JP2010213668A - バイオチップとその製造方法 - Google Patents

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健樹 山本
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将也 中谷
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Abstract

【課題】センサの高い測定精度を維持しつつ、チップの製造コストを抑えることを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため本発明は、第一層24と、この第一層24上に設けられた第二層25とを有するダイアフラム22と、このダイアフラム22の第二層25上に設けられた基体23とを備え、この基体23または第一層24の少なくとも一方には、第二層24が露出するように窪み(23A)が設けられ、第一層24は、多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンまたはアモルファスシリコンと多結晶シリコンの混合物からなり、第二層25は、二酸化ケイ素を主成分とし、第一層24の厚みは基体23の厚みよりも小さいものとした。これにより本発明は、センサの高い測定精度を維持しつつ、チップ13の製造コストを抑えることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、細胞の電気生理的活動を測定する細胞電気生理センサや流路デバイス等のバイオデバイスで用いられるバイオチップとその製造方法に関するものである。
図9に示すように、従来のバイオデバイスの一例である細胞電気生理センサ1は、チップ2と、このチップ2の上方に配置されたウエル3と、チップ2の下方に配置された流路4とを備えている。ウエル3には第一電解液、流路4には第二電解液がそれぞれ充填され、第一電解液には第一電極5が、第二電解液には第二電極6が接続される。
またチップ2は、貫通孔7が設けられたダイアフラム8と、このダイアフラム8の外縁上に設けられた基体9とを備え、ダイアフラム8でウエル3と流路4との間を仕切っている。
この細胞電気生理センサ1は、貫通孔7の開口部に細胞10を密着保持し、その後ウエル3側から薬剤を注入するなど、物理化学的な刺激を加えて、第一電極5、第二電極6間の電位変化を測定する。これにより物理化学的刺激に対する細胞10の反応を測定することができる。
なお、チップ2にSOI(silicon on insulator)基板を用いる場合、ダイアフラム8の表面に二酸化ケイ素層11が露出するように基体9に孔9Aを形成すればよい。この二酸化ケイ素層11は、絶縁性と親水性を有するため、この二酸化ケイ素層11で細胞捕捉面を構成することで、チップ2を介して流れるリーク電流を低減すると共に、気泡の発生を低減できる。したがって、細胞電気生理センサの測定精度を高めることができる。また二酸化ケイ素層11がエッチングストップ層となる為、ダイアフラムの厚みを高精度に制御し加工できる。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
国際公開第02/055653号
上述のように細胞電気生理センサ1(バイオデバイス)の測定精度や加工精度を高めるために、SOI基板でチップ2を形成すると、SOI基板が高価なため、チップ2の製造コストが高くなるという課題があった。
そこで本発明は、高い測定精度や加工精度を維持しつつ、チップの製造コストを抑えることを目的とする。
この目的を達成するため本発明は、第一層と、この第一層上に設けられた第二層とを有するダイアフラムと、このダイアフラムの第二層上に設けられた基体とを備え、この基体または第一層の少なくとも一方には、第二層が露出するように孔が設けられ、第一層は、多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンまたはアモルファスシリコンと多結晶シリコンの混合物からなり、第二層は、二酸化ケイ素を主成分とし、第一層の厚みは基体の厚みよりも小さいものとした。
これにより本発明は、バイオデバイスのチップの製造コストを抑えることができる。
その理由は、上記構成により、ダイアフラムをCVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタ法などによって容易に形成できるからである。
そしてその結果、チップの製造コストを抑えることができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1では、バイオデバイスとして細胞電気生理センサを例に挙げ、図面を参照しながら説明する。図1は本実施の形態における細胞電気生理センサ12の断面図であり、図2はそれに用いる細胞電気生理センサ用チップ13の断面図である。
図1に示すように本実施の形態1における細胞電気生理センサ12は、チップ13と、このチップ13を保持する保持プレート14と、保持プレート14上に配置された容器プレート15と、保持プレート14の下方に配置された流路プレート16とを備えている。
チップ13の上方には、保持プレート14および容器プレート15に形成された孔によって構成されたウエル17が配置されている。
またチップ13の下方には、流路プレート16に形成された溝によって構成された流路18が配置されている。ウエル17には第一電解液、流路18には第二電解液がそれぞれ充填され、第一電解液と電気的に接続されるように第一電極19が、第二電解液と電気的に接続されるように第二電極20が設けられている。
また図2に示すように、チップ13は、上面から下面までを貫通する貫通孔21が設けられたダイアフラム22と、このダイアフラム22の上面の周縁上に設けられた基体23とを備えている。基体23は、第二層25の一部が露出するように中央に窪み、すなわち穴23Aが設けられた枠形状をしている。この基体23とダイアフラム22とを組み合わせることで、ダイアフラム22が薄くても、チップ13全体の機械的強度を高めるとともに、実装や取り扱いが容易になる。
そしてダイアフラム22は、その下面側を多結晶シリコンからなる第一層24とし、この第一層24上であってダイアフラム22の上面側を、二酸化ケイ素を主成分とし、リンを2mol%以上ドープしたいわゆるPSGからなる第二層25とする積層体である。二酸化ケイ素は親水性が高い為、穴23Aにより露出した第二層25を細胞捕捉面とすれば、気泡の発生を抑制するとともに、細胞(図1の26)との密着性を高めることができる。なお、第二層25は、リンをドープしていない二酸化ケイ素層、ボロン(B)をドープしたいわゆるBSG層、あるいはリンとボロンをドープしたBPSG層などのドープトオキサイド層でもよい。また、第一層はアモルファス層またはアモルファスと多結晶の混合層でもよいが、その場合には第一層の加工精度が低下する。
また基体23は、加工性の高い単結晶シリコンで形成した。
さらにダイアフラム22は、直径が約1mmの円形であり、第一層24の厚みは5〜100μm、第二層25の厚みは数十nm〜5μmとし、第一層24は第二層25よりも厚く、基体23の厚み(100μm〜500μm)よりも小さいものとした。また基体23は円筒状とした。
第一層24は第二層25よりも加工性の高い多結晶シリコンからなるため、第一層24を第二層25よりも厚くする方が、貫通孔21の形成が容易になる。ただし、第二層25もある程度(300nm以上)の厚みがある方が好ましい。厚みがある方が、後述の熱処理工程で平滑な溶融面が得られるとともに、滑らかな湾曲面を形成できるからである。すなわち、第二層25の厚みが300nmを下回ると、平滑な湾曲を連続的に形成する事が困難になり、湾曲面の再現性が低下するのである。さらに絶縁体からなる第二層25の厚みを300nm以上とすることによって、第一層24や基体23が導電性を有していても、ウエル17と流路18との間の絶縁性を高めることができる。なお、第二層25をCVD法で形成する場合は、第二層25の厚みを100nm〜500nmの範囲であれば迅速に形成することができ、またこの厚みの範囲であれば、後述のエッチングストップ層として適切に機能する。
そして本実施の形態では、チップ13のシリコンが露出している面全体は、厚み200〜230nm程度の熱酸化膜27で覆われている。
また貫通孔21の最小内径は3μmとした。この形状は細胞26の大きさによって決定すべきものであり、細胞26の大きさ、形状、性質に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、細胞26の大きさが5〜50μm程度の場合は、細胞26と貫通孔21の開口部との密着性を高めるため、貫通孔21の最小内径を3μm以下とすることが望ましい。なお貫通孔21の深さ、すなわちダイアフラム22の厚みを変えることで、細胞(図1に示す26)の吸引力を調整することができる。
さらに本実施の形態では、ダイアフラム22の上面側における貫通孔21の開口部は、第二層25が貫通孔21の内壁となだらかに繋がる湾曲面で構成され、貫通孔25の角部が丸みを帯びた状態となっている。
次に、本実施の形態のチップ13の製造方法を図3〜図5を用いて以下に説明する。
はじめに、図3に示すような単結晶シリコン基板28を用意し、この単結晶シリコン基板28上にCVD法によって、第二層25を形成する。第二層25は、SiH、PH、Oのガスを用い、常圧で350℃〜450℃の条件下で蒸着することにより形成できる。第二層のCVD法による形成には、その他にも、SiHまたはTEOSに、リンの水素化合物またはアルコキシ化合物、さらに酸化剤として作用するガスを組み合わせて用いればよい。酸化剤として作用するガスとしては、O、O、NO、HO、COなどである。
なお、本実施の形態では、第二層25を形成する手法として、大量かつ高速に膜を形成するのに最も適したCVD法を用いたが、その他の形成方法としてはCSD法やスパッタ等も挙げられる。
次に、第二層25上に、CVD法あるいはスパッタやCSD法等によって多結晶シリコンからなる第一層24を形成する。本実施の形態では、第一層24はCVD法を用い、SiHClとHガスを用いた水素還元法により、約900℃以上の条件下で蒸着することにより形成できる。水素還元法ではSiHClが迅速性の点において最も優れているが、他にもSiClとHを用いてもよい。また、第一層24のCVD法を用いた形成方法としては、SiHやSi、SiHClなどを用いた熱分解法を用いてもよい。
なお多結晶シリコンは、CVD法によって、迅速かつ厚く積層することができる。
そしてその後、ダイアフラム22の第一層24上にパターニングしたレジストマスク29を形成し、ドライエッチングで貫通孔21を形成する。この時のドライエッチング方法としては、いわゆるボッシュプロセスを用いる。例えばエッチングを促進するガスとしてSF、エッチングを抑制するガスとしてCガスを用い、これらのガスを交互に用いることで、垂直方向にエッチングすることができる。なおエッチングを促進するガスとしてはその他にCF、抑制するガスとしてはその他にCHF3を用いることもできる。このドライエッチング工程では、第二層25がエッチングストップ層となるため、エッチングの深さ方向への進行は第二層25の表出面でストップする。この時、第二層25の表出面では、貫通孔21はエッチングガスの滞留により、ややオーバーエッチングとなり、開口径が広がる。
次に、第二層25をエッチングし、貫通孔21を形成する。第二層25をドライエッチングする時のエッチングガスとしては、例えばCFとArの混合ガスが挙げられる。このCFとArの混合ガスはプラズマ励起されたArガスが直進性の高いエッチングガスとなり、Arイオンのようなスパッタを行うエッチング成分を多く使用することにより、貫通孔21の開口部より直進し進入して絶縁体であるPSG層のみをエッチングすることができる。このとき、第一層24の第二層25との接合面近傍では、貫通孔21がオーバーエッチング気味であったため、第二層25で形成された貫通孔21の内壁は、図4に示すように、内側に突き出たような形状をしている(オーバーハング状態)。
なお本実施の形態では、第一層24および第二層25を形成した後に貫通孔21を形成したが、第一層24および第二層25をそれぞれ積層する工程で、貫通孔21を形成しながら積層してもよい。このように第一層24、第二層25の形成工程と貫通孔21との形成工程を一括すれば、生産効率の向上に寄与する。
次に、図4に示すように、単結晶シリコン基板28上にパターニングされたレジストマスク30を形成し、ドライエッチングによって基体23に穴23Aを形成する。穴23Aを形成する時も、第二層25がエッチングストップ層となり、第二層25が露出した状態でエッチングを終えることができる。
穴23Aを形成する時は、貫通孔21を形成する工程と同様に、エッチングを促進するガスとしてSF、エッチングを抑制するガスとしてCガスを用い、これらのガスを交互に用いることで、垂直方向にエッチングすることができる。
次に、本実施の形態では、チップ13を大気中の熱処理炉の中に入れ、酸素雰囲気下、約700℃程度で熱処理することによって、図2に示すように、チップ13のシリコン表面全体に、厚み200〜230nm程度の熱酸化膜27を形成した。この熱酸化膜27の成分は二酸化シリコンであり、第二層25とともにチップ13の表面を被覆し、絶縁性の確保と親水性を高める効果を発揮している。
このとき、熱酸化膜27の厚みは100〜600nmの範囲が好ましい。100nmを下回ると、表出したシリコンの表面を完全に被覆することが困難となり、600nmを超えると酸化膜の形成時間が長くなり生産性を低下させることとなる。
また、熱酸化のプロセスでは、チップ13を熱処理炉へ投入して熱酸化することから、表出したシリコンの表面全体を効率よく熱酸化膜27で被覆できる。そしてチップ13全体の表面を熱酸化膜27と二酸化ケイ素を主成分とする第二層25で被覆することによって、チップ13の親水性を高めることができ、薬液などの液体との濡れ性を高め、気泡の発生を抑制し、高精度な細胞電気生理センサ12を実現できる。
さらに、ダイアフラム22の表面を二酸化ケイ素などの絶縁材料にて被覆することによって、第一電極19と第二電極20との間の電気絶縁性を高め、電気生理現象を測定するときの測定精度の向上と再現性を高めることができる。
さらに本実施の形態では、チップ13を熱処理炉に入れ、第二層25の軟化点以上の温度(約1000℃)に保持し、露出した第二層25の表面を溶融させた。これにより、図2あるいは図5に示すように、第二層25のPSG成分が、貫通孔21の内壁を伝って垂れ下がる。したがって、上面側の貫通孔21の開口部は、第二層25が貫通孔21の内壁に向ってなだらかな湾曲面を形成し、貫通孔21の内壁の熱酸化膜27と連続的に繋がる。なお本実施の形態では、貫通孔21の周縁部でオーバーハング状態であった第二層25の突き出た部分が、貫通孔21の内壁面に垂れ下がるような状態で流動する。したがって、熱処理によってこの湾曲面をよりなだらかに形成することができる。
この時、貫通孔21開口部を構成する湾曲面は、溶融した第二層25により形成されるため、二乗平均粗さRq=5.0nm以下の非常に平滑性に優れた面となる。この二乗平均粗さRqは、表面粗さの分布を測定した際の、平均値から測定値までの偏差の二乗を平均した値の平方根で定義される。
ここで本実施の形態では、第二層25をPSG層とした為、SOI基板で用いられるような、熱酸化による二酸化シリコン層よりも軟化点が低くなる。したがって、熱処理温度を下げる、あるいは熱処理時間を短縮することができ、生産性に優れる。
一方、PSGからなる第二層25は、軟化点が1000℃前後のため、BSGやBPSGの軟化点(900℃程度)と比較すれば軟化点が高くなる。したがって、前述のようなCVD法による第一層24(多結晶シリコン層)の形成時に、1000℃以上の高温条件に晒されても、過剰に溶融せず、変形の少ないチップ13を形成できる。
すなわち、省エネルギーで第二層25を溶融するためには、軟化点の低いPSG、BSG、BPSGを用いればよく、さらにより変形の少ない高精度なチップ13を形成するには、PSGを選択すればよい。
またPSG以外であっても、第二層25をCVD法により形成した二酸化ケイ素層とすれば、軟化点が1000℃前後となるため、約1000℃の熱で溶融させることができ、省エネルギーかつ高精度なチップ13の形成を実現できる。CVD法による二酸化ケイ素層は、熱酸化による二酸化ケイ素層よりも軟化点が低くなり、1000℃前後となる。さらにCVD法により形成した二酸化ケイ素層は、400℃以上の温度において重合物の膜表面での流動性による自己平坦化特性を併せ持つ。第二層25をCVD法で形成する際に用いる原料としては、TEOS−Oが特に自己平滑性に優れているが、SiH−O、TEOS−OなどのSiHまたはTEOSと酸化剤として作用するガスの組み合わせでもよい。
ここで第二層25の二酸化ケイ素層がCVD法により形成されたものか、熱酸化によるものかは、その屈折率あるいは密度を比較する事で分かる。CVD法による二酸化ケイ素層は、屈折率が約1.46であり、熱酸化による二酸化ケイ素層は、屈折率が約1.48となる。なお、この屈折率は、632.8nm波長He−Neレーザーを用い、エリプソメトリで測定した値である。また第二層25の密度は、直接測定することは困難な為、バッファードフッ酸(BHF)のエッチングレートから分析することができる。BHF(48%HF:11gNHF/680ml HO)を用いた場合は、CVD法による二酸化ケイ素層はそのエッチングレートが約20Å/minとなり、熱酸化による二酸化ケイ素層は約6.8〜7.3Å/minとなる。
なお、完成したチップ13の第一層24は、比抵抗が1〜10Ωcmの範囲が好ましい。すなわち比抵抗が1Ωcmよりも大きくなるように、不純物のドープ量を低減する事が好ましい。不純物を低減することで粒子径を小さくすることができ、第一層24の表面が平滑になって、パターニングする際にレジストを均一に形成するのに適する。
ここで第一層24の不純物を低減するには、第二層25にドープされたリンやボロンのモル濃度を抑えることが有効である。第二層25のリンやボロンのモル濃度を抑えることによって、第一層24の成膜工程や、熱酸化工程、あるいは熱溶融工程で、リンやボロン原子が第二層25から第一層24へ拡散しにくくなり、結果として第一層24の不純物が低減されるからである。
以下に本実施の形態の細胞電気生理センサ12の使用方法を説明する。
はじめに、図1に示すウエル17に測定したい細胞26を含んだ第一電解液(細胞外液)を満たし、流路18には第二電解液(細胞内液)を満たしておく。これによって、貫通孔21のみを介して、第一電解液(細胞外液)と第二電解液(細胞内液)とが導通する状態となる。
このような状態において、ダイアフラム22の上面から加圧するか、下面を減圧することによって、細胞26と第一電解液とを貫通孔21へ引き込む。すると、細胞26は貫通孔21の開口部を塞ぐように捕捉され、保持される。
なお本実施の形態では、細胞26として哺乳類筋細胞を用い、第一電解液にはKイオンが155mM程度、Naイオンが12mM程度、Clイオンが4.2mM程度添加された電解液を用い、第二電解液には、Kイオンが4mM程度、Naイオンが145mM程度、Clイオンが123mM程度添加された電解液を用いた。なお、第一電解液と第二電解液とは同組成のものを用いることもできる。
次に、ダイアフラム22の下面側から吸引するか、もしくはダイアフラム22の下方から薬剤(例えばナイスタチン)を投入することにより、捕捉した細胞26に微細小孔を形成する。
その後、細胞26への刺激となりうる行為をダイアフラム22の上方から施す。この刺激の種類としては、例えば化学薬品、毒物などの化学的な刺激に加え、機械的変位、光、熱、電気、電磁波などの物理的な刺激なども含む。
そして、細胞26がこれらの刺激に対して活発に反応する場合、例えば細胞26は細胞膜が保有するチャネルを通じて各種イオンを放出あるいは吸収する。これにより、細胞26内外の電位勾配が変化するため、図1に示した第一電極19と第二電極20によってその電気的変化を検出し、細胞26の薬理反応などを検討することができる。
以下、本実施の形態のチップ13の効果を説明する。
本実施の形態のチップ13は、単結晶シリコンからなる基体23上に、PSGからなる第二層25と多結晶シリコンからなる第一層24とが積層されたダイアフラム22を形成したものであり、さらに多結晶シリコンの第一層24は基体23よりも薄いものであるため、このダイアフラム22はCVD法やスパッタ等によって容易に形成することができる。したがって、既存のSOI基板を用いる場合と比較して、低コストの材料で安易に形成することができ、チップ13の製造コストを抑えることができる。そして多結晶シリコンの第一層24は、CVD法により容易に形成出来ると共に、基体23よりも薄い膜であれば、迅速に形成することができる。したがって、チップ13の製造コストをより抑えることができる。
また本実施の形態では、第二層25を溶融しているため、熱酸化膜27と比較して高い平滑性を有する。ここでチップ13を半導体プロセスで作製する際、図6に示すようにシリコンやシリコンの酸化物片のダストが多数付着することがあり、これが細胞26と貫通孔21開口部との密着性を低下させたり、あるいは気泡の発生要因となったりする。本実施の形態では、このようにダストが貫通孔21の近傍に残留した場合であっても、第二層25を溶融する工程で、ダストに第二層25のリンやボロン等のドープ原子が拡散し、ダストが第二層25と同様に軟化・溶融して、第二層25と一体化する。したがって、第二層25の平滑性と親水性を高めることができる。そしてその結果、細胞26と貫通孔21開口部との密着性を高めることができ、高精度な細胞電気生理センサ12を実現できる。
また本実施の形態では、図5に示すように、第二層25を溶融しているため、貫通孔21の上面(細胞捕捉面)側の開口部は、第二層25が貫通孔21の内壁と繋がるなだらかな湾曲面で構成されている。
これにより本実施の形態では、図7に示すように、捕捉した細胞26の細胞膜を、貫通孔21開口部の湾曲面に沿って貫通孔21内部に引き込まれるように密着保持できる。したがって、細胞26と貫通孔21開口部との密着性をより高めることができる。
また本実施の形態では、第二層25をPSGで形成したため、ドープしたリンによって第二層25の軟化点が低下する。したがってこの第二層25は、SOI基板で用いられるような熱酸化した二酸化ケイ素膜と比較して、低温で溶融する事ができ、低コストかつ省エネルギーでチップ13を生産できる。なお、リン以外にも、ボロンをドープした二酸化ケイ素層(BSG、BPSG)やCVD法によって形成した二酸化ケイ素層を用いても、軟化点を低下させることができる。特にPSG層やCVD法によって形成した二酸化ケイ素層は、過剰に軟化点が下がらないため、多結晶シリコンからなる第一層24を形成する際も、熱による変形を抑えることができる。したがって、チップ13の変形を抑制し、高精度に同一形状のチップ13を形成することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、バイオデバイスとして流路デバイスのチップを例に挙げ、説明する。流路デバイスは、マイクロリアクタやマイクロポンプなどに組み込まれ、液体や気体を流す微小通路となる。
図8(A)に示すように本実施の形態2における流路デバイスのチップ31は、第一層32とこの第一層32の下面側に積層された第二層33とを有するダイアフラム34と、このダイアフラム34の下面側に設けられた基体35とを備えている。
第一層32は多結晶シリコン、第二層33はPSGで形成した。第一層32はアモルファス層またはアモルファスと多結晶の混合層でもよいが、その場合には第一層32の加工精度が低下する。第二層33は、CVD法で形成した二酸化ケイ素層、BSG層、BPSG層などのドープトオキサイド層でもよい。また、また基体35は、単結晶シリコンからなる。
そして第一層32の厚みは5〜100μm、第二層33の厚みは数十nm〜5μmとし、第一層32は第二層33よりも厚く、基体35の厚み(100μm〜500μm)よりも小さいものとした。
そしてダイアフラム34の第一層32は、第二層33の上面が露出するまで窪み、すなわち溝32Aが形成され、この溝32Aが流路となる。すなわち溝32Aの底面は、露出した第二層33で構成される。第一層32の溝32Aの形成方法としては、ドライエッチング、ウエットエッチングなどが挙げられるが、特にボッシュプロセスでドライエッチングすることによって、微細な流路の形状も高精度に形成できる。この時、第二層33が第一層32のエッチングストップ層となるため、高精度に流路(溝32A)の深さを制御する事ができると共に、安価な材料、製法で形成することができる。
また溝32Aの底面が親水性に優れた二酸化ケイ素を主成分とする第二層33で構成されるため、流路内に発生する気泡を低減できる。
なお、本実施の形態では、第一層32に流路(溝32A)を形成したが、基体35に第二層33の下面が露出するまで窪み(溝)を設け、流路を形成してもよい。基体35側に流路を形成する場合も、第二層33がエッチングストップ層となり、高精度に流路を形成できる。
さらに図8(B)に示すように、第一層32と基体35の両方に第二層の下面が露出するまで、窪み、すなわち溝32A、35Aを形成してもよい。この場合は、第二層33の下面が露出した状態となるため、第二層33の下面側から流路内の環境や反応状態を分析できる。
そして本実施の形態では、実施の形態1と同様に、このチップ31を約700℃程度で熱酸化し、チップ31の表面全体に熱酸化膜を形成する。これにより、流路(溝32A)の内壁も熱酸化膜で被覆され、親水性を示す。
また実施の形態1と同様に、チップ31を第二層33の軟化点以上の温度に保持し、露出した第二層33の表面を溶融させた。これにより第二層33上に付着したダストが溶融し、第二層33の表面を平滑にすることができる。そしてその結果、第二層33の表面に発生する気泡を低減でき、流路内に溶液を効率よく流すことができる。
ここで第二層33の軟化点は、1000℃前後であるため、第二層33を熱酸化による二酸化ケイ素層で形成した場合と比較して省エネルギーで溶融させることができる。また軟化点が低くなりすぎないので、第一層を形成する際の熱工程では、過剰な変形を抑制することができる。
その他実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。
以上のように、本発明にかかるバイオチップは、高精度な加工精度を維持しつつ、製造コストを抑えることができる。したがって、例えば医療・バイオ分野で用いられるような、使い捨てタイプの細胞電気生理センサや流路デバイスに特に有用である。
本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図 同細胞電気生理センサ用チップの断面図 同細胞電気生理センサ用チップの製造工程を示す断面図 同細胞電気生理センサ用チップの製造工程を示す断面図 同細胞電気生理センサ用チップの要部拡大断面図 従来の貫通孔周辺部の表面状態を示す電子顕微鏡写真 本発明の実施の形態1におけるチップの要部拡大断面図 (A)本発明の実施の形態2におけるチップの斜視図、(B)本発明の実施の形態2における別の例のチップの斜視図 従来の細胞電気生理センサの断面図
12 細胞電気生理センサ
13 チップ
14 保持プレート
15 容器プレート
16 流路プレート
17 ウエル
18 流路
19 第一電極
20 第二電極
21 貫通孔
22 ダイアフラム
23 基体
23A 穴(窪み)
24 第一層
25 第二層
26 細胞
27 熱酸化膜
28 単結晶シリコン基板
29 レジストマスク
30 レジストマスク
31 チップ
32 第一層
32A 溝(窪み)
33 第二層
34 ダイアフラム
35 基体
35A 溝(窪み)

Claims (9)

  1. 第一層と、この第一層上に設けられた第二層とを有するダイアフラムと、
    このダイアフラムの前記第二層上に設けられた基体とを備え、
    この基体または前記第一層の少なくとも一方には、前記第二層が露出するように窪みが設けられ、
    前記第一層は、多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンもしくはアモルファスシリコンと多結晶シリコンの混合物からなり、
    前記第二層は、二酸化ケイ素を主成分とし、
    前記第一層の厚みは前記基体の厚みよりも小さいバイオチップ。
  2. 前記窪みは前記基体に設けられ、
    露出した前記第二層の表面は溶融させた面とする請求項1に記載のバイオチップ。
  3. 前記ダイアフラムには、前記第一層と前記第二層とを貫き、前記窪みと繋がる貫通孔が設けられ、
    この貫通孔の前記第二層の表面における開口部は、
    前記第二層の表面と前記貫通孔の内壁とがなだらかに繋がる湾曲面で構成された請求項2に記載のバイオチップ。
  4. 前記窪みは前記第一層に設けられ、
    露出した前記第二層の表面は溶融させた面とする請求項1に記載のバイオチップ。
  5. 前記第二層は、リンがドープされている請求項1に記載のバイオチップ。
  6. 前記第二層は、CVD法により形成された二酸化ケイ素からなる請求項1に記載のバイオチップ。
  7. 前記第一層の比抵抗は1Ωcmより大きい請求項1に記載のバイオチップ。
  8. 第一層と、この第一層上に設けられた第二層とを有するダイアフラムと、このダイアフラムの前記第二層上に設けられた基体とを備え、この基体または前記第一層の少なくとも一方には、前記第二層が露出するように窪みが設けられ、前記第一層は、多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンもしくはアモルファスシリコンと多結晶シリコンの混合物からなり、前記第二層は、二酸化ケイ素を主成分とし、前記第一層の厚みは前記基体の厚みよりも小さいバイオチップの製造方法であって、
    前記基体上にCVD法によって前記第二層を形成する工程と、
    この第二層上にCVD法によって前記第一層を形成する工程と、
    前記基体または前記第一層の少なくとも一方に前記窪みを形成する工程とを備えたバイオチップの製造方法。
  9. 前記窪みを形成する工程の後に、
    さらに露出した前記第二層を溶融させる工程を備えた請求項8に記載のバイオチップの製造方法。
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