JPWO2008108138A1 - 光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置ならびに光学式情報記録再生方法 - Google Patents
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Abstract
ディスク9がHD DVD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子4a、4bは入射光の偏光方向を変化させない。このとき、半導体レーザ1からの出射光は対物レンズ8aでディスク9上に集光され、ディスク9からの反射光は光検出器12で受光される。一方、ディスク9がBD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子4a、4bは入射光の偏光方向を90°変化させる。このとき、半導体レーザ1からの出射光は対物レンズ8bでディスク9上に集光され、ディスク9からの反射光は光検出器12で受光される。液晶レンズ3a、液晶レンズ3bは、それぞれ往路、復路における球面収差を補正する。
Description
本発明は、使用するための光学系の条件が異なる2種類の光記録媒体に対して記録や再生を行うための光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置に関する。なお、本出願は、日本出願番号2007−055263に基づく優先権を主張するものであり、日本出願番号2007−055263における開示内容は引用により本出願に組み込まれる。
光学式情報記録再生装置における記録密度は、光ヘッド装置が光記録媒体上に形成する集光スポットの径の2乗に反比例する。すなわち、集光スポットの径が小さいほど記録密度は高くなる。集光スポットの径は光ヘッド装置における光源の波長に比例し、対物レンズの開口数に反比例する。すなわち、光源の波長が短く対物レンズの開口数が高いほど集光スポットの径は小さくなる。容量650MバイトのCD(compact disc)規格においては光源の波長は約780nm、対物レンズの開口数は0.45である。また、容量4.7GバイトのDVD(digital versatile disc)規格においては光源の波長は約650nm、対物レンズの開口数は0.6である。
ところで、光記録媒体が対物レンズに対して傾くと、コマ収差により集光スポットの形状が乱れ、記録再生特性が悪化する。コマ収差は光源の波長に反比例し、対物レンズの開口数の3乗および光記録媒体の保護層の厚さに比例する。そのため、光記録媒体の保護層の厚さが同じ場合、光源の波長が短く対物レンズの開口数が高いほど記録再生特性に対する光記録媒体の傾きのマージンは狭くなる。従って、記録密度を高めるために光源の波長を短くし、対物レンズの開口数を高くした規格においては、記録再生特性に対する光記録媒体の傾きのマージンを確保するために、光記録媒体の保護層の厚さは必要に応じて薄くされている。CD規格においては光記録媒体の保護層の厚さは1.2mmである。また、DVD規格においては光記録媒体の保護層の厚さは0.6mmである。
このような背景から、規格が異なる複数種類の光記録媒体に対して記録や再生を行うことができる、即ち互換の機能を有する光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置が望まれている。通常の光ヘッド装置においては、ある保護層の厚さに対して球面収差が補正されるように対物レンズが設計されているため、別の保護層の厚さに対して球面収差が残留する。球面収差が残留すると集光スポットの形状が乱れ、良好に記録や再生を行うことができない。そこで、互換の機能を有する光ヘッド装置として複数の対物レンズを備えた光ヘッド装置が提案されている。この光ヘッド装置においては、各々の保護層の厚さに対して球面収差が補正されるように各々の対物レンズが設計されている。そのため、光記録媒体の種類に応じた対物レンズを用いることにより、複数種類の光記録媒体に対して良好に記録や再生を行うことができる。
DVD規格の光記録媒体とCD規格の光記録媒体の両方に対して記録や再生を行うことができる2つの対物レンズを備えた従来の光ヘッド装置の例として、特開平9−223327号公報に記載の光ヘッド装置がある。図1に、この光ヘッド装置の構成が示される。光ヘッド装置は、半導体レーザ35、偏光方向切替素子36、偏光ビームスプリッタ37、ミラー38、1/4波長板39、対物レンズ40a、40bを備える。偏光方向切替素子36は、液晶高分子を含んでおり、液晶高分子に電圧が印加される場合には入射光の偏光方向を変化させない全波長板として働き、液晶高分子に電圧が印加されない場合には入射光の偏光方向を90°変化させる1/2波長板として働く。また、対物レンズ40a、40bはそれぞれ保護層の厚さ0.6mm、1.2mmに対して球面収差が補正されるように設計されている。
ディスク41がDVD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子36の液晶高分子に電圧が印加される。このとき、半導体レーザ35からの出射光は、偏光方向切替素子36で偏光方向が変化せず、偏光ビームスプリッタ37へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、ミラー38で反射され、1/4波長板39で直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ40aでディスク41上に集光される。ディスク41からの反射光は、対物レンズ40aを逆向きに通り、1/4波長板39で円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、ミラー38で反射され、偏光ビームスプリッタ37へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、光検出器42で受光される。
一方、ディスク41がCD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子36の液晶高分子に電圧が印加されない。このとき、半導体レーザ35からの出射光は、偏光方向切替素子36で偏光方向が90°変化し、偏光ビームスプリッタ37へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、1/4波長板39で直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ40bでディスク41上に集光される。ディスク41からの反射光は、対物レンズ40bを逆向きに通り、1/4波長板39で円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、偏光ビームスプリッタ37へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、光検出器42で受光される。
このように、特開平9−223327号公報に記載の光ヘッド装置においては、偏光方向切替素子36の液晶高分子に電圧を印加するかしないかにより半導体レーザ35からの出射光の光路を切り替えるため、光学部品の機械的な移動を必要としない高信頼な光路の切り替えを実現することができる。また、液晶高分子に印加される電圧は0〜5ボルト程度であるため、高電圧を発生させる回路を必要としない安価な光路の切り替えを実現することができる。
さて、近年、記録密度をさらに高めるために光源の波長をさらに短くし、対物レンズの開口数をさらに高くした次世代規格が提案あるいは実用化されている。HD DVD(high definition DVD)規格と呼ばれる容量15G〜20Gバイトの規格においては、光源の波長は約405nm、対物レンズの開口数は0.65である。また、BD(blu−ray disc)規格と呼ばれる容量23.3G〜27Gバイトの規格においては、光源の波長は約405nm、対物レンズの開口数は0.85である。HD DVD規格においては光記録媒体の保護層の厚さは0.6mm、BD規格においては光記録媒体の保護層の厚さは0.1mmである。
ところで、光記録媒体の保護層の厚さが設計値からずれると、球面収差により集光スポットの形状が乱れ、記録再生特性が悪化する。球面収差は光源の波長に反比例し、対物レンズの開口数の4乗に比例するため、光源の波長が短く対物レンズの開口数が高いほど記録再生特性に対する光記録媒体の保護層厚ずれのマージンは狭くなる。従って、記録密度をさらに高めるために光源の波長をさらに短くし、対物レンズの開口数をさらに高くした次世代規格に対応する光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置においては、記録再生特性に対する光記録媒体の保護層厚ずれのマージンを確保するために、光記録媒体の保護層厚ずれに起因する球面収差を補正することが必要である。
光記録媒体の保護層厚ずれに起因する球面収差を補正することができる従来の光ヘッド装置の例として、特開2002−319172号公報に記載の光ヘッド装置がある。図2にこの光ヘッド装置の構成が示される。半導体レーザ43からの出射光は、コリメータレンズ44で平行光化され、偏光ビームスプリッタ45へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、液晶光学素子46a、46bを通り、1/4波長板47で直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ48でディスク49上に集光される。ディスク49からの反射光は、対物レンズ48を逆向きに通り、1/4波長板47で円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、液晶光学素子46b、46aを通り、偏光ビームスプリッタ45へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、凸レンズ50を通り、光検出器51で受光される。
図3は液晶光学素子46a、46bの断面図である。液晶光学素子46aと液晶光学素子46bとは重なり合っている。液晶光学素子46aは、ガラス基板52aとガラス基板52bとの間に液晶高分子層54aを挟んだ構成である。ガラス基板52a、52bの液晶高分子層54a側の面には、液晶高分子層54aに電圧を印加するための透明電極53a、53bがそれぞれ形成されている。透明電極53a、53bの一方はパタン電極、他方は全面電極である。液晶光学素子46bは、ガラス基板52cとガラス基板52dとの間に液晶高分子層54bを挟んだ構成である。ガラス基板52c、52dの液晶高分子層54b側の面には、液晶高分子層54bに電圧を印加するための透明電極53c、53dがそれぞれ形成されている。透明電極53c、53dの一方はパタン電極、他方は全面電極である。
液晶光学素子46aは往路の直線偏光に対してのみ作用し、液晶光学素子46bは復路の直線偏光に対してのみ作用する。そこで、液晶高分子層54aに適切な電圧を印加して液晶高分子層54aを透過する往路の光に往路における球面収差を打ち消す球面収差を発生させる。液晶高分子層54bに適切な電圧を印加して液晶高分子層54bを透過する復路の光に復路における球面収差を打ち消す球面収差を発生させる。これにより球面収差の補正が行われる。
また、特開2005−158171号公報に開示されているように、凹レンズと凸レンズとを組み合わせたエキスパンダレンズにより、光記録媒体の保護層厚ずれに起因する球面収差を補正することができる光ヘッド装置も知られている。凹レンズと凸レンズとの間隔を変化させると対物レンズの倍率が変化し、それに伴って対物レンズにおける球面収差が変化する。そこで、凹レンズと凸レンズとの間隔を適切に調整し、対物レンズにおいて往路および復路における球面収差を打ち消す球面収差を発生させる。これにより球面収差の補正が行われる。
また、特表2006−512708号公報には、放射ビームを生成する放射源と、情報層に放射ビームを収束する対物システムとを有し、光記録担体の情報層を走査する光走査装置が開示されている。この装置は光学素子を含み、その光学素子は、少なくとも2つの隣接した物質であり、物質間に形状づけられたインターフェイスを有する物質を有する。少なくとも第1の物質は複屈折であり、第2の物質は予め定められた角度において複屈折物質の屈折率と実質的に等しい屈折率を有する。
本発明の目的は、光学的特性の異なる複数の光記録媒体に対して簡単な構成で球面収差を動的に補正することができる光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置ならびに光学式情報記録再生方法を提供することにある。
本発明の観点では、光ヘッド装置は、使用される光学系の条件が異なる第一および第二の種類の光記録媒体を使用対象とし、第一の対物レンズと、第二の対物レンズと、光検出器と、偏光ビームスプリッタと、偏光方向切替手段と、球面収差補正手段とを具備する。第一の対物レンズは、光源から出射された出射光を第一の種類の光記録媒体上に集光する。第二の対物レンズは、光源から出射された出射光を第二の種類の光記録媒体上に集光する。光検出器は、第一の対物レンズにより集光されて第一の種類の光記録媒体で反射された反射光と、第二の対物レンズにより集光されて第二の種類の光記録媒体で反射された反射光とを受光する。偏光ビームスプリッタは、光源から第一の対物レンズまでの出射光の光路と、光源から第二の対物レンズまでの出射光の光路とを分離し、第一の対物レンズから光検出器までの反射光の光路と、第二の対物レンズから光検出器までの反射光の光路とを合成する。偏光方向切替手段は、光源から偏光ビームスプリッタへ向かう直線偏光の偏光方向および偏光ビームスプリッタから光検出器へ向かう直線偏光の偏光方向を変化させないか90°変化させるかを切り替える。球面収差補正手段は、光源から第一、第二の種類の光記録媒体へ選択的に向かう出射光に対して共通に働き、出射光の光路における球面収差を補正すると共に、第一、第二の種類の光記録媒体から選択的に光検出器へ向かう反射光に対して共通に働き、反射光の光路における球面収差を補正する。
本発明の他の観点では、光学式情報記録再生方法は、集光ステップと、光検出ステップと、分離合成ステップと、偏光方向切替ステップと、球面収差補正ステップとを具備する。集光ステップでは、光源から出射される出射光は複数の対物レンズによってそれぞれ光記録媒体上に集光される。複数の対物レンズの各々は、種類の異なる光記録媒体に適合するように設計されている。光検出ステップでは、光記録媒体で反射された反射光が光検出器により受光される。分離合成ステップでは、出射光の光路と反射光の光路とが分離・合成される。偏光方向切替ステップでは、光記録媒体の種類に応じて、出射光および反射光の偏光方向が切り替えられる。すなわち、出射光および反射光の偏光方向が90°変化するか、変化されないかのどちらかに切り替えられる。球面収差補正ステップでは、出射光の光路における球面収差が補正されるとともに、反射光の光路における球面収差が共通的に補正される。
本発明によれば、光学的特性の異なる複数の種類の光記録媒体に対して共通に働き、往路における球面収差および復路における球面収差を同時に補正する1組の球面収差補正手段を光学系中に設けるため、複数の対物レンズを備えて複数の種類の光記録媒体に対して記録や再生を行うことができると共に、簡単な構成でどの光記録媒体に対しても球面収差を補正することができる光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置ならびに光学式情報記録再生方法を提供することができる。
上記発明の目的、効果、特徴は、添付される図面と連携して実施の形態の記述から、より明らかになる。
図1は、2種類の光記録媒体に対して記録や再生を行うことができる従来の光ヘッド装置の構成を示す図である。
図2は、光記録媒体の保護層厚ずれに起因する球面収差を補正することができる従来の光ヘッド装置の構成を示す図である。
図3は、従来の光ヘッド装置における液晶光学素子の断面図である。
図4は、本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置の構成を示す図である。
図5A〜5Bは、本発明の第一の実施の形態に係る偏光方向切替素子の断面図である。
図6A〜6Cは、本発明の第一の実施の形態に係る液晶レンズの断面図である。
図7は、本発明の第二の実施の形態に係る光ヘッド装置の構成を示す図である。
図8は、本発明の第三の実施の形態に係る光学式情報記録再生装置の構成を示す図である。
図9は、本発明の第四の実施の形態に係る光学式情報記録再生装置の構成を示す図である。
以下に図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図4に、本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置の構成を示す。本実施の形態では、光ヘッド装置60aは、HD DVD規格の光記録媒体とBD規格の光記録媒体の両方に対して記録や再生を行うことができる2つの対物レンズを備える。対物レンズ8a、8bは、それぞれ保護層の厚さ0.6mm、0.1mmに対して球面収差が補正されるように設計されている。偏光ビームスプリッタ5は、光源である半導体レーザ1から出射される出射光の光路を、半導体レーザ1から対物レンズ8aまでの光路と半導体レーザ1から対物レンズ8bまでの光路とに分離する。それと共に、偏光ビームスプリッタ5は、光記録媒体であるディスク9からの反射光の対物レンズ8aから光検出器12までの光路と対物レンズ8bから光検出器12までの光路とを合成する。往路用偏光方向切替手段である偏光方向切替素子4aおよび復路用偏光方向切替手段である偏光方向切替素子4bは、液晶高分子を含んでいる。したがって、偏光方向切替素子4a、4bは、液晶高分子に電圧を印加した場合には入射光の偏光方向を変化させない全波長板として働き、液晶高分子に電圧を印加しない場合には入射光の偏光方向を90°変化させる1/2波長板として働く。往路用球面収差補正手段である液晶レンズ3a、復路用球面収差補正手段である液晶レンズ3bは、それぞれ往路、復路における球面収差を補正する機能を有する。
図4に、本発明の第一の実施の形態に係る光ヘッド装置の構成を示す。本実施の形態では、光ヘッド装置60aは、HD DVD規格の光記録媒体とBD規格の光記録媒体の両方に対して記録や再生を行うことができる2つの対物レンズを備える。対物レンズ8a、8bは、それぞれ保護層の厚さ0.6mm、0.1mmに対して球面収差が補正されるように設計されている。偏光ビームスプリッタ5は、光源である半導体レーザ1から出射される出射光の光路を、半導体レーザ1から対物レンズ8aまでの光路と半導体レーザ1から対物レンズ8bまでの光路とに分離する。それと共に、偏光ビームスプリッタ5は、光記録媒体であるディスク9からの反射光の対物レンズ8aから光検出器12までの光路と対物レンズ8bから光検出器12までの光路とを合成する。往路用偏光方向切替手段である偏光方向切替素子4aおよび復路用偏光方向切替手段である偏光方向切替素子4bは、液晶高分子を含んでいる。したがって、偏光方向切替素子4a、4bは、液晶高分子に電圧を印加した場合には入射光の偏光方向を変化させない全波長板として働き、液晶高分子に電圧を印加しない場合には入射光の偏光方向を90°変化させる1/2波長板として働く。往路用球面収差補正手段である液晶レンズ3a、復路用球面収差補正手段である液晶レンズ3bは、それぞれ往路、復路における球面収差を補正する機能を有する。
ディスク9がHD DVD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子4a、4bの液晶高分子に電圧が印加される。このとき、半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2で平行光化され、液晶レンズ3aを通り、偏光方向切替素子4aで偏光方向が変化せず、偏光ビームスプリッタ5へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、ミラー6で反射され、1/4波長板7で直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ8aでディスク9上に集光される。ディスク9からの反射光は、対物レンズ8aを逆向きに通り、1/4波長板7で円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、ミラー6で反射され、偏光ビームスプリッタ5へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、偏光方向切替素子4bで偏光方向が変化せず、液晶レンズ3bを通り、円筒レンズ10、凸レンズ11を通り、光検出器12で受光される。
一方、ディスク9がBD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子4a、4bの液晶高分子に電圧が印加されない。このとき、半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2で平行光化され、液晶レンズ3aを通り、偏光方向切替素子4aで偏光方向が90°変化し、偏光ビームスプリッタ5へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、1/4波長板7で直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ8bでディスク9上に集光される。ディスク9からの反射光は、対物レンズ8bを逆向きに通り、1/4波長板7で円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、偏光ビームスプリッタ5へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、偏光方向切替素子4bで偏光方向が90°変化し、液晶レンズ3bを通り、円筒レンズ10、凸レンズ11を通り、光検出器12で受光される。
光検出器12は、円筒レンズ10、凸レンズ11により形成される2つの焦線の中間に設けられており、ディスク9の半径方向に対応する分割線およびディスク9の接線方向に対応する分割線で隔てられた4つの受光部を有する。4つの受光部から出力される電圧信号に基づいて、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号、およびディスク9に記録されたマーク/スペース信号である再生信号が検出される。フォーカス誤差信号は公知の非点収差法により検出され、トラック誤差信号は公知のプッシュプル法により検出される。再生信号は4つの受光部から出力される電圧信号の和の高周波成分から検出される。
図5A〜5Bは偏光方向切替素子4a、4bの断面図である。偏光方向切替素子4a、4bは、ガラス基板13aとガラス基板13bとの間に液晶高分子層15を挟んだ構成である。ガラス基板13a、13bの液晶高分子層15側の面には、液晶高分子層15に交流電圧を印加するための透明電極14a、14bがそれぞれ形成されている。図中の矢印は液晶高分子層15の液晶高分子の長手方向を示している。液晶高分子層15は、光学軸の方向が液晶高分子の長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。液晶高分子の長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、液晶高分子の長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。
液晶高分子層15に実効値が5ボルトの交流電圧が印加されると、図5Aに示されるように、液晶高分子層15の液晶高分子の長手方向は、入射光の光軸にほぼ平行な方向となる。従って、入射光に対する液晶高分子層15の屈折率はnoとなる。このとき、偏光方向切替素子4a、4bは、入射光の偏光方向を変化させない全波長板として作用する。これに対し、液晶高分子層15に電圧が印加されない場合、図5Bに示されるように、液晶高分子層15の液晶高分子の長手方向は、入射光の光軸にほぼ垂直な方向となる。従って、入射光に対する液晶高分子層15の屈折率は異常光成分に対してはne、常光成分に対してはnoとなる。なお、液晶高分子層15の液晶高分子の長手方向の、光軸に垂直な断面内における紙面に平行な方向および紙面に垂直な方向に対する角度は45°である。ここで、入射光の波長をλ、液晶高分子層15の厚さをtとしたとき、2π(ne−no)t/λ=πが成り立つように厚さtの値が設定される。また、偏光方向切替素子4a、4bへの入射光の偏光方向は、紙面に平行な方向または紙面に垂直な方向であるとする。このとき、偏光方向切替素子4a、4bは、入射光の偏光方向を90°変化させる1/2波長板として作用する。
図6A〜6Cは、液晶レンズ3a、3bの断面図である。液晶レンズ3a、3bは、ガラス基板16aとガラス基板16bとの間に液晶高分子層18を挟んだ構成である。ガラス基板16a、16bの液晶高分子層18側の面には、液晶高分子層18に交流電圧を印加するための透明電極17a、17bがそれぞれ形成されている。透明電極17a、17bの一方はパタン電極、他方は全面電極である。液晶高分子層18に印加される交流電圧の実効値は、中心部では2.5+αボルト、周辺部では2.5−αボルトというように、中心部から周辺部へ向かって変化させることができる。図中の矢印は液晶高分子層18の液晶高分子の長手方向を示している。液晶高分子層18は光学軸の方向が液晶高分子の長手方向である一軸の屈折率異方性を有している。液晶高分子の長手方向に平行な方向の偏光成分(異常光成分)に対する屈折率をne、液晶高分子の長手方向に垂直な方向の偏光成分(常光成分)に対する屈折率をnoとすると、neはnoに比べて大きい。ここで、液晶レンズ3a、3bへの入射光の偏光方向は紙面に平行な方向であるとする。
0ボルト<α<1ボルトの場合、図6Aに示されるように、液晶高分子の長手方向は、中心部から周辺部へ向かって変化し、中心部では入射光の光軸に平行な方向に近づき、周辺部では入射光の光軸に垂直で紙面に平行な方向に近づく。従って、入射光に対する液晶高分子層18の屈折率は中心部から周辺部へ向かって変化し、中心部ではnoに近づき、周辺部ではneに近づく。このとき、液晶レンズ3a、3bは、入射光に対して凹レンズとして作用する。αの絶対値が大きいほど凹レンズの焦点距離の絶対値は小さくなる。
α=0ボルトの場合、図6Bに示されるように、液晶高分子の長手方向は、中心部、周辺部ともに、入射光の光軸に平行な方向と入射光の光軸に垂直で紙面に平行な方向との中間の方向となる。従って、入射光に対する液晶高分子層18の屈折率は、中心部、周辺部ともに、neとnoとの中間の値となる。このとき、液晶レンズ3a、3bは、入射光に対してレンズとして作用しない。
−1ボルト<α<0ボルトの場合、図6Cに示されるように、液晶高分子の長手方向は、中心部から周辺部へ向かって変化し、中心部では入射光の光軸に垂直で紙面に平行な方向に近づき、周辺部では入射光の光軸に平行な方向に近づく。従って、入射光に対する液晶高分子層18の屈折率は、中心部から周辺部へ向かって変化し、中心部ではneに近づき、周辺部ではnoに近づく。このとき、液晶レンズ3a、3bは、入射光に対して凸レンズとして作用する。αの絶対値が大きいほど凸レンズの焦点距離の絶対値は小さくなる。
半導体レーザ1から偏光方向切替素子4aへ向かう往路の光の偏光方向は、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体を使用する場合にも同じであるため、その方向が図6A〜6Cの紙面に平行な方向になるように液晶レンズ3aを設けることができる。また、偏光方向切替素子4bから光検出器12へ向かう復路の光の偏光方向は、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体を使用する場合にも同じであるため、その方向が図6A〜6Cの紙面に平行な方向になるように液晶レンズ3bを設けることができる。
液晶レンズ3aの液晶高分子に対するαの値を変化させると、往路において対物レンズ8a、8bの倍率が変化し、それに伴って対物レンズ8a、8bにおける球面収差が変化する。そこで、αの値を適切に調整すると、液晶レンズ3aは、対物レンズ8a、8bにおいて往路における球面収差を打ち消す球面収差を発生させる。また、液晶レンズ3bの液晶高分子に対するαの値を変化させると、復路において対物レンズ8a、8bの倍率が変化し、それに伴って対物レンズ8a、8bにおける球面収差が変化する。そこで、αの値を適切に調整すると、液晶レンズ3bは、対物レンズ8a、8bにおいて復路における球面収差を打ち消す球面収差を発生させる。これにより、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体に対しても、往路および復路における球面収差を動的に補正することができる。
図7に、本発明の第二の実施の形態に係る光ヘッド装置の構成を示す。本実施の形態では、光ヘッド装置60bは、HD DVD規格の光記録媒体およびBD規格の光記録媒体の両方に対して記録や再生を行うことができる2つの対物レンズを備える。対物レンズ8a、8bは、それぞれ保護層の厚さ0.6mm、0.1mmに対して球面収差が補正されるように設計されている。偏光ビームスプリッタ21bは、光源である半導体レーザ1から出射される出射光の光路を、半導体レーザ1から対物レンズ8aまでの光路と半導体レーザ1から対物レンズ8bまでの光路とに分離する。それと共に、偏光ビームスプリッタ21bは、光記録媒体であるディスク9からの反射光の対物レンズ8aから光検出器12までの光路と、対物レンズ8bから光検出器12までの光路とを合成する。偏光方向切替手段である偏光方向切替素子23は、液晶高分子を含んでいる。偏光方向切替素子23は、液晶高分子に電圧が印加される場合には、入射光の偏光方向を変化させない全波長板として働き、液晶高分子に電圧が印加されない場合には入射光の偏光方向を90°変化させる1/2波長板として働く。凹レンズ19と凸レンズ20から構成される球面収差補正手段であるエキスパンダレンズは、往路および復路における球面収差を補正する機能を有する。光分離手段である偏光ビームスプリッタ5は、半導体レーザ1から対物レンズ8aまたは8bへ向かう往路の光と、対物レンズ8aまたは8bから光検出器12へ向かう復路の光とを分離する。
ディスク9がHD DVD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子23の液晶高分子に電圧が印加される。このとき、半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2で平行光化され、偏光ビームスプリッタ5へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、凹レンズ19、凸レンズ20を通り、偏光ビームスプリッタ21aへP偏光として入射して殆んど全てが透過する。透過した光は、偏光方向切替素子23で偏光方向が変化せず、ミラー22aで反射され、偏光ビームスプリッタ21bへP偏光として入射して殆んど全てが透過し、1/4波長板7で直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ8aでディスク9上に集光される。ディスク9からの反射光は、対物レンズ8aを逆向きに通り、1/4波長板7で円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、偏光ビームスプリッタ21bへS偏光として入射して殆んど全てが反射され、偏光方向切替素子23で偏光方向が変化せず、ミラー22bで反射される。ミラー22bで反射された光は、偏光ビームスプリッタ21aへS偏光として入射して殆んど全てが反射され、凸レンズ20、凹レンズ19を通り、偏光ビームスプリッタ5へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、円筒レンズ10、凸レンズ11を通り、光検出器12で受光される。
一方、ディスク9がBD規格の光記録媒体である場合、偏光方向切替素子23の液晶高分子に電圧は印加されない。このとき、半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2で平行光化され、偏光ビームスプリッタ5へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、凹レンズ19、凸レンズ20を通り、偏光ビームスプリッタ21aへP偏光として入射して殆んど全てが透過し、偏光方向切替素子23で偏光方向が90°変化する。偏光方向が変化した光は、ミラー22aで反射され、偏光ビームスプリッタ21bへS偏光として入射して殆んど全てが反射され、ミラー6で反射され、1/4波長板7で直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ8bでディスク9上に集光される。ディスク9からの反射光は、対物レンズ8bを逆向きに通り、1/4波長板7で円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換され、ミラー6で反射され、偏光ビームスプリッタ21bへP偏光として入射して殆んど全てが透過し、偏光方向切替素子23で偏光方向が90°変化する。偏光方向が変化した光は、ミラー22bで反射され、偏光ビームスプリッタ21aへS偏光として入射して殆んど全てが反射され、凸レンズ20、凹レンズ19を通り、偏光ビームスプリッタ5へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、円筒レンズ10、凸レンズ11を通り、光検出器12で受光される。
光検出器12は、円筒レンズ10、凸レンズ11により形成される2つの焦線の中間に設けられる。光検出器12は、ディスク9の半径方向に対応する分割線およびディスク9の接線方向に対応する分割線で隔てられた4つの受光部を有する。4つの受光部から出力される電圧信号に基づいて、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号、およびディスク9に記録されたマーク/スペース信号である再生信号が検出される。フォーカス誤差信号は公知の非点収差法により検出され、トラック誤差信号は公知のプッシュプル法により検出される。再生信号は4つの受光部から出力される電圧信号の和の高周波成分から検出される。
偏光方向切替素子23の断面図は、図5A〜5Bに示されるものと同じである。液晶高分子層15に実効値が5ボルトの交流電圧が印加される場合、偏光方向切替素子23は、入射光の偏光方向を変化させない全波長板として作用する。これに対し、液晶高分子層15に電圧が印加されない場合、偏光方向切替素子23は、入射光の偏光方向を90°変化させる1/2波長板として作用する。
半導体レーザ1から偏光方向切替素子23へ向かう往路の光の偏光方向は、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体を使用する場合にも同じである。偏光方向切替素子23から光検出器12へ向かう復路の光の偏光方向は、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体を使用する場合にも同じである。このとき、往路の光の偏光方向と復路の光の偏光方向とは互いに直交しているため、往路の光と復路の光とは、偏光ビームスプリッタ21aにより合成される。したがって、往路の光および復路の光の共通の光路である偏光ビームスプリッタ5と偏光ビームスプリッタ21aとの間にエキスパンダレンズ(凹レンズ19、凸レンズ20)を設けることができる。凹レンズ19と凸レンズ20との間隔を変化させると、対物レンズ8a、8bの倍率が変化し、それに伴って対物レンズ8a、8bにおける球面収差が変化する。そこで、凹レンズ19と凸レンズ20との間隔を適切に調整すると、対物レンズ8a、8bにおいて往路および復路における球面収差を打ち消す球面収差が発生する。これにより、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体に対しても往路および復路における球面収差を同時に補正することができる。
図8に、本発明の第三の実施の形態に係る光学式情報記録再生装置の構成が示される。本実施の形態では、光学式情報記録再生装置は、第一の実施の形態において説明された光ヘッド装置60a、変調回路24、記録信号生成回路25、半導体レーザ駆動回路26、増幅回路27、再生信号処理回路28、復調回路29、誤差信号生成回路30、対物レンズ駆動回路31、偏光方向切替素子駆動回路32、液晶レンズ駆動回路33を備える。これらの回路は、コントローラ(図示せず)により制御される。偏光方向切替手段駆動回路である偏光方向切替素子駆動回路32は、偏光方向切替素子4a、4bを駆動して、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体を使用するかに応じて偏光方向切替素子4a、4bへの入射光の偏光方向を変化させないか90°変化させるかを切り替える。球面収差補正手段駆動回路である液晶レンズ駆動回路33は、往路および復路における球面収差を補正するために液晶レンズ3a、3bを駆動する。
ディスク9へデータを記録する場合、変調回路24は、ディスク9へ記録すべきデータを変調規則に従って変調する。記録信号生成回路25は、変調回路24で変調された信号に基づいて、記録ストラテジに従って半導体レーザ1を駆動するための記録信号を生成する。半導体レーザ駆動回路26は、記録信号生成回路25で生成された記録信号に基づいて、半導体レーザ1へ記録信号に応じた電流を供給して半導体レーザ1を駆動する。これに対し、ディスク9からデータを再生する場合、半導体レーザ駆動回路26は、半導体レーザ1からの出射光のパワーが一定になるように、半導体レーザ1へ一定の電流を供給して半導体レーザ1を駆動する。増幅回路27は、光検出器12の各受光部から出力される電圧信号を増幅する。
ディスク9からデータを再生する場合、再生信号処理回路28は、増幅回路27で増幅された電圧信号に基づいて、ディスク9に記録されたマーク/スペース信号である再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路29は、再生信号処理回路28で2値化された信号を復調規則に従って復調する。誤差信号生成回路30は、増幅回路27で増幅された電圧信号に基づいて、対物レンズ8a、8bを駆動するためのフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号を生成する。対物レンズ駆動回路31は、誤差信号生成回路30で生成されたフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号に基づいて、アクチュエータ(図示せず)へフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号に応じた電流を供給して対物レンズ8a、8bを駆動する。さらに、光ヘッド装置60aは、ポジショナ(図示せず)によりディスク9の半径方向へ駆動される。ディスク9はスピンドル(図示せず)により回転駆動される。
偏光方向切替素子駆動回路32は、誤差信号生成回路30から入力されるフォーカス誤差信号に基づいて、偏光方向切替素子4a、4bを駆動する。具体的には、偏光方向切替素子駆動回路32は、ディスク9の表面および記録面からのフォーカス誤差信号のゼロクロス点の間隔から保護層の厚さが0.6mm、0.1mmのどちらであるかを調べる。保護層の厚さが0.6mmであればディスク9がHD DVD規格の光記録媒体であると判断し、偏光方向切替素子駆動回路32は、偏光方向切替素子4a、4bの液晶高分子に電圧を印加して偏光方向切替素子4a、4bへの入射光の偏光方向を変化させない。一方、保護層の厚さが0.1mmであればディスク9がBD規格の光記録媒体であると判断し、偏光方向切替素子駆動回路32は、偏光方向切替素子4a、4bの液晶高分子に電圧を印加せず偏光方向切替素子4a、4bへの入射光の偏光方向を90°変化させる。液晶レンズ駆動回路33は、再生信号処理回路28から入力される再生信号に基づいて、液晶レンズ3a、3bを駆動する。具体的には、再生信号の品質評価指標が最良になるように、液晶レンズ駆動回路33は、液晶レンズ3a、3bの液晶高分子に対するαの値を適切に調整して往路および復路における球面収差を動的に補正する。
図9に、本発明の第四の実施の形態に係る光学式情報記録再生装置の構成が示される。本実施の形態では、光学式情報記録再生装置は、第二の実施の形態において説明された光ヘッド装置60b、変調回路24、記録信号生成回路25、半導体レーザ駆動回路26、増幅回路27、再生信号処理回路28、復調回路29、誤差信号生成回路30、対物レンズ駆動回路31、偏光方向切替素子駆動回路32、凹凸レンズ駆動回路34を備える。これらの回路は、コントローラ(図示せず)により制御される。偏光方向切替手段駆動回路である偏光方向切替素子駆動回路32は、偏光方向切替素子23を駆動して、HD DVD、BDのどちらの光記録媒体を使用するかに応じて偏光方向切替素子23への入射光の偏光方向を変化させないか90°変化させるかを切り替える。球面収差補正手段駆動回路である凹凸レンズ駆動回路34は、往路および復路における球面収差を補正するために凹レンズ19または凸レンズ20を駆動する。
偏光方向切替素子駆動回路32は、誤差信号生成回路30から入力されるフォーカス誤差信号に基づいて偏光方向切替素子23を駆動する。具体的には、偏光方向切替素子駆動回路32は、ディスク9の表面および記録面からのフォーカス誤差信号のゼロクロス点の間隔から保護層の厚さが0.6mm、0.1mmのどちらであるかを調べる。保護層の厚さが0.6mmであればディスク9がHD DVD規格の光記録媒体であると判断し、偏光方向切替素子駆動回路32は、偏光方向切替素子23の液晶高分子に電圧を印加して偏光方向切替素子23への入射光の偏光方向を変化させない。一方、保護層の厚さが0.1mmであればディスク9がBD規格の光記録媒体であると判断し、偏光方向切替素子駆動回路32は、偏光方向切替素子23の液晶高分子に電圧を印加せず偏光方向切替素子23への入射光の偏光方向を90°変化させる。凹凸レンズ駆動回路34は、再生信号処理回路28から入力される再生信号に基づいて凹レンズ19または凸レンズ20を駆動する。具体的には、再生信号の品質評価指標が最良になるように、凹凸レンズ駆動回路34は、凹レンズ19と凸レンズ20との間隔を適切に調整して往路および復路における球面収差を補正する。
ここで、特開平9−223327号公報に記載されている光ヘッド装置をHD DVD規格の光記録媒体とBD規格の光記録媒体の両方に対して記録や再生を行うことができる光ヘッド装置に応用することを考える。その場合、どちらの光記録媒体に対しても光記録媒体の保護層厚ずれに起因する球面収差を補正することが必要である。そこで、この光ヘッド装置に液晶光学素子やエキスパンダレンズを追加することにより球面収差を補正する機能を持たせる。
図1に示される光ヘッド装置において、図3に示される液晶光学素子46a、46bが偏光ビームスプリッタ37と1/4波長板39との間に挿入される場合、偏光ビームスプリッタ37と対物レンズ40aとの間の光路および偏光ビームスプリッタ37と対物レンズ40bとの間の光路の両方に液晶光学素子46a、46bを挿入するため、2組の液晶光学素子46a、46bが必要になる。液晶光学素子46aは往路のどの位置に挿入しても良く、液晶光学素子46bは復路のどの位置に挿入しても良い。そこで、液晶光学素子46a、46bを分離し、液晶光学素子46aを半導体レーザ35と偏光方向切替素子36の間に挿入し、液晶光学素子46bを偏光ビームスプリッタ37と光検出器42の間に挿入することも考えられる。この場合、対物レンズ40aから光検出器42へ向かう復路の光は、偏光ビームスプリッタ37でS偏光として反射されて液晶光学素子46bへ入射し、対物レンズ40bから光検出器42へ向かう復路の光は偏光ビームスプリッタ37をP偏光として透過して液晶光学素子46bへ入射する。液晶光学素子46bは、どちらか一方の直線偏光に対してしか作用しないため、2種類の光記録媒体の両方に対して復路における球面収差を補正することはできない。半導体レーザ35と偏光方向切替素子36との間および偏光ビームスプリッタ37と光検出器42との間の両方に液晶光学素子46a、46bを挿入することも考えられるが、やはり2組の液晶光学素子46a、46bが必要になる。
また、図1において、エキスパンダレンズを偏光ビームスプリッタ37と1/4波長板39の間に挿入する場合、偏光ビームスプリッタ37と対物レンズ40aの間の光路および偏光ビームスプリッタ37と対物レンズ40bとの間の光路の両方にエキスパンダレンズを挿入するため、2組のエキスパンダレンズが必要になる。半導体レーザ35と偏光方向切替素子36との間および偏光ビームスプリッタ37と光検出器42との間の両方にエキスパンダレンズを挿入することも考えられるが、やはり2組のエキスパンダレンズが必要になる。
すなわち、特開平9−223327号公報に記載の光ヘッド装置に液晶光学素子やエキスパンダレンズを追加することにより球面収差を補正する機能を持たせる場合、2組の液晶光学素子やエキスパンダレンズが必要になり、球面収差を補正するための光学系およびそれを駆動するための回路系が複雑になる。
このように、本発明によれば、光学的特性の異なる複数の種類の光記録媒体に対して共通に働き、往路における球面収差および復路における球面収差を同時に補正する1組の球面収差補正手段を光学系中に設けるため、複数の対物レンズを備えて複数の種類の光記録媒体に対して記録や再生を行うことができると共に、簡単な構成でどの光記録媒体に対しても球面収差を補正することができる光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置ならびに光学式情報記録再生方法を提供することができる。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
Claims (8)
- 光源から出射された出射光を第一の種類の光記録媒体上に集光する第一の対物レンズと、
前記光源から出射された出射光を第二の種類の光記録媒体上に集光する第二の対物レンズと、
前記第一の対物レンズにより集光されて前記第一の種類の光記録媒体で反射された反射光と、前記第二の対物レンズにより集光されて前記第二の種類の光記録媒体で反射された反射光とを受光する光検出器と、
前記光源から前記第一の対物レンズまでの前記出射光の光路と、前記光源から前記第二の対物レンズまでの前記出射光の光路とを分離し、前記第一の対物レンズから前記光検出器までの前記反射光の光路と、前記第二の対物レンズから前記光検出器までの前記反射光の光路とを合成する偏光ビームスプリッタと、
前記光源から前記偏光ビームスプリッタへ向かう直線偏光の偏光方向および前記偏光ビームスプリッタから前記光検出器へ向かう直線偏光の偏光方向を変化させないか90°変化させるかを切り替える偏光方向切替手段と、
前記光源から前記第一、第二の種類の光記録媒体へ選択的に向かう前記出射光に対して共通に働き、前記出射光の光路における球面収差を補正すると共に、前記第一、第二の種類の光記録媒体から選択的に前記光検出器へ向かう前記反射光に対して共通に働き、前記反射光の光路における球面収差を補正する球面収差補正手段と
を具備する光ヘッド装置。 - 前記偏光方向切替手段は、
前記光源と前記偏光ビームスプリッタとの間に設けられる往路用偏光方向切替手段と、
前記偏光ビームスプリッタと前記光検出器との間に設けられる復路用偏光方向切替手段と
を備え、
前記球面収差補正手段は、
前記光源と前記往路用偏光方向切替手段との間に設けられる往路用球面収差補正手段と、
前記復路用偏光方向切替手段と前記光検出器との間に設けられる復路用球面収差補正手段と
を備える
請求の範囲1に記載の光ヘッド装置。 - 前記往路用球面収差補正手段および前記復路用球面収差補正手段は、液晶光学素子を含む
請求の範囲2に記載の光ヘッド装置。 - 前記光源から前記第一または第二の対物レンズへ向かう前記出射光と、前記第一または第二の対物レンズから前記光検出器へ向かう前記反射光とを分離する光分離手段をさらに具備し、
前記偏光方向切替手段は前記光分離手段と前記偏光ビームスプリッタとの間に設けられ、前記球面収差補正手段は前記光分離手段と前記偏光方向切替手段との間に設けられる
請求の範囲1に記載の光ヘッド装置。 - 請求の範囲1から請求の範囲4のいずれかに記載の光ヘッド装置と、
前記第一または第二の種類の光記録媒体のどちらを使用するかに応じて前記偏光方向切替手段へ入射する直線偏光の偏光方向を変化させないか90°変化させるかを切り替えるために、前記偏光方向切替手段を駆動する偏光方向切替手段駆動回路と、
前記光源から前記第一または第二の種類の光記録媒体までの前記出射光の光路における球面収差、および前記第一または第二の種類の光記録媒体から前記光検出器までの前記反射光の光路における球面収差を補正するために、前記球面収差補正手段を駆動する球面収差補正手段駆動回路と
を具備する光学式情報記録再生装置。 - 前記偏光方向切替手段駆動回路は、前記光検出器から出力される信号から抽出されるフォーカス誤差信号に基づいて判別される前記光記録媒体の種類に応じて前記偏光方向切替手段を駆動する
請求の範囲5に記載の光学式情報記録再生装置。 - 前記球面収差補正手段駆動回路は、前記光記録媒体から再生される再生信号の品質評価指標が最良になるように前記球面収差補正手段を駆動する
請求の範囲5または請求の範囲6に記載の光学式情報記録再生装置。 - 光源から出射される出射光を複数の対物レンズによって光記録媒体上に集光する集光ステップと、前記複数の対物レンズの各々は種類の異なる前記光記録媒体に適合するように設計され、
前記光記録媒体で反射された反射光を受光する光検出ステップと、
前記出射光の光路と前記反射光の光路とを分離・合成する分離合成ステップと、
前記光記録媒体の種類に応じて、前記出射光および前記反射光の偏光方向を切り替える偏光方向切替ステップと、
前記出射光の光路における球面収差を補正すると共に、前記反射光の光路における球面収差を補正する球面収差補正ステップと
を具備する光学式情報記録再生方法。
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