JPWO2007138654A1 - 電気泳動の前処理方法、分析用基板及び電気泳動用前処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、そのような溶液供給流路を備えた分析用基板を用いて、試料置換工程で置換用液を溶液供給流路を介して導入するようにすれば、リザーバ、特にリザーバ底部に残留した試料溶液をより確実に置換用液で置換することができる。
図1Aはキャピラリプレートの一例を示す平面図及びそのキャピラリプレートの二点鎖線で囲まれた領域を詳細に示す拡大図、図1Bは図1Aのキャピラリプレートのカソード端部の斜視図、図1Cはそのカソード端部の1つのサンプルリザーバを示す拡大断面図である。
キャピラリプレート2を用いた電気泳動分析の前処理として、サンプルリザーバ8に試料14を供給する((A)参照。)。このとき、キャピラリ6内にはすでに分離媒体が充填されている。電極20により電圧を印加してキャピラリ6内に試料を導入する((B)参照。)。14aは試料が導入された分離媒体端部を表している。サンプルリザーバ8に試料14よりも比重の大きい置換用液16を供給し、サンプルリザーバ8に残留した試料14を置換用液16で置換する((C)参照。)。置換用液16としては、例えばエチレングリコール、10倍濃度TTE(TRIS‐TAPS‐EDTA)及び水を8:1:1の割合で混合した溶液である。置換用液16の供給量は、サンプルリザーバ8に残留した試料14をキャピラリ6の端面近傍から除去する程度の量が必要であるが、電気泳動後の洗浄後の処理を容易にするために、サンプルリザーバ8を満たすのに十分な液量であるのが好ましい。
その後、バッファリザーバ12にバッファ液18を供給し((D)参照。)、電圧を印加して、分離媒体の端部14aに導入された試料の分離を行なう。繰り返し使用するキャピラリプレートの場合には、その後の洗浄を容易にするために、このときに供給するバッファ液18は、比重を高めていない通常のバッファ液とすることが望ましい。
それに対し、この実施例に示した前処理方法は、サンプルリザーバ8、特にサンプルリザーバ8の底部に残留した試料14を除去することができるので、キャピラリ6の端面近傍に試料14が存在しなくなり、電気泳動分析中に残留試料14がキャピラリ6内に導入されることを防止できる。
この実施例の前処理方法では、サンプルリザーバ8に試料14を供給し((A)参照。)、電極20により電圧を印加して試料を分離媒体が充填されたキャピラリ6の端部に導入した((B)参照。)後、バッファ液18をバッファリザーバ12に供給する((C)参照。)。その後、試料14及びバッファ液18よりも比重の大きい置換用液16をサンプルリザーバ8に供給し、サンプルリザーバ8に残留した試料14を置換用液16で置換する((D)参照。)。
なお、この実施例の前処理方法においても、サンプルリザーバ8、特にサンプルリザーバ8の底部に残留した試料14をより確実に置換するために、ノズルを用いて吸入と吐出を繰り返すピペッティング動作を補助的に行なうようにしてもよい。
キャピラリ6に分離媒体が充填された状態で、最初にバッファ液18をサンプルリザーバ8及びバッファリザーバ12に供給し、プレランを行なう((A)参照。)。プレランは試料を注入しない状態で通電を行なって、キャピラリ内の分離媒体中の不純物イオンを除去する操作である。その後、試料14としてバッファ液18よりも比重の大きい液体を溶媒とする試料溶液をサンプルリザーバ8に供給する((B)参照。)。試料14はバッファ液18よりも比重が高いので、バッファ液18を浸透してサンプルリザーバ8に充填される。この状態で電極20により電圧を印加して分離媒体の端部に試料を導入する((C)参照。)。その後、サンプルリザーバ8に試料14よりも比重の大きい置換用液16を供給し、サンプルリザーバ8に残留した試料14を置換用液16で置換する((D)参照。)。
この実施例の前処理方法においても、サンプルリザーバ8、特にサンプルリザーバ8の底部に残留した試料14をより確実に除去するために、ノズルを用いて吸入と吐出を繰り返すピペッティング動作を補助的に行なうようにしてもよい。
この分析用基板は、試料を分離するためのキャピラリ6と、キャピラリ6のカソード端側の端部に接続されたサンプルリザーバ8及び複数のサンプルリザーバ8に共通のバッファリザーバ12が形成されている。キャピラリ6には分離媒体が充填されて使用される。そして、キャピラリ6とは異なる位置に溶液をサンプルリザーバ8の側面から供給することができる溶液供給流路19が形成されている。
この前処理方法では、キャピラリ6に分離媒体を充填した後、最初にサンプルリザーバ8及びバッファリザーバ12にバッファ液18を供給し((A)参照。)、その後でバッファ液18よりも比重の大きい液体を溶媒とする試料14を溶液供給流路19からサンプルリザーバ8に供給する((B)参照。)。その後、電極20により電圧を印加して分離媒体の端部に試料を導入する((C)参照。)。試料14よりも比重の大きい置換用液16を溶液供給流路19から導入し、サンプルリザーバ8に残留した試料14を置換用液16で置換する((D)参照。)。
なお、ここでは置換用液16を溶液供給流路19を介して供給しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、置換用液16はノズルから吐出して供給し、試料14のみを溶液供給流路19を介して供給するようにしてもよい。図6の分析用基板を用いる場合にも、図2又は図3の実施例のように、リザーバ8にバッファ液18を入れない状態で試料14を供給してもよい。
この電気泳動分析装置22は、分析者によって予め所定の位置に用意された試料を分析用基板36のサンプルリザーバに供給する試料供給部24と、バッファ液を送液して分析用基板36のバッファリザーバに供給するバッファ液供給部26と、試料及びバッファ液よりも比重の大きい液体(置換用液)を供給する置換用液供給部28と、分析用基板36のキャピラリ内への試料の導入及びキャピラリ内に導入された試料の電気泳動分離を行なうために、電極を介して分析用基板36のリザーバに電圧を印加する電圧印加部30と、キャピラリで電気泳動分離された試料成分を検出するための蛍光測定部32と、試料供給部24、バッファ液供給部26、置換用液供給部28、電圧印加部30及び蛍光測定部32の動作を制御する制御部34と、を備えている。
試料供給部24、バッファ液供給部26及び置換用液供給部28はそれぞれ試料、バッファ液、置換用液を貯留するタンクとそれらを送液する送液ポンプなどを備えている。
試料供給部24、バッファ液供給部26及び置換用液供給部28は、可動性のノズルに接続されてそのノズルが所定の位置に移動してそれぞれの液体が供給されるようになっていてもよいし、例えば図5に示したような、サンプルリザーバ8の側面から液体を供給する溶液供給流路19を備えた分析用基板が用いられる場合には、溶液供給流路19に試料供給部24が接続されてサンプルリザーバ8の側面からサンプルリザーバ8に試料が供給されるようになっていてもよい。また、流路切替バルブなどを介して、試料供給部24と置換用液供給部28を溶液供給流路19に接続させ、それぞれの液体が溶液供給流路19を介してサンプルリザーバ8に供給されるようになっていてもよい。
[制御1]
まず試料供給部24によって分析用基板のサンプルリザーバに試料を供給させ、電圧印加部30によって電極から電圧を印加させてキャピラリ内に試料の一部を導入させる。その後、置換用液供給部28によって置換用液をサンプルリザーバに供給させる。バッファ液供給部26によってバッファ液を供給させ、電圧印加部26によって所定の電極から電圧を印加して、キャピラリにおいて試料を電気泳動分離させる。キャピラリで電気泳動分離された試料成分を蛍光測定部32によって検出し、PC38にそのデータを送信する。
試料供給部24によって分析用基板のサンプルリザーバに試料を供給させ、電圧印加部30によって電極から電圧を印加させてキャピラリ内に試料の一部を導入させる。その後、バッファ液供給部26によってバッファ液を供給させる。分析用基板のバッファリザーバがバッファ液で満たされた状態で、置換用液供給部28によって置換用液をサンプルリザーバに供給させる。電圧印加部26によって所定の電極から電圧を印加して、キャピラリにおいて試料を電気泳動分離させる。キャピラリで電気泳動分離された試料成分を蛍光測定部32によって検出し、PC38にそのデータを送信する。
この制御方法を制御部34に実行させるために、分析者が、バッファ液供給部26から供給されるバッファ液よりも比重の大きい液体を溶媒とする試料溶液を試料供給部24に補充しておく。
バッファ液供給部26によってバッファ液を分析用基板のバッファリザーバに供給する。電圧印加部30によってプレランを行なった後、試料供給部24によって試料溶液を分析用基板のサンプルリザーバに供給する。電圧印加部30によって電極から電圧を印加させてキャピラリ内の分離媒体の端部に試料を導入させる。置換用液供給部28によって置換用液をサンプルリザーバに供給させる。電圧印加部26によって所定の電極から電圧を印加して、キャピラリにおいて試料を電気泳動分離させる。キャピラリで電気泳動分離された試料成分を蛍光測定部32によって検出し、PC38にそのデータを送信する。
従来の装置では、分析用基板のキャピラリに試料を導入した後で、キャピラリ内の分離媒体のサンプルリザーバに面した端面を乱すことなく十分な洗浄を行なうことができなかった。しかし、この実施例の装置は置換用液供給部28を備え、試料をキャピラリに導入した後で、自動で置換溶液供給部25から試料よりも比重の大きい置換用液がサンプルリザーバに導入されるようになっているので、キャピラリ内の分離媒体の端面を乱すことなくサンプルリザーバから残留試料を除去することが可能である。
なお、[制御1]〜[制御3]において、置換用液供給部28などの機構が液体の吸入及び吐出を行なうことができるノズルを備えている場合には、置換用液供給部28から置換用液をサンプルリザーバに供給させた後で、ノズルを用いてピペッティング動作を行なわせるようになっていてもよい。
それに対し、図9の測定では、蛍光の検出信号が出始めてからの信号強度のベースラインが安定している。これはサンプルリザーバ8の試料が置換用液で置換されてキャピラリ6の端面近傍から除去され、測定中にキャピラリ6に試料が導入されにくくなったことがその理由である。
6 キャピラリ
8 カソード側サンプルリザーバ
10 アノード側リザーバ
12 カソード側バッファリザーバ
14 試料
14a 導入された試料
16 置換用液
18 バッファ液
19 溶液供給流路
20 電極
22 電気泳動分析装置
24 試料供給部
26 バッファ液供給部
28 置換用液供給部
30 電圧印加部
32 蛍光測定部
34 制御部
36 分析用基板
Claims (8)
- 試料を分離するためのキャピラリと、前記キャピラリの端部に配置され、試料を前記キャピラリ内に導入するためのリザーバが形成された分析用基板を用いて電気泳動分析を行なうための前処理方法であって、
前記リザーバに試料を供給し、電圧を印加して前記試料を前記キャピラリ内に導入する試料導入工程の後、試料の電気泳動分離工程を開始するまでの間に、前記試料よりも比重の大きい置換用液を前記リザーバに導入して、前記リザーバに残留した試料をリザーバから排除する試料置換工程を含んでいることを特徴とする前処理方法。 - 前記試料導入工程では前記リザーバへの試料供給に先立って前記リザーバにバッファ液を供給し、前記試料は前記バッファ液よりも比重の大きい液体を溶媒とする試料溶液として前記リザーバへ供給する請求項1に記載の前処理方法。
- 前記分析用基板は、前記リザーバの側面から溶液を供給する溶液供給流路を備えており、
前記試料導入工程において、前記試料溶液を前記溶液供給流路を介して導入する請求項2に記載の前処理方法。 - 前記分析用基板は、前記リザーバの側面から溶液を供給する溶液供給流路を備えており、
前記試料置換工程において、前記置換用液を前記溶液供給流路を介して導入する請求項2又は3に記載の前処理方法。 - 試料を分離するためのキャピラリと、前記キャピラリの端部に配置され、試料を前記キャピラリ内に導入するためのリザーバが形成された分析用基板であって、
前記リザーバの側面から溶液を供給する溶液供給流路を備えている分析用基板。 - 試料を分離するためのキャピラリと、前記キャピラリの端部に配置され、試料を前記キャピラリ内に導入するためのリザーバが形成された分析用基板を保持する基板保持部と、
試料を前記分析用基板の前記リザーバに供給する試料供給部と、
バッファ液を前記分析用基板の前記リザーバに供給するバッファ液供給部と、
前記試料供給部によって前記リザーバに供給された試料を前記キャピラリ内に導入するように電圧を印加する電極を含む試料導入機構と、
前記試料導入機構によって試料が前記キャピラリ内に導入された後で、前記リザーバに前記試料よりも比重の大きい置換用液を供給する置換用液供給部と、を備えていることを特徴とする電気泳動用前処理装置。 - 前記分析用基板は前記リザーバの側面から溶液を供給する溶液供給流路を備えており、
前記試料供給部は前記試料溶液を前記溶液供給流路を介して前記リザーバに供給するようになっている請求項6に記載の電気泳動用前処理装置。 - 前記分析用基板は前記リザーバの側面から溶液を供給する溶液供給流路を備えており、
前記置換用液供給部は前記置換用液を前記溶液供給流路を介して前記リザーバに供給するようになっている請求項6又は7に記載の電気泳動用前処理装置。
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