JPWO2008087765A1 - 毛髪処理剤組成物及び毛髪処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば下記の文献1ではシリコーン誘導体と糖成分とを配合した毛髪化粧料が開示されているが、技術的課題としても、技術的構成としても、シリコーン誘導体の配合における上記問題点の解消に結びつく開示は認められない。
[文献1]特開2006−8611号公報
このように、シリコーン誘導体配合の毛髪処理剤組成物使用時(特に連用時)の問題点である、毛髪上へのシリコーン誘導体の蓄積によるコンディショニング効果の低下を十分に解消できる提案は、従来、必ずしもなされていない。
本願発明者は、多様な試行錯誤を通じて上記課題の解決手段を追求する過程で、特に好ましいシリコーン誘導体の一種である末端ヒドロキシ変性されたアルキルポリシロキサンを選択的に使用し、かつ、イノシトール等の脂環式ポリオールを併せ配合すると、上記の課題を解決し得ることを見出した。しかもこのような配合により、上記課題の解決に加えて「毛髪強度の向上」と言う驚くべき効果も得られることも見出した。本発明は、このような新規な知見に基づいて完成されたものである。
(第1発明)
本願の第1発明は下記の(A)成分及び(B)成分を含有する毛髪処理剤組成物である。
(A)成分:脂環式ポリオール
(B)成分:末端ヒドロキシ変性されたアルキルポリシロキサン。
第1発明において(A)成分:脂環式ポリオールの種類は特段に限定されず、例えばシクロヘキサンのジオールないしヘキサオール、シクロペンタンのジオールないしペンタオール、又はこれらをモノマー単位とする一定範囲のオリゴマー等が包含される。特に好ましくは、後述の実施例で用いているイノシトールである。
イノシトールは周知の生理活性物質であり、その他の脂環式ポリオールは必ずしもイノシトールと同様な生理活性を示さない。しかし、第1発明における下記に示すような特有の効果は、生理活性に基づくものではなく、「複数の水酸基を有する脂環式化合物」という化学構造上の特徴に基づくものと考えられる。従って、イノシトール以外の脂環式ポリオールもイノシトールと同様の効果を示すものと、化学常識に基づいて合理的に推定することができる。
第1発明によれば、毛髪処理剤組成物に上記の(A)成分及び(B)成分を併せ配合するので、シリコーン誘導体の一種である(B)成分に基づき優れたコンディショニング効果を確保できるだけでなく、同時に(A)成分が(B)成分の親水性を高め、(B)成分が洗浄時に洗い流され易くなって毛髪上への蓄積性が抑制される結果、コンディショニング効果の低下が良好に防止される。
更に、意外なことに、第1発明の毛髪処理剤組成物は、毛髪に適用された場合において毛髪強度を向上させるという、(A)成分の配合系においても(B)成分の配合系においても従来は全く知られていなかった驚くべき効果も示すことが見出された。その理由は未だ明確には解明していないが、(B)成分の毛髪上でのコーティング効果により(A)成分が毛髪内に良好に浸透し、こうして毛髪内に浸透した(A)成分が毛髪構造に作用し、毛髪強度を向上させるものと推定している。
更に、好ましいことに、第1発明の毛髪処理剤組成物は、健常毛に用いても良好な毛髪強度向上効果を発揮するが、これをダメージ毛に適用すると、とりわけ顕著な毛髪強度向上効果が確保されることが分かった。
毛髪処理剤組成物に(B)成分を配合しても(A)成分を配合しない場合、油分である(B)成分による毛髪のうるおい感は感じられるが、べたつくので毛髪の滑らかさに欠け、本発明の特有の効果は全く得られない。毛髪処理剤組成物に(A)成分を配合しても、(B)成分を配合せず又は(B)成分以外のシリコーン誘導体を配合した場合は、毛髪のうるおい感、滑らかさ共に不十分で、やはり本発明の特有の効果は得られない。
なお、例えば下記の文献2〜文献4等の幾つかの文献には、毛髪処理剤やこれに類似した用途の毛髪用組成物にイノシトールを配合した事例が見られる。しかしながら、イノシトールを(B)成分と併せ配合して良好なコンディショニング効果の維持と毛髪強度の向上とを図るという、本発明のような技術的課題及び構成の開示・示唆は認められない。
[文献2]特開2006−315987号公報
[文献3]特開2006−28026号公報
[文献4]特開平10−114641号公報
(第2発明)
本願の第2発明においては、前記第1発明に係る毛髪処理剤組成物において、(A)成分がイノシトールであること、(B)成分がジメチコノールであること、の少なくとも一方の条件を満たす。
第2発明に規定するように、脂環式ポリオールとしてはシクロヘキサンのヘキサオールであるイノシトールを、末端ヒドロキシ変性されたアルキルポリシロキサンとしてはジメチコノールを、それぞれ特に好ましく例示することができる。
(第3発明)
本願の第3発明においては、前記第1発明又は第2発明に係る毛髪処理剤組成が、以下の(1)及び(2)の1項目以上に該当する。
(1)前記(A)成分の配合量が0.005質量%〜5.0質量%の範囲内である。
(2)前記(B)成分の配合量が0.1質量%〜10.0質量%の範囲内である。
毛髪処理剤組成物の(A)成分又は(B)成分の配合量が第3発明の範囲内であるとき、前記した第1発明の効果が特に好ましく確保される。
(A)成分の配合量が上記の範囲を下回ると、(B)成分による毛髪のうるおい感は感じられるが、毛髪がべたつくので滑らかさが不十分となり易く、又、毛髪強度向上効果が不足しがちであって、本発明の特有の効果は十分には得られない。(A)成分の配合量が上記の範囲を上回っても第1発明で述べた配合効果が飽和してしまい不経済であると同時に、(A)成分の親水性が高いため、疎水性の(B)成分との相溶性の悪化を招くことが懸念される。
(B)成分の配合量が上記の範囲を下回ると、コンディショニング効果を確保し難くなる他、毛髪のうるおい感や滑らかさが不十分であり、毛髪の強度向上効果も不足しがちである。(B)成分の配合量が上記の範囲を上回ると、過剰なべたつき等の不具合が懸念される他、第1発明で述べた配合効果が飽和してしまい、不経済である。
(第4発明)
本願の第4発明は、第1発明〜第3発明のいずれかに係る毛髪処理剤組成物をダメージ毛に適用する、毛髪処理方法である。
本発明の毛髪処理剤組成物は、健常毛に用いても良好な毛髪強度向上効果を発揮するが、第4発明に規定するように、これをダメージ毛に適用するという毛髪処理方法を行った場合、とりわけ顕著な毛髪強度向上効果が発揮される。
〔毛髪処理剤組成物〕
本発明に係る毛髪処理剤組成物は、少なくとも(A)成分:脂環式ポリオール、(B)成分:末端ヒドロキシ変性されたアルキルポリシロキサンを含有する。より好ましくは、更に(C)成分:中性又は酸性アミノ酸、(E)成分:有機酸及び有機アルカリからなるpH緩衝成分、(F)成分:オリゴ糖、のいずれか1成分以上を含有する。これらの各成分については、後述の「毛髪処理剤組成物の主な成分」の項で詳しく説明する。
なお、毛髪の強度を向上させる配合成分として、更に(D)成分:セルロース誘導体を挙げることができる。この成分は、後述の「毛髪処理剤組成物のその他の好ましい成分」の項で詳しく説明する。又、毛髪処理剤組成物の各成分の溶媒又は分散媒として水が配合され、各成分の濃度(質量パーセンテージ)が調整される。
〔毛髪処理剤組成物の用途及び剤型〕
本発明の毛髪処理剤組成物の用途は特段に限定されないが、例えば、シャンプー、リンス、スタイリング剤として使用される。又、パーマネントウエーブ処理の後処理用剤、毛髪脱色処理、酸化染毛処理又は酸性染毛処理の後処理用剤としても使用することができる。
パーマネントウエーブ処理とは、少なくともアルカリ剤と還元剤とを含有する第1剤で毛髪の還元を行った後、毛髪にウエーブの賦形等を行ったもとで、少なくとも酸化剤を含有する第2剤で毛髪の酸化を行う処理をいう。毛髪脱色処理とは、少なくともアルカリ剤を含有した第1剤と、少なくとも過酸化水素等の酸化剤を含有した第2剤とを使用時に混合して施用することにより、毛髪の脱色を行う処理をいう。酸化染毛処理とは、少なくともアルカリ剤及び酸化染料(主要中間体とカップラー)を含有した第1剤と、少なくとも過酸化水素等の酸化剤を含有した第2剤とを使用時に混合して施用することにより、毛髪の脱色と染料の酸化発色による染毛とを行う処理をいう。酸性染毛処理とは、予めプラス荷電を持つ毛髪に対してマイナス荷電を持つ酸性染料を施用し、イオン結合させる染毛処理をいう。
毛髪処理剤組成物の剤型は、公知の各種の剤型の内から、その用途や使用目的等に応じて任意に選択することができる。好ましくは、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、霧状(噴霧式)、エアゾールフォーム等を例示することができる。
〔毛髪処理剤組成物のpH〕
毛髪処理剤組成物のpHも特段に限定されないが、一般的にはpH3.0〜8.0程度が好ましく、特にpH3.5〜7.0程度が好ましい。pH3.0未満であると毛髪タンパク質の過収斂による毛髪感触の悪化が懸念され、pH8.0を超えると毛髪タンパク質の分解による毛髪損傷が懸念される。
毛髪処理剤組成物におけるこれらの範囲内のpHを安定的に維持するために(E)成分であるpH緩衝成分を配合することが好ましいが、pH緩衝成分については次の「毛髪処理剤組成物の主な成分」の項で詳しく説明する。
〔毛髪処理剤組成物の主な成分〕
(脂環式ポリオール)
(A)成分である脂環式ポリオールとは、いわゆる脂肪族環状炭化水素において水酸基を2個以上持つ化合物を言う。脂肪族環状炭化水素の種類は限定されないが、任意の立体構造をとるシクロペンタン又はシクロヘキサンが代表的に例示される。シクロペンタンのポリオールとしては水酸基を2個〜5個持つ化合物が考えられ、シクロヘキサンのポリオールとしては水酸基を2個〜6個持つ化合物が考えられるが、これらのいずれもが(A)成分のカテゴリーに含まれる。特に好ましい(A)成分として、シクロヘキサンのヘキサオールであるイノシトールが例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(末端ヒドロキシ変性されたアルキルポリシロキサン)
(B)成分である末端ヒドロキシ変性されたアルキルポリシロキサンとは、末端が水酸基で変性された各種のモノアルキルポリシロキサンやジアルキルポリシロキサン等をいう。末端がヒドロキシ変性されていないアルキルポリシロキサン(例えばジメチコン)や、芳香環又はシクロアルカン構造を含むポリシロキサン(例えばメチルフェニルポリシロキサン)は除外される。
(B)成分としては、各種の動粘度(mm2/s)を示すジメチコノール(両末端ヒドロキシ変性されたジメチルポリシロキサン)が特に好ましく例示されるが、その他にも末端ヒドロキシ変性されたメチルフェニルポリシロキサン等が例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(中性又は酸性アミノ酸)
毛髪処理剤組成物が更に(C)成分である中性又は酸性アミノ酸を含有する場合、仕上がり後の毛髪強度が一層向上する。
(C)成分である「中性又は酸性アミノ酸」とは、塩基性とならない限りにおいて、酸性又は中性アミノ酸の塩や、塩基性基であるアミノ基が修飾されたもの、酸性基としてスルホン酸基を含有するものなどの誘導体を含む概念である。中性又は酸性アミノ酸の種類は限定されないが、グリシン、アラニン、タウリン、L−テアニン、L−フェニルアラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリンが好ましく例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(pH緩衝成分)
毛髪処理剤組成物は、(E)成分、即ちpH緩衝成分によってpHを安定化させることが好ましい。この場合にも仕上がり後の毛髪強度が一層向上する。その理由は、毛髪処理剤組成物のpHを安定化させることにより、毛髪を構成するタンパク質の構造を化学的に一層安定化させ、それに伴いタンパク質の物理的特性を向上させることができるためである。即ち、(E)成分は仕上がり感の向上に寄与するという効果を期待できる。無機のpH緩衝成分は効果が強すぎるため、有機酸及び有機アルカリを用いることが好ましい。
(E)成分であるpH緩衝成分としては、酸成分が有機酸からなり、アルカリ成分が有機アルカリからなるものが好ましい。有機酸としてはカルボン酸が特に好ましく、とりわけ、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びコハク酸から選ばれるものが好ましい。有機アルカリとしては、モルフォリンなどの揮発性アルカリ成分、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどのアミノアルコール類、L−アルギニン、L−リジン、L−ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(オリゴ糖)
毛髪処理剤組成物は、更に(F)成分としてオリゴ糖を含有する場合にも、仕上がり後の毛髪強度が一層向上する。
(F)成分であるオリゴ糖とは、二糖類、三糖類、四糖類等の、モノマーとしての同種又は異種の単糖が2単位〜100単位の範囲でグリコシド結合したオリゴマーを言う。単糖の種類は、グルコース、フルクトース、マンノース、ソルビトール等、限定はなく、任意であり得る。又、「オリゴ糖」には、各種のオリゴ糖誘導体も包含される。特に好ましいオリゴ糖として、マルトース、セロビオース、ラクトース、イソマルトース、スクロース、キトビオース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、トレハロース、スタキオース、セロテトラオース、セロペンタオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース等を例示できる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
〔毛髪処理剤組成物のその他の好ましい成分〕
本発明の毛髪処理剤組成物には、上記「毛髪処理剤組成物の主な成分」の他に、毛髪の強度を向上させる成分として、(D)成分:セルロース誘導体を配合することも好ましい。
(セルロース誘導体)
(D)成分であるセルロース誘導体としては、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、ポリクオタニウム−4やポリクオタニウム−10(いずれもINCI名称)等が例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
〔毛髪処理剤組成物のその他の成分〕
本発明の毛髪処理剤組成物には、上記の成分の他に、毛髪処理剤組成物としての特質及び本発明の効果を阻害しない限りにおいて、上記した各成分以外の油性成分、炭化水素、界面活性剤、カチオン性化合物、高分子物質、タンパク加水分解物、ビタミン類、セラミド、キレート剤、香料、殺菌・防腐剤、紫外線吸収剤、噴射剤、増粘剤、パール化剤等を、必要に応じて、あるいは任意に、配合することができる。これらの内の幾つかの成分についての具体例を以下に列挙する。
(油性成分)
油性成分としては、上記(B)成分が配合されていることを前提として、(B)成分以外のシリコーン誘導体、多価アルコール、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類等を配合することができる。これらは、(B)成分に加えて、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
シリコーン誘導体としては、末端ヒドロキシ変性されていないアルキルポリシロキサン(例えば、ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等、グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
油脂としては各種の植物油、動物油等が挙げられる。
ロウ類としてはミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
(炭化水素)
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を配合することができる。又、これらのイオン性に着目したカテゴリーによる界面活性剤の他に、化学構造面に着目したカテゴリーとしてのアミノ酸型界面活性剤も配合することができる。これらの界面活性剤は、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
アミノ酸型界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の各タイプのアミノ酸型界面活性剤が使用される。アニオン性のアミノ酸型界面活性剤が特に好ましい。アニオン性のアミノ酸型界面活性剤としては、限定はされないが、とりわけ、N−アシル型アミノ酸塩が好ましい。その具体例として、N−アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩及びN−アシルアスパラギン酸塩が挙げられる。より具体的には、例えば、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、N−ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム等が挙げられる。アニオン性以外のタイプのアミノ酸型界面活性剤としては、例えば、N−ヤシ油脂防酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、N−[アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル]−L−アルギニン塩酸塩液、ピログルタミン酸オレイン酸グリセリル等が挙げられる。
上記のアミノ酸型界面活性剤とは別に、カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、クオタニウム−91(INCI名称)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、N,N−ジ(アシロキシ),N−(ヒドロキシエチル),N−メチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
(カチオン性化合物)
カチオン性化合物は、その水溶液がカチオン性を示す化合物を言う。カチオン性化合物の種類は限定されないが、特に好ましくは上記したカチオン性界面活性剤を除く、カチオン性オリゴマー及びカチオン化糖誘導体が挙げられ、他にもカチオン性ポリマー等が例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
カチオン性オリゴマーとしては、カチオン化加水分解タンパク類等が挙げられる。
カチオン化糖誘導体としては、カチオン化オリゴ糖、カチオン化ハチミツ、カチオン化キトサン等が挙げられる。
カチオン性ポリマーとしては、カチオン化グアーガム、カチオン化デンプン、第四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ジアリル第四級アンモニウム塩重合物誘導体等が挙げられる。
(高分子物質)
高分子物質としては、下記のカチオン性化合物としてのカチオン性ポリマーを除く各種の高分子物質、例えば、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合体等の両性ポリマー、あるいは各種の水溶性ポリマーが例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
高分子物質の具体例としては、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン等の植物性ポリマー、デキストラン、プルラン等の微生物系ポリマー、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性ポリマーが例示され、その他にも、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレン系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等が挙げられる。
(タンパク加水分解物)
タンパク加水分解物としては、上記したカチオン化加水分解タンパク類を除く、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、エッグ、シルク、コンキオリン、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質、コメ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、エンドウ、アーモンド、ブラジルナッツ、ジャガイモ及びトウモロコシなどの植物から得られるタンパク質を酸、アルカリ、酵素等により加水分解したタンパク加水分解物が挙げられる。
〔第1実施例群:ダメージ毛を対象とする実施例及び比較例〕
末尾の表1に示す実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例10に係る組成の毛髪処理剤組成物(洗い流すヘアトリートメント)を常法に従って調製した。更に、末尾の表5に示す実施例23〜実施例26に係る組成の毛髪処理剤組成物も同様に調製した。表5に示す実施例23〜実施例26は、シリコーン誘導体として(B)成分のみを配合したものである。表1及び表5に示す各毛髪処理剤組成物は、いずれもpHが3.0〜8.0の範囲内である。
なお、表1、表5及び後述の表2〜表4に示す配合成分のうち、フィチン酸及びソルビトールは(A)成分に対する比較用の成分であり、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルフェニルポリシロキサン、PEG−12ジメチコン、PEG/PPG−18/18ジメチコン、ジメチコン及びデカメチルシクロペンタシロキサンは(B)成分に対する比較用の成分である。また、表1〜表5において、それぞれの成分量を数値で表記しているが、これらの数値は全て「質量%」単位である。
次に、長さ20cmのヒト直毛の毛束を所要の本数だけ準備した。これらの毛束は、予め、ブリーチ剤(ホーユー株式会社製 ビューティーンブリーチ プラチナブロンド)を用いて常法による脱色処理を3回繰り返したものである。そして、これらの毛束に対して第1実施例群の各例に係る毛髪処理剤組成物による処理を行った。これらの処理は、毛束に対して各例に係る毛髪処理剤組成物をそれぞれ均一に塗布し、その直後(約10秒後)に洗い流して、毛束を乾燥させるという処理である。その後、これらの毛束について「乾燥後のうるおい感」、「時間経過後の柔らかさ」、「毛髪の引っ張り強度」、「毛髪のハリコシ感」の各項目を以下の評価方法によって評価した。「毛髪のハリコシ感」とは、毛髪自体の物理的特性に基づく特性で、たとえば毛髪を曲げてもすぐに元に戻ろうとする弾性があるという感覚をいう。
(乾燥後のうるおい感)
10名のパネラーが各自、第1実施例群の各実施例及び比較例に係る毛髪処理剤組成物による処理後の毛束について、「乾燥後のうるおい感」を評価した。うるおい感が十分にあった場合を4点、うるおい感があった場合を3点、あまりうるおい感がなかった場合を2点、全くうるおい感がなかった場合を1点とする4段階で評価した。
10名のパネラーの採点結果について各実施例及び比較例ごとに平均点を算出し、平均点が3.6以上である場合を◎(優れている)、平均点が2.6〜3.5である場合を○(良好)、平均点が1.6〜2.5である場合を△(やや悪い)、平均点が1.5以下である場合を×(悪い)とした。その結果を表1及び表5の「評価」欄における「乾燥後のうるおい感」の項に表記した。
(時間経過後の柔らかさ)
上記各実施例及び比較例に係る毛髪処理剤組成物による処理後の毛束について、25℃、55%RHの恒温恒湿槽中に静置して360分経過してから、10名のパネラーが各自、毛髪の柔らかさを評価した。毛髪の柔らかさが十分に良好であった場合を4点、毛髪の柔らかさが良好であった場合を3点、あまり毛髪の柔らかさが良好ではなかった場合を2点、毛髪の柔らかさが悪かった場合を1点とする4段階で評価した。
10名のパネラーの採点結果について各実施例及び比較例ごとに平均点を算出し、平均点が3.6以上である場合を◎(優れている)、平均点が2.6〜3.5である場合を○(良好)、平均点が1.6〜2.5である場合を△(やや悪い)、平均点が1.5以下である場合を×(悪い)とした。その結果を表1及び表5の「評価」欄における「時間経過後の柔らかさ」の項に表記した。
(毛髪の引っ張り強度)
上記各実施例及び比較例で用いた毛束について、毛髪処理剤組成物による処理前と、処理後に、引張試験機(テンシロンUTM−II;東洋ボールドウィン社製)を用いて破断応力値を測定した。そして、処理前の測定値に対する処理後の測定値の増加率を毛髪強度増加率(%)として算出した。この毛髪強度増加率を次の基準で評価し、その結果を表1及び表5の「評価」欄における「毛髪の引っ張り強度」の項に表記した。
◎:毛髪強度増加率が9%以上、○:毛髪強度増加率が7%以上9%未満、△:毛髪強度増加率が5%以上7%未満、×:毛髪強度増加率が5%未満。
(毛髪のハリコシ感)
10名のパネラーが各自、上記各実施例及び比較例に係る毛髪処理剤組成物による処理後の毛束について、手で触れることにより、仕上がり後の毛髪のハリコシ感を評価した。ハリコシ感が十分にあった場合を4点、ハリコシ感があった場合を3点、あまりハリコシ感がなかった場合を2点、全くハリコシ感がなかった場合を1点とする4段階で評価した。
10名のパネラーの採点結果について各実施例及び比較例ごとに平均点を算出し、平均点が3.6以上である場合を◎(優れている)、平均点が2.6〜3.5である場合を○(良好)、平均点が1.6〜2.5である場合を△(やや悪い)、平均点が1.5以下である場合を×(悪い)とした。その結果を表1及び表5の「評価」欄における「毛髪のハリコシ感」の項に表記した。
(評価結果)
表1と表5に示す評価結果から分かるように、実施例1〜実施例4、実施例23〜実施例26はいずれの評価項目においても非常に高い評価結果であった。実施例3及び実施例4が毛髪の強度、ハリコシ感において僅かに差異があるのは、C成分の配合の有無による。
一方、比較例1〜比較例10に関しては、A成分を配合せず又はA成分に対する比較用の成分を配合した比較例1〜比較例3で乾燥後のうるおい感について「◎」の高評価が見られるものの、その他の評価項目の結果から、いずれの比較例でも本発明の特有の効果は全く達成されていないことが明瞭である。
更に、表1及び表5に示す評価結果の全体から、以下の1)、2)の点を指摘することができる。
1)(A)成分を配合しない場合や、(A)成分を配合せずに(A)成分に対する比較用の成分を配合した場合は、油分の配合によるうるおい感はあるが、べたつくので滑らかさ(毛髪の柔らかさ)に欠け、かつ、毛髪の引っ張り強度やハリコシ感は全く得られない。
2)(B)成分を配合しない場合は、(B)成分に対する比較用の成分を配合しても、毛髪のうるおい感、滑らかさ(柔らかさ)共に十分ではなく、毛髪の強度、ハリコシ感もない。
〔第2実施例群:C成分の変更、F成分の追加配合に係る実施例〕
表2のように、前記の第1実施例群に係る「実施例1」の配合処方における(C)成分を、その種類を変更して同量に配合した(実施例5〜実施例11)。又、第1実施例群に係る「実施例1」の配合処方に対して各種の(F)成分を追加配合した(実施例12〜実施例15)。これらの毛髪処理剤組成物は、「実施例1」と同じ剤型、同一のpHとした。
これらの実施例に係る毛髪処理剤組成物を使用し、第1実施例群の場合と同様の毛束サンプルを用いて同様の評価を行ったところ、表2に示すように、各項目の評価結果は表1に示す実施例1の場合と同様に全項目が「◎」の評価であった。これらの結果をより詳細に対比すると、実施例1における「毛髪のハリコシ感」の評価平均点が「3.8」であったのに対して、(C)、(F)の両成分を併せ配合した実施例12〜実施例15は、その評価平均点が「3.9」であった。
〔第3実施例群:(A)成分の配合量の変更に係る実施例〕
表3に示すように、前記の第1実施例群に係る「実施例1」の配合処方における(A)成分の配合量をそれぞれ変更した実施例16〜実施例19に係る毛髪処理剤組成物を、それぞれ、第1実施例群と同一の方法に従って調製した。これらの毛髪処理剤組成物は、「実施例1」と同じ剤型、同一のpHとした。
実施例16〜実施例19に係る毛髪処理剤組成物を使用し、第1実施例群の場合と同様の毛束サンプルを用いて同様の評価を行ったところ、表3に示すように、各項目の評価結果は表1に示す実施例1の場合と同様に全項目が「◎」の評価であった。「毛髪のハリコシ感」の評価平均点も、実施例16〜実施例19の間で差異がなかった。
〔第4実施例群:健常毛を対象とする実施例及び比較例〕
長さ20cmのヒト黒毛であって、毛髪のダメージ要因である脱色処理やパーマネントウエーブ処理を未だ受けていない未処理毛の毛束を所要の本数だけ準備し、第1実施例群の場合と同様の要領で、前記の実施例1、3、5及び比較例1、4、9、10に係る毛髪処理剤組成物を用いて処理した。実施例1、3、5に係る毛髪処理剤組成物を用いた例をそれぞれ順次に実施例20、21、22と番号付けし、比較例1、4、9、10に係る毛髪処理剤組成物を用いた例をそれぞれ順次に比較例11、12、13、14と番号付けした。これらの実施例及び比較例について、第1実施例群の場合と同様の評価項目について、同様の評価方法及び評価基準で評価した。
その結果、表4に示すように、実施例20、21、22については、第1実施例群の実施例1、3及び第2実施例群の実施例5とそれぞれ全く同等の評価結果を得た。これに対して比較例11、12、13、14では、多くの評価項目において第1実施例群の比較例1、4、9、10よりもそれぞれ相対的に評価ランクが高かったが、実施例20、21、22との比較では、依然として顕著な差異があった。
このような結果は、本発明に係る毛髪処理剤組成物が、従来技術に比較して、健常毛を対象とする場合にも十分に顕著な効果を示すが、ダメージ毛を対象とする場合にはとりわけ顕著な効果を示すことを意味している。
Claims (4)
- 下記の(A)成分及び(B)成分を含有する毛髪処理剤組成物。
(A)成分:脂環式ポリオール
(B)成分:末端ヒドロキシ変性されたアルキルポリシロキサン。 - 前記毛髪処理剤組成物において、(A)成分がイノシトールであること、(B)成分がジメチコノールであること、の少なくとも一方の条件を満たす請求の範囲1項に記載の毛髪処理剤組成物。
- 前記毛髪処理剤組成物が以下の(1)及び(2)の1項目以上に該当する請求の範囲1項又は2項に記載の毛髪処理剤組成物。
(1)前記(A)成分の配合量が0.005質量%〜5.0質量%の範囲内である。
(2)前記(B)成分の配合量が0.1質量%〜10.0質量%の範囲内である。 - 請求の範囲1項〜3項のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物をダメージ毛に適用する毛髪処理方法。
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