JPWO2008105116A1 - 溶接出力制御方法およびアーク溶接装置 - Google Patents

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Abstract

アークが発生してからアーク期間中で、第1の所定時間経過後から第2の所定時間は、指令電圧波形に、短絡周期よりも短く、溶接電源装置の制御周期よりも長い、所定の周期と振幅の重畳電圧波形を重畳させることにより、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対し、溶滴が消耗電極の方向へ押し上げられる成長を抑制し、溶滴の過大成長を防止すると共に、溶滴の溶融池への移行をスムーズにすることでスパッタの発生を減らし、さらに、ビード外観をフラットにする。

Description

本発明は、消耗電極を送給し短絡とアークとを交互に発生させて溶接を行う消耗電極式アーク溶接に関し、特に、アーク期間中の指令溶接電圧に所定の電圧波形を重畳させるようにした溶接出力制御方法およびアーク溶接装置に関する。
近年、スパッタ発生量、ビード外観、溶け込み形状といった溶接品質の更なる高品位化が求められている。中でもスパッタの発生を低減することにより、溶接品質を向上させると共に、治具などへのスパッタ付着を防ぐことが求められている。その結果、保守性が向上し、作業環境の改善を実現できるからである。
高速度カメラ等を用いてスパッタの発生機構を解析した結果、スパッタが発生するタイミングは大きく分類して短絡期間とアーク期間に分けられる。そして、アーク期間中における従来のスパッタ低減方法としては、アーク再生直後、所定の時間は高い電流出力または高い電流出力となる定電圧出力を行い、それに続くアーク期間の後半では低い電流出力とする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、短絡が発生する前兆現象として、アーク期間中の電圧出力波形の変化量を検出し、変化量が大きければ低い電流出力を行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記従来の技術では、消耗電極先端部に形成される溶融金属(以下、溶滴と称す)と被溶接物に形成される溶融金属(以下、溶融池と称す)とが短絡する際には、低い電流出力とすることで、アーク力で溶滴が消耗電極の方向に押し上げられたり、大粒のスパッタとして離脱したりすることを低減できる。しかしながら、短絡の発生には規則性が無い。そのため、例えば電流出力を低下させてから短絡までの時間が長くなると、アークによる熱影響部も狭くなり、凸形状のビード外観となり易くなる。この場合は、ビード外観は好ましいものではない。また、短絡回数が少なくなる中電流から高電流領域までの溶接現象に対しては、スパッタの低減効果が少なくなる。
また、短絡の発生を事前に検知する方法においては、溶滴と溶融池との距離が短くならなければ検出することができない。そして、短絡の発生を事前に検知する信号が発生しても、アークが集中しているため、検知した段階では過大なアーク力が溶滴と溶融池間に加わる。この場合には、大粒のスパッタとして離脱するかアーク力で溶滴が押し上げられることになり、アーク力で溶滴が押し上げられた場合も、溶滴が下降し短絡となるまでに時間がかかることから溶滴が過大成長し、大粒のスパッタの発生要因になるという課題があった。
特開昭59−202173号公報 特開昭60−145278号公報
本発明の溶接出力制御方法は、消耗電極を被溶接物に送給し、溶接電源装置により消耗電極と被溶接物との間に電力を供給して短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接の溶接出力制御方法であって、アーク期間中における所定期間の間は、指令電圧波形に、短絡周期よりも短く、かつ溶接電源装置の制御周期よりも長い所定の重畳電圧波形を重畳するものである。
このような構成により、アーク力を周期的に変化させることによって、溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させ、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対し、溶滴が消耗電極の方向へ押し上げられる成長を抑制することができる。また、溶滴の過大成長を防止すると共に溶滴の溶融池への移行をスムーズにすることでスパッタの発生を減少でき、さらに、ビード外観をフラットにすることができる。
また、本発明のアーク溶接装置は、消耗電極を送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接を行うアーク溶接装置であって、溶接出力電圧を検出する溶接電圧検出部と、アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部と、溶接電圧検出部の出力信号により短絡期間かアーク期間かを判別する短絡・アーク判定部とを備えたものである。また、短絡・アーク判定部の出力信号がアーク期間と判別してから第1の所定時間を計測する第1タイマー部と、第1タイマー部が計測を完了してから第2の所定時間を計測する第2タイマー部と、第2タイマー部の出力信号が計測期間中である場合には予め設定された所定の重畳電圧波形を生成出力する重畳電圧波形生成部とを備えたものである。さらに、基準電圧波形生成部の出力信号と重畳電圧波形生成部の出力信号とを合成する電圧波形合成部と、電圧波形合成部の出力信号と溶接電圧検出部の出力信号に基づいて溶接出力を制御する制御部とを備えたものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、消耗電極を送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接を行うアーク溶接装置であって、溶接出力電圧を検出する溶接電圧検出部と、アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部と、溶接電圧検出部の出力信号により短絡期間かアーク期間かを判別する短絡・アーク判定部とを備えたものである。また、基準電圧波形が第1の閾値以下か否かを判定する第1閾値判定部と、指令電圧波形が第2の閾値以下か否かを判定する第2閾値判定部と、短絡・アーク判定部の出力信号がアーク期間と判別した後に基準電圧波形が第1の閾値になってから第2の閾値になるまでの間は予め設定された所定の重畳電圧波形を生成出力する重畳電圧波形生成部とを備えたものである。さらに、基準電圧波形生成部の出力信号と重畳電圧波形生成部の出力信号とを合成する電圧波形合成部と、電圧波形合成部の出力信号と溶接電圧検出部の出力信号に基づいて溶接出力を制御する制御部とを備えたものである。
図1は本発明の実施の形態1におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図である。 図2は本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を矩形波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。 図3は本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を三角波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。 図4は本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を正弦波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。 図5は本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を台形の繰り返し波形とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。 図6Aは図5における重畳電圧波形の詳細を示す図である。 図6Bは図5における他の例の重畳電圧波形の詳細を示す図である。 図7は本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を階段状の繰り返し波形とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。 図8Aは図7における重畳電圧波形の詳細を示す図である。 図8Bは図7における他の例の重畳電圧波形の詳細を示す図である。 図9は本発明の実施の形態2におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図である。 図10は本発明の実施の形態2における重畳電圧波形を矩形波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 入力電源
2a 出力端
2b 出力端
3 溶接出力部
4 溶接電圧検出部
5 溶接電流検出部
6 短絡・アーク判定部
7 基準電流波形生成部
8 基準電圧波形生成部
9 第1タイマー部
10 第2タイマー部
11 重畳電圧波形生成部
12 電圧波形合成部
13 制御部
14 設定部
15 第1閾値判定部
16 第2閾値判定部
17 設定部
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態におけるアーク溶接装置は、入力電源1と、溶接装置の出力端2aおよび出力端2bと、溶接出力部3と、溶接電圧検出部4と、溶接電流検出部5とを備えている。また、溶接電圧検出部4の出力に基づいて溶接状態が短絡状態であるかアーク状態であるかを判別する短絡・アーク判定部6と、短絡期間中の基準電流波形を生成する基準電流波形生成部7と、アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部8とを備えている。そして、短絡・アーク判定部6の出力に基づいてアーク発生から第1の所定時間を計測する第1タイマー部9と、第1タイマー部の出力に基づいて第2の所定時間を計測する第2タイマー部10と、短絡周期よりも短く前記溶接電源装置の制御周期よりも長い所定の重畳電圧波形を生成する重畳電圧波形生成部11とを備えている。また、基準電圧波形生成部8と重畳電圧波形生成部11の出力に基づいて溶接出力波形を生成する電圧波形合成部12と、短絡・アーク判定部6と溶接電流検出部5と基準電流波形生成部7と溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12の出力に基づいて溶接出力を制御する制御部13とを備えている。さらに、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に基づいて、第1の所定時間と第2の所定時間と重畳電圧波形の1周期の波形を記憶設定する設定部14とを備えている。
なお、図示していないが、出力端2aおよび出力端2bのうち一方には消耗電極が電気的に接続され、他方には被溶接物が電気的に接続されている。そして、消耗電極を被溶接物に送給し、溶接電源装置により消耗電極と被溶接物との間に電力を供給してアークを発生させて溶接を行うものである。そして、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接の溶接出力制御方法を用いている。
また、図2は、本実施の形態における重畳電圧波形を矩形波とした場合の上記各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。
以下に、本実施の形態におけるアーク溶接装置の動作について、図1と図2を用いて説明する。
まず、溶接電流検出部5は、溶接出力電流を検出して図2に示すように溶接電流波形Ioを制御部13に出力する。また、溶接電圧検出部4は、溶接出力電圧を検出して制御部13と短絡・アーク判定部6に溶接電圧波形Voを出力する。さらに、短絡・アーク判定部6は、溶接電圧検出部4の出力波形に基づいて溶接状態が短絡状態かアーク状態かを判別する。そして図2の短絡・アーク判定出力ASに示すような波形を出力する。また、短絡・アーク判定部6は、第1タイマー部9と制御部13に、短絡期間には短絡状態を示すローレベルを出力し、アーク期間にはアーク状態を示すハイレベルを出力する。なお、例えば、ローレベルは0V、ハイレベルは数Vとして、判別できる電圧を出力すればよい。
次に、第1タイマー部9は、図2の第1タイマー出力T1に示すように、短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、短絡期間では計測をリセット・計測待機状態を示すローレベルを出力する。そして、溶接状態が短絡期間からアーク期間に変化したことをトリガーとして、アーク期間では計測状態を示すハイレベルを出力する。また、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部14により予め設定された第1の所定時間t1を経過すると計測完了状態を示すローレベルを出力する。
また、第2タイマー部10は、図2の第2タイマー出力T2に示すように、短絡・アーク判定部6の出力と第1タイマー部9の出力に基づいて、短絡期間では計測をリセット・計測待機状態を示すローレベルを出力する。そして、第1タイマー部9の出力が計測状態から計測完了状態に変化したことをトリガーとして、第1タイマー部9の出力状態が計測完了状態中は計測状態を示すハイレベルを出力する。そして、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部14により予め設定された第2の所定時間t2を経過すると計測完了状態を示すローレベルを出力する。
また、重畳電圧波形生成部11は、第2タイマー部10の出力に基づいて、第2タイマー部10が計測状態の期間は、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部14により予め設定された周期と振幅の重畳電圧波形Vrを生成する。すなわち、アーク期間中における所定期間は、第2タイマー部10が計測状態の期間であり、アーク発生後に第1の所定時間t1が経過した時点から第2の所定時間t2が経過するまでの期間である。なお、例えば、第1の所定時間t1は、0msから100msまで程度とし、第2の所定時間t2は、0.01msから1000msまで程度としてもよい。
そして、基準電圧波形生成部8は、短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、アーク期間中は予め設定された基準電圧波形Vaを生成する。そして、電圧波形合成部12は、重畳電圧波形生成部11で生成された重畳電圧波形Vrと基準電圧波形生成部8で生成された基準電圧波形Vaとを加算合成する。電圧波形合成部12の出力は、図2の合成波形Vaoに示す波形となる。図に示すように合成波形Vaoは、第1タイマー部9が計測状態の場合には、基準電圧波形Vaの波形となる。また、合成波形Vaoは、第2タイマー部10が計測状態の場合には、基準電圧波形Vaと重畳電圧波形Vrとが加算された波形となる。そして、合成波形Vaoは、第2タイマー部10が計測完了状態の場合は、基準電圧波形Vaの波形となる。
そして、制御部13は、溶接電流検出部5と基準電流波形生成部7と溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12と短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、短絡・アーク判定部6の出力が短絡期間を示す場合には、溶接電流検出部5の出力と基準電流波形生成部7の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。一方、短絡・アーク判定部6の出力がアーク期間を示す場合には、溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。
なお、図2の時間aで示すように、第1タイマー部9が計測状態中に短絡・アーク判定部6の出力である短絡・アーク判定出力ASが短絡状態示すローレベルになった場合には、第1タイマー部9と第2タイマー部10は計測をリセット・計測待機状態となる。その結果、電圧波形合成部12の出力は基準電圧波形Vaとなる。また、図2の時間bで示すように、第2タイマー部10が計測状態中に短絡・アーク判定部6の出力である短絡・アーク判定出力ASが短絡状態になった場合にも、第2タイマー部10は計測をリセット・計測待機状態となる。その結果、電圧波形合成部12の出力は基準電圧波形Vaとなる。
また、図2では、重畳電圧波形Vrを矩形波で示しているが、図3に示す三角波や図4に示す正弦波とすることにより、溶接電圧をゆっくり変化させることで、アーク力の急激な変動を抑えることができ、溶滴の振動または抑制をスムーズにすることが可能となり同様の効果が得られる。
さらに、重畳電圧波形Vrを例えば、図5、図6A、および図6Bに示す台形の繰り返し波形や、図7、図8A、および図8Bに示す階段状の繰り返し波形としてもよい。図6A、図6Bに示す台形の繰り返し波形とすることによるさらなる効果は以下のようになる。
最初に、図6Aに基づいて説明する。まず、重力や表面張力やプラズマ気流による溶滴を下降させる力を加味した第1の傾きdV1/dtでアーク力をゆっくりと第1の波高値V1まで小さくし、第3の所定時間t3で溶滴の振動を安定させる。そして、重力や表面張力やプラズマ気流による溶滴を下降させる力を加味した第2の傾きdV2/dtでアーク力をゆっくりと第2の波高値V2まで大きくし、第4の所定時間t4で溶滴の振動を安定させる。そして再度、第1の傾きdV1/dtでアーク力をゆっくりと小さくする。
すなわち、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで下降する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間t3が経過した後に第2の傾きdV2/dtで上昇する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで下降する期間とからなる繰り返し波形である。なお、例えば、第1の所定の波高値V1は、0.2Vから10Vまで程度とし、第2の所定の波高値V2は、0.2Vから10Vまで程度としてもよい。また、第3の所定時間t3は、0.01msから5msまで程度とし、第4の所定時間t4は、0.01msから5msまで程度としてもよい。
さらに、図6Bに示すように、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで上昇する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間T2が経過した後に第2の傾きdV2/dtで下降する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4の維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで上昇する期間とからなる繰り返し波形としてもよい。
このようにして、溶接電圧をゆっくり変化させることで、アーク力の急激な変動を抑えることができ、溶滴の振動または抑制をスムーズにすることが可能となり、同様の効果が得られる。なお、図8A、図8Bに示した階段状の繰り返し波形は、一例であって、さらに多くの段数を有するなど任意の繰り返し波形を用いてもよく、本発明はこの例に限られるものではない。
ここで、図8A、図8Bに示すように、第1の傾きdV1/dtでアーク力を小さくする際、溶滴を安定させる第5の所定時間t5を設けることにより、さらに溶滴の振動の抑制または振動の安定性を増すことができ、同様の効果が得られる。
すなわち、図8Aに示すように、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで下降する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間t3が経過した後に第2の傾きdV2/dtで上昇する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで下降する期間と、第1の傾きdV1/dtで下降し波高値が0に達した後にこの波高値の0を第5の所定時間t5維持する期間とからなる繰り返し波形としてもよい。なお、例えば、第5の所定時間t5は、0.01msから5ms程度としてもよい。
また、図8Bに示すように、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで上昇する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間t3が経過した後に第2の傾きdV2/dtで下降する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで上昇する期間と、第1の傾きdV1/dtで上昇し波高値が0に達した後にこの波高値の0を第5の所定時間t5維持する期間とからなる繰り返し波形としてもよい。
さらに、第1の所定時間t1や第2の所定時間t2、また、重畳電圧波形Vrの周期および振幅、傾きなどの波形パラメータを、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値の関数とし変化させてもよい。すなわち、第1の所定時間t1と、第2の所定時間t2と、重畳電圧波形の第1の傾きdV1/dtと、第2の傾きdV2/dtと、第1の所定の波高値V1と、第2の所定の波高値V2と、第3の所定時間V3と、第4の所定時間V4と、第5の所定時間V5と、所定の重畳電圧波形の正弦波と三角波と矩形波とのいずれか1つの周期と振幅と、指令電圧波形の第1の閾値と、第2の閾値との少なくともいずれか1つは、溶接平均電流または消耗電極の送給量に応じて設定されるようにしてもよい。
例えば、短絡回数の多い低電流または消耗電極の送給量が少ない領域では、アーク期間が短いため、第1の所定時間t1および第2の所定時間t2を短くしてもよい。また、溶滴の成長が遅いため、重畳電圧波形Vrの周期を長く、振幅を小さく変化させてもよい。また、短絡回数が少なくなる中電流から大電流までの領域、または消耗電極の送給量が多い領域では、アーク期間が長いため、第1の所定時間t1および第2の所定時間t2を長く変化させてもよい。また、溶滴の成長が早いため、重畳電圧波形Vrの周期を短く、振幅を大きくするように変化させてもよい。
このように、本実施の形態では、アーク期間中に第1の所定の時間経過後から第2の所定時間までの間は、溶接出力基準指令電圧に短絡周期よりも早く溶接電源装置の制御周期よりも長い電圧を重畳させることによって、重畳電圧波形の低レベルの期間では、アーク電圧が低くなることでアーク力が小さくなる。すなわち、溶滴を消耗電極方向に押し上げる力を低下させる。また、重畳電圧波形の高レベルの期間では、アーク電圧が大きくなることでアーク力が大きくなる。すなわち、溶滴を消耗電極方向に押し上げる力を増大させ、アーク力を周期的に変化させる。このようにして、溶滴の成長速度、消耗電極の送給速度および溶滴や溶融池の振動などを総合した溶滴の下降速度との相対バランスで、溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させることができる。
以上のように本実施の形態では、アーク期間中の所定期間の間は指令電圧波形としての溶接電圧波形に所定の重畳電圧波形Vrを重畳させ、アーク力を周期的に変化させることによって溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させている。その結果、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対し、溶滴が消耗電極の方向へ押し上げられる成長を抑制することができる。また、溶滴の過大成長を防止すると共に溶滴の溶融池への移行をスムーズにすることでスパッタの発生を減少することができ、さらに、ビード外観をフラットにすることができる。
なお、重畳電圧波形Vrの周期は、短絡周期よりも短く、かつアーク溶接装置の制御周期よりも長いことが望ましい。具体的には、100Hz以上100kHz以下の間で設定するのが望ましい。そして、短絡周期よりも短くアーク溶接装置の制御周期よりも長くする理由は以下の通りである。
すなわち、短絡周期よりも短くする理由としては、短絡周期よりも長いとアーク期間中にアーク力が変化しないからである。例えば、溶接平均電流値が120Aの領域では一般的に、短絡回数が1秒間に約80〜120回発生しており、このときの短絡期間は約5〜10msである。この場合、アーク力を変化させるためには、少なくとも重畳電圧波形の周期を10ms以下、すなわち100Hz以上に設定する必要がある。なぜなら、これよりも長い周期とすると、次の短絡が発生するため、アーク力の変化をさせることができなくなるためである。
また、アーク溶接装置の制御周期より長くする理由としては、アーク溶接装置の制御は電源の制御周波数によって毎回溶接出力を決定している。従って、制御周波数より速い応答はできず、仮に、制御周波数が100kHzの場合、10μs毎に溶接出力が変わっていく。したがって、重畳電圧波形Vrの周期を9μsの周期の設定としても溶接出力は変化しないからである。
なお、第1の所定時間t1はゼロとしてもよく、すなわち、アーク期間になってから直に、溶接基準波形Vaに重畳電圧波形Vrを重畳するようにしてもよい。また、アーク期間になってしばらくしてから、溶接基準波形Vaに重畳電圧波形Vrを重畳するようにしてもよい。
また、アーク期間が長い異常な状況を想定すると、溶滴が大きく成長しているため、重畳電圧により無理にアーク力を大きくすると、アーク力が強いときに溶滴を吹き飛ばし、大粒スパッタの発生原因となることも考えられる。したがって、アーク期間の終期になる前に重畳電圧波形Vrを重畳しないようにすることが望ましい。
(実施の形態2)
図9は、本実施の形態におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図である。また、図10は、本実施の形態における、図9に示す各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。
本実施の形態において、実施の形態1と異なる主な点は、基準電圧波形Vaに重畳電圧波形Vrを重畳する所定の期間を、アーク期間になってからの時間ではなく、基準電圧波形Vaの値により決めるようにした点である。また、実施の形態1と同様の箇所については同一符号を付して詳細な説明を省略する。以下に、本発明の実施の形態2で実施の形態1と異なる部分を中心に図9および図10を用いて説明する。
図9に示すように、本実施の形態におけるアーク溶接装置は、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に基づいて、第1の閾値と第2の閾値と重畳電圧波形Vrの1周期の波形とを記憶設定する設定部17を備えている。そして、基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて基準電圧波形が第1の閾値以下であるか否かを判定する第1閾値判定部15と、基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて基準電圧波形が第2の閾値以下であるか否かを判定する第2閾値判定部16とを備えている。
以下に、本実施の形態におけるアーク溶接装置の動作について、図9と図10を用いて説明する。
まず、溶接電流検出部5は、溶接出力電流を検出して溶接電流波形Ioを制御部13に出力する。また、溶接電圧検出部4は、溶接出力電圧を検出して制御部13と短絡・アーク判定部6に溶接電圧波形Voを出力する。さらに、短絡・アーク判定部6は、溶接電圧検出部4の出力波形に基づいて溶接状態が短絡状態かアーク状態かを判別し、短絡期間かアーク期間かを出力する。その出力は、図10の短絡・アーク判定出力ASの波形で示している。また、基準電圧波形生成部8は、短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、アーク期間中は予め設定された溶接基準電圧波形Vaを生成する。
次に、第1閾値判定部15は、基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて、基準電圧波形Vaが溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部17により予め設定された第1の閾値Va1以下か否かを判定し、重畳電圧波形生成部11に信号を出力する。そして、第2閾値判定部16は基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて基準電圧波形Vaが溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部17により予め設定された第2の閾値Va2以下か否かを判定し、重畳電圧波形生成部11に信号を出力する。
また、重畳電圧波形生成部11は、第1閾値判定部15と第2閾値判定部16の出力に基づいて、指令電圧波形としての重畳電圧波形Vrを生成して出力する。すなわち、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下であり第2の閾値Va2以上の期間は溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部17により予め設定された周期と振幅の重畳電圧波形Vrを生成して出力する。このように、アーク期間中における所定期間は、指令電圧波形が第1の閾値Va1から第2の閾値Va2になるまでの期間としている。なお、例えば、第1の閾値Va1は、35Vから25V程度とし、第2の閾値Va2は、35Vから15V程度とてもよい。
そして、電圧波形合成部12は、重畳電圧波形生成部11で生成された重畳電圧波形Vrと基準電圧波形生成部8で生成された基準電圧波形Vaとを加算合成する。なお、この電圧波形合成部12の出力は、図10の合成波形Vaoに示す波形となる。図に示すように合成波形Vaoは、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以上の場合には溶接基準波形Vaの波形となる。また、合成波形Vaoは、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下で第2の閾値Va2以上の場合には基準電圧波形Vaと重畳電圧波形Vrとが加算された波形となる。そして、合成波形Vaoは、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下の場合は、基準電圧波形Vaの波形となる合成波形Vaoを出力する。
そして、制御部13は、溶接電流検出部5と基準電流波形生成部7と溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12と短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、短絡・アーク判定部6の出力が短絡期間を示す場合には、溶接電流検出部5の出力と基準電流波形生成部7の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。一方、短絡・アーク判定部6の出力がアーク期間を示す場合には、溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。
なお、ビード形状やアーク長を変えるなど電圧微調整をするために、例えば、図10の時間eで△Va上昇させて基準電圧波形Vaを変化させると、第1閾値判定部15が第1の閾値Va1以上であると判定する期間fおよび期間gも変化する。その結果、重畳電圧波形Vrを重畳開始する期間が変化し、アーク電圧が高い場合、すなわちアーク長が長い場合は、重畳電圧波形Vrを重畳するまでの期間が長くなる。一方、アーク電圧が低い場合、すなわちアーク長が短い場合には、重畳電圧波形Vrを重畳するまでの期間が短くなる。このようにして、基準電圧波形に応じて重畳電圧波形Vrを重畳開始する時間を適正な時間に補整できる。
さらに、基準電圧波形Vaを変化させると同時に、第1の閾値Va1も変化させると、図10に示す重畳電圧を重畳する期間hが変化する。その結果、アーク電圧が高い場合、すなわちアーク長が長い場合は重畳波形を重畳する期間が長くなる一方、アーク電圧が低い場合、すなわちアーク長が短い場合は、重畳電圧波形Vrを重畳する期間が短くなる。このようにして、基準電圧波形Vaに応じて重畳電圧波形Vrを重畳する時間を適正な時間に補整できる。
また、図10の時間cで示すように、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以上である期間に短絡・アーク判定部6の出力が短絡状態になった場合には、重畳電圧波形生成部11は重畳電圧波形Vrを生成しないため、電圧波形合成部12の出力は溶接基準波形Vaとなる。また、図10の時間dで示すように、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下で第2の閾値Va2以上の期間に短絡・アーク判定部6の出力が短絡状態になった場合にも、重畳電圧波形生成部11は重畳電圧波形Vrを生成しないため、電圧波形合成部12の出力は溶接基準波形Vaとなる。
以上のように本発明は、アーク期間中の所定期間の間は溶接出力電圧に所定の重畳電圧波形Vrを重畳させ、アーク力を周期的に変化させることによって溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させている。その結果、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対し、溶滴が消耗電極の方向へ押し上げられる成長を抑制し、溶滴の過大成長を防止すると共に溶滴の溶融池への移行をスムーズにすることでスパッタの発生を減少し、さらに、ビード外観をフラットにすることができる。
また、アーク期間中の所定期間の設定を基準電圧波形Vaの値で設定することより、溶接平均電圧指令値に応じて重畳電圧波形Vrを重畳する期間が変化し、適正な重畳電圧波形Vrを印加することができる。
以上のように、本発明に係るアーク溶接電源装置とその溶接出力制御方法は、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対しスパッタの発生を減少させると共に、ビード外観をフラットにすることができ、溶接分野に有用である。
本発明は、消耗電極を送給し短絡とアークとを交互に発生させて溶接を行う消耗電極式アーク溶接に関し、特に、アーク期間中の指令溶接電圧に所定の電圧波形を重畳させるようにした溶接出力制御方法およびアーク溶接装置に関する。
近年、スパッタ発生量、ビード外観、溶け込み形状といった溶接品質の更なる高品位化が求められている。中でもスパッタの発生を低減することにより、溶接品質を向上させると共に、治具などへのスパッタ付着を防ぐことが求められている。その結果、保守性が向上し、作業環境の改善を実現できるからである。
高速度カメラ等を用いてスパッタの発生機構を解析した結果、スパッタが発生するタイミングは大きく分類して短絡期間とアーク期間に分けられる。そして、アーク期間中における従来のスパッタ低減方法としては、アーク再生直後、所定の時間は高い電流出力または高い電流出力となる定電圧出力を行い、それに続くアーク期間の後半では低い電流出力とする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、短絡が発生する前兆現象として、アーク期間中の電圧出力波形の変化量を検出し、変化量が大きければ低い電流出力を行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記従来の技術では、消耗電極先端部に形成される溶融金属(以下、溶滴と称す)と被溶接物に形成される溶融金属(以下、溶融池と称す)とが短絡する際には、低い電流出力とすることで、アーク力で溶滴が消耗電極の方向に押し上げられたり、大粒のスパッタとして離脱したりすることを低減できる。しかしながら、短絡の発生には規則性が無い。そのため、例えば電流出力を低下させてから短絡までの時間が長くなると、アークによる熱影響部も狭くなり、凸形状のビード外観となり易くなる。この場合は、ビード外観は好ましいものではない。また、短絡回数が少なくなる中電流から高電流領域までの溶接現象に対しては、スパッタの低減効果が少なくなる。
また、短絡の発生を事前に検知する方法においては、溶滴と溶融池との距離が短くならなければ検出することができない。そして、短絡の発生を事前に検知する信号が発生しても、アークが集中しているため、検知した段階では過大なアーク力が溶滴と溶融池間に加わる。この場合には、大粒のスパッタとして離脱するかアーク力で溶滴が押し上げられることになり、アーク力で溶滴が押し上げられた場合も、溶滴が下降し短絡となるまでに時間がかかることから溶滴が過大成長し、大粒のスパッタの発生要因になるという課題があった。
特開昭59−202173号公報 特開昭60−145278号公報
本発明の溶接出力制御方法は、消耗電極を被溶接物に送給し、溶接電源装置により消耗電極と被溶接物との間に電力を供給して短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接の溶接出力制御方法であって、アーク期間中における所定期間の間は、指令電圧波形に、短絡周期よりも短く、かつ溶接電源装置の制御周期よりも長い所定の重畳電圧波形を重畳するものである。
このような構成により、アーク力を周期的に変化させることによって、溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させ、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対し、溶滴が消耗電極の方向へ押し上げられる成長を抑制することができる。また、溶滴の過大成長を防止すると共に溶滴の溶融池への移行をスムーズにすることでスパッタの発生を減少でき、さらに、ビード外観をフラットにすることができる。
また、本発明のアーク溶接装置は、消耗電極を送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接を行うアーク溶接装置であって、溶接出力電圧を検出する溶接電圧検出部と、アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部と、溶接電圧検出部の出力信号により短絡期間かアーク期間かを判別する短絡・アーク判定部とを備えたものである。また、短絡・アーク判定部の出力信号がアーク期間と判別してから第1の所定時間を計測する第1タイマー部と、第1タイマー部が計測を完了してから第2の所定時間を計測する第2タイマー部と、第2タイマー部の出力信号が計測期間中である場合には予め設定された所定の重畳電圧波形を生成出力する重畳電圧波形生成部とを備えたものである。さらに、基準電圧波形生成部の出力信号と重畳電圧波形生成部の出力信号とを合成する電圧波形合成部と、電圧波形合成部の出力信号と溶接電圧検出部の出力信号に基づいて溶接出力を制御する制御部とを備えたものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、消耗電極を送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接を行うアーク溶接装置であって、溶接出力電圧を検出する溶接電圧検出部と、アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部と、溶接電圧検出部の出力信号により短絡期間かアーク期間かを判別する短絡・アーク判定部とを備えたものである。また、基準電圧波形が第1の閾値以下か否かを判定する第1閾値判定部と、指令電圧波形が第2の閾値以下か否かを判定する第2閾値判定部と、短絡・アーク判定部の出力信号がアーク期間と判別した後に基準電圧波形が第1の閾値になってから第2の閾値になるまでの間は予め設定された所定の重畳電圧波形を生成出力する重畳電圧波形生成部とを備えたものである。さらに、基準電圧波形生成部の出力信号と重畳電圧波形生成部の出力信号とを合成する電圧波形合成部と、電圧波形合成部の出力信号と溶接電圧検出部の出力信号に基づいて溶接出力を制御する制御部とを備えたものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態におけるアーク溶接装置は、入力電源1と、溶接装置の出力端2aおよび出力端2bと、溶接出力部3と、溶接電圧検出部4と、溶接電流検出部5とを備えている。また、溶接電圧検出部4の出力に基づいて溶接状態が短絡状態であるかアーク状態であるかを判別する短絡・アーク判定部6と、短絡期間中の基準電流波形を生成する基準電流波形生成部7と、アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部8とを備えている。そして、短絡・アーク判定部6の出力に基づいてアーク発生から第1の所定時間を計測する第1タイマー部9と、第1タイマー部の出力に基づいて第2の所定時間を計測する第2タイマー部10と、短絡周期よりも短く前記溶接電源装置の制御周期よりも長い所定の重畳電圧波形を生成する重畳電圧波形生成部11とを備えている。また、基準電圧波形生成部8と重畳電圧波形生成部11の出力に基づいて溶接出力波形を生成する電圧波形合成部12と、短絡・アーク判定部6と溶接電流検出部5と基準電流波形生成部7と溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12の出力に基づいて溶接出力を制御する制御部13とを備えている。さらに、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に基づいて、第1の所定時間と第2の所定時間と重畳電圧波形の1周期の波形を記憶設定する設定部14とを備えている。
なお、図示していないが、出力端2aおよび出力端2bのうち一方には消耗電極が電気的に接続され、他方には被溶接物が電気的に接続されている。そして、消耗電極を被溶接物に送給し、溶接電源装置により消耗電極と被溶接物との間に電力を供給してアークを発生させて溶接を行うものである。そして、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接の溶接出力制御方法を用いている。
また、図2は、本実施の形態における重畳電圧波形を矩形波とした場合の上記各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。
以下に、本実施の形態におけるアーク溶接装置の動作について、図1と図2を用いて説明する。
まず、溶接電流検出部5は、溶接出力電流を検出して図2に示すように溶接電流波形Ioを制御部13に出力する。また、溶接電圧検出部4は、溶接出力電圧を検出して制御部13と短絡・アーク判定部6に溶接電圧波形Voを出力する。さらに、短絡・アーク判定部6は、溶接電圧検出部4の出力波形に基づいて溶接状態が短絡状態かアーク状態かを判別する。そして図2の短絡・アーク判定出力ASに示すような波形を出力する。また、短絡・アーク判定部6は、第1タイマー部9と制御部13に、短絡期間には短絡状態を示すローレベルを出力し、アーク期間にはアーク状態を示すハイレベルを出力する。なお、例えば、ローレベルは0V、ハイレベルは数Vとして、判別できる電圧を出力すればよい。
次に、第1タイマー部9は、図2の第1タイマー出力T1に示すように、短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、短絡期間では計測をリセット・計測待機状態を示すローレベルを出力する。そして、溶接状態が短絡期間からアーク期間に変化したことをトリガーとして、アーク期間では計測状態を示すハイレベルを出力する。また、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部14により予め設定された第1の所定時間t1を経過すると計測完了状態を示すローレベルを出力する。
また、第2タイマー部10は、図2の第2タイマー出力T2に示すように、短絡・アーク判定部6の出力と第1タイマー部9の出力に基づいて、短絡期間では計測をリセット・計測待機状態を示すローレベルを出力する。そして、第1タイマー部9の出力が計測状態から計測完了状態に変化したことをトリガーとして、第1タイマー部9の出力状態が計測完了状態中は計測状態を示すハイレベルを出力する。そして、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部14により予め設定された第2の所定時間t2を経過すると計測完了状態を示すローレベルを出力する。
また、重畳電圧波形生成部11は、第2タイマー部10の出力に基づいて、第2タイマー部10が計測状態の期間は、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部14により予め設定された周期と振幅の重畳電圧波形Vrを生成する。すなわち、アーク期間中における所定期間は、第2タイマー部10が計測状態の期間であり、アーク発生後に第1の所定時間t1が経過した時点から第2の所定時間t2が経過するまでの期間である。なお、例えば、第1の所定時間t1は、0msから100msまで程度とし、第2の所定時間t2は、0.01msから1000msまで程度としてもよい。
そして、基準電圧波形生成部8は、短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、アーク期間中は予め設定された基準電圧波形Vaを生成する。そして、電圧波形合成部12は、重畳電圧波形生成部11で生成された重畳電圧波形Vrと基準電圧波形生成部8で生成された基準電圧波形Vaとを加算合成する。電圧波形合成部12の出力は、図2の合成波形Vaoに示す波形となる。図に示すように合成波形Vaoは、第1タイマー部9が計測状態の場合には、基準電圧波形Vaの波形となる。また、合成波形Vaoは、第2タイマー部10が計測状態の場合には、基準電圧波形Vaと重畳電圧波形Vrとが加算された波形となる。そして、合成波形Vaoは、第2タイマー部10が計測完了状態の場合は、基準電圧波形Vaの波形となる。
そして、制御部13は、溶接電流検出部5と基準電流波形生成部7と溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12と短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、短絡・アーク判定部6の出力が短絡期間を示す場合には、溶接電流検出部5の出力と基準電流波形生成部7の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。一方、短絡・アーク判定部6の出力がアーク期間を示す場合には、溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。
なお、図2の時間aで示すように、第1タイマー部9が計測状態中に短絡・アーク判定部6の出力である短絡・アーク判定出力ASが短絡状態示すローレベルになった場合には、第1タイマー部9と第2タイマー部10は計測をリセット・計測待機状態となる。その結果、電圧波形合成部12の出力は基準電圧波形Vaとなる。また、図2の時間bで示すように、第2タイマー部10が計測状態中に短絡・アーク判定部6の出力である短絡・アーク判定出力ASが短絡状態になった場合にも、第2タイマー部10は計測をリセット・計測待機状態となる。その結果、電圧波形合成部12の出力は基準電圧波形Vaとなる。
また、図2では、重畳電圧波形Vrを矩形波で示しているが、図3に示す三角波や図4に示す正弦波とすることにより、溶接電圧をゆっくり変化させることで、アーク力の急激な変動を抑えることができ、溶滴の振動または抑制をスムーズにすることが可能となり同様の効果が得られる。
さらに、重畳電圧波形Vrを例えば、図5、図6A、および図6Bに示す台形の繰り返し波形や、図7、図8A、および図8Bに示す階段状の繰り返し波形としてもよい。図6A、図6Bに示す台形の繰り返し波形とすることによるさらなる効果は以下のようになる。
最初に、図6Aに基づいて説明する。まず、重力や表面張力やプラズマ気流による溶滴を下降させる力を加味した第1の傾きdV1/dtでアーク力をゆっくりと第1の波高値V1まで小さくし、第3の所定時間t3で溶滴の振動を安定させる。そして、重力や表面張力やプラズマ気流による溶滴を下降させる力を加味した第2の傾きdV2/dtでアーク力をゆっくりと第2の波高値V2まで大きくし、第4の所定時間t4で溶滴の振動を安定させる。そして再度、第1の傾きdV1/dtでアーク力をゆっくりと小さくする。
すなわち、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで下降する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間t3が経過した後に第2の傾きdV2/dtで上昇する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで下降する期間とからなる繰り返し波形である。なお、例えば、第1の所定の波高値V1は、0.2Vから10Vまで程度とし、第2の所定の波高値V2は、0.2Vから10Vまで程度としてもよい。また、第3の所定時間t3は、0.01msから5msまで程度とし、第4の所定時間t4は、0.01msから5msまで程度としてもよい。
さらに、図6Bに示すように、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで上昇する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間T2が経過した後に第2の傾きdV2/dtで下降する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4の維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで上昇する期間とからなる繰り返し波形としてもよい。
このようにして、溶接電圧をゆっくり変化させることで、アーク力の急激な変動を抑えることができ、溶滴の振動または抑制をスムーズにすることが可能となり、同様の効果が得られる。なお、図8A、図8Bに示した階段状の繰り返し波形は、一例であって、さらに多くの段数を有するなど任意の繰り返し波形を用いてもよく、本発明はこの例に限られるものではない。
ここで、図8A、図8Bに示すように、第1の傾きdV1/dtでアーク力を小さくする際、溶滴を安定させる第5の所定時間t5を設けることにより、さらに溶滴の振動の抑制または振動の安定性を増すことができ、同様の効果が得られる。
すなわち、図8Aに示すように、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで下降する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間t3が経過した後に第2の傾きdV2/dtで上昇する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで下降する期間と、第1の傾きdV1/dtで下降し波高値が0に達した後にこの波高値の0を第5の所定時間t5維持する期間とからなる繰り返し波形としてもよい。なお、例えば、第5の所定時間t5は、0.01msから5ms程度としてもよい。
また、図8Bに示すように、所定の重畳電圧波形Vrは、第1の傾きdV1/dtで上昇する期間と、第1の所定の波高値V1に達した後に第1の所定の波高値V1を第3の所定時間t3維持する期間と、第3の所定時間t3が経過した後に第2の傾きdV2/dtで下降する期間と、第2の所定の波高値V2に達した後に第2の所定の波高値V2を第4の所定時間t4維持する期間と、第4の所定時間t4が経過した後に第1の傾きdV1/dtで上昇する期間と、第1の傾きdV1/dtで上昇し波高値が0に達した後にこの波高値の0を第5の所定時間t5維持する期間とからなる繰り返し波形としてもよい。
さらに、第1の所定時間t1や第2の所定時間t2、また、重畳電圧波形Vrの周期および振幅、傾きなどの波形パラメータを、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値の関数とし変化させてもよい。すなわち、第1の所定時間t1と、第2の所定時間t2と、重畳電圧波形の第1の傾きdV1/dtと、第2の傾きdV2/dtと、第1の所定の波高値V1と、第2の所定の波高値V2と、第3の所定時間V3と、第4の所定時間V4と、第5の所定時間V5と、所定の重畳電圧波形の正弦波と三角波と矩形波とのいずれか1つの周期と振幅と、指令電圧波形の第1の閾値と、第2の閾値との少なくともいずれか1つは、溶接平均電流または消耗電極の送給量に応じて設定されるようにしてもよい。
例えば、短絡回数の多い低電流または消耗電極の送給量が少ない領域では、アーク期間が短いため、第1の所定時間t1および第2の所定時間t2を短くしてもよい。また、溶滴の成長が遅いため、重畳電圧波形Vrの周期を長く、振幅を小さく変化させてもよい。また、短絡回数が少なくなる中電流から大電流までの領域、または消耗電極の送給量が多い領域では、アーク期間が長いため、第1の所定時間t1および第2の所定時間t2を長く変化させてもよい。また、溶滴の成長が早いため、重畳電圧波形Vrの周期を短く、振幅を大きくするように変化させてもよい。
このように、本実施の形態では、アーク期間中に第1の所定の時間経過後から第2の所定時間までの間は、溶接出力基準指令電圧に短絡周期よりも早く溶接電源装置の制御周期よりも長い電圧を重畳させることによって、重畳電圧波形の低レベルの期間では、アーク電圧が低くなることでアーク力が小さくなる。すなわち、溶滴を消耗電極方向に押し上げる力を低下させる。また、重畳電圧波形の高レベルの期間では、アーク電圧が大きくなることでアーク力が大きくなる。すなわち、溶滴を消耗電極方向に押し上げる力を増大させ、アーク力を周期的に変化させる。このようにして、溶滴の成長速度、消耗電極の送給速度および溶滴や溶融池の振動などを総合した溶滴の下降速度との相対バランスで、溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させることができる。
以上のように本実施の形態では、アーク期間中の所定期間の間は指令電圧波形としての溶接電圧波形に所定の重畳電圧波形Vrを重畳させ、アーク力を周期的に変化させることによって溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させている。その結果、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対し、溶滴が消耗電極の方向へ押し上げられる成長を抑制することができる。また、溶滴の過大成長を防止すると共に溶滴の溶融池への移行をスムーズにすることでスパッタの発生を減少することができ、さらに、ビード外観をフラットにすることができる。
なお、重畳電圧波形Vrの周期は、短絡周期よりも短く、かつアーク溶接装置の制御周期よりも長いことが望ましい。具体的には、100Hz以上100kHz以下の間で設定するのが望ましい。そして、短絡周期よりも短くアーク溶接装置の制御周期よりも長くする理由は以下の通りである。
すなわち、短絡周期よりも短くする理由としては、短絡周期よりも長いとアーク期間中にアーク力が変化しないからである。例えば、溶接平均電流値が120Aの領域では一般的に、短絡回数が1秒間に約80〜120回発生しており、このときの短絡期間は約5〜10msである。この場合、アーク力を変化させるためには、少なくとも重畳電圧波形の周期を10ms以下、すなわち100Hz以上に設定する必要がある。なぜなら、これよりも長い周期とすると、次の短絡が発生するため、アーク力の変化をさせることができなくなるためである。
また、アーク溶接装置の制御周期より長くする理由としては、アーク溶接装置の制御は電源の制御周波数によって毎回溶接出力を決定している。従って、制御周波数より速い応答はできず、仮に、制御周波数が100kHzの場合、10μs毎に溶接出力が変わっていく。したがって、重畳電圧波形Vrの周期を9μsの周期の設定としても溶接出力は変化しないからである。
なお、第1の所定時間t1はゼロとしてもよく、すなわち、アーク期間になってから直に、溶接基準波形Vaに重畳電圧波形Vrを重畳するようにしてもよい。また、アーク期間になってしばらくしてから、溶接基準波形Vaに重畳電圧波形Vrを重畳するようにしてもよい。
また、アーク期間が長い異常な状況を想定すると、溶滴が大きく成長しているため、重畳電圧により無理にアーク力を大きくすると、アーク力が強いときに溶滴を吹き飛ばし、大粒スパッタの発生原因となることも考えられる。したがって、アーク期間の終期になる前に重畳電圧波形Vrを重畳しないようにすることが望ましい。
(実施の形態2)
図9は、本実施の形態におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図である。また、図10は、本実施の形態における、図9に示す各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャートである。
本実施の形態において、実施の形態1と異なる主な点は、基準電圧波形Vaに重畳電圧波形Vrを重畳する所定の期間を、アーク期間になってからの時間ではなく、基準電圧波形Vaの値により決めるようにした点である。また、実施の形態1と同様の箇所については同一符号を付して詳細な説明を省略する。以下に、本発明の実施の形態2で実施の形態1と異なる部分を中心に図9および図10を用いて説明する。
図9に示すように、本実施の形態におけるアーク溶接装置は、溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に基づいて、第1の閾値と第2の閾値と重畳電圧波形Vrの1周期の波形とを記憶設定する設定部17を備えている。そして、基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて基準電圧波形が第1の閾値以下であるか否かを判定する第1閾値判定部15と、基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて基準電圧波形が第2の閾値以下であるか否かを判定する第2閾値判定部16とを備えている。
以下に、本実施の形態におけるアーク溶接装置の動作について、図9と図10を用いて説明する。
まず、溶接電流検出部5は、溶接出力電流を検出して溶接電流波形Ioを制御部13に出力する。また、溶接電圧検出部4は、溶接出力電圧を検出して制御部13と短絡・アーク判定部6に溶接電圧波形Voを出力する。さらに、短絡・アーク判定部6は、溶接電圧検出部4の出力波形に基づいて溶接状態が短絡状態かアーク状態かを判別し、短絡期間かアーク期間かを出力する。その出力は、図10の短絡・アーク判定出力ASの波形で示している。また、基準電圧波形生成部8は、短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、アーク期間中は予め設定された溶接基準電圧波形Vaを生成する。
次に、第1閾値判定部15は、基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて、基準電圧波形Vaが溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部17により予め設定された第1の閾値Va1以下か否かを判定し、重畳電圧波形生成部11に信号を出力する。そして、第2閾値判定部16は基準電圧波形生成部8と設定部17の出力に基づいて基準電圧波形Vaが溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部17により予め設定された第2の閾値Va2以下か否かを判定し、重畳電圧波形生成部11に信号を出力する。
また、重畳電圧波形生成部11は、第1閾値判定部15と第2閾値判定部16の出力に基づいて、指令電圧波形としての重畳電圧波形Vrを生成して出力する。すなわち、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下であり第2の閾値Va2以上の期間は溶接平均電流指令値または消耗電極の送給量指令値に応じた設定値を記憶している設定部17により予め設定された周期と振幅の重畳電圧波形Vrを生成して出力する。このように、アーク期間中における所定期間は、指令電圧波形が第1の閾値Va1から第2の閾値Va2になるまでの期間としている。なお、例えば、第1の閾値Va1は、35Vから25V程度とし、第2の閾値Va2は、35Vから15V程度とてもよい。
そして、電圧波形合成部12は、重畳電圧波形生成部11で生成された重畳電圧波形Vrと基準電圧波形生成部8で生成された基準電圧波形Vaとを加算合成する。なお、この電圧波形合成部12の出力は、図10の合成波形Vaoに示す波形となる。図に示すように合成波形Vaoは、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以上の場合には溶接基準波形Vaの波形となる。また、合成波形Vaoは、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下で第2の閾値Va2以上の場合には基準電圧波形Vaと重畳電圧波形Vrとが加算された波形となる。そして、合成波形Vaoは、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下の場合は、基準電圧波形Vaの波形となる合成波形Vaoを出力する。
そして、制御部13は、溶接電流検出部5と基準電流波形生成部7と溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12と短絡・アーク判定部6の出力に基づいて、短絡・アーク判定部6の出力が短絡期間を示す場合には、溶接電流検出部5の出力と基準電流波形生成部7の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。一方、短絡・アーク判定部6の出力がアーク期間を示す場合には、溶接電圧検出部4と電圧波形合成部12の出力が一致するように溶接出力部3の出力を制御する。
なお、ビード形状やアーク長を変えるなど電圧微調整をするために、例えば、図10の時間eで△Va上昇させて基準電圧波形Vaを変化させると、第1閾値判定部15が第1の閾値Va1以上であると判定する期間fおよび期間gも変化する。その結果、重畳電圧波形Vrを重畳開始する期間が変化し、アーク電圧が高い場合、すなわちアーク長が長い場合は、重畳電圧波形Vrを重畳するまでの期間が長くなる。一方、アーク電圧が低い場合、すなわちアーク長が短い場合には、重畳電圧波形Vrを重畳するまでの期間が短くなる。このようにして、基準電圧波形に応じて重畳電圧波形Vrを重畳開始する時間を適正な時間に補整できる。
さらに、基準電圧波形Vaを変化させると同時に、第1の閾値Va1も変化させると、図10に示す重畳電圧を重畳する期間hが変化する。その結果、アーク電圧が高い場合、すなわちアーク長が長い場合は重畳波形を重畳する期間が長くなる一方、アーク電圧が低い場合、すなわちアーク長が短い場合は、重畳電圧波形Vrを重畳する期間が短くなる。このようにして、基準電圧波形Vaに応じて重畳電圧波形Vrを重畳する時間を適正な時間に補整できる。
また、図10の時間cで示すように、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以上である期間に短絡・アーク判定部6の出力が短絡状態になった場合には、重畳電圧波形生成部11は重畳電圧波形Vrを生成しないため、電圧波形合成部12の出力は溶接基準波形Vaとなる。また、図10の時間dで示すように、基準電圧波形Vaが第1の閾値Va1以下で第2の閾値Va2以上の期間に短絡・アーク判定部6の出力が短絡状態になった場合にも、重畳電圧波形生成部11は重畳電圧波形Vrを生成しないため、電圧波形合成部12の出力は溶接基準波形Vaとなる。
以上のように本発明は、アーク期間中の所定期間の間は溶接出力電圧に所定の重畳電圧波形Vrを重畳させ、アーク力を周期的に変化させることによって溶滴と溶融池の振動を抑制または強制的に発生させている。その結果、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対し、溶滴が消耗電極の方向へ押し上げられる成長を抑制し、溶滴の過大成長を防止すると共に溶滴の溶融池への移行をスムーズにすることでスパッタの発生を減少し、さらに、ビード外観をフラットにすることができる。
また、アーク期間中の所定期間の設定を基準電圧波形Vaの値で設定することより、溶接平均電圧指令値に応じて重畳電圧波形Vrを重畳する期間が変化し、適正な重畳電圧波形Vrを印加することができる。
以上のように、本発明に係るアーク溶接電源装置とその溶接出力制御方法は、短絡回数が多い小電流領域から短絡回数が少なくなる中電流から大電流領域までの全般に対しスパッタの発生を減少させると共に、ビード外観をフラットにすることができ、溶接分野に有用である。
本発明の実施の形態1におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を矩形波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャート 本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を三角波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャート 本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を正弦波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャート 本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を台形の繰り返し波形とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャート 図5における重畳電圧波形の詳細を示す図 図5における他の例の重畳電圧波形の詳細を示す図 本発明の実施の形態1における重畳電圧波形を階段状の繰り返し波形とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャート 図7における重畳電圧波形の詳細を示す図 図7における他の例の重畳電圧波形の詳細を示す図 本発明の実施の形態2におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態2における重畳電圧波形を矩形波とした場合の各構成部の出力波形と動作を示すタイミングチャート
符号の説明
1 入力電源
2a 出力端
2b 出力端
3 溶接出力部
4 溶接電圧検出部
5 溶接電流検出部
6 短絡・アーク判定部
7 基準電流波形生成部
8 基準電圧波形生成部
9 第1タイマー部
10 第2タイマー部
11 重畳電圧波形生成部
12 電圧波形合成部
13 制御部
14 設定部
15 第1閾値判定部
16 第2閾値判定部
17 設定部

Claims (19)

  1. 消耗電極を被溶接物に送給し、溶接電源装置により前記消耗電極と前記被溶接物との間に電力を供給して短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接の溶接出力制御方法であって、
    前記アーク期間中における所定期間の間は、指令電圧波形に、短絡周期よりも短く、かつ前記溶接電源装置の制御周期よりも長い所定の重畳電圧波形を重畳することを特徴とする溶接出力制御方法。
  2. 前記アーク期間中における前記所定期間は、アーク発生後に第1の所定時間が経過した時点から第2の所定時間が経過するまでの期間である請求項1記載の溶接出力制御方法。
  3. 前記アーク期間中における前記所定期間は、前記指令電圧波形が第1の閾値から第2の閾値になるまでの期間である請求項1記載の溶接出力制御方法。
  4. 前記重畳電圧波形は、
    第1の傾きで下降する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後に、第2の傾きで上昇する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後に、前記第1の傾きで下降する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接出力制御方法。
  5. 前記所定の重畳電圧波形は、
    第1の傾きで上昇する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後に、第2の傾きで下降する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後に、前記第1の傾きで上昇する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接出力制御方法。
  6. 前記所定の重畳電圧波形は、
    第1の傾きで下降する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後に、第2の傾きで上昇する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後に、前記第1の傾きで下降する期間と、
    前記第1の傾きで下降し波高値が0に達した後に、前記波高値の0を第5の所定時間維持する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接出力制御方法。
  7. 前記所定の重畳電圧波形は、
    第1の傾きで上昇する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後に、第2の傾きで下降する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後に、前記第1の傾きで上昇する期間と、
    前記第1の傾きで上昇し波高値が0に達した後に、前記波高値の0を第5の所定時間維持する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接出力制御方法。
  8. 前記所定の重畳電圧波形は、
    正弦波と三角波と矩形波とのいずれか1つである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接出力制御方法。
  9. 前記第1の所定時間と、前記第2の所定時間と、
    前記重畳電圧波形の前記第1の傾きと、前記第2の傾きと、
    前記第1の所定の波高値と、前記第2の所定の波高値と、
    前記第3の所定時間と、前記第4の所定時間と、前記第5の所定時間と、
    前記所定の重畳電圧波形の正弦波と三角波と矩形波とのいずれか1つの周期と振幅と、
    前記指令電圧波形の第1の閾値と、第2の閾値との
    少なくともいずれか1つは、溶接平均電流または前記消耗電極の送給量に応じて設定される請求項6に記載の溶接出力制御方法。
  10. 前記所定の重畳電圧波形の周期は、100Hz以上100kHz以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接出力制御方法。
  11. 消耗電極を送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接を行うアーク溶接装置であって、
    溶接出力電圧を検出する溶接電圧検出部と、
    アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部と、
    前記溶接電圧検出部の出力信号により短絡期間かアーク期間かを判別する短絡・アーク判定部と、
    前記短絡・アーク判定部の出力信号がアーク期間と判別してから第1の所定時間を計測する第1タイマー部と、
    前記第1タイマー部が計測を完了してから第2の所定時間を計測する第2タイマー部と、
    前記第2タイマー部の出力信号が計測期間中である場合には予め設定された所定の重畳電圧波形を生成出力する重畳電圧波形生成部と、
    前記基準電圧波形生成部の出力信号と前記重畳電圧波形生成部の出力信号とを合成する電圧波形合成部と、
    前記電圧波形合成部の出力信号と前記溶接電圧検出部の出力信号に基づいて溶接出力を制御する制御部とを備えたアーク溶接装置。
  12. 消耗電極を送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接を行うアーク溶接装置であって、
    溶接出力電圧を検出する溶接電圧検出部と、
    アーク期間中の基準電圧波形を生成する基準電圧波形生成部と、
    前記溶接電圧検出部の出力信号により短絡期間かアーク期間かを判別する短絡・アーク判定部と、
    前記基準電圧波形が第1の閾値以下か否かを判定する第1閾値判定部と、
    前記指令電圧波形が第2の閾値以下か否かを判定する第2閾値判定部と、
    前記短絡・アーク判定部の出力信号がアーク期間と判別した後に前記基準電圧波形が前記第1の閾値になってから前記第2の閾値になるまでの間は予め設定された所定の重畳電圧波形を生成出力する重畳電圧波形生成部と、
    前記基準電圧波形生成部の出力信号と前記重畳電圧波形生成部の出力信号とを合成する電圧波形合成部と、
    前記電圧波形合成部の出力信号と前記溶接電圧検出部の出力信号に基づいて溶接出力を制御する制御部とを備えたアーク溶接装置。
  13. 前記所定の重畳電圧波形は、
    第1の傾きで下降する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後に、第2の傾きで上昇する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後に、前記第1の傾きで下降する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項11と請求項12のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  14. 前記所定の重畳電圧波形は、
    第1の傾きで上昇する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後に、第2の傾きで下降する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後に、前記第1の傾きで上昇する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項11と請求項12のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  15. 前記所定の重畳電圧波形は、
    第1の傾きで下降する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後に、第2の傾きで上昇する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後に、前記第1の傾きで下降する期間と、
    前記第1の傾きで下降し波高値が0に達した後に、前記波高値の0を第5の所定時間維持する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項11と請求項12のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  16. 前記所定の重畳電圧波形は、
    第1の傾きで上昇する期間と、
    第1の所定の波高値に達した後に、前記第1の所定の波高値を第3の所定時間維持する期間と、
    前記第3の所定時間が経過した後、第2の傾きで下降する期間と、
    第2の所定の波高値に達した後に、前記第2の所定の波高値を第4の所定時間維持する期間と、
    前記第4の所定時間が経過した後、前記第1の傾きで上昇する期間と、
    前記第1の傾きで上昇し波高値が0に達した後に、前記波高値の0を第5の所定時間維持する期間とからなる繰り返し波形であることを特徴とする請求項11と請求項12のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  17. 前記所定の重畳電圧波形は、
    正弦波と三角波と矩形波とのいずれか1つである請求項11と請求項12のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
  18. 前記第1の所定時間と、前記第2の所定時間と、
    前記所定の重畳電圧波形の前記第1の傾きと、前記第2の傾きと、
    前記第1の所定の波高値と、前記第2の所定の波高値と、
    前記第3の所定時間と、前記第4の所定時間と、前記第5の所定時間と、
    前記所定の重畳電圧波形の正弦波と三角波と矩形波とのいずれか1つの周期と振幅と、
    前記基準電圧波形の前記第1の閾値と、前記第2の閾値との
    少なくともいずれか1つを、溶接平均電流または前記消耗電極の送給量に応じて設定する設定部を備えた請求項16に記載のアーク溶接装置。
  19. 前記所定の重畳電圧波形の周期は、100Hz以上100kHz以下である請求項11から請求項18いずれか1項に記載のアーク溶接装置。
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