JP6627580B2 - マイクロチップ電気泳動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロチップ電気泳動装置に関するものである。
マイクロチップ電気泳動では、板状部材の内部に分離流路を含む流路を有する電気泳動用のマイクロチップ(以下、電気泳動チップとも言う)が使用される。電気泳動チップの分離流路に導入された例えばDNA、RNA又はタンパク質などの試料は、分離流路の両端間に電圧が印加されて分離流路内で電気泳動されることによって分離して検出される。
例えば、電気泳動チップは、一対の板状部材を用い、流路を内側にして貼り合わせて形成される。通常、流路端に対応する位置に、貫通孔からなり、アクセスホールかつ液溜めとして用いられるリザーバが設けられる。リザーバに対して、電気泳動チップの一表面側から、試薬やサンプルの分注、分離ポリマー(泳動媒体)の加圧充填などが行われる。分析終了後に流路内及びリザーバを十分に洗浄すれば、複数のサンプルに対して同一チップを用いて分析することができる。
リザーバの容量は板状部材の板厚と穴径で規定される。例えば板厚が1mm、穴径が2mmであれば、リザーバの容量は約3μL(マイクロリットル)程度である。そのため、リザーバの洗浄処理には、3μL以下の洗浄液の分注と吸引機構、及びリザーバの少なくとも1箇所への加圧送液機構が必要である。
電気泳動チップを用いて全自動で電気泳動を行なうマイクロチップ電気泳動装置として、リザーバに分離ポリマーやサンプルなどの液を供給するための分注プローブや、リザーバに供給された分離ポリマーを加圧によって流路内に充填する加圧送液機構、流路内からリザーバ側に溢れてきた分離ポリマーを吸入する吸引ノズルなどを備えたものがある(特許文献1参照。)。
特許第4375031号公報
電気泳動チップで核酸やタンパク質などの生体高分子を分離検出する場合、通常、水溶性ポリマーを含む緩衝溶液を流路ネットワーク全体に充填し、流路端に形成した複数のリザーバの少なくとも1箇所にサンプルを分注して電気泳動を行う。電気泳動が終了した後、(1)各リザーバ内の緩衝溶液の吸引除去、(2)各リザーバ内への洗浄液の分注、(3)各リザーバ内の洗浄液の吸引除去、(4)少なくとも1箇所のリザーバへの洗浄液の分注、(5)洗浄液の加圧送液、(6)他のリザーバへ排出される使用済み緩衝溶液の吸引、(7)吸引ノズルの内外表面の洗浄、(8)分注プローブの洗浄、の処理をこの順で何度も繰り返して電気泳動チップの流路内及びリザーバの洗浄を行う。
リザーバ容量以下の洗浄液の吐出及び吸引を繰り返すため、上記の洗浄処理のループ回数は増える。また、サンプルのキャリーオーバを無くすために洗浄処理のループ回数は増える傾向にある。そのため、洗浄処理に長時間を要するという課題があった。また、リザーバ容量以上の洗浄液を吐出してチップ表面に溢れさせるとリザーバ電極間で短絡するという不具合が生じる。溢れないとしても、空気を圧送する際などチップ表面に飛沫が飛散すると徐々に沿面距離が狭くなり短絡するようになる問題が生じる。いずれも場合も装置からチップを取り外し、手操作でチップ表面を洗浄する必要が生じ、全自動の利便性を損なうという課題があった。
本発明は、チップの構造を複雑にせず、コストと操作性を損なうことなくマイクロチップを繰り返し使用することを目的とするものである。
本発明に係るマイクロチップ電気泳動装置の実施形態は、内部に電気泳動により試料を分離するための分離流路を少なくとも含む流路を備え、上記流路の各端部にそれぞれ開口したリザーバを有するマイクロチップを上記リザーバが上面にくるように保持するチップ保持部と、上記チップ保持部に保持されたマイクロチップに対向して配置され、上記リザーバに対応する位置に上記リザーバごとに設けられた貫通孔と、上記貫通孔と上記リザーバの間の気密を保つように上記マイクロチップに押し付けられる弾性部材とを有するシール付き部材と、分注プローブを備え、上記分注プローブの移動及び上記分注プローブからの流体の吐出を行う分注プローブ機構と、吸引ノズルを備え、上記吸引ノズルの移動及び上記吸引ノズルへの流体の吸引を行う吸引ノズル機構と、上記分注プローブ機構及び吸引ノズル機構の動作を制御する制御部と、を備えたものである。
本発明に係るマイクロチップ電気泳動装置の実施形態は、チップの構造を複雑にせず、コストと操作性を損なうことなく電気泳動チップを繰り返し使用することができる。
マイクロチップ電気泳動装置の一実施形態における制御部に関する部分を概略的に示すブロック図である。 同実施形態の構成を説明するための概略的な斜視図である。 マイクロチップの一例を示す図であり、(A)と(B)はマイクロチップを構成する透明板状部材を示す平面図、(C)はマイクロチップの正面図である。 同マイクロチップの具体的な一例を示す平面図である。 電気泳動チップが搭載された状態のチップ保持部を示す概略的な平面図である。 シール付き部材を示す概略的な平面図である。 マイクロチップとシール付き部材が取り付けられた状態のチップ保持部の一部分を示す概略的な断面図である。 同実施形態の動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態の続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態のさらに続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態のさらに続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態のさらに続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 流路内洗浄動作の工程を説明するための概略的な断面図である。 加圧ポート#4に分注プローブが挿入され、ポート#3に吸引ノズルが挿入されている状態を説明するための概略的な断面図である。 電気泳動チップの流路に洗浄液を供給している状態を説明するための概略的な断面図である。 参考例としての流路内洗浄動作の工程を説明するための概略的な断面図である。
本発明のマイクロチップ電気泳動装置の実施形態において、例えば、マイクロチップのリザーバに対して気密を保って配置されるシール付き部材の貫通孔をリザーバ容量の増大に用いることができる。したがって、消耗品(マイクロチップ)のコストを上げずに、リザーバ容量を増やすことができる。
また、リザーバに対して気密を保って配置された貫通孔に洗浄液を溜めることにより、貫通孔内で吸引ノズルの洗浄することができる。この場合、吸引ノズルを洗浄するための専用の容器が不要になり、装置構成を簡略化できる。
また、貫通孔とリザーバの間の気密を保つようにマイクロチップに押し付けられる弾性部材を有するシール付き部材は、リザーバ間の沿面距離の拡大の効果を奏する。したがって、消耗品(マイクロチップ)のコストを上げずに、リザーバ電極間の短絡を防止することができる。
また、本発明のマイクロチップ電気泳動装置の実施形態において、例えば、上記制御部は、上記マイクロチップの上記流路内を洗浄する際に、所定の1箇所の上記貫通孔である加圧ポート貫通孔に上記加圧ポート貫通孔と上記分注プローブの間の気密を保って上記分注プローブを挿入し、上記分注プローブから洗浄液を吐出させて上記加圧ポート貫通孔の下の上記リザーバである加圧ポートリザーバから上記流路内に洗浄液を流すように上記分注プローブ機構の動作を制御するようにしてもよい。これにより、過剰量の洗浄液を連続的に流路及びリザーバに流して洗浄を行うことができ、洗浄時間の短縮を実現できる。
本発明のマイクロチップ電気泳動装置の実施形態において、例えば、上記分注プローブは外径が先端側ほど細くなっているプローブテーパー部分を有し、上記プローブテーパー部分が上記加圧ポート貫通孔の内壁に押し付けられることによって上記加圧ポート貫通孔と上記分注プローブの間の気密が保たれるようにしてもよい。これにより、Oリング等のシール付き部材を用いなくても加圧ポート貫通孔と分注プローブの間の気密を確保できる。
さらに、例えば、上記加圧ポート貫通孔は、その内壁に上記チップ保持部側ほど内径が小さくなっている貫通孔テーパー部分を有し、上記分注プローブが上記貫通孔テーパー部分に押し付けられることによって上記加圧ポート貫通孔と上記分注プローブの間の気密が保たれるようにしてもよい。これにより、加圧ポート貫通孔と分注プローブの間の気密をより確実に確保できるようになる。
また、本発明のマイクロチップ電気泳動装置の実施形態において、例えば、上記加圧ポート貫通孔において上記分注プローブが押し付けられる部分は、上記シール付き部材の基材に対して交換可能な貫通孔部材によって形成されているようにしてもよい。これにより、加圧ポート貫通孔において分注プローブが押し付けられる部分が摩耗等によって劣化した場合に、当該部分を含む部材を交換して、加圧ポート貫通孔と分注プローブの間の気密を確保できる。
また、上記制御部は、例えば、上記流路内を洗浄する際に、上記流路から上記残りのリザーバへ排出される洗浄液の液面が上記残りの貫通孔内に位置するように上記分注プローブ機構及び上記吸引ノズル機構を動作させるようにしてもよい。これにより、リザーバ内で吸引ノズルを洗浄できる。
また、上記制御部は、例えば、上記分注プローブから洗浄液を供給して上記流路内を洗浄した後、上記加圧ポート貫通孔から上記分注プローブを引き抜き、上記加圧ポート貫通孔を介して上記加圧ポートリザーバに上記吸引ノズルを挿入して上記加圧ポートリザーバ内の洗浄液を吸引除去し、上記加圧ポート貫通孔から上記吸引ノズルを引き抜き、再度上記加圧ポート貫通孔に上記分注プローブを気密を保って挿入し、上記分注プローブから空気を吐出させて上記加圧ポートリザーバから上記流路内に空気を流し、上記流路から上記残りのリザーバへ排出される洗浄液を上記吸引ノズルで吸引するように上記分注プローブ機構及び上記吸引ノズル機構を動作させるようにしてもよい。
以下、図面を用いてマイクロチップ電気泳動装置の一実施形態について説明する。
図1はマイクロチップ電気泳動装置の一実施形態における制御部に関する部分を概略的に示すブロック図である。図2は、この実施形態のマイクロチップ電気泳動装置の構成を説明するための概略的な斜視図である。
マイクロチップ電気泳動装置1は、大きく分けて、分注プローブ部2と計量ポンプ4を有する分注プローブ機構6、チップ保持部7、吸引ノズル部16と吸引ポンプ部18を有する吸引ノズル機構19、電圧印加部24、シール付き部材26、検出部31及び制御部38を備えている。
チップ保持部7に例えば4つの電気泳動チップ5が保持されている。電気泳動チップ5に対向してシール付き部材26が配置されている。シール付き部材26はネジ27によってチップ保持部7に着脱可能に取り付けられている。電気泳動チップ5、チップ保持部7及びシール付き部材26については後述する。
分注プローブ機構6は、電気泳動チップ5のリザーバに分離ポリマーや試料の分注や、洗浄液や空気の供給を行うものである。分注プローブ機構6の分注プローブ部2は、分注プローブ8と、分注プローブ8を水平方向(XY方向)と鉛直方向(Z方向)に三次元移動させる分注プローブ移動機構を備えている。分注プローブ8は、例えばステンレス製であり、外径が先端側ほど細くなっているプローブテーパー部分8aを有している。
分注プローブ機構6は、例えば、計量ポンプ4と、開閉バルブ9a,9bと、洗浄液容器10も備えている。分注プローブ8は開閉バルブ9aを介して計量ポンプ4に接続されている。洗浄液容器10は開閉バルブ9bを介して計量ポンプ4に接続されている。洗浄液容器10は洗浄液を収容している。洗浄液は例えば純水である。
吸引ノズル機構19は、電気泳動チップ5のリザーバ内の分離ポリマー、試料又は洗浄液を吸入するものである。吸引ノズル機構19の吸引ノズル部16は、1つの電気泳動チップ5のリザーバに対応して設けられた吸引ノズル22−1〜22−4と、吸引ノズル22−1〜22−4を保持するノズル保持部17と、ノズル保持部17を例えばX方向とZ方向で二次元移動させる吸引ノズル移動機構を備えている。なお、この吸引ノズル移動機構は吸引ノズルを三次元移動させるものであってもよい。吸引ノズル22−1〜22−4は吸引ポンプ部18に設けられたポンプにそれぞれ接続されている。吸引ノズル22−1〜22−4は例えばステンレス製である。
分注プローブ移動機構及び吸引ノズル移動機構は、例えば、モータの回転によって動作されるベルト駆動方式やボールネジ駆動方式などの直動案内機構によってそれぞれ構成される。ただし、これらの移動機構は、直動案内機構に限定されず、分注プローブや吸引ノズルを所定位置に移動させることができる機能を有する機構であれば特に限定されない。
分注プローブ8を洗浄するためのプローブ洗浄部14と、吸引ノズル22−1〜22−4を洗浄するためのノズル洗浄部28が設けられている。プローブ洗浄部14とノズル洗浄部28には洗浄液が供給される。
分注プローブ8の移動範囲内に、例えば試料や試薬、分離ポリマーなどを収容した96穴のウェルプレート12が配置される。なお、試薬や分離ポリマーは専用の容器に収容されてウェルプレート12の近くに配置されてもよい。
電圧印加部24は、電気泳動チップ5ごとに、電気泳動チップ5の流路端のそれぞれに独立した泳動用電圧を印加する。
検出部31は、電気泳動チップ5内の分離流路で分離された試料成分を例えば蛍光検出する。検出部31は、例えば、電気泳動チップ5ごとに、分離流路の一部に励起光を照射するLED(発光ダイオード)30と、分離流路を移動する試料成分がLED30からの励起光により励起されて発生した蛍光を受光する光ファイバ32を備えている。検出部31は、光ファイバ32からの蛍光から励起光成分を除去して蛍光成分のみを透過させるフィルタ34を介して蛍光を受光する光電子増倍管36を備えている。
この実施形態では互いに異なる蛍光を透過させる2つのフィルタ34が使用されている。これにより、4つの電気泳動チップ5で互いに異なる蛍光を検出することができるようになっている。ただし、4つの電気泳動チップ5で同じ蛍光を検出する場合には、1つのフィルタを共通に使用することができる。
また、4つのLED30を互いに時間をずらして発光させることにより、1つの光電子増倍管36で4つの電気泳動チップ5からの蛍光を識別して検出することができる。なお、励起光の光源としては、LEDに限らず、例えばLD(レーザダイオード)を用いてもよい。
制御部38は、分注プローブ機構6、吸引ノズル機構19、電圧印加部24及び検出部31の動作を制御する。制御部38は、例えば、CPU(中央演算処理装置)や記憶装置などを搭載したマイコンによって実現される。制御部38はマイクロチップ電気泳動装置1の外部に設けられたコンピュータ40に接続されている。
コンピュータ40は例えばパーソナルコンピュータ(PC)や専用のコンピュータによって実現される。コンピュータ40は、マイクロチップ電気泳動装置1の動作を指示したり、検出部31が得たデータを取り込んで処理したりするための外部制御装置である。
図3と図4は電気泳動チップ5の一例を示したものである。なお、本発明の実施形態における電気泳動チップ(マイクロチップ)は、内部に形成された流路と流路端にそれぞれ開口したリザーバを有するチップを指しており、必ずしもサイズの小さいものに限定される意味ではない。
図3に示されるように、電気泳動チップ5は、例えば一対の透明基板51,52からなる。透明基板51,52は例えば石英ガラスその他のガラス基板や樹脂基板で形成されている。
一方の基板52の表面に、(B)に示されるように、互いに交差する泳動用キャピラリ溝54,55が形成されている。他方の基板51には、(A)に示されるように、その溝54,55の端に対応する位置にリザーバ53−1〜53−4としての貫通孔が形成されている。(C)に示されるように、両基板51,52が重ねられて接合されて電気泳動チップ5が形成される。キャピラリ溝54,55によって、電気泳動チップ5内に、試料の電気泳動分離用の分離流路55と、分離流路55に試料を導入するための試料導入流路54が形成される。
電気泳動チップ5は基本的には図3に示したものであるが、取扱いを容易にするために、図4に示されるように、電圧を印加するための電極端子を予めチップ上に形成したものを使用する。図4は電気泳動チップ5の平面図を示したものである。
4つのリザーバ53−1〜53−4は流路54,55に電圧を印加するためのポートでもある。ポート#1と#2は試料導入流路54の両端に位置するポートである。ポート#3と#4は分離流路55の両端に位置するポートである。ポート#4は加圧ポートを構成する。リザーバ53−4は加圧ポートリザーバを構成する。
各ポートに電圧を印加するために、各ポートを構成するリザーバ53−1〜53−4の内壁面から電気泳動チップ5の表面にわたって電極パターン56−1〜56−4が形成されている。電極パターン56−1〜56−4は電圧印加部24(図2を参照。)に接続されるようになっている。
図5から図7を参照してシール付き部材とチップ保持部について説明する。図5は、電気泳動チップが搭載された状態のチップ保持部を示す概略的な平面図である。図6は、シール付き部材を示す概略的な平面図である。図7は、電気泳動チップとシール付き部材が取り付けられた状態のチップ保持部の一部分を示す概略的な断面図である。なお、図7では、ポート#3と#4が図示され、ポート#1と#2は図示されていないが、ポート#1と#2の構成はポート#3と同様である。
図5に示されているように、チップ保持部7は、上面の4か所に、電気泳動チップ5を保持するためのチップホルダ71と凹部74を備えている。チップ保持部7の対角の2ヶ所にシール付き部材26を固定するためのネジ穴72が設けられている。図6に示されるように、シール付き部材26の対角の2ヶ所にもネジ27を貫通させる穴62が設けられている。
また、チップ保持部7は、後述する吸引ノズル22−4が挿入される逃げ穴73を備えている。逃げ穴73は、X方向(図2を参照)で電気泳動チップ5の保持位置からずれた位置に、電気泳動チップ5の保持位置ごとに設けられている。
シール付き部材26は、例えば樹脂製であり、リザーバ53−1〜53−4に対応する位置に貫通孔64−1〜64−4を備えている。貫通孔64−4は加圧ポート貫通孔を構成する。また、シール付き部材26は、チップ保持部7の逃げ穴73に対応する位置に、後述する吸引ノズル22−4が挿入される貫通孔からなる逃げ穴63を備えている。
貫通孔64−1〜64−4は、例えば、シール付き部材26の基材に形成された、裏面側(チップ保持部7側)に開口を有する有底円筒形状の穴の底部からシール付き部材26の表面に向かって設けられた貫通孔で構成される部分と、上記有底円筒形状の穴に裏面側から交換可能に嵌め込まれた貫通孔部材65−1〜65−4に設けられた貫通孔で構成される部分とを有している。
貫通孔部材65−1〜65−3は、例えば内径が均一な樹脂製の円管部材で形成されている。貫通孔部材65−1〜65−3の内径は、分注プローブ8が挿入されたときに貫通孔部材65−1〜65−3と分注プローブ8の間に隙間ができる程度に、分注プローブ8の外径よりも大きい。また、貫通孔部材65−1〜65−3の内径は、吸引ノズル22−1〜22−3の外径よりも大きい。
加圧ポート貫通孔64−4に配置される貫通孔部材65−4の貫通孔は、例えば、その内壁にチップ保持部7側ほど内径が小さくなる貫通孔テーパー部分65−4aを備えている。貫通孔テーパー部分65−4aは、チップ保持部7側の端部が分注プローブ8の外径よりも小さくなっており、分注プローブ8のプローブテーパー部分8aが押し付けられる部位である。また、貫通孔部材65−4の内径は、吸引ノズル22−4の外径よりも大きい。
また、シール付き部材26には、貫通孔64−1〜64−4とリザーバ53−1〜53−4の間の気密を保つように電気泳動チップ5に押し付けられる弾性部材67が貫通孔64−1〜64−4ごとに設けられている。弾性部材67は例えばOリングである。弾性部材67は貫通孔部材65−1〜65−4の電気泳動チップ5に対向する面に配置されている。
弾性部材67によって貫通孔64−1〜64−4とリザーバ53−1〜53−4の間の気密が保たれることによって、必要に応じて、貫通孔64−1〜64−4を大容量のリザーバとして使用することができる。
シール付き部材26の裏面側に、電気泳動チップ5の電極パターン56−1〜56−4と電気的に接続される電極コンタクト66−1〜66−4が設けられている。電極コンタクト66−1〜66−4は電気配線によって端子接続部68に接続されている。端子接続部68は電圧印加部24(図2を参照。)に接続される。
図8から図12を参照して、マイクロチップ電気泳動装置1の動作について説明する。マイクロチップ電気泳動装置1において、電気泳動チップ5は移動されずにチップ保持部7に固定された状態で繰り返し使用されるものである。ここで説明する動作は、前回の分析で使用された電気泳動チップを洗浄し、流路及び各リザーバに分離ポリマーを充填し、その後試料を分注して電気泳動を行って分析を行う一連の工程である。これらの動作はマイクロチップ電気泳動装置1の制御部38による制御によって行われる。なお、図8から図12において、シール付き部材26の図示は省略されている。また、図8〜図12の(A)〜(T)は、以下に説明する工程(A)〜(T)に対応している。
(A)は1つの電気泳動チップ5を示している。電気泳動チップ5は図3及び図4に示されたものと同等である。分離流路55と試料導入流路54が交差するように設けられ、各流路54,55の端部にリザーバ53−1〜53−4が形成されている。ここで、電気泳動チップ5は前の試料の分析が終了した状態であり、流路及び各リザーバには分離ポリマーや試料溶液が残っている。また、流路55内の分離ポリマーに、分離された試料が残っている。
(B)まず、試料収容用のリザーバ53−1に収容されている試料溶液を除去するために、ノズル保持部17が電気泳動チップ5の上に移動された後に下降されて、吸引ノズル22−1が貫通孔64−1(図6を参照。)を介してリザーバ53−1に挿入される。
ここで、図2に示されるように、吸引ノズル22−1の長さは吸引ノズル22−2,22−3よりも長くなっている。また、吸引ノズル22−4の長さは吸引ノズル22−1よりも長くなっている。さらに、吸引ノズル22−1〜22−4は、吸引ノズル22−1〜22−3がリザーバ53−1〜53−3(貫通孔64−1〜64−3)の上方に配置されたときに、吸引ノズル22−4が逃げ穴63,73(図5及び図6も参照。)の上方に配置されるように、ノズル保持部17に保持されている。さらに、吸引ノズル22−1〜22−4は、バネ機構によりノズル保持部17に対して先端位置がそれぞれノズル保持部17側へ移動できるようにノズル保持部17に保持されている。
このような吸引ノズル22−1〜22−4の構成により、吸引ノズル22−1の先端がリザーバ53−1に挿入されてリザーバ53−1の底部に接触し、吸引ノズル22−2,22−3の先端がリザーバ53−2,53−3には挿入されておらず、かつ、吸引ノズル22−4の先端が逃げ穴63,73に挿入されている状態を形成できる。
その状態で、吸引ポンプ部18(図2を参照。)が動作されることにより、リザーバ53−1内の分離ポリマーが吸引ノズル22−1を介して吸引除去される。このとき、吸引ポンプ部18において、例えば吸引ノズル22−1に接続されているポンプのみが動作される。
なお、この状態で、吸引ノズル22−2,22−3の先端は貫通孔64−,64−3(図6を参照。)の内部に位置していてもよいし、貫通孔64−,64−3の上方に配置されていてもよい。
また、逃げ穴73に挿入された吸引ノズル22−4の先端は、逃げ穴73の底に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。ただし、吸引ノズル22−4の先端の汚染を考慮すると、吸引ノズル22−4の先端は逃げ穴73の底に接触しないことが好ましい。なお、逃げ穴73は底を有するものであってもよいし、貫通孔であってもよい。
(C)吸引ノズル22−1〜22−4が移動された後、分注プローブ8が貫通孔64−1(図6を参照。)を介してリザーバ53−1に挿入される。このとき、分注プローブ8と貫通孔64−1の間には隙間が形成されている。そして、リザーバ53−1に分注プローブ8から洗浄液が供給される。分注プローブ8からの洗浄液の供給は、図2を参照して説明すると、開閉バルブ9aを閉じ、開閉バルブ9bを開いた状態で計量ポンプ4を吸引動作させて計量ポンプ4内に洗浄液容器10から洗浄液を吸引した後、開閉バルブ9bを閉じ、開閉バルブ9aを開いた状態に切り替えて、計量ポンプ4を吐出動作させることにより行われる。
(D)分注プローブ8が移動された後、再びリザーバ53−1に吸引ノズル22−1が挿入され、洗浄液が吸引除去される。
(E)リザーバ53−1に分注プローブ8から再び洗浄液が供給される。
(F)吸引ノズル22−1〜22−3が貫通孔64−1〜64−3(図6を参照。)を介してリザーバ53−1〜53−3に挿入される。ノズル保持部17が下降されて吸引ノズル22−1の先端がリザーバ53−1の底に接触して押し付けられた後、さらにノズル保持部17が下降されて吸引ノズル22−2,22−3の先端がリザーバ53−2,53−3の底に接触する。また、吸引ノズル22−4は逃げ穴63,73に挿入される。
吸引ポンプ部18が動作されて、リザーバ53−1内の洗浄液とリザーバ53−2,53−3内の分離ポリマーが吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去される。このとき、吸引ポンプ部18において、例えば吸引ノズル22−1〜22−3に接続されているポンプのみが動作される。
(G)ノズル保持部17が移動されて、吸引ノズル22−4が加圧ポート貫通孔64−4(図6を参照。)を介して加圧ポートリザーバ53−4に挿入され、吸引ノズル22−4の先端が加圧ポートリザーバ53−4の底に接触する。このとき、吸引ノズル22−1〜22−3はリザーバ53−1〜53−3には挿入されない。吸引ノズル22−1〜22−3の先端は、シール付き部材26の上方に配置されてもよいし、シール付き部材26に逃げ穴を別途設けてその逃げ穴に挿入されるようにしてもよい。
加圧ポートリザーバ53−4に吸引ノズル22−4が挿入された状態で、吸引ポンプ部18が動作されてリザーバ53−4内の分離ポリマーが吸引ノズル22−4を介して吸引除去される。このとき、吸引ポンプ部18において、例えば吸引ノズル22−4に接続されているポンプのみが動作される。
(H)次にリザーバ53−1〜53−4内及び流路54,55内の洗浄を行う。この洗浄動作について図13から図15も参照して説明する。図13は、流路内洗浄動作の工程を説明するための概略的な断面図である。図14は、加圧ポート#4に分注プローブが挿入され、ポート#3に吸引ノズルが挿入されている状態を説明するための概略的な断面図である。図15は、電気泳動チップの流路に洗浄液を供給している状態を説明するための概略的な断面図である。
図13(1)に示されるように、分注プローブ8がプローブ洗浄部14(リンスポートとも呼ばれる。)に挿入され、計量ポンプ4から洗浄液が供給されて分注プローブ8の洗浄が行われる。なお、分注プローブ8の洗浄動作は、上記工程(G)の加圧ポートリザーバ53−4内の分離ポリマーの吸引動作と並行して行われてもよい。
図13(2)及び図14に示されるように、吸引ノズル22−1〜22−3が貫通孔64−1〜64−3を介してリザーバ53−1〜53−3に挿入される。また、吸引ノズル22−4は逃げ穴63,73に挿入される。
さらに、分注プローブ8が加圧ポート貫通孔64−4を介して加圧ポートリザーバ53−4に挿入される。このとき、図14に示されるように、分注プローブ8のプローブテーパー部分8aが加圧ポート貫通孔64−4の貫通孔テーパー部分65−4aに押し付けられる。これにより、加圧ポート貫通孔64−4と分注プローブ8の間の気密が保たれる。
この状態で、分注プローブ8から洗浄液を吐出させて加圧ポートリザーバ53−4から流路54,55内に洗浄液を加圧送液する。流路54,55からリザーバ53−1〜53−3へ排出される分離ポリマー及び洗浄液を吸引ノズル22−1〜22−3で吸引する。分注プローブ8から供給される洗浄液の量は、流路54,55の洗浄に十分な量、例えば100μL程度である。
また、流路54,55内を洗浄する際に、図15に示されるように、流路54,55からリザーバ53−1〜53−3へ排出される洗浄液の液面がシール付き部材26の貫通孔64−1〜64−3内に位置するように、分注プローブ8からの洗浄液の吐出流量と、吸引ノズル22−1〜22−3への洗浄液の吸引時期及び吸引量が制御される。これにより、リザーバ53−1〜53−3から貫通孔64−1〜64−3内に溢れた洗浄液を用いて吸引ノズル22−1〜22−3の先端部の外壁の洗浄が可能になる。
流路54,55内の洗浄に十分な量の洗浄液が分注プローブ8から供給された後、分注プローブ8からの洗浄液の供給が停止される。そして、リザーバ53−1〜53−3内に残っている洗浄液が吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去される。このとき、加圧ポートリザーバ53−4内及び流路54,55内には洗浄液が残っている。
(I)分注プローブ8が加圧ポート貫通孔64−4から引き抜かれる。また、吸引ノズル22−1〜22−3が貫通孔64−1〜64−3から引き抜かれる。図13(3)に示されるように、吸引ノズル22−4が加圧ポート貫通孔64−4を介して加圧ポートリザーバ53−4に挿入される。そして、加圧ポートリザーバ53−4内に残っている洗浄液が吸引ノズル22−4を介して吸引除去される。
なお、分注プローブ8を加圧ポート貫通孔64−4から引き抜く前に、分注プローブ8の先端が加圧ポート貫通孔64−4から出ない程度に分注プローブ8を上昇させて分注プローブ8と貫通孔部材65−4の間に隙間を形成した状態で、分注プローブ8から洗浄液を吐出させて加圧ポートリザーバ53−4内及び加圧ポート貫通孔64−4内に洗浄液を供給する動作を含むようにしてもよい。これにより、加圧ポートリザーバ53−4内及び加圧ポート貫通孔64−4内の洗浄液を用いて、その後加圧ポートリザーバ53−4に挿入される吸引ノズル22−4の洗浄を行うことができる。
また、分注プローブ8から洗浄液を吐出させて加圧ポートリザーバ53−4から流路54,55内に洗浄液を加圧送液した後に、リザーバ53−1〜53−3に吸引ノズル22−1〜22−3が挿入されるようにしてもよい。この場合、洗浄液は、流路54,55からリザーバ53−1〜53−3内及び貫通孔64−1〜64−3内に溢れ出して溜まる。その後、貫通孔64−1〜64−3を介してリザーバ53−1〜53−3に吸引ノズル22−1〜22−3が挿入されることにより、吸引ノズル22−1〜22−3の外壁を洗浄することができる。その後、洗浄液は吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去される。ここで、分注プローブ8から供給される洗浄液量は、洗浄液が貫通孔64−1〜64−3から溢れない程度である。また、リザーバ53−1〜53−3内及び貫通孔64−1〜64−3内に溜められる洗浄液量は、吸引ノズル22−1〜22−3の外壁の洗浄に十分な量であることが好ましい。
(J)吸引ノズル22−4が加圧ポート貫通孔64−4から引き抜かれる。図13(4)に示されるように、吸引ノズル22−1〜22−3が貫通孔64−1〜64−3を介してリザーバ53−1〜53−3に挿入され、吸引ノズル22−4が逃げ穴63,73に挿入される。また、分注プローブ8が加圧ポート貫通孔64−4を介して加圧ポートリザーバ53−4に気密を保って挿入される。ここで、分注プローブ8が加圧ポートリザーバ53−4に挿入される前に、計量ポンプ4が吸引動作されて分注プローブ8内に空気が吸引された状態にされている。
吸引ポンプ部18を動作させて吸引ノズル22−1〜22−3に流体が吸引される状態にし、また、計量ポンプ4を吐出動作させて分注プローブ8から加圧ポートリザーバ53−4に空気を供給して、流路54,55内に残っている洗浄液をリザーバ53−1〜53−3に押し出す。リザーバ53−1〜53−3に押し出された洗浄液は吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去される。分注プローブ8から供給される空気の量は、流路54,55内に残っている洗浄液をリザーバ53−1〜53−3に押し出すのに十分な量、例えば100μL程度である。これにより、リザーバ53−1〜53−4内及び流路54,55内は空の状態になる。そして、リザーバ53−1〜53−4内及び流路54,55内の洗浄が完了する。
(K)分注プローブ8が加圧ポート貫通孔64−4から引き抜かれ、分注プローブ8の洗浄及び分注プローブ8への分離ポリマーの吸引が行われる。吸引ノズル22−1〜22−3がリザーバ53−1〜53−3に挿入され、分注プローブ8が加圧ポート貫通孔64−4を介して加圧ポートリザーバ53−4に気密を保って挿入される。なお、上記工程(J)の後、図10(K)の状態にする前に、ノズル洗浄部28を用いて吸引ノズル22−1〜22−4が洗浄されてもよい。
分注プローブ8から所定量の分離ポリマーを吐出させて加圧ポートリザーバ53−4から流路54,55内に分離ポリマーを充填する。流路54,55からリザーバ53−1〜53−3へ排出される分離ポリマーを吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去する。分注プローブ8から供給される分離ポリマーの量は、流路54,55への分離ポリマーの充填に十分な量、例えば1μL程度である。
なお、流路54,55への分離ポリマーの充填は、所定量の分離ポリマーが加圧ポートリザーバ53−4に供給された後、分注プローブ8が加圧ポート貫通孔64−4から一旦引き抜かれて分注プローブ8の洗浄及び分注プローブ8への空気の吸引が行われ、空気を吸引した分注プローブ8が加圧ポート貫通孔64−4に気密を保って再度挿入され、分注プローブ8から所定量の空気が吐出されて、加圧ポートリザーバ53−4を含む密閉された空間内が加圧されることによって行われるようにしてもよい。
(L)加圧ポートリザーバ53−4に吸引ノズル22−4が挿入され、加圧ポートリザーバ53−4内に残っている分離ポリマーが吸引除去される。これにより流路54,55内にのみ分離ポリマーが残っている状態となる。
(M)〜(P)分注プローブ8によりリザーバ53−1〜53−4に所定量の分離ポリマーが順次分注される。なお、加圧ポートリザーバ53−4に分離ポリマーを分注する際は、分注プローブ8と貫通孔部材65−4の間に隙間が形成された状態で分離ポリマーの分注が行われる。加圧ポートリザーバ53−4を含む空間が密閉されていると流路55内に空気が入り込むからである。また、リザーバ53−1〜53−4に分離ポリマーが分注される順序は、工程(M)〜(P)の順序に限定されず、特に限定されない。
(Q)電圧印加部24によって電極コンタクト66−1〜66−4及び電極パターン56−1〜56−4(図2、図4及び図6を参照。)を介してリザーバ53−1〜53−4に所定のテスト用電圧が印加されて、泳動テストが行なわれる。この泳動テストでは、例えば、電極パターン間の電流値を検出することにより流路にゴミや気泡が混入していないかどうかが確認される。ここでテスト用電圧は、試料を分離するための泳動電圧と同じであってもよいが、それよりも低電圧としてもよい。
この泳動テスト工程で流路への分離ポリマーの充填が正常に行なわれたと判定されたときは、試料を注入して分析を行なうために次の工程(R)へ進む。また、流路への分離ポリマーの充填が正常に行なわれたと判定されなかったときは、流路への分離ポリマーの充填をやり直すために工程(F)に戻る。
例えば、流路54,55への分離ポリマーの充填のやり直しを許容する回数を予め設定しておく。その回数だけ分離ポリマーの充填のやり直しを行なっても流路54,55への分離ポリマーの充填が正常に行なわれたと判定されないときは、その電気泳動チップ5をチップ保持部7から取り外し、別の電気泳動チップ5に交換する。分離ポリマーの充填のやり直しを許容する回数は特に限定されるものではないが、例えば2回又は3回が適当である。
(R)試料収容用のリザーバ53−1に吸引ノズル22−1が挿入され、リザーバ53−1内の分離ポリマーが吸引除去される。
(S)リザーバ53−1に分注プローブ8から所定量の試料溶液が分注される。試料溶液の分注量は、電気泳動チップ5ごとに設定された量である。
(T)電圧印加部24によって電極コンタクト66−1〜66−4及び電極パターン56−1〜56−4(図2、図4及び図6を参照。)を介してリザーバ53−1〜53−4に所定の試料導入用の電圧が印加されて、試料が流路54と55の交差位置(図4を参照。)へ導かれる。その後、印加電圧が所定の泳動分離用の電圧に切り換えられて、試料がリザーバ53−4側に向かって分離流路55内へ導かれ、分離流路55内で分離される。分離された試料は検出部31(図2を参照。)によって検出される。
この実施形態では、上記工程(H)で説明したように、マイクロチップ電気泳動装置1は、加圧ポート貫通孔64−4に加圧ポート貫通孔64−4と分注プローブ8の間の気密を保って分注プローブ8を挿入し、貫通孔64−1〜64−3に吸引ノズル22−1〜22−3を挿入する。また、加圧ポート貫通孔64−4と加圧ポートリザーバ53−4の間は弾性部材67によって気密を保たれている。これにより、加圧ポートリザーバ53−4と分注プローブ8はオンライン接続される。そして、マイクロチップ電気泳動装置1は、流路54,55内に連続的に洗浄液を供給して、短時間で効率的に電気泳動チップ5を洗浄することができる。さらに、各貫通孔は弾性部材で相互に隔離されているため、飛沫や液漏れなどによって短絡するリスクを回避できる。
次に、参考例として、図16を参照して、シール付き部材26が設けられていない場合の流路54,55内の洗浄工程について説明する。
まず、各リザーバ53−1〜53−4内の試料溶液及び分離ポリマーの吸引除去、各リザーバ53−1〜53−4内への洗浄液の分注及び吸引除去が行われる。
その後、図16に示されるように、(11)分注プローブ8の洗浄、(12)加圧ポートリザーバ53−4への洗浄液の分注、(13)加圧機構100(例えば特許文献1を参照。)を用いた洗浄液の加圧送液、(14)リザーバ53−1〜53−4へ排出される使用済み分離ポリマー又は洗浄液の吸引除去、(15)加圧ポートリザーバ53−4内の洗浄液の吸引除去、(16)吸引ノズル22−1〜22−4の内外表面の洗浄、の処理が順に行われる。
ここで、上記工程(12)で、加圧ポートリザーバ53−4から洗浄液が溢れないように、リザーバ53−4に注入される洗浄液の量は、リザーバ53−4の容量以下、例えば3μL程度にする必要がある。したがって、流路54,55内を十分に洗浄するには、上記工程(11)〜(16)の一連の処理が何度も(例えば3回以上)繰り返して行われる必要がある。
これに対して、本発明の一実施形態のマイクロチップ電気泳動装置1は、流路54,55内に洗浄液をオンラインで連続的に供給できるので、流路54,55内及びリザーバ53−1〜53−4内を短時間で効率的に洗浄することができる。
また、シール付き部材26が設けられていない場合には、液体が残っている状態のリザーバに液体が分注されたり、液体がリザーバ容量以上に分注されたりして、洗浄液や分離ポリマーがチップ表面に溢れると、装置1から電気泳動チップ5を取り外して手操作で表面を洗浄する必要が生じ、全自動の利便性を損なっていた。
このような不具合に対して、マイクロチップ電気泳動装置1は、シール付き部材26を備えていることにより、リザーバ53−1〜53−4内にリザーバ容量以上の液体が供給された場合であっても、リザーバから溢れ出した液体を貫通孔64−1〜64−4内に収容できる。これにより、リザーバ53−1〜53−4から液体が飛散して電気泳動チップ5の上面に付着することが防止される。
また、電気泳動チップ5のリザーバ53−1〜53−4の容量は電気泳動チップ5を構成する板状部材の厚みと穴の内径で決まり、例えば2〜3μL程度である。これを用いて、例えば5分以上の電気泳動を連続的に実施しようとすると、リザーバの容量が不足するため、電気泳動チップにリザーバ容量を増やすための部材を別途形成するなどの工夫が必要となる。
これに対し、この実施形態のマイクロチップ電気泳動装置1では、シール付き部材26の貫通孔64−1〜64−4がリザーバ53−1〜53−4と連続した空間を構成することによって貫通孔64−1〜64−4を大容量のリザーバとして用いることができるため、電気泳動チップに別途加工を加えるなどの工夫は不要である。
例えば、電気泳動チップのリザーバ容量を増やすために板状部材の厚みを大きくしたり、リザーバの周囲のチップ表面にリザーバ容量増加用の部材を別途設けたりすると、電気泳動チップ自体の製造コストが増加する。これに対し、マイクロチップ電気泳動装置1は、消耗品としての電気泳動チップ5に設計変更や特別な加工を施すことなく(電気泳動チップ5のコストを上げることなく)、貫通孔64−1〜64−4を用いることによってリザーバ容量を増やすことができる。また、チップ交換も容易にできる。
また、マイクロチップ電気泳動装置1は、上記工程(H)と工程(I)で説明したように、貫通孔64−1〜64−4内で吸引ノズル22−1〜22−4の洗浄を行うことができる。したがって、ノズル洗浄部28をマイクロチップ電気泳動装置1の構成から省略することもできる。ノズル洗浄部28を備えていないようにすれば、マイクロチップ電気泳動装置1の装置構成を簡略化できる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における構成、配置、数値、材料等は一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、加圧ポート貫通孔64−4において分注プローブ8が押し付けられる部分は、上記実施形態ではシール付き部材26の基材に対して交換可能な貫通孔部材65−4によって形成されているが、シール付き部材26の基材又は交換することが前提とされていない部材で形成されていてもよい。
また、貫通孔64−1〜64−4は、上記実施形態では交換可能な貫通孔部材65−1〜65−4を用いて形成されているが、シール付き部材26の基材又は交換することが前提とされていない部材で形成されていてもよい。
また、分注プローブ8のプローブテーパー部分8aが加圧ポート貫通孔64−4の貫通孔テーパー部分64−4aに押し付けられることによって加圧ポート貫通孔64−4と分注プローブ8の間の気密が保たれるが、加圧ポート貫通孔64−4と分注プローブ8の間の気密を保つ方法はこれに限定されず、どのような方法であってもよい。例えば、分注プローブの先端が貫通孔テーパー部分64−4aに押し付けられる構成であってもよいし、分注プローブ8のプローブテーパー部分8aが加圧ポート貫通孔の内壁の上端に押し付けられる構成であってもよい。また、分注プローブと加圧ポート貫通孔の間にOリング等の気密を保つための弾性部材が配置されてもよい。
また、上記実施形態では、流路54,55内を洗浄する際に、意図的に、流路54,55からリザーバ53−1〜53−3へ排出される洗浄液の液面が貫通孔64−1〜64−3内に位置するように分注プローブ機構6及び吸引ノズル機構19が動作されているが、リザーバ53−1〜53−3から洗浄液が溢れないようにしながら流路54,55内を洗浄してもよい。
また、本発明の実施形態のマイクロチップ電気泳動装置で用いられる電気泳動チップは、図3や図4に示された構成に限定されず、内部に電気泳動により試料を分離するための分離流路を少なくとも含む流路を備え、上記流路の各端部にそれぞれ開口したリザーバを有する電気泳動チップであればよい。例えば、電気泳動チップは、電気泳動チップ5に対して試料導入流路54及びリザーバ54−1,54−2が設けられていない構成であってもよい。
1 マイクロチップ電気泳動装置
5 電気泳動チップ(マイクロチップ)
6 分注プローブ機構
7 チップ保持部
8 分注プローブ
8a プローブテーパー部分
19 吸引ノズル機構
22−1〜22−4 吸引ノズル
26 シール付き部材
38 制御部
54 流路
55 分離流路
53−1〜53−3 リザーバ
53−4 加圧ポートリザーバ
64−1〜64−3 貫通孔
64−4 加圧ポート貫通孔
64−4a 貫通孔テーパー部分
67 弾性部材
65−4 貫通孔部材

Claims (7)

  1. 内部に電気泳動により試料を分離するための分離流路を少なくとも含む流路を備え、前記流路の各端部にそれぞれ開口したリザーバを有するマイクロチップを前記リザーバが上面にくるように保持するチップ保持部と、
    下面が前記チップ保持部に保持されたマイクロチップの上面と対向するように配置され、前記リザーバに対応する位置に前記リザーバごとに設けられて前記リザーバの容量を拡大するための貫通孔、及び、前記下面に設けられて前記貫通孔と前記リザーバの間の気密を保つように前記マイクロチップに押し付けられる弾性部材を有するシール付き部材と、
    分注プローブを備え、前記分注プローブの移動及び前記分注プローブからの流体の吐出を行う分注プローブ機構と、
    吸引ノズルを備え、前記吸引ノズルの移動及び前記吸引ノズルへの流体の吸引を行う吸引ノズル機構と、
    前記分注プローブ機構及び吸引ノズル機構の動作を制御する制御部と、を備えたマイクロチップ電気泳動装置。
  2. 前記制御部は、前記マイクロチップの前記流路内を洗浄する際に、所定の1箇所の前記貫通孔である加圧ポート貫通孔に前記加圧ポート貫通孔と前記分注プローブの間の気密を保って前記分注プローブを挿入し、前記分注プローブから洗浄液を吐出させて前記加圧ポート貫通孔の下の前記リザーバである加圧ポートリザーバから前記流路内に洗浄液を流すように前記分注プローブ機構の動作を制御する請求項1に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
  3. 前記分注プローブは外径が先端側ほど細くなっているプローブテーパー部分を有し、
    前記プローブテーパー部分が前記加圧ポート貫通孔の内壁に押し付けられることによって前記加圧ポート貫通孔と前記分注プローブの間の気密が保たれる請求項2に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
  4. 前記加圧ポート貫通孔は、その内壁に前記チップ保持部側ほど内径が小さくなっている貫通孔テーパー部分を有し、
    前記分注プローブが前記貫通孔テーパー部分に押し付けられることによって前記加圧ポート貫通孔と前記分注プローブの間の気密が保たれる請求項2又は3に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
  5. 前記加圧ポート貫通孔において前記分注プローブが押し付けられる部分は、前記シール付き部材の基材に対して交換可能な貫通孔部材によって形成されている請求項から4のいずれか一項に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
  6. 前記制御部は、前記流路内を洗浄する際に、前記流路から前記残りのリザーバへ排出される洗浄液の液面が前記残りの貫通孔内に位置するように前記分注プローブ機構及び前記吸引ノズル機構を動作させる請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
  7. 前記制御部は、前記分注プローブから洗浄液を供給して前記流路内を洗浄した後、前記加圧ポート貫通孔から前記分注プローブを引き抜き、前記加圧ポート貫通孔を介して前記加圧ポートリザーバに前記吸引ノズルを挿入して前記加圧ポートリザーバ内の洗浄液を吸引除去し、前記加圧ポート貫通孔から前記吸引ノズルを引き抜き、再度前記加圧ポート貫通孔に前記分注プローブを気密を保って挿入し、前記分注プローブから空気を吐出させて前記加圧ポートリザーバから前記流路内に空気を流し、前記流路から前記残りのリザーバへ排出される洗浄液を前記吸引ノズルで吸引するように前記分注プローブ機構及び前記吸引ノズル機構を動作させる請求項からのいずれか一項に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
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