JPWO2007138902A1 - 細胞電気生理センサ用チップとこれを用いた細胞電気生理センサおよび細胞電気生理センサ用チップの製造方法 - Google Patents

細胞電気生理センサ用チップとこれを用いた細胞電気生理センサおよび細胞電気生理センサ用チップの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、基板を有する細胞電気生理センサ用チップであって、基板は上面から下面に向けて形成された貫通孔を有しており、この貫通孔の開口部は、基板の上面および下面から貫通孔の内側へ湾曲した曲面で形成したものである。これにより、電解液(第一電解液および第二電解液)が流れやすくなり、被検体細胞を的確に吸引することができ、被検体細胞の捕捉率が向上する。

Description

本発明は、細胞の電気生理的活動の測定に用いられる細胞電気生理センサに用いるチップとこれを用いた細胞電気生理センサおよび細胞電気生理センサ用チップの製造方法に関するものである。
近年、細胞膜に存在するイオンチャネルを電気生理学的に測定する方法として、微細加工技術を利用した基板型プローブが注目されている。これは、従来のマイクロピペットのように、個々の細胞にマイクロピペットを挿入するという熟練作業を必要とせず、高スループットの自動化システムに適している。
例えば、図26に示すように、従来の開示された細胞電気生理センサ1(基板型プローブ)は、基板2と、基板2の上方に配置した電極槽3とを備えている。そして、基板2は、この基板2の上面から下面まで貫通する貫通孔5を有している。
また、電極槽3の内部には第一電極6を配置し、貫通孔5の内部には第二電極7を配置している。さらに、この第二電極7は配線8を経て信号検出部(図示せず)に連結されている。
前記細胞電気生理センサ1の動作方法について以下に説明する。
まず、電極槽3の内部に電解液9および被検体細胞10が注入され、この被検体細胞10が貫通孔5の開口部4にトラップ(捕捉)され、保持される。
そして、測定の際には被検体細胞10は貫通孔5の下方から吸引ポンプなどで吸引され、開口部4に密着した状態で保持される。すなわち、この貫通孔5がマイクロピペットにおける先端穴と同様の役割を果たしている。そして被検体細胞10のイオンチャネルの機能性や薬理反応などは、第一電極6と第二電極7との間における反応前後の電圧、あるいは電流を測定し、細胞内外の電位差を求めることによって分析している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の細胞電気生理センサ1においては、貫通孔5に出入りする電解液9の流れが悪く、被検体細胞10の捕捉率が悪いという問題があった。
それは、貫通孔5は非常に微細なため、電極槽3と貫通孔5との界面で流路の急速な断面積の変化が生じ、流体の抵抗損失が増大するためであった。そしてその結果、被検体細胞10を的確に吸引することが出来ず、捕捉率が低下してしまうものであった。
国際公開第02/055653号パンフレット
本発明は、貫通孔に出入りする電解液を流れやすくし、被検体細胞の捕捉率を向上させるものである。
そのために本発明は、基板の上面から下面までを貫く貫通孔を有し、この貫通孔の内壁と基板の表面とは、湾曲面で繋がっているものとした。
これにより本発明は、貫通孔に出入りする電解液を流れやすくし、被検体細胞の捕捉率を向上させることができる。
それは、貫通孔の開口部を基板表面と滑らかに繋がる湾曲面で形成にしたことによって、電極槽から貫通孔の内部にかけての流路の断面積の変化が緩慢となり、流体の抵抗損失が低減されるためである。そしてその結果、貫通孔に出入りする電解液が流れやすくなり、被検体細胞を的確に吸引し、捕捉率を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施の形態における細胞電気生理センサの断面図である。 図2は、本発明の一実施の形態における基板の断面図(図1のY部分)である。 図3は、本発明の一実施の形態における細胞電気生理センサの動作を示す要部拡大断面図である。 図4は、本発明の一実施の形態における基板の斜視図である。 図5は、本発明の一実施の形態における基板の製造工程を示す断面図である。 図6Aは、本発明の一実施の形態における基板の要部断面図である。 図6Bは、同要部断面図である。 図6Cは、同要部断面図である。 図6Dは、同要部断面図である。 図7は、本発明の一実施の形態における基板の製造工程を示す断面図である。 図8は、同基板の製造工程を示す断面図である。 図9は、同基板の製造工程を示す断面図である。 図10は、本発明の一実施の形態における基板の斜視図である。 図11は、本発明の一実施の形態における基板の断面図である。 図12は、本発明の一実施の形態におけるチップの断面図である。 図13は、本発明の一実施の形態におけるチップの製造工程を示す断面図である。 図14は、同チップの製造工程を示す断面図である。 図15は、同チップの製造工程を示す断面図である。 図16は、本発明の一実施の形態における基板の断面図である。 図17は、同断面図である。 図18は、同断面図である。 図19は、本発明の一実施の形態における基板の製造工程を示す断面図である。 図20は、同基板の製造工程を示す断面図である。 図21は、同基板の製造工程を示す断面図である。 図22は、本発明の一実施の形態における基板の断面図である。 図23は、同断面図である。 図24は、同断面図である。 図25は、同断面図である。 図26は、従来の細胞電気生理センサの断面図である。
符号の説明
11 細胞電気生理センサ
12 基板
13 第一電極槽
14 第一電極
15 第二電極槽
16 第二電極
17 貫通孔
17A,17B,17C,17D 開口部
18,18A,18B 隆起部
19 被検体細胞
20 第一電解液
21 第二電解液
22 レジストマスク
23 マスクホール
24 絶縁層
25 酸化物層
26 シリコン層
27 ブロック
28 レジストマスク
29 レジストマスク
30 ホール
31 絶縁層
32 凹部
32A 開口部
33 レジストマスク
34 マスクホール
35 交差部
36 チップ
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。図1は実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図であり、図2はそれに用いる基板の断面図であり、図3は細胞電気生理センサの動作を示す要部拡大断面図であり、図4は基板の斜視図である。
なお、以下に説明する各実施の形態において、上方向とは図1に記載の矢印X方向を言うものとする。
図1に示すように、本実施の形態1における細胞電気生理センサ11は、基板12を備えたチップ36と、基板12の上方に配置した第一電極槽13と、この第一電極槽13の内部であって、基板12の上面に配置した第一電極14と、基板12の下方に配置した第二電極槽15と、この第二電極槽15の内部であって基板12の下面に配置した第二電極16とを備えており、基板12は上面から下面に向けて形成された貫通孔17を有している。
そして、図1の点線で囲った部分Yを拡大した図が図2であり、この図2に示すように、開口部17A、17Bは、基板12の上面および下面から貫通孔17の内側に向かって湾曲し、貫通孔17の内部へと繋がる滑らかな曲面で形成されている。
また貫通孔17の内壁は、この貫通孔17の内側へ湾曲し、且つこの貫通孔17の深さ方向における略中心点で突出する滑らかな曲面で形成されている。
すなわち、この貫通孔17の口径は、貫通孔17の深さ方向における中心点あるいは略中心点で最小内径となり、開口部17A、17Bに向けて徐々に大きくなっている。
また、本実施の形態では、開口部17A、17Bの外周は、基板12表面において滑らかに盛り上がる隆起部18A、18Bを有している。そして図3の断面図に示すように、この隆起部18Aは、前記基板12の上において、隆起部18Aの最外周から開口部17Aの中心までの距離r1が、被検体細胞19の半径より短いものとした。
なお、本実施の形態では、開口部17A、17B、貫通孔17の内壁、および隆起部18A、18Bの各表面形状は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下の滑らかさである。この二乗平均粗さRqは、表面粗さの分布を測定した際の、平均値から測定値までの偏差の二乗を平均した値の平方根で定義される。また、被検体細胞19の半径とは、被検体細胞19を生理食塩水に含浸させ、細胞内外の浸透圧が平衡となった状態での計測値を用いた。
なお、チップ36の基板12としてシリコン基板12を用い、図4に示すように、この基板12には複数の貫通孔17を形成している。この貫通孔17内部の最小内径は3μmとした。
なお、貫通孔17の内径は測定する細胞の大きさ、形状、性質によって決定することができる。例えば、被検体細胞19の大きさが5〜50μm程度の場合に、被検体細胞19と開口部17Aとの密着性を高めるため、貫通孔17の最小内径を3μm以下とすることが望ましい。また貫通孔17の深さは15μm以下とした。
次に、本発明の細胞電気生理センサ11の動作について説明する。
まず図3に示すように、第一電極槽13に被検体細胞19を含んだ第一電解液20(細胞外液)を満たし、第二電極槽15には第二電解液21(細胞内液)を満たしておく。そして基板12の上面から加圧するか、下面を減圧することによって、被検体細胞19と第一電解液20とを貫通孔17へ引き込む。すると、被検体細胞19は貫通孔17を塞ぐように保持される。
そして、本実施の形態1では、被検体細胞19として哺乳類筋細胞を用い、第一電解液20にはKイオンが155mM程度、Naイオンが12mM程度、Clイオンが4.2mM程度添加された電解液を用い、第二電解液21には、Kイオンが4mM程度、Naイオンが145mM程度、Clイオンが123mM程度添加された電解液を用いた。なお、第一電解液20と第二電解液21とは同組成のものを用いることもできる。
次に、基板12の下面側から吸引するか、もしくは基板12下方から薬剤(例えばナイスタチン)を投入することにより、被検体細胞19に微細小孔を形成する。
その後、被検体細胞19への刺激となりうる行為を基板12の上方から施す。この刺激の種類としては、例えば化学薬品、毒物などの化学的な刺激に加え、機械的変位、光、熱、電気、電磁波などの物理的な刺激なども含む。
そして、被検体細胞19がこれらの刺激に対して活発に反応する場合、例えば被検体細胞19は細胞膜が保有するチャネルを通じて各種イオンを放出あるいは吸収する。これにより、細胞内外の電位勾配が変化するため、図1に示す第一電極14と第二電極16によってその変化を検出し、細胞の薬理反応などを検討することができる。
次に、本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサ11の製造方法について図面を用いて説明する。図5〜図9は細胞電気生理センサ11の基板12の製造方法を説明するための断面図、図10は同斜視図である。
まず、図5に示すように、シリコンからなる基板12の上面にレジストマスク22を形成する。このとき、所望する貫通孔17の断面と略同形状のマスクホール23をパターニングしておく。
次に、基板12をエッチングして貫通孔(図2の17)を形成していく。このときのエッチング方法としては、高精度な微細加工が可能なドライエッチングが望ましい。そしてドライエッチングを行う場合、アスペクト比の高い貫通孔17を形成するために、エッチングを促進するガス(以下エッチングガスという)とエッチングを抑制するガス(以下抑制ガスという)とを交互に用いる。
本実施の形態1では、エッチングガスとしてSF、抑制ガスとしてCを用いた。
このドライエッチング工程について以下に詳述する。
まず、図6Aの基板12の上方において、外部コイルの誘導結合法によりプラズマを生成し、ここへエッチングガスとしてSFを導入するとFラジカルを生成し、Fラジカルが基板12と反応して基板12は化学的にエッチングされる。
この時、基板12に高周波を印加すると、基板12にはマイナスのバイアス電圧が発生する。すると、エッチングガスに含まれるプラスイオン(SF5)が基板12に向かって垂直に衝突し、このイオン衝撃によって基板12が物理的にエッチングされる。
その結果、図6Bに示すように、ドライエッチングは基板12の垂直方向(下方)に進むことになる。
一方、抑制ガスCを用いる際には、基板12に高周波を加えないでおく。そうすることによって、基板12にはバイアス電圧は全く発生しない。
従って、抑制ガスCに含まれるCFは、偏向を受けることなく、基板12のドライエッチング穴の壁面に付着し、均一な膜を形成する。
そして、このCFの膜は、保護膜となってエッチングを抑制する。ここで、この保護膜は貫通孔17の壁面部分だけでなく底面にも形成されるが、底面に形成された保護膜は、壁面に形成された保護膜に比較して、前記イオン衝撃により容易に除去されるため、エッチングは下方に進むことになる。ただし底面の保護膜が除去された部分の下方は、エッチングが下方向だけでなく横方向へも等方的に進行するため、図6Cのように貫通孔17の壁面は、凹凸が形成されている。
そして、前記のようにエッチングガスと抑制ガスとを交互に用いることによって、図6Dのように、電解液の流れ方向に垂直な凹凸を有する貫通孔17が形成される。そして貫通孔17の内壁と、基板12表面との境界は鋭い角部となっている。
図7はこの貫通孔17の凹凸を省略した基板12の断面図である。なお、エッチングガスとしてはその他にCF、抑制ガスとしてはその他にCHFを用いることもできる。
その後、図8に示すようにレジストマスク22を除去し、この基板12を減圧した希ガス、または水素ガスまたは窒素ガス雰囲気下において、1000℃以上で加熱(アニール)する。
すると、図9に示すように開口部17A、17Bと基板12表面との角部が丸みを帯びていく。
また、例えば加熱温度を上げたり加熱条件を延長したりすることによって、角部が丸くなるだけでなく、図2に示したように貫通孔17の開口部17A、17Bの周辺には、基板12の表面上において滑らかに盛り上がる隆起部18A、18Bが形成される。
これらの現象は、シリコン原子の表面自己拡散現象により説明することができる。
すなわち、表面原子の化学ポテンシャルは、物質の表面曲率に比例することが知られており、この効果はGibbs−Thomson効果と呼ばれる。
本効果によると、図8に示した状態では、貫通孔17の開口部17A、17Bと基板12の表面との境界には明確な角部を有することから、開口部17A、17Bの周辺の各シリコン原子は化学ポテンシャルが高い状態で存在している。
従って、この状態でシリコン原子が表面拡散するのに十分なエネルギーを与えた場合、化学ポテンシャルの勾配が低くなる方へ表面自己拡散現象が誘発され、その結果、図9に示したように貫通孔17の開口部17A、17Bと基板12の表面との境界は、丸みを帯びた滑らかな湾曲面で繋がることになる。
また、この表面自己拡散反応が進むと、図2に示したように貫通孔17の開口部17A、17Bの周辺には基板12の表面において、滑らかに盛り上がる隆起部18A、18Bが形成される。この原因としては、湾曲面の曲率は小さい方が安定であるためであり、基板12の表面から貫通孔17にかけて、全体ができるだけ緩やかなカーブを描くように拡散が進行するためと考えられる。
このとき、ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素のいずれか一つ、またはこれらの混合物を用いることができる。なお、実験により、特に水素を用いた際には、その圧力に応じて拡散速度を大きく変動させ得ることが分かっており、高精度に拡散を制御できるといった生産面での効果が得られる。なお、不活性ガス雰囲気の圧力は、27kPa以下に制御されることが望ましい。このことにより、所望の形状を高速で実現することが可能となる。
また、基板12にシリコンを用いた場合、シリコンの表面自己拡散現象を引き起こすエネルギーを得るために、1000℃以上でアニールする必要がある。
なお、このような表面自己拡散現象は、アニール条件(不活性ガスの種類やアニール温度)を変更すれば、SiOなどのシリコン以外の材料でも見られ、これらの材料を基板12の材料として用いることもできる。
また、加熱(アニール)を用いない方法として、基板12の上面、下面から順次、例えば化学気相析出法(CVD法)などによって、シリコンまたはシリコン以外の材料を成膜することで同様の形状が得られる。このような手法を用いた際には、シリコン以外の様々な材料を選択することが可能であり、細胞と基板12の相性を考慮した構成とすることができる。
本実施の形態1における細胞電気生理センサの効果を以下に説明する。
本実施の形態1における細胞電気生理センサ11は、貫通孔17に出入りする電解液(第一電解液20および第二電解液21)を流れやすくし、被検体細胞19の捕捉率を向上させることができる。この理由を以下に説明する。
すなわち、流路の断面積が急激に変化すると、渦が発生したり、逆流したりして流体の抵抗損失が大きくなり、電解液(第一電解液20および第二電解液21)の流れが阻害される。
一方、本発明は、貫通孔17の開口部17A、17Bおよび貫通孔17の内壁が、上述のように基板12の表面から貫通孔17の内部に向けて、貫通孔17の内側に湾曲する滑らかな曲面で構成されている。これによって、第一電極槽13から貫通孔17の内部へ、さらにこの貫通孔17の内部から第二電極槽15へと、流路の断面積変化を緩慢にすることができ、流体の抵抗損失が低減されるのである。そしてその結果、貫通孔に出入りする電解液(第一電解液20および第二電解液21)が流れやすくなり、被検体細胞19を的確に吸引し、開口部17Aへの捕捉率を向上させることができるのである。
また、貫通孔17の開口部17A、17Bおよび貫通孔17の内壁を二乗平均粗さRq=1.0nm以下の平滑な面としたため、電解液(第一電解液20および第二電解液21)の摩擦抵抗が低減され、さらに流れやすくすることができる。
また、貫通孔17の内部の気泡を低減することによって、細胞電気生理センサ11の測定誤差を抑制することができる。
すなわち、従来は微細な貫通孔17を形成すると、この貫通孔17の内壁に凹凸ができるため、貫通孔17の内部に気泡が発生しやすく、この気泡によって抵抗値が変動し、測定誤差を招来していた。またこの気泡が貫通孔17を完全に塞いでしまうと、第一電極槽13と第二電極槽15とが完全に絶縁されてしまい、測定が実質不可能になっていた。
一方、本実施の形態1では、アニール処理によってこの凹凸を取り除き、二乗平均粗さRq=1.0nm以下の平滑な面としたため、気泡の発生を抑制することができる。また、僅かに発生した気泡も、電解液(第一電解液20および第二電解液21)の円滑な流れに伴って移動させ、除去することができる。
さらに、前記貫通孔17の内壁は、貫通孔17の内側へ湾曲し、貫通孔17の略中心点で突出する曲面で構成されており、貫通孔17の内径は貫通孔17の中心点から貫通孔17の開口部17A、17Bに向かって徐々に大きくなる構造をしている。
よって、貫通孔17の中心点で流速が最大となり、その水圧で気泡を押し流すことができる。ここで気泡は貫通孔17の内部へ行くほど除去し難いことから、この構造は気泡低減を実現する為に非常に有用である。
また、基板12の下面における貫通孔17の開口部17Bの周辺に隆起部18Bを形成したことによって、測定誤差を低減することができる。この要因としては、貫通孔17から押し流した気泡が基板12の下面に付着すると、抵抗成分の増大により測定誤差を招来するが、隆起部18Bを設けることによって、気泡を隆起部18Bの斜面に沿って第二電極槽15へと放出することができるためと考えられる。
さらに、開口部17Aの湾曲面に沿って被検体細胞が捕捉されるため、被検体細胞19と貫通孔17の開口部17Aとの密着性を高めるとともに、その密着状態を維持しやすくなり、細胞電気生理センサ11の測定精度を向上させることができる。
それは、貫通孔17の開口部17Aが二乗平均粗さRq=1.0nm以下の平滑な面で形成されていることと、基板12の上面において同じく二乗平均粗さRq=1.0nm以下の滑らかな隆起部18Aを有することに由来する。
このような表面形状によって、被検体細胞19と貫通孔17の開口部17Aとの密着性が増大し、高いシール性を得ることができる。そして前記隆起部18Aによって被検体細胞19と開口部17Aとの接触面積を増大させることができる。さらに隆起部18Aの最外周から前記貫通孔17の開口部17Aの中心までの距離r1を、被検体細胞19の半径より短くすることによって、この開口部17Aと被検体細胞19との接触面積をより増大させることができる。
そしてその結果、的確に被検体細胞19を開口部17Aに密着保持することができ、細胞電気生理センサ11の測定精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態1では基板12の上面に隆起部18A、下面に隆起部18Bを形成したが、図9の断面図および図10の斜視図に示すように、隆起部18Aおよび18Bのいずれをも形成しない場合でも、開口部17A、17Bを基板12表面と繋がる湾曲面で形成したことにより、電解液が流れやすくなり、また気泡の存在を低減し、さらに細胞と貫通孔17の開口部17Aとの密着性を向上させる効果を有する。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。図11は実施の形態2における細胞電気生理センサ用チップの基板の断面図である。
本実施の形態2における細胞電気生理センサに用いる基板12の構成は、図11に示すように基板12の両面と貫通孔17の内壁表面を絶縁層24で被覆したものである。
このような構成とすることにより、被検体細胞19を貫通孔17の開口部17Aに密着保持した際、第一電極槽13と第二電極槽15とを、被検体細胞19を通る経路を除いて電気的に確実に絶縁することができる。
また、絶縁層24として酸化シリコン、窒化シリコンのような親水性の高い材料を用いた場合、被検体細胞19も水酸基を含んだ親水性の表面を有していることから、この被検体細胞19を開口部17Aに高い密着性をもって保持することができる。
さらに、電解液(第一電解液20及び第二電解液21)との接触する部分の親水性が高まることにより、気泡の発生を効果的に抑制することが可能となる。
また、基板12としてシリコン基板12を用いた際には、前述の酸化シリコンや窒化シリコンからなる絶縁層24を、酸化処理および窒化処理により容易に作製でき、生産性向上の効果も同時に得られる。
(実施の形態3)
本実施の形態3と実施の形態1との違いは、図12のチップ36の断面図に示すように、予め基板12の片面に酸化物層25となる酸化シリコン層を積層している点である。
すなわち本実施の形態3では、図13に示すように、酸化物層25をシリコン層26で挟んだブロック27に、孔のあいたレジストマスク28を形成し、図14に示すように、基板12となるシリコン層26側からドライエッチングにより貫通孔17を形成する。図13、図14において、二層のシリコン層26のうちの上側のシリコン層26が、図12に示す基板12となる。
この時、シリコン層26より酸化物層25(酸化シリコン)の方がエッチングレートが小さいため、シリコン層26をエッチングしていくと、酸化物層25でエッチングがストップし、貫通孔17の深さおよび基板12(図12の基板12)の厚みを高精度に管理することができる。
次に、ドライエッチングによって、酸化物層25の貫通孔17と対応する位置にホール30(図12のホール30)を形成する。酸化物層25のエッチングに適したガスとしては、CFなどがある。
そしてその後、図15に示すように、シリコン層26にレジストマスク29を形成し、シリコン層26をエッチングする。
そして、最後に希ガスや窒素ガス、水素ガス雰囲気下で基板12を加熱するか、あるいは基板12の両面から気相法によって成膜することにより、図12のチップ36が形成される。
なお、この酸化物層25は、基板12の上面、すなわち、被検体細胞を捕捉する側の面に配置してもよく、基板12の下面に配置してもよい。特に基板12下方から流体を吸引しやすくしたい場合は、基板12の上面に酸化物層25を配置すればよく、特に基板12の上方において流れやすくしたい場合は基板12の下面に酸化物層25を配置すればよい。
さらに、図16に示すように、基板12の一面であって、酸化物層25が形成されていない側の面および貫通孔17内壁に、絶縁層31を形成すれば、基板12の上方および下方間の電気的絶縁性を向上させることができる。
また図17に示すように、隆起部18を形成してもよい。
その他の実施の形態と同様の構成および効果については説明を省略する。
(実施の形態4)
図18に示すように、本実施の形態4の細胞電気生理センサ11に用いる基板12は、基板12の上面(第一の面)に形成された凹部32と、凹部32から基板12の下面(第二の面)までを貫く貫通孔17を有する。
この貫通孔17の開口部17A、17Bは、滑らかな曲面で形成されており、基板12の上面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の下面とは、それぞれ湾曲面で繋がっている。ここで本実施の形態4では、貫通孔17の開口部17A、17Bの表面および内壁と、凹部32の内壁は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下とした。
また、本実施の形態4では、凹部32は貫通孔17の開口部17Aを中心に外方へ広がり、基板12の上面と繋がる湾曲面で形成されており、凹部32の最深部から貫通孔17が形成されているものである。
なお本実施の形態では、凹部32の形状を、半球形状あるいは略半球形状とした。このように半球形状あるいは略半球形状とすることで、被検体細胞が真球である場合に、細胞を歪ませることなく保持しやすくなる。また被検体細胞が5〜50μm程度の大きさの場合には、凹部32の開口部32Aの直径は約30μmが望ましい。
次に、本実施の形態における細胞電気生理センサ11の製造方法について説明する。
まず、図19に示すように、シリコンからなる基板12の上面にレジストマスク33を形成する。このとき、所望する貫通孔17の断面と略同形状のマスクホール34をパターニングしておく。
次に、図20に示すように、基板12をエッチングすることで凹部32を形成する。このときのエッチング方法としては、高精度な微細加工が可能なドライエッチングが望ましい。このとき用いるエッチングガスとして、SF、CF、NF、XeF、またはこれらの混合ガスのいずれかを用いることができる。これらはシリコンのエッチングを深さ方向だけでなく、水平方向へのエッチングも促進する作用があるため、基板12を半球形状の碗型に高精度にエッチングすることができる。また、本実施の形態4においては、エッチングを促進するガスに、N、Ar、HeまたはHなどのキャリアガスを混合して用いた。
その後、図21に示すように、前述のレジストマスク33を配置した状態で、凹部32の底面から基板12の下面までを垂直方向に貫く貫通孔17を形成する。
なお、このときには実施の形態1と同様に、エッチングガスと抑制ガスを交互に用いたドライエッチング処理を行う。
最後にレジストマスク33を除去し、この基板12を実施の形態1と同様に、減圧した不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上で加熱すると、本実施の形態4の滑らかな曲線を有した基板12(図18)を作製することができる。
また、加熱(アニール)を用いない場合には、実施の形態1と同様に、気相法による成膜によっても同様の形状を作製することができる。
以下、本実施の形態4における効果を説明する。
本実施の形態4では、図18に示すように、基板12の上面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の下面とは、それぞれ湾曲面で繋がっている。これにより、流路の急速な断面積変化が抑制され、流体の抵抗損失が低減し、貫通孔17に出入りする電解液20、21(図3に示す)が流れやすくなり、結果として被検体細胞の捕捉率が向上し、細胞電気生理センサ11の測定精度が高まる。
また本実施の形態4では、貫通孔17の開口部17A、17Bの表面および内壁と、凹部32の内壁とを、二乗平均粗さRq=1.0nm以下の非常に滑らかな状態としたことにより、流体の抵抗損失はさらに低減され、また気泡の発生も低減でき、被検体細胞の捕捉率が向上する。
また、基板12の上面に凹部32を形成することで、被検体細胞19を捕捉しやすくなり、さらに捕捉した被検体細胞19を維持しやすくなる。
また、貫通孔17の開口部17Aと被検体細胞19との接触面積が増えるため、貫通孔17の開口部17Aと被検体細胞19との密着性が向上する。
さらに本実施の形態4では、貫通孔17が凹部32の最深部に形成されているため、凹部32に捕捉された被検体細胞19を貫通孔17の開口部17Aにアライメントしやすくなる。そしてその結果、被検体細胞の捕捉率が向上する。
なお、本実施の形態4では、凹部32は半球形状としたが、図22に示すように、凹部32は円錐形状あるいは略円錐形状としてもよい。このように凹部32を円錐形状あるいは略円錐形状とすれば、凹部32の傾斜が急になり、被検体細胞が粘着性細胞である場合でも、凹部32の途中で粘着することなく貫通孔17へ到達する確率を高めることができる。
さらに、図18に示す基板12の表面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成すれば、基板12上下間の電気的絶縁性を向上させることができる。
また、あらかじめ基板12の下面(第二の面)に酸化物層(図示せず)を積層してもよい。これにより基板12の厚みを高精度に管理できる。なお、この場合、基板12の上面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成してもよい。
また、貫通孔17の開口部17A、17Bの外周に、外方にむけて隆起する隆起部(図示せず)を形成してもよい。これにより被検体細胞19と開口部17Aとの接触面積が増えるとともに、貫通孔17の開口部17Bに留まる気泡を低減することができる。
また、図23に示すように、基板12の上面により多数の凹部32を形成し、隣接する凹部32の内壁を互いに交差するものとしてもよい。これにより基板12の上面において、凹部32を形成している領域には平面部が殆どなくなり、交差部35に被検体細胞が接触した場合でも、付着することなく、重力によりいずれかの凹部32に傾き、その内壁に沿って凹部32の中心にアライメントされる。
また交差部35もアニール処理等によって、平滑な湾曲面とすることにより、接触した被検体細胞を傷つけることなく貫通孔17の開口部17Aへと導くことが可能となる。
また、図23において、隣接する貫通孔17の中心点間距離を、被検体細胞の平均直径の2倍より短くすることによって、一つの凹部32の中に複数の細胞がトラップされるのを防ぐことができる。
また、図23において、隣接する貫通孔17の中心点間距離を、被検体細胞の平均直径より長くすることにより、一つの凹部32に保持された被検体細胞同士の接触を低減することができる。そしてその結果、細胞電気生理センサ11の測定精度を向上させることが出来る。
本実施の形態4において、その他の実施の形態と同様の構成および効果については説明を省略する。
(実施の形態5)
本実施の形態5は、図24に示すように、実施の形態4の基板を上下反転させたものである。
すなわち、本実施の形態5の細胞電気生理センサ11に用いる基板12は、基板12の下面に形成された凹部32と、凹部32から基板12の上面までを貫く貫通孔17を有する。
この貫通孔17の開口部17C、17Dは、滑らかな曲面で形成されており、基板12の下面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の上面とは、それぞれ湾曲面で繋がっている。
ここで本実施の形態5では、貫通孔17の開口部17C、17Dの表面および内壁と、凹部32の内壁は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下とした。
また、本実施の形態5では、凹部32は貫通孔17の開口部17Dを中心に外方へ広がり、基板12の下面と繋がる湾曲面で形成されており、凹部32の最深部から貫通孔17が形成されているものである。
本実施の形態5では、貫通孔17から凹部32、凹部32から基板12下方の第二電極槽(図1の15)へと段階的に流路の断面積が変化するため、流体の抵抗損失が小さくなる。さらに基板12の下面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の上面とは、それぞれ平滑な湾曲面で繋がっていることから、流体抵抗をより低減できる。
また本実施の形態5では、基板12の下方に凹部32を形成しているため、基板12の下方から第二電解液21(図1の第二電解液21)を吸引しやすくなり、被検体細胞19と貫通孔17の開口部17Cとの密着性を向上させることができる。さらに、基板12の下方に凹部32を形成したことにより、基板12の下方から注入する薬剤(ナイスタチンなど)が貫通孔17へと回り込みやすくなる。
さらに、基板12の表面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成すれば、図1に示す第一電極槽13と第二電極槽15との間の電気的絶縁性を向上させることができる。
また、図25に示すように、あらかじめ基板12の上面に酸化物層25を積層してもよい。これにより基板12の厚みを高精度に管理できる。なお、この場合、基板12の下面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成してもよい。
また、貫通孔17の開口部17C、17Dの外周に、外方にむけて隆起する隆起部18を形成してもよい。貫通孔17の上方に隆起部18を形成すれば、被検体細胞19が開口部17Cに捕捉しやすくなり、また被検体細胞19と開口部17Cとの接触面積が増える。また貫通孔17の下方に隆起部18を形成すれば、開口部17Dに留まる気泡を低減することができる。
本実施の形態5において、その他の実施の形態と同様の構成および効果については説明を省略する。
以上のように、本発明にかかる細胞電気生理センサは、細胞を的確に吸引し、貫通孔の開口部に精度高く捕捉・保持することができるため、高精度かつ高効率な測定が求められる医療・バイオ分野において有用である。
本発明は、細胞の電気生理的活動の測定に用いられる細胞電気生理センサに用いるチップとこれを用いた細胞電気生理センサおよび細胞電気生理センサ用チップの製造方法に関するものである。
近年、細胞膜に存在するイオンチャネルを電気生理学的に測定する方法として、微細加工技術を利用した基板型プローブが注目されている。これは、従来のマイクロピペットのように、個々の細胞にマイクロピペットを挿入するという熟練作業を必要とせず、高スループットの自動化システムに適している。
例えば、図26に示すように、従来の開示された細胞電気生理センサ1(基板型プローブ)は、基板2と、基板2の上方に配置した電極槽3とを備えている。そして、基板2は、この基板2の上面から下面まで貫通する貫通孔5を有している。
また、電極槽3の内部には第一電極6を配置し、貫通孔5の内部には第二電極7を配置している。さらに、この第二電極7は配線8を経て信号検出部(図示せず)に連結されている。
前記細胞電気生理センサ1の動作方法について以下に説明する。
まず、電極槽3の内部に電解液9および被検体細胞10が注入され、この被検体細胞10が貫通孔5の開口部4にトラップ(捕捉)され、保持される。
そして、測定の際には被検体細胞10は貫通孔5の下方から吸引ポンプなどで吸引され、開口部4に密着した状態で保持される。すなわち、この貫通孔5がマイクロピペットにおける先端穴と同様の役割を果たしている。そして被検体細胞10のイオンチャネルの機能性や薬理反応などは、第一電極6と第二電極7との間における反応前後の電圧、あるいは電流を測定し、細胞内外の電位差を求めることによって分析している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の細胞電気生理センサ1においては、貫通孔5に出入りする電解液9の流れが悪く、被検体細胞10の捕捉率が悪いという問題があった。
それは、貫通孔5は非常に微細なため、電極槽3と貫通孔5との界面で流路の急速な断面積の変化が生じ、流体の抵抗損失が増大するためであった。そしてその結果、被検体細胞10を的確に吸引することが出来ず、捕捉率が低下してしまうものであった。
国際公開第02/055653号パンフレット
本発明は、貫通孔に出入りする電解液を流れやすくし、被検体細胞の捕捉率を向上させるものである。
そのために本発明は、基板の上面から下面までを貫く貫通孔を有し、この貫通孔の内壁と基板の表面とは、湾曲面で繋がっているものとした。
これにより本発明は、貫通孔に出入りする電解液を流れやすくし、被検体細胞の捕捉率を向上させることができる。
それは、貫通孔の開口部を基板表面と滑らかに繋がる湾曲面で形成にしたことによって、電極槽から貫通孔の内部にかけての流路の断面積の変化が緩慢となり、流体の抵抗損失が低減されるためである。そしてその結果、貫通孔に出入りする電解液が流れやすくなり、被検体細胞を的確に吸引し、捕捉率を向上させることができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。図1は実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図であり、図2はそれに用いる基板の断面図であり、図3は細胞電気生理センサの動作を示す要部拡大断面図であり、図4は基板の斜視図である。
なお、以下に説明する各実施の形態において、上方向とは図1に記載の矢印X方向を言うものとする。
図1に示すように、本実施の形態1における細胞電気生理センサ11は、基板12を備えたチップ36と、基板12の上方に配置した第一電極槽13と、この第一電極槽13の内部であって、基板12の上面に配置した第一電極14と、基板12の下方に配置した第二電極槽15と、この第二電極槽15の内部であって基板12の下面に配置した第二電極16とを備えており、基板12は上面から下面に向けて形成された貫通孔17を有している。
そして、図1の点線で囲った部分Yを拡大した図が図2であり、この図2に示すように、開口部17A、17Bは、基板12の上面および下面から貫通孔17の内側に向かって湾曲し、貫通孔17の内部へと繋がる滑らかな曲面で形成されている。
また貫通孔17の内壁は、この貫通孔17の内側へ湾曲し、且つこの貫通孔17の深さ方向における略中心点で突出する滑らかな曲面で形成されている。
すなわち、この貫通孔17の口径は、貫通孔17の深さ方向における中心点あるいは略中心点で最小内径となり、開口部17A、17Bに向けて徐々に大きくなっている。
また、本実施の形態では、開口部17A、17Bの外周は、基板12表面において滑らかに盛り上がる隆起部18A、18Bを有している。そして図3の断面図に示すように、この隆起部18Aは、前記基板12の上において、隆起部18Aの最外周から開口部17Aの中心までの距離r1が、被検体細胞19の半径より短いものとした。
なお、本実施の形態では、開口部17A、17B、貫通孔17の内壁、および隆起部18A、18Bの各表面形状は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下の滑らかさである。この二乗平均粗さRqは、表面粗さの分布を測定した際の、平均値から測定値までの偏差の二乗を平均した値の平方根で定義される。また、被検体細胞19の半径とは、被検体細胞19を生理食塩水に含浸させ、細胞内外の浸透圧が平衡となった状態での計測値を用いた。
なお、チップ36の基板12としてシリコン基板12を用い、図4に示すように、この基板12には複数の貫通孔17を形成している。この貫通孔17内部の最小内径は3μmとした。
なお、貫通孔17の内径は測定する細胞の大きさ、形状、性質によって決定することができる。例えば、被検体細胞19の大きさが5〜50μm程度の場合に、被検体細胞19と開口部17Aとの密着性を高めるため、貫通孔17の最小内径を3μm以下とすることが望ましい。また貫通孔17の深さは15μm以下とした。
次に、本発明の細胞電気生理センサ11の動作について説明する。
まず図3に示すように、第一電極槽13に被検体細胞19を含んだ第一電解液20(細胞外液)を満たし、第二電極槽15には第二電解液21(細胞内液)を満たしておく。そして基板12の上面から加圧するか、下面を減圧することによって、被検体細胞19と第一電解液20とを貫通孔17へ引き込む。すると、被検体細胞19は貫通孔17を塞ぐように保持される。
そして、本実施の形態1では、被検体細胞19として哺乳類筋細胞を用い、第一電解液20にはKイオンが155mM程度、Naイオンが12mM程度、Clイオンが4.2mM程度添加された電解液を用い、第二電解液21には、Kイオンが4mM程度、Naイオンが145mM程度、Clイオンが123mM程度添加された電解液を用いた。なお、第一電解液20と第二電解液21とは同組成のものを用いることもできる。
次に、基板12の下面側から吸引するか、もしくは基板12下方から薬剤(例えばナイスタチン)を投入することにより、被検体細胞19に微細小孔を形成する。
その後、被検体細胞19への刺激となりうる行為を基板12の上方から施す。この刺激の種類としては、例えば化学薬品、毒物などの化学的な刺激に加え、機械的変位、光、熱、電気、電磁波などの物理的な刺激なども含む。
そして、被検体細胞19がこれらの刺激に対して活発に反応する場合、例えば被検体細胞19は細胞膜が保有するチャネルを通じて各種イオンを放出あるいは吸収する。これにより、細胞内外の電位勾配が変化するため、図1に示す第一電極14と第二電極16によってその変化を検出し、細胞の薬理反応などを検討することができる。
次に、本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサ11の製造方法について図面を用いて説明する。図5〜図9は細胞電気生理センサ11の基板12の製造方法を説明するための断面図、図10は同斜視図である。
まず、図5に示すように、シリコンからなる基板12の上面にレジストマスク22を形成する。このとき、所望する貫通孔17の断面と略同形状のマスクホール23をパターニングしておく。
次に、基板12をエッチングして貫通孔(図2の17)を形成していく。このときのエッチング方法としては、高精度な微細加工が可能なドライエッチングが望ましい。そしてドライエッチングを行う場合、アスペクト比の高い貫通孔17を形成するために、エッチングを促進するガス(以下エッチングガスという)とエッチングを抑制するガス(以下抑制ガスという)とを交互に用いる。
本実施の形態1では、エッチングガスとしてSF、抑制ガスとしてCを用いた。
このドライエッチング工程について以下に詳述する。
まず、図6Aの基板12の上方において、外部コイルの誘導結合法によりプラズマを生成し、ここへエッチングガスとしてSFを導入するとFラジカルを生成し、Fラジカルが基板12と反応して基板12は化学的にエッチングされる。
この時、基板12に高周波を印加すると、基板12にはマイナスのバイアス電圧が発生する。すると、エッチングガスに含まれるプラスイオン(SF5)が基板12に向かって垂直に衝突し、このイオン衝撃によって基板12が物理的にエッチングされる。
その結果、図6Bに示すように、ドライエッチングは基板12の垂直方向(下方)に進むことになる。
一方、抑制ガスCを用いる際には、基板12に高周波を加えないでおく。そうすることによって、基板12にはバイアス電圧は全く発生しない。
従って、抑制ガスCに含まれるCFは、偏向を受けることなく、基板12のドライエッチング穴の壁面に付着し、均一な膜を形成する。
そして、このCFの膜は、保護膜となってエッチングを抑制する。ここで、この保護膜は貫通孔17の壁面部分だけでなく底面にも形成されるが、底面に形成された保護膜は、壁面に形成された保護膜に比較して、前記イオン衝撃により容易に除去されるため、エッチングは下方に進むことになる。ただし底面の保護膜が除去された部分の下方は、エッチングが下方向だけでなく横方向へも等方的に進行するため、図6Cのように貫通孔17の壁面は、凹凸が形成されている。
そして、前記のようにエッチングガスと抑制ガスとを交互に用いることによって、図6Dのように、電解液の流れ方向に垂直な凹凸を有する貫通孔17が形成される。そして貫通孔17の内壁と、基板12表面との境界は鋭い角部となっている。
図7はこの貫通孔17の凹凸を省略した基板12の断面図である。なお、エッチングガスとしてはその他にCF、抑制ガスとしてはその他にCHFを用いることもできる。
その後、図8に示すようにレジストマスク22を除去し、この基板12を減圧した希ガス、または水素ガスまたは窒素ガス雰囲気下において、1000℃以上で加熱(アニール)する。
すると、図9に示すように開口部17A、17Bと基板12表面との角部が丸みを帯びていく。
また、例えば加熱温度を上げたり加熱条件を延長したりすることによって、角部が丸くなるだけでなく、図2に示したように貫通孔17の開口部17A、17Bの周辺には、基板12の表面上において滑らかに盛り上がる隆起部18A、18Bが形成される。
これらの現象は、シリコン原子の表面自己拡散現象により説明することができる。
すなわち、表面原子の化学ポテンシャルは、物質の表面曲率に比例することが知られており、この効果はGibbs−Thomson効果と呼ばれる。
本効果によると、図8に示した状態では、貫通孔17の開口部17A、17Bと基板12の表面との境界には明確な角部を有することから、開口部17A、17Bの周辺の各シリコン原子は化学ポテンシャルが高い状態で存在している。
従って、この状態でシリコン原子が表面拡散するのに十分なエネルギーを与えた場合、化学ポテンシャルの勾配が低くなる方へ表面自己拡散現象が誘発され、その結果、図9に示したように貫通孔17の開口部17A、17Bと基板12の表面との境界は、丸みを帯びた滑らかな湾曲面で繋がることになる。
また、この表面自己拡散反応が進むと、図2に示したように貫通孔17の開口部17A、17Bの周辺には基板12の表面において、滑らかに盛り上がる隆起部18A、18Bが形成される。この原因としては、湾曲面の曲率は小さい方が安定であるためであり、基板12の表面から貫通孔17にかけて、全体ができるだけ緩やかなカーブを描くように拡散が進行するためと考えられる。
このとき、ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素のいずれか一つ、またはこれらの混合物を用いることができる。なお、実験により、特に水素を用いた際には、その圧力に応じて拡散速度を大きく変動させ得ることが分かっており、高精度に拡散を制御できるといった生産面での効果が得られる。なお、不活性ガス雰囲気の圧力は、27kPa以下に制御されることが望ましい。このことにより、所望の形状を高速で実現することが可能となる。
また、基板12にシリコンを用いた場合、シリコンの表面自己拡散現象を引き起こすエネルギーを得るために、1000℃以上でアニールする必要がある。
なお、このような表面自己拡散現象は、アニール条件(不活性ガスの種類やアニール温度)を変更すれば、SiOなどのシリコン以外の材料でも見られ、これらの材料を基板12の材料として用いることもできる。
また、加熱(アニール)を用いない方法として、基板12の上面、下面から順次、例えば化学気相析出法(CVD法)などによって、シリコンまたはシリコン以外の材料を成膜することで同様の形状が得られる。このような手法を用いた際には、シリコン以外の様々な材料を選択することが可能であり、細胞と基板12の相性を考慮した構成とすることができる。
本実施の形態1における細胞電気生理センサの効果を以下に説明する。
本実施の形態1における細胞電気生理センサ11は、貫通孔17に出入りする電解液(第一電解液20および第二電解液21)を流れやすくし、被検体細胞19の捕捉率を向上させることができる。この理由を以下に説明する。
すなわち、流路の断面積が急激に変化すると、渦が発生したり、逆流したりして流体の抵抗損失が大きくなり、電解液(第一電解液20および第二電解液21)の流れが阻害される。
一方、本発明は、貫通孔17の開口部17A、17Bおよび貫通孔17の内壁が、上述のように基板12の表面から貫通孔17の内部に向けて、貫通孔17の内側に湾曲する滑らかな曲面で構成されている。これによって、第一電極槽13から貫通孔17の内部へ、さらにこの貫通孔17の内部から第二電極槽15へと、流路の断面積変化を緩慢にすることができ、流体の抵抗損失が低減されるのである。そしてその結果、貫通孔に出入りする電解液(第一電解液20および第二電解液21)が流れやすくなり、被検体細胞19を的確に吸引し、開口部17Aへの捕捉率を向上させることができるのである。
また、貫通孔17の開口部17A、17Bおよび貫通孔17の内壁を二乗平均粗さRq=1.0nm以下の平滑な面としたため、電解液(第一電解液20および第二電解液21)の摩擦抵抗が低減され、さらに流れやすくすることができる。
また、貫通孔17の内部の気泡を低減することによって、細胞電気生理センサ11の測定誤差を抑制することができる。
すなわち、従来は微細な貫通孔17を形成すると、この貫通孔17の内壁に凹凸ができるため、貫通孔17の内部に気泡が発生しやすく、この気泡によって抵抗値が変動し、測定誤差を招来していた。またこの気泡が貫通孔17を完全に塞いでしまうと、第一電極槽13と第二電極槽15とが完全に絶縁されてしまい、測定が実質不可能になっていた。
一方、本実施の形態1では、アニール処理によってこの凹凸を取り除き、二乗平均粗さRq=1.0nm以下の平滑な面としたため、気泡の発生を抑制することができる。また、僅かに発生した気泡も、電解液(第一電解液20および第二電解液21)の円滑な流れに伴って移動させ、除去することができる。
さらに、前記貫通孔17の内壁は、貫通孔17の内側へ湾曲し、貫通孔17の略中心点で突出する曲面で構成されており、貫通孔17の内径は貫通孔17の中心点から貫通孔17の開口部17A、17Bに向かって徐々に大きくなる構造をしている。
よって、貫通孔17の中心点で流速が最大となり、その水圧で気泡を押し流すことができる。ここで気泡は貫通孔17の内部へ行くほど除去し難いことから、この構造は気泡低減を実現する為に非常に有用である。
また、基板12の下面における貫通孔17の開口部17Bの周辺に隆起部18Bを形成したことによって、測定誤差を低減することができる。この要因としては、貫通孔17から押し流した気泡が基板12の下面に付着すると、抵抗成分の増大により測定誤差を招来するが、隆起部18Bを設けることによって、気泡を隆起部18Bの斜面に沿って第二電極槽15へと放出することができるためと考えられる。
さらに、開口部17Aの湾曲面に沿って被検体細胞が捕捉されるため、被検体細胞19と貫通孔17の開口部17Aとの密着性を高めるとともに、その密着状態を維持しやすくなり、細胞電気生理センサ11の測定精度を向上させることができる。
それは、貫通孔17の開口部17Aが二乗平均粗さRq=1.0nm以下の平滑な面で形成されていることと、基板12の上面において同じく二乗平均粗さRq=1.0nm以下の滑らかな隆起部18Aを有することに由来する。
このような表面形状によって、被検体細胞19と貫通孔17の開口部17Aとの密着性が増大し、高いシール性を得ることができる。そして前記隆起部18Aによって被検体細胞19と開口部17Aとの接触面積を増大させることができる。さらに隆起部18Aの最外周から前記貫通孔17の開口部17Aの中心までの距離r1を、被検体細胞19の半径より短くすることによって、この開口部17Aと被検体細胞19との接触面積をより増大させることができる。
そしてその結果、的確に被検体細胞19を開口部17Aに密着保持することができ、細胞電気生理センサ11の測定精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態1では基板12の上面に隆起部18A、下面に隆起部18Bを形成したが、図9の断面図および図10の斜視図に示すように、隆起部18Aおよび18Bのいずれをも形成しない場合でも、開口部17A、17Bを基板12表面と繋がる湾曲面で形成したことにより、電解液が流れやすくなり、また気泡の存在を低減し、さらに細胞と貫通孔17の開口部17Aとの密着性を向上させる効果を有する。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサについて、図面を参照しながら説明する。図11は実施の形態2における細胞電気生理センサ用チップの基板の断面図である。
本実施の形態2における細胞電気生理センサに用いる基板12の構成は、図11に示すように基板12の両面と貫通孔17の内壁表面を絶縁層24で被覆したものである。
このような構成とすることにより、被検体細胞19を貫通孔17の開口部17Aに密着保持した際、第一電極槽13と第二電極槽15とを、被検体細胞19を通る経路を除いて電気的に確実に絶縁することができる。
また、絶縁層24として酸化シリコン、窒化シリコンのような親水性の高い材料を用いた場合、被検体細胞19も水酸基を含んだ親水性の表面を有していることから、この被検体細胞19を開口部17Aに高い密着性をもって保持することができる。
さらに、電解液(第一電解液20及び第二電解液21)との接触する部分の親水性が高まることにより、気泡の発生を効果的に抑制することが可能となる。
また、基板12としてシリコン基板12を用いた際には、前述の酸化シリコンや窒化シリコンからなる絶縁層24を、酸化処理および窒化処理により容易に作製でき、生産性向上の効果も同時に得られる。
(実施の形態3)
本実施の形態3と実施の形態1との違いは、図12のチップ36の断面図に示すように、予め基板12の片面に酸化物層25となる酸化シリコン層を積層している点である。
すなわち本実施の形態3では、図13に示すように、酸化物層25をシリコン層26で挟んだブロック27に、孔のあいたレジストマスク28を形成し、図14に示すように、基板12となるシリコン層26側からドライエッチングにより貫通孔17を形成する。図13、図14において、二層のシリコン層26のうちの上側のシリコン層26が、図12に示す基板12となる。
この時、シリコン層26より酸化物層25(酸化シリコン)の方がエッチングレートが小さいため、シリコン層26をエッチングしていくと、酸化物層25でエッチングがストップし、貫通孔17の深さおよび基板12(図12の基板12)の厚みを高精度に管理することができる。
次に、ドライエッチングによって、酸化物層25の貫通孔17と対応する位置にホール30(図12のホール30)を形成する。酸化物層25のエッチングに適したガスとしては、CFなどがある。
そしてその後、図15に示すように、シリコン層26にレジストマスク29を形成し、シリコン層26をエッチングする。
そして、最後に希ガスや窒素ガス、水素ガス雰囲気下で基板12を加熱するか、あるいは基板12の両面から気相法によって成膜することにより、図12のチップ36が形成される。
なお、この酸化物層25は、基板12の上面、すなわち、被検体細胞を捕捉する側の面に配置してもよく、基板12の下面に配置してもよい。特に基板12下方から流体を吸引しやすくしたい場合は、基板12の上面に酸化物層25を配置すればよく、特に基板12の上方において流れやすくしたい場合は基板12の下面に酸化物層25を配置すればよい。
さらに、図16に示すように、基板12の一面であって、酸化物層25が形成されていない側の面および貫通孔17内壁に、絶縁層31を形成すれば、基板12の上方および下方間の電気的絶縁性を向上させることができる。
また図17に示すように、隆起部18を形成してもよい。
その他の実施の形態と同様の構成および効果については説明を省略する。
(実施の形態4)
図18に示すように、本実施の形態4の細胞電気生理センサ11に用いる基板12は、基板12の上面(第一の面)に形成された凹部32と、凹部32から基板12の下面(第二の面)までを貫く貫通孔17を有する。
この貫通孔17の開口部17A、17Bは、滑らかな曲面で形成されており、基板12の上面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の下面とは、それぞれ湾曲面で繋がっている。ここで本実施の形態4では、貫通孔17の開口部17A、17Bの表面および内壁と、凹部32の内壁は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下とした。
また、本実施の形態4では、凹部32は貫通孔17の開口部17Aを中心に外方へ広がり、基板12の上面と繋がる湾曲面で形成されており、凹部32の最深部から貫通孔17が形成されているものである。
なお本実施の形態では、凹部32の形状を、半球形状あるいは略半球形状とした。このように半球形状あるいは略半球形状とすることで、被検体細胞が真球である場合に、細胞を歪ませることなく保持しやすくなる。また被検体細胞が5〜50μm程度の大きさの場合には、凹部32の開口部32Aの直径は約30μmが望ましい。
次に、本実施の形態における細胞電気生理センサ11の製造方法について説明する。
まず、図19に示すように、シリコンからなる基板12の上面にレジストマスク33を形成する。このとき、所望する貫通孔17の断面と略同形状のマスクホール34をパターニングしておく。
次に、図20に示すように、基板12をエッチングすることで凹部32を形成する。このときのエッチング方法としては、高精度な微細加工が可能なドライエッチングが望ましい。このとき用いるエッチングガスとして、SF、CF、NF、XeF、またはこれらの混合ガスのいずれかを用いることができる。これらはシリコンのエッチングを深さ方向だけでなく、水平方向へのエッチングも促進する作用があるため、基板12を半球形状の碗型に高精度にエッチングすることができる。また、本実施の形態4においては、エッチングを促進するガスに、N、Ar、HeまたはHなどのキャリアガスを混合して用いた。
その後、図21に示すように、前述のレジストマスク33を配置した状態で、凹部32の底面から基板12の下面までを垂直方向に貫く貫通孔17を形成する。
なお、このときには実施の形態1と同様に、エッチングガスと抑制ガスを交互に用いたドライエッチング処理を行う。
最後にレジストマスク33を除去し、この基板12を実施の形態1と同様に、減圧した不活性ガス雰囲気下において、1000℃以上で加熱すると、本実施の形態4の滑らかな曲線を有した基板12(図18)を作製することができる。
また、加熱(アニール)を用いない場合には、実施の形態1と同様に、気相法による成膜によっても同様の形状を作製することができる。
以下、本実施の形態4における効果を説明する。
本実施の形態4では、図18に示すように、基板12の上面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の下面とは、それぞれ湾曲面で繋がっている。これにより、流路の急速な断面積変化が抑制され、流体の抵抗損失が低減し、貫通孔17に出入りする電解液20、21(図3に示す)が流れやすくなり、結果として被検体細胞の捕捉率が向上し、細胞電気生理センサ11の測定精度が高まる。
また本実施の形態4では、貫通孔17の開口部17A、17Bの表面および内壁と、凹部32の内壁とを、二乗平均粗さRq=1.0nm以下の非常に滑らかな状態としたことにより、流体の抵抗損失はさらに低減され、また気泡の発生も低減でき、被検体細胞の捕捉率が向上する。
また、基板12の上面に凹部32を形成することで、被検体細胞19を捕捉しやすくなり、さらに捕捉した被検体細胞19を維持しやすくなる。
また、貫通孔17の開口部17Aと被検体細胞19との接触面積が増えるため、貫通孔17の開口部17Aと被検体細胞19との密着性が向上する。
さらに本実施の形態4では、貫通孔17が凹部32の最深部に形成されているため、凹部32に捕捉された被検体細胞19を貫通孔17の開口部17Aにアライメントしやすくなる。そしてその結果、被検体細胞の捕捉率が向上する。
なお、本実施の形態4では、凹部32は半球形状としたが、図22に示すように、凹部32は円錐形状あるいは略円錐形状としてもよい。このように凹部32を円錐形状あるいは略円錐形状とすれば、凹部32の傾斜が急になり、被検体細胞が粘着性細胞である場合でも、凹部32の途中で粘着することなく貫通孔17へ到達する確率を高めることができる。
さらに、図18に示す基板12の表面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成すれば、基板12上下間の電気的絶縁性を向上させることができる。
また、あらかじめ基板12の下面(第二の面)に酸化物層(図示せず)を積層してもよい。これにより基板12の厚みを高精度に管理できる。なお、この場合、基板12の上面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成してもよい。
また、貫通孔17の開口部17A、17Bの外周に、外方にむけて隆起する隆起部(図示せず)を形成してもよい。これにより被検体細胞19と開口部17Aとの接触面積が増えるとともに、貫通孔17の開口部17Bに留まる気泡を低減することができる。
また、図23に示すように、基板12の上面により多数の凹部32を形成し、隣接する凹部32の内壁を互いに交差するものとしてもよい。これにより基板12の上面において、凹部32を形成している領域には平面部が殆どなくなり、交差部35に被検体細胞が接触した場合でも、付着することなく、重力によりいずれかの凹部32に傾き、その内壁に沿って凹部32の中心にアライメントされる。
また交差部35もアニール処理等によって、平滑な湾曲面とすることにより、接触した被検体細胞を傷つけることなく貫通孔17の開口部17Aへと導くことが可能となる。
また、図23において、隣接する貫通孔17の中心点間距離を、被検体細胞の平均直径の2倍より短くすることによって、一つの凹部32の中に複数の細胞がトラップされるのを防ぐことができる。
また、図23において、隣接する貫通孔17の中心点間距離を、被検体細胞の平均直径より長くすることにより、一つの凹部32に保持された被検体細胞同士の接触を低減することができる。そしてその結果、細胞電気生理センサ11の測定精度を向上させることが出来る。
本実施の形態4において、その他の実施の形態と同様の構成および効果については説明を省略する。
(実施の形態5)
本実施の形態5は、図24に示すように、実施の形態4の基板を上下反転させたものである。
すなわち、本実施の形態5の細胞電気生理センサ11に用いる基板12は、基板12の下面に形成された凹部32と、凹部32から基板12の上面までを貫く貫通孔17を有する。
この貫通孔17の開口部17C、17Dは、滑らかな曲面で形成されており、基板12の下面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の上面とは、それぞれ湾曲面で繋がっている。
ここで本実施の形態5では、貫通孔17の開口部17C、17Dの表面および内壁と、凹部32の内壁は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下とした。
また、本実施の形態5では、凹部32は貫通孔17の開口部17Dを中心に外方へ広がり、基板12の下面と繋がる湾曲面で形成されており、凹部32の最深部から貫通孔17が形成されているものである。
本実施の形態5では、貫通孔17から凹部32、凹部32から基板12下方の第二電極槽(図1の15)へと段階的に流路の断面積が変化するため、流体の抵抗損失が小さくなる。さらに基板12の下面と凹部32の内壁、この凹部32の内壁と貫通孔17の内壁、およびこの貫通孔17の内壁と基板12の上面とは、それぞれ平滑な湾曲面で繋がっていることから、流体抵抗をより低減できる。
また本実施の形態5では、基板12の下方に凹部32を形成しているため、基板12の下方から第二電解液21(図1の第二電解液21)を吸引しやすくなり、被検体細胞19と貫通孔17の開口部17Cとの密着性を向上させることができる。さらに、基板12の下方に凹部32を形成したことにより、基板12の下方から注入する薬剤(ナイスタチンなど)が貫通孔17へと回り込みやすくなる。
さらに、基板12の表面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成すれば、図1に示す第一電極槽13と第二電極槽15との間の電気的絶縁性を向上させることができる。
また、図25に示すように、あらかじめ基板12の上面に酸化物層25を積層してもよい。これにより基板12の厚みを高精度に管理できる。なお、この場合、基板12の下面と、凹部32および貫通孔17の内壁とに絶縁層(図示せず)を形成してもよい。
また、貫通孔17の開口部17C、17Dの外周に、外方にむけて隆起する隆起部18を形成してもよい。貫通孔17の上方に隆起部18を形成すれば、被検体細胞19が開口部17Cに捕捉しやすくなり、また被検体細胞19と開口部17Cとの接触面積が増える。また貫通孔17の下方に隆起部18を形成すれば、開口部17Dに留まる気泡を低減することができる。
本実施の形態5において、その他の実施の形態と同様の構成および効果については説明を省略する。
以上のように、本発明にかかる細胞電気生理センサは、細胞を的確に吸引し、貫通孔の開口部に精度高く捕捉・保持することができるため、高精度かつ高効率な測定が求められる医療・バイオ分野において有用である。
本発明の一実施の形態における細胞電気生理センサの断面図 本発明の一実施の形態における基板の断面図(図1のY部分) 本発明の一実施の形態における細胞電気生理センサの動作を示す要部拡大断面図 本発明の一実施の形態における基板の斜視図 本発明の一実施の形態における基板の製造工程を示す断面図 本発明の一実施の形態における基板の要部断面図 同要部断面図 同要部断面図 同要部断面図 本発明の一実施の形態における基板の製造工程を示す断面図 同基板の製造工程を示す断面図 同基板の製造工程を示す断面図 本発明の一実施の形態における基板の斜視図 本発明の一実施の形態における基板の断面図 本発明の一実施の形態におけるチップの断面図 本発明の一実施の形態におけるチップの製造工程を示す断面図 同チップの製造工程を示す断面図 同チップの製造工程を示す断面図 本発明の一実施の形態における基板の断面図 同断面図 同断面図 本発明の一実施の形態における基板の製造工程を示す断面図 同基板の製造工程を示す断面図 同基板の製造工程を示す断面図 本発明の一実施の形態における基板の断面図 同断面図 同断面図 同断面図 従来の細胞電気生理センサの断面図
符号の説明
11 細胞電気生理センサ
12 基板
13 第一電極槽
14 第一電極
15 第二電極槽
16 第二電極
17 貫通孔
17A,17B,17C,17D 開口部
18,18A,18B 隆起部
19 被検体細胞
20 第一電解液
21 第二電解液
22 レジストマスク
23 マスクホール
24 絶縁層
25 酸化物層
26 シリコン層
27 ブロック
28 レジストマスク
29 レジストマスク
30 ホール
31 絶縁層
32 凹部
32A 開口部
33 レジストマスク
34 マスクホール
35 交差部
36 チップ

Claims (31)

  1. 基板を備えた細胞電気生理センサ用チップであって、
    前記基板は、その上面から下面までを貫く貫通孔を有し、
    この貫通孔の内壁と前記基板の表面とは湾曲面で繋がっている、細胞電気生理センサ用チップ。
  2. 前記基板上には酸化物層を有する、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  3. 前記貫通孔の内壁は、この貫通孔の内側へ湾曲する曲面で形成され、
    前記貫通孔の内径は、この貫通孔の内部から前記貫通孔の開口部に向けて徐々に大きくなるように形成された、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  4. 前記貫通孔の内径は、この貫通孔の深さ方向における中心点で最小となり、
    この中心点から前記貫通孔の開口部に向けて徐々に大きくなるように形成された、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  5. 前記貫通孔の開口部の表面および内壁は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下とした、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  6. 前記貫通孔の開口部外周は、外方に向けて滑らかに盛り上がる隆起部を有する、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  7. 前記貫通孔の開口部外周は、外方に向けて滑らかに盛り上がる隆起部を有し、
    前記基板上において、前記隆起部の最外周から前記貫通孔の開口部の中心までの距離が、検体となる細胞の半径より短い、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  8. 基板の表面は、絶縁層で被覆されている、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  9. 基板の表面は、酸化シリコン、窒化シリコン、またはそれらの混合物からなる絶縁層で被覆されている、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  10. 前記基板はシリコンからなる、請求項1に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  11. 請求項1から10のいずれか一つに記載の細胞電気生理センサ用チップと、
    前記細胞電気生理センサ用チップの基板の上方および下方にそれぞれ配置された電極槽と、
    これらの電極槽に入れられる液体と電気的に接続される電極とを備えた、細胞電気生理センサ。
  12. 基板を備えた細胞電気生理センサ用チップであって、
    前記基板は、この基板の第一の面に形成された凹部と、
    この凹部から前記基板の第一の面と対向する第二の面に向けて形成された貫通孔とを有し、
    前記基板の第一の面と前記凹部の内壁、この凹部の内壁と前記貫通孔の内壁、およびこの貫通孔の内壁と前記基板の第二の面とは、それぞれ湾曲面で繋がっている、細胞電気生理センサ用チップ。
  13. 前記凹部は、前記貫通孔開口部を中心に外方へ広がり、前記基板の第一の面と繋がる湾曲面で形成されている、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  14. 前記凹部は半球形状である、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  15. 前記凹部は円錐形状である、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  16. 前記基板の第二の面には酸化物層を有する、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  17. 前記貫通孔の内壁は、この貫通孔の内側へ湾曲する曲面で形成され、
    前記貫通孔の内径は、この貫通孔の内部から前記貫通孔の開口部に向けて徐々に大きくなるように形成された、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  18. 前記貫通孔の内径は、この貫通孔の深さ方向における中心点で最小となり、
    この中心点から前記貫通孔の開口部に向けて徐々に大きくなるように形成された、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  19. 前記貫通孔の開口部の表面および内壁と、前記凹部の内壁は、二乗平均粗さRq=1.0nm以下とした、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  20. 前記貫通孔の開口部外周は、外方に向けて滑らかに盛り上がる隆起部を有する、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  21. 前記貫通孔の開口部外周は、外方に向けて滑らかに盛り上がる隆起部を有し、
    前記基板上において、前記隆起部の最外周から前記貫通孔の開口部の中心までの距離が、検体となる細胞の半径より短い、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  22. 基板の表面は絶縁層で被覆されている、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  23. 基板の表面は、酸化シリコン、窒化シリコン、またはそれらの混合物からなる絶縁層で被覆されている、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  24. 前記基板はシリコンからなる、請求項12に記載の細胞電気生理センサ用チップ。
  25. 請求項12から24のいずれか一つに記載の細胞電気生理センサ用チップと、
    前記細胞電気生理センサ用チップの基板の上方および下方にそれぞれ配置された電極槽と、
    これらの電極槽に入れられる液体と電気的に接続される電極とを備えた、細胞電気生理センサ。
  26. 基板の上面からドライエッチングによって貫通孔を形成するステップと、
    この基板を減圧した希ガスまたは水素ガスまたは窒素ガス雰囲気下で加熱するステップと、
    前記基板の上面および下面から前記貫通孔の内側へ湾曲した曲面を形成するステップを有する、細胞電気生理センサ用チップの製造方法。
  27. 前記基板としてシリコンを用い、
    この基板を加熱するステップにおいて、
    前記希ガスまたは水素ガスまたは窒素ガス雰囲気の圧力を27kPa以下とし、
    加熱温度を、1000℃以上で、シリコンの融点以下とする、請求項26に記載の細胞電気生理センサ用チップの製造方法。
  28. 基板の上面からドライエッチングによって貫通孔を形成するステップと、
    前記基板の両面から気相法による成膜を行うステップと、
    前記基板の上面および下面から前記貫通孔の内側へ湾曲した曲面を形成するステップを有する、細胞電気生理センサ用チップの製造方法。
  29. ドライエッチングによって基板の第一の面に凹部を形成するステップと、
    次にドライエッチングによってこの凹部から前記基板の第二の面までを貫く貫通孔を形成するステップと、
    その後減圧した希ガスまたは水素ガスまたは窒素ガス雰囲気下で前記基板を加熱するステップと、
    この基板の第一の面から前記凹部開口部の内壁までと、この凹部の内壁から前記貫通孔開口部の内壁までと、この貫通孔の内壁から前記基板の第二の面までとに、湾曲した曲面を形成するステップを有する、細胞電気生理センサ用チップの製造方法。
  30. 前記基板としてシリコンを用い、
    この基板を加熱するステップにおいて、
    前記希ガスまたは水素ガスまたは窒素ガス雰囲気の圧力を27kPa以下とし、
    加熱温度を1000℃以上でシリコンの融点以下とする、請求項29に記載の細胞電気生理センサ用チップの製造方法。
  31. ドライエッチングによって基板の第一の面に凹部を形成するステップと、
    次にドライエッチングによってこの凹部から前記基板の第二の面までを貫く貫通孔を形成するステップと、
    その後前記基板の第一の面および第二の面の両側から気相法による成膜を行うステップと、
    減圧した希ガスまたは水素ガスまたは窒素ガス雰囲気下で前記基板を加熱するステップと、
    この基板の第一の面から前記凹部開口部の内壁までと、この凹部の内壁から前記貫通孔開口部の内壁までと、この貫通孔の内壁から前記基板の第二の面までとに、湾曲した曲面を形成するステップを有する、細胞電気生理センサ用チップの製造方法。
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