JPWO2008053531A1 - クロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、ガスクロマトグラフ装置における「保持時間」は、スペクトル分析における波長や質量分析における質量数と違って、測定物質の物性に基づいて一義的に定まる値ではなく、カラムの種類や寸法、或いは、その温度、キャリアガスの種類や圧力・流量、さらには機種の違い等、数多くの要因に左右されるものである。一方、「保持指標」とは、予め定めた基準物質(一般的には、n−アルカン)の保持時間により指標化したものであり、GC条件やカラムメーカー、長さ、内径、膜厚の違い等の影響を受けない数値である。つまり、各基準物質によって一の数値が付与され、例えば、n−C10アルカンは1000となり、n−C11アルカンは1100となるように、n−アルカンでは炭素数×100となるように付与されている。
(i)恒温分析時
ix=100・(tx−tn)/(tn+1−tn)+n・・・(1)
(ii)昇温分析時
ix=100・(logtx’−logtn’)/(logtn+1’−logtn’)+n・・・(2)
ここで、in+1=n−Cn+1アルカンの保持指標、in=n−Cnアルカンの保持指標、tn+1=n−Cn+1アルカンの保持時間、tn=n−Cnアルカンの保持時間、tx=測定物質の保持時間、tn+1’=n−Cn+1アルカンの補正保持時間、tn’=n−Cnアルカンの補正保持時間、tx’=測定物質の補正保持時間である。
(i)恒温分析時
tx={(ix/100)−n}・(tn+1−tn)+tn・・・(1’)
(ii)昇温分析時
logtx’ ={(ix/100)−n}・(logtn+1’−logtn’)+logtn’・・・(2’)
また、本発明のクロマトグラフ質量分析装置は、さらに、表示装置と、前記表示装置に各マスクロマトグラムの画像表示を、横軸を各マスクロマトグラムに対して共通の時間とするとともに、縦軸を各マスクロマトグラムに対して一定間隔でずれたイオン強度とするように行うマスクロマトグラム表示部とを備えるようにしている。
本発明のクロマトグラフ質量分析装置によれば、表示装置に各マスクロマトグラムの画像表示を、座標を平行移動するように行うことができる。このとき、操作者は、各マスクロマトグラム中では、イオン強度が最大となるピークを容易に1つ認識することができる。よって、操作者は、所定の質量数に注目して作成されたマスクロマトグラム中の最大のイオン強度となるピークを、その所定の質量数を有するn−アルカンのピークであると決定することができる。その結果、操作者は、各n−アルカンの保持時間を決定することができるので、測定物質の保持時間を測定することで、式(1)又は(2)を用いて測定物質の保持指標を算出することができる。また、逆に測定物質の保持指標がわかっていれば、式(1’)又は(2’)を用いて測定物質の保持時間を算出することができる。
また、本発明のクロマトグラフ質量分析装置は、前記マスクロマトグラム表示部は、前記表示装置に全てのマスクロマトグラムの画像表示を行うようにしてもよい。
本発明のクロマトグラフ質量分析装置によれば、各マスクロマトグラム中では、イオン強度が最大となるピークを1つ認識することができる。よって、クロマトグラフ質量分析装置は、所定の質量数に注目して作成されたマスクロマトグラム中の最大のイオン強度となるピークを、その所定の質量数を有するn−アルカンのピークであると決定することができる。その結果、クロマトグラフ質量分析装置は、各n−アルカンの保持時間を決定することができるので、例えば、測定物質の保持時間を測定することで、式(1)又は(2)を用いて測定物質の保持指標を算出することができる。また、逆に測定物質の保持指標がわかっていれば、式(1’)又は(2’)を用いて測定物質の保持時間を算出することができる。
また、本発明のクロマトグラフ質量分析装置は、さらに、表示装置と、前記表示装置に各n−アルカンの保持時間及び保持指標を表示する情報表示部とを備えるようにしてもよい。
5 質量分析装置(MS)
11 CPU(データ処理装置)
12 メモリ(外部記憶装置)
20、70 コンピュータ
21 測定部
100、150 クロマトグラフ質量分析装置
図1は、本発明に係るGC/MS装置の構成図である。GC/MS装置100は、GC1と、MS5と、コンピュータ20とからなる。
GC1は、カラムオーブン4と、カラムオーブン4に内装されるカラム3と、カラム3の入口端に接続されるサンプル注入部2とからなる。分析対象物質である試料ガス(サンプル)は、キャリアガスに押されてサンプル注入部2からカラム3内に導入されることになる。これにより、試料ガスに含まれる各測定物質は、カラム3内を通過する間に時間軸方向に分離されて、カラム3の出口端に到達することになる。なお、カラム3の出口端は、MS5に接続されている。
CPU11が処理する機能をブロック化して説明すると、測定部21と、マスクロマトグラム作成部22と、マスクロマトグラム表示部23とを有する。測定部21は、検出器10で取得したイオン強度信号をメモリ12のイオン強度信号記憶領域34に蓄積させるものである。
また、メモリ12は、各n−アルカン名とその質量数(分子量)とを記憶する質量数記憶領域31と、イオン強度信号記憶領域34とを有する。
まず、ステップS101の処理において、測定部21は、入力装置を用いて、C10〜C33のn−アルカン名とその質量数(分子量)とをそれぞれ対応付けして質量数記憶領域31に記憶させる。例えば、C12のn−アルカンは、質量数170であり、C18のn−アルカンは、質量数254であるように、各n−アルカンは、それぞれの質量数であるように記憶させる。
次に、ステップS103の処理において、一定間隔あけて間欠的に連続して繰り返し質量走査を行うことにより、マススペクトルを得て、イオン強度信号記憶領域34に記憶させる。
次に、ステップS105の処理において、マスクロマトグラム表示部23は、各マスクロマトグラムに基づいて演算処理を実行し、その結果をモニタ画面14aに出力する。このとき、モニタ画面14aには、例えば、全てのマスクロマトグラムの画像表示を行い、横軸を各マスクロマトグラムに対して共通の時間とするとともに、縦軸を各マスクロマトグラムに対して一定間隔でずれたイオン強度とする。また、各マスクロマトグラムに対して、作成時に注目した質量数の画像表示も行う(図4参照)。
その後、ステップS105の処理を終了すれば、本フローチャートを終了させることになる。
図4は、本発明に係るGC/MS装置の構成図である。なお、第1の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を用いるとともに、説明することを省略する。GC/MS装置150は、GC1と、MS5と、コンピュータ70とからなる。
CPU11が処理する機能をブロック化して説明すると、測定部21と、マスクロマトグラム作成部22と、決定部74と、情報表示部75とを有する。
また、メモリ12は、各n−アルカン名とその質量数(分子量)とを記憶する質量数記憶領域31と、イオン強度信号記憶領域34と、各n−アルカン名とその保持指標とを記憶する保持指標記憶領域85とを有する。
まず、ステップS201の処理において、入力装置を用いて、C10〜C33のn−アルカン名とその質量数(分子量)とを対応付けして質量数記憶領域31に記憶させる。例えば、C12のn−アルカンは、質量数170であり、C18のn−アルカンは、質量数254であるように、各n−アルカンは、それぞれの質量数であるように記憶させる。
次に、ステップS202の処理において、入力装置を用いて、C10〜C33のn−アルカン名とその保持指標とを対応付けして保持指標記憶領域85に記憶させる。例えば、C12のn−アルカンは、保持指標1200であり、C18のn−アルカンは、保持指標1800であるように、各n−アルカンは、それぞれの保持指標であるように記憶させる。
次に、ステップS204の処理において、測定部21は、一定間隔あけて間欠的に連続して繰り返し質量走査を行うことにより、マススペクトルを得て、イオン強度信号記憶領域34に記憶させる。
次に、ステップS206の処理において、決定部74は、質量数記憶領域31に記憶させた質量数に注目して作成されたマスクロマトグラム中の最大のイオン強度となるピークを、その質量数を有するn−アルカンのピークであると決定する。
その後、ステップS207の処理を終了すれば、本フローチャートを終了させることになる。
今回はn−アルカンを用いた場合のデータで手順を説明したが、保持指標の決定のための使われることのある別の一連の同族体を用いても同様な結果を得ることも期待できる。例としてn-alkylbis(trifluoromethyl)phosphine sulfides(n−アルキルビス(トリフルオロメチル)ホスフィンスルフィド)や1-(N,N-Diisopropylamino)-alkanes(1-1-(N,
N-ジイソプロピルアミノ)-アルカン)が挙げられる。
Claims (5)
- 複数の異なる炭素数のn−アルカンを測定する測定部を備えるクロマトグラフ質量分析装置であって、
各n−アルカンの質量数を記憶する質量数記憶部と、
マススペクトルに基づいて、マスクロマトグラムを各質量数に注目してそれぞれ作成するマスクロマトグラム作成部とを備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析装置。 - さらに、表示装置と、
前記表示装置に各マスクロマトグラムの画像表示を、横軸を各マスクロマトグラムに対して共通の時間とするとともに、縦軸を各マスクロマトグラムに対して一定間隔でずれたイオン強度とするように行うマスクロマトグラム表示部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析装置。 - 前記マスクロマトグラム表示部は、前記表示装置に全てのマスクロマトグラムの画像表示を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
- さらに、所定の質量数に注目して作成されたマスクロマトグラム中の最大のイオン強度となるピークを、所定の質量数を有するn−アルカンのピークであると決定する決定部を備えることを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
- さらに、表示装置と、
前記表示装置に各n−アルカンの保持時間及び保持指標を表示する情報表示部とを備えることを特徴とする請求項4に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
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