JP5375411B2 - クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置 - Google Patents

クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5375411B2
JP5375411B2 JP2009176720A JP2009176720A JP5375411B2 JP 5375411 B2 JP5375411 B2 JP 5375411B2 JP 2009176720 A JP2009176720 A JP 2009176720A JP 2009176720 A JP2009176720 A JP 2009176720A JP 5375411 B2 JP5375411 B2 JP 5375411B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peak
mass
mass spectrum
intensity
spectrum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009176720A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011033346A (ja
Inventor
洋平 山田
弘明 小澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2009176720A priority Critical patent/JP5375411B2/ja
Publication of JP2011033346A publication Critical patent/JP2011033346A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5375411B2 publication Critical patent/JP5375411B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)

Description

本発明は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)などのクロマトグラフ質量分析装置で取得されたデータに基づいて、試料中の化合物を同定するためのクロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置に関する。
GC/MSやLC/MSなどのクロマトグラフ質量分析装置では、前段のクロマトグラフにより目的試料に含まれる各種成分を時間方向に分離し、その分離された成分を含む試料に対し時間経過に従って所定の質量電荷比(m/z)範囲のマススペクトルを繰り返し取得する。そして、各実測マススペクトルに現れているピークのパターンを調べ、それをライブラリ(データベース)に登録されている各種の既知化合物のマススペクトルのピークパターンと比較する(つまりライブラリ検索を行う)ことで、試料に含まれる未知の化合物を同定したり、ユーザ(分析者)が同定したい化合物(以下、目的化合物という)が試料中に存在するか否かを調べたりする。なお、以下の説明では、試料に含まれる未知化合物の成分を明らかにすることや目的化合物が試料中に存在するか否かを調べることを含めて「同定」という。
一般的にクロマトグラフ質量分析装置において、目的化合物の保持時間に取得される実測マススペクトルには、その目的化合物由来のピークだけでなく、その保持時間に近接した保持時間を有する別の化合物由来のピークや、クロマトグラフから送られてくる移動相(GCの場合にはキャリアガス、LCの場合には溶離液)などの夾雑成分のピークなども含まれる。そこで、従来、次の2段階のステップからなる処理によって、試料に含まれている化合物をライブラリ検索(データベース検索)している。
[第1ステップ]:夾雑成分の影響を受けていない化合物単体の実測マススペクトルを算出する。
[第2ステップ]:第1ステップで算出された実測マススペクトルとライブラリに登録されている目的化合物の標準マススペクトルとの類似度を求める。この類似度が高ければ、実測マススペクトルで表される化合物が目的化合物である可能性が高い、換言すれば試料中に目的化合物が含まれている可能性が高い、と判断することができる。
第1ステップの具体的な処理方法としては、特定の質量電荷比におけるマスクロマトグラムのピークをモデルとしてピーク分離を行い、その結果からマススペクトルを算出する方法(非特許文献1参照)や、マスクロマトグラムのデコンボリューションと因子分析を併用してマススペクトルとマスクロマトグラムを推定する方法(特許文献1参照)、質量電荷比毎に得られるマスクロマトグラムのピークの有無から実測マススペクトル上の化合物ピークを特定する方法(特許文献2参照)、などが従来知られている。一方、第2ステップの具体的な処理方法としては、確率に基づいた方法(非特許文献2参照)や、重み付き内積を用いた方法(非特許文献3参照)などが従来知られている。
第1ステップの処理において、非特許文献1及び特許文献1に記載の方法では、マスクロマトグラム上で目的化合物のピークと夾雑成分のピークとが非常に近接している場合に、それぞれを完全に分離することが難しい。そのため、除去しきれなかった夾雑成分の影響によって類似度が低下してしまい、結果として同定の精度も低下するという問題がある。また、特許文献2に記載の方法では、実測マススペクトルに現れるピークのうち、指定時間においてマスクロマトグラムピークが明確に現れている質量電荷比が少数であった場合に、類似度計算に用いることができる情報が大幅に減ってしまい、同定の精度が低下するという問題がある。
一方、第2ステップの処理において、非特許文献2や3に記載の方法はいずれも、マススペクトルのみを参照して類似度を計算しており、 第1ステップで得られた時間方向に関する情報が有効に用いられていない。そのため、必ずしも正確な類似度が求まらない場合があり、結果的に同定精度の低下を招くことがある。
特開平8−334493号公報 特開2001−50945号公報
ステイン(Stein S.E.)、「アン・インテグレーテッド・メソッド・フォー・スペクトラム・イクストラクション・アンド・コンパウンド・アイデンティフィケイション・フロム・ガス・クロマトグラフィ/マス・スペクトロメトリー・データ(An integrated method for spectrum extraction and compound identification from gas chromatography/mass spectrometry data)」、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサイエティ・フォー・マス・スペクトロメトリー(Journal of the American Society for Mass Spectrometry)、Vol. 10、No. 8、1999年8月、pp.770-781 マクラフェルティ(FW McLafferty)ほか2名、「プロバビリティ・ベースド・マッチング・オブ・マス・スペクトラ(Probability based matching of mass spectra)」、オーガニック・マス・スペクトロメトリー(Organic Mass Spectrometry)、1974年、 pp. 690-702 ステイン(Stein S.E.)ほか2名、「オプティマイゼイション・アンド・テスティング・オブ・マス・スペクトラル・ライブラリー・サーチ・アルゴリズム・フォー・コンパウンド・アイデンティフィケイション(Optimization and testing of mass spectral library search algorithms for compound identification)」、マス・スペクトロメトリー(Mass Spectrom.)、1994年、pp. 859-866
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、時間方向の情報を有効に利用することにより従来のピーク分離処理などの手法では除去しきれない夾雑成分の影響を軽減した実測マススペクトルを得て、このマススペクトルをライブラリ検索に供することにより、試料中の化合物を高い精度でもって同定することができる化合物同定のためのクロマトグラフ質量分析データ処理方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた第1発明は、試料中の化合物を同定するために、試料中の各成分をクロマトグラフにより時間方向に分離した後に所定の時間間隔で所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を繰り返し実行するクロマトグラフ質量分析装置により収集された、質量電荷比、強度、及び時間をディメンジョンとするデータを解析処理するクロマトグラフ質量分析データ解析方法であって、
a)所定の時間における実測マススペクトルに現れるスペクトルピークについて、該スペクトルピークの質量電荷比に対するマスクロマトグラムにおいて前記所定の時間を挟む前後の所定時間範囲内にクロマトグラムピークトップが存在するか否かを調べ、ピークトップが存在する場合にそのスペクトルピークが単一化合物由来の純粋ピークであり、ピークトップが存在しない場合に夾雑成分が重畳した夾雑ピークであると判定することにより、前記実測マススペクトルに現れる全ての又は有意なスペクトルピークをそれぞれ純粋ピーク又は夾雑ピークのいずれかに分類するピーク識別ステップと、
b)前記所定の時間における実測マススペクトルと既知化合物の標準マススペクトルとを比較し、同一質量電荷比における純粋ピークの強度が極力揃うように標準マススペクトル全体の強度を調整した状態で、その実測マススペクトル上の前記夾雑ピークの強度を補正するマススペクトル補正ステップと、
c)前記マススペクトル補正ステップにより夾雑ピークの強度補正がなされた実測マススペクトルと前記既知化合物の標準マススペクトルとの類似性を示す指標を算出する類似性評価ステップと、
を有すること特徴としている。
また第1発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ解析方法を実施するための第2発明は、試料中の化合物を同定するために、試料中の各成分をクロマトグラフにより時間方向に分離した後に所定の時間間隔で所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を繰り返し実行するクロマトグラフ質量分析装置により収集された、質量電荷比、強度、及び時間をディメンジョンとするデータを解析処理するクロマトグラフ質量分析データ解析装置であって、
a)所定の時間における実測マススペクトルに現れるスペクトルピークについて、該スペクトルピークの質量電荷比に対するマスクロマトグラムにおいて前記所定の時間を挟む前後の所定時間範囲内にクロマトグラムピークトップが存在するか否かを調べ、ピークトップが存在する場合にそのスペクトルピークが単一化合物由来の純粋ピークであり、ピークトップが存在しない場合に夾雑成分が重畳した夾雑ピークであると判定することにより、前記実測マススペクトルに現れる全ての又は有意なスペクトルピークをそれぞれ純粋ピーク又は夾雑ピークのいずれかに分類するピーク識別手段と、
b)前記所定の時間における実測マススペクトルと既知化合物の標準マススペクトルとを比較し、同一質量電荷比における純粋ピークの強度が極力揃うように標準マススペクトル全体の強度を調整した状態で、その実測マススペクトル上の前記夾雑ピークの強度を補正するマススペクトル補正手段と、
c)前記マススペクトル補正手段により夾雑ピークの強度補正がなされた実測マススペクトルと前記既知化合物の標準マススペクトルとの類似性を示す指標を算出する類似性評価手段と、
を備えることを特徴としている。
第2発明に係るクロマトグラフ質量分析データ解析装置は例えば、コンピュータをハードウエア資源とし、このコンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより、上述した各種手段が実現されるものとすることができる。
試料中に目的化合物が存在するか否かを調べたい場合には、上記既知化合物を目的化合物とすればよい。また、試料中の未知化合物を特定したい場合には、ライブラリに登録されている様々な既知化合物に対して類似性を示す指標を求め、その指標を利用して最も確からしい化合物を選定すればよい。
一般に、クロマトグラフ質量分析装置において或る保持時間に取得されるマススペクトルにあって、マスクロマトグラム上でその同一の保持時間にピークトップが出現するような質量電荷比のスペクトルピークは同一化合物に由来するものである可能性が高いと言える。但し、これは理想的な場合であり、保持時間が近接した他の化合物のピーク、移動相由来のピーク、ノイズ、ドリフトなどの、各種の夾雑成分の影響により、実際に測定されるマススペクトル(実測マススペクトル)上のピークの強度は変化する。ライブラリに登録されている既知化合物の標準マススペクトルに存在するスペクトルピークと同じ質量電荷比に着目すると、実測マススペクトル上で上記のような夾雑成分が重畳した場合には、いま着目している化合物のみである場合よりも強度が大きくなると考えられる。また、その質量電荷比におけるマスクトマトグラムではクロマトグラムピークの形状が変化し、多くの場合、ピークトップが出現する時間はその化合物の保持時間からずれる。
そこで第1発明に係るデータ解析方法及び第2発明に係るデータ解析装置では、所定の時間における実測マススペクトルに存在するスペクトルピークの中で、その質量電荷比におけるマスクロマトグラム上のクロマトグラムピークのトップが上記所定の時間を挟む前後の所定時間範囲内に存在しないような質量電荷比に対するスペクトルピークについては、夾雑成分が重畳している可能性がある夾雑ピークであると判断する。逆に、マスクロマトグラム上のクロマトグラムピークのトップが上記所定時間範囲内に存在すれば、夾雑成分が重畳していない純粋ピークであると判断する。
なお、評価対象である実測マススペクトルに出現している全てのスペクトルピークを純粋ピーク又は夾雑ピークに分類する必要はなく、例えば明らかに異常であったりノイズであったりすることが判明しているピークについては有意でないピークとして、判定対象から除外することができる。
その後に、所定の時間における実測マススペクトルと既知化合物の標準マススペクトルとについて、同一質量電荷比における純粋ピークの強度が極力揃うように、例えば標準マススペクトル全体の強度に所定の倍率を乗じることにより強度を調整する。これは具体的には、夾雑成分の影響がないと判断された純粋ピークのみを用いたフィッティング処理を実行することに相当する。上述したように夾雑ピークの強度は夾雑成分の分だけ強度が上乗せされていると考えることができるから、上記フィッティング処理後に標準マススペクトルの強度を超えるような夾雑ピークについては、それを超えないように、例えば強度をフィッティング処理後の標準マススペクトルに一致させるように補正を行う。これにより、夾雑成分の影響が軽減されるから、その補正後の実測マススペクトルを用いて既知化合物の標準マススペクトルとの類似性を表す指標、例えば類似度を算出することにより、夾雑成分の影響が軽減された類似度を得ることができる。
好ましくは、補正後の実測マススペクトルと目的化合物の標準マススペクトルとの類似性を示す指標として、異なる計算方法により求まる複数の個別指標の積を用い、且つ、少なくとも該個別指標の1つが、前記ピーク識別ステップ又はピーク識別手段により分類された純粋ピークのみを利用して個別指標を求めるものとするとよい。上述したように純粋ピークは夾雑成分の影響を受けていないピークであるから、これを重視して類似性を表す指標を算出することができる。それにより、例えば試料に目的化合物が含まれるか否かを高い精度で判定することができる。
なお、上記「所定の時間」は任意に決めることができる。例えば、ユーザが試料のトータルイオンクロマトグラムやマスクロマトグラムを観察し、特定のクロマトグラムピークのトップ(又はそのほかの任意の箇所)を指定することにより決めることができる。また、目的化合物の保持時間が既知であるような場合には、その保持時間を所定の時間として指定してもよい。
第1発明に係るデータ解析方法及び第2発明に係るデータ解析装置によれば、GCやLCなどのクロマトグラフで十分な成分分離ができずに目的化合物と意図せぬ化合物とが混じった状態で又は移動相成分が重なった状態で質量分析に供されるような場合でも、得られたクロマトグラフ質量分析データから不所望の化合物や移動相などの夾雑成分の影響を的確に軽減した実測マススペクトルを得ることができる。それにより、実測マススペクトルとライブラリに登録されている既知化合物の標準マススペクトルとのピークパターンの類似性や相違性の判断の精度が向上し、試料に含まれる化合物の同定精度を向上させることが可能となる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ解析装置を適用したGC/MSの一実施例の全体構成図。 目的化合物の標準マススペクトルと理想的なマスクロマトグラムの一例を示す図。 目的化合物に他の化合物が重なった場合の実測マススペクトルとマスクロマトグラムの一例を示す図。 本実施例のGC/MSにおける化合物同定処理のためのマススペクトル類似度算出処理手順を示すフローチャート。 GC/MSで質量走査の際に生じる質量走査時間ズレの説明図。 純粋ピーク/夾雑ピークに分類されるときのマスクロマトグラムの一例を示す図。 実測マススペクトルに対し夾雑ピークの強度補正を行った場合の一例を示すマススペクトル。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ解析方法において、実測マススペクトルに重畳している夾雑成分の影響を軽減する基本原理について、図2、図3を用いて説明する。
単一化合物をクロマトグラフ質量分析装置で測定した場合、理想的には、該化合物の保持時間(リテンションタイム)において得られる実測マススペクトルのピークパターンはライブラリに登録されている該化合物の標準マススペクトルと一致する。また、その場合には、実測マススペクトル上でピークが存在する全ての質量電荷比に対するマスクロマトグラムでは、該化合物の保持時間にクロマトグラムピークトップが現れる。
例えばライブラリに登録されている目的化合物の標準マススペクトルが図2(a)に示す状態である場合、目的化合物の保持時間前後の理想的なマスクロマトグラムは図2(b)に示すようになる。即ち、標準マススペクトル中に現れるm/z=M1、M2、M3の3本のスペクトルピークの強度の相対比を維持した状態のマススペクトルが時間軸方向(図2(b)ではt1、t2、t3のみを記載)に並ぶ。m/z=M1、M2、M3において各時間のマススペクトル上のピーク強度を時間軸方向に繋ぐことにより、マスクロマトグラムのピークが形成される。このm/z=M1、M2、M3に対する3つのマスクロマトグラムのピークトップはいずれも時間t2に現れる。逆に言えば、同一の保持時間にマスクロマトグラムのピークトップがあるようなスペクトルピークは、同一の化合物由来のものである可能性が高いと言える。
しかしながら、図2はきわめて理想的な場合であって、現実の実測データには、目的化合物以外に、試料中に存在する未知化合物、クロマトグラフから送られて来る移動相の成分、分析条件の変動などに伴うベースラインのドリフト、各種のノイズなどの様々な干渉(以下これらを総称して「夾雑成分」という)があり得る。目的化合物に未知の化合物が重なっている場合の実測マススペクトルとマスクロマトグラムの一例を図3に示す。図3(a)に示すように、マススペクトル上で目的化合物由来のm/z=M1、M3のスペクトルピークに他の化合物のピークが重なってしまい、その分、ピーク強度は大きくなっている。これによって、図3(b)に示すように、目的化合物の保持時間t2付近の時間範囲でも、マスクロマトグラム上のピークの形状が変形している。
標準マススペクトルにピークが存在する質量電荷比に注目すると、夾雑成分が重なった夾雑ピークは純粋ピークよりも強度が大きくなると考えられる。図3において、例えばm/z=M3では、純粋ピークの強度Iaよりも夾雑ピークの強度Ibは大きくなっている。また、標準マススペクトルにあるピークと同じ質量電荷比に対するマスクロマトグラムをみると、夾雑成分が重なっていることでピーク形状が変形した結果、クロマトグラムピークトップの位置が保持時間t2からずれてしまっている。そこで、実測マススペクトル上のピークの中で、マスクロマトグラム上でピークトップが保持時間t2を含む一定時間範囲にないものを夾雑ピークとみなす。逆に、マスクロマトグラム上でピークトップが保持時間t2を含む一定時間範囲にあるようなスペクトルピークは、目的化合物のみに由来する純粋ピークであるとみなす。ここで、ピークトップを判断する時間範囲は保持時間t2を挟んで前後にそれぞれ適宜の時間幅を有するものであればよく、その前後の時間幅は同一でも同一でなくてもよい。
実測マススペクトル上の夾雑ピークは目的化合物のピークに夾雑成分が重なっているため、この夾雑成分の影響を次のように軽減する。即ち、上述したように、実測マススペクトル上の純粋ピークが単一化合物に由来したものであれば、その純粋ピークの強度比はその単一化合物の標準マススペクトルの同一質量電荷比のピークの強度比と等しくなる。そこで、純粋ピークのみを用い、標準マススペクトルを定数倍して実測マススペクトルにフィッティングさせる。その上で、実測マススペクトルの夾雑ピークの強度がフィッティング後の標準マススペクトルにおける同一質量電荷比のピーク強度を超えている場合には、その超えた部分が夾雑成分であるとみなして夾雑ピークの強度を標準マススペクトルのピーク強度に一致させるように補正する。夾雑ピークが複数存在する場合には全ての夾雑ピークについて同様の補正を行う。これにより、夾雑成分の影響を軽減した実測マススペクトルを得ることができる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ解析方法では、例えば試料中に目的化合物が存在するか否かを調べる際に、上述したように、目的化合物の既知である標準マススペクトルを利用して、所定の時間に得られる実測マススペクトルにおいて夾雑成分の影響を軽減する補正を行い、その補正後の実測マススペクトルと目的化合物の標準マススペクトルとの類似度を求める。この類似度が高ければ、その実測マススペクトルが得られた所定時間に出現している化合物が目的化合物である可能性が高く、逆に類似度が低ければ目的化合物ではない可能性が高いと判断することができる。
次に、GC/MSで収集されたデータに対し本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ解析方法を適用する場合を例に挙げ、図4〜図7を参照して、上記原理に基づくデータ処理(化合物同定アルゴリズム)をより詳細に説明する。図4はGC/MSでのライブラリ検索における類似度計算処理のフローチャートである。
GC/MSでは、例えばGCにおいて試料が注入された時点を起点(時間0)として、後述する質量走査時間毎に実測マススペクトルが取得される。ここでは、ユーザにより指定される、或る指定時間の実測マススペクトルに対し、その指定時間に出現している未知の化合物が複数の目的化合物のいずれであるのか(又はいずれでもないのか)を調べる処理を行う場合を考える。以下の説明では、実測マススペクトルにおける質量電荷比m/z=mのピーク強度をI(m)で表す。同様に、標準マススペクトルにおけるm/z=mのピーク強度をIstd(m)で表す。なお、マススペクトル上にピークが存在しない場合にはピーク強度を0とする。
類似度計算処理が開始されると、まず、マスクロマトグラムの時間ズレ幅が計算される(ステップS1)。GC/MSやLC/MSで得られる測定信号は、所定の質量電荷比範囲ΔMを低質量電荷比側から高質量電荷比側に(又はその逆に)向かって走査したときのイオン強度信号の変化の繰り返しである。図5は時間経過と質量走査との関係を示す図である。このように、1サイクルの質量走査時間ΔT中で測定対象の質量電荷比を順次増加させるため、低質量電荷比に対するデータ取得時刻と高質量電荷比に対するデータ取得時刻とでは時間ズレが生じることが避けられない。
このような質量電荷比に依存する時間ズレの補正は従来のピーク分離処理でも行われており、例えば上記非特許文献1では、時間方向に隣接した3点のイオン強度の2次関数による補間を用いて時間ズレ補正が行われている。これに対し、このデータ解析方法で時間ズレが問題となるのは、後述するステップS2においてマスクロマトグラムのピークトップが現れる時間を計算するときのみである。したがって、時間ズレ補正まで行う必要はなく、各質量電荷比での時間ズレ幅を計算しておきさえすれば十分である。
次に、指定時間に得られた実測マススペクトルに出現しているピークそれぞれについて、或る単一化合物のみによる純粋ピークであるか、或いは、夾雑成分が重なった夾雑ピークであるかが識別される(ステップS2)。この識別は、上記ステップS1で計算しておいた質量電荷比毎のマスクロマトグラムの時間ズレを考慮した上で、着目しているスペクトルピークの質量電荷比に対するマスクロマトグラムにおいて、実測マススペクトルが得られた指定時間を中心とする一定時間範囲内にクロマトグラムピークトップが存在すれば対象のスペクトルピークを純粋ピーク、クロマトグラムピークトップが存在しなければ対象スペクトルピークを夾雑ピークに分類する。
具体的な識別方法は次の通りである。ここでは、実測マススペクトル上のスペクトルピークの質量電荷比をm、実測マススペクトルが取得された指定時間をtret、とする。
質量電荷比mに対するマスクロマトグラムから、指定時間tretの前後2点ずつの時刻における信号強度を抽出する。この信号強度を時間順にI1、I2、I3、I4とする。このとき、次の[A]、[B]の2つの条件を満たすか否かを判定し、2つの条件を共に満たした場合にそのスペクトルピークが純粋ピークであると判断し、少なくとも1つの条件を満たさない場合に夾雑ピークであると判断する。
[A]:I1<I2、且つ、I3>I4である。
[B]:質量走査時間ΔTをtintとして、I1、I2、I3の3点を通る2次関数の頂点又はI2、I3、I4の3点を通る2次関数の頂点のいずれかが、tret−(tint /2)〜tret+(tint/2)なる時間範囲内に存在する。
図6に示した例はいずれも上記[A]の条件を満たすものの、(a)は[B]の条件を満たし、(b)は[B]の条件を満たさない。したがって、図6(a)に示すマスクロマトグラムを形成するスペクトルピークは純粋ピークに分類され、図6(b)に示すマスクロマトグラムを形成するスペクトルピークは夾雑ピークに分類される。
続いて、上記ステップS2で求めた純粋ピークの質量電荷比のみを用い、既知の目的化合物の標準マススペクトルを定数倍することにより実測マススペクトルに対しフィッティングさせる(ステップS3)。倍率の係数値を決定するために、例えば外れ値に強く最適解を求めやすいL1推定を用いる。L1推定では次の(1)式により、各ピークの残差の絶対値和L(a)が最小となるように係数値aを決定する。
L(a)=Σ|I(m)−aIstd(m)| …(1)
ここで、Σは純粋ピークの質量電荷比に属するmの総和である。もちろん、L1推定以外にも、最小二乗法による推定、M推定、LMedS推定などのロバスト推定、或いは、その他の既知の推定方法を用いてもよい。
実測マススペクトルにおいて、上記フィッティング処理後の標準マススペクトルのマススペクトルピークよりも大きな強度を持つ夾雑ピークは、夾雑成分が重なっていると考えられる。そこで、実測マススペクトルにおいて夾雑ピークの強度を、標準マススペクトル上のスペクトルピークの強度に一致させるように強度を補正する(ステップS4)。即ち、夾雑ピークの強度I(m)を次の(2)式により補正する。
I(m)←min(aIstd(m),I(a)) …(2)
これにより、夾雑成分による類似度の低下を回避する。
図7に実測マススペクトルの強度補正の一例を示す。図7(a)は目的化合物の標準マススペクトル、図7(b)は補正前の実測マススペクトルであり、夾雑ピークと純粋ピークとを区別して示している。図7(c)は図7(a)、(b)を用いて上記の手順に従って強度補正を行った実測マススペクトルであり、図7(a)との比較が容易であるように標準マススペクトルの縮尺を強度方向に調整してある。この例では、強度補正前の実測マススペクトルでは大きな強度の夾雑成分が観測されるのに対し、この夾雑成分が強度補正によって抑制され、実測マススペクトルと標準マススペクトルとのピークパターンが近くなっていることが分かる。
次に、上記のような強度補正後の実測マススペクトルと目的化合物の標準マススペクトルとのピークパターンの類似度が計算される(ステップS5)。ここでは、類似性に関する異なる特性を有する以下の4つの指標を計算し、その積を最終的な類似度とする。特性の異なる4つの指標の積を求めることで、1つの指標が極端に低いような化合物の類似度は低下するため、結果として上位の化合物間でも類似度の差がつきやすくなる。また、4つの指標の少なくとも1つ(この例では3つ)については純粋ピークのみを利用することにより、純粋ピークの類似性を重視した、より信頼性が高い類似度を求めることができる。
[1]重み付きピーク存在率R
これは標準マススペクトルのピークが全て実測マススペクトルに存在するときに1となる指標である。重要なピークの消失度合いによって値が下がっていき、全てのピークが消失しているときに0となる。例えば、次の(3)式のような計算式により重み付きピーク存在率Rを算出する。
R=ΣmIstd(m)/Σ’mIstd(m) …(3)
ここで、右辺の分子のΣはm及びI(m)が0よりも大きいものに関する総和、分母のΣはmに関する総和である。
[2]純粋ピークのみを用いたコサイン値Cpeak
実測マススペクトル及び標準マススペクトルに対して各質量電荷比の強度に重みを付け、それぞれを重み付き強度のベクトルとみなす。重みとしては、強度値の変動に強く、且つ高質量電荷比のピークが重視されるものが望ましい。これは、質量電荷比が低いイオンは特徴に乏しく、質量電荷比が高いイオンのほうがより化合物の構造の特徴を反映し易いためである。重み付き強度の例としては、強度を平方根をとり、さらに質量電荷比を乗じたものが考えられる。そして、純粋ピークの質量電荷比の重み付き強度のみを用いて各ベクトルの成す角のコサイン値を求める。これは純粋ピークの使用率を表す指標で0〜1の値を取り、標準マススペクトルが純粋ピーク全てにマッチすれば1となる。
[3]リバースサーチによるコサイン値Crev
[2]と同じくベクトルのコサイン値を求めるが、標準マススペクトルにピークが存在する質量電荷比の重み付き強度を用いることが相違する。これは標準マススペクトルが実測マススペクトルにマッチする程度を表す指標である。
[4]フォワードサーチによるコサイン値Cfwd
[2]及び[3]と同じくベクトルのコサイン値を求めるが、実測マススペクトルにピークが存在する質量電荷比の重み付き強度を用いることが相違する。これはリバースサーチによるコサイン値Crevとは逆に、実測マススペクトルが標準マススペクトルにマッチする程度を表す指標である
なお、[2]〜[4]の指標ではベクトルのコサイン値を用いているが、この他にベクトル間の距離(ユークリッド距離など)を用いてもよい。
以上のように指定時間における実測マススペクトルと目的化合物の標準マススペクトルとの類似度を計算し、例えばこの類似度をライブラリ検索に利用する。具体的には、指定時間に得られた実測マススペクトルに対し、ライブラリ検索によりスペクトルパターンの類似性が認められる既知化合物の候補を複数挙げ、その候補の化合物名とともにそれぞれの類似度を出力する。それにより、分析者は類似度を参照して、試料中の未知化合物がいずれの既知化合物であるのか否かを判定することができる。もちろん、複数の化合物候補を出力するのではなく、最も類似度が高い化合物名のみを出力する等、類似度を内部のデータ処理のみに利用することもできる。
本願発明者によるシミュレーション計算によれば、上述した化合物同定アルゴリズムはマスクロマトグラム上での時間方向のピークトップの位置を考慮しない場合に比べて、7−30%程度、同定精度が改善されることが確認できた。
次に、上述の化合物同定方法を実施するデータ処理装置を備えたGC/MSの一実施例について、図1により説明する。
このGC/MSは、試料気化室10、インジェクタ11、カラム12を含むGC部1と、イオン源20、四重極質量フィルタ21、イオン検出器22を含むMS部2と、を備え、イオン検出器22による検出信号がA/D変換器30でデジタルデータに変換されてデータ処理部31に入力される。
GC部1において、ヘリウム等のキャリアガスが一定流量で試料気化室10を経てカラム12に供給される。図示しない制御部の指示により所定のタイミングでインジェクタ11から試料気化室10に微量の試料が注入されると、該試料は短時間で気化し、キャリアガス流に乗ってカラム12に導入される。そして、カラム12を通過する間に、試料に含まれる各種成分は分離され、時間的にずれてカラム12の出口から流出する。但し、カラム12の分離能が高い場合であっても、残留農薬検査などに要求される数百種類もの多成分同時分析においては、全ての成分を十分に分離することは困難であり、上述したようにカラム12の出口において目的化合物に別の化合物や夾雑物が重なることはよくあることである。
GC部1のカラム12から流出する試料ガスはMS部2においてイオン源20に導入され、試料ガスに含まれる成分分子は例えば電子イオン化法や化学イオン化法などによりイオン化される。発生したイオンは四重極質量フィルタ21に導入され、四重極質量フィルタ21に印加される電圧に応じて特定の質量電荷比を持つイオンのみが選択的に通過しイオン検出器22に到達する。図示しない四重極駆動部は四重極質量フィルタ21への印加電圧を所定範囲で繰り返し走査することで、図5に示したような質量走査を行う。これにより、所定の質量電荷比範囲のスキャン測定が実行され、データ処理部31には、質量電荷比、信号強度、及び時間をディメンジョンとするデータが入力される。
データ処理部31はGC/MS分析の実施に伴って入力されるデータをデータ記憶部33に格納する。そして、分析終了後に、入力部35を介してデータ解析処理(目的化合物の同定処理)の実行の指示を受けると、化合物同定部32がデータ記憶部33からデータを読み込むとともに、化合物ライブラリ34から目的化合物に関する各種情報(化合物名、標準マススペクトルなど)を読み込み、上述したような化合物同定アルゴリズムを実行して試料中の化合物をライブラリ検索により同定する。その同定結果は表示部36に表示される。また、図7(a)及び(c)に例示したような目的化合物等の既知化合物の標準マススペクトルと補正後の実測マススペクトルとを対比して表示部36の画面上に表示し、ユーザがこれを目視で見比べるようにすることによって、ユーザが自らの判断でマススペクトルのピークパターンの類似性を評価し、試料中の化合物がその既知化合物であるのか否かを判断できる、又は上記のような自動同定が信頼に足るものであるか否かを評価できるようにしてもよい。
なお、データ処理部31(及び図示しない制御部の機能)の実体はパーソナルコンピュータであり、そのコンピュータに予めインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアを実行することにより、化合物同定部32などの機能を実現するものとすることができる。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本願発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…GC部
10…試料気化室
11…インジェクタ
12…カラム
2…MS部
20…イオン源
21…四重極質量フィルタ
22…イオン検出器
30…A/D変換器
31…データ処理部
32…化合物同定部
33…データ記憶部
34…化合物ライブラリ
35…入力部
36…表示部

Claims (6)

  1. 試料中の化合物を同定するために、試料中の各成分をクロマトグラフにより時間方向に分離した後に所定の時間間隔で所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を繰り返し実行するクロマトグラフ質量分析装置により収集された、質量電荷比、強度、及び時間をディメンジョンとするデータを解析処理するクロマトグラフ質量分析データ解析方法であって、
    a)所定の時間における実測マススペクトルに現れるスペクトルピークについて、該スペクトルピークの質量電荷比に対するマスクロマトグラムにおいて前記所定の時間を挟む前後の所定時間範囲内にクロマトグラムピークトップが存在するか否かを調べ、ピークトップが存在する場合にそのスペクトルピークが単一化合物由来の純粋ピークであり、ピークトップが存在しない場合に夾雑成分が重畳した夾雑ピークであると判定することにより、前記実測マススペクトルに現れる全ての又は有意なスペクトルピークをそれぞれ純粋ピーク又は夾雑ピークのいずれかに区別するピーク識別ステップと、
    b)前記所定の時間における実測マススペクトルと既知化合物の標準マススペクトルとを比較し、同一質量電荷比における純粋ピークの強度が極力揃うように標準マススペクトル全体の強度を調整した状態で、その実測マススペクトル上の前記夾雑ピークの強度を補正するマススペクトル補正ステップと、
    c)夾雑ピークの強度補正がなされた実測マススペクトルと前記既知化合物の標準マススペクトルとの類似性を示す指標を算出する類似性評価ステップと、
    を有すること特徴とするクロマトグラフ質量分析データ解析方法。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析データ解析方法であって、
    前記マススペクトル補正ステップは、前記実測マススペクトルと同一質量電荷比における純粋ピークの強度が極力揃うように前記既知化合物の標準マススペクトル全体の強度に所定の倍率を乗じ、その状態で、その実測マススペクトル上の前記夾雑ピークの強度が実測マススペクトル上の同一質量電荷比のピーク強度を超えないように強度を補正すること特徴とするクロマトグラフ質量分析データ解析方法。
  3. 請求項2に記載のクロマトグラフ質量分析データ解析方法であって、
    前記類似性評価ステップは、2つのマススペクトルの類似性を示す指標として、異なる計算方法により求まる複数の個別指標の積を用い、且つ、少なくとも該個別指標の1つは、前記ピーク識別ステップにより区別された純粋ピークのみを利用して個別指標を求めるものであることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ解析方法。
  4. 試料中の化合物を同定するために、試料中の各成分をクロマトグラフにより時間方向に分離した後に所定の時間間隔で所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を繰り返し実行するクロマトグラフ質量分析装置により収集された、質量電荷比、強度、及び時間をディメンジョンとするデータを解析処理するクロマトグラフ質量分析データ解析装置であって、
    a)所定の時間における実測マススペクトルに現れるスペクトルピークについて、該スペクトルピークの質量電荷比に対するマスクロマトグラムにおいて前記所定の時間を挟む前後の所定時間範囲内にクロマトグラムピークトップが存在するか否かを調べ、ピークトップが存在する場合にそのスペクトルピークが単一化合物由来の純粋ピークであり、ピークトップが存在しない場合に夾雑成分が重畳した夾雑ピークであると判定することにより、前記実測マススペクトルに現れる全ての又は有意なスペクトルピークをそれぞれ純粋ピーク又は夾雑ピークのいずれかに区別するピーク識別手段と、
    b)前記所定の時間における実測マススペクトルと既知化合物の標準マススペクトルとを比較し、同一質量電荷比における純粋ピークの強度が極力揃うように標準マススペクトル全体の強度を調整した状態で、その実測マススペクトル上の前記夾雑ピークの強度を補正するマススペクトル補正手段と、
    c)夾雑ピークの強度補正がなされた実測マススペクトルと前記既知化合物の標準マススペクトルとの類似性を示す指標を算出する類似性評価手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ解析装置。
  5. 請求項4に記載のクロマトグラフ質量分析データ解析装置であって、
    前記マススペクトル補正手段は、前記実測マススペクトルと同一質量電荷比における純粋ピークの強度が極力揃うように前記既知化合物の標準マススペクトル全体の強度に所定の倍率を乗じ、その状態で、その実測マススペクトル上の前記夾雑ピークの強度が実測マススペクトル上の同一質量電荷比のピーク強度を超えないように強度を補正すること特徴とするクロマトグラフ質量分析データ解析装置。
  6. 請求項5に記載のクロマトグラフ質量分析データ解析装置であって、
    前記類似性評価手段は、2つのマススペクトルの類似性を示す指標として、異なる計算方法により求まる複数の個別指標の積を用い、且つ、少なくとも該個別指標の1つは、前記ピーク識別ステップにより区別された純粋ピークのみを利用して個別指標を求めることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ解析装置。
JP2009176720A 2009-07-29 2009-07-29 クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置 Expired - Fee Related JP5375411B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009176720A JP5375411B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009176720A JP5375411B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011033346A JP2011033346A (ja) 2011-02-17
JP5375411B2 true JP5375411B2 (ja) 2013-12-25

Family

ID=43762583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009176720A Expired - Fee Related JP5375411B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5375411B2 (ja)

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012164955A1 (ja) * 2011-06-01 2012-12-06 株式会社ツムラ パターンの評価方法、多成分物質の評価方法、評価プログラム、及び評価装置
US10527595B2 (en) 2011-06-01 2020-01-07 Tsumura & Co. Method of and apparatus for formulating multicomponent drug
WO2012164375A1 (en) * 2011-06-03 2012-12-06 Dh Technologies Development Pte. Ltd. Use of variable xic widths of tof-msms data for the determination of background interference in srm assays
CN103163209B (zh) * 2011-12-19 2014-12-10 中国科学院大连化学物理研究所 一种气体样品在线连续监测的质谱方法
JP5947567B2 (ja) 2012-03-02 2016-07-06 株式会社日立ハイテクノロジーズ 質量分析システム
CN105092547B (zh) * 2014-08-15 2018-02-27 天津陆海石油设备系统工程有限责任公司 基于图谱形态的混合样品荧光分析方法
US10573501B2 (en) 2015-05-29 2020-02-25 Waters Technologies Corporation Techniques for processing of mass spectral data
JP6460252B2 (ja) * 2015-09-25 2019-01-30 株式会社島津製作所 定性分析のための質量分析データ処理装置
WO2018008149A1 (ja) 2016-07-08 2018-01-11 株式会社島津製作所 クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
JP6770368B2 (ja) * 2016-08-19 2020-10-14 日本電子株式会社 質量分析用データ処理装置、および質量分析用データ処理方法
WO2018134952A1 (ja) * 2017-01-19 2018-07-26 株式会社島津製作所 分析データ解析方法および分析データ解析装置
JP6505167B2 (ja) * 2017-07-21 2019-04-24 株式会社日立ハイテクサイエンス 質量分析装置及び質量分析方法
JP7105049B2 (ja) * 2017-10-02 2022-07-22 日本電子株式会社 質量分析データ処理装置、及び質量分析データ処理方法
JP6505268B1 (ja) * 2018-01-11 2019-04-24 株式会社日立ハイテクサイエンス 質量分析装置及び質量分析方法
JP7377805B2 (ja) * 2018-02-19 2023-11-10 セルノ・バイオサイエンス・エルエルシー 確実で自動の質量スペクトル分析
JP7154582B2 (ja) * 2018-07-23 2022-10-18 フロンティア・ラボ株式会社 混合物同定支援システム
CN113227778A (zh) 2019-03-27 2021-08-06 株式会社岛津制作所 色谱仪质量分析装置
JP6683335B1 (ja) * 2019-07-10 2020-04-15 フロンティア・ラボ株式会社 含有判定支援システム及び含有判定支援方法
JP7167105B2 (ja) 2020-09-17 2022-11-08 日本電子株式会社 マススペクトル処理装置及び方法
JP7463944B2 (ja) * 2020-11-09 2024-04-09 株式会社島津製作所 波形処理支援装置および波形処理支援方法
CN114577966B (zh) * 2020-11-18 2023-08-08 湘潭大学 一种mscc结合调制峰归类的gc×gc指纹快速比较方法
CN113504215B (zh) * 2021-07-09 2024-03-29 北京工业大学 一种具有相似结构的复杂化合物的分析方法
CN113848268B (zh) * 2021-09-27 2024-03-08 中国人民警察大学 利用反向传播神经网络法排除橡胶干扰汽油鉴定的方法
CN114487073B (zh) * 2021-12-27 2024-04-12 浙江迪谱诊断技术有限公司 一种飞行时间核酸质谱数据校准方法
CN115219618B (zh) * 2022-06-30 2023-10-24 安图实验仪器(郑州)有限公司 一种噪声处理方法、装置、液质联用仪及可读存储介质

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4470505B2 (ja) * 2004-02-04 2010-06-02 株式会社島津製作所 クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
US7645984B2 (en) * 2004-02-13 2010-01-12 Waters Technologies Corporation Apparatus and method for identifying peaks in liquid chromatography/mass spectrometry data and for forming spectra and chromatograms

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011033346A (ja) 2011-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5375411B2 (ja) クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置
JP4973628B2 (ja) クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置
JP6494588B2 (ja) 滞留時間の決定または確認のための窓処理質量分析データの使用
Katajamaa et al. Data processing for mass spectrometry-based metabolomics
US10121643B2 (en) Chromatography/mass spectrometry data processing device
JP5910974B2 (ja) 特に医療分野における機器応答を較正して試料を定量化学分析するためのシステム、及び対応する方法
US8431886B2 (en) Estimation of ion cyclotron resonance parameters in fourier transform mass spectrometry
CA2669452C (en) Method of processing spectrometric data
WO2013031881A1 (ja) 解析装置、解析方法、記憶媒体
WO2012104956A1 (ja) 質量分析方法及び装置
US20080302957A1 (en) Identifying ions from mass spectral data
JPWO2017094170A1 (ja) ピーク検出方法及びデータ処理装置
WO2016103388A1 (ja) 分析装置
JP5757264B2 (ja) クロマトグラフ質量分析データ処理装置
JP2007522477A (ja) 化学物質を追跡し、定量化するためのシステムおよび方法
JPWO2012004855A1 (ja) 分析データ処理方法及び装置
CN107209151B (zh) 干扰检测及所关注峰值解卷积
WO2018008149A1 (ja) クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
Yu et al. A chemometric-assisted method based on gas chromatography–mass spectrometry for metabolic profiling analysis
JP2017156332A (ja) 質量分析方法及び誘導結合プラズマ質量分析装置
WO2018138901A1 (ja) スペクトルデータ処理装置
JP5947567B2 (ja) 質量分析システム
JP2007285719A (ja) 質量分析データ解析方法
EP4078600B1 (en) Method and system for the identification of compounds in complex biological or environmental samples
JP5747839B2 (ja) クロマトグラフ質量分析用データ処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130827

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130909

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5375411

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees