JPWO2008059763A1 - 一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法ならびに一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体とこれを用いた耐水性組成物 - Google Patents

一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法ならびに一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体とこれを用いた耐水性組成物 Download PDF

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Abstract

主鎖にカルボニル基を有する一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体(CO変性PVA)であって、良好な水溶性を有し、水性組成物としたときの粘度安定性に優れる新規なCO変性PVAとその製造方法を提供する。一酸化炭素とビニルエステル系単量体との共重合を、一酸化炭素を含む雰囲気下にて、無溶媒でまたはアルコール系溶媒中において行い、共重合により得られた一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体をけん化して、CO変性PVAを得る方法とする。また、一酸化炭素に基づく単位の含有量が0.01〜8モル%であり、けん化度が60〜99.99モル%であり、濃度4重量%の水溶液としたときの粘度が2.0〜150.0mPa・sであるCO変性PVAとする。

Description

本発明は、一酸化炭素に基づく単位とビニルアルコール単位とを含む一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法、ならびに一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体とこれを用いた耐水性組成物に関する。より詳細には、一酸化炭素とビニルエステル系単量体とを共重合して得た一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体をけん化する、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法、ならびに、上記一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体をけん化して得た一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体と、これを用いた耐水性組成物に関する。
ビニルアルコール系重合体(PVA)は、皮膜の形成性(造膜性)および形成された皮膜の強度において、他の水溶性樹脂の追随を許さぬ性能を有することが知られており、各種のバインダー、接着剤、表面処理剤などに広く使用されている。しかし、PVAは水溶性であるため、形成された皮膜の耐水性(以下、PVAあるいはPVAを含む水性組成物から形成された皮膜の耐水性を、単に「PVAの耐水性」あるいは「水性組成物の耐水性」ともいう)が低いという欠点を有し、特に低温で乾燥させた場合に、形成される皮膜の耐水性が低くなる。この欠点を改良するために、種々の方法が検討されてきた。
例えば、PVAを、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒド澱粉、水溶性エポキシ化合物、メチロール化合物などで架橋する方法が知られている。しかし、この方法によりPVAを十分に耐水化するためには、100℃以上、特に120℃以上、の高温による長時間の熱処理が必要である。また例えば、特に低温乾燥時のPVAの耐水化を図るために、強酸性(例えばpH2以下)の水性組成物とする方法が知られているが、この方法では、水性組成物の粘度安定性が低下して使用中にゲル化するなどの問題がある他、耐水性の点においても、十分な耐水性を得ることができない。カルボン酸含有PVAをポリアミドエピクロルヒドリン樹脂で架橋する方法、アセトアセチル基含有PVAをグリオキザールなどの多価アルデヒド化合物で架橋する方法も知られているが、これらの方法においても、架橋後のPVAの耐水性が不十分である、水性組成物としての粘度安定性が低下する、などの問題を有している。
また、カルボニル基とヒドラジン化合物との反応性を利用して、カルボニル基が側鎖に導入されたジアセトン基含有PVAを、ヒドラジンまたはヒドラジド化合物により架橋する方法が知られている。この方法によれば、熱処理や強酸の添加などの特別な処理をしなくても、得られた変性PVAは優れた耐水性を示す。また、架橋に用いられるヒドラジン化合物は、アルデヒド類やイソシアネート類などの他の架橋剤に比べて、安全性に優れる。しかし、側鎖に導入されたカルボニル基と、ヒドラジン化合物との反応は瞬時に進行するために、ジアセトン基含有PVAおよびヒドラジン化合物を含む水性組成物が急激に高粘度化し、ゲル化する問題がある。
一方、PVAの酸化により合成される酸化PVAは、主鎖にカルボニル基を有し、ヒドラジンまたはヒドラジド化合物との反応により、高い耐水性を有する変性PVAとすることができる。また、酸化PVAは、カルボニル基を主鎖に有することから、側鎖にカルボニル基を有するPVAに比べて、ヒドラジンまたはヒドラジド化合物との反応がゆっくりと進行し、その結果として水性組成物としたときの粘度上昇が緩やかとなり、取り扱いが容易となる。しかし、酸化PVAを合成する際に使用する酸化剤の残留物がPVAの物性に悪影響を与えるなどの問題があり、これまで、この方法の実用化には至っていない。
これとは別に、カルボニル基を主鎖に有するPVAの製造例として、シクロヘキサン中において酢酸ビニルと一酸化炭素とをラジカル重合し、得られた一酸化炭素−酢酸ビニル共重合体をけん化して、一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体を得る方法が、文献1(工業化学雑誌、第67巻、第6号、935−939ページ、1964年)に報告されている。しかし、この方法では、ラジカル重合の溶媒としてシクロヘキサンを用いているために、ポリマーラジカルなどからの連鎖移動によってシクロヘキシルラジカルが生成する。生成したシクロヘキシルラジカルはポリマーに導入されるため、ポリマー中への疎水基の導入が避けられず、得られた一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体の水溶性が低下するという問題がある。
本発明の目的の一つは、主鎖にカルボニル基を有する一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体(CO変性PVA)であって、良好な水溶性を有し、水性組成物としたときの粘度安定性に優れる新規なCO変性PVAと、その製造方法の提供にある。
本発明の目的の別の一つは、水性組成物としての粘度安定性に優れるとともに、形成される皮膜の耐水性に優れる、CO変性PVAを含む新規な耐水性組成物の提供にある。
本発明者らは、上記特性を有する新規なCO変性PVAを開発するべく鋭意研究を重ねた結果、COとビニルエステル系単量体の共重合を特定の条件下で行うことにより、このようなCO変性PVAが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のCO変性PVAの製造方法は、一酸化炭素に基づく単位とビニルアルコール単位とを含む、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法であって、一酸化炭素とビニルエステル系単量体との共重合を、一酸化炭素を含む雰囲気下にて、無溶媒で、またはアルコール系溶媒中において行い、前記共重合により得られた一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体をけん化して、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体を得る方法である。
本発明のCO変性PVAは、一酸化炭素に基づく単位とビニルアルコール単位とを含む、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体であって、一酸化炭素に基づく単位の含有量(CO変性量)が0.01〜8モル%であり、けん化度が60〜99.99モル%であり、濃度4重量%の水溶液としたときの粘度が2.0〜150.0mPa・sである。
本発明の耐水性組成物は、一酸化炭素に基づく単位とビニルアルコール単位とを含む一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体と、分子内にヒドラジド基を2個以上有する多官能ヒドラジド化合物とを含む耐水性組成物であって、前記共重合体について、一酸化炭素に基づく単位の含有量(CO変性量)が0.1〜8モル%であり、けん化度が85〜99.99モル%であり、濃度4重量%の水溶液としたときの粘度が2.0〜150.0mPa・sである。
本発明の製造方法では、良好な水溶性を有し、水性組成物としたときの粘度安定性に優れるCO変性PVAを製造できる。また、製造条件によっては、良好な水溶性および優れた粘度安定性に加えて、架橋剤との反応により高い耐水性を示すCO変性PVAを製造できる。
本発明のCO変性PVAは、良好な水溶性を有し、水性組成物としたときの粘度安定性に優れる。また、CO変性量、けん化度、および濃度4重量%の水溶液としたときの粘度を特定の範囲とすることにより、良好な水溶性および優れた粘度安定性に加えて、架橋剤との反応により高い耐水性を示すCO変性PVAとすることができる。
本発明の耐水性組成物によれば、耐水性に優れる皮膜を形成できる。
[CO変性PVAの製造方法]
一酸化炭素(CO)とビニルエステル系単量体との共重合は、一酸化炭素を含む雰囲気下にて無溶媒で行うか、あるいは、一酸化炭素を含む雰囲気下にてアルコール系溶媒中において行う。
共重合は、COの分圧にして0.01〜8MPaの圧力下にて行うことが好ましい。COの分圧が0.01MPa未満の場合、得られたCO変性PVAにおけるCO変性量が過度に小さくなって、望む特性が得られないことがある。またCOの分圧が8MPaを超えると、得られたCO変性PVAにおけるCO変性量が8モル%を超えて、その水溶性が低下することがある。即ち、共重合時のCOの分圧を上記範囲とすることにより、水溶性が良好なCO変性PVAを、より確実に得ることができる。
共重合はCO雰囲気下にて行うことが好ましく、この場合、COの加圧雰囲気下(COの圧力が0.1MPa以上。ただし、COの圧力の上限は8MPaが好ましい)にて行うことがより好ましい。共重合時に、COに基づく単位(CO単位)を、より効率的に導入でき、一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体をより確実に形成できる。
共重合の方法は、無溶媒で、またはアルコール系溶媒中において実施できる限り特に限定されず、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、任意の重合方法を用いることができる。特に、無溶媒の塊状重合法、およびアルコール系溶媒を用いた溶液重合法を好適に採用できる。重合度が高いCO変性PVAを得たい場合は、乳化重合法を採用すればよい。
共重合の方式は特に限定されず、例えば、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれであってもよい。
アルコール系溶媒としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコールなどを単独で、あるいは、2種以上混合して用いることができる。アルコール系溶媒としては、特にメタノールが好ましい。即ち、共重合を、メタノール中において行うことが好ましい。
共重合を行う温度は、0〜200℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。当該温度が0℃より低い場合、十分な重合速度が得られないことがある。一方、当該温度が200℃より高い場合、溶媒へのCOの溶解量が低下して、望むCO変性量を有するCO変性PVAが得られないことがある。
共重合を行う温度の制御方法は特に限定されず、例えば、重合速度を制御することで、重合により生成する熱と、重合反応器の表面からの放熱とのバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法などが挙げられる。安全性の面からは、後者の方法が好ましい。
共重合に用いる重合開始剤は、重合方法に応じて、公知の開始剤、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤など、から適宜選択すればよい。アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など、が挙げられる。過酸化物系開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなど、が挙げられる。これらの開始剤に、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて開始剤とすることもできる。レドックス系開始剤としては、例えば、上記過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた開始剤が挙げられる。また、COとビニルエステル系単量体との共重合を高い温度で行った場合に、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色が見られることがあるが、その場合には、着色の防止を目的として、酒石酸のような酸化防止剤を1〜100ppm(ビニルエステル系単量体に対して)程度、重合系に添加することはなんら差し支えない。
COと共重合させるビニルエステル系単量体は特に限定されず、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなど、が挙げられる。なかでも、酢酸ビニルが好ましい。
COとビニルエステル系単量体との共重合に際して、本発明の主旨を損なわない範囲で、他の単量体(A)を共重合してもよい。使用しうる単量体(A)として、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなど、が挙げられる。
また、COとビニルエステル系単量体との共重合を、得られる共重合体の重合度を調節することなどを目的として、本発明の主旨を損なわない範囲で、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。連鎖移動剤としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、などのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられ、なかでもアルデヒド類およびケトン類を好適に用いることができる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数、ならびに目的とするビニルエステル系重合体の重合度に応じて決定すればよいが、一般に、ビニルエステル系単量体に対して0.1〜10重量%程度が望ましい。
COとビニルエステル系単量体との共重合により得られた一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体のけん化方法は特に限定されず、公知の方法を用いればよい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒、あるいはp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いた、加アルコール分解反応または加水分解反応に基づくけん化方法を適用できる。この反応に使用しうる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類:ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて、用いることができる。なかでも、メタノールまたはメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒に用いて、一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体のけん化を行うのが簡便であり好ましい。
[CO変性PVA]
本発明のCO変性PVAは、一酸化炭素に基づく単位(CO単位)とビニルアルコール単位とを含む、CO単位由来のカルボニル基を主鎖に有するPVAであり、上述した本発明の製造方法により製造できる。
本発明のCO変性PVAでは、そのCO単位の含有量(CO変性量)が0.01〜8モル%である。CO変性量が8モル%を超えると、CO変性PVA一分子あたりに含まれる疎水基の割合が高くなって、該PVAの水溶性が低下する。一方、CO変性量が0.01モル%未満の場合、CO変性PVAの水溶性には優れるものの、該PVA中に含まれるカルボニル基の数が少ないために、CO変性に基づく特性が発現しない。
本発明のCO変性PVAが、本発明の耐水性組成物の成分として用いられる場合、そのCO変性量は、0.1モル%以上であることが必要であり、0.5モル%以上が好ましく、0.9モル%以上および1.0モル%以上の順に、より好ましい。
本発明のCO変性PVAでは、CO変性量の上限に関する以下の式(I)が満たされることが好ましい。この場合、より水溶性が良好なCO変性PVAとなる。式(I)において、Xは、JIS−K6726に準じて測定したCO変性PVAの粘度平均重合度(以下、単に「重合度」ともいう)であり、Yは、CO変性PVAにおけるCO変性量(モル%)である。換言すれば、本発明のCO変性PVAでは、重合度XとCO変性量Yとが、以下の式(I)を満たすことが好ましい、ともいえる。
Y<(−1.21×10-3)X+8.24 ・・・(I)
CO変性PVAにおけるCO変性量Yは、該PVAの前駆体である一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体に対するプロトンNMR測定により求めることができる。具体的には、以下のように求めればよい:n−ヘキサン/アセトン混合液により、一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体の再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で2日間乾燥し、分析用の共重合体を作製する。次に、該共重合体をCDCl3に溶解させ、室温におけるプロトンNMRのプロファイルを求める(実施例ではJEOL製GX−500を用いた)。得られたプロファイルから、ビニルエステルの主鎖のメチン(−CH−)に由来するピークα(化学シフトが4.7〜5.2ppm)と、カルボニル基に隣接するメチレン(−CH2−)に由来するピークβ(化学シフトが2.2〜3.0ppm)とを判別し、以下の式(II)によりCO変性量を評価できる。
CO変性量(モル%)={(βのプロトン数/2)/(αのプロトン数+βのプロトン数/2)}×100(%) ・・・(II)
CO変性PVAの粘度平均重合度Pは、JIS−K6726に準じて測定される。即ち、CO変性PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から、以下の式(III)により評価できる。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62) ・・・(III)
CO変性PVAの重合度は200〜3500が好ましい。重合度が3500を超えると、該PVAの水溶性が低下し、水性組成物としての粘度安定性が低下することがある。なお、本明細書において、CO変性PVAの水性組成物には、CO変性PVAの水溶液を含む。
本発明のCO変性PVAが、本発明の耐水性組成物の成分として用いられる場合、その重合度は、500〜3500が好ましく、800〜3500がより好ましい。重合度が500未満では、耐水性組成物の耐水性が発現しないことがある。
本発明のCO変性PVAの粘度(濃度4重量%の水溶液としたときの粘度:以下、単に「4%粘度」ともいう)は、2.0〜150.0mPa・sである。4%粘度が2.0mPa・s未満では、該PVAの生産が困難になるので実用的ではない。4%粘度が150mPa・sを超えると、水性組成物としての粘度安定性が低下する。なお、ここでいう水溶液の粘度とは、JIS−K6726により測定した粘度をいう。
本発明のCO変性PVAが、本発明の耐水性組成物の成分として用いられる場合、その4%粘度は、5.0〜150.0mPa・sが好ましく、この場合、該組成物の耐水性を向上できる。
本発明のCO変性PVAが上記式(I)を満たす場合、その4%粘度は、140mPa・s以下が好ましく、この場合、該PVAの水溶性を向上できる。また、その4%粘度を110mPa・s以下とすることにより、該PVAの水性組成物としての粘度安定性を向上できる。
本発明のCO変性PVAのけん化度は、60〜99.99モル%である。けん化度が60モル%未満の場合、CO変性PVAの水溶性が低下して、PVAの水性組成物を得ることが困難となる。一方、けん化度が99.99モル%を超えると、該PVAの生産が困難になるので実用的ではない。
本発明のCO変性PVAが、本発明の耐水性組成物の成分として用いられる場合、そのけん化度は、85〜99.99モル%である必要があり、95モル%以上が好ましく、95〜99.9モル%、および98〜99.9モル%の順により好ましい。けん化度が85モル%未満の場合、該組成物の耐水性が低下する傾向にある。
本発明のCO変性PVAにおいて、CO単位に隣接するビニルアルコール単位の一部がエノン構造(−CO−CH=CH−)に変化することがある。この構造は、一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体をけん化する際に、水酸化ナトリウムなどを触媒とする脱酢酸反応または脱水反応が進行することにより生じる。この構造は、さらに、けん化後の乾燥工程において、該構造に隣接するビニルアルコール単位が脱水されることにより、ジエンあるいはトリエン構造などになることがある。即ち、本発明のCO変性PVAでは、CO単位に隣接するビニルアルコール単位の一部が、エノン構造(−CO−CH=CH−)に変化していてもよく、ジエンあるいはトリエン構造に変化していてもよい。
[耐水性組成物]
本発明の耐水性組成物は、CO変性PVAと、分子内にヒドラジド基を2個以上有する多官能ヒドラジド化合物とを含む。このCO変性PVAは、CO変性量、4%粘度およびけん化度について、上述した数値範囲を満たす。
本発明の耐水性組成物に含まれるCO変性PVAは、その重合度XとCO変性量Yとが、上記式(I)を満たすことが好ましい。この場合、該組成物の耐水性を向上できる。
また、本発明の耐水性組成物に含まれるCO変性PVAは、重合度に関し、上述した数値範囲を満たすことが好ましい。
多官能ヒドラジド化合物は、分子内にヒドラジド基を2個以上有する化合物である限り特に限定されず、例として、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、ブタントリカルボヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、などが挙げられる。耐水性組成物として得られる耐水性、水溶性および安全性などを考慮すると、多官能性ヒドラジド化合物として、アジピン酸ジヒドラジドおよびポリアクリル酸ヒドラジドを用いることが好ましい。
本発明の耐水性組成物における多官能ヒドラジド化合物の含有量は特に限定されないが、CO変性PVA100重量部に対して1〜15重量部が好ましく、2〜8重量部がより好ましい。多官能ヒドラジド化合物の含有量が上記数値範囲未満の場合、架橋が十分に進行せずに、該組成物の耐水性が低下する傾向がある。一方、含有量が上記数値範囲を超えると、未反応の多官能ヒドラジド化合物が溶出して、該組成物の耐水性が却って低下する傾向となる。
本発明の耐水性組成物の用途は特に限定されず、例えば、クリアコーティング剤、顔料コーティング剤、内添サイズ剤、感熱紙に用いるオーバーコートのバインダー、などの紙用コート剤の他、各種のバインダー、接着剤、繊維糊剤、表面処理剤、フィルムなどの各種の用途、特に耐水性が求められる用途、への適用が可能である。
以下、実施例および比較例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。なお、これ以降、「部」および「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。
本実施例では、以下の製造例により得たCO変性PVAについて、その水への溶解性(水溶性)、ならびに水溶液としたときの粘度安定性を評価した。また、該CO変性PVAを用いて調整したPVA水溶液と、架橋剤(多官能ヒドラジド化合物)とを混合して得た水性組成物を流延して形成した皮膜の耐水性を評価した。
最初に、上記溶解性、粘度安定性および耐水性の評価方法を示す。
[CO変性PVAの溶解性試験]
最初に、蒸留水96gとCO変性PVA4gとを室温で混合し、30分間攪拌した。次に、得られたCO変性PVAの水溶液を90℃に昇温して1時間攪拌した後、室温まで冷却し、該水溶液を金網(105mmφ、250メッシュ相当、目開き63μm)を用いて濾過した。次に、濾過後の金網を105℃で3時間乾燥し、デシケータに収容した状態で室温まで冷却した後、その重量を測定して、水溶液を濾過する前に予め測定しておいた金網の重量からの増加分a(g)を求めた。求めた増加分a(g)と、最初に蒸留水に混合したPVAの純分b(%)とから、該PVAの不溶解分(%)を以下の式(IV)により算出した。
不溶解分(%)=a(g)/{4(g)×100/b}×100(%) ・・・(IV)
なお、純分b(%)は、以下の式(V)から求めた値である。
純分b(%)=105℃で3時間乾燥させた後のCO変性PVAの重量(g)/乾燥前のCO変性PVAの重量(g) ・・・(V)
CO変性PVAの水への溶解性は、算出した不溶解分の値により、以下の基準に従って判定した。D、C、B、Aの順に、該PVAの水への溶解性が良好となる。
A:0.01%未満
B:0.01〜0.5%
C:0.5〜2.0%
D:2.0%以上
[水溶液の粘度安定性試験]
濃度10%のCO変性PVA水溶液を調製し、調製した水溶液を恒温水槽により10℃に保持して、調製後、該水溶液の温度が10℃になった時点における該水溶液の粘度(初期粘度)η1と、10℃で7日間保持した後の該水溶液の粘度η2とを測定した。なお、水溶液の粘度は、上述した方法により測定した。
水溶液としたときのCO変性PVAの粘度安定性は、測定したη1およびη2から、η2/η1(即ち、7日間保存後の粘度/初期粘度)を求め、求めた値により、以下の基準に従って判定した。D、C、B、Aの順に、該PVAの水溶液としたときの粘度安定性が良好となる。
A:2.0倍未満
B:2.0倍以上4.0倍未満
C:4.0倍以上、またはPVA水溶液のゲル化
[皮膜の耐水性試験]
濃度4%のCO変性PVA水溶液を調製し、これに、多官能ヒドラジド化合物としてアジピン酸ジヒドラジドを、CO変性PVAに対して5部加えた後、得られた水性組成物を20℃で流延して、厚さ40μmの皮膜を形成した。次に、得られた皮膜を、縦5cm×横5cmの大きさに切り出して試験片を作製した。次に、作製した試験片を、90℃の蒸留水に30分間浸漬した後、回収し、試験片の表面に付着した水分をガーゼで拭き取った後に、その重量Aを測定した。次に、重量測定後の試験片を、さらに105℃で16時間乾燥した後、その重量Bを測定した。
皮膜の耐水性は、測定した重量Aおよび重量Bから、重量A/重量Bの値を求めてこれを膨潤度とし、求めた膨潤度の値により、以下の基準に従って判定した。D、C、B、Aの順に、皮膜の耐水性が良好となる。
A:3.0倍未満
B:3.0倍以上4.5倍未満
C:4.5倍以上6.0倍未満
D:6.0倍以上、または試験片が溶解して回収できなかった
[CO変性PVAの製造]
(製造例1:PVA1の製造)
撹拌機、窒素導入口、CO導入口および重合開始剤の添加口を備えた内容積1Lの加圧反応槽に、酢酸ビニル単量体275g、メタノール225gおよび酒石酸10mgを仕込み、内容物を60℃に昇温した後、30分間の窒素バブリングにより反応系内を窒素置換した。次に、30分間のCOバブリングにより反応系内をCO置換した後、反応槽内の圧力が1.0MPaとなるようにCOを導入し、次いで、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを槽内に圧入して、酢酸ビニル単量体とCOとの共重合を開始させた。重合中は、COの加圧により反応槽内の圧力を1.0MPaに保つとともに、重合温度を60℃に維持した。重合開始から2時間が経過し、重合率が35%となったところで反応系にソルビン酸30mgを添加し、冷却して重合を停止させた。反応槽に設けられた排ガスラインから槽内のCOを排出した後、窒素ガスのバブリングにより、反応系内のCOを完全に脱気した。次に、反応槽を減圧して、反応系内に残留した未反応の酢酸ビニル単量体を除去し、CO変性ポリ酢酸ビニル(CO変性PVAc)のメタノール溶液を得た。
次に、得られた溶液にメタノールを加えて濃度を調整し、調整後の溶液188.84g(CO変性PVAcが40g含まれる)に11.16gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムのメタノール溶液:濃度5%)を加えて、CO変性PVAcのけん化を行った。なお、けん化溶液におけるCO変性PVAcの濃度は20%、CO変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.03とした。
アルカリ溶液の添加後、約2分でゲル状物が生成したため、形成したゲルを反応槽から取り出して粉砕機により粉砕し、40℃で1時間放置してけん化をさらに進行させた後、酢酸メチル200gを加えて、ゲル中に残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬により中和の完了を確認した後、濾別して得た白色固体をメタノール1000gに投入し、室温で3時間放置して洗浄した。次に、濾別および当該濾別により得た白色固体をメタノールに投入する洗浄操作を3回繰り返した後、遠心分離により得られた白色固体を、65℃に保持した乾燥機中に2日間放置して乾燥させ、CO変性PVA(PVA1)を得た。得られたPVA1の重合度、けん化度、CO変性量および4%粘度を、上述の方法により評価したところ、重合度が860、けん化度が98.4モル%、CO変性量が0.9モル%、4%粘度が8.5mPa・sであった。
(製造例2〜30:PVA2〜30の製造)
酢酸ビニル単量体およびメタノールの仕込み量、重合時におけるCOの圧力(表1における「重合CO圧」)などの重合条件、ならびに、けん化時におけるCO変性PVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比(表1における「NaOHモル比」)などのけん化条件を、以下の表1に示すように変更した以外は製造例1と同様にして、各種のCO変性PVA(PVA2〜30)を製造した。
(製造例31:PVA31の製造)
重合溶媒としてメタノールの代わりにシクロヘキサンを用い、さらに、酢酸ビニル単量体およびシクロヘキサンの仕込み量、重合時におけるCOの圧力などの重合条件を、以下の表1に示すように変更した以外は製造例1と同様にして、CO変性PVA(PVA31)を製造した。
Figure 2008059763
(実施例1〜25、参照例1および比較例1〜5)
上記のように製造したPVA1〜31について、溶解性試験および水溶液の粘度安定性試験を実施した結果を表2に示す。また、表2には、各CO変性PVAの重合度、CO変性量(モル%)、けん化度(モル%)および4%粘度(mPa・s)を示す。
Figure 2008059763
表2に示すように、CO変性量、けん化度、および4%粘度が上述した範囲にある実施例1〜25の各CO変性PVAは、その溶解性および水溶液の粘度安定性に優れていた。特に、重合度XとCO変性量Yとが上述した式(I)を満たすCO変性PVAの溶解性が良好となり、式(I)を満たすとともに、4%水溶液の粘度が140mPa・s以下のCO変性PVAでは、その溶解性が全て「A」となった。
重合時に溶媒としてシクロヘキサンを用いた比較例5(PVA31)は、4%水溶液の粘度が1.5mPa・sと低く、水へ溶解させた際の不溶解分が多く、その溶解性に劣った。
なお、参照例1として挙げているPVA29は、溶解性および水溶液の粘度安定性の双方が「A」となったが、重合度が100と低いために生産性に劣り、実用的ではないことから、参照例とした。
(実施例26〜33および比較例6〜9)
PVA1、2、4、9〜11、14〜18、29について、皮膜の耐水性試験を実施した結果を、以下の表3〜5に示す。
Figure 2008059763
Figure 2008059763
Figure 2008059763
表3〜5に示すように、4%水溶液の粘度が2.0mPa・s以上、CO変性量が0.1モル%以上、かつけん化度が85モル%以上のCO変性PVAにおいて、形成された皮膜の耐水性が向上した。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
本発明の一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体は、良好な水溶性を有し、水性組成物としたときの粘度安定性に優れている。さらに、分子内にヒドラジド基を2個以上有する多官能ヒドラジド化合物と組合せることにより、優れた耐水性を発現させることも可能である。このため、本発明の一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体は、クリアコーティング剤、顔料コーティング剤、内添サイズ剤、感熱紙に用いるオーバーコートのバインダー、などの紙用コート剤の他、各種のバインダー、接着剤、繊維糊剤、表面処理剤、フィルムなどの各種の用途、特に耐水性が求められる用途、に、好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 一酸化炭素に基づく単位とビニルアルコール単位とを含む、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法であって、
    一酸化炭素とビニルエステル系単量体との共重合を、一酸化炭素を含む雰囲気下にて、無溶媒で、またはアルコール系溶媒中において、行い、
    前記共重合により得られた一酸化炭素−ビニルエステル系共重合体をけん化して、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体を得る、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
  2. 前記共重合を、一酸化炭素の分圧にして0.01〜8MPaの圧力下にて行う、請求項1に記載の一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
  3. 前記共重合を、一酸化炭素雰囲気下にて行う、請求項1に記載の一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
  4. 前記共重合をメタノール中において行う、請求項1に記載の一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
  5. 一酸化炭素に基づく単位とビニルアルコール単位とを含む、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体であって、
    一酸化炭素に基づく単位の含有量が0.01〜8モル%であり、
    けん化度が60〜99.99モル%であり、
    濃度4重量%の水溶液としたときの粘度が、2.0〜150.0mPa・sである、一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体。
  6. JIS−K6726に準じて測定した粘度平均重合度Xと、前記含有量Yとが、以下の式(I)を満たす請求項5に記載の一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体。
    Y<(−1.21×10-3)X+8.24 (I)
  7. 前記粘度が、140mPa・s以下である請求項6に記載の一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体。
  8. 一酸化炭素に基づく単位とビニルアルコール単位とを含む一酸化炭素−ビニルアルコール系共重合体と、分子内にヒドラジド基を2個以上有する多官能ヒドラジド化合物と、を含む耐水性組成物であって、
    前記共重合体について、
    一酸化炭素に基づく単位の含有量が0.1〜8モル%であり、けん化度が85〜99.99モル%であり、濃度4重量%の水溶液としたときの粘度が、2.0〜150.0mPa・sである、耐水性組成物。
  9. 前記粘度が5.0mPa・s以上である請求項8に記載の耐水性組成物。
  10. けん化度が95モル%以上である請求項8に記載の耐水性組成物。
  11. 前記含有量が0.9モル%以上である請求項8に記載の耐水性組成物。
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