JPWO2007135916A1 - 高炉炉底部の解体方法 - Google Patents

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Abstract

上記解体方法は下記工程1〜8からなる。工程1:高炉炉底部の基礎コンクリートに設定した水平切断面に、引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。工程2:切断区分の境界部の基礎コンクリートに、引出し方向に平行な水平孔を穿孔する。工程3:隣り合う水平孔にワイヤーを挿入し、切断区分の基礎コンクリートを上部水平面と下部水平面に沿って切断する。工程4:上下の水平切断面間の基礎コンクリートを排出して空隙部を形成する。工程5:空隙部に、炉底部を搬出するための横移動部材を配置する。工程6:横移動部材の上面と上部水平切断面との隙間に炉体荷重支持部材を設ける。工程7:工程2〜6又は工程3〜6を繰り返し、横移動部材および炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を水平切断部の全域に渡り配置する。工程8:上部マンテルを炉底部から分離した後、吊り上げ、水平力を付与して、搬出する。

Description

本発明は、高炉改修において炉底部を短期間に解体するための高炉炉底部の解体方法に関する。
従来、高炉改修において高炉炉底部を解体し、系外に搬出する場合、高炉炉底部に滞留する溶銑、スラグ等をできるだけ排出してから解体作業を行っている。このような解体作業において、解体工期を短縮する方法が、これまで幾つか提案されている(例えば、特許文献1及び2、参照)。
特許文献1には、高炉を吹止めした後、その炉底部に残存する凝固物層及び炉底煉瓦層を炉外に搬出、除去するに際し、高炉の炉体を、上記凝固物層より高い位置で水平に切断し、その切断位置より上方の炉体を、そのまま、高炉炉体櫓からジャッキなどで懸架し、固定した後、上記切断位置より下方の炉体鉄皮を炉体全周にわたり撤去し、上記凝固物層及び炉底煉瓦を一体として炉外へ引き出すことを特徴とする高炉炉底部の解体方法が開示されている。
この解体方法によれば、残銑とカーボンレンガを発破により分割し、炉外へ搬出する従来方法に比べ、解体工期を短縮することができるが、この解体方法は、吹止め前の高炉炉底部に、臨時の開口を設け、該開口から、炉床部に滞留している溶銑、スラグを排出し、次いで、炉体上部から注水して残留物及び炉体を冷却した後に実施する解体方法であるので、炉体全周の鉄皮解体や、炉内凝固物層及び炉底煉瓦を一体で搬出するための作業量が極めて多く、全体的な解体工期は必ずしも短縮されていない。
また、上記解体方法においては、高炉炉底部の鉄皮(炉体の切断位置より下方の炉体鉄皮)と炉底板を切断し、分離するので、高炉炉底部の鉄皮を利用して吊り上げて、又は、ジャッキで押し上げて支持することができず、このため、切断した炉底レンガの下に、引出し用のレールやコロ部材等を配置することができず、高炉炉底部の引出し作業が不安定になるという課題がある。
本出願人は、上記課題を踏まえ、特許文献2で、高炉吹止め前の操業中に、高炉本体の下部に設けられている敷ビームより下側の基礎コンクリートに、予め複数の切断区分に分割した水平切断部を設定し、高炉本体が直立状態を維持するようにして、それぞれの切断区分をワイヤソーで切断し、ワイヤソーで切断した部分には、(i)剥離性を確保してグラウト材を充填し、硬化後のグラウト材で高炉本体の荷重を支持しながら、又は、(ii)砂又は鉄粒子を充填し、高炉本体の荷重を支持しながら、水平切断部をワイヤソーで順次切断することを特徴とする高炉炉底部の解体方法、を提案した。
この解体方法によれば、一体的に結合した敷ビームと炉底マンテルからなる高炉炉底部をジャッキ等で吊り上げて、基礎コンクリートと離反させ、その離反空間に、横移動手段を配置して、高炉炉底部を横移動手段上に載荷し、その後、横移動させて搬出する。それ故、高炉炉底部の内部で固化した残留物の固化状態及び量に拘わらず、統一された作業手順で、固化残留物を収容したまま、高炉炉底部を解体し、搬出することができ、解体工期を大幅に短縮することができる。
上記解体方法においては、上記高炉炉底部の搬出用の横移動手段として、レール部材、台車、ころ、又は、空気式浮上装置等を開示しているが、これらの横移動手段を上記離反空間に配置するためには、“高炉炉体の撓み+横移動手段の高さ+余裕代(横移動手段の取込作業スペース等)”分の高さの離反空間を確保する必要がある。
即ち、上記解体方法は、上記“高炉炉体の撓み”を考慮した離反空間を確保するために必要な炉底部のジャッキアップ作業や、ジャッキアップのためのブラケット取付作業などの作業負荷が大きくなるという課題を抱えている。
そこで、本出願人は、上記課題を踏まえ、特許文献3で、炉底部搬出用の横移動手段を挿入配置する離反空間を最小化するとともに、ジャッキアップ作業を行わず、その結果、高炉の解体工期をより短縮することができる高炉炉体の撤去方法を提案した。
また、特許文献4では、高炉炉体において、撤去する範囲の上方を切り離し、撤去する範囲の下方の基礎コンクリート又はベースグラウトをワイヤソーで切断し、一体的に接合した敷ビーム及び炉底マンテルからなる炉体を上昇させ、その間に、炉底部搬出用の横移動手段として“滑り部材”を配置し、炉体を横移動手段の上に降ろして横移動させ、炉体櫓外に移動させる高炉炉体の撤去方法を開示した。
しかし、大型高炉、例えば、5000〜6000m3の大型高炉を解体、撤去する場合、従来方法によれば、炉底部から約4000t以上の残留物を排除しなければならず、それにより、解体工期は必然的に長期化する。また、上記撤去方法を適用する場合、高炉炉体の撓み量が大きいので、炉底部搬出用の横移動手段を配置する離反空間を最小化するには限度があり、ジャッキアップ作業の負荷が軽減せず、解体工期は長期化する。
さらに、大型高炉の解体、撤去に上記撤去方法を適用する場合、約4000t以上の炉底部を持ち上げるために、所要規模の装置・設備を必要とし、また、高炉炉底部を搬出するために、所要強度と規模の横移動手段を必要とする。
このように、大型高炉を解体する場合、解体作業に要する装置・設備は、必然的に、大型化し、かつ、解体方法も複雑化し、解体工期は長期化する。即ち、大型高炉の解体、撤去においては、短期間で炉体を解体、撤去できる適切な解体方法が存在しないのが現状である。
特開平10−96005号公報 特許第3684201号公報 特願2004−379284号 特願2005−108780号
本発明は、高炉解体技術の上記現状に鑑み、大型高炉も含め、高炉をより短期間で解体することができる普遍的な解体方法を提供することを目的とする。
本発明者は、高炉炉底部の下部に横移動手段を配置するため高炉炉底部を吊り上げる、又は、ジャッキで押し上げることが、結果的に、解体手順を複雑化し、解体工期を長期化する原因であると考え、高炉炉底部を吊り上げなくても、又は、ジャッキで押し上げなくても、高炉炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトに横移動手段を配置することができる解体手法を鋭意検討した。
その結果、炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトをワイヤソーで水平方向に切断して所要高さの空隙部を形成し、該空隙部に、直接、横移動手段を配置すれば、高炉炉底部の吊り上げやジャッキアップ等に必要な大規模な装置・設備を必要とせず、搬出準備作業も簡素化し、高炉炉底部の解体工期を大幅に短縮できることを知見した。
本発明は、高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトから、高炉炉底部を切離して搬出する高炉炉底部の解体方法であって、高炉の操業中に予め下記工程1〜工程7を実施し、その後、高炉の吹止後の改修期間中に、下記工程8を実施することを特徴とする。
工程1:搬出しようとする高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断面に、高炉炉底部の引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。
工程2:前記切断区分の境界部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、前記引出し方向に平行で隣り合う水平孔を穿孔する。
工程3:前記隣り合う水平孔にワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリートを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断する。
工程4:前記上下の水平切断面間にある切断された基礎コンクリート又はベースグラウトを排出して、前記引出し方向に平行な空隙部を形成する。
工程5:前記空隙部に、高炉炉底部を搬出するための横移動部材を配置する。
工程6:前記空隙部に配置された横移動部材の上面と上部水平切断面との空間に、炉体荷重を支持する炉体荷重支持部材を設ける。
工程7:工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返し行い、前記横移動部材および前記炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を、前記基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部の全域に渡り配置する。
工程8:上部マンテルを炉底部から分離した後、吊り上げ、炉底部に水平力を付与して、系外に搬出する。
このような本発明によれば、高炉吹止め前の操業中に、炉底部を横移動させるための全ての横移動手段を取り付けることができるので、前記特許文献で開示されている吹止め後に行なう横移動手段の取り付け日数を短縮することができる。
即ち、高炉操業中に、高炉炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、横移動部材および炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を配置できるに足る空隙部を形成し、その空隙部に横移動手段を取込み、その横移動手段で切断上部の荷重を支持し、これを、高炉炉底部の水平切断面の全面に渡り、迅速かつ確実に準備し完了することができるので、解体準備作業に要する作業日数を減らすことができる。
また、本発明によれば、重量物である高炉炉底部を吊り上げる、又は、ジャッキアップする大規模な装置・設備を必要とせず、横移動部材および炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を上記空隙部に配置するだけでよいので、搬出準備完了までの作業日数、即ち、事前工事に要する作業日数を大幅に減らすことができる。
さらに、本発明によれば、重量物である高炉炉底部を吊り上げる必要がないので、敷ビームのような剛性部材が炉底に敷設されていない高炉炉底部(剛性部材がないので、吊り上げやジャッキアップができない)や、残留物を大量に残したままの高炉炉底部を容易に搬出することができる。
その結果、本発明によれば、高炉炉体の解体工期を大幅に短縮することができる。
本発明において、前記水平孔にワイヤソーのワイヤーレベルを一定に維持するためのワイヤーガイド部材を配置した後、該水平孔に、該ガイド部材に沿ってワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリート又はベースグラウトを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断することが望ましい。
本発明において、前記水平孔の全部又は一部に、横移動時の索引方向に対する横滑りを防止する横移動ガイド部材を配置することが望ましい。
水平孔にワイヤーガイド部材を配置する場合には、水平孔内のワイヤーガイド部材を排出した後に、横移動ガイド部材を設置することが望ましい。
本発明において、前記ワイヤーガイド部材が、水平孔への搬入方向の先端、及び、該先端と中央部にローラーを備える長尺の鋼材であることが望ましい。
本発明において、前記水平孔の直径が60〜200mmであることが望ましい。
本発明において、前記水平孔の隣接間隔が0.45〜5mであることが望ましい。
本発明において、前記横移動部材が、敷板及び滑り板で構成されていることが望ましい。
本発明において、前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせで構成されていることが望ましい。
本発明において、前記横移動部材が、敷板、滑り板、及び、該敷板と滑り板の間に充填した潤滑剤で構成されていることが望ましい。
本発明において、前記敷板と滑り板の合計枚数が2枚以上であることが望ましい。
本発明において、前記敷板と滑り板との間の滑り面に、系外から潤滑剤を供給することが望ましい。
本発明において、前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせと、ハイパックアンカー(HPA)と、で構成されていることが望ましい。
本発明において、前記粒径の小さい球状粒子が、最大直径10mm以下の球状又は楕円状の鉄球であることが望ましい。
本発明において、前記工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行う際、隣接しない切断区分を適宜選択して継続的に実施することが望ましい。
本発明の一実施形態に係る高炉及び炉体櫓の一態様を示す図である。 前記実施形態における高炉の炉底部を示す断面図である。 前記図2Aの2B部を拡大した断面図である。 前記実施形態における高炉炉底部に、水平切断部を設定し、該切断部に複数の切断区分設定した一態様を示す図である。 前記実施形態における高炉炉底部において、切断区分を切断する場合における一例を示す図である。 前記実施形態における横移動手段を示す図である。 前記実施形態における潤滑材を充填する溝を形成した敷板を示す図である。 α材を用いた炉体荷重支持部材を備える横移動手段の別の態様を示す図である。 HPA+α材を用いた炉体荷重支持部材を備える横移動手段の別の態様を示す図である。 HAPを単独で用いた炉体荷重支持部材を備える横移動手段の別の態様を示す図である。 前記実施形態における高炉の炉底部の搬出態様を示す図である。 前記実施形態における横移動部材として敷板と滑り板を用いる横移動手段における搬出直前の高炉炉底部の側面態様を示す図である。 前記実施形態における横移動部材として敷板と滑り板を用いる横移動手段における搬出直前の高炉炉底部の平面態様を示す図である。 前記実施形態におけるワイヤーガイド部材の断面を示す図である。 前記実施形態におけるワイヤーガイド部材の他の断面を示す図である。 前記実施形態に利用可能な横移動ガイド部材の一態様を示す図である。 高炉炉底部の切断部分を引き出す状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の完了状態を示す図である。 本発明の実施例を示す図である。 本発明の実施例を示す図である。
符号の説明
10 高炉
11 基礎コンクリート
12 敷ビーム
13 高炉本体
14 炉体櫓
15 排気管
16 環状管
17 炉頂アウトリガークレーン
18 仮設張出しデッキ
19 装入装置
21 梁または仮設ジャッキ受梁
22 支柱
23 H形鋼
24 冷却管
25 グラウト材
26 炉底板
28 スタンプ材
29 鉄皮
30 ステーブクーラー
31 炉底レンガ層
32 混銑滓塊
33 残銑
34 上部マンテル
35 炉底マンテル
36 高炉炉底部
37 H形鋼
38 下部フランジ
39 上部フランジ
40 ワイヤーガイド部材
41 水平孔
42 ローラー
43 ウェブ
44 敷板
45 滑り板
46 滑り面
47 上部水平面(切断面)
48 下部水平面(切断面)
49 水平切断部
50 センターホールジャッキ
51a HPA
51b α材
52 吊下げ用ブラケット
53 横移動手段
54 溝
55 潤滑剤
56 空隙部
57 重量物搬送台車
58 ジャッキ
59 索引ワイヤー
60 ブラケット
61 横移動ガイド部材
68a〜68j 切断区分
69a〜69k 境界部
70 ワイヤソー
70a〜70j ワイヤー
P ポンプ
本発明について、図面に基づいて説明する。
図1に、本発明を適用する高炉及び炉体櫓の一態様を示す。高炉10は、基礎コンクリート11の上に敷設した敷ビーム12の上に高炉本体13を立設して構成されている。
高炉10の上部には、複数の排気管15が設けられ、高炉10及び排気管15は、高炉10の周囲で4箇所に立設した支柱22を含む炉体櫓14で支持されている。
炉体櫓14の下部には、高炉10を囲繞する環状管16が保持され、上端部には、装入装置19を運搬する炉頂アウトリガークレーン17が設けられ、また、中間部には、炉頂設備の保守点検、解体作業を行う仮設張出しデッキ18が設けられている。
高炉を支持することができる炉体櫓のいずれかのレベルに、高炉本体13を支持することが可能なセンターホールジャッキ50を取り付けることができる梁または仮設ジャッキ受梁21が配置されている。
高炉本体13の外側は鉄皮29で覆われ、その内側には、多数のステーブクーラー30が配置されている。
高炉10の吹止め後には、高炉本体13の下部内側の炉底レンガ層31の内側に、未溶解のコークス層と溶銑またはスラグが一体になって固化した混銑滓塊32が残り、この混銑滓塊32の下側には、冷却凝固した残銑33が残っている。
高炉本体13は、上側の上部マンテル34と下側の炉底マンテル35(残存レンガ及び残銑33を内蔵する)とからなる。
なお、本発明においては、一体的に接合した敷ビーム12と炉底マンテル35を炉底部36とする。
図2Aに炉底部36の断面構造を示し、その2B部分の拡大状態を図2Bに示す。
基礎コンクリート11上の敷ビーム12は、並べて配置した多数のH形鋼23と、その上部に配設した炉底板26からなる。
なお、隣接するH形鋼23の間には冷却管24が配置され、冷却管24の下側には、グラウト材25またはスタンプ材28が、それぞれ、注入、固化されている。
以下、本発明である高炉炉底の解体方法(本発明方法)の手順について説明する。
本発明は、基本的に、予め高炉の操業中に、下記工程1〜工程7を実施し、その後、高炉の吹止後の改修期間中に、工程8を実施することを特徴とする。
工程1:搬出しようとする高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断面に、炉底部の引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。
工程2:前記切断区分の境界部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、前記引出し方向に平行な水平孔を穿孔する。
工程3:前記隣り合う水平孔にワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリートを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断する。
工程4:前記上下の水平切断面間にある切断された基礎コンクリート又はベースグラウトを排出して、前記引出し方向に平行な空隙部を形成する。
工程5:前記空隙部に、炉底部を搬出するための横移動部材を配置する。
工程6:前記空隙部に配置された横移動部材の上面と上部水平切断面との隙間に、炉体荷重を支持する炉体荷重支持部材を設ける。
工程7:工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返し行い、前記横移動部材および前記炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を、前記基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部の全域に渡り配置する。
工程8:上部マンテルを炉底部から分離した後、吊り上げ、炉底部に水平力を付与して、系外に搬出する。
以下、上記工程1〜工程4を炉底部切離工程、工程5〜工程8を炉底部搬出工程とし、図面に基づき説明する。
(炉底部切離工程)
図2Bにおいて、炉底部36の敷ビーム12より下側の基礎コンクリート11に、予め、水平切断部49を設定し、次いで、該切断部49に、炉底部36の引出し方向に平行に、複数の切断区分を設定する(工程1)。
図3に、設定した切断区分の一態様を示す。
図3において、基礎コンクリート11に設けた水平切断部49において、炉底部を水平移動する方向(左右方向)に平行な10個の切断区分68a〜68j(基礎コンクリート11(又はベースグラウト)をワイヤソー70(ワイヤ70a〜70j)で切断する範囲)に区画する。
上記切断区分の幅は、炉底部の大きさ、重量を考慮して、適宜設定する。450〜5000mmが好ましい。なお、上記切断区分の幅は一定である必要はなく、炉底部の重量分布を考慮して、適宜設定してもよい。
切断区分68aと端部の境界部69a、切断区分68a〜68jの境界部69b〜69j、及び、切断区分68jと端部の境界部69kに、穿孔機(図示なし)を用いて、所定直径の水平孔を穿孔する(工程2)。水平孔の直径は、その後のワイヤソーによる切断作業の容易性や、この切断で形成する空隙部において、横移動手段を挿入して配置するに足る高さを確保することを考慮して適宜設定するが、60〜200mmが好ましい。
水平孔の直径が60mm未満では、上下2本のワイヤソー70を挿入することが難しく、挿入できても、上下2面の水平切断ができない。また、直径が200mmを超えると、長距離(例えば、約20m)の水平孔を穿孔することが難しいし、また、穿孔機での孔開け作業に多くの時間を費やすとともに、機能的に、水平孔の直径を大きくする意味がない。
水平孔の隣接間隔は、炉底部の大きさ、重量、及び、基礎コンクリートの面積等を考慮して適宜設定するが、0.45〜5mが好ましい。水平孔の隣接間隔が0.45m未満であると、ワイヤソー70が回転した際の折り返し部分での抵抗が大きく、基礎コンクリートを切断できないし、また、水平孔の隣接間隔が5mを超えると、上下の切断面が波打ち、基礎コンクリートを水平に切断することが困難となる。
かりに、切断できたとしても、切断面の凹凸が障害となって、引出し時の摩擦が大きくなり、切断した基礎コンクリートを系外に排出することが困難となるうえ、高炉炉底部を横移動させる場合の摩擦抵抗も大きくなり、高炉炉底部の搬出が極めて困難となる。例えば、重量が4000tを超える炉底部の場合には、搬出できない。
なお、水平孔の隣接間隔は一定である必要はない。高炉炉底部の大きさ、及び、基礎コンクリート(又はベースグラウト)の面積を考慮し、適宜、寸法を変えてもよい。
上記各境界部に穿孔した水平孔に、ワイヤソー70のワイヤー70a〜70jを挿通し、切断区分68a〜68jに残る基礎コンクリートを、所定の高さ間隔、即ち、横移動手段を挿入して配置するのに充分な高さ間隔を確保する上部水平面47と下部水平面48(図2B参照)に沿って切断し(工程3)、切り出し部の基礎コンクリートを排出して空隙部56(図2B参照)を形成する(工程4)。
特許文献4記載の撤去方法では、空隙部56の切断面47、48に剥離材を塗布した後、切断面47、48の間にグラウト材25を充填し、炉底部36を吊り上げて、切断面48上に横移動手段(例えば、滑り部材)を配置するが、本発明方法においては、後述するように、グラウト材を充填する必要はなく、また炉底部36を吊り上げる必要もなく、空隙部56に横移動手段を配置する。
大型高炉の基礎コンクリートを上部水平面と下部水平面に沿って切断する場合、ワイヤソー70の動きをガイドするワイヤーガイド部材を水平孔に配置し、上下の切断面が凹凸状に波打たないように、又は、上下の切断面の間隔が変化しないように切断することが好ましい。
水平孔内にワイヤーガイド部材を配置すると、ワイヤソー70のワイヤーは、ワイヤーガイド部材の上面を滑りながら基礎コンクリートを切断するので、上下の切断面は、所定の高さ間隔を維持しつつ水平面となる。その結果、高炉炉底部を搬出する際の基礎コンクリート切断面での抵抗が小さくなり、高炉炉底部を円滑に搬出できる。
ここで、図11及び図12に、H形鋼を用いて構成したワイヤーガイド部材の断面態様を図示する。
図11に示すワイヤーガイド部材は、H形鋼37の下部フランジ38の先端と中央部に、ワイヤーガイド部材40を支持するローラー39を取り付けたものである。H形鋼37の下部フランジ38の先端と中央部にローラー39を取り付けることにより、ワイヤーガイド部材40の水平孔41への挿入・取出作業が容易となる。
図12に示すワイヤーガイド部材40は、H形鋼37のウェブ43の先端と中央部の左右に、水平孔41の側面に当接するローラー42を取り付けたものである。
いずれのワイヤーガイド部材においても、上部フランジ39が、上部の基礎コンクリートを切断するワイヤソー70をガイドし、下部フランジ38が、下部の基礎コンクリートを切断するワイヤソー70をガイドするので、上下の切断面は、所定の高さ間隔を維持しつつ水平面となる。
その結果、上側のワイヤソー70により上部水平面47の切断が行われ、下側のワイヤソー70により下部水平面48の切断が行われ、これにより水平切断部49が形成される(二面切断)。
なお、図11及び図12に示すローラー42の取り付け態様を併用してもよい。
ワイヤソーで切断する高さ間隔、即ち、空隙部の高さは、水平孔の直径、及び、上記横移動手段の高さを考慮して、適宜設定すればよいが、60〜200mmが好ましい。
水平孔を穿孔する場合、格別、穿孔作業に定まった順序はないが、水平孔の穿孔、切断区分における基礎コンクリートの切断、排出作業の順序を定めてもよい。
高炉炉底部下部の基礎コンクリートに設定した水平切断部49の全域に渡り(図3参照)、横移動手段を配置する(工程7)ため、切断区分の境界部69a〜69kにおける水平孔の穿孔、及び、切断区分68a〜68jの基礎コンクリートの切断を繰り返して行う(工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6)が、この穿孔・切断作業を実施する際には、一方向から(例えば、68aから68jへ)順次行ってもよいが、隣接しない切断区分を、規則的に選択して継続的に実施するほうが好ましい。
例えば、図4に示すように、最初、68eの切断区分を切断し(図中1)、次に、68aと68jの切断区分を同時に切断し(図中2)、次いで、68cと68gの切断区分を同時に切断し(図中3)、最後に、残りの切断区分を同時に切断する(図中4)。
このように、穿孔・切断作業を規則的に選択して実施すると、基礎コンクリートにおける荷重分布の偏りを抑制できるので、横移動手段に、ほぼ均等に炉体荷重が負荷されて、高炉炉底部の搬出作業がより円滑化されることになる。
(炉底部搬出工程)
前記空隙部56(図2B参照)に、横移動手段を配置する(工程6)。そして、工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行い、高炉炉底部下部の基礎コンクリートに設定した水平切断部49の全域に渡り(図3参照)、以下に述べる横移動部材および炉体荷重支持部材を備える横移動手段を配置する(工程7)。
横移動手段において、横移動部材は、例えば、1枚の敷板を用いてもよいし、又は、1枚の敷板の上に1枚以上の滑り板を載置した構成を用いてもよい。
横移動手段において、横移動部材の上に載置する炉体荷重支持部材は、例えば、HPA(ハイパックアンカー、繊維質の袋体にモルタルを充填したもの)の単独配置、HPAとα材(ガーネット、粒径の小さな球状粒子、モルタルの1種又は2種以上の組み合せ)との組合せ配置、α材のみの配置で構成される。
横移動部材として1枚の敷板を用いる場合、炉体荷重支持部材としてはα材のみを用いる構成が好ましい。
横移動部材として敷板およびその上に載置した滑り板を用いる場合、炉体荷重支持部材としては、HPA単独、HPAとα材との組合せ、α材単独の何れかを適宜選択できる。
炉体荷重支持部材としてHPAを用いる場合、HPA内にモルタルを充填する際に、その流動性に関する対策を講じることが好ましい。
具体的には、HPAの内面にコーティングを施すこと(対策A)、モルタル充填の前にHPAを水に浸漬しておくこと(対策B)、モルタルの流路に急激な絞り部分などが生じないような配管とすること(対策C)などが挙げられる。
対策Aによれば、HPA内でのモルタルの流動が円滑となる。コーティングがない場合にはモルタルがHPA内に粘着して滞留し、あるいは塊を発生し、モルタルの円滑な充填が行えないことがある。しかし、対策Aによりモルタルの滞留あるいは塊の発生が回避でき、HPA内への円滑な充填が可能になる。
対策Bによれば、HPA内に充填されたモルタルから水分が分離されにくくなる。HPA内に導入されたモルタルから水分が分離されると、HPA内でモルタルが滞留あるいは塊を発生するが、対策Bによりこれらを抑制でき、円滑な充填が行える。
対策Cに関して、HPA内に至る配管等に急に流路面積が絞られる部分があると、モルタルの滞留が生じやすい。このような部位では、例えば緩い円錐形状のガイド配管を用いることで、急な絞りを解消し、モルタルの滞留を防止することができる。
これらの対策に関しては、実施例において改めて詳述する。
図5に、横移動部材として1枚の敷板44の上に1枚の滑り板45を載置し、その上に、炉体荷重支持部材として、HPA51aとα材51bを組合せて配置して構成した横移動手段53の態様を示す。敷板としては鋼板(SS材)が適し、滑り板としてはSUS材単層またはSUS材とSS材との複層構造が適している。
前記横移動部材において、敷板と滑り板の材質が同種であると、高炉炉底部の横移動時に、両板間においてカジリによる滑り抵抗が生じ易く、それにより横移動時に大きな水平力が必要となる。従って、前記両板の材質は異種の材質とすることが好ましい。
適用例として、1.敷板SS材、滑り板SUS材、2.敷板SS材、滑り板SUS材(下面)+SS材(上面)からなる複層構造が挙げられる。
この場合、いずれもケースにおいても、高炉炉底部の横移動時に敷板SS材と滑りあう滑り板SUS材間において、滑り板SUS材が摩耗するため前記のカジリの発生なく、これにより水平力が小さくなる。
また、滑り板を上記の如くSUS材(下面)+SS材(上面)からなる複層複層構造にすることにより、同一の厚みのSUS材の単層より安価にすることが可能である。
ワイヤソーのワイヤーで形成した凹凸面を有する水平孔の底面上に敷設された敷板は、炉体荷重を、炉体荷重支持部材を介して局部的に受ける。それ故、敷板の厚さは、敷板がその局部的荷重に耐えるに充分な強度を確保できるように設定する。例えば、6mm以上が好ましい。滑り板の厚さは、敷板の強度ほどの強度は必要ないので、例えば、鋼板の滑り板の場合、2.3mm以上の鋼板であれば充分である。
図5の構成では1枚の敷板と一枚の滑り板を用いたが、横移動部材を、1枚の敷板の上に2枚以上の滑り板を配置して構成してもよい。この場合、敷板の上面に溝を設け、該溝に、系外から潤滑材を充填すると、敷板と滑り板の滑りが、さらに滑らかになる。
一方、横移動部材として1枚の敷板のみを用いるとしてもよい。但し、この場合、該敷板の上に、炉体荷重支持部材としてHAP単独又はHAP+α材を載置すると、横移動時にHAPが破損することがある。従って、横移動部材として1枚の敷板のみを用いる場合には、HAP単独及びHAP+α材は炉体荷重支持部材として適さず、α材のみを用いることが望ましい
α材を炉体荷重支持部材として用いる場合、α材を、敷板の上面と切断面との間隙に、圧密状態となるように充填するのが好ましい。ただし、この場合、横移動部材及び炉体荷重支持部材の空隙部への配置は容易であるが、小さな潤滑作用しか得られないので、高炉炉底部の横移動時、索引力を大きくせざるを得ず、その分、能力の大きい索引装置が必要となる。
これに対し、横移動部材として、1枚の敷板に1枚以上の滑り板を配置する場合、その空隙部への施工は、α材を用いる場合に比べ複雑となるが、炉体荷重支持部材として、HAP単独、HAP+α材、及び、α材の全てを用いることができる。さらに、この場合、摩擦抵抗値は小さく、高炉炉底部の横移動時、索引力が極めて小さくてすむので、その分、能力の小さい索引装置でよいことになる。
前記α材の1種である粒径の小さな球状粒子としては、最大直径10mm以下の球状又は楕円状の鉄球が好ましい。また、上記球状粒子の替わりにガーネットを用いるのが好ましい。
前述したように、横移動部材として敷板と滑り板とを重ねて用いる横移動手段においては、これらの敷板と滑り板との間に潤滑材を充填し、敷板に対する滑り板の滑りを円滑にすることが好ましい。
図6に示すように、溝54を形成した敷板44を用い、敷板44と滑り板の間に潤滑剤55(例えば、油)を、ポンプPで供給してもよい。敷板と滑り板の間に潤滑材を充填すると、高炉炉底部の搬出作業を、より円滑、安全かつ迅速に行うことができる。
図7A〜図7Cに、横移動手段の各種態様を示す。
図7Aは、炉体荷重支持部材として、α材51b(ガーネット、粒径の小さい球状粒子、又は、モルタルの1種又は2種以上の組み合わせ)を用いた態様を示す。
図7Bは、HPA51aとその間に、α材51bを充填して用いた態様を示す。
図7Cは、HPA51aのみを用いた態様を示す。
前述したように、炉体荷重支持部材としては、α材及びHPAのいずれか1種又は2種を組み合わせて用いてもよい。
どの炉体荷重支持部材を選択するかは、特に、施工の難易度により適宜決定する。例えば、敷板と空隙部の上面との隙間が小さくて、モルタル、HPAが、炉体荷重支持部材として、横移動部材の上に配置施工できない場合には、ガーネットや、小粒径の球状粒子を用いるのが好ましい。
以上のように、基礎コンクリート11の空隙部56(図2B参照)に、横移動手段を配置(工程6、工程7)した後、高炉炉底部から分離した上部マンテル34を吊り上げ、高炉炉底部36を炉体櫓14の外側(系外)に搬出する(工程8)。
図8に、高炉炉底部の搬出態様を示す。
上部マンテルの分離は、例えば次のようにして行う。
水平切断部49の全域に渡り、横移動部材および炉体荷重支持部材を備える横移動手段を配置した後、高炉10を吹止め、高炉本体13の鉄皮29の上部ないし中間の複数の箇所に、それぞれ吊下げ用ブラケット52を溶接して固定するとともに、炉体櫓14に複数のセンターホールジャッキ50を取り付け、高炉10を、吊下げ用ブラケット52及びセンターポールジャッキ50を介して炉体櫓14に吊下げ支持する。
次いで、高炉炉体13の中間部、例えば高炉炉体13の環状管16レベルより下側の部位(図8の切断線C1)および高炉炉体13の中間部の一ないし複数の部位(図8の切断線C2)を、略水平に、所定幅をもって切断し、上部マンテル34を炉底マンテル35から分離するとともに、上部マンテル34を複数のブロックに分割する。
このとき、分割された上部マンテル34の各ブロックは、それぞれ吊下げ用ブラケット52及びセンターホールジャッキ50によって炉体櫓14に吊り下げて保持する。
このようにして上部マンテル34を炉体櫓14に保持した後、先ず、炉体マンテル35を含む高炉炉底部36を、炉体櫓14の外側(系外)へ搬出する。
続いて、上部マンテル34の一番下のブロックを吊り下げるセンターホールジャッキ50を作動させ、基礎上に設置した搬出装置(例えばころ、滑り板、台車など)の上に同ブロックを降ろし、高炉炉底部36と同様に炉体櫓外へと搬出する。
同様に、上部マンテル34の各ブロックを下のものから順次搬出し、上部マンテル34の全てを搬出する。
これらにより高炉本体13が炉体櫓外へ搬出される。
なお、装入装置19等の炉頂設備は、炉頂アウトリガークレーン17及び仮設張出しデッキ18を用いて解体し撤去する。
これらの搬出にあたっては、ドーリーやクレーン車等の建設機械を利用してもよく、コンベア等の半固定式の設備を設置してもよく、あるいはこれらを複数組み合わせて用いてもよい。
ここで、図9及び図10に、横移動手段の横移動部材として敷板と滑り板を用いた場合の搬出直前の態様を示す。図9は、その側面態様を示し、図10は、その平面態様を示す。
基礎コンクリート11に隣接して、重量物搬送台車57が設置されていて、該重量物搬送台車57の上面には、基礎コンクリート11の空隙部に配置した敷板44が延長されて配置されている。この状態で、ジャッキ58により、高炉炉底部36に固定したブラケット60に一端を締結した牽引ワイヤー59を牽引することにより、高炉炉底部36を、重量物搬送台車57の上面へ横移動させる。
この時、高炉炉底部36の索引方向に対する横滑りを防止する必要があるが、この横滑りを確実に防止するために、例えば、図13に示す横移動ガイド部材61を、水平孔41の全部又は一部に配置してもよい。
この横移動ガイド部材を用いることにより、高炉炉底部を、索引方向に対し横滑りすることなく、さらに安全、円滑かつ迅速に搬出することができる。
また、横滑りを防止する別の方法として、炉底マンテル外側にガイドレールを設置し、横滑りを防止してもよい。
空隙部内への横移動ガイド部材の配置は、高炉炉底部から分離した上部マンテルを吊り上げた直後に行ってもよいし、また、横移動手段の配置とともに行ってもよい。横移動ガイド部材としては、通常、鋼管が好ましい。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、各部の材料、要素の数や配置等は実施にあたって適宜変更してよく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
前述した実施形態においては、炉底部36の水平切断部49を上部水平面47と下部水平面48とによる二面切断としたが(図2B、図12、図13参照)、以下に述べるように三面切断あるいは四面以上の切断としてもよい。
前述したように、ワイヤソー70による切断にあたっては、回転駆動するワイヤソー70の中間部分の振れや高炉本体の荷重等により、切断面が凹凸形状となる。
図14において、ワイヤソー70による切断によって、上部水平面47と下部水平面48とが形成され、その間の切り出し部分36Aは水平方向へ引き出しが可能である。切り出し部分36Aの表面47A,48Aは、上部水平面47および下部水平面48と同様にワイヤソー70による切断によって形成されるものであり、上部水平面47および下部水平面48に対して所定間隔(ワイヤソー70の太さに対応)をなす凹凸形状となる。
このような切り出し部分36Aを水平方向に抜き出すと、切り出し部分36Aの表面47A,48Aの凸部分(47B,48B)が上部水平面47および下部水平面48の凸部分(47C,48C)と干渉し、引き出しが困難になる可能性がある。
特に、先に穿孔する水平孔41の隣接間隔が大きい場合(5m以上)、ワイヤソー70の振れ幅も大きくなるため、切り出し部分36Aの表面47A,48Aの凹凸および上部水平面47、下部水平面48の凹凸がそれぞれ大きくなり、水平方向への引き出しにあたって干渉が大きく、引き出し力の強化が必要になるため好ましくない。
これに対し、図15A〜図15Eに示すような三面切断を行うことで前述した干渉を大幅に低減することができる。なお、下記工程において図15A〜図15Cまでは前述した二面切断と同様であり、図15D,図15Eを追加することにより三面切断が実現されている。
先ず、図15Aに示すように、炉底部36の水平孔41に前記実施形態と同様なH型鋼37を用いたワイヤーガイド部材40を導入し、ワイヤソー70を上部フランジ38でガイドしつつ切断を行う。これにより炉底部36は上部水平面47で切断される。
次に、図15Bに示すように、ワイヤソー70を下部フランジ39でガイドしつつ切断を行う。これにより炉底部36は下部水平面48で切断され、これらの上部水平面47および下部水平面48で挟まれた領域が切り出し部分36Aとして切り出される。
これらの切断により、炉底部36と切り出し部分36Aとの間には、上部フランジ38でガイドされたワイヤソー70による切断跡として厚みD1の隙間が生じ、下部フランジ39でガイドされたワイヤソー70による切断跡として厚みD2の隙間が生じる。
図15Cに示すように、切断により支持を失った切り出し部分36Aは重力により沈下し、切り出し部分36Aの上側のみに隙間D3が生じる。隙間D3は前述した隙間D1と隙間D2とを合算した距離に相当する。
この状態で、ワイヤーガイド部材40を抜き出す。ここまでの処理により、前述した実施形態に相当する二面切断が行われる。
続いて、図15Dに示すように、水平孔41に別のワイヤーガイド部材40Aを導入する。
ワイヤーガイド部材40Aは、ガイド板40B,40Cおよび浮き上がり防止板40Dを備えている。これらのガイド板40B,40Cおよび浮き上がり防止板40Dはそれぞれ鋼板で形成され、断面形状においてガイド板40B,40Cは互いに平行に、浮き上がり防止板40Dはガイド板40B,40Cに対して直角に配置されている。
ワイヤーガイド部材40Aは、水平孔41内に設置された状態でガイド板40B,40Cが水平であり、浮き上がり防止板40Dが垂直となるように保持される。下側のガイド板40Bは、その上面が切り出し部分36Aのほぼ中間(中間よりやや下方)に配置され、この上面でワイヤソー70を当該高さにガイドする。上側のガイド板40Cは、その下面が切り出し部分36Aの上面より低く配置され、ワイヤソー70が振れを生じた場合などでも切り出し部分36Aから外れないように動きを規制する。浮き上がり防止板40Dは水平孔41の上側内面に当接することでワイヤーガイド部材40Aの浮き上がりを防止するものであり、ガイド板40B,40Cを水平孔41内の所定高さに維持することで前述したガイド板40B,40Cによるワイヤソー70のガイド機能を適正に維持する。
このようなワイヤーガイド部材40Aでワイヤソー70をガイドしつつ切断を行うことにより、切り出し部分36Aは中間水平面49Aで切断される。この切断により、切り出し部分36Aは上側部分36Bと下側部分36Cに分割され、これらの間にはワイヤソー70による切断跡として厚みD4の隙間が生じる。
図15Eに示すように、切り出し部分36Aにおいては、切断により支持を失った上側部分36Bが重力により沈下して下側部分36Cと重なり、切り出し部分36Aの上側のみに隙間D5が生じる。隙間D5は前述した隙間D3と隙間D4とを合算した距離、つまり三回の切断跡の距離D1,D2,D4を合算した距離に相当する。
この状態で、ワイヤーガイド部材40Aを抜き出す。ここまでの処理により、三面切断が行われ、前述した二面切断よりも大きな隙間D5が得られる。このため、上部水平面47および下部水平面48に凹凸があっても、大きな隙間D5により引き出し時の干渉を回避することができ、切り出し部分36Aの引き出しを円滑に行うことができる。
(実施例)
以下、上述した本発明の実施形態に基づく具体的な実施例について説明する。
21m×21mの基礎コンクリ上に立設した高炉の炉底部を、前述した図5に示す横移動手段を用いて、系外へ搬出した。
炉底部下1.5mの位置を水平切断部とし、該切断部に、幅1.5mの切断区分を、13個設定した。切断区分の境界部に、直径100mmの水平孔を穿孔し、水平孔間の基礎コンクリートを、高さ間隔70mmで水平に切断して、切り出し部分の基礎コンクリートを排出した。
ここで、前述した図5に示す横移動手段を配置し、炉底部を搬出した。その結果、高炉吹止めから、炉底部の搬出完了までを13日間で実施した。
この作業日数は、従来、同程度の規模の炉底部の搬出に要していた作業日数17日に比べ、大幅に短縮されている。
以上の実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(HPAへのモルタル充填の実施例)
前述した実施形態において、炉体荷重支持部材としてHPAを用いる場合、HPA内に充填するモルタルの流動性に関連した対策を講じることが好ましいことを説明した。
ここで、各対策に関する具体的な実施例について説明する。
(1)試験装置
前述した図5に示す構成、つまり横移動部材として1枚の敷板44の上に1枚の滑り板45を載置し、その上に炉体荷重支持部材としてHPA51aとα材51bを組合せて配置して構成した横移動手段53を用いた。
HPA51aは6本設けられ、それぞれラミネート繊維から形成された筒状とされ、水平部分の長さは約18mである。
このようなHPA51aにモルタルを充填するために、その一方の端部にモルタル充填用の配管を接続した。
図16に示すように、モルタル充填用の配管51cは、口径50Aの配管を垂直方向に配置し、高さ2mのヘッド圧を利用して無収縮モルタルを充填するものである。配管51cの下端は水平方向に曲げられ、HPA51aに接続されている。HPA51aの端部は炉底部36から引き出されており、配管51cの下端に被せられたうえで締め付けバンド51dにより固定されている。
このような構成において、配管51cからモルタルを充填し、HPA51aの他方の端部からモルタルが流出すればHPA51aへの充填が十分に行われたと判定した。
(2)試験条件
前述した実施形態で述べた各対策(対策A〜対策C)を組み合わせて6つの実施例を検討した。
実施例1;対策Aなし、対策Bなし、対策Cなし。…対策なし
実施例2;対策A実施、対策Bなし、対策Cなし。…対策Aのみ
実施例3;対策Aなし、対策B実施、対策Cなし。…対策Bのみ
実施例4;対策Aなし、対策Bなし、対策C実施。…対策Cのみ
実施例5;対策A実施、対策Bなし、対策C実施。…対策C+対策A
実施例6;対策Aなし、対策B実施、対策C実施。…対策C+対策B
ここで、各対策の内容は次の通りである。HPAの内面にコーティングを施すこと(対策A)、モルタル充填の前にHPAを水に浸漬しておくこと(対策B)、モルタルの流路に急激な絞り部分などが生じないような配管とすること(対策C)。
このうち対策Cについては次の通り。
前述した図16の構成(対策Cなし)では、口径50Aの配管51cからHPA51a内に導入されたモルタルは、炉底部36内に導入される際に急激な絞りを受けるようになっている。
図17に示すように、対策Cとして、配管51cからHPA51aに導入される部分には緩やかな絞り管51eが設置され、配管51cもより細い口径32Aに変更されている。
絞り管51eは、基端側が口径32Aとされ配管51cの端部に接続されているとともに、先端側が細い管とされ、長さ100mmにわたって炉底部36内のHPA51a内部に挿入されている。絞り管51eの先端側と基端側とはごく緩やかな円錐状とされ、配管51cからのモルタルはごく緩やかに絞られてHPA51a内に導入されるようになっている。
(3)試験結果
実施例1;対策なし。
どのHPA51aの出口(モルタルを注入する入口側とは反対側の端部)からもモルタルの流出がなく、モルタル充填は不十分であった。HPA51a入口の急激な絞り部分でモルタルの水分がHPAを通して絞り出され、モルタルの塊が生じ、流れを堰き止めたと推定される。
実施例2;対策Aのみ。
実施例3;対策Bのみ。
どのHPA51aの出口からもモルタルの流出がなく、モルタル充填は不十分であった。実施例1で述べたように、HPA51a入口の急激な絞り部分でモルタルの水分がHPAを通して絞り出され、モルタルの塊が生じ、流れを堰き止めたと推定される。このためモルタルがHPA51a内に導入されることがなく、対策A、対策Bが有効に機能するに至っていない。
実施例4;対策Cのみ。
各HPA51aの出口からモルタルの流出が確認された。対策Cにより、モルタルの水分の絞り出し、モルタルの塊の発生がなく、流れの堰き止めが生じなかったためと推定される。
実施例5;対策C+対策A。
実施例6;対策C+対策B。
各HPA51aの出口からより多くのモルタルの流出が確認された。実施例4で述べた対策Cによる堰き止め解消に加え、対策Aまたは対策BによりHPA51aの全長にわたってモルタルの水分の搾り出しが抑制されたためと推定される。
以上、HPAを炉体荷重支持部材として用いる場合には、上述した対策Cを採用することが望ましく、これに対策A、対策Bを併用することが更に望ましいことが解る。
本発明は、高炉改修において炉底部を短期間に解体するための高炉炉底部の解体方法として利用できる。
【0004】
期を長期化する原因であると考え、高炉炉底部を吊り上げなくても、又は、ジャッキで押し上げなくても、高炉炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトに横移動手段を配置することができる解体手法を鋭意検討した。
[0018]
その結果、炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトをワイヤソーで水平方向に切断して所要高さの空隙部を形成し、該空隙部に、直接、横移動手段を配置すれば、高炉炉底部の吊り上げやジャッキアップ等に必要な大規模な装置・設備を必要とせず、搬出準備作業も簡素化し、高炉炉底部の解体工期を大幅に短縮できることを知見した。
[0019]
本発明は、高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトから、高炉炉底部を切離して搬出する高炉炉底部の解体方法であって、敷板と滑り板とで構成されかつ高炉炉底部を搬出するための横移動部材と、炉体荷重を支持するための炉体荷重支持部材と、を備えた横移動手段を用い、高炉の操業中に予め下記工程1〜工程7を実施し、その後、高炉の吹止後の改修期間中に、下記工程8を実施することを特徴とする。
工程1:搬出しようとする高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部に、高炉炉底部の引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。
工程2:前記切断区分の境界部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、前記引出し方向に平行で隣り合う水平孔を穿孔する。
工程3:前記隣り合う水平孔にワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリートを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断する。
工程4:前記上部水平面と下部水平面との間にある切断された基礎コンクリート又はベースグラウトを排出して、前記引出し方向に平行な空隙部を形成する。
工程5:前記空隙部に、前記滑り板を上にして前記横移動部材を配置する。
工程6:前記滑り板の上面と前記上部水平面との隙間に、前記炉体荷重支持部材を設ける。
工程7:工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返し行い、前記横移動手段を、前記基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部の全域に渡り配置する。
工程8:上部マンテルを炉底部から分離した後、吊り上げ、炉底部に水平力を付与
【0005】
し、前記敷板と前記滑り板とを滑らせて、前記高炉炉底部から前記滑り板までを系外に搬出する。
[0020]
このような本発明によれば、高炉吹止め前の操業中に、炉底部を横移動させるための全ての横移動手段を取り付けることができるので、前記特許文献で開示されている吹止め後に行なう横移動手段の取り付け日数を短縮することができる。
[0021]
即ち、高炉操業中に、高炉炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、横移動部材および炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を配置できるに足る空隙部を形成し、その空隙部に横移動手段を取込み、その横移動手段で切断上部の荷重を支持し、これを、高炉炉底部の水平切断部の全面に渡り、迅速かつ確実に準備し完了することができるので、解体準備作業に要する作業日数を減らすことができる。
[0022]
また、本発明によれば、重量物である高炉炉底部を吊り上げる、又は、ジャッキアップする大規模な装置・設備を必要とせず、横移動部材および炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を上記空隙部に配置するだけでよいので、搬出準備完了までの作業日数、即ち、事前工事に要する作業日数を大幅に減らすことができる。
[0023]
さらに、本発明によれば、重量物である高炉炉底部を吊り上げる必要がないので、敷ビームのような剛性部材が炉底に敷設されていない高炉炉底部(剛性部材がないので、吊り上げやジャッキアップができない)や、残留物を大量に残したままの高炉炉底部を容易に搬出することができる。
その結果、本発明によれば、高炉炉体の解体工期を大幅に短縮することができる。
[0024]
本発明において、前記水平孔にワイヤソーのワイヤーレベルを一定に維持するためのワイヤーガイド部材を配置した後、該水平孔に、該ガイド部材に沿ってワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリート又はベースグラウトを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断することが望ましい。
[0025]
本発明において、前記水平孔の全部又は一部に、横移動時の索引方向に対する横滑りを防止する横移動ガイド部材を配置することが望ましい。
水平孔にワイヤーガイド部材を配置する場合には、水平孔内のワイヤーガイド部材を排出した後に、横移動ガイド部材を設置することが望ましい。
[0026]
本発明において、前記ワイヤーガイド部材が、水平孔への搬入方向の先端、及び、該先端と中央部にローラーを備える長尺の鋼材であることが望ましい。
【0006】
[0027]
本発明において、前記水平孔の直径が60〜200mmであることが望ましい。
[0028]
本発明において、前記水平孔の隣接間隔が0.45〜5mであることが望ましい。
[0029]
[0030]
本発明において、前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせで構成されていることが望ましい。
[0031]
本発明において、前記横移動部材が、敷板、滑り板、及び、該敷板と滑り板の間に充填した潤滑剤で構成されていることが望ましい。
[0032]
本発明において、前記敷板と滑り板の合計枚数が2枚以上であることが望ましい。
[0033]
本発明において、前記敷板と滑り板との間の滑り面に、系外から潤滑剤を供給することが望ましい。
[0034]
本発明において、前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせと、ハイパックアンカー(HPA)と、で構成されていることが望ましい。
[0035]
本発明において、前記粒径の小さい球状粒子が、最大直径10mm以下の球状又は楕円状の鉄球であることが望ましい。
[0036]
本発明において、前記工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行う際、隣接しない切断区分を適宜選択して継続的に実施することが望ましい。
図面の簡単な説明
[0037]
[図1]本発明の一実施形態に係る高炉及び炉体櫓の一態様を示す図である。
[図2A]前記実施形態における高炉の炉底部を示す断面図である。
[図2B]前記図2Aの2B部を拡大した断面図である。
[図3]前記実施形態における高炉炉底部に、水平切断部を設定し、該切断部に複数の切断区分設定した一態様を示す図である。
[図4]前記実施形態における高炉炉底部において、切断区分を切断する場合における一例を示す図である。
[図5]前記実施形態における横移動手段を示す図である。
【0010】

[0040]
高炉10の上部には、複数の排気管15が設けられ、高炉10及び排気管15は、高炉10の周囲で4箇所に立設した支柱22を含む炉体櫓14で支持されている。
炉体櫓14の下部には、高炉10を囲繞する環状管16が保持され、上端部には、装入装置19を運搬する炉頂アウトリガークレーン17が設けられ、また、中間部には、炉頂設備の保守点検、解体作業を行う仮設張出しデッキ18が設けられている。
[0041]
高炉を支持することができる炉体櫓のいずれかのレベルに、高炉本体13を支持することが可能なセンターホールジャッキ50を取り付けることができる梁または仮設ジャッキ受梁21が配置されている。
高炉本体13の外側は鉄皮29で覆われ、その内側には、多数のステーブクーラー30が配置されている。
[0042]
高炉10の吹止め後には、高炉本体13の下部内側の炉底レンガ層31の内側に、未溶解のコークス層と溶銑またはスラグが一体になって固化した混銑滓塊32が残り、この混銑滓塊32の下側には、冷却凝固した残銑33が残っている。
高炉本体13は、上側の上部マンテル34と下側の炉底マンテル35(残存レンガ及び残銑33を内蔵する)とからなる。
なお、本発明においては、一体的に接合した敷ビーム12と炉底マンテル35を炉底部36とする。
[0043]
図2Aに炉底部36の断面構造を示し、その2B部分の拡大状態を図2Bに示す。
基礎コンクリート11上の敷ビーム12は、並べて配置した多数のH形鋼23と、その上部に配設した炉底板26からなる。
なお、隣接するH形鋼23の間には冷却管24が配置され、冷却管24の下側には、グラウト材25またはスタンプ材28が、それぞれ、注入、固化されている。
[0044]
以下、本発明である高炉炉底の解体方法(本発明方法)の手順について説明する。
本発明は、基本的に、高炉炉底部を搬出するための横移動部材と炉体荷重を支持するための炉体荷重支持部材とを備えた横移動手段を用い、この横移動部材として敷板と滑り板とを用いる。そして、予め高炉の操業中に、下記工程1〜工程7を実施し、その後、高炉の吹止後の改修期間中に、工程8を実施することを特徴とする。
[0045]
工程1:搬出しようとする高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベース
【0011】
グラウトに設定した水平切断部に、炉底部の引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。
工程2:前記切断区分の境界部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、前記引出し方向に平行な水平孔を穿孔する。
工程3:前記隣り合う水平孔にワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリートを、所要の高さ(前記横移動手段の配置に必要な高さ)を維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断する。
工程4:前記上部水平面と下部水平面との間にある切断された基礎コンクリート又はベースグラウトを排出して、前記引出し方向に平行な空隙部を形成する。
[0046]
工程5:前記空隙部に、前記滑り板を上にして前記横移動部材を配置する。
工程6:前記滑り板の上面と前記上部水平面との隙間に、前記炉体荷重支持部材を配置する。
工程7:工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返し行い、前記横移動手段を、前記基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部の全域に渡り配置する。
工程8:上部マンテルを炉底部から分離した後、吊り上げ、炉底部に水平力を付与し、前記敷板と前記滑り板とを滑らせて、前記高炉炉底部から前記滑り板まで(高炉炉底部、炉体荷重支持部材、滑り板)を系外に搬出する。
[0047]
以下、上記工程1〜工程4を炉底部切離工程、工程5〜工程8を炉底部搬出工程とし、図面に基づき説明する。
[0048]
(炉底部切離工程)
図2Bにおいて、炉底部36の敷ビーム12より下側の基礎コンクリート11に、予め、水平切断部49を設定し、次いで、該切断部49に、炉底部36の引出し方向、に平行に、複数の切断区分を設定する(工程1)。
図3に、設定した切断区分の一態様を示す。
[0049]
図3において、基礎コンクリート11に設けた水平切断部49において、炉底部を水平移動する方向(左右方向)に平行な10個の切断区分68a〜68j(基礎コンクリート11(又はベースグラウト)をワイヤソー70(ワイヤ70a〜70j)で切断する範囲)に区画する。
[0050]
上記切断区分の幅は、炉底部の大きさ、重量を考慮して、適宜設定する。450〜5
【0014】
なお、図11及び図12に示すローラー42の取り付け態様を併用してもよい。
[0063]
ワイヤソーで切断する高さ間隔、即ち、空隙部の高さは、水平孔の直径、及び、上記横移動手段の高さを考慮して、適宜設定すればよいが、60〜200mmが好ましい。
[0064]
水平孔を穿孔する場合、格別、穿孔作業に定まった順序はないが、水平孔の穿孔、切断区分における基礎コンクリートの切断、排出作業の順序を定めてもよい。
[0065]
高炉炉底部下部の基礎コンクリートに設定した水平切断部49の全域に渡り(図3参照)、横移動手段を配置する(工程7)ため、切断区分の境界部69a〜69kにおける水平孔の穿孔、及び、切断区分68a〜68jの基礎コンクリートの切断を繰り返して行う(工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6)が、この穿孔・切断作業を実施する際には、一方向から(例えば、68aから68jへ)順次行ってもよいが、隣接しない切断区分を、規則的に選択して継続的に実施するほうが好ましい。
[0066]
例えば、図4に示すように、最初、68eの切断区分を切断し(図中1)、次に、68aと68jの切断区分を同時に切断し(図中2)、次いで、68cと68gの切断区分を同時に切断し(図中3)、最後に、残りの切断区分を同時に切断する(図中4)。
[0067]
このように、穿孔・切断作業を規則的に選択して実施すると、基礎コンクリートにおける荷重分布の偏りを抑制できるので、横移動手段に、ほぼ均等に炉体荷重が負荷されて、高炉炉底部の搬出作業がより円滑化されることになる。
[0068]
(炉底部搬出工程)
前記空隙部56(図2B参照)に、横移動手段を配置する(工程6)。そして、工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行い、高炉炉底部下部の基礎コンクリートに設定した水平切断部49の全域に渡り(図3参照)、以下に述べる横移動部材および炉体荷重支持部材を備える横移動手段を配置する(工程7)。
[0069]
横移動手段において、横移動部材は、1枚の敷板の上に1枚以上の滑り板を載置した構成を用いてもよい。
横移動手段において、横移動部材の上に載置する炉体荷重支持部材は、例えば、HPA(ハイパックアンカー、繊維質の袋体にモルタルを充填したもの)の単独配置、HPAとα材(ガーネット、粒径の小さな球状粒子、モルタルの1種又は2種以上の組
【0015】
み合せ)との組合せ配置、α材のみの配置で構成される。
[0070]
横移動部材として敷板およびその上に載置した滑り板を用いる場合、炉体荷重支持部材としては、HPA単独、HPAとα材との組合せ、α材単独の何れかを適宜選択できる。
[0071]
炉体荷重支持部材としてHPAを用いる場合、HPA内にモルタルを充填する際に、その流動性に関する対策を講じることが好ましい。
具体的には、HPAの内面にコーティングを施すこと(対策A)、モルタル充填の前にHPAを水に浸漬しておくこと(対策B)、モルタルの流路に急激な絞り部分などが生じないような配管とすること(対策C)などが挙げられる。
[0072]
対策Aによれば、HPA内でのモルタルの流動が円滑となる。コーティングがない場合にはモルタルがHPA内に粘着して滞留し、あるいは塊を発生し、モルタルの円滑な充填が行えないことがある。しかし、対策Aによりモルタルの滞留あるいは塊の発生が回避でき、HPA内への円滑な充填が可能になる。
対策Bによれば、HPA内に充填されたモルタルから水分が分離されにくくなる。HPA内に導入されたモルタルから水分が分離されると、HPA内でモルタルが滞留あるいは塊を発生するが、対策Bによりこれらを抑制でき、円滑な充填が行える。
対策Cに関して、HPA内に至る配管等に急に流路面積が絞られる部分があると、モルタルの滞留が生じやすい。このような部位では、例えば緩い円錐形状のガイド配管を用いることで、急な絞りを解消し、モルタルの滞留を防止することができる。
これらの対策に関しては、実施例において改めて詳述する。
[0073]
図5に、横移動部材として1枚の敷板44の上に1枚の滑り板45を載置し、その上に、炉体荷重支持部材として、HPA51aとα材51bを組合せて配置して構成した横移動手段53の態様を示す。敷板としては鋼板(SS材)が適し、滑り板としてはSUS材単層またはSUS材とSS材との複層構造が適している。
[0074]
前記横移動部材において、敷板と滑り板の材質が同種であると、高炉炉底部の横移動時に、両板間においてカジリによる滑り抵抗が生じ易く、それにより横移動時に
本発明は、高炉改修において炉底部を短期間に解体するための高炉炉底部の解体方法に関する。
従来、高炉改修において高炉炉底部を解体し、系外に搬出する場合、高炉炉底部に滞留する溶銑、スラグ等をできるだけ排出してから解体作業を行っている。このような解体作業において、解体工期を短縮する方法が、これまで幾つか提案されている(例えば、特許文献1及び2、参照)。
特許文献1には、高炉を吹止めした後、その炉底部に残存する凝固物層及び炉底煉瓦層を炉外に搬出、除去するに際し、高炉の炉体を、上記凝固物層より高い位置で水平に切断し、その切断位置より上方の炉体を、そのまま、高炉炉体櫓からジャッキなどで懸架し、固定した後、上記切断位置より下方の炉体鉄皮を炉体全周にわたり撤去し、上記凝固物層及び炉底煉瓦を一体として炉外へ引き出すことを特徴とする高炉炉底部の解体方法が開示されている。
この解体方法によれば、残銑とカーボンレンガを発破により分割し、炉外へ搬出する従来方法に比べ、解体工期を短縮することができるが、この解体方法は、吹止め前の高炉炉底部に、臨時の開口を設け、該開口から、炉床部に滞留している溶銑、スラグを排出し、次いで、炉体上部から注水して残留物及び炉体を冷却した後に実施する解体方法であるので、炉体全周の鉄皮解体や、炉内凝固物層及び炉底煉瓦を一体で搬出するための作業量が極めて多く、全体的な解体工期は必ずしも短縮されていない。
また、上記解体方法においては、高炉炉底部の鉄皮(炉体の切断位置より下方の炉体鉄皮)と炉底板を切断し、分離するので、高炉炉底部の鉄皮を利用して吊り上げて、又は、ジャッキで押し上げて支持することができず、このため、切断した炉底レンガの下に、引出し用のレールやコロ部材等を配置することができず、高炉炉底部の引出し作業が不安定になるという課題がある。
本出願人は、上記課題を踏まえ、特許文献2で、高炉吹止め前の操業中に、高炉本体の下部に設けられている敷ビームより下側の基礎コンクリートに、予め複数の切断区分に分割した水平切断部を設定し、高炉本体が直立状態を維持するようにして、それぞれの切断区分をワイヤソーで切断し、ワイヤソーで切断した部分には、(i)剥離性を確保してグラウト材を充填し、硬化後のグラウト材で高炉本体の荷重を支持しながら、又は、(ii)砂又は鉄粒子を充填し、高炉本体の荷重を支持しながら、水平切断部をワイヤソーで順次切断することを特徴とする高炉炉底部の解体方法、を提案した。
この解体方法によれば、一体的に結合した敷ビームと炉底マンテルからなる高炉炉底部をジャッキ等で吊り上げて、基礎コンクリートと離反させ、その離反空間に、横移動手段を配置して、高炉炉底部を横移動手段上に載荷し、その後、横移動させて搬出する。それ故、高炉炉底部の内部で固化した残留物の固化状態及び量に拘わらず、統一された作業手順で、固化残留物を収容したまま、高炉炉底部を解体し、搬出することができ、解体工期を大幅に短縮することができる。
上記解体方法においては、上記高炉炉底部の搬出用の横移動手段として、レール部材、台車、ころ、又は、空気式浮上装置等を開示しているが、これらの横移動手段を上記離反空間に配置するためには、“高炉炉体の撓み+横移動手段の高さ+余裕代(横移動手段の取込作業スペース等)”分の高さの離反空間を確保する必要がある。
即ち、上記解体方法は、上記“高炉炉体の撓み”を考慮した離反空間を確保するために必要な炉底部のジャッキアップ作業や、ジャッキアップのためのブラケット取付作業などの作業負荷が大きくなるという課題を抱えている。
そこで、本出願人は、上記課題を踏まえ、特許文献3で、炉底部搬出用の横移動手段を挿入配置する離反空間を最小化するとともに、ジャッキアップ作業を行わず、その結果、高炉の解体工期をより短縮することができる高炉炉体の撤去方法を提案した。
また、特許文献4では、高炉炉体において、撤去する範囲の上方を切り離し、撤去する範囲の下方の基礎コンクリート又はベースグラウトをワイヤソーで切断し、一体的に接合した敷ビーム及び炉底マンテルからなる炉体を上昇させ、その間に、炉底部搬出用の横移動手段として“滑り部材”を配置し、炉体を横移動手段の上に降ろして横移動させ、炉体櫓外に移動させる高炉炉体の撤去方法を開示した。
しかし、大型高炉、例えば、5000〜6000m 3 の大型高炉を解体、撤去する場合、従来方法によれば、炉底部から約4000t以上の残留物を排除しなければならず、それにより、解体工期は必然的に長期化する。また、上記撤去方法を適用する場合、高炉炉体の撓み量が大きいので、炉底部搬出用の横移動手段を配置する離反空間を最小化するには限度があり、ジャッキアップ作業の負荷が軽減せず、解体工期は長期化する。
さらに、大型高炉の解体、撤去に上記撤去方法を適用する場合、約4000t以上の炉底部を持ち上げるために、所要規模の装置・設備を必要とし、また、高炉炉底部を搬出するために、所要強度と規模の横移動手段を必要とする。
このように、大型高炉を解体する場合、解体作業に要する装置・設備は、必然的に、大型化し、かつ、解体方法も複雑化し、解体工期は長期化する。即ち、大型高炉の解体、撤去においては、短期間で炉体を解体、撤去できる適切な解体方法が存在しないのが現状である。
特開平10−96005号公報 特許第3684201号公報 特願2004−379284号 特願2005−108780号
本発明は、高炉解体技術の上記現状に鑑み、大型高炉も含め、高炉をより短期間で解体することができる普遍的な解体方法を提供することを目的とする。
本発明者は、高炉炉底部の下部に横移動手段を配置するため高炉炉底部を吊り上げる、又は、ジャッキで押し上げることが、結果的に、解体手順を複雑化し、解体工期を長期化する原因であると考え、高炉炉底部を吊り上げなくても、又は、ジャッキで押し上げなくても、高炉炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトに横移動手段を配置することができる解体手法を鋭意検討した。
その結果、炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトをワイヤソーで水平方向に切断して所要高さの空隙部を形成し、該空隙部に、直接、横移動手段を配置すれば、高炉炉底部の吊り上げやジャッキアップ等に必要な大規模な装置・設備を必要とせず、搬出準備作業も簡素化し、高炉炉底部の解体工期を大幅に短縮できることを知見した。
本発明は、高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトから、高炉炉底部を切離して搬出する高炉炉底部の解体方法であって、敷板と滑り板とで構成されかつ高炉炉底部を搬出するための横移動部材と、炉体荷重を支持するための炉体荷重支持部材と、を備えた横移動手段を用い、高炉の操業中に予め下記工程1〜工程7を実施し、その後、高炉の吹止後の改修期間中に、下記工程8を実施することを特徴とする。
工程1:搬出しようとする高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部に、高炉炉底部の引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。
工程2:前記切断区分の境界部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、前記引出し方向に平行で隣り合う水平孔を穿孔する。
工程3:前記隣り合う水平孔にワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリートを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断する。
工程4:前記上部水平面と下部水平面との間にある切断された基礎コンクリート又はベースグラウトを排出して、前記引出し方向に平行な空隙部を形成する。
工程5:前記空隙部に、前記滑り板を上にして前記横移動部材を配置する。
工程6:前記滑り板の上面と前記上部水平面との隙間に、前記炉体荷重支持部材を設ける。
工程7:工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返し行い、前記横移動手段を、前記基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部の全域に渡り配置する。
工程8:上部マンテルを炉底部から分離した後、吊り上げ、炉底部に水平力を付与し、前記敷板と前記滑り板とを滑らせて、前記高炉炉底部から前記滑り板までを系外に搬出する。
このような本発明によれば、高炉吹止め前の操業中に、炉底部を横移動させるための全ての横移動手段を取り付けることができるので、前記特許文献で開示されている吹止め後に行なう横移動手段の取り付け日数を短縮することができる。
即ち、高炉操業中に、高炉炉底部下部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、横移動部材および炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を配置できるに足る空隙部を形成し、その空隙部に横移動手段を取込み、その横移動手段で切断上部の荷重を支持し、これを、高炉炉底部の水平切断部の全面に渡り、迅速かつ確実に準備し完了することができるので、解体準備作業に要する作業日数を減らすことができる。
また、本発明によれば、重量物である高炉炉底部を吊り上げる、又は、ジャッキアップする大規模な装置・設備を必要とせず、横移動部材および炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を上記空隙部に配置するだけでよいので、搬出準備完了までの作業日数、即ち、事前工事に要する作業日数を大幅に減らすことができる。
さらに、本発明によれば、重量物である高炉炉底部を吊り上げる必要がないので、敷ビームのような剛性部材が炉底に敷設されていない高炉炉底部(剛性部材がないので、吊り上げやジャッキアップができない)や、残留物を大量に残したままの高炉炉底部を容易に搬出することができる。
その結果、本発明によれば、高炉炉体の解体工期を大幅に短縮することができる。
本発明において、前記水平孔にワイヤソーのワイヤーレベルを一定に維持するためのワイヤーガイド部材を配置した後、該水平孔に、該ガイド部材に沿ってワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリート又はベースグラウトを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断することが望ましい。
本発明において、前記水平孔の全部又は一部に、横移動時の索引方向に対する横滑りを防止する横移動ガイド部材を配置することが望ましい。
水平孔にワイヤーガイド部材を配置する場合には、水平孔内のワイヤーガイド部材を排出した後に、横移動ガイド部材を設置することが望ましい。
本発明において、前記ワイヤーガイド部材が、水平孔への搬入方向の先端、及び、該先端と中央部にローラーを備える長尺の鋼材であることが望ましい。
本発明において、前記水平孔の直径が60〜200mmであることが望ましい。
本発明において、前記水平孔の隣接間隔が0.45〜5mであることが望ましい。
本発明において、前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせで構成されていることが望ましい。
本発明において、前記横移動部材が、敷板、滑り板、及び、該敷板と滑り板の間に充填した潤滑剤で構成されていることが望ましい。
本発明において、前記敷板と滑り板の合計枚数が2枚以上であることが望ましい。
本発明において、前記敷板と滑り板との間の滑り面に、系外から潤滑剤を供給することが望ましい。
本発明において、前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせと、ハイパックアンカー(HPA)と、で構成されていることが望ましい。
本発明において、前記粒径の小さい球状粒子が、最大直径10mm以下の球状又は楕円状の鉄球であることが望ましい。
本発明において、前記工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行う際、隣接しない切断区分を適宜選択して継続的に実施することが望ましい。
本発明について、図面に基づいて説明する。
図1に、本発明を適用する高炉及び炉体櫓の一態様を示す。高炉10は、基礎コンクリート11の上に敷設した敷ビーム12の上に高炉本体13を立設して構成されている。
高炉10の上部には、複数の排気管15が設けられ、高炉10及び排気管15は、高炉10の周囲で4箇所に立設した支柱22を含む炉体櫓14で支持されている。
炉体櫓14の下部には、高炉10を囲繞する環状管16が保持され、上端部には、装入装置19を運搬する炉頂アウトリガークレーン17が設けられ、また、中間部には、炉頂設備の保守点検、解体作業を行う仮設張出しデッキ18が設けられている。
高炉を支持することができる炉体櫓のいずれかのレベルに、高炉本体13を支持することが可能なセンターホールジャッキ50を取り付けることができる梁または仮設ジャッキ受梁21が配置されている。
高炉本体13の外側は鉄皮29で覆われ、その内側には、多数のステーブクーラー30が配置されている。
高炉10の吹止め後には、高炉本体13の下部内側の炉底レンガ層31の内側に、未溶解のコークス層と溶銑またはスラグが一体になって固化した混銑滓塊32が残り、この混銑滓塊32の下側には、冷却凝固した残銑33が残っている。
高炉本体13は、上側の上部マンテル34と下側の炉底マンテル35(残存レンガ及び残銑33を内蔵する)とからなる。
なお、本発明においては、一体的に接合した敷ビーム12と炉底マンテル35を炉底部36とする。
図2Aに炉底部36の断面構造を示し、その2B部分の拡大状態を図2Bに示す。
基礎コンクリート11上の敷ビーム12は、並べて配置した多数のH形鋼23と、その上部に配設した炉底板26からなる。
なお、隣接するH形鋼23の間には冷却管24が配置され、冷却管24の下側には、グラウト材25またはスタンプ材28が、それぞれ、注入、固化されている。
以下、本発明である高炉炉底の解体方法(本発明方法)の手順について説明する。
本発明は、基本的に、高炉炉底部を搬出するための横移動部材と炉体荷重を支持するための炉体荷重支持部材とを備えた横移動手段を用い、この横移動部材として敷板と滑り板とを用いる。そして、予め高炉の操業中に、下記工程1〜工程7を実施し、その後、高炉の吹止後の改修期間中に、工程8を実施することを特徴とする。
工程1:搬出しようとする高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部に、炉底部の引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。
工程2:前記切断区分の境界部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、前記引出し方向に平行な水平孔を穿孔する。
工程3:前記隣り合う水平孔にワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリートを、所要の高さ(前記横移動手段の配置に必要な高さ)を維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断する。
工程4:前記上部水平面と下部水平面との間にある切断された基礎コンクリート又はベースグラウトを排出して、前記引出し方向に平行な空隙部を形成する。
工程5:前記空隙部に、前記滑り板を上にして前記横移動部材を配置する。
工程6:前記滑り板の上面と前記上部水平面との隙間に、前記炉体荷重支持部材を配置する。
工程7:工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返し行い、前記横移動手段を、前記基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部の全域に渡り配置する。
工程8:上部マンテルを炉底部から分離した後、吊り上げ、炉底部に水平力を付与し、前記敷板と前記滑り板とを滑らせて、前記高炉炉底部から前記滑り板まで(高炉炉底部、炉体荷重支持部材、滑り板)を系外に搬出する。
以下、上記工程1〜工程4を炉底部切離工程、工程5〜工程8を炉底部搬出工程とし、図面に基づき説明する。
(炉底部切離工程)
図2Bにおいて、炉底部36の敷ビーム12より下側の基礎コンクリート11に、予め、水平切断部49を設定し、次いで、該切断部49に、炉底部36の引出し方向に平行に、複数の切断区分を設定する(工程1)。
図3に、設定した切断区分の一態様を示す。
図3において、基礎コンクリート11に設けた水平切断部49において、炉底部を水平移動する方向(左右方向)に平行な10個の切断区分68a〜68j(基礎コンクリート11(又はベースグラウト)をワイヤソー70(ワイヤ70a〜70j)で切断する範囲)に区画する。
上記切断区分の幅は、炉底部の大きさ、重量を考慮して、適宜設定する。450〜5000mmが好ましい。なお、上記切断区分の幅は一定である必要はなく、炉底部の重量分布を考慮して、適宜設定してもよい。
切断区分68aと端部の境界部69a、切断区分68a〜68jの境界部69b〜69j、及び、切断区分68jと端部の境界部69kに、穿孔機(図示なし)を用いて、所定直径の水平孔を穿孔する(工程2)。水平孔の直径は、その後のワイヤソーによる切断作業の容易性や、この切断で形成する空隙部において、横移動手段を挿入して配置するに足る高さを確保することを考慮して適宜設定するが、60〜200mmが好ましい。
水平孔の直径が60mm未満では、上下2本のワイヤソー70を挿入することが難しく、挿入できても、上下2面の水平切断ができない。また、直径が200mmを超えると、長距離(例えば、約20m)の水平孔を穿孔することが難しいし、また、穿孔機での孔開け作業に多くの時間を費やすとともに、機能的に、水平孔の直径を大きくする意味がない。
水平孔の隣接間隔は、炉底部の大きさ、重量、及び、基礎コンクリートの面積等を考慮して適宜設定するが、0.45〜5mが好ましい。水平孔の隣接間隔が0.45m未満であると、ワイヤソー70が回転した際の折り返し部分での抵抗が大きく、基礎コンクリートを切断できないし、また、水平孔の隣接間隔が5mを超えると、上下の切断面が波打ち、基礎コンクリートを水平に切断することが困難となる。
かりに、切断できたとしても、切断面の凹凸が障害となって、引出し時の摩擦が大きくなり、切断した基礎コンクリートを系外に排出することが困難となるうえ、高炉炉底部を横移動させる場合の摩擦抵抗も大きくなり、高炉炉底部の搬出が極めて困難となる。例えば、重量が4000tを超える炉底部の場合には、搬出できない。
なお、水平孔の隣接間隔は一定である必要はない。高炉炉底部の大きさ、及び、基礎コンクリート(又はベースグラウト)の面積を考慮し、適宜、寸法を変えてもよい。
上記各境界部に穿孔した水平孔に、ワイヤソー70のワイヤー70a〜70jを挿通し、切断区分68a〜68jに残る基礎コンクリートを、所定の高さ間隔、即ち、横移動手段を挿入して配置するのに充分な高さ間隔を確保する上部水平面47と下部水平面48(図2B参照)に沿って切断し(工程3)、切り出し部の基礎コンクリートを排出して空隙部56(図2B参照)を形成する(工程4)。
特許文献4記載の撤去方法では、空隙部56の切断面47、48に剥離材を塗布した後、切断面47、48の間にグラウト材25を充填し、炉底部36を吊り上げて、切断面48上に横移動手段(例えば、滑り部材)を配置するが、本発明方法においては、後述するように、グラウト材を充填する必要はなく、また炉底部36を吊り上げる必要もなく、空隙部56に横移動手段を配置する。
大型高炉の基礎コンクリートを上部水平面と下部水平面に沿って切断する場合、ワイヤソー70の動きをガイドするワイヤーガイド部材を水平孔に配置し、上下の切断面が凹凸状に波打たないように、又は、上下の切断面の間隔が変化しないように切断することが好ましい。
水平孔内にワイヤーガイド部材を配置すると、ワイヤソー70のワイヤーは、ワイヤーガイド部材の上面を滑りながら基礎コンクリートを切断するので、上下の切断面は、所定の高さ間隔を維持しつつ水平面となる。その結果、高炉炉底部を搬出する際の基礎コンクリート切断面での抵抗が小さくなり、高炉炉底部を円滑に搬出できる。
ここで、図11及び図12に、H形鋼を用いて構成したワイヤーガイド部材の断面態様を図示する。
図11に示すワイヤーガイド部材は、H形鋼37の下部フランジ38の先端と中央部に、ワイヤーガイド部材40を支持するローラー42を取り付けたものである。H形鋼37の下部フランジ38の先端と中央部にローラー42を取り付けることにより、ワイヤーガイド部材40の水平孔41への挿入・取出作業が容易となる。
図12に示すワイヤーガイド部材40は、H形鋼37のウェブ43の先端と中央部の左右に、水平孔41の側面に当接するローラー42を取り付けたものである。
いずれのワイヤーガイド部材においても、上部フランジ39が、上部の基礎コンクリートを切断するワイヤソー70をガイドし、下部フランジ38が、下部の基礎コンクリートを切断するワイヤソー70をガイドするので、上下の切断面は、所定の高さ間隔を維持しつつ水平面となる。
その結果、上側のワイヤソー70により上部水平面47の切断が行われ、下側のワイヤソー70により下部水平面48の切断が行われ、これにより水平切断部49が形成される(二面切断)。
なお、図11及び図12に示すローラー42の取り付け態様を併用してもよい。
ワイヤソーで切断する高さ間隔、即ち、空隙部の高さは、水平孔の直径、及び、上記横移動手段の高さを考慮して、適宜設定すればよいが、60〜200mmが好ましい。
水平孔を穿孔する場合、格別、穿孔作業に定まった順序はないが、水平孔の穿孔、切断区分における基礎コンクリートの切断、排出作業の順序を定めてもよい。
高炉炉底部下部の基礎コンクリートに設定した水平切断部49の全域に渡り(図3参照)、横移動手段を配置する(工程7)ため、切断区分の境界部69a〜69kにおける水平孔の穿孔、及び、切断区分68a〜68jの基礎コンクリートの切断を繰り返して行う(工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6)が、この穿孔・切断作業を実施する際には、一方向から(例えば、68aから68jへ)順次行ってもよいが、隣接しない切断区分を、規則的に選択して継続的に実施するほうが好ましい。
例えば、図4に示すように、最初、68eの切断区分を切断し(図中1)、次に、68aと68jの切断区分を同時に切断し(図中2)、次いで、68cと68gの切断区分を同時に切断し(図中3)、最後に、残りの切断区分を同時に切断する(図中4)。
このように、穿孔・切断作業を規則的に選択して実施すると、基礎コンクリートにおける荷重分布の偏りを抑制できるので、横移動手段に、ほぼ均等に炉体荷重が負荷されて、高炉炉底部の搬出作業がより円滑化されることになる。
(炉底部搬出工程)
前記空隙部56(図2B参照)に、横移動手段を配置する(工程6)。そして、工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行い、高炉炉底部下部の基礎コンクリートに設定した水平切断部49の全域に渡り(図3参照)、以下に述べる横移動部材および炉体荷重支持部材を備える横移動手段を配置する(工程7)。
横移動手段において、横移動部材は、1枚の敷板の上に1枚以上の滑り板を載置した構成を用いてもよい。
横移動手段において、横移動部材の上に載置する炉体荷重支持部材は、例えば、HPA(ハイパックアンカー、繊維質の袋体にモルタルを充填したもの)の単独配置、HPAとα材(ガーネット、粒径の小さな球状粒子、モルタルの1種又は2種以上の組み合せ)との組合せ配置、α材のみの配置で構成される。
横移動部材として敷板およびその上に載置した滑り板を用いる場合、炉体荷重支持部材としては、HPA単独、HPAとα材との組合せ、α材単独の何れかを適宜選択できる。
炉体荷重支持部材としてHPAを用いる場合、HPA内にモルタルを充填する際に、その流動性に関する対策を講じることが好ましい。
具体的には、HPAの内面にコーティングを施すこと(対策A)、モルタル充填の前にHPAを水に浸漬しておくこと(対策B)、モルタルの流路に急激な絞り部分などが生じないような配管とすること(対策C)などが挙げられる。
対策Aによれば、HPA内でのモルタルの流動が円滑となる。コーティングがない場合にはモルタルがHPA内に粘着して滞留し、あるいは塊を発生し、モルタルの円滑な充填が行えないことがある。しかし、対策Aによりモルタルの滞留あるいは塊の発生が回避でき、HPA内への円滑な充填が可能になる。
対策Bによれば、HPA内に充填されたモルタルから水分が分離されにくくなる。HPA内に導入されたモルタルから水分が分離されると、HPA内でモルタルが滞留あるいは塊を発生するが、対策Bによりこれらを抑制でき、円滑な充填が行える。
対策Cに関して、HPA内に至る配管等に急に流路面積が絞られる部分があると、モルタルの滞留が生じやすい。このような部位では、例えば緩い円錐形状のガイド配管を用いることで、急な絞りを解消し、モルタルの滞留を防止することができる。
これらの対策に関しては、実施例において改めて詳述する。
図5に、横移動部材として1枚の敷板44の上に1枚の滑り板45を載置し、その上に、炉体荷重支持部材として、HPA51aとα材51bを組合せて配置して構成した横移動手段53の態様を示す。敷板としては鋼板(SS材)が適し、滑り板としてはSUS材単層またはSUS材とSS材との複層構造が適している。
前記横移動部材において、敷板と滑り板の材質が同種であると、高炉炉底部の横移動時に、両板間においてカジリによる滑り抵抗が生じ易く、それにより横移動時に大きな水平力が必要となる。従って、前記両板の材質は異種の材質とすることが好ましい。
適用例として、1.敷板SS材、滑り板SUS材、2.敷板SS材、滑り板SUS材(下面)+SS材(上面)からなる複層構造が挙げられる。
この場合、いずれもケースにおいても、高炉炉底部の横移動時に敷板SS材と滑りあう滑り板SUS材間において、滑り板SUS材が摩耗するため前記のカジリの発生なく、これにより水平力が小さくなる。
また、滑り板を上記の如くSUS材(下面)+SS材(上面)からなる複層複層構造にすることにより、同一の厚みのSUS材の単層より安価にすることが可能である。
ワイヤソーのワイヤーで形成した凹凸面を有する水平孔の底面上に敷設された敷板は、炉体荷重を、炉体荷重支持部材を介して局部的に受ける。それ故、敷板の厚さは、敷板がその局部的荷重に耐えるに充分な強度を確保できるように設定する。例えば、6mm以上が好ましい。滑り板の厚さは、敷板の強度ほどの強度は必要ないので、例えば、鋼板の滑り板の場合、2.3mm以上の鋼板であれば充分である。
図5の構成では1枚の敷板と一枚の滑り板を用いたが、横移動部材を、1枚の敷板の上に2枚以上の滑り板を配置して構成してもよい。この場合、敷板の上面に溝を設け、該溝に、系外から潤滑材を充填すると、敷板と滑り板の滑りが、さらに滑らかになる。
一方、横移動部材として1枚の敷板のみを用いるとしてもよい。但し、この場合、該敷板の上に、炉体荷重支持部材としてHPA単独又はHPA+α材を載置すると、横移動時にHPAが破損することがある。従って、横移動部材として1枚の敷板のみを用いる場合には、HPA単独及びHPA+α材は炉体荷重支持部材として適さず、α材のみを用いることが望ましい
α材を炉体荷重支持部材として用いる場合、α材を、敷板の上面と切断面との間隙に、圧密状態となるように充填するのが好ましい。ただし、この場合、横移動部材及び炉体荷重支持部材の空隙部への配置は容易であるが、小さな潤滑作用しか得られないので、高炉炉底部の横移動時、索引力を大きくせざるを得ず、その分、能力の大きい索引装置が必要となる。
これに対し、横移動部材として、1枚の敷板に1枚以上の滑り板を配置する場合、その空隙部への施工は、α材を用いる場合に比べ複雑となるが、炉体荷重支持部材として、HPA単独、HPA+α材、及び、α材の全てを用いることができる。さらに、この場合、摩擦抵抗値は小さく、高炉炉底部の横移動時、索引力が極めて小さくてすむので、その分、能力の小さい索引装置でよいことになる。
前記α材の1種である粒径の小さな球状粒子としては、最大直径10mm以下の球状又は楕円状の鉄球が好ましい。また、上記球状粒子の替わりにガーネットを用いるのが好ましい。
前述したように、横移動部材として敷板と滑り板とを重ねて用いる横移動手段においては、これらの敷板と滑り板との間に潤滑材を充填し、敷板に対する滑り板の滑りを円滑にすることが好ましい。
図6に示すように、溝54を形成した敷板44を用い、敷板44と滑り板の間に潤滑剤55(例えば、油)を、ポンプPで供給してもよい。敷板と滑り板の間に潤滑材を充填すると、高炉炉底部の搬出作業を、より円滑、安全かつ迅速に行うことができる。
図7A〜図7Cに、横移動手段の各種態様を示す。
図7Aは、炉体荷重支持部材として、α材51b(ガーネット、粒径の小さい球状粒子、又は、モルタルの1種又は2種以上の組み合わせ)を用いた態様を示す。
図7Bは、HPA51aとその間に、α材51bを充填して用いた態様を示す。
図7Cは、HPA51aのみを用いた態様を示す。
前述したように、炉体荷重支持部材としては、α材及びHPAのいずれか1種又は2種を組み合わせて用いてもよい。
どの炉体荷重支持部材を選択するかは、特に、施工の難易度により適宜決定する。例えば、敷板と空隙部の上面との隙間が小さくて、モルタル、HPAが、炉体荷重支持部材として、横移動部材の上に配置施工できない場合には、ガーネットや、小粒径の球状粒子を用いるのが好ましい。
以上のように、基礎コンクリート11の空隙部56(図2B参照)に、横移動手段を配置(工程6、工程7)した後、高炉炉底部から分離した上部マンテル34を吊り上げ、高炉炉底部36を炉体櫓14の外側(系外)に搬出する(工程8)。
図8に、高炉炉底部の搬出態様を示す。
上部マンテルの分離は、例えば次のようにして行う。
水平切断部49の全域に渡り、横移動部材および炉体荷重支持部材を備える横移動手段を配置した後、高炉10を吹止め、高炉本体13の鉄皮29の上部ないし中間の複数の箇所に、それぞれ吊下げ用ブラケット52を溶接して固定するとともに、炉体櫓14に複数のセンターホールジャッキ50を取り付け、高炉10を、吊下げ用ブラケット52及びセンターポールジャッキ50を介して炉体櫓14に吊下げ支持する。
次いで、高炉炉体13の中間部、例えば高炉炉体13の環状管16レベルより下側の部位(図8の切断線C1)および高炉炉体13の中間部の一ないし複数の部位(図8の切断線C2)を、略水平に、所定幅をもって切断し、上部マンテル34を炉底マンテル35から分離するとともに、上部マンテル34を複数のブロックに分割する。
このとき、分割された上部マンテル34の各ブロックは、それぞれ吊下げ用ブラケット52及びセンターホールジャッキ50によって炉体櫓14に吊り下げて保持する。
このようにして上部マンテル34を炉体櫓14に保持した後、先ず、炉体マンテル35を含む高炉炉底部36を、炉体櫓14の外側(系外)へ搬出する。
続いて、上部マンテル34の一番下のブロックを吊り下げるセンターホールジャッキ50を作動させ、基礎上に設置した搬出装置(例えばころ、滑り板、台車など)の上に同ブロックを降ろし、高炉炉底部36と同様に炉体櫓外へと搬出する。
同様に、上部マンテル34の各ブロックを下のものから順次搬出し、上部マンテル34の全てを搬出する。
これらにより高炉本体13が炉体櫓外へ搬出される。
なお、装入装置19等の炉頂設備は、炉頂アウトリガークレーン17及び仮設張出しデッキ18を用いて解体し撤去する。
これらの搬出にあたっては、ドーリーやクレーン車等の建設機械を利用してもよく、コンベア等の半固定式の設備を設置してもよく、あるいはこれらを複数組み合わせて用いてもよい。
ここで、図9及び図10に、横移動手段の横移動部材として敷板と滑り板を用いた場合の搬出直前の態様を示す。図9は、その側面態様を示し、図10は、その平面態様を示す。
基礎コンクリート11に隣接して、重量物搬送台車57が設置されていて、該重量物搬送台車57の上面には、基礎コンクリート11の空隙部に配置した敷板44が延長されて配置されている。この状態で、ジャッキ58により、高炉炉底部36に固定したブラケット60に一端を締結した牽引ワイヤー59を牽引することにより、高炉炉底部36を、重量物搬送台車57の上面へ横移動させる。
この時、高炉炉底部36の索引方向に対する横滑りを防止する必要があるが、この横滑りを確実に防止するために、例えば、図13に示す横移動ガイド部材61を、水平孔41の全部又は一部に配置してもよい。
この横移動ガイド部材を用いることにより、高炉炉底部を、索引方向に対し横滑りすることなく、さらに安全、円滑かつ迅速に搬出することができる。
また、横滑りを防止する別の方法として、炉底マンテル外側にガイドレールを設置し、横滑りを防止してもよい。
空隙部内への横移動ガイド部材の配置は、高炉炉底部から分離した上部マンテルを吊り上げた直後に行ってもよいし、また、横移動手段の配置とともに行ってもよい。横移動ガイド部材としては、通常、鋼管が好ましい。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、各部の材料、要素の数や配置等は実施にあたって適宜変更してよく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
前述した実施形態においては、炉底部36の水平切断部49を上部水平面47と下部水平面48とによる二面切断としたが(図2B、図12、図13参照)、以下に述べるように三面切断あるいは四面以上の切断としてもよい。
前述したように、ワイヤソー70による切断にあたっては、回転駆動するワイヤソー70の中間部分の振れや高炉本体の荷重等により、切断面が凹凸形状となる。
図14において、ワイヤソー70による切断によって、上部水平面47と下部水平面48とが形成され、その間の切り出し部分36Aは水平方向へ引き出しが可能である。切り出し部分36Aの表面47A,48Aは、上部水平面47および下部水平面48と同様にワイヤソー70による切断によって形成されるものであり、上部水平面47および下部水平面48に対して所定間隔(ワイヤソー70の太さに対応)をなす凹凸形状となる。
このような切り出し部分36Aを水平方向に抜き出すと、切り出し部分36Aの表面47A,48Aの凸部分(47B,48B)が上部水平面47および下部水平面48の凸部分(47C,48C)と干渉し、引き出しが困難になる可能性がある。
特に、先に穿孔する水平孔41の隣接間隔が大きい場合(5m以上)、ワイヤソー70の振れ幅も大きくなるため、切り出し部分36Aの表面47A,48Aの凹凸および上部水平面47、下部水平面48の凹凸がそれぞれ大きくなり、水平方向への引き出しにあたって干渉が大きく、引き出し力の強化が必要になるため好ましくない。
これに対し、図15A〜図15Eに示すような三面切断を行うことで前述した干渉を大幅に低減することができる。なお、下記工程において図15A〜図15Cまでは前述した二面切断と同様であり、図15D,図15Eを追加することにより三面切断が実現されている。
先ず、図15Aに示すように、炉底部36の水平孔41に前記実施形態と同様なH型鋼37を用いたワイヤーガイド部材40を導入し、ワイヤソー70を上部フランジ39でガイドしつつ切断を行う。これにより炉底部36は上部水平面47で切断される。
次に、図15Bに示すように、ワイヤソー70を下部フランジ38でガイドしつつ切断を行う。これにより炉底部36は下部水平面48で切断され、これらの上部水平面47および下部水平面48で挟まれた領域が切り出し部分36Aとして切り出される。
これらの切断により、炉底部36と切り出し部分36Aとの間には、上部フランジ39でガイドされたワイヤソー70による切断跡として厚みD1の隙間が生じ、下部フランジ38でガイドされたワイヤソー70による切断跡として厚みD2の隙間が生じる。
図15Cに示すように、切断により支持を失った切り出し部分36Aは重力により沈下し、切り出し部分36Aの上側のみに隙間D3が生じる。隙間D3は前述した隙間D1と隙間D2とを合算した距離に相当する。
この状態で、ワイヤーガイド部材40を抜き出す。ここまでの処理により、前述した実施形態に相当する二面切断が行われる。
続いて、図15Dに示すように、水平孔41に別のワイヤーガイド部材40Aを導入する。
ワイヤーガイド部材40Aは、ガイド板40B,40Cおよび浮き上がり防止板40Dを備えている。これらのガイド板40B,40Cおよび浮き上がり防止板40Dはそれぞれ鋼板で形成され、断面形状においてガイド板40B,40Cは互いに平行に、浮き上がり防止板40Dはガイド板40B,40Cに対して直角に配置されている。
ワイヤーガイド部材40Aは、水平孔41内に設置された状態でガイド板40B,40Cが水平であり、浮き上がり防止板40Dが垂直となるように保持される。下側のガイド板40Bは、その上面が切り出し部分36Aのほぼ中間(中間よりやや下方)に配置され、この上面でワイヤソー70を当該高さにガイドする。上側のガイド板40Cは、その下面が切り出し部分36Aの上面より低く配置され、ワイヤソー70が振れを生じた場合などでも切り出し部分36Aから外れないように動きを規制する。浮き上がり防止板40Dは水平孔41の上側内面に当接することでワイヤーガイド部材40Aの浮き上がりを防止するものであり、ガイド板40B,40Cを水平孔41内の所定高さに維持することで前述したガイド板40B,40Cによるワイヤソー70のガイド機能を適正に維持する。
このようなワイヤーガイド部材40Aでワイヤソー70をガイドしつつ切断を行うことにより、切り出し部分36Aは中間水平面49Aで切断される。この切断により、切り出し部分36Aは上側部分36Bと下側部分36Cに分割され、これらの間にはワイヤソー70による切断跡として厚みD4の隙間が生じる。
図15Eに示すように、切り出し部分36Aにおいては、切断により支持を失った上側部分36Bが重力により沈下して下側部分36Cと重なり、切り出し部分36Aの上側のみに隙間D5が生じる。隙間D5は前述した隙間D3と隙間D4とを合算した距離、つまり三回の切断跡の距離D1,D2,D4を合算した距離に相当する。
この状態で、ワイヤーガイド部材40Aを抜き出す。ここまでの処理により、三面切断が行われ、前述した二面切断よりも大きな隙間D5が得られる。このため、上部水平面47および下部水平面48に凹凸があっても、大きな隙間D5により引き出し時の干渉を回避することができ、切り出し部分36Aの引き出しを円滑に行うことができる。
(実施例)
以下、上述した本発明の実施形態に基づく具体的な実施例について説明する。
21m×21mの基礎コンクリ上に立設した高炉の炉底部を、前述した図5に示す横移動手段を用いて、系外へ搬出した。
炉底部下1.5mの位置を水平切断部とし、該切断部に、幅1.5mの切断区分を、13個設定した。切断区分の境界部に、直径100mmの水平孔を穿孔し、水平孔間の基礎コンクリートを、高さ間隔70mmで水平に切断して、切り出し部分の基礎コンクリートを排出した。
ここで、前述した図5に示す横移動手段を配置し、炉底部を搬出した。その結果、高炉吹止めから、炉底部の搬出完了までを13日間で実施した。
この作業日数は、従来、同程度の規模の炉底部の搬出に要していた作業日数17日に比べ、大幅に短縮されている。
以上の実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(HPAへのモルタル充填の実施例)
前述した実施形態において、炉体荷重支持部材としてHPAを用いる場合、HPA内に充填するモルタルの流動性に関連した対策を講じることが好ましいことを説明した。
ここで、各対策に関する具体的な実施例について説明する。
(1)試験装置
前述した図5に示す構成、つまり横移動部材として1枚の敷板44の上に1枚の滑り板45を載置し、その上に炉体荷重支持部材としてHPA51aとα材51bを組合せて配置して構成した横移動手段53を用いた。
HPA51aは6本設けられ、それぞれラミネート繊維から形成された筒状とされ、水平部分の長さは約18mである。
このようなHPA51aにモルタルを充填するために、その一方の端部にモルタル充填用の配管を接続した。
図16に示すように、モルタル充填用の配管51cは、口径50Aの配管を垂直方向に配置し、高さ2mのヘッド圧を利用して無収縮モルタルを充填するものである。配管51cの下端は水平方向に曲げられ、HPA51aに接続されている。HPA51aの端部は炉底部36から引き出されており、配管51cの下端に被せられたうえで締め付けバンド51dにより固定されている。
このような構成において、配管51cからモルタルを充填し、HPA51aの他方の端部からモルタルが流出すればHPA51aへの充填が十分に行われたと判定した。
(2)試験条件
前述した実施形態で述べた各対策(対策A〜対策C)を組み合わせて6つの実施例を検討した。
実施例1;対策Aなし、対策Bなし、対策Cなし。…対策なし
実施例2;対策A実施、対策Bなし、対策Cなし。…対策Aのみ
実施例3;対策Aなし、対策B実施、対策Cなし。…対策Bのみ
実施例4;対策Aなし、対策Bなし、対策C実施。…対策Cのみ
実施例5;対策A実施、対策Bなし、対策C実施。…対策C+対策A
実施例6;対策Aなし、対策B実施、対策C実施。…対策C+対策B
ここで、各対策の内容は次の通りである。HPAの内面にコーティングを施すこと(対策A)、モルタル充填の前にHPAを水に浸漬しておくこと(対策B)、モルタルの流路に急激な絞り部分などが生じないような配管とすること(対策C)。
このうち対策Cについては次の通り。
前述した図16の構成(対策Cなし)では、口径50Aの配管51cからHPA51a内に導入されたモルタルは、炉底部36内に導入される際に急激な絞りを受けるようになっている。
図17に示すように、対策Cとして、配管51cからHPA51aに導入される部分には緩やかな絞り管51eが設置され、配管51cもより細い口径32Aに変更されている。
絞り管51eは、基端側が口径32Aとされ配管51cの端部に接続されているとともに、先端側が細い管とされ、長さ100mmにわたって炉底部36内のHPA51a内部に挿入されている。絞り管51eの先端側と基端側とはごく緩やかな円錐状とされ、配管51cからのモルタルはごく緩やかに絞られてHPA51a内に導入されるようになっている。
(3)試験結果
実施例1;対策なし。
どのHPA51aの出口(モルタルを注入する入口側とは反対側の端部)からもモルタルの流出がなく、モルタル充填は不十分であった。HPA51a入口の急激な絞り部分でモルタルの水分がHPAを通して絞り出され、モルタルの塊が生じ、流れを堰き止めたと推定される。
実施例2;対策Aのみ。
実施例3;対策Bのみ。
どのHPA51aの出口からもモルタルの流出がなく、モルタル充填は不十分であった。実施例1で述べたように、HPA51a入口の急激な絞り部分でモルタルの水分がHPAを通して絞り出され、モルタルの塊が生じ、流れを堰き止めたと推定される。このためモルタルがHPA51a内に導入されることがなく、対策A、対策Bが有効に機能するに至っていない。
実施例4;対策Cのみ。
各HPA51aの出口からモルタルの流出が確認された。対策Cにより、モルタルの水分の絞り出し、モルタルの塊の発生がなく、流れの堰き止めが生じなかったためと推定される。
実施例5;対策C+対策A。
実施例6;対策C+対策B。
各HPA51aの出口からより多くのモルタルの流出が確認された。実施例4で述べた対策Cによる堰き止め解消に加え、対策Aまたは対策BによりHPA51aの全長にわたってモルタルの水分の搾り出しが抑制されたためと推定される。
以上、HPAを炉体荷重支持部材として用いる場合には、上述した対策Cを採用することが望ましく、これに対策A、対策Bを併用することが更に望ましいことが解る。
本発明は、高炉改修において炉底部を短期間に解体するための高炉炉底部の解体方法として利用できる。
本発明の一実施形態に係る高炉及び炉体櫓の一態様を示す図である。 前記実施形態における高炉の炉底部を示す断面図である。 前記図2Aの2B部を拡大した断面図である。 前記実施形態における高炉炉底部に、水平切断部を設定し、該切断部に複数の切断区分設定した一態様を示す図である。 前記実施形態における高炉炉底部において、切断区分を切断する場合における一例を示す図である。 前記実施形態における横移動手段を示す図である。 前記実施形態における潤滑材を充填する溝を形成した敷板を示す図である。 α材を用いた炉体荷重支持部材を備える横移動手段の別の態様を示す図である。 HPA+α材を用いた炉体荷重支持部材を備える横移動手段の別の態様を示す図である。 HPAを単独で用いた炉体荷重支持部材を備える横移動手段の別の態様を示す図である。 前記実施形態における高炉の炉底部の搬出態様を示す図である。 前記実施形態における横移動部材として敷板と滑り板を用いる横移動手段における搬出直前の高炉炉底部の側面態様を示す図である。 前記実施形態における横移動部材として敷板と滑り板を用いる横移動手段における搬出直前の高炉炉底部の平面態様を示す図である。 前記実施形態におけるワイヤーガイド部材の断面を示す図である。 前記実施形態におけるワイヤーガイド部材の他の断面を示す図である。 前記実施形態に利用可能な横移動ガイド部材の一態様を示す図である。 高炉炉底部の切断部分を引き出す状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の途中状態を示す図である。 本発明の三面切断の完了状態を示す図である。 本発明の実施例を示す図である。 本発明の実施例を示す図である。
符号の説明
10 高炉
11 基礎コンクリート
12 敷ビーム
13 高炉本体
14 炉体櫓
15 排気管
16 環状管
17 炉頂アウトリガークレーン
18 仮設張出しデッキ
19 装入装置
21 梁または仮設ジャッキ受梁
22 支柱
23 H形鋼
24 冷却管
25 グラウト材
26 炉底板
28 スタンプ材
29 鉄皮
30 ステーブクーラー
31 炉底レンガ層
32 混銑滓塊
33 残銑
34 上部マンテル
35 炉底マンテル
36 高炉炉底部
37 H形鋼
38 下部フランジ
39 上部フランジ
40 ワイヤーガイド部材
41 水平孔
42 ローラー
43 ウェブ
44 敷板
45 滑り板
46 滑り面
47 上部水平面(切断面)
48 下部水平面(切断面)
49 水平切断部
50 センターホールジャッキ
51a HPA
51b α材
52 吊下げ用ブラケット
53 横移動手段
54 溝
55 潤滑剤
56 空隙部
57 重量物搬送台車
58 ジャッキ
59 牽引ワイヤー
60 ブラケット
61 横移動ガイド部材
68a〜68j 切断区分
69a〜69k 境界部
70 ワイヤソー
70a〜70j ワイヤー
P ポンプ

Claims (15)

  1. 高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトから、高炉炉底部を切離して搬出する高炉炉底部の解体方法であって、高炉の操業中に予め下記工程1〜工程7を実施し、その後、高炉の吹止後の改修期間中に、下記工程8を実施することを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
    工程1:搬出しようとする高炉炉底部の下方に位置する基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断面に、高炉炉底部の引出し方向に平行な切断区分を複数設定する。
    工程2:前記切断区分の境界部の基礎コンクリート又はベースグラウトに、前記引出し方向に平行で隣り合う水平孔を穿孔する。
    工程3:前記隣り合う水平孔にワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリートを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断する。
    工程4:前記上下の水平切断面間にある切断された基礎コンクリート又はベースグラウトを排出して、前記引出し方向に平行な空隙部を形成する。
    工程5:前記空隙部に、高炉炉底部を搬出するための横移動部材を配置する。
    工程6:前記空隙部に配置された横移動部材の上面と上水平切断面との隙間に、炉体荷重を支持する炉体荷重支持部材を配置する。
    工程7:工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行い、前記横移動部材および前記炉体荷重支持部材を備えた横移動手段を、前記基礎コンクリート又はベースグラウトに設定した水平切断部の全域に渡り配置する。
    工程8:上部マンテルを高炉炉底部から分離し、吊り上げて固定した後、高炉炉底部に水平力を付与して、系外に搬出する。
  2. 前記水平孔の全部又は一部に、横移動時の牽引方向に対する横滑りを防止する横移動ガイド部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の高炉炉底部の解体方法。
  3. 前記水平孔にワイヤソーのワイヤーレベルを一定に維持するためのワイヤーガイド部材を配置した後、該水平孔の該ガイド部材に沿ってワイヤソーのワイヤーを挿入し、前記切断区分の基礎コンクリート又はベースグラウトを、所要の高さを維持する上部水平面と下部水平面に沿って切断することを特徴とする請求項1に記載の高炉炉底部の解体方法。
  4. 前記ワイヤーガイド部材を排出した後の水平孔の全部又は一部に、横移動時の索引方向に対する横滑りを防止する横移動ガイド部材を配置することを特徴とする請求項3に記載の高炉炉底部の解体方法。
  5. 前記ワイヤーガイド部材が、水平孔への搬入方向の先端、及び、該先端と中央部にローラーを備える長尺の鋼材であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の高炉炉底部の解体方法。
  6. 前記水平孔の直径が60〜200mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高炉炉底部の解体方法。
  7. 前記水平孔の隣接間隔が0.45〜5mであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高炉炉底部の解体方法。
  8. 前記横移動部材が、敷板及び滑り板で構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高炉炉底部の解体方法。
  9. 前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項8に記載の高炉炉底部の解体方法。
  10. 前記横移動部材が、敷板、滑り板、及び、該敷板と滑り板の間に充填した潤滑剤で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高炉炉底部の解体方法。
  11. 前記敷板と滑り板の合計枚数が2枚以上であることを特徴とする請求項10に記載の高炉炉底部の解体方法。
  12. 前記敷板と滑り板との間の滑り面に、系外から潤滑剤を供給することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の高炉炉底部の解体方法。
  13. 前記炉体荷重支持部材が、ガーネット、粒径の小さい球状粒子、モルタルのいずれか1種又は2種以上の組み合わせと、ハイパックアンカー(HPA)と、で構成されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の高炉炉底部の解体方法。
  14. 前記粒径の小さい球状粒子が、最大直径10mm以下の球状又は楕円状の鉄球であることを特徴とする請求項9又は請求項13に記載の高炉炉底部の解体方法。
  15. 前記工程2〜工程6、又は、工程3〜工程6を繰り返して行う際、隣接しない切断区分を適宜選択して継続的に実施することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の高炉炉底部の解体方法。
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