが分かった。さらに磁石構造を工夫することにより基板表面での磁場を20ガウス以下にすることも可能である。このように被処理基板をターゲット表面に近付けることによって、ターゲットから飛び出た成膜粒子が処理室壁や遮蔽部材に殆ど付着することなく被処理基板へ付着する。よって、ターゲット利用効率の高い成膜が実現した。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を、以下の図面を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、図9に示すように、往復移動型成膜装置として使用した場合に特に好適である。
図9において、401は処理室、402はゲートバルブ、403は被処理基板、404は第3の実施例に示した回転マグネットプラズマ励起部である。ただし、第1の実施の形態では螺旋部分の軸方向長さは307mmであったが、本実施例においては、270mmとなっている。プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。プラズマの高密度化・低電子温度化という観点からは高い周波数、例えば100MHz程度にすることが望ましいが、プラズマ励起部が2.7m程度あり、一方100MHzの波長は3mである。このように励起部が波長と同程度になると、定在波が励起され、プラズマが不均一になる恐れがある。周波数が13.56MHzであれば波長が22.1mであるからプラズマ励起部の長さは波長に比べて十分短く、プラズマが定在波の影響で不均一になることは無い。
本実施の形態では、回転マグネットプラズマ励起部404を4本使用している。このことにより、実質的な成膜レートを上げることが可能となる。励起部の本数は4本に限定されるものではない。被処理基板403は2.2m×2.5mのガラス基板であり、本実施例においては縦方向を2.5mとして設置し、基板が回転マグネットプラズマ励起部の柱状回転軸に対して垂直方向に往復運動して被処理基板上に実質的に均一に成膜することが可能となっている。均一に成膜するためには、被処理基板403を往復運動せずに一方向に通過するように設定しても良いし、回転マグネットプラズマ励起部404を移動させる方法を使用しても良い。本実施例においては、被処理基板403を往復運動させることで、連続的に基板の一部を回転マグネットプラズマ励起部により励起されたプラズマ領域へ晒し、均一に薄膜を成膜することが可能となる。回転マグネットの回転速度は、一回転する時間を基板の通過時間に比べて早くすることで、瞬時瞬時のエロージョンパターンに影響されない均一な成膜が可能となる。典型的には、基板の通過速度は60秒/枚、回転マグネットの回転速度は10Hzである。なお、本実施例においては被処理基板を往復運動させたが、1本もしくは複数本の回転マグネットプラズマ励起部を一度のみ通過させて成膜する、通過成膜型装置として装置を構成することも可能である。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を、図15を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、バッキングプレート6及びターゲット1へプラズマ励起電力を供給するための給電点を複数に分けたものである。
まず、従来の構造、即ち給電点がひとつである場合の問題点について簡単に説明する。
マグネトロンスパッタ装置においては、被処理基板の大型化とともに、回転磁石の回転軸の長さも増大する。例えば2.88m×3.08mの大型ガラス基板を処理する装置であると、3.2mの回転軸長さを有するスパッタ装置が必要となる。ターゲットの長さもこれに伴い同等の長さを有する。このような長さになると、高周波電力の波長と同等程度になってくるため、例えば中央の一点のみから給電してプラズマを励起すると、定在波が励起されてプラズマが不均一になるという問題がある。さらにはプラズマから流れる大電流により、軸方向に大きな電流が流れるため、インダクタンスの効果により、そこで意図しない電圧が発生して均一性が崩れるという問題点があった。
次に、給電点を複数に分けたマグネトロンスパッタ装置について説明する。
図15に本発明によるマグネトロンスパッタ装置の略図を示す。2は回転磁石群(柱状回転軸)、1はターゲット、6はバッキングプレート、15aは回転磁石群2を囲む、バッキングプレートより電気的に接続された金属製のプレート、12aはプラズマを励起する高周波電力を発生させる電源、12bは高周波電力をターゲットに印加するための給電点である。図中、図15(a)は、回転軸に垂直な面における断面図、図15(b)は回転軸を横から見た図(図15(b)のX方向矢視図)である。3m角程度の基板を処理する装置であるため、ターゲットの軸方向の長さは、その長さより長い3.2mである。
高周波電力の周波数は13.56MHzである。下記に代表的な電力周波数と、その真空での半波長、さらにはその10分の1の値を表1に示す。
Figure 2008126811
13.56MHzの真空での半波長は11.1mである。プラズマは、ターゲット表面との間に厚さ数mmの空間電荷層、すなわちシースを介して励起される。すなわち、プラズマとターゲットの間にはシースが存在する。
プラズマは良導体であるから、プラズマとターゲットにより、軸方向に並行平板線路が形成される。並行平板線路に電磁波が伝播する場合、その波長は真空の波長と同じになる。波長は周波数に反比例し、13.56MHzではその半波長は11.1mとなり、ターゲットの長さ3.2mに対して無視できない値となる。
また、成膜レート向上やダメージを低減させることに効果的なプラズマの高密度化・低電子温度化をしようとすると、周波数が高い方が有利となり、100MHz程度の電力を使用することも有効である。
この場合、真空半波長は1.5mとなり、もはや3.2のターゲット長さより短くなる。このように波長とターゲット長さが同等になると、給電をある一点で行うと定在波モードが発生し、不均一なプラズマが励起されてしまう。
同時に、ターゲットには寄生インダクタンスが必ず存在し、単位長さあたりの寄生インダクタンスをLとすると、2πf×Lというインピーダンスが生じてしまい、プラズマからの数〜数十アンペアの大電流Iがターゲットの軸方向に流れると、2πf×L×Iという電圧が発生してしまい、特に給電点から遠い位置まで電力が到達しないという問題も生じる。
この効果も、インピーダンスが周波数に比例するため、周波数が上がるほど顕著になる。
発明者らは、このような効果を抑えるために、給電点を複数に分け、そのピッチを真空半波長の1/10以下とすることで、給電点から遠い位置を無くし、ひとつの給電点に流れる電流値を減少させ、すなわちターゲットの軸方向へ流れる電流を減らすことで均一性が確保されることを見出した。
本実施例においては、13.56MHzの高周波電力を用いており、その真空半波長の1/10は1.11mであることから、それより小さい0.8m間隔に給電点を3点設けた。このことにより、プラズマ均一性及び成膜均一性を損なうことなく3m角クラスの大型基板への成膜が可能となった。なお、本実施例においては3.56MHzの高周波電力のみでプラズマを励起しているが、これにDC電力を重畳させる、もしくは別の周波数の電力を重畳させる等も可能であり、この周波数に特定されるものではない。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態を、図16を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、被処理基板10を搭載する設置台19の内部、即ち、被処理基板10のターゲット1とは反対側に、磁界を発生させる機構として、磁石19aを設けたものである。
図15に本発明の実施例を示す2は回転磁石群(柱状回転軸)、10は被処理基板、19は被処理基板10のターゲット1とは反対側に設けられ、被処理基板10を載せる載置台、19aは設置台19内に設置された磁界を発生させる機構としてのステージ内磁石である。この設置台19内に設置された磁石が無い場合、螺旋回転磁石で形成される、図3に示すプラズマループにおいて、ループの内部に対応する螺旋磁石、すなわちN極磁石から発生した磁力線は、被処理基板10に到達するため、同時にプラズマも磁力線に沿って輸送され、成膜中にプラズマダメージが発生する。ステージ内磁石19aを、ターゲット1側に向かってN極を形成するようにすると、その磁力線を被処理基板10へ到達させずに横方向に逸らすことが可能となる。このことにより、プラズマを被処理基板10へ到達させることなく成膜することが可能となり、特に成膜初期に被処理基板10にダメージを与えずに成膜することが可能となった。なお、本実施例においては、プラズマループの内部に対応する螺旋磁石、すなわちN極磁石から発生した磁力線を被処理基板10へ到達させないために、ステージ内磁石もターゲット側に向かってN極を形成するようにさせたが、螺旋磁石の設計に依ってはループとループの間の磁石からの磁力線が被処理基板10へ到達する場合もある。それにより、ステージ内磁石19aの極性は適宜変更すればよい。また、本実施例においてはステージ内磁石19aを設置台19内に設置させたが、これに限られることは無く、ターゲット1の下、さらには通過する設置台19の下に固定した磁石を置いても良いし、さらには電流によって磁場を発生させても良い。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態を、図17〜図37を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、第1の実施の形態において、回転磁石を、前記水平磁場に捕捉された電子のラーモア半径および磁場の曲率半径で決まるターゲット消耗分布により決定されるターゲット利用効率を80%以上とするような磁石構造としたものである。
なお、マグネトロンスパッタ装置の構造は図1と同様であるため、説明を省略する。
図7で示したように、第1の実施の形態において、マグネトロンスパッタ装置におけるターゲットの局所的消耗は、従来のスパッタ装置に比較すれば劇的に改善されている。
しかしながら、ターゲットの回転軸方向、すなわちプラズマループの進行方向においてはエロ−ジョン、すなわち消耗分布は均一であるが、回転軸方向(プラズマループの進行方向)に直角の方向においてはターゲットの消耗分布の偏りが若干見られる。すなわち、図18の実測値で見られるように、ターゲットの両端部(プラズマループの端部)で中央部よりも多く消耗している。
本発明者等は、このようなターゲット表面の消耗分布と装置構造との因果関係を追及すべく、次のような考察を行った。
本発明者等は、まず、磁場に捕捉された電子のラーモア半径に着目した。
図17に示すように、磁場に捕捉された電子のラーモア半径rとは、磁場中を運動する荷電粒子が、ローレンツ力を受けて円運動する際の半径のことであるが、完全軸対対称の円形の水平磁場ループが形成された場合、エロージョン半値幅とラーモア半径の間には、次の関係がある。
W:エロージョン半値幅
R:水平磁場の曲率半径
:ラーモア半径
ここで、水平磁場の曲率半径が、ラーモア半径に対して十分に大きい場合、式aは以下のように近似できる。
Figure 2008126811
一方、ラーモア半径は、以下の式で表される。
Figure 2008126811
:電子質量
:電子速度の磁場に垂直な成分
e:素電荷
B:磁束密度
また、ターゲットから発生した2次電子は、シースの電場により、水平磁場と垂直に加速されるが、エロージョン領域では垂直磁場成分が小さいため、シース電場は磁場とほぼ直交する。
そのため、以下の式が成立する。
Figure 2008126811
DC:セルフバイアス電圧(グランドに対してターゲット1に生じる直流電圧)
式dを式cを式に代入すると、以下の式が成立する。
Figure 2008126811
セルフバイアス電圧VDCと磁束密度Bを変化させた場合のラーモア半径は表2の通りとなる。そして、そのときのエロージョン半値幅Wは表3に示す。表3は、磁場の曲率半径Rが20mmの場合と10mmの場合のものである。
Figure 2008126811
Figure 2008126811
ところで、本発明によるマグネトロンスパッタ装置では、図6のプラズマループ形状が示すように、水平磁場ループは完全軸対称の円形ではない。従って、ループ内の位置により、水平磁場(すなわちラーモア半径)及び磁場の曲率が変わる。
よって、エロージョン半値幅もループ内の位置により変わる。
本発明によるマグネトロンスパッタ装置において、水平磁場ループ内のどの位置でもプラズマ密度が一定といえるかどうかは自明ではないが、本発明者等は、ループ内のどの位置でもプラズマ密度が一定と仮定し、磁石を回転させて位相を変化させ、それぞれの場合についてエロージョン半値幅の計算を行い、位相平均を求めてターゲットのエロージョン分布を算出した。そして、図18に示すように、この計算値を実際のエロージョン分布(実験値)と比べてみたところ、非常に良く一致することが判明した。すなわち、本発明によるマグネトロンスパッタ装置において、完全軸対称の円形の水平磁場ループが形成された場合の式を用いて上記のように計算を行えばエロージョン分布が計算できることが分かった。
即ち、磁場の曲率半径Rと、電子のラーモア半径r(セルフバイアス電圧VDCと磁束密度Bによって決まる)から、ターゲットの消耗分布を計算可能であることが分かった。
従って、本発明によるマグネトロンスパッタ装置の装置各部の構造を選択することによってターゲットの消耗分布を計算し、ターゲットの消耗分布を均一化する、すなわちターゲット使用効率を向上させる、ことが可能になった。これによって、従来到底不可能だった、80%以上のターゲット使用効率が本発明によって実現可能になった。
すなわち、発生するセルフバイアス電圧で規定されるラーモア半径と、磁場の曲率半径とで決まるターゲット消耗分布により決定されるターゲット利用効率が80%以上であることを特徴とする磁石構造を有するマグネトロンスパッタ装置が得られる。
次に、上記計算に基づく、ターゲットの消耗分布の最適化、即ち均一化の手法について図を参照して説明する。
本発明者は、ターゲットの消耗分布を最適化するために、マグネトロンスパッタ装置のパラメータ、特に螺旋状板磁石群3の形状に着目して、上記計算に基づく、ターゲットの消耗分布の最適化を試みた。
まず、最適化の指標となるべき利用効率を定義した。
前述のように、マグネトロンスパッタ装置を駆動すると、ターゲット1はプラズマによって活性化されて融解、飛散し、図21(a)の状態から図21(b)の状態へと消耗する。
この際、最も深く消耗した部分の残り厚さ1bが、使用前の初期厚さ1aの5%になった場合に、ターゲットは寿命が尽きて交換されるものとして、回転磁石群の回転軸が十分長い場合に、利用効率として以下の式を定義した。

利用効率≡消耗部分の(軸方向と垂直な面の)断面積/初期断面積…式(f)
式(f)をもとに、本発明者等は以下に示すように、螺旋状板磁石群3の形状を変化させ、ターゲットの消耗分布および利用効率を計算した。
まず、ターゲットの消耗分布および利用効率の計算の際に着目した螺旋状板磁石群3の形状パラメータについて、図19および図20を参照して説明する。
図19に示すように、螺旋状板磁石群3は柱状回転軸2に巻きつけられた形状を有しており隣り合う螺旋状板磁石群3は間隔sだけ離間している。
また、螺旋状板磁石群3の延在方向は柱状回転軸2の回転軸に対して傾斜しており、互いのなす角の鋭角成分をここではαとする。
なお、磁石の幅Wn、Wsを変えずに螺旋状板磁石群3の数(ループ数m)を増やすと、図27に示すように螺旋状板磁石群3の回転軸に対する角度αが小さくなる。回転磁石径Da、磁石の幅Wn、Ws、磁石間隔s、ループ数mを決めると、自動的に角度αが決まる。
また、図19に示すように、隣り合う螺旋状板磁石群3同士は、柱状回転軸2の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成しており、螺旋状板磁石群3は一定の幅Wn、Wsを持っている。
図19では、柱状回転軸2の径方向外側にN極を形成している螺旋状板磁石群3の幅をWn、柱状回転軸2の径方向外側にS極を形成している螺旋状板磁石群3の幅をWsとしている。
さらに、図20に示すように、螺旋状板磁石群3は(柱状回転軸2の径方向)に厚さtmを有している。
次に、上記したパラメータに基づき、消耗分布の最適化を行った結果について説明する。
まず本発明者等は、図19に示す螺旋状板磁石群3の磁石間隔sに着目した。
螺旋状板磁石群3の磁石間隔sを8mm〜17mmへと変化させ、ターゲットの消耗分布を計算し、利用効率を計算した。
螺旋状板磁石群3のループ数は1、磁石径Daは150mm、磁石幅Wn・Wsは14mm、磁石厚tmは12mmとした。磁石間隔が8mm、12mm、17mmの場合を図22に示し、磁石間隔sと消耗分布の関係を図23に、磁石間隔と利用効率および水平磁場の関係を図24に示す。
図24に示すように、磁石間隔sは11mm以上の場合に利用効率が安定して80%を越え、磁石間隔sが12mmの場合に最も利用効率が優れていることが分かった。
また、水平磁場強度は、磁石間隔sを大きくするに従い、大きくなることが分かった。
次に、本発明者は図20に示す螺旋状板磁石群3の板厚tmに着目した。
螺旋状板磁石群3の板厚tmを5〜15mmへと変化させ、ターゲットの消耗分布を計算し、利用効率を計算した。
柱状回転磁石の径は150mm、磁石幅は14mm、磁石間隔は12mmとした。
この場合の板厚tmと消耗分布の関係を図25に、板厚と利用効率および磁場強度の関係を図26に示す。
図26に示すように、板厚tmが5〜15mmの場合に利用効率は80%を越えたが、板厚tmが9〜12mmでは利用効率が85%を越え、この範囲で最も高い利用効率が得られることが分かった。
次に、本発明者は図19に示す螺旋状板磁石群3のループ数mに着目した。
螺旋状板磁石群3のループ数mを1〜5へと変化させ、ターゲットの消耗分布を計算し、利用効率を計算した。
柱状回転磁石径は150mm、磁石幅は14mm、磁石間隔は12mmとした。
この場合の各ループ数mと角度αの関係を図27に、ループ数mと消耗分布の関係を図28に、ループ数mと利用効率および磁場強度の関係を図29に示す。
図29に示すように、ループ数mがいずれの場合も利用効率は80%を越えたが、ループ数mを増やすと利用効率が下降する傾向にあることが分かった。
また、最も利用効率が高いループ数mは2であり、1重または2重のループが好ましいことが分かった。また角度αと利用効率および磁場強度の関係は図30に示す通りであり、角度約57°〜約84°で効率は80%を超え、特に75°から85°が好ましいことが分かった。傾斜角度が90°に近い方かよいのは、その方がターゲットに対してより均一にプラズマループが移動するためである。従来のマグネトロンスパッタ装置においては、傾斜角度は49°であった。従来のマグネトロンスパッタ装置のターゲット使用効率が50%程度であった理由は、そこにもあると考えられる。
次に、本発明者は図19に示す螺旋状板磁石群3のうち、N極が表面を向いている磁石の幅Wnと、S極が表面を向いている磁石の幅Wsに着目した。
具体的には、S極が表面を向いている磁石の幅Wsを14mmで固定し、N極が表面を向いている磁石の幅Wnを14mmと18mmとし、ターゲットの消耗分布を計算し、利用効率を計算した。磁石径は150mm、磁石間隔は12mmとした。
Wsが18mmと、S磁石幅をN磁石幅より大きくして、ループ形状をあまり変化させずに水平磁場だけを増強することを狙った場合のターゲット側から見た図を図31に示し、S磁石幅と消耗分布の関係を図32に、利用効率および水平磁場強さとの関係を図33に示す。
図32および図33に示すように、Wsが18mmの時に水平磁場500ガウス以上、削れ幅12cm、利用効率は87.6%を実現した。従って、S磁石幅をN磁石幅より大きくすることが好ましいことが分かった。
次に、磁石を大型化することについて検討した。磁石径を94mm(このときのプラズマループ幅は76mm、磁場が500Gを超える幅は42mmであった)、150mm、260mm(このときのプラズマループ幅は118mm、磁場が500Gを超える幅は50mmであった)に変化させた場合のエロージョン分布を図34に、プラズマループ幅およびエロージョン幅との関係を図35にそれぞれ示す。なお、ループは一重とした。図35に示すように磁石径を大きくしてもエロ−ジョン幅はあまり広くならず、150mm程度として、複数台を並べて使用した方が好ましいことが分かった。特に大型基板への高速成膜のためには複数台を並べる、すなわち、回転マグネットプラズマ励起部を、回転軸が基板の移動方向に直交するように、基板の移動方向に複数本並べるのが好ましい。
なお、利用効率を80%にするためのパラメータは上記に限定されるものではなく、種々のパラメータを選択可能である。ただし、セルフバイアス電圧については、100Vから700V程度まで変化させてみたが、ターゲット使用効率にはあまり影響しないことが分かった。従って、磁石構造の各パラメーターが重要である。
このように、第6の実施の形態によれば、磁場の曲率半径と、電子のラーモア半径から、ターゲットの消耗分布をシムレーションし、螺旋状板磁石群3の磁石間隔s、螺旋状板磁石群3のループ数m、磁石板厚tm、N極が表面を向いている磁石の幅WnとS極が表面を向いている磁石の幅Wsとの差、回転磁石径などのパラメータを調整することにより、ターゲットの利用効率を80%以上にできることが分かった。
次に、ターゲットの材料を無駄なく使用でき、材料の使用効率を向上させる手法について検討する。図36を参照すると、ターゲット1から飛び出した材料粒子は一部がプラズマ遮蔽部材16に付着してしまう。ターゲット1から飛び出した材料粒子の合計で基板10に付着した材料粒子の合計を割った値を付着効率とすれば、材料使用効率はターゲット使用効率と付着効率との積で表すことができる。従って、材料の使用効率を向上させるためには、上に述べたようにしてターゲット使用効率を増加させると共に、付着効率を大きくする必要がある。そのためには、図37に示すように、スリット18の幅をプラズマの幅に近付け、幅の差を20mm以内、好ましくは10mm以内とすることが良い。さらに、スリット18、従ってプラズマ遮蔽部材16をなるべくターゲットに近付けること、(両者の距離は15〜3mmとするのが好ましい)が分かった。
表4に各パラメータと材料使用効率との関係を示す。材料使用効率を向上させるためには、上に述べたように、ターゲット使用効率の向上、プラズマの幅を大きくすること、スリットの幅をプラズマの幅に近付けること、スリットとターゲットをなるべく近付けること、が必要である。
Figure 2008126811
なお、磁石寸法、基板寸法等は上記の例に限定されるものではない。また、上記の例では周辺固定磁石の表面磁極をS極としたが、これをN極としてもよい。その場合には、螺旋状板磁石の幅はN極の方をS極より大きくした方がよい。
また、第6の実施の形態では第1の実施の形態と同様に、螺旋状板磁石群3の各板磁石はその板面の垂直方向に磁化されており、柱状回転軸2に螺旋状に貼り付けて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。
また、第6の実施の形態では固定外周板磁石4は、ターゲット1から見ると、螺旋状板磁石群3からなる回転磁石群を囲んだ構造をなし、ターゲット2の側がS極となるように磁化されている。
ただし、固定外周板磁石4は強磁性体であれば、必ずしもあらかじめ磁化されていなくてもよい。
また、螺旋状板磁石群3の各板磁石も、隣り合う螺旋の一方(第1の螺旋体)があらかじめ磁化されていれば、他方(第2の螺旋体)は磁化されていない強磁性体であってもよい。
このような構造であっても、あらかじめ磁化された螺旋体が他の強磁性体を磁化するため、表面のN極(またはS極)をループ状に取り囲むようなループ状の平面磁界が得られ、従来と同様のループ状のプラズマが得られる。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態を、図38〜図39を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、第1の実施の形態において、螺旋状固定磁石群3の端部と固定外周板磁石4の回転軸方向と直交する短辺との間に自由回転磁石(移動磁石)21を設けたものである。
図38および図39に示すように、自由回転磁石(移動磁石)21は螺旋状固定磁石群3の端部と固定外周板磁石4の回転軸方向と直交する短辺との間に設けられている。
移動磁石21は、固定外周磁石4の短辺に平行な回転軸21aを有するように設けられた柱状の形状を有し、回転軸21aを中心に図39のB1方向に自由に回転可能である。
なお、移動磁石21は回転軸21aと垂直な方向に磁化されている。
移動磁石21の材質としては、後述する強磁場を緩和するために残留磁束密度、保磁力、エネルギー積が高い磁石が望ましい。本例では主成分がFeであるSS400が用いられている。
なお、移動磁石21は、表面がプラズマに対して耐食性の非磁性体で覆われているのが望ましい。
移動磁石21の表面を上記非磁性体(図示せず)で覆うことにより、移動磁石21の表面がプラズマで腐食されるのを防いだり、表面に磁性体のゴミが付着するのを防止したりすることができ、装置内部が汚染されるのを防止できる。
非磁性体の材料としてはプラズマ耐食性材料が望ましく、例えばステンレス、アルミ合金が用いられる。
なお、本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、ターゲットの温度上昇を防ぐため通路8に冷媒を流通させて冷却している。これに加えて、またはこれの代わりに、バッキングプレート6の両端に近い上方であって螺旋状板磁石群3の下の両側の空間部に冷却手段を設置してもよい。
それに加えて、例えばターゲットを取り付けたバッキングプレートの上下両空間(減圧されている)の圧力をほぼ等しくすることによって、バッキングプレートを薄くし、好ましくはターゲットの初期厚さの30%以下とすることができる。
次に、第7の実施の形態におけるエロージョン形成およびその際の移動磁石21の動作についてその詳細を説明する。第1の実施形態と同様、柱状回転軸2に多数の板磁石を配置することによって螺旋状板磁石群3を構成した場合、ターゲット側から螺旋状板磁石群3を見ると、図3に示すように、近似的に板磁石のN極の周りを両隣りの板磁石のS極および外周固定磁石のS極が囲んでいる配置となる。このような構成の下、螺旋状板磁石群3のN極から発生した磁力線は周辺のS極へ終端する。この結果として、板磁石面からある程度離れたターゲット面においては閉じたプラズマループ301が多数形成される。さらに、柱状回転軸2を回転させることで、多数のプラズマループ301は回転と共に回転軸方向へ動く。図3においては、矢印の示す方向へ動くこととなる。なお、螺旋状板磁石群3の端部においては、端部の一方からプラズマループ301が順次発生し、他方の端部で順次消滅する。
第7の実施の形態においても、第1の実施形態と同様に、柱状回転軸2を回転させながら、アルゴンガスを導入し、プラズマ励起を行うと、図6と同様に、回転軸の左端から安定してプラズマループ601が生成され、回転とともに移動して、図6の右側の写真(上から下に時間的に変化する様子を示す)から分かるように、回転軸の右端から安定して消滅している。
この状態ではプラズマ化ガスによりターゲット1は活性化して融解し、飛散するため、設置台19を移動させ、被処理基板としての被処理基板10をターゲット1と対向させることにより、飛散したターゲット1が被処理基板10の表面に付着し、薄膜が形成(成膜)される。
ここで、螺旋状板磁石群3の極性の向きは時間とともに変化するため、回転座標によって、固定外周板磁石4の短辺とその対向面での螺旋状磁石の極性が一致し、強磁場が形成される。
例えば、図39に示すように、S極が表面を向いている螺旋状板磁石群3の端面が固定外周板磁石4の短辺と対向した場合、対向面23の極性がいずれもS極となる部分が存在するため、極性の反発により強磁場が形成されることになる。
強磁場が発生した領域は、ターゲット1の消耗速度が相対的に上昇するため、エロージョン分布が不均一となる。
エロージョン分布が不均一となると、ターゲットの使用効率が悪化し、また成膜した薄膜の膜厚も不均一となる。
第7の実施の形態においては、螺旋状板磁石群3と固定外周板磁石4との対向面23の間に自由回転する移動磁石21が設けられているため、磁石21は自由回転によって対向面23に逆の極性を向けることになり、図39に示すように、発生する強磁場を緩和することができる。なお、移動磁石を自由回転とせず、図示しないアクチュエータ等を用いて、螺旋磁石の回転と同期して移動磁石21を図39のB1方向に回転させ、対向面23に逆の極性を向けるようにしてもよい。
このように、第7の実施の形態によれば、マグネトロンスパッタ装置が螺旋状板磁石群3と固定外周板磁石4との対向面23の間に設けられた移動磁石21を有し、移動磁石21を回転させ、対向面23の極性と逆の極性を向けることにより、発生する強磁場を緩和する。
この結果、螺旋磁石の端部で700G以上の強磁場が発生していたのを、600G程度に抑制することができた。これによりターゲット1の局所的な消耗を防ぎ、エロージョン分布を均一にしてターゲット使用効率を向上させることができた。
なお、第7の実施の形態では第1の実施の形態と同様に、螺旋状板磁石群3の各板磁石はその板面の垂直方向に磁化されており、柱状回転軸2に螺旋状に貼り付けて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。
また、第7の実施の形態では固定外周板磁石4は、ターゲット1から見ると、螺旋状板磁石群3からなる回転磁石群を囲んだ構造をなし、ターゲット2の側がS極となるように磁化されている。
ただし、固定外周板磁石4は強磁性体であれば、必ずしもあらかじめ磁化されていなくてもよい。
また、螺旋状板磁石群3の各板磁石も、隣り合う螺旋の一方(第1の螺旋体)があらかじめ磁化されていれば、他方(第2の螺旋体)は磁化されていない強磁性体であってもよい。
このような構造であっても、あらかじめ磁化された螺旋体が他の強磁性体を磁化するため、表面のN極(またはS極)をループ状に取り囲むようなループ状の平面磁界が得られ、従来と同様のループ状のプラズマが得られる。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態を、図40〜図42を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。
図40〜図42に示すように、本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、螺旋状磁石の両端部において移動磁石33を柱状回転軸2の側面と固定外周板磁石4の長辺との間に設けている。
移動磁石33は、柱状回転軸2の回転軸と平行な回転軸33aを有するように設けられた柱状の形状を有し、図示しないアクチュエータ等を用いて、回転軸33aを中心に図42のB2方向に回転可能である。
なお、移動磁石33は回転方向と垂直な方向に磁化されている。
次に、移動磁石33の動作について説明する。
前述のように、本発明によるマグネトロンスパッタ装置は螺旋状板磁石群3を回転させながら成膜を行うため、螺旋状板磁石群3の極性の向きが時間とともに変化する。
そのため、回転座標によっては、固定外周板磁石4の長辺との対向面の極性が一致し、強磁場が形成される場合がある。
例えば、図42に示すように、S極が表面を向いている螺旋状板磁石群3の側面が固定外周板磁石4の長辺と対向した場合、対向面23aの極性がいずれもS極となる部分が存在するため、極性の反発により強磁場が形成されることになる。
強磁場が発生した領域は、ターゲット1の消耗速度が相対的に上昇するため、エロージョン分布が不均一となる。
エロージョン分布が不均一となると、ターゲットの使用効率が悪化することとなる。
ところが、第8の実施の形態においては、螺旋状板磁石群3と固定外周板磁石4との対向面23aの間に移動磁石33が設けられているため、図示しないアクチュエータ等を用いて、移動磁石33を図42のB2方向に回転させ、対向面23aと逆の極性を向けることにより、図42に示すように、発生する強磁場を緩和することができる。なお、移動磁石33は自由回転するものとしてもよい。
すなわち、移動磁石33を用いて磁場を調整することにより、エロージョン分布を均一にすることができ、ターゲット1の消耗および成膜した薄膜の膜厚を均一にすることができ、ターゲットの使用効率を向上させることができる。
このように、第8の実施の形態によれば、マグネトロンスパッタ装置が柱状回転軸2の側面と固定外周板磁石4長辺との間に設けられた移動磁石33を有し、移動磁石33を回転させ、対向面23aの極性と逆の極性を向けることにより、発生する強磁場を緩和する。
従って、第7の実施形態と同一の効果を奏する。
なお、第8の実施の形態では第1の実施の形態と同様に、螺旋状板磁石群3の各板磁石はその板面の垂直方向に磁化されており、柱状回転軸2に螺旋状に貼り付けて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。
また、第8の実施の形態では固定外周板磁石4は、ターゲット1から見ると、螺旋状板磁石群3からなる回転磁石群を囲んだ構造をなし、ターゲット2の側がS極となるように磁化されている。
ただし、固定外周板磁石4は強磁性体であれば、必ずしもあらかじめ磁化されていなくてもよい。
また、螺旋状板磁石群3の各板磁石も、隣り合う螺旋の一方(第1の螺旋体)があらかじめ磁化されていれば、他方(第2の螺旋体)はあらかじめ磁化されていない強磁性体であってもよい。
このような構造であっても、あらかじめ磁化された螺旋体が他の強磁性体を磁化するため、表面のN極(またはS極)をループ状に取り囲むようなループ状の平面磁界が得られ、従来と同様のループ状のプラズマが得られる。
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態を、図43および図44を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。
図43および図44に示すように、本発明によるマグネトロンスパッタ装置は、移動磁石43を柱状回転軸2の側面と固定外周板磁石4の長辺との間に設け、さらに移動磁石43を柱状回転軸2の軸方向に移動可能な構造としている。
移動磁石43は、柱状の形状を有し、図示しないアクチュエータ等を用いて、図44のB3方向、即ち、柱状回転軸2の軸方向に移動可能である。
なお、移動磁石43は移動方向と垂直な方向に磁化されている。
次に、移動磁石43の動作について説明する。
前述のように、螺旋状板磁石群3の極性の向きは時間とともに変化するため、回転座標によって、固定外周板磁石4との対向面の極性が一致し、強磁場が形成される。
例えば、図44に示すように、S極が表面を向いている螺旋状板磁石群3の側面の一部が固定外周板磁石4の長辺と対向した場合、対向面の極性がいずれもS極となる部分が存在するため、極性の反発により強磁場が形成されることになる。
強磁場が発生した領域は、ターゲット1の消耗速度が相対的に上昇するため、エロージョン分布が不均一となる。
エロージョン分布が不均一となると、ターゲット1の消耗が不均一となりターゲットの使用効率が悪化する。
ところが、第9の実施形態においては、螺旋状板磁石群3と固定外周板磁石4との対向面の間に移動磁石43が設けられているため、図示しないアクチュエータ等を用いて、移動磁石43を図44のB3方向に移動させ、対向面の逆の極性を向けることにより、発生する強磁場を緩和することができる。
すなわち、移動磁石43を用いて磁場を調整することにより、エロージョン分布を均一にすることができ、ターゲット1の消耗および成膜した薄膜の膜厚を均一にすることができ、ターゲットの使用効率を向上させることができる。
なお、移動磁石43は柱状回転軸2の軸方向を回転軸として回転可能に構成してもよい。
このように構成することにより、第8の実施の形態と同様の効果を奏する。
このように、第9の実施の形態によれば、マグネトロンスパッタ装置が柱状回転軸2の側面と固定外周板磁石4の間に設けられた移動磁石43を有し、移動磁石43を移動させ、対向面の極性との逆の極性を向けることにより、発生する強磁場を緩和する。
従って、第8の実施の形態と同一の効果を奏する。
なお、第9の実施の形態では第1の実施の形態と同様に、螺旋状板磁石群3の各板磁石はその板面の垂直方向に磁化されており、柱状回転軸2に螺旋状に貼り付けて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。
また、第9の実施の形態では固定外周板磁石4は、ターゲット1から見ると、螺旋状板磁石群3からなる回転磁石群を囲んだ構造をなし、ターゲット2の側がS極となるように磁化されている。
ただし、固定外周板磁石4は強磁性体であれば、必ずしもあらかじめ磁化されていなくてもよい。
また、螺旋状板磁石群3の各板磁石も、隣り合う螺旋の一方があらかじめ磁化されていれば(磁石であれば)、他方は磁化されていない強磁性体であってもよい。
このような構造であっても、あらかじめ磁化された螺旋体が他の強磁性体を磁化するため、表面のN極(またはS極)をループ状に取り囲むようなループ状の平面磁界が得られ、従来と同様のループ状のプラズマが得られる。
(第10の実施の形態)
本発明の第10の実施の形態を、図45を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する。
図45に示すように、ターゲット1と対向して設けられたプラズマ遮蔽部材16のスリット18には、コリメータ51が設けられている。
コリメータ51はプラズマ遮蔽部材16に固定されている。
コリメータ51の材質は例えばTi、Ta、Al、ステンレススチール、またはそれらを含む金属である。
なお、コリメータ51には除去手段として、コリメータ51に電圧を印加する図示しない電源回路が接続されており、コリメータ51と電源回路とでターゲット整列装置を構成している。
マグネトロンスパッタ装置を作動させると、飛散したターゲット材料がコリメータ51に到達するが、コリメータ51の方向と角度成分が一致しないターゲット材料は、コリメータ51で反射されるか、コリメータ51に付着する。
そのため、被処理基板10(図の位置から右に移動してスリット18の真下に配置される)に到達するターゲットの角度成分をそろえることができる。
なお、コリメータ51に付着したターゲットは、コリメータ51に除去手段としての図示しない電源回路を用いて電圧を印加することにより、除去できる。
なお、第10の実施の形態では第1の実施の形態と同様に、螺旋状板磁石群3の各板磁石はその板面の垂直方向に磁化されており、柱状回転軸2に螺旋状に貼り付けて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。
また、第10の実施の形態では固定外周板磁石4は、ターゲット1から見ると、螺旋状板磁石群3からなる回転磁石群を囲んだ構造をなし、ターゲット2の側がS極となるように磁化されている。
ただし、固定外周板磁石4は強磁性体であれば、必ずしもあらかじめ磁化されていなくてもよい。
また、螺旋状板磁石群3の各板磁石も、隣り合う螺旋の一方(第1の螺旋体)があらかじめ磁化されていれば、他方(第2の螺旋体)は磁化されていない強磁性体であってもよい。
このような構造であっても、あらかじめ磁化された螺旋体が他の強磁性体を磁化するため、表面のN極(またはS極)をループ状に取り囲むようなループ状の平面磁界が得られ、従来と同様のループ状のプラズマが得られる。
(第11の実施の形態)
本発明の第11の実施の形態を、図46を参照して詳細に説明をする。なお、前述の実施の形態と重複する部分は、便宜上説明を省略する
この実施例では、コリメータ61はスリット18ではなく、被処理基板10を覆うように設けられ、被処理基板10と一体となって搬送される。
コリメータ61は被処理基板10上に被せられており、スパッタ装置本体には固定されていない。
そのため、被処理基板10の移動に伴い、コリメータ61も移動する。
このように、被処理基板10上にコリメータ61を被せ、被処理基板10の移動に伴って移動する構造としてもよく、このような構造とすることにより、第10の実施の形態と比べて、コリメータ61に付着するターゲットの量が少なくなる。
なお、第11の実施の形態では第1の実施の形態と同様に、螺旋状板磁石群3の各板磁石はその板面の垂直方向に磁化されており、柱状回転軸2に螺旋状に貼り付けて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。
また、第11の実施の形態では固定外周板磁石4は、ターゲット1から見ると、螺旋状板磁石群3からなる回転磁石群を囲んだ構造をなし、ターゲット2の側がS極となるように磁化されている。
ただし、固定外周板磁石4は強磁性体であれば、必ずしもあらかじめ磁化されていなくてもよい。
また、螺旋状板磁石群3の各板磁石も、隣り合う螺旋の一方(第1の螺旋体)があらかじめ磁化されていれば、他方はあらかじめ磁化されていない強磁性体であってもよい。
このような構造であっても、あらかじめ磁化された螺旋体が他の強磁性体を磁化するため、表面のN極(またはS極)をループ状に取り囲むようなループ状の平面磁界が得られ、従来と同様のループ状のプラズマが得られる。
以上、本発明を実施の形態によって説明したが、磁石寸法、基板寸法等は実施例に限定されるものではない。
本発明に係るマグネトロンスパッタ装置は、半導体ウェハ等に絶縁膜或いは導電性膜等の薄膜を形成するために使用できるだけでなく、フラットディスプレイ装置のガラス等の基板に対して種々の被膜を形成するのにも適用でき、記憶装置、磁気記録装置やその他の電子装置の製造においてスパッタ成膜のために使用することができる。
なお、本出願は、2007年4月6日に出願された、日本国特許出願第2007−101159号、2008年3月4日に出願された、日本国特許出願第2008−053981号、2008年3月4日に出願された、日本国特許出願第2008−052934号、および2008年3月4日に出願された、日本国特許出願第2008−052891号からの優先権を基礎として、その利益を主張するものであり、その開示はここに全体として参考文献として取り込む。

Claims (109)

  1. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
    前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから1N・mの範囲にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  2. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
    前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから1N・mの範囲にあり、かつ前記柱状回転軸がいずれかの方向にかかる力が1Nから300Nの間にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  3. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
    前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから10N・mの範囲にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  4. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
    前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルクが0.1N・mから100N・mの範囲にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  5. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に複数のプラズマループが形成されることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  6. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記複数のプラズマループが前記磁石を動かすことにより移動することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  7. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    磁石を動かすことにより、ターゲット表面に形成されるプラズマループが生成・移動・消滅を繰り返すことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  8. 請求項5から請求項7までに記載のいずれかのマグネトロンスパッタ装置であり、前記磁石が、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記プラズマループの移動、または生成・消滅することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  9. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分が、500ガウス以上1200ガウス以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  10. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分が、500ガウス以上750ガウス以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  11. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分のうち、最小値が最大値の25パーセントから65パーセントの範囲内にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  12. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分のうち、最小値が最大値の65パーセントから100パーセントの範囲内にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  13. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に、ターゲットと垂直方向の磁場成分が実質的に無く、ターゲットと平行方向の磁場成分、すなわち水平磁場のみが存在するループ上の領域を中心にプラズマループが形成され、前記水平磁場のみが存在するループ上の全ての位置における前記水平磁場成分のうち、最小値が最大値の75パーセントから100パーセントの範囲内にあることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  14. 請求項9から請求項13までに記載のいずれかのマグネトロンスパッタ装置であり、前記磁石が、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記プラズマループの移動、または生成・消滅することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  15. 前記回転磁石体は、前記柱状回転軸周囲に形成された複数の螺旋体を含み、前記柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋体同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成している螺旋状磁石群であり、
    前記固定外周体はターゲット側からみて前記回転磁石体を囲んだ構造を成し、かつターゲット側にN極又はS極の磁極を形成しているかまたはあらかじめ磁化されていないものであることを特徴とする請求項1から4、請求項8または請求項14のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  16. 前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、35°から50°の間にあることを特徴とする請求項15に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  17. 前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、30°から70°の間にあることを特徴とする請求項15に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  18. 前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、70°から88°の間にあることを特徴とする請求項15に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  19. 前記柱状回転軸の軸に垂直な視線で前記柱状回転軸及び前記回転磁石体を見たときに、螺旋を形成する磁石の方向と、前記柱状回転軸の軸方向とがなす角度のうち、鋭角の方の角度が、75°から85°の間にあることを特徴とする請求項15に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  20. 前記回転磁石体は、前記柱状回転軸に板磁石を螺旋状に設置することにより2個の螺旋を形成し、前記柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成している螺旋状板磁石群であることを特徴とする請求項15から請求項19のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  21. 前記回転磁石体は、前記柱状回転軸に板磁石を螺旋状に設置することにより4個、6個、8個、または10個の螺旋を形成し、前記柱状回転軸の軸方向に隣り合う螺旋同士が前記柱状回転軸の径方向外側に互いに異なる磁極であるN極とS極を形成している螺旋状板磁石群であることを特徴とする請求項15から請求項19のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  22. 前記回転磁石体と前記固定外周体とは別に、自由に動く磁石が前記回転磁石体の近傍に設置されていることを特徴とする請求項15から請求項21のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  23. 前記回転磁石体と前記固定外周体とは別に、自由に動く磁石が前記回転磁石体の近傍に設置され、前記回転柱状軸を回転させた時に前記回転磁石体と前記固定外周体との相互作用により生じる前記柱状回転軸に発生するトルク及び力が、前記自由に動く磁石が無い場合に比べて常に減少していることを特徴とする請求項22に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  24. 前記柱状回転軸の少なくとも一部が常磁性体であることを特徴とする請求項20から23のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  25. 前記柱状回転軸が中空構造の磁性体からなり、その厚みが、前記磁性体内部の全ての領域の磁束密度が、前記磁性体の飽和磁束密度の65%以下となるように設定されていることを特徴とする請求項20から24のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  26. 前記柱状回転軸が中空構造の磁性体からなり、その厚みが、前記磁性体内部の全ての領域の磁束密度が、前記磁性体の飽和磁束密度の60%以下、かつ前記回転磁石体を形成する磁石の残留磁束密度よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項20から25のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  27. 前記柱状回転軸が中空構造の常磁性体からなり、その厚みが、前記常磁性体内の全ての領域における磁束密度が、前記回転磁石体を形成する磁石の残留磁束密度よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項20から26のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  28. 前記固定外周体の前記ターゲットとは反対側の面に、前記固定外周体と隣接して固定外周常磁性体が設置されていることを特徴とする請求項20から27のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  29. 前記固定外周体から前記ターゲットの外側に向かう磁束が前記固定外周体から前記ターゲットの内側に向かう磁束よりも弱まるような手段を設けたことを特徴とする請求項20から28のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  30. 前記手段は、前記固定外周体の表面のうち、前記ターゲット側からみて外側の側面と前記ターゲット側の面の一部とを連続して覆うように設けられた常磁性体部材を含むことを特徴とする請求項20から29のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  31. 前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット表面と垂直方向に可動することを特徴とする請求項20から30のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  32. 前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット材とターゲット材が貼り付けられているバッキングプレート及びバッキングプレート周辺から連続して設置された壁面により囲まれた空間内に設置され、前記空間が減圧可能であることを特徴とする請求項20から31のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  33. 前記バッキングプレートの厚さは、前記ターゲットの初期厚さよりも薄いことを特徴とする請求項32記載のマグネトロンスパッタ装置。
  34. 前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とする請求項20から33のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  35. 請求項20から34のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  36. 請求項20から34のいずれかに記載の、ターゲット材料の異なる複数のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  37. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記ターゲット表面と前記被処理基板表面との距離を30mm以下とし、かつ前記被処理基板表面での磁場が100ガウス以下になるようにしたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  38. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記ターゲット表面と前記被処理基板表面との距離を30mm以下とし、かつ前記被処理基板表面での磁場が20ガウス以下になるようにしたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  39. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設けられたターゲット保持手段と、前記ターゲット保持手段を介して前記ターゲットに対向して設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    ターゲット表面に複数のプラズマループが形成され、前記ターゲット保持手段の厚さを前記ターゲットの初期厚さの30%以下としたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  40. 前記被処理基板と前記ターゲットとの間の第1の空間を減圧可能とし、前記ターゲット保持手段と前記磁石との間の第2の空間を減圧可能とし、前記第1および第2の空間の圧力を実質的に等しくすることを特徴とする請求項39に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  41. 前記バッキングプレートの厚さは、前記ターゲットの初期厚さよりも薄いことを特徴とする請求項40記載のマグネトロンスパッタ装置。
  42. 前記ターゲット保持手段に冷却手段を設けたことを特徴とする請求項39から41のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  43. 前記冷却手段は前記ターゲット保持手段の両端部に近くかつ前記第2の空間に設けたことを特徴とする請求項42に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  44. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
    前記ターゲットは金属製のバッキングプレートに貼り付けられており、前記回転磁石体は前記バッキングプレートより電気的に接続された金属製のプレートで囲まれており、
    プラズマを励起する電力として、少なくとも高周波電力を前記金属製のプレートを介してターゲットに印加する機構を備え、前記高周波電力は一つの周波数をもつ高周波電力、または複数の周波数を重畳させた高周波電力であり、
    前記高周波電力のうち一番高い周波数をもつ高周波電力の真空における半波長の10分の1の距離よりも短いピッチで回転軸方向に複数の給電点をもつことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  45. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置であり、
    前記被処理基板の、前記ターゲットとは反対側に、磁界を発生させる機構を有していることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  46. 前記被処理基板の前記ターゲットとは反対側に設けられ、前記被処理基板を載せる設置台を有し、
    前記磁界を発生させる機構は、前記設置台の内部に設けられた磁石であることを特徴とする請求項45記載のマグネトロンスパッタ装置。
  47. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  48. 被処理基板と被処理基板に対向して設置されたターゲットと、ターゲットの被処理基板とは反対側に設置された磁石とを有し、この磁石によってターゲット表面に磁場を形成することによりターゲット表面にプラズマを閉じ込めるマグネトロンスパッタ装置であって、
    前記磁石は、柱状回転軸の周囲に螺旋状に設けられた回転磁石体と、回転磁石体の周辺にターゲット面と平行に設置された固定外周体であってターゲット面と垂直方向に磁化した磁石または予め磁化していない強磁性体からなる固定外周体とを含み、
    前記回転磁石体は、表面がS極またはN極のいずれかになるように磁化された磁石を柱状回転軸に螺旋状に設けた第1の螺旋体と、該第1の螺旋体に平行して隣りあうように予め磁化されていない強磁性体を前記柱状回転軸に螺旋状に設けた第2の螺旋体とを含み、
    前記回転磁石体を前記柱状回転軸とともに回転させることにより、前記ターゲット表面の磁場パターンが時間と共に動くように構成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  49. 請求項47または48において、前記回転磁石体を、前記水平磁場に捕捉された電子のラーモア半径および磁場の曲率半径で決まるターゲット消耗分布により決定されるターゲット利用効率を80%以上とするような磁石構造としたことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  50. 前記ターゲット消耗分布は、前記ラーモア半径および磁場の曲率半径で決まるエロージョン半値幅により決定されたものであることを特徴とする請求項49記載のマグネトロンスパッタ装置。
  51. 以下の式(1)を用いて前記ラーモア半径が決定されることを特徴とする請求項50記載のマグネトロンスパッタ装置。
    Figure 2008126811
    :ラーモア半径
    B:磁束密度
    DC:セルフバイアス電圧
  52. 以下の式(2)を用いて前記エロージョン半値幅が決定されることを特徴とする請求項50または51記載のマグネトロンスパッタ装置。
    Figure 2008126811
    W:エロージョン半値幅
    R:磁場の曲率半径
  53. 前記ターゲット消耗分布は、前記回転磁石体が回転した場合の前記エロージョン半値幅の位相平均から決定されることを特徴とする請求項50〜52の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  54. ターゲット利用効率は前記ターゲット消耗分布が前記ターゲットの実質的に全面にわたって均一化するように決定されることを特徴とする請求項49〜53の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  55. 前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に複数の螺旋を形成するように設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような隣り合う前記板磁石群の磁石間隔を含むことを特徴とする請求項49〜54の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  56. 前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記板磁石の厚さを含むことを特徴とする請求項49〜55の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  57. 前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記板磁石の幅を含むことを特徴とする請求項49〜56の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  58. 前記回転磁石体は複数の板磁石が単一または複数のループをなして柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記ループの数を含むことを特徴とする請求項49〜57の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  59. 前記回転磁石体は複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記磁石構造は前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような前記螺旋状に延在する板磁石の延在方向と前記回転軸の軸方向とのなす角度を含むことを特徴とする請求項49〜58の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  60. 前記角度は57°乃至85°であることを特徴とする請求項59に記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  61. 前記回転磁石体は、表面がN極の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられると共にそれに隣接して表面がS極の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられた板磁石群を有し、前記表面がN極の板磁石の幅は前記表面がS極の板磁石の幅と異なるようにされていることを特徴とする請求項49〜60の一つに記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  62. 前記表面がN極の板磁石の幅は前記表面がS極の板磁石の幅より小さいことを特徴とする請求項61に記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  63. 前記ループの数が1または2であることを特徴とする請求項58に記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  64. 前記角度が75°以上であることを特徴とする請求項60に記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  65. 前記厚さが5〜15mmであることを特徴とする請求項56に記載されたマグネトロンスパッタ装置。
  66. 前記第1の螺旋体および/または前記第2の螺旋体の構成を、以下の式(3)で表される前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような構成にしたことを特徴とする請求項48に記載のマグネトロンスパッタ装置。

    利用効率≡エロージョン部分の断面積/ターゲット初期の断面積…(3)
    ※ただし、利用効率は、ターゲットの最小厚が初期厚みの5%の時の計算値とする。
  67. 前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の間隔を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような間隔にしたことを特徴とする請求項66記載のマグネトロンスパッタ装置。
  68. 前記間隔は11〜17mmであることを特徴とする請求項67記載のマグネトロンスパッタ装置。
  69. 前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の板厚を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような厚さにしたことを特徴とする請求項66〜68の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  70. 前記板厚は5〜15mmであることを特徴とする請求項69記載のマグネトロンスパッタ装置。
  71. 前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体のループ数を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような数にしたことを特徴とする請求項66〜70の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  72. 前記ループ数は1〜5であることを特徴とする請求項71記載のマグネトロンスパッタ装置。
  73. 前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の幅を、ターゲットの利用効率が80%以上となるように異なる幅としたことを特徴とする請求項66〜72の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  74. 前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体のうち、径方向外側にN極を形成している前記螺旋体の幅を、径方向外側にS極を形成している螺旋体の幅よりも大きく構成したことを特徴とする請求項73記載のマグネトロンスパッタ装置。
  75. 前記第1の螺旋体と前記第2の螺旋体の延在方向と前記回転軸の軸方向とのなす角度を、前記ターゲットの利用効率が80%以上となるような角度にしたことを特徴とする請求項66〜74の一つに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  76. 前記角度は約57°〜約84°であることを特徴とする請求項75に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  77. 前記角度は75°乃至85°であることを特徴とする請求項75に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  78. 被処理基板を載置すべき保持体と、該保持体に対向して設置されるべきターゲットを保持するバッキングプレートと、
    前記保持体と前記バッキングプレートとの間に設置されたプラズマ遮蔽板を有し、該遮蔽板には前記基板と前記ターゲットとの間となる空間にスリットが形成され、前記スリットの幅と前記プラズマの幅との差が20mm以内となるようにしたことを特徴とする請求項47または48のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  79. 被処理基板を載置すべき保持体と該保持体に対向して設置されるべきターゲットを保持するバッキングプレートと、
    前記保持体と前記バッキングプレートとの間に設置されたプラズマ遮蔽板を有し、該遮蔽板には前記基板と前記ターゲットとの間となる空間にスリットが形成され、前記遮蔽板とターゲットの間隔を3〜15mmとなるようにしたことを特徴とする請求項47または48のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  80. 装置内を移動可能に設けられた移動磁石を有し、
    前記移動磁石を前記回転磁石群の回転に応じて移動させることにより、前記回転磁石群の回転座標によって生じる強磁場を緩和するように構成したことを特徴とする請求項47または請求項48のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  81. 前記移動磁石は、
    前記回転磁石群と前記外周板磁石または固定外周強磁性体の間に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項80記載のマグネトロンスパッタ装置。
  82. 前記移動磁石は回転軸を有し、該回転軸を中心に回転可能であり、かつ回転方向と垂直な方向に磁化されており、さらに前記移動磁石は、
    前記柱状回転軸の端部と前記外周板磁石または固定外周強磁性体との間に、前記移動磁石の回転軸が前記柱状回転軸の軸方向に垂直な方向になるように設けられ、
    前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群の端部の極性と、前記固定外周磁石または固定外周強磁性体のうち、前記端部と対向する面の極性が一致する場合に発生する磁場を弱めるように前記移動磁石が回転するように構成したことを特徴とする請求項81記載のマグネトロンスパッタ装置。
  83. 前記移動磁石は、
    前記柱状回転軸の側面と前記固定外周板磁石または固定外周強磁性体との間に、前記回転磁石群の回転軸と平行な回転軸を有するように設けられ、該回転軸を中心に回転可能であり、かつ回転方向と垂直な方向に磁化されており、
    前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群の側面の一部の極性と、前記固定外周磁石または固定外周強磁性体の前記側面の一部と対向する面の極性が一致する場合に発生する磁場を弱めるように、前記移動磁石が回転するように構成したことを特徴とする請求項81記載のマグネトロンスパッタ装置。
  84. 前記移動磁石は、
    前記柱状回転軸の側面と前記外周板磁石または固定外周強磁性体の間に、前記回転磁石群の回転軸と平行な方向に移動可能に設けられ、
    前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群の側面の一部の極性と、前記固定外周磁石または固定外周強磁性体の前記側面の一部と対向する面の極性が一致する場合に発生する磁場を弱めるように、
    前記移動磁石を前記回転磁石群の回転軸と平行な方向に移動するように構成したことを特徴とする請求項81または83のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  85. 前記移動磁石は、自由に回転する回転磁石であることを特徴とする請求項81乃至84のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  86. 前記移動磁石は、表面が非磁性体で覆われていることを特徴とする請求項80〜85のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  87. 請求項80〜請求項86のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置の磁場の調整方法であって、
    前記回転磁石群の回転座標により、前記回転磁石群と前記固定外周磁石または固定外周強磁性体の互いに対向する面の極性が一致する場合に、
    前記移動磁石を、前記極性と反対の極性が前記対向する面を向くように移動させる工程を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置の磁場の調整方法。
  88. コリメータを有し、
    前記コリメータを、飛散した前記ターゲットの飛散方向をそろえるように構成したことを特徴とする請求項47または48のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  89. 前記コリメータは、
    前記被処理基板と前記ターゲットの間に設けられ、飛散した前記ターゲットの飛散方向を、成膜する膜の膜厚方向にそろえるように構成されていることを特徴とする請求項88記載のマグネトロンスパッタ装置。
  90. 前記コリメータは、前記ターゲットに隣接して固定されていることを特徴とする請求項89記載のマグネトロンスパッタ装置。
  91. 前記コリメータは、前記被処理基板の移動に合わせて移動可能に設けられていることを特徴とする請求項89記載のマグネトロンスパッタ装置。
  92. 前記磁石は、
    複数の板磁石が柱状回転軸に螺旋状に設けられ、回転可能な回転磁石群と、
    回転磁石群の周辺にターゲット面と平行に設置され、かつターゲット面と垂直方向に磁化した固定外周板磁石と、
    を有することを特徴とする請求項88〜91のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  93. 前記コリメータを構成する材料は、Ti、Ta、Al、ステンレススチールのうちの、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項88〜92のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  94. 前記コリメータに付着した前記ターゲットの材料の飛散体を、前記コリメータから除去する除去手段をさらに有することを特徴とする請求項88〜93のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  95. 前記除去手段は、前記コリメータに電圧を付加することにより、付着した前記ターゲットの材料の飛散体を除去する手段であることを特徴とする請求項94記載のマグネトロンスパッタ装置。
  96. 請求項47または請求項48記載のマグネトロンスパッタ装置に設けられ、飛散した前記ターゲットの飛散方向をそろえる、マグネトロンスパッタ装置のターゲット整列装置であって、
    コリメータを有し、
    前記コリメータを、飛散した前記ターゲットの飛散方向をそろえるように構成したことを特徴とするターゲット整列装置。
  97. 前記コリメータを構成する材料は、Ti、Ta、Al、ステンレススチールのうちの、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項96に記載のターゲット整列装置。
  98. 前記コリメータに付着した前記ターゲットを、前記コリメータから除去する除去手段をさらに有することを特徴とする請求項97記載のターゲット整列装置。
  99. 前記除去手段は、前記コリメータに電圧を負荷することにより、付着した前記ターゲットを、除去する手段であることを特徴とする請求項98記載のターゲット整列装置。
  100. 前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット表面と垂直方向に可動することを特徴とする請求項44〜86、88〜99のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  101. 前記回転磁石体と、前記固定外周体とが、ターゲット材とターゲット材が貼り付けられているバッキングプレート及びバッキングプレート周辺から連続して設置された壁面により囲まれた空間内に設置され、前記空間が減圧可能であることを特徴とする請求項44〜86、88〜100のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  102. 前記ターゲットはバッキングプレートに取り付けられており、該バッキングプレートの厚さは、前記ターゲットの初期厚さよりも薄いことを特徴とする請求項44〜86、88〜101のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  103. 前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とする請求項40〜86、88〜102のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  104. 請求項40〜86、88〜102のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  105. 請求項40〜86、88〜102のいずれかに記載の、ターゲット材料の異なる複数のマグネトロンスパッタ装置を、前記柱状回転軸の軸方向に平行に複数備え、前記柱状回転軸の軸方向に交わる方向に前記被処理基板を相対的に移動させる手段を有することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  106. 請求項1〜86、88〜105のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置を用いて、前記柱状回転軸を回転させつつ被処理基板に前記ターゲットの材料を成膜することを特徴とするマグネトロンスパッタ方法。
  107. 請求項106に記載のスパッタ方法を用いて被処理基板にスパッタ成膜する工程を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
  108. 請求項106に記載のスパッタ方法を用いて被処理基板にスパッタ成膜する工程を含むことを特徴とする磁気記録装置の製造方法。
  109. 請求項106記載のスパッタリング方法により形成された薄膜を有することを特徴とする製品。
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