JPWO2008093853A1 - マクロライド系化合物の固体およびその製造法並びにその医薬組成物 - Google Patents

マクロライド系化合物の固体およびその製造法並びにその医薬組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、医薬品製造用の原薬として均質で高い純度を有し、かつ作業性が良好である式(I)の化合物の固体及びその製造法並びにその医薬組成物を提供する。均一化された規格を有し、作業性が良好な(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの固体を見出した。

Description

本発明は、マクロライド系化合物の固体およびその製造法並びにその医薬組成物に関し、特に医薬として有用なマクロライド系化合物の固体およびその製造法並びにその医薬組成物に関する。
下記の式(I)で表されるマクロライド系化合物である(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリド、その薬理学的に許容される塩、その水和物については、VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor:血管内皮細胞増殖因子)産生抑制作用を有しており、癌における血管新生を抑制し、in vivo実験において強く固形腫瘍細胞の増殖を抑制し、それらの作用に基づいて固形腫瘍等の予防または治療剤として特に有用であることが報告されている(例えば、WO03/099813参照)。
WO03/099813には、一連の12員環マクロライド系化合物およびその水和物は結晶多形を形成することができることの一般的事項が記載されているが、WO03/099813の実施例45の化合物である式(I)の化合物は油状物として得られると記載されており、その結晶または非晶質からなる固体の性状はなんら開示がない。また、該固体の製造法並びにその医薬組成物については何ら開示がない。
また、WO03/099813には、式(I)の化合物の合成法が詳細に開示されているが、かかる合成法は、後処理が複雑でかつ各工程においてカラムクロマトグラフィーによる精製が必要であって、医薬品製造用の原薬としての商業的生産方法としては、取り扱いづらい側面があった。また、得られた式(I)の化合物の性状が、油状物であることから均質性が乏しく純度も一定でないため、医薬品製造用の原薬の品質としては必ずしも満足できるものではなかった。
さらに、WO03/099813記載の製法によれば、式(I)の化合物の合成には反応溶媒、カラム精製時の溶出溶媒としてジクロロメタンの使用が必要であるが、該ジクロロメタンは人体への影響から、国連危険物分類(UN Hazard Class)によれば6.1[Toxic substances]に分類され、医薬品規制調和国際会議(ICH)品質ガイドラインQ3C[不純物に関するガイドライン:残留溶媒]によればクラス2[医薬品中の残留量を規制すべき溶媒]に分類されている他、日本においては大気汚染、水質汚濁に係る環境基準としての上限値が設定されるなどその取り扱い自体が問題視される状況にある。
したがって、本発明の課題は、医薬品製造用の原薬として均質で高い純度を有し、かつ作業性が良好な式(I)の化合物の固体及びその製造法並びにその医薬組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究した結果、式(I)の化合物の固体が、(1)不純物の減少、(2)原薬としての取扱いの点で上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、
1)式(I)で表される(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの固体、
Figure 2008093853
2)前記固体は結晶である1)記載の固体、
3)前記固体は非晶質である1)記載の固体、
4)前記結晶は粉末X線回折において、回折角(2θ±0.2°)8.8°、15.8°および17.5°にピークを有する2)記載の固体、
5)(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドを第1のエーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エステル系溶媒およびアルキルニトリル系溶媒からなる群から選ばれる1または2の溶媒に溶解した溶液に脂肪族炭化水素系溶媒を添加して結晶を析出させる2)または4)に記載の結晶の製造法、
6)前記第1のエーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エステル系溶媒およびアルキルニトリル系溶媒からなる群から選ばれる1または2の溶媒が酢酸エステル系溶媒である5)に記載の製造法、
7)前記酢酸エステル系溶媒が酢酸エチルである5)または6)に記載の製造法、
8)前記脂肪族炭化水素系溶媒がn−ヘプタンである5)ないし7)いずれか一項記載の製造法、
9)攪拌下にて結晶を析出させることを特徴とする5)ないし8)いずれか一項記載の製造法、
10)20〜30℃で結晶を析出させる5)〜9)のいずれかに記載の結晶の製造法、
11)35〜60℃で結晶を析出させる5)〜9)のいずれかに記載の結晶の製造法、
12)65〜75℃で結晶を析出させる5)〜9)のいずれかに記載の結晶の製造法、
13)前記式(I)で表される(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドは、
式(VI)
Figure 2008093853
[式中、EEは1−エトキシエチル基を示し、TESはトリエチルシリル基を示す]で表される化合物に
式(VII)
Figure 2008093853
で表される化合物[式中、Rはニトロ基、塩素原子、または水素原子を示す]を第2のエーテル系溶媒を用いて反応させて、式(IV)
Figure 2008093853
[式中、EE、TES、Rは前記定義と同意義を示す]で表される化合物のエーテル溶液を得、この溶液と、1−シクロヘプチルピペラジンとを反応させ、式(III)
Figure 2008093853
[式中、EE、TESは前記定義と同意義を示す]で表される化合物のエーテル溶液を得、脱シリル化剤でこの溶液を処理して、TES基を脱保護し、式(II)
Figure 2008093853
[式中、EEは前記定義と同意義を示す]で表されるエーテル溶液を得、この溶液を酸で処理してEE基を脱保護することにより製造されるものである5)記載の製造法、
14)前記第2のエーテル系溶媒は、t−ブチルメチルエーテルである13)記載の製造法、
15)1)記載の固体を含有する医薬組成物、
16)抗癌剤である15)記載の医薬組成物、
17)1)記載の固体の癌治療用医薬組成物製造のための使用、
18)1)記載の固体を患者に投与することからなる癌治療のための方法に関する。
図1は、実施例7で得られた式(I)の化合物の結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図2は、実施例10で得られた式(I)の化合物の粉末状の非晶質の粉末X線回折パターンを示す。
図3は、実施例8で得られた式(I)の化合物の結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図4は、実施例9で得られた式(I)の化合物の結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図5は、実施例11で得られた式(I)の化合物の塊状の非晶質の粉末X線回折パターンを示す。
図6は、実施例12で得られた式(I)の化合物の結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図7は、実施例13で得られた式(I)の化合物の結晶の粉末X線回折パターンを示す。
発明の詳細な説明
本発明によれば、本発明の式(I)の化合物の固体は、VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor:血管内皮細胞増殖因子)産生抑制作用を有しており、癌における血管新生を抑制し、固形腫瘍等の予防または治療剤として特に有用である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの固体とは、12員マクロラクトン環を部分構造とするマクロライド系化合物である下記式(I)で表される化合物の結晶または非晶質である。
Figure 2008093853
式(I)で表される化合物の固体は、無溶媒和物であっても溶媒和物であってもよい。ここで、式(I)の化合物の溶媒和物とは、式(I)の化合物の無溶媒和物に溶媒分子が溶媒和した化合物を意味し、特に溶媒和する溶媒分子の個数は限定されない。
また、本明細書においては、式(I)で表される化合物は便宜上平面化学式で記載されているが、化学式から導かれる一定の異性体を含むことができる。すなわち、本発明は、当該化合物の構造上存在するすべての幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体等の異性体および異性体混合物を含むことができる。特に好ましい異性体としては、下記式(I−a)で表される(3R,6R,7S,8E,10S,11S,12E,14E,16R,18R,19R,20R,21S)−7−[(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル]オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドである。
Figure 2008093853
本明細書において使用された粉末X線回折は、結晶/非結晶の判別、結晶形の同定に使用される機器分析手法であり、通常、Cu−Kα線を使用して回折ピークを測定するが、各回折ピークの相対強度は測定条件、測定サンプルの粒子径、測定サンプルの結晶成長方向により多少変化しうるものである。従って、結晶の同一性検証においては、回折ピークの出現パターンが重要となる。以下の記載では、粉末X線回折図において横軸をなす回折角は、通常、2θ±0.2°の範囲で一致するものを意味する。
式(I)で表される化合物の結晶は、回折角8.8°、15.8°および17.5°に回折ピークを有し、好ましくは回折角6.5°、7.1°、8.8°、15.8°および17.5°に回折ピークを有するものであり、特に好ましくは、6.5°、7.1°、8.8°、14.6°、15.8°、16.5°、17.5°および22.0°に回折ピークを有するものである。なお、ピークとは相対強度の強い主要なピークを意味し、例示したピーク以外に、中程度の強度を有するピークが存在するものも本発明に含まれる。
より好ましい式(I)で表される化合物の結晶は、図1、3,4、6または7に示す粉末X線回折図と同一の回折角に回折ピークを認める結晶である。
式(I)で表される化合物の非晶質は、粉末状の非晶質および塊状の非晶質を含むが、好ましくは粉末状の非晶質である。
なお、本明細書におけるエーテル溶液とは、エーテル系溶媒を用いて処理がなされた後の溶液を意味する。
次に、本発明の式(I)の化合物の固体の製造法を詳細に説明する。
式(I)の化合物の固体は、以下に説明するように第1工程から第6工程を経た後に、結晶形成工程または非晶質形成工程を経て製造することができる。
Figure 2008093853
本製造法の第1工程は、式(IX)[式中、TESはトリエチルシリル基を示す]の化合物に、酸の存在下、エチルビニルエーテルを作用させ、6位水酸基を1−エトキシエチル(EE)基にて保護し、式(VIII)の化合物を製造する工程である。本工程で用いられる溶媒は、特に限定されないが、原料物質をある程度溶解させ、原料物質と容易に反応しない不活性溶媒が望ましく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、例えばアセトニトリル等のニトリル系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、またはそれらの混合溶媒等が挙げられ、中でもテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、それらの混合溶媒が好適である。
本工程で使用される酸は、特に限定されないが、例えばピリジニウムp−トルエンスルフォネート、p−トルエンスルフォン酸、カンファースルフォン酸、メタンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸があげられ、好ましくはピリジニウムp−トルエンスルフォネート、p−トルエンスルフォン酸、カンファースルフォン酸が用いられる。
本工程で使用する、エチルビニルエーテルは、式(IX)の化合物に対して、当量ないし大過剰に使用することができるが、反応を円滑に進めることを考慮すると、10〜100当量が好ましく、中でも20〜50当量が好適である。
酸は、式(IX)の化合物に対して、触媒量ないし当量使用することができるが、好ましくは0.005〜0.50当量、中でも0.005〜0.20当量が好適である。
反応時間は1〜24時間であり、好ましくは2〜10時間である。反応温度は、特に限定されないが、室温付近(24.0〜26.0℃)においても反応が進行する。
本製造法の第2工程は、式(VIII)の化合物の7位アセチル基を脱保護して、式(VI)の化合物を製造する工程である。アセチル基の除去は、文献記載の方法[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis),T.W.グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley & Sons社(1981)年参照]又はそれに準ずる方法に従って、例えば酸又は塩基を用いる加水分解、水素化金属錯体等を用いる化学的還元により行うことができる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、グアニジン、硝酸グアニジンが好ましく、特に好ましくは、グアニジンおよび硝酸グアニジンの混合塩である。グアニジンおよび硝酸グアニジンの混合塩は、式(VIII)の化合物に対して、1.0〜2.0当量使用することができるが、好ましくは1.0〜1.2当量が好適である。本工程で用いられる溶媒は、特に限定されないが、原料物質をある程度溶解させ、原料物質と容易に反応しない不活性溶媒が望ましく、例えば水、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコ−ル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、例えばアセトニトリル等のニトリル系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピリドン、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、またはそれらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒が好ましい。反応温度は、特に限定されないが、0〜60℃の温度が好ましく、より好ましくは10〜30℃であり、さらに好ましくは24.0〜25.0℃ある。反応時間は、1〜24時間行うことができるが、好ましくは3〜10時間である。
本製造法の第3工程は、式(VI)の化合物と、式(VII)の化合物であるp−ニトロフェニルクロロフォルメート、p−クロロフェニルクロロフォルメート、またはフェニルクロロフォルメートとを塩基存在下で反応させて、式(IV)の化合物を製造する工程である。本工程で用いられる塩基とはピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、コリジン、イミダゾール、メチルイミダゾールなどの芳香族系塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの3級アルキルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基があげられる。なかでもトリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。本工程で使用される溶媒は不活性溶媒が望ましく、例えばテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジシクロペンチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル系溶媒、またN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒を用いることができる。なかでもt−ブチルメチルエーテル、酢酸エチルが好ましい。
反応温度は、通常、出発原料、溶剤、その他反応に用いる試薬によって異なり、好ましくは、10℃〜50℃であり、より好ましくは、24℃〜28℃である。
反応時間は、通常、出発原料、溶剤、その他反応に用いる試薬、反応温度によって異なり、好ましくは、試薬を加えた後、上記反応温度にて反応液を1〜24時間撹拌するのが好適であり、4〜10時間撹拌するのがより好適である。
化合物(VII)は、化合物(VI)に対して1.0〜4.0倍モル当量を用いることができるが、好ましくは、2.0〜3.0倍モル当量を用いることができる。
4−ジメチルアミノピリジンは、化合物(VI)に対して1.0〜2.0倍モル当量を用いることができるが、好ましくは、1.1〜1.3倍モル当量を用いることができる。トリエチルアミンは化合物(VI)に対して1.0〜10.0倍モル当量を用いることができるが、好ましくは、4.0〜6.0倍モル当量を用いることができる。
本製造法の第4工程は、式(IV)の化合物に、1−シクロヘプチルピペラジンを反応させて、式(III)の化合物を製造する工程である。本工程で用いられる溶媒は、特に限定されないが、原料物質と容易に反応しない不活性溶媒が望ましく、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジグライム、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジシクロペンチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、例えばアセトニトリル等のニトリル系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピリドン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル系溶媒が挙げられる。中でもエーテル系溶媒、酢酸エステル系溶媒が好ましく、特に例えばジグライム、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒が好適であり、より好ましくはt−ブチルメチルエーテル、酢酸エチルである。
本工程で使用される塩基とは、上述の一般的な有機塩基および無機塩基が挙げられる。例えばナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、コリジン、イミダゾール、メチルイミダゾールなどの芳香族系、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アルキルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸化物が挙げられる。中でも、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
1−シクロヘプチルピペラジンは、化合物(IV)に対して1.0〜3.0倍モル当量を用いることができるが、好ましくは、1.2〜2.0当量を用いることができる。
反応温度は、通常、出発原料、溶剤、その他反応に用いる試薬によって異なり、好ましくは、10℃〜50℃であり、より好ましくは、24℃〜28℃である。
反応時間は、通常、出発原料、溶剤、その他反応に用いる試薬、反応温度によって異なり、好ましくは、試薬を加えた後、上記反応温度にて反応液を1〜40時間撹拌するのが好適であり、10〜30時間撹拌するのがより好適である。
本製造法の第5工程は、式(III)の化合物の3位、16位および21位のトリエチルシリル基を脱保護して、式(II)の化合物とする工程である。本工程で用いられる溶媒は、特に限定されないが、原料物質と容易に反応しない不活性溶媒が望ましく、例えばテトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジシクロペンチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル系溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、例えばアセトニトリル等のニトリル系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピリドン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒またはそれらの混合溶媒等が挙げられる。中でもトルエン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル等が好ましく、特に好ましくは酢酸エチルである。
本工程で使用する脱シリル化剤としては、テトラブチルアンモニウムフルオリド、フッ化水素が挙げられる。脱シリル化剤は、式(III)の化合物に対して、2.0〜10.0当量が好ましく、中でも3.0〜8.0当量が好適である。
反応時間は1〜48時間であり、好ましくは15〜30時間である。反応温度は0〜50℃の温度で、好ましくは21.0〜26.0℃である。
本製造法の第6工程は、式(II)の化合物の6位水酸基の保護基を脱保護することにより、式(I)の化合物を製造する工程である。水酸基の保護基の除去は、例えば酸または塩基を用いる加溶媒分解により行うことができる。中でも、例えば硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、例えばピリジニウムp−トルエンスルホネート、メタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、カンファースルホン酸等の有機スルフォン酸、例えばトリフルオロ酢酸、ギ酸等の有機カルボン酸を用いて行うことが好ましく、特にピリジニウムp−トルエンスルホネートを用いて行うことが最も好ましい。酸は、式(II)の化合物に対して、等量ないし過剰に使用することができるが、反応を円滑に進め、精製処理等を考慮すると、1.0〜6.0当量が好ましく、2.0〜4.0当量が好適である。反応時間は1〜24時間であり、好ましくは2〜6時間である。反応温度は0〜50℃の温度で、好ましくは21.0〜27.0℃である。
なお、本製造法の第3工程から第6工程までは、カラムクロマトグラフィーによる精製をすることなく、一連の作業として工程を進めることが可能であり、式(I)の化合物を効率的に製造することができる。
この場合、工程内で用いられる塩基としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、コリジン、イミダゾール、メチルイミダゾールなどの芳香族系塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの3級アルキルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基があげられ、特に、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。また、工程内で使用される溶媒としては、不活性溶媒が望ましく、例えばテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジシクロペンチルエーテルなどのエーテル系溶媒(第2のエーテル系溶媒という。)、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル系溶媒、またN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒などがあげられ、特に、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチルが好ましい。
本製造法の結晶形成工程は、前述の第6工程で得られた式(I)の化合物をカラム精製した後に溶媒に溶解させ、溶液から式(I)の化合物の結晶を製造する工程である。このとき可溶性溶媒に室温で溶解させ、溶解後、貧溶媒を添加して晶析させてもよく、或いは加熱して可溶性溶媒に溶解させ、溶解後、加熱したままもしくは室温まで徐冷し、必要に応じて貧溶媒を添加して晶析させてもよい。なお、第6工程で得られた式(I)の化合物に代えて、WO03/099813の実施例45に記載の方法で得られた式(I)の化合物を使用してもよい。また、貧溶媒を添加した後、撹拌を継続することが好ましい。
可溶性溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジシクロペンチルエーテルなどのエーテル系溶媒(以下、第1のエーテル系溶媒という。)、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリルなどのアルキルニトリル系溶媒があり、好ましくは酢酸エチルである。
貧溶媒としてはn−ヘプタン、n−ヘキサン、n−ペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒があり、好ましくはn−ヘプタンである。
一の態様では、溶媒量は特に制限されないが、好ましくは、可溶性溶媒は化合物(I)の粗体に対して5〜20倍、貧溶媒は10〜40倍であり、より好ましくは、可溶性溶媒は10〜16倍、貧溶媒は20〜30倍である。溶解温度は20〜80℃であり、好ましくは40〜50℃である。また、晶析温度は15〜40℃であり、好ましくは室温付近の20〜30℃である。
別の態様では、溶媒量は特に制限されないが、好ましくは、可溶性溶媒は化合物(I)の粗体に対して10〜25倍、貧溶媒は45〜90倍であり、より好ましくは、可溶性溶媒は15〜21倍、貧溶媒は65〜75倍である。溶解温度は好ましくは20〜80℃であり、さらに好ましくは35〜45℃である。また、晶析温度は好ましくは20〜80℃であり、さらに好ましくは65〜75℃である。
さらに別の態様では、溶媒量は特に制限されないが、好ましくは、可溶性溶媒は化合物(I)の粗体に対して5〜20倍、貧溶媒は25〜55倍であり、より好ましくは、可溶性溶媒は10〜16倍、貧溶媒は35〜45倍である。溶解温度は好ましくは20〜80℃であり、さらに好ましくは35〜45℃である。また、晶析温度は好ましくは20〜80℃であり、さらに好ましくは35〜60℃である。
この他、式(I)の化合物の結晶は、上記可溶性溶媒と貧溶媒を混合して化合物(I)を加熱溶解させ、徐冷することにより製造することもできる。
本製造法の非晶質形成工程は、前述の結晶形成工程で得られた結晶(好ましくは、後述する実施例7〜9、12または13で得られた式(I)の化合物の白色結晶)を水またはt−ブタノールなどのアルコールやジメチルスルホキシドなどの適当な有機溶媒に溶解させた後、凍結乾燥を行うことにより粉末状の非晶質を製造する工程である。
好ましい凍結温度は、−40℃であり、好ましい乾燥温度及び圧力条件としては、−20℃,10Pa以下で約2時間維持した後、温度を室温まで徐々に変化させながら10Pa以下にし、約14時間後に窒素ガスを充填する。
あるいは、本製造法の非晶質形成工程には、他の非晶質として、塊状の非晶質を製造する工程も含まれる。
この場合、前述の結晶形成工程で得られた結晶(好ましくは、後述する実施例7で得られた式(I)の化合物の白色結晶)を酢酸エチルに溶解させた後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、無色透明な塊状の非晶質を製造する工程である。
(粉末X線回折)
次に、式(I)の化合物の固体の粉末X線回折を測定した。
(1)測定方法
式(I)の化合物の固体である、実施例7により製造された白色結晶、および実施例10により製造された粉末状の非晶質について、試料をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末X線回折装置を用いて、以下の条件で測定した。
(2)測定条件
測定方法:透過法
装置:Bruker AXS社製Discover D8 with GADDS
検出器:2次元PSPC
X線源:Cu 40mA/40kV
サンプリング幅:0.01°
操作範囲:5〜40°
(3)結果
白色結晶の粉末X線回折パターンは、図1および表1に示す。粉末状の非晶質の粉末X線回折パターンは、図2に示す。また、別法により得た白色結晶のX線回折パターンを図3,4,6および7ならびに表5〜8に示す。
結晶の粉末X線回折パターンにおける代表的な回折角は、表1、7および8に示すように、8.8°、15.8°および17.5°であり、好ましくは、6.5°、7.1°、8.8°、15.8°および17.5°であり、特に好ましくは、6.5°、7.1°、8.8°、14.6°、15.8°、16.5°、17.5°および22.0°である。一方、粉末非晶質の粉末X線回折パターンは、図2に示すように回折ピークが観測されなかった。
Figure 2008093853
次に、式(I)で表される化合物の固体の有用性を示すため、HPLCによる不純物量の測定試験を行った。
(1)測定方法
式(I)の化合物の、実施例7により製造された淡黄色非晶質及び白色結晶を、それぞれ約20mgずつ秤取し、アセトニトリル/水(v/v=7:3)を加えて溶解して、約1mg/mLの濃度になるように調製し、下記測定条件にて、HPLC分析を行った。
(2)測定条件
下記の表2に示すカラムおよび移動相を使用し、下記の表3に示すグラジエント条件を満たすように移動層A液とB液の割合を変化させながら60分間送液した。
Figure 2008093853
Figure 2008093853
(3)結果
得られたクロマトグラフに基づき、式(I)の化合物の、実施例7により製造された淡黄色非晶質及び白色結晶についての総不純物量(%)を下記式(式1)及び(式2)にしたがって算出し、その結果を表4に示す。なお、式1、2中、不純物のピークを採用する際には、0.05%以下のピークはカウントしないものとして扱う。
各不純物量(%)=各不純物のピーク面積÷(不純物のピーク面積の総和+本品のピーク面積)×100 ・・・ (式1)
総不純物量(%)=各不純物量の総和 ・・・ (式2)
Figure 2008093853
Figure 2008093853
以上の結果より、式(I)の化合物の白色結晶は、淡黄色非晶質より不純物が少なく良好な純度を有することは、明らかである。
(溶解性比較)
次に、式(I)の化合物の固体について、pH5.0の酢酸緩衝液に室温で約1mg/mL溶解するのに必要な時間を測定した。
(1)測定方法
室温にて、実施例7により製造された白色結晶10mg、実施例10により製造された粉末状の非晶質10mg、または実施例11により製造された塊状の非晶質5mgに、25mM酢酸カリウム緩衝液(pH 5.0)をそれぞれ5mg/mLになるように添加し、約100rpmで振とうする時に完全に溶解するまでに要する時間を測定した.
(2)結果
溶解するために要する時間は以下の通りであった.
結晶:約32秒
粉末非晶質:約10秒
塊状非晶質:約215秒
したがって、式(I)の化合物の白色結晶及び粉末状の非晶質は塊状の非晶質に比較して高い溶解性を示すことがわかる。
本発明の式(I)の化合物の固体は、遺伝子発現を制御することにより、特にVEGF産生抑制作用が有効な疾患および血管新生阻害作用が有効な疾患に対しては、予防・治療剤として有効である。
本明細書において、「予防・治療」とは、予防もしくは治療又はそれらの両方を意味する。本発明の式(I)の化合物の固体は、より具体的には、抗癌剤として、特に固形腫瘍に対する抗癌剤・癌転移抑制剤として有効である。固形腫瘍としては、例えば膵臓癌、胃癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、脳腫瘍、頭頚部癌、食道癌、皮膚癌、肝癌、子宮癌、子宮頚癌、膀胱癌、甲状腺癌、精巣腫瘍、絨毛癌、骨肉腫、軟部組織肉腫、及び卵巣癌が挙げられ、特に、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、頭頚部癌、卵巣癌等の癌が好ましい。また、白血病に対する抗癌剤としても有効である。さらに血管腫治療剤としても有効である。また、VEGF産生阻害作用に基づく、糖尿病性網膜症治療剤、リューマチ性関節炎治療剤、血管腫治療剤として有効である。これ以外にも、変形性関節炎、乾せん、遅延性過敏反応からなる炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症に対する治療剤としても有効である。
本発明の式(I)の化合物の固体を注射剤として調整する場合は、主薬に必要によりpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内、関節内、静脈内用注射剤とする。
該化合物を各種疾患治療・予防剤として投与する場合、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等として経口的に投与してもよいし、また噴霧剤、坐剤、注射剤、外用剤、点滴剤として非経口的に投与してもよい。投与量は症状の程度、年齢、疾患の種類等により著しく異なるが、通常成人1日当たり約1mg〜100mgを1日1〜数回にわけて投与する。
製剤化の際は通常の製剤担体を用い、常法により製造する。すなわち、経口用固形製剤を調整する場合は、主薬に賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等とする。これらの錠剤、顆粒剤には糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングすることは勿論差し支えない。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
略号
EE:1−エトキシエチル基
TES:トリエチルシリル基
実施例1
(8E,12E,14E)−7−アセトキシ−6−(1−エトキシエトキシ)−6,10,12,16,20−ペンタメチル−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの製造
Figure 2008093853
窒素雰囲気下、外温を25℃に保温し(8E,12E,14E)−7−アセトキシ−6−ヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリド17.0g(19.0mmol)のトルエン溶液にテトラヒドロフラン(170mL)、エチルビニルエーテル73mL(759mmol)、ピリジニウムp−トルエンスルホネート48mg(0.19mmol)を加えて内温を24.5〜26.7℃に維持しながら5時間攪拌した。この反応液にトリエチルアミン2.1mL(15.2mmol)を加えて5分間攪拌後、t−ブチルメチルエーテル(170mL)、4%炭酸水素ナトリウム水溶液(170mL)を加えた。有機層を分取後、4%食塩水(170mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(17.0g)を用いて乾燥した。乾燥後、硫酸マグネシウムを濾過除去し、t−ブチルメチルエーテル(51mL)で洗浄後、濾液を40℃にて減圧下濃縮し、表題化合物の粗体を22.9g(黄色油状物)得た。
実施例2
(8E,12E,14E)−6−(1−エトキシエトキシ)−7−ヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの製造
Figure 2008093853
窒素雰囲気下、外温を25℃に保温し(8E,12E,14E)−7−アセトキシ−6−(1−エトキシエトキシ)−6,10,12,16,20−ペンタメチル−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリド18.4gのメタノール(79mL)溶液に0.2Mグアニジン/硝酸グアニジンのメタノール溶液104mL(20.8mmol)を加えて内温を24.9〜24.5℃に維持しながら6時間攪拌した。この反応液を氷冷してt−ブチルメチルエーテル(276mL)を加えた後、10%塩化アンモニウム水溶液(184mL)を加えた。次いで、有機層を分取した後、水(184mL)、4%食塩水(184mL)で順次洗浄し、その後、硫酸マグネシウム(18.4g)を用いて乾燥した。乾燥後、硫酸マグネシウムを濾過除去し、t−ブチルメチルエーテル(55mL)で洗浄後、濾液を40℃にて減圧下濃縮し、表題化合物の粗体を19.7g(含有率73.4%、含量14.5g、黄色油状物)得た。
実施例3
(8E,12E,14E)−6−(1−エトキシエトキシ)−6,10,12,16,20−ペンタメチル−7−(4−ニトロフェノキシ)カルボキシ−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの製造
Figure 2008093853
窒素雰囲気下、外温25℃で(8E,12E,14E)−6−(1−エトキシエトキシ)−7−ヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリド14.5g(15.6mmol)のt−ブチルメチルエーテル(217mL)溶液に4−ジメチルアミノピリジン2.29g(18.8mmol)、トリエチルアミン10.9mL(78.2mmol)、p−ニトロフェニルクロロホルメート8.13g(39.1mmol)を加えた後、外温25℃に維持した状態で7時間30分攪拌した。この反応液に水(145mL)を加えて有機層を分取し、表題化合物のt−ブチルメチルエーテル溶液を得た。
実施例4
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−6−(1−エトキシエトキシ)−6,10,12,16,20−ペンタメチル−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの製造
Figure 2008093853
窒素雰囲気下、外温25℃にて実施例3で得られた(8E,12E,14E)−6−(1−エトキシエトキシ)−6,10,12,16,20−ペンタメチル−7−(4−ニトロフェノキシ)カルボキシ−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドのt−ブチルメチルエーテル溶液に1−シクロヘプチルピペラジン4.28g(23.5mmol)のt−ブチルメチルエーテル溶液(29mL)を2分間かけて滴下した。その後、反応液を外温25℃に維持した状態で17時間攪拌した。この反応液に10%塩化アンモニウム水溶液(145mL)を加えて有機層を分取後、4%炭酸水素ナトリウム水溶液(145mL)、水(145mL)で順次洗浄し、表題化合物のt−ブチルメチルエーテル溶液を得た。
実施例5
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−6−(1−エトキシエトキシ)−3,16,21−トリヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの製造
Figure 2008093853
窒素雰囲気下、外温25℃で、実施例4で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−6−(1−エトキシエトキシ)−6,10,12,16,20−ペンタメチル−3,16,21−トリス(トリエチルシロキシ)−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドのt−ブチルメチルエーテル溶液にテトラヒドロフラン(145mL)を加えた後、1.0Mテトラブチルアンモニウムフルオライドテトラヒドロフラン溶液93.8mL(93.8mmol)を3分間かけて滴下した。ついで、反応液を室温25℃に維持した状態で、22時間攪拌した。この反応液に水(145mL)を加えて有機層を分取後、さらに水(145mL)で洗浄し、表題化合物のt−ブチルメチルエーテル/テトラヒドロフラン溶液を得た。
実施例6
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの製造
Figure 2008093853
外温25℃で、実施例5で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−6−(1−エトキシエトキシ)−3,16,21−トリヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドのt−ブチルメチルエーテル/テトラヒドロフラン溶液にテトラヒドロフラン(145mL)、t−ブタノール(62.1mL)を加えた後、ピリジニウムp−トルエンスルホネート11.8g(46.9mmol)を加えて3時間攪拌した。この反応液にt−ブチルメチルエーテル(104mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(104mL)を加えて有機層を分取し、4%食塩水(104mL)で洗浄後減圧下濃縮して表題化合物の粗体を50.6g(含有率20.2%,含量10.2g)を得た(黄色油状物)。
実施例7
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの固体の製造
実施例6で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの粗体47.8gからさらに溶媒留去して得られた化合物34.7g(含量9.60g)を酢酸エチル(40mL)に溶かして濾過した後、ヘプタン(8mL)を加えて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒は、1)酢酸エチル:ヘプタン=50:50、2)酢酸エチル:ヘプタン=80:20、3)酢酸エチル、4)メタノール:酢酸エチル=3:97の順)を用いて精製した。精製フラクションを集めて減圧下濃縮し、表題化合物13.5g(含量9.02g)を得た(淡黄色非晶質)。
45℃の水浴及び超音波洗浄器を用い、上記淡黄色非晶質13.5g(含量9.02g)を酢酸エチル(99mL)に溶かして濾過した後(グラスウール濾紙使用、酢酸エチル18mLで洗いこみ)、室温下、n−ヘプタン(117mL)を6分間かけて滴下した。30分後、さらにn−ヘプタン(117mL)を30分間かけて滴下し、ついで23℃、98rpmとなるように19時間30分攪拌した。その後、攪拌機(HEIDON社製 BL600)を用い、回転数を183rpmにして35分間攪拌した後、塊状析出物をスパーテルで壊し、さらに22時間30分攪拌した。アイソレータ内で結晶を濾過後、n−ヘプタン:酢酸エチル(2:1,65mL)で洗浄し、得られた結晶を室温23℃にて23時間減圧下乾燥し、表題化合物を8.44g(含有率97.6%,含量8.24g,白色結晶)得た。得られた白色結晶について、図1に粉末X線回折図を示す。X線回折は上記した条件で測定した。
なお、得られた化合物の1H−NMR(400MHz,CD3OD)は、WO03/099813記載の実施例45に示された値と一致した。
実施例8
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの結晶の製造(別法1)
実施例7で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの淡黄色非晶質約100mgを酢酸エチル1mLに完全に溶解し,これにn−ヘプタン3mLを添加した。溶液中に白色固体が出現したことを確認した後に、その溶液を約80℃のホットプレート上に置き,白色固体を完全に溶解させた.溶液を再び室温で放置して冷却し,得られた懸濁液を濾紙を用いて濾過し、白色結晶を得た。得られた白色結晶について、図3に粉末X線回折図を示すとともに、代表的なピーク値を表5に示すが、図1に示す粉末X線回折図と同一の回折角に回折ピークを認めた。X線回折は実施例7と同様に測定した。
Figure 2008093853
実施例9
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの結晶の製造(別法2)
実施例7で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの淡黄色非晶質200mgを水およびt−ブタノールの混合溶媒20mL(水:t−ブタノール=1:1(v/v))に完全に溶解させ、5mLのガラス製バイアルに1mLずつ充填した.バイアルを凍結乾燥機を用いて−40℃で凍結させた後,棚温−20℃,圧力10Pa以下で約2時間維持した後,棚温度を室温まで徐々に変化させながら圧力10Pa以下に維持した.約14時間後に窒素ガスを充填し,白色粉末が入ったガラスバイアルを得た。このバイアル1本にアセトニトリル0.1mLを添加して内部の白色粉末を完全に溶解した後,約5℃の冷蔵庫に約17時間保存した.このバイアル中に生成した固体を取り出して室温に放置し、白色結晶を得た。得られた白色結晶について、図4に粉末X線回折図を示すとともに、代表的なピーク値を表6に示すが、図1に示す粉末X線回折図と同一の回折角に回折ピークを認めた。なお、X線回折は、粉末X線回折装置を用いて、以下の条件で測定した。
(測定方法)
測定方法:反射法
装置:リガク社製MiniFlex
検出器:1次元シンチレーションカウンター
X線源:Cu 15mA/30kv
サンプリング幅:0.01°
操作範囲:5〜40°
Figure 2008093853
Figure 2008093853
実施例10
凍結乾燥による(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの非晶質の製造
実施例7で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの白色結晶約148mgを水およびt−ブタノールの混合溶媒36mL(水:t−ブタノール=1:1(v/v))に完全に溶解させ、5mLのガラス製バイアルに2mLずつ充填した。バイアルを凍結乾燥機を用いて−40℃で凍結させた後、−20℃,10Pa以下で約2時間維持し、温度を室温まで徐々に変化させながら10Pa以下に維持した。約14時間後に窒素ガスを充填し、白色の粉末状の非晶質を得た。得られた粉末状の非晶質について、図2に粉末X線回折図を示す。なお、X線回折は実施例7と同様に測定した。
実施例11
エバポレーションによる(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの非晶質の製造
実施例7で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの白色結晶約66mgを酢酸エチル12mLに完全に溶解したのち、ガラス製スピッツに1mLずつ分注した。それをロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、無色透明な塊状の非晶質を得た。得られた塊状の非晶質について、図5に粉末X線回折図を示す。なお、X線回折は実施例7と同様に測定した。
実施例12
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの結晶の製造(別法3,70℃)
実施例7で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの非晶質5.20g(含量2.75g)に酢酸エチル27.5mLを加え、40℃に加温し完全に溶解させた後、室温にて濾過を行った(PTFE濾紙使用、酢酸エチル22.5mLで洗いこみ)。この濾液を40℃に加温し、n−ヘプタン50mLを添加、さらに70℃へと加温し、温度を維持したまま、これにn−ヘプタン85.1mLを添加した。この溶液に種晶を加え、70℃で2時間攪拌を行った後、温度を維持したままn−ヘプタン64.9mLを2.1時間かけて添加、ついで70℃で1時間攪拌した。この得られた懸濁液を濾紙を用いて結晶を濾過後、n−ヘプタン:酢酸エチル(3:1,27.5mL)で洗浄し、得られた結晶を室温で減圧下16.5時間乾燥を行い、白色結晶2.44gを得た。なお、種晶は実施例7で得られた結晶を用いた。得られた白色結晶について、図6に粉末X線回折図を示すとともに、代表的なピーク値を表7に示す。なお、X線回折は、粉末X線回折装置を用いて、以下の条件で測定した。
(測定条件)
測定方法:反射法
装置:Bruker AXS社製Discover D8 Advance
検出器:1次元高速PSD
X線源:Cu 40mA/35kV
サンプリング幅:0.014°
操作範囲:5〜40°
Figure 2008093853
実施例13
(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの結晶の製造(別法4,55℃→40℃)
実施例7で得られた(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの非晶質1.90g(含量1.71g)に酢酸エチル15mLを加え、40℃に加温し完全に溶解させた後、室温にて濾過を行った(PTFE濾紙使用、酢酸エチル7mLで洗いこみ)。この濾液を40℃に加温し、n−ヘプタン22mLを添加、さらに55℃へと加温し、温度を維持したままこれにn−ヘプタン11mLを添加した。この溶液に種晶を加え1.5時間攪拌を行った。ついで温度を維持したままn−ヘプタン33mLを約1時間かけて添加した後、徐々に40℃へと放冷した。得られた懸濁液を濾紙を用いて結晶を濾過後、n−ヘプタン:酢酸エチル(3:1,14mL)で洗浄し、得られた結晶を室温で減圧下18時間乾燥を行い、白色結晶1.40gを得た。なお、種晶は実施例7で得られた結晶を用いた。得られた白色結晶について、図7に粉末X線回折図を示すとともに、代表的なピーク値を表8に示す。なお、X線回折は実施例12と同様に測定した。
Figure 2008093853
本発明によれば、式(I)の化合物の固体は、医薬品製造用の原薬として均質で高い純度を有し、かつ作業性が極めて良好であるため、式(I)の化合物の固体を有効成分とする医薬を工業的に製造することができる。

Claims (18)

  1. 式(I)で表される(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドの固体。
    Figure 2008093853
  2. 前記固体は結晶である請求項1記載の固体。
  3. 前記固体は非晶質である請求項1記載の固体。
  4. 前記結晶は粉末X線回折において、回折角(2θ±0.2°)8.8°、15.8°および17.5°にピークを有する請求項2記載の固体。
  5. (8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドを第1のエーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エステル系溶媒およびアルキルニトリル系溶媒からなる群から選ばれる1または2の溶媒に溶解した溶液に脂肪族炭化水素系溶媒を添加して結晶を析出させる請求項2または請求項4に記載の結晶の製造法。
  6. 前記第1のエーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エステル系溶媒およびアルキルニトリル系溶媒からなる群から選ばれる1または2の溶媒が酢酸エステル系溶媒である請求項5に記載の製造法。
  7. 前記酢酸エステル系溶媒が酢酸エチルである請求項5または6に記載の製造法。
  8. 前記脂肪族炭化水素系溶媒がn−ヘプタンである請求項5ないし7いずれか一項記載の製造法。
  9. 攪拌下にて結晶を析出させる請求項5ないし8いずれか一項記載の製造法。
  10. 20〜30℃で結晶を析出させる請求項5〜9のいずれかに記載の結晶の製造法。
  11. 35〜60℃で結晶を析出させる請求項5〜9のいずれかに記載の結晶の製造法。
  12. 65〜75℃で結晶を析出させる請求項5〜9のいずれかに記載の結晶の製造法。
  13. 前記式(I)で表される(8E,12E,14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3,6,16,21−テトラヒドロキシ−6,10,12,16,20−ペンタメチル−18,19−エポキシトリコサ−8,12,14−トリエン−11−オリドは、
    式(VI)
    Figure 2008093853
    [式中、EEは1−エトキシエチル基を示し、TESはトリエチルシリル基を示す]で表される化合物に
    式(VII)
    Figure 2008093853
    で表される化合物[式中、Rはニトロ基、塩素原子、または水素原子を示す]を第2のエーテル系溶媒を用いて反応させて、式(IV)
    Figure 2008093853
    [式中、EE、TES、Rは前記定義と同意義を示す]で表される化合物のエーテル溶液を得、この溶液と、1−シクロヘプチルピペラジンとを反応させ、式(III)
    Figure 2008093853
    [式中、EE、TESは前記定義と同意義を示す]で表される化合物のエーテル溶液を得、脱シリル化剤でこの溶液を処理して、TES基を脱保護し、式(II)
    Figure 2008093853
    [式中、EEは前記定義と同意義を示す]で表されるエーテル溶液を得、この溶液を酸で処理してEE基を脱保護することにより製造されるものである請求項5記載の製造法。
  14. 前記第2のエーテル系溶媒は、t−ブチルメチルエーテルである請求項13記載の製造法。
  15. 請求項1記載の固体を含有する医薬組成物。
  16. 抗癌剤である請求項15記載の医薬組成物。
  17. 請求項1記載の固体の癌治療用医薬組成物製造のための使用、
  18. 請求項1記載の固体を投与することからなる癌治療のための方法に関する。
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