JP5375609B2 - バイオセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、細胞電気生理センサ等のバイオセンサに関するものである。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用した微小なバイオセンサが注目されている。バイオセンサとしては、例えば細胞電気生理センサがある。この細胞電気生理センサは、細胞の電気的活動を指標にして細胞膜に存在するイオンチャネルの機能を解明したり、薬品をスクリーニング(検査)したりするパッチクランプ法の自動化システムである。
図14を用いて、特許文献1に記載された従来のバイオセンサ(細胞電気生理センサ)について説明する。図14において、従来のバイオセンサ31は、ダイアフラム32と、このダイアフラム32の上面に形成された凹部33とを備えている。さらに、凹部33の下部からダイアフラム32の下面まで連結する貫通孔34と、ダイアフラム32の上方に配置された参照電極35と、貫通孔34の内部に配置された測定電極36とを備えている。この測定電極36は配線37を経て信号検出部に連結されている。ダイアフラム32はウエル38の内部に配置されている。
バイオセンサ31は、まず、ウエル38の内部に細胞および電解液40が注入され、細胞が凹部33によってトラップ(捕捉)されて、貫通孔34の開口部に保持される。この凹部33に保持された細胞を、以下被検体細胞39という。なお、この従来のバイオセンサ31では、凹部33や貫通孔34が被検体細胞39の保持部を構成する。
測定の際には、被検体細胞39は貫通孔34の下方から吸引ポンプなどで吸引され、貫通孔34の開口部に密着した状態で保持される。すなわち、この貫通孔34がガラスピペットにおける先端穴と同様の役割を果たしている。そして、被検体細胞39のイオンチャネルの機能性や薬理反応などは、参照電極35と測定電極36との間における反応前後の電圧あるいは電流を測定し、細胞内外の電位差を求めることによって分析している。
しかしながら、このような従来のバイオセンサ31は、参照電極35と測定電極36との間における電位差の測定値に誤差が生じ、バイオセンサ31の測定に対する信頼性が低下するという問題があった。
その理由は、被検体細胞39の保持部の周辺に気泡が存在するからである。すなわち気泡の抵抗値は非常に大きい為、この気泡の有無によって測定値が変動し、結果としてバイオセンサ31の測定に対する信頼性が低下するのである。
国際公開第02/055653号パンフレット
本発明は、測定誤差を低減し、測定に対する信頼性を向上させたバイオセンサを提供するものである。
本発明のバイオセンサは、被検体保持部を有したダイアフラムと、ダイアフラムを支持するとともにキャビティを有したフレームと、フレームの内壁面側であってダイアフラム表面に形成されたピラーとを備えたものである。
この構成によれば、被検体保持部周辺における気泡の発生を抑制するとともに、残留した気泡を効率良く除去することができるので、バイオセンサの測定上の信頼性を向上させることが出来る。
本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの斜視図 同細胞電気生理センサの上面図 図2の3−3線における断面図 同実施の形態の細胞電気生理センサを用いた細胞電位測定装置の断面図 本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態3における細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態4における細胞電気生理センサの斜視図 同細胞電気生理センサの断面図 同実施の形態の細胞電気生理センサを用いた細胞電位測定装置の断面図 本発明の実施の形態5における細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態6における細胞電気生理センサの断面図 本発明の実施の形態7における細胞電気生理センサの上面図 本発明の実施の形態8における細胞電気生理センサの断面図 従来の細胞外電位測定センサの断面図
以下、本発明のバイオセンサについて、細胞電気生理センサを例に挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの斜視図であり、図2は図1の上面図である。図3は、図2の3−3線における断面図である。図4は、細胞の電気生理現象を測定する方法を説明するための細胞電位測定装置の断面図である。
まず、本実施の形態の細胞電気生理センサの構造について説明する。図1〜図3において、本実施の形態における細胞電気生理センサ20は、少なくとも一つの貫通孔1を有する薄板状のダイアフラム2と、ダイアフラム2を固定支持するとともに測定装置などへの固定配置を容易にするためのフレーム3を有している。貫通孔1は、被検体である細胞を捕捉し保持するためのものであり、被検体保持部として機能する。
なお、貫通孔1は少なくとも一つあれば良く、複数の細胞9(図4参照)を同時に測定したいときには、複数の貫通孔1を形成することも可能である。これによって、複数の細胞9を同時に測定し、S/N比を高めることができる。
フレーム3の内部には、細胞などを含んだ液体などを貯留することができるキャビティ4が形成されている。また、フレーム3の内壁面3aに接するように、ダイアフラム2表面には断面円形状のピラー6がフレーム3と一体的に設けられている。フレーム3の内壁面3aとピラーの外壁面6aとで鋭角を形成し、凹部7を形成している。
このフレーム3の内壁面3aとピラーの外壁面6aとで形成した凹部7を設けた構成とすることによって、後述するように、従来のように分注器などを用いて液滴状の液体をキャビティ4の内部へ注入したときの気泡の発生の抑制と残留した気泡の除去を効率よく行うことができる。このとき、ピラー6の断面形状を円あるいは楕円形状とすることによって容易にピラーの外壁面6aとフレームの内壁面3aとで鋭角を成す凹部7を形成することができる。
また、ピラー6の高さとフレーム3の端面5の高さを同じ高さとすることによって、加工性と取り扱いが容易な細胞電気生理センサとすることができる。
また、ダイアフラム2の厚みは10〜300μmとすることが加工性、機械的強度等の観点から好ましく、キャビティ4の内径は100μm〜1.0mmとすることが生産性の観点から好ましい。キャビティ4の内径が100μmより小さくなると細胞の分注などが困難となるとともに、気泡の残留が多く発生するようになる。また、キャビティ4の内径が1mmを越えるとセンサの生産性が低下するとともに、少量の細胞9を含んだ液体等の測定の場合、底面が広すぎて細胞9が貫通孔1に捕捉される確率が低くなり、好ましくない。
本実施の形態では、シリコンなどの入手性、加工性に優れたウエハーを準備し、フォトリソ技術を用いた一般的なエッチング加工などによって、複数個の細胞電気生理センサ20を一括して作製している。これによって、高寸法精度で微小な形状を有する細胞電気生理センサを効率よく作製することができる。
すなわち、本実施の形態のダイアフラム2、フレーム3、ピラー6は単結晶シリコン基板をドライエッチングによって一体成形したものである。これによりピラー6はフレームの内壁面3aと一体化されるため、微細なピラー6を安定して形成することができる。
また本実施の形態では、被検体保持部が貫通孔1であるため、この貫通孔1もドライエッチング工程で形成できる。したがって、貫通孔1、ダイアフラム2、フレーム3、ピラー6を同一工程で形成することができ、生産性に優れる。
なお、本実施の形態では、単結晶シリコン基板を用いたが、SiO層の上下をそれぞれシリコン層で挟みこんだ、いわゆるSOI(Silicon on Insulator)基板を用いても良い。この場合は、SiO層が露出するまで一方のシリコン層をエッチングしてフレーム3を構成し、SiO層と他方のシリコン層との積層体をダイアフラム2として用いることができる。そしてSiO層の表面に貫通孔1の開口部を形成すれば、親水性の高いSiO層の表面が細胞保持面となり、細胞を密着して保持することができる。
上記の構成からなる本実施の形態の細胞電気生理センサ20を用いた、細胞の電気生理活動を測定する細胞電位測定装置の構成について説明する。
図4は本実施の形態の細胞電気生理センサ20を用いた細胞電位測定装置を示す要部断面図である。
図4において、プラスチックなどの絶縁体からなる容器17には、容器17内を、細胞外液10が供給される上部と細胞内液11が供給される下部とに仕切る仕切り板14が設置されている。仕切り板14には、マトリックス状に複数の開口部14aが形成されており、各開口部14a内部には上記で説明した細胞電気生理センサ20がセットされている。仕切り板14の上層部には、各開口部14aに対応して、液体を貯留するためのウエル15aをウエル層15設けている。
仕切り板14とウエル層15は樹脂などで構成することが生産性、加工性および寸法精度などの観点から好ましい。
細胞電気生理センサ20は、開口部14aの内部に、ダイアフラム2を下面側として、開口部14aに液漏れが発生しないように隙間無く接合している。これによって、容器17の内部の空間は、ダイアフラム2および仕切り板14を境に上下2つの領域に仕切られる。仕切り板14によって仕切られた上下の領域内には、細胞外液10または培養液などの液体と細胞内液11または薬液などの液体とがそれぞれ貯留される。細胞外液10として、細胞9などを含んだ液体が用いられる。吸引ポンプなどの吸引機構によって、仕切り板14の下方から吸引して、細胞外液10の中に浮遊している複数の細胞9の中から、貫通孔1を塞ぐように細胞9を固定して被検体細胞9aとする。また、これによって、これらの被検体細胞9aの上下の液体の移動は貫通孔1を介してのみ行われることになる。本実施の形態では、吸引機構による吸引力は、2kPa〜10kPaが適切であったが、貫通孔1の長さによって異なる大きさに設定する。
また、本実施の形態の容器17は、上記のように流路16が形成されたプレート17aと、このプレート17a上に接合された仕切り板14と、この仕切り板14上に接合されたウエル層15の三層構造となっている。容器17は、上記三つの部材を接着して形成してもよいし、射出成形などで一体成形してもよい。また例えば、ウエル層15と仕切り板14のみ一体成形で形成し、流路16が形成されたプレート17aと接着させてもよい。
そしてこの流路16の内部に、マイクロポンプなどの送液機構を用いて、細胞内液11あるいは薬液などの液体を充填、除去する。
さらに、仕切り板14の上側には細胞外液10中に、銀、塩化銀などで構成した参照電極12を配置している。仕切り板14の下側には細胞内液11中に、同じく銀、塩化銀などで構成した測定電極13を配置している。
なお、これらの参照電極12と測定電極13が入れ替わっていても良い。また、参照電極12および測定電極13は、クロム、チタン、銅、金、白金、銀および塩化銀からなる材料から選択することも可能である。さらに、参照電極12及び測定電極13は針状の微小電極プローブを用いてもよい。
次に、以上の構成からなる細胞電位測定装置を用いて細胞電位を測定する方法について図4を用いて説明する。
まず、細胞9を分散させた液体である細胞外液10を、例えば自動分注器などを用いてキャビティ4の中へ所定量注入する。通常、この場合、液体は表面張力によって球面状の外観形状を形成しており、その形状のままキャビティ4の中へ分注することになる。
このとき、安定に精度良く被検体細胞9aの電気化学的変化を測定するためには、ダイアフラム2上、特に貫通孔1の近傍に気泡の残留していない状態で液体を充填しておくことが重要である。
ここで、細胞電気生理センサ20のフレーム3の端面5(図1参照)をピラー6のない円筒状の同一平面で構成した場合、すなわち凹部7を有しない構成の場合、分注器から分注されたマイクロピペットの先端にある液滴が、フレーム3の端面5を完全に塞いでしまうことがある。このことによって、キャビティ4の内部が気密状態となる。したがって、キャビティ4の内部に存在していた空気などの気体の抜け道が無くなり、測定時に気泡となって残存する。また、気体の抜け道が無くなることにより、液滴のキャビティ4への注入がスムーズに行われなくなる。
このように、気泡がダイアフラム2の表面上、特に被検体保持部である貫通孔1の近傍に残存していると、吸引機構を用いて貫通孔1の上方に固定させた被検体細胞9aの電気化学的変化である電流あるいは電圧の微小変化を高精度に測定することが困難であった。
これに対して、本実施の形態によれば、図1に示すように、フレーム3の内壁面3aに接するようにダイアフラム2表面にピラー6を設け、フレーム3の内壁面3aとピラー6の外壁面6aとで鋭角を形成する凹部7を形成している。このことによって、フレーム3の端面5に球面状の液滴が接触すると、液滴の表面張力によって、液滴の先端がピラー6の先端に触れる。これに伴って、液滴は、ピラーの外壁面6aと凹部7を濡らしながら、キャビティ4の内部に細胞外液10よりなる液体を、細胞9とともに気泡の発生しない状態で、速やかに充填することができる。そして、残留した気泡は凹部7から押出されるように上方から除去することができる。
これらの作用を有するピラー6の断面形状としては100μm以上の直径を有していることが好ましい。100μmより細いと折れやすく、また表面積も小さいことから、液滴を効率よく充填することができないからである。100μm以上より大きい直径は、キャビティ4の大きさにより制限される。また、このような作用を、より効果的とするためには、ピラー6は複数本形成することが好ましい。これによって、表面張力による液体の浸透をより効率的に行うことができるとともに、残留した気泡の除去を効率よく行うことができる。
さらに、貫通孔1を中心として放射状に均等に凹部7を複数本設けることによって、上記の作用をより高めることができる。すなわち、これによってマイクロピペットなどの分注器の先端が傾いたとき、あるいは液滴の形状の対称性が少なくなった場合であっても、確実に液滴の一部をピラー6の一部に接触させ、液滴の流れを凹部7へと誘導できる。このことから、凹部7を複数本設けることにより、確実にダイアフラム2の面上に設けたピラーの外壁面6aおよび凹部7から細胞外液10などの液体を、気泡の発生を抑制しながら充填することができる。
また、上記のような構造とすることによって、ピラー6が補強の梁としても作用することから、フレーム3の厚みを薄くすることが可能となり、小型の細胞電気生理センサ20を実現することができる。
また、ピラーの外壁面6aに親水性を付与することによって、ピラーの外壁面6aと液体との濡れ性をさらに高め、速やかに液体をキャビティ4の内部へ充填することができる。これとともに、ダイアフラム2の面上に残留した気泡のより少ない状態で液体を充填することができる。
この場合、ピラーの外壁面6aを親水性とするためには、表面に付着した炭素分子を除去した清浄な表面としておくことが好ましい。その後、速やかに純水を充填した容器の内部に保管しておくことによって、表面の清浄度を保持することができる。また、このときの親水性は接触角で10°以下であることが好ましい。この接触角は測定対象の表面にイオン除去された純水の水滴を塗布して測定することができる。
さらに、親水性を高める別の手段として、ピラーの外壁面6aの表面を二酸化珪素などの絶縁膜によって被覆しておくことも効果的である。
このように、本実施の形態の細胞電気生理センサによれば、フレームの内壁面3aに接するようにピラー6を設けて、フレームの内壁面3aとピラーの外壁面6aとで鋭角を形成する凹部7を形成してある。これによって、ピラーの外壁面6aと凹部7を濡らしながら、速やかに液体をキャビティ4の内部へ充填することができる。これとともに、キャビティ4の内部に残留していた空気などの気体を容易に外部へ放出することができる。したがって、ダイアフラム2の面上に気泡の無い状態で液体を充填することができる。
以上のようにして、本実施の形態によれば、図4に示したように、細胞電気生理センサ20に気泡が残留しない状態で液体を充填することができる。
その後、吸引ポンプなどの吸引機構を用いて仕切り板14の下側が低圧になるように仕切り板14の上下間に所定の圧力差を発生させる。このとき、一個の細胞9が貫通孔1の開口部に引き寄せられて、貫通孔1の上にトラップされる。この貫通孔1の上にトラップされた細胞9を被検体細胞9aとする。そして、この圧力差が維持されていると十分な密着性が確保されることとなり、細胞外液10と流路16の内部にある細胞内液11との間で電気的抵抗値を持つようになる。
具体的には、例えば流路16の一方を封止し、他方から減圧することで、細胞9は貫通孔1へ引き付けられ、ついにはこの貫通孔1を塞ぐことによって被検体細胞9aがトラップされる。これにより、細胞外液10を充填したキャビティ4と細胞内液11などの液体を充填した流路16との電気抵抗は十分に高くなる。
なお、充填する液体は特に限定するものではなく、細胞外液10の他に、細胞9を培養する培養液あるいはその他の薬液などであっても良い。
次に、吸引機構による吸引力を制御することによって減圧を続け、被検体細胞9aの皮膜の一部を破る。さらに被検体細胞9aの貫通孔1の下面側より、細胞内液11を被検体細胞9aに注入する。これによって、被検体細胞9aの一部を細胞内液11と接触させることができ、被検体細胞9aの電気化学的変化を測定できる状態となる。
もしくは、被検体細胞9aを貫通孔1に確実にトラップした状態で、ナイスタチンのように被検体細胞9aの外壁を溶解する作用のある薬液を流路16の内部に導入する。これによって、被検体細胞9aに微細小孔を形成し、被検体細胞9aの一部を細胞内液11と接触させることができる。したがって、上記と同様に、被検体細胞9aの電気化学的変化を測定できる状態となる。
ここで、細胞外液10とは、例えば、哺乳類筋細胞の場合、代表的にはKイオンが4mM程度、Naイオンが145mM程度、Clイオンが123mM程度添加された電解液である。細胞内液11とは、例えば、哺乳類筋細胞の場合、代表的にはKイオンが155mM、Naイオンが12mM程度、Clイオンが4.2mM程度添加された電解液である。
ところで、ウエル15a、開口部14aに細胞外液10を充填した状態(被検体細胞9aが貫通孔1にトラップされていない状態)で、ウエル15aの内部に設置された参照電極12と流路16の内部に設置された測定電極13との間で、100kΩ〜10MΩ程度の抵抗値を観察することができる。これは細胞電気生理センサ20に設けられた貫通孔1に電解液が浸透し、参照電極12と測定電極13との間で電気回路が形成されるからである。すなわち、これにより貫通孔1が適切に形成され、この貫通孔1の上下間は、電気的に導通していることが分かる。
次に、参照電極12と測定電極13との間で電流あるいは電圧変化を測定することによって被検体細胞9aの電気化学的変化を測定検出する。測定検出を安定に行うには、被検体細胞9aを貫通孔1に確実にトラップした状態を安定して維持する必要がある。そのためには、貫通孔1の大きさは被検体細胞9aの大きさよりも少し小さな形状とし、この貫通孔1を塞ぐように被検体細胞9aを吸引機構などによって被検体細胞9aを固定しておける形状とすることが好ましい。そのために、本実施の形態では、貫通孔1の直径は3μmとした。
このように、細胞9の大きさが5〜50μm程度である場合、細胞9と貫通孔1とを高い密着性を持って保持するには、貫通孔1の直径を3μm以下とすることが望ましい。しかし、貫通孔1の最適な大きさは、測定する細胞9の形状、性質によって決定することができる。
次に、被検体細胞9aに薬品などの化学化合物などの刺激を被検体細胞9aに加える。このような刺激が加わると、被検体細胞9aは電気生理的応答を示す。その結果、参照電極12と測定電極13との間において、例えば電圧、電流などの電気的応答として、電気化学的変化を観測することができる。
上記化学的刺激としては、化学薬品、毒物が挙げられ、これ以外に、物理的刺激としては機械的変異、光、熱、電気、電磁波などが挙げられる。
被検体細胞9aがこれらの刺激に対して活発に反応する場合、被検体細胞9aはその細胞膜にあるイオンチャネルを通じて各種イオンを放出あるいは吸収する。そうすると、被検体細胞9aを通るイオン電流が発生し、この被検体細胞9aの内外の電位勾配が変化する。すなわち、この変化を、反応前後の参照電極12と測定電極13との間の電圧あるいは電流を測定することによって検出することができる。
なお、本実施の形態においては、細胞電位測定装置の細胞電気生理センサ20は、ダイアフラム2を下面側に配置して測定する例について説明してきたが、ダイアフラム2を上面に配置して測定することも可能である。この場合、細胞内液11の気泡の発生と残留を抑制することが可能となり、被検体細胞9aは上記と反対側の貫通孔1の開口部に密着することになる。このような構成は、被検体細胞9aが平らな面に形成した穴に密着する方が都合の良い場合などに用いることができる。どちらを使用するかは、被検体細胞9aの性質によって適宜決めることが好ましい。
参照電極12と測定電極13の間で電気的応答を測定する際、貫通孔1の近傍に気泡が存在すれば、抵抗値の増大により測定電極13で検知する電流・電圧の測定値が変動する。しかし、図1に示したような構成の本実施の形態の細胞電気生理センサ20を用いることによって、上記したように、残留する気泡の発生を抑制することができるとともに、残留した気泡を速やかに除去することができる。したがって、電流あるいは電圧の微少変化を高精度に測定することができ、測定の信頼性を高めることができる。
ところで、液体を細胞電気生理センサ20に分注する際に、一部小さな気泡がダイフラム2と凹部7の接合部で残留することがあるが、貫通孔1からの距離が離れていることと、このような小さな気泡の存在による測定への影響は少ないことが分かっている。
なお、フレームの内壁面3a、ダイアフラム2の表面および貫通孔1の内壁面など、液体が接触する全ての表面を親水性としておくことがより好ましい。これによって、各種測定のための液体との濡れ性を高めることによって、気泡の発生と残留をより効果的に抑制することができる。
さらに、複数設けた凹部7の形状をそれぞれ異なった寸法形状としておくことによって、液体の粘度、成分等が異なった性質を有する液体の測定であっても、容易に対応できるセンサ構造を実現することが可能である。
なお、細胞外液10と細胞内液11とは、本実施の形態のように異なる組成のものを用いてもよく、同じものを用いてもよい。
また、本実施の形態では、ダイアフラム2は円板形状であったが、四角形状など他の形状でも同様の効果が得られる。
以上説明してきたように、本実施の形態によれば、分注器から分注された細胞9を含んだ液滴が最も近いピラー6の一部に接触する。これによって液体は、ピラー6の外壁面6aとフレーム3の内壁面3aとで形成する凹部7の方向へ表面張力で流動しながらダイアフラム2の方向へ移動する。その後、液体は、貫通孔1が存在するダイアフラム2の中心部へと液体を誘導される。これによって、気泡の発生の抑制と残留した気泡を効率よく除去することができる。したがって、気泡に影響されることなく、電流あるいは電圧の微少変化を高精度に測定でき、測定の信頼性を高めることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサについて、図5を用いて説明する。
図5は本発明の実施の形態2における細胞電気生理センサの上面図である。図5において、本実施の形態の細胞電気生理センサが、実施の形態1で示した細胞電気生理センサの構成と大きく異なっているところは、ピラー6の断面形状を多角形状としていることである。これによって、凹部7の形状パターンの設計幅を大きく拡大させることができる。したがって、マイクロピペットなどの先端の形状に合わせて確実に液滴の表面をピラー6の稜線51や先端角部61へ接触させることができ、液体の充填を速やかに効率よく行うことができる。
また、断面形状が多角形状のピラー6の稜線21が貫通孔1と対向するように配置することによって、稜線21に沿って、内側から外側へ、あるいは外側から内側へと液体の流れが形成され、導入された液体の攪拌および液体の置換をスムーズにすることができる。したがって、図4に示すウエル層15あるいは仕切り板14からキャビティ4の内部に流入してくる液体の攪拌と置換を効率よく行うことができ、気泡の抜けをより効果的とすることができる。
このように本実施の形態によれば、液体が多面形状のピラー6の先端角部61に接触することになるので、より確実に液体の充填を速やかに行うことができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における細胞電気生理センサについて、図6を用いて説明する。
図6は本発明の実施の形態3における細胞電気生理センサの断面図である。本実施の形態と実施の形態1との主な違いは、図6に示すように、ピラー6の外壁面(表面)6aに、その側表面に沿って弧状の凹凸18を複数個形成した点と、ピラー6の長軸方向にほぼ平行な複数の溝19を形成した点である。
凹凸18を形成する方法としては、ドライエッチング工程において、プラズマ存在下で、SFなどのエッチングを促進するガスと、C48などのエッチングを抑制するガスとを交互に導入することによって形成する方法がある。
このようにピラー6の外壁面6aに、ピラー6の長軸方向に対してほぼ垂直な凹凸18を形成することによって、液滴とピラー6の外壁面6aとの接触面が多面となり液滴間の引力が働き、液滴が大きな塊になろうとする。これによって、液体をダイアフラム2へと効率よく導くことができる。また液体を凹凸18に沿ってピラー6の外壁面6aの外周全体に行き渡らせることができる。
また、ピラー6の外壁に対して、斜め上方からエッチングを促進するガスを導入すると、外壁6aに小さな切欠けが出来る。そして、その後凹凸18を形成する場合と同様のドライエッチング加工を続けると、その欠け部分を発端にして、ピラー6の長軸方向に溝19を形成することができる。この溝19は、欠けを沢山形成することによって、多数形成することができる。
このように本実施の形態では、ピラー6の長軸方向に複数の溝19を形成したため、上方から注入される液滴を、この溝19に沿ってダイアフラム2の下方側へと誘導することができる。すなわち、液滴を下方に早く誘導し、隣接するピラー6との隙間を埋めないようにする。これによって、気泡の逃げ道を確保し、気泡の発生を抑制し、測定の信頼性の高い細胞電気生理センサを実現できる。なお、この溝19は、下側、すなわちダイアフラム2の近くでは、より多く形成したほうが、ダイアフラム2まで液滴を誘導するのに効果的である。
さらに本実施の形態では、複数の凹凸18間を溝19が連結する為、液体はピラー6の外周を濡らしながらも、ピラー6の先端側からダイアフラム2側へと効率よく流れていく。
また、本実施の形態では、凹凸18や溝19によって表面積が増えるため、注入される液滴とピラー6との接触面も大きくなる。したがって、ピラー6の外壁面6aを熱酸化等によって親水性にすれば、ピラー6の外壁面6aが液滴を引張る力も大きくなり、液体をピラー6の外壁面6aに沿って、貫通孔1が存在するダイアフラム2へと誘導することができる。これによって、気泡の発生を抑制することができ、測定の信頼性の高い細胞電気生理センサを実現できる。
なお、本実施の形態では、貫通孔1、ダイアフラム2、フレーム3、ピラー6と、このピラーの外壁面6aの凹凸18及び溝19を同一工程で形成することができ、生産性に優れる。
なお、凹凸18は、図6に示すようなピラー6の長軸方向と垂直方向でなくても、液滴をピラー6の外壁面6aに行き渡らせる程度に、ピラー6の長軸方向と交差する方向あれば良い。また、溝19は、図6に示すようなピラー6の長軸方向と一致しなくても、液滴を下方に誘導できる程度にピラー6の長軸方向と略平行であればよい。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における細胞電気生理センサの構成について、図7〜図9を用いて説明する。
図7は本発明の実施の形態4における細胞電気生理センサの斜視図である。図8は図7の8−8線における断面図である。図9は同実施の形態の細胞電気生理センサを用いた細胞電位測定装置の断面図である。
本実施の形態と実施の形態1との主な違いは、ピラー6を、貫通孔1の近傍、すなわち、フレーム3の内壁面3a側よりも貫通孔1側であって、ダイアフラム2上の位置に形成していることである。
本実施の形態によれば、貫通孔1の近傍にピラー6を形成することによって、分注器などを用いて液滴状の液体をキャビティ4の内部へ注入したときの貫通孔1近傍における気泡の発生の抑制と気泡の除去を効率よく行うことができる。
すなわち、本実施の形態によれば、フレーム3の端面5に細胞外液10よりなる液滴が接触したとしても、液滴を構成する細胞外液10の表面張力によって、まず液滴の先端がピラー6の先端に触れる。これにともなって、細胞外液10よりなる液体が、ピラー6の壁面6aを濡らしながらキャビティ4の内部の貫通孔1に誘導される。この際、気泡はピラー6の外壁面6aとフレーム3の内壁面3aの間から上方に逃げ、細胞外液10よりなる液体を、細胞9とともに気泡の発生しない状態で貫通孔1の近傍へ正確に充填することができる。そして、ピラー6の壁面6aをつたいながら残留した気体を除去していくことも容易にできる。
また、ピラー6の断面形状としては機械的強度を確保することから100μm以上の大きさを有していることが好ましい。また、隣接するピラー6の間隔を50〜100μmとすることによって表面張力による液体の浸透を効率よく行うことができ、ピラー6の効果を最大限発揮することができる。すなわち、ピラー6の間隔が50μmより小さい場合は、ピラー6間に液体が流れ難くなり、ピラー6とフレーム3との間に気泡が残存しやすくなる。また、ピラー6の間隔が100μmより大きい場合は、液体の浸透の効率が下がる。
また、ピラー6はフレーム3の内壁面3aから離れ、貫通孔1側に近づける程、貫通孔1に向けて液体の浸透を効率よく行うことができる。しかし、細胞9を貫通孔1の近傍へ投入するスペースを保つ為、貫通孔1とピラー6との間隔は50μm以上とすることが好ましい。
そして、ピラー6を、貫通孔1の周囲を囲うように、放射状に複数設けることによって、上記の作用をより高めることができる。すなわち、マイクロピペットなどの分注器の先端が傾いたとき、あるいは液滴の形状の対称性が少なくなった場合であっても、確実に液滴の一部をいずれかのピラー6の一部に接触させることができる。これによって、確実に貫通孔1の近傍に設けたピラー6の壁面6aから気泡の発生を抑制するとともに、気泡の残留を大幅に低減しながら細胞外液10などの液体を充填することができる。
また、ピラー6の表面を親水性にすることによって、液体との濡れ性をより高めることができ、気泡の発生の抑制と気泡の除去をより効果的に行うことができる。
そして、ピラー6の壁面6aの表面を親水性とするためには、表面に付着した炭素分子を除去した清浄な表面としておくことが好ましい。その後、速やかに純水を充填した容器の内部に保管しておくことによって、表面の清浄度を保持することができる。また、このときの親水性は接触角で10°以下であることが好ましい。この接触角は測定対象の表面にイオン除去された純水の水滴を塗布して測定することができる。
さらに、親水性を高める別の手段として、ピラー6の壁面6aの表面を二酸化珪素などの絶縁膜によって被覆しておくことも効果的である。
なお、キャビティ4の内壁面、ダイアフラム2および貫通孔1の内壁面などの液体が接触する全ての表面を親水性としておくことがより好ましい。これによって、各種測定のための液体との濡れ性を高めることによって、気泡の発生を抑制することができる。
さらに、複数設けたピラー6の間隔をそれぞれ異なった寸法としておくことによって、気泡の抜け易いピラー6と、液体の浸透が容易なピラー6を混在させることができる。
このように、本実施の形態の細胞電気生理センサによれば、貫通孔1の近傍にピラー6を設けることによって、キャビティ4の内部に存在していた空気などの気体をピラー6から容易に外部へ放出することができる。これとともに、ピラー6の壁面6aを濡らしながら、速やかに液体をキャビティ4の内部へ充填し、貫通孔1の近傍に気泡の無い状態で充填することができる。そしてその結果、測定の信頼性を高めた細胞電気生理センサを実現することができる。さらに壁面6aに親水性を付与することによって、ピラー6と液体との濡れ性をさらに高め、速やかに液体をキャビティ4の内部へ充填することができる。これとともに、貫通孔1の近傍に気泡の無い状態で液体を充填することができる。
本実施の形態の細胞電気生理センサを用いた細胞電位測定装置によれば、図9に示すように、気泡が残留しない状態で液体を充填し、被検体細胞に化学的刺激などを与えて、参照電極と測定電極の間の電流または電圧を測定する。
このように細胞9が活動する際に発する電気生理活動を測定する方法については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
以上説明してきたように、本実施の形態によれば、まず、分注器から分注された細胞9を含んだ液滴が最も近いピラー6の一部に接触する。その後、このピラー6を形成する壁面6aを液体の表面張力で移動し、その後フレーム2の近傍で液体を貫通孔1が存在するダイアフラム2の中心部へと液体を誘導することができる。これによって、気泡の発生の抑制と残留した気泡を効率よく除去することができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5における細胞電気生理センサについて、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態5における細胞電気生理センサの断面図である。
本実施の形態の細胞電気生理センサが、図7に示した実施の形態4の細胞電気生理センサの構成と大きく異なっているところは、ピラー6の高さをフレーム3の端面5の高さよりも高くしていることである。
これによって、マイクロピペットなどの先端の開口径が大きな器具を用いたとしても、より確実に液滴の先端をピラー6の先端へ接触させることができ、気泡の残留を確実に抑制することができる。
なお本実施の形態では、ピラー6とダイアフラム2とが一体的に形成されているため、このようにピラー6を高くすることにより機械的強度に優れる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6における細胞電気生理センサについて、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態6における細胞電気生理センサの断面図である。
本実施の形態の細胞電気生理センサが、図7で示した実施の形態4の細胞電気生理センサの構成と大きく異なっているところは、ピラー6が円錐形状であって先端が鋭角に尖った形状をしていることである。
本実施の形態によれば、ピラー6の先端部に気泡が残留することがなく、ピラー6の間隔を狭く設計した場合であっても、ピラー6の先端側には液体が拡散するスペースを広げることができる。これは、ピラー6の先端から液滴の一部に大きな応力がかかると、液滴には表面張力が働きにくくなり、結果としてピラー6の外壁6aと液滴との親和性が高まるからと考えられる。
すなわち、本実施の形態では、液滴の表面張力を分散して、液体をピラー6間に誘導しやすくなり、したがって気泡が貫通孔1近傍に残留することを抑えることができる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7における細胞電気生理センサについて、図12を用いて説明する。
図12は、本発明の実施の形態7における細胞電気生理センサの上面図である。本実施の形態の細胞電気生理センサが、図7で示した実施の形態4の細胞電気生理センサの構成と大きく異なっているところは、断面形状が多角形状のピラー6の稜線21を貫通孔1と対向するように配置している点である。
これによって、ウエル層15あるいは仕切り板14からキャビティ4の内部に流入してくる液体の濡れ性を高めるとともに、ピラー6の内周部からの気泡の抜けをより効果的とすることができる。
すなわち、気泡の残留をより少なくすることができるとともに、液体の流れをスムーズにすることができる。
また、細胞9を貫通孔1の近傍へ効率よく落下させることができることから、少数の細胞9であっても、速やかに被検体細胞9aとして貫通孔1に固定できる。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8における細胞電気生理センサについて、図13を用いて説明する。図13は、本発明の実施の形態8における細胞電気生理センサの断面図である。
本実施の形態と図7に示す実施の形態4との主な違いは、図13に示すように、ピラーの外壁面(表面)6aに、その側面に沿って環状の凹凸18を幾層にも形成した点である。この凹凸18は、ドライエッチングによって形成することができる。
このようにピラーの外壁面6aに、ピラー6の長軸方向に対してほぼ垂直な凹凸18を形成することによって、この凹凸18に沿って液滴をピラーの外壁面6aの外周全体に行き渡らせることができる。
なお、図13には図示していないが、ピラー6の外壁面6aには、実施の形態2と同様に、長軸方向の溝を形成してもよい。この溝を形成することによって、注入される液滴を、溝に沿って貫通孔1の近傍へと誘導することができ、気泡の発生を抑制し、測定の信頼性の高い細胞電気生理センサを実現できる。
また溝を形成することにより、この溝と交差する凹凸18は環形状の一部を欠いた弧状となる。これにより、液体を凹凸18に沿ってピラー6の外周に行き渡らせながら、液体を交差する溝を伝ってダイアフラム2側へと効率よく導くことができる。
さらに本実施の形態では、貫通孔1、ダイアフラム2、フレーム3、ピラー6と、このピラー6の外壁面6aの凹凸18を同一工程で形成することができ、生産性に優れる。
なお上記実施の形態1〜8では、バイオセンサとして細胞電気生理センサを例に挙げたが、その他DNAやRNA、タンパク質、アミノ酸、脂質膜、糖質、イオン、抗原などを被検体とし、これらの測定を行う各種のバイオセンサに応用ができる。この場合は、被検体保持部がDNAプローブなどの受容体や電極、抗体等となる。
本発明のバイオセンサは、貫通孔近傍における気泡の発生の抑制と残留した気泡の除去を容易に行うことができる。このことから、細胞電気生理センサの測定に対する信頼性を向上させることができる。従って、高精度な測定が要求される医療分野等におけるバイオセンサとして、大いに利用可能性を有するものである。
1 貫通孔
2 ダイアフラム
3 フレーム
4 キャビティ
5 端面
6 ピラー
9 細胞
9a 被検体細胞
10 細胞外液
11 細胞内液
12 参照電極
13 測定電極
14 仕切り板
14a 開口部
15 ウエル層
15a ウエル
16 流路
17 容器
17a プレート
18 凹凸
19 溝
20 細胞電気生理センサ
21 稜線

Claims (12)

  1. 被検体保持部を有したダイアフラムと、
    前記ダイアフラムを支持するとともにキャビティを有したフレームと、
    前記フレームの内壁面側であって前記ダイアフラム表面に形成されたピラーとを備え、前記ピラーは、前記被検体保持部の周囲を囲うように複数設けられているバイオセンサ。
  2. 前記ピラーは、前記フレームの内壁面と接し、前記ピラーの外壁面と前記フレームの内壁面とのなす角が鋭角となるように形成された請求項1に記載のバイオセンサ。
  3. 前記ピラーの断面形状が多角形形状であって、前記多角形状の稜線が前記フレームの内壁面と接している請求項2に記載のバイオセンサ。
  4. 前記ピラーは、前記フレームの内壁よりも、前記被検体保持部の近傍に形成された請求項1に記載のバイオセンサ。
  5. 前記ピラーの断面形状が多角形形状であって、前記多角形状の稜線が前記被検体保持部の方向を向いている請求項4に記載のバイオセンサ。
  6. 前記ピラーの高さが、前記フレームの高さよりも高い請求項4に記載のバイオセンサ。
  7. 前記ピラーは、外壁面が親水性である請求項1に記載のバイオセンサ。
  8. 前記ピラーは、前記フレームの内壁と一体成形された請求項1に記載のバイオセンサ。
  9. 前記ピラーの表面には、前記ピラーの長軸方向と交差する方向に複数個の凹凸が形成された請求項1に記載のバイオセンサ。
  10. 前記ピラーの表面には、前記ピラーの長軸方向に複数の溝が形成された請求項1に記載のバイオセンサ。
  11. 前記ピラーの高さと前記フレームの高さが同じである請求項1に記載のバイオセンサ。
  12. 前記ピラーと前記ダイアフラムとが一体成型された請求項1に記載のバイオセンサ。
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