JP3591431B2 - 高炉炉底部の解体方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉炉底部の解体方法に係り、さらに詳しくは高炉を改修するため吹き卸し後、その炉底部に残存する残銑凝固物を分割することなく炉外に搬出することのできる高炉炉底部の解体方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉の操業を長期間行うと、内部に設けられた煉瓦の侵食が著しく進行する。これを放置すると、高炉の上部では、耐圧容器として外周に設けられている鉄皮に亀裂が入ってガス等が噴出し、また、高炉の下部では、炉底のカーボン煉瓦が侵食され溶解物が鉄皮を溶損して流出する事故等を生じた時、ステーブ冷却水や鉄皮冷却水による水蒸気爆発を起こすこともある。このため、十数年に一度に高炉を吹き却して内部の改修を行っている。
【0003】
高炉の改修に際しては、まず高炉炉体の炉底部を囲む外周壁の一部の鉄皮や内張りれんがをバックホー、ショベル等の建設重機で破壊して開口を設け、建設重機を炉底部内に導入する。そして、炉底部に残存しているコークスを建設重機で炉外に押し出して除去する。その後、作業者が炉内に入り、削岩機や発破手段を用いて、その下に残っている銑鉄を主としたスラグあるいはコークスの混合した残銑凝固物(一枚岩のように一体化していることが多い)を砕き、炉外に搬出する必要がある。
【0004】
残銑凝固物は崩壊性凝固物等と異なり、強固で分解することが難しく、爆破による分割作業が行われる。この爆破作業に先立ち、まず残銑凝固物本体に穿孔ドリルまたは酸素ランスで多数の穿孔を設け、そこにダイナマイトを詰める作業をする必要があった。このような穿孔、発破、分割する方法では、穿孔作業に長時間を要するため、工事期間が長くかかり、発破作業が他の解体作業の阻害となる。また、爆発時に破砕物が飛散し危険なことに加えて騒音が著しいことから高炉周辺での作業中断を余儀なくされていた。
【0005】
ところで、高炉の改修工事は、工事期間をできるかぎり短縮する必要があるため、炉体内の内張りれんがや残銑凝固物が室温まで冷却される前に、解体作業が開始され、その作業環境は、開放部分が炉底部の開口と炉頂部のマンホール程度しかない場所で、かつ、粉塵の発生が多く悪環境である。また、炉壁れんがや残銑凝固物は固くて重いので開口から搬出するには、それらを小さく分割する必要がある。そのため、従来の解体作業に要する時間は非常に長く、高コスト作業となっていた。
【0006】
また、炉体支柱にメンテナンス用に設置してあるアウトリガークレーンを使用することも知られており、高炉炉底部の鉄皮を重量5〜50t の短冊状に切断して、アウトリガークレーンで撤去すると共に、高炉の炉底部側壁に設けた開口部から高炉内に存在する残銑凝固物を炉外に除去していた。また、特開平10−96005号公報および特開平7−197112号公報には高炉内部の改修を行う方法が開示されている。
【0007】
特開平10−96005号公報に記載された高炉炉底部の解体方法では、高炉の下部を切断し、高炉炉体を高炉支柱で懸架、固定した後に、高炉の下部の鉄皮を解体し、高炉内の残銑凝固物をワイヤ・ソーで水平に切断し、残銑凝固物を一体として水平に引き出していた。一方、特開平7−197112号公報に記載された高炉炉底の残銑凝固物の炉外搬出方法では、高炉内における周辺部の残銑凝固物と炉底耐火物の間にジャッキを設置して垂直方向に持ち上げた後、円筒状または摩擦係数の軽減物を挿入して残銑凝固物を水平方向に引き出すものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の高炉炉底部の解体方法は、以下の問題があった。
(1) アウトリガークレーンを使用した方法では、アウトリガークレーンの吊り上げ能力が70〜200t程度であるのに対し、高炉内の残銑凝固物には500t程度の重量を有する大型残銑凝固物もあるため残銑凝固物を200t以下の重量に分割する必要があった。また、高炉上部の解体作業と下部の残銑凝固物の除去作業が並行して行われるので、安全性を確保するため羽口部に安全天井が設置されており、これを除去後に再度設置する工程が必要となり、工期がかかっていた。
【0009】
(2) 特開平10−96005号公報に記載された高炉炉底部の解体方法は、まず、れんが層の切断作業に長時間を必要とし、かつ残銑凝固物を水平方向に引き出すには、れんが切断粉の助けをかりても引き出し力として大きなものが必要で、引き出せる残銑凝固物量に制約があった。
(3) 特開平7−197112号公報に記載された高炉内の残銑凝固物の炉外搬出方法も残銑凝固物を水平に引き出すものであるが、摩擦係数軽減物を利用しても前記(2) と同様に、引き出せる残銑凝固物量に制約があった。また、前記(2) 、(3) においては、高炉炉体の外周に炉体支持用支柱があり、残銑凝固物を引き出す際に該支柱と干渉しないように引き出し方向を正確に導くことが必要であり、これも作業時間の延長につながっていた。
【0010】
以上のように、アウトリガークレーンを使用した方法では、作業期間が長期間にわたって、これを特開平10−96005号公報および特開平7−197112号公報に記載された方法によって短縮することができたが、まだ作業内容等に改良の余地があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、高炉改修時における高炉の炉体冷却段階の早期に炉底部に残存する残銑凝固物を経済的に、かつ、短時間で撤去する高炉炉底部の解体方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1記載の本発明は、吹き卸し後の高炉の炉体を、その炉底部に残存する残銑凝固物より高い位置で水平に切断し、この切断位置より上方の上部炉体を炉体支柱に設置した昇降手段を用いて懸架し、切断位置より下方にある下部炉体の炉壁部を撤去した後、残銑凝固物を炉外に搬出する高炉炉底部の解体方法において、残銑凝固物を炉外に搬出する前に、残銑凝固物と炉底耐火物との間かつ三叉状の残銑吊バンドが炉外から炉内に移動する進行経路を挟む残銑凝固物の両側周辺部に空洞を堀り、該空洞内に配設した持上ジャッキで残銑凝固物を持ち上げて炉底耐火物との間に間隙を形成する段階と、前記三叉状の残銑吊バンドを、該残銑吊バンドを形成する前方に延びた一つの長方形鉄バンドを炉外から炉心に向け、他の2つの長方形鉄バンドを二叉状に斜め後方に向けた状態で前記間隙内を炉内方向に移動させ、前記持上ジャッキと干渉させることなく差し渡して残銑凝固物の中心部から放射状に配置する段階と、前記炉体支柱に懸架した上部炉体を前記昇降手段を用いて下降させ、上部炉体の下端部に固定した鉄皮側吊具に前記三叉状の残銑吊バンドの各端部を接続する段階と、炉体支柱に懸架した上部炉体を残銑凝固物と共に前記昇降手段を用いて吊り上げて残銑凝固物と炉底耐火物との間に作業空間を形成する工程を有することを特徴とする高炉炉底部の解体方法である。
【0012】
請求項2記載の本発明は、前記鉄皮側吊具が上部炉体の下端部に配設されている羽口に固定されることを特徴とする請求項1記載の高炉炉底部の解体方法である。
【0013】
【発明の実施の態様】
本発明に係る高炉炉底部の解体方法をその手順にしたがって説明する。
図1に示すように、高炉10は外部が鉄皮で覆われており、鉄皮の内側には冷却用のステーブが取り付けられ、さらにステーブの内側には耐火レンガ等からなるれんが層を設けた構造になっている。高炉10は下部から炉底部11、朝顔部12、炉胸部13、炉口部14の順に設置され、各部の接続部分は溶接により固着されている。高炉10の外側には、補修等のため炉体支柱15が組み立てられており、炉体支柱15の上部には昇降手段の一例であるリフトジャッキ16が複数基設置してある。
【0014】
吹き卸された高炉10の炉底部最下部には炉底れんが(通常、カーボンれんがを使用)17があり、炉底れんが17のの上には銑鉄にスラグやコークスが混合、凝固して一体化した残銑凝固物19があり、その上にはコークス、スラグ等の混合物からなる溶融凝固した崩壊物18がある。炉底れんが17の補修を行うためには、崩壊物18および残銑凝固物19を撤去する必要がある。なお、本実施の形態では崩壊物18を予めブルドーザ等の建設重機を用いて撤去した後、残銑凝固物19のみを吊り上げて炉底部から除去する場合について説明する。
【0015】
吹き卸し後の高炉10の炉体部を解体するときには、まず、炉体支柱15に設置しておいたリフトジャッキ16から昇降自在に垂下されたロッド20の先端部を炉口部14に固定して高炉10を支持しておく。次に、炉底部11の鉄皮を水平に切断し、切断位置Aより下方にある下部炉体2の炉壁部を炉外に撤去する。切断する高さは、少なくとも炉底部11に残存する残銑凝固物19より高い位置で行う。高炉10の下部炉体2の鉄皮を除去すると、鉄皮の切断位置Aより上方にある上部炉体1は炉体支柱15に設置しておいたリフトジャッキ16によって懸架される。
【0016】
図2に示すように、下部炉体の炉壁部を除去することによって開放された高炉10の内部にあるれんがを図示しない建設重機で破壊し、炉底れんが17上の炉内残留物のうち、コークス、スラグなど容易に崩すことができ崩壊物18等は、リフトジャッキ16を操作して上部炉体1を上昇させ、建設重機で炉体基礎の外へ排出する。炉内残留物のうち、容易に崩すことができない残銑凝固物19が残存するが、この重量は通常300 〜500tであるが、寿命の長かった高炉では炉底れんが17の侵食領域が出銑口より下方に広がり、その侵食領域に存在する残銑凝固物19の一部は高炉操業中にも冷却により凝固しており、炉底れんが17の代替状態で存在する。
【0017】
そのため、残銑凝固物19が大きくなり、直径がほぼ炉床径に近く、5000m3クラスの高炉では容積250m3 程度で、重量が1300t にも達する大塊を炉内から水平方向に引き出すことが必要になる。この残銑凝固物19は建設重機によって崩壊することは困難であり、ダイナマイトを用いて発破により破壊させるしかないが、この発破作業には長時間を要するのは前述の通りである。
【0018】
ここで、高炉10の重量とリフトジャッキ16の吊り上げ能力の関係について説明する。リフトジャッキ16は、新しい炉体の据え付けにおいて、リング状に形成され、炉体冷却装置等が事前に取り付けられて上下方向に複数(例えば4個)に分割された鉄皮を炉体支柱15 内で組み立てる場合にも用いられる。例えば、内容積が約5000m2(出銑量日産10000t)の高炉10の据え付け鉄皮の総重量(内部のれんがを除く)は、約5500t であり、高炉10の改修に使用するリフトジャッキ16はこれに見合った約200t/ 台×30台=約6000t の吊り上げ能力を有している。一方、高炉解体時に炉底部11を切断して炉体上部1のみをリフトジャッキ16により支持するときの重量は3000〜4000t になるのでリフトジャッキ16は約2000〜3000t の余力を有していることになる。
【0019】
本発明者らは、このリフトジャッキ16の余力に着目し、高炉10を解体するときにリフトジャッキ16で残銑凝固物19を昇降させる方法を開発した。
図3に示すように、残銑凝固物19は炉底れんが17の上に存在する。崩壊物18を除去した後、図4に示すように、残銑凝固物19周辺の崩壊性耐火物17A の複数箇所に空洞21を掘り、空洞21の箇所で残銑凝固物19と炉底れんが17との間に持上ジャッキ22を設置する。空洞21部分は、例えばショベルカー等で容易に掘ることができる。次いで、図5に示すように、持上ジャッキ22により残銑凝固物19を矢印方向にジャッキアップして残銑凝固物19と炉底耐火物17との間に間隙を形成する。このようなショベルカー等による空洞21の掘削や、持上ジャッキ22による残銑凝固物19のジャッキアップは残銑凝固物19を常温まで冷却しなくてもよく、その温度が300 ℃程度あっても作業可能であり、残銑凝固物19の除去作業を早目に開始できる。
【0020】
続いて、図6に示すように、懸架された上部炉体1の下端部に配設されている羽口23に鉄皮側吊具24を固定する一方、残銑凝固物19と炉底れんが17との間に鉄板製の残銑吊バンド25(幅1200mm、厚み50mm程度)を矢印で示す水平方向に差し渡す。図7に示すように、懸架された上部炉体1をリフトジャッキ16で下降させた後、鉄皮側吊具24に残銑吊バンド25を連結する。次に、図8に示すように、炉体上部1をリフトジャッキ16で上昇させ、鉄皮側吊具24と残銑吊バンド25を介して残銑凝固物19を吊り上げ、炉底れんが17の上に作業空間を形成する。
【0021】
ところで、持上ジャッキ22によりジャッキアップされた残銑凝固物19の下方に、図9に示すように、1枚の長方形鉄バンドで作った残銑吊バンド25が炉外から炉心Oを経由するように矢印方向に移動して差し渡される場合、残銑吊バンド25の幅により定まる持上ジャッキ22の衝突領域Bは極めて小さい。このため、持上ジャッキ22の配置を完全に許容する残銑凝固物19の周辺部領域Aは大きいので、衝突領域Bを除く周辺部領域Aに配置した持上ジャッキ22により残銑凝固物19を安定した状態で支持することができる。しかし反面では、1枚の残銑吊バンド25による残銑凝固物19のリフトジャッキ16による吊り上げは残銑吊バンド25の両端部での2点支持となるため、残銑吊バンド25の幅を極力大きくするにしても残銑凝固物19は不定形であるため残銑凝固物19を安定した状態で確実に吊り上げることが困難となる。
【0022】
また、図10に示すように、2枚の残銑吊バンド25を平行に並べて炉外から矢印方向に移動して残銑凝固物19の下方に差し渡す場合、残銑吊バンド25の幅により定まる持上ジャッキ22の衝突領域Bは、図9の1枚の場合に比較して2倍になるが、残銑凝固物19の周辺部に持上ジャッキ22の配備を許容する周辺部領域Aは相当に大きくとれ、しかも、その周辺部領域Aは4か所に分散したバランスのよい分布であり、残銑凝固物19をリフトジャッキ16により4点支持で吊り上げることができる。
【0023】
しかし、持上ジャッキ22によりジャッキアップされた残銑凝固物19の下方を、2枚の残銑吊バンド25が炉心Oを経由しないで矢印方向に移動して差し渡されるため、残銑凝固物19を吊り上げる際の残銑吊バンド25の折り曲げは、残銑吊バンド25の長手方向に直角な直線(イ)−(イ)に沿うのが好ましいが、残銑吊バンド25と残銑凝固物19の接線は直線(ロ)−(ロ)のように斜めになるため、残銑吊バンド25の折り曲げ部に加わる荷重が偏って不均一となり、正常な昇降作業を阻害する。
【0024】
さらに、図11に示すように、残銑凝固物19の下方に、2枚の鉄バンドを十字状として一体に製作した残銑吊バンド25の中央が炉心Oを経由するように炉外から矢印方向に移動して差し渡される場合、残銑吊バンド25が炉外から炉内に移動するときに持上ジャッキ22が衝突するのは図9に示す衝突領域Bの他に、残銑吊バンド25の側方に延びた部分が炉心Oに移動するまでの衝突領域Cが生じる。持上ジャッキ22の配置を完全に許容する残銑凝固物19の周辺部領域Aは、小さく、かつ片側に偏在しているため、周辺部領域Aに持上ジャッキ22を配置するだけでは残銑凝固物19を支持することはできない。このため、残銑吊バンド25がこれから移動する側に位置する衝突領域Cの持上ジャッキ22をいったん撤去する一方、残銑吊バンド25が通過した側の衝突領域Cに再度、持上ジャッキ22をセットして残銑凝固物19を支持する必要がある。衝突領域Cに配置した持上ジャッキ22の撤去作業と再度のセット作業は煩雑で時間が掛かるり、作業能率が大幅にダウンする。
【0025】
そこで、図12に示すように、三叉状の残銑吊バンド25を使用する方法を試みたところ前記十字状の残銑吊バンド25に比較して持上ジャッキ22による残銑凝固物19の支持と残銑吊バンド25の炉内への移動が都合よく行え好適であった。すなわち、長方形鉄バンドを中央部から外向きに放射状に三方向に延ばした形状になるよう一体に製作して三叉状の残銑吊バンド25とする。この三叉状の残銑吊バンド25のうち前方に延びた一つの長方形の鉄バンドを炉外から前方の炉心方向に向く直線に合わせ、他の2方向に延びた長方形鉄バンドを二叉状に斜め後方に向けた状態で炉内方向に移動させ、残銑凝固物19の中心部から放射状に配置されるように水平に差し渡す。
【0026】
残銑凝固物19には、残銑吊バンド25の進行経路を挟んで両側の周辺部に空洞21を堀り、ここに残銑凝固物19を持ち上げるに足りる基数の持上ジャッキ22を配置する。この場合、持上ジャッキ22を配置する領域は、三叉状の残銑吊バンド25の前方に延びた一つの長方形鉄バンドおよび他の二叉状に後方に延びた長方形鉄バンドのいずれもが、空洞21内に配置した持上ジャッキ22と干渉しない位置を選択する。このような持上ジャッキ22の配置により残銑凝固物19を持ち上げることができるのは、三叉状の残銑吊バンド25のうち二叉状に後方に延びた長方形鉄バンドにより持上ジャッキ22の配置領域を拡大できるからであり、これにより十字状の残銑吊バンド25を使用した場合のような持上ジャッキ22の撤去と再セットが不要となり、三叉状の残銑吊バンド25の炉外から炉内への搬入時間短縮が達成される。
【0027】
三叉状の残銑吊バンド25の前方に延びた一つの長方形鉄バンドおよび他の二叉状に後方に延びた長方形鉄バンドとがなす角度は、120 度として等角度にする必要はなく、二叉状に後方に延びた長方形の鉄バンドがなす角度を120 度未満、例えば90度程度にすることにより持上ジャッキ22の配置許容領域がより拡大でき、好適である。図12において、24は羽口23に設ける鉄皮側吊具の位置、16は炉体支柱15に配置したリフトジャッキの位置を示す。
【0028】
三叉状の残銑吊バンド25の前方に延びた一つの長方形鉄バンドおよび他の二叉状に斜め後方に延びた長方形鉄バンドはいずれも、残銑凝固物19の中央にほぼ対応する炉心Oを通るように差し渡されるため、図13に示すように、リフトジャッキ16を用いて上部炉体1と共に残銑凝固物19を鉄皮側吊具24および残銑吊バンド25を介して持ち上げる際に、三叉状の残銑吊バンド25の折り曲げは、バンド長手方向に直角な折れ線をもって曲がるので残銑凝固物19をバランスよく3点支持することができる。
【0029】
図14に示すように、鉄皮側吊具24と残銑吊バンド25を介して残銑凝固物19を吊り上げて形成した作業空間下で、炉底れんが17の表層部を凹凸がないように建設重機26を用いた補修等により炉底れんが17の表面を整備する。図15に示すように炉底れんが17に凹部があったときはモルタル27を注入して凹凸のない平坦な表面に補修した後、図16に示すように、炉底れんが17の表面に複数本の炉内台車用レール28を並行に敷設する。
【0030】
図17に示すように、水平移動台29はウインチ等を用いて炉内台車用レール28上に簡単に取り込むことができる。水平移動台29は、例えば、図18〜図20にに示すように、その下部に移動用ローラ30およびガイドローラ31を備えた構造とすることができる。水平移動台29の下面には、下向きに一対の支持フレーム37を設け、これら支持フレーム37の間にエンドレスチェン38で連結した多数の移動用ローラ30を備え、また、支持フレーム37の外面側に設けた軸受47にガイドローラ31を配設したローラ構造体39を設ける。ローラ構造体39は市販のものを使用し、水平移動台29の下部に間隔を置いて例えば4列取り付けてあり、溝型の炉内台車用レール28に沿って移動するようになっている。
【0031】
また、水平移動台29は、図21に示すように、その下部にスライドシュー40を配設し、スライドシュー40を溝型の炉内台車用レール28に沿って摺動させる構造としてもよい。スライドシュー40の下面にテフロン(デュポン社の登録商標)41を張りつけ、また炉内台車用レール28の溝部にステンレススチール板(SUS板)42 を取り付けて摩擦係数を小さくする。あるいは、図22に示すように、炉底れんが17の上に設けた底板43の上にレベル調整ライナー44を介してI型レール45を敷設し、この上を車輪を備えた水平移動台29を移動させる構造にしてもよい。水平移動台車29は、高炉の大改修頻度が極めて少ないので、低コストで摩擦係数を小さくでき、かつ作業性のよい構造とするのが肝要である。
【0032】
かくして、図23に示すように、高炉10の上部炉体1をリフトジャッキ16で下降させ、鉄皮側吊具24と残銑吊バンド25を介して支持されていた残銑凝固物19を水平移動台29に載せる。鉄皮側吊具24を羽口23から切り離した後、図24に示すように、高炉10の上部炉体1をリフトジャッキ16で上昇して上方に退避させる。残銑凝固物19を支持するのに使用した鉄皮側吊具24と残銑吊バンド25は、水平移動台29上に載せたままとする。炉内台車用レール28に接続して炉外台車用レール32がレベリングブロック46上に配備されており、残銑凝固物19を載せた水平移動台29を、積荷レベル調整架構33をセットした炉体用輸送台車34の方に移動可能としている。
【0033】
図25に示すように、炉外台車用レール32近傍に配備したセンターホールジャッキ35を1ストローク操作する毎に固定位置を前方に変更しながら残銑凝固物19を載せた水平移動台29を尺取り虫のように炉内台車用レール28から炉外台車用レール32上に移動させて炉内から炉外へ引き出す。次に、図26に示すように、炉体用輸送台車34が備えた積荷レベル調整架構33上に配備したセンターホールジャッキ36を操作してレベリングブロック46を炉体用輸送台車34上に移動させる。これによってレベリングブロック46に敷設した炉外台車用レール32を介して、水平移動台29と共に残銑凝固物19を積荷レベル調整架構33上に載せる。引続き炉体用輸送台車34を残銑凝固物置場まで移動させ、一連の高炉炉底部の解体作業を終了する。
【0034】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、上記残銑凝固物を炉外に搬出する前に、残銑凝固物と炉底耐火物との間で、かつ三叉状の残銑吊バンドが炉外から炉内に移動する進行経路を挟む残銑凝固物の両側周辺部で持上ジャッキに衝突しない選択領域に掘った空洞内に配設した持上ジャッキで残銑凝固物を持ち上げて残銑凝固物と炉底耐火物との間に間隙を形成する。この間隙に三叉状の残銑吊バンドの前方に延びた一つの長方形鉄バンドを炉外から炉心に向け、他の2つの長方形鉄バンドを二叉状に斜め後方に向けた状態で炉内方向に移動させるので、三叉状の残銑吊バンドを持上ジャッキに衝突させることなく残銑凝固物の中心部から放射状に水平に差し渡すことができる。持上ジャッキの撤去と再セットが不要となり、また、炉体支柱に懸架した上部炉体と共に残銑凝固物を三叉状の残銑吊バンドの3点支持による安定した昇降作業が迅速に行え、高炉炉底部の解体作業の時間短縮が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高炉炉底部の解体方法に適用される高炉の正面図である。
【図2】本発明に係る高炉炉底部の鉄皮を除去したときの炉底部内状況を示す正面図である。
【図3】本発明に係る高炉炉底部の鉄皮を除去したときの炉底部内の残銑凝固物状況を示す正面図である。
【図4】本発明に係る高炉炉底部の鉄皮を除去して炉底部内の残銑凝固物の周辺部に掘削した複数の空洞に持上ジャッキを配置した状況の一例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る炉底部内の残銑凝固物を持上ジャッキにより持ち上げた状況の一例を示す正面図である。
【図6】本発明に係る持上ジャッキにより持ち上げた残銑凝固物と炉底れんがとの間に残銑吊バンドを差し渡した状況を示す正面図である。
【図7】本発明に係る懸架された上部炉体を下降させて、羽口に固定した鉄皮側吊具に残銑吊バンドを連結した状況を示す正面図である。
【図8】本発明に係る上部炉体をリフトジャッキで上昇させ、鉄皮側吊具と残銑吊バンドを介して残銑凝固物を吊り上げ、炉底れんがの上に作業空間を形成する状況を示す正面図である。
【図9】比較例に係る1枚の残銑吊バンドが炉外から炉心を経由するように矢印方向に移動して残銑凝固物の下方に差し渡される状況を示す平面図である。
【図10】比較例に係る2枚の残銑吊バンドを平行に並べて炉外から炉内に移動して残銑凝固物の下方に差し渡される状況を示す平面図である。
【図11】比較例に係る十字状の残銑吊バンドの中央が炉心を経由するように炉外から炉内に移動して差し渡される状況を示す平面図である。
【図12】本発明に係る三叉状の残銑吊バンドの中央が炉心を経由するように炉外から炉内に移動して差し渡される状況を示す平面図である。
【図13】本発明に係る三叉状の残銑吊バンドを用いて残銑凝固物を上昇させる状況を示す正面図である。
【図14】本発明に係る炉底れんがの表層部を建設重機で整備する状況を示す正面図である。
【図15】本発明に係る炉底れんがの侵食部にモルタルを注入して凹凸のない平坦な表面に補修する状況を示す正面図である。
【図16】本発明に係る炉底れんがの表面に炉内台車用レールを敷設する状況を示す正面図である。
【図17】本発明に係る水平移動台を炉内台車用レール上に取り込んだ状況を示す正面図である。
【図18】本発明に係る水平移動台の下部に設けたローラ構造体を炉内台車用レールに対応させて配設した状況を示す側面図である。
【図19】本発明に係る水平移動台の下部に設けた移動用ローラおよびガイドローラからなるローラ構造体を炉内台車用レールに対応させて配設した状況を示す側面図である。
【図20】本発明に係るエンドレスチェンで連結した多数の移動用ローラを内部に備え、外部にガイドローラを配設したローラ構造体を示す正面図である。
【図21】本発明に係る水平移動台の下面に配設したスライドシューを炉内台車用レールの溝部に対応して配設したスライド構造を示す側面図である。
【図22】本発明に係る高炉の炉底れんがの上に敷設したI型レールを示す側面図である。
【図23】本発明に係る上部炉体をリフトジャッキで下降させ、残銑吊バンドを介して支持された残銑凝固物を水平移動台に載せる状況を示す正面図である。
【図24】本発明に係る上部炉体をリフトジャッキで上昇して退避させる一方、残銑凝固物を載せた水平移動台を、炉体用輸送台車の方に移動させる状況を示す正面図である。
【図25】本発明に係る炉外台車用レール近傍に配備したセンターホールジャッキを操作して残銑凝固物を載せた水平移動台を炉外台車用レール上まで移動させる状況を示す正面図である。
【図26】本発明に係る残銑凝固物を載せた水平移動台を炉外台車用レールを経由して炉体用輸送台車をセットした積荷レベル調整架構上に載せる状況を示す正面図である。
【符号の説明】
1 上部炉体
2 下部炉体
10 高炉
11 炉底部
12 朝顔部
13 炉胸部
14 炉口部
15 炉体支柱
16 リフトジャッキ
17 炉底れんが
18 崩壊物
19 残銑凝固物
20 ロッド
21 空洞
22 持上ジャッキ
23 羽口
24 鉄皮側吊具
25 残銑吊バンド
26 建設重機
27 モルタル
28 台車用レール
29 水平移動台
30 移動用ローラ
31 ガイドローラ
32 炉外台車用レール
33 積荷レベル調整用架構
34 炉体用輸送台車
35、36 センターホールジャッキ
37 支持フレーム
38 エンドレスチェン
39 ローラ構造体
40 スライドシュー
41 テフロン
42 ステンレススチール板(SUS 板)
43 底板
44 レベル調整ライナー
45 I型レール
46 レベリングブロック
47 軸受
Claims (2)
- 吹き卸し後の高炉の炉体を、その炉底部に残存する残銑凝固物より高い位置で水平に切断し、この切断位置より上方の上部炉体を炉体支柱に設置した昇降手段を用いて懸架し、切断位置より下方にある下部炉体の炉壁部を撤去した後、残銑凝固物を炉外に搬出する高炉炉底部の解体方法において、残銑凝固物を炉外に搬出する前に、残銑凝固物と炉底耐火物との間かつ三叉状の残銑吊バンドが炉外から炉内に移動する進行経路を挟む残銑凝固物の両側周辺部に空洞を堀り、該空洞内に配設した持上ジャッキで残銑凝固物を持ち上げて炉底耐火物との間に間隙を形成する段階と、前記三叉状の残銑吊バンドを、該残銑吊バンドを形成する前方に延びた一つの長方形鉄バンドを炉外から炉心に向け、他の2つの長方形鉄バンドを二叉状に斜め後方に向けた状態で前記間隙内を炉内方向に移動させ、前記持上ジャッキと干渉させることなく差し渡して残銑凝固物の中心部から放射状に配置する段階と、前記炉体支柱に懸架した上部炉体を前記昇降手段を用いて下降させ、上部炉体の下端部に固定した鉄皮側吊具に前記三叉状の残銑吊バンドの各端部を接続する段階と、炉体支柱に懸架した上部炉体を残銑凝固物と共に前記昇降手段を用いて吊り上げて残銑凝固物と炉底耐火物との間に作業空間を形成する工程を有することを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
- 前記鉄皮側吊具が上部炉体の下端部に配設されている羽口に固定されることを特徴とする請求項1記載の高炉炉底部の解体方法。
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