JP5757270B2 - クロマトグラフ質量分析用データ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)等のクロマトグラフと四重極型質量分析装置とを組み合わせたクロマトグラフ質量分析装置で収集されたデータを処理するデータ処理装置に関し、特に、クロマトグラフとタンデム四重極型質量分析装置(三連四重極型質量分析装置とも呼ばれる)とを組み合わせたクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置で収集されたデータを処理するのに好適なデータ処理装置に関する。
分子量が大きな化合物の同定やその構造解析、或いは定量などを行うために、質量分析の一つの手法としてMS/MS分析(タンデム分析)と呼ばれる手法が広く用いられている。MS/MS分析を行うための質量分析装置としては種々の構成のものがあるが、装置構造が比較的簡単で操作や扱いも容易であるのがタンデム四重極型質量分析装置である。
一般的なタンデム四重極型質量分析装置では、イオン源で生成された試料成分由来のイオンが前段四重極マスフィルタ(しばしば慣用的にQ1と表記される)に導入され、特定の質量電荷比m/zを有するイオンがプリカーサイオンとして選別される。このプリカーサイオンが、四重極型(又はそれ以上の多重極型)イオンガイド(しばしば慣用的にq2と表記される)が内装されたコリジョンセルに導入される。コリジョンセル内にはアルゴン等の衝突誘起解離(CID)ガスが供給され、プリカーサイオンはコリジョンセル内でCIDガスに衝突して開裂し、各種のプロダクトイオンが生成される。このプロダクトイオンが後段四重極マスフィルタ(しばしば慣用的にQ3と表記される)に導入され、特定の質量電荷比m/zを有するプロダクトイオンが選別されて検出器に到達し検出される。
上記のようなタンデム四重極型質量分析装置は単独で使用される場合もあるが、しばしばガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)等のクロマトグラフと組み合わせて使用される。特に近年、食品中の残留農薬の検査、環境中の汚染物質の検査,医薬品の血中濃度検査、或いは、薬毒物のスクリーニングといった、多数の化合物が含まれる試料や雑多な夾雑物が混入している試料などを対象とする微量分析の分野では、クロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置が必要不可欠なものとなりつつある。
クロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置におけるMS/MS分析には、MRM(Multiple Reaction Monitoring:多重反応モニタリング)測定モード、プリカーサイオンスキャン測定モード、プロダクトイオンスキャン測定モード、ニュートラルロススキャン測定モード、といった測定モードがある(特許文献1参照)。このうち、MRM測定モードでは、前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとを通過し得るイオンの質量電荷比をそれぞれ固定し、特定のプリカーサイオンの開裂により生じた特定のプロダクトイオンの強度(量)を測定する。したがって、MRM測定では、2段階のマスフィルタによって非測定対象成分や夾雑成分由来のイオン或いは中性粒子が除去され、高いSN比のイオン強度信号を得ることができる。そのため、MRM測定は特に微量成分の定量分析に威力を発揮する。例えばガスクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置(GC/MS/MS)では、ごく微量である成分の定量性が要求される残留農薬の多成分一斉定量分析などにMRM測定がよく用いられる。
またクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置では、単一の四重極マスフィルタを備えるクロマトグラフ質量分析装置と同様の、イオンの解離操作を伴わないスキャン測定やSIM(Selected Ion Monitoring:選択イオンモニタリング)測定も可能であり、前段四重極マスフィルタでのみイオンの選別を行い後段四重極マスフィルタではイオンを素通りさせるQ1SIM測定モードやQ1スキャン測定モード、イオンを前段四重極マスフィルタで素通りさせ後段四重極マスフィルタでのみイオンの選別を行うQ3SIM測定モードやQ3スキャン測定モード、といった測定モードがある。特徴的なプロダクトイオンが得られにくい比較的分子量が小さな既知化合物の定量分析には、Q3SIM測定モードもよく用いられる。
クロマトグラフ四重極型質量分析装置やクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置では、クロマトグラフにおいて試料中の各種成分が時間的に分離されるが、試料に含まれる測定対象化合物が多い場合には、クロマトグラフでは十分に分離されずに、ほぼ同じ時間範囲に重なって複数の化合物が質量分析装置に導入されることがある。そこで、従来のこの種の装置では、同じ時間範囲内で、異なる質量電荷比のイオンに対するQ3SIM測定モード又はMRM測定モードを順次切り替えながら次々に実行し、異なる化合物由来のイオン強度信号を得ることができるようになっている。
上記のような複雑な測定における測定条件をユーザが簡便に設定できるようにするために、従来のクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置では次のような方法が採用されている。
即ち、実施したい測定モードとその測定モードにおける測定条件(例えばMRM測定モードであれば、前段四重極マスフィルタで選択される質量電荷比値及び後段四重極マスフィルタで選択される質量電荷比値など)とはイベントと呼ばれる単位で規定される。或る時間に複数のイベントが設定されている場合には、その複数のイベントにそれぞれ定められている条件に従った分析が1つずつ順に実行されるというサイクルが繰り返される。SIM測定やMRM測定による定量分析では、基本的に、1つのイベントは1つの測定対象化合物に対応している。何故なら、その測定対象化合物に特徴的である質量電荷比を持つイオンを測定するように、イベントの内容が定められるからである。
ただし、各イベントに従った測定を順番に実行するため、同一時間範囲内に設定されるイベントの数が多いほど、各測定に割り当てられる時間が短くなったり同じイベントの繰り返し実行の時間間隔が広くなったりする。前者の場合、測定精度や感度が低下し、定量精度の低下に繋がる。一方、後者の場合、成分濃度の最大値、つまりはクロマトグラムのピークトップを見落とすおそれがあり、ピーク面積の精度が下がって、やはり定量精度の低下に繋がる。そこで、こうした事態を避けるために、分析開始(試料注入)時点から終了時点までの時間範囲を複数のセグメントと呼ばれる時間単位に区分けし、或いは、分析開始時点から終了時点までの時間範囲内に重ならないように複数のセグメントを設定し、そのセグメント毎にイベントを設定するような手法が採られている。
図5は時間経過に対するセグメントとイベントの設定の概念を示す図である。図中のセグメント1〜3のようにセグメントは時間的に連続的であってもよいし、セグメント3、4のように不連続であってもよいが、通常、ユーザは連続的にセグメントを設定することが多い。セグメント毎にそれぞれ1乃至複数のイベントが設定されており、例えばセグメント1が設定されているt1〜t2の時間範囲には、イベント番号が1及び2である2つのイベントに従った測定が繰り返されることになる。このような手法によれば、測定対象化合物の保持時間付近のセグメントに対してのみ、その測定対象化合物を定量するためのイベントを設定すればよく、各セグメントに割り当てられるイベントの数を抑えることができる。
上述したように、イベント及びセグメントを利用して測定条件を設定する場合、1つのセグメントに割り当てられるイベントの数が少ないほど精度の高いクロマトグラムを得ることができる。イベントの数を減らすには、セグメントの時間幅を狭くし測定対象化合物の保持時間に合わせて細かくセグメントを設定すればよいが、クロマトグラフ分離条件の変動などにより予め想定された保持時間からずれて測定対象化合物が現れることはよくあり、セグメントの時間幅を狭くすると、クロマトグラム上で測定対象化合物を特徴付けるイオンのピークが1つのセグメント内に収まらずに複数のセグメントを跨いでしまう可能性が高くなる。
従来の装置では、クロマトグラムピークが複数のセグメントに跨った場合に、その複数のセグメントで同じイベント番号に対し同じ測定モード及び同じ測定条件が設定されていれば、セグメントを跨いでクロマトグラムを連結させて連続的なピークカーブを描出できるようにしている。しかしながら、測定モードや測定条件が同一であってもイベント番号が異なっていると、図4(a)に例示するように、セグメントの境界付近で不連続なクロマトグラムしか得ることができなかった。その結果、ピークがセグメントを跨ぐようなクロマトグラムに対しては、適切なピーク波形処理を実行することができず、正確なピーク面積を求められないために定量性を大きく損なったり成分同定に失敗したりすることがよくあった。
こうした事態を避けるには、セグメントの境界にピークのリーディングやテーリングが掛かりそうかどうかを分析者(ユーザ)が判断し、そうした状態が予想される場合には、同じ測定モード及び同じ測定条件を持つイベントが同一イベント番号となるように条件設定を行う必要があった。こうした作業は煩雑であり分析者にとって大きな負担であるとともに、作業ミスを引き起こし易く、誤った分析結果を出す大きな要因となっていた。
特開2011−249109号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、時間軸上に適宜に設定されたセグメントの境界をクロマトグラムピークが跨いでしまうような場合に、その境界を挟んだ隣接セグメントにそれぞれ設定されているイベントの番号に依らず、クロマトグラム上で連続的なピークカーブを求め、適切なピーク波形処理や成分同定などを行うことができるクロマトグラフ質量分析用データ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、時間軸上に連続的に又は不連続に設定された時間範囲に対応したセグメント毎に質量分析の測定条件を設定可能としたクロマトグラフ四重極型質量分析装置により繰り返し収集されたデータを処理しクロマトグラムを作成するクロマトグラフ質量分析用データ処理装置において、
a)前記セグメント毎に質量分析の測定条件として設定されたパラメータ値を記憶しておく記憶手段と、
b)2つのセグメントが連続的であるときに該2つのセグメントに対応する所定のパラメータ値を前記記憶手段より取得し、それら所定のパラメータ値が一致するか否かを判定する判定手段と、
c)該判定手段により所定のパラメータ値が一致していると判定された場合に、前記2つのセグメントのそれぞれにおいて対応する測定条件の下に収集されたデータに基づく部分クロマトグラムをその2つのセグメントの境界で連結させることでクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成処理手段と、
を備えることを特徴としている。
なお、上記クロマトグラム作成処理手段により作成されたクロマトグラムは、表示部の表示画面上に表示することが可能であるほか、ピーク面積を計算したりピークトップの位置(時間)を確定したりするためのデータ処理に供することも可能である。
上記クロマトグラフ四重極型質量分析装置は、単一の四重極マスフィルタを備えるクロマトグラフ四重極型質量分析装置、又は、コリジョンセルを挟んで前後二段の四重極マスフィルタを備えるクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置のいずれかである。また、クロマトグラフはガスクロマトグラフ又は液体クロマトグラフのいずれかである。
また本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置において、クロマトグラムとは、特定の質量電荷比を持つイオン強度の時間変化を表すマスクロマトグラム、又は、全質量電荷比範囲(厳密には質量走査が行われた質量電荷比範囲)に亘るイオン強度の合算値の時間変化を表すトータルイオンクロマトグラムなどである。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置では、例えば複数のセグメント又は時間範囲などが指定されてクロマトグラム作成指示が出されると、判定手段は、該当する複数のセグメントの中の2つが時間的に連続しているか否かを判定し、その2つのセグメントが連続的であるときに該2つのセグメントに対応する所定のパラメータ値を前記記憶手段より取得する。そして、両セグメントに対応する所定のパラメータ値が一致するか否かを判定する。
所定のパラメータ値が一致しない場合には、時間的に連続するセグメントであっても、各セグメントにおいて収集されたデータに基づいてそれぞれ作成されるクロマトグラムの関連性は乏しい。一方、所定のパラメータ値が一致すれば、各セグメントに対応するクロマトグラムはいずれも、例えば同一の質量電荷比におけるマスクロマトグラムである等、連続性を有するクロマトグラムであると判断できる。そこで、クロマトグラム作成処理手段は、所定のパラメータ値が一致していると判定された場合には、その2つのセグメントにそれぞれ対応する部分クロマトグラムをその境界で連結させることでクロマトグラムを作成する。それにより、或る測定対象化合物に対応するクロマトグラム上のピークがその2つのセグメントに跨っていた場合でも、ピークの始点から終点までピークカーブが連続し、該ピークに対する波形処理や、保持時間に基づく成分同定が可能となる。また、こうしたクロマトグラムを表示画面上に表示したときにピークカーブの途切れがないので、分析者に対し違和感のないクロマトグラムを提供することができる。
上述したように、クロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置では、MRM測定モードを始め、多様な測定モードによる質量分析が可能である。また、単一の四重極マスフィルタを備えるクロマトグラフ四重極型質量分析装置でも、通常、SIM測定モードとスキャン測定モードという2つの測定モードによる質量分析が可能である。
そこで、本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置において、好ましくは、前記記憶手段は、前記セグメント毎に質量分析の測定条件として設定された測定モードとパラメータ値とを記憶しておき、前記判定手段は、前記2つのセグメントに対応する測定モードと所定のパラメータ値とがそれぞれ一致するか否か判定し、前記クロマトグラム作成処理手段は、測定モードが一致し且つパラメータ値が一致している場合に、部分クロマトグラムの連結を行う構成とするとよい。
さらにまた本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置において、好ましくは、クロマトグラムを表示させたい質量電荷比若しくは質量電荷比範囲又は測定対象化合物を分析者が指示するための指示手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記2つのセグメントに対応する所定のパラメータ値が一致するか否か判定するほか、該2つのセグメントに対し前記指示手段を介してそれぞれ指示された表示上の質量電荷比若しくは質量電荷比範囲又は測定対象化合物が一致しているか否かを判定し、前記クロマトグラム作成処理手段は、パラメータ値が一致し且つ表示上の質量電荷比若しくは質量電荷比範囲又は測定対象化合物が一致している場合に、部分クロマトグラムの連結を行う構成とするとよい。
この構成によれば、分析者が着目している測定対象化合物に対応したクロマトグラムピークが複数のセグメントに跨っている場合でも、その測定対象化合物に対応したクロマトグラムピークが、ピークの始点から終点まで途切れのない状態で表示さるようにすることができる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置において、上記判定手段により一致判定がなされる所定のパラメータ値とは、質量分析の測定モードに応じたパラメータである。
具体的には、クロマトグラフ四重極型質量分析装置がクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置である場合、上記所定のパラメータ値は、前段四重極マスフィルタでイオンを質量電荷比に応じて選別しコリジョンセル内でのイオンの解離及び後段四重極マスフィルタでのイオンの選別を行わないQ1SIM測定モード、前段四重極マスフィルタでのイオンの選別及びコリジョンセル内でのイオンの解離を行わずに後段四重極マスフィルタでイオンを質量電荷比に応じて選別するQ3SIM測定モード、又は、前段四重極マスフィルタでイオンを質量電荷比に応じて選別し選別されたイオンをコリジョンセル内で解離させ、それにより生成されたプロダクトイオンを後段四重極マスフィルタで質量電荷比に応じて選別するMRM測定モードのいずれかにおいて、四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比の値とすることができる。
また、クロマトグラフ四重極型質量分析装置がクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置である場合に、上記所定のパラメータ値は、プリカーサイオンスキャン測定モードにおいて後段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比の値としてもよいし、プロダクトイオンスキャン測定モードにおいて前段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比の値としてもよい。さらにまた、上記所定のパラメータ値は、ニュートラルロススキャン測定モードにおいて前段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比と後段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比との差であるニュートラルロスの値としてもよい。
また、上述したように四重極マスフィルタで所定の質量電荷比範囲に亘る質量走査が実行される測定モード、例えば、クロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置におけるプリカーサイオンスキャン測定モード、プロダクトイオンスキャン測定モード、ニュートラルロススキャン測定モードなどにおいて、上記所定のパラメータ値は質量走査される質量電荷比範囲、つまりは走査開始質量電荷比及び走査終了質量電荷比の値、としてもよい。
さらにまた、四重極型質量分析装置がタンデム型でなく単一の四重極マスフィルタを備える装置である場合、前記所定のパラメータ値は、スキャン測定モードにおける質量電荷比範囲やSIM測定モードにおける質量電荷比の値とすることができる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置によれば、マスクロマトグラムやトータルイオンクロマトグラムなどのクロマトグラム上の1つのピークが1つのセグメント内に収まらず複数のセグメントに跨った場合であっても、それら複数のセグメントに対して同じ測定パラメータ値が設定されてさえいれば、セグメントの境界で途切れのないクロマトグラムを作成することができる。これにより、1つの測定対象化合物に対応したクロマトグラムピークがその始点から終点まで途切れのない状態で得られるので、例えば定量分析のためにピーク面積を計算する等の波形処理を正確に行うことができる。また、波形処理によりピークトップの位置を正確に求めることができるので、保持時間を利用した成分同定も正確に行うことができる。また、クロマトグラムを表示画面上に表示する場合に、違和感のないクロマトグラムを提供することができる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置を備えたGC/MS/MSの一実施例の概略構成図。 本実施例のGC/MS/MSにおけるクロマトグラム連結処理のフローチャート。 本実施例のGC/MS/MSにおけるクロマトグラム連結処理の一例の説明図。 本実施例のGC/MS/MSにおけるクロマトグラム連結処理前後のクロマトグラムの一例を示す図。 従来のクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置における時間経過に対するセグメントとイベントの設定手法の概念図。
以下、本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置を備えたガスクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置(GC/MS/MS)の一実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施例によるGC/MS/MSの概略構成図である。ガスクロマトグラフ(GC)部1では、カラムオーブン13により適度の温度に加熱されるカラム14の入口端に試料気化室10が設けられ、試料気化室10にはキャリアガス流路12を通して所定流量でキャリアガスが供給されカラム14へと流れ込む。その状態でマイクロシリンジ11により試料気化室10中に微量の液体試料が注入されると、液体試料は即座に気化しキャリアガス流に乗ってカラム14中に送られる。そして、カラム14を通過する間に試料ガス中の各種化合物は時間的に分離されてその出口に到達し、加熱ヒータ等を含むインターフェイス部2を経て、質量分析(MS)部3において真空チャンバ30内に配設されたイオン化室31に導入される。
イオン化室31に導入された化合物分子は電子イオン化(EI)法や化学イオン化法(CI)などによりイオン化される。発生したイオンはイオン化室31の外側に引き出され、イオンレンズ32により収束されて4本のロッド電極から構成される前段四重極マスフィルタ33の長軸方向の空間に導入される。前段四重極マスフィルタ(Q1)33には、図示しない電源から直流電圧と高周波電圧とを重畳した電圧が印加され、その印加電圧に応じた質量電荷比を有するイオンのみがその長軸方向の空間を通過し、コリジョンセル34に導入される。
コリジョンセル34の内部には、高周波電場の作用によりイオンを収束させる多重極型イオンガイド(q2)35が設置され、また、コリジョンセル34内には連続的に又は間欠的に外部よりArガス等のCIDガスが導入される。コリジョンセル34に導入されたイオンはCIDガスに接触して開裂を生じ、その開裂により生成されたプロダクトイオンが収束されつつ後段四重極マスフィルタ(Q3)36の長軸方向の空間に導入される。後段四重極マスフィルタ36は前段四重極マスフィルタ33と同様に4本のロッド電極から成り、図示しない電源から直流電圧と高周波電圧とを重畳した電圧がそれらロッド電極に印加され、その印加電圧に応じた質量電荷比を有するプロダクトイオンのみがその長軸方向の空間を通過してイオン検出器37に到達する。
イオン検出器37による検出信号はA/D変換器38によりデジタルデータに変換されてデータ処理部4に送られる。データ処理部4は、本発明に特徴的な処理を行うために、測定データ記憶部41、測定条件情報記憶部42、クロマトグラム作成処理部43などの機能ブロックを含む。GC部1、インターフェイス部2、及びMS部3に含まれる各部の動作は、分析制御部5によりそれぞれ制御される。また、中央制御部6にはキーボードやマウス等のポインティングデバイスを含む入力部7や表示部8が接続され、中央制御部6は入出力制御や分析制御部5よりも上位の基本的なシステム制御を担う。なお、データ処理部4、分析制御部5、及び中央制御部6は、パーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、該パーソナルコンピュータにインストールされた専用の制御/処理ソフトウエアをパーソナルコンピュータ上で実行することにより具現化されるものとすることができる。
このGC/MS/MSのMS部3において実施可能な測定モードとしては、コリジョンセル34内でのCID操作を伴うMS/MS分析のモードとして、MRM測定モード、プリカーサイオンスキャン測定モード、プロダクトイオンスキャン測定モード、ニュートラルロススキャン測定モード、がある。また、コリジョンセル34内でのCID操作を行わないモードとして、Q1SIM測定モード、Q3SIM測定モード、Q1スキャン測定モード、Q3スキャン測定モード、がある。
次に、本実施例のGC/MS/MSおける測定動作、つまりは質量分析データを収集する際の動作について説明する。
目的試料の測定の実行に先立って、分析者は入力部7により次のようにして測定条件等を設定する。即ち、図5に示すように、分析開始(試料注入)時点から全ての測定対象化合物に対する測定が終了するまでの全時間範囲に対し、適宜にセグメントを設定する。既知化合物の定量分析の場合には、既知化合物の保持時間が予め分かっているから、1つのセグメント中に現れる化合物の数ができるだけ少なくなるようにセグメントを設定するのが一般的である。また、分析者は、設定したセグメント毎に、そのセグメントの期間中に実施する測定モードとその測定モードの実行に必要な各種パラメータ値を、それぞれ番号が付されたイベントを単位として設定する。1つのセグメントに対し複数のイベントを設定可能であることは既に述べたとおりである。
各イベントに含まれるパラメータ値の一例を説明する。図3(a)に示すように、例えば、MRM測定モードでは、前段四重極マスフィルタ33で選択される質量電荷比(Q1-m/z)及び後段四重極マスフィルタ36で選択される質量電荷比(Q3-m/z)がパラメータ値に含まれる。また、Q1SIM測定モードでは、前段四重極マスフィルタ33で選択される質量電荷比(Q1-m/z)がパラメータ値に含まれ、Q3SIM測定モードでは、後段四重極マスフィルタ36で選択される質量電荷比(Q3-m/z)がパラメータ値に含まれる。また、図3(a)中にはないが、いずれかの四重極マスフィルタ33、36で質量走査が実行される測定モード(プリカーサイオンスキャン測定モード等)では、その質量走査の軸となる質量電荷比(プロダクトイオンの質量電荷比等)と開始質量電荷比及び終了質量電荷比がパラメータ値に含まれる。この場合、スキャンスピードをパラメータ値に含むようにしてもよい。
上述したように分析者によりセグメント及びイベントが設定されると、その情報は中央制御部6内の記憶部(図示せず)に保持されるとともに、データ処理部4の測定条件情報記憶部42に保存される。そして、分析者が入力部7より測定の実行を指示すると、中央制御部6から指示を受けた分析制御部5の制御の下に、GC部1、インターフェイス部2、MS部3がそれぞれ動作して測定を遂行する。即ち、GC部1においては、試料気化室10中に目的試料が滴下され、気化した目的試料がキャリアガス流に乗ってカラム14に送り込まれる。MS部3は試料注入時点を起点とし、セグメントとして設定された時間範囲において、そのセグメントに対して設定されているイベントに従った測定を繰り返し実行する。
例えば図3(a)中のMRM測定モードに対応している2つのイベント(イベント番号1及び2)がセグメント1及び2に対し設定されていた場合には、時刻t1〜t2の間(セグメント1)は、プリカーサイオンの質量電荷比が300、プロダクトイオンの質量電荷比が200であるイベント1によるMRM測定と、プリカーサイオンの質量電荷比が200、プロダクトイオンの質量電荷比が100であるイベント2によるMRM測定とが、交互に繰り返され、それぞれのMRM測定時のイオン強度がイオン検出器37により検出される。セグメント1とセグメント2との境界である時刻t2を過ぎると、その時刻t2から時刻t3までの間(セグメント2)は、プリカーサイオンの質量電荷比が300、プロダクトイオンの質量電荷比が150であるイベント1によるMRM測定と、プリカーサイオンの質量電荷比が00、プロダクトイオンの質量電荷比が00であるイベント2によるMRM測定とが、交互に繰り返され、それぞれのMRM測定時のイオン強度がイオン検出器37により検出される。
こうして測定終了時点まで、設定されているセグメント及びイベントに従った測定が実施され、イオン検出器37で得られたイオン強度をデジタル化したデータが測定データ記憶部41に保存される。
次に、上述したような質量分析データが測定データ記憶部41に保存され、その測定を行ったときの測定条件(イベント)が測定条件情報記憶部42に記憶されている状態の下で、実施される本実施例に特徴的なクロマトグラム連結処理を含むクロマトグラム作成処理について、図2に示すフローチャートに従って説明する。
まず、分析者は、入力部7により、表示部8の表示画面上に表示したいクロマトグラムの種類や質量電荷比値をセグメント毎に指定する(ステップS1)。ここでは、クロマトグラムの種類の指定とは、マスクロマトグラム又はトータルイオンクロマトグラムの選択である。Q1SIM測定モード又はQ3SIM測定モードで得られる特定の質量電荷比におけるマスクロマトグラムを表示したい場合には、その1つの質量電荷比値を指定する。MRM測定モードで得られる特定のプリカーサイオン及び特定のプロダクトイオンに対するマスクロマトグラムを表示したい場合には、プリカーサイオンの質量電荷比値とプロダクトイオンの質量電荷比値とをそれぞれ指定する。プロダクトイオンスキャン測定モード又はプリカーサイオンスキャン測定モードで得られるマススペクトル上のイオン強度を加算して求まるトータルイオンクロマトグラムを表示したい場合には、プリカーサイオン又はプロダクトイオンの質量走査の開始及び終了の質量電荷比値をそれぞれ指定する。ニュートラルロススキャン測定モードで得られるマススペクトル上のイオン強度を加算して求まるトータルイオンクロマトグラムを表示したい場合には、前段四重極マスフィルタ33における質量走査の開始及び終了の質量電荷比値をそれぞれ指定する。さらにまたQ1スキャン測定モード又はQ3スキャン測定モードで得られるマススペクトル上のイオン強度を加算して求まるトータルイオンクロマトグラムを表示したい場合には、前段四重極マスフィルタ33又は後段四重極マスフィルタ36における質量走査の開始及び終了の質量電荷比値を指定する。
ステップS1における質量電荷比値等の設定を受けて、クロマトグラム作成処理部43は、クロマトグラム表示の指定がなされたセグメント及びそれに対応したイベントに関する情報を、測定条件情報記憶部42から読み出す。そして、指定されたセグメントについて、セグメントが時間的に連続し、その連続した(隣接する)セグメントに対しそれぞれ設定されているイベントの測定モードが共通で、且つ、その連続するセグメントにおいてステップS1で指定された表示したいクロマトグラムの質量電荷比値が同一であるか否かを判定する(ステップS2)。こうした条件を満たすような連続するセグメントを挟む境界が1つも存在しない場合には、後述するクロマトグラムの連結処理は不要であるので、ステップS13へと進む。
ステップS2で上記条件を満たす境界が少なくとも1つあると判定されると、次に、1つの境界を挟んだ共通の測定モードが何であるかが判定され(ステップS3)、その判定結果に応じて、ステップS4〜S10のいずれかに進む。即ち、共通の測定モードがQ1SIM測定モードであると識別されると、上記1つの境界を挟んだ2つのセグメントにそれぞれ設定されているイベントにおいて、前段四重極マスフィルタ33で選別される質量電荷比が一致しているか否かが判定される(ステップS4)。また、共通の測定モードがQ3SIM測定モードであると識別されると、上記1つの境界を挟んだ2つのセグメントにそれぞれ設定されているイベントにおいて、後段四重極マスフィルタ36で選別される質量電荷比が一致しているか否かが判定される(ステップS5)。また、共通の測定モードがMRM測定モードであると識別されると、上記1つの境界を挟んだ2つのセグメントにそれぞれ設定されているイベントにおいて、前段四重極マスフィルタ33で選別される質量電荷比と後段四重極マスフィルタ36で選別される質量電荷比とが共に一致しているか否かが判定される(ステップS6)。
また、共通の測定モードがプロダクトイオンスキャン測定モードであると識別されると、上記1つの境界を挟んだ2つのセグメントに設定されているイベントにおいて、前段四重極マスフィルタ33で選別される質量電荷比が一致しているか否かが判定される(ステップS7)。また、共通の測定モードがプリカーサイオンスキャン測定モードであると識別されると、上記1つの境界を挟んだ2つのセグメントに設定されているイベントにおいて、後段四重極マスフィルタ36で選別される質量電荷比が一致しているか否かが判定される(ステップS8)。また、共通の測定モードがニュートラルロススキャン測定モードであると識別されると、上記1つの境界を挟んだ2つのセグメントに設定されているイベントにおいて、前段四重極マスフィルタ33で選別される質量電荷比と後段四重極マスフィルタ36で選別される質量電荷比との差、つまりはニュートラルロスの値が一致しているか否かが判定される(ステップS9)。さらに、共通の測定モードがQ1スキャン測定モード又はQ3スキャン測定モードのいずれかであると識別されると、上記1つの境界を挟んだ2つのセグメントに設定されているイベントにおいて、前段四重極マスフィルタ33又は後段四重極マスフィルタ36での質量走査の開始質量電荷比及び終了質量電荷比が共に一致しているか否かが判定される(ステップS10)。
上記ステップS4〜S9の判定処理でNoと判定された場合には、上記境界を挟んだ2つのセグメントにおいて得られた質量分析データに基づいてそれぞれ作成される部分クロマトグラムは直接関連がないため、該境界においてクロマトグラム連結処理を行う意味がない。そこで、いずれもステップS12へと進み、ステップS3で測定モードの識別を行った以外の境界があるか否かが判定される。もし、別の境界が存在すればステップS3へと戻り、その境界を挟んだ2つのセグメントに関して上述したような処理を再度実施する。また、ステップS12において別の境界が存在しないと判定されれば、ステップS13へと進む。
一方、ステップS4〜S6の判定処理でYesと判定された場合には、上記境界を挟んだ2つのセグメントにおいて得られたデータに基づいてそれぞれ作成される部分クロマトグラムは同種のイオン強度の時間変化を示したものである。そこで、その境界における部分クロマトグラムの連結処理を実行する(ステップS11)。具体的には、図4(b)に示すように、境界(この例では時刻t2)を挟んだ両側の測定点、つまり、この例ではセグメント1の最終測定点P1とセグメント2の最初の測定点P2とを直線補間することにより、両クロマトグラムを連結させる。もちろん、直線補間の代わりに2次以上の高次の補間を行えば、両クロマトグラムはより滑らかに接続される。
上記ステップS7〜S9の判定処理でYesと判定された場合には既に説明したステップS10へと進み、1つの境界を挟んだ2つのセグメントにそれぞれ設定されているイベントにおいて、前段四重極マスフィルタ33又は後段四重極マスフィルタ36での質量走査の開始質量電荷比及び終了質量電荷比が一致しているか否かが判定される。そして、ステップS10でNoと判定された場合には、ステップS4〜S9でNoと判定された場合と同様にステップS12へと進んで上述した処理が行われる。また、ステップS10でYesと判定された場合には、ステップS4〜S6でYesと判定された場合と同様にステップS11へと進み、上述した処理が行われる。
ステップS2においてNoと判定された場合及びステップS12においてNoと判定された場合には、クロマトグラム連結処理を行う対象である境界は存在しないから、上述したように隣接セグメントの境界において連結処理がなされたクロマトグラムに対し、例えばピーク始点及び終点の検出、ピークトップ位置の検出、ピーク面積の算出などのデータ処理を実施することにより、該ピークに関する種々の情報を求める(ステップS13)。そして、作成されたクロマトグラムを算出されたピーク情報と共に、表示部8の画面上に表示し(ステップS14)分析者に提供する。
上述したクロマトグラム連結処理を図3の例により具体的に述べる。図3(a)は、本実施例のGC/MS/MSにおいて主として定量分析に使用される3種の測定モードについてのイベントを例示したものであり、図3(b)はこのときのクロマトグラムの連結処理結果を示したものである。
時刻t2である境界を挟んで連続するセグメント1とセグメント2とにおいて、いずれも測定モードが図3(a)に示すようなパラメータ値を与えられたMRM測定モードである場合、m/z300であるプリカーサイオンの質量電荷比と、m/z200であるプロダクトイオンの質量電荷比とが境界を挟んで一致している。このときイベント番号は相違するが、本実施例における一致判定ではイベント番号は無視される。したがって、セグメント1のイベント1に従った測定で収集された質量分析データに基づく部分クロマトグラムと、セグメント2のイベント2に従った測定で収集された質量分析データに基づく部分クロマトグラムとが、上述したような直線補間により連結されることになる。
また、時刻t2である境界を挟んで連続するセグメント1とセグメント2とにおいて、いずれも測定モードが図3(a)に示すようなパラメータ値を与えられたQ1SIM測定モードである場合、m/z300である質量電荷比と、m/z200である質量電荷比とがそれぞれ境界を挟んで一致している。したがって、セグメント1のイベント2に従った測定で収集された質量分析データに基づく部分クロマトグラムと、セグメント2のイベント3に従った測定で収集された質量分析データに基づく部分クロマトグラムとが、上述したような直線補間により連結されることになる。また、セグメント1のイベント3に従った測定で収集された質量分析データに基づく部分クロマトグラムと、セグメントのイベントに従った測定で収集された質量分析データに基づく部分クロマトグラムとが、上述したような直線補間により連結される。
以上のように、本実施例のGC/MS/MSでは、セグメント毎に設定された1乃至複数のイベントで規定される測定モードと該モードに対応したパラメータ値とが任意の境界を挟んで連続するセグメント間で一致してさえいれば、たとえイベント番号が相違していても、それら測定モード及びパラメータ値による測定条件の下で収集された質量分析データに基づく部分クロマトグラムが自動的に連結処理される。したがって、或る測定対象化合物に対応した1つのクロマトグラムピークが2つ又はそれ以上のセグメントに跨ってしまうような場合であっても、そのセグメントの境界付近で途切れのないクロマトグラムを作成し、このクロマトグラムに基づく正確なピーク情報を提供することができる。また、このような違和感のないクロマトグラムを表示部8の画面上に表示することができる。
なお、上記実施例は本発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置をGC/MS/MSに適用したものであるが、本発明がGC/MS/MSだけでなくLC/MS/MSに適用可能であることは明らかである。また、本発明は、測定モードの種類が多く、それだけイベントの内容が複雑になるとともにセグメント当たりのイベント数も多くなりがちであるクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置に適用したときにその効果が大きいが、単一の四重極マスフィルタを搭載した四重極型質量分析装置を用いたGC/MSやLC/MSに適用することができることも明らかである。
また、それ以外の点についても、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…ガスクロマトグラフ(GC)部
10…試料気化室
11…マイクロシリンジ
12…キャリアガス流路
13…カラムオーブン
14…カラム
2…インターフェイス部
3…質量分析(MS)部
30…真空チャンバ
31…イオン化室
32…イオンレンズ
33…前段四重極マスフィルタ
34…コリジョンセル
35…多重極型イオンガイド
36…後段四重極マスフィルタ
37…イオン検出器
38…A/D変換器
4…データ処理部
41…測定データ記憶部
42…測定条件情報記憶部
43…クロマトグラム作成処理部
5…分析制御部
6…中央制御部
7…入力部
8…表示部

Claims (9)

  1. 時間軸上に連続的に又は不連続に設定された時間範囲に対応したセグメント毎に質量分析の測定条件を設定可能としたクロマトグラフ四重極型質量分析装置により繰り返し収集されたデータを処理しクロマトグラムを作成するクロマトグラフ質量分析用データ処理装置において、
    a)前記セグメント毎に質量分析の測定条件として設定されたパラメータ値を記憶しておく記憶手段と、
    b)2つのセグメントが連続的であるときに該2つのセグメントに対応する所定のパラメータ値を前記記憶手段より取得し、それら所定のパラメータ値が一致するか否かを判定する判定手段と、
    c)該判定手段により所定のパラメータ値が一致していると判定された場合に、前記2つのセグメントのそれぞれにおいて対応する測定条件の下に収集されたデータに基づく部分クロマトグラムを、その2つのセグメントの境界で連結させたクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成処理手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    前記記憶手段は、前記セグメント毎に質量分析の測定条件として設定された測定モードとパラメータ値とを記憶しておき、前記判定手段は、前記2つのセグメントに対応する測定モードと所定のパラメータ値とがそれぞれ一致するか否か判定し、前記クロマトグラム作成処理手段は、測定モードが一致し且つパラメータ値が一致している場合に、部分クロマトグラムの連結を行うことを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  3. 請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    クロマトグラムを表示させたい質量電荷比若しくは質量電荷比範囲又は測定対象化合物を分析者が指示するための指示手段をさらに備え、
    前記判定手段は、前記2つのセグメントに対応する所定のパラメータ値が一致するか否か判定するほか、該2つのセグメントに対し前記指示手段を介してそれぞれ指示された表示上の質量電荷比若しくは質量電荷比範囲又は測定対象化合物が一致しているか否かを判定し、前記クロマトグラム作成処理手段は、パラメータ値が一致し且つ表示上の質量電荷比若しくは質量電荷比範囲又は測定対象化合物が一致している場合に、部分クロマトグラムの連結を行うことを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    前記クロマトグラフ四重極型質量分析装置は、コリジョンセルを挟んで前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとを具備するクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置であり、
    前記所定のパラメータ値は、前段四重極マスフィルタでイオンを質量電荷比に応じて選別しコリジョンセル内でのイオンの解離及び後段四重極マスフィルタでのイオンの選別を行わないQ1SIM測定モード、前段四重極マスフィルタでのイオンの選別及びコリジョンセル内でのイオンの解離を行わずに後段四重極マスフィルタでイオンを質量電荷比に応じて選別するQ3SIM測定モード、又は、前段四重極マスフィルタでイオンを質量電荷比に応じて選別し選別されたイオンをコリジョンセル内で解離させ、それにより生成されたプロダクトイオンを後段四重極マスフィルタで質量電荷比に応じて選別するMRM測定モードのいずれかにおいて、四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比の値であることを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    前記クロマトグラフ四重極型質量分析装置は、コリジョンセルを挟んで前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとを具備するクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置であり、前記所定のパラメータ値は、プリカーサイオンスキャン測定モードにおいて後段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比の値であることを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    前記クロマトグラフ四重極型質量分析装置は、コリジョンセルを挟んで前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとを具備するクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置であり、前記所定のパラメータ値は、プロダクトイオンスキャン測定モードにおいて前段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比の値であることを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    前記クロマトグラフ四重極型質量分析装置は、コリジョンセルを挟んで前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとを具備するクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置であり、前記所定のパラメータ値は、ニュートラルロススキャン測定モードにおいて前段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比と後段四重極マスフィルタで選別されるイオンの質量電荷比との差であるニュートラルロスの値であることを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    前記所定のパラメータ値は、前記クロマトグラフ四重極型質量分析装置に備えられた四重極マスフィルタで所定の質量電荷比範囲に亘る質量走査が実行される測定モードにおいてその質量電荷比範囲であることを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロマトグラフ質量分析用データ処理装置であって、
    前記所定のパラメータ値は、前記クロマトグラフ四重極型質量分析装置に備えられた四重極マスフィルタで1乃至複数の質量電荷比を順次設定して測定を行うSIM測定モードにおいてその測定対象の質量電荷比であることを特徴とするクロマトグラフ質量分析用データ処理装置。
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