JP2014184457A - 溶接電源の出力制御方法 - Google Patents

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JP2014184457A JP2013060393A JP2013060393A JP2014184457A JP 2014184457 A JP2014184457 A JP 2014184457A JP 2013060393 A JP2013060393 A JP 2013060393A JP 2013060393 A JP2013060393 A JP 2013060393A JP 2014184457 A JP2014184457 A JP 2014184457A
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圭二 門田
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Abstract

【課題】短絡回数による溶接電源の出力制御方法において、溶滴移行形態に関わりなくアーク長を適性値に制御すること。
【解決手段】アーク溶接中の溶接ワイヤ1と母材2との所定周期ごとの短絡回数Ndを検出し、この短絡回数Ndが予め定めた短絡回数設定値Nrと等しくなるように出力を制御する溶接電源の出力制御方法において、上記の所定周期中に計数された各短絡をその期間長さが予め定めた第1基準値未満である個数mと以上である個数nとに区別し、第1係数ar及び第2係数brを予め設定し、上記の短絡回数NdをNd=m×a+n×bによって算出する。この算出された短絡回数Ndは全ての溶滴移行形態においてアーク長との相関度が高いので、溶滴移行形態に関わりなくアーク長を適正値に制御することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アーク溶接中の溶接ワイヤと母材との所定周期ごとの短絡回数を検出し、この短絡回数が予め定めた短絡回数設定値と等しくなるように出力を制御する溶接電源の出力制御方法に関するものである。
消耗電極式アーク溶接において、溶接中のアーク長を適正値に維持することは良好な溶接品質を得るために重要である。アーク長と溶接電圧平均値とは相関関係がある。したがって、アーク長を適正値に維持するためには、溶接電圧平均値が適正値になるように溶接電源の出力制御を行えば良い。
しかしながら、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度が同一値であっても、溶接速度、チップ・母材間距離(トーチ高さ)等が異なるとアーク長と溶接電圧平均値との相関関係が変化する。このために、アーク長を適正値に維持するためには、溶接電圧平均値の設定値(電圧設定値)を再調整する必要がある。この作業は煩雑であるので、再調整を必要としない短絡回数による出力制御方法(特許文献1参照)が慣用されている。
この短絡回数による出力制御方法は、アーク溶接中の溶接ワイヤと母材との所定周期ごとの短絡回数を検出し、この短絡回数が予め定めた短絡回数設定値と等しくなるように溶接電源の出力を制御するものである。所定周期は、0.1〜1.0秒程度に設定される。アーク長が短くなると短絡回数は多くなり、アーク長が長くなると短絡回数は少なくなる。すなわち、アーク長と短絡回数とは相関関係があるので、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じてアーク長が適正値となる短絡回数が決まる。したがって、短絡回数を適正値に制御することでアーク長を適正値に維持することができる。この短絡回数による出力制御方法では、溶接速度及びチップ・母材間距離が変化しても短絡回数設定値の適正値は変化しないので、再調整は不要となる。但し、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度が変化すると溶滴移行形態が変化するので、短絡回数の適正値は変化することになる。このために、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じて短絡回数設定値を変化させる必要はある。炭酸ガスアーク溶接法、マグ溶接法、ミグ溶接法、パルスマグ溶接法、パルスミグ溶接法等の溶接法及び溶接ワイヤの直径については、溶接電源のフロントパネルのスイッチによって使用する溶接法及び溶接ワイヤの直径を選択するようになっている。また、送給速度は溶接電源の内部回路で認識することができる。このために、これらの値が設定されると、記憶されているテーブル、関数等によって短絡回数設定値は自動的に設定される。したがって、これらの値に応じて短絡回数設定値を設定することは煩雑ではない。
特開2001−1142号公報
各短絡の期間長さには短いものと長いものとが混在している。溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度が変化して溶滴移行形態が変化すると、短絡期間の分布も変化する。、従来技術では、短絡の期間長さとは関係なく全ての短絡を1として計数して短絡回数を検出している。しかし、短絡期間が短いものと長いものとはアーク長との相関度が異なっている。したがって、短絡移行形態、グロビュール移行形態、スプレー移行形態等の溶滴移行形態が異なると、短絡期間の分布が異なるので、同じ短絡回数であってもアーク長は少し異なることになる。より高品質の溶接を行うためには、より厳密なアーク長制御を行う必要がある。
そこで、本発明では、多様な溶滴移行形態において、アーク長をより精密に適正値に維持することができる短絡回数による溶接電源の出力制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、アーク溶接中の溶接ワイヤと母材との所定周期ごとの短絡回数Ndを検出し、この短絡回数Ndが予め定めた短絡回数設定値と等しくなるように出力を制御する溶接電源の出力制御方法において、
前記所定周期中に計数された各短絡をその期間長さが予め定めた第1基準値未満である個数mと以上である個数nとに区別し、第1係数a及び第2係数bを予め設定し、前記短絡回数NdをNd=m×a+n×bによって算出する、
ことを特徴とする溶接電源の出力制御方法である。
請求項2の発明は、前記第1係数a及び前記第2係数bを、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の溶接電源の出力制御方法である。
請求項3の発明は、前記第1基準値よりも大きな値の第2基準値を新たに設け、前記個数nをさらに前記第2基準値未満の個数n1と以上の個数n2とに区別し、第3係数cを予め設定し、前記短絡回数NdをNd=m×a+n1×b+n2×cによって算出する、
ことを特徴とする請求項1記載の溶接電源の出力制御方法である。
請求項4の発明は、前記第1係数a、前記第2係数b及び前記第3係数cを、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項3記載の溶接電源の出力制御方法である。
本発明によれば、第1基準値によって微小短絡の個数mと通常短絡の個数nとに区分して計数している。そして、微小短絡の回数とアーク長との相関度を示す第1係数a及び通常短絡の回数とアーク長との相関度を示す第2係数bを、溶滴移行形態に応じて適正値に設定する。このために、本発明では、アーク長とより厳密に相関する短絡回数Ndを算出することができるので、多様な溶滴移行形態において、アーク長をより精密に適正値に維持することができる。
本発明の実施の形態1に係る溶接電源のブロック図である。 図1で上述した溶接電源の電圧・電流波形図である。 図1で上述した係数設定回路KRに内蔵されている第1関数及び第2関数を例示する図である。 本発明の実施の形態2に係る溶接電源のブロック図である。 図4で上述した係数設定回路KR2に内蔵されている第1関数〜第3関数を例示する図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1に係る溶接電源の出力制御方法の基本的な原理について、以下に説明する。従来技術では、各短絡をその期間長さとは無関係に1回として計数して、所定周期ごとの短絡回数を検出している。これに対して、実施の形態1では、以下のような処理によって短絡回数Ndを算出している。本実施の形態では、説明を理解しやすくするために、母材の材質が鉄鋼である場合を例示する。
処理1)短絡をその期間長さによって2つに区分するための第1基準値Tt1(ms)を予め設定する。第1基準値Tt1は、0.5〜2.0ms程度の範囲で設定される。従来から短絡期間Tsが1ms未満の短絡を微小短絡と呼び、1ms以上の短絡を通常短絡と呼ぶことが慣用されている。これは、微小短絡では溶滴移行は行われず、通常短絡では溶滴移行が行われるというアーク現象の差から来る区別である。したがって、上記の第1基準値Tt1は、この区別を行うためのものである。これを踏まえて、短絡期間Tsが第1基準値Tt1未満のものを微小短絡と呼び、以上のものを通常短絡と呼ぶことにする。
処理2)所定周期Tc中に検出された各短絡をその期間長さTsが上記の第1基準値Tt1未満である個数mと、以上である個数nとに区別して計数する。したがって、この周期中には、Ts<Tt1である微小短絡がm回発生し、Ts≧Tt1である通常短絡がn回発生したことになる。
処理3)第1係数a及び第2係数bを予め設定する。これらの係数は、0.0〜2.0の範囲の実数として設定される。これらの係数は、アーク長との相関度を示している。係数の値が大きいほどアーク長との相関度が高いことを意味している。これらの係数の値は、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じて変化するように設定される。詳細については、後述する。
処理4)短絡回数Ndを、下式によって算出する。
Nd=m×a+n×b …(1)式
処理5)所定周期Tcごとに、上記の短絡回数Ndと予め定めた短絡回数設定値Nrとの回数誤差増幅値ΔN=G×(Nd−Nr)を算出して、電圧制御設定値Vcrを下式によって算出する。Gはアーク長フィードバック制御系の増幅率を示しており、制御系が安定になるように正の値に予め設定される。
Vcr=Vr+ΣΔN …(2)式
ここで、Vrは電圧設定値であり、予め設定される。短絡回数Ndが短絡回数設定値Nrと等しくなるように電圧設定値Vrを初期値として自動的に修正された信号が電圧制御設定値Vcrとなる。溶接電圧Vwがこの電圧制御設定値Vcrと等しくなるように溶接電源の出力が制御される。
図1は、本発明の実施の形態1に係る溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する電圧誤差増幅信号Evに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流器、整流された直流を平滑する平滑コンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路、高周波交流をアーク溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を直流に整流する2次整流器、整流された直流を平滑するリアクトル、上記の電圧誤差増幅信号Evを入力としてパルス幅変調制御を行う変調回路、パルス幅変調制御信を入力としてインバータ回路のスイッチング素子を駆動する駆動回路を備えている。
溶接ワイヤ1は、送給モータWMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。溶接ワイヤ1は、定常溶接中は一定の速度で送給される。
電圧検出回路VDは、溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。短絡判別回路SDは、この電圧検出信号Vdを入力として、その値が予め定めたしきい値未満であるときはHighレベルとなる短絡判別信号Sdを出力する。しきい値は、10V程度に設定される。
送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Frを入力として、溶接ワイヤ1をこの送給速度設定信号Frによって定まる速度で送給するための送給制御信号Fcを上記の送給モータWMに出力する。
溶接法選択スイッチMSは、溶接電源のフロントパネルに設けられており、「炭酸ガスアーク溶接」を選択するとその値が1となり、「マグ溶接」を選択するとその値が2となる溶接法選択信号Msを出力する。ワイヤ径選択スイッチDSは、溶接電源のフロントパネルに設けられており、「1.2mm」を選択するとその値が1となり、「1.0mm」を選択するとその値が2となるワイヤ径選択信号Dsを出力する。
係数設定回路KRは、上記の送給速度設定信号Fr、上記の溶接法選択信号Ms及び上記のワイヤ径選択信号Dsを入力として、予め定めた第1関数にこれらの3つの信号を入力して第1係数設定信号arを算出して出力し、予め定めた第2関数にこれら3つの信号を入力して第2係数設定信号brを算出して出力する。第1関数及び第2関数については、後述する。
短絡回数検出回路NDは、上記の短絡判別信号Sd、上記の第1係数設定信号ar及び上記の第2係数設定信号brを入力として、所定周期Tc中に短絡判別信号SdがHighレベル(短絡)である期間長さTsが予め定めた第1基準値Tt1未満である個数mと、以上である個数nとに区別して係数し、上記(1)式によって短絡回数信号Nd=m×ar+n×brを算出して出力する。この回路の処理は、上述した処理1)〜4)を実施している。短絡回数信号Ndは、所定周期Tcごとに算出される。
短絡回数設定回路NRは、予め定めた短絡回数設定信号Nrを出力する。回数誤差増幅回路ENは、上記の短絡回数信号Nd(+)とこの短絡回数設定信号Nr(−)との誤差を増幅して、回数誤差増幅信号ΔNを出力する。電圧設定回路VRは、予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。電圧制御設定回路VCRは、この電圧設定信号Vr及び上記の回数誤差増幅信号ΔNを入力として、上記(2)式によって電圧制御設定信号Vcr=Vr+ΣΔNを算出して出力する。電圧誤差増幅回路EVは、この電圧制御設定信号Vcr(+)と上記の電圧検出信号Vd(−)との誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。これらの回路は、上述した処理5)を実施している。
図2は、図1で上述した溶接電源の電圧・電流波形図である。同図(A)は溶接電圧Vwの波形を示し、同図(B)は溶接電流Iwの波形を示す。以下、同図を参照して説明する。
同図に示すように、短絡期間Tsとアーク期間Taとが繰り返されている。時刻t1〜t2の短絡期間Tsは、第1基準値Tt1以上の通常短絡の場合であり、時刻t3〜t4の短絡期間Tsは第1基準値Tt1未満の微小短絡の場合である。時刻t1〜t2の短絡期間Ts中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値となり、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは次第に増加する。時刻t2〜t3のアーク期間Ta中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値となり、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは次第に減少する。溶接ワイヤはアーク期間Ta中に溶融されて溶滴が形成され、短絡期間Ts中に溶融池へと移行する。
時刻t3〜t4の短絡期間Ts中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値となり、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは微小短絡であるのでほとんど増加しない。時刻t4〜t5のアーク期間Ta中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値となり、同図(B)に示すように、溶接電流Iwはほとんど変化しない。微小短絡は、溶滴が溶融池に短絡した瞬間に溶滴先端部に溶接電流Iwが集中して通電し、これにより溶滴先端部が溶融して再びアークが発生したときに生じる。また、アーク期間Ta中に溶滴がまだ少ししか形成されていないときに、溶融池の不規則な振動によって短絡が発生したときに生じる。どちらの場合でも、微小短絡時には溶滴の移行はほとんど行われない。
図3は、図1で上述した係数設定回路KRに内蔵されている第1関数及び第2関数を例示する図である。同図の横軸は送給速度設定信号Fr(m/min)を示し、その範囲は0〜15m/minである。縦軸は第1係数設定信号ar及び第2係数設定信号brを示し、その範囲は0.0〜2.0である。第1関数は実線で示しており、第2関数は破線で示している。同図は、溶接法が炭酸ガスアーク溶接であり、ワイヤ径が1.2mmの場合である。以下、同図を参照して説明する。
実線の第1関数は送給速度設定信号Frに対する第1係数設定信号arの変化を示している。破線の第2関数は送給速度設定信号Frに対する第2係数設定信号brの変化を示している。第1係数設定信号arの値は、Fr<4.5ではar=0.2となり、4.5≦Fr<7.0ではar=0.5となり、7.0≦Frではar=1.0となるように階段状に変化している。また、第2係数設定信号brの値は、Fr<4.5ではbr=1.0となり、4.5≦Fr<7.0ではbr=1.2となり、7.0≦Frではbr=1.4となるように階段状に変化している。
溶接法が炭酸ガスアーク溶接であり、ワイヤ径が1.2mmである場合には、Frが4.5と7.0のときが溶滴移行形態の境界値となる。すなわち、Fr<4.5の範囲では短絡移行形態となり、4.5≦Fr<7.0の範囲では短絡移行形態とグロビュール移行形態との混在した溶滴移行形態となり、7.0≦Frの範囲ではグロビュール移行形態となる。
第1係数設定信号arの値は、上述したように微小短絡の回数mとアーク長との相関度を示している。したがって、微小短絡の回数mとアーク長との相関度は、短絡移行形態では低く、グロビュール移行形態では高いことを示している。
第2係数設定信号brの値は、上述したように通常短絡の回数nとアーク長との相関度を示している。したがって、通常短絡の回数nとアーク長との相関度は、短絡移行形態でも高く、グロビュール移行形態ではさらに高くなることを示している。Fr=4.5のときは溶接電流平均値は170Aとなり、Fr=7.0のときは溶接電流平均値は230Aとなる。
溶接法が炭酸ガスアーク溶接であり、ワイヤ径が1.0mmであるときは、送給速度設定信号Frの境界値が4.0と6.0になる。すなわち、Fr<4.0の範囲では短絡移行形態となり、4.0≦Fr<6.0の範囲では短絡移行形態とグロビュール移行形態とが混在した溶滴移行形態となり、6.0≦Frの範囲ではグロビュール移行形態となる。第1関数及び第2関数については、これら境界値が変化するだけで第1係数設定信号ar及び第2係数設定信号brの値はそのままで良い。Fr=4.0のときは溶接電流平均値は150Aとなり、Fr=6.0のときは溶接電流平均値は200Aとなる。
溶接法がマグ溶接であり、ワイヤ径が1.2mmであるときは、送給速度設定信号Frの境界値が4.5と7.5になる。すなわち、Fr<4.5の範囲では短絡移行形態となり、4.5≦Fr<7.5の範囲では短絡移行形態とスプレー移行形態とが混在した溶滴移行形態となり、7.5≦Frの範囲ではスプレー移行形態となる。第1関数及び第2関数については、これら境界値が変化するだけで第1係数設定信号ar及び第2係数設定信号brの値はそのままで良い。Fr=4.5のときは溶接電流平均値は170Aとなり、Fr=7.5のときは溶接電流平均値は250Aとなる。
溶接法がマグ溶接であり、ワイヤ径が1.0mmであるときは、送給速度設定信号Frの境界値が4.0と6.5になる。すなわち、Fr<4.0の範囲では短絡移行形態となり、4.0≦Fr<6.5の範囲では短絡移行形態とスプレー移行形態とが混在した溶滴移行形態となり、6.5≦Frの範囲ではスプレー移行形態となる。第1関数及び第2関数については、これら境界値が変化するだけで第1係数設定信号ar及び第2係数設定信号brの値はそのままで良い。Fr=4.0のときは溶接電流平均値は150Aとなり、Fr=6.5のときは溶接電流平均値は210Aとなる。
同図においては、関数が階段状に変化する場合を例示したが、複数の直線の組合せ又は曲線状に変化するように設定しても良い。母材の材質が鉄鋼以外の場合も、同様にして実験から第1関数及び第2関数を設定すれば良い。そして、材質に対応した溶接法を選択すれば良い。例えば、母材の材質がアルミニウムである場合には、溶接法としてミグ溶接又はパルスミグ溶接を選択することになる。
上述した実施の形態1によれば、所定周期Tc中に計数された各短絡をその期間長さTsが予め定めた第1基準値Tt1未満である個数mと以上である個数nとに区別し、第1係数a及び第2係数bを予め設定し、短絡回数NdをNd=m×a+n×bによって算出し、この算出された短絡回数Ndが予め定めた短絡回数設定値Nrと等しくなるように溶接電源の出力を制御する。上記の第1基準値によって微小短絡の個数mと通常短絡の個数nとに区分して計数している。そして、微小短絡の回数とアーク長との相関度を示す第1係数a及び通常短絡の回数とアーク長との相関度を示す第2係数bを、溶滴移行形態に応じて適正値に設定する。このために、本実施の形態では、アーク長とより厳密に相関する短絡回数Ndを算出することができるので、多様な溶滴移行形態において、アーク長をより精密に適正値に維持することができる。本実施の形態では、第1係数a及び第2係数bを、溶滴移行形態に応じて適正値になるように設定している。溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度を入力としてこれら係数の設定を自動化すると、操作性が向上する。
[実施の形態2]
実施の形態2に係る溶接電源の出力制御方法では、第1基準値Tt1よりも大きな値の第2基準値Tt2を新たに設け、所定周期Tc中に短絡の期間長さTsが第1基準値Tt1以上であった個数nをさらに第2基準値Tt2未満の個数n1と以上の個数n2とに区別し、第1基準値Tt1未満の個数m、第1基準値Tt1以上で第2基準値Tt2未満の個数n1及び第2基準値Tt2以上の個数n2によって短絡回数Ndを算出するものである。以下、実施の形態2に係る溶接電源の出力制御方法の処理について説明する。本実施の形態では、説明を理解しやすくするために、母材の材質が鉄鋼である場合を例示する。
処理10)短絡をその期間長さTsによって3つに区分するための第1基準値Tt1(ms)及び第2基準値Tt2(ms)を予め設定する。ここで、Tt1<Tt2である。第1基準値Tt1は、0.5〜2.0ms程度の範囲で設定される。また、第2基準値Tt2は、5.0〜10.0ms程度の範囲で設定される。従来から短絡期間Tsが1ms未満の短絡を微小短絡と呼び、1〜5msの範囲の短絡を通常短絡と呼び、5ms以上の短絡を長期短絡とぶことが慣用されている。これは、微小短絡では溶滴移行は行われず、通常短絡では溶滴移行が安定して行われ、長期短絡では溶滴移行は不安定な状態で行われるというアーク現象の差から来る区別である。したがって、上記の第1基準値Tt1及び第2基準値Tt2は、この区別を行うためのものである。これを踏まえて、短絡期間Tsが第1基準値Tt1未満のものを微小短絡と呼び、第1基準値Tt1以上で第2基準値Tt2未満のものを通常短絡と呼び、第2基準値Tt2以上のものを長期短絡と呼ぶことにする。
処理20)所定周期Tc中に検出された各短絡をその期間長さTsが上記の第1基準値Tt1未満である個数mと、第1基準値Tt1以上で第2基準値Tt2未満である個数n1と、第2基準値Tt2以上である個数n2とに区別して計数する。したがって、この周期中には、Ts<Tt1である微小短絡がm回発生し、Tt1≦Ts<Tt2である通常短絡がn1回発生し、Ts≧Tt2である長期短絡がn2回発生したことになる。
処理30)第1係数a、第2係数b及び第3係数cを予め設定する。これらの係数は、0.0〜2.0の範囲の実数として設定される。これらの係数は、アーク長との相関度を示している。係数の値が大きいほどアーク長との相関度が高いことを意味している。これらの係数の値は、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じて変化するように設定される。詳細については、後述する。
処理40)短絡回数Ndを、下式によって算出する。
Nd=m×a+n1×b+n2×c …(3)式
処理50)実施の形態1の処理5)と同様であるので、説明は省略する。
図4は、本発明の実施の形態2に係る溶接電源のブロック図である。同図は上述した図1と対応しており、同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。同図は、図1の係数設定回路KRを係数設定回路KR2に置換し、図1の短絡回数検出回路NDを短絡回数検出回路ND2に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
係数設定回路KR2は、送給速度設定信号Fr、溶接法選択信号Ms及びワイヤ径選択信号Dsを入力として、予め定めた第1関数にこれらの3つの信号を入力して第1係数設定信号arを算出して出力し、予め定めた第2関数にこれら3つの信号を入力して第2係数設定信号brを算出して出力し、予め定めた第3関数にこれら3つの信号を入力して第3係数設定信号crを算出して出力する。第1関数〜第3関数については、後述する。
短絡回数検出回路ND2は、短絡判別信号Sd、上記の第1係数設定信号ar、上記の第2係数設定信号br及び上記の第3係数設定信号crを入力として、所定周期Tc中に短絡判別信号SdがHighレベル(短絡)である期間長さTsが予め定めた第1基準値Tt1未満である個数mと、この第1基準値Tt1以上で予め定めた第2基準値Tt2未満である個数n1と、この第2基準値Tt2以上である個数n2とに区別して計数し、上記(3)式によって短絡回数信号Nd=m×ar+n1×br+n2×crを算出して出力する。この回路の処理は、上述した処理10)〜40)を実施している。短絡回数信号Ndは、所定周期Tcごとに算出される。
図5は、図4で上述した係数設定回路KR2に内蔵されている第1関数〜第3関数を例示する図である。同図の横軸は送給速度設定信号Fr(m/min)を示し、その範囲は0〜15m/minである。縦軸は第1係数設定信号ar、第2係数設定信号br及び第3係数設定信号crを示し、その範囲は0.0〜2.0である。第1関数は実線で示しており、第2関数は破線で示しており、第3関数は一点鎖線で示している。同図は、溶接法が炭酸ガスアーク溶接であり、ワイヤ径が1.2mmの場合である。同図において、第1関数及び第2関数は上述した図3と同一であるので、それらの説明は省略する。以下、同図を参照して第3関数について説明する。
一点鎖線の第3関数は送給速度設定信号Frに対する第3係数設定信号crの変化を示している。第3係数設定信号crの値は、Fr<4.5ではcr=1.2となり、4.5≦Fr<7.0ではcr=1.4となり、7.0≦Frではcr=1.6となるように階段状に変化している。
第3係数設定信号crの値は、上述したように長期短絡の回数n2とアーク長との相関度を示している。したがって、長期短絡の回数n2とアーク長との相関度は、短絡移行形態でも高く、グロビュール移行形態ではさらに高くなることを示している。
上述した実施の形態1によれば、所定周期Tc中に計数された各短絡をその期間長さTsが予め定めた第1基準値Tt1未満である個数mと、第1基準値Tt1以上で予め定めた第2基準値Tt2未満である個数n1と、第2基準値Tt2以上である個数n2とに区別し、第1係数a、第2係数b及び第3係数cを予め設定し、短絡回数NdをNd=m×a+n1×b+n2×cによって算出し、この算出された短絡回数Ndが予め定めた短絡回数設定値Nrと等しくなるように溶接電源の出力を制御する。上記の第1基準値によって微小短絡の個数mと、通常短絡の個数n1と、長期短絡の個数n2とに区分して計数している。そして、微小短絡の回数とアーク長との相関度を示す第1係数a、通常短絡の回数とアーク長との相関度を示す第2係数b及び長期短絡の回数とアーク長との相関度を示す第3係数cを、溶滴移行形態に応じて適正値に設定する。このために、本実施の形態では、実施の形態1よりもさらにアーク長と厳密に相関する短絡回数Ndを算出することができるので、多様な溶滴移行形態において、アーク長をより精密に適正値に維持することができる。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
a 第1係数
ar 第1係数設定信号
b 第2係数
br 第2係数設定信号
c 第3係数
cr 第3係数設定信号
DS ワイヤ径選択スイッチ
Ds ワイヤ径選択信号
EN 回数誤差増幅回路
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Iw 溶接電流
KR 係数設定回路
KR2 係数設定回路
m 個数
MS 溶接法選択スイッチ
Ms 溶接法選択信号
n 個数
n1 個数
n2 個数
ND 短絡回数検出回路
Nd 短絡回数(信号)
ND2 短絡回数検出回路
NR 短絡回数設定回路
Nr 短絡回数設定信号
PM 電源主回路
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
Tc 所定周期
Ts 短絡期間
Tt1 第1基準値
Tt2 第2基準値
VCR 電圧制御設定回路
Vcr 電圧制御設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vw 溶接電圧
WM 送給モータ
ΔN 回数誤差増幅信号

Claims (4)

  1. アーク溶接中の溶接ワイヤと母材との所定周期ごとの短絡回数Ndを検出し、この短絡回数Ndが予め定めた短絡回数設定値と等しくなるように出力を制御する溶接電源の出力制御方法において、
    前記所定周期中に計数された各短絡をその期間長さが予め定めた第1基準値未満である個数mと以上である個数nとに区別し、第1係数a及び第2係数bを予め設定し、前記短絡回数NdをNd=m×a+n×bによって算出する、
    ことを特徴とする溶接電源の出力制御方法。
  2. 前記第1係数a及び前記第2係数bを、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じて変化させる、
    ことを特徴とする請求項1記載の溶接電源の出力制御方法。
  3. 前記第1基準値よりも大きな値の第2基準値を新たに設け、前記個数nをさらに前記第2基準値未満の個数n1と以上の個数n2とに区別し、第3係数cを予め設定し、前記短絡回数NdをNd=m×a+n1×b+n2×cによって算出する、
    ことを特徴とする請求項1記載の溶接電源の出力制御方法。
  4. 前記第1係数a、前記第2係数b及び前記第3係数cを、溶接法、溶接ワイヤの直径及び送給速度に応じて変化させる、
    ことを特徴とする請求項3記載の溶接電源の出力制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104493345A (zh) * 2014-11-19 2015-04-08 天水锻压机床(集团)有限公司 钢管预焊机全程跟踪自动调整系统及其控制方法

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